説明

画像処理システム、画像処理方法及び画像処理プログラム

【課題】背景画像に対して顔画像を挿入した合成画像を提供するための画像処理システム、画像処理方法及び画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】画像処理サーバ20の制御部21は、背景画像の特定処理、ユーザ画像の取得処理を実行する。そして、制御部21は、ユーザ画像において顔画像認識処理を実行する。更に、制御部21は、顔画像上の評価用楕円を生成する。この評価用楕円上の画素値のヒストグラムを算出し、このヒストグラムの分散値を用いて顔要素を抽出する。次に、制御部21は、画像変形処理を実行する。ここで、表現指数、挿入領域の大きさや傾きに基づいて、顔要素画像を変形する。そして、制御部21は、画素勾配を最適化するための画像調整を行なうことにより、背景画像と顔要素画像とを合成する。そして、制御部21は、合成画像を利用者に提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背景画像に対して顔画像を挿入した合成画像を提供するための画像処理システム、画像処理方法及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近の携帯電話端末等は、デジタルカメラ等による撮影機能を備えていることが多い。そして、このデジタルカメラを用いて撮影した画像を、通信機能を用いてサーバ等に送信することができる。
【0003】
また、デジタルカメラ等においては、画像の中に人物の顔を検出する機能を備えたものもある(例えば、特許文献1参照。)。この文献に記載された技術では、撮影された画像から人物の顔部分を検出する。具体的には、デジタルカメラにおいて画像から人物の顔と推定される部分を検出し、検出した部分の顔らしさを数値化したスコアを算出する。そして、スコアが閾値を超える部分を顔部分と判定して、撮影された画像から人物の顔部分を検出する。
【0004】
また、顔画像を受信したサーバにおいて、画像を加工する技術も検討されている(例えば、特許文献2参照。)。この文献に記載された技術では、携帯電話端末に搭載されたCCDカメラで撮影した顔写真の画像データは、電子メールによりサーバに送信され、ユーザデータベースに登録される。サーバのモーフィング処理部は、ユーザデータベースからユーザの登録画像を読み出し、画像データベースからユーザの指定する既存画像を読み出し、2枚の画像をマッチングさせて中間画像を生成する。そして、生成された中間画像を、ユーザの携帯電話端末に送信する。
【0005】
このような画像加工においては、例えばアフィン(affine)変換が用いられることがある。このアフィン変換においては、ベクトル空間(アフィン空間)の間で定義される平行移動を伴う線形変換が行なわれる。
【0006】
更に、画像を他の画像に挿入して合成するための技術も検討されている。ここで、2つの画像を合成する場合、ポアソン法により画像を加工する技術も検討されている(例えば、特許文献3参照。)。この文献に記載された技術では、コピー先画像中に境界を有するコピー先領域を定義し、補間ガイド、および前記コピー先領域の境界に関連付けられた境界条件を含む誘導インターポレータを提供する。コピー先領域の境界における境界条件を満たし、誘導インターポレータに基づいて合成結果画像を計算して、補間ガイドと合成結果画像の勾配の間の前記コピー先領域両端の差を最小化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−141617号公報(第1頁、図5)
【特許文献2】特開2003−242480号公報(第1頁、図1)
【特許文献3】特表2006−518891号公報(第1頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
顔画像を背景画像の所望の位置に挿入する場合、目、鼻、口等の顔要素と、背景画像の色合いとを整合させる必要がある。更に、画像のエッジが際立ってしまうと、不自然な画像になってしまうことがある。例えば、撮影のための顔検出技術を用いると、一般的に頭
髪等も含まれる。しかし、このような顔画像を背景画像に合成すると、頭髪等は顔領域のエッジとなり、合成した画像において境界が残ってしまう場合がある。
【0009】
また、人物の顔を撮影する場合、挿入先である背景画像に応じた表情で撮影されているとは限らない。従って、顔の表情と背景画像とがマッチしていない場合もある。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、この目的は、背景画像に対して顔画像を挿入した合成画像を提供するための画像処理システム、画像処理方法及び画像処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、撮影手段から取得した顔画像を記憶する顔画像情報記憶手段と、顔画像を挿入する背景画像を記憶する背景画像情報記憶手段と、表示手段に接続される制御手段を備えた画像処理システムであって、前記制御手段が、撮影手段から顔画像を取得する顔画像取得手段と、顔画像の挿入領域が指定された背景画像を特定する背景画像取得手段と、顔画像から顔要素を含む顔要素画像を生成する顔要素抽出手段と、前記挿入領域の形状に合わせて、前記顔要素画像を変形させる変形処理手段と、前記背景画像に対して、前記顔要素画像の色合いが連続的に変化するように画像調整処理を行なった合成画像を生成する画像合成手段と、前記合成画像を表示手段に提供する画像提供手段とを備えたことを要旨とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理システムにおいて、前記顔要素抽出手段は、顔要素画像において、閉領域を規定する評価用ガイドラインを生成し、前記評価用ガイドラインの軌道上の画素値のヒストグラムを算出し、前記ヒストグラムの分散値が最小になる評価用ガイドラインにより規定される領域を顔要素画像として特定することを要旨とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像処理システムにおいて、前記変形処理手段は、前記顔要素画像を対称線により左右に分割し、顔要素画像を変形させる表情指数を取得した場合、前記表情指数を用いて前記対称線の長さを伸縮することにより、顔要素画像を変形することを要旨とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像処理システムにおいて、前記背景画像取得手段は、顔要素画像を挿入する複数の挿入領域を設けたファイルを記憶し、前記ファイルにおいては、挿入領域毎に表情指数が設定されており、挿入領域毎に表情指数を取得し、この表情指数に基づいて、顔要素画像を変形するとともに、各挿入領域に顔要素画像を挿入した合成画像を生成することを要旨とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像処理システムにおいて、前記背景画像取得手段は、顔画像を挿入する挿入領域を含むフレームを設けた動画ファイルを記憶し、前記動画ファイルにおいて、領域毎に表情指数が設定されており、挿入領域毎に表情指数を取得し、この表情指数に基づいて、顔要素画像を変形するとともに、各挿入領域に顔要素画像を挿入した合成画像を生成することを要旨とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一つに記載の画像処理システムにおいて、前記制御手段が、前記背景画像取得手段には、合成画像及び元の顔画像を用いて顔認証処理を実行し、両者の一致度が基準値以上の場合には、顔要素画像に含まれる顔要素を変形させて、再度、合成画像を生成することを要旨とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一つに記載の画像処理システムにおいて、前記制御手段は、ネットワークを介して、撮影手段及び表示手段を備えた利用者端
末に接続されており、前記制御手段は、前記利用者端末から顔画像を取得し、前記利用者端末に合成画像を送信することを要旨とする。
【0017】
請求項8に記載の発明は、撮影手段から取得した顔画像を記憶する顔画像情報記憶手段と、顔画像を挿入する背景画像を記憶する背景画像情報記憶手段と、表示手段に接続される制御手段を備えた画像処理システムを用いて、画像処理を実行する方法であって、前記制御手段が、撮影手段から顔画像を取得する顔画像取得段階と、顔画像の挿入領域が指定された背景画像を特定する背景画像取得段階と、顔画像から顔要素を含む顔要素画像を生成する顔要素抽出段階と、前記挿入領域の形状に合わせて、前記顔要素画像を変形させる変形処理段階と、前記背景画像に対して、前記顔要素画像の色合いが連続的に変化するように画像調整処理を行なった合成画像を生成する画像合成段階と、前記合成画像を表示手段に提供する画像提供段階とを実行することを要旨とする。
