説明

用紙搬送装置

【課題】搬送ユニットと縦搬送路との間で紙詰りが生じたときのジャム解消処理時に用紙の破断を防止する。
【解決手段】装置本体11に設けられた手差しトレイ18から画像形成部12に送り込まれた用紙Pを当該画像形成部12で搬送する、装置本体11に対し挿脱可能に設けられた搬送ユニット30と、装置本体11における搬送ユニット30の下流端と対向した壁面に設けられた開閉自在のカバー部材20と、画像形成部12でトナー画像が転写された用紙Pを上方へ向けて搬送するための、カバー部材20の内面側に形成された搬送ユニット30の下流端と接続される用紙縦搬送路101とが備えられ、カバー部材20と、搬送ユニット30との間には、カバー部材20が開放されない限り搬送ユニット30の装置本体11からの引き出しを阻止するロック機構50が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙トレイから装置本体に用紙を搬入し、該用紙に所定の処理を施して外部に排出するように構成された用紙搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙搬送装置の一例として、特許文献1に記載されているような両面印刷が可能な画像形成装置が知られている。この画像形成装置は、複写機やファクシミリ装置、さらにはプリンタ等として使用されるものであり、特に用紙に両面印刷を施し得るように構成されている。かかる画像形成装置は、装置本体の下部に複数枚の用紙(用紙束)を貯留する用紙カセットが設けられているとともに、この用紙カセットの上方位置に感光体ドラム等を備えた画像形成部(処理部)が配設されている。また、画像形成部の下流側の上部には定着部が設けられている。
【0003】
そして、用紙カセット内の用紙束から1枚ずつ繰り出された用紙は、上部の画像形成部へ給紙され、ここで水平方向に移動しながら感光体ドラム上のトナー画像が転写される。転写処理後の用紙は、画像形成部の下流端から上方へ向かう縦搬送路に沿って搬送され、定着部で定着処理が施されたのち排紙トレイに排出される。感光体ドラムは、縦搬送路に臨んで設けられている。
【0004】
かかる画像形成装置において、装置本体における画像形成部の下流端と定着部との間の用紙搬送路に対応した壁面には、メンテナンス用扉(特許文献1では搬送路部カバー)が設けられている。そして、この位置で紙詰りが発生したときこのカバー部材が開放され、詰まった用紙が取り除かれる。
【0005】
ところで、特許文献1に記載の画像形成装置のように、両面印刷が可能に構成されたものにあっては、定着部を通過することにより表面側に印刷処理が施された用紙は、一旦排紙トレイに排出される直前まで搬送された後に定着部をバイパスするバイパス搬送路を通って逆送され、画像形成部と用紙トレイとの間に形成された反転搬送路を有する両面ユニットへ導入される。その後、反転搬送路中の用紙は、表裏が反転された状態で下から縦搬送路に順送される。これにより縦搬送路に臨んだ感光体ドラムからの用紙裏面へのトナー像の転写処理が行われる。
【0006】
このような両面印刷用の画像形成装置にあっては、逆送中の用紙がバイパス搬送路と両面ユニットとの間に位置した状態で詰まったときに、両面ユニットが不用意に装置本体から抜き出されると、当該用紙は、バイパス搬送路と両面ユニットとの間で分断されてしまうという、いわゆる泣き別れ現象が生じ、これにより用紙の詰まり状態が複雑になってジャムの解消処理が困難になるという不都合が生じる。
【0007】
かかる不都合を解消するべく、特許文献1には、カバー部材が開放されない限り両面ユニットが引き出し得なくなるようにロックされたり(特許文献1の段落〔0002〕)、両面ユニットを引き出すために設けられた把手が両面ユニット内に没入されたり(特許文献1の段落〔0004〕等)することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−2704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、画像形成部における紙詰りがし易い場所は、バイパス搬送路と両面ユニットとの間ばかりではなく、用紙トレイと縦搬送路との間も挙げられる。その理由は、用紙トレイと縦搬送路との間が用紙の搬送方向を水平方向から垂直方向に方向変換される部分であるからである。
【0010】
そして、画像形成部における用紙の搬送のために、装置本体に対して挿脱可能な搬送ユニットが採用されているような画像形成装置にあっては、搬送ユニットと縦搬送路との間で紙詰りが発生した場合、カバー部材(引用文献1では搬送路部カバー)を開放して縦搬送路側から紙詰りを解消しない状態で不用意に搬送ユニットが装置本体から引き出されると、泣き別れ状態で用紙が破断してしまうという不都合が生じる。この不都合は、たとえ両面ユニットとカバー部材との間にインターロック構造が採用されていても解消されるものではない。
【0011】
本発明は、かかる状況に鑑みなされたものであって、搬送ユニットと縦搬送路との間で紙詰りが生じたときのジャム解消処理時に用紙の破断を防止することができる用紙搬送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一の局面に係る用紙搬送装置は、処理部を備えた装置本体と、前記装置本体に設けられ、用紙が載置される用紙トレイと、前記用紙トレイと前記処理部との間に介設され、かつ、前記用紙トレイ上の用紙を前記処理部へ向かわせる第1用紙搬送路を備え、前記装置本体に対して挿脱可能な搬送ユニットと、前記第1用紙搬送路に配置され、該第1用紙搬送路に導入された用紙を搬送する第1搬送ローラ対と、前記装置本体における前記搬送ユニットの下流端と対向する壁面に設けられた開閉自在のカバー部材と、前記カバー部材が閉止されることにより当該カバー部材の内面側と前記処理部との間に形成され、前記搬送ユニットからの用紙を前記処理部に向けて搬送するための第2用紙搬送路と、前記第2用紙搬送路に配置され、該第2用紙搬送路に導入された用紙を搬送する第2搬送ローラ対と、前記カバー部材と、前記搬送ユニットとの間に設けられ、カバー部材が閉止された状態で前記搬送ユニットの装置本体からの引き出しを阻止するロック機構と、を備え、前記ロック機構は、前記カバー部材の開閉動作により前記搬送ユニットに対し正逆移動するロックロッドを有し、前記ロックロッドは、前記カバー部材が閉止された状態で前記搬送ユニットと干渉する一方、前記カバー部材が開放された状態で前記搬送ユニットとの干渉が解消されるように長さ寸法が設定されており、前記ロックロッドは、前記カバー部材側のロックロッド本体と、このロックロッド本体の前記搬送ユニット側に進退可能に設置された進退ロッドと、この進退ロッドを前記搬送ユニット側に向けて付勢する付勢部材とを備えていることを特徴とするものである。
【0013】
かかる構成によれば、カバー部材が閉止された状態では、ロック機構により搬送ユニットの装置本体からの引き出しが阻止されるため、カバー部材の内側の縦搬送路と搬送ユニットとの間に用紙が存在する状態で搬送ユニットが装置本体から引き出されることはない。従って、用紙が詰まった状態で搬送ユニットが引き出されることにより生じる詰まった用紙の分断を未然に防止することができ、ジャム処理が困難になるような不都合の発生が防止される。また、ユーザーは、紙詰りが生じたとき、搬送ユニットを引き出すことができないことでカバー部材を開放しなければならないことに思い当たることができ、ジャム解消作業の作業性の向上に貢献する。
【0014】
このようなことから、ジャム処理を行うに際しては、まずカバー部材が開放される。こうすることで、詰まった用紙を縦搬送路側から引き出して搬送ユニットと縦搬送路との接続位置から外すことができる。この状態で搬送ユニットを引き出し、搬送ユニット側からの紙詰まりの解消作業を行うことが可能になる。
【0015】
また、前記ロック機構は、前記カバー部材の開閉動作により前記搬送ユニットに対し正逆移動するロックロッドを有し、前記ロックロッドは、前記カバー部材が閉止された状態で前記搬送ユニットと干渉する一方、前記カバー部材が開放された状態で前記搬送ユニットとの干渉が解消されるように長さ寸法が設定されている。
