説明

画像信号供給装置、画像表示装置、画像信号供給装置の制御方法および画像表示システム

【課題】プロジェクターの入力ソースの切り換えを容易とすることで操作性の向上を図る。
【解決手段】表示する画像の入力ソースを切り替える入力ソース切替部30を備えるプロジェクター10に接続される書画カメラ50において、書画カメラ50との間で通信を行うためのUSBインターフェイス部76と、使用者により操作される入力ソース切替用ボタンSBと、制御部70とを備えた構成とする。制御部70は、入力ソース切替用ボタンSBが操作されたときに、入力ソースの切り替えを実行させるための指令信号を、USBインターフェイス部76を介してプロジェクター10に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像信号供給装置と、前記画像信号供給装置と接続される画像表示装置と、前記画像信号供給装置と画像表示装置とを備える画像表示システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、書画カメラをプロジェクターに接続し、書画カメラで撮像した画像をプロジェクターで投影するということが、プレゼンテーション等で有効活用されている。こうした画像表示システムの一つとして、プロジェクターで投影される画像の色あいや明度等を、書画カメラ側から制御可能とする構成が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−101818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術でも、次の理由により、使用者の操作性は優れたものではなかった。プロジェクターは、複数の入力インターフェイスを通常備えており、書画カメラ以外の入力機器と接続して映像を表示しているときに、書画カメラが接続された場合、書画カメラの画像を即座に表示することができない。このために、使用者は、プロジェクターリモコン、もしくはプロジェクターに備えられたパネルスイッチを操作することにより、入力ソースを書画カメラへ切り換える必要がある。しかし、その際に、使用者は、プロジェクターやプロジェクターリモコンが載置されている場所まで移動する必要があり、操作性は悪かった。
【0005】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、プロジェクターの入力ソースの切り換えを容易とすることで操作性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明は、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]入力ソース切替部を備える画像表示装置に接続され、入力ソースの一つとなり得る画像信号を前記画像表示装置に出力する画像信号供給装置において、前記画像表示装置との間で通信を行うための通信部と、前記入力ソースの切り替えを実行させるための指令信号を、前記通信部を介して前記画像表示装置に出力する切替指令出力部とを備えることを特徴とする画像信号供給装置。
【0008】
適用例1に記載の画像信号供給装置では、入力ソースの切り替えを実行させるための指令信号を、切替指令出力部により通信部を介して画像表示装置に出力することにより、画像信号供給装置側から、画像表示装置の表示する画像の入力ソースを切り替えることができる。したがって、適用例1に記載の画像信号供給装置では、使用者は、画像表示装置やその画像表示装置用リモコンが載置されている場所まで移動する必要がないことから、利便性が高い。
【0009】
[適用例2]上記適用例に記載の画像信号供給装置であって、被写体を撮像する撮像部を備える画像信号供給装置。
【0010】
適用例2に記載の画像信号供給装置は、被写体を撮像するカメラとして活用することができる。
【0011】
[適用例3]上記適用例に記載の画像信号供給装置であって、所定の操作を受け付けるスイッチを備え、前記切替指令出力部は、前記スイッチに対してなされた所定の操作に基づき、前記指令信号の出力を行う構成である、画像信号供給装置。
【0012】
適用例3に記載の画像信号供給装置では、使用者がスイッチを操作するだけで、入力ソースの切り替えを実行させるための指令信号を画像表示装置に出力することができる。したがって、操作性により優れている。
【0013】
[適用例4]適用例2に記載の画像信号供給装置であって、前記撮像部を保持するように構成された折りたたみ可能なアームと、前記アームが展開された状態にあることを検知するアーム展開検知部とを備え、前記切替指令出力部は、前記アーム展開検知部によりアームが展開された状態にあることが検知されたときに、前記指令信号の出力を行う構成である画像信号供給装置。
【0014】
適用例4に記載の画像信号供給装置では、使用者が、画像信号供給装置を用いて撮像を行うに際して撮像部を保持するアームを展開する作業を行うだけで、入力ソースの切り替えを実行させるための指令信号を画像表示装置に出力することができる。したがって、操作性により優れている。
