説明

画像入出力装置および監視システム

【課題】コピー印刷可能な画像入出力装置と不正な複写等を監視する監視サーバとからなる不正複写監視システムにおいて、監視のためのログデータの容量を最小限とする。
【解決手段】個人認証情報により操作者を認証する個人認証部11と、コピー印刷する文書から文字列を読み取るOCR部17と、あらかじめ監視キーワードを格納する監視キーワードデータベース部26と、前記読み取った文字列に当該監視キーワードが含まれるかどうかを検索する検索部18と、検索部18による検索結果に基づいて監視用文字列として格納するかどうかを判定する情報格納判定部19と、を備え、情報格納判定部19の判定結果により個人認証情報と関連付けて監視用文字列とその画像データを格納できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を読取って印刷可能な画像入出力装置および不正な複写等を監視する監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報セキュリティの関心が高まり、画像入出力装置を用いて重要文書の複写などが行われた場合、当該文書の画像と、操作者、操作日時などの情報をログとして監視サーバの記憶部に記憶しておき、後日、画像入出力装置の管理者が監視サーバを用いて操作者、画像等を確認できるシステムが提供されている。
【0003】
このような画像入出力装置および監視システムにおいて、画像を検索するためには予めログとして保存する画像データに光学式文字認識(以下、「OCR」という)処理を施し、操作者、操作日時などの情報に加え、OCR処理結果をログに関連付けて「画像つきログデータ」として記憶部に保存するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−60807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の画像入出力装置では、読み取った文書の全てについて画像付きログデータとしてすべての画像データも残す必要があり、ログの容量が膨大となり、大容量の記憶装置が必要となるとともに、検索する量が膨大となり検索時間も長時間となるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述の課題を解決するため次の構成を採用する。すなわち、画像を読み取る画像読取手段と、読取った画像を印刷する印刷手段を具備した画像入出力装置において、前記画像読取手段の操作者を識別する個人認証手段と、前記画像読取手段により生成された画像データを文字認識して文字列を生成する文字認識処理手段と、検索のための第1の文字列情報を格納する第1の格納手段と、前記文字認識処理手段により生成された前記文字列に、前記第1の文字列情報が存在するかどうかを検索する検索手段と、検索された文字列の前後の文字列を抽出し第2の文字列情報を生成する文字列抽出手段と、前記検索手段による検索結果に基づいて前記第2の文字列情報を格納するかどうかを判定する判定手段と、を備え、前記判手手段の判定結果に基づき、前記第2の文字列情報を、前記個人認証手段により認証された個人認証情報と関連付けて第2の格納手段に格納するようにした。
【発明の効果】
【0007】
本発明の画像入出力装置によれば、画像を読み取る画像読取手段と、読取った画像を印刷する印刷手段を具備した画像入出力装置において、前記画像読取手段の操作者を識別する個人認証手段と、前記画像読取手段により生成された画像データを文字認識して文字列を生成する文字認識処理手段と、検索のための第1の文字列情報を格納する第1の格納手段と、前記文字認識処理手段により生成された前記文字列に、前記第1の文字列情報が存在するかどうかを検索する検索手段と、検索された文字列の前後の文字列を抽出し第2の文字列情報を生成する文字列抽出手段と、前記検索手段による検索結果に基づいて前記第2の文字列情報を格納するかどうかを判定する判定手段と、を備え、前記判手手段の判定結果に基づき、前記第2の文字列情報を、前記個人認証手段により認証された個人認証情報と関連付けて第2の格納手段に格納するようにしたので、監視用ログの容量を最小限とすることができるとともに、監視の際の検索も効率よく短時間にて行うことができようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1の画像入出力装置の構成図である。
