説明

画像処理回路及び画像形成装置

【課題】画像データの圧縮率向上を図る。
【解決手段】BTC圧縮部20Y〜20Kは、各色の入力データを複数のブロックに分割したブロック毎に、ブロック内での最小値及び最大値に基づいて、当該ブロックに属する入力データを階調データ(0〜7)に分類し、当該分類された階調データ、最小値データ及び最大値データを出力する。差分データ生成部30Y〜30Kは、階調データ、最小値データ、最大値データのそれぞれについて、一つ前のデータとの差分データを生成する。データ連結部40は、YMCK4色分の階調差分データについて、同一位置のデータ同士をビット連結し、YMCK4色分の最小値差分データ、最大値差分データのそれぞれについて、同一ブロックのデータ同士をビット連結する。ハフマン符号化部50は、データ連結部40によりビット連結された画像データに対し、ハフマン符号化処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理回路及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カラープリンタやカラー複写機等の画像形成装置が広く用いられている。画像形成装置では、処理の高速化を目的として、データを格納するHDD(Hard Disk Drive)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の記憶装置を複数並行動作させている。ハードウェア構成の単純化やコストダウンを図るためには、カラー画像データの圧縮技術が有効である。
【0003】
例えば、多値画像データをN×M画素のブロック毎に分割し、ブロック毎の画素データを一定の圧縮率で固定長圧縮し、固定長圧縮された複数の情報の一部を可変長圧縮する画像符号化装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
ここで、図11を参照して、従来の圧縮方法の一例について説明する。従来の圧縮部100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の色毎に、4画素×4画素のブロックに分割された画像データに対して圧縮処理を行う。圧縮部100は、BTC(Block Truncation Coding)圧縮部120Y,120M,120C,120K、差分データ生成部130Y,130M,130C,130K、データ連結部140Y,140M,140C,140K、ハフマン符号化部150Y,150M,150C,150Kを備える。なお、圧縮部100には、YMCK各色について、1CLK当たり8bitのデータが入力されるものとする。
【0005】
BTC圧縮部120Yは、ブロック毎に、当該ブロックに属するイエローの入力データ(8bit)の最小値及び最大値に基づいて、当該ブロックに属するイエローの入力データを予め定められた数の階調データに分類し、各入力データに対応する階調データ(3bit/CLK)と、最小値データ(8bit/16CLK)と、最大値データ(8bit/16CLK)とを出力する。
【0006】
差分データ生成部130Yは、BTC圧縮部120Yから出力された階調データについて、隣接する画素との差分を示す差分データを生成する。なお、差分データ生成部130Yは、最小値データ、最大値データについてはそのまま出力する。
【0007】
データ連結部140Yは、差分データ生成部130Yから出力された階調データの差分データについて、隣接する4画素分のデータ同士をビット連結する。ビット連結後の差分データのデータ量は、4CLK当たり12bitとなる。なお、データ連結部140Yは、最小値データ、最大値データについてはそのまま出力する。
【0008】
ハフマン符号化部150Yは、4CLK当たり12bitの連結階調データ、16CLK当たり8bitの最小値データ、及び、16CLK当たり8bitの最大値データに対し、ハフマン符号化処理を行う。
【0009】
BTC圧縮部120M,120C,120K、差分データ生成部130M,130C,130K、データ連結部140M,140C,140K、ハフマン符号化部150M,150C,150Kについては、BTC圧縮部120Y、差分データ生成部130Y、データ連結部140Y、ハフマン符号化部150Yと同様の構成であるため、説明を省略する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−94985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、従来の圧縮技術では、画像データの圧縮率において不十分な場合があった。そのため、さらなる圧縮率の向上が望まれている。
【0012】
