用量ダンピングの恐れを低減させた新規な薬物送達システムとしての徐放性固形製剤
用量ダンピング及び副作用の恐れを軽減させた徐放性製剤は2成分を有し:成分(a)は製薬学的に活性な物質と、水不溶性で透水性の重合体とを含有し、これに対して成分(b)は製薬学的に活性な物質と疎水性物質とを含有する。成分(a)に含まれる製薬学的に活性な物質と、水不溶性で透水性の重合体との比率及び/又は成分(b)に含まれる製薬学的に活性な物質と疎水性物質との比率を変化させることにより、用量ダンピング及び副作用の恐れを軽減させた理想的な放出速度を容易に達成できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として経口投与を目的とした固形医薬用の徐放性製剤に関する。本発明は、活性物質の徐放、すなわち単一投与単位の1日当たり1回又は2回の投与を確実にする2成分系に関するものである。
【背景技術】
【0002】
制御された方法での薬物送達の利点が文献〔例えば、Khan, M.Z.I, Drug Dev. Ind. Pharm., 21 (1995) 1037-1070〕に記載されている。最も重要なことには、徐放性製剤は薬物(1種又は複数)を長時間にわたって最適量で放出させ、好ましくない副作用を最小限に抑え、このようにして頻回投与の必要をなくする。驚くことではないが、徐放性製剤は、現在、薬物送達技術領域で技術の現状になっている。より迅速に作用させるために初期生体利用性に十分な量の薬物(1種又は複数)を放出し、次いで長期間にわたり持続して/連続的に作用させるために徐放する多数の薬物送達システムが報告されている、例えば:
− 国際出願第WO96/41617号明細書には、2層からなる錠剤:すなわち、1)製薬学的に活性な物質を、該活性物質の加工及び即時放出を可能にする賦形剤と組み合わせた誘導された水溶性の形態で含有する層と、2)加工を可能にし且つさらに薬物放出を部分変更する賦形剤と一緒に上記の層1)と同一の有効成分を低溶解性で誘導されていない体で含有する層とからなる錠剤が記載されている;従って有効成分はそれぞれの層から異なる速度で放出される;
− 米国特許第5,164,193号(欧州特許第468 436号)明細書には、2種類の粉体:すなわち、A) 活性物質、油性成分及び水不溶性重合体を含有する粉体と、B)活性物質と水溶性重合体を含有する粉体とを含有してなるマトリックス錠剤が記載されている;
− 米国特許第6,083,533号明細書には、厚み勾配と、液体中で徐々に崩壊することにより活性物質(1種又は複数)の放出速度を調節する能力とを特徴とする少なくとも一つの被覆層を表面に有する層状マトリックスを含有する制御放出層状錠剤が記載されている;
− 米国特許第6,183,778号明細書には、少なくとも3層を有することにより1種又はそれ以上の薬物を種々の放出速度で放出できる医薬錠剤であって、第一の層が膨潤又は可溶化により医薬物質の放出を制御し、即時又は持続した薬物放出を可能にし、第二の層が膨潤、崩壊又はゲル化により、医薬物質(1種又はそれ以上)の徐放を可能にし且つ第三の層が少なくとも第二の層の一つ又はそれ以上の遊離表面の部分皮膜として水性液体と接触した際に膨潤、崩壊又はゲル形成できる能力を有するものである少なくとも3層を有することにより1種又はそれ以上の薬物を種々の放出速度で放出できる医薬錠剤が記載されている。
【0003】
− 米国特許第6,294,199号明細書には、薬物の即時放出を可能にする製薬学的賦形剤を用いて製剤化されたアモキシシリンの一部を含有してなり、残りのアモキシシリンが医薬物質の徐放を可能にする製薬学的賦形剤を用いて製剤化されるアモキシシリン修飾放出錠剤による細菌感染症の治療方法が記載されている。
【0004】
これら及びその他の特許明細書並びに科学文献に記載された制御/徐放性製剤に関連する主要な問題の一つは、一般的には用量ダンピング(dose dumping)の可能性である。これらの系の大部分は、患者の安全性と許容性に著しく影響を及ぼし得る用量ダンピングの恐れを最小限に抑えるメカニズムを提供していない。本発明は、長期間にわたる治療効果を提供し、製剤から活性物質の放出を制御する二重のメカニズムにより用量ダンピングを最小限に抑える。この系に含有される2成分の比率を変化させることにより、患者に最大の安堵をもたらす理想的な放出速度を容易に達成でき、副作用及び/又は毒性の恐れを最小限に抑える。
【0005】
また、大部分の制御/徐放性薬物送達システムは、標準的な設備では利用できない極めて高度な技術を必要とする。これに対して、本発明の製造方法及び技術は、慣用の製剤の製造に常用される標準技術と装置を必要とする。
【0006】
Biopharmaceutics Classification Scheme(BCS)は、医薬物質をその溶解速度と、消化管壁を介して血漿中に浸透できる能力とにより4つの基本的な群に分類している〔例えば、Dressman, J.B at al., Pharm. Res., 15(1) (1998) 11-22〕。クラスIに属する医薬物質は、高溶解性であり且つ高浸透性である。クラスIIに属する医薬物質は、低溶解性(poorly soluble)であり且つ高浸透性である。クラスIIIに属する医薬物質は、高溶解性であり且つ低浸透性(poorly permeable)であり、これに対してクラスIVに属する医薬物質は、低溶解性であり且つ低浸透性である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、用量ダンピングと副作用の恐れを最小限に抑えた経口用徐放性製剤を提供することにあり又は少なくとも、医薬物質の溶解度及び浸透性と関係なく有用な選択を有するパブリック(the public)を提供することにある。
【0008】
発明の概要
従って、本発明の第一の要旨において、2成分を含有してなる固形徐放性経口投与製剤であって、
a) 第一の成分が製薬学的に活性な物質と、製薬学的に許容し得る水不溶性で透水性の高分子物質とからなるものであり、
b) 第二の成分が製薬学的に活性な物質と疎水性物質とからなるものである
2成分を含有してなる固形徐放性経口投与製剤が提供される。
【0009】
別の要旨において、本発明により、用量ダンピングを最小限に抑える方法であって、それを必要とする患者に、
a) 第一の成分が製薬学的に活性な物質と、製薬学的に許容し得る水不溶性の透水性高分子物質とからなり、
b) 第二の成分が製薬学的に活性な物質と疎水性物質とからなるものである
2成分含有徐放性固形製剤を投与することからなる用量ダンピングを最小限に抑える方法が提供される。
【0010】
さらに別の要旨において、本発明により、それを必要とする患者において製薬学的に活性な物質の徐放用の医薬の製造における、2成分含有徐放性固形製剤の使用であって、
a) 第一の成分が製薬学的に活性な物質と、製薬学的に許容し得る水不溶性で透水性の高分子物質とからなるものであり、
b) 第二の成分が製薬学的に活性な物質と疎水性物質とからなるものである
2成分含有徐放性固形製剤の使用が提供される。
【0011】
さらにまた別の要旨において、本発明により、それを必要とする患者において、製薬学的に活性な物質の用量ダンピングを最小限に抑えた医薬の製造における2成分含有徐放性固形製剤の使用であって、
a) 第一の成分が製薬学的に活性な物質と、製薬学的に許容し得る水不溶性で透水性の高分子物質とからなるものであり、
b) 第二の成分が製薬学的に活性な物質と疎水性物質とからなるものである
2成分含有徐放性固形製剤の使用が提供される。
【0012】
別の要旨において、本発明により、徐放性固形製剤の製造方法であって、次の工程:
・ 製薬学的に活性な物質と製薬学的に許容し得る水不溶性で透水性の高分子物質とを含有してなる第一の成分を提供し:該第一の成分を、
・ 製薬学的に活性な物質と疎水性物質との混合物を含有する第二の成分
と組み合わせる工程を有する徐放性固形製剤の製造方法が提供される。
【0013】
別の要旨において、本発明により、
・ 製薬学的に活性な物質と製薬学的に許容し得る水不溶性で透水性の高分子物質とを所定の比率で含有する第一の成分を、
・ 製薬学的に活性な物質と疎水性物質との混合物を含有する第二の成分と、前記製薬学的に活性な物質と疎水性物質とを、第一の成分と第二の成分との組み合わせが、使用時に、所望の徐放性プロフィールをもたらすような所定の比率で混合することからなる所定の徐放性プロフィールを有する製剤の製造方法が提供される。
【0014】
本発明は上記に広く定義されるが、前記に限定されないし、実施例を提供する下記の説明の具体的態様を包含する。
【0015】
図面の簡単な説明
図1は、本発明の製剤を使用して徐放性を表すグラフである。図1は、水不溶性の(しかし透水性の)高分子物質の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。溶解試験はUSP装置1を使用して150rpmで行った。最初の30分間は、放出プロフィールを希塩酸(pH2.5)中で試験し、次いで混合リン緩衝液(pH 6.8)中で8時間試験した。データは、6錠から得られた値の中央平均値を表す。製剤中に含有される製薬学的に活性な物質ジクロフェナクナトリウムは、低溶解性であり且つ高透過性であった(Biopharmaceuticals Classification SystemによればクラスII)。
【0016】
図2は、本発明の製剤を使用して徐放性を表すグラフである。図2は、追加の抑制剤(retarding agent)としての脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。溶解試験はUSP装置1を使用して150 rpmで行った。最初の30分間は、放出プロフィールを希塩酸(pH2.5)中で試験し、次いで混合リン緩衝液(pH 6.8)中で8時間試験した。データは、6錠から得られた値の中央平均値を表す。製剤中に含有される製薬学的に活性な物質ジクロフェナクナトリウムは、低溶解性であり且つ高透過性であった(Biopharmaceuticals Classification SystemによればクラスII)。
【0017】
図3は、本発明の製剤を使用して徐放性を表すグラフである。図3は、水不溶性(しかし透水性)の高分子物質及び脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。溶解試験はUSP装置1を使用して150 rpmで行った。最初の30分間は、放出プロフィールを希塩酸(pH2.5)中で試験し、次いで混合リン緩衝液(pH 6.8)中で8時間試験した。データは、6錠から得られた値の中央平均値を表す。製剤中に含有される製薬学的に活性な物質ジクロフェナクナトリウムは、低溶解性であり且つ高透過性であった(Biopharmaceuticals Classification SystemによればクラスII)。
【0018】
図4は、本発明の製剤を使用して徐放性を表すグラフである。図4は、顆粒中の水不溶性賦形剤及び/又は錠剤配合物中の水不溶性賦形剤の影響を表す。溶解試験はUSP装置1を使用して150 rpmで行った。最初の30分間は、放出プロフィールを希塩酸(pH2.5)中で試験し、次いで混合リン緩衝液(pH 6.8)中で8時間試験した。データは、6錠から得られた値の中央平均値を表す。製剤中に含有される製薬学的に活性な物質ジクロフェナクナトリウムは、低溶解性であり且つ高透過性であった(Biopharmaceuticals Classification SystemによればクラスII)。
【0019】
図5は、本発明の製剤を使用して徐放性を表すグラフである。図5は、水不溶性(しかし透水性)の高分子物質の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。溶解試験はUSP装置1を使用して150 rpmで行った。最初の30分間は、放出プロフィールを希塩酸(pH2.5)中で試験し、次いで混合リン緩衝液(pH 6.8)中で8時間試験した。データは、6錠から得られた値の中央平均値を表す。製剤中に含有される製薬学的に活性な物質トラセミドは、高溶解性であり且つ高透過性であった(Biopharmaceuticals Classification SystemによればクラスI)。
【0020】
図6は、本発明の製剤を使用する徐放性を表すグラフである。図6は、追加の抑制剤としての脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。溶解試験はUSP装置1を使用して150 rpmで行った。最初の30分間は、放出プロフィールを希塩酸(pH2.5)中で試験し、次いで混合リン緩衝液(pH 6.8)中で8時間試験した。データは、6錠から得られた値の中央平均値を表す。製剤中に含有される製薬学的に活性な物質トラセミドは、高溶解性であり且つ高透過性であった(Biopharmaceuticals Classification SystemによればクラスI)。
【0021】
図7は、本発明の製剤を使用して徐放性を表すグラフである。図7は、水不溶性(しかし透水性)の高分子物質及び脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。溶解試験はUSP装置1を使用して150 rpmで行った。最初の30分間は、放出プロフィールを希塩酸(pH2.5)中で試験し、次いで混合リン緩衝液(pH 6.8)中で8時間試験した。データは、6錠から得られた値の中央平均値を表す。製剤中に含有される製薬学的に活性な物質トラセミドは、高溶解性であり且つ高透過性であった(Biopharmaceuticals Classification SystemによればクラスI)。