【0018】
請求項9に記載の発明は、撮影手段から取得した顔画像を記憶する顔画像情報記憶手段と、顔画像を挿入する背景画像を記憶する背景画像情報記憶手段と、表示手段に接続される制御手段を備えた画像処理システムを用いて、画像処理を実行させるためのプログラムであって、前記制御手段を、撮影手段から顔画像を取得する顔画像取得手段、顔画像の挿入領域が指定された背景画像を特定する背景画像取得手段、顔画像から顔要素を含む顔要素画像を生成する顔要素抽出手段、前記挿入領域の形状に合わせて、前記顔要素画像を変形させる変形処理手段、前記背景画像に対して、前記顔要素画像の色合いが連続的に変化するように画像調整処理を行なった合成画像を生成する画像合成手段、前記合成画像を表示手段に提供する画像提供手段として機能させることを要旨とする。
【0019】
(作用)
請求項1、8又は9に記載の発明によれば、撮影手段から顔画像を取得し、顔画像の挿入領域が指定された背景画像を特定する。次に、顔画像から顔要素を含む顔要素画像を生成し、挿入領域の形状に合わせて、顔要素画像を変形させる。そして、背景画像に対して、顔要素画像の色合いが連続的に変化するように画像調整処理を行なった合成画像を生成し、合成画像を表示手段に提供する。これにより、目、鼻、口などを含む顔要素を抽出し、これを背景画像に挿入した合成画像を生成することができる。画素勾配を最適化するための画像調整を行なうことにより、顔の輪郭によるエッジを抑制して、自然な合成画像を生成することができる。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、制御手段が、顔要素画像において、閉領域を規定する評価用ガイドラインを生成する。そして、評価用ガイドラインの軌道上の画素値のヒストグラムを算出し、ヒストグラムの分散値が最小になる評価用ガイドラインにより規定される領域を顔要素画像として特定する。ヒストグラムの分散値を小さくすることにより、合成する画像の境界領域におけるエッジパターンの発生を抑制することができる。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、制御手段が、顔要素画像を対称線により左右に分割する。そして、顔要素画像を変形させる表情指数を取得した場合、表情指数を用いて対称線の長さを伸縮することにより、顔要素画像を変形する。これにより、顔要素画像において多様な表情を生成することができる。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、制御手段が、顔要素画像を挿入する複数の挿入領域を設けたファイルを記憶し、ファイルにおいては、挿入領域毎に表情指数が設定されている。そして、制御手段は、挿入領域毎に表情指数を取得し、この表情指数に基づいて、顔要素画像を変形するとともに、各挿入領域に顔要素画像を挿入した合成画像を生成する。これにより、複数の領域に顔要素画像を挿入したファイルを生成することができる。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、背景画像取得手段は、顔画像を挿入する挿入領域を含むフレームを設けた動画ファイルを記憶し、動画ファイルにおいて、領域毎に表情指数が設定されている。そして、制御手段は、挿入領域毎に表情指数を取得し、この表情指数に基づいて、顔要素画像を変形するとともに、各挿入領域に顔要素画像を挿入した合成画像を生成する。これにより、顔要素画像を挿入した動画を生成することができる。
【0024】
請求項6に記載の発明によれば、制御手段が、合成画像及び元の顔画像を用いて顔認証処理を実行する。そして、両者の一致度が基準値以上の場合には、顔要素画像に含まれる顔要素を変形させて、再度、合成画像を生成する。合成画像の利用目的によっては、合成画像に含まれる顔要素によって本人が特定されない方が望ましいことがある。顔認証と顔要素の変形により、顔画像を利用しつつ、本人の特定が困難な合成画像を生成することができる。
【0025】
請求項7に記載の発明によれば、制御手段は、ネットワークを介して、撮影手段及び表示手段を備えた利用者端末に接続される。そして、制御手段は、利用者端末から顔画像を取得し、前記利用者端末に合成画像を送信する。これにより、携帯電話端末等の利用者端末から、ネットワークを介して取得した顔画像を用いて合成画像を生成し、利用者端末に提供することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、背景画像に対して顔画像を挿入した合成画像を提供するための画像処理システム、画像処理方法及び画像処理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態のシステム概略図。
【図2】各データ記憶部に記録されたデータの説明図であって、(a)はテンプレートデータ記憶部、(b)は受付管理データ記憶部、(c)は合成画像データ記憶部に記録されたデータの説明図。
【図3】第1の実施形態の処理手順の説明図。
【図4】第1の実施形態の処理手順の説明図。
【図5】第1の実施形態の処理手順の説明図。
【図6】第1の実施形態の顔要素抽出処理の説明図。
【図7】顔要素抽出処理における評価用楕円と画素値のヒストグラムの関係の説明図であって、(1a)、(2a)、(3a)は評価用楕円の大きさの説明図、(1b)、(2b)、(3b)は各評価用楕円上の画素値のヒストグラムの説明図。
【図8】画像変形処理における画像の変形の説明図であって、(a)は顔要素画像の分割、(b)は表情指数に応じた変形、(c)は挿入領域に応じた変形の説明図。
【図9】第1の実施形態における画像合成の説明図。
【図10】第2の実施形態のテンプレート画像ファイルと画像配置データ記憶部の説明図。
【図11】第2の実施形態の処理手順の説明図。
【図12】第2の実施形態における制御部、パーツ画像データ記憶部の説明図。
【図13】第3の実施形態の処理手順の説明図。
【図14】第4の実施形態の処理手順の説明図。
【図15】第4の実施形態の背景画像と顔用画像の関係の説明図であって、(a)は背景画像、(b)は顔要素の回転の説明図。
【図16】第5の実施形態の処理手順の説明図。
【図17】第5の実施形態における画像合成の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第1の実施形態>
以下、本発明を具体化した一実施形態を、図1〜図9に従って説明する。本実施形態では、図1に示すように、携帯電話端末10に対して画像処理サービスを提供するために、画像処理システムとしてのサービス管理システム50を用いる。この画像処理サービスにおいては、サービス管理システム50が、撮影手段を備えた利用者端末から人物の顔が撮影された画像を取得する。そして、サービス管理システム50は、この画像に含まれる顔画像を背景画像に挿入した合成画像を生成し、表示手段を備えた利用者端末に提供する。
【0029】
図1に示すように、サービス管理システム50には、利用者端末(ここでは、携帯電話端末10)がネットワークを介して接続される。この携帯電話端末10は、本サービスの利用者が用いる携帯端末である。この携帯電話端末10は、サービス管理システム50に対して画像データを送信したり、サービス管理システム50から合成画像データを取得するための情報を受信したりするために用いられる。
【0030】
携帯電話端末10は、端末制御部、通信処理部、メモリ、表示部、入力部、撮像部等を備える。この携帯電話端末10は、通常の電話モードの他に、電子メールの送受信を行なうためのメールモードやブラウザモードの実行処理を行なうプログラム実行モードを有する。
【0031】
端末制御部は、アプリケーションプログラムの実行により、ブラウザや電子メールの送受信のための処理を行なう。
通信処理部は、公知の方法により携帯電話網の基地局に接続されて、通話や電子メールの送受信のための通信処理を行なう。この携帯電話網は、インターネットを介してサービス管理システム50に接続される。
【0032】
メモリは、この携帯電話端末10において実行可能なアプリケーションプログラムや、受信した電子メールを格納する。
表示部は表示手段として機能し、携帯電話端末10が受信した電子メールやプログラム実行時のユーザ指示などを表示する。更に、メモリに格納された画像や、サービス管理システム50から取得した画像を表示する場合にも用いる。
【0033】
入力部は、ダイヤル番号ボタンの他に、セレクタボタン、モード変更ボタンを有する。各モード(例えば、電話モード)から他のモード(例えば、電子メールモード)に切り換える場合には、モード変更ボタンを用いる。
