説明

生理学的及び心理学的/生理学的モニタリングのための方法及びシステム並びにその使用

本発明は、ユーザの1つ以上の生理学的パラメータをモニタリングするシステムおよび方法を提供する。本発明のシステムは、前記1つ以上の生理学的パラメータを検知する1つ以上のウェアラブルセンサモジュールを具える。1つ以上の送信器が、前記1つ以上の生理学的パラメータの値を示す信号をモバイルモニタへとワイヤレスに送信する。前記モバイルモニタは、前記送信器から受信された信号を専門知識を用いてリアルタイム処理するプロセッサを具える。デバイスが、前記処理の結果の1つ以上の表示を提供する。本発明はまた、本発明のシステムにおいて用いられるウェアラブルモバイルセンサも提供する。本発明の方法は、前記ユーザの生理学的パラメータの値を1つ以上のウェアラブルセンサモジュールから得る工程を具える。前記1つ以上の生理学的パラメータの値を示す信号は、モバイルモニタへとワイヤレスに送信される。前記信号は、専門知識を用いてリアルタイム処理され、前記処理の1つ以上の表示が、前記モバイルユニットに提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、生理学的モニタリングアプリケーションおよび生物学的に対話型のアプリケーションの分野に主に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
バイオフィードバックは、個人の消極的態度パターンの軽減および変更目的のために長年において用いられてきたが、既存のシステムの場合、多数の有意な欠陥がある。すなわち、ほとんどの現行システムは高性能コンピュータに全て依存している。第1に、保健専門家または複雑なオンラインプログラマによるユーザの訓練が必要となる。ユーザ訓練終了後も、ユーザは、日常生活において体内における生理学的変更を実施することを覚えておかなくてはならない。バイオフィードバックセッションが毎日行われることは稀であり、ましてやリアルタイムで行われることはまずない。そのため、ユーザは、何日も前の特定のイベントを覚えておき、当時の感情反応を想起しなければならない。
【0003】
米国特許6,026,322号(名称:「Biofeedback apparatus foruse in therapy」、Korenmanらに付与、出願日:1997年2月6日)において、以下のような装置およびプログラムについての開示がある。これらの装置およびプログラムは、ユーザの心理学的/生理学的パラメータ(例えば、ユーザのガルバニック皮膚抵抗)を表す信号を制御することにより、ユーザの心理学的/生理学的状態の1つ以上の局面を制御するようにユーザを訓練するように、設計されている。これらのパラメータは、ユーザの隣接する指上に2個の接点を持つセンサユニットによって検出し得る。このセンサユニットは、プログラムを実行するコンピュータに接続された受信器ユニットと分離することができる。この開示の装置は、或る生理学的状態(例えば、過敏性腸症候群)を持つ患者の治療に用いられることが記載されている。治療セッションにおいて、当該患者の1つ以上の心理学的/生理学的パラメータが感知され、この感知されたパラメータを用いて、当該患者が見ている表示を変更する。この表示は、治療対象となる生理学的状態を視覚的または図形的に表したものを含み、当該患者において望まれる生理学的変化に応じて形が変化する。
【0004】
PCT出願WO0047110において、対象の心臓血管系に関連する1つ以上のパラメータ(例えば、最高血圧、最低血圧、動脈のヤング率、心拍出量、血管抵抗の相対的変化、および血管コンプライアンスの相対的変化)を継続的かつ非侵襲的に得る方法についての開示がある。
米国特許6,067,468号(Korenmanに付与)において、ユーザの心理学的/生理学的状態の1つ以上の局面を制御することをユーザに訓練するように設計されたプログラムついての開示がある。このプログラムは、ユーザの心理学的/生理学的パラメータ(例えば、ユーザの隣接指上に2個の接点を有するセンサユニットによって検出することが可能なユーザのガルバニック皮膚抵抗)を表す信号により、制御される。このセンサユニットは、前記プログラムを実行するコンピュータに接続された受信器ユニットとは別である。
【0005】
発明の要旨
その第1の局面において、本発明は、携行可能であり、コードレスでありかつウェアラブルなセンサを提供する。このセンサは、イベント発生に対する感情反応および生理学的反応のクエリをモニタリングする。これらの結果はリアルタイムで収集されるため、当該反応発生後何日も経過した後に当該反応を人工的条件下で再度生成する場合よりも、より効果的かつユーザ関連性が高くなり得る。これらの新規なセンサは、携帯電話および他の技術を用いて、前記ユーザの生理的/感情状態、専門知識に基づいたリアルタイム指導を表示し、かつ、消極的態度パターンを改変するようにユーザに訓練することができる。
本明細書中用いられるように、「ウェアラブルデバイス」という用語は、(例えば、衣服の下又は上、ポケット内、衣服への取り付け、または掌中で)ユーザが携行することのできるデバイスを指す。
【0006】
その第2の局面において、本発明は、イベント発生に対するユーザの感情反応および生理学的反応をモニタリングするシステムを提供する。
その別の局面において、本発明は、ユーザの心理状態および生理を分析する方法を提供する。そのさらに別の局面において、本発明は、本発明の方法およびセンサの用途を提供する。
【0007】
本発明はまた、当該データ(例えば、ユーザの感情)からの微妙な情報を評価する新規な方法と、新規な治療方法と、ユーザの生理および反応との相互作用に基づいた新規な娯楽方法とを提供する。
【0008】
よって、その局面の1つにおいて、本発明は、以下を提供する。ユーザの1つ以上の生理学的パラメータをモニタリングするシステムであって、
(a)前記1つ以上の生理学的パラメータを感知する1つ以上のウェアラブルセンサモジュールと、
(b)前記1つ以上の生理学的パラメータの値を示す第1の信号をモバイルモニタへワイヤレスに送信する1つ以上の送信器と、
(c)前記モバイルモニタであって、
前記送信器から受信された前記第1の信号を専門知識を用いてリアルタイムで処理する第1のプロセッサと、
前記処理の結果の1つ以上の表示を提供するデバイスと、
を具える、モバイルモニタとを具えるシステム。
【0009】
本発明のシステムは、前記モバイルモニタと通信可能なリモートサーバをさらに具え、前記リモートサーバは前記モバイルモニタからの第2の信号を受信し、前記リモートサーバは、第2のプロセッサを有する観察ステーションと関連付けられ、前記リモートサーバは、
(a)前記第2の信号を分析用に観察ステーションに送信する工程、と、
(b)前記対象に関連する履歴データにアクセスする工程と、
(c)前記履歴データを前記観察ステーションに送信する工程と、
(d)前記分析の結果を前記観察ステーションから受信する工程と、
(e)前記分析の結果を前記モバイルユニットに送信する工程であって、前記分析は、前記第2の信号と、前記履歴データ、専門知識およびコンピュータ化されたプロトコルのうち1つ以上とに基づく工程と、
のうち少なくとも1つを行うように構成される。
【0010】
本システムの少なくとも1つのセンサモジュールは、例えば、
(a)皮膚電気活性センサ、
(b)心電図センサ、
(c)プレチスモグラフ、および
(d)圧電センサ
を具える群から選択された少なくとも1つセンサを具えていても良い。
【0011】
本発明のシステムは、例えば、
(a)皮膚電気活性センサ、
(b)心電図センサ、
(c)プレチスモグラフ、および
(d)呼吸センサ。
を具える群から選択された少なくとも2つのセンサを具えていても良い。
【0012】
前記第1の信号は、例えば
(a)ブルートゥース、
(b)WiFi、および
(c)ワイヤレスLan
のプロトコルのうちいずれか1つ以上により、センサモジュールから前記モバイルモニタへと送信され得る。
【0013】
前記モバイルモニタは、例えば、
(a)携帯電話、
(b)パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、
(c)ポケットPC、
(d)モバイル音声デジタルプレーヤ、
(e)iPod、
(f)電子ノートブック、
(g)パーソナルラップトップコンピュータ、
(h)DVDプレーヤ、
(i)ワイヤレス通信によるハンドヘルド型映像ゲーム、および
(j)モバイルTV、
を具える群から選択され得る。
【0014】
前記モバイルユニットはセルラー電話であり得、前記モバイルモニタと前記リモートサーバとの間の通信は、セルラー通信ネットワークにおいて行われ得る。
【0015】
前記モバイルユニットは、視覚ディスプレイ、1つ以上のスピーカ、ヘッドホンおよびバーチャルリアリティヘッドセットのうちいずれか1つ以上を具えていても良い。
【0016】
別の局面において、本発明は本発明のシステムにいおいて用いられるウェアラブルセンサモジュールを提供する。
前記ウェアラブルセンサモジュールは、例えば
(a)皮膚電気活性センサ、
(b)心電図センサ、
(c)プレチスモグラフ、および
(d)圧磁(pizoomagnetic)センサ、
を具える群から選択された少なくとも1つセンサを具えていても良い。
【0017】
前記ウェアラブルセンサモジュールは、例えば、
(a)皮膚電気活性センサ、
(b)心電図センサ、
(c)プレチスモグラフ、および
(d)呼吸センサ、
を具える群から選択された少なくとも2つセンサを具えていても良い。
【0018】
前記ウェアラブルセンサモジュールは、例えば、
(a)ブルートゥース、
(b)WiFi、および
(c)ワイヤレスLan、
のプロトコルのうちいずれか1つ以上によって信号を送信する送信器を具えていても良い。
【0019】
前記ウェアラブルセンサユニットは、少なくとも16ビットのAD変換を用いて、手動較正の必要無く皮膚導電率をモニタリングするように構成された皮膚電気活性センサを具えていても良い。
前記センサモジュールは、
(a)皮膚表面に取り付けるように構成された少なくとも2つの電極と、
(b)前記電極にわたる皮膚抵抗を測定し、前記EDAが前記抵抗に線形依存していないアルゴリズムを用いて前記抵抗に基づいてEDAを計算する電子回路と、
を具えるEDAセンサを具えていても良い。
【0020】
前記センサモジュールは、
(a)皮膚表面に対して光を射出するように構成された光源と、
(b)前記皮膚表面から反射した光を検出するよう適合されたに光検出器と、
(c)前記反射光の強度を測定し、この反射光の強度に基づいて、前記光源の強度を制御する電子回路と、
を具える血流センサを具えていても良い。
【0021】
前記センサモジュール中の電子回路は、少なくとも50KΩ〜12MΩの範囲にわたって前記電極間の皮膚抵抗を測定することが可能であり得る。
【0022】
本発明のシステムの第1のプロセッサは、前記ユーザの覚醒状態を示すパラメータおよび前記ユーザの感情状態を示すパラメータのうち一方または両方を前記第1の信号から計算するように構成され得る。
前記ユーザの覚醒状態を示すパラメータの計算は、前記ユーザの皮膚電気活性、心拍、EDA変動およびHR変動のうちいずれか1つ以上に基づいたアルゴリズムを用いて、前記ユーザの交感神経作用および副交感神経作用のスコアを計算する工程を具えていても良い。
【0023】
前記第1のプロセッサは、前記ユーザの覚醒状態を示すパラメータを計算して、前記ユーザの覚醒状態を示す前記パラメータを前記モバイルユニットと関連付けられたディスプレイ上に二次元ベクトルとして表示するように構成され得る。
【0024】
前記第1のプロセッサは、前記モバイルモニタと関連付けられたディスプレイ上に、前記ユーザに関連するバイオフィードバック情報を示す画像、前記ユーザの呼吸活性を示す画像、前記ユーザのEDA活性を示すグラフを具える画像、前記ユーザの心拍を示すグラフを具える画像、前記ユーザの心拍変動を示すグラフを具える画像、前記ユーザの心拍変動の自動相関を示すグラフを具える画像、および前記ユーザの生理学的データおよび専門家知識のうち一方または両方に基づいて前記ユーザの心理学的/生理学的状態を改善することを勧めるアドバイスを示す画像のうちいずれか1つ以上を表示するように構成することができる。
【0025】
呼吸活性を示す画像は、前記呼吸活性を示す長さを有するバーを具えていても良い。前記ユーザに関連するバイオフィードバック情報を示す画像は、1つ以上のパラメータ目標値を具えていても良い。
【0026】
前記第1のプロセッサは、前記第1の信号に基づいた計算において、前記ユーザの呼吸数および前記ユーザの心拍変動のうちいずれか1つ以上を計算するように構成され得る。前記ユーザの呼吸数は、前記ユーザの呼吸時の身体の静電容量の変化をモニタリングすることにより、計算および分析され得る。
【0027】
本発明のシステムは、娯楽システムをさらに具えていても良い。この場合、前記第1のプロセッサは、前記第1の信号に基づいた少なくとも1つコマンドを決定し、および前記少なくとも1つコマンドを前記娯楽システムへ送信するように、構成され得る。前記娯楽システムは、前記1つ以上のコマンドに基づいてアクションを行うように構成された第3のプロセッサを具えていても良い。前記アクションは、SMSメッセージの生成、DVDの制御、コンピュータゲームの制御、および「たまごっち」アニメーションの制御のうちいずれか1つ以上を具えていても良い。前記アクションは、表示されたアニメーション画像、映像クリップ、音声クリップ、マルチメディア提示、別の人間とのリアルタイム通信、前記ユーザが答えなければならない質問、およびユーザが行わなければならないタスクのうちいずれか1つ以上に対するユーザの反応を処理する工程を具えていても良い。
【0028】
その別の局面において、本発明は、
(a)ユーザの前記生理学的パラメータの値を1つ以上のウェアラブルセンサモジュールから得る工程と、
(b)1つ以上の生理学的パラメータの値を示す第1の信号をモバイルモニタにワイヤレスで送信する工程と、
(c)送信器から受信された第1の信号を専門知識を用いてリアルタイムで処理する工程と、
(d)処理の結果の1つ以上の表示をモバイルユニットに提供する工程と、
を具えるユーザの1つ以上の生理学的パラメータをモニタリングする方法を提供する。
【0029】
前記処理の結果は、ユーザのバイオフィードバック情報を具えていても良い。
【0030】
前記方法は、モバイルモニタからの第2の信号を、関連付けられた観察ステーションを有するリモートサーバへと送信する工程と、この観察ステーションにおける前記第2の信号の分析を提供する工程と、をさらに具えていても良い。観察ステーションは、遠隔コールセンターおよび対話型専門家システムのうち一方または両方を具えていても良い。
【0031】
前記処理は、ユーザの覚醒状態を示すパラメータおよびユーザの感情状態を示すパラメータの一方または両方を計算する工程を具えていても良い。ユーザの感情状態を示すパラメータを計算する工程は、ユーザの交感神経作用および副交感神経作用の一方または両方に基づき得る。ユーザの感情状態を示すパラメータを計算する工程は、皮膚電気活性、心拍、皮膚電気活性変動および心拍変動のいずれか1つ以上に基づき得る。
【0032】
本発明の方法は、モバイルユニットに関連付けられたディスプレイ上に、ユーザの覚醒状態を示すパラメータを示す画像と、ユーザの感情状態を示すパラメータを示す画像の一方または両方を表示する工程、をさらに具えていても良い。1つの画像は、二次元ベクトルおよびカラー表示パラメータの一方または両方を具えていても良い。
【0033】
本発明の方法は、吸気相の継続期間および呼気相の継続期間を具える群から選択された呼吸情報を得る際に用いることができる。呼吸情報は、呼吸または発話時に生成される音声から得ることができる。ユーザの1つ以上の吸気相の開始およびユーザの呼吸の1つ以上の呼気相の開始を示す呼吸情報を、ユーザによって得ることができる。ユーザの呼吸数は、ユーザの心拍変動に基づいて計算することができる。ユーザの呼吸数は、ユーザが呼吸している時のユーザの皮膚静電容量の変化に基づいて計算することができる。
【0034】
