説明

画像処理方法、画像処理装置及び画像処理プログラム

【課題】画像データに飛びがある場合でも、その画像データに適切な階調補正を行うことである。
【解決手段】複数画素の信号からなる画像データから画像のシーンを判別するシーン判別部710と、前記画像データから飽和画素数を取得する飽和画素数取得部740と、前記画像データの画素数に対する前記飽和画素数の比率を算出する飽和画素数比率算出部750と、前記シーン判別の結果及び前記飽和画素数の比率に基づいて、階調補正条件を決定する階調補正条件決定部730と、前記決定された階調補正条件を用いて、前記画像データに階調補正処理を施す階調補正部としての画像処理実行部760と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理を行う画像処理方法、画像処理装置及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルスチルカメラ(携帯電話やラップトップパソコン等の機器に組み込まれたものも含み、以下DSC(Digital Still Camera)と略称する。)が広く普及し、従来のカラー写真フィルムのシステムと同様に、ハードコピー画像として出力したり、CRT(Cathode Ray Tube)等の媒体に表示したり、CD−R(CD-recordable)等の記録媒体に記録するシステムが広く知られている。
【0003】
一般的にDSCで撮影された画像は、撮影時の露出調整の不備等により、そのままでは鑑賞する画像として最適な画像を得ることは出来ない場合が多い。このような問題点を解決するために、種々の提案がなされている。例えば、撮影画像データを解析する事により画像のシーンを判別し、その画像のシーンによって最適な画像処理を自動的に施す方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、弓形の階調補正曲線を用いて、画像データを階調補正する構成が考えられている(例えば、特許文献2、3参照)。
【特許文献1】特開2000−134467号公報
【特許文献2】特開2000−196890号公報
【特許文献3】特開2003−143427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さらに、上記撮影画像データの画像のシーンを判別する構成において、その判別されたシーンに応じて撮影画像データに適切な階調補正をする構成も考えられる。画像のシーンが適切に判定できた場合、例えばアンダーシーンであれば、画像の主要部(例えば顔)が適切な明るさになるように、画像を明るくする様に階調補正を行う。また近接ストロボ撮影等によるハイコントラストシーンでは、逆に画像を暗くする様に階調補正を行うことが一般的である。この時の階調補正方法としては、一般的に、画像を明るくするような階調補正で有れば、上に凸になるような階調補正カーブを適用し、画像を暗くする場合であれば、下に凸の階調補正カーブを適用する。
【0005】
しかしながら、上記のシーン判別結果に応じて撮影画像データに適切な階調補正をする構成では、本発明者が検討した結果、ハイコントラストシーンにおいて、画像データに飛び(飽和)が有る場合に、画像を暗くする様な階調補正を行うことによって、偽色等が発生し、むしろ好ましい画像とならない場合があることが判明した。特に画像データの飛んでいる部分の面積が大きい場合に顕著であり、また飛んでいる部分が顔の様な肌色色相の場合に顕著であることが判明した。
【0006】
本発明の課題は、画像データに飛びがある場合でも、その画像データに適切な階調補正を行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
複数画素の信号からなる画像データから画像の撮影シーンを判別するシーン判別工程と、
前記画像データから飽和画素数を取得する工程と、
前記画像データの画素数に対する前記飽和画素数の比率を算出する工程と、
前記シーン判別の結果及び前記飽和画素数の比率に基づいて、階調補正条件を決定する階調補正条件決定工程と、
前記決定された階調補正条件を用いて、前記画像データに階調補正処理を施す階調補正工程と、を含むことを特徴とする画像処理方法である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、
