説明

画像インターフェイス装置

【課題】 人間等の移動体の3次元の動作を検出し、場合によっては当該動作に関する時間情報も含めながらこの検出内容をディスプレイ上のキャラクタ等の画像の動作に適正に反映させ、よりリアルな動画像を表示すること。
【解決手段】 マルチライン光センサ11で得た2画像データD1,D2毎に、対象部位抽出部22で、人体1の顔と手の画像データを抽出する。対象ノード抽出部23で、その画像データから顔と手の特徴点である鼻頭と拳のノードを抽出し、この全ノードからセンサ11までの距離を算出部24で算出する。算出部25で、センサ11から鼻までの距離と、拳までの距離と、これら差分距離とを求め、これに検出時刻を対応付けて距離時刻データし、このデータを別時刻のもの同士で比較して拳の移動距離、移動時間及び移動方向のデータを求める。このデータをもとに作成部26にて、モニタ32上の画像の動作を制御する制御データを作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム機のユーザインタフェイス装置等に用いられ、人間や動物等の移動体の動きを撮像により検出してディスプレイ上のキャラクタ等の画像の動作に反映させる画像インターフェイス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人等の動きを撮像してゲーム機等のディスプレイの画像に反映させるインターフェイス装置として、例えば特許文献1に記載のものがある。
この内容は、入力コマンドに応答してゲームを進行させるゲーム装置において、人体の少なくとも一部の形状が入力対象であり、画像入力手段によって、その入力対象の動的なジェスチャーによる入力ビデオ信号から二値画像データを取得する。オリエンテーション検出手段によって、その取得された二値画像データに基づいて入力対象のオリエンテーション情報を検出する。シェイプ検出手段によって、画像入力手段で取得された二値画像データに基づいて入力対象のシェイプ情報を検出する。そして、コマンド生成手段によって、オリエンテーション検出手段で検出されたオリエンテーション情報とシェイプ検出手段で検出されたシェイプ情報との組み合わせに応じて、ゲームを進行させるための入力コマンドを生成するようになっている。
【0003】
このように、ジェスチャー認識の精度についてある程度の許容をもたせることで、入力操作デバイスを用いてコマンド入力した場合と同等のリアルタイム性を簡単に確保できるようになっている。これによって、インタラクティブゲームの進行に必要な高い応答性を実現することを可能としている。また、人間特有の動き(反射神経など)を考慮することで、より高いヒューマンインタフェースを実現することを可能としている。
【特許文献1】特開2001−246161号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1においては、画像入力手段によって取得される人体の二値画像データが人体を撮像して得た2次元平面のデータなので、人体の前後方向の動作をディスプレイ上のキャラクタ等の画像の動作に適正に反映させることができない。例えば、従来の画像インターフェイス装置を用いたゲーム機では、撮像対象の移動体の平面方向の動きしか検出できない。このため、その検出内容に制約されたゲームしかできず、よりリアルな動画像によるゲームを実現することができない。つまり、移動体の平面方向の動きしか検出できないので、よりリアルな動画像を表示することができないという問題がある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、人間等の移動体の3次元の動作を検出し、この検出内容をディスプレイ上のキャラクタ等の画像の動作に適正に反映させ、よりリアルな動画像を表示することができる画像インターフェイス装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1による画像インターフェイス装置は、移動体の動きを撮像により検出してディスプレイ上の画像の動作に反映させる画像インターフェイス装置において、少なくとも2つのレンズを通して撮像される移動体の2つの画像データを得るセンサと、前記2つの画像データから、該画像データをもとに前記移動体における基準部位と移動部位を抽出する第1の抽出手段と、前記抽出された基準部位における特徴点と移動部位における複数の特徴点とを抽出する第2