画像処理システム
【課題】グリッドコンピューティングによる負荷分散可能なシステム(以下グリッドと省略)と、グリッドに対してジョブを依頼する画像形成装置から構成される、画像処理システムにおいてグリッドジョブを操作部から投入する際に、ユーザにとって柔軟にかつ容易な構成を提供する。
【解決手段】グリッドジョブを実行する際に、直ちにジョブの実行を要求する第1のモードか、後でジョブを実行してもかまわない第2のモードかを指定し、第2のモードの場合は、入力された画像を一旦保存し、ジョブの依頼が可能になったときに、保存した画像に対してグリッドを用いた処理を行う。グリッドジョブを実行する際に、グループ化したホストから最適なお薦めグリッドグループを選択し、選択されたグリッドグループを用いてグリッド処理を行う。
【解決手段】グリッドジョブを実行する際に、直ちにジョブの実行を要求する第1のモードか、後でジョブを実行してもかまわない第2のモードかを指定し、第2のモードの場合は、入力された画像を一旦保存し、ジョブの依頼が可能になったときに、保存した画像に対してグリッドを用いた処理を行う。グリッドジョブを実行する際に、グループ化したホストから最適なお薦めグリッドグループを選択し、選択されたグリッドグループを用いてグリッド処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターフェースを介してホストコンピュータに接続される、プリンタや複合機能印刷装置にグリッドコンピューティングの負荷分散システムを適用させたものである。
【背景技術】
【0002】
図1は本発明に適用されるグリッドコンピューティングのアーキテクチャを説明する図である。
【0003】
グリッドには数種類あるが、ここで説明するのはデスクトップグリッドと呼ばれる、デスクトップPCなどのCPUの空き時間を利用してジョブを実行するタイプのものである。
【0004】
図1のClientはジョブを投入するユーザでありその要求(ジョブ)はタスクマネージャ(Task Manager:以下TMと略す)に渡されダイナミックジョブスケジューラ(Dynamic Job Scheduler:以下DJSと略す)にその内容を伝える。
【0005】
DJSは全体のリソース管理をしていて最適なリソースのブローカ(Broker)を選択しTMに通知する(このリソースとはここではCPUの空き状態のことを言っている。)。
【0006】
Brokerはリソースマネージャ(Resource Manager:以下RMと略す)の吸い上げたリソースの情報をDJSに登録し、TMからの要求で最適なリソースにジョブを投入し、完了通知をTMに対しておこなう。
【0007】
TMはDJSが選択した最適なBrokerにジョブを投入し、以後そのジョブの進行状況のモニタリングを実施し、完了通知をBrokerから受けるとユーザにその結果を通知する。またリソースに変化・異常があれば(例 故障、他のジョブを受け付けた等)RMはBrokerに通知する。
【0008】
このような仕組みで最適な(通常は利用されていない)CPUなどのリソースにジョブを配分することで分散処理を可能にするのがデスクトップグリッドコンピューティングの実現形である。
【0009】
続いてこの技術を画像形成装置のPDL処理に適用した場合の構成の説明を図2にて行う。図1の説明ではグリッドを構成するそれぞれのモジュールが別個のものとして扱われたが、印刷装置に適用する場合、複数のモジュールが1つの機器の中に存在することが一般的になる。
【0010】
図2では印刷指示(ジョブ投入)するクライアントPCがプリントジョブを投入しTM,DJS機能を画像形成装置にもち、Broker,RMをPC1、PC2、PC3がもつことで例えば3台のPCを用いてのグリッドコンピューティングによる分散処理を適用した機器構成ができる。
【0011】
クライアントから投入されたジョブ(PDLの印刷ジョブデータ)は画像形成装置のTM,DJSを経由してPC1,2,3のリソースに分割される。またこの時、PDLデータイメージ展開処理用のアプリケーションプログラムも同時に画像形成装置から送信されるようにする。
【0012】
それぞれのPCでPDL画像形成を分散実行しできたイメージは画像形成装置が収集して最終的に出力するような処理をグリッドの機構を用いて実施する。
【0013】
この分散処理対象になるリソースは3台以上のPCであってもよいし、それにジョブ投入元のクライアントPCのリソースを含めても、同じネットワーク上の画像形成装置のリソースを対象にして利用しても良い。
【非特許文献1】IBMプロフェッショナル論文「グリッド・コンピューティングの商用システムへの適用性」<http://www−6.ibm.com/jp/provision/no36/pdf/36_ppr1.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
近年グリッド・コンピューティング(Grid computing)の技術を用いてコンピュータのCPUパワーを集め、高速処理を実現する研究がサイエンス系の研究において盛んであるが、未だ組み込み機器への適用は類を見ない。
【0015】
この技術を画像形成装置に適用した場合、使用されるオフィスのLAN環境に接続されグリッドのCPUリソースはLAN上のPC,サーバであることが考えられるが、この運用のために画像形成装置からグリッドのCPUリソースを利用したジョブの投入を、ユーザが柔軟にかつ容易に出来なければならない。グリッドを用いた処理の場合ジョブを投入したときに、すぐにジョブを実行しなくても、システムとして最適な時間にジョブを実行すればよいと考えられる。例えば、ジョブの投入は昼にしても、ジョブの実実行は深夜に行えるようにすることで、システムの運用を効率的に行えることが望まれている。
【0016】
また、グリッドを構成するホストをグループ化することで、管理を行いやすくしたり、効率的にグリッド処理を行うことが望まれている。
【0017】
本発明は、以上の点に着目して成されたもので、グリッドコンピューティングによる負荷分散可能なシステム(以下グリッドと省略)と、グリッドに対してジョブを依頼する画像形成装置から構成される、画像処理システムにおいてグリッドジョブを操作部から投入する際に、ユーザにとって柔軟にかつ容易な構成を提供する画像処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1の画像処理システムは、
グリッドコンピューティングによる負荷分散可能なシステム(以下グリッドと省略)と、前記グリッドに対してジョブを依頼する画像形成装置から構成される、画像処理システムにおいて、
ジョブの実行条件として、直ちにジョブの実行を要求する第1のモードか、後でジョブを実行してもかまわない第2のモードかを指定するジョブモード指定手段を有し、前記第1のモードが指定された場合は、直ちに前記グリッドに対してジョブの実行を依頼し、前記第2のモード指定された場合は、画像形成装置に入力された画像を保存し、ジョブの依頼が可能になったときに、前記保存した画像に対してグリッドを用いた処理を行うことを特徴とする。
【0019】
また、請求項2の画像処理システムは請求項1の画像処理システムにおいて、
前記グリッドを構成する複数の装置の構成情報やステータス情報を定期的に取得する手段を有し、前記第2のモードが指定された場合は、前記取得した情報を元に、前記グリッドに対してジョブの実行指示タイミングを判断し、前記判断したタイミングでグリッドに対してジョブを依頼することを特徴とする。
【0020】
また、請求項3の画像処理システムは、請求項2の画像処理システムにおいて、前記第2のモードが指定された場合は、前記取得した情報を元に、依頼するジョブに対して十分なパフォーマンスが得られるかどうかを判断し、パフォーマンスが得られると判断したときに、ジョブの実行指示を行うことを特徴とする。
【0021】
また、請求項4の画像処理システムは、請求項1の画像処理システムにおいて、前記第2のモードが指定された場合に、あらかじめ指定された時間にグリッドに対してジョブを依頼することを特徴する。
【0022】
また、請求項5の画像処理システムは、グリッドコンピューティングによる負荷分散可能なシステム(以下グリッドと省略)と、前記グリッドに対してジョブを依頼する画像形成装置から構成される、画像処理システムにおいて、
グリッドを構成する装置をグループ化する手段を有し、グリッドに対してジョブを依頼したときに、グループ化したグリッドの中から最適なグリッドグループを求め、求めたグリッドグループに属している装置を用いてグリッド処理を行うことを特徴とする。
【0023】
また、請求項6の画像処理システムは、請求項5の画像処理システムにおいてグループ化したグリッドに対して優先度を設定する手段を有し、前記グリッドに対してジョブを依頼する時に、高優先度のグループから優先的にグリッドグループを選択することを特徴とする。
【0024】
また、請求項7の画像処理システムは、請求項5の画像処理システムにおいて、グリッドを構成しているホストの設置場所あるいは、ホストが属している部、課などのセクション毎にグループ化を行うことを特徴とする。