本発明の方法は、吸気相の継続期間、呼気相の継続期間、および吸気相の継続期間の呼気相の継続期間に対する比のうちいずれか1つ以上を増加するようにユーザに訓練する工程をさらに具えていても良い。
【0035】
本発明の方法は、モバイルモニタと関連付けられたディスプレイ上にバイオフィードバック情報を示す画像を表示する工程をさらに具えていても良く、前記画像は、呼吸活性を示す画像、EDA活性を示すグラフを具える画像、心拍を示すグラフを具える画像、心拍変動を示すグラフを具える画像、および心拍変動の自動相関を示すグラフを具える画像のうちいずれか1つ以上を具える。第2の信号の前記分析は、ユーザの心理学的/生理学的状態を改善するための前記ユーザへのアドバイスを具えていても良い。このアドバイスは、モバイルユニットと関連付けられたディスプレイ上に表示することができる。
【0036】
本発明の方法は、前記1つ以上の得られた生理学的パラメータのうち1つ以上に関する目標値を表示する工程を具えていても良い。本発明の方法は、
(a)1つ以上の刺激で前記ユーザに呼びかける工程と、
(b)前記1つ以上の刺激に対する前記ユーザの1つ以上の反応をモニタリングする工程と、
(c)前記1つ以上の反応に基づいた計算において、反応の待ち時間、最大反応時間、半回復時間、最大ストレス、および新規な基線ストレスの群から選択された少なくとも1つパラメータを計算する工程と、
(d)前記計算されたパラメータのうち1つ以上に基づいて、前記ユーザにフィードバックを提供する工程とを具えていても良い。
本発明の方法は、
(a)認知挙動(cognitive behavioural)セラピー(CBT)、
(b)視覚化、
(c)自己催眠、
(d)自動提案、
(e)注意深さ、
(f)黙想、
(g)感情的知性スキル、
(h)通信ネットワークを介して提供される心理カウンセリング、
を具える群から選択された方法のうちいずれか1つ以上を具える、自己挙動改変方法において、用いることができる。
【0037】
本発明の方法が自己挙動改変方法において用いられる場合、この方法は、
(a)前記ユーザの特定の状態について対話型導入を前記ユーザに提供する工程と、
(b)自己査定のための前記ユーザ対話型質問表を提供する工程と、
(c)1つ以上の対話型セッションを前記ユーザに提供する工程であって、前記対話型セッションは、
認知技術を実施する自己訓練のための対話型セッション、
行動セラピーを実施する自己訓練のための対話型セッション、
自己催眠のための対話型セッション、
視覚化のための対話型セッション、
自動提案のための対話型セッション、
生活スキルおよび対人関係スキルを取得および実施するための対話型訓練、
感情的知性スキルを改善するための対話型訓練、
目標およびゴールを見つけるための対話型訓練、および
人生におけるステップを計画するための対話型訓練、
を具える群から選択される工程と、
をさらに具えていても良い。
【0038】
ユーザは、ユーザが深いリラックス状態にあるときに、1つ以上の対話型セッションを受けることができる。
【0039】
他に定義がない限り、本明細書中用いられる技術用語および科学用語は全て、本発明が属する分野の当業者に一般的に知られている意味と同一の意味を持つ。本明細書中に記載にものに類似または相当する方法および材料を本発明の実施または試験において用いることができるが、適切な方法および材料について以下に説明する。コンフリクトが生じる場合、定義を具える特許明細書が優先するものとする。また、前記材料、方法および例はあくまで例示的なものであり、限定的なものを意図していない。
【0040】
以下において、本発明の例示的実施形態について図面を参照しながら説明する。同一の参照符号は、図面上の同一または関連する特徴を示す。これらの図面は、概して縮尺通りになっていない。
【0041】
本明細書中、本発明について例示的にのみ説明する。以下において特定の図面を詳細に参照するが、その詳細は本発明の好適な実施形態の例示的議論目的のために例示的にのみ示したものであり、また、本発明の原理および概念的局面の詳細の最大限かつ容易な理解の提供を目的として呈示するものであることが強調される。この点について、本発明に対する基本的な理解に必要なレベルよりより詳細に本発明の構造的詳細を示すこと企図していないが、当業者であれば、以下の説明を図面と共に参照すれば、本発明のいくつかの形態を実際に具現化する方法を想起し得る。
【0042】
例示的な実施形態の詳細な説明
以下の詳細な説明は、本発明の実施様態として現時点で最良と企図される様態である。この説明は、限定的なものとして取られるべきではなく、本発明による一般的原理を示す目的のみのためのものである。本発明の範囲は、添付の請求の範囲によって最良に定義される。
【0043】
図面を参照すると、図1は、本発明の例示的実施形態による生理学的モニタリングシステム10を示す。
【0044】
センサモジュール110は、ユーザ100に取り付けられている。通信リンク112を用いて、データをモジュール110からモバイルモニタ120に転送する。この転送されたデータに基づき、モバイルモニタ120は、視覚的バイオフィードバックディスプレイ122および選択的にスピーカ126によるユーザへの音声バイオフィードバックをユーザに提供する。選択的に、キーパッド124を用いて、モバイルモニタ120、センサモジュール110、またはこれら双方の動作を制御する。選択的に、ユーザは、音声認識方法を用いて動作を制御することができる。
【0045】
選択的に、通信リンク128を用いて、モバイルモニタ120をリモートサーバ140に接続する。このリモートサーバ140において、センサユニット110によって得られたデータの詳細分析を行うことができ、また、選択的にデータを専門家または別のユーザに送信することもできる。図1の例示的実施形態において、モバイルモニタ130は携帯電話であり、通信リンク112はブルートゥースリンクであり、通信リンク128は、セルラー基地局130へのセルラーRFリンクである。セルラー基地局130は、データリンク138によってリモートサーバ140にリンクされる。
【0046】
選択的に、さらなるデータリンク148(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはインターネットネットワーキングまたはRFセルラーリンク)により、リモートサーバ140を観察ステーション150へと接続する。観察ステーション150において、人間の専門家が、データを解釈し、ユーザにアドバイスを送信することができる。
【0047】
センサモジュール
図2は、センサモジュール110の代わりにシステム10において用いることが可能なセンサモジュール210を示す。センサモジュール210は、ユーザの指200と接触している。センサモジュール210は、図1に示すようにストラップ212により指に取り付けてもよいし、あるいは、センサモジュール210を指に合う形にしてもよい。あるいは、指200を単にセンサモジュール210にあてるだけでもよい。
【0048】
図3は、本発明の例示的実施形態による、システム10で用いるセンサモジュール310のブロック図である。
【0049】
図3の例示的実施形態において、ユーザの皮膚表面300における皮膚電気活性(EDA)のモニタを、少なくとも第1の電極332および第2の電極334を皮膚表面300に当てることにより、行う。EDA電子機器330は、極めて低い電圧を第1の電極および第2の電極に付加し、前記電極間に微弱電流を生成することにより、皮膚抵抗をモニタリングする。EDA電子機器330は、皮膚抵抗を示すデジタル信号を生成する。
【0050】
図3の例示的実施形態において、皮膚300下の血流は、心拍(HR)モニタリングに用いられるプレチスモグラフ電子機器320により、モニタリングされる。この例示的実施形態において、光源322は、皮膚表面300を射出光324で照射する。皮膚から反射されて光検出器328によって受信された散乱光326の強度は、前記皮膚中の血流に依存する。プレスチモグラフ電子機器320は、血流を示すデジタル信号を生成するため、心臓活性のモニタリングに用いることができる。
【0051】
選択的に、さらなるセンサ電子機器370に接続された1つ以上のさらなるセンサ372を用いて、1つ以上のさらなる生理学的信号(例えば、温度、心電図(ECG)、血圧など)をモニタリングする。
【0052】
プロセッサ340は、EDA電子機器330、プレスチモグラフ電子機器320および選択的にさらなるセンサ電子機器370からデジタルデータを受信し、メモリ342中に保存された命令に従って当該データを処理する。メモリ342は、プレインストールされたプログラムを保存している読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリ)またはこれらの種類のメモリの組み合わせであればよい。プロセッサ340は、生データまたは処理済みデータをメモリ342中に保存して、後でデータを使用できるようにすることができる。
【0053】
選択的に、センサモジュール310にはインジケータ380が設けられている。インジケータ380は、前記モジュールの状態(例えば、「オン/オフ」、「電池不足」)に関する視覚的表示または音声表示を提供することができる。追加的にまたは代替的に、インジケータ380は、前記センサからのデータに基づいて、ユーザの生理学的状態に関する視覚的または音声表示を提供することができる。
【0054】
図9の例示的実施形態において、通信モジュール350は、センサモジュール310とモバイルモニタ120(図1)との間のインターフェースとして用いられる。この実施形態においては、ワイヤレス通信リンクが用いられる。好適には、通信モジュール350は、「ブルートゥース」RF双方向ワイヤレス通信をサポートし、アンテナ352に接続されている。代替的にまたは追加的に、赤外線(IR)通信、超音波通信、WIFI通信または有線通信を用いてもよい。
【0055】
バッテリ360は、センサモジュール310内の全ての電子機器に電力を提供する。
代替的にまたは追加的に、有線接続(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB))を用いてもよい。その場合、有線接続により電力が得られ、選択的に変圧器などの電気絶縁を用いて安全のために供給電力を隔離したり、あるいはデータ転送手段を用いてもよい。
【0056】
ユーザの身体上のセンサモジュールの位置は、前記モジュールによって取得される生理学的データの種類と、使用センサの種類とによって異なることがある。
【0057】
例えば、EDA信号を測定する場合、当人のストレスまたは覚醒レベルまたは自律神経系(例えば、掌、指関節または耳たぶ)における微細な変化に応じて、皮膚抵抗が変化する箇所に前記センサの電極を取り付けることができる。
【0058】
光反射率によって血流を測定する場合、血管が表面に近い箇所(例えば、手首、指先端、耳たぶなどまたは額)に前記モジュールを取り付けて、脳内血流をモニタリングすることができる。
心臓電気活性(ECG)を測定する場合、接着剤またはストラップを用いてユーザの胸部に前記センサを取り付けてもよいし、あるいは、両手に電極を取り付けることによってECGをモニタリングすることもできる。
【0059】
温度感知を行う場合、センサを前記センサモジュールの外部に配置して、腋窩または耳中などに配置すればよい。
【0060】
あるいは、測定時においてセンサを測定位置に一時的に接触させてもよい。
【0061】
1つ以上のセンサモジュールを同時に用いてもよい。2つ以上のセンサモジュールを用いる場合、同一または異なる生理学的信号を同一または異なるモバイルモニタと通信させなければならない場合がある。選択的に、複数のセンサにより、1人または複数のユーザを同時にモニタリングしてもよい。これのセンサは、同一のモバイルモニタまたは異なるモニタと通信することができる。
【0062】
通信リンク112は、双方向性であり、前記センサモジュールの動作時に継続することが好ましい。このような場合、前記センサモジュールは、前記ユーザの生理学的状態を示す情報を表示および処理のために前記モバイルモニタへと送信し、前記モバイルモジュールからのコマンドおよび命令を処理および受信する。このようなコマンドおよび命令は、センサモジュールの動作モードを制御することができる。例えば、このようなコマンドにより、データサンプリングレートを変更することができる。追加的にまたは代替的に、このようなコマンドにより、データサンプリング精度または範囲を変更してもよい。プロセッサ340によって実行されるプログラムは、アップロードし、メモリ342中に保存することができる。
【0063】
あるいは、通信リンク112を一方向性にしてもよく、その場合、センサモジュール310は、モバイルモニタ120に情報を送信するだけである。選択的に、通信リンク112を間欠性にする。例えば、電力節約およびバッテリ長寿命化のため、前記通信リンクをオンデマンドのみで活性化させてもよいし、あるいは、前記センサによって検出された信号が特定範囲内にある場合(例えば、閾値よりも高いかまたは低い値あるいは他の条件を満足する場合)に活性化させてもよい。例えば、プロセッサ340は、取得した生理学的信号中に異常を検出した場合、前記モバイルモニタへのデータ転送を開始し得る。このようなモバイルモニタ120へのデータ転送をトリガする警報条件を設定してもよい。例えば、心拍をプロセッサ340によってモニタリングして、心拍に関する異常条件およびその変動(例えば、心拍(HR)が高すぎる、HRが低すぎる、心拍変動(HRV)が低すぎる)を検出すればよい。後述するようなHRV分析から推定可能な呼吸数を用いてデータ転送をトリガしてもよい。
【0064】
代替的にまたは追加的に、データ転送を前記モバイルモニタによってトリガしてもよい。
【0065】
例えば、モバイルモニタ120はラップトップコンピュータであってもよく、センサモジュール310は、生理学的情報を取得し、好適には圧縮された様態でメモリ342中に記録し得る。このようなログは、数分間〜数時間の間にわたることがある。センサモジュール310が前記モバイルモニタ近隣にある場合、前記取得および保存されたデータは、自動的または手動で開始したコマンドで転送し得る。
【0066】
データ転送速度は、前記センサモジュールの動作モードに応じて変更することができる。例えば、通常動作モードにおいてはHR、EDA ECGおよびHRVのうち1つまたは複数を前記モバイルモニタにリレーし、別の動作モードにおいては前記信号のうちより多くのものまたはその全てを転送することができる。選択的に、データをバッファ(例えば、メモリ342内のサイクリックバッファ)に保存して、最近取得されたデータが上書きされるまで利用可能になるようにする。バッファに保存されたデータは、オンデマンドで転送されるか、あるいはプロセッサ340または前記モバイルモニタによって開始し得る。
【0067】
命令およびコマンドは、リモートサーバ140または専門家ステーション150によって開始され、モバイルモニタ120を通じてセンサモジュール110にリレーされる。あるいは、様々な通信方法を様々な目的に用いることもできる。例えば、センサモジュール112からモバイルモニタ120へのデータ転送を単方向性通信(例えば、IR伝送)によって達成し、USBケーブルによりセンサ110がモバイルモニタ120に接続されている間に前記センサモジュールの再プログラミングまたは警報パラメータの設定を行うことができる。通信モードおよび通信方法の他の組み合わせも可能であることが明らかである。
【0068】
好適には、センサモジュール310は、プレチスモグラフ電子機器320、光源322および光検出器328を用いて皮膚300中の血流をモニタリングする手段を具える。好適な実施形態において、光源322は、赤色光またはIR光324を発光する発光ダイオード(LED)、または、複数の波長(例えば、赤色光またはIR光の両方)を発光する複数のLEDである。固体ダイオードレーザまたは面発光レーザー(VCSEL)などの他の光源を用いてもよい。好適な実施形態においては、光検出器328はシリコンフォトダイオードである。選択的に、放射光324の強度は不定である。例えば、HR電子機器320が光をオフにして、エネルギー節約または定期較正および周辺光の減算を行ってもよい。追加的にまたは代替的に、放射光324の強度をプレチスモグラフ電子機器320によって制御して、異なる皮膚色および個人間の皮膚の光散乱特性の差異について補正して、これにより、反射光326が特定範囲内に納まるようにしてもよい。この方法を用いた場合、光検出器328およびその関連付けられた増幅器およびアナログ/デジタル変換器(ADC)が飽和したり範囲外になることが確実に無くなる。あるいは、ユーザの付属物(例えば、指または耳たぶ)の片側上に光源322を配置し、他方の付属物の他方上に光検出器328を配置してもよい。この場合、前記検出器は、反射光の代わりに、前記付属物を通じて送られてきた光を検出する。