の抽出手段と、前記第2の抽出手段で抽出された基準部位の特徴点及び移動部位の各特徴点をもとに、それら全ての特徴点から前記センサまでの距離を算出する距離算出手段と、前記算出された全ての距離をもとに、前記センサから前記基準部位までの距離と、前記移動部位までの距離と、これら距離の差分距離とを求め、この求められた距離に前記センサでの検出時刻を対応付けて距離時刻データとし、この距離時刻データを別時刻のもの同士で比較することにより前記移動部位の移動距離、この距離を移動部位が移動する移動時間及び移動方向のデータを求める差分算出手段と、前記差分算出手段で求められた移動部位の移動距離、移動時間及び移動方向のデータをもとに、前記ディスプレイ上の画像の動作を制御する制御データを作成する作成手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、移動体の移動部位の3次元の動作を検出し、この検出内容を示す制御データを用いてディスプレイ上の画像の動作を制御させるようにしたので、移動部位の前後方向の動作をディスプレイ上のキャラクタ等の画像の動作に適正に反映させることができる。従って、検出対象の移動体の実際の平面方向に更に実際の前後方向の動きを加えた、よりリアルな動画像をディスプレイ上に表示することができる。
【0007】
また、本発明の請求項2による画像インターフェイス装置は、請求項1において、前記センサは、2つのレンズを通して前記移動体の映像が結像される一対の1次元光センサアレイを複数配列し、これら光センサの受光強度に応じて画像データを得るマルチライン光センサであることを特徴とする。
この構成によれば、撮像情報量の少ないマルチライン光センサによって移動体の画像データを得るので、エリアセンサ等の撮像情報量が多いセンサに比べ、高速な処理を行うことができる。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本発明によれば、人間等の移動体の3次元の動作を検出し、場合によっては当該動作に関する時間情報も含めながらこの検出内容をディスプレイ上のキャラクタ等の画像の動作に適正に反映させ、よりリアルな動画像を表示することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る画像インターフェイス装置の構成を示すブロック図である。
図1に示す画像インターフェイス装置10は、2つのレンズが取り付けられたマルチライン光センサ11と、このマルチライン光センサ11にA/D(Analog/Digital)変換部12及びI/O(Input/Output)部13を介して接続された動作解析部14と、データ転送部15とを備えて構成されている。
【0010】
動作解析部14は、センサ制御部20と、対象部位抽出部22と、対象ノード抽出部23と、距離算出部24と、前回データ差分算出部25と、制御データ作成部26とを備えて構成されている。
マルチライン光センサ11は、本出願人により既に出願された距離測定装置を用いたものであり、人体1の顔や手などの任意部分を2つのレンズを通して光センサアレイに結像させ、この結像によって得られる2つの画像信号を出力するようになっている。2つの画像信号からは、後述するように、人体1の例えば顔の鼻などの目標部位をノードとして求め、当該センサ11からノードまでの距離を得ることが可能となっている。
【0011】
その距離は、三角測距に基づき得られるようになっている。この三角測距の原理を、図2に示す三角測距の原理に基づくマルチライン光センサの原理図を参照して説明する。
被写体である人体1(便宜的に矢印で示してある)の光がレンズ51、52により、光センサアレイ53、54上に被写体像56、57として結像する。点G、点Hは、正面の無限遠からレンズ51、52の中心点C、Dを通過する光線(光軸58、59)と光センサアレイ53、54との交点である。
【0012】
点Gと点Hの間の距離をB、光センサアレイ53、54とレンズ51、52との距離をfeとする。また、光軸58、59からの被写体像56、57のずれをX1、X2とする。このX1とX2を足した長さをXとする。なお、Xは通常位相差と呼ばれる。ここで三角形ACEと三角形CFG及び、三角形AEDと三角形DHIは、それぞれ相似であることから、人体1の点Aに相当する部位、例えば顔までの距離dは次の(1)次式で求められる。
d=B・fe/(X1+X2)=B・fe/X ・・・(1)