【0022】
図8は、本発明の製剤を使用して徐放性を表すグラフである。図8は、水不溶性(しかし透水性)の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。溶解試験はUSP装置1を使用して150 rpmで行った。最初の30分間は、放出プロフィールを希塩酸(pH2.5)中で試験し、次いで混合リン緩衝液(pH 6.8)中で8時間試験した。データは、6錠から得られた値の中央平均値を表す。製剤中に含有される製薬学的に活性な物質ラチニジン(ラチニジン塩酸塩の形で)は、高溶解性であり且つ低透過性であった(Biopharmaceuticals Classification SystemによればクラスIII)。
【0023】
図9は、本発明の製剤を使用して徐放性を表すグラフである。図9は、追加の抑制剤としての脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。溶解試験はUSP装置1を使用して150 rpmで行った。最初の30分間は、放出プロフィールを希塩酸(pH 2.5)中で試験し、次いで混合リン緩衝液(pH 6.8)中で8時間試験した。データは、6錠から得られた値の中央平均値を表す。製剤中に含有される製薬学的に活性な物質ラチニジン(ラチニジン塩酸塩の形で)は、高溶解性であり且つ低透過性であった(Biopharmaceuticals Classification SystemによればクラスIII)。
【0024】
図10は、本発明の製剤を使用して徐放性を表すグラフである。図10は、水不溶性(しかし透水性)の高分子物質及び脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。溶解試験はUSP装置1を使用して150 rpmで行った。最初の30分間は、放出プロフィールを希塩酸(pH2.5)中で試験し、次いで混合リン緩衝液(pH 6.8)中で8時間試験した。データは、6錠から得られた値の中央平均値を表す。製剤中に含有される製薬学的に活性な物質、ラチニジン(ラチニジン塩酸塩の形で)は高溶解性であり且つ低透過性であった(Biopharmaceuticals Classification SystemによればクラスIII)。
【0025】
発明の詳細な説明
前記のように、本発明は、新規な徐放性経口投与製剤に関する。
【0026】
本発明の製剤は2成分系からなる。第一の成分は、製薬学的に活性な物質を水不溶性で透水性の重合体と組み合わせて含有してなる。
【0027】
第一の成分は、顆粒の形であることが好ましく、製剤の形状が原型を保っている場合又は製剤が小片に崩壊する場合でさえも重合体の量に応じて長期間にわたって前記活性物質の放出を持続させることができる。
【0028】
水不溶性で透水性の高分子物質は、1種又はそれ以上のメタクリル酸共重合体、エチルセルロース又はこれらの混合物及び同様の特性を有するその他の物質からなることが好ましい。水不溶性であって透水性の高分子物質は、約2〜90%(重量/重量)の範囲内の量で及び/又は活性物質に対して(1:10)〜(10:1)の割合で存在させることが都合がよい。
【0029】
前記の系の第二の成分は、製薬学的に活性な物質であって水不溶性の重合体で処理されておらず且つ実質的に即時放出に利用できる製薬学的に活性な物質を該活性物質の物理化学的性質に応じて含有する。
【0030】
前記製剤の第二の成分はまた、疎水性の、好ましくは脂質又は脂質物質を含有する。疎水性物質は、グリセリン脂肪酸エステル、植物油及びその誘導体、高級脂肪酸、その金属塩及び同様の性質を有するその他の物質からなる群の中から選択されることがさらに好ましい。第二の成分中の活性物質の放出は、約2〜80%(重量/重量)の範囲内の量で及び/又は活性物質に対して(1:10)〜(10:1)の割合で製剤中に存在させる疎水性物質の量で制御されることが当業者には十分に理解されるであろう。第二の成分は、粉砕しないことが都合よいが、必要ならば疎水性物質(例えば脂質)を溶融状態で加えることができる顆粒の形態であることができる。
【0031】
理論に拘束されることなく、本発明の用量ダンピングの恐れは、二成分系による放出プロセスの制御/持続の二重メカニズムにより軽減される。本発明の経口製剤の場合、二成分系の疎水性の(第二の)成分の主な役割は、製剤中への胃腸液の浸透速度を制御することにあり、それによって処理されていない製剤中(第二の成分中)で利用できる薬物の放出を制御することにある。胃腸液の浸透速度を制御する結果として、疎水性成分はまた、間接的に顆粒内部の利用できる薬物の放出を制御する。すなわち、顆粒(第一の成分)中の利用できる薬物の放出は、水不溶性で透水性の重合体と、第二の成分中の疎水性物質の両方によって制御される。従って、この系(製剤)が偶然に(例えば、食物摂取の結果として)又は自然に(胃腸運動により)崩壊(fail)する場合には、第一の成分が水不溶性で透水性の重合体による制御により薬物を放出しないので、用量ダンピングの恐れが最小限に抑えられる。
【0032】
第二の成分の製薬学的に活性な物質は、第一の成分の製薬学的に活性な物質と同じであることが好ましい。また、製薬学的に活性な物質は、活性物質の混合物を含有していてもよい。第一の成分と第二の成分の製薬学的に活性な物質が同じであると、活性物質の一部が(添加された疎水性物質の量に応じて)実質的に即時放出に利用でき且つ活性物質の一部が長時間にわたって放出されるであろう製剤を提供する。しかし、第一の成分と第二の成分が、異なる製薬学的に活性な物質を含有する製剤もまた考慮され、本発明から除外されない。
【0033】
第一の成分は、製薬学的に活性な物質を水に溶解しないが水に透過性の高分子物質と組み合わせることによって調製し得る。結果として、第一の成分からの活性物質の放出は、活性物質の物理化学的特性に応じて重合体の量を調整することによって制御できる。さらにまた、標準的な製薬学的賦形剤を使用して、錠剤化のために適当な圧縮性を有する顆粒を得ることができる。
【0034】
第一の成分は粒状であり且つ二つの成分が混合していることが好ましい。
【0035】
場合によっては、第一の成分は1種又はそれ以上の製薬学的に許容し得る賦形剤を含有していてもよい。適当な賦形剤の例としては、ラクトース及び/又は微結晶性セルロース、クロスカルメロース(croscarmellose)ナトリウム、デンプン及び/又はデンプン誘導体が挙げられる(しかしこれらに限定されない)。またかかる賦形剤は、顆粒に対する水の浸透性を高めるために使用でき、従って必要ならば薬剤の放出速度を高めることもできる。ラクトース及び微結晶性セルロースが適当な充填剤賦形剤の例である。
【0036】
一般的に、前記の系の第二の成分は、実質的に即時放出に利用できる製薬学的に活性な物質を含有する。しかし、放出プロセスは第二の成分中の疎水性物質の量によって制御することができる。
【0037】
場合によっては、第二の成分はまた、1種又はそれ以上の製薬学的に許容し得る賦形剤及び/又は錠剤形成助剤を含有していてもよい。充填剤、流動促進剤、潤滑剤及びこれらの混合物も第二の成分に含有させてもよい。限定されない例としては、リン酸水素カルシウム、及び水素化植物油NF(Type I)が挙げられる。都合のよいことには、これらはタルクやステアリン酸マグネシウムと混合し得る。
【0038】
製剤は錠剤又はカプセル剤であることが好ましい。特に好ましい態様においては、製剤は経口投与製剤である。しかし、本発明の製剤によって提供される徐放プロフィールは、多数の種々の種類の製剤に適合するのに適したものにする。考慮されるその他の製剤の限定されない例としては、坐薬及び皮下植え込み錠が挙げられる。
【0039】
本発明の徐放性経口投与製剤は、前記の2つの成分から圧縮固形化された錠剤の形であってもよく、また:
(i) 第一の成分と第二の成分との混合物を充填した硬カプセル(例えば、ゼラチンカプセル)
(ii) 第一の成分と第二の成分を含有する圧縮固形化された錠剤の1種又はそれ以上を充填した硬カプセル(例えば、ゼラチンカプセル)、又は
(iii) 顆粒(第一の成分)又は第二の成分の混合物と、1種又はそれ以上の錠剤との両方を含有する硬カプセル(例えば、ゼラチンカプセル)
の形であってもよい。
【0040】
所望の医薬製剤が錠剤である場合には、前記の顆粒(第一の成分)は、活性物質、疎水性物質(好ましくは、脂質又は脂質材料、例えば脂肪酸類又はそのエステル類)及び幾つかの錠剤形成物質(例えば、付着防止剤、流動促進剤、潤滑剤)を含有する第二の成分と混合され、次いで圧縮固形化されて錠剤にされる。
【0041】
製剤には、場合によってはフィルムコーティングを付加してもよい。コーティング層は、非機能性であるか(例えば、優雅な概観、特定又は色を付与するため)又は機能性、例えば腸溶性コーティングであり得るか、又即時作用(即時放出)のために活性物質を迅速放出のためのコーティング層に配合するために機能性であり得る。フィルムコーティングは、都合よくは1種又はそれ以上の皮膜形成剤、可塑剤、着色剤及びこれらの混合物を含有していてもよい。
【0042】
造粒及び/又は製剤からの薬物の放出の制御に適した水不溶性高分子物質は、メタクリル酸共重合体、例えばEudragit RS又はEudragit RL(粉末又は水性懸濁物あるいは両方の組み合わせ形で)、Eudragit NE 40D又はEudragit NE 30D、あるいは両方の重合体の適当な量及び形態(粉末/懸濁物)の組み合わせの範囲から選択できるが、これらに限定されない。
【0043】
製薬学的に活性な物質は、一般的に徐放により投与するのに必要な物質である。かかる物質の例としては、高い用量で毒性を有する物質や、長期間にわたって投与されるべき物質が挙げられる。
【0044】
本発明の制御放出製剤は、種々の製薬学的に活性な物質、例えば、ace-inhibitor、アルカロイド類、制酸剤、鎮痛薬、同化剤、抗狭心症薬、抗アレルギー剤、抗不整脈剤、抗喘息薬、抗生物質、抗コレステロール薬、抗痙攣薬、抗血液凝固薬、制吐薬、抗ヒスタミン剤、高血圧治療薬、抗炎症薬、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、ステロイド系抗炎症薬、中枢神経系(CNS)刺激剤、CNS抑制剤、抗片頭痛、避妊薬、鎮咳剤、脱臭剤、外皮用剤、利尿薬、殺菌剤、消化薬、ビタミン類、ミネラル類、ポリペプチド、プロスタグラジン類、呼吸刺激薬、子宮弛緩薬、及び既知の多数の薬剤並びに新規薬剤の中から選択される活性物質(1種又は複数)を含有し得る。
【0045】
Biopharmaceuticals Classification System (BCS)に従って高溶解性である薬剤、例えばトラセミド、ベンラファキシン塩酸塩又はその他の塩の形態のベンラファキシン、ガバペンチン、プラバスタチンナトリウム、ラニチジン塩酸塩又はその他の塩の形態のラニチジン、及びその他の周知の薬剤並びに新規薬剤の場合には、第二の成分(造粒されていない形)に含有される有効成分は、純物質のような処理されていない形態であることが好ましい。しかし、BCSに従って低溶解性である薬剤、例えばテマゼパム、ジアゼパム、オキサゼパム、ニフェジピン、イブプロフェン、ロラタジン、及び周知のその他の薬剤並びに新規な薬剤の場合には、第二の成分(造粒されていない形)に含有される有効成分は、純物質のような処理されていない形態であるか、又は場合によっては担体中の固体分散物である。
【0046】
また、前記物質は、さらなる加工(錠剤化又はカプセル化)に適した製薬学的賦形剤と混合してもよい。
【0047】
前記の固体分散物の担体は、種々様々な重合体(例えば、種々の種類のポリエチレングリコール)又はその他の標準の製剤賦形剤、例えばポリビニルピロリドン(povidones、Kollidon VA 64) などの中から選択し得る。
【0048】
さらにまた、薬物の最適pH可溶化をもつ微細環境を作成できる物質のような溶解性増強剤を第二の成分に含有させることができる。賦形剤の品質及び量は、薬物(1種又は複数)の所望の放出プロフィールに従って生体外試験に基づいて決定できる。
【0049】
第二の成分(造粒されていない形)から放出プロセルを制御するのに使用される疎水性物質は、一連の脂質又は脂質材料、例えば水素化植物油、製薬用油脂、脂肪酸、グリセリド、ワックスなどの中から選択されることが好ましい。
【0050】
本発明に有用な製剤からの活性物質の放出速度は、
(i) 第一の成分から水不溶性重合体の量を調節することによる;及び
(ii) 第二の成分から疎水性物質の量を調節することによる;
二重の作用メカニズムによって影響され得る。
【0051】
理論に拘束されることを望むことなく、2つの完全に異なる放出遅延メカニズムをもつ2つの完全に異なる微細環境を有する場合には、製剤から製薬学的に活性な物質の全放出を制御するのに極めて有効なメカニズムが提供される。
【0052】
また、第一の成分及び第二の成分の活性物質の割合を調節すると、活性物質の放出を制御することができる。
【実施例】
【0053】
本発明を以下の非限定的な実施例を参照してさらに詳細に説明する。
【0054】
実施例1〜4
メタクリル酸共重合体を結合剤として使用してジクロフェナクナトリウムの一部を顆粒化した形で含有し且つ残りのジクロフェナクナトリウムを脂質と混合された顆粒化されていない形で含有する錠剤
実施例1 − 水不溶性(且つ透水性)高分子物質の量を変化させることによる放出速度の制御(図1)
【0055】
錠剤の連続した長期/遅延放出部分を構成する顆粒の調製