【図2】実施例1の画像入出力装置の機能ブロック図である。
【図3】実施例1の画像入出力装置の画像ログ開始動作のフローチャート図である。
【図4】実施例1の画像入出力装置のコピー印刷動作のフローチャート図である。
【図5】実施例1の画像入出力装置の格納された画像の取出しと表示動作のフローチャート図である。
【図6】実施例1の画像入出力装置のコピー印刷時の動作フローチャート図である。
【図7】実施例1の画像入出力装置の管理ファイルの例示図である。
【図8】実施例1の画像入出力装置のログ情報格納の動作説明図である。
【図9】実施例2の画像入出力装置の機能ブロック図である。
【図10】実施例2の画像入出力装置のジャンル別監視キーワードテーブルの例である。
【図11】実施例2の画像入出力装置の画像ログ開始動作のフローチャート図である。
【図12】実施例2の画像入出力装置の動作説明図のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。なお、以下の説明では、画像入出力装置として画像読取手段、印刷手段等が一体となったマルチファンクションプリンタ(以下、「MFP」という)を例として説明するが、画像読取手段、印刷手段等が分離されたものであっても同様に本発明を適用することができる。
【実施例1】
【0010】
(構成)
図1は、実施例1の画像入出力装置の概略構成図である。同図において、画像入出力装置1の上部にはスキャナ部5が配置されており、上部前面には、コピー印刷などの開始指示や印刷枚数、濃度、サイズ等の設定などの各種の設定操作を行う操作部2が配置されている。
【0011】
また、画像入出力装置1の下部には複数段の給紙カセット3 が設けられ、それぞれの取手を持って給紙カセット3 を手前に引き出すことができる。また、画像入出力装置1中段には排紙部4が設けられ、給紙カセット3から給紙され、画像形成が行われた用紙は排紙部4に出力される。
【0012】
図2は、実施例1の画像入出力装置1の機能構成を示す機能ブロック図である。同図に示したように、操作部2は、操作者が操作したコピー印刷などの開始指示や各種設定情報を取得する機能を有し、制御部13は、操作部2からの前記コピー印刷の指示を受け、個人認証部11に対して操作者の個人認証を実施させる機能を有する。また、制御部13には、監視サーバ40が通信回線等にて接続され、後述する操作者認証実施コマンドを受信し個人認証の実施や、監視用キーワードとして設定する監視キーワードを受信し監視キーワードデータベース26に格納する機能を有する。
【0013】
個人認証部11は、非接触カードなどに個人認証用情報を格納するとともに、画像入出力装置1や監視サーバ40の記憶部に事前に登録しておき、コピー印刷等を指示する際に操作者に非接触カードの提示を要求し、提示された非接触カード内の情報を読み取り、登録情報との照合により個人認証を行う機能を有する。なお、前述のようにカードによる認証ではなく生体認証により個人認証を行うようにしてもよい。また、前記個人認証情報には、ID番号などの個人識別情報のほか認証した日時情報なども含めるようにするとなおよい。
【0014】
スキャナ部5は、シートフィーダにセットされた原稿等のイメージを光学的に読み取り(以下、「スキャン」という)、後述の画像処理部15に送出する機能を有するものである。制御部13は、前記個人認証部11の個人認証の結果を受け、当該スキャナ部5に対しセットされた原稿等のスキャンを指示する。
【0015】
画像処理部15は、印刷用の画像として、スキャンにより取得した画像に対して操作者が所望する画像処理を行い、所望の画像を生成する機能を有する。
【0016】
画像一次保存部16は、画像処理前の画像および画像処理部15にて作成した画像を保存する機能を有する。
【0017】
OCR部17は、画像一次保管部16より、画像処理前の画像を受け取り、文字認識処理を行う機能を有する。検索部18は監視キーワードデータベース部26の監視キーワードの検索エンジンとして機能し、文字列抽出部25は、検索部18によりOCR部17から出力される文字列から監視キーワードの有無を検索し、監視キーワードが有ったときは、その前後の単語も合わせて抽出する機能を有する。
