説明

画像伝送装置

【課題】リフレッシュ要求を送信しない端末に対しても、速やかに画面の更新、画像エラーの更新を行い、伝送路の品質の良否に関わらず効率よくリフレッシュを行う。
【解決手段】画像更新要求信号を送信しない端末20に対し、端末20の画像更新機能を制御する手段を備えた画像伝送装置1。画像更新要求信号を送信しない端末20の画像の更新を、端末20へ画像を送信する際に発生するエラーの発生要因情報を用いて画像更新時期を制御することにより行うことができる。撮影対象となる画像21の動作により、画像更新要求信号を送信しない端末20の部分画像更新個数を制御し、部分画像更新個数の制御を、画像伝送装置送信電力制御によるエラー発生時に、送信電力値の閾値を判定することなどによって行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像伝送装置に関し、特に、画像伝送端末において発生する画像伝送エラーに対して、最適なリフレッシュを行う機能等を備えた画像伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像伝送端末のリフレッシュ機能に関し、例えば、特許文献1には、通常時は、リフレッシュ周期を長くして復号化画像の画質を向上させ、新たに接続する場合には、リフレッシュ周期を短くして早急に正しい復号化画像を出力するフレーム間予測符号化システムを提供するため、動画像信号を入力し、それを圧縮符号化してフレーム間予測符号化信号を出力するフレーム間予測符号化部と、入力動画像信号のリフレッシュ領域を大きくする接続信号を外部から受信する接続信号受信部と、接続信号受信部からの信号の制御によりリフレッシュ周期を短くするリフレッシュ周期制御部とを含み、符号化途中のフレーム間予測符号化信号から復号を開始する場合に、リフレッシュ周期を短くして復号画像の出力を速め、通常時にはリフレッシュ周期を長くして符号化画像の画質の向上を図る技術が記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、リフレッシュ効果を低下させることなく、画質の向上と、符号化データに誤りが混入したことによる画質の乱れを抑制するため、リフレッシュ判定回路において、入力動画像信号と1フレーム前の入力動画像信号に基づき、過去一定フレーム時間以上フレーム間の画像変化の少ない静止領域と判定したときには、リフレッシュの周期を長く設定するとともに、グローバル動き補償モードが選択されている場合には、モード選択回路では、リフレッシュしたマクロブロックについて、次のフレームを符号化する際の動きベクトルの制限が必要な場合には、そのマクロブロックのみグローバル動き補償モードを選択しないようにする動画像符号化装置等が記載されている。
【0004】
さらに、特許文献3に記載の動画像符号化装置等では、発生符号量の増大を招くことなく伝送路誤りによる影響を抑え、画質の向上を図るため、リフレッシュ判定回路は、イントラモードで符号化された各マクロブロック毎に、それが動きのある動領域に属するもののか、あるいは動きのない静止領域に属するのものかを判別し、判別結果に基づき、次画面のリフレッシュ対象範囲を決定する。符号化対象のマクロブロックがリフレッシュ対象範囲に属するものであれば、リフレッシュ判定回路は、モード選択回路に対してイントラモードを指示する。このように、イントラ符号化されたマクロブロックの画面上の動きを考慮してリフレッシュ対象範囲を決める適用リフレッシュを行うことにより、発生符号量の増大を招くことなく伝送路誤りによる影響を抑え、画質の向上を図ることが可能となる。
【0005】
【特許文献1】特開平10−304382号公報
【特許文献2】特開平9−130807号公報
【特許文献3】特開平11−220733号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の技術では、対向端末がリフレッシュ要求(画像更新要求)を送信することを前提とした上で、リフレッシュ動作の時間を短くすることを目的としているため、対向の端末がリフレッシュ要求を送信しない場合には、速やかに画面の更新を行うことができないとともに、エラーが発生した時に相手側に表示されるエラー画面が速やかに更新されないという問題があった。
【0007】