ジクロフェナクナトリウムと、微結晶性セルロース、ラクトース及び結合剤としてのEudragit RSとの混合物であって粉末の形態で及び/又は水性懸濁物の形態で使用される混合物から顆粒を調製した。湿潤顆粒を流動床乾燥機で乾燥し、次いで20メッシュ(0.8mm)の篩いを通して粉砕して、圧縮固形化に適した適当な粒度分布をもつ顆粒を得た。
【0056】
完成品顆粒の調製
顆粒と、活性薬物ジクロフェナクナトリウムの残部、脂質成分、リン酸水素カルシウム、水素化植物油NF(Type I)及びタルクとを20メッシュの篩を通して篩分けし、次いで5分間転倒混合した。次いで、ステアリン酸マグネシウム〔30メッシュ(0.6mm)の篩に通して篩い分けした〕を、前記の最終配合物に加え、さらに5分間混合した。得られた最終配合物を圧縮固形化して錠剤にした。メチルヒドロキシプロピルセルロース、Polysorbatum、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク並びに顔料例えば二酸化チタン、赤色酸化鉄及び黄色酸化鉄の水性懸濁物を用いて錠剤を被覆した。
【0057】
実施例2 − 追加の遅延剤として脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御(図2)
【0058】
顆粒及び錠剤を実施例1に記載の方法と同じようにして調製した。
【0059】
実施例3 − 水不溶性(且つ透水性)高分子物質と脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御(図3)
【0060】
顆粒及び錠剤を実施例1に記載の方法と同じようにして調製した。
【0061】
実施例4 − 顆粒又は錠剤配合物中の賦形剤の影響(図4)
【0062】
錠剤の連続した長期/遅延放出部分を構成する顆粒の調製
ジクロフェナクナトリウムと、微結晶性セルロース及びラクトース(又はこれらを使用せずに)と、結合剤としてのEudragit RSとの混合物であって粉末の形態で及び/又は水性懸濁物の形態で使用される混合物から顆粒を調製した。湿潤顆粒を流動床乾燥機で乾燥し、次いで20メッシュ(0.8mm)の篩いを通して粉砕して、圧縮固形化に適した適当な粒度分布をもつ顆粒を得た。
【0063】
完成品顆粒の調製
顆粒と、活性薬物ジクロフェナクナトリウムの残部、脂質成分、リン酸水素カルシウム、水素化植物油NF(Type I)及びタルクとを20メッシュの篩を通して篩分けし、次いで5分間転倒混合した。次いで、ステアリン酸マグネシウム〔30メッシュ(0.6mm)の篩に通して篩い分けした〕を、前記の最終配合物に加え、さらに5分間混合した。得られた最終配合物を圧縮固形化して錠剤にした。メチルヒドロキシプロピルセルロース、Polysorbatum、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク並びに顔料例えば二酸化チタン、赤色酸化鉄及び黄色酸化鉄の水性懸濁物を用いて錠剤を被覆した。
【0064】
実施例5〜7
結合剤としてメタクリル酸共重合体を使用してトラセミドの一部を粒状化した形で含有し且つ残りのトラセミドを脂質と混合した粒状化されていない形で含有する錠剤
実施例5 − 水不溶性(且つ透水性)高分子物質の量を変化させることによる放出速度の制御(図5)
【0065】
錠剤の連続した長期/遅延放出部分を構成する顆粒の調製
トラセミドと、結合剤としてのEudragit RSとの混合物であって粉末の形態で及び/又は水性懸濁物の形態で使用される混合物から顆粒を調製した。湿潤顆粒を流動床乾燥機で乾燥し、次いで20メッシュ(0.8mm)の篩いを通して粉砕して、圧縮固形化に適した粒度分布をもつ顆粒を得た。
【0066】
完成品顆粒の調製
顆粒と、活性薬物トラセミドの残部、脂質成分及びタルクとを20メッシュの篩を通して篩分けし、次いで5分間転倒混合した。次いで、ステアリン酸マグネシウム〔30メッシュ(0.6mm)の篩に通して篩い分けした〕を、前記の最終配合物に加え、さらに5分間混合した。得られた最終配合物を圧縮固形化して錠剤にした。
【0067】
実施例6 − 追加の遅延剤として脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御(図6)
【0068】
実施例5に記載の方法と同じようにして顆粒及び錠剤を調製した。
【0069】
実施例7 − 水不溶性(且つ透水性)高分子物質と脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御(図7)
【0070】
顆粒及び錠剤を実施例5に記載の方法と同じようにして調製した。
【0071】
実施例8〜10
結合剤としてメタクリル酸共重合体を使用してラチニジン塩酸塩の形のラチニジンの一部を粒状化した形で含有し且つラチニジン塩酸塩の形のラチニジンの残部を脂質と混合された粒状化されていない形で含有する錠剤
実施例8 − 水不溶性(且つ透水性)高分子物質の量を変化させることによる放出速度の制御(図8)
【0072】
錠剤の連続した長期/遅延放出部分を構成する顆粒の調製
ラチニジン塩酸塩の形のラチニジンと、Eudragit RSとの混合物であって粉末の形態で及び/又は水性懸濁物の形態で使用される混合物から顆粒を調製した。湿潤顆粒を流動床乾燥機で乾燥し、次いで20メッシュ(0.8mm)の篩いを通して粉砕して、圧縮固形化に適した適当な粒度分布をもつ顆粒を得た。
【0073】
完成品顆粒の調製
顆粒と、活性薬物ラチニジン塩酸塩の形のラチニジンの残部、脂質成分、水素化植物油NF(Type I)及びタルクとを20メッシュの篩を通して篩分けし、次いで5分間転倒混合した。次いで、ステアリン酸マグネシウム〔30メッシュ(0.6mm)の篩に通して篩い分けした〕を、前記の最終配合物に加え、さらに5分間混合した。得られた最終配合物を圧縮固形化して錠剤にした。
【0074】
実施例9 − 追加の遅延剤として脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御(図9)
【0075】
実施例8に記載の方法と同じようにして顆粒及び錠剤を調製した。
【0076】
実施例10 − 水不溶性(且つ透水性)高分子物質と脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御(図10)
【0077】
顆粒及び錠剤を実施例8に記載の方法と同じようにして調製した。
【0078】
本発明の製剤が一連の薬物の制御された送達を治療効果及び患者のコンプライエンスを最大にし、一方で薬剤の副作用を最小限に抑えるような要領で方法で提供することを可能にすることが意図される。
【0079】
本発明は具体的な態様を参照して説明したが、本発明の精神及び範囲から離れることなく種々の改変及び部分変更を行うことができることが当業者には認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の製剤の徐放性を表すグラフであり、水不溶性の(しかし透水性の)高分子物質の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。
【図2】本発明の製剤の徐放性を表すグラフであり、追加の抑制剤としての脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。
【図3】本発明の製剤の徐放性を表すグラフであり、水不溶性(しかし透水性)の高分子物質及び脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。
【図4】本発明の製剤の徐放性を表すグラフであり、顆粒中の水不溶性賦形剤及び/又は錠剤配合物中の水不溶性賦形剤の影響を表す。
【図5】本発明の製剤の徐放性を表すグラフであり、水不溶性(しかし透水性)の高分子物質の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。
【図6】本発明の製剤の徐放性を表すグラフであり、追加の抑制剤としての脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。
【図7】本発明の製剤の徐放性を表すグラフであり、水不溶性(しかし透水性)の高分子物質及び脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。
【図8】本発明の製剤の徐放性を表すグラフであり、水不溶性(しかし透水性)の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。
【図9】本発明の製剤の徐放性を表すグラフであり、追加の抑制剤としての脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。
【図10】本発明の製剤の徐放性を表すグラフであり、水不溶性(しかし透水性)の高分子物質及び脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として経口投与を目的とした固形医薬用の徐放性製剤に関する。本発明は、活性物質の徐放、すなわち単一投与単位の1日当たり1回又は2回の投与を確実にする2成分系に関するものである。
【背景技術】
【0002】
制御された方法での薬物送達の利点が文献〔例えば、Khan, M.Z.I, Drug Dev. Ind. Pharm., 21 (1995) 1037-1070〕に記載されている。最も重要なことには、徐放性製剤は薬物(1種又は複数)を長時間にわたって最適量で放出させ、好ましくない副作用を最小限に抑え、このようにして頻回投与の必要をなくする。驚くことではないが、徐放性製剤は、現在、薬物送達技術領域で技術の現状になっている。より迅速に作用させるために初期生体利用性に十分な量の薬物(1種又は複数)を放出し、次いで長期間にわたり持続して/連続的に作用させるために徐放する多数の薬物送達システムが報告されている、例えば:
− 国際出願第WO96/41617号明細書には、2層からなる錠剤:すなわち、1)製薬学的に活性な物質を、該活性物質の加工及び即時放出を可能にする賦形剤と組み合わせた誘導された水溶性の形態で含有する層と、2)加工を可能にし且つさらに薬物放出を部分変更する賦形剤と一緒に上記の層1)と同一の有効成分を低溶解性で誘導されていない体で含有する層とからなる錠剤が記載されている;従って有効成分はそれぞれの層から異なる速度で放出される;
− 米国特許第5,164,193号(欧州特許第468 436号)明細書には、2種類の粉体:すなわち、A) 活性物質、油性成分及び水不溶性重合体を含有する粉体と、B)活性物質と水溶性重合体を含有する粉体とを含有してなるマトリックス錠剤が記載されている;
− 米国特許第6,083,533号明細書には、厚み勾配と、液体中で徐々に崩壊することにより活性物質(1種又は複数)の放出速度を調節する能力とを特徴とする少なくとも一つの被覆層を表面に有する層状マトリックスを含有する制御放出層状錠剤が記載されている;
− 米国特許第6,183,778号明細書には、少なくとも3層を有することにより1種又はそれ以上の薬物を種々の放出速度で放出できる医薬錠剤であって、第一の層が膨潤又は可溶化により医薬物質の放出を制御し、即時又は持続した薬物放出を可能にし、第二の層が膨潤、崩壊又はゲル化により、医薬物質(1種又はそれ以上)の徐放を可能にし且つ第三の層が少なくとも第二の層の一つ又はそれ以上の遊離表面の部分皮膜として水性液体と接触した際に膨潤、崩壊又はゲル形成できる能力を有するものである少なくとも3層を有することにより1種又はそれ以上の薬物を種々の放出速度で放出できる医薬錠剤が記載されている。
【0003】
− 米国特許第6,294,199号明細書には、薬物の即時放出を可能にする製薬学的賦形剤を用いて製剤化されたアモキシシリンの一部を含有してなり、残りのアモキシシリンが医薬物質の徐放を可能にする製薬学的賦形剤を用いて製剤化されるアモキシシリン修飾放出錠剤による細菌感染症の治療方法が記載されている。
【0004】
これら及びその他の特許明細書並びに科学文献に記載された制御/徐放性製剤に関連する主要な問題の一つは、一般的には用量ダンピング(dose dumping)の可能性である。これらの系の大部分は、患者の安全性と許容性に著しく影響を及ぼし得る用量ダンピングの恐れを最小限に抑えるメカニズムを提供していない。本発明は、長期間にわたる治療効果を提供し、製剤から活性物質の放出を制御する二重のメカニズムにより用量ダンピングを最小限に抑える。この系に含有される2成分の比率を変化させることにより、患者に最大の安堵をもたらす理想的な放出速度を容易に達成でき、副作用及び/又は毒性の恐れを最小限に抑える。
【0005】
また、大部分の制御/徐放性薬物送達システムは、標準的な設備では利用できない極めて高度な技術を必要とする。これに対して、本発明の製造方法及び技術は、慣用の製剤の製造に常用される標準技術と装置を必要とする。
【0006】
Biopharmaceutics Classification Scheme(BCS)は、医薬物質をその溶解速度と、消化管壁を介して血漿中に浸透できる能力とにより4つの基本的な群に分類している〔例えば、Dressman, J.B at al., Pharm. Res., 15(1) (1998) 11-22〕。クラスIに属する医薬物質は、高溶解性であり且つ高浸透性である。クラスIIに属する医薬物質は、低溶解性(poorly soluble)であり且つ高浸透性である。クラスIIIに属する医薬物質は、高溶解性であり且つ低浸透性(poorly permeable)であり、これに対してクラスIVに属する医薬物質は、低溶解性であり且つ低浸透性である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、用量ダンピングと副作用の恐れを最小限に抑えた経口用徐放性製剤を提供することにあり又は少なくとも、医薬物質の溶解度及び浸透性と関係なく有用な選択を有するパブリック(the public)を提供することにある。