【0025】
また、請求項8の画像処理システムは、請求項7の画像処理システムにおいて、ジョブを投入するユーザに対応したユーザが属している前記場所または前記セクションを対応づける手段を有し、前記グリッドに対してジョブを依頼する時に、前記ユーザに対応づけられた場所またはセクションに対応づけられたグループに属しているホストを使用して、グリッド処理を行うことを特徴とする。
【0026】
また、請求項9の画像処理システムは、請求項5の画像処理システムにおいて、グリッドを構成しているホストをタイムゾーン毎にグループ化する手段を有し、前記グリッドに対してジョブを依頼する時に、タイムゾーンによりグループ化したグリッドグループから最適なグループを選択することを特徴とする。
【0027】
また、請求項10の画像処理システムは、請求項5の画像処理システムにおいて、グリッドを構成しているホストを特定のハードウエアを有するホスト毎にグループ化する手段を有し、前記グリッドに対してジョブを依頼する時に、特定のハードウエアを有するホスト毎にグループ化したグリッドグループから最適なグループを選択することを特徴とする。
【0028】
また、請求項11の画像処理システムは、請求項10の画像処理システムにおいて、特定のハードウエアを有するホストは、画像形成装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
グリッド・コンピューティング(Grid computing)の技術を、画像形成装置に適用した場合、この運用のために画像形成装置からグリッドのCPUリソースを利用したジョブの投入を、ユーザが柔軟にかつ容易に出来るユーザインタフェースをもつ画像形成装置を提供できる。
【0030】
また、グリッドを構成するホストをグループ化することで、グリッド処理に最適なホストをグループとして表現できるようになり、ユーザに最適なホストだけを使用してグリッド処理が行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例】
【0032】
[第一の実施例]
以下、図面を参照して本発明をその効果的な実施形態に基づき詳細に説明する。
【0033】
(画像形成装置のハード構成)
図3は、複写機能を有する画像形成装置の外観を示す図である。画像入力デバイスであるスキャナ201は、原稿となる紙上の画像を照明し、CCDラインセンサ(図示せず)を走査することによって、ラスターイメージデータを生成する。
【0034】
使用者が、原稿用紙を原稿フィーダ204のトレイ203にセットして、操作部202において読み取りの起動を指示すると、画像形成装置のコントローラCPUがスキャナ201に指示を与え、フィーダ203は原稿用紙を1枚ずつフィードし、スキャナ201は原稿画像の読み取り動作を行う。
【0035】
操作部202はコピー動作時の設定指示や状態表示や、各種動作設定を指定をするためのユーザインタフェースである。
【0036】
画像出力デバイスであるプリンタエンジン103は、ラスターイメージデータを用紙上の印刷する部分である。その方式は感光体ドラムや感光体ベルトを用いた電子写真方式、微少ノズルアレイからインクを吐出して用紙上に直接画像を印字するインクジェット方式等があるが、どの方式でも構わない。なお、プリント動作は、コントローラCPUからの指示によって起動される。
【0037】
プリンタエンジン103は、異なる用紙サイズまたは異なる用紙向きを選択できるように複数の給紙段を持ち、それに対応した用紙カセット206、207、208がある。また、排紙トレイ205は、印字し終わった用紙を受けるものである。
【0038】
図4は、画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。プリンタコントローラ102は、画像入力デバイスであるスキャナ201や画像出力デバイスであるプリンタエンジン103と接続し、一方ではホストI/F308経由で、ホストとの間で印刷データや画像情報やデバイス情報の入出力をする。
【0039】
CPU301は、システム全体を制御するコントローラである。RAM302は、CPU301が動作するために使用するシステムワークメモリである。また、RAM302は、画像データを一時記憶するための画像メモリでもある。ROM303は、ブートROMであり、システムのブートプログラムが格納されている。HDD304は、ハードディスクドライブで、システムソフトウェア、画像データを格納する。
【0040】
操作部I/F306は、操作部(UI)202との間のインターフェースを司り、操作部202に表示する画像データを操作部202に対して出力する。また、使用者が操作部202を介して入力した情報を、CPU301に伝える役割を果たす。また操作部202からの入力された動作モードなどの環境設定情報は不揮発性のメモリであるNVRAM316に記憶される。
【0041】
ホストインタフェース308は、ホスト001に対して情報の入出力を行う。以上のデバイスがシステムバス307上に配置される。
【0042】
イメージバスインターフェース(Image Bus I/F)305は、システムバス307と画像データを高速で転送する画像バス309とを接続し、データ構造を変換するバスブリッジである。
【0043】
画像バス309には以下のデバイスが配置される。ラスターイメージプロセッサ(RIP)310は、ネットワークから送信されて来たPDLコードをビットマップイメージに展開する。デバイスI/F部311は、画像入出力デバイスであるスキャナ201やプリンタエンジン103とプリンタコントローラ102とを接続し、画像データの同期系/非同期系の変換を行う。
【0044】
スキャナ画像処理部312は、入力画像データに対し補正、加工、編集を行う。プリンタ画像処理部313は、プリント出力画像データに対して、プリンタの補正、解像度変換等を行う。画像回転部314は画像データの回転を行う。画像圧縮部315は、多値画像データに対してはJPEG圧縮新調処理を行い、2値画像画像データに対してはJBIG、MMR、MH等の圧縮伸張処理を行う。
【0045】
(画像形成装置のソフト構成)
図5、8は、第一の実施例の画像形成装置でのグリッド対象機器のセットアップ、選択フローを説明するフローチャートであり、図6、7はその場合の操作部202におけるユーザインタフェースの例である。なお背景となるグリッドコンピューティングの技術と構成は図1,図2で説明したものと同じである。
【0046】
ここで図5のフローの画像形成装置での処理は、図4のHDD304に格納されたシステムプログラムに従いCPU301の制御のもとに実行される。
【0047】
以下、まず図5のフローチャートと図6を用いて画像形成装置のグリッドのセットアップフローを説明する。
【0048】
図6に示すように操作パネルの「分散処理適用機器の設定」メニューの画面からは、画像形成装置と同じネットワークに接続されたホストPCのIPアドレスが見え、それぞれについて、管理用にホスト名称を操作パネルからの入力で可能とする。そしてそれぞれのホストPCにおいて、グリッドの対象としてセットアップするか否かを操作パネルからの指定で選択できるようにしておく。
【0049】
図5を用いてこの処理フローの詳細を説明する。
【0050】
本処理は図6の「分散処理適用機器の設定」メニューの表示時に実施される。
【0051】
ステップ501で画像形成装置と同じネットワーク上に接続されてアクセス可能なホストPCの情報(IPアドレス)収集を行い、画面に表示させる。(ステップ502)この画面表示中に操作パネルからの指示された入力は画像形成装置のメモリ(図4のRAM302)上に保持され、ステップ503で操作パネルからのキー入力受付けを行い、続くステップ504にて「実行」キーが押されるとデータの書き込みを不揮発性のメモリ(図4のNVRAM316)に対して実施し(ステップ505)、最後にステップ506で画面で指定されたホストにグリッドコンピューティングでの負荷分散対応させるためのプログラム(例えばスクリーンセーバー)を送信する。このプログラムはPCのCPUに余裕があるときに実行されるプログラムであると共にグリッドの機構であるResorce Manager, Broker 機能を有するものである。
【0052】
続いてこのようにグリットコンピューティング用の環境にセットアップされた後に、各ホストPCにおける分散処理の適用・非適用の選択方法について図7、8を用いて説明する。
【0053】
図7は操作パネルに表示される「分散処理適用のための設定」メニューの例である。図6の画面で設定したホスト名に対応して、各PCにおいてグリッドを使うか・使わないかの設定が操作パネルからできる。その設定は図4のNVRAM316に保存される。この状態で印刷ジョブ(例としてここではPDLジョブを受け付けた場合)を受け付けた時にどのように負荷分散に用いるかの説明を以下図8のフローで行う。
【0054】
図8に示すフローはステップ801で印刷ジョブの受付けがされていれば、次のステップ802でTask ManagerがDJSに問い合わせ最適なBrokerを選択するが、この判断において、図7での設定値でグリッドの適用をする(“使う”になっている)ホストであって、かつ最適なリソースのホストを選択するようにさせる。
