説明

画像データ入力方法、デジタルカメラ、及び写真プリントシステム

【課題】 写真プリントの注文作業を簡便化を図る。
【解決手段】 顧客は、デジタルカメラ10により被写体を撮影して得られた画像データに対してプリント注文設定を行って、画像データ自体に注文データを電子透かしにより埋め込んでから(■)、この電子透かし付き画像データが記録された記録媒体14をミニラボに持ち込んだり(■)、ネットワークを介して送信する(■)。ミニラボでは、電子透かし付き画像データをメモリリーダ54により記録媒体14から読み取ったり(■)、通信装置52により受信して(■)、画像処理装置60に入力する。画像処理装置60では、電子透かし付き画像データから電子透かしを検出して注文データを読取って(■)、該注文データに基づいて画像処理を行ってプリントデータを生成し(■)、プリンタ58へ送出することで(■)、プリンタ58から注文データに応じて画像データをプリント処理した写真プリントを出力させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像データ入力方法、デジタルカメラ、及び写真プリントシステムに係わり、特に、注文データに基づいて、デジタルカメラにより撮影して取得された被写体像に対応する画像データに基づく画像をプリントする写真プリントシステムに画像データを入力する画像データ入力方法、この画像データ入力方法が適用可能なデジタルカメラ及び写真プリントシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、各地に点在するミニラボでは、銀塩写真フイルムの現像と顧客の注文に応じた写真のプリントとを一体化したプリントサービスを提供しており、また、近年は、デジタルカメラで撮影されて電子的に記録された写真画像を顧客の注文に応じて高画質プリントするプリントサービス(デジカメプリントサービス)も提供している。
【0003】このようなプリントサービスでは、ラボの店頭において、顧客又は店員により、プリントサイズ、プリント枚数などの注文データを注文用紙に手書き記入することが求められたが、デジカメプリントサービスの場合、デジタルカメラにおいてせっかく写真画像がデジタルデータで取得されて電子的に記録されるのに、注文用紙に手書きされた注文データでは写真画像と一元管理することができなかった。
【0004】このため、ミニラボでは、写真画像をプリントする写真プリントシステムへのPOS(Poit of Sale)システムの導入が進んでいる。すなわち、各注文項目を数値化したバーコードを用意しておき、顧客の注文に応じたバーコードをバーコードリーダで読み取って電子化された注文データ(デジタルデータ)を写真プリントシステムに入力し、デジタルカメラで撮影した写真画像のデータ(デジタルデータ)と対応付けて一元管理することで、作業効率の向上を図っている。
【0005】また、近年のインターネットの普及に伴って、ネットワークを介して写真画像のプリント注文を受付けてプリントを行うサービス(ネットワークプリントサービス)も実現されている。このネットワークプリントサービスの場合は、顧客が自信で保有しているコンピュータなどで注文データを示すファイルを作成し、このファイルをデジタルカメラで撮影した写真画像のデータに添付してネットワークを介して伝送し、各地のラボの写真プリントシステムへ入力する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来は、画像データと注文データとが別々にファイル化されていたため、両者を写真プリントシステムに入力する際の作業効率が悪かった。具体的には、デジカメプリントサービスの場合は、顧客によりミニラボに持ち込まれた記録媒体からデジタルカメラで撮影した写真画像のデータを読み出して写真プリントシステムに入力する作業とは別に、POSシステムを用いて注文データを入力する作業が必要であった。また、ネットワークプリントサービスの場合は、注文データを示すファイルを作成する作業が必要であった。
【0007】写真画像のデータのフォーマット形式にTIFF(Tagged Image File Format)やJPEG(Joint Photographic Expert Group)フォーマットのようなヘッダ領域を有する形式を採用して、ヘッダ領域に注文データを記述することも考えられるが、ヘッダ領域に記述可能な情報量には限界があり、充分ではない。
【0008】本発明は上記問題点を解消するためになされたもので、写真プリントの注文作業を簡便化を図ることができる画像データ入力方法、デジタルカメラ、及び写真プリントシステムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、注文データに基づいて、デジタルカメラにより撮影して取得された被写体像に対応する画像データに基づく画像をプリントする写真プリントシステムに画像データを入力する画像データ入力方法であって、前記画像データに電子透かしにより前記注文データを埋め込んで入力する、ことを特徴としている。
