説明

画像伝送装置及び撮像装置

【課題】インターネット回線により撮影した画像データを伝送してモニタする場合において、ビデオカメラでの撮影状態などの変化があった場合でも、良好にモニタできるようにする。
【解決手段】ビデオカメラ10と、ビデオカメラでの撮影状態を変化させる撮影制御手段と、ビデオカメラにより撮影された画像データを所定の方式により圧縮する画像データ圧縮手段と、圧縮された画像データをインターネット回線40に送出する送出手段とを備えて、撮影制御手段で撮影状態を変化させている間、送出手段からの画像データの送出を停止させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信回線により撮影した画像データを伝送するシステムに適用して好適な画像伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像により離れた場所のモニタを行うシステムが各種開発されている。この場合、モニタする場所に設置されたビデオカメラを、パン・チルタと称されるビデオカメラ支持装置に搭載させて、ビデオカメラが水平方向の任意の角度位置に回動(パン)できるようにすると共に、垂直方向の任意の角度に回動(チルト)できるようにする場合がある。ここで、例えばビデオカメラが撮影した画像を受像するモニタ受像機の近傍に、パン・チルタを操作するスイッチを設けることで、モニタ画像を見ながらスイッチを操作して、離れた場所の任意の方向のモニタができる。
【0003】
ところで、このようなモニタシステムとして、ビデオカメラとモニタ受像機とが画像データを伝送するのに十分な容量を有する専用の通信回線で接続されている場合には、ビデオカメラが撮影した画像信号がリアルタイムでモニタ受像機側に各フィールド毎に伝送され、モニタ受像機で完全な動画としての画像を受像させることができる。これに対し近年、公衆に開放されたある程度伝送容量が制限された通信回線を使用して、上述したモニタシステムを構成する場合がある。
【0004】
例えば、インターネットと称される電話回線やケーブルテレビジョン用回線などを利用したサービスを利用して、離れた場所のモニタを行う場合がある。この場合には、各ユーザー側のコンピュータ装置(クライアントコンピュータ装置)を、電話回線などで所定のアクセスポイントを経由してサーバーコンピュータ装置に接続させて、このサーバーコンピュータ装置に供給される任意の場所の画像データを、接続されたユーザー側のコンピュータ装置に伝送させ、ユーザー側コンピュータ装置のモニタ受像機に画像を表示させる。
【0005】
ここで、画像データを撮影するビデオカメラが、パン・チルタなどで回動できる構成としてある場合には、ユーザー側コンピュータ装置から回動させる方向を指示する制御データを、上り回線でサーバーコンピュータ装置に伝送することで、ユーザー側コンピュータ装置の操作で任意の方向や角度を撮影させて、その撮影された画像をモニタすることが可能になる。
【0006】
この場合、現在の電話回線などを経由したインターネットサービスでは、完全な動画をリアルタイムで伝送するのに十分な伝送容量ではないので、画像データをMPEG方式などの高い圧縮率の方式で圧縮して伝送すると共に、場合によっては伝送されるフレーム数についても、通常のテレビジョン放送方式などで規定されたフレーム数よりも少ないフレーム数に間引いて伝送することがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図7は、従来のインターネットなどによる通信回線を介して離れた場所に設置されたビデオカメラで撮影される画像をモニタする場合の処理状態を示す図で、ここではパン・チルタによりビデオカメラを水平方向に回動できる構成としてあり、図7の横軸はその回動角度を示し、左側の縦軸は画像が撮像されるタイミングを示し、右側の縦軸は画像が受像されるタイミングを示す。
【0008】
まず、タイミングT11でパン角度θ1の撮像が行われて、フレーム番号f11の画像がビデオカメラで撮像されたとする。このとき、このフレーム番号f11の画像は、インターネットを経由してユーザー側のクライアントコンピュータ装置に伝送されて、このクライアントコンピュータ装置のディスプレイ上にタイミングt11に受像される。このとき、受像開始されるタイミングt11は、1フレームの画像の伝送に必要な時間と圧縮・伸長に必要な時間だけ、撮像されるタイミングT11から遅れている。
【0009】