位相差Xは被写体55が無限遠にあるとき、すなわち二つの被写体像56、57がレンズ51、52の光軸58、59と光センサアレイの交点にある場合を基準とした2像の相対変移である。Bとfeは定数であるので、位相差Xを検出することで距離dを求めることができる。
【0013】
また、マルチライン光センサ11の構成は、図3に示すように、各々1対の光センサ回路アレイ130aと130b、130cと130d、130eと130fを、長手方向xnに対して垂直方向ynに複数個配置した構成となっている。また、151a,151b,152a,152b,153a,153bは光センサアレイ(受光部)であり、154a,154b,155a,155b,156a,156bは積分回路アレイ(増幅部)である。
【0014】
更に説明すると、マルチライン光センサ11は、隣接して配置される上段の光センサアレイ151a、151bと中段の光センサアレイ152a、152bとの間に、積分回路アレイ155a、155bが配置される構成となっている。また、同様に中段と下段の光センサアレイの間にも積分回路アレイが配置されている。なお、図3には光センサ回路アレイを3対配置した例を示すが、3対に限定するものではなく、より多くの光センサ回路アレイを配したものでもよい。5対以上が好ましく、さらに好ましくは10〜20対あるとよい。
【0015】
画像インターフェイス装置10のA/D変換部12は、光センサ回路アレイ130a,130c,130eから出力される第1のアナログ画像信号及び光センサ回路アレイ130b,130d,130fから出力される第2のアナログ画像信号を、ディジタルの第1及び第2の画像データD1,D2に変換して出力するものである。
対象部位抽出部22は、A/D変換部12からの第1及び第2の画像データD1,D2をもとに、図4に示す人体1の撮像原画像1aに対して周知の画像処理によりピクセル単位で平均化処理を行って図5に示すようなピクセル平均化画像1bを取得し、このピクセル平均化画像1bの明るい部分の面積から顔1c及び手1dを判別して抽出し、これら顔1c及び手1dの画像データを出力するものである。但し、それら顔1c及び手1dの画像データは、第1及び第2の画像データD1,D2毎に抽出されて出力される。
【0016】
対象ノード抽出部23は、対象部位抽出部22からの顔1c及び手1dの画像データをもとに、図6に示すように、顔1cの特徴部分である鼻1e及び手1dの特徴部分である拳1fにポイント(○で指示)を定め、このポイント部分をノードとして抽出する。
この際、図7(a)から(b)に示すように、鼻1eは、鼻頭●を基準のノードN0として抽出する。一方、拳1fにおいては、人体1が例えばボクシングの動作を行うことを前提とすると、拳1fが前方に(マルチライン光センサ11側に)突き出され、この状態から後方に引かれる。更に、それら前後する際に動きが直線方向のみならず斜め方向であったりする。このような拳1fの前後左右上下斜め方向への移動を検出するために、拳1fにおいては、複数箇所にポイント●を定め、これらをノードとして抽出する。この例では、拳1fに●で示す18箇所の拳の各ノードN1〜N18を定めた。
【0017】
但し、拳の各ノードN1〜N18と鼻頭のノードN0は、上記の第1及び第2の画像データD1,D2毎に抽出されて距離算出部24へ出力される。
距離算出部24は、対象ノード抽出部23で抽出された第1及び第2の画像データD1,D2毎の鼻頭のノードN0及び拳の各ノードN1〜N18をもとに三角測距の原理に従い、マルチライン光センサ11から各々の対象ノードN0及びN1〜N18までの距離を算出し、これらの距離を前回データ差分算出部25へ出力するものである。
【0018】
前回データ差分算出部25は、距離算出部24で算出された各々の対象ノードN0及びN1〜N18までの距離をもとに、図8に示すように、マルチライン光センサ11から鼻1eまでの距離Z1と、拳1fまでの距離Z2と、これら距離Z1とZ2との差分距離Z3とを求める。鼻1eまでの距離Z1は鼻頭のノードN0までの距離である。拳1fまでの距離Z2は、例えば拳の各ノードN1〜N18までの距離の平均値とする。
【0019】
これによって、例えば、図9(a)に示すように、鼻1eまでの距離Z1が109.5cm、拳1fまでの距離Z2が100.0cm、差分距離Z3が9.5cmと算出される。また、距離算出部24は、図9(a)に示すように、マルチライン光センサ11の該当する検出時刻t1=12(時):00(分):00(秒):00として各距離Z1〜Z3に対応付ける。