【0010】請求項1に記載の発明によれば、画像データ自体に電子透かしにより注文データが埋め込まれて写真プリントシステムに入力されるので、画像データの入力作業だけで注文データも一緒に写真プリントシステムに入力することができる。したがって、写真プリントの注文作業を簡便化することができる。
【0011】請求項2に記載の発明は、被写体像を撮影し、撮影した被写体像に対応する画像データを取得するデジタルカメラであって、前記画像データに基づく画像のプリントを注文する際の注文条件を指定する情報を入力するための情報入力手段と、前記情報入力手段からの入力情報で指定された注文条件を示す注文データを電子透かしにより前記画像データに埋め込む電子透かし埋め込み手段と、を有することを特徴としている。
【0012】請求項2に記載の発明によれば、情報入力手段により画像データに基づく画像のプリントをミニラボなどに注文する際の注文条件を指定する情報が入力され、電子透かし埋め込み手段により、この入力された情報で指定された注文条件を示す注文データが電子透かしにより埋め込まれる。
【0013】すなわち、デジタルカメラでは、撮影によって取得した画像データ自体に電子透かしにより注文データが埋め込むことができる。したがって、デジカメプリントサービスやネットワークプリントサービスを利用して、このデジタルカメラで撮影した画像データに基づく画像を写真プリントシステムによりプリントするようにミニラボなどに注文するときに、画像データを写真プリントシステムに入力する作業だけで、注文データも一緒に入力することができる。
【0014】請求項3に記載の発明は、デジタルカメラにより撮影して取得された被写体像に対応する画像データに基づく画像をプリントする写真プリントシステムであって、予め電子透かしにより注文データが埋め込まれた画像データを入力するための画像データ入力手段と、前記画像データ入力手段から入力された前記電子透かしにより注文データが埋め込まれた画像データから前記注文データを読み取ると共に、該読み取った注文データに基づいて、前記入力手段から入力された画像データに基づく画像をプリントするためのプリントデータを生成するデータ処理手段と、前記データ処理手段により生成されたプリントデータに基づいて記録紙に画像をプリントして出力する出力手段と、を有することを特徴としている。
【0015】請求項3に記載の発明によれば、データ処理手段によって、画像データ入力手段から入力された予め電子透かしにより注文データが埋め込まれた画像データから注文データが読み取られ、この読み取った注文データに基づいて、画像データに基づく画像がプリントするためのプリントデータが生成される。出力手段では、この生成されたプリントデータに基づいて記録紙に画像をプリントして出力するので、画像データに電子透かしにより注文データを埋め込んで入力した場合に、注文データに基づいてプリントする、すなわち顧客の注文に応じて写真画像をプリントすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、図面を参照して本発明に係る実施形態の1例を詳細に説明する。
【0017】[デジタルカメラの構成]図1に本発明が適用されたデジタルカメラの電気的構成を示す。なお、図1R>1では、主に本発明に関係する部分の構成を示している。
【0018】図1に示されているように、デジタルカメラ10は、被写体を撮影して写真画像としてデジタル画像データ(以下、「画像データ」と称す)を取得するための撮像手段12と、記録媒体14を読み書きするためのインターフェース(I/F)16と、顧客インタフェース(UI)18と、電子透かし埋め込み手段として、画像データに電子透かしを埋め込むための電子透かし埋め込み処理部20と、外部装置へデータを入出力するためのI/O22と、及びデジタルカメラ10の全体の動作を司るCPU24とが相互に接続されて構成されている。
【0019】撮像手段12は、リレーズスイッチ30(図2参照)が押し下げられたときの受光量を電気信号に変換して1コマ分のRGB各色成分の画像信号を出力するCCD、被写体に焦点を合わせてCCDの受光面上に被写体像を結像させるフォーカスレンズ、CCDの受光面に入射する光量を調節する絞り、CCDの出力画像信号にホワイトバランス調整やガンマ補正などの各種補正を施す撮像回路、撮像回路で補正された出力画像信号をA/D変換して画像データ(RGB画像データ)を生成するA/D変換回路、生成された画像データを一次記録するバッファメモリなどを備えている。