また、上記従来の技術では、最小情報量を予測判定したマクロブロックリフレッシュにより、所定周期で全画面ブロックがリフレッシュされるため、送信側の端末の方で、一定の周期でリフレッシュを行うと、伝送路の品質のよい場合と悪い場合とで効率よくリフレッシュを行うことができないという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、リフレッシュ要求を送信しない端末に対しても、速やかに画面の更新を行うことができ、画像エラーの更新も速やかに行うことができ、伝送路の品質の良否に関わらず効率よくリフレッシュを行うことなどが可能な画像伝送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、画像伝送装置であって、画像更新要求信号を送信しない端末に対し、該端末の画像更新機能を制御する手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
そして、本発明によれば、画像更新要求信号を送信しない端末であっても、この端末の画像更新機能を制御することにより、速やかに画面の更新を行うことができ、画像エラーの更新も速やかに行うことが可能となる。
【0011】
前記画像伝送装置において、前記画像更新要求信号を送信しない端末の画像の更新を、該端末へ画像を送信する際に発生するエラーの発生要因情報を用いて画像更新時期を制御することにより行うことができる。
【0012】
また、前記画像伝送装置において、撮影対象となる画像の動作により、前記画像更新要求信号を送信しない端末の部分画像更新個数を制御することができる。これによって、より速やかにエラーの回復を行うことができる。
【0013】
さらに、前記画像伝送装置において、前記部分画像更新個数の制御を、該画像伝送装置送信電力制御によるエラー発生時に、送信電力値の閾値を判定することによって行うことができる。これによって、エラーの更新を効率よく速やかに行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、リフレッシュ要求を送信しない端末に対しても、速やかに画面の更新、画像エラーの更新等を行うことなどが可能な画像伝送装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明にかかる画像伝送装置の一実施の形態を示し、この画像伝送装置1は、H.223多重化方式による画像伝送装置であって、カメラ4で撮像された画像データを他端末に送信する装置であり、符号化制御部2と、ネットワーク制御部3とで構成される。符号化制御部2は、動き検出部5と、更新判定部6と、送信電力監視部7等で構成され、ネットワーク制御部3は、送信電力制御部8を備える。尚、符号化制御部2において参照番号を付していない構成要素については、一般的な画像伝送装置に備えられるものであるため、詳細説明を省略する。
【0016】
次に、上記構成を有する画像伝送装置1の動作について、図1〜図4を参照しながら説明する。
【0017】
図2に示すように、リフレッシュ要求を送信しない相手端末20に対してカメラ4で撮像した表示画面21の画像データを送信するにあたり、本発明にかかる画像伝送装置(自端末)1は、送信電力制御の強弱等の画像エラー発生要因情報を用いてリフレッシュのタイミング等を制御する。
【0018】
ここで、リフレッシュ要求(画像更新要求)には、例えば、エラーの程度を符号化制御部2のH.223多重化・分離化部のCRCエラーにより検出し、フレーム単位で更新する方法もあるが、フレーム画像生成量により伝送効率が悪くなるため、本発明では、図3に示すように、MB(マクロブロック)単位で行う。
【0019】
図3は、画像伝送装置1によって行われる画面のリフレッシュ範囲の例を示す。表示画面30は、MB(マクロブロック)単位に区分され、この単位毎にイントラ符号化動作が任意の位置に対して行われる。
【0020】
MB単位のリフレッシュ機能には、CIR(Cycle Intra Refresh:周期的イントラリフレッシュ)、AIR(Adaptive Intra Refresh:適応型イントラリフレッシュ)があり、画面動作の状態により、図3の表示画面30のMBあたりのイントラリフレッシュ対応個数を増加させることにより、エラーの回復する度合いが速やかになる。通常時には、イントラリフレッシュの個数は、符号化生成量に影響を与えるため、少ない方がよいが、エラー発生時に画像を速やかに回復させるためには、状況に応じた個数を挿入することが好ましい。
【0021】
CIRとは、周期的にフレーム内符号化を実施し、誤り伝播を防止するものであり、動作量の少ない画像に有効である。一方、AIRとは、動き領域に対し頻繁にフレーム内符号化を実施し、誤り伝播を防止するものであり、動作量の大きい画像に有効である。
【0022】
例えば、図2において、エラー発生時に相手側からリフレッシュ要求が送信されない場合、画像伝送装置1は、自画像の動作状況によりリフレッシュ制御を行う。通常固定値と考えられるCIR、AIRの個数を、画像伝送装置1で動きの少ない表示画面21を撮影しているときには、画像の動作は、図1の動き検出部5で感知し、動的にCIRの個数を増加させ、AIRの個数を減少させる。また、画像伝送装置1で動きの激しい画像を撮影しているときには、画像の動作を動き検出部5で検出して更新するCIR個数を減少させ、更新するAIRの個数を増加させる。