【0020】
更に、前回データ差分算出部25は、各距離Z1〜Z3に検出時刻tが対応付けられて成る距離時刻データの前回分と今回分を比較して、図8に示す拳1fの移動距離Z4、この距離Z4を拳1fが移動する移動時間及び移動方向を求める。ここで、図9(a)に示す距離時刻データD3を前回分、(b)に示す距離時刻データD4を今回分とする。
拳1fの移動距離Z4は、今回の距離時刻データD4の差分距離Z3a=63.5cmから前回の距離時刻データD3の差分距離Z3=9.5cmを減算して求める。この例の場合、拳1fの移動距離Z4は54cmとなる。
【0021】
拳1fの移動時間は、今回の距離時刻データD4の検出時刻t2=12:00:00:08から前回の距離時刻データD3の検出時刻t1=12:00:00:00を減算して求める。この例の場合、拳1fの移動時間は0.8秒となる。
拳1fの移動方向は、まず、差分距離Z3a−Z3の結果から拳1fの前後方向を求める。つまり、その減算結果が上記の54cmのようにプラスであれば、マルチライン光センサ11に向かう前方方向、マイナスであれば逆の後方方向となる。更に、拳1fまでの距離Z2を求めた拳の各ノードN1〜N18の個々のXY平面(図8に示すZ1〜Z3方向と垂直な面のことであるが、図3に示す方向xnと方向ynで規定される平面、すなわちマルチライン光センサ111と考えてもよく、その場合は結像位置の)座標位置を求め、これら値の今回分と前回分との差分と、上記の前後方向とから、拳1fの前後左右上下斜めの移動方向を求める。
【0022】
制御データ作成部26は、前回データ差分算出部25にて求められた拳1fの移動方向、移動時間、移動距離をもとに、ゲーム機31によってテレビモニタ32上に映し出される画像(例えばボクシングキャラクタ画像)の動作を人体1と連動させて制御するための制御データを作成する。
データ転送部15は、制御データ作成部26で作成された制御データをゲーム機31へ転送するものである。
センサ制御部20は、I/O部13を介してマルチライン光センサ11の撮像動作を制御するものである。
このような構成の画像インターフェイス装置10を用いて、ゲーム機31によってテレビモニタ32上に映し出されるボクシングキャラクタ画像の動作を制御する際の処理を、図10に示すフローチャートを参照して説明する。
【0023】
まず、ステップS1において、人体1が図4に示すポーズをとっている際に、センサ制御部20からI/O部13を介してマルチライン光センサ11の撮像制御が行われると、当該センサ11によって人体1が撮像され、第1及び第2のアナログ画像信号が得られる。そして、それらアナログ信号がA/D変換部12によって第1及び第2の画像データD1,D2に変換され、対象部位抽出部22へ出力される。
【0024】
ステップS2において、対象部位抽出部22にて第1又は第2の画像データD1,D2に対し、図4に示した撮像原画像1aに対するピクセル単位での平均化画像処理が行われ、これによって図5に示したピクセル平均化画像1bが取得される。更に、そのピクセル平均化画像1bの明るい部分の面積から顔1c及び手1dが抽出され、これら顔1c及び手1dの画像データが対象ノード抽出部23へ出力される。
【0025】
ステップS3において、対象ノード抽出部23にて、対象部位抽出部22からの顔1c及び手1dの画像データをもとに、図6に示した顔1cの特徴部分である鼻1eと、手1dの特徴部分である拳1fとにポイント(○で指示)が定められ、このポイント部分からノードが抽出される。この際、図7(a)に示したように、鼻1eが、鼻頭●を基準のノードN0として抽出される。一方、拳1fは、18箇所にポイント●が定められ、これらがノードN1〜N18として抽出される。但し、各々のノードN0及びN1〜N18は、第1及び第2の画像データD1,D2の取得毎に当該画像データから抽出される。
ステップS4において、距離算出部24にて、先に抽出された第1及び第2の画像データD1,D2毎の鼻頭のノードN0及び拳の各ノードN1〜N18からマルチライン光センサ11までの距離が算出され、これらの距離が前回データ差分算出部25へ出力される。
【0026】