【0020】図2に示すように、デジタルカメラ10には、画像データを電子的に情報を記録するための記録媒体14が装填可能となっており、I/F16は、このデジタルカメラ10に装填された記録媒体14にアクセスして、画像データの書込み及び読出しを行う。なお、この記録媒体14としては、スマートメディア(SmartMedia(R))、コンパクト・フラッシュ(CompactFlash)、ATA(AT Attachment)カード、フロッピディスクなどの可搬記録媒体を採用することができる。
【0021】UI18は、図3に示すように、デジタルカメラ10の本体背面に設けられた液晶モニタなどの表示部32と、モード選択ダイヤル34A、十字ボタン34B、OKボタン34C、キャンセルボタン34Dからなる情報入力手段としての操作入力部34とを備えている。顧客は、表示部32の表示から各種情報を確認し、操作入力部34から各種指示情報を入力することができる。
【0022】具体的には、顧客は、モード選択ダイヤル34Aを回転させることで、マニュアル/オート撮影などの各種撮影モード、撮影した画像を表示部32に表示(再生)する再生モード、及び写真プリントを注文するための具体的な注文条件を設定するプリント注文設定モードなどの所望のモードを選択して、該選択モードへの切換え指示を入力することができる。
【0023】表示部32の表示は、選択モードに応じて切換えられ、例えば撮影される画像(撮像手段12で現在捕らえている被写体像)又は撮影した画像が表示されたり、注文条件を設定するためのプリント注文設定画面(図3参照)が表示される。顧客は、表示部32の表示から撮影される画像又は撮影した画像を確認したり、プリント注文設定画面が表示された場合は、十字ボタン34B、OKボタン34C、キャンセルボタン34Dを操作して注文条件を指定する情報を入力して、該画面から所望の注文条件を設定することができる。
【0024】なお、注文条件としては、特定の色成分の色強調、セピア調変換などの色変換、コントラスト強調、コントラスト低減、明るめ暗めなどの輝度調整といった色調処理条件や、画像データの拡大、縮小、トリミングといった加工条件や、プリント用紙の種類、サイズ、プリント方向(縦/横)、ふちの有り/無し(プリント用紙に縁を残してプリントするか否か)、プリント枚数といった出力条件が挙げられる。
【0025】なお、本実施の形態では、一例として、プリントサイズ、つや有無(プリント用紙の種類)、プリント画像領域(トリミング)、色調調整、及びプリント枚数の5項目を注文条件として設定するようになっている。プリントサイズの設定では、例えば所謂Lサイズや2Lサイズといった具体的なプリント用紙のサイズを選択する。つや有無の設定では、光沢の有る用紙にプリント(光沢プリント)するか凹凸の有る用紙にプリント(絹目プリント)するかを選択する。プリント画像領域の設定は、画像データからトリミングして写真プリントするプリント画像領域を指定するものであり、例えば画像データの全領域か、領域サイズと位置により指定して画像データの一部を選択する。色調調整の設定では、画像データをそのまま写真プリントする色調調整無しか、R、G、Bといった具体的な色成分の指定した色調強調を選択する。
【0026】電子透かし埋め込み処理部20は、プリント注文設定モード時に設定された注文条件を示す注文データを、記録媒体14に記録されている対応する画像データに電子透かしにより埋め込む。この電子透かしの埋め込み手法については、本発明は特に限定するものではなく、例えば画素空間利用型、量子化誤差利用型、周波数領域利用型などの従来公知の技術を用いることができる。
【0027】なお、画素空間利用型とは、対象画素の近傍の例えば3×3画素の平面を取り出し、この周囲ビットに透かし情報を埋めこむ方法である。量子化誤差利用型とは、画像データを圧縮する過程において発生する量子化誤差に着目し、埋め込みたい透かし情報(すなわち注文データ)のビット系列の0,1で量子化出力を偶数と奇数に制御して見かけ上量子化誤差として画像データに透かし情報を埋め込む方法である。周波数領域利用型とは、フーリエ変換やスペクトル拡散、離散コサイン変換(DCT)などに代表されるように画像データを周波数成分に変換し、画質に与える影響が少ない特定の周波数成分、例えば視覚的に鈍感な高周波数成分に透かし情報を埋め込む方法である。また、人間の視覚特性としては、色差や彩度情報は一般に輝度情報よりも階調識別能力が低く、輝度と色差あるいは彩度情報との差の部分に人間が視認できないように記録可能な領域が存在する。したがって、この領域に透かし情報を埋め込むこともできる。
【0028】他にも、画像としてS/Nの悪いビットプレーンにノイズの冗長に紛れさせて透かし情報を埋め込む方法や、一定の画素ブロックにおける情報変化の冗長性に埋め込む方法、データ圧縮を行う債に符号化によりデータ情報量が縮退する場合の量子化誤差に埋め込む方法などが挙げられる。