複数画素の信号からなる画像データから画像の撮影シーンを判別するシーン判別工程と、
前記画像データから、当該画像データの画素数に対して特定比率以上の飽和画素領域を抽出する工程と、
特定比率以上の飽和画素領域が抽出された場合には、全ての飽和画素領域に対して、近傍画素の色相が肌色色相であるか否かを判別する近傍画素判別工程と、
前記シーン判別の結果及び前記近傍画素判別の結果に基づいて、階調補正条件を決定する階調補正条件決定工程と、
前記決定された階調補正条件を用いて、前記画像データに階調補正処理を施す階調補正工程と、を含むことを特徴とする画像処理方法である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像処理方法において、
前記シーン判別工程は、
前記画像データを所定の明度と色相との組み合わせからなる領域に分割し、当該分割された領域毎に、前記画像データ全体に占める割合を示す第1の占有率を算出する第1占有率算出工程と、
前記第1の占有率に、予め設定された異なる第1及び第2の係数をそれぞれ乗算することにより、第1及び第2の指標を算出する第1指標算出工程と、
前記画像データの画面の外縁からの距離と明度との組み合わせからなる所定の領域に分割し、当該分割された領域毎に、前記画像データ全体に占める割合を示す第2の占有率を算出する第2占有率算出工程と、
前記第2の占有率に、予め設定された第3の係数を乗算することにより、第3の指標を算出する第2指標算出工程と、
少なくとも前記画像データの画面中央部における肌色の平均輝度に、予め設定された第4の係数を乗算することにより、第4の指標を算出する第3指標算出工程と、
前記算出された第1、第2、第3及び第4の指標に基づいて、前記画像データの撮影シーンを判別する工程と、を含むことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理方法において、
前記階調補正条件決定工程は、階調補正条件として階調補正方法及びその階調補正量を決定し、
前記階調補正工程は、前記決定された階調補正方法及びその階調補正量を用いて、前記画像データに階調補正処理を施すことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、
複数画素の信号からなる第1の画像データから、画像サイズを縮小した第2の画像データを取得する工程と、
前記第2の画像データから画像の撮影シーンを判別するシーン判別工程と、
前記第2の画像データから飽和画素数を算出する工程と、
前記第2の画像データの画素数に対する前記飽和画素数の比率を算出する工程と、
前記シーン判別の結果及び前記飽和画素数の比率に基づいて、階調補正条件を変更する階調補正条件変更工程と、
前記決定された階調補正条件を用いて、前記第1の画像データに階調補正処理を施す階調補正工程と、を含むことを特徴とする画像処理方法である。
【0012】
請求項6に記載の発明は、
複数画素の信号からなる第1の画像データから、画像サイズを縮小した第2の画像データを取得する工程と、
前記第2の画像データから画像の撮影シーンを判別するシーン判別工程と、
前記第2の画像データから、当該第2の画像データの画素数に対して特定比率以上の飽和画素領域を抽出する工程と、
特定比率以上の飽和画素領域が抽出された場合には、全ての飽和画素領域に対して、近傍画素の色相が肌色色相であるか否かを判別する近傍画素判別工程と、
前記シーン判別の結果及び前記近傍画素判別の結果に基づいて、階調補正条件を決定する階調補正条件決定工程と、
前記決定された階調補正条件を用いて、前記第1の画像データに階調補正処理を施す階調補正工程と、を含むことを特徴とする画像処理方法である。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の画像処理方法において、
前記シーン判別工程は、
前記第2の画像データを所定の明度と色相との組み合わせからなる領域に分割し、当該分割された領域毎に、前記第2の画像データ全体に占める割合を示す第1の占有率を算出する第1占有率算出工程と、
前記第1占有率に、予め設定された異なる第1及び第2の係数をそれぞれ乗算することにより、第1及び第2の指標を算出する第1指標算出工程と、