【0034】
また、携帯電話端末10のセレクタボタンは、カーソル移動機能とクリック機能とを有する。このセレクタボタンを用いて方向指示を行なうことにより、表示部上のカーソルを移動させることができ、セレクタボタンを押すことにより、カーソルが示している項目を選択することができる。
【0035】
撮像部は撮影手段として機能し、デジタルカメラによって被写体を撮影する。本実施形態では、このデジタルカメラを用いて、人物の顔を含む人物画像データを生成する。この画像データは、携帯電話端末10内のメモリに格納される。
【0036】
サービス管理システム50は、画像処理サーバ20、メールサーバ30、ウェブサーバ40を含んで構成されている。
メールサーバ30は、利用者の携帯電話端末10との間で、電子メールを用いた通信を行なう。本実施形態においては、電子メールを用いて、携帯電話端末10から人物画像データ(ユーザ画像)を取得する。
【0037】
ウェブサーバ40は、利用者の携帯電話端末10に対して、画像処理サービスを利用するための案内画面データを送信する。
画像処理サーバ20は、利用者の携帯電話端末10から取得した顔画像を背景画像に挿入した合成画像を生成する。この画像処理サーバ20は、制御部21、背景画像情報記憶手段としてのテンプレートデータ記憶部25、顔画像情報記憶手段としての受付管理データ記憶部26、合成画像データ記憶部27を備えている。そして、制御部21は、CPU、RAM、ROM等から構成された制御手段として機能し、後述する処理(顔画像取得段階、背景画像取得段階、顔検出段階、顔要素抽出段階、変形処理段階、画像合成段階、画像提供段階等を含む処理)を行なう。このための画像処理プログラムを実行することにより、制御部21は、画像取得手段211、顔検出手段212、顔要素抽出手段213、変形処理手段214、画像合成手段215、画像提供手段216等として機能する。
【0038】
画像取得手段211は、顔画像取得手段として機能し、携帯電話端末10から顔画像を含むユーザ画像の取得処理を実行する。本実施形態においては、真正面の顔画像(顔の左右の対称線が垂直方向になっている顔画像)を含むユーザ画像を取得するものとする。
【0039】
顔検出手段212は、取得したユーザ画像において人物の顔画像の検出処理を実行する。本実施形態においては、公知の顔検出技術を用いる。この顔検出技術においては、頭髪を含めた顔全体を検出することができる。例えば、インテル株式会社によって開発・公開されているオープンソースのコンピュータビジョン向けライブラリ「OpenCV」の「顔の検出」コードを用いることが可能である。
【0040】
顔要素抽出手段213は、特定された顔画像から、画像合成に用いる画像(顔要素画像)の抽出処理を実行する。本実施形態においては、顔要素画像として、顔のパーツ(目、鼻、口)のみを含む楕円形状の領域を抽出する。この顔要素抽出手段213は、顔画像上に、閉領域を規定する評価用ガイドライン(評価用楕円)を生成し、この評価用楕円を縮小しながら、顔のパーツのみを含む領域を特定する。このため、顔要素抽出手段213は、評価用楕円を縮小するための割合(縦横比)に関するデータや、顔要素抽出処理の終了を判定する評価用楕円の最小値に関するデータを保持する。
【0041】
変形処理手段214は、アフィン変換を用いて顔要素画像を所望の形状に変形する処理を実行する。
画像合成手段215は、変形された顔要素画像を背景画像に挿入する画像合成処理を実行する。本実施形態では、色合いを連続的に変化させる画像調整処理として、公知のポアソン法(Mixing Gradient Poisson)を用いて二つの画像を合成する。このポアソン画像
処理を用いることにより、背景画像の背景色や背景パターンを活かしながら、顔要素画像の境界領域の継ぎ目がない合成画像を生成することができる。
画像提供手段216は、携帯電話端末10に合成画像を提供する処理を実行する。
【0042】
テンプレートデータ記憶部25には、図2(a)に示すように、合成画像の背景に用いるテンプレート管理ファイル250が記録される。このテンプレート管理ファイル250は、顔要素画像を挿入する背景画像についてのテンプレート画像を登録した場合に記録される。テンプレート管理ファイル250は、テンプレート管理コード、テンプレート画像、表情指数に関するデータを含んで構成される。
【0043】
テンプレート管理コードデータ領域には、各テンプレート画像を特定するための識別子に関するデータが記録される。
テンプレート画像データ領域には、顔画像を挿入する背景画像(テンプレート)に関するデータが記録される。このテンプレート画像には、画像を挿入する領域(挿入領域)及び挿入領域における中心線が予め設定されている。
【0044】
表情指数データ領域には、このテンプレート画像に挿入する顔の表情を決めるためのパラメータが記録される。本実施形態では、アフィン変換において、対称線を短縮や伸長させるための割合が記録される。この表情指数を用いることにより、顔の表情を変更することができる。例えば、「怒り顔」の場合には、表情指数として対称線を短縮する割合が記録されている。また、「笑い顔」の場合には、表情指数として対称線を伸張する割合が記録されている。
【0045】
受付管理データ記憶部26には、図2(b)に示すように、利用者から取得した画像についての受付管理ファイル260が記録される。この受付管理ファイル260は、利用者の携帯電話端末10から画像を取得した場合に記録される。受付管理ファイル260は、受付コード、テンプレート管理コード、メールアドレス、ユーザ画像に関するデータを含んで構成される。
【0046】
受付コードデータ領域には、携帯電話端末10から取得した画像合成要求を特定するための識別子に関するデータが記録される。
テンプレート管理コードデータ領域には、合成画像の生成に用いるテンプレート画像を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0047】
メールアドレスデータ領域には、画像を送信した携帯電話端末10を特定するためのメールアドレスに関するデータが記録される。
ユーザ画像データ領域には、携帯電話端末10から取得した画像に関するデータが記録される。このユーザ画像には、顔画像が含まれている。
【0048】
合成画像データ記憶部27には、図2(c)に示すように、顔要素画像と背景画像とを合成した合成画像ファイル270が記録される。この合成画像ファイル270は、合成画像を生成した場合に記録される。合成画像ファイル270は、受付コード、メールアドレス、合成画像に関するデータを含んで構成される。
【0049】
受付コードデータ領域には、携帯電話端末10から取得した画像合成要求を特定するための識別子に関するデータが記録される。
メールアドレスデータ領域には、この画像合成要求を送信した携帯電話端末10のメールアドレスに関するデータが記録される。
合成画像データ領域には、背景画像に対して顔要素画像を挿入した合成画像に関するデータが記録される。
【0050】
次に、上記のように構成されたサービス管理システム50において、画像処理サービスを提供する場合の処理手順について、図3〜図9を用いて説明する。
【0051】
(全体の概要)
まず、図3を用いて、全体の概要を説明する。
本願発明の画像処理サービスを利用する場合、携帯電話端末10を用いて、人物の顔を含む画像を撮影する。この画像データは、携帯電話端末10内のメモリに格納される。そして、利用者は、携帯電話端末10を用いてサービス管理システム50にアクセスする。この場合、携帯電話端末10がサービス管理システム50のウェブサーバ40に、サービス利用要求を送信する。
【0052】
そして、画像処理サーバ20の制御部21は、背景画像の特定処理を実行する(ステップS1−1)。ここでは、ウェブサーバ40は、画像処理サーバ20に対して、サービス利用要求を転送する。この場合、画像処理サーバ20の制御部21は、背景画像一覧画面
データを生成する。具体的には、制御部21の画像取得手段211が、テンプレートデータ記憶部25に記録されたテンプレート画像を取得し、各テンプレート画像のアイコンを一覧表示させた背景画像一覧画面を生成する。そして、制御部21の画像取得手段211は、ウェブサーバ40を介して、背景画像一覧画面データを携帯電話端末10に送信する。この背景画像一覧画面には、テンプレート管理コードに関連付けられたテンプレート画像のアイコンや送信実行アイコンなどが含まれる。
【0053】
携帯電話端末10は、受信した背景画像一覧画面を表示部に出力する。そして、利用者は、背景画像一覧の中から、挿入先として希望する背景画像を指定して、そのアイコンを選択する。この場合、携帯電話端末10は、サービス管理システム50に対して、指定された背景画像のテンプレート管理コードを送信する。