【0069】
図9は、本発明の一実施形態による光源強度の自動的かつ連続的な調整を行う反射型フォトプレチスモグラフ900の例示的電気回路の詳細を示す。この回路は、ユーザの例えば指の中の毛細血管床を血液が通過する際の光強度変化を拾うように設計されている。反射光強度は経時的に変化することで、ユーザ中の心臓の脈動活性を反映する。この変化は、電圧に変換され、増幅、フィルタリングが行われてデジタル信号となり、その後、マイクロコントローラ340へと送られる。
【0070】
インターフェースセンサは、強度制御型光送信器Tx(好適には、赤色または赤外線LED)と、光受信器Rx(好適には、フォトダイオードまたはフォトトランジスタ)と、トランスインピーダンス型(電流/電圧)増幅器とを具える。好適な実施形態において、受信器Rxは、光検出器および増幅器双方を具える一体型コンポーネントである。前記トランスインピーダンス型増幅器の出力からの信号S1は、差動増幅器A1の1つの入力に送られ、ローパスフィルタリングも行われ、その後、出力信号S2を出力する単位利得バッファ増幅器A2へと送られる。出力信号S2は、光センサ上にくる光の平均レベルを表し、この出力信号S2中、前記フィルタのローパス作用により脈動成分は除去されている。その後、出力信号S2を差動増幅器A1への他方の入力として用いる。A1からの出力は、ローパスフィルタリングされ、その後、S2と共にアナログ/デジタル変換器AD1の差動入力へと送られ、これにより、デジタル化パルス信号がマイクロコントローラ340へと提供される。さらに、S2は、固定基準電圧Vrefがスラグされた比較器A3と共に用いられる。この比較器A3の出力は、光送信器Txの強度を制御する。その結果、光源強度の自動的/連続的調整による、受信器に対する最適なバイアス入力条件が得られる。前記回路の全体的効果を述べると、周辺光条件の可変性、対象の皮膚色調に対して対応できることや、光源を最適制御することによって不要なドレイン電流を最小限にすることがある。前記フォトプレチスモグラフの代わりに、反射光変化の代わりに血管圧力の微細な変化をモニタリングする圧電センサを用いることが可能である。
【0071】
本発明の別の局面は、GSR EDAセンサである。GSRおよびEDAは、一般的な覚醒レベルのモニタリング目的のために多年にわたって用いられてきた。しかし、同じ個人が異なる感情状態および生理学的状態を経験するように個人の皮膚抵抗のインピーダンス間の差も極めて高いため、有効性が犠牲になっていた。
【0072】
ユーザの広範囲のスペクトルに対応するために、現行のシステムは、微細な変化を診断するほどの感度を持っていない。この問題を解消するために当該分野において用いられている1つの方法として、2個の読み取りセッションを行ってそれを専門家にモニタリングさせる方法がある。すなわち、前記第1の読み取りによって基線を生成し、この基線よりも高い位置に中心を持つ感度で第2のセッションを行う。本発明において、
−好適には、16ビットアナログ/デジタル変換器(ADC)マイクロチップを用いて、より広い範囲をより高い感度で網羅する。
−図10に示すような電子回路を改変して、ダイナミックレンジを向上させる。
−ユーザの基線および感度レベル双方を自動的にモニタリングし、その結果を理解可能な様式でユーザに表示することのできるソフトウェアを用いる。
【0073】
従来技術と異なり、EDAユニットは8ビットまたは12ビットADCを用い、好適な実施形態のEDA電子機器330は16ビットADCを用いている。皮膚抵抗の小さな一時的変化から有意な生理学的情報が得られる一方、EDAは広範囲にわたって変化し得ることが分かっている。さらに、大きなダイナミックレンジにより、ADC範囲または基線または感度を手作業で調整する作業が低減されるまたは無くなる。EDA信号は低帯域幅であるため、「シグマデルタ」型などの高精度ADCを用いることができる。
【0074】
選択的に、自動のオートレンジングおよびオートスケーリングを用いてもよい。この方法においては、各測定から基線を減算することができる。減算した値は、保存するかまたは前記モバイルモニタに送信することができ、これにより、実際の値を再記憶することができる。同様に、自動的スケーリングを用いて、ADCの各ビットと関連付けられた信号変化を再規定することができる。選択的にまたは追加的に、取得されたデータの対数または他の非線形スケーリングを用いてもよい。
【0075】
図10は、EDAモニタリング用に非線形スケーリングを用いた電子回路1000を示す。回路1000は、ユーザの感情喚起の変化を反映する汗腺活性の極めて小さな変化を取り出すように、設計されている。これらの回路は、皮膚抵抗レベルの変化をモニタし、その後増幅され、フィルタリングされ、デジタル化され、その後マイクロコントローラ340へと送られる。
【0076】
1つの好適な実施形態においては、インターフェースが、PCB上にエッチングされた一対の金めっき指電極1032および1034からなる。EDA信号は、大きなダイナミックレンジを有し、対象のベース皮膚抵抗レベル間にも、極めて大きな変動がある。電子機器は、変調した定電流源を具える。作動増幅器A4は、交点1100における電位を電圧Vrefに維持しようとし、これにより、抵抗R3を通じて固定電流を提供する。この電流は、抵抗RlおよびEDA電極1023および1034の組み合わせを通じて流れる電流である。電圧Vxは、この定電流を維持することが必要であり、基準電圧Vrefに対して測定され、ローパスフィルタリング後にアナログ/デジタル変換器AD2によってデジタル化される。好適には、AD2は16ビットADCである。
【0077】
抵抗R2は好適には高く、例えば、(R2は通常の対象ベース読み取り値の10倍より大きい)、通常動作時、回路において有意な効果を持たない。しかし、高いレベルの基礎皮膚抵抗を有する対象の場合、R2はより有意になり、A4からの電圧出力は低減し、これにより、出力飽和を回避する。その結果、非定電流で測定された出力を持つ同一回路を用いて、高ベース抵抗の対象を測定することが可能となる。測定された電圧Vxは、以下によって得られる。

【0078】
上記式中、Rl、R2およびR3は抵抗値である。Vrefは基準電圧値であり、Rxは、電極間に現れるユーザの皮膚抵抗の変化である。
【0079】
本発明による回路に基づいたEDAモニタリングデバイスは、皮膚抵抗の小さな変化を広い範囲(例えば50KΩ(50,000Ohm)〜12MΩ(12,000,000Ohm))で測定することができる。正確な範囲は、前記回路中のコンポーネントの値を変更することにより、調整することができる。
【0080】
図11は、測定された電圧Vxとユーザの皮膚抵抗Rxとの間の関係をいずれか単位で対数−対数スケールでプロットした例示的グラフを示す。原点付近において直線範囲が観察される。このプロットは、Rx値が高くなるにつれて非線形になる。
【0081】
選択的に、センサモジュール310にインジケータ380を設ける。インジケータ380は、前記モジュールの状態に関する視覚的または音声表示を提供し得、あるいは、以下のうち1つまたはいくつか、すなわち前記センサからのデータに基づいたユーザの生理学的状態に関する視覚的表示、振動表示、または音声表示を提供し得る。例えば、インジケータ380を用いて、ユーザに対し、生理学的信号が事前規定された範囲外にある旨の警報を出すことができる。この警報は、プロセッサ340によって局所的に開始してもよいし、あるいは、通信リンク112を通じてセンサモジュールに通信してもよい。選択的に、後で詳述するように、インジケータ380を訓練セッションにおいてバイオフィードバックとして用いてもよい。
【0082】
インジケータ380は、1つのLEDまたは選択的に異なる色を持つ複数のLEDを具えていても良い。選択的に、インジケータ380は、音声信号をユーザに提供するスピーカを具えていても良い。選択的に、インジケータ380は、振動生成手段(例えば、PZTブザーまたは小型電気モータ)を具えていても良く、これにより、当該警報をユーザだけが感知できる(すなわち、ユーザ以外には感知されない)ようにできる。
【0083】
モバイルモニタ
本発明の一実施形態において、センサモジュール110は、通信リンク112によりモバイルモニタ120へと接続されている。1つの好適な実施形態において、モバイルモニタ120は、データ分析を行うプロセッサ、メモリ、ディスプレイ、音声出力、入力手段(例えば、キーパッド)、およびマイクおよびスケッチパッド、およびセンサモジュールおよびリモートサーバ双方との通信手段を具えた携帯電話またはパーソナルデジタルアシスタント(PDA)である。
センサモジュールとのインターフェースおよびユーザへのフィードバック提供に必要な特定のプログラムをユーザがアップロードすることができる。例えば、前記プログラムは、新規のゲームまたは着メロをロードする際と同様にワイヤレスで携帯電話にロードすることができる。
【0084】
あるいは、他のパーソナルコンピューティングデバイスをモバイルモニタ(例えば、ラップトップパーソナルコンピュータLPT)またはメディアプレーヤー(例えば、Apple iPOD(登録商標))、ポケットPCまたは電子ノートブックとして用いてもよい。あるいは、ユーザが動き回ること無く訓練セッションを行いたい場合、あるいは、ユーザが前記センサモジュール中に保存されたデータを定期的にダウンロートするかまたは前記センサを再プログラムしたい場合、標準的なPCを用いてもよい。
【0085】
前記センサモジュールの通信範囲は、その小型サイズおよび低バッテリ容量に起因して数メーターに限定され、ブルートゥースを用いてもせいぜい100メーターが上限である。それと比較して、前記モバイルモニタは、セルネットワークにわたって(好適にはインターネットを用いて)ワイヤレスにリモートサーバに接続する手段を具えている。例えば、携帯電話を、セルラーデータ交換プロトコル(例えば、GPRS)の1つを用いて接続することができる。他の標準的なプロトコルおよび独自のプロトコルを用いてもよい(例えば、モデムを用いた電話回線への有線接続、または非対称型デジタル加入者回線(ADSL)、ローカルエリアネットワーク(LAN)ワイヤレスLAN(WAN)など)。
【0086】
リモートサーバは、センサのデータのさらなる処理、モバイルモニタの開始およびアップデート、センサモジュールプログラミング、ユーザへのフィードバックおよびアドバイス、ユーザへの警報発行、緊急時におけるユーザのための救助隊の招集を提供することができる。いくつかのモバイルモニタは、モニタの物理的位置を確立する手段(例えば、グローバルポジショニングシステム(GPS))を具えることができ、このような手段を用いて、ユーザの苦痛時(例えば、心臓障害またはてんかん発現)において救助隊を差し向けることができる。
【0087】
心理状態
ここで、図4を参照する。図4は、ユーザのあり得る「心理状態」の例を模式的に示す。縦軸はユーザの覚醒レベルを示し、横軸はユーザの感情状態を示す。
【0088】
バイオフィードバックシステムおよびモニタリングシステムは、感情分析用に設計されていない。GSRセンサまたはEDAセンサは覚醒レベルを反映するが、このようなシステムは、積極的覚醒(すなわち、ユーザが熱中しているとき)と消極的覚醒(すなわち、ユーザがストレスを受け、怒っている場合)とを区別することができない。これらの既存の方法はまた、低覚醒状態(すなわち、ユーザがリラックスし、内省的であるとき)と、消極的低覚醒(すなわち、ユーザが落ち込んでおり、意気消沈しているとき)とを区別することもできない。
ここで、図4を参照して、図4は、ユーザのあり得る「心理状態」の例を模式的に示す。縦軸はユーザの覚醒レベルを示し、横軸はユーザの感情状態を示す。
【0089】
高感度EDAセンサ(例えば、本発明に従って本明細書中開示されたもの)と、HRV分析と、選択的にマルチメディア表示(例えば、スマートフォン、PDAまたはPC)とを統合することにより、図4に示すようなユーザの感情状態の分析だけでなく、ユーザの感情状態および生理状態を改善するためのユーザの訓練も行うことが可能となる。
【0090】
例えば、このシステムは、以下のようないくつかの動作モードを持つことができる。
a)基線較正:本システムは、特定のユーザの基線を自動決定する。前記基線は、パラメータのベクトルを含み、これらのベクトルは、第1の間隔の間に計算および記録される。第1の間隔の例を挙げると、最小、最大および平均HR、HRV、FFT(高速フーリエ変換)、呼吸速度(これは、間接的に計算することもできるし、直接モニタリングすることもできる)、およびEDA(最大、最小、平均、分散、変動数および傾き)がある。
b)誘発された心理状態を用いた較正:好適には、基線が安定した後、短時間で、本システムは、事前記録されたトリガを呈示する。各トリガは、ユーザの特定の感情を引き出すように設計されている。これらのトリガは、特定の感情反応を生じさせることができる事前に記録されたシナリオであればよい。好適な方法としてはマルチメディア方法がありその場合、スマートフォンまたはPC上の事前記録された音声/視覚的映画であってもよい。専門家用のシステムの場合、マルチメディア方法として、リアル3Dシナリオを用いたバーチャルリアリティゴーグルであってもよい。より低コストのシステムにするためには、トリガを単に携帯電話を用いた音声セッションとしてもよい。これらのトリガまたはシナリオは、特定の感情反応を生成できる点について事前に試験および検証された一般的なシナリオであってもよいし、あるいは、特定の文化、人々または個人に合せてカスタマイズしてもよい。例えば、シナリオは、歯科用ドリルが歯に当たっている様子の音声視覚的表示であってもよい、あるいは、消極的覚醒のための自動車事故であってもよいし、積極的覚醒のためのゲーム勝利またはロマンチックな関係であってもよいし、積極的リラックスのためのリラックスできる雰囲気の映画であってもよいし、消極的低覚醒のための退屈で悲しいシナリオであってもよい。各トリガの間、及び後に、システムは、上述したようにパラメータのベクトルのモニタリング、計算および記録を行い、各トリガの開始時および終了時において、図8に示すパラメータを計算する。
c)ユーザが記録した心理状態を用いた較正:本システムは、例えばユーザの携帯電話のキーボードを用いて(例えば、とても幸福感を感じる場合、9を押す。とても悲しい場合、1を押す)、ユーザの主観的な気持ちを入力するようユーザに要求することができる。前記ベクトルを計算し、これらのベクトルを前記特定のトリガと相関付けることにより、本システムは、特定の感情状態を区別し、これらの感情状態をユーザの生理学的状態と相関付けることができる。本システムは、これらのベクトルとその特定のユーザおよび/またはユーザの各グループの特定の感情状態との相関関係とを保持することができる。
d)学習モード:本システムは、ニューラルネットワークおよび類似の方法を採用して、或るユーザグループの過去のデータを用いて学習を継続し、上述したようなユーザのベクトルデータを用いて特定のユーザの感情状態をより短時間で予測を行うことができる。例えば、このアルゴリズムを或るグループの人々に対して用いて、本システムは、或るユーザのHRVが低くなる時およびそれと同時に皮膚導電率が高くなる時はユーザの感情状態が「消極的ストレス」であると予測することができ、ユーザのHRVが高くなり皮膚導電率が低い時は「リラックスしかつ積極的」な状態であると予測することができる。