前記第2の画像データの画面の外縁からの距離と明度との組み合わせからなる所定の領域に分割し、当該分割された領域毎に、前記第2の画像データ全体に占める割合を示す第2の占有率を算出する第2占有率算出工程と、
前記第2の占有率に、予め設定された第3の係数を乗算することにより、第3の指標を算出する第2指標算出工程と、
少なくとも前記第2の画像データの画面中央部における肌色の平均輝度に、予め設定された第4の係数を乗算することにより、第4の指標を算出する第3指標算出工程と、
前記算出された第1、第2、第3及び第4の指標に基づいて、前記第2の画像データの撮影シーンを判別する工程と、を含むことを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項5から7のいずれか一項に記載の画像処理方法において、
前記階調補正条件決定工程は、階調補正条件として階調補正方法及びその階調補正量を決定し、
前記階調補正工程は、前記決定された階調補正方法及びその階調補正量を用いて、前記第1の画像データに階調補正処理を施すことを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、
複数画素の信号からなる画像データから画像の撮影シーンを判別するシーン判別部と、
前記画像データから飽和画素数を取得する飽和画素数取得部と、
前記画像データの画素数に対する前記飽和画素数の比率を算出する飽和画素数比率算出部と、
前記シーン判別の結果及び前記飽和画素数の比率に基づいて、階調補正条件を決定する階調補正条件決定部と、
前記決定された階調補正条件を用いて、前記画像データに階調補正処理を施す階調補正部と、を備えることを特徴とする画像処理装置である。
【0016】
請求項10に記載の発明は、
複数画素の信号からなる画像データから画像の撮影シーンを判別するシーン判別部と、
前記画像データから、当該画像データの画素数に対して特定比率以上の飽和画素領域を抽出する飽和画素領域抽出部と、
特定比率以上の飽和画素領域が抽出された場合には、全ての飽和画素領域に対して、近傍画素の色相が肌色色相であるか否かを判別する近傍画素判別部と、
前記シーン判別の結果及び前記近傍画素判別の結果に基づいて、階調補正条件を決定する階調補正条件決定部と、
前記決定された階調補正条件を用いて、前記画像データに階調補正処理を施す階調補正部と、を備えることを特徴とする画像処理装置である。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項9又は10に記載の画像処理装置において、
前記シーン判別部は、
前記画像データを所定の明度と色相との組み合わせからなる領域に分割し、当該分割された領域毎に、前記画像データ全体に占める割合を示す第1の占有率を算出する第1占有率算出部と、
前記第1の占有率に、予め設定された異なる第1及び第2の係数をそれぞれ乗算することにより、第1及び第2の指標を算出する第1指標算出部と、
前記画像データの画面の外縁からの距離と明度との組み合わせからなる所定の領域に分割し、当該分割された領域毎に、前記画像データ全体に占める割合を示す第2の占有率を算出する第2占有率算出部と、
前記第2の占有率に、予め設定された第3の係数を乗算することにより、第3の指標を算出する第2指標算出部と、
少なくとも前記画像データの画面中央部における肌色の平均輝度に、予め設定された第4の係数を乗算することにより、第4の指標を算出する第3指標算出部と、
前記算出された第1、第2、第3及び第4の指標に基づいて、前記画像データの撮影シーンを判別するシーン判別実行部と、を備えることを特徴とする。
【0018】
請求項12に記載の発明は、請求項9から11のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記階調補正条件決定部は、階調補正条件として階調補正方法及びその階調補正量を決定し、
前記階調補正部は、前記決定された階調補正方法及びその階調補正量を用いて、前記画像データに階調補正処理を施すことを特徴とする。
【0019】
請求項13に記載の発明は、
複数画素の信号からなる第1の画像データから、画像サイズを縮小した第2の画像データを取得する画像縮小部と、
前記第2の画像データから画像の撮影シーンを判別するシーン判別部と、