【0054】
制御部21の画像取得手段211は、受付コードを付与し、テンプレート管理コードを記録した受付管理ファイル260を生成する。そして、画像取得手段211は、受付管理ファイル260を受付管理データ記憶部26に記録する。
【0055】
次に、画像処理サーバ20の制御部21は、ユーザ画像の取得処理を実行する(ステップS1−2)。具体的には、制御部21の画像取得手段211は、ウェブサーバ40を介して、ユーザ画像設定画面データを携帯電話端末10に送信する。このユーザ画像設定画面には、受付コード、ユーザ画像指定欄や送信実行アイコンなどが含まれる。ここで、利用者は、ユーザ画像指定欄を用いて、携帯電話端末10のメモリに格納された画像の中から、挿入を希望する画像(顔画像を含む)を指定する。そして、送信実行アイコンが選択された場合、携帯電話端末10は、メールサーバ30のメールアドレス及び受付コードが設定された電子メールを生成し、指定された画像を電子メールに添付する。そして、携帯電話端末10は、生成した電子メールをサービス管理システム50に送信する。
【0056】
サービス管理システム50のメールサーバ30が携帯電話端末10からの電子メールを受信する。メールサーバ30は、この電子メールを画像処理サーバ20に転送する。この場合、画像処理サーバ20の制御部21の画像取得手段211が、電子メールから、受付コード及びユーザ画像を取得する。そして、画像取得手段211は、受付管理データ記憶部26において、取得した受付コードが記録された受付管理ファイル260を特定し、送信元のメールアドレス、添付されたユーザ画像を記録する。
【0057】
次に、制御部21の画像取得手段211は、テンプレート画像とユーザ画像とを表示した確認画面を携帯電話端末10に送信する。この確認画面において、確認アイコンが選択された場合、携帯電話端末10は合成依頼をサービス管理システム50に送信する。サービス管理システム50は、この合成依頼を画像処理サーバ20に転送する。
【0058】
この場合、画像処理サーバ20の制御部21は、顔画像認識処理を実行する(ステップS1−3)。具体的には、制御部21の顔検出手段212は、携帯電話端末10から取得した画像の中で顔画像を認識する。この顔画像認識においては、公知の顔画像認識技術が用いられ、ユーザ画像において矩形の顔画像が特定される。ここでは、図6に示すユーザ画像500を取得した場合、顔検出手段212は、顔画像501を切り出す。
【0059】
次に、画像処理サーバ20の制御部21は、顔要素抽出処理を実行する(ステップS1−4)。具体的には、制御部21の顔要素抽出手段213は、顔画像の中から画像合成に用いる領域を特定する。本実施形態においては、後述するように、目、鼻、口を含む最適楕円形状を抽出する。ここでは、顔要素抽出手段213は、図6に示す顔画像501において、評価用楕円502を変更して、最適楕円形状領域(顔要素領域503)を抽出する。
【0060】
次に、画像処理サーバ20の制御部21は、画像変形処理を実行する(ステップS1−5)。具体的には、制御部21の変形処理手段214が、後述するように、アフィン変換を用いて、顔要素画像を変形する。
【0061】
次に、画像処理サーバ20の制御部21は、画像合成処理を実行する(ステップS1−6)。具体的には、制御部21の画像合成手段215が、公知のポアソン法を用いて、背景画像に対して顔要素画像を挿入した合成画像を生成する。
【0062】
そして、画像合成手段215は、受付コード、メールアドレス、合成画像を含めた合成画像ファイル270を生成し、合成画像データ記憶部27に格納する。
次に、画像処理サーバ20の制御部21は、合成画像の提供処理を実行する(ステップS1−7)。具体的には、制御部21の画像提供手段216は、合成画像を格納した場所を特定するための情報としてURLを生成する。このURLは、合成画像が格納された合成画像データ記憶部27の所在を示すパスと受付コードを含んで構成される。
【0063】
そして、画像提供手段216は、メールサーバ30を介して、携帯電話端末10のメールアドレスに対して、URLを含めた電子メールを送信する。
携帯電話端末10は、サービス管理システム50から受信した電子メールを表示部に出力する。そして、利用者が合成画像を取得する場合、電子メールに含まれるURLを用いる。具体的には、電子メールに含まれるURLを選択することにより、携帯電話端末10はサービス管理システム50に対して合成画像要求を送信する。
【0064】
この場合、ウェブサーバ40は、URLに含まれるパラメータにより受付コードを特定し、合成画像データ記憶部27から受付コードに関連付けられた合成画像データを取得する。そして、ウェブサーバ40は、携帯電話端末10に対して合成画像データを送信する。
【0065】
(顔要素抽出処理)
次に、図4を用いて、顔要素抽出処理を説明する。
まず、画像処理サーバ20の制御部21は、顔画像に内接する評価用楕円の生成処理を実行する(ステップS2−1)。具体的には、制御部21の顔要素抽出手段213は、顔検出手段212によって特定された矩形の顔画像に内接する評価用楕円を生成する。ここでは、図7(1a)に示す評価用楕円502が生成される。
【0066】
次に、画像処理サーバ20の制御部21は、評価用楕円上の画素値のヒストグラムの算出処理を実行する(ステップS2−2)。具体的には、制御部21の顔要素抽出手段213は、評価用楕円の軌道上の画素値を取得し、この画素値の分布を評価するためのヒストグラムを算出する。ここでは、図7(1a)に示す評価用楕円502に対して、図7(1b)に示すヒストグラムが算出される。
【0067】
次に、画像処理サーバ20の制御部21は、分散値を算出して仮記憶処理を実行する(ステップS2−3)。具体的には、制御部21の顔要素抽出手段213は、評価用楕円502の大きさを特定する識別子を付与し、ヒストグラムの分散状況を表した値(分散値)を記録する。
【0068】
次に、画像処理サーバ20の制御部21は、評価用楕円の縮小処理を実行する(ステップS2−4)。具体的には、制御部21の顔要素抽出手段213は、評価用楕円の大きさを予め定められた割合で縮小する。ここでは、評価用楕円を、予め設定された縦横比(例えば90%)で縮小する。ここでは、図7(2a)に示す評価用楕円502が生成される

【0069】
ここで、画像処理サーバ20の制御部21は、最小楕円に到達したかどうかについての判定処理を実行する(ステップS2−5)。具体的には、制御部21の顔要素抽出手段213は、縮小された評価用楕円の大きさが予め定められた最小値以下になっているかどうかについて判定する。
【0070】
最小楕円になっていない場合(ステップS2−5において「NO」の場合)には、ステップS2−2の処理から繰り返す。これにより、図7(2a)に示す評価用楕円502に対応して図7(2b)に示すヒストグラムが算出される。更に、評価用楕円の縮小処理(ステップS2−4)を実行した場合には、順次、図7(3a)に示す評価用楕円502が生成され、図7(3b)に示すヒストグラムが算出される。
【0071】
一方、最小楕円になっている場合(ステップS2−5において「YES」の場合)には、画像処理サーバ20の制御部21は、顔要素の特定処理を実行する(ステップS2−6)。具体的には、制御部21の顔要素抽出手段213は、仮記憶されたヒストグラムの分散値が最小になっている評価用楕円を特定する。そして、顔要素抽出手段213は、この評価用楕円内の領域を顔要素画像として特定する。
【0072】
(画像変形処理)
次に、図5を用いて、画像変形処理を説明する。
まず、画像処理サーバ20の制御部21は、顔要素画像の分割処理を実行する(ステップS3−1)。具体的には、制御部21の変形処理手段214は、顔要素抽出手段213により特定した顔要素を含む楕円形状に外接する矩形を複数の領域に分割する。本実施形態においては、図8(a)に示すように、矩形の対角線及び矩形の中心から各辺の中点までの線分(対称線)により構成された8個の三角形に分割する。
【0073】
次に、画像処理サーバ20の制御部21は、背景画像の挿入領域の特定処理を実行する(ステップS3−2)。具体的には、制御部21の変形処理手段214は、利用者によって指定されたテンプレート画像において設定された挿入領域の大きさ及び中心線を特定する。
【0074】
次に、画像処理サーバ20の制御部21は、表情指数の取得処理を実行する(ステップS3−3)。具体的には、制御部21の変形処理手段214は、テンプレート管理ファイル250に記録された表情指数を取得する。
【0075】