ここで、このときビデオカメラを支持しているパン・チルタは、一定速度で回動しているとすると、タイミングT11から所定時間間隔で撮像を行うとき、フレーム番号f11の画像の伝送が終了した直後のタイミングT12でパン角度θ2によるフレーム番号f12の撮像が行われ、以後同様に、タイミングT13でパン角度θ3によるフレーム番号f13の撮像、タイミングT14でパン角度θ4によるフレーム番号f14の撮像、‥‥と撮像が行われ、それぞれのフレーム番号f12,f13,f14‥‥の画像が、クライアントコンピュータ装置のディスプレイ上にタイミングt12,t13,t14‥‥で受像開始され、一定間隔でモニタ画像が変化して行く。
【0010】
この図7の例は、ビデオカメラで撮像された画像データをユーザー側に伝送する場合におけるデータの転送レートが一定である場合の例であり、電話回線などの通信回線の状態により、データの転送レートが一定でない場合には、このような一定間隔のモニタはできない。即ち、インターネットを経由してデータを転送する場合には、そのときの通信回線の状態などによりデータの転送レートが変化するシステム構成としてあり、常時図7に示すような一定の転送レートで処理できるとは限らない。
【0011】
図8はビデオカメラとモニタとを接続する回線のデータ転送レートに変化があった場合の例を示し、例えば図7の場合と同様に、カメラ側からユーザー側に1フレームの画像データの伝送が行われると、次の1フレームの画像の撮像を行って、その撮像された1フレームの画像データをユーザー側に伝送する構成としてあるとする。このとき、最初はビデオカメラとモニタとを接続する回線のデータ転送レートが比較的高いレートである場合には、タイミングT11,タイミングT12‥‥と比較的短い間隔で、フレーム番号f21,f22‥‥の画像データがユーザー側に次々伝送されて行き、クライアントコンピュータ装置のディスプレイ上に一定間隔のタイミングt11,t12‥‥で各フレーム番号の画像が受像開始され、一定間隔でモニタ画像が変化して行く。
【0012】
ここで、タイミングT13でフレーム番号f23の画像データを撮像してインターネットで伝送した直後に、接続された回線のデータ転送レートが比較的低いレートに変化(ここでは約1/2の転送レートに変化)したとする。このとき、次のタイミングT14で撮像されたフレーム番号f24の画像データは、比較的長い時間をかけてユーザー側のクライアントコンピュータ装置に伝送される。従って、例えばユーザー側のコンピュータ装置のモニタでは、タイミングt13から一定時間経過したタイミングt14ではフレーム番号f24の画像データはまだ伝送途中であり、このタイミングt14ではフレーム番号f23の画像で受像されたままであり、このタイミングt14から一定時間経過したタイミングt15になって、フレーム番号f24の画像が受像開始される。
【0013】
このフレーム番号f24の画像データの伝送が完了することで、次のフレーム番号f25の画像をタイミングT16でビデオカメラが撮像して、ユーザー側に伝送する処理が行われる。このフレーム番号f25の画像の伝送が開始されるタイミングT16は、フレーム番号f24の画像の伝送が開始されるタイミングT14から比較的長い時間が経過した後であり、タイミングT14とタイミングT16の間のタイミングT15では画像の撮像は行われないことなって、カメラ側で撮像される周期と、ユーザー側で受像される画像が変化する周期は、約2倍になってしまう。
【0014】
従って、ビデオカメラを支持しているパン・チルタが一定速度で水平方向に回動しているとすると、図8の例では角度θ5,θ7,θ9の回転位置では、画像の撮像が行われず、その回転位置での画像をユーザー側でモニタすることが出来なくなってしまう。
【0015】
このように転送レートが低くなると、それだけ画像データの伝送に要する時間が長くなり、モニタ側で画像が変化する周期が長くなって、例えば図8の例では角度θ5,θ7,θ9の回転位置での画像をモニタできなくなってしまう問題がある。
【0016】
次に、従来のインターネットなどによる通信回線を介して離れた場所に設置されたビデオカメラで撮影される画像をモニタする場合の別の処理状態の例を、図9及び図10を参照して説明する。図9及び図10の左側の縦軸はビデオカメラ側で画像が撮像されるタイミングを示し、右側の縦軸はユーザー側で画像が受像されるタイミングを示す。
【0017】
図9は、ビデオカメラ側とモニタ側とを接続する通信回線の転送レートに変化がない場合の例を示し、この場合にはカメラでタイミングT21に撮像されたフレーム番号f31の画像が、接続された通信回線を介してユーザー側のクライアントコンピュータ装置に伝送され、この1フレームの画像データが全て伝送されたタイミングt21で、モニタにフレーム番号f31の画像の受像が開始される。
【0018】