本発明は上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、画像データの圧縮率向上を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数の色の多値データからなる画像データを色毎に固定長圧縮する第1圧縮手段と、当該固定長圧縮された各色の画像データの同一位置のもの同士をビット連結し、前記複数の色毎の画像データを一つの画像データとする連結手段と、当該ビット連結された画像データを可変長圧縮する第2圧縮手段と、を備える画像処理回路である。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理回路において、前記第1圧縮手段は、各色の画像データを複数のブロックに分割したブロック毎に、当該ブロックに属する多値データの最小値及び最大値に基づいて、当該ブロックに属する多値データを予め定められた数の階調データに分類し、当該分類された階調データ、前記最小値及び最大値を出力する。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像処理回路において、前記第1圧縮手段により固定長圧縮された各色の画像データについて、隣接する画素との差分を示す差分データを生成する差分データ生成手段を備え、前記連結手段は、当該生成された各色の差分データの同一位置のもの同士をビット連結する。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理回路において、前記第2圧縮手段による可変長圧縮は、ハフマン符号化処理である。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の画像処理回路を備える画像形成装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、固定長圧縮された各色の画像データの同一位置のもの同士をビット連結することにより、画像データの圧縮率向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成図である。
【図2】圧縮部の構成図である。
【図3】BTC圧縮部の構成図である。
【図4】(a)は、イエローの入力データの例である。(b)は、マゼンタの入力データの例である。(c)は、シアンの入力データの例である。(d)は、ブラックの入力データの例である。
【図5】(a)は、BTC圧縮部におけるイエローの入力データと階調データとの対応関係を示す図である。(b)は、BTC圧縮部におけるマゼンタの入力データと階調データとの対応関係を示す図である。(c)は、BTC圧縮部におけるシアンの入力データと階調データとの対応関係を示す図である。(d)は、BTC圧縮部におけるブラックの入力データと階調データとの対応関係を示す図である。
【図6】(a)は、BTC圧縮部から出力されるイエローの階調データ、最小値データ、最大値データを示す図である。(b)は、BTC圧縮部から出力されるマゼンタの階調データ、最小値データ、最大値データを示す図である。(c)は、BTC圧縮部から出力されるシアンの階調データ、最小値データ、最大値データを示す図である。(d)は、BTC圧縮部から出力されるブラックの階調データ、最小値データ、最大値データを示す図である。
【図7】差分データ生成部の構成図である。
【図8】(a)は、イエローの差分データを示す図である。(b)は、マゼンタの差分データを示す図である。(c)は、シアンの差分データを示す図である。(d)は、ブラックの差分データを示す図である。
【図9】ブロック内の各画素の位置を説明するための図である。
【図10】1ブロック分の連結階調データ、連結最小値データ、連結最大値データを示す図である。
【図11】従来の圧縮部の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。以下は本発明の一実施形態であって本発明を限定するものではない。
【0021】
図1に、本実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成を示す。図1に示すように、画像形成装置1は、スキャナ部2、画像処理部3、ラインブロック変換部4、圧縮部5、データ振り分け部6、HDD7a,7b,7c,7d、データ統合部8、伸長部9、ブロックライン変換部10、画像処理部11、画像形成部12を備える。ラインブロック変換部4、圧縮部5、データ振り分け部6、データ統合部8、伸長部9、ブロックライン変換部10は、それぞれASIC(Application Specific Integrated Circuit)により構成される。
【0022】