【0029】なお、以下では、電子透かしにより注文データが埋め込まれた画像データと、電子透かしにより注文データを埋め込んでいない画像データとを区別する場合は、前者を「電子透かし付き画像データ」、後者を「電子透かし無し画像データ」と称す。
【0030】I/O22は、USBケーブルなど所定のケーブルと接続するための端子を備え、該所定のケーブルを介して接続されたパソコンなどの外部装置に画像データ(電子透かし付き画像データ/電子透かし無し画像データ)入力することができる。
【0031】CPU24は、デジタルカメラ10の各部の駆動・制御をつかさどるものであり、モード選択ダイヤル34Aにより選択されたモードに応じて制御処理を行う。なお、撮影モード選択時及び再生モード選択時については従来公知のデジタルカメラと同様の制御処理を行えばよい。例えば、モード選択ダイヤル34Aにより撮影モードが選択された場合は、CPU24は、表示部32に撮像手段12により撮影される画像を表示し、顧客によりリレーズスイッチ30が押し下げられたら撮像手段12を動作させて1コマ分の画像データを取得し、得られた画像データに基づく画像を表示部32に表示させると共に、I/F16を介して該画像データを記録媒体14に記録させる。また、モード選択ダイヤル34Aにより再生モードが選択されている場合は、CPU24は、I/F16を介して記録媒体14にアクセスし、記録媒体14に記録されている画像データの一覧情報を表示部32に表示させて画像データを指定する情報を受付けたり、顧客により操作入力部34が操作されて画像データを指定する情報が入力されたら、指定された画像データを記録媒体14から読出して該画像データに基づく画像を表示部32に表示させる。
【0032】一方、モード選択ダイヤル34Aにより注文設定モードが選択されている場合については、CPU24は、表示部32に画像データの注文条件を設定するためのプリント注文設定画面を表示させて、顧客による注文条件の設定を受け付ける。顧客により操作入力部34が操作されて注文条件が設定されたら、電子透かし埋め込み処理部20を動作させ、且つI/F16を介して記録媒体にアクセスし、設定された注文条件を記録媒体14中に記録されている対応する画像データに電子透かしにより埋め込む。
【0033】[写真プリントシステムの構成]次に、図4に本発明が適用された各地に点在するミニラボに設置される写真プリントシステムの構成を示す。なお、図4では、主に本発明に係わる部分の構成を示している。
【0034】図4に示すように、写真プリントシステム50は、インターネットなどのネットワークを介して他の装置と通信を行うための通信装置52と、記録媒体14から画像データを読み出すためのメモリリーダ54と、注文データを入力するためのPOSシステム56と、装填(セット)されているプリント用紙に写真画像をプリントするプリンタ58とが、顧客の注文に応じてプリンタ58により写真画像がプリントされるように画像データを処理する画像処理装置60に各々接続されて構成されている。なお、通信装置52、メモリリーダ54、POSシステム56、プリンタ58については、従来公知の写真プリントシステムに用いられているものを適用できる。
【0035】通信装置52は、ネットワークを介して他の装置から該写真プリントシステム50へ向けて送信されたデータを受信し、受信したデータを画像処理装置60に入力する。なお、送信されてくるデータには、電子透かし付きの画像データのみの場合と、従来と同様に、電子透かし無し画像データと共に注文データが送信されてくる場合がある。
【0036】メモリリーダ54には、記録媒体14がセット可能となっている。メモリリーダ54は、セットされた記録媒体14から画像データを読出し、読み出した画像データを画像処理装置60に入力する。なお、記録媒体14に記録されている画像データは、電子透かし付きの画像データの場合と、電子透かし無しの画像データの場合がある。
【0037】すなわち、通信装置52及びメモリリーダ54がそれぞれ画像データ入力手段としての機能を担っている。なお、本実施の形態ではデジカメプリントサービスとネットワークプリントサービスの両方に対応するために通信装置52及びメモリリーダ54の両者を備えた写真プリントシステムとしたが、通信装置52及びメモリリーダ54は何れか一方のみであってもよい。
【0038】POSシステム56は、メモリリーダ54により記録媒体14から読み出して画像処理装置60に入力される画像データが、電子透かし無し画像データである場合を考慮して設けられたものである。すなわち、メモリリーダ54により電子透かし無し画像データを読み取って画像処理装置60に入力した場合には、従来と同様にバーコードを読み取るなどしてPOSシステム56から顧客の注文に応じた注文データを入力することができるようになっている。この注文データも画像処理装置60に入力される。