【0018】
情報格納判定部19は、文字列抽出部25からの文字列抽出結果に基づき、例えば、ヒットした監視キーワードが所定の数以上あった等によりログを残すか否かを判定し、ログを残す必要があると判定した場合は、文字列抽出部25にて抽出した文字列を蓄積部24の監視用文字列格納部22へ書き込み、同時に、蓄積部24の印刷画像格納部21へ画像格納を行う指示を行い、画像一次保管部16から印刷用の画像を取得して、これらを個人情報と関連付けて蓄積部24へ書き込む機能を有する。なお、前記蓄積部24への書き込み際、それぞれのファイル名を個人情報と関連付けて管理ファイル30とするようにするとよい。
【0019】
印刷処理部20は、画像一時保存部16に格納された画像データを用いて、印刷処理を行い、印刷物23を生成する機能を有する。
【0020】
(動作)
以上の構成により実施例1の画像入出力装置は以下のように動作する。最初に図3の動作フローチャートを用いて、画像ログ記録を開始する動作を説明する。
【0021】
まず、監視サーバ40が、後述する重要文書に記載されているであろうとして1つ或いは複数個あらかじめ選出した監視キーワードを画像入出力装置1に対して送信すると(ステップS01)、画像入出力装置1は、当該監視キーワードを監視キーワードデータベース部26に登録する(ステップS02)。このとき、監視サーバ40は、後述の監視用文字列として格納する検索キーワードの前後の単語の数なども指定できるようにするとよい。
【0022】
そして、監視サーバ40は、続けて画像ログ記録開始コマンドを画像入出力装置1に送信し(ステップS03)、画像入出力装置1がこれを受信することにより画像ログの記録が開始される(ステップS04)。
【0023】
次に、図4の動作フローチャートを用いて、コピー印刷を実施する際の監視サーバ40と画像入出力装置1の動作を説明する。
【0024】
まず、画像入出力装置1は、コピー印刷を開始する前に監視サーバ40へのコピー印刷開示の許可を行い、これに対し監視サーバ40からの操作者認証実施コマンドを受信すると、前述のように操作者の非接触カード等による操作者認証を実施し(ステップS11)、認証されるとコピー印刷動作が開始される(ステップS12)。
【0025】
そして、操作者がコピー印刷する文書等をシートフィーダにセットすると、画像入出力装置1は、スキャンを実施し、当該画像を取得するとともに、文字認識処理により文書に記載された文字を読み取って文字列を生成する(ステップS13)。
【0026】
画像入出力装置1は、抽出した文字列に監視キーワードデータベース部26に格納された監視キーワードがあるかどうかをすべての監視キーワードについて検索を実施する(ステップS14)。
【0027】
一般に、文字認識の結果として全半角文字が混在する場合があるので、いずれでも一致とするようにするとよい。また、文字認識の結果として、誤読文字或いは不読文字が存在するため、監視キーワードとの比較の際に、所定の文字数の差異があっても一致とするような処理とするとなおよい。
【0028】
1つ或いは所定の数以上の監視キーワードがヒットした場合、操作者の個人認証情報と関連付けて、監視キーワード検索によりヒットした文字列の前後の単語を含めた文字列(以下、「監視用文字列」という)を蓄積部23の監視用文字列格納部22に格納し、印刷画像を蓄積部23の印刷画像格納部21に格納する(ステップS15)。
【0029】
なお、格納する画像については、セキュリティ強化のため、個人認証情報により暗号化して格納するのがよい。また、ヒットした文字列の前後の単語の抽出方法としては、特開平10−326275などにて公知の単語列抽出技術を用いればよい。
【0030】
そして、監視サーバ40へ個人認証情報とともに前記監視用文字列を送信する(ステップS16)。なお、送信する監視用文字列は、セキュリティ強化のために個人認証情報等により暗号化するのがよい。
【0031】
上記監視用文字列等を受信した監視サーバ40は、受信した個人認証情報と関連付けて監視用文字列として格納する(ステップS17)。
【0032】
以上のように、監視サーバ40には、個人認証情報と関連付けて監視用文字列が格納され、監視用文字列のデータベースが形成される。このデータベースを用いて、監視サーバ40の管理者は、重要文書のコピー印刷等を容易に監視することができる。