次に、画像処理サーバ20の制御部21は、表情指数に応じた変形処理を実行する(ステップS3−4)。具体的には、制御部21の変形処理手段214は、対角線については元の長さを維持しながら、表情指数に対応させて対称線を伸縮させるようにアフィン変換を行なう。図8(b)は、対称線を短縮して顔要素画像505を生成する場合を示している。
【0076】
次に、画像処理サーバ20の制御部21は、挿入領域に合わせた変形処理を実行する(ステップS3−5)。具体的には、制御部21の変形処理手段214は、挿入領域の中心線と顔要素画像の対称線とを一致させる。ここで、中心線の傾きと対称線の傾きとがずれている場合には、一致するように顔要素画像505を傾ける。更に、挿入領域に入るように、顔要素画像505の伸縮を行なう。この場合には、顔要素画像505の矩形の対角線及び対称線を等倍に維持しながら変形する。そして、図8(c)に示す顔要素画像506を生成する。
【0077】
(画像合成処理)
次に、図9を用いて、画像処理サーバ20の制御部21によって実行される画像合成処理を説明する。ここでは、図9に示すユーザ画像500とテンプレート画像510とを合成する場合を想定する。ユーザ画像500の顔要素画像を挿入領域511に合わせて変形することにより、顔要素画像512を貼り付けた画像520を生成する。
【0078】
そして、制御部21の画像合成手段215は、顔要素画像512と背景画像とを合成する。具体的には、画像合成手段215は、顔要素画像512の配色を背景画像の配色に合わせる。更に、画像合成手段215は、顔要素画像512の周辺のエッジ領域においては、背景画像のパターンを残し、顔要素画像512に向けて背景画像のパターンを弱くする。この結果、画像合成手段215は、合成画像530を生成する。
【0079】
本実施形態の画像処理システムによれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) 本実施形態では、画像処理サーバ20の制御部21は、顔要素抽出処理を実行する(ステップS1−4)。ここでは、画像処理サーバ20の制御部21は、評価用楕円上の画素値のヒストグラムの算出処理を実行する(ステップS2−2)。そして、画像処理サーバ20の制御部21は、顔要素の特定処理を実行する(ステップS2−6)。具体的には、顔要素抽出手段213は、ヒストグラムの分散値が最小になっている評価用楕円を特定する。これにより、顔画像上で画素値の変化が少ない領域をエッジとして、挿入する画像(顔要素画像)を抽出することができる。特に、頭髪や顔の輪郭がある場合、背景画像上に顔画像のエッジが残り、継ぎ目がない連続的な画像を生成することができない。従って、頭髪や顔の輪郭を除いた顔要素を抽出することにより、ポアソン法において、エッジの影響を低減して、継ぎ目が抑制された合成画像を生成することができる。
【0080】
(2) 本実施形態では、画像処理サーバ20は、テンプレートデータ記憶部25を備えている。このテンプレートデータ記憶部25には、合成画像の背景に用いるテンプレート管理ファイル250が記録される。これにより、テンプレート画像を背景画像として用いて、ユーザ画像を挿入した合成画像を生成することができる。
【0081】
(3) 本実施形態では、テンプレートデータ記憶部25には、合成画像の背景に用いるテンプレート管理ファイル250が記録される。このテンプレート管理ファイル250は、テンプレート管理コード、テンプレート画像、表情指数に関するデータを含んで構成される。そして、画像処理サーバ20の制御部21は、画像変形処理を実行する(ステップS1−5)。ここでは、画像処理サーバ20の制御部21は、表情指数に応じた変形処理を実行する(ステップS3−4)。これにより、テンプレート画像において、利用者から提供された顔画像を用いて表情を変更した合成画像を生成することができる。
【0082】
(4) 本実施形態では、テンプレート画像には、画像を挿入する領域(挿入領域)及び挿入領域における中心線が予め設定されている。そして、画像処理サーバ20の制御部21は、画像変形処理を実行する(ステップS1−5)。ここでは、画像処理サーバ20の制御部21は、挿入領域に合わせた変形処理を実行する(ステップS3−5)。これにより、利用者から提供された顔画像を用いて、テンプレート画像に整合させた合成画像を生成することができる。
【0083】
<第2の実施形態>
上記第1の実施形態においては、一つのテンプレート画像に対して一つの顔画像を挿入する。これに代えて、第2の実施形態においては、背景画像が記録された一つのファイルに対して、複数の領域に顔画像を挿入する場合を説明する。なお、第1の実施形態と共通している処理(ユーザ画像の取得、顔画像認識、合成画像の提供等)については説明を省略する。この第2の実施形態を、図10、図11を用いて説明する。
【0084】
図10に示すように、複数のページからなるテンプレート画像ファイル(例えば、絵本)をテンプレートデータ記憶部25に記憶させておく。このテンプレート画像ファイルには、顔画像を貼り付ける複数の挿入位置に挿入領域を設けておく。この挿入領域においては、顔画像を挿入する領域の形状及び中心線が予め設定されている。
【0085】
更に、画像処理サーバ20に画像配置データ記憶部28を設ける。この画像配置データ記憶部28には、各挿入位置を特定する情報(例えば、ページ、挿入座標)に対して、表情指数に関するデータを記録しておく。
【0086】
以下、本実施形態の処理手順を、図11に従って説明する。
ここでは、画像処理サーバ20の制御部21は、顔要素画像の分割処理を実行する(ステップS4−1)。具体的には、制御部21の変形処理手段214は、ステップS3−1と同様に、対角線と対称線とを用いて、顔要素画像を分割する。
【0087】
次に、画像処理サーバ20の制御部21は、テンプレート画像ファイルにおいて、最初の挿入先領域の特定処理を実行する(ステップS4−2)。具体的には、制御部21の変形処理手段214は、テンプレート画像ファイルにおいて、最先のページ数及び挿入座標の挿入位置を処理対象として特定する。
【0088】
そして、画像処理サーバ20の制御部21は、表情指数の取得処理を実行する(ステップS4−3)。具体的には、制御部21の変形処理手段214は、処理対象の挿入位置に関連付けられている表情指数を、画像配置データ記憶部28から取得する。
【0089】
次に、画像処理サーバ20の制御部21は、表情指数に応じた変形処理を実行する(ステップS4−4)。具体的には、制御部21の変形処理手段214は、ステップS3−4と同様に、取得した表情指数に基づいて、対称線の伸縮を行なう。
【0090】
次に、画像処理サーバ20の制御部21は、挿入領域に合わせて変形処理を実行する(ステップS4−5)。具体的には、制御部21の変形処理手段214は、ステップS3−5と同様に、処理対象の挿入位置の形状に合わせて顔要素画像を変形する。
【0091】
次に、画像処理サーバ20の制御部21は、画像合成処理を実行する(ステップS4−6)。具体的には、制御部21の画像合成手段215は、ステップS1−6と同様に、ポアソン法を用いて、処理対象の挿入位置の背景画像と顔要素画像とを合成する。
【0092】
次に、画像処理サーバ20の制御部21は、すべての挿入位置における画像合成処理を終了したかどうかについての判定処理を実行する(ステップS4−7)。具体的には、制御部21の変形処理手段214は、指定されたテンプレート画像ファイルにおいて、最後のページ数及び挿入座標の挿入位置について画像合成処理を終了したかどうかを判定する。
【0093】
まだ、画像合成処理を行なっていない挿入位置が残っている場合(ステップS4−7において「NO」の場合)には、画像処理サーバ20の制御部21は、次の挿入位置の特定処理を実行する(ステップS4−8)。具体的には、制御部21の変形処理手段214は、ページ数及び挿入座標を用いて、次の挿入位置を特定し、ステップS4−3の処理から繰り返す。
【0094】
一方、すべての挿入位置について画像合成処理を終了した場合(ステップS4−7において「YES」の場合)には、このテンプレート画像ファイルについての処理を終了する

【0095】
本実施形態の画像処理システムによれば、効果(1)〜(4)の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(5) 上記実施形態においては、テンプレートデータ記憶部25に記憶されたテンプレート画像において、顔画像を貼り付ける複数の挿入位置に挿入領域を設けておく。更に、画像配置データ記憶部28には、各挿入位置を特定する情報(例えば、ページ、挿入座標)に対して、表情指数に関するデータを記録しておく。そして、画像処理サーバ20の制御部21は、挿入位置を順次、処理対象として特定する。この場合、制御部21は、挿入位置に対応した表情指数を取得し、この表情指数を用いて変形処理を実行する。これにより、一つのユーザ画像を用いて、挿入位置の状況に応じて表情を変化させた合成画像を生成することができる。
