説明

画像再生装置

【課題】
ダビングする際、動画像データの欠落を防ぐ。
【解決手段】
操作者によりダビングスイッチが押下にされたか否かを判別する(S13)。先ず、動画像の属性情報を示す属性情報画像が所定時間だけ、録画装置に送信する(S14、S15)。その後、記録媒体から再生された動画像を録画装置に送信する(S16)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画像を再生する画像再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2つのデジタルビデオ録画装置を使って動画像をダビングする場合、即ち、一方の装置で再生した動画像データを他方の装置で録画する場合、再生装置と録画装置を同期動作用の専用ケーブルで接続して、再生装置の再生と録画装置の録画を同期動作させる構成が、知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
なお、最近の映像録画機器では、動画像を圧縮して記録する。例えば、MPEG2方式が広く採用されている。
【0004】
動画像データを、MPEG2等で圧縮された状態のまま複製するダビング装置構成も公知であり、このようなデジタル伝送には、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)1394やUSB(Universal Serial Bus)等のデジタルインターフェース又はケーブルが使用可能である。
【特許文献1】特許03546851号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のデジタルビデオ録画装置では、専用のケーブルと専用の通信プロトコルで再生装置と録画装置のダビング動作を同期させる方法が採用されているが、この場合、再生装置と録画装置が共に対応している必要があり、汎用的に利用できるものではない。仮に再生装置と録画装置が専用のケーブルや通信プロトコルに対応していたとしても、両者のメーカーが異なる場合等ではその挙動を完全に把握できないので、同期動作が行えたとしても、僅かなずれ程度は避けられない。これにより、動画像データをダビングする際には、ダビング開始直後のシーンの録画が欠落することがある。
【0006】
また、MPEG2では、GOP(GROUP OF PICTURE)単位に、動画像が圧縮されるので、圧縮されたまま複製をする場合には、GOP単位で複製を成功させる必要がある。特にI(イントラ)ピクチャは重要で、GOPの冒頭に存在する。このIピクチャが欠落した場合、そのGOP全てが欠落することにもなる。ここで、上述したようなダビング時に同期させる方法を用いて、例えば、再生装置の再生開始と同時に録画装置に録画開始を指示したとしても、録画装置が録画開始の指示から実際に録画を開始するまでに時間がかかると、その間に再生装置から出力される圧縮動画像データが記録されないことになる。それがMPEG2データであったならば、僅かな録画の遅れがIピクチャの取りこぼしに繋がった場合、GOP単位で記録を失敗することになる。図5に示す例では、このような要因からGOP1〜4の録画を失敗して、実際にはGOP5から記録された例を示している。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、圧縮動画像データの複製の失敗の可能性を低減する画像再生装置を提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明に係る画像再生装置は、記録媒体に記録される動画像を再生する再生手段と、当該動画像の属性情報を示す属性情報画像を生成する属性情報画像生成手段と、当該記録媒体に記録される動画像のダビングを指示するダビング指示手段と、当該ダビング指示手段の指示に応じて、当該属性情報画像を出力し、その後に、当該動画像を出力する出力手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、動画像の前に属性情報画像を出力するので、録画装置の起動が遅れても、正常に動画像を転送でき、動画像の記録の欠落を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の一実施例に係る撮像装置の構成ブロック図である。図1において、撮像装置10は、デジタルビデオカメラ又はデジタルカメラ等である。撮像装置10は、撮像部12、信号処理部14、画像メモリ16、圧縮伸長部18、記録処理部20、記録媒体22、CPU24、ワークメモリ26、操作部28、表示部30、ビデオ入出力部32、ビデオ端子34、通信入出力部36及び通信端子38を具備する。また、ビデオ端子34には、撮像装置10で再生された画像データを録画する録画装置50が接続する。
【0012】
撮像部12は、CCDセンサまたはCMOSセンサ等の撮像素子と、当該撮像素子の撮像面に被写体像を結像するレンズとを具備する。信号処理部14はAGC(自動利得制御)、γ(ガンマ)変換及びA/D変換を具備し、画像信号に周知の処理を施し、アナログ画像信号をデジタル信号に変換する。画像メモリ16は、信号処理部14から出力される画像データを一時的に記憶する。