【0033】
次に、画像入力装置1内に個人認証情報と関連付けて格納された印刷画像の取得および表示の動作を図5のフローチャートを用いて説明する。
【0034】
まず、監視サーバ40の管理者は、前述のように監視サーバ40に形成された前記監視用文字列のデータベースを用いて、重要文書のコピー印刷等があったことを監視用文字列から監視し、重要文書のコピー印刷等があったことを検出したときは、当該個人認証情報を抽出し、スキャン画像の取得要求コマンドを当該個人認証情報とともに画像入出力装置1に送信する(ステップS21)。
【0035】
スキャン画像の取得要求コマンドおよび個人認証情報を受信した画像入出力装置1は、蓄積部24の印刷画像格納部21の中からスキャン画像として個人認証情報にて指定された印刷画像を取り出し、監視サーバ40へ送信する(ステップS22)。
【0036】
監視サーバ40は、当該印刷画像を受信し監視サーバ40の表示部に管理者が視認できるように表示する(ステップS23)。
【0037】
次に、画像入出力装置1のコピー印刷時の動作を、さらに詳細に図6のフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0038】
まず、操作者が、コピー印刷を所望し、文書等をシートフィーダにセットしコピー印刷を指定すると、監視サーバ40への開始要求に対する監視サーバ40からの操作者認証実施コマンドにより個人認証を行い(ステップS31)、認証結果を判定し(ステップS32)、個人認証されない場合は処理を中断し、直ちに終了とする。
【0039】
個人認証された場合は、スキャンを実施しスキャン画像を取得する(ステップS33)。そして、OCR処理を精度よく実施するためにスキャン画像にエッジ強調処理を実施し画像一時保存部16に一時記憶する(ステップS34)。次に、スキャン画像を印刷に適した印刷画像に加工する印刷用画像処理を実施し、一時記憶する。(ステップS35)。
【0040】
なお、印刷用として特殊な画像処理を行う場合など、印刷画像がOCR処理を行うための画像としては適さない画像となる場合があるため、印刷用の画像処理とは別にエッジ強調処理を行うのがよい。したがって、印刷用画像処理がエッジ強調処理に類する処理の場合は、ステップS34のエッジ強調処理は行わず、OCR処理用として印刷用画像処理を施した印刷画像を用いるようにしても勿論よい。
【0041】
次に、前記エッジ強調処理を施したOCR用画像を用いてOCR処理を実施する(ステップS36)。
【0042】
次に、OCR処理を行って抽出した文字列を、監視キーワードとして監視キーワードデータベース26に格納されたキーワードにより検索する(ステップS37)。その結果、監視キーワードが1つ或いは所定の数以上含まれており当該情報を格納する必要があると判定したときは(ステップS38)、監視キーワード含む文字列および前後の単語もあわせて監視用文字列として監視用文字列格納部22に格納する(ステップS39)。
【0043】
次に、ステップS38にて情報を格納する必要があると判定したときは、さらに、前述の印刷用として一時記憶した印刷画像を印刷画像格納21に格納する(ステップS40)。
【0044】
そして、前記監視用文字列および個人認証情報を監視サーバ40に送信した後(ステップS41)、印刷用として画像処理を行った印刷画像を用いて印刷し(ステップS42)、コピー印刷処理を終了する。
【0045】
次に、以上のコピー印刷動作の際に、画像入出力装置1に管理ファイル30として蓄積部24に格納される各ファイルの詳細な構成を図7の管理ファイルの例示図を用いて以下説明する。管理ファイル30は、個人情報管理ファイル80と個人毎印刷ログ管理ファイル90とから構成される。
【0046】
まず、個人情報管理ファイル80の先頭には、ログとして記録された人数として情報格納数80aが記録され、次に、個人を認証するための番号として個人認証番号80b(1)が記録され、その次に、個人毎印刷ログ管理ファイル名80c(1)が、前記個人認証番号80b(1)とペアとなって記録される。
【0047】
本例では、ログとして記録された人数がn人であり、最初に記録された操作者の個人認証番号が"XX987"であり、その個人毎印刷ログ管理ファイル名80c(1)が"ABC123"であった例となっている。
【0048】
