説明

画像処理プログラム、画像処理装置、および撮像装置

【課題】 複数のディジタル画像の位置合わせにおいて、局所解に陥る可能性を低減しつつ、高精度な位置合わせを実現すること。
【解決手段】 2つの画像の位置合わせをコンピュータで実現するための画像処理プログラムであって、2つの画像を取得する取得ステップと、複数のパラメータを用いて、位置合わせに関する評価値を、2つの画像に基づいて算出する算出ステップと、複数のパラメータのそれぞれの重みを設定する設定ステップと、設定ステップにおいて設定された異なるパラメータを用いて算出ステップにおいて算出された複数の評価値を比較して、2つの画像の相対的な位置を検出する検出ステップとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの画像の重ね合わせをコンピュータで実現するための画像処理プログラム、2つの画像の重ね合わせを行う画像処理装置、およびその画像処理装置を備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、高解像度化などを目的として、複数のディジタル画像の重ね合わせが行われている。このような重ね合わせに際しては、複数の画像を正確に位置合わせすることが重要である。そこで、位置合わせに関する技術について、画像処理への適用内容に応じて、高速な手法や高精度な手法など、様々なものが考えられている。例えば、非特許文献1では、高精度な手法の一例として、幾何変換のパラメータを非線形最小二乗法により算出する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した技術は、高精度な位置合わせが可能であるため、非常に有効である。しかし、非線形最小二乗法を利用した解の算出過程において、局所解に陥る可能性がある。このような問題を解決するためには、パラメータの初期値や収束条件を適切に調整することが必要である。
【0004】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、複数のディジタル画像の位置合わせにおいて、局所解に陥る可能性を低減しつつ、高精度な位置合わせを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の画像処理プログラムは、2つの画像の位置合わせをコンピュータで実現するための画像処理プログラムであって、前記2つの画像を取得する取得ステップと、複数のパラメータを用いて、前記位置合わせに関する評価値を、前記2つの画像に基づいて算出する算出ステップと、前記複数のパラメータのそれぞれの重みを設定する設定ステップと、前記設定ステップにおいて設定された異なる前記パラメータを用いて前記算出ステップにおいて算出された複数の前記評価値を比較して、前記2つの画像の相対的な位置を検出する検出ステップとを備える。
【0006】
なお、前記複数のパラメータは、前記位置合わせに関して異なる特性を有するパラメータを含んでも良い。
【0007】
また、前記複数のパラメータは、前記位置合わせにおける並進方向の変化に関するパラメータと、前記位置合わせにおける回転方向の変化に関するパラメータと、前記位置合わせにおける拡大縮小に関するパラメータとのうち少なくとも2つのパラメータを含んでも良い。
【0008】
また、前記複数のパラメータは、前記2つの画像を幾何変換するためのパラメータであり、前記算出ステップでは、前記複数のパラメータを用いて前記2つの画像の少なくとも一方を幾何変換した後に、前記評価値を算出しても良い。
【0009】
また、前記設定ステップでは、前記2つの画像が生成された際の撮影条件と、前記2つの画像に含まれる主要被写体に関する情報との少なくとも一方に基づいて、前記重みを設定しても良い。
また、前記2つの画像から、特定の領域の画像を抽出する抽出ステップを備え、前記算出ステップでは、前記複数のパラメータを用いて、前記評価値を、前記抽出ステップにおいて抽出した画像に基づいて算出しても良い。
なお、上記発明に関する構成を、2つの画像の位置合わせを行う画像処理装置に変換して表現したものも本発明の具体的態様として有効である。また、その画像処理装置を備えた撮像装置も本発明の具体的態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数のディジタル画像の位置合わせにおいて、局所解に陥る可能性を低減しつつ、高精度な位置合わせを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一の実施形態に係る画像処理方法をコンピュータ10へ適用した場合の概念図である。
【図2】本発明の一の実施形態におけるCPU1の動作を示す流れ図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の一の実施形態に係る画像処理方法をコンピュータ10へ適用した場合の概念図である。
【0013】
図1に示すコンピュータ10は、CPU1、記憶部2、入出力インタフェース(入出力I/F)3およびバス4から構成され、CPU1、記憶部2および入出力I/F3は、バス4を介して情報伝達可能に接続される。また、コンピュータ10には、入出力I/F3を介して、画像処理の途中経過や処理結果を表示する出力装置20、ユーザからの入力を受け付ける入力装置30がそれぞれ接続される。出力装置20には、一般的な液晶モニタやプリンタ等を用いることができ、入力装置30には、キーボードやマウス等をそれぞれ適宜選択して使用できる。
【0014】
CPU1は、入力装置30で受け付けたユーザからの指示に基づいて、記憶部2に記憶されている画像処理プログラムを読み込み、記憶部2に記憶されている画像に対する画像処理を行う。CPU1は、その画像処理の結果を、必要に応じて出力装置20に表示する。CPU1には、一般的な中央演算装置を用いることができる。
【0015】
記憶部2に記憶される画像データやプログラム等は、バス4を介して、CPU1から適宜参照することができる。記憶部2には、一般的なハードディスク装置、光磁気ディスク装置等の記憶装置を選択して用いることができる。なお、図1の記憶部2は、コンピュータ10に組み込まれているが、外付けの記憶装置でも良い。この場合、記憶部2は、入出力I/F3を介してコンピュータ10に接続される。
【0016】
上記構成のコンピュータ10において、複数の画像の位置合わせを行う際のCPU1の動作について、図2の流れ図を参照して説明する。以下では、上述した非特許文献1に開示されているLevenberg-Marquardt法における非線形最小二乗法を用いた位置合わせを例に挙げて説明する。また、記憶部2には、位置合わせの対象となる複数の画像の画像データが予め記憶されているものとする。
【0017】
ステップS1において、CPU1は、入力装置30を介したユーザ指示にしたがって、第1の画像を取得する。第1の画像は、位置合わせの対象となる画像のうち、一方の画像である。
【0018】
ステップS2において、CPU1は、入力装置30を介したユーザ指示にしたがって、第2の画像を取得する。第2の画像は、位置合わせの対象となる画像のうち、他方の画像である。なお、第1の画像と第2の画像とは、時系列上で隣接する2画像である。位置合わせの対象が3つ以上の画像である場合には、それらの画像のうち、時系列上で隣接する2つの画像をそれぞれ第1の画像および第2の画像とする。
【0019】
ステップS3において、CPU1は、ステップS1で取得した第1の画像から、特定領域の画像を抽出する。特定領域とは、第1の画像の全画素、もしくは、一部の領域の画素からなる領域である。特定領域は、入力装置30を介したユーザ指示により指定されても良いし、CPU1により自動で指定されても良い。例えば、CPU1は、主要被写体抽出の結果に応じて特定領域を指定しても良いし、隣接画素との差分値が所定の閾値以上の画素からなる領域を特定領域としても良い。
【0020】
ステップS4において、CPU1は、幾何変換式を指定する。ここでは以下の式1に示す幾何変換式を指定する場合を例に挙げて説明する。
【0021】
【数1】