【0013】
圧縮伸長部18は、動画圧縮のためのMPEG回路またはMotion JPEG回路を具備し、画像データを圧縮符号化する。記録処理部20は、記録媒体22のインターフェースであり、記録媒体22は、磁気テープ(DVテープ)、ハードディスク、不揮発性のメモリカード又は記録可能光ディスク等である。
【0014】
CPU24は、撮像装置10の全体の動作を制御する。ワークメモリ26は、CPU22が処理用に使用するメモリでもある。操作部28はダイヤル、ボタンまたはスイッチ群等を具備し、撮像、再生及びダビングをCPU24に指示するのにそれぞれ使用される撮像スイッチ、再生スイッチ及びダビングスイッチを具備する。また、操作部28は、後述するデータ量を管理するメニュー画面の表示をCPU24に指示するメニュースイッチを具備する。
【0015】
表示部30は液晶パネルまたは電子ビューファインダ等からなり、印加される動画像データの画像を画面上に表示する。
【0016】
ビデオ入出力部32は、NTSC(National Television Standards Committee)またはPAL(Phase Alternating Line)等のビデオエンコーダを用いて、動画像データをNTSC又はPAL形式のビデオ信号に変換し、当該ビデオ信号をビデオ端子34から外部の録画装置50に出力する。ビデオ端子34はSビデオ端子である。ビデオ入出力部32は、ビデオ端子34に外部のビデオ機器から供給されるビデオ信号を取り込むこともできるが、この機能は、本発明とは関係ないので、説明を省略する。
【0017】
通信入力部36は、IEEE1394又はUSB等からなる。通信端子38は通信インターフェースである。通信端子38からはMPEG等で圧縮されたビデオ信号が出力される。録画装置50が同様の通信端子を具備する場合、通信端子38に録画装置50を接続できる。すなわち、録画装置50をビデオ端子34に接続しても、通信端子38に接続しても、所望のダビング動作が実行できる。
【0018】
録画装置50は、受信したビデオ信号を磁気テープ、ハードディスク装置、固体メモリ又は光ディスクに記録再生する装置、若しくは、録画機能を具備するパーソナルコンピュータ等からなる。
【0019】
撮像装置10の記録動作と再生動作を説明する。撮影モードでは、撮像部12は、被写体の画像信号を出力する。撮像部12の画像信号は、信号処理部14を介して画像メモリ16に書き込まれる。画像メモリ16に記憶される画像は、定期的に読み出され、表示部30の電子ビューファインダに印加される。ユーザは、表示部30の電子ビューファインダに表示される画像を見て、撮像対象を確認できる。
【0020】
そして、撮影モード中に、ユーザが撮像スイッチを押下すると、CPU24は、画像メモリ16に格納される画像データを読み出し、圧縮伸長部18に印加する。圧縮伸長部18は、画像メモリ16に書き込まれるフレーム又はフィールド画像を順次、MPEG方式又はMotion JPEG方式で圧縮符号化する。圧縮伸長部18で圧縮された動画像データは、記録処理部20により記録媒体22に記録される。
【0021】
再生モードでは、ユーザが再生スイッチを押下すると、記録処理部20を介して記録媒体22から圧縮画像データが読み出され、圧縮伸長部18に転送される。圧縮伸長部18は記録媒体22から読み出された圧縮画像データを伸長し、画像メモリ16に格納する。画像メモリ16に記憶される再生画像は、定期的に読み出され、表示部30の液晶パネルに印加される。液晶パネルは、再生画像を表示する。また、ビデオ端子34からは、再生画像を伸長された状態のビデオ信号として、通信端子38からは、再生画像を圧縮状態のデジタルビデオ信号として出力可能となっている。
【0022】
次に、図2乃至図4を用いて、撮像装置10から録画装置50へのダビング動作を説明する。ダビング動作時は、撮像装置10は再生モードとなる。図2は、撮像装置10の動作フローチャートである。図3は、属性情報画像データの表示例である。図4(a)は、撮像装置10の転送処理のシーケンス動作を示し、図4(b)は、録画装置50の記録処理のシーケンス動作を示す。図4では、圧縮画像データの状態でダビングする場合への適用を考慮して、本来の目的とする動画像(主画像)をGOPの単位で図示してある。
【0023】
本実施例では、撮像装置10は、記録される動画像を送信する前に、当該動画像の属性情報(タイトル名、撮影日時及び撮影場所等)を示す画像、即ち属性情報画像を録画装置50に送信する。ユーザが、属性情報画像の送信時間の手動設定を指示する場合には(S10)、設定画面が表示され、ユーザは、所望の時間を設定できる(S11)。そのような指示がなければ、デフォルト値が設定される(S12)。属性情報画像の送信時間は、時間単位以外に、フレーム数又はフィールド数などであってもよいことは明らかである。
【0024】