スキャナ部2は、光源、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、A/D変換器等により構成され、光源から原稿へ照明走査した光の反射光を結像して光電変換することにより原稿の画像をR(赤)G(緑)B(青)信号として読み取り、読み取った画像をA/D変換して画像処理部3に出力する。
【0023】
画像処理部3は、スキャナ部2から出力されたRGBデータを、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色からなる画像データ(YMCKデータ)に変換し、ラインブロック変換部4に出力する。本実施の形態では、画像処理部3は、RGBデータを、YMCK各色の256階調の多値データ(8bit)に変換する。
【0024】
ラインブロック変換部4は、YMCKの色毎に、画像データを4画素×4画素のブロックに分割する。具体的には、ラインブロック変換部4は、YMCKの色毎に、主走査方向のラインに沿った順序で並んでいる画像データを、ブロック単位の順序の並びに変換する。
【0025】
圧縮部5は、ラインブロック変換部4から出力された画像データに対して圧縮処理を行う。HDD7a,7b,7c,7dへの書き込み速度には限界があるため、HDD7a,7b,7c,7dへ書き込み可能なデータ量となるように画像データを圧縮する必要がある。本実施の形態では、各HDD7a,7b,7c,7dに対して1CLK当たり4bit、HDD7a,7b,7c,7d全体で1CLK当たり16bitが書き込み限界であることを前提としている。
【0026】
データ振り分け部6は、圧縮部5により圧縮された画像データをHDD7a,7b,7c,7dのそれぞれに振り分けて書き込む。
【0027】
HDD7a,7b,7c,7dは、データ振り分け部6により振り分けられた圧縮後の画像データを記憶する。
【0028】
データ統合部8は、HDD7a,7b,7c,7dに記憶されている画像データを読み出し、HDD7a,7b,7c,7dに振り分けられていた画像データを統合する。
【0029】
伸長部9は、データ統合部8により統合された画像データに対して伸長処理を行い、ブロックライン変換部10に出力する。
【0030】
ブロックライン変換部10は、YMCKの色毎に、4画素×4画素のブロック単位の順序で並んでいる画像データを、主走査方向のラインに沿った順序の並びに変換する。
【0031】
画像処理部11は、ブロックライン変換部10から出力されたYMCKデータに対し、スクリーン処理等の画像処理を行い、画像形成部12に出力する。
【0032】
画像形成部12は、感光ドラム、感光ドラムの帯電を行う帯電部、画像処理部11から出力されたYMCKデータに基づいて感光ドラム表面を露光する露光部、感光ドラムにトナーを付着させる現像部、感光ドラム上に形成されたトナー像を印刷用紙に転写する転写部、印刷用紙上に形成されたトナー像を定着させる定着部等から構成され、印刷用紙に画像形成を行う。
【0033】
図2に、圧縮部5の構成を示す。図2に示すように、圧縮部5は、BTC(Block Truncation Coding)圧縮部20Y,20M,20C,20K、差分データ生成部30Y,30M,30C,30K、データ連結部40、ハフマン符号化部50を備える。なお、圧縮部5には、YMCK各色について、1CLK当たり8bitのデータが入力されるものとする。すなわち、圧縮部5には、YMCK4色分で1CLK当たり32bitのデータが入力される。
【0034】
BTC圧縮部20Y,20M,20C,20Kは、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの多値データからなる画像データを固定長圧縮(1次圧縮)する第1圧縮手段である。固定長圧縮とは、一定の圧縮率で行われるデータ圧縮をいう。
【0035】
BTC圧縮部20Yは、イエローの画像データを複数のブロックに分割したブロック毎に、当該ブロックに属するイエローの入力データ(8bit)の最小値及び最大値に基づいて、当該ブロックに属するイエローの入力データを予め定められた数の階調データに分類し、当該分類された階調データ、最小値データ及び最大値データを出力する。本実施の形態においては、「予め定められた数」は「8」であり、BTC圧縮部20Yは、8bitの入力データを、3bitの階調データ(0〜7)に圧縮する。BTC圧縮部20Yは、イエローの入力データ(8bit/CLK)に対してBTC圧縮を施し、各入力データに対応する階調データ(3bit/CLK)と、最小値データ(8bit/16CLK)と、最大値データ(8bit/16CLK)とを出力する。
【0036】