【0039】画像処理装置60は、データ処理手段として機能するものであり、外部装置とデータを入出力するためのI/O62、入力された画像データから電子透かしを検出する電子透かし検出部64と、画像データ及び注文データを記録するためのメモリ66と、注文データに基づいて画像データに画像処理を施す画像処理部68と、画像データ及び注文データに基づいてプリンタ58に写真プリントの実行を指示するプリンタドライバ70とが、該画像処理装置60全体の動作を司るCPU72と相互に接続されて構成されている。
【0040】I/O62は、通信装置52、メモリリーダ54、POSシステム56、プリンタ58と接続されている。画像処理装置60では、I/O62を介して、通信装置52、メモリリーダ54、POSシステム56からデータが入力され、プリンタ58へプリントデータを送出するようになっている。
【0041】電子透かし検出部64は、通信装置52及びメモリリーダ54から電子透かし付き画像データが入力された場合に、該電子透かし付き画像データから電子透かしにより埋め込まれている注文データを読取るようになっている。
【0042】メモリ66は、入力された画像データと注文データとが対応付けられて格納される。具体的には、電子透かし付き画像データについては、該電子透かし付き画像データと、電子透かし検出部64で読み取った注文データとが対応付けて格納される。電子透かし無し画像データについては、該画像データとは別にファイル化された注文データが通信装置52又はPOSシステム56から入力されるので、電子透かし検出部64で画像データから注文データを読み取る必要はなく、そのままメモリ66に格納される。
【0043】画像処理部68は、注文データで指定されている色調調整やプリント画像領域などの色調処理条件及び加工条件に基づいて、画像データに対して色調調整や切り出しなどの画像処理を施する。
【0044】プリンタドライバ70は、画像処理部68による画像処理後の画像データをプリンタ58で解析可能なデータに変換すると共に、注文データで指定されているプリントサイズ、つやの有無、プリント枚数などの出力条件を示すデータを付加してプリントデータを生成する。プリンタ58は、このプリントデータに基づいて動作し、画像データに基づく画像を指定された出力条件でプリント用紙にプリントして、写真プリントを出力するようになっている。すなわち、プリンタ58が出力手段に対応する。
【0045】CPU72は、画像処理装置60の各部の駆動・制御をつかさどるものであり、具体的には、画像処理装置60に画像データが入力された場合に、電子透かし検出部64を動作させ、電子透かし検出部64による電子透かしの検出結果に応じて画像データと注文データとを対応付けてメモリ66に格納させる。また、メモリ66に格納した注文データを解析して、該注文データで指定されている色調処理条件や加工条件を画像処理部68に通知し、該注文データで指定されている出力条件をプリンタドライバ70に通知することで、画像処理部68及びプリンタドライバ70の駆動を制御し、プリンタドライバ70で生成されたプリントデータをI/O62からプリンタ58へ送出する。また、CPU72は、プリントを正常終了した画像データ及び注文データについてはメモリ66から削除する。
【0046】[作用]次に、本実施の形態の作用として、まず、図5を参照して、デジタルカメラ10の注文設定モード時の動作について説明する。なお、図5には、注文設定モードが選択された場合にデジタルカメラ10のCPU24により実行される制御ルーチンが示されている。
【0047】図5に示すように、CPU24は、顧客によりモード選択ダイヤル34Aが操作されて注文設定モードが選択されると、ステップ100からステップ102に進み、I/F16を介して記録媒体14にアクセスして記録媒体14に記録されている画像データを参照し、記録媒体14に記録されている画像データの一覧情報を生成し、該一覧情報を表示部32に表示させるなどして、画像データを指定する情報を受付ける。
【0048】顧客により操作入力部34が操作されて画像データを指定する情報が入力されたら、次のステップ104からステップ106に進み、指定された画像データの注文条件を設定するためのプリント注文設定画面を表示部32に表示させて、注文条件の設定を受け付ける。顧客は操作入力部34を操作して、所望の注文条件を設定する。
【0049】例えば、顧客は、十字ボタン34Bの操作によりプリント注文設定画面からプリントサイズ、ふち・つや有無、プリント画像領域、色調調整の設定項目の何れかを選択してOKボタン34Cを押圧する。これを受けてCPU24は、例えばプリントサイズが選択された場合にはLサイズと2Lサイズのように、設定項目選択された設定項目についての選択可能な項目を表示部32に表示させ、顧客は十字ボタン34Bを操作して表示された選択可能な項目の所望の項目を選択してOKボタン34Cを押圧する。そして、プリントサイズ、ふち・つや有無、プリント画像領域、色調調整の各設定項目について所望の項目を選択し終わったら、OKボタン34Cを押圧することで、各設定項目について選択した所望の項目が注文条件の設定される。
