説明

画像作成装置、画像作成プログラム

【課題】ユーザによる画像の描画行為を補助する。
【解決手段】CPU10は、描画(スケッチ)対象とする画像を選択する指示が入力されると、この入力された指示が示す画像に対応する、ユーザにより描画させるための描画位置を表す補助情報(補助線)を生成する。CPU10は、この生成された補助情報を表示する補助線をディスプレイ18において表示させ、この表示された補助情報に対する画像データをタッチパネル20から入力し、この入力された画像データに応じた画像をディスプレイ18において表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手書きにより画像を描画することができる画像作成装置、及び同装置において実行される画像作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像データから自動で元画像を表現したスケッチ画を作成するスケッチ画自動作成装置が考えられている(特許文献1)。スケッチ画自動作成装置は、元画像の画像データに対して、エッジ感度パラメータ、折線近似パラメータ、ゴミサイズパラメータに応じた処理によって、エッジ検出、細線化、折線近似、ゴミ削除の各処理を実行して線図形の描画を行う。
【特許文献1】特開2004−78411号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように従来のスケッチ画自動作成装置は、元画像の画像データをもとにして自動的に線図形の描画(スケッチ)を行うものであって、ユーザがスケッチをするものではなかった。ユーザがスケッチ画像を描画する場合、描画対象とする物体等を直接視認しながらするだけでなく、ディスプレイ中に描画対象とする画像を表示させて、この画像を参考にしながらすることが考えられていた。
【0004】
しかしながら、絵画技術を習得していないユーザにとっては、スケッチを練習しようとする際に、ディスプレイに画像を表示させたとしても、描画対象とする物体等を直接視認する場合と何ら変わりなく描画行為を補助するものではなかった。
【0005】
本発明は前述した事情に考慮してなされたもので、その目的は、ユーザによる画像の描画行為を補助することが可能な画像作成装置、画像作成プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、描画対象とする画像を選択する指示を入力する入力手段と、前記入力手段により入力された指示が示す画像に対応する、ユーザにより描画させるための描画位置を表す補助情報を生成する補助情報生成手段と、前記補助情報生成手段によって生成された補助情報を表示する補助情報表示手段と、前記補助情報表示手段により表示された補助情報に対する画像データを入力する画像入力手段と、前記画像入力手段により入力された画像データに応じて表示する画像表示手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザによる画像の描画行為を補助することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態における画像作成装置の機能構成を示すブロック図である。画像作成装置は、例えば携帯型のゲーム装置によって実現されるものとする。以下、ゲーム装置を対象として説明する。
【0009】
図1に示すように、本実施形態におけるゲーム装置(画像作成装置)には、CPU10が実装される。CPU10には、バスを介して、RAM11、GPU12,13、表示コントローラ16、ディスプレイ17,18、インタフェースユニット19、コネクタ23、及び通信ユニット26が接続される。
【0010】
CPU10は、ゲーム装置全体の制御を司るもので、RAM11に記憶されたプログラムに応じた各種処理を実行する。CPU10は、本実施形態における画像作成プログラムに基づいてスケッチ処理を実行し、ユーザによって手書きによって画像を描画(スケッチ)させることができる。スケッチ処理では、描画対象とする画像に対応して、ユーザにより描画させるための描画位置を表す補助情報を生成して表示することで、絵画技術を習得していないユーザであっても絵画技術を利用したスケッチが簡単にできるようにする。
【0011】
RAM11は、CPU10により実行されるプログラムやデータなどを一時的に記憶する。
【0012】
GPU12,13は、CPU10からの指示に応じて、RAM11に記憶されている表示画像を生成するためのデータに基づいて表示画像データを生成するもので、GPU12には、VRAM14が接続され、GPU13には、VRAM15が接続されている。GPU12は、ディスプレイ17において表示するための表示画像データを生成してVRAM14に描画する。GPU13は、同様にディスプレイ18において表示するための表示画像データを生成してVRAM15に描画する。