ユーザが撮像装置10のダビングスイッチでダビング開始を指示するのを待機する(S13)。通常、ユーザは、再生側の再生開始と、録画装置の録画開始を同時に操作するが、両者間に若干のタイムラグが生じ得るし、再生装置の再生動作の遅れや、録画装置の録画開始の遅れがあり、しかも、それぞれの遅れ時間は多様である。
【0025】
ダビング開始の指示に応じて(S13)、撮像装置10は、ステップS11又はS12で設定された送信時間だけ、属性情報画像をビデオ出力端子34から録画装置50に出力する(S14,S15)。属性情報画像は、図3に例示するように、ダビングの目的とする画像の属性情報を示す画像であり、属性情報は、タイトル、撮影日時、撮影場所、撮影者、ダビング日時、ダビング操作者、撮像装置10の製造番号又は代表画像からなる。図3(a)は、タイトル(題目)、撮影日時及び撮影場所等を含む属性情報画像の例を示す。図3(b)は、撮像装置の製造番号及び著作権者を含む属性情報画像の例を示す。図3(c)は、代表画像として最初の画面を表示する属性情報画像の例を示す。ステップS14では、図3(a)〜(c)に示す属性情報画像の何れかを継続的に録画装置50に転送しても良いが、図3(a)〜(c)に示す属性情報画像を順次、録画装置50に転送してもよい。
【0026】
属性情報画像を設定送信時間だけ送信すると(S14)、目的の動画像をビデオ端子34から録画装置50に送信する(S16)。そして、ユーザが再度、ダビングスイッチを押下することにより、ダビング動作の中止を指示するまで(S17)、動画像の送信を継続する(S16)。
【0027】
再度、ダビングスイッチが押下されると(S17)、動画像の再生を停止、送出を停止する(S18)。
【0028】
これまでアナログビデオ信号として伝送する実施例を説明したが、勿論、デジタル伝送でダビングする場合にも、本発明は適用可能である。デジタル伝送のダビングを行う場合は、通信端子38から、例えばMPEG圧縮されたデジタルビデオ信号を送信することになる。このとき、ダビング開始に応じて、再生されたMPEG圧縮された動画像を示すデジタルビデオ信号を送信開始するのに先立って、上述した属性情報画像を圧縮伸長部18でMPEGに圧縮して、その圧縮画像を設定送信時間分だけ送信する構成となる。
【0029】
属性情報画像の送信時間の設定動作(S10〜S12)は、省略しても良いことは言うまでもない。
【0030】
このように、本実施例では、再生装置側でダビング開始時に所定時間分、属性情報画像を送信するので、記録装置側の記録開始が遅延しても、本来の動画像を最初から支障なく録画できる。また、所定時間内であれば記録装置側の遅延時間が変化することにも対応できるので、様々な記録装置に対応可能である。さらに、アナログビデオ信号のダビング及びデジタルビデオ信号のダビングで共通に使用可能であり、汎用性のある送信形態を実現できる。
【0031】
属性情報画像データの送出時間を任意に設定できるようにすることで、無駄な録画と、録画の欠落を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施例に係る撮像装置の概略構成ブロック図である。
【図2】撮像装置10の動作フローチャートである。
【図3】本実施例の属性情報画像の例である。
【図4】本実施例によるダビング動作のシーケンス図である。
【図5】従来のダビング動作のシーケンス図である。
【符号の説明】
【0033】
10 撮像装置
12 撮像部
14 信号処理部
16 画像メモリ
18 圧縮伸長部
20 記録処理部
22 記録媒体
24 CPU
26 ワークメモリ
28 操作部
30 表示部
32 ビデオ入出力部
34 通信入出力部
36 ビデオ端子
38 通信端子
50 パソコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録される動画像を再生する再生手段と、
当該動画像の属性情報を示す属性情報画像を生成する属性情報画像生成手段と、
当該記録媒体に記録される動画像のダビングを指示するダビング指示手段と、
当該ダビング指示手段の指示に応じて、当該属性情報画像を出力し、その後に、当該動画像を出力する出力手段
とを有することを特徴とする画像再生装置。
【請求項2】
更に、当該属性情報画像を出力する期間を設定する設定手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の画像再生装置。
【請求項3】
当該属性情報は、撮影日時、題目、撮影者、撮影場所、撮影機器、著作権者、ダビング日時、ダビング操作者及び再生装置の機種情報のうちのいずれかの文字情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像再生装置。
【請求項4】
当該属性情報は、当該動画像の代表画像を含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−134969(P2007−134969A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−326194(P2005−326194)
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】