そして、このフレーム番号f31の画像の伝送が終了した直後のタイミングT22で、次のフレーム番号f32の画像が撮像されて、その画像データがユーザー側に伝送され、タイミングt22で受像が開始される。以後、一定の時間毎のタイミングT23,T24‥‥で、フレーム番号f33,f34‥‥の画像の撮像が行われ、それぞれの画像データが伝送されて、ユーザー側のモニタではタイミングt23,t24‥‥からそれぞれの画像の受像が開始される。このように通信回線の転送レートに変化がない場合には、一定間隔で撮像された画像を、離れた場所でモニタすることができる。
【0019】
次に、同じ状態でモニタを行う途中で、通信回線の転送レートに変化があった場合の例を図10に示すと、最初に転送レートが比較的高い状態が設定されていたとすると、一定間隔のタイミングT21,T22,T23で順次フレーム番号f41,f42,f43の画像が撮像されて、ユーザー側に伝送されて、タイミングt21,t22,t23でそれぞれのフレーム番号の画像の受像が開始されるまでは、図9で説明した状態と同じである。
【0020】
ここで、タイミングT23で撮像したフレーム番号f43の画像データを伝送した直後に、通信回線が混雑して転送レートが比較的低い状態に変化したとする。このとき、次のタイミングT24で撮像したフレーム番号f44の画像データの伝送からは、伝送に要する時間が約2倍になり、ユーザー側のモニタでタイミングt23から一定時間経過したタイミングt24では、まだフレーム番号f44の画像データの受信が完了してなく、フレーム番号f43の画像が受像されたままで、さらに一定時間経過したタイミングt25で、フレーム番号f44の画像データの受信が完了して、モニタでの受像が開始される。
【0021】
そして以後は、1フレームの画像データの伝送に要する時間が約2倍になったので、画像が撮像される周期と受像画像が変化する周期が、それぞれ約2倍になる。即ち、タイミングT24でフレーム番号f44の画像が撮像された後は、タイミングT26,T28‥‥でフレーム番号f45,f46‥‥の画像が撮像され、ユーザー側ではそれぞれの画像がタイミングt27,t29‥‥で受像開始される。
【0022】
このようにインターネットなどの通信回線を経由して離れて場所のモニタを行う場合には、転送レートの変化に比例してモニタ画像が変化する周期が変化してしまうので、離れた場所の監視などが良好には出来ない問題がある。即ち、例えば図10の例では、タイミングT25やT27でビデオカメラが撮像した画像は、ユーザー側には伝送されないので、転送レートが低い状態が続く限り、このときの様子をモニタすることは不可能で、タイミングT25やT27でモニタ中の場所に何らかの変化があったとき、その変化を見逃してしまうことになる。
【0023】
ここまでは通信回線の転送レートに変化があった場合の問題について説明したが、転送レートに変化がない場合でも、モニタ状態に問題が生じる場合がある。図11を参照して、その例を説明すると、ここではユーザー側のクライアントコンピュータ装置からの指令で、パン・チルタによりビデオカメラを水平方向に回動できる構成としてあり、図11の横軸はその回動角度を示し、左側の縦軸はビデオカメラ側で画像が撮像されるタイミングを示し、右側の縦軸はユーザー側で画像が受像されるタイミングを示す。
【0024】
この例では転送レートは一定であるとし、1フレームの画像データの伝送に比較的長い時間が必要であるとする。まず、タイミングT31でパン角度θ1が設定された状態で、フレーム番号f51の画像を撮像し、ユーザー側に伝送する。ユーザー側では、画像データの伝送が開始されてから比較的長い時間が経過したタイミングt34になって、フレーム番号f51の画像データの受信を完了して、このタイミングt34からフレーム番号f51の画像の受像を開始させる。
【0025】
そして、このフレーム番号f51の画像の伝送が終了した直後のタイミングT35にビデオカメラが次のフレーム番号f52の画像の撮像を行い、その画像データを伝送して、ユーザー側ではタイミングt38でフレーム番号f52の画像データの受信を完了して、このタイミングt38からフレーム番号f52の画像の受像を開始させる。以下、同様にして一定間隔毎のビデオカメラでの撮像と、その撮像された画像のモニタが行われる。
【0026】
ここで、ユーザー側のクライアントコンピュータ装置の操作で、タイミングt31の直後から所定時間パン・チルタを水平方向に回動させる指令を、接続された通信回線の上り回線によりビデオカメラ側に送ったとする。この指令の伝送により、ビデオカメラを支持するパン・チルタは、タイミングT32からタイミングT36まで回動し、タイミングT36でパン角度θ5が設定された状態になったとする。
【0027】