【0015】
[適用例5]上記適用例に記載の画像信号供給装置であって、前記通信部は、USBの規格に則った通信を行う構成である、画像信号供給装置。
【0016】
適用例5に記載の画像信号供給装置では、汎用的なインターフェイスであるUSBを用いて通信を行うことができる。
【0017】
[適用例6]画像信号供給装置と接続される画像表示装置であって、前記画像信号供給装置との間で通信を行うための通信部と、表示する画像の入力ソースを切り替える入力ソース切替部と、前記入力ソースの切り替えを実行させるための指令信号を、前記通信部を介して前記画像信号供給装置から受けたときに、前記入力ソース切替部を動作させる切替制御部とを備える画像表示装置。
【0018】
[適用例7]画像表示装置と、前記画像表示装置に接続される画像信号供給装置とを備える画像表示システムであって、前記画像表示装置は、表示する画像の入力ソースを切り替える入力ソース切替部を備え、前記画像信号供給装置は、前記画像表示装置との間で通信を行うための通信部と、前記入力ソースの切り替えを実行させるための指令信号を、前記通信部を介して前記画像表示装置に出力する切替指令出力部とを備える、画像表示システム。
【0019】
適用例6に記載の画像表示装置および適用例7に記載の画像表示システムでは、画像信号供給装置側から、表示する画像の入力ソースを切り替えることができる。したがって、適用例6に記載の画像表示装置および適用例7に記載の画像表示システムでは、画像信号供給装置の使用者は、画像表示装置の入力ソースを切り替えるために、画像表示装置やその画像表示装置用リモコンが載置されている場所まで移動する必要がないことから、操作性に優れている。
【0020】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、前記画像信号供給装置または前記画像表示装置の各部を実現するための方法、前記各部を実現するためのコンピュータープログラム、そのコンピュータープログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータープログラム等の形態で実現することができる。
【0021】
[適用例8]画像表示装置と、前記画像表示装置に接続される画像信号供給装置とを備える画像表示システムであって、前記画像表示装置は、入力ソースを切り替える入力ソース切替部を備え、前記画像信号供給装置は、前記画像表示装置との間で通信を行うための通信部と、前記入力ソースの切り替えを実行させるための指令信号を、前記通信部を介して前記画像表示装置に出力する切替指令出力部と備えることが好ましい。
【0022】
[適用例9]本適用例記載の画像信号供給装置の制御方法は、入力ソースを切り替える入力ソース切替部を備える画像表示装置に接続され、前記入力ソースの一つとなり得る画像信号を前記画像表示装置に入力する画像信号供給装置の制御方法であって、前記画像表示装置との接続を確立するステップと、前記入力ソースの切り替えを実行させるための指令信号を、前記通信部を介して前記画像表示装置に出力するステップと、を備えることを特徴とする。
【0023】
[適用例10]上記適用例に記載の画像信号供給装置の制御方法であって、被写体を撮像する撮像部を用意するステップを、さらに有することが好ましい。
【0024】
[適用例11]上記適用例に記載の画像信号供給装置の制御方法であって、所定の操作を受け付けるスイッチを用意するステップと、前記スイッチを介して受け付けられた前記所定の操作に基づき、前記指令信号を出力するステップと、をさらに有することが好ましい。
【0025】
[適用例12]上記適用例に記載の画像信号供給装置の制御方法であって、前記撮像部を保持するように構成された折りたたみ可能なアームを用意するステップと、前記アームが展開された状態にあることを検知するアーム展開検知部を用意するステップと、前記アーム展開検知部によりアームが展開された状態にあることが検知されたときに、前記指令信号を出力するステップと、をさらに有することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施例としてのプロジェクターシステム100の概略構成を示す説明図である。
【図2】プロジェクター10と書画カメラ50の内部構成を示す説明図である。
【図3】書画カメラ50の制御部70により実行される切替指令発行処理を示すフローチャートである。
【図4】プロジェクター10の制御部20により実行される切替実行処理を示すフローチャートである。
【図5】ステップS230ないしS260の繰り返しの処理により実現される入力ソースの切り替えの様子の一例を示す説明図である。
【図6】入力ソース一覧画面SSの一例を示す説明図である。
【図7】入力ソース検出中画面STの一例を示す説明図である。