【0016】
これにより、カバー部材が閉止された状態では、ロックロッドが搬送ユニットと干渉し、これによって搬送ユニットは、装置本体から引き出すことができなくなっているため、カバー部材が閉止されているにも拘わらず、搬送ユニットが不用意に装置本体から引き出されてしまうことがない。
【0017】
これに対し、カバー部材が開放された状態では、ロックロッドの搬送ユニットとの干渉が解消されるため、搬送ユニットは、装置本体から引き出し可能になる。
【0018】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記進退ロッドの先端部には、引き出された搬送ユニット側の面から先端に向かって搬送ユニットの押し込み方向へ傾斜した案内傾斜面が設けられていることを特徴とするものである。
【0019】
かかる構成によれば、進退ロッドの先端部には、引き出された搬送ユニット側の面から先端に向かって搬送ユニットの押し込み方向へ傾斜した案内傾斜面が設けられているので、カバー部材が開放されることによるロックロッドのロック解除で搬送ユニットが装置本体から引き出されて所定のメンテナンス作業が行われた後において、搬送ユニットが装置本体に押し込まれるより先にカバー部材が閉止された状態であっても、搬送ユニットを装置本体に押し込んでいくと、付勢部材の付勢力でロックロッド本体から搬送ユニットに向けて付勢されている進退ロッドの先端の案内傾斜面が搬送ユニットに相対的に押圧当接し、これによって付勢部材の付勢力に抗して退行するため、搬送ユニットは、ロックロッドに阻止されることなく装置本体内に押し込まれ、その後、補正部材の付勢力で進行したロックロッドによりロックされる。
【0020】
このように、進退ロッドの先端部に、カバー部材が閉止された状態で、搬送ユニットの装置本体への押し込み動作と干渉して一旦退行したのち付勢部材の付勢力で進行し得るように案内傾斜面を設けることで、開放されていたカバー部材を引き出されていた搬送ユニットよりも先に閉止した状態であっても、搬送ユニットを進退ロッドの往復移動で装置本体内に押し込んでロックロッドによりロックさせることが可能になる。
【0021】
従って、メンテナンス作業時に開放されたカバー部材および引き出された搬送ユニットの閉止および押し込み操作の順番に関し、まず搬送ユニットを押し込んでからカバー部材を閉止するようにユーザーに強制する必要がなくなり、これら操作の自由度が大きくなってメンテナンス作業の作業性が向上する。
【0022】
請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記装置本体には、前記カバー部材と対向した開閉可能な表装ドアーが設けられ、前記表装ドアーと前記カバー部材との間には、両面印刷処理時に用紙を逆送させる逆送搬送路が形成されていることを特徴とするものである。
【0023】
かかる構成によれば、表装ドアーにより装置本体の外観視の美麗さを確保した上で、当該表装ドアーとカバー部材との間に両面印刷処理時に使用される逆送搬送路が形成されるため、装置本体側に専用の逆送搬送路を設ける場合に比較し、部品点数の削減を図ることができ、装置コストの低減化に貢献する。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る用紙搬送装置によれば、装置本体に設けられたカバー部材が閉止された状態では、ロック機構のロックにより搬送ユニットを装置本体から引き出すことができないため、この状態で搬送ユニットを引き出すことにより詰まった用紙が分断されるような不都合の発生を防止した上で、紙詰りの解消作業を行うことができる。
【0025】
特に、ロックロッドを、カバー部材側のロックロッド本体と、このロックロッド本体に接続された、搬送ユニットの装置本体に対する押し込み操作で往復動する進退ロッドとで構成することにより、メンテナンス作業時に開放されたカバー部材および引き出された搬送ユニットの閉止および装置本体への押し込み操作に関しその順番を決める必要がなくなるため、これら操作の自由度が大きくなり、結果として紙詰りの解消作業等のメンテナンス作業の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す斜視図であり、前面カバーが外された状態を示している。
【図2】画像形成装置の内部構造を説明するための正面断面視の説明図である。
【図3】カバー部材、搬送ユニット、中間搬送ユニットおよびロック機構の相対的な位置関係を説明するための装置本体内の部分斜視図である。
【図4】搬送ユニットの一実施形態を示す斜視図である。
【図5】図4のV線視の図(正面図)である。
【図6】ロック機構の第1実施形態を示す斜視図であり、(A)は、一部切り欠き分解斜視図、(B)は、組み立て斜視図である。
【図7】ロック機構の作用を説明するための説明図であり、(A)は、カバー部材が閉止姿勢に姿勢設定された状態、(B)は、カバー部材が開放姿勢に姿勢設定された状態をそれぞれ示している。
【図8】ロック機構の第2実施形態を示す斜視図であり、(A)は分解斜視図、(B)は組み立て斜視図である。
【図9】図8(B)の断面図であり、(A)は、IX(A)−IX(A)線断面図、(B)は、IX(B)−IX(B)線断面図である。
【図10】第2実施形態に係るロック機構が装置本体の仕切り板に装着された状態を示す斜視図である。
【図11】ロック機構の作用を説明するための平面断面視の説明図であり、(A)は、搬送ユニットが装置本体内から完全に引き出されてしまった状態、(B)は、搬送ユニットを装置本体に押し込み始めた状態、(C)は、搬送ユニットが装置本体内に押し込まれた状態をそれぞれ示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明に係る画像形成装置10(用紙搬送装置の一例)の一実施形態を示す斜視図であり、前面カバーが外された状態を示している。また、図2は、画像形成装置10の内部構造を説明するための正面断面視の説明図である。なお、図1および図2においてX−X方向を左右方向、Y−Y方向を前後方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方、−Y方向を前方、+Y方向を後方という。
【0028】
まず、図1に示すように、画像形成装置10は、いわゆる胴内排紙型と称される複写機であり、装置本体11に画像形成部12(処理部)と、定着部13と、用紙貯留部14と、排紙部15と、画像読取部16と、操作部17とが形成されている。そして、画像読取部16の下部で装置本体11の一部が凹没されることによって前記排紙部15が形成され、これにより当該画像形成装置10が胴内排紙型と称されている。
【0029】
前記装置本体11は、外観視で直方体状を呈した下部本体111と、この下部本体111の上方に対向配置された扁平な直方体状を呈する上部本体112と、この上部本体112と前記下部本体111との間に介設された連結部113とを備えている。前記連結部113は、下部本体111と上部本体112との間に排紙部15を形成させた状態で両者を互いに連結するための構造物であり、下部本体111の左部から立設されている。前記上部本体112は、その左部がかかる連結部113の上端部に支持されている。
【0030】
そして、前記下部本体111には、画像形成部12、定着部13および用紙貯留部14が内装されているとともに、前記上部本体112には画像読取部16が装着されている。前記操作部17は、本実施形態においては、上部本体112の前縁部から前方に向かって突設されている。
【0031】
用紙貯留部14は、装置本体11に対して挿脱自在の用紙カセット141を有している。この用紙カセット141には用紙束P1(図2)が貯留されている。そして、画像形成処理が行われるに際し、この用紙束P1から用紙Pが1枚ずつ繰り出され、画像形成部12へ送り込まれて当該用紙Pに印刷処理が施される。本実施形態では、用紙カセット141は2段で設けられている。
【0032】