【0013】
ディスプレイ17,18は、表示コントローラ16の制御のもとで画像を表示する。ディスプレイ17,18は、例えばヒンジ機構によって開閉可能に結合された2つの筐体のそれぞれに設けられる。一方のディスプレイ18は、後述するタッチパネル20と積層一体型に形成されており、スケッチ処理が実行される際には、ユーザに描画させるための描画位置を表す補助情報(例えば補助線)を表示して、タッチパネル20から補助情報が示す表示位置に対応する画像データを入力させることができる。
【0014】
表示コントローラ16は、ディスプレイ17,18における画面表示を制御するもので、VRAM14に記憶された画像データをもとにディスプレイ17において画像を表示させ、VRAM15に記憶された画像データをもとにディスプレイ17において画像を表示させる。
【0015】
インタフェースユニット19は、各種デバイスを接続するためのもので、例えばタッチパネル20、スピーカ21、ボタン群22が接続される。タッチパネル20は、ペン20aを用いたパネル面に対する位置指示に応じた画像(描画)データを入力する。
【0016】
タッチパネル20は、例えばディスプレイ18と積層一体型に構成されているため、ディスプレイ18に表示された補助情報(補助線等)を利用した画像の入力(スケッチ)を簡単に行うことができる。
【0017】
スピーカ21は、CPU10の制御のもとで操作音や各種アプリケーションに応じた各種音(メッセージ音声、音楽、効果音等)を出力させる。
ボタン群22は、ユーザからの指示を入力するためのもので、例えば十字ボタン、スタートボタン、セレクトボタン、Aボタン、Bボタン、Xボタン、Yボタン、電源ボタン、Lボタン、及びRボタンを含んでいる。
【0018】
コネクタ23は、外部デバイスを着脱自在に接続するためのもので、例えばメモリデバイス24及び画像入力装置25を接続することができる。
メモリデバイス24は、例えばゲームプログラムを記憶するROMと、バックアップデータを書き換え可能に記憶するRAMが搭載されている。画像作成プログラムがROMに記録されたメモリデバイス24をゲーム装置に装着して、画像作成プログラムを実行することで、ゲーム装置を画像作成装置として動作させることができる。メモリデバイス24のRAMには、プログラムの他にも、適宜、CPU10がプログラムを実行して得られる一時的なデータ等が記憶される。
【0019】
画像入力装置25は、画像を撮影して画像データを入力するためのもので、例えば静止画像の画像データを入力するカメラ装置である。画像入力装置25により入力された画像データは、画像作成プログラムによるスケッチ処理において利用することができる。
【0020】
通信ユニット26は、他のゲーム装置やネットワークを解して接続された他の機器との間の通信を制御するためのもので、例えばスケッチ処理において使用されるデータ等の送受信を行う。
【0021】
なお、本実施形態における画像作成プログラムは、メモリデバイス24等の外部記憶媒体を通じてゲーム装置に供給されるだけでなく、有線または無線の通信回線を通じて供給されてもよい。また、画像作成プログラムは、ゲーム装置に実装された不揮発性記憶装置に予め記録されていてもよい。なお、画像作成プログラムを記憶する情報記憶媒体としては、不揮発性半導体メモリに限らず、CD−ROM、DVD、あるいはそれらに類する光学式ディスク状記憶媒体でもよい。
【0022】
図2は、本実施形態におけるスケッチ処理を制御するための補助情報管理データの一例を示している。
本実施形態の画像作成装置(画像作成プログラム)では、ユーザによりスケッチ(描画)させるための画像が予め用意されており、各画像に対して、描画対象として選択された場合にユーザに提供する補助情報が用意されている。図2に示す補助情報管理データの例では、補助情報として補助線を表示させるためのデータが設定されているものとする。
【0023】
補助情報管理データには、ユーザがスケッチの対象として選択可能な画像を示すデータが複数設定されている(画像1、画像2、…)。画像データは、補助情報管理データとは別に記憶されており、例えば静止画像、CG(computer graphics)画像などがある。静止画像は、画像作成プログラムにおいて予め用意されたものでも良いし、画像入力装置25からユーザ操作による撮影により入力されたものであっても良い。
【0024】
