説明

生産ライン

【課題】部品搬送ラインの総長さを短くすることができる生産ラインを提供することを課題とする。
【解決手段】(a)に示す比較例では、ワーク搬送コンベア111に沿って口字形状の部品搬送ライン112が設けられ、この部品搬送ライン112の途中に、部品供給センター113が設けられている。空の部品箱114は、図中、L2で示す距離だけ搬送される。加えて、部品搬送ライン112の総長さは大きい。一方、(b)に示す実施例では、ワーク搬送コンベア12に沿って部品搬送ライン16が設けられているが、この部品搬送ライン16の両端に、部品供給センター23、26が設けられている。結果、空のKITボックス15は、図中、L3で示す距離だけ搬送される。このL3は、(a)に示すL2より格段に小さい。そのため、部品搬送ライン16の総長さも小さくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク搬送コンベアで搬送する車体などのワークへ部品を組付ける生産ラインに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車組立ラインには各種の構成が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平2−243234号公報(第1図)
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図6は従来の自動車組立ラインを説明する図であり、ワーク搬送台車101に車体102が載せられ、図左から右へ移動している。このような組立ライン103に沿って、平面視口の字状にレール105が敷設され、このレール105に部品箱106が吊り下げられている。この部品箱106に部品積込み場107で部品が積込まれる。部品が積込まれた部品箱106は、レール105で組立ライン103まで運ばれる。空の部品箱106はレール105で部品積込み場107へ戻される。
【0004】
平面視口の字状にレール105の4つのコーナにA〜Dを付すと、D−A間が組立ライン103に直接沿っているが、A−B−C−D間は、組立ライン103に接していない。
D−Aの距離をL1とすると、レール105の総距離は、L1の2倍以上で、ほぼ3倍になる。レール105の総距離が長いため、レール105の敷設面積及び敷設費用が嵩む。敷地の有効利用を考えると、レール105の総長さを短くすることができるとともに、生産ラインのより一層の単純化が望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ラインがより単純化でき、レール(部品搬送ライン)の総長さを短くすることができる生産ラインを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、ワークに複数の部品を組付ける生産ラインにおいて、
前記ワークを、少なくともUターン部を有する搬送コンベアで搬送し、
各ワーク単体を搬送する搬送コンベアにKITボックスを配置するとともに、
前記KITボックスの周回路の長手部分を、前記搬送コンベアと並走するようにループ状に配置したことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、ワークに複数の部品を組付ける生産ラインにおいて、
生産ラインを両側から挟むように、2つの部品供給センターを配置し、
当該2つの部品供給センターの間を結ぶように、ループ状にKITボックスを周回させて生産ラインへ部品を供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、KITボックスの流通の動線と生産ラインの動線が常に平行になるので、生産ラインのレイアウトが、すっきりし、ラインの一層の単純化が可能となる。
【0009】
請求項2に係る発明では、2つの部品供給センターの間を結ぶように、ループ状にKITボックスを周回させるため、生産ラインの周囲には空のKITボックスが存在しなくなり、物流効率と省エネ効果を大幅に高めることができるとともに、ラインの総長さを短くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る生産ラインの平面図であり、生産ライン10には、車両などのワーク11を搬送すると共にUターン部20を有するワーク搬送コンベア12が配置されている。このワーク搬送コンベア12に、第1組付けゾーン13と第2組付けゾーン14とを設定する。
この例では、第1組付けゾーン13と第2組付けゾーン14とは、互いに平行であり、且つ搬送方向が互いに逆になっている。
【0011】
そして、第1組付けゾーン13には、組付部品が1セット分収納されている(又は収納可能な)KITボックス15を搬送する周回路の一部を構成する左第1部品搬送ライン16及び右第1部品搬送ライン17とが、左右に各々設けられている。
同様に、第2組付けゾーン14には、KITボックス15を搬送する周回路の一部を構成する左第2部品搬送ライン18及び右第2部品搬送ライン19とが、左右に各々設けられている。
【0012】
さらに、第1部品搬送ライン16、17の出口21及び第2部品搬送ライン18、19の入口22が、第1部品供給センター23に連結され、第2部品搬送ライン18、19の出口24及び第1部品搬送ライン16、17の入口25が、第2部品供給センター26に連結されている。
【0013】
第1部品供給センター23及び第2部品供給センター26で実施される作業内容を次図で説明する。
図2は部品箱の作用を説明する図であり、KITボックス15の形態は任意であるが、例えば、車輪28を備えた箱体29と、この箱体29に設けられた棚31及び天板32と、棚31に載せる第1パレット33と、天板32に載せる第2パレット34及び第3パレット35からなる。
第1パレット33には、ワイパー36が載せられる。第2パレット34及び第3パレット35には車両用小物部品37、38が載せられる。