e)訓練モード:本システムはまた、第1にユーザの日常活性においてユーザの生理学的状態および感情状態をより意識し、第2により良い挙動、生理学的および心理学的/生理学的習慣を取得する(例えば、呼吸サイクルおよび吸気/吸気比を増加させる、ユーザのHRVを増加させる、リラックスすることを学習する)ようにユーザを訓練することもできる。第3に、本システムを用いて、ユーザの日常生活における消極的なトリガおよびイベントに対するユーザの態度および反応を改善し、プレッシャ下でのユーザの反応および行動を改善するようユーザを訓練することができる。本システムは、リアルイベントをシミュレートし、ユーザの反応、行動および挙動を改善するようユーザを訓練することができる。例えば、従来技術によるバイオフィードバックシステムの場合、人工的設定(例えば、セラピストのオフィス)でしか用いることができないのに対し、本発明のワイヤレスセンサは、実際の重要な活性(例えば、運転時、音楽演奏時、スポーツ競技時、試験時、インタービュー時など)において用いることができる。
【0091】
本発明のシステムは、特定のユーザに合せて較正またはカスタマイズすることができる。あるいは、一般集団または前記集団の特定のサブグループを研究することによって得られた統計パラメータを用いてもよい。いくつかの実施形態において、リモートサーバが複数のユーザからデータ(選択的にユーザに関する情報を具える)を受信し、およびこの情報を用いて、心理状態分析に用いられるデータセットを生成する。選択的に、前記データセットから抽出されたパラメータを前記ユーザのうち少なくとも数人のモバイルユニットに送信して、前記ユーザの心理状態の判定に用いる。選択的に、サービスプロバイダが試験群または複数の試験群のユーザを用いて、データセットを生成する。このユーザの心理状態(ユーザの特定のトリガに対する感情反応を具える)のリアルタイム分析を用いて、ユーザの行動を改善するようユーザを訓練し、特定のイベント、トリガ、生成物およびサービスに対するユーザの反応を分析することができる。
【0092】
ユーザは、リアルタイムの音声視覚的フィードバックにより、本システムから直接リアルタイムでフィードバックを受け取ることができ、それと同時に、本システムは、ユーザの反応の改善を援助することのできる専門家またはコーチにその情報を送信することができる。これは、健康問題に関連していてもよい(例えば、ぜんそくに罹った子供は、システムおよび/または医師からのフィードバックをリアルタイムで受けることができ、また、スポーツ選手であれば自身の行動を改善するためのフィードバックを受ける)。訓練および分析用に、上述したような生理学的ベクトルを外的状況(例えば、競争の映像、音楽演奏)と共に記録することが推奨される。このようにして、最善の行動と生理学的ベクトルとの間の相関を発見し、また、前記センサのリアルタイムフィードバックを伴う映像または視覚化によるイベントのシミュレーションを用いて、ユーザの生理学的、感情的および精神的行動を最適化するようユーザを訓練することができる。
【0093】
模式的に、図4の上側部分は、高覚醒状態(例えば、身体的ストレスまたは感情的ストレス)によって特徴付けられる。このストレスは、盛大な身体的活動、怒り、攻撃性、恐れ、または不安といった感情状態の結果発生し得る。あるいは、高覚醒は、積極的思考(例えば、タスク実行への集中、熱中または情熱の感情)に起因する興奮の結果起こり得る。これらの2つの異なる状態は、図4の右側(消極的感情)および左側(積極的感情)にそれぞれ分離される。
【0094】
同様に、図4の下半分に模式的に示す低ストレス心理状態は、落ち込みまたは退屈に起因し得、図4の右下側の低覚醒またはエネルギーレベルおよび消極的感情や、図4の左下側のリラックスおよび自己完結的な喜びによって特徴付けられる。
本発明の一実施形態において、センサおよびデータ処理の組み合わせにより、ユーザの心理状態の自動判定が可能になり、この組み合わせを用いて、フィードバックおよび対話型マルチメディア訓練を提供して、積極的心理状態および身体を達成および維持することができる。
【0095】
高ストレス状態は、高HRと関連付けられたアドレナリンホルモン生成によって特徴付けられる。しかし、高HRそのものは、熱中および情熱を怒りおよび不安から切り離すことができない。積極的精神的状態(図4の左側の2つの象限)は、成長ホルモンおよびデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)の分泌に関連し、高心拍変動(HRV)および高皮膚抵抗によって特徴付けられる。これと対照的に、消極的精神的状態(図4の右側2つの象限)は、コルチゾールホルモンの分泌と関連し、HRVによって特徴付けられる。さらに、リラックス状態は、安定してゆっくりとした呼吸と長吸気期間との組み合わせによって特徴付けられる。
【0096】
本発明の例示的実施形態において、心理状態は、2つのコンポーネントベクトル(感情的レベル:横軸上において、左に行くほどより高い積極的感情、右に行くほどより消極的感情、縦軸上において、上に行くほどより高いストレスレベル、下に行くほどより低いストレスレベル)によって特徴付けられる。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態において、マーカ(例えば、アイコン)を心理状態ベクトルを表す座標上に表示し、ユーザが視認して自身の状態をモニタリングできるようにする。前記マーカの位置は、前記心理状態が変化する度に定期的に更新することができる。
【0098】
代替的にまたは追加的に、色コードを用いて心理状態を記号で表すことができる。例えば、横軸において左側を色々な色合いの黄色で表し右側を黒色で表し、縦軸において上側を色々な色合いの赤色で表し下側を青色で表すことができる。
【0099】
これらの色の組み合わせにより、オレンジ(2個の寸法スケールの左上側象限上の情熱的気分を表す)、緑色(左下側象限上のリラックスした気分を表す)、暗赤色(右上側象限上の攻撃的気分を表す)、および暗青色(左下側象限上の落ち込んだ気分を表す)が得られる。
このようにして得られた心理状態を表す色の組み合わせは、ユニット120のディスプレイ122上に表示することができる。例えば、得られた色の組み合わせを図7a〜図7dに示すようなグラフの1つまたはいくつかの背景に用いることができる。本発明の一般的実施形態において他の色配色を用いてもよいことが明らかである。このような心理状態の色表示は、視認し易く、ユーザは、モニタを注意深く見なくても、あるいは他の精神的タスクまたは身体的タスクを行っている間に、直観的に理解することができる。
【0100】
データ処理
本発明の一実施形態において、前記センサモジュール内のプロセッサ340によって行われるデータ分析により、心臓パルスを追跡する。
【0101】
図5aは、健康な人の典型的なECG信号を示す。時間間隔T1およびT2によって分離された3つの心拍が明確に図示されている。
【0102】
図5bは、典型的な光学信号を示す。時間間隔T1およびT2によって分離された3つの心拍が明確に図示されている。
【0103】
本発明の一実施形態においては、検出器328からの光学信号を分析して、個々の心拍を判定する。
【0104】
この工程は、信号のピーク、最小値またはゼロ交差の特定、自動相関の実施、またはウェーブレット分析によって行うことができる。
【0105】
1つの好適な実施形態において、光学信号中の極大値が見られる。従って、本システムは、このピークが心拍ピークであるのかあるいは単なるノイズに起因する極大値であるのかを確認する。この判定は、例えば確率的アルゴリズム、発見的アルゴリズムまたはファジー理論アルゴリズムを用いて、前回の心拍からの信号との比較を行うことにより、支援することができる。
【0106】
平均心拍数のみを表示する標準的な心拍モニタと対照的に、電子機器および前記ピーク検出器と心拍認識アルゴリズムとの組み合わせにより、本システムは、各心拍の検出、計算および提示をより正確に行うことができる。
【0107】
利用可能であれば、同様の分析をECG信号に行ってもよい。その場合、R波は高振幅でありかつ輪郭がはっきりしているためECG中の正確なピークの検出がより容易になる。瞬間HRをHR(t)=1/Tiとして規定する。ここで、T(i)は、拍動サイクル「i」の継続期間である(Tはまた、図5aに示すようなR−R継続期間としても知られる)。HR(t)は、追跡時経過時間(t)であり、選択的にメモリ342中に保存される。あるいは、前記T(i)を保存してもよい。
【0108】
平均HR(AHR)は、特定の期間にわたるHR値の平均値を計算することによって得ることができる。移動平均を所定の時間窓にわたって計算して、信号中のノイズを低減することができる。
【0109】
HR変動(HRV)は、いくつかの方法によって計算することができる。そのうち1つは、AHRとHR(t)との差の絶対値であり、特定の間隔におけるHR(t)の平均を計算する。
【0110】
他の方法は、特定の間隔におけるHRの標準的な偏差または変動の計算である。
【0111】
選択的にまたは追加的に、心臓信号のスペクトル分析を行ってもよい。好適には、計算効率の良い高速フーリエ変換(FFT)アルゴリズムを行ってスペクトルを計算するとよい。
【0112】
図5cは、心臓信号の典型的なフーリエスペクトルを示す。AHRは、ピーク位置(これは、数分間当たりの心拍数が30〜180の平均心拍に対応する0.5Hzから3Hz間に位置することが多い)から推定することができる。HRVは、ピーク幅から推定することができる。
【0113】
ストレスレベルはAHRから推定することができ、ここで、高レベルのストレスは、通常のAHRよりも高い点において特徴付けられる。「通常の」AHRは、個人によって異なり、年齢および身体的体力に依存することが強調される。そのため、例えば長期の継続期間にわたるAHRの測定および平均化、または当該人物が既知の心理状態にある間の較正セッション時のAHRの測定により、時機に応じてこのレベルを更新しなくてはならない場合がある。同様に、訓練セッションおよび較正セッション(例えば、盛大な身体的運動と、黙想、休息または睡眠)時に各軸の2つの端部を較正することができる。
【0114】
HRVの変動は、図5c中のピーク幅から評価することができる。
【0115】
心拍数は、呼吸周期および自律神経系機能と相関があることが分かっている。図6aは、通常呼吸周期時の健康な人のHRを時間の関数として表した典型的なグラフである。HRは、吸気時に増加し、空気呼気時に低減する。
【0116】
この分野において公知の呼吸モニタは、胸部周囲にひもで固定された歪ゲージセンサまたは当該人物の口および鼻孔近隣に配置された空気移動センサを用いる。これらのセンサを用いるのは、面倒であり、また不快でもある。これと対照的に、本発明の一実施形態は、HR情報から呼吸を推定する。
【0117】
本発明の一実施形態において、例えば光学信号またはECG信号から判定した瞬間HR(t)の値を分析し、呼吸周期を決定する。この工程は、HRシーケンスのピーク、谷部またはゼロ交差部の特定と、自動相関の実行またはウェーブレット分析によるFFT分析により、行うことができる。各呼吸周期は、呼吸数(BR)、呼吸深さ(BD)および吸気継続期間(REI)にわたる吸気比について分析することができる。代替的にまたは追加的に、各呼吸周期を分析して、2つのパラメータ(すなわち、吸気継続期間および呼気継続期間(平均継続期間(秒))として表してもよい。
【0118】
ここで、1分当たりのBRは、呼吸周期(秒)の継続期間にわたって60として規定される。
【0119】
BDは、AHRによって正規化された呼吸周期時における最大HRから減算された最小HRとして規定される。
【0120】
REIは、吸気継続期間によって除算された吸気継続期間として規定される。
【0121】
これらの値は、モバイルモニタに送信し、選択的にメモリ342中に保存することができる。あるいは、モバイルモニタにおいて呼吸分析を行ってもよい。
【0122】
BR、BDおよびREI(それぞれ、ABR、BDおよびREI)の平均値は、特定の期間におけるBR、BDおよびREIの値の平均値をとることにより、計算することができる。移動平均は、時間窓にわたって計算して、信号中のノイズを低減することができる。
【0123】
選択的にまたは追加的に、計算効率の良い高速フーリエ変換(FFT)アルゴリズムを用いてHRまたはHRVシーケンスのスペクトル分析を行って、スペクトルを計算する。
【0124】
本発明のいくつかの実施形態においては、例えば図7aに示すようにHR(t)がユーザに表示される。HR(t)のグラフは、状況変化に対して素早く適応するユーザの能力(例えば、興奮を引き起こす刺激の後に平穏な気分を取り戻す能力)を評価する際に有用であり得る。
【0125】
データの分析および呼吸パターンの抽出を行う更なる方法は、HR(t)に自動相関を行うことである。自動相関(AC(k))は、特定の間隔j={t−K to t}of HR(j)*HR(j−k)にわたる総計として定義できる。本発明のいくつかの実施形態においては、図7dに示すように自動相関関数がユーザに表示され、呼吸周期の視覚化を支援する。呼吸が安定している場合、自動相関関数は深い波形を示し、その場合、サイクルは呼吸数と等しい。自動相関関数の波の深さは、呼吸の深さを示す。これと対照的に、ユーザが乱れた気持ちである場合、呼吸は不安定で浅くなることがあり、その結果、自動相関関数は平坦になる。自動相関関数を用いて、呼吸数(BR)、平均呼吸数(ABR)および呼吸数変動(BRV)を計算することができる。
【0126】
呼気/吸気比(EIR)は、呼気継続期間(ED)、吸気継続期間(ID)を測定し、EIR=ED/IDを計算することにより、図6aのグラフから計算することができる。呼吸数BRは1/BDによって得られ、ここで呼吸継続期間BD=ED+IDである点に留意されたい。EIR、BD、呼吸深さおよび呼吸安定度の値は、自動相関関数またはFFT分析からあるいは他の入力デバイス(例えば、携帯電話または以下に説明するようなマウス)を用いて評価することができる。
【0127】
図6bは、HRVの典型的なFFTスペクトルを示す。平均呼吸数(ABR)は、10秒の平均呼吸周期に対応する約1/10Hzにおけるピークから推定することができる。平均呼吸深さは、ピークの高さおよびピーク幅からの呼吸数変動から推定することができる。
【0128】
同一期間におけるHRのFFTの分析およびEDAの分析により、交感神経系および副交感神経系のバランスを分析することができる。
【0129】
選択的にまたは追加的に、従来の呼吸センサを用いて、呼吸周期の独立した測定を提供することができる。選択的にまたは追加的に、ユーザは、呼吸周期の独立した測定値を提供するよう要求される場合がある。例えば、ユーザは、モバイルモニタの入力デバイス(例えば、LPT、マウスまたはキーパッド、携帯電話キーパッド、PDAのスクラッチパッドまたは他のいずれか入力デバイス)を用いるよう要求される場合がある。ユーザは、例えば吸気時に「up」キーおよび呼気時に「down」キーを押すことにより、各呼吸周期における入力を提供するかまたはより多くの情報を提供することができ、これにより、HB分析によって推定された値から独立してREIを計算するのに必要な情報を提供する。
【0130】
代替的にまたは追加的に、マイクを入力デバイスとして用いて、これにより、ユーザが指示を発話することを可能にするか、あるいは、マイクをユーザの気道近隣に配置して、呼吸時の気流に起因するノイズを取得することができる。例えば、携帯電話に取り付けられたヘッドセットマイクを用いて、ユーザの呼吸を感知することができる。これらの方法は、実施が簡単であり、特殊な呼吸センサを不要とし、また、重要な情報およびフィードバックをユーザに提供する。
【0131】
リラックス時、呼吸パターンの大部分は規則的で緩く深い呼吸で占められることが分かっている。このパターンは、図6bの曲線中のピーク60の振幅増加により、明らかになる。それと同時に、吸気深さの増加および呼吸数の安定に起因して、HR変動が増加し、その結果、図6bに示すピークHRVが拡大する。
【0132】
呼吸ガイドバー