【図8】プロジェクター10の投写部34の内部構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ実施例に基づいて説明する。
【0028】
1.ハードウェアの構成:
図1は、本発明の一実施例としてのプロジェクターシステムの概略構成を示す説明図である。図示するように、プロジェクターシステム100は、プロジェクター10と、このプロジェクター10に接続される4台の画像入力機器、すなわち、書画カメラ50と、パーソナルコンピューター90と、ビデオテープレコーダー(VTR)91と、DVDプレーヤー92とを備える。これら画像入力機器は、プロジェクター10に対して画像の入力ソースを提供する。ここで、画像とは、静止画、動画(すなわち映像)のいずれであってもよい。書画カメラ50は映像を取得する。プロジェクター10は、これら入力ソースのうちから所望のものを選択し、その選択した入力ソースに基づいて、画像をスクリーンSCに表示(投写)する。
【0029】
書画カメラ50は、基台52と、載置面54と、アーム56と、カメラヘッド58と、操作パネル60等を備える。載置面54は、基台52上に設けられ、文字や絵が描かれた紙や、立体的な物等の被写体Tが載置される。アーム56は、カメラヘッド58を保持する。カメラヘッド58は、レンズ、LED、およびCCDなどの光電変換素子等を備えて構成され、載置面54に載置された被写体Tを撮像する。操作パネル60は、複数のボタン(ボタン型のスイッチ)を備え、使用者による書画カメラ50に対する操作指令を入力する。
【0030】
なお、アーム56は、基台52から上方側に延びて固定されたものであってもよいし、基台52に向けて折りたたみ可能に回動する構成としてもよい。折りたたみ可能とすることで、書画カメラ50をコンパクトにまとめることができる。折りたたまれたアーム56を展開することによって被写体の撮像が可能になる。
【0031】
かかる構成の書画カメラ50によれば、載置面54に載置された被写体Tを撮像し、その撮像により得られた画像を示す画像信号をプロジェクター10に出力する。なお、プロジェクター10と書画カメラ50との間は、USBケーブル62を介してUSB接続されている。
【0032】
図2は、プロジェクター10と書画カメラ50の内部構成を示す説明図である。図示するように、プロジェクター10は、制御部20、記憶部22、操作部24、USBインターフェイス部(USBI/F部)26、入力インターフェイス部(入力I/F部)28、入力ソース切替部30、画像処理部32、および投写部34を備える。バス36で、制御部20と、投写部34を除く各部(記憶部22〜画像処理部32)との間を接続する。
【0033】
制御部20は、CPUなどにより構成され、記憶部22に記憶されているコンピュータープログラムに従って作動し、各部(記憶部22〜画像処理部32)を制御する。記憶部22は、画像データや各種のコンピュータープログラムを記憶する。各種のコンピュータープログラムとしては、周知のUSBモジュール、USBクラスドライバー、画像表示プログラム、および後述する切替実行処理用のプログラム等が記憶されている。操作部24は、プロジェクター10に使用者からの操作指令を入力するためのもので、操作パネル(図示せず)、リモコン受光部(図示せず)等を含む。なお、操作パネルとリモコンには、プロジェクター10で表示する画像の入力ソースを切り換えるための入力ソース切替用ボタン(図示せず)を備える。
【0034】
USBインターフェイス部26は、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)の規格に則って外部機器と制御データや画像データ等をやり取りするためのインターフェイスである。本実施例では、書画カメラ50はこのUSBインターフェイス部26と接続されている。
【0035】
入力インターフェイス部28は、USB以外の外部機器と制御データおよび画像データをやり取りするためのインターフェイスであり、ここでは、RGBインターフェイス、ビデオインターフェイス、S−ビデオインターフェイス等を含む。RGBインターフェイスにはパーソナルコンピューター90が、ビデオインターフェイスにはVTR91が、S−ビデオインターフェイスにはDVDプレーヤー92がそれぞれ接続されている。
【0036】
入力ソース切替部30は、USBインターフェイス部26と、入力インターフェイス部28に備えられる各インターフェイスとの中から1つのインターフェイスを選択することで、プロジェクター10で表示する画像の入力ソースを切り替える。
【0037】