【0055】
選択されたホストには、最後のステップ803で印刷ジョブの種類に応じた処理用プログラム(データがPDLならPDL展開プログラム)とジョブデータの送信を行うことでホスト選択とジョブ投入処理を終了する。この後の印刷に至る処理は通常のグリッドのフレームワークと同じであるので説明を割愛する。
【0056】
このようにすれば画像形成装置の操作パネルから、ホストPCに対してグリッド対応させるためのセットアップが容易に可能となり、一旦グリッドの対象にセットアップされたPCであったとしても場合により、その適用を中断させるような運用が可能になる。
【0057】
次に、本画像形成装置からスキャンした原稿をグリッドコンピューティングの仕組みを使用して処理する場合について図9を用いて説明する。図2のPDL処理での適用例と同様に、TM,DJS機能を画像形成装置にもたせ、Broker,RMはPC1、PC2、PC3でもつようにすれば、例えば3台のPCを用いてのグリッドコンピューティングによる分散処理を適用した機器構成ができる。
【0058】
画像形成装置からから投入されたジョブ(スキャンした画像に画像処理を施す)は画像形成装置のTM,DJSを経由してPC1,2,3のリソースに分割される。またこの時、画像処理用のアプリケーションプログラムも同時に画像形成装置から送信されるようにする。
【0059】
それぞれのPCで画像処理を分散実行しできたイメージは画像形成装置が収集して最終的に出力するような処理をグリッドの機構を用いて実施する。
【0060】
この分散処理対象になるリソースは3台以上のPCであってもよいし、また、同じネットワーク上の画像形成装置のリソースを対象にして利用しても良い。
【0061】
ここで、画像処理の例としては、文字強調処理、輪郭処理、色調整処理、色変換処理、拡大縮小処理等を想定してるが、この他の画像処理であっても一向に差し支えない。
【0062】
図10に示すフローはステップ1001でスキャンジョブに対してグリッド処理の指定がされているかどうかを判断している。ここで、グリッド処理を行うかどうかは、操作部202内のユーザモードの中で、各画像処理に対してグリッドを用いるかどうかを指定することが可能になっている。例えば、色調整処理については、グリッドを用いると指定されているとする。また、ユーザモードの中ではグリッドを用いるジョブを、直ちに実行するか、後で適切な実行環境になったときに実行するか(後で実行してもよい)を指定することが可能になっている。
【0063】
ステップ1001で色調整処理が指定されていると判断した場合は、ステップ1002で、グリッドを用いたジョブを“後で実行してもよい”と設定されているかどうか判断する。“後で実行してもよい”と判断した場合は、次のステップ1003でスキャンした画像とジョブに必要な設定をHD304内に保存し、スキャンジョブは終了させる。次にステップ1004でTask Managerに対してグリッド処理を開始するタイミングを指示してもらうようにTask Managerに依頼する。Task Managerは、Brokerからのステータスを取得し、グリッド処理を開始してもよいかどうかを判断する。例えば、想定したパフォーマンスが得られそうにない場合は、グリッド処理を行わないと判断し、グリッド実行の条件が整うまで定期的なタイミングで、Brokerからのステータスを取得する。パフォーマンスを判断するための情報は、Brokerから通知されるホストのCPU種別や、ホスト上のCPU占有率、ホストが正常に立ち上がっているかどうかといったステータス情報などである。次にステップ1005でTask Managerからジョブ開始の指示があると、ステップ1006で、Task ManagerがDJSに問い合わせ最適なBrokerを選択するが、この判断において、図7での設定値でグリッドの適用をする(“使う”になっている)ホストであって、かつ最適なリソースのホストを選択するようにさせる。
【0064】
選択されたホストには、最後のステップ1007で画像処理の種類に応じた処理用プログラム(本例だと色調整処理用プログラム)とHD304に保存されていた画像データの送信を行うことでホスト選択とジョブ投入処理を終了する。この後の画像処理結果を収集する処理は通常のグリッドのフレームワークと同じであるので説明を割愛する。
【0065】
また、ステップ1002で“後で実行してもよい”の設定でないと判断した場合は、ステップ1006で、Task ManagerがDJSに問い合わせ最適なBrokerを選択するが、この判断において、図7での設定値でグリッドの適用をする(“使う”になっている)ホストであって、かつ最適なリソースのホストを選択するようにさせる。
【0066】
選択されたホストには、最後のステップ1007で画像処理の種類に応じた処理用プログラム(本例だと色調整処理用プログラム)とスキャンした画像データの送信を行うことで、ホスト選択とジョブ投入処理を終了する。この後の画像処理結果を収集する処理は通常のグリッドのフレームワークと同じであるので説明を割愛する。
【0067】
ここでは、Task ManagerがBrokerからのステータス取得して、グリッドを用いたジョブの実行開始タイミングを決定しているが、例えば、操作部202の中でグリッドジョブの実行時間を指定させ、“後で実行してもよい”の設定の場合には、指定された時間になったときに、グリッドジョブを実行させるようにしてもよい。例えば、深夜はPC資源を十分活用できる環境においては、グリッド処理の実行時間を深夜の時間帯に設定することで、分散処理を効率的に行うことが可能になる。
【0068】
以上、このようにすれば画像形成装置の操作パネルから、グリッド処理の実行を行う場合に、すぐに結果を得る必要のないジョブや、処理に時間がかかりそうなジョブの場合には、ユーザの判断でグリッド処理を直ちに行うのではなく、グリッド資源に余裕があるときに行えるように操作部から指定することができるようになり、画像形成装置からグリッドのCPUリソースを利用したジョブの投入を、ユーザが柔軟にかつ容易に出来るユーザインタフェースを提供することが可能なる。
【0069】
以上述べたグリッド用の制御プログラムをここでは画像形成装置にもたせた構成にしたが、グリッド構成する要素はそれぞれ独立させてサーバや他のPCに持たせたとしても良い。
【0070】
[第二の実施例]
第一の実施例では、図6、図7のように、PCに対してホスト名や、グリッドとして使用するかどうかを設定することができ、グリッドにジョブを行わせるときに、グリッドとして指定したPCは、すべてグリッド処理の対象になった。
【0071】
一般的にオフィスにおいては、部課ごとにPCを管理していることが多く、グリッド処理の単位も部や課ごとに管理することで、グリッド処理に対しての課金や使用状況を管理しやすくすることが考えられる。
【0072】
図11はグリッドで使用されるPCをグループ分けするするための画面である。図6の画面で設定されたホストに対して、そのホストをどのグループに分類するかを設定することと、ホストの構成情報を表示することが可能になっている。図の中で、1101はホスト名、1102はグループ名、ホストの構成情報としては、1103はホストが設置されている場所、1104はホストのタイムゾーン、1105はMFP機能があるかどうかを表すフィールドである。グループ名は、操作部202によりユーザが名前を指定して入力することが可能で、この表では、A,B,C,Dという名前で登録されている。グループ名を変更する場合は、新しい名前を入力したあと、設定キー1106を押下することにより、グループ名は、不揮発性メモリ(図4のNVRAM316)に書き込まれて記憶される。
【0073】
各ホスト内では、ホストの設置場所、ホストのタイムゾーン、ホストがMFPかPCであるかの情報をResource Managerが管理していて、TaskManagerからの構成情報取得要求があると、Brokerを介して構成情報を取得し、図11のように表形式で表示することが可能になっている。ホストの場所は、Section−J1、Section−J2というSection名で表現されていて、オフィス内の課や部単位の場所を想定している。また、タイムゾーンは、グリニッジ時刻からの+、―の時間で表示する。MFP機能有無とは、ホストが、通常のPCコンピューターなのか、画像形成装置内のコントローラ機能を有しているかどうかを表していて、MFPと表示されている場合は、該当するホストは、画像形成装置内のコントローラであることを示している。
【0074】
図12は、図11で示した、場所情報とユーザ情報との対応関係を示す図で、操作部202内で、機械を使用するユーザ名と、そのユーザがどの場所に属しているかを対応づけている。例えば、図では、User1はSSection−J1に、User2はSection−J2に属していることを表している。
【0075】