本システムは、グラフバー表示、調子の良い声による合図命令および/または振動のうちいずれか1つ以上を用いた呼吸ガイドをユーザに呈示することができる。グラフバー表示においては、呼吸バー長さは、例えば、ユーザの呼吸速度または呼吸サイクルの吸気または呼気相の継続期間に応じて異なることがある。本システムは、ユーザの呼吸速度を計算し、この呼吸速度を開始基線として用いて、ユーザまたはコーチが乗り越えることが可能な所定の指示を用いて、ユーザの必要性に応じてペースを改善する(すなわち、呼気期間を長くする)ようユーザを訓練することができる。もう一つの例として、呼吸バー長さは、ユーザの肺容量によって変更することができ、ユーザが吸気するにつれて長さが長くなり、ユーザが吸気するにつれて長さが短くなる。自動相関方法を用いて、アプリケーションは、最近の呼吸履歴に基づいて呼吸パターンを予測することができる。呼吸パターンの遅延画像を表示することにより、ユーザは、自身の呼吸数を遅くするよう訓練することができる。選択的に、この訓練の目的を所定の呼吸数目標を達成することとしてもよい。同様に、HRVによって決定される呼吸深さを呼吸バーの長さによって示すこともできる。吸気相および呼気相は、呼吸バーの変化を観察しているユーザにより、容易に追随することができる。スピーカ126を用いて、声による指示、激励およびコマンド(例えば、「吸気して下さい」、「息を止めて下さい」または「吸気して下さい」)を与えることができる。あるいは、呼吸周期の相に応じて呼吸バーの色を変えてもよい。あるいは、別の種類の表示(例えば、風船の膨張および収縮)を表示してもよく、その場合、風船のサイズは、肺容量を示す。選択的に、ユーザは、呼吸バーの動作および表示モードを選択することができる。
【0133】
表示画面
図7a、図7b、図7cおよび図7dは、本発明の異なる実施形態による例示的表示モードを示す。
【0134】
これらの例示的表示画面は、特定の携帯電話上で視認できるように構成した場合について例示目的のために示したものである点に留意されたい。他の表示手段(例えば、PDAなど)および表示設計を本発明の一般的範囲内において生成することができる。
【0135】
図7aは、モバイルモニタ120として用いられる携帯電話の画面122上の例示的表示を示す。表示画面122の最上部には、ユーザが携帯電話の他の機能にアクセスすることを可能にするアイコン駆動型電話メニュー72がある。この例において、このメニューは、「着呼」アイコン73a、「アドレス帳」アイコン73b、「メッセージ」アイコン73cを含み得、また、その他のアイコンを含んでもよい。表示画面122の最下部には、携帯電話の状態インジケータ(例えば、「バッテリレベル」81a、「スピーカオン」81b、「RF受信レベルインジケータ」81cなど)を示す電話状態線86がある。一般的には、これらの上側線および下側線は、携帯電話システムの一部であり、生理学的モニタリングおよび訓練としての前記モバイルユニットの動作と関連しない。
【0136】
モバイルユニット(例えば携帯電話120)のいくつかのまたは全ての機能は、生理学的モニタリング時においてユーザに利用可能である。例えば、ユーザは、セルラーユニットへの着呼を受け取ることができる。好適には、生理学的データは、継続して受領およびロギングが行われ、後で処理され、表示される。同様に、ユーザは、生理学的データロギングの干渉無く、モバイルユニットのメモリ中に保存されたアドレス帳または他の情報にアクセスすることができる。
【0137】
モバイルユニット120が携帯電話である場合、データ分析および画面表示は、携帯電話メモリ中にロードされるアプリケーションによって生成され、前記携帯電話内のプロセッサによって実行され得る。
【0138】
モバイルユニット上にロギングされたデータは、リモートサーバへと送信されて、さらなる分析が行うことができる。例えば、データ交換プロトコル(例えば、GSM、GPRSまたは3G)を用いてデータを前記セルラーネットワークを介して送信することができる。代替的にまたは追加的に、ケーブル(USBケーブル、ブルートゥースRF通信または赤外線(IR)通信)を用いて、データをPCまたはラップトップコンピュータに転送してもよい。
【0139】
アイコン駆動型電話メニュー72の下側には、アプリケーションメニュー85がある。アプリケーションメニュー85により、ユーザは本発明の他の機能および表示モードにアクセスすることができる。例えば、ユーザは、特定の個別指導型訓練または対話型訓練を選択することができる。アプリケーションメニュー75により、センサの動作モード(例えば、データ取得またはデータ転送の開始および停止、センサのオンまたはオフ、サンプリングレートおよび精度の決定など)を制御することができる。ユーザは、アプリケーションメニュー85を用いて、表示されるグラフおよびデータのフォーマットを選択することができる。
表示画面122は、呼吸バー77を表示することができる。本明細書中の例において、呼吸バー77は左上側にあり、アプリケーションメニュー75の下側にある。図7aの実施形態において、グラフ80は、例えばセンサモジュール210内の心拍(HR)電子機器320によってモニタリングされた皮膚中の血流によって測定されたパルス信号81を時間に対してプロットした結果を横軸上に示す。好適には、このグラフを継続的に更新し、当該データをリアルタイムで表示する。あるいは、このグラフは、前回ロギングされたデータを表してもよい。
【0140】
図7aの実施形態において、グラフ90は、センサモジュール210内のEDA電子機器330によって測定されたEDA信号91を時間に対してプロットした結果を横軸上に示す。好適には、このグラフは継続的に更新され、当該データをリアルタイムで表示する。あるいは、このグラフは、前回ロギングされたデータを表してもよい。
【0141】
大型メイングラフ50は、瞬間HR(t)51(1秒当たりの心拍数の単位)を時間(分)に対してプロットした結果を縦軸上に示す。選択的に、メイングラフ50は、表示の操作に用いられるナビゲーションアイコン54(ここでは、「再生」状態として図示)を具える。例えば、ユーザは表示を「フリーズ」して、特定の時間枠を綿密に調査することができる。同様に、ユーザは、コマンド「早送り」、「速度上昇」、「速度低下」、「戻る」、「ズームイン」、「ズームアウト」、「平滑」)のコマンドのうちいずれかものまたはその全てを行うことができる。大グラフ50上で行われる操作は、グラフ80および90のうち1つまたは双方を有効にして、全グラフの同期を維持することもできる。あるいは、これらのグラフのいくつかはリアルタイムデータを示す一方、別のグラフは前回ロギングされたデータを示すようにしてもよい。
【0142】
目標または最適範囲ゾーン限界52aおよび52bがメイングラフ50上に記載されており、これにより、ユーザは、自身の心拍と訓練目標とを比較することができる。この目標ゾーンは色付けしてもよい。例えば、中央の緑色ゾーンは目標値を示し、多様な色合いの黄色は目標ゾーンを示し、多様な色合いの赤色は危険域にある高値または低値を示す。グラフの1つまたは数種からなる色の背景色は、ユーザの心理状態を示すことができる。
【0143】
図7aの実施形態において、左側65a上の数値データは、瞬間心拍HR(t)を示す。この例において、数秒当たりの心拍の値61は、グラフ51の最終値から推定することもできる。あるいは、左側65a上の数値データは、所定の時間間隔にわたる平均心拍を表示することができる。
【0144】
図7aの実施形態において、右側65b上の数値データは、時間窓におけるHR(t)の標準的な偏差から計算された平均心拍変動を示す。あるいは、右側65b上の数値データは、図6aに示すような最小心拍と最大心拍との間の差を示すデータを表示することができる。
【0145】
図7bは、モバイルモニタとして用いられる携帯電話の画面122上の別の例示的表示を示す。この例において、グラフ90は、EDAデータを示す代わりに、HRV値93を時間に対してプロットした結果を横軸上に示す。これらの値93は、HRVの自動相関関数を示し得る。
【0146】
図7cは、モバイルモニタとして用いられる携帯電話の画面上の別の例示的表示を示す。この実施形態において、グラフ90はHRV値93を示し、大グラフ50はEDAデータ91を示す。ナビゲーションアイコン54は、データ表示が「一時停止」モードにあることを示す。
【0147】
図7dは、モバイルモニタとして用いられる携帯電話の画面上のさらに別の例示的表示を示す。この実施形態において、グラフ80はパルスデータ81を示し、グラフ90はデータ51を示し、グラフ50はHRVデータ93を示す。
【0148】
図7a〜図7dに示す例示的画面は、ユーザにより、自身の生理学的状態の評価を行うためと、ユーザの状態および日常イベントに対する反応を改変するためのバイオフィードバックデバイスとして用いることができる。モバイルモニタを用いて、最近取得されたデータから計算された「リアルタイム」パラメータを表示し、あるいは、前回取得および保存されたパラメータのシーケンスを再生することもできる。当該データが取得された日付および時刻を保存し、保存されたデータと関連付け、選択的に表示してもよい。
【0149】
これらの表示画面は、当該モバイルモニタの表示のサイズおよび種類に適合するように、柔軟に設計することができる。信号およびパラメータの異なる組み合わせを多様な様式(例えば、グラフ、多色、円グラフ、数値、バー、時計状インジケータ、警報信号、英数字メッセージ、他)で表示することができる。生理学的データの解釈に応じて、静的アニメーションまたは動的アニメーションを表示してもよい。例えば、ユーザの状態がリラックスしている場合は嬉しそうな「ニコニコ顔」を表示し、ユーザが不安な状態のときは「悲しい顔」を表示することができる。アニメーションが動く速度は、生命関連パラメータ(例えば、HRまたはBR)と相関付けることができる。ユーザのサイクルに追随するように、脈動する心臓または呼吸する肺を表示およびアニメーション化してもよい。あるいは、音楽および楽音をインジケータとして用いてもよく、その場合、例えばピッチまたは強度をHRおよびBRと関連付け、ユーザは、静かで小さな音を達成および維持するよう訓練してもよい。
【0150】
訓練セッション
本明細書中にて上述したようなEDAセンサはユーザの覚醒レベルの変化に対して高感度であるため、異なる刺激(潜在的反応を具える)に対するユーザの反応の変化を反映した複数種のスコアを計算することができる。刺激の例には、例えば、質問、画像、音楽、匂い、またはマルチメディアクリップ(例えば、短い映像)を挙げることができる。この刺激は、別の人物によって提示/要求することもできるし、あるいは、モバイルモニタまたはコンピュータ上に事前記録された情報によって提示/要求することもできる。刺激は、ユーザに送信されるメッセージ(例えば、携帯電話またはTVクリップ上のテキストメッセージまたはマルチメディアメッセージ)またはユーザの意識的反応または潜在的反応に影響を与え得る他のいずれか刺激にすることができる。このシステムは、当該刺激の前後および最中のユーザの生理をモニタリングし、EDAスコア、心臓スコアおよび心理状態スコアのパラメータのうちいずれか1つ以上を計算することができる。
【0151】
図8は、このような刺激に対するユーザのストレス反応の一例としてのEDAグラフを示す。これらの反応から、本システムは、以下のスコアを計算することができる:前記刺激(トリガ)時間、EDA変化が発生するまでの待ち時間(反応時間)、最大導電率までの時間、当該刺激前の振幅の絶対的変化および相対的変化(基線)、刺激発生時、刺激後に所定時間経過後の新規な基線、半回復時間、完全回復時間、当該刺激の前後および最中に定期的に(例えば、10分の1秒毎に)計算されたEDAの分散および標準偏差、EDAの分散(標準偏差および/またはEDAの分散の分散を具える)に基づいた同様のパラメータの計算、待ち時間、分散最大、分散の半回復時間、および前記分散の回復時間。
【0152】
多数のユーザがこれらのスコアを試みたところ、このシステムは、ユーザが選択した数値を発見し、ユーザが真実を伝えているか否か発見し、ユーザが隠そうとしている他の情報を検出する際に効果的であることが分かっている。例えば、ユーザは、数字を選択するように要求された。携帯電話は、ランダムに選択された数字を提示し、上述したパラメータを計算する。ユーザは、全ての数字に対して「いいえ」と言うように命令される。しかし、このシステムは、前記選択された数字を提示した後のEDAの分散の最大標準偏差の数字を発見することにより、当該ユーザが選択した数字を検出することができる。
【0153】
同様の方法で、本システムは、特定の時間間隔内における、あるいは刺激への反応として(心臓スコア)、ユーザのパルス、心拍および心拍変動の変化も計算した。
【0154】
本発明の例示的実施形態において、本システムは、EDAスコアおよびパルススコア双方をモニタリングし、モバイルモニタ上のマルチメディア音声/視覚反応を少なくとも1人のユーザに提示することができる。そのため、異なる気分を表す異なる音声視覚的クリップを提示することができる。また、このシステムは、ユーザの主観的反応(恐れまたは喜びの程度)を記録し、EDAスコアおよび心臓スコアを同時に計算することができる。この工程は、リサーチ、セラピー、評価および娯楽のために用いることができる。これらの方法を用いれば、ユーザの心理状態の少なくとも2つの様相(1つの様相は覚醒またはリラックス状態であり、他方の様相は積極的または消極的である)(すなわち、ユーザがこの状態を楽しんでいるかあるいは嫌っているか)をマッピングすることができる。図4は、心理状態の二次元配列を示す。本発明を用いて、個人の心理状態を二次元配列中にマッピングすることができる。
【0155】
本発明のさらなる局面は、コンピュータ化された認知行動療法(CCBT)と、本発明のシステム(上述したようなセンサ、アルゴリズム)との統合である。数種のシステムが、CBTとして公知のコンピュータ化された心理学的方法のために開発されている。例えば、Clinical Psychology(2002年8月)(Kings College、ロンドン、英国)の博士論文において、Gili Orbach博士が、コンピュータ化された認知行動療法(CCBT)プログラムを提示している。これは、インターネットを介したマルチメディア対話型プログラムを用いて不安の低減や、自尊心の改善および試験結果の改善について学生を訓練するための方法および臨床プロセスである。このCCBTプログラムは、ユーザを訓練し、ユーザの誤りをユーザに説明し、挙動についてのアドバイスをユーザに提供することなどができる。CCBT、視覚化、自己催眠、および本発明(反応のモニタリングのためのセンサおよび方法、対話型マルチメディアフィードバックユーザの反応を変化させるための訓練を具える)を統合することにより、ユーザが挙動反応を変更し、ユーザ自身についてより深く知り、ユーザが習慣に打ち勝つ過程を援助し、ユーザにとって好適な方向にユーザを変化させるようにユーザを訓練することが可能な方法およびシステムが得られる。
【0156】
用途例
本発明のシステムにプログラム可能なデータ処理力および柔軟な出力手段を取り付けることが可能な場合、多数のアプリケーションおよび用途を選択的に同時に組み合わせて適合させて使用することができる。以下、そのいくつかの例示的用途について説明する。
【0157】
警報
本システムは、特定条件発生時、ユーザまた他の人に警報を出すようにプログラムすることができる。条件の評価および警報開始は、以下のうちいずれかものまたはいくつかによって行うことができる:センサモジュール、モバイルモニタ120、サーバ140中のプロセッサ340、または人間の専門家150。
【0158】