ここで、図3を参照して、BTC圧縮部20Yの構成について説明する。図3に示すように、BTC圧縮部20Yは、シフトレジスタ21、最小値・最大値算出部22、階調データ演算部23、シフトレジスタ24を備える。
【0037】
シフトレジスタ21は、1CLKに1回入力される8bitの入力データを16個(4画素×4画素の1ブロック分)保持する。
最小値・最大値算出部22は、シフトレジスタ21に保持された1ブロック分の16個の入力データの中から最小値及び最大値を算出する。すなわち、最小値・最大値算出部22は、16CLKに1回8bitの最小値データと8bitの最大値データとを出力する。
【0038】
階調データ演算部23は、最小値・最大値算出部22により算出された最小値及び最大値に基づいて、最小値から最大値までの値を0〜7の階調データに分類し、シフトレジスタ21から出力された1ブロック分の16個の入力データのそれぞれがいずれの階調データに属するかに従って、3bitの階調データを出力する。
シフトレジスタ24は、階調データ演算部23により出力された3bitの階調データを16個保持し、1CLK当たり3bitの階調データを出力する。
【0039】
BTC圧縮部20M,20C,20Kについては、BTC圧縮部20Yと同様の構成であるため、図3を援用し、説明を省略する。なお、BTC圧縮部20M,20C,20Kを構成する各部についても、BTC圧縮部20Yと同一の符号を用いる。
【0040】
図4(a)〜(d)に、4画素×4画素のブロックを単位として、圧縮部5のBTC圧縮部20Y,20M,20C,20Kのそれぞれに入力されるイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの入力データ(画像データ)の例を示す。
【0041】
図4(a)の例では、ブロック内のイエローの入力データの最小値が10であり、最大値が66であるから、BTC圧縮部20Yの階調データ演算部23は、10〜66の間を7等分し、入力データが、7等分の区切りとなる18、26、34、42、50、58、最小値10、最大値66のうち、いずれの値に最も近いかに従って、0〜7の階調データを出力する。具体的には、BTC圧縮部20Yの階調データ演算部23は、図5(a)に示すように、入力データが10に最も近い場合、すなわち、入力データが10〜13の場合には、階調データ「0」を出力する。入力データが18に最も近い場合、すなわち、入力データが14〜21の場合には、階調データ「1」を出力する。入力データが26に最も近い場合、すなわち、入力データが22〜29の場合には、階調データ「2」を出力する。入力データが34に最も近い場合、すなわち、入力データが30〜37の場合には、階調データ「3」を出力する。入力データが42に最も近い場合、すなわち、入力データが38〜45の場合には、階調データ「4」を出力する。入力データが50に最も近い場合、すなわち、入力データが46〜53の場合には、階調データ「5」を出力する。入力データが58に最も近い場合、すなわち、入力データが54〜61の場合には、階調データ「6」を出力する。入力データが66に最も近い場合、すなわち、入力データが62〜66の場合には、階調データ「7」を出力する。
【0042】
図6(a)に、図4(a)に示すイエローの入力データがBTC圧縮部20Yに入力された場合に出力される階調データ、最小値データ、最大値データを示す。
【0043】
同様に、図4(b)〜(d)に示すマゼンタ、シアン、ブラックの入力データの例では、BTC圧縮部20M,20C,20Kの階調データ演算部23は、図5(b)〜(d)に示すように、入力データに対応する階調データを出力する。図6(b)〜(d)に、図4(b)〜(d)に示すマゼンタ、シアン、ブラックの入力データがBTC圧縮部20M,20C,20Kに入力された場合に出力される階調データ、最小値データ、最大値データを示す。
【0044】
BTC圧縮部20Y,20M,20C,20Kのそれぞれは、各色について、階調データ、最小値データ、最大値データ、合わせて1CLK当たり4bitのデータを出力する。すなわち、YMCK4色分では、1CLK当たり16bitのデータを出力する。前述したように、圧縮部5に入力されるデータは、YMCK4色分で1CLK当たり32bitであるから、BTC圧縮部20Y,20M,20C,20Kは、圧縮率50%の固定長圧縮を行うことになる。なお、圧縮率は、(圧縮後のデータ量)/(圧縮前のデータ量)×100(%)により求める。
【0045】