【0008】
発明の概要
従って、本発明の第一の要旨において、2成分を含有してなる固形徐放性経口投与製剤であって、
a) 第一の成分が製薬学的に活性な物質と、製薬学的に許容し得る水不溶性で透水性の高分子物質とからなるものであり、
b) 第二の成分が製薬学的に活性な物質と疎水性物質とからなるものである
2成分を含有してなる固形徐放性経口投与製剤が提供される。
【0009】
別の要旨において、本発明により、用量ダンピングを最小限に抑える方法であって、それを必要とする患者に、
a) 第一の成分が製薬学的に活性な物質と、製薬学的に許容し得る水不溶性の透水性高分子物質とからなり、
b) 第二の成分が製薬学的に活性な物質と疎水性物質とからなるものである
2成分含有徐放性固形製剤を投与することからなる用量ダンピングを最小限に抑える方法が提供される。
【0010】
さらに別の要旨において、本発明により、それを必要とする患者において製薬学的に活性な物質の徐放用の医薬の製造における、2成分含有徐放性固形製剤の使用であって、
a) 第一の成分が製薬学的に活性な物質と、製薬学的に許容し得る水不溶性で透水性の高分子物質とからなるものであり、
b) 第二の成分が製薬学的に活性な物質と疎水性物質とからなるものである
2成分含有徐放性固形製剤の使用が提供される。
【0011】
さらにまた別の要旨において、本発明により、それを必要とする患者において、製薬学的に活性な物質の用量ダンピングを最小限に抑えた医薬の製造における2成分含有徐放性固形製剤の使用であって、
a) 第一の成分が製薬学的に活性な物質と、製薬学的に許容し得る水不溶性で透水性の高分子物質とからなるものであり、
b) 第二の成分が製薬学的に活性な物質と疎水性物質とからなるものである
2成分含有徐放性固形製剤の使用が提供される。
【0012】
別の要旨において、本発明により、徐放性固形製剤の製造方法であって、次の工程:
・ 製薬学的に活性な物質と製薬学的に許容し得る水不溶性で透水性の高分子物質とを含有してなる第一の成分を提供し:該第一の成分を、
・ 製薬学的に活性な物質と疎水性物質との混合物を含有する第二の成分
と組み合わせる工程を有する徐放性固形製剤の製造方法が提供される。
【0013】
別の要旨において、本発明により、
・ 製薬学的に活性な物質と製薬学的に許容し得る水不溶性で透水性の高分子物質とを所定の比率で含有する第一の成分を、
・ 製薬学的に活性な物質と疎水性物質との混合物を含有する第二の成分と、前記製薬学的に活性な物質と疎水性物質とを、第一の成分と第二の成分との組み合わせが、使用時に、所望の徐放性プロフィールをもたらすような所定の比率で混合することからなる所定の徐放性プロフィールを有する製剤の製造方法が提供される。
【0014】
本発明は上記に広く定義されるが、前記に限定されないし、実施例を提供する下記の説明の具体的態様を包含する。
【0015】
図面の簡単な説明
図1は、本発明の製剤を使用して徐放性を表すグラフである。図1は、水不溶性の(しかし透水性の)高分子物質の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。溶解試験はUSP装置1を使用して150rpmで行った。最初の30分間は、放出プロフィールを希塩酸(pH2.5)中で試験し、次いで混合リン緩衝液(pH 6.8)中で8時間試験した。データは、6錠から得られた値の中央平均値を表す。製剤中に含有される製薬学的に活性な物質ジクロフェナクナトリウムは、低溶解性であり且つ高透過性であった(Biopharmaceuticals Classification SystemによればクラスII)。
【0016】
図2は、本発明の製剤を使用して徐放性を表すグラフである。図2は、追加の抑制剤(retarding agent)としての脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。溶解試験はUSP装置1を使用して150 rpmで行った。最初の30分間は、放出プロフィールを希塩酸(pH2.5)中で試験し、次いで混合リン緩衝液(pH 6.8)中で8時間試験した。データは、6錠から得られた値の中央平均値を表す。製剤中に含有される製薬学的に活性な物質ジクロフェナクナトリウムは、低溶解性であり且つ高透過性であった(Biopharmaceuticals Classification SystemによればクラスII)。
【0017】
図3は、本発明の製剤を使用して徐放性を表すグラフである。図3は、水不溶性(しかし透水性)の高分子物質及び脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。溶解試験はUSP装置1を使用して150 rpmで行った。最初の30分間は、放出プロフィールを希塩酸(pH2.5)中で試験し、次いで混合リン緩衝液(pH 6.8)中で8時間試験した。データは、6錠から得られた値の中央平均値を表す。製剤中に含有される製薬学的に活性な物質ジクロフェナクナトリウムは、低溶解性であり且つ高透過性であった(Biopharmaceuticals Classification SystemによればクラスII)。
【0018】
図4は、本発明の製剤を使用して徐放性を表すグラフである。図4は、顆粒中の水不溶性賦形剤及び/又は錠剤配合物中の水不溶性賦形剤の影響を表す。溶解試験はUSP装置1を使用して150 rpmで行った。最初の30分間は、放出プロフィールを希塩酸(pH2.5)中で試験し、次いで混合リン緩衝液(pH 6.8)中で8時間試験した。データは、6錠から得られた値の中央平均値を表す。製剤中に含有される製薬学的に活性な物質ジクロフェナクナトリウムは、低溶解性であり且つ高透過性であった(Biopharmaceuticals Classification SystemによればクラスII)。
【0019】
図5は、本発明の製剤を使用して徐放性を表すグラフである。図5は、水不溶性(しかし透水性)の高分子物質の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。溶解試験はUSP装置1を使用して150 rpmで行った。最初の30分間は、放出プロフィールを希塩酸(pH2.5)中で試験し、次いで混合リン緩衝液(pH 6.8)中で8時間試験した。データは、6錠から得られた値の中央平均値を表す。製剤中に含有される製薬学的に活性な物質トラセミドは、高溶解性であり且つ高透過性であった(Biopharmaceuticals Classification SystemによればクラスI)。
【0020】
図6は、本発明の製剤を使用する徐放性を表すグラフである。図6は、追加の抑制剤としての脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。溶解試験はUSP装置1を使用して150 rpmで行った。最初の30分間は、放出プロフィールを希塩酸(pH2.5)中で試験し、次いで混合リン緩衝液(pH 6.8)中で8時間試験した。データは、6錠から得られた値の中央平均値を表す。製剤中に含有される製薬学的に活性な物質トラセミドは、高溶解性であり且つ高透過性であった(Biopharmaceuticals Classification SystemによればクラスI)。
【0021】
図7は、本発明の製剤を使用して徐放性を表すグラフである。図7は、水不溶性(しかし透水性)の高分子物質及び脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。溶解試験はUSP装置1を使用して150 rpmで行った。最初の30分間は、放出プロフィールを希塩酸(pH2.5)中で試験し、次いで混合リン緩衝液(pH 6.8)中で8時間試験した。データは、6錠から得られた値の中央平均値を表す。製剤中に含有される製薬学的に活性な物質トラセミドは、高溶解性であり且つ高透過性であった(Biopharmaceuticals Classification SystemによればクラスI)。
【0022】
図8は、本発明の製剤を使用して徐放性を表すグラフである。図8は、水不溶性(しかし透水性)の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。溶解試験はUSP装置1を使用して150 rpmで行った。最初の30分間は、放出プロフィールを希塩酸(pH2.5)中で試験し、次いで混合リン緩衝液(pH 6.8)中で8時間試験した。データは、6錠から得られた値の中央平均値を表す。製剤中に含有される製薬学的に活性な物質ラチニジン(ラチニジン塩酸塩の形で)は、高溶解性であり且つ低透過性であった(Biopharmaceuticals Classification SystemによればクラスIII)。
【0023】
図9は、本発明の製剤を使用して徐放性を表すグラフである。図9は、追加の抑制剤としての脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。溶解試験はUSP装置1を使用して150 rpmで行った。最初の30分間は、放出プロフィールを希塩酸(pH 2.5)中で試験し、次いで混合リン緩衝液(pH 6.8)中で8時間試験した。データは、6錠から得られた値の中央平均値を表す。製剤中に含有される製薬学的に活性な物質ラチニジン(ラチニジン塩酸塩の形で)は、高溶解性であり且つ低透過性であった(Biopharmaceuticals Classification SystemによればクラスIII)。
【0024】
図10は、本発明の製剤を使用して徐放性を表すグラフである。図10は、水不溶性(しかし透水性)の高分子物質及び脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。溶解試験はUSP装置1を使用して150 rpmで行った。最初の30分間は、放出プロフィールを希塩酸(pH2.5)中で試験し、次いで混合リン緩衝液(pH 6.8)中で8時間試験した。データは、6錠から得られた値の中央平均値を表す。製剤中に含有される製薬学的に活性な物質、ラチニジン(ラチニジン塩酸塩の形で)は高溶解性であり且つ低透過性であった(Biopharmaceuticals Classification SystemによればクラスIII)。
【0025】
発明の詳細な説明
前記のように、本発明は、新規な徐放性経口投与製剤に関する。
【0026】
本発明の製剤は2成分系からなる。第一の成分は、製薬学的に活性な物質を水不溶性で透水性の重合体と組み合わせて含有してなる。
【0027】
第一の成分は、顆粒の形であることが好ましく、製剤の形状が原型を保っている場合又は製剤が小片に崩壊する場合でさえも重合体の量に応じて長期間にわたって前記活性物質の放出を持続させることができる。
【0028】
水不溶性で透水性の高分子物質は、1種又はそれ以上のメタクリル酸共重合体、エチルセルロース又はこれらの混合物及び同様の特性を有するその他の物質からなることが好ましい。水不溶性であって透水性の高分子物質は、約2〜90%(重量/重量)の範囲内の量で及び/又は活性物質に対して(1:10)〜(10:1)の割合で存在させることが都合がよい。
【0029】
前記の系の第二の成分は、製薬学的に活性な物質であって水不溶性の重合体で処理されておらず且つ実質的に即時放出に利用できる製薬学的に活性な物質を該活性物質の物理化学的性質に応じて含有する。
【0030】
前記製剤の第二の成分はまた、疎水性の、好ましくは脂質又は脂質物質を含有する。疎水性物質は、グリセリン脂肪酸エステル、植物油及びその誘導体、高級脂肪酸、その金属塩及び同様の性質を有するその他の物質からなる群の中から選択されることがさらに好ましい。第二の成分中の活性物質の放出は、約2〜80%(重量/重量)の範囲内の量で及び/又は活性物質に対して(1:10)〜(10:1)の割合で製剤中に存在させる疎水性物質の量で制御されることが当業者には十分に理解されるであろう。第二の成分は、粉砕しないことが都合よいが、必要ならば疎水性物質(例えば脂質)を溶融状態で加えることができる顆粒の形態であることができる。
【0031】
理論に拘束されることなく、本発明の用量ダンピングの恐れは、二成分系による放出プロセスの制御/持続の二重メカニズムにより軽減される。本発明の経口製剤の場合、二成分系の疎水性の(第二の)成分の主な役割は、製剤中への胃腸液の浸透速度を制御することにあり、それによって処理されていない製剤中(第二の成分中)で利用できる薬物の放出を制御することにある。胃腸液の浸透速度を制御する結果として、疎水性成分はまた、間接的に顆粒内部の利用できる薬物の放出を制御する。すなわち、顆粒(第一の成分)中の利用できる薬物の放出は、水不溶性で透水性の重合体と、第二の成分中の疎水性物質の両方によって制御される。従って、この系(製剤)が偶然に(例えば、食物摂取の結果として)又は自然に(胃腸運動により)崩壊(fail)する場合には、第一の成分が水不溶性で透水性の重合体による制御により薬物を放出しないので、用量ダンピングの恐れが最小限に抑えられる。
【0032】
第二の成分の製薬学的に活性な物質は、第一の成分の製薬学的に活性な物質と同じであることが好ましい。また、製薬学的に活性な物質は、活性物質の混合物を含有していてもよい。第一の成分と第二の成分の製薬学的に活性な物質が同じであると、活性物質の一部が(添加された疎水性物質の量に応じて)実質的に即時放出に利用でき且つ活性物質の一部が長時間にわたって放出されるであろう製剤を提供する。しかし、第一の成分と第二の成分が、異なる製薬学的に活性な物質を含有する製剤もまた考慮され、本発明から除外されない。