本発明のシステムは、所定の条件下で警報を生成することができる。心臓警報および呼吸警報は、心臓発作患者、てんかん、老人または不能者、精神障害者などにとって生命を救うものとなり得る。警報は、以下のうちいずれかものまたはいくつかによって示すことができる:インジケータ380、ディスプレイ120およびスピーカ126。代替的にまたは追加的に、以下のうちいずれかものまたはいくつかにより、警報を他の場所にリレーしてもよい:モバイルモニタ120、サーバ140または人間の専門家150。例えば、本システムがあり得る挙動異常を検出した場合、医療チーム、法執行チームまたは救助チームに通知するようにしてもよい。評価を支持するデータは、警報と関連してリレーすることができる。これが存在する場合、身元データ、健康状態(例えば、医療記録)、ユーザの位置(例えば、モバイルモニタのGPS読取結果)を転送してもよい。警報生成条件は、心拍(例えば、所定の値よりも低いか高いHR、異常HRV(例えば、所定の値よりも低いか高いHRVまたは急速に変化するHRV)、または不整脈の出現)に関連付けることができる。警報条件は、呼吸に関連付けることができ、例えば以下のうちいずれかものまたはいくつかに関連付けることができる:所定の値よりも低いか高いHR、BRまたはERI、異常BR(例えば、急速に変化するBR)。警報生成条件は、ストレス(例えば、所定の値よりも低いか高いかまたは急速に変化するEDA)に関連付けることができる。警報生成条件は、複数のセンサからの信号の組み合わせに関連付けることができる。
【0159】
生活の質を改善するための訓練
本発明のシステムは、ユーザの状態を変更することを目的とした訓練に用いることができる。例えば、ユーザは、自身の生理学的兆候を観察し、選択的にまたは代替的に当該兆候の解釈を観察して、図4の右側に示す消極的感情を回避するように自身の挙動を変えることができる。さらに、ユーザは、自身の挙動を変えることにより、図4の左上側象限に示すような集中および熱中を達成、強化または維持するよう訓練することもできる。あるいは、ユーザは、図4の左下側象限に示すようなリラックス状態を達成、強化または維持するよう訓練することもできる。
【0160】
人々は、バイオフィードバックを用いることで、自身の感情状態および身体状態を制御する方法をはっきりと分かっていない場合にでも、これらの目標を達成することができ、これにより非自発的な身体活性(例えば、血圧、ホルモン分泌など)を制御することができることが分かった。本発明のシステムを用いて、自発的活性の訓練を行うこともできる。例えば、ユーザは、ゆっくりと安定した速度で呼吸し、選択的に低ERIで深呼吸を達成するように訓練し得る。この種の呼吸は、リラックス状態を促進することが分かっている。
【0161】
本発明の別の実施形態によれば、怒りまたは不安の症状発現に苦しんでいることが分かっているユーザは、本システムを自身の日課に用いることができる。本システムを用いて、症状発現が近づいていることを示す早期兆候を検出し、(薬物服用または精神的または身体的運動(例えば、深呼吸または現在行っている活性の停止)のいずれかによって)状況を軽減する対策をとるようユーザを促すことができる。振動などの無音警報またはショートメッセージサービスSMSなどの隠蔽型警報あるいは携帯電話への「偽」呼び出しにより、ユーザが攻撃されているような気持ちかまたは不安に襲われることになるようなユーザにとってつらい末路からユーザの気を逸らすことができる。多様な病的恐怖に悩んでいる人々も、当該病的恐怖を引き出す刺激が近づいているときに出される警報から恩恵を受けることができる。
【0162】
呼吸周期がHRV分析および別の手段(例えば、呼吸センサまたはユーザ入力)の双方によって追随される場合、HRVと実際の呼吸周期との間の相関をモニタリングすることができ、ユーザは、これら2つの間のより良い同期を達成するよう訓練し得る。一般的に、吸気により交感神経系の反応が誘発され、その結果覚醒およびHR増加が発生し、一方、呼気副交感神経系の反応が誘発され、その結果リラックス状態およびHR低下が起こる。そのため、呼吸を制御するための学習、現時点では数年間の学習を必要とする技術、黙想またはヨガを本発明を用いて達成することができる。
【0163】
本発明の別の実施形態によれば、本システムを用いて、ユーザの日課時におけるユーザの身体的および精神的状態を記録し、その読み取り結果と、行う活性の種類と相関付けることができる。例えば、高ストレスの回数、高集中、最善の行動、または大きな喜びの時間を測定し、表示することができる。ユーザは、例えば自身の毎日の記録を参照することにより、これらの時間と、当該日付において行われた活性とを比較することができる。例えばこのソフトウェアを市販のアプリケーション(例えば、Microsoft Outlook(登録商標))と統合することにより、センサ読み取り結果を毎日の記録と自動的に統合し、モバイルモニタ(例えば、PDAまたはLPC)上に表示することができる。
【0164】
追加的にまたは代替的に、ユーザは、モバイルモニタ上の入力手段を用いて、メモ(例えば、自身が行っている活性の種類を示す声または書かれたメッセージ、自身の主観的な気持ち(これは、日常活性のログおよびセンサ読み取り値に統合される))を入力することができる。このようにして、ユーザは、自身の活性および自身の主観的気持ちと、客観的なセンサ読み取りとを比較することができる。ストレスを誘発する活性を知ることで、ユーザは、同一または類似の活性の再来に備えることができ、また、そのような再来を避けることができる。
【0165】
本発明の別の実施形態によれば、本システムを用いて、スポーツ訓練時に生理学的読み取り値を記録することができる。移動するAHRを表示するだけの利用可能なデバイスとは対照的に、本発明のシステムは、各個人の心拍および呼吸を、仮想的に記録し、保存することができる。データ圧縮、モバイルモニタ中の大型メモリ容量およびリモートサーバ中の大容量記憶により、これらの記録を長期間の使用において取得および保存することができる。これらのセンサは小型であり、ブルートゥースプロトコルまたはモバイルネットワーク通信サービスのいずれかを用いてデータをワイヤレスで送信するため、専門家コーチは、スポーツ選手の生理学的パラメータ、感情喚起状態および行動を視認をおよびモニタリングし、選手の反応および行動を改善するよう選手をリアルタイムで指導することができる。データを後で分析できるよう保存することもできる。スポーツ選手は、本発明を用いて、マルチメディア携帯電話またはPCまたはPDA(パーソナルデジタルデバイス)のいずれかを用いて自身の行動を視認しながら、実際の競技時におけるような自身の感情的条件および生理学的条件をシミュレートすることにより、自宅またはオフィスでリハーサルを行うこともできる。センサの(例えば、心拍、HRV、呼吸、EDA EMG)うちいくつかを同時に用いることにより、ユーザは、自身の生理だけでなく自身の態度、覚醒レベルなどを調整し、自身の最良の行動を達成することを学習する。
【0166】
本発明の別の実施形態によれば、本システムを用いて、睡眠障害の特定および(可能ならば)修正を支援するために、ユーザの睡眠時の生理学的読み取り値を記録することができる。
【0167】
ウェアラブルバイオフィードバックツール
バイオフィードバックは、個人の消極的態度パターンの軽減および変更のために長年用いられているが、既存のシステムの場合、多数の重大な欠陥がある。
【0168】
1.ハードウェア、ソフトウェアおよび情報収集:
−ほとんどの現行システムは、高性能のコンピュータに依存している。
−ほとんどの現行システムは、保健専門家または複雑なオンラインプログラマのいずれかによるユーザの訓練を必要とする。
−ユーザへの訓練終了後、当該ユーザは、自身の日常生活における内的な生理学的変化を実施することを覚えておかなくてはならない。
−バイオフィードバックセッションが毎日行われることはまれであり、また、リアルタイムでも行われない。そのため、ユーザは、数日前の特定のイベントを覚えておき、自身の正確な感情反応を思い出さなければならない。
【0169】
本発明は、携行可能なコードレスウェアラブルセンサを用いる。このセンサにより、ユーザは、イベント発生時の自身の感情反応および生理学的反応をモニタリングすることができる。これらの結果は、リアルタイムで収集され、完全に異なる条件下で数日後に再生される場合よりも、より効果的かつよりユーザに関連した様態とすることができる。本発明のセンサは、携帯電話を用いて、ユーザの生理状態および感情状態を表示する。
【0170】
2.方法論
本方法では、消極的態度パターンに関連する潜在的生理を変更する(例えば、筋肉の緊張(EMG)、GSR、または皮膚電気活性(EDA)を低減する)ようユーザを提供する。本方法の主要な目的は、ユーザにリラックスするよう訓練することである。しかし、ユーザにリラックスするよう訓練することは重要であるが、治療を成功裏に行うためには、以下のような他の2つの局面を考慮に入れておかなければならない。
【0171】
−感情的健康の向上と、積極的、熱中しかつやる気を出すための訓練。これらの状態は、誤った印象を与え得るGSR、EDAまたはEMGにより測定されるようなリラックスレベルに反映されていない。例えば、ユーザは、積極的感情(例えば、興奮または熱中)を経験すると、増大した身体緊張を示すことがある。同様に、低レベルの身体的緊張は、必ずしも積極的な意味を示さない場合があり、消極的状態(例えば、落ち込みまたは退屈)を表すことがある。一例は、IBS(過敏性腸症候群)に苦しむ人々へのEDAの使用である。EDAは、下痢に苦しんで高い不安を抱えている人々にとっては極めて有用であるが、便秘に苦しんで落ち込んでいる人々にとっては有用ではないことが分かった。
【0172】
2個のセンサ(高感度EDAセンサおよびHRV用の心拍モニタ)を同時に使用し、特定の状況において変化を分析することにより、本発明のシステムを用いて、ユーザをモニタリングし、リラックスすることだけでなく積極的心理状態を発展させるよう訓練することができる。
【0173】
客観的な感情的モニタリング
本発明の別の用途は、客観的なスケールを用いることにより、感情反応をモニタリングすることである。EDAは極めて高感度であるが、この方法を用いた感情反応のモニタリングおよび分析には不利点がある。
【0174】
−EDAレベルは、ユーザの感情状態に無関係の多数の変数に起因して、セッションと個人の間で異なる。そのため、EDAレベルは傾向としてしか解釈され得ない。すなわち、セッション開始時にそのレベルを超えた値までユーザの皮膚抵抗が増加した場合、当該ユーザはよりリラックスしている。しかし、ユーザは、ユーザの反応の制御および自身の生理および行動の改善を行う客観的な方法を学習することができない。本発明のセンサにより、思考および感情に関連する変化のモニタリングおよびリアルタイム提示と、ユーザが特定のトリガイベントにどのように反応しているかを反映したパラメータの計算とが可能となる。EDAの変化の分析と、リアルタイムで心拍および心拍変動とを統合することにより、ユーザの反応の改善およびモニタリングを行う方法を学習することを可能にするスケールを得ることができる。
【0175】
図8は、刺激(例えば、PTSD、いじめ、恐怖症)に対する反応を示す。反応に関連するパラメータを挙げると、ユーザが刺激後に基線に戻る時間の長さ、基線に戻る時間の長さと覚醒レベル急上昇の半分との合計、特定のトリガに関連する覚醒レベル急上昇のレベルがある。モバイルセンサを用いることにより、ユーザは、ユーザの反応および行動の連続的なモニタリングおよび改善を行うことができる。マルチメディア指示を付加することにより、本システムをユーザに対するリアルタイムコーチとすることができる。携帯電話を用いてデータ送信をリアルタイムで行うことにより、ユーザは、以下のことを行うことができる。
・サーバ上の高度な専門家システムからほとんどリアルタイムでフィードバックを得ること。
・1日の特定の状況に対するユーザの反応を記録すること。
・ユーザの反応をほとんどリアルタイムでモニタリングすることができる専門家からアドバイスを受けること。
・専門家(システムまたはプロの介護士)がユーザをモニタリングしている間、ユーザの反応を変更し、毎日の行動においてこの新規な知識を実施すること。
【0176】
CBTと、ウェアラブルの生物学的に対話型のセンサとの統合
既存のバイオフィードバックシステムの場合、行動論的方法を用いるが、CBT(認知行動療法)訓練を用いない。本発明のシステムは、コンピュータ化されたCBTおよび視覚化と、対話型センサとを統合することで、ユーザが自身の生理を変更する方法を学ぶだけでなく、自身の思考様式を変更し、消極的思考パターンに対処することを可能にする。
【0177】
統合型CEBIT(認知感情的挙動対話型セラピー)の新規な方法
発明の一体型センサを用いた訓練により、ユーザは、自身の信念体系、自身の挙動、自身の無意識の思考プロセス、感情反応および挙動反応、ならびに自身の生理を調査することができる。また、発明の一体型センサを用いた訓練により、自身をモニタリングし、自身の身体、自身の感情、および自身の外的反応を意識し、耳を傾けるようにユーザを訓練する。
【0178】
行動改善−本発明の方法およびシステムを用い、その進捗をモニタリングすることにより、ユーザは、自身の健康を改変しより良い気分になる方法だけでなく、自身の行動(例えば、試験に関する不安、取引、音楽および歌唱、スポーツ、関係、創造性、講演など)を改善する方法も学習することができる。本発明の対話型生理モニタリングは、CBTと組み合わせ、ユーザの行動からのリアルタイムフィードバックと組み合わせて、所定の状態を達成するようユーザを訓練することができる。これは、関係および幸福度にも当てはまる。
【0179】
サーベイおよび世論調査
本発明の別の用途によれば、本システムを用いて、コマーシャルに対する視聴者の反応を記録して、視聴者サーベイを行うことができる。
【0180】
訓練セッション
本発明のさらに別の局面は、ストレスを誘発する刺激のユーザへの付加を具える訓練セッションを行うことにより、ユーザを訓練することである。
【0181】
図8は、刺激後のユーザのストレスレベルの模式的チャートを示す。刺激の例を挙げると、例えば、画像に起因する恐怖症(例えばクモ恐怖症に苦しむユーザへのクモの画像)、心をかき乱すような声のメッセージまたは言い回しの筆記物がある。当該刺激によって誘発されたストレスは、EDA読み取り、HRまたはいくつかのセンサ読み取りの組み合わせによって測定することができる。
【0182】
図8において、当該刺激は時間STにおいて与えられる。時間LTにおいて、ストレスレベルは、短い待ち時間(この時間の間、ユーザの脳が当該刺激を解釈する)の後、初期基線ストレス(IBS)から上昇し始める。通常、ストレスは、上昇し、最大反応時間(MRT)においてその最大ストレス(MS)レベルに到達し、その後、IBSまたは新規な基線ストレス(NBS)へとゆっくりと回復する。
【0183】
回復時間(RT)は、ストレスレベルがMSレベルから低減して半回復時間(HRT)において半最大ストレス(HS)に到達するのに必要な時間(すなわち、RT=HRT−MRT)として規定できる。ここで、HSは、HS=(IBS+MS)/2として規定される。訓練セッションにおいて、ユーザは、自身の反応を観察し、MS、RTおよびNBSのうち1つ以上を最小化することを学習する。
【0184】
1つの訓練セッションは、特定の積極的トリガおよび消極的トリガ(例えば、画像、映像または音声クリップ)をユーザに提示している間に、いくつかの方法(例えば、ニューラルネットワークソフトウェアおよび/またはウェーブレット分析)を用いたHR、HRVおよびEDAの変化の分析からなり得る。事故シーンなどを消極的トリガとして用いることができ、自然の風景はリラックスさせるトリガとして用いることができる。訓練は、対話型ゲームの形態(例えば、ユーザが勝利して積極的な気分を味わえたり、苛々するゲームまたは挑戦(その場合、ユーザは負けてストレスを感じる)、性的クリップなど)にすることができる。
【0185】
「ユーザ心理学的/生理学的反応プロファイル」(UPPP)を生成および保存することができる。このUPPPを用いて、本システムは、実生活のイベント(例えば、誰かに会う、試験に備える、電話を受けるなど)および/または対話型質問表、特定のシナリオのシミュレーションなどの双方に対するユーザの反応および心理状態のモニタリングおよび分析を行うことができる。これらの方法は、以下の複数の目的に用いることができる:ユーザ反応の評価および/または特定のトリガに対するユーザの反応の改善(例えば、恐怖症の解消)についてのユーザの訓練。本システムは、UPPPを用いて、ゲームの駆動したりナビゲートにセンサおよびユーザの感情反応を用いてゲームおよびマルチメディアを駆動することができる。