差分データ生成部30Y,30M,30C,30Kは、BTC圧縮部20Y,20M,20C,20Kから出力された階調データ、最小値データ、最大値データのそれぞれについて、一つ前のデータとの差分を示す差分データを生成し、データ連結部40に出力する。差分データ生成部30Y,30M,30C,30Kは、BTC圧縮部20Y,20M,20C,20Kにより固定長圧縮された各色の階調データについて、隣接する画素との差分を示す差分データを生成する。また、差分データ生成部30Y,30M,30C,30Kは、BTC圧縮部20Y,20M,20C,20Kから出力された最小値データ、最大値データについて、前のブロックにおける最小値データ、最大値データとの差分を示す差分データを生成する。
【0046】
ここで、図7を参照して、差分データ生成部30Yの構成について説明する。図7に示すように、差分データ生成部30Yは、レジスタ31、差分算出部32を備える。
【0047】
レジスタ31は、BTC圧縮部20Yから出力されたデータを1個保持する。
差分算出部32は、BTC圧縮部20Yから出力されたデータと、レジスタ31に保持されている一つ前のデータとの差分を算出する。具体的には、差分算出部32は、処理対象のデータから一つ前のデータを引いて差分データを生成する。
【0048】
差分データ生成部30M,30C,30Kについては、差分データ生成部30Yと同様の構成であるため、図示及び説明を省略する。
【0049】
図8(a)に、図6(a)に示すイエローの階調データ、最小値データ、最大値データの差分データを示す。具体的に、ブロック内で図9のP1の画素については、前のブロックのP16の画素との差分をとる。すなわち、P1の位置の階調データの差分データ(以下、階調差分データという。)は(P1の画素の階調データ)−(前のブロックのP16の画素の階調データ)である。同様に、図9のP2の画素については、差分データは(P2の画素の階調データ)−(P1の画素の階調データ)であり、図9のP3の画素については、差分データは(P3の画素の階調データ)−(P2の画素の階調データ)であり、図9のP4の画素については、差分データは(P4の画素の階調データ)−(P3の画素の階調データ)であり、図9のP5の画素については、差分データは(P5の画素の階調データ)−(P4の画素の階調データ)である。
【0050】
また、最小値データ、最大値データの差分データについては、前のブロックにおける最小値データ、最大値データとの差分をとる。例えば、最小値データの差分データ(以下、最小値差分データという。)は、(処理対象のブロックにおける最小値データ)−(前のブロックにおける最小値データ)である。また、最大値データの差分データ(以下、最大値差分データという。)は、(処理対象のブロックにおける最大値データ)−(前のブロックにおける最大値データ)である。
【0051】
同様に、図8(b)〜(d)に、図6(b)〜(d)に示すマゼンタ、シアン、ブラックの階調データ、最小値データ、最大値データの差分データを示す。
【0052】
なお、階調差分データが負の値である場合にも、3bitで表される。例えば、図8(b)のP13の位置の画素(図9参照)におけるマゼンタの階調差分データは「−1」であるが、この差分値は、「7」と同じ数値を用いる。すなわち、「7」という差分値は、「7」又は「−1」を意味する。図8(b)のP13の位置の画素における階調差分データ「−1」は、図6(b)のP13の位置の階調データが「2」、図6(b)のP12の位置の階調データ(一つ前の値)が「3」であることにより、算出されたものであるが、一つ前のデータが「3」である場合に、差分値が「7」ということはないため、差分値は「−1」を意味することとなる。
最小値差分データ及び最大値差分データについても、同様に、負の値である場合にも、8bitで表される。
【0053】
データ連結部40は、差分データ生成部30Y,30M,30C,30Kから出力されたYMCK4色分の階調差分データについて、各色のデータの同一位置のデータ同士をビット連結し、YMCKの色毎の画像データを一つの画像データとする連結手段である。具体的には、データ連結部40は、1CLK当たり3bitの階調差分データを4色分ビット連結して、1CLK当たり12bitの連結階調データを出力する。
【0054】
また、データ連結部40は、差分データ生成部30Y,30M,30C,30Kから出力されたYMCK4色分の最小値差分データ、最大値差分データのそれぞれについて、各色の同一ブロックのデータ同士をビット連結し、YMCKの色毎の画像データを一つの画像データとする。具体的には、データ連結部40は、16CLK当たり8bitの最小値差分データ、16CLK当たり8bitの最大値差分データのそれぞれを4色分ビット連結して、16CLK当たり32bitの連結最小値データ、16CLK当たり32bitの連結最大値データを出力する。
【0055】