各画像に対しては、表示可能とする複数の補助線が用意されている。補助線は、スケッチ対象とする画像(モチーフ画像)によって、それぞれ異なっている。例えば絵画技法として構図を決めるために遠近法を使用する場合には、画像中に設定された消失点から伸びる複数の線を補助線として提示することによって、ユーザによる遠近法を用いたスケッチを補助することができる。また、初心者用としてモチーフの輪郭線(アウトライン)を補助線として提示することによって、モチーフのスケッチを補助することができる。また、人物をスケッチする場合には、人の骨格を表す補助線や顔の向きに応じた目、鼻、口などのレイアウトを示唆する補助線や輪郭線などを提示することによって、ユーザによる人物のスケッチを補助することができる。なお、前述した補助線以外にも様々なスケッチを補助することができる補助線を用いることが可能である。
【0025】
また、補助情報管理データでは、各補助線の情報に対して、ユーザレベルが設定されている。ユーザレベルは、ユーザのスケッチの技量を示すもので、スケッチ処理を開始する前にユーザにより指定される(予め設定されていても良い)。スケッチ処理では、補助線を表示させる場合に、補助情報管理データに設定されたユーザが指定したレベルに該当するものだけを表示させる。例えば、画像1の補助線1については、ユーザレベルがレベル1〜3である場合に表示対象となり、補助線2については、レベル1,2である場合に表示対象となることを示している。これにより、スケッチの技量レベルに適した補助線をユーザに提示することで、必要以上に補助線を提示することないようにできる。
【0026】
なお、本実施形態では、ユーザによる描画(スケッチ)の対象となる画像として、一般的な静止画像の他、CG(computer graphics)を対象とすることができるものとする。CGの場合には、予め補助情報管理データにおいて補助線のデータを用意しておく必要が無く、CGデータをもとにして生成することができる(図3、補助線情報生成処理)。
【0027】
また、補助情報として補助線を例にして説明しているが、その他の補助情報を補助情報管理データにおいて設定しておき、ユーザがスケッチする際に表示できるようにしても良い。例えば、描画位置を示唆する点表示、色分け表示、あるいはテキストによる説明表示などであっても良い。また、前述した補助線は、構図を決めるための補助情報として参考にすることができるが、例えば色を用いた画像をスケッチ(入力)する場合には、何れの位置にどのような色を使えばよいかを示唆する補助情報を表示するようにしても良い。
【0028】
次に、本実施形態におけるゲーム装置の動作について説明する。
図3は、本実施形態におけるゲーム装置において実行されるスケッチ処理を説明するフローチャートである。ここでは、ゲーム装置を使用するユーザのユーザレベルが予め設定されているものとする。ユーザレベルを示すデータは、RAM11(あるいはメモリデバイス24)に記憶され、CPU10により任意のタイミングで参照可能とする。
【0029】
まず、ゲーム装置は、ボタン群22に対するユーザの所定操作により、スケッチ処理(画像作成プログラム)の起動が指示されると、RAM11にロードされた画像作成プログラムを実行してスケッチ処理を起動する(ステップA1)。
【0030】
次に、スケッチの対象となるモチーフ画像をユーザにより選択させる。ここでは、例えばCG画像、あるいはその他の静止画像(写真)を選択することができるものとする。
【0031】
ここで、モチーフ画像としてCG画像が選択された場合には(ステップA3、Yes)、CPU10は、CG画像を対象として補助線情報生成処理を実行する(ステップA4)。
【0032】
図4は、CG画像を対象とした補助線情報生成処理を示すフローチャートである。
まず、CPU10は、予め用意された複数のモチーフ画像(CG画像)の一覧をディスプレイ18において表示し、その中からペン20aによる操作、あるいはボタン群22による操作によって何れかをユーザにより選択させる(ステップB1)。
【0033】
対象とするモチーフ画像が選択されると、CPU10は、選択された画像のCGデータをもとに、スケッチの対象とするCG画像の向きや大きさをユーザによって調整させるための調整用画面をディスプレイ18において表示させる。
【0034】
図6には、CG画像の調整用画面の一例を示している。