ステップS5において、前回データ差分算出部25にて、距離算出部24で算出された各々の対象ノードN0及びN1〜N18までの距離をもとに、図8に示したマルチライン光センサ11から鼻1eまでの距離Z1と、拳1fまでの距離Z2と、これら距離Z1とZ2との差分距離Z3とが求められる。ここで、鼻1eまでの距離Z1は鼻頭のノードN0までの距離であり、拳1fまでの距離Z2は、拳の各ノードN1〜N18までの距離の平均値である。これらの距離Z1〜Z3は、例えば図9(a)に示すように距離Z1が109.5cm、距離Z2が100.0cm、差分距離Z3が9.5cmである。更に、マルチライン光センサ11での該当する検出時刻t1=12(時):00(分):00(秒):00として対応付けられる。これらの距離Z1〜Z3及び検出時刻t1から成る距離時刻データD3は、前回データ差分算出部25に記憶される。
【0027】
次に、ステップS6において、人体1が図7(b)に示すように、拳1fを突き出したとする。この場合も、上記ステップS1〜S5で説明したと同様に処理が行われ、図8に示す各距離Z1,Z2a,Z3aが求められる。これらの距離Z1,Z2a,Z3aは、例えば図9(b)に示すように、距離Z1が109.5cm、距離Z2aが46.0cm、差分距離Z3aが63.5cmである。更に、マルチライン光センサ11での該当する検出時刻t1=12(時):00(分):00(秒):08として対応付けられ、今回の距離時刻データD4が求められる。
【0028】
この後、ステップS7において、前回データ差分算出部25にて、前回の距離時刻データD3と今回の距離時刻データD4とが比較され、図8に示す拳1fの移動距離Z4と、この距離Z4を拳1fが移動する移動時間及び移動方向が求められる。
上記の例では、拳1fの移動距離Z4は、今回の距離時刻データD4の差分距離Z3a=63.5cmから前回の距離時刻データD3の差分距離Z3=9.5cmが減算されることによって、54cmと求められる。
【0029】
拳1fの移動時間は、今回の距離時刻データD4の検出時刻t2=12:00:00:08から前回の距離時刻データD3の検出時刻t1=12:00:00:00が減算されることによって、0.8秒と求められる。
拳1fの移動方向は、まず、差分距離Z3a−Z3の減算結果が54cmのようにプラスなので、マルチライン光センサ11に向かう前方方向と求められる。更に、拳1fまでの距離Z2を求めた拳の各ノードN1〜N18の個々のXY平面座標位置が求められ、この値の今回分と前回分との差分と、先に求めた前方方向とから、拳1fの前後左右上下斜めの移動方向が正確に求められる。
【0030】
次に、ステップS8において、制御データ作成部26にて、前回データ差分算出部25にて求められた拳1fの移動方向、移動時間、移動距離のデータをもとに、テレビモニタ32上に映し出されているボクシングキャラクタ画像の動作を制御する制御データが作成される。
ステップS9において、その作成された制御データが、データ転送部15でゲーム機31へ転送され、これに応じてゲーム機31がテレビモニタ32上に映し出されているボクシングキャラクタ画像を人体1と連動するように制御し、この制御によってボクシングキャラクタ画像が人体1と連動して動作する。
【0031】
ここで、ゲーム機31は転送された制御データからさらに対象の移動速度を求め、これも加味してゲームの進行を決めることができる。例えば上記の例において、拳1fの移動速度すなわちパンチスピードを求め、パンチスピードによりパンチの威力を定めて対戦相手に与えるダメージを変えることができる。このように、3次元の空間データに加え時間要素も合わせてデータとすることにより、従来技術では得られなかった効果を得ることができる。なお、移動速度自体はステップ8で求めてもよい。
【0032】
以上説明したように本実施の形態の画像インターフェイス装置10によれば、人体1の移動部位である拳1fの3次元の動作を検出し、この検出内容を示す制御データを用いてテレビモニタ32上の画像の動作を制御するようにしたので、拳1fの前後方向の動作をテレビモニタ32上の画像の動作に適正に反映させることができる。従って、検出対象の人体1の拳1fの実際の平面方向に更に実際の前後方向の動きを加えた、よりリアルな動画像をテレビモニタ32上に表示することができる。
【0033】