前記排紙部15は、下部本体111と上部本体112との間に形成されている。かかる排紙部15は、下部本体111の上面に形成された胴内排紙トレイ151を有し、画像形成部12からのトナー画像が転写された用紙Pは、連結部113の下部からこの胴内排紙トレイ151へ向けて排出される。
【0033】
前記画像読取部16は、上部本体112の上面開口に装着された、原稿を載置するためのコンタクトガラス161と、このコンタクトガラス161に載置された原稿を押さえる開閉自在の原稿押さえカバー162と、コンタクトガラス161に載置された原稿の画像を走査する走査機構163とを備えている。
【0034】
そして、走査機構163によって読み取られた原稿画像のアナログ情報は、デジタル信号に変換された後に後述する露光ユニット123へ向けて出力され、画像形成処理に供される。
【0035】
前記操作部17は、画像形成処理に関する処理情報を入力操作するためのものであり、用紙Pの処理枚数を入力するためのテンキー171やその他の各種の操作キー、さらにはタッチ入力を行うためのLCD(Liquid crystal display)172等が設けられている。
【0036】
また、下部本体111の右面には、用紙貯留部14の直上位置に手差しトレイ(用紙トレイ)18が設けられている。この手差しトレイ18は、下部が支持軸181回りに回動可能に軸支され、手差しの給紙口を閉止するべく起立した閉止姿勢と、右方へ向かって突出した開放姿勢との間で姿勢変更可能とされている。かかる手差しトレイ18は、開放姿勢に姿勢設定された状態で1枚ずつの用紙Pの手差しに供される。
【0037】
このような手差しトレイ18と前記画像形成部12の後述する感光体ドラム121との間には搬送ユニット30と、中継ユニット40が設けられ、手差しトレイ18から手差しで給紙された用紙P(図2)は、これら搬送ユニット30および中継ユニット40を介して感光体ドラム121と後述する転写ローラ125との間のニップ部へ向けて送り出される。
【0038】
また、前記下部本体111の左面には、開閉可能なメンテナンス用のメンテナンスドアー(表装ドアー)19が設けられているとともに、このメンテナンスドアー19の直上位置には、開閉可能な胴外排紙トレイ152が設けられている。画像形成部12で印刷処理が完了した用紙Pは、この胴外排紙トレイ152および前記胴内排紙トレイ151のいずれかに選択的に排出される。
【0039】
以下、図2を基に画像形成装置10の内部構造についてその概要を説明する。図2に示すように、前記画像形成部12には、その略中央部に感光体ドラム121が設けられている。この感光体ドラム121は、ドラム心回りに時計方向に向けて回転しながらその直ぐ右方位置に設けられた帯電ユニット122により周面が一様に帯電される。そして、前記画像読取部16で読み取られた原稿画像の画像情報に基づく露光ユニット123からのレーザビームにより感光体ドラム121の周面に静電潜像が形成される。この静電潜像に向けて感光体ドラム121の下方に設けられた現像ユニット124から現像剤(以下、トナーという)が供給され、これによって感光体ドラム121の周面にトナー像が形成される。
【0040】
トナー像が形成された感光体ドラム121には、用紙貯留部14のいずれかの用紙カセット141から送り出された用紙Pが用紙縦搬送路101およびレジストローラ対142を介して送り込まれる。そして、この用紙Pには、感光体ドラム121の左方で当該感光体ドラム121と対向配置された転写ローラ125の作用で感光体ドラム121の周面のトナー像が転写される。トナー像が転写された用紙Pは感光体ドラム121から分離されて定着部13へ送り込まれる。
【0041】
用紙Pに対するトナー像の転写処理が完了した感光体ドラム121は、時計方向へ向かう回転が継続されることにより、その直上位置に設けられたクリーニング装置126によってその周面が清浄化処理され、つぎの画像形成処理のために帯電ユニット122へ向かうことになる。
【0042】
前記定着部13は、内部にハロゲンランプ等の通電発熱体を備えた定着ローラ131と、左方でこの定着ローラ131と対向配置された加圧ローラ132とを有している。そして、画像形成部12から送り込まれた用紙Pは、これら定着ローラ131と加圧ローラ132との間のニップ部を通過しながら熱を得てトナー像の定着処理が施される。
【0043】
定着処理後の用紙Pは、当該用紙Pが片面印刷用のものである場合には、定着部13の上方に設けられた排紙搬送路102を介して選択的に排紙部15の胴内排紙トレイ151へ排出されたり、胴外排紙トレイ152へ排出されたりする。
【0044】
一方、定着処理後の用紙Pが片面の印刷処理が完了した両面印刷用のものである場合には、排紙搬送路102の上方に設けられた往復搬送路103を介して前半が胴内排紙トレイ151の上方に形成された一時退避空間153に排紙されたのち後述する逆送搬送路104を介して逆送され、表裏が反転した状態で再度画像形成部12に供給されて裏面側に印刷処理が施される。両面印刷が完了した用紙Pは、排紙トレイ151または胴外排紙トレイ152へ排出される。
【0045】
このような画像形成装置10において、下部本体111には、メンテナンスドアー19の直ぐ内側に、画像形成部12に対して開閉可能なカバー部材20が設けられている。このカバー部材20は、閉止された前記メンテナンスドアー19の右面側に包持された状態で配設されている。かかるカバー部材20は、その下端部がメンテナンスドアー19の下端部より若干上方に位置した状態で当該下端部が下部本体111に支持された支軸21回りに回動自在に軸支されている。そして、このようなカバー部材20は、支軸21回りに正逆回動することで、画像形成部12の左面を閉止した閉止姿勢(図2に実線で表示)と、同左面を開放した開放姿勢(図2に二点鎖線で表示)との間で姿勢変更可能とされている。
【0046】
そして、カバー部材20が閉止姿勢に姿勢設定された状態で、当該カバー部材20の右面側に用紙カセット141や手差しトレイ18から給紙された用紙Pを搬送するための前記用紙縦搬送路101が形成されている。
【0047】
このようなカバー部材20が設けられるのは、画像形成部12の左面に対応した用紙縦搬送路101で紙詰りが生じたときに、カバー部材20を開放姿勢に姿勢変更させて詰まった用紙Pを外部に露出させ、これによって詰まった用紙Pを取り除くことができるようにするためである。
【0048】
また、閉止姿勢に姿勢設定された前記メンテナンスドアー19の右面と、閉止姿勢に姿勢設定された前記カバー部材20の左面との間には、用紙Pに両面印刷を施すに際し、片面のみに印刷処理が施された用紙Pを逆送させるための逆送搬送路104が形成される。この逆送搬送路104に沿って逆送された用紙Pは、表裏が反転された状態で感光体ドラム121より下方の用紙縦搬送路101へ導入され、これによって当該用紙Pの裏面側に印刷処理が施される。両面印刷が完了した用紙Pは、胴内排紙トレイ151または胴外排紙トレイ152へ排出される。
【0049】
そして、本実施形態においては、手差しトレイ18から手差しで給紙された用紙Pは、当該手差しトレイ18の奥部(左方)に設けられた繰り出しローラ182の駆動により左方に向けて繰り出され、搬送ローラ対183、搬送ユニット30および中継ユニット40を介して前記用紙縦搬送路101における感光体ドラム121より若干下方位置へ導入される。
【0050】
前記中継ユニット40は、搬送ユニット30の下流端に対向した受入開口と、用紙縦搬送路101の右側壁に形成された排出開口との間に形成された上に凹の円弧状の中間搬送路41を有し、搬送ユニット30からの用紙Pは、中継ユニット40においてこの中間搬送路41を通って用紙縦搬送路101へ供給される。
【0051】
従って、手差しトレイ18から手差しされた用紙Pは、繰り出しローラ182、搬送ローラ対183、搬送ユニット30、中継ユニット40の中間搬送路41および用紙縦搬送路101を通って画像形成部12へ供給され、感光体ドラム121によるトナー像の転写処理および定着部13による定着処理が施された後、片面印刷の場合はそのまま排紙部15へ排出され、両面印刷の場合は前述した裏面側への印刷処理が施された後に排紙部15へ排出される。