【0096】
<第3の実施形態>
上記第1の実施形態においては、テンプレート画像に対してユーザ画像を挿入する場合、挿入領域の形状や表情指数に基づいて、顔要素画像を変形する。これに代えて、第3の実施形態においては、合成画像の利用目的に応じて、画像変形や画像合成を行なう。なお、第1の実施形態と共通している処理(ユーザ画像の取得、顔画像認識、合成画像の提供等)については説明を省略する。この第3の実施形態を、図12、図13を用いて説明する。
【0097】
図12に示すように、画像処理サーバ20に、パーツ画像データ記憶部29を設ける。
パーツ画像データ記憶部29には、顔を構成するパーツについてのパーツ画像ファイルが記録されている。このパーツ画像ファイルは、パーツコード、パーツ種別、パーツ画像に関するデータを含んで構成される。
【0098】
パーツコードデータ領域には、各パーツを特定するための識別子に関するデータが記録される。
パーツ種別データ領域には、各パーツの種類を特定するための識別子に関するデータが記録されている。本実施形態においては、パーツ種別として「目」、「鼻」、「口」がある。
パーツ画像データ領域には、各パーツの画像データが記録される。このパーツ画像は、顔要素画像に含まれる顔要素(目、鼻や口)を代替する場合に用いる。
【0099】
更に、画像処理サーバ20の制御部21は、顔認証手段217及びパーツ置換手段218を備えている。
【0100】
顔認証手段217は、二つの画像に含まれる顔画像を比較して、本人特定ができるかどうかについて認証処理を実行する。具体的には、顔認証手段217は、利用者からセキュリティレベルを取得する。そして、セキュリティレベルと変形度とを対応させた変換テーブルを用いて、利用者から取得したセキュリティレベルを変形度に変換する。この変換テーブルにおいては、セキュリティレベルが「高」の場合には、変形度として高い値が設定されている。一方、セキュリティレベルが「低」の場合には、セキュリティレベル「高」の変形度より低い値が設定されている。
【0101】
更に、顔認証手段217は、利用者から取得したユーザ画像に含まれる顔画像、及び合成画像に含まれる顔画像を抽出する。次に、顔認証手段217は、二つの顔画像の特徴量を算出し、この特徴量の一致度を算出する。そして、顔認証手段217は、算出した一致度と変形度とを比較する。
【0102】
また、パーツ置換手段218は、ユーザ画像の顔要素画像におけるパーツ(目、鼻、口)を、パーツ画像データ記憶部29に記録されたパーツ画像に置換する処理を実行する。
以下、本実施形態の画像変形・画像合成処理の処理手順を、図13に従って説明する。
【0103】
ここでは、画像処理サーバ20の制御部21は、セキュリティレベルの取得処理を実行する(ステップS5−1)。具体的には、制御部21の顔認証手段217は、携帯電話端末10に対してセキュリティレベル設定画面を出力する。このセキュリティレベル設定画面においては、変形の度合いを決定するためのレベルを設定することができる。例えば、ブログなどにおいて公開されるアバターにおいては、本人を特定できないセキュリティレベル「高」を設定する。一方、個人的に非公開で用いられる画像については、セキュリティレベル「低」を設定する。そして、設定を完了した場合、携帯電話端末10は、設定されたセキュリティレベルをサービス管理システム50に送信する。
【0104】
そして、サービス管理システム50の画像処理サーバ20は、ウェブサーバ40を介して、利用者が設定したセキュリティレベルを取得する。この場合、制御部21の顔認証手段217は、取得したセキュリティレベルに応じて変形度を特定する。
【0105】
次に、画像処理サーバ20の制御部21は、顔要素画像の分割処理を実行する(ステップS5−2)。具体的には、制御部21の変形処理手段214は、ステップS3−1と同様に、対角線及び対称線を用いて、顔要素画像を分割する。
【0106】
次に、画像処理サーバ20の制御部21は、背景画像の挿入領域の特定処理を実行する(ステップS5−3)。具体的には、制御部21の変形処理手段214は、ステップS3−2と同様に、挿入先領域の形状を特定する。
【0107】
次に、画像処理サーバ20の制御部21は、表情指数の取得処理を実行する(ステップS5−4)。具体的には、制御部21の変形処理手段214は、ステップS3−3と同様に、テンプレート管理ファイル250に記録された表情指数を取得する。
【0108】
次に、画像処理サーバ20の制御部21は、表情指数に応じた変形処理を実行する(ステップS5−5)。具体的には、制御部21の変形処理手段214は、ステップS3−4と同様に、表情指数に基づいて、対称線の伸縮を行なう。
【0109】
次に、画像処理サーバ20の制御部21は、挿入領域に合わせて変形処理を実行する(ステップS5−6)。具体的には、制御部21の変形処理手段214は、ステップS3−5と同様に、処理対象の挿入領域の形状に合わせて顔要素画像を変形する。
【0110】
次に、画像処理サーバ20の制御部21は、画像合成処理を実行する(ステップS5−7)。具体的には、制御部21の画像合成手段215は、ステップS1−6と同様に、ポアソン法を用いて、顔要素画像と処理対象の背景画像とを合成する。
【0111】
次に、画像処理サーバ20の制御部21は、顔認証処理を実行する(ステップS5−8)。具体的には、制御部21の顔認証手段217が、ユーザ画像の特徴量と合成画像の特徴量とを比較して一致度を算出する。
【0112】
次に、画像処理サーバ20の制御部21は、同一人物かどうかについての処理を実行する(ステップS5−9)。具体的には、制御部21の顔認証手段217が、一致度が、セキュリティレベルに応じて特定された変形度より高いかどうかを判定する。
【0113】
二つの画像の一致度が変形度より高く、同一人物と判定された場合(ステップS5−9
において「YES」の場合)、画像処理サーバ20の制御部21は、パーツ置換処理を実行する(ステップS5−10)。具体的には、制御部21のパーツ置換手段218が、パーツ画像データ記憶部29からパーツを取得し、顔要素画像の顔要素を置換する。
【0114】
そして、顔要素が置換された顔要素画像を用いて、ステップS5−2の処理から繰り返す。
二つの画像の一致度が変形度より低く、同一人物でないと判定された場合(ステップS5−9において「NO」の場合)、画像処理サーバ20の制御部21は処理を終了する。
【0115】
本実施形態の画像処理システムによれば、効果(1)〜(4)の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(6) 上記実施形態においては、画像処理サーバ20の制御部21は、顔認証処理を実行する(ステップS5−8)。そして、二つの画像の一致度が、変形度より高く、同一人物と判定された場合(ステップS5−9において「YES」の場合)、画像処理サーバ20の制御部21は、パーツ置換処理を実行する(ステップS5−10)。これにより、画像の利用目的に応じて、画像の変形の度合いを調整することができる。
【0116】
<第4の実施形態>
上記第1の実施形態においては、予め準備されたテンプレート画像に対してユーザ画像を挿入する。これに代えて、第4の実施形態においては、顔画像とは別に背景画像も利用者から取得する。この場合、画像取得手段211を背景画像取得手段として機能させる。なお、第1の実施形態と共通している処理(顔画像認識、合成画像の提供等)については説明を省略する。この第4の実施形態を、図14、図15を用いて説明する。本実施形態では、背景画像を記憶するテンプレートデータ記憶部25の代わりに、受付管理データ記憶部26に、利用者の携帯電話端末10から取得した背景画像データ及び挿入領域データを、受付コードに関連づけて記録する。
【0117】
以下、本実施形態の処理手順を、図14に従って説明する。
画像処理サーバ20の制御部21は、背景画像の取得処理を実行する(ステップS6−1)。ここでは、利用者の携帯電話端末10から背景画像を取得する。具体的には、制御部21の画像取得手段211は、ウェブサーバ40を介して、背景画像設定画面データを携帯電話端末10に送信する。この背景画像設定画面には、受付コード、背景画像指定欄や送信実行アイコンなどが含まれる。ここで、利用者は、背景画像指定欄を用いて、携帯電話端末10のメモリに格納された画像の中から、背景として用いる画像を指定する。そして、送信実行アイコンが選択された場合、携帯電話端末10は、メールサーバ30のメールアドレス及び受付コードが設定された電子メールを生成する。更に、携帯電話端末10は、指定された画像を電子メールに添付する。そして、携帯電話端末10は、生成した電子メールをサービス管理システム50に送信する。