同様に、ログに記録された人数、すなわち情報格納数80aの数であるn個分、個人毎印刷ログ管理ファイル名80cと個人認証番号80bがペアとなって記録され、最後のn人目のログとして、個人認証番号80b(n)と個人毎印刷ログ管理ファイル名80c(n)が記録される。
【0049】
個人毎印刷ログ管理ファイル90は、前述の個人情報管理ファイル80に記録された個人毎印刷ログ管理ファイル名80c(1)〜80c(n)にそれぞれ対応した実体ファイルであり、最初の個人認証番号"XX987"の個人毎印刷ログ管理ファイル名"ABC123"の実体ファイルとして、個人毎印刷ログ管理ファイル"ABC123"が後述のような構成にて形成され、順に個人毎印刷ログ管理ファイルが形成され、最後に個人認証番号"YY654"の個人毎印刷ログ管理ファイル名"DEF567"の実体ファイルとして、右下記載のように個人毎印刷ログ管理ファイル"DEF567"が形成される。
【0050】
個人毎印刷ログ管理ファイル90の先頭には、図6のステップS38の判定により各操作者がコピー印刷した文書のうち、監視キーワードが含まれログとして残すべきと判定したログファイル数が格納ログファイル数90a(11)、90a(21)〜90a(n1)として記録される。このログファイル数は、例えば、ログとして残すべきと判定した文書のページ数に相当するものとなる。
【0051】
本例では、1人目の個人認証番号"XX987"の操作者がコピー印刷した文書で監視キーワードが含まれていたログファイル数がm1個、n人目の個人認証番号"YY654"の操作者がコピー印刷した文書で監視キーワードが含まれていたログファイル数がmn個であり、これが先頭に記録される。
【0052】
次に、コピー印刷した日時が、印刷日時90b(11)、90b(21)〜90b(n1)として記録される。
【0053】
次に、各操作者がコピー印刷した文書のうち監視キーワードが含まれていたページの監視用文字列を図6のステップS36にて格納する監視用文字列ファイル名として90c(11)、90c(21)〜90c(n1)、さらに図6のステップS37にて印刷画像を格納する印刷画像ファイル名90d(11)、90d(21)〜90d(n1)が記録される。
【0054】
同様に、監視キーワードが含まれていた文書の印刷日時、監視用文字列を格納するファイル名、印刷画像を格納するファイル名が記録される。
【0055】
図8は、監視キーワードの具体例、文書例を用いて、さらに詳細に実施例1の画像入出力装置の動作を説明するための図である。
【0056】
同図は、上段記載のように、監視すべきキーワードが監視キーワードデータベース26に格納されており、個人認証番号"XX987"の操作者が中段記載のスキャン画像50の文書をコピー印刷し、下段の蓄積部24に示したようなログが形成された例である。
【0057】
そして、下段に示した蓄積部24の個人情報管理ファイル80の先頭に記録されているように、98人の操作者がログとして記録され、個人毎印刷ログ管理ファイル90の先頭に記録されているように個人認証番号"XX987"の操作者のログとして53個のログが生成された例を示している。
【0058】
まず、スキャン画像50を文字認識し文字列を抽出し、監視キーワード26xとして設定されている監視キーワードにより検索を行うと、重要文書を示す"社外秘"、"取扱注意"、作成者を特定する"○×工業"、"群馬県高崎市"がヒットする。
【0059】
この検索結果に応じて、すなわち1つ或いは所定の数以上ヒットした場合、蓄積部24に、個人情報管理ファイル80、個人毎印刷ログ管理ファイル90(ファイル名:"ABC123")、監視用文字ファイル100(ファイル名:"MJ123")および印刷画像ファイル110(ファイル名:"IM123")がログとして記録され、同図のようにログが形成される。
【0060】
画像入出力装置1に上記ログが形成され、同時に監視サーバ40には、個人情報管理ファイル80、個人毎印刷ログ管理ファイル90(ファイル名:"ABC123")、監視用文字ファイル100(ファイル名:"MJ123")に相当するファイルが形成され、監視用文字列ファイル100に相当する文字列ファイルを用いて、監視すべき文書が効率よく適切に監視される。
【0061】
(実施例1の効果)