画像処理部32は、入力ソース切替部30により選択されたインターフェイスから入力される画像データもしくは映像データに基づいて画像表示用の表示用画像データを生成する。投写部34は、図8に示すように、光源342、光変調素子344(344R,344G,344B)、投写レンズ346、照明光学系341、色分離光学系343、リレー光学系345および、合成光学系347等を備えて構成される。なお、本実施例のプロジェクター10は、光変調素子344として透過型液晶パネルを採用する。光源342から射出された白色光は、照明光学系341、色分離光学系343、リレー光学系345を経て、赤光、緑光および青光に分離され、それぞれ、画像処理部32によって生成される表示用画像データに基づいて光変調素子344により光変調された後、合成光学系347に入射する。光変調素子344によって変調された各色の画像光は、合成光学系347によって合成され、投写レンズ346から投写される。合成光学系347は、ダイクロイックプリズム等によって構成することができる。
【0038】
図2に図示するように、書画カメラ50は、制御部70、記憶部72、操作部74、USBインターフェイス部(USBI/F部)76、照明部78、照明制御部80、撮像部82、画像処理部84、および解像度変換部86を備える。バス88で、制御部70と、照明部78および撮像部82を除く各部72〜76、80、84、86との間を接続する。
【0039】
制御部70は、CPU、DSPなどにより構成され、記憶部72に記憶されているコンピュータープログラムに従って作動し、書画カメラ50に備えられる各部70〜86を制御する。記憶部72は、画像データや各種のコンピュータープログラムを記憶する。各種のコンピュータープログラムとしては、周知のUSBモジュール、USBクラスドライバー、および後述する切替指令発行処理用のプログラム等が記憶されている。
【0040】
操作部74は、書画カメラ50に使用者からの操作指令を入力するためのもので、書画カメラ50に設けられている操作パネル60(図1)を含む。また、操作部74は、入力ソース切替用ボタンSBを備える。入力ソース切替用ボタンSBは、図1で示した操作パネル60に設けられたもので、その機能については後ほど詳述する。
【0041】
USBインターフェイス部76は、USBの規格に則って外部機器と制御データや画像データ等をやり取りするためのインターフェイスである。本実施例では、このUSBインターフェイス部76は、プロジェクター10のUSBインターフェイス部26と接続されている。このUSBインターフェイス部76が、本発明の構成要素である「通信部」に相当する。
【0042】
照明部78は、被写体Tに光を照射するLEDなどの光源である。照明制御部80は、照明部78のオン/オフなどを制御する。撮像部82は、CCDなどの光電変換素子や、AE(自動露出)/AF(自動フォーカス)制御を行う駆動部等を備える。撮像部82はカメラヘッド58(図1)に内蔵される。画像処理部84は、撮像部82により得られた画像を示す画像信号に対してホワイトバランスなどの画像処理を施す。解像度変換部86は、撮像部82により得られた画像の解像度をプロジェクター10が要求した解像度へ変換する。このプロジェクター10の要求は、USBI/F部76を介してプロジェクター10から送られてくる。
【0043】
以上のように構成されたプロジェクター10および書画カメラ50は、次のように動作して、被写体T(図1)の画像の表示を行う。すなわち、書画カメラ50とプロジェクター10とがUSBケーブル62を用いて接続されると、プロジェクター10はUSBI/F部26を介して書画カメラ50のUSBI/F部76との間の接続を確立する。
【0044】
続いて、書画カメラ50側では、制御部70は、操作部74の操作を受けると、照明制御部80、画像処理部84、および解像度変換部86を制御することで、載置面54(図1)に載置された被写体Tの撮像を行い、その撮像により得られた画像信号を記憶部72に一旦記憶する。その後、制御部70は、USBI/F部76を介して、記憶部72に記憶された画像信号をプロジェクター10側に送信する。
【0045】
プロジェクター10側では、制御部20は、USBI/F部26を介して、書画カメラ50から送られてくる画像信号を受信し、画像処理部32を制御することで、その受信した画像信号に基づいて表示用画像データを生成する。この結果、投写部34により、前記表示用画像データに基づいて光変調した投写光が投写される。この結果、スクリーンSC(図1)に被写体Tの画像が表示される。
【0046】
プロジェクター10は、先に説明したように、書画カメラ50以外にも種々の入力ソースを備える。プロジェクター10の制御部20は、操作部24に備えられた入力ソース切替用ボタン(図示せず)に対する使用者による操作を受けたときに、入力ソース切替部30を作動させて、USBインターフェイス部26、および入力インターフェイス部28に備えられる各インターフェイスの中から一つのインターフェイスを選択することで、プロジェクター10で表示する画像の入力ソースの切り替えを行う。
【0047】
さらに、本実施例では、書画カメラ50側の操作部74にも前述したように入力ソース切替用ボタンSBを備える。この入力ソース切替用ボタンSBが使用者により操作されたときにも同様に、プロジェクター10で表示する画像の入力ソースの切り替えを行う。以下に、入力ソース切替用ボタンSBが押されたときの書画カメラ50およびプロジェクター10の動作について詳細に説明する。