【0118】
サービス管理システム50のメールサーバ30が携帯電話端末10からの電子メールを受信し、電子メールを画像処理サーバ20に転送する。この場合、制御部21の画像取得手段211が、電子メールから、受付コード及び背景画像を取得する。そして、画像取得手段211は、受付管理データ記憶部26において、取得した受付コードが記録された受付管理ファイル260を特定し、携帯電話端末10から取得した背景画像を記録する。
【0119】
次に、画像処理サーバ20の制御部21は、背景画像における挿入領域の特定処理を実行する(ステップS6−2)。具体的には、制御部21の画像取得手段211は、受付管理データ記憶部26に記憶させた背景画像を含めた挿入領域設定画面データを、ウェブサーバ40を介して、携帯電話端末10に送信する。この挿入領域設定画面には、携帯電話端末10から取得した背景画像、及び背景画像において顔画像を挿入する挿入領域を指定
するためのポインタを含める。ここで、利用者は、携帯電話端末10の入力部によりポインタを操作して、始点及び終点を特定する。この場合、この始点及び終点により特定される矩形領域を挿入領域とする。
【0120】
そして、送信実行アイコンが選択された場合、携帯電話端末10は、背景画像上の始点及び終点の座標に関するデータを含めた挿入領域設定データをサービス管理システム50に送信する。
【0121】
サービス管理システム50の画像処理サーバ20は、ウェブサーバ40を介して、挿入領域設定データを取得する。そして、制御部21の画像取得手段211は、受付管理データ記憶部26の受付管理ファイル260に挿入領域データ(始点及び終点の座標データ)を記録する。
【0122】
次に、画像処理サーバ20の制御部21は、挿入領域の中心線の特定処理を実行する(ステップS6−3)。具体的には、制御部21の画像取得手段211は、設定された挿入領域において、左右対称のオブジェクトを特定する。ここでは、挿入領域内に含まれる閉図形のオブジェクトを特定し、このオブジェクトの中心を通過する放射状線を生成する。そして、図15(a)に示すように、この放射状線の中で、オブジェクトの左右のエッジまでの法線距離の合計が等しくなる角度の放射状線を中心線として特定する。
【0123】
このように特定された挿入領域及び中心線を用いることにより、予め準備されたテンプレート画像を利用するステップS3−5と同様に、図15(b)に示すように、挿入領域に合わせた変形処理を実行することができる。
【0124】
本実施形態の画像処理システムによれば、効果(1)〜(4)の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(7) 上記実施形態においては、利用者から背景画像の取得処理を実行する(ステップS6−1)。そして、画像処理サーバ20の制御部21は、背景画像における挿入領域の特定処理(ステップS6−2)、挿入領域の中心線の特定処理(ステップS6−3)を実行する。これにより、利用者から取得した背景画像において顔画像を合成することができる。
【0125】
<第5の実施形態>
上記第4の実施形態においては、顔画像とは別に背景画像を利用者から取得する。これに加えて、第5の実施形態では、利用者から取得した背景画像の状況に応じて、背景画像の加工処理を行なう。なお、第1、第4の実施形態と共通している処理(顔画像認識、合成画像の提供等)については説明を省略する。この第5の実施形態を、図16、図17を用いて説明する。
【0126】
以下、本実施形態の処理手順を、図16に従って説明する。
まず、画像処理サーバ20の制御部21は、背景画像の取得処理を実行する(ステップS7−1)。具体的には、制御部21の画像取得手段211は、ステップS6−1と同様に、携帯電話端末10から背景画像データを取得する。本実施形態では、図17に示す背景画像540を取得した場合を想定する。
【0127】
次に、画像処理サーバ20の制御部21は、背景画像の挿入領域の特定処理を実行する(ステップS7−2)。具体的には、制御部21の画像取得手段211は、ステップS6−2と同様に、携帯電話端末10から挿入領域設定データを取得する。
【0128】
この場合、画像処理サーバ20の制御部21は、背景画像に顔パターンが含まれている
かどうかについての判定処理を実行する(ステップS7−3)。具体的には、制御部21の顔検出手段212が、背景画像の挿入領域の中に顔画像が含まれているかどうかを判定する。例えば、背景画像540において、顔画像領域541を検出した場合を想定する。
【0129】
背景画像に顔画像が検出された場合(ステップS7−3において「YES」の場合)、画像処理サーバ20の制御部21は、挿入する顔要素画像の変形処理を実行する(ステップS7−4)。具体的には、制御部21の変形処理手段214は、顔検出手段212において認識した顔画像領域541を挿入先領域とする。そして、変形処理手段214は、背景画像の挿入先領域の大きさに合わせて、ユーザ画像の顔要素画像の大きさを変更する。これにより、顔要素画像550を生成する。
【0130】
次に、画像処理サーバ20の制御部21は、背景画像の顔画像の削除処理を実行する(ステップS7−5)。具体的には、制御部21の変形処理手段214は、顔画像領域541における顔のパーツ(目、鼻、口)を削除する。本実施形態においては、顔画像領域541におけるエッジ強度が高い領域をぼかすことにより、パーツの画像を背景に埋没させて背景画像560を生成する。
【0131】
そして、顔画像の削除処理(ステップS7−5)の実行後や、背景画像に顔画像が検出されない場合(ステップS7−3において「NO」の場合)、他の実施形態と同様に、背景画像560に、顔要素画像550をポアソン法により合成することにより、合成画像570を生成する。
【0132】
本実施形態の画像処理システムによれば、効果(1)〜(4)、(7)の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(8) 上記実施形態においては、画像処理サーバ20の制御部21は、背景画像に顔パターンが含まれているかどうかについての判定処理を実行する(ステップS7−3)。そして、背景画像に顔画像が検出された場合(ステップS7−3において「YES」の場合)、画像処理サーバ20の制御部21は、挿入する顔要素画像の変形処理(ステップS7−4)、背景画像の顔画像の削除処理(ステップS7−5)を実行する。これにより、背景画像における顔画像をユーザ画像の顔画像に差し替えることができる。更に、背景画像における顔のパーツを削除することにより、背景を活かしながら、ユーザ画像の顔パーツを強調することができる。
【0133】
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・ 上記第1の実施形態〜第5の実施形態を用いて画像処理方法を説明したが、任意の実施形態を組み合わせることが可能である。
【0134】
・ 上記実施形態においては、色合いを連続的に変化させる画像調整処理として、ポアソン画像処理を用いたが、これに限定されるものではない。このポアソン画像処理においては、前述した特許文献3に記載されているように、背景画像中に境界を有する挿入領域を決定し、合成画像の関数を定義する基準である補間ガイドを定義する。挿入領域の境界線上において背景画像の関数と合成画像の関数とが等しいという境界条件において、挿入領域内における関数の勾配関数と補間ガイドとの差の2乗の和が最小になる関数を算出する。そして、挿入領域の部分を、算出した関数に置き換えた合成画像を生成する。ここで、ポアソン画像処理に代えて、挿入領域内における関数の勾配関数と補間ガイドが等しくなる関数を算出して、この関数を用いて合成画像を生成するようにしてもよい。ポアソン画像処理では、差の2乗について、貼り付ける画像全体の和が最小になるという条件を用いる。一方、上述の方法では、画像全体で和を算出することはなく、貼り付ける画像内の局所的な各点で、勾配とガイドとを一致させるという条件を課すことになる。このような条件の下では、1次の微分方程式で関数を算出することができる。ポアソン画像処理では
、ポアソン方程式(2次の微分方程式)になるが、ポアソン画像処理とは異なる数式を用いながら、ポアソン画像処理と同等の効果を得ることができる。
【0135】
・ 上記実施形態では、利用者端末として携帯電話端末10を用いたが、サービス管理システム50に対して画像を送信したり、合成画像を受信したりするための通信を行なうことができるコンピュータ端末であれば、携帯電話端末に限定されるものではない。
【0136】