【0052】
前記搬送ユニット30は、メンテナンス作業や紙詰りの解消作業等を容易に行い得るようにするべく、下部本体111に対して前後方向(図2の紙面の表裏方向)に向けて挿脱可能とされている。そして、前記カバー部材20が開放されない限り搬送ユニット30を下部本体111から引き出すことができないようにロックするロック機構50が設けられている。
【0053】
このようなロック機構50が設けられるのは、以下の理由による。すなわち、搬送ユニット30で紙詰りが生じたときには、詰まった用紙Pは、中継ユニット40を介して搬送ユニット30と用紙縦搬送路101との間に位置している場合が多く、このような場合に、カバー部材20が開放されることなく搬送ユニット30が下部本体111から引き出されると、詰まっている用紙Pの上流側(左側)が中継ユニット40に残ったままで下流側(右側)のみが搬送ユニット30に同伴して引き出されてしまい、これによって用紙Pが分断されてしまって紙詰りの解消作業が困難になるからである。
【0054】
かかる用紙Pの分断を防止するべく、カバー部材20が開放されない限り搬送ユニット30を引き出し得なくするロック機構50が設けられているのである。
【0055】
以下、搬送ユニット30、中継ユニット40およびロック機構50について図3〜図4を基に説明する。図3は、カバー部材20、搬送ユニット30、中継ユニット40およびロック機構50の相対的な位置関係を説明するための装置本体11内の部分斜視図であり、図4は、搬送ユニット30の一実施形態を示す斜視図である。また、図5は、図4のV線視の図(正面図)である。なお、図3および図4におけるXおよびYによる方向表示は、図1の場合と同様(Xは左右方向(−X:左方、+X:右方)、Yは前後方向(−Y:前方、+Y:後方))である。
【0056】
前記カバー部材20は、前後幅方向一対の側板22(図2および図4には前方の側板22のみを示している)と、これら一対の側板22間で前後方向に向けて並設された側板22と略同一形状の複数枚の搬送フィン23とを有している。これら側板22および搬送フィン23は、正面視で中央部が右方に向けて膨出した弓形形状を呈し、複数枚の搬送フィン23の各右縁面により手差しトレイ18から搬送ユニット30および中継ユニット40を介して送り込まれた用紙Pを感光体ドラム121(図2)へ向けて搬送する用紙縦搬送路101(図2)が形成されている。
【0057】
かかるカバー部材20は、下端部が前記中継ユニット40の上下方向の中央部と略同一高さレベルに設定されている。これによって中継ユニット40から送り出された用紙Pは、複数枚の搬送フィン23に案内されて横方向から縦方向に方向変換しつつ用紙縦搬送路101へ導入される。
【0058】
そして、カバー部材20を軸支する支軸21は、カバー部材20の下端部において側板22および搬送フィン23を貫通して設けられ、前後の端部が装置本体11の前後の図略のフレームに支持されている。これによってカバー部材20は、支軸21回りに正逆回動することで閉止姿勢(図2に実線で表示)と開放姿勢(図2に二点鎖線で表示)との間で姿勢変更することができる。
【0059】
前記中継ユニット40は、装置本体11内において前記用紙貯留部14(図2)と、画像形成部12とを仕切る仕切り板114上に据え付けられている。かかる中継ユニット40は、正面視で略矩形状を呈しており、前後幅方向一対の側板41(図3には前方の側板41のみを示している)と、これら一対の側板41間で前後方向に向けて並設された側板41と略同一形状の複数枚の上部搬送フィン42および下部搬送フィン43(図5)とを有している。
【0060】
そして、前記上部搬送フィン42および下部搬送フィン43間には、下流端が用紙縦搬送路101へ向かうように上に凹に形成された中継ユニット内搬送路44が形成されている。従って、搬送ユニット30から中継ユニット40へ送り込まれた用紙Pは、中継ユニット内搬送路44を通り、その下流端から用紙縦搬送路101へ向けて送り出される。
【0061】
前記搬送ユニット30は、図4に示すように、前記仕切り板114上における中継ユニット40の直ぐ上流側で装置本体11に対し挿脱可能に装着されている。かかる搬送ユニット30は、正面視で左右方向に長尺の略矩形状を呈しており、前後幅方向一対の側板31(図3には前方の側板31のみを示している)と、これら一対の側板31間で前後方向に向けて並設された側板31と略同一形状の複数枚の上部搬送フィン32および下部搬送フィン33(図5)とを有している。
【0062】
そして、前記上部搬送フィン32および下部搬送フィン33間には、略水平方向に向かって延びる搬送ユニット内搬送路34が形成されている。従って、手差しトレイ18から繰り出しローラ182および搬送ローラ対183(図2)を介して搬送ユニット30へ送り込まれた用紙Pは、搬送ユニット内搬送路34を通り、その下流端から前記中継ユニット40の中継ユニット内搬送路44へ向けて送り出される。
【0063】
前記一対の側板31間には、前後方向の中央部より若干右方位置に前記搬送ユニット内搬送路34を挟んだ状態で上下一対の上流側搬送ローラ対35をそれぞれ同心で軸支する上下一対の上流側ローラ軸351が架設されているとともに、左端位置に同様の上下一対の下流側搬送ローラ対36を同心で軸支する上下一対の下流側ローラ軸361が架設されている。上流側および下流側搬送ローラ対35,36は、いずれも周面同士が当接されている。
【0064】
前記一対の上流側ローラ軸351の内の上部のものには、後方の側板31を貫通したその後端に上流側プーリ352(図4)が同心で一体回転可能に外嵌されているとともに、前記一対の下流側ローラ軸361の内の上部のものには、後方の側板31を貫通したその後端に下流側プーリ362(図4)が同心で一体回転可能に外嵌されている。そして、これら上流側プーリ352および下流側プーリ362間には連絡ベルト37が掛け回されている。
【0065】
また、上部の下流側ローラ軸361における下流側プーリ362よりさらに後方には同心で軸心回りに一体回転可能に従動ギヤ363が取り付けられている。この従動ギヤ363には、装置本体11内の適所に設けられた図略の駆動モータの駆動力が伝達され、これによって上部の下流側ローラ軸361が軸心回りに回転するとともに、この回転は、連絡ベルト37を介して上流側プーリ352および上部の上流側ローラ軸351へ伝達され、これによって上流側ローラ軸351も下流側ローラ軸361と同時に同一方向に向けて回転する。
【0066】
これら上流側および下流側ローラ軸351,361の同期回転による上流側搬および下流側搬送ローラ対35,36の同期回転により搬送ユニット内搬送路34へ導入された用紙Pは、これら上流側搬および下流側搬送ローラ対35,36に挟持されつつ搬送ユニット内搬送路34内を中継ユニット40へ向けて搬送される。
【0067】
そして、本実施形態においては、上部の上流側ローラ軸351の前端部に同心で一体回転可能な搬送ダイヤル38が設けられている。この搬送ダイヤル38は、搬送ユニット内搬送路34において紙詰りが発生したような場合に回転操作されるものであり、この回転操作による上流側および下流側搬送ローラ対35,36の回転によって詰まっている用紙Pが排出される。
【0068】
また、前方の側板31には、その略中央位置に背面視でU字状を呈した取っ手311が設けられている。この取っ手311は、メンテナンス作業時や搬送ユニット30で紙詰まりが生じたときに当該搬送ユニット30を装置本体11から引き出すときに把持するためのものである。
【0069】
さらに、一対の側板31間には、左方位置の下部に前記下部の下流側ローラ軸361を支持するための軸支角材312が架設されている。この軸支角材312の前端部には、左面から切り込まれた状態で凹設された、後述するロックロッド52の左端部を嵌め込むためのロック溝313が設けられている。
【0070】
前記ロック機構50は、カバー部材20が閉止姿勢に姿勢設定された状態では、搬送ユニット30を装置本体11から引き出し得なくするべく搬送ユニット30の移動をロックするためのものである。かかるロック機構50は、仕切り板114上における中継ユニット40の前方位置であって、かつ、カバー部材20と搬送ユニット30との間に設けられている。