図6に示す例では、画面中央にスケッチ対象として選択されたCG画像が表示された画像表示領域が設けられ、この画像表示領域の右側と下側に回転操作つまみ31,32がそれぞれ設けられている。右側の回転操作つまみ31は、ペン20aを表示画面(タッチパネル20の検出面)に接触された状態で上下方向に移動させることで、表示されたCG画像を上下方向に回転させる指示を入力することができる。また、下側の回転操作つまみ32は、ペン20aを表示画面(タッチパネル20の検出面)に接触された状態で左右方向に移動させることで、表示されたCG画像を左右方向に回転させる指示を入力することができる。さらに、画像表示領域の左側には、拡大/縮小スライダ33が設けられている。拡大/縮小スライダ33は、ペン20aを表示画面(タッチパネル20の検出面)に接触された状態で上方向に移動させることでCG画像を拡大させ、下方向に移動させることでCG画像を縮小させる指示を入力することができる。
【0035】
CPU10は、回転操作つまみ31,32、拡大/縮小スライダ33に対する操作による調整指示を入力すると、モチーフを撮影する仮想的なカメラ位置を変更して、CGデータをもとにCG画像を生成する(ステップB2)。CG画像の場合には、ユーザからの指示に応じたCGデータに対する演算処理によってCG画像の大きさや、向きなどを自由に調整することができる。
【0036】
ユーザが希望するようにCG画像の向きや大きさが調整され、調整完了が指示されると、CPU10は、調整完了後のモチーフ画像(CG画像)をディスプレイ18に表示させる。
【0037】
図7には、CG画像の調整が完了した時点のディスプレイ18における表示画面の一例を示している。
次に、調整後のモチーフ画像に対応して表示させる補助線をユーザによって選択させる。例えば、補助情報管理データには、各画像に対して補助線情報として複数の補助線が設定されており、これら複数の補助線を一覧表示してユーザに選択させる(ステップB3)。
【0038】
CPU10は、補助線一覧表示中から何れかの補助線の種類を選択する指示が入力されると、CGデータをもとにして、選択された補助線の種類に応じた補助線情報を生成する(ステップB4)。CGデータについては、画像中の消失点や物体(モチーフ)のアウトライン、人物を識別してその骨格や顔の向きなど、絵画技法において使用される情報を演算処理によって容易に抽出することができる(CGデータに、予め演算に必要な情報を埋め込んでおくことで、より簡単に補助情報を抽出することができる)。
【0039】
こうして補助線情報生成処理によって補助線が生成されると、CPU10は、スケッチ入力が可能な状態に移行して、スケッチ入力用画面をディスプレイ18において表示させ、この画面中に生成された補助線を表示する(ステップA7)。なお、補助線の表示形態は、例えばスケッチにより入力された画像の表示に支障とならないように、細線や破線などによって表示しても良いし、表示色を薄く表示しても良い。また、所定の色を用いて表示するようにしても良い。その他、各種の表示形態を用いるコメントが可能である。
【0040】
CPU10は、ペン20aを用いたタッチパネル20に対するスケッチ(画像)を入力する操作に応じて、描画データを入力してRAM11に記憶させる(ステップA8)。また、CPU10は、RAM11に記憶された描画データをもとに、ディスプレイ18において入力された画像を表示させる。
【0041】
図8には、スケッチ入力用の画面に補助線34が表示され、この補助線34を利用してスケッチをしている状態の一例を示している。
図8では、図7に示すように調整されたモチーフのCGデータをもとに抽出された輪郭線が補助線として表示されている例を示している。図8に示すように、輪郭線が補助線として表示されているので、輪郭線をなぞるようにしてペン20aを操作して描画データを入力することで、図7のように見ている角度や大きさを調整したモチーフを、初心者であっても簡単にスケッチすることができる。
【0042】
なお、図8に示す例では、輪郭線を補助線として表示させているが、補助線情報生成処理において、ユーザが任意に補助線の種類を選択することで、CGデータをもとに選択された補助線が生成されて、スケッチ入力用の画面において表示される。
【0043】
また、CG画像を対象とした補助線情報生成処理では、ユーザによって補助線の種類を選択させているが、予め設定されているユーザのレベルに応じて、補助情報管理データにおいて設定された補助線を表示対象として選択するようにしても良い。
【0044】
次に、モチーフ画像として静止画像(その他の画像)が選択された場合について説明する。
【0045】
モチーフ画像として予め用意された静止画像が選択された場合には(ステップA5、Yes)、CPU10は、静止画像を対象とする補助線情報生成処理を実行する(ステップA6)。
【0046】
図5は、静止画像を対象とした補助線情報生成処理を示すフローチャートである。
まず、CPU10は、予め用意された複数のモチーフ画像(静止画像)の一覧をディスプレイ18において表示し、その中からペン20aによる操作、あるいはボタン群22による操作によって何れかをユーザにより選択させる(ステップC1)。