次に図13は、実施例1と同様に本画像形成装置からスキャンした原稿をグリッドコンピューティングの仕組みを使用して処理する場合についての第2の実施例を示すフロー図である。まず、操作部202内では、グリッド処理で用いるホストを、場所優先で選択するか、タイムゾーン優先で選択するか、機能優先で選択するかを設定することが可能になっている。ステップ1301でスキャンジョブに対してグリッド処理の指定がされていると判断すると、ステップ1302で場所優先モードが設定されているかどうかを判断する。場所優先モードが判断されていると、ステップ1303でジョブを投入したユーザ名を判断し、図12で説明したユーザ名と設置場所の対応づけから、ユーザがどの場所に属しているかを判断し、判断された場所からグリッドグループを選択する。次に、ステップ1308で、選択されたグループに属しているホストの中で、図7で説明した対応関係によりGridを使うになっているホストを選択し、Brokerにジョブと処理用のプログラムを投入する。例えばUser2はSection−J2に対応づけられていてグループBとしてグループ化されているので、User2の人がグリッドジョブを投入した場合は、グループBが選択されることになる。次に、ステップ1302で場所優先モードでないと判断されればステップ1304でタイムゾーン優先モードかどうかを判断し、タイムゾーン優先モードと判断した場合は、現在の時刻を調べ、空きCPU資源が多そうなタイムゾーンが設定されているグループを選択する。例えば、現在の時刻がタイムゾーンGMT+9で、午後4時だった場合は、そのタイムゾーン内のCPU資源はそのオフィス内で比較的使用されているに違いないと判断し、その時間が深夜になるタイムゾーンがGMT−5のグループCを選択する。次に、ステップ1308で、選択されたグループに属しているホストの中で、図7で説明した対応関係によりGridを使うになっているホストを選択し、Brokerにジョブと処理用のプログラムを投入する。
【0076】
次に、ステップ1304でタイムゾーン優先モードでないと判断した場合は、ステップ1306で機能優先モードがどうかを判断し、機能優先モードと判断した場合は、指定されたジョブで使用する処理がハード的に高速に処理可能なグループを選択する。例えば、色調整処理に対して、色調整処理用のハード処理を持っている画像形成装置のコントローラをグリッド資源として使用することで、通常のPCを用いてグリッド処理を行うよりも高速に処理が可能になる。次に、ステップ1308で、選択されたグループに属しているホストの中で、図7で説明した対応関係によりGridを使うになっているホストを選択し、Brokerにジョブと処理用のプログラムを投入する。
【0077】
次に、ステップ1306で機能優先モードでないと判断すると、ステップ1309で、登録されているホストでGridを使うになっているホストを選択し、Brokerniジョブと処理用のプログラムを投入する。この後の画像処理結果を収集する処理は通常のグリッドのフレームワークと同じであるので説明を割愛する。
【0078】
前述した例では、場所、タイムゾーン、機能の順に判断を行ったが、別の順番で比較を行ってもよい。また、場所、タイムゾーン、機能は、あくまでグループ分けを行う際の例であり、他のグループ分けにより、最適なグリッドグループを求めても一向に差し支えない。また、前述した例では、選択したグリッドグループを用いて自動的に最適と判断したホストにグリッド処理を依頼したが、ジョブを投入したときに、選択したグリッドグループを表示して、ユーザに確認を促し、OKだったときに選択したグリッドグループに属するホストを用いてグリッド処理を行っても構わない。また、表示したグリッドグループとは別のグリッドグループを操作部で選択させて、選択したグループに属するホストを用いてグリッド処理を行わせても構わない。
【0079】
以上、このようにすれば画像形成装置の操作パネルから、グリッド処理の実行を行う場合に、投入したジョブの種類や、投入した時間帯、投入したユーザに対して最適なグリッドグループを用いてグリッド処理を行えるようになるので、グリッド処理を効率良く、高速に、管理を行いやすく実行することが可能なる。
【0080】
以上述べたグリッド用の制御プログラムをここでは画像形成装置にもたせた構成にしたが、グリッド構成する要素はそれぞれ独立させてサーバや他のPCに持たせたとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】背景技術のグリッドコンピューティングの構成を示す図である。
【図2】背景技術のPDL処理に適用した場合の構成を示す図である
【図3】画像形成装置の概観を示す図である。
【図4】画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。
【図5】第一の実施例の処理を示すフローチャートである。
【図6】第一の実施例のユーザインタフェースを示す図である。
【図7】第一の実施例のユーザインタフェースを示す図である。
【図8】第一の実施例の処理を示すフローチャートである。
【図9】第一の実施例の複写機でスキャンした画像に適用した場合の構成図である。
【図10】第一の実施例のジョブ実行のフローチャートである。
【図11】第二の実施例の分散処理適用のためのグループ化を示す図である。
【図12】第二の実施例のユーザとセクションの対応づけを示す図である。
【図13】第二の実施例のジョブ実行のフローチャートである。
【符号の説明】
【0082】
001 ホストコンピュータ
101 画像形成装置全体
102 プリンタコントローラ全体
103 プリンタエンジン
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターフェースを介してホストコンピュータに接続される、プリンタや複合機能印刷装置にグリッドコンピューティングの負荷分散システムを適用させたものである。
【背景技術】
【0002】
図1は本発明に適用されるグリッドコンピューティングのアーキテクチャを説明する図である。
【0003】
グリッドには数種類あるが、ここで説明するのはデスクトップグリッドと呼ばれる、デスクトップPCなどのCPUの空き時間を利用してジョブを実行するタイプのものである。
【0004】
図1のClientはジョブを投入するユーザでありその要求(ジョブ)はタスクマネージャ(Task Manager:以下TMと略す)に渡されダイナミックジョブスケジューラ(Dynamic Job Scheduler:以下DJSと略す)にその内容を伝える。
【0005】
DJSは全体のリソース管理をしていて最適なリソースのブローカ(Broker)を選択しTMに通知する(このリソースとはここではCPUの空き状態のことを言っている。)。
【0006】
Brokerはリソースマネージャ(Resource Manager:以下RMと略す)の吸い上げたリソースの情報をDJSに登録し、TMからの要求で最適なリソースにジョブを投入し、完了通知をTMに対しておこなう。
【0007】
TMはDJSが選択した最適なBrokerにジョブを投入し、以後そのジョブの進行状況のモニタリングを実施し、完了通知をBrokerから受けるとユーザにその結果を通知する。またリソースに変化・異常があれば(例 故障、他のジョブを受け付けた等)RMはBrokerに通知する。
【0008】
このような仕組みで最適な(通常は利用されていない)CPUなどのリソースにジョブを配分することで分散処理を可能にするのがデスクトップグリッドコンピューティングの実現形である。
【0009】
続いてこの技術を画像形成装置のPDL処理に適用した場合の構成の説明を図2にて行う。図1の説明ではグリッドを構成するそれぞれのモジュールが別個のものとして扱われたが、印刷装置に適用する場合、複数のモジュールが1つの機器の中に存在することが一般的になる。
【0010】
図2では印刷指示(ジョブ投入)するクライアントPCがプリントジョブを投入しTM,DJS機能を画像形成装置にもち、Broker,RMをPC1、PC2、PC3がもつことで例えば3台のPCを用いてのグリッドコンピューティングによる分散処理を適用した機器構成ができる。
【0011】
クライアントから投入されたジョブ(PDLの印刷ジョブデータ)は画像形成装置のTM,DJSを経由してPC1,2,3のリソースに分割される。またこの時、PDLデータイメージ展開処理用のアプリケーションプログラムも同時に画像形成装置から送信されるようにする。
【0012】
それぞれのPCでPDL画像形成を分散実行しできたイメージは画像形成装置が収集して最終的に出力するような処理をグリッドの機構を用いて実施する。
【0013】
この分散処理対象になるリソースは3台以上のPCであってもよいし、それにジョブ投入元のクライアントPCのリソースを含めても、同じネットワーク上の画像形成装置のリソースを対象にして利用しても良い。
【非特許文献1】IBMプロフェッショナル論文「グリッド・コンピューティングの商用システムへの適用性」<http://www−6.ibm.com/jp/provision/no36/pdf/36_ppr1.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