このようなパン・チルタの操作があると、フレーム番号f52の画像はパン角度θ4の画像であり、フレーム番号f53の画像はパン角度θ5の画像になるが、パン・チルタの操作状態とモニタされる画像の周期との間には全く関係がないため、ユーザー側でパン・チルタを操作したときの状態に応じた良好なモニタができているとは言えない。即ち、パン・チルタの回動はタイミングT36で停止しているのに、この停止した角度位置θ5で画像が撮像されるのは、タイミングT36から大きく遅れたタイミングT39であり、ユーザー側でパン・チルタを操作して撮像角度の設定を行っても、その設定された状態の画像をモニタできるのが大幅に遅れてしまう問題があった。
【0028】
本発明はこれらの点に鑑み、ビデオカメラでの撮影状態などの変化があった場合でも、良好にモニタできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
この課題を解決するために本発明は、インターネット回線により撮影した画像データを伝送する場合において、ビデオカメラと、ビデオカメラでの撮影状態を変化させる撮影制御手段と、ビデオカメラにより撮影された画像データを所定の方式により圧縮する画像データ圧縮手段と、圧縮された画像データをインターネット回線に送出する送出手段とを備え、撮影制御手段で撮影状態を変化させている間、送出手段からの画像データの送出を停止させるようにしたものである。
【発明の効果】
【0030】
本発明によると、撮影状態を変化させている間、画像データの送出を停止させることで、撮影状態の変化が終了した直後に撮影された画像が伝送されることになり、撮影状態の変化が終了した直後の画像を迅速にモニタできるようになる。
【0031】
この場合、撮影制御手段での撮影状態の変化は、画角又は撮影範囲の変化であることで、ズームレンズによる画角の変化や、パン・チルタなどでカメラ自体を移動させた撮影範囲を変化させる場合における、撮影状態が変化している間の画像のモニタや、撮影状態の変化が終了した直後の画像のモニタが、良好に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0033】
まず、図1及び図2を参照して、本発明の実施の形態のシステム構成を説明する。図1は、システム構成の概要を示す図で、本例においてはビデオカメラで構成される撮像装置10が、パン・チルタ20に搭載させてあり、任意の角度位置の画像を撮影できる構成としてある。撮像装置10で撮像された画像データは、サーバーコンピュータ装置30に供給されて、伝送用に処理される。パン・チルタ20での撮影範囲の設定は、サーバーコンピュータ装置30で制御される。
【0034】
サーバーコンピュータ装置30は、インターネット40として使用される通信回線を介して、各ユーザー側に設置されたクライアントコンピュータ装置50に接続される。クライアントコンピュータ装置50には、モニタ受像機60が接続してあり、サーバーコンピュータ装置50から伝送される画像を受像させることができる。
【0035】
各装置の構成を図2に示すと、撮像装置10は、撮影画角を可変させることのできるズームレンズ11aを備えたレンズブロック11を介してCCD撮像素子12の撮像面に入射した像光により、信号電荷を蓄積させ、その蓄積した信号電荷を出力回路13により読出して電気的な映像信号とし、この映像信号をアナログ/デジタル変換器14でデジタルデータする。デジタルデータ化された映像信号は、信号処理部15に供給されて、所定の方式の映像信号とする処理が行われる。レンズブロック11内のズームレンズ11aは、ズームレンズモータ11bにより駆動される。
【0036】
撮像装置10内の信号処理部15で処理された映像信号(デジタルデータ)は、サーバーコンピュータ装置30内のビデオキャプチャー装置31に供給され、所定のタイミングの1フレームの映像信号が読取られて、所定の記憶装置32に記憶される。この記憶された1フレームの映像信号(画像データ)は、制御プログラム部33の指示に基づいて、ネットワークインターフェース34に供給され、インターネット40として用意された通信回線に送出される。この場合、送出される画像データのデータ状態は、制御プログラム部33での処理により設定される。具体的には、所定の方式(例えばMPEG方式など)で画像データを圧縮したデータとして送出する場合には、そのときの圧縮率などが制御プログラム部33により設定される。なお、圧縮させずに画像データを構成する各画素のデータをそのまま伝送させるようにしても良い。
【0037】
また、制御プログラム部33は、インターネット40として用意された通信回線のデータ転送レートを検出できる構成としてある。このデータ転送レートを検出する具体的構成としては、例えばサーバーコンピュータ装置30は常に等間隔で何らかのデータを送出し、ユーザー側のクライアントコンピュータ装置50が送られてくるデータの間隔の伸び縮みから検出して、その検出データをサーバーコンピュータ装置30に戻す構成や、或いはサーバーコンピュータ装置30などで単位時間当たりに送られてくるデータ量を計測して検出する構成が考えられる。また、その他の構成でデータ転送レートを検出しても良い。