【0047】
対象とするモチーフ画像が選択されると、CPU10は、予め設定されているユーザのレベルを、RAM11(あるいはメモリデバイス24)に記憶されたユーザレベルを示すデータを参照することにより判別する(ステップC2)。
【0048】
そして、CPU10は、補助情報管理データに設定されたユーザレベルに応じた補助情報を、モチーフ画像として選択された静止画像をもとにして生成する(ステップC3)。
【0049】
例えば、CPU10は、生成対象とする補助線に応じた既存の画像処理を用いて、元の静止画像から補助線情報を抽出する。例えば、画像の空間微分を色空間値に対して行うことにより画像中に存在する線などを抽出する。また、モチーフ画像が人物を対象としている場合、画像中の人物画像をもとにして、既知の人体の姿勢推定手法を用いた画像処理によって人体の骨格モデルを表す補助線を生成することができる。その他、モチーフ画像に応じた種類の補助線に応じて、各種の画像処理を用いることにより、補助情報として用いることができる情報を抽出できる。
【0050】
図9には、モチーフ画像として選択された静止画像の一例を示している。
図9に示すモチーフ画像(静止画像)は、絵画技法として遠近法を用いると好適な画像である。CPU10は、図9に示す静止画像に対して、例えば図10に示すような補助情報を画像処理によって抽出する。すなわち、画像中に設定された消失点36と、この消失点36から伸びる複数の補助線37を生成している。図10に示す補助線をユーザに提示することによって、ユーザによる遠近法を用いたスケッチを補助することができる。
【0051】
図11には、人物を対象とした姿勢推定手法を用いて抽出される補助線の一例を示している。
図11(a)は、人物の輪郭線を補助線38として生成した例を示している。また、図11(b)は、人物の骨格線モデルを表す補助線39を生成した例を示している。図11に示す補助線38,39をユーザに提示することによって、人物のスケッチを補助することができる。
【0052】
図12には、人物の顔を対象として抽出される補助線の一例を示している。
人物の顔画像については、例えば目、鼻、口、耳などの形状をもとにして、それぞれの位置を検出し、各位置の配置をもとにして顔の向きを検出する。そして、目、鼻、口、耳の位置と顔の向きをもとにして、図12に示すような、人物の顔をスケッチする際に補助となる補助線40、例えば輪郭、目の位置を表す線、鼻と口の並びを表す線などを生成する。
【0053】
なお、前述した補助線は一例であって、モチーフ画像に応じた各種の補助線を生成して、ユーザに提示するように構成することが可能である。
【0054】
こうして補助線情報生成処理によって補助線が生成されると、CPU10は、スケッチ入力が可能な状態に移行して、スケッチ入力用画面をディスプレイ18において表示させ、この画面中に生成された補助線を表示する(ステップA7)。CPU10は、ペン20aを用いたタッチパネル20に対するスケッチ(画像)を入力する操作に応じて、描画データを入力してRAM11に記憶させる(ステップA8)。また、CPU10は、RAM11に記憶された描画データをもとに、ディスプレイ18において入力された画像を表示させる。
【0055】
ここでは、ディスプレイ18に表示された補助線を参考にすることによって、何れの位置において描画すべきか容易に把握することができ、タッチパネル20の検出面上でペン20aを操作することによって画面に対して直接書き込む感覚を得ることができ、スケッチを楽しむことができる。さらに、ディスプレイ18には補助線が直接的に示されているため、絵画技術を取得していないユーザであっても、ユーザレベルなりの絵が描けることを期待できる。
【0056】
描画(スケッチ)の終了がボタン操作などによって指示されると(ステップA9、Yes)、CPU10は、ディスプレイ18に表示させていた補助線と、入力された描画データとの比較によって評価値を算出する(ステップA10)。すなわち、補助線が示す描画位置に対して、ユーザが正しく描画しているか判別するための評価値を算出する。
【0057】
例えば、CPU10は、補助線が表す特徴量と、ユーザによって入力された描画データが表す特徴量とを算出し、各特徴量の類似度を評価値として算出する。なお、評価値の算出方法として用いる評価関数は各種既存の画像認識手法を応用して使用することができる。
【0058】
図13には、スケッチ入力用の画面に表示されたモチーフの輪郭を表す補助線41の一例を示している。そして、図14には、図13に示す補助線41に対して、ペン20aを用いてスケッチされた画像が表示された状態を示している。
【0059】