【0048】
2.ソフトウェアの構成:
図3は、書画カメラ50の制御部70により実行される切替指令発行処理を示すフローチャートである。この切替指令発行処理は所定時間毎に繰り返し実行される。まず、書画カメラ50とプロジェクター10とがUSBケーブル62により電気的に接続されると、プロジェクター10は、書画カメラ50を検出し、ディスクリプターの送信を要求する。この要求に書画カメラ50が応答して、ディスクリプター情報をプロジェクター10に送信することにより、書画カメラ50とプロジェクター10とのUSB接続が確立する(ステップS100)。この実施例において、プロジェクター10を「ホスト」、書画カメラ50を「デバイス」とする。「ホスト」および「デバイス」の定義は、USBプロトコルに従うものとする。続いて、書画カメラ50の制御部70は、操作パネル60に設けられた入力ソース切替用ボタンSBが押されたか否かを判定する(ステップS110)。ここで、入力ソース切替用ボタンSBが押されたと判定された場合に、制御部70は、入力ソースの切替を実行させるための指令信号(以下、「入力ソース切替指令信号」と呼ぶ)を、USBI/F部76を介してプロジェクター10に送信する(ステップS120)。詳しくは、書画カメラ50は、種々のボタンについてのボタンIDと、ボタンのプッシュまたはボタンのリリースイベントとを入力ソース切替指令信号としてプロジェクター10に送信するように構成されている。
【0049】
USBI/F部76からの入力ソース切替指令信号の送信は、実際は、USB通信制御における「コントロール転送」または「インターラプト転送」によって行なわれる。すなわち、入力ソース切替用ボタンSBが押されたことを示すデータを記憶部72に一旦記憶しておき、プロジェクター10側からUSBI/F部26を介して上記データを取り込むことにより、入力ソース切替指令信号の送信は実現されている。換言すれば、上記入力ソース切替用ボタンSBが押されたことを示すデータが、入力ソース切替指令信号として送信される。
【0050】
制御部70および制御部70で実行されるステップS120の処理が、本発明の構成要素である「切替指令出力部」に相当する。ステップS120の実行後、「リターン」に抜けて、この切替指令発行処理を一旦終了する。一方、ステップS110で、入力ソース切替用ボタンSBが押されていないと判定された場合には、直ちに「リターン」に抜けて、この切替指令発行処理を一旦終了する。
【0051】
図4は、プロジェクター10の制御部20により実行される切替実行処理を示すフローチャートである。この切替実行処理は所定時間毎に繰り返し実行される。まず、「ホスト」であるプロジェクター10は、「デバイス」である書画カメラ50との接続を確立する(ステップS200)。続いて、プロジェクター10の制御部20は、書画カメラ50から送られてくる入力ソース切替指令信号を受信する処理を行う(ステップS210)。ここで、書画カメラ50から入力ソース切替指令信号が送られてこないで受信に失敗した場合には、続くステップS220で否定判定、すなわち、入力ソース切替指令信号はなしと判定されて、「リターン」に抜けて、この切替実行処理を一旦終了する。
【0052】
一方、入力ソース切替指令信号の受信に成功して、ステップS220で入力ソース切替指令信号ありと判定された場合には、制御部20は、入力ソース切替部30を動作させて、表示されている入力ソースを次のものに切り替える入力ソース切替処理を実行する(ステップS230)。
【0053】
プロジェクター10においては、前述したように、複数の入力ソースが選択可能となっているが、これらソースには予め順位がふられている。例えば、「コンピューター」→「ビデオ」→「S−ビデオ」→「カメラ」の順に順位がふられている。ここで、「コンピューター」はパーソナルコンピューター90であり、「ビデオ」はVTR91であり、「S−ビデオ」はDVDプレーヤー92であり、「カメラ」は書画カメラ50である。入力ソース切替部30は、次の順位のものに入力ソースを切り替える処理を行う。
【0054】
その後、制御部20は、ステップS230で切り替えられた入力ソースから画像信号が入力されているか否かを判定する(ステップS240)。ここで、画像信号の入力ありと判定された場合には、制御部20は、画像処理部32を動作させて、その入力された入力ソースに基づく画像表示を行う(ステップS250)。
【0055】
一方、ステップS240で、前記入力ソースから画像信号の入力がないと判定された場合には、ステップS260に処理を進めて、現在表示されている入力ソース以外のすべての入力ソースについての入力探索が終了したか否かを判定する。ここで、すべての入力ソースについての入力探索が終了していないと判定された場合には、ステップS230に処理を戻して、入力ソースを次のものに切り替える。
【0056】