また、上記実施形態では、サーバクライアント方式により、ネットワークを介して画像処理サービスを提供したが、利用者端末に格納された画像処理プログラムにより、画像処理を行なうようにしてもよい。この場合、撮影手段や表示手段を備えたパーソナルコンピュータ端末(パソコン)や、デジタルカメラ、携帯電話端末等の利用者端末を利用して、利用者端末内で画像処理を実行するようにしてもよい。
【0137】
・ 上記実施形態では、顔要素抽出処理において、顔要素画像として、顔のパーツ(目、鼻、口)のみを含む評価用楕円の領域を抽出する。顔要素領域を特定するための形状は楕円形状に限定されるものではなく、矩形や瓢箪形を用いることが可能である。また、予め複数の形状の評価用パターンを準備しておき、この評価用パターンを用いてヒストグラムを生成するようにしてもよい。この場合も、ヒストグラムの分散値が最も小さくなるものを用いて、顔要素領域を特定する。
【0138】
・ 上記実施形態では、顔要素抽出処理において、評価用楕円の大きさを変更して、顔要素領域を特定する。これに代えて、色分析の分析を用いるようにしてもよい。この場合には、顔画像において、頻度が最も高い色(例えば肌色)を特定し、評価用ガイドライン上の画素が、この色のみによって構成される領域を顔要素領域として特定する。
【0139】
・ 上記第2の実施形態では、複数のページからなるテンプレート画像ファイル(例えば、絵本)をテンプレートデータ記憶部25に記憶させておく。複数の挿入領域を備えたファイルとしては、絵本のような静止画に限定されるものではなく、動画ファイルに適用することも可能である。この場合には、動画を構成するフレームごとに挿入領域を設け、各挿入領域に対して形状や表情指数を設定しておく。これにより、ロールプレイングゲーム等のゲームやストリーミング等の動画に含まれるキャラクタ画像においても、背景の状況に応じた画像合成を行なうことができる。
【0140】
・ 上記第2の実施形態では、画像処理サーバ20に画像配置データ記憶部28を設ける。この場合、各挿入領域に表情指数が関連付けられていればよく、例えばメタデータとして挿入領域に埋め込んでおくことも可能である。
【0141】
・ 上記第3実施形態では、セキュリティレベルに応じて、顔要素のパーツを置換する。顔要素の変形方法はこれに限定されるものではなく、アフィン変換の強度(対称線や対角線の伸縮の割合)を変更することにより、デフォルメにより変形させることも可能である。この場合、セキュリティレベルに応じて伸縮の割合を大きくすることにより、変形の度合いを大きくすることができる。
【符号の説明】
【0142】
10…携帯電話端末、20…画像処理サーバ、30…メールサーバ、40…ウェブサーバ、50…サービス管理システム、21…制御部、25…テンプレートデータ記憶部、26…受付管理データ記憶部、27…合成画像データ記憶部、211…画像取得手段、212…顔検出手段、213…顔要素抽出手段、214…変形処理手段、215…画像合成手段、216…画像提供手段、28…画像配置データ記憶部、29…パーツ画像データ記憶部、217…顔認証手段、218…パーツ置換手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影手段から取得した顔画像を記憶する顔画像情報記憶手段と、
顔画像を挿入する背景画像を記憶する背景画像情報記憶手段と、
表示手段に接続される制御手段を備えた画像処理システムであって、
前記制御手段が、
撮影手段から顔画像を取得する顔画像取得手段と、
顔画像の挿入領域が指定された背景画像を特定する背景画像取得手段と、
顔画像から顔要素を含む顔要素画像を生成する顔要素抽出手段と、
前記挿入領域の形状に合わせて、前記顔要素画像を変形させる変形処理手段と、
前記背景画像に対して、前記顔要素画像の色合いが連続的に変化するように画像調整処理を行なった合成画像を生成する画像合成手段と、
前記合成画像を前記表示手段に提供する画像提供手段と
を備えたことを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記顔要素抽出手段は、
顔要素画像において、閉領域を規定する評価用ガイドラインを生成し、
前記評価用ガイドラインの軌道上の画素値のヒストグラムを算出し、
前記ヒストグラムの分散値が最小になる評価用ガイドラインにより規定される領域を顔要素画像として特定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記変形処理手段は、
前記顔要素画像を対称線により左右に分割し、
顔要素画像を変形させる表情指数を取得した場合、前記表情指数を用いて前記対称線の長さを伸縮することにより、顔要素画像を変形することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記背景画像取得手段は、顔要素画像を挿入する複数の挿入領域を設けたファイルを記憶し、
前記ファイルにおいては、挿入領域毎に表情指数が設定されており、
挿入領域毎に表情指数を取得し、この表情指数に基づいて、顔要素画像を変形するとともに、各挿入領域に顔要素画像を挿入した合成画像を生成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記背景画像取得手段は、顔画像を挿入する挿入領域を含むフレームを設けた動画ファイルを記憶し、
前記動画ファイルにおいて、挿入領域毎に表情指数が設定されており、
挿入領域毎に表情指数を取得し、この表情指数に基づいて、顔要素画像を変形するとともに、各挿入領域に顔要素画像を挿入した合成画像を生成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記制御手段が、合成画像及び元の顔画像を用いて顔認証処理を実行し、
両者の一致度が基準値以上の場合には、顔要素画像に含まれる顔要素を変形させて、再度、合成画像を生成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記制御手段は、ネットワークを介して、撮影手段及び表示手段を備えた利用者端末に接続されており、
前記制御手段は、前記利用者端末から顔画像を取得し、前記利用者端末に合成画像を送信することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の画像処理システム。
【請求項8】
撮影手段から取得した顔画像を記憶する顔画像情報記憶手段と、
顔画像を挿入する背景画像を記憶する背景画像情報記憶手段と、
表示手段に接続される制御手段を備えた画像処理システムを用いて、画像処理を実行する方法であって、
前記制御手段が、
撮影手段から顔画像を取得する顔画像取得段階と、
顔画像の挿入領域が指定された背景画像を特定する背景画像取得段階と、
顔画像から顔要素を含む顔要素画像を生成する顔要素抽出段階と、
前記挿入領域の形状に合わせて、前記顔要素画像を変形させる変形処理段階と、
前記背景画像に対して、前記顔要素画像の色合いが連続的に変化するように画像調整処理を行なった合成画像を生成する画像合成段階と、
前記合成画像を表示手段に提供する画像提供段階と
を実行することを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
撮影手段から取得した顔画像を記憶する顔画像情報記憶手段と、
顔画像を挿入する背景画像を記憶する背景画像情報記憶手段と、
表示手段に接続される制御手段を備えた画像処理システムを用いて、画像処理を実行させるためのプログラムであって、
前記制御手段を、
撮影手段から顔画像を取得する顔画像取得手段、
顔画像の挿入領域が指定された背景画像を特定する背景画像取得手段、
顔画像から顔要素を含む顔要素画像を生成する顔要素抽出手段、
前記挿入領域の形状に合わせて、前記顔要素画像を変形させる変形処理手段、
前記背景画像に対して、前記顔要素画像の色合いが連続的に変化するように画像調整処理を行なった合成画像を生成する画像合成手段、
前記合成画像を前記表示手段に提供する画像提供手段
として機能させることを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図6】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−65285(P2011−65285A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213696(P2009−213696)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(592131906)みずほ情報総研株式会社 (187)
【Fターム(参考)】