【0038】
サーバーコンピュータ装置30内の制御プログラム部33は、撮像装置10のシステム制御部35と接続してあり、撮像装置10での撮影状態やパン・チルタ20での撮影位置を制御するようにしてある。システム制御部35には、カメラ制御部36が接続してあり、システム制御部35からの駆動命令に基づいて撮影が行われる。この場合、ズームレンズ11aの位置制御についても、システム制御部35からの命令に基づいて実行される。また、パン・チルタ20の制御部37がシステム制御部35と接続してあり、パンモータ21による駆動とチルトモータ22による駆動が、システム制御部35からの命令に基づいてパン・チルタ制御部37により実行される。
【0039】
インターネット40として用意された通信回線を介してサーバーコンピュータ装置30と接続されたクライアントコンピュータ装置50は、データの送受信を行うネットワークインターフェース51が用意され、このインターフェース51で受信した画像データを、操作・表示プログラム部52での処理で表示用の画像データとし、この画像データをモニタ受像機60に供給して、所定の態様で表示させる。ここでは、モニタ受像機60として用意された画面の一部のエリアを画像表示エリア61とし、その画像表示エリア61の四方の周囲には、パン・チルタ20を駆動させる方向を指示する印62U,62D,62L,62Rが表示させてあり、カーソル64の表示位置を合わせることで、対応したパン・チルタ20を駆動させる制御データが、ネットワークインターフェース51からインターネット40を介してサーバーコンピュータ装置30側に伝送される構成としてある。この場合、パン・チルタ20の駆動量についても、駆動量設定部63での表示状態を設定することで、指示できる構成としてある。なお、カーソル64の表示位置は、コンピュータ装置50に接続されたポインティングデバイス53の操作で設定される。
【0040】
以上のシステム構成とした上で、撮像装置10で撮影された画像を、クライアントコンピュータ装置50側のモニタ受像機60に表示させる場合の各実施例を、以下説明する。
【0041】
まず、第1の実施例を図3を参照して説明する。ここでは従来例として図7,図8により説明した場合と同様に、パン・チルタ20により撮像装置10を水平方向に回動させながら撮像を行った場合に、データ転送レートが変化したときの例としてあり、図3の横軸はその回動角度を示し、左側の縦軸は画像が撮像されるタイミングを示し、右側の縦軸は画像が受像されるタイミングを示す。
【0042】
まず、最初の状態では、インターネット40として用意された通信回線は比較的回線が空いている状態で、転送レートとして比較的高いレートが設定されているとする。この状態で、タイミングT11でパン角度θ1の撮像が行われて、フレーム番号f61の画像が撮像装置10で撮像されたとする。このとき、このフレーム番号f61の画像は、サーバーコンピュータ装置30により所定の方式で圧縮された画像データとされて、インターネット40を経由してユーザー側のクライアントコンピュータ装置50に伝送されて、モニタ受像機60の画像表示エリア61に表示される。ここでは転送レートが高い状態であるので、クライアントコンピュータ装置50でフレーム番号f61の画像データの受信を始めてから完了したタイミングt11までの時間は比較的短い時間である。
【0043】
フレーム番号f61の画像データの伝送が完了すると、撮像装置10はタイミングT12で撮像したフレーム番号f62の画像がサーバーコンピュータ装置30から送出されて、クライアントコンピュータ装置50ではタイミングt12に受信が完了して、モニタ受像機60にフレーム番号f62の画像が表示される。ここで、このときパン・チルタ20は、転送レートが変化しない限り一定速度で回動し、フレーム番号f62の画像を撮像するタイミングT12では、パン角度θ2で撮像が行われる。
【0044】
以下、転送レートに変化がない限りは、ほぼ一定間隔で撮像された画像データが送出されて、モニタ受像機60に表示される画像が一定間隔で変化する。ここまでは図7,図8で説明した状態と同じである。
【0045】
ここで本例においては、転送レートの変化があったとき、その転送レートの変化に比例して、パン・チルタ20を駆動する速度を変化させる制御を行う。即ち、サーバーコンピュータ装置30の制御プログラム部33で検出したデータ転送レートに変化があったとき、システム制御部35に対応した指令を送り、パン・チルタ20を駆動する速度(ここではパンモータ21により駆動される速度)を対応した速度に設定する。
【0046】