図10に、図8(a)〜(d)の差分データに基づいて生成された、1ブロック分の連結階調データ、連結最小値データ、連結最大値データの例を示す。例えば、図9のP4の位置の画素について、イエローの階調差分データは1、マゼンタの階調差分データは2、シアンの階調差分データは0、ブラックの階調差分データは1である。図10においては、これらをビット連結した連結階調データを{1 2 0 1}と表記する。すなわち、{ }の記号は、四つの3bitデータ(1,2,0,1)をビット連結して、一つの12bitデータとすることを示している。
{1 2 0 1}は、データとしては、
1×(2^9)+2×(2^6)+0×(2^3)+1×(2^0)
となる。
【0056】
ハフマン符号化部50は、データ連結部40によりビット連結された画像データを可変長圧縮(2次圧縮)する第2圧縮手段である。可変長圧縮とは、データの構成によって圧縮率が異なる圧縮をいう。具体的には、ハフマン符号化部50は、データ連結部40によりビット連結された連結階調データ(12bit/CLK)、連結最小値データ(32bit/16CLK)、連結最大値データ(32bit/16CLK)に対し、ハフマン符号化処理を行う。ハフマン符号化処理とは、出現率が高いデータはビット数の小さいコードに変換し、出現率が低いデータはビット数の大きいコードに変換する可逆圧縮処理である。なお、ハフマン符号化部50においてハフマン符号化処理を行う前に、入力される画像データに基づいてハフマン符号化処理に用いるハフマンテーブルを最適化することが望ましい。
【0057】
[実験結果A:写真画像]
写真画像の例として、SCID(Standard Color Image Data:高精細カラーディジタル標準画像データ)チャートを用い、本実施の形態における圧縮方法(図2に示す圧縮部5により行われる圧縮方法)と、従来の圧縮方法(図11に示す圧縮部100により行われる圧縮方法)とを比較した。SCIDチャートは、印刷作業の標準化や符号化特性の評価等を目的として、国際標準化された標準画像データである。今回の実験では画像名称「ポートレート」というチャートを用いた。
【0058】
従来の圧縮方法では、BTC圧縮による圧縮率は(1/2.000)×100(%)、ハフマン符号化による圧縮率は(1/1.089)×100(%)であり、最終的な圧縮率は(1/2.000)×(1/1.089)×100=45.9(%)であった。これに対し、本実施の形態における圧縮方法では、BTC圧縮による圧縮率は(1/2.000)×100(%)、ハフマン符号化による圧縮率は(1/1.226)×100(%)であり、最終的な圧縮率は(1/2.000)×(1/1.226)×100=40.8(%)であった。実験結果Aによると、本実施の形態における圧縮方法を用いた方が、従来の圧縮方法より、データ量を低減させることができた。
【0059】
[実験結果B:文字画像]
文字画像の例として、Spencerチャートを用い、本実施の形態における圧縮方法(図2に示す圧縮部5により行われる圧縮方法)と、従来の圧縮方法(図11に示す圧縮部100により行われる圧縮方法)とを比較した。
【0060】
従来の圧縮方法では、BTC圧縮による圧縮率は(1/2.000)×100(%)、ハフマン符号化による圧縮率は(1/4.776)×100(%)であり、最終的な圧縮率は(1/2.000)×(1/4.776)×100=10.5(%)であった。これに対し、本実施の形態における圧縮方法では、BTC圧縮による圧縮率は(1/2.000)×100(%)、ハフマン符号化による圧縮率は(1/6.917)×100(%)であり、最終的な圧縮率は(1/2.000)×(1/6.917)×100=7.23(%)であった。実験結果Bによると、本実施の形態における圧縮方法を用いた方が、従来の圧縮方法より、データ量を低減させることができた。
【0061】
ただし、本実施の形態における圧縮方法によれば、従来の圧縮方法と比較して、どのような画像に対しても圧縮率が向上するというわけではない。しかし、BTC圧縮されたYMCKデータの同一位置のデータ同士をビット連結させ、ハフマン符号化する方法を用いて、多くの画像で実験を行った結果、圧縮率が向上する(圧縮後のデータ量が少なくなる)傾向があることが判明した。従来例では隣接する4画素単位で2次圧縮していたのに対し、本実施の形態では同一位置のYMCKデータのデータ同士をビット連結させて2次圧縮している。ビット連結後のデータは、いずれも12bitのデータであるが、YMCKデータをビット連結した1画素単位の方が、YMCK単独の4画素単位のデータと比較して、値が近いデータが連続する傾向が高いため、圧縮率が向上すると考えられる。
【0062】
以上説明したように、本実施の形態における画像形成装置1によれば、固定長圧縮された各色の画像データの同一位置のもの同士をビット連結することにより、画像データの圧縮率向上を図ることができる。したがって、HDDやDRAMの容量を減らすことができ、ハードウェア構成の単純化やコストダウンを図ることができる。