【0014】
第1部品供給センター23では、第1組付けゾーン(図1、符号13)で、車両に組付ける部品を過不足なく、KITボックス15に積込む。
第2部品供給センター26では、第2組付けゾーン(図1、符号14)で、車両に組付ける部品を過不足なく、KITボックス15に積込む。
【0015】
図1に戻って、第2部品供給センター26から出て左第1部品搬送ライン16で搬出されるKITボックス15は、第1組付けゾーン13の入口で、ワーク搬送コンベア12に連結される。この詳細を次に説明する。
図3は本発明に係る同期部の説明図であり、部品を満載したKITボックス15は、横引きレール41、41でワーク搬送コンベア12に近接される。すると、KITボックス15がワーク搬送コンベア12に機械的に繋がる。以降は、KITボックス15は当該ワーク11に同期して搬送される。
KITボックス15は第1組付けゾーン13の出口で、ワーク搬送コンベア12から別れて、第1部品供給センター23へ向かう。第2組付けゾーン14についても同様である。
【0016】
以上に説明した生産ラインの有利性を次に説明する。
図4は比較例と実施例の比較図であり、(a)に示す比較例では、ワーク搬送コンベア111に沿って口字形状の部品搬送ライン112が設けられ、この部品搬送ライン112の途中に、部品供給センター113が設けられている。空の部品箱114は、図中、L2で示す距離だけ搬送される。加えて、部品搬送ライン112の総長さは大きい。
【0017】
一方、(b)に示す実施例では、ワーク搬送コンベア12に沿って部品搬送ライン16が設けられているが、この部品搬送ライン16の両端に、部品供給センター23、26が設けられている。結果、空のKITボックス15は、図中、L3で示す距離だけ搬送される。このL3は、(a)に示すL2より格段に小さい。そのため、部品搬送ライン16の総長さも小さくなる。
【0018】
次に、エレベータを追加する例を説明する。
図5は図1の変更例を説明する図であり、符号は図1の符号を流用するが、(a)は2階の平面図であり、2階床42に、ワーク搬送コンベア12、左第1部品搬送ライン16、右第1部品搬送ライン17、左第2部品搬送ライン18、右第2部品搬送ライン19は配置されていると共に、第1組付けゾーン13と第2組付けゾーン14との間にセンター通路44が確保され、第1組付けゾーン13の入口を迂回するように左サイド通路45が確保され、第1組付けゾーン13の出口を迂回するように左サイド通路46が確保されている。
【0019】
これらの左右サイド通路45、46を確保するために、第1・第2部品供給ライン16、17、18、19の前後にエレベータ47が設けられている。
(b)は1階(又は3階)の平面図であり、1階床48に第1部品供給センター23と第2部品供給センター26が設けられている。
【0020】
(a)に(b)を重ねると明らかであるが、左右サイド通路45、46に第1部品供給センター23と第2部品供給センター26が被さっている。
図1に示すレイアウトでは、左右サイド通路45、46の確保が難しくなるが、図5であれば、左右サイド通路45、46の確保が容易である。
【0021】
ワーク搬送コンベア12廻りで無人運搬車や有人運搬車や作業者が、多数通行する。このことから、エレベータ47を設けることで、第1・第2部品供給センター23、26を別の階に設けることができれば、通路が容易に確保できるため、好ましいことである
【0022】
尚、本発明の生産ラインは、車両を対象にしたが、ワークは、家電製品など一般組立品、プレハブなどの木工組立品であってもよく、用途や種類は任意である。
また、実施例では、ワーク搬送コンベアはU字形状にしたが、2本のワーク搬送コンベアであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の生産ラインは、車両組立ラインに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る生産ラインの平面図である。
【図2】部品箱の作用を説明する図である。
【図3】本発明に係る同期部の説明図である。
【図4】比較例と実施例の比較図である。
【図5】図1の変更例を説明する図である。
【図6】従来の自動車組立ラインを説明する図である。
【符号の説明】
【0025】
10…生産ライン、11…ワーク、12…ワーク搬送コンベア、13…第1組付けゾーン、14…第2組付けゾーン、15…KITボックス、16、17…第1部品搬送ライン、18、19…第2部品搬送ライン、20…Uターン部、21、24…出口、22、25…入口、23…第1部品供給センター、26…第2部品供給センター。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに複数の部品を組付ける生産ラインにおいて、
前記ワークを、少なくともUターン部を有する搬送コンベアで搬送し、
各ワーク単体を搬送する搬送コンベアにKITボックスを配置するとともに、
前記KITボックスの周回路の長手部分を、前記搬送コンベアと並走するようにループ状に配置したことを特徴とする生産ライン。
【請求項2】
ワークに複数の部品を組付ける生産ラインにおいて、
生産ラインを両側から挟むように、2つの部品供給センターを配置し、
当該2つの部品供給センターの間を結ぶように、ループ状にKITボックスを周回させて生産ラインへ部品を供給することを特徴とする生産ライン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−82793(P2010−82793A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−257900(P2008−257900)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】