【0050】注文条件が設定されたら、次のステップ108からステップ110に進み、I/F16を介してステップ102で指定された画像データを記録媒体14から読み出すと共に、電子透かし埋め込み処理部20を動作させて、読み出した画像データに設定された注文条件を示す注文データを電子透かしで埋め込む。これにより、注文データが電子透かしにより埋め込まれた電子透かし付き画像データが生成される。そして、次のステップ112で、記録媒体14の記録を生成した電子透かし画像データに更新する(上書き保存)。
【0051】ここで、開発コスト抑制のためには、図6に示すように、注文データをPOSシステムと同様にバーコード化して画像データに埋め込んで電子透かし付き画像データを生成することが考えられる。このように、電子透かしにより埋め込む注文データをバーコード化することにより、写真プリントシステム50においてPOSシステム56から入力される注文データと共通に扱うことができる。すなわち既存の写真プリントシステムで用いていた、POSシステムから入力された注文データの解析して画像処理やプリントデータを生成するアルゴリズムや、そのためのハードウェア資源を本写真プリントシステム50に利用することができる。
【0052】次に、図7を参照して、画像処理装置の動作について説明する。なお、図7には、画像処理装置60に画像データが入力された際に画像処理装置60のCPU72により実行される制御ルーチンが示されている。
【0053】図7に示すように、通信装置52で受信した画像データ又はメモリリーダ54で読み出した画像データがI/O62から画像処理装置60に入力されると、CPU72は、ステップ200からステップ202に進み、電子透かし検出部64を起動させて、入力された画像データから電子透かしを検出させる。
【0054】電子透かし検出部64により電子透かしが検出された場合は、入力画像データは電子透かしにより注文データが埋め込まれている電子透かし付き画像データであると判定して、次のステップ204からステップ206に進む。ステップ206では、入力画像データ(電子透かし付き画像データ)から電子透かしにより埋め込まれている注文データを読取り、読み取った注文データを該入力画像データ(電子透かし付き画像データ)と共にメモリ66に格納した後、後述のステップ212に進む。
【0055】一方、電子透かしが検出されなかった場合は、入力画像データは電子透かし無し画像データであると判定して、ステップ204からステップ208に進み、電子透かし無し画像データの場合は、該入力画像データとは別にファイル化された注文データが入力されるので、対応する注文データが入力されるまで待機する。そして、I/O62を介して、通信装置52から該画像データ(電子透かし無し画像データ)と共に受信した注文データが入力されたり、POSシステム56からバーコードを読み取って生成された注文データが入力されたら、ステップ208からステップ210に進み、入力された注文データを該入力画像データ(電子透かし無し画像データ)と共にメモリ66に格納した後、ステップ212に進む。
【0056】ステップ212では、メモリ66に格納されている注文データを解析し、該注文データで指定されている色調調整やプリント画像領域などの色調処理条件及び加工条件を読み取って画像処理部68に通知することで、注文データに基づいた画像処理の実行を指示する。画像処理部68では、通知された色調処理条件及び加工条件に基づいて、画像データに対して色調調整や切り出しなどの画像処理を施する。
【0057】次のステップ214では、メモリ66に格納されている注文データを解析し、注文データで指定されているプリントサイズ、つやの有無、プリント枚数などの出力条件を読み取ってプリンタドライバ70に通知することで、注文データに基づいたプリントデータの生成を指示する。プリンタドライバ70では、画像処理部68による画像処理後の画像データをプリンタ58で解析可能なデータに変換し、通知された出力条件を示すデータを付加したプリントデータを生成する。
【0058】続いて、ステップ216で、プリンタドライバ70で生成されたプリントデータをI/O62を介してプリンタ58へ送出する。プリンタ58では、このプリントデータに基づいて動作し、画像データに基づく画像が指定された出力条件に基づいてプリント用紙にプリントされる。このような処理によって、写真プリントシステム50では、注文データに応じて入力画像データをプリント処理した写真プリントが得られる。