【0033】
第一の成分は、製薬学的に活性な物質を水に溶解しないが水に透過性の高分子物質と組み合わせることによって調製し得る。結果として、第一の成分からの活性物質の放出は、活性物質の物理化学的特性に応じて重合体の量を調整することによって制御できる。さらにまた、標準的な製薬学的賦形剤を使用して、錠剤化のために適当な圧縮性を有する顆粒を得ることができる。
【0034】
第一の成分は粒状であり且つ二つの成分が混合していることが好ましい。
【0035】
場合によっては、第一の成分は1種又はそれ以上の製薬学的に許容し得る賦形剤を含有していてもよい。適当な賦形剤の例としては、ラクトース及び/又は微結晶性セルロース、クロスカルメロース(croscarmellose)ナトリウム、デンプン及び/又はデンプン誘導体が挙げられる(しかしこれらに限定されない)。またかかる賦形剤は、顆粒に対する水の浸透性を高めるために使用でき、従って必要ならば薬剤の放出速度を高めることもできる。ラクトース及び微結晶性セルロースが適当な充填剤賦形剤の例である。
【0036】
一般的に、前記の系の第二の成分は、実質的に即時放出に利用できる製薬学的に活性な物質を含有する。しかし、放出プロセスは第二の成分中の疎水性物質の量によって制御することができる。
【0037】
場合によっては、第二の成分はまた、1種又はそれ以上の製薬学的に許容し得る賦形剤及び/又は錠剤形成助剤を含有していてもよい。充填剤、流動促進剤、潤滑剤及びこれらの混合物も第二の成分に含有させてもよい。限定されない例としては、リン酸水素カルシウム、及び水素化植物油NF(Type I)が挙げられる。都合のよいことには、これらはタルクやステアリン酸マグネシウムと混合し得る。
【0038】
製剤は錠剤又はカプセル剤であることが好ましい。特に好ましい態様においては、製剤は経口投与製剤である。しかし、本発明の製剤によって提供される徐放プロフィールは、多数の種々の種類の製剤に適合するのに適したものにする。考慮されるその他の製剤の限定されない例としては、坐薬及び皮下植え込み錠が挙げられる。
【0039】
本発明の徐放性経口投与製剤は、前記の2つの成分から圧縮固形化された錠剤の形であってもよく、また:
(i) 第一の成分と第二の成分との混合物を充填した硬カプセル(例えば、ゼラチンカプセル)
(ii) 第一の成分と第二の成分を含有する圧縮固形化された錠剤の1種又はそれ以上を充填した硬カプセル(例えば、ゼラチンカプセル)、又は
(iii) 顆粒(第一の成分)又は第二の成分の混合物と、1種又はそれ以上の錠剤との両方を含有する硬カプセル(例えば、ゼラチンカプセル)
の形であってもよい。
【0040】
所望の医薬製剤が錠剤である場合には、前記の顆粒(第一の成分)は、活性物質、疎水性物質(好ましくは、脂質又は脂質材料、例えば脂肪酸類又はそのエステル類)及び幾つかの錠剤形成物質(例えば、付着防止剤、流動促進剤、潤滑剤)を含有する第二の成分と混合され、次いで圧縮固形化されて錠剤にされる。
【0041】
製剤には、場合によってはフィルムコーティングを付加してもよい。コーティング層は、非機能性であるか(例えば、優雅な概観、特定又は色を付与するため)又は機能性、例えば腸溶性コーティングであり得るか、又即時作用(即時放出)のために活性物質を迅速放出のためのコーティング層に配合するために機能性であり得る。フィルムコーティングは、都合よくは1種又はそれ以上の皮膜形成剤、可塑剤、着色剤及びこれらの混合物を含有していてもよい。
【0042】
造粒及び/又は製剤からの薬物の放出の制御に適した水不溶性高分子物質は、メタクリル酸共重合体、例えばEudragit RS又はEudragit RL(粉末又は水性懸濁物あるいは両方の組み合わせ形で)、Eudragit NE 40D又はEudragit NE 30D、あるいは両方の重合体の適当な量及び形態(粉末/懸濁物)の組み合わせの範囲から選択できるが、これらに限定されない。
【0043】
製薬学的に活性な物質は、一般的に徐放により投与するのに必要な物質である。かかる物質の例としては、高い用量で毒性を有する物質や、長期間にわたって投与されるべき物質が挙げられる。
【0044】
本発明の制御放出製剤は、種々の製薬学的に活性な物質、例えば、ace-inhibitor、アルカロイド類、制酸剤、鎮痛薬、同化剤、抗狭心症薬、抗アレルギー剤、抗不整脈剤、抗喘息薬、抗生物質、抗コレステロール薬、抗痙攣薬、抗血液凝固薬、制吐薬、抗ヒスタミン剤、高血圧治療薬、抗炎症薬、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、ステロイド系抗炎症薬、中枢神経系(CNS)刺激剤、CNS抑制剤、抗片頭痛、避妊薬、鎮咳剤、脱臭剤、外皮用剤、利尿薬、殺菌剤、消化薬、ビタミン類、ミネラル類、ポリペプチド、プロスタグラジン類、呼吸刺激薬、子宮弛緩薬、及び既知の多数の薬剤並びに新規薬剤の中から選択される活性物質(1種又は複数)を含有し得る。
【0045】
Biopharmaceuticals Classification System (BCS)に従って高溶解性である薬剤、例えばトラセミド、ベンラファキシン塩酸塩又はその他の塩の形態のベンラファキシン、ガバペンチン、プラバスタチンナトリウム、ラニチジン塩酸塩又はその他の塩の形態のラニチジン、及びその他の周知の薬剤並びに新規薬剤の場合には、第二の成分(造粒されていない形)に含有される有効成分は、純物質のような処理されていない形態であることが好ましい。しかし、BCSに従って低溶解性である薬剤、例えばテマゼパム、ジアゼパム、オキサゼパム、ニフェジピン、イブプロフェン、ロラタジン、及び周知のその他の薬剤並びに新規な薬剤の場合には、第二の成分(造粒されていない形)に含有される有効成分は、純物質のような処理されていない形態であるか、又は場合によっては担体中の固体分散物である。
【0046】
また、前記物質は、さらなる加工(錠剤化又はカプセル化)に適した製薬学的賦形剤と混合してもよい。
【0047】
前記の固体分散物の担体は、種々様々な重合体(例えば、種々の種類のポリエチレングリコール)又はその他の標準の製剤賦形剤、例えばポリビニルピロリドン(povidones、Kollidon VA 64) などの中から選択し得る。
【0048】
さらにまた、薬物の最適pH可溶化をもつ微細環境を作成できる物質のような溶解性増強剤を第二の成分に含有させることができる。賦形剤の品質及び量は、薬物(1種又は複数)の所望の放出プロフィールに従って生体外試験に基づいて決定できる。
【0049】
第二の成分(造粒されていない形)から放出プロセルを制御するのに使用される疎水性物質は、一連の脂質又は脂質材料、例えば水素化植物油、製薬用油脂、脂肪酸、グリセリド、ワックスなどの中から選択されることが好ましい。
【0050】
本発明に有用な製剤からの活性物質の放出速度は、
(i) 第一の成分から水不溶性重合体の量を調節することによる;及び
(ii) 第二の成分から疎水性物質の量を調節することによる;
二重の作用メカニズムによって影響され得る。
【0051】
理論に拘束されることを望むことなく、2つの完全に異なる放出遅延メカニズムをもつ2つの完全に異なる微細環境を有する場合には、製剤から製薬学的に活性な物質の全放出を制御するのに極めて有効なメカニズムが提供される。
【0052】
また、第一の成分及び第二の成分の活性物質の割合を調節すると、活性物質の放出を制御することができる。
【実施例】
【0053】
本発明を以下の非限定的な実施例を参照してさらに詳細に説明する。
【0054】
実施例1〜4
メタクリル酸共重合体を結合剤として使用してジクロフェナクナトリウムの一部を顆粒化した形で含有し且つ残りのジクロフェナクナトリウムを脂質と混合された顆粒化されていない形で含有する錠剤
実施例1 − 水不溶性(且つ透水性)高分子物質の量を変化させることによる放出速度の制御(図1)
【0055】
錠剤の連続した長期/遅延放出部分を構成する顆粒の調製
ジクロフェナクナトリウムと、微結晶性セルロース、ラクトース及び結合剤としてのEudragit RSとの混合物であって粉末の形態で及び/又は水性懸濁物の形態で使用される混合物から顆粒を調製した。湿潤顆粒を流動床乾燥機で乾燥し、次いで20メッシュ(0.8mm)の篩いを通して粉砕して、圧縮固形化に適した適当な粒度分布をもつ顆粒を得た。
【0056】
完成品顆粒の調製
顆粒と、活性薬物ジクロフェナクナトリウムの残部、脂質成分、リン酸水素カルシウム、水素化植物油NF(Type I)及びタルクとを20メッシュの篩を通して篩分けし、次いで5分間転倒混合した。次いで、ステアリン酸マグネシウム〔30メッシュ(0.6mm)の篩に通して篩い分けした〕を、前記の最終配合物に加え、さらに5分間混合した。得られた最終配合物を圧縮固形化して錠剤にした。メチルヒドロキシプロピルセルロース、Polysorbatum、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク並びに顔料例えば二酸化チタン、赤色酸化鉄及び黄色酸化鉄の水性懸濁物を用いて錠剤を被覆した。
【0057】
実施例2 − 追加の遅延剤として脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御(図2)
【0058】
顆粒及び錠剤を実施例1に記載の方法と同じようにして調製した。
【0059】
実施例3 − 水不溶性(且つ透水性)高分子物質と脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御(図3)
【0060】
顆粒及び錠剤を実施例1に記載の方法と同じようにして調製した。
【0061】
実施例4 − 顆粒又は錠剤配合物中の賦形剤の影響(図4)
【0062】
錠剤の連続した長期/遅延放出部分を構成する顆粒の調製
ジクロフェナクナトリウムと、微結晶性セルロース及びラクトース(又はこれらを使用せずに)と、結合剤としてのEudragit RSとの混合物であって粉末の形態で及び/又は水性懸濁物の形態で使用される混合物から顆粒を調製した。湿潤顆粒を流動床乾燥機で乾燥し、次いで20メッシュ(0.8mm)の篩いを通して粉砕して、圧縮固形化に適した適当な粒度分布をもつ顆粒を得た。
【0063】
完成品顆粒の調製
顆粒と、活性薬物ジクロフェナクナトリウムの残部、脂質成分、リン酸水素カルシウム、水素化植物油NF(Type I)及びタルクとを20メッシュの篩を通して篩分けし、次いで5分間転倒混合した。次いで、ステアリン酸マグネシウム〔30メッシュ(0.6mm)の篩に通して篩い分けした〕を、前記の最終配合物に加え、さらに5分間混合した。得られた最終配合物を圧縮固形化して錠剤にした。メチルヒドロキシプロピルセルロース、Polysorbatum、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク並びに顔料例えば二酸化チタン、赤色酸化鉄及び黄色酸化鉄の水性懸濁物を用いて錠剤を被覆した。
【0064】
実施例5〜7
結合剤としてメタクリル酸共重合体を使用してトラセミドの一部を粒状化した形で含有し且つ残りのトラセミドを脂質と混合した粒状化されていない形で含有する錠剤
実施例5 − 水不溶性(且つ透水性)高分子物質の量を変化させることによる放出速度の制御(図5)
【0065】
錠剤の連続した長期/遅延放出部分を構成する顆粒の調製
トラセミドと、結合剤としてのEudragit RSとの混合物であって粉末の形態で及び/又は水性懸濁物の形態で使用される混合物から顆粒を調製した。湿潤顆粒を流動床乾燥機で乾燥し、次いで20メッシュ(0.8mm)の篩いを通して粉砕して、圧縮固形化に適した粒度分布をもつ顆粒を得た。
【0066】
完成品顆粒の調製
顆粒と、活性薬物トラセミドの残部、脂質成分及びタルクとを20メッシュの篩を通して篩分けし、次いで5分間転倒混合した。次いで、ステアリン酸マグネシウム〔30メッシュ(0.6mm)の篩に通して篩い分けした〕を、前記の最終配合物に加え、さらに5分間混合した。得られた最終配合物を圧縮固形化して錠剤にした。
【0067】
実施例6 − 追加の遅延剤として脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御(図6)
【0068】
実施例5に記載の方法と同じようにして顆粒及び錠剤を調製した。
【0069】
実施例7 − 水不溶性(且つ透水性)高分子物質と脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御(図7)
【0070】
顆粒及び錠剤を実施例5に記載の方法と同じようにして調製した。
【0071】
実施例8〜10
結合剤としてメタクリル酸共重合体を使用してラチニジン塩酸塩の形のラチニジンの一部を粒状化した形で含有し且つラチニジン塩酸塩の形のラチニジンの残部を脂質と混合された粒状化されていない形で含有する錠剤
実施例8 − 水不溶性(且つ透水性)高分子物質の量を変化させることによる放出速度の制御(図8)
【0072】
錠剤の連続した長期/遅延放出部分を構成する顆粒の調製
ラチニジン塩酸塩の形のラチニジンと、Eudragit RSとの混合物であって粉末の形態で及び/又は水性懸濁物の形態で使用される混合物から顆粒を調製した。湿潤顆粒を流動床乾燥機で乾燥し、次いで20メッシュ(0.8mm)の篩いを通して粉砕して、圧縮固形化に適した適当な粒度分布をもつ顆粒を得た。
【0073】
完成品顆粒の調製