図5は、ステップS230ないしS260の繰り返しの処理により実現される入力ソースの切り替えの様子の一例を示す説明図である。図中の(a)に示すように、「コンピューター」の入力ソースに基づく画像が表示されているときに、(b)に示すように、入力ソース切替用ボタンSBが押されると、(c)に示すように、入力ソースは次の「ビデオ」に移行する(ステップS230)が、「ビデオ」であるVTR91から画像信号の入力がないと(ステップS240:NO)、(d)に示すように、入力ソースはさらに次の「S−ビデオ」に移行する(ステップS230)。ここで、「S−ビデオ」であるDVDプレーヤー92から画像信号の入力がある場合には(ステップS240:YES)、そのDVDプレーヤー92に基づく画像が表示される(ステップS250)。
【0057】
図5(e)に示すように、もう1度、入力ソース切替用ボタンSBが押された場合、入力ソースは次の「カメラ」に移行し、「カメラ」である書画カメラ50から画像信号の入力がある場合に、(f)に示すように、その書画カメラ50に基づく画像が表示される(ステップS250)。(g)に示すように、さらにもう1度、入力ソース切替用ボタンSBが押された場合、入力ソースは順位が最初のものである「コンピューター」に移行し、「コンピューター」であるパーソナルコンピューター90から画像信号の入力がある場合に、(a)に示すように、そのパーソナルコンピューター90に基づく画像が表示される(ステップS250)。
【0058】
なお、図4に戻って、ステップS260で、現在表示されている入力ソース以外のすべての入力ソースについての入力探索が終了したと判定された場合には、制御部20は、入力ソース一覧画面を表示する処理を行う(ステップS270)。すべての入力ソースについての入力探索が終了したと判定された場合には、現在表示されている画像信号しかプロジェクター10に入力されていないということであることから、スクリーンSCに入力ソース一覧画面を表示して、使用者に対して後述する操作を促す。
【0059】
図6は、入力ソース一覧画面SSの一例を示す説明図である。図示するように、入力ソース一覧画面SSには、プロジェクター10に接続される画像入力機器の全てのソース名が一覧として表示されている。各ソース名には、画像信号の入力の有無が表示されている。各ソース名は、使用者による書画カメラ50の操作により選択が可能となっている。すなわち、使用者は、操作パネル60を操作することで、複数のソース名から表示したいものを選択する。この選択の指令は書画カメラ50からプロジェクター10に送られる。
【0060】
図4に戻り、ステップS270に続くステップS280で、制御部20は、上記書画カメラ50からの選択指令を受けて、選択された入力ソースに基づく画像の表示を行う。この結果、使用者が入力ソース一覧画面SSから選択したソース名の入力ソースがスクリーンSCに表示されることになる。特に、選択された入力ソースが書画カメラ50である場合にも、書画カメラ50が撮像した画像データの取得が開始され、書画カメラ50の画像データの表示がなされることになる。なお、書画カメラ50からの選択指令が一定時間なかった場合には、入力ソース一覧画面SSの表示を終了し(非表示)とする。
【0061】
ステップS280の実行後、もしくはステップS250の実行後、「リターン」に抜けて、この切替実行処理を一旦終了する。
【0062】
3.作用、効果:
以上のように構成された本実施例のプロジェクターシステム100では、書画カメラ50の入力ソース切替用ボタンSBを押すことで、プロジェクター10で表示されている入力ソースを切り替えることができる。このために、使用者は、プロジェクターやプロジェクターリモコンが載置されている場所まで移動することなく、表示されている入力ソースの切り替えを行うことができ、特に、必要な回数だけ入力ソース切替用ボタンSBを押すことで、書画カメラ50に入力ソースを切り替えることもできる。したがって、使用者の操作性を向上することができるという効果を奏する。
【0063】
また、本実施例では、書画カメラ50の入力ソース切替用ボタンSBを押すという操作がなされる毎に、表示されている入力ソースを1つずつ切り替えることで、切り替えた入力ソースの画面を順次、使用者に視認させることができる。このために、使用者は入力ソースの切り替えを誤ることがない。また、使用者は、書画カメラ50から、書画カメラ以外の入力ソースへの切り替えも行うことができるという副次的な効果も奏する。
【0064】
さらに、本実施例では、入力ソース切替用ボタンSBを押しても、画像信号が入力されていない入力ソースは飛び越されることから、目的の画像を素早く表示することができる。また、現在投写されている画像信号しか入力されていない場合や画像信号がまったく入力されていない場合にも入力ソース一覧画面を用いることで、入力ソースの選択が可能となる。
【0065】
4.変形例:
なお、この発明は上記の実施例やその変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0066】