また、撮像情報量の少ないマルチライン光センサ11によって人体1の画像データを得るようにしたので、エリアセンサ等の撮像情報量が多いセンサを用いた場合に比べ、高速な処理を行うことができる。つまり、画像のサンプリングが高速にでき、データ量が少ないので、CPUの処理能力や必要なメモリが比較的小さなものでもよいため、ゲーム機などの小型機器に搭載可能となる。また、人間の三次元の動作を検出できるので、交通事故体現シミュレーションツールなど移動体の動きを検出してディスプレイ画像に反映させるツールに幅広く使用可能である。
なお、顔1を2箇所の離れた位置にて撮像し、2つの画像信号を得ることが可能なセンサであれば、マルチライン光センサ11に代え、どの様なセンサを用いても良い。例えば、2つのCCD(Charge Coupled Device)を使用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像インターフェイス装置の構成を示すブロック図である。
【図2】三角測距の原理に基づくマルチライン光センサによる距離測定の原理図である。
【図3】上記実施の形態に係る画像インターフェイス装置におけるマルチライン光センサの構成を示す図である。
【図4】マルチライン光センサによる人体の撮像原画像を示す図である。
【図5】撮像原画像から取得したピクセル平均化画像及び当該画像から顔及び手を特定した様態を示す図である。
【図6】ピクセル平均化画像の顔及び手から更に鼻及び拳を特定した様態を示す図である。
【図7】(a)は鼻のノード及び拳の各ノードを示す図、(b)は拳が突き出された際の鼻のノード及び拳の各ノードを示す図である。
【図8】マルチライン光センサから鼻及び拳までの距離と、これら差分距離とを示す図である。
【図9】(a)は前回の距離時刻データ、(b)は今回の距離時刻データを示す図である。
【図10】本画像インターフェイス装置によるテレビモニタ上の画像動作の制御処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0035】
1 人体
1a 顔
1e 鼻
1f 拳
10 画像インターフェイス装置
11 マルチライン光センサ
12 A/D変換部
13 I/O部
14 動作解析部
15 データ転送部
20 センサ制御部
22 対象部位抽出部
23 対象ノード抽出部
24 距離算出部
25 前回データ差分算出部
26 制御データ作成部
31 ゲーム機
32 テレビモニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の動きを撮像により検出してディスプレイ上の画像の動作に反映させる画像インターフェイス装置において、
少なくとも2つのレンズを通して撮像される移動体の2つの画像データを得るセンサと、
前記2つの画像データから、該画像データをもとに前記移動体における基準部位と移動部位を抽出する第1の抽出手段と、
前記抽出された基準部位における特徴点と移動部位における複数の特徴点とを抽出する第2の抽出手段と、
前記第2の抽出手段で抽出された基準部位の特徴点及び移動部位の各特徴点をもとに、それら全ての特徴点から前記センサまでの距離を算出する距離算出手段と、
前記算出された全ての距離をもとに、前記センサから前記基準部位までの距離と、前記移動部位までの距離と、これら距離の差分距離とを求め、この求められた距離に前記センサでの検出時刻を対応付けて距離時刻データとし、この距離時刻データを別時刻のもの同士で比較することにより前記移動部位の移動距離、この距離を移動部位が移動する移動時間及び移動方向のデータを求める差分算出手段と、
前記差分算出手段で求められた移動部位の移動距離、移動時間及び移動方向のデータをもとに、前記ディスプレイ上の画像の動作を制御する制御データを作成する作成手段と
を備えたことを特徴とする画像インターフェイス装置。
【請求項2】
前記センサは、2つのレンズを通して前記移動体の映像が結像される一対の1次元光センサアレイを複数配列し、これら光センサの受光強度に応じて画像データを得るマルチライン光センサである
ことを特徴とする請求項1に記載の画像インターフェイス装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−277076(P2006−277076A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−92369(P2005−92369)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(503361248)富士電機デバイステクノロジー株式会社 (1,023)
【Fターム(参考)】