図14に示す例では、補助線41がモチーフの輪郭を表しているので、補助線41をなぞるようにして描画することによって、モチーフを表す画像を入力することができる。従って、CPU10は、補助線の位置と、入力された描画データのずれが少ないほど、正しくスケッチが行われたことを表す評価値を算出する。
【0060】
なお、図13に示すような輪郭線とは異なる他の補助線の場合には、ユーザに描画させるための描画位置が補助線の位置と一致していない。例えば、図11(b)に示すような人物の骨格モデルを表す補助線39の場合には、補助線39自体の特徴量を演算の対象とするのではなく、補助線39が表すユーザにより描画させる描画位置(線)の特徴量と、ユーザに入力された描画データの特徴量との比較によって評価値を算出すれば良い。同様にして、他の種類の異なる補助線についても、補助線に応じた評価関数(演算方法)を用いて評価値を算出すれば良い。
【0061】
CPU10は、ここで算出した評価値を、例えばディスプレイ17において表示させる(ステップA11)。ユーザは、ディスプレイ17に表示された評価値を参照することによって、モチーフ画像を正しくスケッチできたか、自らの技能上達の状況を客観的に把握することができるようになる。
【0062】
このようにして、本実施形態におけるゲーム装置(画像作成装置)では、スケッチの対象とするモチーフ画像を選択することで、このモチーフ画像を描画する際に補助となる補助線がディスプレイ18において提示されるので、モチーフ画像を容易に描画することが可能となる。また、実際に描画した画像(描画データ)に対して、補助線をもとにして算出された評価値が出力されるので、この評価値を参考にして自らの絵画技術の上達を知ることができる。
【0063】
なお、前述した説明では、ユーザによりモチーフ画像として選択されたCG画像あるいは静止画像をもとに、補助線情報生成処理において補助線を生成しているが、予め画像に対して表示すべき補助線(あるいは他の補助情報)のデータを補助情報管理データにおいて設定しておき、このデータをもとにして補助線(補助情報)を表示するようにしても良い。これにより、スケッチ処理中のCPU10に対する処理負担を軽減することができる。補助線を表示するためのデータは、前述したように、モチーフ画像(CG画像、静止画像等)をもとに、各種の方式を用いて生成することができる。
【0064】
また、画像入力装置25を利用して画像を撮影し、この画像をモチーフ画像として使用する場合に、ステップA6において説明した補助線情報生成処理を実行するようにしても良い。
【0065】
さらに、前述した説明では、ユーザに対する補助情報として、描画位置を示す各種の線(実線、破線等)を表示させているが、その他の形態の保持書情報を表示させるようにしても良い。例えば、描画位置を示すように、矢印、各種マーク、アニメーションなどを表示したり、表示色を他と異なるようにするなど、他の表示形態を使用することが可能である。
【0066】
また、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0067】
また、実施形態に記載した手法は、コンピュータに実行させることができるプログラム(ソフトウエア手段)として、例えば磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD、MO等)、半導体メモリ(ROM、RAM、フラッシュメモリ等)等の記録媒体に格納し、また通信媒体により伝送して頒布することもできる。なお、媒体側に格納されるプログラムには、コンピュータに実行させるソフトウエア手段(実行プログラムのみならずテーブルやデータ構造も含む)をコンピュータ内に構成させる設定プログラムをも含む。本装置を実現するコンピュータは、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、また場合により設定プログラムによりソフトウエア手段を構築し、このソフトウエア手段によって動作が制御されることにより上述した処理を実行する。なお、本明細書でいう記録媒体は、頒布用に限らず、コンピュータ内部あるいはネットワークを介して接続される機器に設けられた磁気ディスクや半導体メモリ等の記憶媒体を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本実施形態における画像作成装置の機能構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態におけるスケッチ処理を制御するための補助情報管理データの一例を示す図。
【図3】本実施形態におけるゲーム装置において実行されるスケッチ処理を説明するフローチャート。