前記第2の画像データから飽和画素数を算出する飽和画素数取得部と、
前記第2の画像データの画素数に対する前記飽和画素数の比率を算出する飽和画素数比率算出部と、
前記シーン判別の結果及び前記飽和画素数の比率に基づいて、階調補正条件を変更する階調補正条件変更部と、
前記決定された階調補正条件を用いて、前記第1の画像データに階調補正処理を施す階調補正部と、を備えることを特徴とする画像処理装置である。
【0020】
請求項14に記載の発明は、
複数画素の信号からなる第1の画像データから、画像サイズを縮小した第2の画像データを取得する画像縮小部と、
前記第2の画像データから画像の撮影シーンを判別するシーン判別部と、
前記第2の画像データから、当該第2の画像データの画素数に対して特定比率以上の飽和画素領域を抽出する飽和画素領域抽出部と、
特定比率以上の飽和画素領域が抽出された場合には、全ての飽和画素領域に対して、近傍画素の色相が肌色色相であるか否かを判別する近傍画素判別部と、
前記シーン判別の結果及び前記近傍画素判別の結果に基づいて、階調補正条件を決定する階調補正条件決定部と、
前記決定された階調補正条件を用いて、前記第1の画像データに階調補正処理を施す階調補正部と、を備えることを特徴とする画像処理装置である。
【0021】
請求項15に記載の発明は、請求項13又は14に記載の画像処理装置において、
前記シーン判別部は、
前記第2の画像データを所定の明度と色相との組み合わせからなる領域に分割し、当該分割された領域毎に、前記第2の画像データ全体に占める割合を示す第1の占有率を算出する第1占有率算出部と、
前記第1占有率に、予め設定された異なる第1及び第2の係数をそれぞれ乗算することにより、第1及び第2の指標を算出する第1指標算出部と、
前記第2の画像データの画面の外縁からの距離と明度との組み合わせからなる所定の領域に分割し、当該分割された領域毎に、前記第2の画像データ全体に占める割合を示す第2の占有率を算出する第2占有率算出部と、
前記第2の占有率に、予め設定された第3の係数を乗算することにより、第3の指標を算出する第2指標算出部と、
少なくとも前記第2の画像データの画面中央部における肌色の平均輝度に、予め設定された第4の係数を乗算することにより、第4の指標を算出する第3指標算出部と、
前記算出された第1、第2、第3及び第4の指標に基づいて、前記第2の画像データの撮影シーンを判別するシーン判別実行部と、を備えることを特徴とする。
【0022】
請求項16に記載の発明は、請求項13から15のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記階調補正条件決定部は、階調補正条件として階調補正方法及びその階調補正量を決定し、
前記階調補正部は、前記決定された階調補正方法及びその階調補正量を用いて、前記第1の画像データに階調補正処理を施すことを特徴とする。
【0023】
請求項17に記載の発明は、
コンピュータに、
複数画素の信号からなる画像データから画像の撮影シーンを判別するシーン判別機能と、
前記画像データから飽和画素数を取得する機能と、
前記画像データの画素数に対する前記飽和画素数の比率を算出する機能と、
前記シーン判別の結果及び前記飽和画素数の比率に基づいて、階調補正条件を決定する階調補正条件決定機能と、
前記決定された階調補正条件を用いて、前記画像データに階調補正処理を施す階調補正機能と、
を実現させるための画像処理プログラムである。
【0024】
請求項18に記載の発明は、
コンピュータに、
複数画素の信号からなる画像データから画像の撮影シーンを判別するシーン判別機能と、
前記画像データから、当該画像データの画素数に対して特定比率以上の飽和画素領域を抽出する機能と、
特定比率以上の飽和画素領域が抽出された場合には、全ての飽和画素領域に対して、近傍画素の色相が肌色色相であるか否かを判別する近傍画素判別機能と、
前記シーン判別の結果及び前記近傍画素判別の結果に基づいて、階調補正条件を決定する階調補正条件決定機能と、
前記決定された階調補正条件を用いて、前記画像データに階調補正処理を施す階調補正機能と、
を実現させるための画像処理プログラムである。
【0025】
請求項19に記載の発明は、請求項17又は18に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記シーン判別機能は、