近年グリッド・コンピューティング(Grid computing)の技術を用いてコンピュータのCPUパワーを集め、高速処理を実現する研究がサイエンス系の研究において盛んであるが、未だ組み込み機器への適用は類を見ない。
【0015】
この技術を画像形成装置に適用した場合、使用されるオフィスのLAN環境に接続されグリッドのCPUリソースはLAN上のPC,サーバであることが考えられるが、この運用のために画像形成装置からグリッドのCPUリソースを利用したジョブの投入を、ユーザが柔軟にかつ容易に出来なければならない。グリッドを用いた処理の場合ジョブを投入したときに、すぐにジョブを実行しなくても、システムとして最適な時間にジョブを実行すればよいと考えられる。例えば、ジョブの投入は昼にしても、ジョブの実実行は深夜に行えるようにすることで、システムの運用を効率的に行えることが望まれている。
【0016】
また、グリッドを構成するホストをグループ化することで、管理を行いやすくしたり、効率的にグリッド処理を行うことが望まれている。
【0017】
本発明は、以上の点に着目して成されたもので、グリッドコンピューティングによる負荷分散可能なシステム(以下グリッドと省略)と、グリッドに対してジョブを依頼する画像形成装置から構成される、画像処理システムにおいてグリッドジョブを操作部から投入する際に、ユーザにとって柔軟にかつ容易な構成を提供する画像処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1の画像処理システムは、
グリッドコンピューティングによる負荷分散可能なシステム(以下グリッドと省略)と、前記グリッドに対してジョブを依頼する画像形成装置から構成される、画像処理システムにおいて、
ジョブの実行条件として、直ちにジョブの実行を要求する第1のモードか、後でジョブを実行してもかまわない第2のモードかを指定するジョブモード指定手段を有し、前記第1のモードが指定された場合は、直ちに前記グリッドに対してジョブの実行を依頼し、前記第2のモード指定された場合は、画像形成装置に入力された画像を保存し、ジョブの依頼が可能になったときに、前記保存した画像に対してグリッドを用いた処理を行うことを特徴とする。
【0019】
また、請求項2の画像処理システムは請求項1の画像処理システムにおいて、
前記グリッドを構成する複数の装置の構成情報やステータス情報を定期的に取得する手段を有し、前記第2のモードが指定された場合は、前記取得した情報を元に、前記グリッドに対してジョブの実行指示タイミングを判断し、前記判断したタイミングでグリッドに対してジョブを依頼することを特徴とする。
【0020】
また、請求項3の画像処理システムは、請求項2の画像処理システムにおいて、前記第2のモードが指定された場合は、前記取得した情報を元に、依頼するジョブに対して十分なパフォーマンスが得られるかどうかを判断し、パフォーマンスが得られると判断したときに、ジョブの実行指示を行うことを特徴とする。
【0021】
また、請求項4の画像処理システムは、請求項1の画像処理システムにおいて、前記第2のモードが指定された場合に、あらかじめ指定された時間にグリッドに対してジョブを依頼することを特徴する。
【0022】
また、請求項5の画像処理システムは、グリッドコンピューティングによる負荷分散可能なシステム(以下グリッドと省略)と、前記グリッドに対してジョブを依頼する画像形成装置から構成される、画像処理システムにおいて、
グリッドを構成する装置をグループ化する手段を有し、グリッドに対してジョブを依頼したときに、グループ化したグリッドの中から最適なグリッドグループを求め、求めたグリッドグループに属している装置を用いてグリッド処理を行うことを特徴とする。
【0023】
また、請求項6の画像処理システムは、請求項5の画像処理システムにおいてグループ化したグリッドに対して優先度を設定する手段を有し、前記グリッドに対してジョブを依頼する時に、高優先度のグループから優先的にグリッドグループを選択することを特徴とする。
【0024】
また、請求項7の画像処理システムは、請求項5の画像処理システムにおいて、グリッドを構成しているホストの設置場所あるいは、ホストが属している部、課などのセクション毎にグループ化を行うことを特徴とする。
【0025】
また、請求項8の画像処理システムは、請求項7の画像処理システムにおいて、ジョブを投入するユーザに対応したユーザが属している前記場所または前記セクションを対応づける手段を有し、前記グリッドに対してジョブを依頼する時に、前記ユーザに対応づけられた場所またはセクションに対応づけられたグループに属しているホストを使用して、グリッド処理を行うことを特徴とする。
【0026】
また、請求項9の画像処理システムは、請求項5の画像処理システムにおいて、グリッドを構成しているホストをタイムゾーン毎にグループ化する手段を有し、前記グリッドに対してジョブを依頼する時に、タイムゾーンによりグループ化したグリッドグループから最適なグループを選択することを特徴とする。
【0027】
また、請求項10の画像処理システムは、請求項5の画像処理システムにおいて、グリッドを構成しているホストを特定のハードウエアを有するホスト毎にグループ化する手段を有し、前記グリッドに対してジョブを依頼する時に、特定のハードウエアを有するホスト毎にグループ化したグリッドグループから最適なグループを選択することを特徴とする。
【0028】
また、請求項11の画像処理システムは、請求項10の画像処理システムにおいて、特定のハードウエアを有するホストは、画像形成装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
グリッド・コンピューティング(Grid computing)の技術を、画像形成装置に適用した場合、この運用のために画像形成装置からグリッドのCPUリソースを利用したジョブの投入を、ユーザが柔軟にかつ容易に出来るユーザインタフェースをもつ画像形成装置を提供できる。
【0030】
また、グリッドを構成するホストをグループ化することで、グリッド処理に最適なホストをグループとして表現できるようになり、ユーザに最適なホストだけを使用してグリッド処理が行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例】
【0032】
[第一の実施例]
以下、図面を参照して本発明をその効果的な実施形態に基づき詳細に説明する。
【0033】
(画像形成装置のハード構成)
図3は、複写機能を有する画像形成装置の外観を示す図である。画像入力デバイスであるスキャナ201は、原稿となる紙上の画像を照明し、CCDラインセンサ(図示せず)を走査することによって、ラスターイメージデータを生成する。
【0034】
使用者が、原稿用紙を原稿フィーダ204のトレイ203にセットして、操作部202において読み取りの起動を指示すると、画像形成装置のコントローラCPUがスキャナ201に指示を与え、フィーダ203は原稿用紙を1枚ずつフィードし、スキャナ201は原稿画像の読み取り動作を行う。
【0035】
操作部202はコピー動作時の設定指示や状態表示や、各種動作設定を指定をするためのユーザインタフェースである。
【0036】
画像出力デバイスであるプリンタエンジン103は、ラスターイメージデータを用紙上の印刷する部分である。その方式は感光体ドラムや感光体ベルトを用いた電子写真方式、微少ノズルアレイからインクを吐出して用紙上に直接画像を印字するインクジェット方式等があるが、どの方式でも構わない。なお、プリント動作は、コントローラCPUからの指示によって起動される。
【0037】
プリンタエンジン103は、異なる用紙サイズまたは異なる用紙向きを選択できるように複数の給紙段を持ち、それに対応した用紙カセット206、207、208がある。また、排紙トレイ205は、印字し終わった用紙を受けるものである。
【0038】
図4は、画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。プリンタコントローラ102は、画像入力デバイスであるスキャナ201や画像出力デバイスであるプリンタエンジン103と接続し、一方ではホストI/F308経由で、ホストとの間で印刷データや画像情報やデバイス情報の入出力をする。
【0039】
CPU301は、システム全体を制御するコントローラである。RAM302は、CPU301が動作するために使用するシステムワークメモリである。また、RAM302は、画像データを一時記憶するための画像メモリでもある。ROM303は、ブートROMであり、システムのブートプログラムが格納されている。HDD304は、ハードディスクドライブで、システムソフトウェア、画像データを格納する。
【0040】
操作部I/F306は、操作部(UI)202との間のインターフェースを司り、操作部202に表示する画像データを操作部202に対して出力する。また、使用者が操作部202を介して入力した情報を、CPU301に伝える役割を果たす。また操作部202からの入力された動作モードなどの環境設定情報は不揮発性のメモリであるNVRAM316に記憶される。