【0059】次に、図8を参照して、上記のデジタルカメラ10及び写真プリントシステム50を用いることにより、提供することができるデジカメプリントサービス及びネットワークプリントサービスの概要を説明する。
【0060】顧客は、まず、デジタルカメラ10により被写体を撮影すると共に、該撮影により取得された画像データに対するプリント注文設定を行う(■参照)。
【0061】詳しくは、顧客はデジタルカメラ10で被写体を撮影する場合、モード選択ダイヤル34Aを操作して所望の撮影モードを選択し、表示部32の表示から被写体を確認して、リレーズスイッチ30を押し下げる。これによりデジタルカメラでは、被写体を撮影した画像データが取得されて、該デジタルカメラに装填されている記録媒体14に記録される。そして、撮影により得られた画像データを写真プリントしたい場合は、顧客は、モード選択ダイヤル34Aを操作して注文設定モードを選択する。これにより、デジタルカメラでは、図5を参照して説明したような処理が行われ、記録媒体14に記録されている画像データ(電子透かし無し画像データ)に設定された注文条件を示す注文データが電子透かしにより埋め込まれる。
【0062】その後、顧客は、注文データが電子透かしにより埋め込まれた電子透かし付き画像データが記録された記録媒体14を本写真プリントシステム50が設置されている最寄のミニラボの店舗に持ち込む(■参照)。或いは、顧客は、デジタルカメラ10を自分で所有している通信機能を有するコンピュータ80と所定のケーブル(例えばUSBケーブル)を介して接続して、コンピュータ80を操作するなどして、記録媒体14に記録されている電子透かし付き画像データを読み出して、ネットワークを介して写真プリントシステム50へ送信(ネット注文)する(■参照)。なお、このネット注文には、コンピュータ80以外にも携帯電話などの通信機能を有する装置を利用することができる。
【0063】ミニラボでは、持ち込まれた記録媒体14からメモリリーダ54により該記録媒体14に記録されている電子透かし付き画像データを読み出したり(■参照)、ネット注文によりネットワークを介して写真プリントシステム50に送信されてきた写真透かし付き画像データを通信装置52により受信し(■参照)、読み出した或いは受信した電子透かし付き画像データを画像処理装置60に入力する。
【0064】画像処理装置60では、入力された電子透かし付き画像データから電子透かしにより埋め込まれている注文データを読み取って(■参照)、読み取った注文データで指定されている色調処理条件や加工条件に基づいて画像データに対して画像処理を施し、画像処理後の画像データ及び注文データで指定されている出力条件に基づいてプリントデータを生成する(■参照)。このプリントデータをプリンタ58へ送出することで、プリンタ58に対して注文データに応じて入力画像データをプリント処理するように指示する(■参照)。これにより、プリンタ58から、注文データで指定された色調処理条件や加工条件に基づいて画像処理を施した画像データに基づく画像が注文データで指定された出力条件に基づいてプリント用紙にプリントされた写真プリントが出力される。
【0065】そして、ミニラボでは、この写真プリントを顧客が該ミニラボに受け取りに来店したときに引き渡したり、郵送などによって顧客に送付する(■参照)。
【0066】このように、本実施の形態では、デジタルカメラ10で電子透かしにより画像データ自体に注文データを埋め込むことができ、画像データの写真プリントを注文する際には、画像データに注文データが埋め込まれているので、画像データを写真プリントシステム50に入力するだけで、注文データも一緒に該写真プリントシステム50に入力することができる。また、電子透かしにより注文データを埋め込むことにより、TIFF(Tagged Image File Format)やJPEG(Joint Photographic Expert Group)フォーマットのようなヘッダ領域に注文データを記述する場合のように、記述可能な情報量の限界の心配がない。
【0067】したがって、従来よりも写真プリント注文作業を簡便化でき、作業効率の向上を図ることができる。特に、記録媒体14が持ち込まれた場合に、従来必要とされた店頭でPOSシステムを用いて注文データを入力するという人手による作業が不要となり、作業の自動化が期待できる。
【0068】また、上記で説明したような画像データに電子透かしにより注文データを埋め込んで注文するデジカメプリントサービスやネットワークプリントサービス(図8参照)が広範に認知されれば、将来的には店頭でバーコードを読み取って注文データを入力するためのPOSシステムを省略することも可能である。