例えば、タイミングT13でフレーム番号f63の画像データを撮像してインターネットで伝送した直後に、接続された回線のデータ転送レートが比較的低いレートに変化(ここでは約1/2の転送レートに変化)したとする。このとき、サーバーコンピュータ装置30からの指令で、パン・チルタ20のパンモータ21により撮像装置10が駆動される速度(回動する角速度)を約1/2に変化させる。
【0047】
このようにすることで、データ転送レートが低くなった直後のタイミングT14で撮像されたフレーム番号f64の画像データからは、約2倍の時間をかけてユーザー側のクライアントコンピュータ装置50に伝送されるが、一定のパン角度の画像をモニタできる。即ち、例えばタイミングT14で撮像されたフレーム番号f64の画像データは、タイミングt15でモニタ受像機60に表示されるが、このときのパン角度はθ4であり、この画像データの伝送が終了した直後にフレーム番号f65の画像が撮像されるタイミングT16のパン角度はθ5であり、データ転送レートが変化して、1フレームの画像データの伝送に要する時間が変化しても、モニタ受像機60側に順次表示される画像は、常にほぼ一定のパン角度の変化毎に撮像された画像となる。従って、常時一定の角度毎の画像をモニタ受像機60で確認することができ、撮像装置10の周囲の状態をモニタ画像から良好に確認することができる。
【0048】
なお、ここではデータ転送レートが低くなる場合について説明したが、転送レートが高く変化した場合には、逆にパン・チルタ20を駆動する速度を早くすれば良い。また、ここではパン角度を変化させる例について説明したが、チルト角度を変化させる場合にも適用できる。また、ズームレンズで画角を変化させる場合のズームレンズモータにより駆動する速度についても、同様に制御しても良い。
【0049】
次に、第2の実施例を、図4を参照して説明する。ここでは従来例として図9,図10により説明した場合と同様に、データ転送レートが変化したときの例としてあり、図4の左側の縦軸は画像が撮像されるタイミングを示し、右側の縦軸は画像が受像されるタイミングを示す。ここでは、パン・チルタ20の駆動の有無は問わない。
【0050】
まず、最初の状態では、インターネット40として用意された通信回線は比較的回線が空いている状態で、転送レートとして比較的高いレートが設定されているとする。この状態で、この場合には撮像装置10でタイミングT21に撮像されたフレーム番号f71の画像が、接続された通信回線を介してユーザー側のクライアントコンピュータ装置に伝送され、この1フレームの画像データが全て伝送されたタイミングt21で、モニタにフレーム番号f71の画像の受像が開始される。このとき、転送レートが高い状態では、サーバーコンピュータ装置30から送出される画像データの圧縮率を比較的少ない圧縮率に設定する。
【0051】
そして、このフレーム番号f71の画像の伝送が終了した直後のタイミングT22で、次のフレーム番号f72の画像が撮像されて、その画像データがユーザー側に伝送され、タイミングt22で受像が開始される。以後、一定の時間毎のタイミングT23,T24‥‥で、フレーム番号f73,f74‥‥の画像の撮像が行われる。
【0052】
ここで、タイミングT23で撮像したフレーム番号f73の画像データを伝送した直後に、通信回線が混雑して転送レートが比較的低い状態に変化(ここでは約1/2の転送レートに変化)したとする。このとき、次のタイミングT24で撮像したフレーム番号f74の画像データの伝送からは、サーバーコンピュータ装置30から送出される画像データの圧縮率を比較的大きい圧縮率に設定し、転送レートの変化があっても、1フレームの画像データの伝送に要する時間が変わらないように制御する。
【0053】
即ち、ここでは約1/2の転送レートに変化したことがサーバーコンピュータ装置30で検出されるので、画像データの圧縮率を2倍に変化させて、データサイズを約1/2として伝送させ、クライアントコンピュータ装置50で1フレームの画像データの受信に要する時間が変わらないようにする。
【0054】
このように処理されることで、データ転送レートが低くなっても、タイミングT24,タイミングT25,T26‥‥と一定周期で撮像された画像データが、クライアントコンピュータ装置50側に伝送されて、一定周期のタイミングt24,t25,t26‥‥で受信した画像データをモニタ受像機60に受像させる処理が行われる。この場合、画像データの圧縮率が変化するので、その圧縮率に比例して、表示される画像の解像度は変化する。
【0055】
なお、ここでは画像データの圧縮率を変化させて、1フレームの画像データのデータサイズを変化させたが、1フレームの画像を構成するビット数を変化させて、データサイズを変化させても良い。
【0056】