【0071】
以下、第1実施形態のロック機構50について、図6を基に、必要に応じて図1〜図5を参照しながら説明する。図6は、ロック機構50の第1実施形態を示す斜視図であり、図6(A)は、一部切り欠き分解斜視図、図6(B)は、組み立て斜視図である。なお、図6におけるXおよびYによる方向表示は、図1の場合と同様(Xは左右方向(−X:左方、+X:右方)、Yは前後方向(−Y:前方、+Y:後方))である。
【0072】
まず、図6(A)に示すように、ロック機構50は、平面視で矩形状を呈する直方体状の枠体51と、この枠体51に貫通状態で装着されるロックロッド52と、このロックロッド52に外嵌固定されるフランジ53と、前記枠体51内でこのロックロッド52に圧縮外嵌された状態とされるコイルスプリング54とを備えている。前記フランジ53には、ロックロッド52が摺接状態で貫通される角孔531が穿設されている。
【0073】
前記枠体51は、縦長の矩形状の左面板511と、右方でこの左面板511と対向された同一形状の右面板512と、これら左面板511および右面板512の前方縁部間に架設された左右方向に長めの前方板513と、同後方縁部間に架設された前方板513と同一形状の後方板514とを備えている。左面板511および右面板512の下縁部形は、それぞれ下方に向けて突設された係止突片515を有し、これらの係止突片515が装置本体11の仕切り板114に穿設された図略の係止孔に圧入されるとことにより、ロック機構50が仕切り板114に固定される。
【0074】
また、左面板511の上方位置には、ロックロッド52を挿通するための上部挿通孔516が貫設されているとともに、右面板512の上下方向中央部より若干下方位置に下部挿通孔517が貫設されている。これら上下の挿通孔516,517は、ロックロッド52を挿通するためのものである。
【0075】
これら上下の挿通孔516,517は、各中心位置を結ぶ直線の左方に向かう延長線が前記側板22の右縁部に突き当たるとともに、同右方に向かう延長線が前記ロック溝313(図4)に向かうように貫設位置が設定されている。
【0076】
前記ロックロッド52は、前記上下の挿通孔516,517に挿通された状態で、図5に示すように、閉止姿勢に姿勢設定されたカバー部材20の前方の側板22の右下部傾斜縁部221に上端部が当止するとともに、下端部が搬送ユニット30の軸支角材312に凹設された前記ロック溝313(図4)に嵌り込むように長さ寸法が設定されている。
【0077】
前記ロックロッド52に外嵌されて固定されるフランジ53は、ロックロッド52が上下の挿通孔516,517に挿通され、かつ、カバー部材20が閉止姿勢に姿勢設定された状態で、ロックロッド52における前記上部挿通孔516の直ぐ右側に位置するように設置位置が設定されている。
【0078】
前記コイルスプリング54は、上下の挿通孔516,517の中心位置間の距離より若干長めに長さ設定されている。従って、ロックロッド52に外嵌された状態で枠体51内に装着されることにより圧縮弾性変形する。
【0079】
かかるコイルスプリング54は、フランジ53が左面板511の右面側に当接された状態で当該フランジ53と右面板512との間に圧縮状態で嵌め込まれ、この状態でロックロッド52が左面板511の上部挿通孔516、フランジ53の角孔531および右面板512の下部挿通孔517に差し通され、最後にフランジ53がロックロッド52の所定の位置に溶接止めで固定されることにより、図6(B)に示すように、枠体51に装着される。
【0080】
なお、本実施形態においては、後方板514に上縁部から下方に向かって切り込まれた状態の切り込み溝514aが設けられ、この切り込み溝514aを介してフランジ53のロックロッド52への溶接処理が施される。
【0081】
図7は、ロック機構50の作用を説明するための説明図であり、図7(A)は、カバー部材20が閉止姿勢に姿勢設定された状態、図7(B)は、カバー部材20が開放姿勢に姿勢設定された状態をそれぞれ示している。なお、図7におけるXによる方向表示は、図1の場合と同様(−X:左方、+X:右方)である。
【0082】
まず、図7(A)に示すように、カバー部材20が閉止姿勢に姿勢設定された状態では、カバー部材20の側板22の右下部傾斜縁部221が、コイルスプリング54の付勢力に抗してロックロッド52を右方に向けて押圧し、これによりロックロッド52の枠体51からの右方斜め下に向けての突出量が増大しロックロッド52の右端部が搬送ユニット30の軸支角材312のロック溝313に嵌り込んだロック状態になっているため、搬送ユニット30を装置本体11から引き出すことができない。
【0083】
因みに、カバー部材20が閉止姿勢に姿勢設定されているときは、カバー部材20の適所に設けられた図省の係止手段による係止でカバー部材20の閉止姿勢が維持される一方、係止手段に所定の操作を行うことで前記係止状態が解除されてカバー部材20は、開放可能になる。
【0084】
従って、カバー部材20が閉止姿勢に姿勢設定されているときに、搬送ユニット30から中継ユニット40に亘った状態で紙詰りが発生したような場合、誤ってカバー部材20の開放に先立ち搬送ユニット30を装置本体11から引き出そうとしても、搬送ユニット30は引き出されないため、詰まった用紙Pが泣き別れで破断するような不都合の発生が防止される。
【0085】
これに対し、紙詰りが発生したとき、図7(B)に示すように、予めカバー部材20が開放されると、ロックロッド52の左端部に対するカバー部材20の押圧が解除されるため、ロックロッド52は、フランジ53を介してコイルスプリング54の付勢力を受け、これによって左方に向けて移動する。この移動によってロックロッド52の右端部が搬送ユニット30のロック溝313から外れるため、搬送ユニット30は、前方(図7における紙面の表側)へ向かって引き出し可能になる。
【0086】
従って、一旦カバー部材20を開いてカバー部材20側から詰まった用紙Pを所定長さだけ引き出し、用紙Pの下流端を搬送ユニット30から中継ユニット40側に移した状態で搬送ユニット30を引き出せば、用紙Pが破断することなく中継ユニット40に残留するため、この状態で搬送ユニット30側からも詰まりの解消作業を行うことができ、用紙Pを破断させることなく紙詰り解消作業の効率化が実現する。
【0087】
以下、図8および図9を基に第2実施形態に係るロック機構50′について説明する。図8は、ロック機構50′の第2実施形態を示す斜視図であり、図8(A)は、分解斜視図、図8(B)は、組み立て斜視図である。また、図9は、図8(B)の断面図であり、図9(A)は、IX(A)−IX(A)線断面図、図9(B)は、IX(B)−IX(B)線断面図である。なお、図9(A)における大きな円内は、ロックロッド52′に記された小さな円内の拡大図である。図8および図9におけるXおよびYによる方向表示は、図6の場合と同様(Xは左右方向(−X:左方、+X:右方)、Yは前後方向(−Y:前方、+Y:後方))である。
【0088】
まず、図8(A)に示すように、第2実施形態のロック機構50′は、組み立てられた状態で直方体状を呈する枠体51′と、この枠体51′に貫通状態で装着されるロックロッド52′と、このロックロッド52′圧縮外嵌される大径コイルスプリング54′と、前記ロックロッド52′に圧縮状態で内嵌される小径コイルスプリング57とを備えている。
【0089】
前記枠体51′は、平面視でコ字状を呈した枠体本体510と、この枠体本体510の後面開口を閉止する蓋体518とを備えている。前記枠体本体510は、縦長の矩形状の左面板511と、右方でこの左面板511と対向された同一形状の右面板512と、これら左面板511および右面板512の前方縁部間に架設された左右方向に長めの前方板513とを備えている。
【0090】
左面板511および右面板512の下縁部形は、それぞれ下方に向けて突設された係止突片515を有し、これらの係止突片515が装置本体11の仕切り板114(図3)に穿設された図略の係止孔に圧入されるとことにより、ロック機構50′が仕切り板114に固定される。