【0041】
ホストインタフェース308は、ホスト001に対して情報の入出力を行う。以上のデバイスがシステムバス307上に配置される。
【0042】
イメージバスインターフェース(Image Bus I/F)305は、システムバス307と画像データを高速で転送する画像バス309とを接続し、データ構造を変換するバスブリッジである。
【0043】
画像バス309には以下のデバイスが配置される。ラスターイメージプロセッサ(RIP)310は、ネットワークから送信されて来たPDLコードをビットマップイメージに展開する。デバイスI/F部311は、画像入出力デバイスであるスキャナ201やプリンタエンジン103とプリンタコントローラ102とを接続し、画像データの同期系/非同期系の変換を行う。
【0044】
スキャナ画像処理部312は、入力画像データに対し補正、加工、編集を行う。プリンタ画像処理部313は、プリント出力画像データに対して、プリンタの補正、解像度変換等を行う。画像回転部314は画像データの回転を行う。画像圧縮部315は、多値画像データに対してはJPEG圧縮新調処理を行い、2値画像画像データに対してはJBIG、MMR、MH等の圧縮伸張処理を行う。
【0045】
(画像形成装置のソフト構成)
図5、8は、第一の実施例の画像形成装置でのグリッド対象機器のセットアップ、選択フローを説明するフローチャートであり、図6、7はその場合の操作部202におけるユーザインタフェースの例である。なお背景となるグリッドコンピューティングの技術と構成は図1,図2で説明したものと同じである。
【0046】
ここで図5のフローの画像形成装置での処理は、図4のHDD304に格納されたシステムプログラムに従いCPU301の制御のもとに実行される。
【0047】
以下、まず図5のフローチャートと図6を用いて画像形成装置のグリッドのセットアップフローを説明する。
【0048】
図6に示すように操作パネルの「分散処理適用機器の設定」メニューの画面からは、画像形成装置と同じネットワークに接続されたホストPCのIPアドレスが見え、それぞれについて、管理用にホスト名称を操作パネルからの入力で可能とする。そしてそれぞれのホストPCにおいて、グリッドの対象としてセットアップするか否かを操作パネルからの指定で選択できるようにしておく。
【0049】
図5を用いてこの処理フローの詳細を説明する。
【0050】
本処理は図6の「分散処理適用機器の設定」メニューの表示時に実施される。
【0051】
ステップ501で画像形成装置と同じネットワーク上に接続されてアクセス可能なホストPCの情報(IPアドレス)収集を行い、画面に表示させる。(ステップ502)この画面表示中に操作パネルからの指示された入力は画像形成装置のメモリ(図4のRAM302)上に保持され、ステップ503で操作パネルからのキー入力受付けを行い、続くステップ504にて「実行」キーが押されるとデータの書き込みを不揮発性のメモリ(図4のNVRAM316)に対して実施し(ステップ505)、最後にステップ506で画面で指定されたホストにグリッドコンピューティングでの負荷分散対応させるためのプログラム(例えばスクリーンセーバー)を送信する。このプログラムはPCのCPUに余裕があるときに実行されるプログラムであると共にグリッドの機構であるResorce Manager, Broker 機能を有するものである。
【0052】
続いてこのようにグリットコンピューティング用の環境にセットアップされた後に、各ホストPCにおける分散処理の適用・非適用の選択方法について図7、8を用いて説明する。
【0053】
図7は操作パネルに表示される「分散処理適用のための設定」メニューの例である。図6の画面で設定したホスト名に対応して、各PCにおいてグリッドを使うか・使わないかの設定が操作パネルからできる。その設定は図4のNVRAM316に保存される。この状態で印刷ジョブ(例としてここではPDLジョブを受け付けた場合)を受け付けた時にどのように負荷分散に用いるかの説明を以下図8のフローで行う。
【0054】
図8に示すフローはステップ801で印刷ジョブの受付けがされていれば、次のステップ802でTask ManagerがDJSに問い合わせ最適なBrokerを選択するが、この判断において、図7での設定値でグリッドの適用をする(“使う”になっている)ホストであって、かつ最適なリソースのホストを選択するようにさせる。
【0055】
選択されたホストには、最後のステップ803で印刷ジョブの種類に応じた処理用プログラム(データがPDLならPDL展開プログラム)とジョブデータの送信を行うことでホスト選択とジョブ投入処理を終了する。この後の印刷に至る処理は通常のグリッドのフレームワークと同じであるので説明を割愛する。
【0056】
このようにすれば画像形成装置の操作パネルから、ホストPCに対してグリッド対応させるためのセットアップが容易に可能となり、一旦グリッドの対象にセットアップされたPCであったとしても場合により、その適用を中断させるような運用が可能になる。
【0057】
次に、本画像形成装置からスキャンした原稿をグリッドコンピューティングの仕組みを使用して処理する場合について図9を用いて説明する。図2のPDL処理での適用例と同様に、TM,DJS機能を画像形成装置にもたせ、Broker,RMはPC1、PC2、PC3でもつようにすれば、例えば3台のPCを用いてのグリッドコンピューティングによる分散処理を適用した機器構成ができる。
【0058】
画像形成装置からから投入されたジョブ(スキャンした画像に画像処理を施す)は画像形成装置のTM,DJSを経由してPC1,2,3のリソースに分割される。またこの時、画像処理用のアプリケーションプログラムも同時に画像形成装置から送信されるようにする。
【0059】
それぞれのPCで画像処理を分散実行しできたイメージは画像形成装置が収集して最終的に出力するような処理をグリッドの機構を用いて実施する。
【0060】
この分散処理対象になるリソースは3台以上のPCであってもよいし、また、同じネットワーク上の画像形成装置のリソースを対象にして利用しても良い。
【0061】
ここで、画像処理の例としては、文字強調処理、輪郭処理、色調整処理、色変換処理、拡大縮小処理等を想定してるが、この他の画像処理であっても一向に差し支えない。
【0062】
図10に示すフローはステップ1001でスキャンジョブに対してグリッド処理の指定がされているかどうかを判断している。ここで、グリッド処理を行うかどうかは、操作部202内のユーザモードの中で、各画像処理に対してグリッドを用いるかどうかを指定することが可能になっている。例えば、色調整処理については、グリッドを用いると指定されているとする。また、ユーザモードの中ではグリッドを用いるジョブを、直ちに実行するか、後で適切な実行環境になったときに実行するか(後で実行してもよい)を指定することが可能になっている。
【0063】
ステップ1001で色調整処理が指定されていると判断した場合は、ステップ1002で、グリッドを用いたジョブを“後で実行してもよい”と設定されているかどうか判断する。“後で実行してもよい”と判断した場合は、次のステップ1003でスキャンした画像とジョブに必要な設定をHD304内に保存し、スキャンジョブは終了させる。次にステップ1004でTask Managerに対してグリッド処理を開始するタイミングを指示してもらうようにTask Managerに依頼する。Task Managerは、Brokerからのステータスを取得し、グリッド処理を開始してもよいかどうかを判断する。例えば、想定したパフォーマンスが得られそうにない場合は、グリッド処理を行わないと判断し、グリッド実行の条件が整うまで定期的なタイミングで、Brokerからのステータスを取得する。パフォーマンスを判断するための情報は、Brokerから通知されるホストのCPU種別や、ホスト上のCPU占有率、ホストが正常に立ち上がっているかどうかといったステータス情報などである。次にステップ1005でTask Managerからジョブ開始の指示があると、ステップ1006で、Task ManagerがDJSに問い合わせ最適なBrokerを選択するが、この判断において、図7での設定値でグリッドの適用をする(“使う”になっている)ホストであって、かつ最適なリソースのホストを選択するようにさせる。
【0064】
選択されたホストには、最後のステップ1007で画像処理の種類に応じた処理用プログラム(本例だと色調整処理用プログラム)とHD304に保存されていた画像データの送信を行うことでホスト選択とジョブ投入処理を終了する。この後の画像処理結果を収集する処理は通常のグリッドのフレームワークと同じであるので説明を割愛する。
【0065】
また、ステップ1002で“後で実行してもよい”の設定でないと判断した場合は、ステップ1006で、Task ManagerがDJSに問い合わせ最適なBrokerを選択するが、この判断において、図7での設定値でグリッドの適用をする(“使う”になっている)ホストであって、かつ最適なリソースのホストを選択するようにさせる。
【0066】