次に、第3の実施例を、図5を参照して説明する。ここでは従来例として図11により説明した場合と同様に、クライアントコンピュータ装置からの指令で、パン角度を所定量変化させたときの例としてあり、図5の横軸はパン角度を示し、左側の縦軸は画像が撮像されるタイミングを示し、右側の縦軸は画像が受像されるタイミングを示す。
【0057】
この例では転送レートは一定であるとする。まず、タイミングT31でパン角度θ1が設定された状態で、フレーム番号f81の画像を撮像し、この画像データを比較的低い圧縮率によるデータ量の大きな画像データとして、ユーザー側のクライアントコンピュータ装置50に伝送する。ユーザー側では、比較的長い時間が経過したタイミングt34になって、フレーム番号f81の画像データの受信を完了して、このタイミングt34からモニタ受像機60でフレーム番号f81の画像の受像を開始させる。
【0058】
ここで、フレーム番号f81の画像データの伝送を行っている最中に、パン・チルタ20のパン角度をθ1からθ5にする指令が、クライアントコンピュータ装置50から伝送されたとする。このとき、本例においては、この指令に基づいてパン・チルタ20がパン角度を変化させている間は、次の画像の伝送を開始させない。即ち、パン角度がθ5となったタイミングT36で、始めて次のフレーム番号f82の画像データをサーバーコンピュータ装置30が取り込んで、伝送を開始させる。そして以後は、パン・チルタ20が駆動されない限りは、画像の伝送が完了する毎に次の画像を撮像して伝送させる処理を、一定周期で繰り返し行う。
【0059】
このように処理されることで、ユーザー側のクライアントコンピュータ装置50に接続されたモニタ受像機60では、指示したパン角度になった直後のタイミングT36で撮像した画像が表示され、指示したパン角度になった直後の様子を迅速にモニタすることが可能になる。
【0060】
なお、ここではパン角度を変化させる例について説明したが、チルト角度を変化させる場合にも適用できる。また、ズームレンズで画角を変化させる場合にも、その画角が変化している間は、撮像した画像を伝送しないように制御しても良い。さらに、その他の撮像状態(アイリス調整,ホワイトバランス調整)を調整する場合にも、その調整中には撮像した画像を伝送しないように設定しても良い。
【0061】
次に、第4の実施例を、図6を参照して説明する。ここでは上述した第3の実施例の場合と同様に、クライアントコンピュータ装置からの指令で、パン角度を所定量変化させたときの例としてあり、図6の横軸はパン角度を示し、左側の縦軸は画像が撮像されるタイミングを示し、右側の縦軸は画像が受像されるタイミングを示す。
【0062】
この例でも転送レートは一定であるとする。まず、タイミングT31でパン角度θ1が設定された状態で、フレーム番号f91の画像を撮像し、この画像データを比較的低い圧縮率によるデータ量の大きな画像データとして、ユーザー側のクライアントコンピュータ装置50に伝送する。ユーザー側では、比較的長い時間が経過したタイミングt34になって、フレーム番号f91の画像データの受信を完了して、このタイミングt34からモニタ受像機60でフレーム番号f91の画像の受像を開始させる。ここまでは図5で説明した場合と同じである。
【0063】
ここで、フレーム番号f91の画像データの伝送を行っている最中に、パン・チルタ20のパン角度をθ1からθ5にする指令が、クライアントコンピュータ装置50から伝送されたとする。このとき、本例においては、この指令に基づいてパン・チルタ20がパン角度を変化させている間は、撮像した画像を、比較的高い圧縮率によるデータ量の小さな画像データとして、ユーザー側のクライアントコンピュータ装置50に伝送する。即ち、フレーム番号f91の画像データの伝送が完了した直後のタイミングT35では、パン角度が移動中であるので、このタイミングで撮像したフレーム番号f92の画像データを、データ量の小さな画像データに圧縮して、ユーザー側のクライアントコンピュータ装置50に伝送する。このため、短時間でフレーム番号f92の画像データの伝送が完了し、例えばタイミングt35でフレーム番号f92の画像の受像が開始される。
【0064】
そして、指示されたパン角度θ5になって、パン・チルタ20が停止した直後に、次のフレーム番号f93の画像データをサーバーコンピュータ装置30が取り込んで、伝送を開始させる。このときには、フレーム番号f91の画像データと同様に、比較的低い圧縮率によるデータ量の大きな画像データとして、ユーザー側のクライアントコンピュータ装置50に伝送する。そして以後は、パン・チルタ20が駆動されない限りは、比較的低い圧縮率によるデータ量の大きな画像データで、画像データを一定周期で伝送させる処理を繰り返し行う。
【0065】