【0022】
式1は、pからpの6つのパラメータで示されるアフィン変換式である。なお、CPU1は、式1以外の幾何変換式を指定しても良い。例えば、8つのパラメータで示される幾何変換式を指定しても良い。
【0023】
ステップS5において、CPU1は、ステップS4で指定した幾何変換式におけるパラメータを決定する。初回には、CPU1は、パラメータを初期値とする。例えば、CPU1は、パラメータpからpを全てゼロとする。なお、この初期値は一例である。一般に、非線形最小二乗法で得られる解は初期パラメータの影響を受ける。そのため、位置合わせの対象が3つ以上の画像である場合には、前の画像での位置合わせの結果を加味して初期値を決定することにより、より好適な初期値を決定し、効率の良い位置合わせを実現することができる。
【0024】
2回目以降のパラメータの決定(更新)については、後述する。
【0025】
ステップS6において、CPU1は、ステップS3で抽出した特定領域の画像を、ステップS4で指定した幾何変換式に基づいて、幾何変換する。このとき、CPU1は、ステップS5で決定したパラメータにしたがって、幾何変換を行う。
【0026】
ステップS7において、CPU1は、ステップS6で幾何変換を行った第1の画像とステップS2で取得した第2の画像とに基づいて、評価値ΔEを算出する。評価値ΔEは、位置合わせの状態を示す評価値であり、以下の式2により求められる。
【0027】
【数2】