選択されたホストには、最後のステップ1007で画像処理の種類に応じた処理用プログラム(本例だと色調整処理用プログラム)とスキャンした画像データの送信を行うことで、ホスト選択とジョブ投入処理を終了する。この後の画像処理結果を収集する処理は通常のグリッドのフレームワークと同じであるので説明を割愛する。
【0067】
ここでは、Task ManagerがBrokerからのステータス取得して、グリッドを用いたジョブの実行開始タイミングを決定しているが、例えば、操作部202の中でグリッドジョブの実行時間を指定させ、“後で実行してもよい”の設定の場合には、指定された時間になったときに、グリッドジョブを実行させるようにしてもよい。例えば、深夜はPC資源を十分活用できる環境においては、グリッド処理の実行時間を深夜の時間帯に設定することで、分散処理を効率的に行うことが可能になる。
【0068】
以上、このようにすれば画像形成装置の操作パネルから、グリッド処理の実行を行う場合に、すぐに結果を得る必要のないジョブや、処理に時間がかかりそうなジョブの場合には、ユーザの判断でグリッド処理を直ちに行うのではなく、グリッド資源に余裕があるときに行えるように操作部から指定することができるようになり、画像形成装置からグリッドのCPUリソースを利用したジョブの投入を、ユーザが柔軟にかつ容易に出来るユーザインタフェースを提供することが可能なる。
【0069】
以上述べたグリッド用の制御プログラムをここでは画像形成装置にもたせた構成にしたが、グリッド構成する要素はそれぞれ独立させてサーバや他のPCに持たせたとしても良い。
【0070】
[第二の実施例]
第一の実施例では、図6、図7のように、PCに対してホスト名や、グリッドとして使用するかどうかを設定することができ、グリッドにジョブを行わせるときに、グリッドとして指定したPCは、すべてグリッド処理の対象になった。
【0071】
一般的にオフィスにおいては、部課ごとにPCを管理していることが多く、グリッド処理の単位も部や課ごとに管理することで、グリッド処理に対しての課金や使用状況を管理しやすくすることが考えられる。
【0072】
図11はグリッドで使用されるPCをグループ分けするするための画面である。図6の画面で設定されたホストに対して、そのホストをどのグループに分類するかを設定することと、ホストの構成情報を表示することが可能になっている。図の中で、1101はホスト名、1102はグループ名、ホストの構成情報としては、1103はホストが設置されている場所、1104はホストのタイムゾーン、1105はMFP機能があるかどうかを表すフィールドである。グループ名は、操作部202によりユーザが名前を指定して入力することが可能で、この表では、A,B,C,Dという名前で登録されている。グループ名を変更する場合は、新しい名前を入力したあと、設定キー1106を押下することにより、グループ名は、不揮発性メモリ(図4のNVRAM316)に書き込まれて記憶される。
【0073】
各ホスト内では、ホストの設置場所、ホストのタイムゾーン、ホストがMFPかPCであるかの情報をResource Managerが管理していて、TaskManagerからの構成情報取得要求があると、Brokerを介して構成情報を取得し、図11のように表形式で表示することが可能になっている。ホストの場所は、Section−J1、Section−J2というSection名で表現されていて、オフィス内の課や部単位の場所を想定している。また、タイムゾーンは、グリニッジ時刻からの+、―の時間で表示する。MFP機能有無とは、ホストが、通常のPCコンピューターなのか、画像形成装置内のコントローラ機能を有しているかどうかを表していて、MFPと表示されている場合は、該当するホストは、画像形成装置内のコントローラであることを示している。
【0074】
図12は、図11で示した、場所情報とユーザ情報との対応関係を示す図で、操作部202内で、機械を使用するユーザ名と、そのユーザがどの場所に属しているかを対応づけている。例えば、図では、User1はSSection−J1に、User2はSection−J2に属していることを表している。
【0075】
次に図13は、実施例1と同様に本画像形成装置からスキャンした原稿をグリッドコンピューティングの仕組みを使用して処理する場合についての第2の実施例を示すフロー図である。まず、操作部202内では、グリッド処理で用いるホストを、場所優先で選択するか、タイムゾーン優先で選択するか、機能優先で選択するかを設定することが可能になっている。ステップ1301でスキャンジョブに対してグリッド処理の指定がされていると判断すると、ステップ1302で場所優先モードが設定されているかどうかを判断する。場所優先モードが判断されていると、ステップ1303でジョブを投入したユーザ名を判断し、図12で説明したユーザ名と設置場所の対応づけから、ユーザがどの場所に属しているかを判断し、判断された場所からグリッドグループを選択する。次に、ステップ1308で、選択されたグループに属しているホストの中で、図7で説明した対応関係によりGridを使うになっているホストを選択し、Brokerにジョブと処理用のプログラムを投入する。例えばUser2はSection−J2に対応づけられていてグループBとしてグループ化されているので、User2の人がグリッドジョブを投入した場合は、グループBが選択されることになる。次に、ステップ1302で場所優先モードでないと判断されればステップ1304でタイムゾーン優先モードかどうかを判断し、タイムゾーン優先モードと判断した場合は、現在の時刻を調べ、空きCPU資源が多そうなタイムゾーンが設定されているグループを選択する。例えば、現在の時刻がタイムゾーンGMT+9で、午後4時だった場合は、そのタイムゾーン内のCPU資源はそのオフィス内で比較的使用されているに違いないと判断し、その時間が深夜になるタイムゾーンがGMT−5のグループCを選択する。次に、ステップ1308で、選択されたグループに属しているホストの中で、図7で説明した対応関係によりGridを使うになっているホストを選択し、Brokerにジョブと処理用のプログラムを投入する。
【0076】
次に、ステップ1304でタイムゾーン優先モードでないと判断した場合は、ステップ1306で機能優先モードがどうかを判断し、機能優先モードと判断した場合は、指定されたジョブで使用する処理がハード的に高速に処理可能なグループを選択する。例えば、色調整処理に対して、色調整処理用のハード処理を持っている画像形成装置のコントローラをグリッド資源として使用することで、通常のPCを用いてグリッド処理を行うよりも高速に処理が可能になる。次に、ステップ1308で、選択されたグループに属しているホストの中で、図7で説明した対応関係によりGridを使うになっているホストを選択し、Brokerにジョブと処理用のプログラムを投入する。
【0077】
次に、ステップ1306で機能優先モードでないと判断すると、ステップ1309で、登録されているホストでGridを使うになっているホストを選択し、Brokerniジョブと処理用のプログラムを投入する。この後の画像処理結果を収集する処理は通常のグリッドのフレームワークと同じであるので説明を割愛する。
【0078】
前述した例では、場所、タイムゾーン、機能の順に判断を行ったが、別の順番で比較を行ってもよい。また、場所、タイムゾーン、機能は、あくまでグループ分けを行う際の例であり、他のグループ分けにより、最適なグリッドグループを求めても一向に差し支えない。また、前述した例では、選択したグリッドグループを用いて自動的に最適と判断したホストにグリッド処理を依頼したが、ジョブを投入したときに、選択したグリッドグループを表示して、ユーザに確認を促し、OKだったときに選択したグリッドグループに属するホストを用いてグリッド処理を行っても構わない。また、表示したグリッドグループとは別のグリッドグループを操作部で選択させて、選択したグループに属するホストを用いてグリッド処理を行わせても構わない。
【0079】
以上、このようにすれば画像形成装置の操作パネルから、グリッド処理の実行を行う場合に、投入したジョブの種類や、投入した時間帯、投入したユーザに対して最適なグリッドグループを用いてグリッド処理を行えるようになるので、グリッド処理を効率良く、高速に、管理を行いやすく実行することが可能なる。
【0080】
以上述べたグリッド用の制御プログラムをここでは画像形成装置にもたせた構成にしたが、グリッド構成する要素はそれぞれ独立させてサーバや他のPCに持たせたとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】背景技術のグリッドコンピューティングの構成を示す図である。
【図2】背景技術のPDL処理に適用した場合の構成を示す図である
【図3】画像形成装置の概観を示す図である。
【図4】画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。
【図5】第一の実施例の処理を示すフローチャートである。
【図6】第一の実施例のユーザインタフェースを示す図である。
【図7】第一の実施例のユーザインタフェースを示す図である。