顆粒と、活性薬物ラチニジン塩酸塩の形のラチニジンの残部、脂質成分、水素化植物油NF(Type I)及びタルクとを20メッシュの篩を通して篩分けし、次いで5分間転倒混合した。次いで、ステアリン酸マグネシウム〔30メッシュ(0.6mm)の篩に通して篩い分けした〕を、前記の最終配合物に加え、さらに5分間混合した。得られた最終配合物を圧縮固形化して錠剤にした。
【0074】
実施例9 − 追加の遅延剤として脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御(図9)
【0075】
実施例8に記載の方法と同じようにして顆粒及び錠剤を調製した。
【0076】
実施例10 − 水不溶性(且つ透水性)高分子物質と脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御(図10)
【0077】
顆粒及び錠剤を実施例8に記載の方法と同じようにして調製した。
【0078】
本発明の製剤が一連の薬物の制御された送達を治療効果及び患者のコンプライエンスを最大にし、一方で薬剤の副作用を最小限に抑えるような要領で方法で提供することを可能にすることが意図される。
【0079】
本発明は具体的な態様を参照して説明したが、本発明の精神及び範囲から離れることなく種々の改変及び部分変更を行うことができることが当業者には認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の製剤の徐放性を表すグラフであり、水不溶性の(しかし透水性の)高分子物質の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。
【図2】本発明の製剤の徐放性を表すグラフであり、追加の抑制剤としての脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。
【図3】本発明の製剤の徐放性を表すグラフであり、水不溶性(しかし透水性)の高分子物質及び脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。
【図4】本発明の製剤の徐放性を表すグラフであり、顆粒中の水不溶性賦形剤及び/又は錠剤配合物中の水不溶性賦形剤の影響を表す。
【図5】本発明の製剤の徐放性を表すグラフであり、水不溶性(しかし透水性)の高分子物質の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。
【図6】本発明の製剤の徐放性を表すグラフであり、追加の抑制剤としての脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。
【図7】本発明の製剤の徐放性を表すグラフであり、水不溶性(しかし透水性)の高分子物質及び脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。
【図8】本発明の製剤の徐放性を表すグラフであり、水不溶性(しかし透水性)の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。
【図9】本発明の製剤の徐放性を表すグラフであり、追加の抑制剤としての脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。
【図10】本発明の製剤の徐放性を表すグラフであり、水不溶性(しかし透水性)の高分子物質及び脂質/脂質成分の量を変化させることによる放出速度の制御/持続を表す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 製薬学的に活性な物質及び製薬学的に許容し得る水不溶性で透水性の高分子物質と、
b) 製薬学的に活性な物質及び疎水性物質と
を含有してなる徐放性固形製剤。
【請求項2】
用量ダンピング及び副作用の恐れが軽減される請求項1に記載の徐放性固体製剤。
【請求項3】
成分1a)が顆粒の形で提供される請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
成分1b)が顆粒化されていないものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
成分1b)が顆粒の形であり、該顆粒中の疎水性物質が溶融状態で添加できるものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
成分1a)及び成分1b)がBCSによる高溶解性の製薬学的に活性な物質(例えば、トラセミド、ラニチジン塩酸塩の形のラニチジン)及び/又は十分に溶解しない製薬学的に活性な物質(例えば、ジクロフェナクナトリウム)を含有してなるものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
成分1a)及び成分1b)が同一の活性物質を含有するものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
成分1a)及び成分1b)が同一の活性物質を含有しないものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
1種又は複数の活性物質が成分1a)及び成分1b)中に種々の割合で存在する請求項7〜8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
成分1a)中に存在する水不溶性で透水性の高分子物質が、好ましくは1種又はそれ以上のメタクリル酸共重合体又はエチルセルロースあるいはこれらの混合物及び同様の性質もつその他の物質からなる群の中から選択されるものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記の水不溶性で透水性の高分子物質が約2〜90%(重量/重量)の範囲内の量で及び/又は前記活性物質に対して(1:10)〜(10:1)の割合で存在する請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
成分1b)中に存在する疎水性物質が水素化植物油及びその誘導体、製薬学的油脂、脂肪酸、グリセリド、ワックス類及び同様の性質をもつその他の物質からなる群の中から選択されるものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記の疎水性物質が約2〜80%(重量/重量)の範囲内の量で及び/又は前記活性物質に対して(1:10)〜(10:1)の割合で存在する請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
成分1a)に含有される1種又はそれ以上の充填剤、例えばラクトース及び/又は微結晶性セルロースを有するか又は有していないものである請求項1〜13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
成分1b)に含有される1種又はそれ以上の充填剤及び/又は流動促進剤/潤滑剤、例えばリン酸水素カルシウム、水素化植物油NF(Type I)、タルク及び/又はステアリン酸マグネシウムを有するか又は有していないものである請求項1〜13に記載の医薬組成物。
【請求項16】
成分1a)に含有される1種又はそれ以上の充填剤、例えばラクトース及び/又は微結晶性セルロースを有するか又は有していない及び/又は成分1b)に含有される1種又はそれ以上の充填剤及び/又は流動促進剤/潤滑剤、例えばリン酸水素カルシウム、水素化植物油NF(Type I)、タルク及び/又はステアリン酸マグネシウムを有するか又は有していないものである請求項1〜13に記載の医薬組成物。
【請求項17】
成分1a)と1b)との混合物が、1種又はそれ以上の充填剤、例えばラクトース、微結晶性セルロース、リン酸水素カルシウム及び/又は流動促進剤/潤滑剤、例えば水素化植物油NF(Type I)、タルク及び/又はステアリン酸マグネシウムと混合されるものである請求項1〜16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
成分1a)と成分1b)の混合物が圧縮固形化されて錠剤にされる請求項1〜17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
成分1a)と成分1b)の混合物が圧縮固形化されて1種又はそれ以上の錠剤にされる請求項1〜17に記載の医薬組成物。
【請求項20】
成分1a)が圧縮固形化されて錠剤にされ、次いで成分1b)と混合される請求項1〜16に記載の医薬組成物。
【請求項21】
成分1a)と成分1b)とを含有する錠剤が1種又はそれ以上の皮膜形成剤、可塑剤及び着色剤を含有するフィルムコーティングを用いるか又は用いずに調製される請求項1〜17に記載の医薬組成物。
【請求項22】
下記の配合:
ジクロフェナクナトリウム約9%〜約50%(重量/重量)、
Eudragit RS 約2%〜約50%(重量/重量)、
グリセリルトリステアレート約5%〜約35%(重量/重量)、
ラクトース約5%〜約25%(重量/重量)、
微結晶性セルロース約10%〜約15%(重量/重量)、
リン酸水素カルシウム約1%〜約10%(重量/重量)、
水素化植物油NF(type I)約1%〜約10%(重量/重量)
を有する請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
下記の配合:
トラセミド約1%〜約85%(重量/重量)、
Eudragit RS 約2%〜約50%(重量/重量)、
グリセリルトリステアレート約5%〜約35%(重量/重量)、
ラクトース約5%〜約25%(重量/重量)、
微結晶性セルロース約10%〜約15%(重量/重量)、
リン酸水素カルシウム約1%〜約10%(重量/重量)、
水素化植物油NF(type I)約1%〜約10%(重量/重量)
を有する請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項24】
下記の配合:
ラニチジン塩酸塩(又はその他の塩)の形のラニチジン約1%〜約85%(重量/重量)、
Eudragit RS 約2%〜約50%(重量/重量)、
グリセリルトリステアレート約5%〜約35%(重量/重量)、
ラクトース約5%〜約25%(重量/重量)、
微結晶性セルロース約10%〜約15%(重量/重量)、
リン酸水素カルシウム約1%〜約10%(重量/重量)、
水素化植物油NF(type I)約1%〜約10%(重量/重量)
を有する請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項25】
成分1a)と成分1b)の混合物が硬カプセルに充填される請求項1〜17に記載の医薬組成物。
【請求項26】
成分1a)と成分1b)の混合物が圧縮固形化されて1種又はそれ以上の錠剤にされ、次いで硬カプセルに充填される請求項1〜17に記載の医薬組成物。
【請求項27】
成分1a)が圧縮固形化されて錠剤にされ、次いで成分1b)と混合され、硬カプセルに充填される請求項1〜16に記載の医薬組成物。
【請求項28】
成分1a)と成分1b)との混合物が坐薬を形成するために使用される請求項1〜17に記載の医薬組成物。
【請求項29】
成分1a)と成分1b)との混合物が皮下植込錠を形成するために使用される請求項1〜17に記載の医薬組成物。
【請求項30】
容器と、用量ダンピング及び副作用の恐れが最小限に抑えられたことにより製剤を同時に又は食物摂取後に投与するのに制限のない記載物質(written matter)とからなる請求項18〜24に記載の錠剤用の医薬パッケージ。
【請求項31】
容器と、用量ダンピング及び副作用の恐れが最小限に抑えられたことにより製剤を同時に又は食物摂取後に投与するのに制限のない記載物質(written matter)とからなる請求項25〜27に記載の錠剤用の医薬パッケージ
【請求項32】
請求項1〜31に記載の徐放性固形製剤の製造方法。
【請求項33】
請求項1〜27に記載の徐放性固形製剤の好ましくは経口投与するための使用。
【請求項34】
請求項28に記載の徐放性製剤の好ましくは直腸投与するための使用。
【請求項35】
請求項29に記載の徐放性製剤の好ましくは皮下投与するための使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 製薬学的に許容し得る水不溶性で透水性の高分子物質と混合された製薬学的に活性な物質を含有する顆粒と、
b) 製薬学的に活性な物質及び少なくとも2%(重量/重量)の水不溶性で不浸透性の疎水性物質と
を含有してなる徐放性固形製剤。
【請求項2】
用量ダンピング及び副作用の恐れが軽減される請求項1に記載の徐放性固体製剤。
【請求項3】
成分1a)が顆粒化されていないものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
成分1b)が顆粒の形であり、該顆粒中の水不溶性で不浸透性の疎水性物質が溶融状態で添加できるものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
成分1a)及び成分1b)がBCSによる高溶解性の製薬学的に活性な物質(例えば、トラセミド、ラニチジン塩酸塩の形のラニチジン)及び/又は十分に溶解しない製薬学的に活性な物質(例えば、ジクロフェナクナトリウム)を含有してなるものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
成分1a)及び成分1b)が同一の活性物質を含有するものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
成分1a)及び成分1b)が同一の活性物質を含有しないものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