(1)上記実施例では、入力ソース切替用ボタンSBを押して、現在投写(表示)されている画像信号しか入力されていない場合に、入力ソース一覧画面を表示するように構成したが、これに替えて、入力ソース切替用ボタンSBが押されたときに、画像信号の入力の有無にかかわらず直ちに入力ソース一覧画面を表示する構成としてもよい。これにより、表示したい入力ソースの選択を素早く行うことができる。
【0067】
(2)上記実施例では、入力ソース切替用ボタンSBを操作することで、表示されている入力ソースを書画カメラ以外にも順次切り替え可能としたが、これに替えて、入力ソース切替用ボタンSBが操作されたときに、入力ソースをダイレクトに書画カメラへ切り替え可能としてもよい。すなわち、プロジェクターは、書画カメラからの入力ソース切替指令信号を受信すると、表示する入力ソースとして書画カメラを探索して、書画カメラからの画像データを表示する。なお、その書画カメラの探索中においては、図7に示す入力ソース検出中画面STをプロジェクターはスクリーンに表示する構成とすることが好ましい。
【0068】
(3)上記実施例では、書画カメラ50が入力ソース切替指令信号を出力するのは、入力ソース切替用ボタンSBが使用者により操作されたときとしたが、これに換えて、書画カメラ50のアーム56が展開された状態にあるときとしてもよい。すなわち、書画カメラ50に、アーム56が展開された状態にあることを検知するアーム展開検知部としてのスイッチを設け、このスイッチがその展開を検知したときに、入力ソース切替指令信号を出力する構成としてもよい。この構成によれば、使用者が、書画カメラ50を用いて撮像を行うに際してカメラヘッド58を保持するアーム56を展開する作業を行うだけで、入力ソース切替指令信号をプロジェクター10に出力することができる。したがって、操作性により優れている。なお、書画カメラ50が入力ソース切替指令信号を出力するのは、上記2つの場合に限る必要もなく、他のスイッチが使用者により操作されたときとしてもよい。また、必ずしも使用者による操作を受けてオンされるスイッチに限る必要もなく、所定の条件が満たされたときに、入力ソース切替指令信号を出力する構成としてもよい。
【0069】
(4)上記実施例では、プロジェクター10と書画カメラ50との間はUSB接続されていたが、これに替えて、LAN等の他の有線による接続としてもよい。また、必ずしも有線である必要はなく、USBまたはLAN等の無線接続によるものとしてもよい。
【0070】
(5)上記実施例では、画像信号供給装置として書画カメラ50を用いていたが、これに替えて、撮像部を備える他の画像信号供給装置、例えば、ウェブカメラ、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ等を用いる構成としてもよい。
【0071】
(6)上記実施例では、画像表示装置として、光変調素子344が透過型液晶パネルで構成されたプロジェクター10を例示したが、光変調素子344を、反射型液晶パネルや、マイクロミラーデバイスを用いて構成することもできる。また、上記実施例では、3つの光変調素子344を採用したプロジェクター10を用いて発明を説明したが、光変調素子344の数は、3つに限定されるものではない。たとえば、照明光学系341に回転するカラーホイールを設け、1個の光変調素子344を用いて時分割的に各色の画像光を生成するようにしてもよい。さらに、4個以上の光変調素子344を用いる構成も可能である。
【0072】
(7)上記実施例では、画像表示装置として、外部のスクリーンSCに画像を投影するプロジェクター10を用いていたが、これに替えて、スクリーンと、スクリーンの背面側に画像を投影するプロジェクターとを備えるプロジェクションテレビを用いる構成としてもよい。さらには、プロジェクターに限るものではなく、直視型の各種フラットパネルディスプレイ装置等の種々の画像表示装置に換えることもできる。
【0073】
(8)また、上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0074】
10…プロジェクター
20…制御部
22…記憶部
24…操作部
26…USBインターフェイス部
28…入力インターフェイス部
30…入力ソース切替部
32…画像処理部
34…投写部
50…書画カメラ
52…基台
54…載置面
56…アーム
58…カメラヘッド
60…操作パネル
70…制御部
72…記憶部
74…操作部
76…USBインターフェイス部
78…照明部
80…照明制御部
82…撮像部
84…画像処理部
86…解像度変換部
90…パーソナルコンピューター
91…ビデオテープレコーダー
92…DVDプレーヤー
100…プロジェクターシステム
341…照明光学系
342…光源
343…色分離光学系
344R…赤光用光変調素子
344G…緑光用光変調素子
344B…青光用光変調素子
345…リレー光学系