【0091】
また、左面板511の上方位置には、ロックロッド52を挿通するための後縁部から切り欠かれることにより形成された上部切欠き溝516′が凹設されているとともに、右面板512の上下方向中央部より若干下方位置には、同下部切欠き溝517′が凹設されている。これら上下の切欠き溝516′,517′は、ロックロッド52′を挿通するためのものである。
【0092】
これら上下の切欠き溝516′,517′は、各中心位置を結ぶ直線の左方に向かう延長線が前記側板22の右縁部に突き当たるとともに、同右方に向かう延長線が前記ロック溝313(図4)に向かうように設置位置が設定されている。
【0093】
前記蓋体518は、前方板513と同一寸法の矩形状に形状設定されている。かかる蓋体518は、枠体本体510の左面板511および右面板512の各後縁部に接着剤止めあるいはビス止めで固定される。また、蓋体518の左縁部には、前記上部切欠き溝516′に対応した位置に上部溝塞ぎ突起518aが設けられているとともに、蓋体518の右縁部には、前記下部切欠き溝517′に対応した位置に下部溝塞ぎ突起518bが設けられている。
【0094】
そして、蓋体518が枠体本体510に取り付けられた状態で、上部溝塞ぎ突起518aが上部切欠き溝516′に嵌り込むとともに、下部溝塞ぎ突起518bが下部切欠き溝517′に嵌り込み、これによって上部切欠き溝516′および下部切欠き溝517′に第1実施形態の上部挿通孔516および下部挿通孔517に対応する、ロックロッド52′を通すための孔が形成される。
【0095】
前記ロックロッド52′は、前記カバー部材20側(左側)のロックロッド本体55と、このロックロッド本体55における搬送ユニット30側(右側)に進退可能に装着された進退ロッド56とを備えている。進退ロッド56は、ロックロッド本体55に装着された状態で小径コイルスプリング57により右方に向かって付勢されている。
【0096】
前記ロックロッド本体55は、角筒状を呈し長手方向の略中央部にフランジ53が形成されている。このフランジ53の役割は、第1実施形態の場合と同様であり、当該フランジ53の右側のロックロッド本体55に外嵌された大径コイルスプリング54′の左端部に干渉させるためのものである。
【0097】
このようなロックロッド本体55には、右端面からフランジ53が設けられた位置にまで延びた、前記進退ロッド56を装着するための装着角孔551が設けられている。また、このロックロッド本体55の前後方向の中央部より若干右方位置には、装着角孔551に連通した切欠き窓552が設けられている。この切欠き窓552には、右縁部から左方に向けて突設された係止突片553が設けられている。
【0098】
この係止突片553は、装着角孔551に嵌入された進退ロッド56を抜け止めするためのものである。かかる係止突片553は、左端部が装着角孔551内に入り込んだ状態とされ、これによって進退ロッド56を装着角孔551内に押し込んでいくことによりその前面と干渉して一旦前方へ向けて弾性変形したのち元に復元し、これによる係止突片553の係止長孔563への嵌り込みで進退ロッド56が抜け止めされる。また、装着角孔551における前記フランジ53に略対応した位置には奥壁554が設けられている。
【0099】
また、前記ロックロッド本体55の下面側には、前記フランジ53から左方に向けて突設されたストッパ突条555が設けられている。このストッパ突条555は、ロックロッド52′が枠体51′に装着された状態で、左端が枠体51′の左面板511の内側に当接し、これによってロックロッド52′がそれ以上左方に向かって移動するのが阻止される。
【0100】
前記進退ロッド56は、ロックロッド本体55の右端面と、前記奥壁554との間の距離より若干短めに設定されている。かかる進退ロッド56は、前記装着角孔551に摺接状態で嵌入される断面視で略正方形状の角柱体561と、この角柱体561の左端面から同心で左方に向けて突設された直径寸法が当該角柱体561一辺の長さより若干短めの円柱体562とからなっている。円柱体562は、前記小径コイルスプリング57の内径寸法より僅かに小径に設定されている。
【0101】
また、前記角柱体561の前面には、前記係止突片553に対応した位置に左右方向に延びた係止長孔563が設けられているとともに、角柱体561の前面の先端部(右端部)には、右方に向かうに従い後方へ向かって先下がりに傾斜した(すなわち、引き出された搬送ユニット30側の面から先端に向かって搬送ユニット30の押し込み方向へ傾斜した)案内傾斜面564が形成されている。
【0102】
このような進退ロッド56は、その円柱体562に小径コイルスプリング57が外嵌された状態で装着角孔551の右面開口から当該小径コイルスプリング57を先頭にして嵌入していくことにより、まず、小径コイルスプリング57が装着角孔551の奥壁554に当止する。引き続き進退ロッド56の押し込み動作を継続することにより、小径コイルスプリング57が圧縮弾性変形しながら進退ロッド56が装着角孔551内に押し込まれていく。
【0103】
そして、この押し込み動作により係止突片553は、一旦角柱体561の前面と摺接して前方へ向けて弾性変形した後、係止長孔563に嵌り込んで元の状態に復元する。従って、進退ロッド56を装着角孔551に嵌入することにより、当該進退ロッド56は、図9(A)の円内の部分拡大図および図9(B)に示すように、係止突片553の左縁部が係止長孔563の左面に当止した抜け止め状態で小径コイルスプリング57により右方に向けて付勢されつつロックロッド本体55に装着される。
【0104】
このようにして組み立てられたロックロッド52′は、その右側に前記大径コイルスプリング54′が圧縮状態で外嵌され、枠体本体510の左面板511および右面板512にそれぞれ凹設された上部切欠き溝516′および下部切欠き溝517′に嵌め込まれた状態で、前記蓋体518の上部溝塞ぎ突起518aおよび下部溝塞ぎ突起518bが上部切欠き溝516′および下部切欠き溝517′にそれぞれ嵌め込まれ、当該蓋体518が接着剤止めあるいはビス止め等によって枠体本体510に固定されることにより、図8(B)および図9に示すように、ロック機構50′が完成する。
【0105】
図10は、このようにして完成された第2実施形態に係るロック機構50′が装置本体11の仕切り板114に装着された状態を示す斜視図である。なお、図10におけるXおよびYによる方向表示は、図3の場合と同様(Xは左右方向(−X:左方、+X:右方)、Yは前後方向(−Y:前方、+Y:後方))である。
【0106】
図10に示すように、ロック機構50′が装置本体11の仕切り板114に装着された状態は、先の第1実施形態のロック機構50の場合と同様である。
【0107】
具体的には、カバー部材20が閉止された状態では、ロックロッド52′のロックロッド本体55左端部がカバー部材20の側板22の右縁部に当止されているとともに、ロックロッド52′の進退ロッド56の右端部が搬送ユニット30の軸支角材312に設けられたロック溝313に嵌り込み、これによって搬送ユニット30の前方への移動がロックされている。
【0108】
そして、カバー部材20が開放された状態では、ロックロッド本体55の右端部のカバー部材20による押圧当止が解消されることにより、ロックロッド52′が大径コイルスプリング54′(図8)の付勢力で左方へ移動するため、この移動により進退ロッド56の右端部がロック溝313から外れ、これによるロック解除で搬送ユニット30が装置本体11内から引き出し可能になる。すなわち、第2実施形態に係るロック機構50′による搬送ユニット30の装置本体11からの引き出し操作のロックおよびロック解除の作用については、先に図7を基に説明した第1実施形態のロック機構50と全く同じである。
【0109】
しかしながら、第1実施形態に係るロック機構50にあっては、一旦装置本体11から引き出された搬送ユニット30が装置本体11に押し込まれるのに先立ってカバー部材20の方が先に閉止されてしまったような場合、搬送ユニット30の後端部がロックロッド52の右端部と干渉し、これによって搬送ユニット30を装置本体11内に収納することができなくなるという不具合が生じる。