以上詳細に述べたように、実施例1の画像入出力装置および監視システムによれば、個人認証情報により操作者を認証する個人認証部と、コピー印刷する文書から文字列を読み取る文字認識手段と、あらかじめ監視キーワードを格納する手段と、前記読み取った文字列に当該監視キーワードが含まれるかどうかを検索する検索手段と、検索手段による検索結果に基づいて監視用文字列として格納するかどうかを判定する情報格納判定手段とを備え、情報格納判定手段の判定結果に基づき前記個人認証情報と関連付けて監視用文字列と当該画像データを格納できるようにしたので、監視用ログの容量を最小限とすることができるとともに、効率よく監視することができるようになる。
【実施例2】
【0062】
(構成)
図9は、実施例2の画像入出力装置の機能構成を示すブロックである。同図に示したように実施例2の画像入出力装置では、実施例1の文字列抽出部25の代わりに、格納されたキーワードを重要文書の種類ごとにジャンル分けして検索可能なキーワードジャンル文字列抽出部35を設けている。その他の構成については、実施例1の図2を用いて説明した構成と同様であるので、簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0063】
図10は、監視サーバ40から送信され画像入出力装置1の監視キーワードデータベース26に登録されるジャンル別監視キーワードテーブルの構成例を示したものである。
【0064】
重要文書のジャンル情報の例としては、契約書、議事録、申請書、経理資料等があり、これらをジャンル情報とし、各ジャンルのそれぞれの監視キーワードの前後の文字列として記録する前側文字数をNf、後側文字数をNbとすると、(Nf:Nb)のように記述して各監視キーワードとともに登録する。
【0065】
そして、契約書の場合では、"契約"や、画像入出力装置1が備えられた会社の社名、その役員等の氏名、或いは所在地等が記載されるので地番を除く所在地を監視キーワードとして登録する。
【0066】
例えば、"売買基本取引契約書"などであれば、"契約"の文字列の前側の文字としては10文字程度、後側の文字としては1文字分あれば全体の契約書名が形成されるので、"契約"(10:1)のように登録する。同様に社名、役員名、地番を除く所在地についても、社名(0:0)、役員名(0:0)、地番を除く所在地(0:10)のように登録する。
【0067】
また、議事録として重要な文書としては、例えば取締役会議事録等があり、 "議事"、社名、役員名が通常記載されるので、これらを監視キーワードとし、"議事"の場合は、その前側の文字として"取締役会"等の5文字、後側の文字として1文字分あれば、議事録の名称が形成されるので、"議事"(5:1)のように登録する。同様に社名、役員名についても、社名(0:0)、役員名(0:0)のように登録する。
【0068】
なお、役員名の場合は、名前側のみを監視キーワードとして登録し、その前側の5文字程度を付加して監視用文字列として記録するようにしてもよく、この場合は、役員名(5:0)として登録すればよい。
【0069】
また、申請書の場合では、個人を特定する個人情報が記載されている文書は重要文書であるとし、"生年月日"、"歳"、"才"を監視キーワードとし、"生年月日"では、その後側の10文字を付加すれば一連の文字列が完成するので、"生年月日"(0:10)のように登録する。同様に、"才"の場合は、"才"の前側の3文字程度を付加すれば、一連の文字列が完成するので"才"(3:0)のように登録する。
【0070】
また、経理資料の場合では、"¥"や"円"、"単位として"憶"が記載される文書は重要文書であるとし、"¥"の場合は、後の10文字、"円"の場合は、前の10文字程度を付加して監視用文字列として記録すればよいので、同図に示したような記述をして登録する。
【0071】
(動作)
以上の構成により、実施例2の画像入出力装置は以下のように動作する。最初に図11の動作フローチャートを用いて、画像ログ記録を開始する動作を説明する。
【0072】
まず、監視サーバ40が、重要文書に記載されるであろう文字列として選出した監視キーワードおよびそのジャンル情報を画像入出力装置1に送信すると(ステップS51)、これを受信した画像入出力装置1は、監視キーワードおよびそのジャンル情報を監視キーワードデータベース部26に登録する(ステップS52)。なお、監視サーバ40は、監視キーワードによりヒットした場合、当該文字列の前後文字列として記録する文字数などを指定できるようにしておくとよい。