【0069】なお、上記ではデジタルカメラ10で電子透かしにより画像データ自体に注文データが埋め込んで、写真プリントシステム50に入力する場合を説明したが、写真プリントシステム50は、デジタルカメラ10以外で電子透かしにより注文データが埋め込まれた画像データにも対応可能である。例えば、既存のデジタルカメラで撮影した画像データにも電子透かしにより注文データを埋め込むために、注文条件を設定して設定した注文条件を画像データに電子透かしにより埋め込む処理を行うソフトウェアをインストールしておき、コンピュータ80において、デジタルカメラで撮影された画像データが記録されている記録媒体から画像データを読出し、読み出した画像データに注文データを電子透かしにより埋め込んでも、写真プリントシステム50では上記と同様に電子透かしにより埋め込まれた注文データを読み取って写真プリント処理を行うことができる。
【0070】
【発明の効果】上記に示したように、本発明は、写真プリントの注文作業を簡便化を図ることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係わるデジタルカメラの構成図である。
【図2】 本発明の実施の形態に係わるデジタルカメラの外観を示す斜視図である。
【図3】 本発明の実施の形態に係わるデジタルカメラの背面図及び表示部に表示されるプリント注文設定画面の一例を示す図である。
【図4】 本発明の実施の形態に係わる写真プリントシステムの構成図である。
【図5】 本発明の実施の形態に係わるデジタルカメラのCPUにより、プリント注文設定モード選択時に実行される制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】 電子透かし付き画像データの一例を示す図である。
【図7】 プリント注文設定モード選択時に画像処理装置のCPUにより、画像データが入力された際に実行される制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】 本発明の実施の形態に係わるデジタルカメラ及び写真プリントシステムを用いて提供されるデジカメプリントサービス及びネットワークプリントサービスの概念図である。
【符号の説明】
10 デジタルカメラ
12 撮像手段
14 記録媒体
18 UI
20 電子透かし埋め込み処理部
32 表示部
34 操作入力部
50 写真プリントシステム
52 通信装置
54 メモリリーダ
56 POSシステム
58 プリンタ
60 画像処理装置
64 電子透かし検出部
66 メモリ
68 画像処理部
70 プリンタドライバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 注文データに基づいて、デジタルカメラにより撮影して取得された被写体像に対応する画像データに基づく画像をプリントする写真プリントシステムに画像データを入力する画像データ入力方法であって、前記画像データに電子透かしにより前記注文データを埋め込んで入力する、ことを特徴とする画像データ入力方法。
【請求項2】 被写体像を撮影し、撮影した被写体像に対応する画像データを取得するデジタルカメラであって、前記画像データに基づく画像のプリントを注文する際の注文条件を指定する情報を入力するための情報入力手段と、前記情報入力手段からの入力情報で指定された注文条件を示す注文データを電子透かしにより前記画像データに埋め込む電子透かし埋め込み手段と、を有することを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項3】 デジタルカメラにより撮影して取得された被写体像に対応する画像データに基づく画像をプリントする写真プリントシステムであって、予め電子透かしにより注文データが埋め込まれた画像データを入力するための画像データ入力手段と、前記画像データ入力手段から入力された前記電子透かしにより注文データが埋め込まれた画像データから前記注文データを読み取ると共に、該読み取った注文データに基づいて、前記入力手段から入力された画像データに基づく画像をプリントするためのプリントデータを生成するデータ処理手段と、前記プリントデータ手段手段により生成されたプリントデータに基づいて記録紙に画像をプリントして出力する出力手段と、を有することを特徴とする写真プリントシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2003−228617(P2003−228617A)
【公開日】平成15年8月15日(2003.8.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−28191(P2002−28191)
【出願日】平成14年2月5日(2002.2.5)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】