【0110】
かかる不具合を解消するのが第2実施形態に係るロック機構50′である。以下、このロック機構50′の格別の作用について図11を基に説明する。図11は、ロック機構50′の作用を説明するための平面断面視の説明図であり、図11(A)は、搬送ユニット30が装置本体11内から完全に引き出されてしまった状態、図11(B)は、搬送ユニット30を装置本体11に押し込み始めた状態、図11(C)は、搬送ユニット30が装置本体11内に押し込まれた状態をそれぞれ示している。なお、図11においては、搬送ユニット30のロック機構50′に対する相対的な大きさを実際よりも相当小さく示している。また、図11におけるXおよびYによる方向表示は、図1の場合と同様(Xは左右方向(−X:左方、+X:右方)、Yは前後方向(−Y:前方、+Y:後方))である。
【0111】
まず、図11(A)に示すように、搬送ユニット30が装置本体11内から引き出された状態でカバー部材20が閉止されてしまったときには、カバー部材20がロックロッド本体55の左端部を押圧し、これによってロックロッド52′が大径コイルスプリング54′の付勢力に抗して右方へ移動し、これによって進退ロッド56の枠体51′からの右方へ向かう突出量が最大になっている。
【0112】
この状態で搬送ユニット30を装置本体11内へ押し込んでいくと、当該搬送ユニット30の左後端の後方角部が進退ロッド56の角柱体561の案内傾斜面564と干渉するが、押し込み力Fによる搬送ユニット30の押し込み操作を継続すると、搬送ユニット30の左後方角部の案内傾斜面564への当接点Qにおいて進退ロッド56には左方へ向かう分力F1が生じるため、進退ロッド56が小径コイルスプリング57の付勢力に抗して左方へ移動する。この進退ロッド56の左方への移動により搬送ユニット30の左端後方角部は、進退ロッド56の右端の案内傾斜面564を通過する。以後、搬送ユニット30は、その左面が進退ロッド56の右端と摺接しながら装置本体11内へ押し込まれていくことになる。
【0113】
そして、搬送ユニット30が装置本体11内へ完全に押し込まれた状態では、搬送ユニット30のロック溝313が進退ロッド56の右端と対向した状態になるため、当該進退ロッド56は、小径コイルスプリング57の付勢力により右方へ移動してロック溝313へ嵌り込み、これによって搬送ユニット30は、カバー部材20が開放されない限り引き出すことができないロック状態になる。
【0114】
このように、第2実施形態のロック機構50′にあっては、カバー部材20が開放された後に搬送ユニット30が装置本体11から引き出され、所定のメンテナンス作業が行われた後に、たとえ搬送ユニット30の装置本体11への押し込み操作に先立ってカバー部材20が閉止されてしまっても、搬送ユニット30を装置本体11内へ押し込むことができるため、カバー部材20を開放した後に搬送ユニット30を装置本体11から引き出して行うメンテナンス作業の作業性を向上させることができる。
【0115】
以上詳述したように、上記の第1および第2実施形態に係る画像形成装置10は、装置本体11内に設けられた画像形成部12での画像情報に基づく画像形成処理により形成されたトナー画像を用紙Pに転写するように構成されたものであり、装置本体11に設けられた手差しトレイ18から画像形成部12に送り込まれた用紙Pを当該画像形成部12で搬送する、装置本体11に対し挿脱可能に設けられた搬送ユニット30と、装置本体11における搬送ユニット30の下流端と対向した壁面に設けられた開閉自在のカバー部材20とが備えられ、カバー部材20と、搬送ユニット30との間には、カバー部材20が開放されない限り搬送ユニット30の装置本体11からの引き出しを阻止するロック機構50,50′が設けられている。
【0116】
かかる構成によれば、カバー部材20が閉止された状態では、ロック機構50,50′により搬送ユニット30の装置本体11からの引き出しが阻止されるため、カバー部材20の内側の用紙縦搬送路101と中継ユニット40との間または用紙縦搬送路101と搬送ユニット30との間に用紙Pが存在する状態で搬送ユニット30が装置本体11から引き出されることはなく、搬送ユニット30が引き出された場合における詰まった用紙Pの分断が生じることはない。従って、用紙Pが分断されることでジャム処理が困難になるような不都合の発生を防止することができる。また、ユーザーは、紙詰りが生じたとき、搬送ユニット30を引き出すことができないことでカバー部材20を開放しなければならないことに思い当たることができる。
【0117】
このようなことから、ジャム処理を行うに際しては、まずカバー部材20が開放される。こうすることで、詰まった用紙Pを用紙縦搬送路101側から引き出して搬送ユニット30と用紙縦搬送路101との接続位置から外すことができる。また、カバー部材20が開放されることでロック機構50,50′の搬送ユニット30に対するロックが解除されるため、用紙Pが詰まり位置から取り除かれた状態で搬送ユニット30を引き出し、搬送ユニット30に確認作業やメンテナンス作業を行うことができる。
【0118】
また、ロック機構50,50′は、カバー部材20の開閉動作により搬送ユニット30に向けて正逆移動するロックロッド52,52′を有し、ロックロッド52,52′は、カバー部材20が閉止された状態で搬送ユニット30と干渉する一方、カバー部材20が開放された状態で搬送ユニット30との干渉が解消されるように長さ寸法が設定されている。
【0119】
かかる構成によれば、カバー部材20が閉止された状態では、ロックロッド52,52′が搬送ユニット30と干渉し、これによって搬送ユニット30は、装置本体11から引き出すことができなくなっているため、カバー部材20が閉止されているにも拘わらず、搬送ユニット30が不用意に装置本体11から引き出されてしまうことがない。
【0120】
これに対し、カバー部材20が開放された状態では、ロックロッド52,52′の搬送ユニット30との干渉が解消されるため、搬送ユニット30を装置本体11から引き出すことができる。
【0121】
また、装置本体11には、カバー部材20と対向した開閉可能なメンテナンスドアー19が設けられ、メンテナンスドアー19とカバー部材20との間には、両面印刷処理時に用紙Pを逆送させる逆送搬送路104が形成されている。
【0122】
かかる構成によれば、メンテナンスドアー19により装置本体11の外観視の美麗さを確保した上で、当該メンテナンスドアー19とカバー部材20との間に両面印刷処理時に使用される逆送搬送路104が形成されるため、装置本体11側に専用の逆送搬送路104を設ける場合に比較し、部品点数の低減化を図ることができ、装置コストの低減化に貢献することができる。
【0123】
そして、特に第2実施形態に係るロック機構50′は、ロックロッド52′がロックロッド本体55と、このロックロッド本体55に進退可能に設置された進退ロッド56と、この進退ロッド56を搬送ユニット30側に向けて付勢する小径コイルスプリング57とを備え、進退ロッド56の先端部には、カバー部材20が閉止された状態で、搬送ユニット30の装置本体11への押し込み動作と干渉して一旦退行したのち小径コイルスプリング57の付勢力で進行し得るように案内傾斜面564が設けられている。
【0124】
かかる構成によれば、カバー部材20が開放されることによるロックロッド52′のロック解除で搬送ユニット30が装置本体11から引き出されて所定のメンテナンス作業が行われた後において、搬送ユニット30が装置本体11に押し込まれるより先にカバー部材20が閉止された状態であっても、搬送ユニット30を装置本体11に押し込んでいくと、小径コイルスプリング57の付勢力でロックロッド本体55から搬送ユニット30に向けて付勢されている進退ロッド56の先端の案内傾斜面564が搬送ユニット30と干渉し、これにより進退ロッド56が小径コイルスプリング57の付勢力に抗して退行するため、搬送ユニット30は、ロックロッド52′に阻止されることなく装置本体11内に押し込まれる。