前記画像データを所定の明度と色相との組み合わせからなる領域に分割し、当該分割された領域毎に、前記画像データ全体に占める割合を示す第1の占有率を算出する第1占有率算出機能と、
前記第1の占有率に、予め設定された異なる第1及び第2の係数をそれぞれ乗算することにより、第1及び第2の指標を算出する第1指標算出機能と、
前記画像データの画面の外縁からの距離と明度との組み合わせからなる所定の領域に分割し、当該分割された領域毎に、前記画像データ全体に占める割合を示す第2の占有率を算出する第2占有率算出機能と、
前記第2の占有率に、予め設定された第3の係数を乗算することにより、第3の指標を算出する第2指標算出機能と、
少なくとも前記画像データの画面中央部における肌色の平均輝度に、予め設定された第4の係数を乗算することにより、第4の指標を算出する第3指標算出機能と、
前記算出された第1、第2、第3及び第4の指標に基づいて、前記画像データの撮影シーンを判別する機能と、を有することを特徴とする。
【0026】
請求項20に記載の発明は、請求項17から19のいずれか一項に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記階調補正条件決定機能は、階調補正条件として階調補正方法及びその階調補正量を決定し、
前記階調補正機能は、前記決定された階調補正方法及びその階調補正量を用いて、前記画像データに階調補正処理を施すことを特徴とする。
【0027】
請求項21に記載の発明は、
コンピュータに、
複数画素の信号からなる第1の画像データから、画像サイズを縮小した第2の画像データを取得する機能と、
前記第2の画像データから画像の撮影シーンを判別するシーン判別機能と、
前記第2の画像データから飽和画素数を算出する機能と、
前記第2の画像データの画素数に対する前記飽和画素数の比率を算出する機能と、
前記シーン判別の結果及び前記飽和画素数の比率に基づいて、階調補正条件を変更する階調補正条件変更機能と、
前記決定された階調補正条件を用いて、前記第1の画像データに階調補正処理を施す階調補正機能と、
を実現させるための画像処理プログラムである。
【0028】
請求項22に記載の発明は、
コンピュータに、
複数画素の信号からなる第1の画像データから、画像サイズを縮小した第2の画像データを取得する機能と、
前記第2の画像データから画像の撮影シーンを判別するシーン判別機能と、
前記第2の画像データから、当該第2の画像データの画素数に対して特定比率以上の飽和画素領域を抽出する機能と、
特定比率以上の飽和画素領域が抽出された場合には、全ての飽和画素領域に対して、近傍画素の色相が肌色色相であるか否かを判別する近傍画素判別機能と、
前記シーン判別の結果及び前記近傍画素判別の結果に基づいて、階調補正条件を決定する階調補正条件決定機能と、
前記決定された階調補正条件を用いて、前記第1の画像データに階調補正処理を施す階調補正機能と、
を実現させるための画像処理プログラムである。
【0029】
請求項23に記載の発明は、請求項21又は22に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記シーン判別機能は、
前記第2の画像データを所定の明度と色相との組み合わせからなる領域に分割し、当該分割された領域毎に、前記第2の画像データ全体に占める割合を示す第1の占有率を算出する第1占有率算出機能と、
前記第1占有率に、予め設定された異なる第1及び第2の係数をそれぞれ乗算することにより、第1及び第2の指標を算出する第1指標算出機能と、
前記第2の画像データの画面の外縁からの距離と明度との組み合わせからなる所定の領域に分割し、当該分割された領域毎に、前記第2の画像データ全体に占める割合を示す第2の占有率を算出する第2占有率算出機能と、
前記第2の占有率に、予め設定された第3の係数を乗算することにより、第3の指標を算出する第2指標算出機能と、
少なくとも前記第2の画像データの画面中央部における肌色の平均輝度に、予め設定された第4の係数を乗算することにより、第4の指標を算出する第3指標算出機能と、
前記算出された第1、第2、第3及び第4の指標に基づいて、前記第2の画像データの撮影シーンを判別する機能と、を有することを特徴とする。
【0030】