【0028】
式2において、A(f(x,y;p))は、ステップS6で幾何変換を行った第1の画像を示し、B(x,y)は、ステップS2で取得した第2の画像を示す。また、nは、ステップS3で抽出した特定領域に含まれる画素数を示す。
【0029】
このようにして算出される評価値ΔEは、その値が小さいほど位置合わせの合致度が高くなる。したがって、位置合わせの処理は、この評価値ΔEが最小となるパラメータを求める処理と置き換えることができる。
【0030】
ステップS8において、CPU1は、ステップS5で決定したパラメータに基づいて、ヤコビアン行列を算出する。ヤコビアン行列は、以下の式3により求められる。
【0031】
【数3】

【0032】
ステップS9において、CPU1は、ステップS2で取得した第2の画像の微分画像を作成する。CPU1は、x方向およびy方向のそれぞれについて、隣接画像との差分を求めることにより微分画像を作成する。微分画像∇Bは、以下の式4により求められる。
【0033】
【数4】

【0034】
ステップS10において、CPU1は、ステップS8で算出したヤコビアン行列と、ステップS9で作成した微分画像とに基づいて、ヘッシアン行列を算出する。ヘッシアン行列は、以下の式5により求められる。
【0035】
【数5】

【0036】
ステップS11において、CPU1は、ステップS7で算出した評価値ΔEの値が、前回算出した評価値ΔEの値よりも減少しているか否かを判定する。CPU1は、ステップS7で算出した評価値ΔEの値が、前回算出した評価値ΔEの値よりも減少していると判定すると、位置合わせが収束方向に進んでいると判断してステップS12に進む。一方、ステップS7で算出した評価値ΔEの値が、前回算出した評価値ΔEの値よりも減少していないと判定すると、位置合わせが収束方向に進んでいないと判断して、CPU1は、後述するステップS13に進む。
【0037】
ステップS12において、CPU1は、位置合わせが収束方向に進んでいることを前提としたパラメータ修正値Δpを算出する。パラメータ修正値Δpは、以下の式6および式7により求められる。
【0038】
【数6】