【0063】
また、画像データの差分データを扱うことにより、データ連結部40によりビット連結されて生成されるデータが互いにより近い値になる傾向となる。
【0064】
また、2次圧縮としてハフマン符号化処理を行うことにより、ブロック内に同一の値が多いほど圧縮後のデータ量を少なくすることができる。
【0065】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る画像処理回路及び画像形成装置の例であり、これに限定されるものではない。装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0066】
例えば、上記実施の形態では、固定長圧縮方法(1次圧縮)としてBTC圧縮を用いた場合を例にして説明したが、BTC圧縮に限らず、他の固定長圧縮方法を用いてもよい。
また、上記実施の形態では、可変長圧縮方法(2次圧縮)としてハフマン符号化を用いた場合を例にして説明したが、ハフマン符号化に限らず、算術符号化、シャノン符号化等、他の可変長圧縮方法を用いてもよい。ただし、画質の劣化を防止するために、2次圧縮は可逆圧縮であることが望ましい。
【0067】
また、上記実施の形態では、ラインブロック変換部4、圧縮部5、データ振り分け部6、データ統合部8、伸長部9、ブロックライン変換部10がASICにより構成されている場合について説明したが、各部をソフトウェアにより構成することとしてもよい。
【0068】
また、圧縮部5から差分データ生成部30Y,30M,30C,30Kを除いた構成としてもよい。その場合、データ連結部40は、同一位置の4色分の階調データ同士、同一ブロックの4色分の最小値データ同士、同一ブロックの4色分の最大値データ同士をビット連結すればよい。
【符号の説明】
【0069】
1 画像形成装置
2 スキャナ部
3 画像処理部
4 ラインブロック変換部
5 圧縮部
6 データ振り分け部
7a,7b,7c,7d HDD
8 データ統合部
9 伸長部
10 ブロックライン変換部
11 画像処理部
12 画像形成部
20Y,20M,20C,20K BTC圧縮部
21 シフトレジスタ
22 最小値・最大値算出部
23 階調データ演算部
24 シフトレジスタ
30Y,30M,30C,30K 差分データ生成部
31 レジスタ
32 差分算出部
40 データ連結部
50 ハフマン符号化部
100 圧縮部
120Y,120M,120C,120K BTC圧縮部
130Y,130M,130C,130K 差分データ生成部
140Y,140M,140C,140K データ連結部
150Y,150M,150C,150K ハフマン符号化部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の色の多値データからなる画像データを色毎に固定長圧縮する第1圧縮手段と、
当該固定長圧縮された各色の画像データの同一位置のもの同士をビット連結し、前記複数の色毎の画像データを一つの画像データとする連結手段と、
当該ビット連結された画像データを可変長圧縮する第2圧縮手段と、
を備える画像処理回路。
【請求項2】
前記第1圧縮手段は、各色の画像データを複数のブロックに分割したブロック毎に、当該ブロックに属する多値データの最小値及び最大値に基づいて、当該ブロックに属する多値データを予め定められた数の階調データに分類し、当該分類された階調データ、前記最小値及び最大値を出力する、
請求項1に記載の画像処理回路。
【請求項3】
前記第1圧縮手段により固定長圧縮された各色の画像データについて、隣接する画素との差分を示す差分データを生成する差分データ生成手段を備え、
前記連結手段は、当該生成された各色の差分データの同一位置のもの同士をビット連結する、
請求項1又は2に記載の画像処理回路。
【請求項4】
前記第2圧縮手段による可変長圧縮は、ハフマン符号化処理である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理回路。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の画像処理回路を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−171818(P2011−171818A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31259(P2010−31259)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】