【図8】第一の実施例の処理を示すフローチャートである。
【図9】第一の実施例の複写機でスキャンした画像に適用した場合の構成図である。
【図10】第一の実施例のジョブ実行のフローチャートである。
【図11】第二の実施例の分散処理適用のためのグループ化を示す図である。
【図12】第二の実施例のユーザとセクションの対応づけを示す図である。
【図13】第二の実施例のジョブ実行のフローチャートである。
【符号の説明】
【0082】
001 ホストコンピュータ
101 画像形成装置全体
102 プリンタコントローラ全体
103 プリンタエンジン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリッドコンピューティングによる負荷分散可能なシステム(以下グリッドと省略)と、前記グリッドに対してジョブを依頼する画像形成装置から構成される、画像処理システムにおいて、
ジョブの実行条件として、直ちにジョブの実行を要求する第1のモードか、後でジョブを実行してもかまわない第2のモードかを指定するジョブモード指定手段を有し、前記第1のモードが指定された場合は、直ちに前記グリッドに対してジョブの実行を依頼し、前記第2のモード指定された場合は、画像形成装置に入力された画像を保存し、ジョブの依頼が可能になったときに、前記保存した画像に対してグリッドを用いた処理を行うことを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
請求項1の画像処理システムにおいて、前記グリッドを構成する複数の装置の構成情報やステータス情報を定期的に取得する手段を有し、前記第2のモードが指定された場合は、前記取得した情報を元に、前記グリッドに対してジョブの実行指示タイミングを判断し、前記判断したタイミングでグリッドに対してジョブを依頼することを特徴とする画像処理システム。
【請求項3】
請求項2の画像処理システムにおいて、前記第2のモードが指定された場合は、前記取得した情報を元に、依頼するジョブに対して十分なパフォーマンスが得られるかどうかを判断し、パフォーマンスが得られると判断したときに、ジョブの実行指示を行うことを特徴とする画像処理システム。
【請求項4】
請求項1の画像処理システムにおいて、前記第2のモードが指定された場合に、あらかじめ指定された時間にグリッドに対してジョブを依頼することを特徴する画像処理システム。
【請求項5】
グリッドコンピューティングによる負荷分散可能なシステム(以下グリッドと省略)と、前記グリッドに対してジョブを依頼する画像形成装置から構成される、画像処理システムにおいて、
グリッドを構成する装置をグループ化する手段を有し、グリッドに対してジョブを依頼したときに、グループ化したグリッドの中から最適なグリッドグループを求め、求めたグリッドグループに属している装置を用いてグリッド処理を行うことを特徴とする画像処理システム。
【請求項6】
請求項5の画像処理システムにおいて、グループ化したグリッドに対して優先度を設定する手段を有し、前記グリッドに対してジョブを依頼する時に、高優先度のグループから優先的にグリッドグループを選択することを特徴とする画像処理システム。
【請求項7】
請求項5の画像処理システムにおいて、グリッドを構成しているホストの設置場所あるいは、ホストが属している部、課などのセクション毎にグループ化を行うことを特徴とする画像処理システム。
【請求項8】
請求項7の画像処理システムにおいて、ジョブを投入するユーザに対応したユーザが属している前記場所または前記セクションを対応づける手段を有し、前記グリッドに対してジョブを依頼する時に、前記ユーザに対応づけられた場所またはセクションに対応づけられたグループに属しているホストを使用して、グリッド処理を行うことを特徴とする画像処理システム。
【請求項9】
請求項5の画像処理システムにおいて、グリッドを構成しているホストをタイムゾーン毎にグループ化する手段を有し、前記グリッドに対してジョブを依頼する時に、タイムゾーンによりグループ化したグリッドグループから最適なグループを選択することを特徴とする画像処理システム。
【請求項10】
請求項5の画像処理システムにおいて、グリッドを構成しているホストを特定のハードウエアを有するホスト毎にグループ化する手段を有し、前記グリッドに対してジョブを依頼する時に、特定のハードウエアを有するホスト毎にグループ化したグリッドグループから最適なグループを選択することを特徴とする画像処理システム。
【請求項11】
請求項10の画像処理システムにおいて、特定のハードウエアを有するホストは、画像形成装置であることを特徴とする画像処理システム。
【請求項1】
グリッドコンピューティングによる負荷分散可能なシステム(以下グリッドと省略)と、前記グリッドに対してジョブを依頼する画像形成装置から構成される、画像処理システムにおいて、
ジョブの実行条件として、直ちにジョブの実行を要求する第1のモードか、後でジョブを実行してもかまわない第2のモードかを指定するジョブモード指定手段を有し、前記第1のモードが指定された場合は、直ちに前記グリッドに対してジョブの実行を依頼し、前記第2のモード指定された場合は、画像形成装置に入力された画像を保存し、ジョブの依頼が可能になったときに、前記保存した画像に対してグリッドを用いた処理を行うことを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
請求項1の画像処理システムにおいて、前記グリッドを構成する複数の装置の構成情報やステータス情報を定期的に取得する手段を有し、前記第2のモードが指定された場合は、前記取得した情報を元に、前記グリッドに対してジョブの実行指示タイミングを判断し、前記判断したタイミングでグリッドに対してジョブを依頼することを特徴とする画像処理システム。
【請求項3】
請求項2の画像処理システムにおいて、前記第2のモードが指定された場合は、前記取得した情報を元に、依頼するジョブに対して十分なパフォーマンスが得られるかどうかを判断し、パフォーマンスが得られると判断したときに、ジョブの実行指示を行うことを特徴とする画像処理システム。
【請求項4】
請求項1の画像処理システムにおいて、前記第2のモードが指定された場合に、あらかじめ指定された時間にグリッドに対してジョブを依頼することを特徴する画像処理システム。
【請求項5】
グリッドコンピューティングによる負荷分散可能なシステム(以下グリッドと省略)と、前記グリッドに対してジョブを依頼する画像形成装置から構成される、画像処理システムにおいて、
グリッドを構成する装置をグループ化する手段を有し、グリッドに対してジョブを依頼したときに、グループ化したグリッドの中から最適なグリッドグループを求め、求めたグリッドグループに属している装置を用いてグリッド処理を行うことを特徴とする画像処理システム。
【請求項6】
請求項5の画像処理システムにおいて、グループ化したグリッドに対して優先度を設定する手段を有し、前記グリッドに対してジョブを依頼する時に、高優先度のグループから優先的にグリッドグループを選択することを特徴とする画像処理システム。
【請求項7】
請求項5の画像処理システムにおいて、グリッドを構成しているホストの設置場所あるいは、ホストが属している部、課などのセクション毎にグループ化を行うことを特徴とする画像処理システム。
【請求項8】
請求項7の画像処理システムにおいて、ジョブを投入するユーザに対応したユーザが属している前記場所または前記セクションを対応づける手段を有し、前記グリッドに対してジョブを依頼する時に、前記ユーザに対応づけられた場所またはセクションに対応づけられたグループに属しているホストを使用して、グリッド処理を行うことを特徴とする画像処理システム。
【請求項9】
請求項5の画像処理システムにおいて、グリッドを構成しているホストをタイムゾーン毎にグループ化する手段を有し、前記グリッドに対してジョブを依頼する時に、タイムゾーンによりグループ化したグリッドグループから最適なグループを選択することを特徴とする画像処理システム。
【請求項10】
請求項5の画像処理システムにおいて、グリッドを構成しているホストを特定のハードウエアを有するホスト毎にグループ化する手段を有し、前記グリッドに対してジョブを依頼する時に、特定のハードウエアを有するホスト毎にグループ化したグリッドグループから最適なグループを選択することを特徴とする画像処理システム。
【請求項11】
請求項10の画像処理システムにおいて、特定のハードウエアを有するホストは、画像形成装置であることを特徴とする画像処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−48273(P2006−48273A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−226643(P2004−226643)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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