【0039】
【数7】

【0040】
なお、式6中のσの初期値は、非特許文献1に開示されているLevenberg-Marquardt法によれば、0.01程度である。CPU1は、式6にしたがってHLMを算出する際に、式6中のσを1/10倍する。なお、式6中のσは、評価値ΔEの収束度合いに応じて、式6中の行列の対角行列を調整するための係数である。この対角行列が小さくなると、Levenberg-Marquardt法は、一般的なGauss-Newton法となる。一方、対角行列が大きくなると、最急降下の方向に解に近づく。
【0041】
また、評価値ΔEの収束度合いに応じて、式6中のσの変化量を変更させても良い。例えば、評価値ΔEが過去最小値となった場合には、上述した1/10倍に代えて1/5倍としたり、評価値ΔEが前回算出した評価値ΔEと比べて小さくなった場合には、上述した1/10倍に代えて1/2倍としたりすることで、収束精度をさらに高めることができる。
【0042】
ステップS13において、CPU1は、位置合わせが収束方向に進んでいないことを前提としたパラメータ修正値Δpを算出する。パラメータ修正値Δpの算出は、上述したステップS12と同様に行う。ただし、CPU1は、式6にしたがってHLMを算出する際に、Levenberg-Marquardt法によれば、式6中のσを10倍する。CPU1は、パラメータ修正値Δpを算出すると、上述したステップS5に戻る。
【0043】
なお、ステップS12と同様に、評価値ΔEの収束度合いに応じて、式6中のσの変化量を、例えば、「2倍」や「5倍」のように変更させることにより、収束精度をさらに高めることができる。
【0044】
ステップS14において、CPU1は、ステップS12で算出したパラメータ修正値Δpの値が、所定の閾値εよりも小さいか否かを判定する。CPU1は、ステップS12で算出したパラメータ修正値Δpの値が、所定の閾値εよりも小さいと判定すると、位置合わせが収束したと判断する。そして、CPU1は、ステップS11で算出した評価値ΔEに相当するパラメータを記憶し、一連の処理を終了する。
一方、ステップS12で算出したパラメータ修正値Δpの値が、所定の閾値εよりも大きいと判定すると、位置合わせが収束していないと判断して、CPU1は、上述したステップS5に戻る。
【0045】
次に、ステップS5における2回目以降のパラメータの決定(更新)について説明する。基本的には、ステップS5における2回目以降のパラメータの決定を行う際に、CPU1は、前回決定したパラメータと、ステップS12またはステップS13で算出したパラメータ修正値Δpとにしたがって、新たなパラメータを決定する。
【0046】
なお、2回目以降のパラメータの決定において、パラメータ(パラメータpからp)を適切に変更することにより、解に正確かつ早く行き着くことができる。そこで、本実施形態では、パラメータの特性を考慮して、各パラメータの重みを調整することにより、好適な位置合わせを実現する。
【0047】
本実施形態では、6つのパラメータ(パラメータpからp、式1参照)を用いているため、式3に示したヤコビアン行列は、以下の式8のようになる。
【0048】
【数8】