1種又は複数の活性物質が成分1a)及び成分1b)中に種々の割合で存在する請求項6又は7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
成分1a)中に存在する水不溶性で透水性の高分子物質が、好ましくは1種又はそれ以上のメタクリル酸共重合体又はエチルセルロースあるいはこれらの混合物及び同様の性質もつその他の物質からなる群の中から選択されるものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記の水不溶性で透水性の高分子物質が約2〜90%(重量/重量)の範囲内の量で及び/又は前記活性物質に対して(1:10)〜(10:1)の割合で存在する請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
成分1b)中に存在する水不溶性で不浸透性の疎水性物質が水素化植物油及びその誘導体、製薬学的油脂、脂肪酸、グリセリド、ワックス類及び同様の性質をもつその他の物質からなる群の中から選択されるものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記の水不溶性で不浸透性の疎水性物質が約2〜80%(重量/重量)の範囲内の量で及び/又は前記活性物質に対して(1:10)〜(10:1)の割合で存在する請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
成分1a)に含有される1種又はそれ以上の充填剤、例えばラクトース及び/又は微結晶性セルロースを有するか又は有していないものである請求項1〜12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
成分1b)に含有される1種又はそれ以上の充填剤及び/又は流動促進剤/潤滑剤、例えばリン酸水素カルシウム、水素化植物油NF(Type I)、タルク及び/又はステアリン酸マグネシウムを有するか又は有していないものである請求項1〜12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
成分1a)に含有される1種又はそれ以上の充填剤、例えばラクトース及び/又は微結晶性セルロースを有するか又は有していない及び/又は成分1b)に含有される1種又はそれ以上の充填剤及び/又は流動促進剤/潤滑剤、例えばリン酸水素カルシウム、水素化植物油NF(Type I)、タルク及び/又はステアリン酸マグネシウムを有するか又は有していないものである請求項1〜12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
成分1a)と1b)との混合物が、1種又はそれ以上の充填剤、例えばラクトース、微結晶性セルロース、リン酸水素カルシウム及び/又は流動促進剤/潤滑剤、例えば水素化植物油NF(Type I)、タルク及び/又はステアリン酸マグネシウムと混合されるものである請求項1〜15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
成分1a)と成分1b)の混合物が圧縮固形化されて錠剤にされる請求項1〜16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
成分1a)と成分1b)の混合物が圧縮固形化されて1種又はそれ以上の錠剤にされる請求項1〜16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
成分1a)が圧縮固形化されて錠剤にされ、次いで成分1b)と混合される請求項1〜15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
成分1a)と成分1b)とを含有する錠剤が1種又はそれ以上の皮膜形成剤、可塑剤及び着色剤を含有するフィルムコーティングを用いるか又は用いずに調製される請求項1〜16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
下記の配合:
ジクロフェナクナトリウム約9%〜約50%(重量/重量)、
Eudragit RS 約2%〜約50%(重量/重量)、
グリセリルトリステアレート約5%〜約35%(重量/重量)、
ラクトース約5%〜約25%(重量/重量)、
微結晶性セルロース約10%〜約15%(重量/重量)、
リン酸水素カルシウム約1%〜約10%(重量/重量)、
水素化植物油NF(type I)約1%〜約10%(重量/重量)
を有する請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
下記の配合:
トラセミド約1%〜約85%(重量/重量)、
Eudragit RS 約2%〜約50%(重量/重量)、
グリセリルトリステアレート約5%〜約35%(重量/重量)、
ラクトース約5%〜約25%(重量/重量)、
微結晶性セルロース約10%〜約15%(重量/重量)、
リン酸水素カルシウム約1%〜約10%(重量/重量)、
水素化植物油NF(type I)約1%〜約10%(重量/重量)
を有する請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項23】
下記の配合:
ラニチジン塩酸塩(又はその他の塩)の形のラニチジン約1%〜約85%(重量/重量)、
Eudragit RS 約2%〜約50%(重量/重量)、
グリセリルトリステアレート約5%〜約35%(重量/重量)、
ラクトース約5%〜約25%(重量/重量)、
微結晶性セルロース約10%〜約15%(重量/重量)、
リン酸水素カルシウム約1%〜約10%(重量/重量)、
水素化植物油NF(type I)約1%〜約10%(重量/重量)
を有する請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項24】
成分1a)と成分1b)の混合物が硬カプセルに充填される請求項1〜16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項25】
成分1a)と成分1b)の混合物が圧縮固形化されて1種又はそれ以上の錠剤にされ、次いで硬カプセルに充填される請求項1〜16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項26】
成分1a)が圧縮固形化されて錠剤にされ、次いで成分1b)と混合され、硬カプセルに充填される請求項1〜15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
成分1a)と成分1b)との混合物が坐薬を形成するために使用される請求項1〜16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項28】
成分1a)と成分1b)との混合物が皮下植込錠を形成するために使用される請求項1〜16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項29】
請求項1〜28のいずれか1項に記載の徐放性固形製剤の製造方法。
【請求項30】
請求項1〜26に記載の徐放性固形製剤の好ましくは経口投与するための使用。
【請求項31】
請求項27に記載の徐放性製剤の好ましくは直腸投与するための使用。
【請求項32】
請求項28に記載の徐放性製剤の好ましくは皮下投与するための使用。
【請求項33】
患者に請求項1〜28のいずれか1項に記載の徐放性固形製剤を投与することからなる用量ダンピングを最小限に抑える方法。
【請求項34】
a) 製薬学的に許容し得る水不溶性で透水性の高分子物質と混合された製薬学的に活性な物質を含有する顆粒と、
b) 製薬学的に活性な物質及び少なくとも2%(重量/重量)の水不溶性で不浸透性の疎水性物質と
の製薬学的に活性な薬剤の徐放用の徐放性製剤の製造における使用。
【請求項35】
成分a)を成分b)と組み合わせることに請求項1〜28のいずれか1項に記載の徐放性固形製剤の製造方法。
【請求項1】
a) 製薬学的に活性な物質及び製薬学的に許容し得る水不溶性で透水性の高分子物質と、
b) 製薬学的に活性な物質及び疎水性物質と
を含有してなる徐放性固形製剤。
【請求項2】
用量ダンピング及び副作用の恐れが軽減される請求項1に記載の徐放性固体製剤。
【請求項3】
成分1a)が顆粒の形で提供される請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
成分1b)が顆粒化されていないものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
成分1b)が顆粒の形であり、該顆粒中の疎水性物質が溶融状態で添加できるものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
成分1a)及び成分1b)がBCSによる高溶解性の製薬学的に活性な物質(例えば、トラセミド、ラニチジン塩酸塩の形のラニチジン)及び/又は十分に溶解しない製薬学的に活性な物質(例えば、ジクロフェナクナトリウム)を含有してなるものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
成分1a)及び成分1b)が同一の活性物質を含有するものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
成分1a)及び成分1b)が同一の活性物質を含有しないものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
1種又は複数の活性物質が成分1a)及び成分1b)中に種々の割合で存在する請求項7〜8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
成分1a)中に存在する水不溶性で透水性の高分子物質が、好ましくは1種又はそれ以上のメタクリル酸共重合体又はエチルセルロースあるいはこれらの混合物及び同様の性質もつその他の物質からなる群の中から選択されるものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記の水不溶性で透水性の高分子物質が約2〜90%(重量/重量)の範囲内の量で及び/又は前記活性物質に対して(1:10)〜(10:1)の割合で存在する請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
成分1b)中に存在する疎水性物質が水素化植物油及びその誘導体、製薬学的油脂、脂肪酸、グリセリド、ワックス類及び同様の性質をもつその他の物質からなる群の中から選択されるものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記の疎水性物質が約2〜80%(重量/重量)の範囲内の量で及び/又は前記活性物質に対して(1:10)〜(10:1)の割合で存在する請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
成分1a)に含有される1種又はそれ以上の充填剤、例えばラクトース及び/又は微結晶性セルロースを有するか又は有していないものである請求項1〜13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
成分1b)に含有される1種又はそれ以上の充填剤及び/又は流動促進剤/潤滑剤、例えばリン酸水素カルシウム、水素化植物油NF(Type I)、タルク及び/又はステアリン酸マグネシウムを有するか又は有していないものである請求項1〜13に記載の医薬組成物。
【請求項16】
成分1a)に含有される1種又はそれ以上の充填剤、例えばラクトース及び/又は微結晶性セルロースを有するか又は有していない及び/又は成分1b)に含有される1種又はそれ以上の充填剤及び/又は流動促進剤/潤滑剤、例えばリン酸水素カルシウム、水素化植物油NF(Type I)、タルク及び/又はステアリン酸マグネシウムを有するか又は有していないものである請求項1〜13に記載の医薬組成物。
【請求項17】
成分1a)と1b)との混合物が、1種又はそれ以上の充填剤、例えばラクトース、微結晶性セルロース、リン酸水素カルシウム及び/又は流動促進剤/潤滑剤、例えば水素化植物油NF(Type I)、タルク及び/又はステアリン酸マグネシウムと混合されるものである請求項1〜16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
成分1a)と成分1b)の混合物が圧縮固形化されて錠剤にされる請求項1〜17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
成分1a)と成分1b)の混合物が圧縮固形化されて1種又はそれ以上の錠剤にされる請求項1〜17に記載の医薬組成物。
【請求項20】
成分1a)が圧縮固形化されて錠剤にされ、次いで成分1b)と混合される請求項1〜16に記載の医薬組成物。
【請求項21】
成分1a)と成分1b)とを含有する錠剤が1種又はそれ以上の皮膜形成剤、可塑剤及び着色剤を含有するフィルムコーティングを用いるか又は用いずに調製される請求項1〜17に記載の医薬組成物。
【請求項22】
下記の配合:
ジクロフェナクナトリウム約9%〜約50%(重量/重量)、
Eudragit RS 約2%〜約50%(重量/重量)、
グリセリルトリステアレート約5%〜約35%(重量/重量)、
ラクトース約5%〜約25%(重量/重量)、
微結晶性セルロース約10%〜約15%(重量/重量)、
リン酸水素カルシウム約1%〜約10%(重量/重量)、
水素化植物油NF(type I)約1%〜約10%(重量/重量)