【0125】
このように、ロックロッド52′を、カバー部材20側のロックロッド本体55と、このロックロッド本体55の搬送ユニット30側に進退可能に接続された進退ロッド56とで構成し、進退ロッド56の先端部に、カバー部材20が閉止された状態で、搬送ユニット30の装置本体11への押し込み動作と干渉して一旦退行したのち小径コイルスプリング57の付勢力で進行し得るように案内傾斜面564を設けることで、開放されていたカバー部材20が引き出されていた搬送ユニット30より先に閉止された状態であっても、搬送ユニット30を進退ロッド56の往復移動で装置本体11内に押し込むことが可能になる。
【0126】
従って、メンテナンス作業時に開放されたカバー部材20および引き出された搬送ユニット30の閉止および押し込み操作の順番に関し、まず搬送ユニット30を押し込んでからカバー部材20を閉止するようにユーザーに強制する必要がなくなり、これら操作の自由度が大きくなってメンテナンス作業の作業性を向上させることができる。
【0127】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0128】
(1)上記の実施形態においては、画像形成装置10として複写機を例に挙げて説明したが、本発明は、画像形成装置10が複写機であることに限定されるものではなく、プリンタであってもよいし、ファクシミリ装置であってもよい。
【0129】
(2)上記の実施形態においては、カバー部材20と搬送ユニット30との間に中継ユニット40が介設されているが、中継ユニット40の介設は必須ではなく、特に設けなくてもよい。そして、中継ユニット40を設けない場合には、搬送ユニット30に形成された搬送ユニット内搬送路34の下流端を無理なく用紙縦搬送路101に沿わせるように上に凹の形状にすればよい。
【0130】
(3)上記の実施形態においては、搬送ユニット30には、手差しトレイ18からの用紙Pのみが導入されるようになされているが、用紙カセット141からの用紙Pが、図2とは逆に用紙カセット141の右端部から繰り出されるように構成されている場合には、当該用紙カセット141からの用紙Pを搬送ユニット30を介して画像形成部12へ送り込むようにしてもよい。
【0131】
(4)上記の実施形態においては、ロック機構50,50′のロックロッド52,52′は、コイルスプリング54の付勢力でカバー部材20へ向けて付勢されているが、こうする代わりにコイルスプリング54を用いることなく、カバー部材20の側板22と、ロックロッド52,52′の左端部とを側板22に設けられたピンを介して互いに相対回動可能にリンクしてもよい。こうすることで特にコイルスプリング54を採用しなくても搬送ユニット30の開閉動作にロックロッド52,52′を追随させることが可能になり、コイルスプリング54を設けなくてもよい分、部品点数の削減が実現し、装置コストの低減化に貢献することができる。
【符号の説明】
【0132】
10 画像形成装置 101 用紙縦搬送路
102 排紙搬送路 103 往復搬送路
104 逆送搬送路 11 装置本体
111 下部本体 112 上部本体
113 連結部 114 仕切り板
12 画像形成部 121 感光体ドラム
122 帯電ユニット 123 露光ユニット
124 現像ユニット 125 転写ローラ
126 クリーニング装置 13 定着部
131 定着ローラ 132 加圧ローラ
14 用紙貯留部 141 用紙カセット
142 レジストローラ対 15 排紙部
151 胴内排紙トレイ 152 胴外排紙トレイ
153 一時退避空間 16 画像読取部
161 コンタクトガラス 162 原稿押さえカバー
163 走査機構 17 操作部
171 テンキー 172 LCD
18 手差しトレイ 181 支持軸
182 繰り出しローラ 183 搬送ローラ対
19 メンテナンスドアー(表装ドアー)
20 カバー部材 21 支軸
22 側板 221 右下部傾斜縁部
23 搬送フィン 30 搬送ユニット
31 側板 311 取っ手
312 軸支角材 313 ロック溝
32 上部搬送フィン 33 下部搬送フィン
34 搬送ユニット内搬送路 35 上流側搬送ローラ対
351 上流側ローラ軸 352 上流側プーリ
36 下流側搬送ローラ対 361 下流側ローラ軸
362 下流側プーリ 363 従動ギヤ
37 連絡ベルト 38 搬送ダイヤル
40 中継ユニット 41 側板
42 上部搬送フィン 43 下部搬送フィン
44 中継ユニット内搬送路 50,50′ ロック機構
51,51′ 枠体 511 左面板
512 右面板 513 前方板
514 後方板 514a 切り込み溝
515 係止突片 516 上部挿通孔
516′ 上部切欠き溝 517 下部挿通孔
517′ 下部切欠き溝 518 蓋体
518a 上部溝塞ぎ突起 518b 下部溝塞ぎ突起
52,52′ ロックロッド 53 フランジ
531 角孔 54 コイルスプリング
54′ 大径コイルスプリング 55 ロックロッド本体
551 装着角孔 552 切欠き窓
553 係止突片 554 奥壁
555 ストッパ突条 56 進退ロッド
561 角柱体 562 円柱体
563 係止長孔 564 案内傾斜面
P 用紙 P1 用紙束

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理部を備えた装置本体と、
前記装置本体に設けられ、用紙が載置される用紙トレイと、
前記用紙トレイと前記処理部との間に介設され、かつ、前記用紙トレイ上の用紙を前記処理部へ向かわせる第1用紙搬送路を備え、前記装置本体に対して挿脱可能な搬送ユニットと、
前記第1用紙搬送路に配置され、該第1用紙搬送路に導入された用紙を搬送する第1搬送ローラ対と、
前記装置本体における前記搬送ユニットの下流端と対向する壁面に設けられた開閉自在のカバー部材と、
前記カバー部材が閉止されることにより当該カバー部材の内面側と前記処理部との間に形成され、前記搬送ユニットからの用紙を前記処理部に向けて搬送するための第2用紙搬送路と、
前記第2用紙搬送路に配置され、該第2用紙搬送路に導入された用紙を搬送する第2搬送ローラ対と、
前記カバー部材と、前記搬送ユニットとの間に設けられ、カバー部材が閉止された状態で前記搬送ユニットの装置本体からの引き出しを阻止するロック機構と、を備え、
前記ロック機構は、前記カバー部材の開閉動作により前記搬送ユニットに対し正逆移動するロックロッドを有し、
前記ロックロッドは、前記カバー部材が閉止された状態で前記搬送ユニットと干渉する一方、前記カバー部材が開放された状態で前記搬送ユニットとの干渉が解消されるように長さ寸法が設定されており、
前記ロックロッドは、前記カバー部材側のロックロッド本体と、このロックロッド本体の前記搬送ユニット側に進退可能に設置された進退ロッドと、この進退ロッドを前記搬送ユニット側に向けて付勢する付勢部材とを備えている
ことを特徴とする用紙搬送装置。
【請求項2】
前記進退ロッドの先端部には、引き出された搬送ユニット側の面から先端に向かって搬送ユニットの押し込み方向へ傾斜した案内傾斜面が設けられていることを特徴とする請求項1記載の用紙搬送装置。
【請求項3】
前記装置本体には、前記カバー部材と対向した開閉可能な表装ドアーが設けられ、前記表装ドアーと前記カバー部材との間には、両面印刷処理時に用紙を逆送させる逆送搬送路が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の用紙搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−226389(P2012−226389A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−185440(P2012−185440)
【出願日】平成24年8月24日(2012.8.24)
【分割の表示】特願2007−144958(P2007−144958)の分割
【原出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】