【0049】
そのため、式6で説明したσの影響を受けるパラメータを、画素位置を表すx,yに依存する項と依存しない項とに分けることができる。式6は、2つの画像の位置合わせを目的とした幾何変換式である。したがって、パラメータpからpは、x方向およびy方向への並進の項と、それ以外の回転を含む項とに分けることができる。より具体的には、式6において、パラメータpからpは、回転方向の変化に関わる項であり、パラメータpは、x方向の並進に関わる項であり、パラメータpは、y方向の並進に関わる項である。すなわち、それぞれの項の変動が、幾何変換後の画像に与える影響は異なる。
【0050】
例えば、x方向の並進に関わる項であるパラメータp=1の場合、幾何変換後の画像はx方向に1画素ずれるだけである。しかし、回転方向の変化に関わる項であるパラメータp=1の場合、幾何変換後の画像は90度回転する。
よって、σの値を一律に変化させるよりも、6つのパラメータ(パラメータpからp)ごとにσを変化させる方が、解が収束しやすくなることが予想される。すなわち、各パラメータの特性と、位置合わせの対象となる画像の特徴とを鑑みて、幾何変換後の画像への影響が大きいと推測できるパラメータの重み(≒σ)を大きくして重視し、幾何変換後の画像への影響が小さいと推測できるパラメータの重み(≒σ)を小さくすることにより、解に正確かつ早く行き着くように制御することができる。
【0051】
例えば、手持ち(三脚なし)の電子カメラで生成した連写画像を例に挙げて説明する。通常、手持ちの連写撮影では、x方向およびy方向への手ぶれは発生しやすいが、回転方向の手ぶれは発生しにくい。そこで、位置合わせの対象が手持ちの電子カメラで生成した連写画像である場合には、回転方向の変化に関わる項であるパラメータpからpの重み(≒σ)を小さくあるいは、0とし、x方向およびy方向の並進に関わる項であるパラメータpおよびpの重み(≒σ)を大きくして重視する。
【0052】
このような各パラメータの重みの決定は、入力装置30を介したユーザ指示により行われても良いし、CPU1により自動で行われても良い。例えば、CPU1は、ステップS1およびステップS2で取得した第1の画像および第2の画像が生成された際の撮影条件に基づいて、各パラメータの重みを決定しても良い。また、例えば、CPU1は、ステップS1およびステップS2で取得した第1の画像および第2の画像を解析し、各画像に含まれる主要被写体に関する情報に基づいて、各パラメータの重みを決定しても良い。主要被写体に関する情報は、例えば、公知の被写体認識やシーン解析などにより得ることができる。何れの手法においても、各パラメータの特性に鑑み、そのパラメータの影響が大きいものに関しては重みを多くし、影響が小さいものに関しては重みを小さくすれば良い。
【0053】
以上説明したように、本実施形態によれば、複数のパラメータを用いて、位置合わせに関する評価値を、2つの画像に基づいて算出するとともに、複数のパラメータのそれぞれの重みを設定する。そして、設定された異なるパラメータを用いて算出された複数の評価値を比較して、2つの画像の相対的な位置を検出する。したがって、影響の少ないパラメータや、局所解に陥りやすそうなパラメータを予め除外することができる。そのため、複数のディジタル画像の位置合わせにおいて、局所解に陥る可能性を低減しつつ、高精度な位置合わせを実現することができる。
また、本実施形態によれば、複数のパラメータは、位置合わせに関して異なる特性を有するパラメータを含み、位置合わせにおける並進方向の変化に関するパラメータと、位置合わせにおける回転方向の変化に関するパラメータとを含む。したがって、これらのパラメータのうち、影響の少ないパラメータを適宜調整することにより、局所解に陥る可能性を低減しつつ、高精度な位置合わせを実現することができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、2つの画像が生成された際の撮影条件と、2つの画像に含まれる主要被写体に関する情報との少なくとも一方に基づいて、重みを設定する。したがって、位置合わせの対象となる画像に応じて、パラメータを最適化することにより、局所解に陥る可能性を低減しつつ、高精度な位置合わせを実現することができる。
【0055】
また、本実施形態によれば、2つの画像から、特定の領域の画像を抽出し、評価値を算出する際には、複数のパラメータを用いて、抽出した画像に基づいて評価値を算出する。したがって、処理の負荷を軽減するとともに、処理に要する時間を短縮することができる。
【0056】
なお、本実施形態で説明した位置合わせの手法(非特許文献1に開示されているLevenberg-Marquardt法)は一例であり、本発明はこの例に限定されない。例えば、本実施形態で説明した6つのパラメータ(パラメータpからp)に代えて、並進方向の変化に関するパラメータと、回転方向の変化に関するパラメータと、拡大縮小に関するパラメータとを含む8つのパラメータを用いて、位置合わせのための評価値を算出する手法にも本発明を同様に適用することができる。また、位置合わせに関して異なる特性を有するパラメータを含む複数のパラメータを用いて、位置合わせのための評価値を算出する他の手法にも本発明を同様に適用することができる。
また、本実施形態では、位置合わせの対象となる画像は、RAW画像、RGB画像、YCbCr画像、JPEG画像など、どのような画像であっても良い。例えば、RGB画像においては、G成分が最も画像の構造を良く表していると考え、G成分のみを対象として上述した処理を行っても良い。また、例えば、YCbCr画像においては、Y成分が最も画像の構造を良く表していると考え、Y成分のみを対象として上述した処理を行っても良い。また、複数成分に対して独立に上述した処理を施し、その結果を総合して全体的な位置合わせの処理を行う構成としても良い。
また、本実施形態では、2つの画像の位置合わせを行うコンピュータ10を例に挙げて説明したが、本発明はこの例に限定されない。図2に示した流れ図の処理の一部または全部を実行するための画像処理プログラムも本発明の具体的態様として有効である。この画像処理プログラムは、媒体に記録されたものであっても良いし、インターネット上のサーバに記録され、インターネットを介してダウンロード可能なものであっても良い。
【0057】
また、本実施形態で説明した処理を行う撮像装置も本発明の具体的態様として有効である。このような撮像装置においては、撮像により生成した複数の画像の位置合わせにおいて、本実施形態で説明した処理を行うことにより、同様の効果を得ることができる。なお、撮像装置に適用する際には、位置合わせの対象となる画像は、連写画像でも良いし、動画像(構図確認用のいわゆるスルー画像を含む)の一部の画像でも良い。
【符号の説明】
【0058】
1…CPU,2…記憶部,10…コンピュータ,20…出力装置,30…入力装置
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0059】
【非特許文献1】“Lucas-Kanade 20 Years On: A Unifying Framework: Part 1” Simon Baker and Ian Matthews