【0023】
これに加え、送信電力制御の強弱を図1の送信電力監視部7により監視し、更新判定部6に指示を与えることにより、CIR、AIRの更新する個数を連動させて制御する。送信電力制御部8は、周波数の空間的な利用効率の向上と端末の消費電力の低減を目的とし、セル内の収容端末数をより多くすることができる。また、基地局における受信品質を維持し、端末からの過剰な電力の到来を防止する。そのため、送信電力制御部8は、通信品質を常時観測し、回線品質が悪い場合には、送信電力を上げ、過剰品質の場合には、送信電力を下げるという制御を高速に行う。
【0024】
上記のような制御が送信電力制御部8により高速に行われるため、電力を下げた時には必然的にエラーが発生する。そのため、送信電力制御は、図4に示すように、時間と送信電力の関係が鋸刃型になる。
【0025】
図4の制御区間において、イントラリフレッシュの挿入個数の増減判定は、送信電力の閾値により行う。送信電力が閾値以下になった場合には、一定期間にCIR、AIRの個数を中程度に増加させる。送信電力が下がった状態から送信電力を上げた直後は、エラーが多発した状況であるため、CIR、AIRの個数を多くし過ぎても効果が現れない。また、送信電力を上げた後の一定期間経過後には、中程度に増加させたCIR、AIRの個数を元に戻す。全体の増減させるCIR、AIRの個数は、上記の送信電力監視部4と、動き検出部5との2つの制御による合計値となる。
【0026】
尚、画像エラー発生要因情報として、受信する信号のエラーレートを用いて制御を行うことも可能である。無線では、通信経路の環境は送信と受信が同程度考えられ、自端末での受信信号エラーレートが悪くなれば、送信信号のエラーレートも悪くなると推定される。従って、相手端末での画像エラーの発生が多くなると推定される。このため、受信信号エラーレートが高くなった場合には、リフレッシュの周期を短くなるように制御することによって、エラー画像の回復を効率的に実現できる。その他、画像エラー発生要因情報としては、伝送エラーを生じさせる/増加させる情報であればいずれの情報をも用いることができ、例えば、環境情報(降雨の量)等も利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明にかかる画像伝送装置のビデオコーデック構成図である。
【図2】本発明にかかる画像伝送装置のエラー発生時におけるビデオコーデック構成図である。
【図3】本発明にかかる画像伝送装置において、画面に対するマクロブロックあたりのイントラ符号化を示す図である。
【図4】本発明にかかる画像伝送装置の送信電力制御とエラー発生時の状態を示すグラフである。
【符号の説明】
【0028】
1 画像伝送装置(自端末)
2 符号化制御部
3 ネットワーク制御部
4 カメラ
5 動き検出部
6 更新判定部(CIR/AIR)
7 送信電力監視部
8 送信電力制御部
21 表示画面
20 相手端末
30 表示画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像更新要求信号を送信しない端末に対し、該端末の画像更新機能を制御する手段を備えたことを特徴とする画像伝送装置。
【請求項2】
前記画像更新要求信号を送信しない端末の画像の更新を、該端末へ画像を送信する際に発生するエラーの発生要因情報を用いて画像更新時期を制御することにより行うことを特徴とする請求項1に記載の画像伝送装置。
【請求項3】
撮影対象となる画像の動作により、前記画像更新要求信号を送信しない端末の部分画像更新個数を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像伝送装置。
【請求項4】
前記部分画像更新個数の制御を、該画像伝送装置送信電力制御によるエラー発生時に、送信電力値の閾値を判定することによって行うことを特徴とする請求項3に記載の画像伝送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−150486(P2007−150486A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−339625(P2005−339625)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(303013763)NECエンジニアリング株式会社 (651)
【Fターム(参考)】