を有する請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
下記の配合:
トラセミド約1%〜約85%(重量/重量)、
Eudragit RS 約2%〜約50%(重量/重量)、
グリセリルトリステアレート約5%〜約35%(重量/重量)、
ラクトース約5%〜約25%(重量/重量)、
微結晶性セルロース約10%〜約15%(重量/重量)、
リン酸水素カルシウム約1%〜約10%(重量/重量)、
水素化植物油NF(type I)約1%〜約10%(重量/重量)
を有する請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項24】
下記の配合:
ラニチジン塩酸塩(又はその他の塩)の形のラニチジン約1%〜約85%(重量/重量)、
Eudragit RS 約2%〜約50%(重量/重量)、
グリセリルトリステアレート約5%〜約35%(重量/重量)、
ラクトース約5%〜約25%(重量/重量)、
微結晶性セルロース約10%〜約15%(重量/重量)、
リン酸水素カルシウム約1%〜約10%(重量/重量)、
水素化植物油NF(type I)約1%〜約10%(重量/重量)
を有する請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項25】
成分1a)と成分1b)の混合物が硬カプセルに充填される請求項1〜17に記載の医薬組成物。
【請求項26】
成分1a)と成分1b)の混合物が圧縮固形化されて1種又はそれ以上の錠剤にされ、次いで硬カプセルに充填される請求項1〜17に記載の医薬組成物。
【請求項27】
成分1a)が圧縮固形化されて錠剤にされ、次いで成分1b)と混合され、硬カプセルに充填される請求項1〜16に記載の医薬組成物。
【請求項28】
成分1a)と成分1b)との混合物が坐薬を形成するために使用される請求項1〜17に記載の医薬組成物。
【請求項29】
成分1a)と成分1b)との混合物が皮下植込錠を形成するために使用される請求項1〜17に記載の医薬組成物。
【請求項30】
容器と、用量ダンピング及び副作用の恐れが最小限に抑えられたことにより製剤を同時に又は食物摂取後に投与するのに制限のない記載物質(written matter)とからなる請求項18〜24に記載の錠剤用の医薬パッケージ。
【請求項31】
容器と、用量ダンピング及び副作用の恐れが最小限に抑えられたことにより製剤を同時に又は食物摂取後に投与するのに制限のない記載物質(written matter)とからなる請求項25〜27に記載の錠剤用の医薬パッケージ
【請求項32】
請求項1〜31に記載の徐放性固形製剤の製造方法。
【請求項33】
請求項1〜27に記載の徐放性固形製剤の好ましくは経口投与するための使用。
【請求項34】
請求項28に記載の徐放性製剤の好ましくは直腸投与するための使用。
【請求項35】
請求項29に記載の徐放性製剤の好ましくは皮下投与するための使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 製薬学的に許容し得る水不溶性で透水性の高分子物質と混合された製薬学的に活性な物質を含有する顆粒と、
b) 製薬学的に活性な物質及び少なくとも2%(重量/重量)の水不溶性で不浸透性の疎水性物質と
を含有してなる徐放性固形製剤。
【請求項2】
用量ダンピング及び副作用の恐れが軽減される請求項1に記載の徐放性固体製剤。
【請求項3】
成分1a)が顆粒化されていないものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
成分1b)が顆粒の形であり、該顆粒中の水不溶性で不浸透性の疎水性物質が溶融状態で添加できるものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
成分1a)及び成分1b)がBCSによる高溶解性の製薬学的に活性な物質(例えば、トラセミド、ラニチジン塩酸塩の形のラニチジン)及び/又は十分に溶解しない製薬学的に活性な物質(例えば、ジクロフェナクナトリウム)を含有してなるものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
成分1a)及び成分1b)が同一の活性物質を含有するものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
成分1a)及び成分1b)が同一の活性物質を含有しないものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
1種又は複数の活性物質が成分1a)及び成分1b)中に種々の割合で存在する請求項6又は7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
成分1a)中に存在する水不溶性で透水性の高分子物質が、好ましくは1種又はそれ以上のメタクリル酸共重合体又はエチルセルロースあるいはこれらの混合物及び同様の性質もつその他の物質からなる群の中から選択されるものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記の水不溶性で透水性の高分子物質が約2〜90%(重量/重量)の範囲内の量で及び/又は前記活性物質に対して(1:10)〜(10:1)の割合で存在する請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
成分1b)中に存在する水不溶性で不浸透性の疎水性物質が水素化植物油及びその誘導体、製薬学的油脂、脂肪酸、グリセリド、ワックス類及び同様の性質をもつその他の物質からなる群の中から選択されるものである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記の水不溶性で不浸透性の疎水性物質が約2〜80%(重量/重量)の範囲内の量で及び/又は前記活性物質に対して(1:10)〜(10:1)の割合で存在する請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
成分1a)に含有される1種又はそれ以上の充填剤、例えばラクトース及び/又は微結晶性セルロースを有するか又は有していないものである請求項1〜12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
成分1b)に含有される1種又はそれ以上の充填剤及び/又は流動促進剤/潤滑剤、例えばリン酸水素カルシウム、水素化植物油NF(Type I)、タルク及び/又はステアリン酸マグネシウムを有するか又は有していないものである請求項1〜12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
成分1a)に含有される1種又はそれ以上の充填剤、例えばラクトース及び/又は微結晶性セルロースを有するか又は有していない及び/又は成分1b)に含有される1種又はそれ以上の充填剤及び/又は流動促進剤/潤滑剤、例えばリン酸水素カルシウム、水素化植物油NF(Type I)、タルク及び/又はステアリン酸マグネシウムを有するか又は有していないものである請求項1〜12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
成分1a)と1b)との混合物が、1種又はそれ以上の充填剤、例えばラクトース、微結晶性セルロース、リン酸水素カルシウム及び/又は流動促進剤/潤滑剤、例えば水素化植物油NF(Type I)、タルク及び/又はステアリン酸マグネシウムと混合されるものである請求項1〜15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
成分1a)と成分1b)の混合物が圧縮固形化されて錠剤にされる請求項1〜16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
成分1a)と成分1b)の混合物が圧縮固形化されて1種又はそれ以上の錠剤にされる請求項1〜16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
成分1a)が圧縮固形化されて錠剤にされ、次いで成分1b)と混合される請求項1〜15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
成分1a)と成分1b)とを含有する錠剤が1種又はそれ以上の皮膜形成剤、可塑剤及び着色剤を含有するフィルムコーティングを用いるか又は用いずに調製される請求項1〜16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
下記の配合:
ジクロフェナクナトリウム約9%〜約50%(重量/重量)、
Eudragit RS 約2%〜約50%(重量/重量)、
グリセリルトリステアレート約5%〜約35%(重量/重量)、
ラクトース約5%〜約25%(重量/重量)、
微結晶性セルロース約10%〜約15%(重量/重量)、
リン酸水素カルシウム約1%〜約10%(重量/重量)、
水素化植物油NF(type I)約1%〜約10%(重量/重量)
を有する請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
下記の配合:
トラセミド約1%〜約85%(重量/重量)、
Eudragit RS 約2%〜約50%(重量/重量)、
グリセリルトリステアレート約5%〜約35%(重量/重量)、
ラクトース約5%〜約25%(重量/重量)、
微結晶性セルロース約10%〜約15%(重量/重量)、
リン酸水素カルシウム約1%〜約10%(重量/重量)、
水素化植物油NF(type I)約1%〜約10%(重量/重量)
を有する請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項23】
下記の配合:
ラニチジン塩酸塩(又はその他の塩)の形のラニチジン約1%〜約85%(重量/重量)、
Eudragit RS 約2%〜約50%(重量/重量)、
グリセリルトリステアレート約5%〜約35%(重量/重量)、
ラクトース約5%〜約25%(重量/重量)、
微結晶性セルロース約10%〜約15%(重量/重量)、
リン酸水素カルシウム約1%〜約10%(重量/重量)、
水素化植物油NF(type I)約1%〜約10%(重量/重量)
を有する請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項24】
成分1a)と成分1b)の混合物が硬カプセルに充填される請求項1〜16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項25】
成分1a)と成分1b)の混合物が圧縮固形化されて1種又はそれ以上の錠剤にされ、次いで硬カプセルに充填される請求項1〜16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項26】
成分1a)が圧縮固形化されて錠剤にされ、次いで成分1b)と混合され、硬カプセルに充填される請求項1〜15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
成分1a)と成分1b)との混合物が坐薬を形成するために使用される請求項1〜16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項28】
成分1a)と成分1b)との混合物が皮下植込錠を形成するために使用される請求項1〜16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項29】
請求項1〜28のいずれか1項に記載の徐放性固形製剤の製造方法。
【請求項30】
請求項1〜26に記載の徐放性固形製剤の好ましくは経口投与するための使用。
【請求項31】
請求項27に記載の徐放性製剤の好ましくは直腸投与するための使用。
【請求項32】
請求項28に記載の徐放性製剤の好ましくは皮下投与するための使用。
【請求項33】
患者に請求項1〜28のいずれか1項に記載の徐放性固形製剤を投与することからなる用量ダンピングを最小限に抑える方法。
【請求項34】
a) 製薬学的に許容し得る水不溶性で透水性の高分子物質と混合された製薬学的に活性な物質を含有する顆粒と、
b) 製薬学的に活性な物質及び少なくとも2%(重量/重量)の水不溶性で不浸透性の疎水性物質と
の製薬学的に活性な薬剤の徐放用の徐放性製剤の製造における使用。
【請求項35】
成分a)を成分b)と組み合わせることに請求項1〜28のいずれか1項に記載の徐放性固形製剤の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2006−507216(P2006−507216A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−572553(P2003−572553)
【出願日】平成14年3月27日(2002.3.27)
【国際出願番号】PCT/HR2002/000018
【国際公開番号】WO2003/074033
【国際公開日】平成15年9月12日(2003.9.12)
【出願人】(504307102)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成14年3月27日(2002.3.27)
【国際出願番号】PCT/HR2002/000018
【国際公開番号】WO2003/074033
【国際公開日】平成15年9月12日(2003.9.12)
【出願人】(504307102)
【Fターム(参考)】
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