【0073】
続けて、監視サーバ40は、画像ログ記録開始コマンドを画像入出力装置1に送信することにより(ステップS53)、画像入出力装置1は、画像ログの記録を開始する(ステップS54)。
【0074】
次に、画像入出力装置1のコピー印刷時の動作を図12のフローチャートを用いて詳細に説明する。なお、ステップS61〜S66、S70〜72は、実施例1のステップS31〜S36、S40〜42と同様であるので、その説明は簡略化する。
【0075】
まず、操作者が、コピー印刷を所望し、文書等をオートフィーダにセットしコピー印刷を指定すると、実施例1と同様に非接触カードなどにより個人認証を行い、判定の結果、認証されれば処理を続行し、認証されない場合は処理を中断し、直ちに終了とする(ステップS61、S62)。
【0076】
個人認証された場合は、次に、スキャンを実施しスキャン画像を取得し、OCR処理を精度よく実施するためにスキャン画像にエッジ強調処理を実施しOCR処理を実施するとともに、スキャン画像に印刷用画像処理を実施し印刷に適した印刷画像に加工して一時記憶する(ステップS63〜S66)。
【0077】
次に、OCR処理を行って抽出した文字列を、前述の図10のジャンル別監視キーワードテーブルの例のように、ジャンル別に前後に付加する文字数情報とともに格納された監視キーワードを用い、監視サーバ40から指定されたジャンルの監視キーワードがOCR処理による文字列にあるかどうかを検索する(ステップS67)。
【0078】
検索の結果、監視キーワードが含まれており情報格納が必要と判定したときは、前後に付加する文字数情報に基づき、監視キーワード含む文字列および前後の文字もあわせて監視用文字列をジャンルごとに監視用文字列格納部22に格納し、前述の印刷用として一時記憶した印刷画像を印刷画像格納21に格納する(ステップS68〜S70)。
【0079】
例えば、OCR処理により抽出された文字列を図10のジャンル別監視キーワードテーブルのジャンルとして"契約書"が選択され、重要文書の一例として、"売買基本取引契約書"と記載された売買基本取引契約書がコピー印刷された場合、監視キーワードの1つである"契約"(10:1)から"契約"の文字列がヒットし、その前側の文字数10文字および後側の文字列1文字が抽出され、"○○○○売買基本取引"+"契約"+"書"が監視用文字列として抽出される。
【0080】
そして、抽出された監視用文字列および個人認証情報を監視サーバ40に送信した後、印刷用として画像処理を行った印刷画像を用いて印刷し(ステップS71、S72)、コピー印刷処理を終了する。
【0081】
(実施例2の効果)
以上詳細に述べたように、実施例2の画像入出力装置および監視システムによれば、個人認証情報により操作者を認証する個人認証部と、コピー印刷する文書から文字列を読み取る文字認識手段と、ジャンル情報ごとの監視キーワードを格納する手段と、前記読み取った文字列に当該監視キーワードが含まれるかどうかを検索する検索手段と、当該検索結果に基づいて監視用文字列として格納するかどうかを判定する情報格納判定手段とを備え、情報格納判定手段の判定結果に基づき前記個人認証情報と関連付けて監視用文字列と当該画像データを格納できるようにしたので、実施例1の効果に加え、ジャンルごとに分類してログを取ることができ、さらに効率的に監視を行うことができるようになる。
【0082】
《その他の変形例》
以上の実施例の説明では、監視用文字列および当該印刷画像をペアでログとして格納するように説明したが、ログとして印刷画像のみ格納し印刷画像の目視による監視を行うようにしてもよいし、文字列のみログとして格納し監視するようにしてもよい。
【0083】
また、以上の実施例の説明では、画像入出力装置1に監視キーワードデータベース部26および印刷画像格納部21、監視用文字列格納部22を設けるように説明したが、これらの一部または全部を監視サーバ40に設ける構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、画像を読取って印刷可能な画像入出力装置および不正な複写等を監視する監視システムに広く用いることができる。
【符号の説明】
【0085】
1 画像入出力装置