このように処理することで、上述した第3の実施例の場合と同様に、ユーザー側のクライアントコンピュータ装置50に接続されたモニタ受像機60では、指示したパン角度になった直後のタイミングT36で撮像した画像が表示され、指示したパン角度になった直後の様子を迅速にモニタすることが可能になると共に、本例の場合には、パン角度が変化している間の画像をモニタすることもできる。この場合、パン角度が変化している間の画像は、データ量が小さい画像データとして伝送されるので、解像度が低い画像となるが、パン角度を変化させている途中であるので、問題はない。
【0066】
なお、この第4の実施例の場合にも、パン角度を変化させる例について説明したが、チルト角度を変化させる場合にも適用できる。また、ズームレンズで画角を変化させる場合にも、その画角が変化している間は、撮像した画像を伝送しないように制御しても良い。さらに、その他の撮像状態(アイリス調整,ホワイトバランス調整)を調整する場合にも、その調整中には撮像した画像を伝送しないように設定しても良い。
【0067】
また、上述した各実施例では、インターネットとして通信回線によりカメラ側とモニタ側を接続させて、離れた場所のモニタを行う構成としたが、インターネット以外の通信回線により接続させた構成の場合にも適用できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施の形態によるシステム構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態によるシステム全体のブロック図である。
【図3】第1の実施例による時刻とパン方向と転送レートとの関係を示す説明図である。
【図4】第2の実施例による時刻と画像と転送レートとの関係を示す説明図である。
【図5】第3の実施例による時刻と画像とパン方向との関係を示す説明図である。
【図6】第4の実施例による時刻と画像とパン方向との関係を示す説明図である。
【図7】従来のシステムによる時刻と画像とパン方向との関係の例を示す説明図である。
【図8】従来のシステムによる時刻と画像とパン方向と転送レートとの関係の例を示す説明図である。
【図9】従来のシステムによる時刻と画像との関係の例を示す説明図である。
【図10】従来のシステムによる時刻と画像と転送レートとの関係の例を示す説明図である。
【図11】従来のシステムによる時刻と画像とパン方向との関係の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0069】
10…撮像装置、20…パン・チルタ、30…サーバーコンピュータ装置、40…インターネット、50…クライアントコンピュータ装置、60…モニタ受像機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネット回線により撮影した画像データを伝送する画像伝送装置において、
ビデオカメラと、
該ビデオカメラでの撮影状態を変化させる撮影制御手段と、
上記ビデオカメラにより撮影された画像データを所定の方式により圧縮する画像データ圧縮手段と、
上記圧縮された画像データをインターネット回線に送出する送出手段と、
を備え、
上記撮影制御手段で撮影状態を変化させている間、上記送出手段からの画像データの送出を停止させることを特徴とする画像伝送装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像伝送装置において、
上記撮影制御手段での撮影状態の変化は、画角又は撮影範囲の変化であることを特徴とする画像伝送装置。
【請求項3】
ビデオカメラと、
該ビデオカメラでの撮影状態を変化させる撮影制御手段と、
上記ビデオカメラにより撮影された画像データを所定の方式により圧縮する画像データ圧縮手段と、
上記圧縮された画像データをインターネット回線に送出する送出手段と、
を備え、
上記撮影制御手段で撮影状態を変化させている間、上記送出手段からの画像データの送出を停止させることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項3記載の撮像装置において、
上記撮影制御手段での撮影状態の変化は、画角又は撮影範囲の変化であることを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−295968(P2006−295968A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−162772(P2006−162772)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【分割の表示】特願平9−216547の分割
【原出願日】平成9年8月11日(1997.8.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】