請求項24に記載の発明は、請求項21から23のいずれか一項に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記階調補正条件決定機能は、階調補正条件として階調補正方法及びその階調補正量を決定し、
前記階調補正機能は、前記決定された階調補正方法及びその階調補正量を用いて、前記第1の画像データに階調補正処理を施すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
請求項1、9又は17に記載の発明によれば、ハイコントラストシーン等において、画像データに飛び(飽和)が有る場合であっても、その飽和画素数の比率を算出し、シーン判別の結果と合わせて階調補正条件を決定して階調補正するので、DSC等の画像データの適切な自動階調補正を行うことができる。
【0032】
請求項2、10又は18に記載の発明によれば、画像データ中の特定比率以上の飽和領域の近傍色相を判別することにより、ハイコントラストシーン等において、人物の顔が飛び(飽和)になっているかどうかが判別でき、顔部分が飽和しているかどうかの判別の結果と、シーン判別の結果とを合わせて階調条件を決定して階調補正するので、DSC等の画像データの適切な自動階調補正を行うことができる。
【0033】
請求項3、11又は19に記載の発明によれば、画像データの撮影シーンを定量的に示す第1、第2、第3及び第4の指標を算出し、それらの指標に基づいて画像データの撮影シーンを決定するので、画像データの撮影シーンを正確に特定することができる。
【0034】
請求項4、12又は20に記載の発明によれば、階調補正条件として階調補正方法及びその階調補正量を決定し、その階調補正方法及び階調補正量を用いて、画像データに階調補正を行うので、画像データのさらに適切な自動階調補正を行うことができる。
【0035】
請求項5、13又は21に記載の発明によれば、ハイコントラストシーン等において、第1の画像データに飛び(飽和)が有る場合であっても、第1の画像データを縮小した第2の画像データの飽和画素数の比率を算出し、シーン判別の結果と合わせて階調条件を決定して第1の画像データを階調補正するので、DSC等の第1の画像データの適切な自動階調補正を行うことができるとともに、第2の画像データを用いることにより計算量及び計算時間を低減できる。
【0036】
請求項6、14又は22に記載の発明によれば、第1の画像データを縮小した第2の画像データ中の特定比率以上の飽和領域の近傍色相を判別することにより、ハイコントラストシーン等において、人物の顔が飛び(飽和)になっているかどうかが判別でき、顔部分が飽和しているかどうかの判別の結果と、シーン判別の結果とを合わせて階調条件を決定して第1の画像データを階調補正するので、DSC等の第1の画像データの適切な自動階調補正を行うことができるとともに、第2の画像データを用いることにより計算量及び計算時間を低減できる。
【0037】
請求項7、15又は23に記載の発明によれば、第2の画像データの撮影シーンを定量的に示す第1、第2、第3及び第4の指標を算出し、それらの指標に基づいて第2の画像データの撮影シーンを決定するので、第2の画像データの撮影シーンを正確に特定することができる。
【0038】
請求項8、16又は24に記載の発明によれば、階調補正条件として階調補正方法及びその階調補正量を決定し、その階調補正方法及び階調補正量を用いて、第1の画像データに階調補正を行うので、第1の画像データのさらに適切な自動階調補正を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、添付図を参照して本発明に係る第1及び第2の実施の形態並びにその変形例を順に詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0040】
(第1の実施の形態)
図1〜図22を参照して、本発明に係る第1の実施の形態を説明する。
【0041】
<画像処理装置1の外観構成>
まず、図1を参照して本実施の形態の画像処理装置1の外観構成を説明する。図1に、本実施の形態における画像処理装置1の外観構成を示す。
【0042】