346…投写レンズ
347…合成光学系
T…被写体
SB…入力ソース切替用ボタン
SC…スクリーン
SS…入力ソース一覧画面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力ソース切替部を備える画像表示装置に接続され、入力ソースの一つとなり得る画像信号を前記画像表示装置に出力する画像信号供給装置において、
前記画像表示装置との間で通信を行うための通信部と、
前記入力ソースの切り替えを実行させるための指令信号を、前記通信部を介して前記画像表示装置に出力する切替指令出力部と
を備えることを特徴とする画像信号供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像信号供給装置であって、
被写体を撮像する撮像部を備える画像信号供給装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像信号供給装置であって、
所定の操作を受け付けるスイッチを備え、
前記切替指令出力部は、
前記スイッチに対してなされた前記所定の操作に基づき、前記指令信号の出力を行う構成である画像信号供給装置。
【請求項4】
請求項2に記載の画像信号供給装置であって、
前記撮像部を保持するように構成された折りたたみ可能なアームと、
前記アームが展開された状態にあることを検知するアーム展開検知部と、を備え、
前記切替指令出力部は、
前記アーム展開検知部によりアームが展開された状態にあることが検知されたときに、前記指令信号の出力を行う構成である画像信号供給装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の画像信号供給装置であって、
前記通信部は、USBの規格に則った通信を行う構成である画像信号供給装置。
【請求項6】
画像信号供給装置と接続される画像表示装置であって、
前記画像信号供給装置との間で通信を行うための通信部と、
入力ソースを切り替える入力ソース切替部と、
前記入力ソースの切り替えを実行させるための指令信号を、前記通信部を介して前記画像信号供給装置から受けたときに、前記入力ソース切替部を動作させる切替制御部と
を備える画像表示装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像表示装置であって、
光源と、
前記光源から射出される光を、前記画像信号供給装置から供給される画像信号に基づき画像光に変調する光変調素子と、
前記画像光を投写する投写レンズと
を備えたプロジェクターであることを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
画像表示装置と、前記画像表示装置に接続される画像信号供給装置とを備える画像表示システムであって、
前記画像表示装置は、
入力ソースを切り替える入力ソース切替部を備え、
前記画像信号供給装置は、
前記画像表示装置との間で通信を行うための通信部と、
前記入力ソースの切り替えを実行させるための指令信号を、前記通信部を介して前記画像表示装置に出力する切替指令出力部と
備える、画像表示システム。
【請求項9】
入力ソースを切り替える入力ソース切替部を備える画像表示装置に接続され、前記入力ソースの一つとなり得る画像信号を前記画像表示装置に入力する画像信号供給装置の制御方法であって、
前記画像表示装置との接続を確立するステップと、
前記入力ソースの切り替えを実行させるための指令信号を、前記通信部を介して前記画像表示装置に出力するステップと、
を備えることを特徴とする画像信号供給装置の制御方法。
【請求項10】
請求項9に記載の画像信号供給装置の制御方法であって、
被写体を撮像する撮像部を用意するステップを、さらに有することを特徴とする画像信号供給装置の制御方法。
【請求項11】
請求項9に記載の画像信号供給装置の制御方法であって、
所定の操作を受け付けるスイッチを用意するステップと、
前記スイッチを介して受け付けられた前記所定の操作に基づき、前記指令信号を出力するステップと、をさらに有する画像信号供給装置の制御方法。
【請求項12】
請求項9に記載の画像信号供給装置の制御方法であって、
前記撮像部を保持するように構成された折りたたみ可能なアームを用意するステップと、
前記アームが展開された状態にあることを検知するアーム展開検知部を用意するステップと、
前記アーム展開検知部によりアームが展開された状態にあることが検知されたときに、前記指令信号を出力するステップと、をさらに有する画像信号供給装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−188407(P2011−188407A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54110(P2010−54110)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】