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの画像の位置合わせをコンピュータで実現するための画像処理プログラムであって、
前記2つの画像を取得する取得ステップと、
複数のパラメータを用いて、前記位置合わせに関する評価値を、前記2つの画像に基づいて算出する算出ステップと、
前記複数のパラメータのそれぞれの重みを設定する設定ステップと、
前記設定ステップにおいて設定された異なる前記パラメータを用いて前記算出ステップにおいて算出された複数の前記評価値を比較して、前記2つの画像の相対的な位置を検出する検出ステップと
を備えることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記複数のパラメータは、前記位置合わせに関して異なる特性を有するパラメータを含む
ことを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記複数のパラメータは、前記位置合わせにおける並進方向の変化に関するパラメータと、前記位置合わせにおける回転方向の変化に関するパラメータと、前記位置合わせにおける拡大縮小に関するパラメータとのうち少なくとも2つのパラメータを含む
ことを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項4】
請求項1に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記複数のパラメータは、前記2つの画像を幾何変換するためのパラメータであり、
前記算出ステップでは、前記複数のパラメータを用いて前記2つの画像の少なくとも一方を幾何変換した後に、前記評価値を算出する
ことを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項5】
請求項1に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記設定ステップでは、前記2つの画像が生成された際の撮影条件と、前記2つの画像に含まれる主要被写体に関する情報との少なくとも一方に基づいて、前記重みを設定する
ことを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項6】
請求項1に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記2つの画像から、特定の領域の画像を抽出する抽出ステップを備え、
前記算出ステップでは、前記複数のパラメータを用いて、前記評価値を、前記抽出ステップにおいて抽出した画像に基づいて算出する
ことを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項7】
2つの画像の位置合わせを行う画像処理装置であって、
前記2つの画像を取得する取得部と、
複数のパラメータを用いて、前記位置合わせに関する評価値を、前記2つの画像に基づいて算出する算出部と、
前記複数のパラメータのそれぞれの重みを設定する設定部と、
前記設定部により設定された異なる前記パラメータを用いて前記算出部により算出された複数の前記評価値を比較して、前記2つの画像の相対的な位置を検出する検出部と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像処理装置において、
前記複数のパラメータは、前記位置合わせに関して異なる特性を有するパラメータを含む
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像処理装置において、
前記複数のパラメータは、前記位置合わせにおける並進方向の変化に関するパラメータと、前記位置合わせにおける回転方向の変化に関するパラメータと、前記位置合わせにおける拡大縮小に関するパラメータとのうち少なくとも2つのパラメータを含む
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
請求項7に記載の画像処理装置において、
前記複数のパラメータは、前記2つの画像を幾何変換するためのパラメータであり、
前記算出部は、前記複数のパラメータを用いて前記2つの画像の少なくとも一方を幾何変換した後に、前記評価値を算出する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
請求項7に記載の画像処理装置において、
前記設定部は、前記2つの画像が生成された際の撮影条件と、前記2つの画像に含まれる主要被写体に関する情報との少なくとも一方に基づいて、前記重みを設定する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項12】
請求項7に記載の画像処理装置において、
前記2つの画像から、特定の領域の画像を抽出する抽出部を備え、
前記算出部は、前記複数のパラメータを用いて、前記評価値を、前記抽出部により抽出した画像に基づいて算出する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項13】
請求項7から請求項12のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
被写体像を撮像して画像を生成する撮像部とを備え、
前記取得部は、前記撮像部により生成された画像を前記2つの画像として取得する
ことを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−170482(P2010−170482A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14493(P2009−14493)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】