【0186】
「ユーザ」という用語は、男性および女性の個人双方を包含し、個人からなるグループも包含するものとして解釈されるべきである。複数のユーザが存在する場合、各ユーザは、各ユーザのセンサによってモニタリングすることもできるし、あるいは、これらのユーザのうち数人がセンサを共有することができ、これらのユーザは、同一表示(例えば、ブルートゥースによって同一のPCまたは携帯電話へと接続されたもの)を用いてもよいし、あるいは、各ユーザは、相互通信するように構成された別個のデバイスを持つこともできる。また、複数のユーザを携帯電話またはインターネットを通じてセンターまたはTVステーションへと接続して、これらのユーザまたはこれらのユーザのうち数人へと放送またはインターネットなどのいずれかとして送信される1つ以上の画像を視認および共有してもよい。このモードにおいて、本発明は、新規なリアルタイムTVショウゲーム、または感情世論調査などとして用いることができる。
【0187】
娯楽システム:対話型のための心活性化ゲーム
本発明の別の局面によれば、ゲームおよび他の形態の娯楽を提供することにより、本システムを娯楽用途に用いることができる。
【0188】
例えば、人が電話で会話している際またはピアによるインターネットチャットをしている際にセンサモジュールを用いることができる。センサ読み取り値は、ユーザの心理状態および会話に対するユーザの反応を示すSMSまたは図形的記号を自動的に送信することができる。これを、感情に基づいたゲームと、携帯電話のユーザのグループおよび/またはインターネットおよび/またはTVゲーム間の通信とのための基本情報とすることができる。
【0189】
別の例において、センサ読み取り値を用いて、例えばコンピュータゲーム時においてデバイスおよび電化製品(例えば、DVDまたはコンピュータ)を制御することができる。センサをリモートコントロールに追加し、ユーザに提示する内容を、センサによってモニタリングされているユーザの心理状態に応じて変更および展開することができる。これを、新規な対話型DVD(またはいずれか代替的な直接アクセス型デジタル媒体)、対話型映画、対話型スポーツまたは対話型ゲーム、あるいは心理学的プロファイリングにおける基本情報とすることができる。
【0190】
図12は、本発明のこの局面の一実施形態による娯楽システム1200を示す。システム1200において、センサ1210は、ユーザ1201と接触し、ユーザの生理学的パラメータのモニタリングに用いられる。センサ1210は、娯楽システムコントローラ1220(例えば、DVDまたは映像ゲームデバイスのリモートコントロール)と通信リンク1212を通じて通信する。通信リンク1212は、一方向性または双方向であり得る。娯楽システムコントローラ1220は、通信リンク1228を用いて娯楽システム1240にコマンドを送信する送信器1226を具える。リンク1228は一方向性(例えば、IR通信)であり得る。選択的に、システムコントローラ1220は、入力手段(例えば、キーパッド1224)を具える。センサ1210は、当該娯楽システムと直接通信することができ、ケーブルを生理学的情報またはコマンドの通信のために用いることができる。
【0191】
本発明のこの局面に従って、選手/ユーザの生理学的または心理学的/生理学的反応/条件を示す1つ以上のパラメータのモニタリングにより、選手/ユーザの心理状態およびまたは身体を反映する少なくとも1つのパラメータを得る。前記1つ以上のパラメータは、システムへと送信される。このシステムは、これらのパラメータを分析し、1つ以上のスコアを計算し、前記計算されたスコアを、音声視覚的材料(音声および/または視覚)を画面上に表示し、および/または物理的目標(例えば、リモートコントロールされた車両)を移動させるプロセスのための入力として用いる。前記音声視覚的材料の内容および/または前記移動のパラメータのうちいくつか(例えば、前記リモートコントロールされた車両の移動速度および移動方向)は、ユーザの心および/または身体の状態を反映するスコアに依存する。
【0192】
前記ユーザ(単数または複数)の心理状態および/または身体の変化結果を反映するスコア、またはいくつかの情報は、前記センサによってモニタリングされている同一ユーザ/選手または別のユーザ/選手あるいはその両方に対して、直接にまたは間接的に提示することができる。前記ユーザは、自身のスコア/結果または他の選手のスコア/結果のいずれかに関連する情報を用いて、自身の反応/決定の獲得または変更し、あるいは他のユーザの気持ちまたは思考を推測し、あるいはその他のユーザの反応またはゲーム/対話型ストーリー/リモートコントロール型玩具の結果へ影響を与えることができる。
【0193】
ゲーム例
戦艦(潜水艦)。このよく知られたゲームでは、二人の選手が、敵の選手の潜水艦/船の位置を推測および発見し、(例えば、10×10の配列における位置において)当該潜水艦/船を「破壊」する。本発明を用いて、このゲームに新規な局面を追加することができる。ユーザAが特定の位置(例えば、位置「b−4」)へと魚雷を「発射」する前に、ユーザAは、(例えば、言葉によってまたはマウスを特定位置に移動するがその位置をクリックすることはしないで)その他の選手に対して3つの質問をすることができる。これらの質問は、例えば、「あなたは位置b−2またはb−4またはc−4に潜水艦を持っていますか?」であり得る。ユーザAは、自身のスコアの1つに反映されるように、その他の選手の反応を見ることができる。その他のユーザは、「はい」および「いいえ」で反応することができ、嘘をつくこともできる(高覚醒−高バー)。ユーザAは、この情報を用いて潜水艦の居場所を評価することができる。よって、心理学的および「読心」局面をゲームに追加することができる。
【0194】
a)携帯電話を持っているユーザの或るグループ(例えば、ティーンエージャー)が、マルチメディアメッセージを相互に送信し、画像および/または簡単な映像を相互に見ることができる。本発明を用いて、以下のようにして、感情的局面を前記通信に追加する。感情状態および/または心理状態反応のスコアも、その他のユーザに送信し、これらのスコアをゲームsおよび対話型通信(例えば、「真実を言うか挑戦か」ゲーム)の基本情報として用いる。1人のユーザの反応(感情的スコア)が、1人またはそれ以上の他のユーザに送信される。例えば、第1のユーザが画像を見ておよび/または特定の第2のユーザからのMMSメッセージを読んだ時に、これらのスコアを、最も「覚醒した」第1のユーザに送ることができる。その後、第1のユーザはテキストメッセージを第2のユーザに送って、第1のユーザが第2のユーザをどう思っているかについて明らかにする。第1のユーザがこれを行っている間、第2のユーザおよび/または他のユーザは、第1のユーザの覚醒レベルを見ることができる。そのため、「システム」および/または他のユーザおよび/または第1のユーザは、第1のユーザが第2のユーザを「愛している」か否かを確認することができる。このゲームの簡単なバージョンにおいて、ユーザは、自身の携帯電話またはPCまたはゲームコンソールの画面上で10個の画像を見ることができ、システムは、例えば当該ユーザが誰を愛しているのか、当該ユーザが選択した番号、または当該ユーザが選択したカードを当該ユーザに伝えることができる。
【0195】
b)対話型「たまごっち」(電子ペットまたはユーザが「愛して」「世話をし」なければならない人のアニメーション)。本発明の特徴をこの玩具に取り入れることにより、前記センサによってモニタリングされた結果から得たスコアによって示されるようにユーザが怒っておりおよび/または不安になるたびに、たまごっちがそれを感知し反応し、悲しんだり、起こったり、または病気になったりすることができる。ユーザが穏やかであり、リラックスして幸福である状態である場合、たまごっちは、積極的な様式で(例えば、笑ったり、歌ったり、遊んだり、食べたりすることにより)反応することができる。
【0196】
c)より高度なバージョンにおいて、ユーザは、携帯電話、PCまたはゲームコンソールにおいて、自身をアニメ化したシンボル(「バーチャルミー」または「Vime」)を生成することができる。ユーザおよび/または他の個人(ユーザの仮想パーソナリティと対話する許可/認可を得た)は、モバイル通信デバイスまたはインターネットを用いて、この「バーチャルミー」と対話することができる。個人は、例えばVime積極的メッセージおよび/または消極的メッセージ(例えば、その個人がVimeを愛している)を送ることにより、前記ユーザの仮想パーソナリティと遊ぶことができる。「意識的」メッセージは、個人の心理状態/感情的スコアと共に送信され「バーチャルミー」に影響を与える。これは、ゲームおよび娯楽として用いることができるが、感情的様相および新規な通信および遊びの方法、そしてさらには仮想「デート」として追加することもできる。
【0197】
d)c)で提示したゲームバージョンに行動スキルを追加することができる(例えば、誰にどのようにして反応するか)。その結果、心理学的/感情的/通信ゲーム/コミュニティ生成が得られる。例えば、実際の特性または仮想の特性をVimeおよび詳細(身体寸法、趣味、興味のあることなど)ならびに行動規則(「所定の特性および所定のスコアを持つ女性が自分に接触してきた場合、所定の反応を送る」)に追加することができる。前記Vimeは、いくつかのモード(例えば、ユーザが接続されている「ライブ」モード、ユーザ無しにVimeが通信可能な「オフライン」モード、「受信専用」モード、または「睡眠」モード)を持つことができる。
e)別のアプリケーションにおいて、これらのセンサは、(例えば、実際のまたは楽しい決断アドバイスを提供する)潜在的直観反応の増幅器として用いられる。ユーザが前記センサに接続されている間、当該ユーザは、質問をしかつ/または電話、PCまたはDVDによって質問を受ける。自身が考えて特定の質問に答えているときの自身のスコアを見ることにより、当該ユーザは、自身の「直観」がどのようにすべきかを自身にアドバイスしているかを見ることができる。本システムは、ユーザを訓練して、彼または彼女の生理学的状態および心理学的状態を論理分析、システム的計画、採点などの他の方法と統合すること(すなわち、「自身の心と自身の頭脳」を共に用いるか、または、自身の分析的審理を自身の直観と共に用いること、自身の「第六感」を「客観的な情報」と組み合わせること)により、ユーザにより良い決断を行うようユーザ自身に調整ことすることができる。
【0198】
本発明について特定の例示的実施形態を参照して説明してきたが、当業者であれば、上記教示内容の意図および範囲から逸脱することなく、多様な改変が明らかであり、また容易に達成することができる。
【0199】
一実施形態について説明した特徴および/または工程は、他の実施形態と共に用いることができ、また、本発明の全実施形態が、特定の図中に図示されたかまたは前記実施形態のうちの1つについて説明した特徴および/または工程全てを持つわけではないことが理解されるべきである。当業者であれば、記載の実施形態の改変を想起する。
【0200】
上述した実施形態のうちいくつかは、本発明者らが企図する最良の様態を説明し得ているため、本発明にとって本質的ではなくかつ一例として説明した構造、行為または構造詳細および行為詳細を具える点について留意されたい。当該分野において公知であるように、本明細書中において説明した構造および行為は、当該本発明にとって本質的ではないが異なる場合であっても、同一機能を行う相当物と代替可能である。よって、本発明の範囲は、特許請求の範囲において用いられるような要素および限定のみによって限定される。本明細書中用いられるような「comprise」、「include」およびその同根語の用語は、「include」を意味するが、必ずしも「に限定される」を意味しない。
【図面の簡単な説明】
【0201】
【図1】図1は、本発明の例示的実施形態による生理モニタリングシステムである。
【図2】図2は、本発明の例示的実施形態によるユーザの指に取り付けられたセンサモジュールを示す。
【図3】図3は、本発明の例示的実施形態によるセンサモジュールの詳細を示す
【図4】図4は、人の精神的状態および生理的状態を示す模式図である。
【図5a】図5aは、健康な人の典型的な心電図(ECG)を示す。
【図5b】図5bは、血流によって影響される典型的な光反射光学信号を示す。
【図5c】図5cは、心臓モニタリング信号の周波数分析を示す。
【図6a】図6aは、典型的な心拍対時間のグラフと、その呼吸周期との相関とを示す。
【図6b】図6bは、心拍変動(HRV)の周波数分析を示す。
【図7a】図7aは、本発明の例示的実施形態によるセンサ出力を示す例示的表示を示す。
【図7b】図7bは、本発明の例示的実施形態による心拍(HR)を示す例示的表示を示す。
【図7c】図7cは、本発明の例示的実施形態による皮膚電気活性(EDA)を示す例示的表示を示す。
【図7d】図7dは、本発明の例示的実施形態による呼吸周期を示す心拍変動を示す例示的表示を示す。
【図8】図8は、本発明の例示的実施形態による、訓練セッションにおいて用いられる刺激誘発ストレスの例示的グラフを示す。
【図9】図9は、本発明の例示的実施形態による、光源強度の連続的自動調節を用いた反射型フォトプレチスモグラフの電気回路を模式的に示す。
【図10】図10は、本発明の例示的実施形態によるEDAモニタリングのための向上した電子回路を示す。
【図11】図11は、本発明の一実施形態による、ユーザの皮膚抵抗と、向上した電子回路によってEDA目的のために測定された電圧との関係を示す例示的グラフを示す。
【図12】図12は、本発明の一局面による娯楽システムを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの1つ以上の生理学的パラメータをモニタリングするシステムであって、
(a)前記1つ以上の生理学的パラメータを感知する1つ以上のウェアラブルセンサモジュールと、
(b)前記1つ以上の生理学的パラメータの値を示す第1の信号をモバイルモニタへワイヤレスに送信する1つ以上の送信器と、
(c)前記モバイルモニタであって、前記モバイルモニタが、
前記送信器から受信された前記第1の信号を専門知識を用いてリアルタイムで処理する第1のプロセッサと、
前記処理の結果の1つ以上の表示を提供するデバイスと、
を具える、モバイルモニタと、
を具えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記システムは、前記モバイルモニタと通信可能なリモートサーバをさらに具え、前記リモートサーバは前記モバイルモニタからの第2の信号を受信し、前記リモートサーバは、第2のプロセッサを有する観察ステーションと関連付けられ、前記リモートサーバが、
(a)前記第2の信号を分析対象として観察ステーションに送信する工程と、
(b)前記対象に関連する履歴データにアクセスする工程と、
(c)前記履歴データを前記観察ステーションに送信する工程と、
(d)前記分析の結果を前記観察ステーションから受信する工程と、
(e)前記分析の結果を前記モバイルユニットに送信する工程であって、前記分析は、前記第2の信号と、前記履歴データ、専門知識およびコンピュータ化されたプロトコルのうち1つ以上とに基づく工程と、
のうち少なくとも1つを行うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
少なくとも1つのセンサモジュールが、
(a)皮膚電気活性センサ、
(b)心電図センサ、
(c)プレチスモグラフ、および
(d)圧電センサ
を具える群から選択された少なくとも1つのセンサを具えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムが、
(a)皮膚電気活性センサ、
(b)心電図センサ、
(c)プレチスモグラフ、および
(d)呼吸センサ
を具える群から選択された少なくとも2つのセンサを具えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の信号は、
(a)ブルートゥース、
(b)WiFi、および
(c)ワイヤレスLan