【図4】CG画像を対象とした補助線情報生成処理を示すフローチャート。
【図5】静止画像を対象とした補助線情報生成処理を示すフローチャート。
【図6】CG画像の調整用画面の一例を示す図。
【図7】CG画像の調整が完了した時点のディスプレイ18における表示画面の一例を示す図。
【図8】スケッチ入力用の画面に補助線34が表示され、この補助線34を利用してスケッチをしている状態の一例を示す図。
【図9】モチーフ画像として選択された静止画像の一例を示す図。
【図10】図9に示す静止画像に対する補助線の一例を示す図。
【図11】人物を対象とした姿勢推定手法を用いて抽出される補助線の一例を示す図。
【図12】人物の顔を対象として抽出される補助線の一例を示す図。
【図13】スケッチ入力用の画面に表示されたモチーフの輪郭を表す補助線41の一例を示す図。
【図14】図13に示す補助線41に対して、ペン20aを用いてスケッチされた画像が表示された状態を示す図。
【符号の説明】
【0069】
10…CPU、11…RAM、12,13…GPU、14,15…VRAM、16…表示コントローラ、17,18…ディスプレイ、19…インタフェースユニット、20…タッチパネル、20a…ペン、21…スピーカ、22…ボタン群、23…コネクタ、24…メモリデバイス、25…画像入力装置、26…通信ユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
描画対象とする画像を選択する指示を入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された指示が示す画像に対応する、ユーザにより描画させるための描画位置を表す補助情報を生成する補助情報生成手段と、
前記補助情報生成手段によって生成された補助情報を表示する補助情報表示手段と、
前記補助情報表示手段により表示された補助情報に対する画像データを入力する画像入力手段と、
前記画像入力手段により入力された画像データに応じて表示する画像表示手段と
を具備したことを特徴とする画像作成装置。
【請求項2】
ユーザにより手書きされた画像を入力することが可能なタッチパネルと、
前記タッチパネルと積層一体化されたディスプレイとを備え、
前記補助情報表示手段は、前記ディスプレイにおいて補助情報を表示し、
前記画像入力手段は、前記タッチパネルから画像データを入力することを特徴とする請求項1記載の画像作成装置。
【請求項3】
前記補助情報生成手段は、前記描画対象とする画像に対応する複数の補助情報の種類から何れかを選択して、前記補助情報を生成することを特徴とする請求項2記載の画像作成装置。
【請求項4】
描画対象とする画像のCG(computer graphics)データを記憶する画像記憶手段をさらに具備し、
前記補助情報生成手段は、前記CGデータをもとに補助情報を生成することを特徴とする請求項3記載の画像作成装置。
【請求項5】
描画対象とする画像の画像データを記憶する画像記憶手段をさらに具備し、
前記補助情報生成手段は、前記画像データに対する画像処理により前記画像に含まれる対象物の位置を表す画像を生成し、この位置を表す画像をもとに補助情報を生成することを特徴とする請求項3記載の画像作成装置。
【請求項6】
前記補助情報表示手段によって表示した補助情報をもとに、前記画像入力手段により入力された画像データに対する評価値を算出する評価値算出手段をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載の画像作成装置。
【請求項7】
コンピュータを、
描画対象とする画像を選択する指示を入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された指示が示す画像に対応する、ユーザにより描画させるための描画位置を表す補助情報を生成する補助情報生成手段と、
前記補助情報生成手段によって生成された補助情報を表示する補助情報表示手段と、
前記補助情報表示手段により表示された補助情報に対する画像データを入力する画像入力手段と、
前記画像入力手段により入力された画像データに応じて表示する画像表示手段として機能させるための画像作成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−113480(P2010−113480A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−284768(P2008−284768)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(306019111)株式会社タイトー (475)
【Fターム(参考)】