2 操作部
5 スキャナ部
11 個人認証部
13 制御部
15 画像処理部
16 画像一時保存部
17 OCR部
18 検索部
21 印刷画像格納部
22 監視用文字列格納部
24 蓄積部
25 文字列抽出部
26 監視キーワードデータベース部
30 管理ファイル格納部
35 キーワードジャンル文字列抽出部
40 監視サーバ
50 スキャン画像
80 個人情報管理ファイル
90 個人毎印刷ログ管理ファイル
100 監視用文字列ファイル
110 印刷画像ファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を読み取る画像読取手段と、読取った画像を印刷する印刷手段を具備した画像入出力装置において、
前記画像読取手段の操作者を識別する個人認証手段と、
前記画像読取手段により生成された画像データを文字認識して文字列を生成する文字認識処理手段と、
検索のための第1の文字列情報を格納する第1の格納手段と、
前記文字認識処理手段により生成された前記文字列に、前記第1の文字列情報が存在するかどうかを検索する検索手段と、
検索された文字列の前後の文字列を抽出し第2の文字列情報を生成する文字列抽出手段と、
前記検索手段による検索結果に基づいて前記第2の文字列情報を格納するかどうかを判定する判定手段と、を備え、
前記判手手段の判定結果に基づき、前記第2の文字列情報を、前記個人認証手段により認証された個人認証情報と関連付けて第2の格納手段に格納するようにしたことを特徴とする画像入出力装置。
【請求項2】
前記個人認証情報に関連付けて前記画像読取手段により生成された画像データも併せて第2の格納手段に格納するようにしたことを特徴とする請求項1記載の画像入出力装置。
【請求項3】
前記検索手段による検索は、所定の文字数の不一致を許容して行うようにしたことを特徴とする請求項1記載の画像入出力装置。
【請求項4】
前記第1の文字列情報は、不正な複製を監視するための文字列情報であることを特徴とする請求項1記載の画像入出力装置。
【請求項5】
前記第1の文字列情報を格納する第1の格納手段は、複数の前記第1の文字列情報を種別して登録できる種別情報格納手段であって、
前記第2の文字列情報を生成する文字列抽出手段は、指定された種別の文字列情報が前記文字認識処理手段により生成された文字列に存在したときは、検索された文字列および前後の文字列を第2の文字列情報として抽出する抽出手段であって、
前記判定手段は、種別ごとの検索結果に基づいて前記第2の文字列情報を格納するかどうかを判定する判定手段であって、
前記判手手段の判定結果に基づき、前記第2の文字列情報を、前記個人認証手段により認証された個人認証情報と関連付けて第2の格納手段に格納するようにしたことを特徴とする請求項1記載の画像入出力装置。
【請求項6】
前記個人認証情報に関連付けて前記画像読取手段により生成された画像データも併せて第2の格納手段に格納するようにしたことを特徴とする請求項5記載の画像入出力装置。
【請求項7】
前記前後の文字列は、あらかじめ第1の文字列情報ごとに設定された前後の文字数分の文字列であることを特徴とする請求項5または請求項6記載の画像入出力装置。
【請求項8】
前記種別情報は、文書の種類を種別する情報であることを特徴とする請求項5ないし請求項7いずれか記載の画像入出力装置。
【請求項9】
少なくとも、請求項1ないし請求項8いずれか記載の画像入力装置と、前記画像入出力装置と接続して不正な複写を監視する外部装置と、からなる不正複写監視システムであって、
前記第1の文字列情報、種別情報のいずれかまたは両方を前記外部装置から前記画像入出力装置に送信して登録し、当該画像入出力装置が抽出した監視用文字列情報にもとづいて不正な複写を監視できるようにしたことを特徴とする監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−268250(P2010−268250A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−118098(P2009−118098)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【出願人】(594202361)株式会社沖データシステムズ (259)
【Fターム(参考)】