のプロトコルのうちいずれか1つ以上によりセンサモジュールから前記モバイルモニタへと送信されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記モバイルモニタが、
(a)携帯電話、
(b)パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、
(c)ポケットPC、
(d)モバイル音声デジタルプレーヤ、
(e)iPod、
(f)電子ノートブック、
(g)パーソナルラップトップコンピュータ、
(h)DVDプレーヤ、
(i)ワイヤレス通信によるハンドヘルド型映像ゲーム、および
(j)モバイルTV、
を具える群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記モバイルユニットが携帯電話であり、前記モバイルモニタと前記リモートサーバとの間の通信が、セルラー通信ネットワークにおいて行われる事を特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記モバイルユニットは、視覚ディスプレイ、1つ以上のスピーカ、ヘッドホンおよびバーチャルリアリティヘッドセットのうちいずれか1つ以上を具えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムに用いられるウェアラブルセンサモジュール。
【請求項10】
(a)皮膚電気活性センサ、
(b)心電図センサ、
(c)プレチスモグラフ、および
(d)圧磁(pizoomagnetic)センサ、
を具える群から選択された少なくとも1つのセンサを具えることを特徴とする請求項9に記載のウェアラブルセンサモジュール。
【請求項11】
(a)皮膚電気活性センサ、
(b)心電図センサ、
(c)プレチスモグラフ、および
(d)呼吸センサ、
を具える群から選択された少なくとも2つセンサを具えることを特徴とする請求項10に記載のウェアラブルセンサモジュール。
【請求項12】
(a)ブルートゥース、
(b)WiFi、および
(c)ワイヤレスLan、
のプロトコルのうちいずれか1つ以上によって信号を送信する送信器を具えることを特徴とする請求項10に記載のウェアラブルセンサモジュール。
【請求項13】
少なくとも16ビットのAD変換を用いて、手動較正の必要無く皮膚導電率をモニタリングするように構成された皮膚電気活性センサを具えることを特徴とする請求項10または11に記載のウェアラブルセンサモジュール。
【請求項14】
(a)皮膚表面に取り付けるように構成された少なくとも2つの電極と、
(b)前記電極にわたる皮膚抵抗を測定し、EDAが前記抵抗に線形依存していないアルゴリズムを用いて前記抵抗に基づいてEDAを計算する電子回路と、
を具えるEDAセンサを具えることを特徴とする請求項10または11に記載のセンサモジュール。
【請求項15】
(a)皮膚表面に光を射出するように構成された光源と、
(b)前記皮膚表面から反射した光を検出するように構成されたに光検出器と、
(c)前記反射光の前記強度を測定し、この反射光の強度に基づいて前記光源の強度を制御する電子回路と、
を具える血流センサを具えることを特徴とする請求項10または11に記載のセンサモジュール。
【請求項16】
前記電子回路が、少なくとも50KΩ〜12MΩの範囲にわたって前記電極にわたる皮膚抵抗を測定することが可能であることを特徴とする請求項14に記載のセンサモジュール。
【請求項17】
前記第1のプロセッサが、前記ユーザの覚醒状態を示すパラメータおよび前記ユーザの感情状態を示すパラメータのうち一方または両方を前記第1の信号から計算するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記ユーザの覚醒状態を示す前記パラメータの計算が、前記ユーザの皮膚電気活性、心拍、EDA変動およびHR変動のうちいずれか1つ以上に基づいたアルゴリズムを用いて、前記ユーザの交感神経作用および副交感神経作用のスコアを計算する工程を具えることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1のプロセッサが、前記ユーザの覚醒状態を示すパラメータを計算して、前記ユーザの覚醒状態を示す前記パラメータを前記モバイルユニットと関連付けられたディスプレイ上に二次元ベクトルとして表示するように構成されていることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1のプロセッサが、前記モバイルモニタと関連付けられたディスプレイ上に、前記ユーザに関連するバイオフィードバック情報を示す画像、前記ユーザの呼吸活性を示す画像、前記ユーザのEDA活性を示すグラフを具える画像、前記ユーザの心拍を示すグラフを具える画像、前記ユーザの心拍変動を示すグラフを具える画像、前記ユーザの心拍変動の自動相関を示すグラフを具える画像、および前記ユーザの生理学的データおよび専門家知識のうち一方または両方に基づいて前記ユーザの心理学的/生理学的状態を改善することを勧めるアドバイスを示す画像のうちいずれか1つ以上を表示するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
呼吸活性を示す画像が、前記呼吸活性を示す長さを有するバーを具えることを特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項22】
前記ユーザに関連するバイオフィードバック情報を示す画像が、1つ以上のパラメータ目標値を具えることを特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項23】
前記第1のプロセッサが、前記第1の信号に基づいた計算において、前記ユーザの呼吸数および前記ユーザの心拍変動のうちいずれか1つ以上を計算するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記ユーザの呼吸数が、前記ユーザの呼吸時の身体の静電容量の変化をモニタリングすることにより、計算および分析されることを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
(a)ユーザの前記生理学的パラメータの値を1つ以上のウェアラブルセンサモジュールから得る工程と、
(b)前記1つ以上の生理学的パラメータの値を示す第1の信号をモバイルモニタにワイヤレスで送信する工程と、
(c)前記送信器から受信した前記第1の信号を専門知識を用いてリアルタイムで処理する工程と、
(d)前記処理の結果の1つ以上の表示を前記モバイルユニットに提供する工程と、
を具えることを特徴とするユーザの1つ以上の生理学的パラメータをモニタリングする方法。
【請求項26】
前記処理の前記結果が、前記ユーザのバイオフィードバック情報を具えることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記モバイルモニタからの第2の信号を関連付けられた観察ステーションを有するリモートサーバへと送信する工程と、前記観察ステーションにおいて前記第2の信号の分析を提供する工程と、
をさらに具えることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記観察ステーションが、遠隔コールセンターおよび対話型専門家システムのうち一方または両方を具えることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記処理が、覚醒状態を示すパラメータおよび前記ユーザの感情状態を示すパラメータの一方または両方を計算する工程を具えることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記ユーザの感情状態を示すパラメータを計算する工程が、前記ユーザの交感神経作用および副交感神経作用の一方または両方に基づくことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ユーザの感情状態を示すパラメータを計算する工程が、皮膚電気活性、心拍、皮膚電気活性変動および心拍変動のいずれか1つ以上に基づくことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記モバイルユニットと関連付けられたディスプレイ上に、前記ユーザの覚醒状態を示すパラメータを示す画像と、前記ユーザの感情状態を示すパラメータを示す画像との一方または両方を表示する工程と、
をさらに具えることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項33】
1つの画像は、二次元ベクトルおよびパラメータの色表示の一方または両方を具えることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記吸気相の継続期間および前記呼気相の継続期間を具える群から選択された呼吸情報を得る際に用いられることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項35】
呼吸情報が、呼吸または発話時に生成される音声から得られることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
呼吸情報が、前記ユーザの呼吸の1つ以上の吸気相の開始および1つ以上の呼気相の開始を示す前記ユーザによって得られることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記ユーザの呼吸数が、前記ユーザの心拍変動に基づいて計算されることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記ユーザの呼吸数が、前記ユーザが呼吸している時の前記ユーザの皮膚静電容量の変化に基づいて計算されることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記吸気相の継続期間、前記呼気相の継続期間、および前記吸気相の前記継続期間の前記呼気相の前記継続期間に対する比のうちいずれか1つ以上を増加するように前記ユーザに訓練する工程をさらに具えることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記モバイルモニタと関連付けられたディスプレイ上にバイオフィードバック情報を示す画像を表示する工程をさらに具え、
前記画像が、呼吸活性を示す画像、EDA活性を示すグラフを具える画像、心拍を示すグラフを具える画像、心拍変動を示すグラフを具える画像、および心拍変動の自動相関を示すグラフを具える画像のうちいずれか1つ以上を具えることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項41】
前記第2の信号の前記分析が、前記ユーザの心理学的/生理学的状態を改善するための前記ユーザのためのアドバイスを具えることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項42】
前記モバイルユニットと関連付けられたディスプレイ上に前記アドバイスを表示する工程をさらに具えることを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記1つ以上の得られた生理学的パラメータのうち1つ以上に関する目標値を表示する工程を具えることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項44】
前記モバイルユニットと関連付けられたディスプレイ上に、前記1つ以上の得られた生理学的パラメータのうちの1つ以上に関する目標値を表示する工程を具えることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項45】
(a)1つ以上の刺激で前記ユーザに呼びかける工程と、
(b)前記1つ以上の刺激に対する前記ユーザの1つ以上の反応をモニタリングする工程と、
(c)前記1つ以上の反応に基づいた計算において、反応の待ち時間、最大反応時間、半回復時間、最大ストレス、および新規な基線ストレスからなる群から選択された少なくとも1つパラメータを計算する工程と、
(d)前記計算されたパラメータのうち1つ以上に基づいて、前記ユーザにフィードバックを提供する工程と、
を具えることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項46】
自己挙動改変方法に用いられる請求項25に記載の方法であって、
(a)認知挙動(cognitive behavioural)セラピー(CBT)、
(b)視覚化、
(c)自己催眠、
(d)自動提案、
(e)注意深さ、
(f)黙想、
(g)感情的知性スキル、
(h)通信ネットワークを介して提供される心理カウンセリング、
を具える群から選択された方法のうちいずれか1つ以上を具えることを特徴とする方法。
【請求項47】
(a)前記ユーザの特定の状態について対話型導入を前記ユーザに提供する工程と、
(b)自己査定のための前記ユーザ対話型質問を提供する工程と、
(c)1つ以上の対話型セッションを前記ユーザに提供する工程であって、前記対話型セッションが、
認知技術を実施する自己訓練のための対話型セッション、
行動セラピーを実施する自己訓練のための対話型セッション、
自己催眠のための対話型セッション、
視覚化のための対話型セッション、
自動提案のための対話型セッション、
生活スキルおよび対人関係スキルを取得および実施するための対話型訓練、
感情的知性スキルを改善するための対話型訓練、
目標およびゴールを見つけるための対話型訓練、および
人生におけるステップを計画するための対話型訓練、
を具える群から選択されることを特徴とする工程をさらに具えることを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記ユーザが深いリラックス状態にあるときに、前記ユーザが、1つ以上の対話型セッションの提供を受けることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
娯楽システムをさらに具え、前記第1のプロセッサが、前記第1の信号に基づいて少なくとも1つコマンドを決定し、前記少なくとも1つコマンドを前記娯楽システムに送信するように構成され;前記娯楽システムが、前記1つ以上のコマンドに基づいてアクションを行うように構成された第3のプロセッサを具えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項50】
前記アクションが、MSメッセージの生成、DVDの制御、コンピュータゲームの制御、および「たまごっち」アニメーションの制御のうちいずれか1つ以上を具えることを特徴とする請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
前記アクションが、表示されたアニメーション画像、映像クリップ、音響クリップ、マルチメディア提示、別の人間とのリアルタイム通信、前記ユーザが答えなければならない質問、および前記ユーザが行わなければならないタスクのうちいずれか1つ以上に対するユーザの反応を処理する工程を具えることを特徴とする請求項49に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図7d】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2008−532587(P2008−532587A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556706(P2007−556706)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【国際出願番号】PCT/IL2006/000230
【国際公開番号】WO2006/090371
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.着メロ
【出願人】(507282820)ヘルス−スマート リミテッド (3)
【Fターム(参考)】