画像処理装置1は、図1に示すように、筐体2の一側面に、感光材料を装填するためのマガジン装填部3が備えられている。筐体2の内側には、感光材料に露光する露光処理部4と、露光された感光材料を現像処理して乾燥し、プリントを作成するためのプリント作成部5と、が備えられている。筐体2の他側面には、プリント作成部5で作成されたプリントを排出するためのトレー6が備えられている。
【0043】
また、筐体2の上部には、表示装置としてのCRT8、透過原稿を読み込む装置であるフィルムスキャナ部9、反射原稿入力装置10、操作部11が備えられている。このCRT8が、プリントを作成しようとする画像情報の画像を画面に表示する表示手段を構成している。更に、筐体2には、各種デジタル記録媒体に記録された画像情報を読み取り可能な画像読込部14、各種デジタル記録媒体に画像信号を書き込み(出力)可能な画像書込部15が備えられている。また、筐体2の内部には、これらの各部を集中制御する制御部7が備えられている。
【0044】
画像読込部14には、PCカード用アダプタ14a、フロッピー(登録商標)ディスク用アダプタ14bが備えられ、PCカード13aやフロッピー(登録商標)ディスク13bが差し込み可能になっている。PCカード13aは、例えば、デジタルカメラで撮像された複数の駒画像データが記録されたメモリを有する。フロッピー(登録商標)ディスク13bには、例えば、デジタルカメラで撮像された複数の駒画像データが記録される。PCカード13a及びフロッピー(登録商標)ディスク13b以外に駒画像データが記録される記録媒体としては、例えば、マルチメディアカード(登録商標)、メモリースティック(登録商標)、MD(Mini Disc)データ、CD−ROM等がある。
【0045】
画像書込部15には、フロッピー(登録商標)ディスク用アダプタ15a、MO(Magneto Optical Disc)用アダプタ15b、光ディスク用アダプタ15cが備えられ、それぞれ、FD16a、MO16b、光ディスク16cが差し込み可能になっている。光ディスク16cとしては、CD−R、DVD(Digital Versatile Disc)−R等がある。
【0046】
なお、図1では、操作部11、CRT8、フィルムスキャナ部9、反射原稿入力装置10、画像読込部14が、筐体2に一体的に備えられた構造となっているが、これらの何れか1つ以上を別体として設けるようにしてもよい。
【0047】
また、図1に示した画像処理装置1では、感光材料に露光して現像してプリントを作成するものが例示されているが、プリント作成方式はこれに限定されず、例えば、インクジェット方式、電子写真方式、感熱方式、昇華方式等の方式を用いてもよい。
【0048】
<画像処理装置1の主要部構成>
図2に、画像処理装置1の主要部構成を示す。画像処理装置1は、図2に示すように、制御部7、露光処理部4、プリント作成部5、フィルムスキャナ部9、反射原稿入力装置10、画像読込部14、通信手段(入力)32、画像書込部15、データ蓄積手段71、テンプレート記憶手段72、操作部11、CRT8、通信手段(出力)33により構成される。
【0049】
制御部7は、マイクロコンピュータにより構成され、ROM(Read Only Memory)等の記憶部(図示略)、RAM(Random Access Memory)(図示略)、CPU(Central Processing Unit)(図示略)により構成され、記憶部に記憶されている各種制御プログラムがRAMに展開され、その展開された各種制御プログラムと、CPUとの協働により、画像処理装置1を構成する各部の動作を制御する。
【0050】
制御部7は、画像処理部70を有し、操作部11からの入力信号(指令情報)に基づいて、フィルムスキャナ部9や反射原稿入力装置10から読み取られた画像信号、画像読込部14から読み込まれた画像信号、外部機器から通信手段32を介して入力された画像信号に対して、画像処理を施して露光用画像情報を形成し、露光処理部4に出力する。また、画像処理部70は、画像処理された画像信号に対して出力形態に応じた変換処理を施して出力する。画像処理部70の出力先としては、CRT8、画像書込部15、通信手段(出力)33等がある。
【0051】
露光処理部4は、感光材料に画像の露光を行い、この感光材料をプリント作成部5に出力する。プリント作成部5は、露光された感光材料を現像処理して乾燥し、プリントP1、P2、P3を作成する。プリントP1は、サービスサイズ、ハイビジョンサイズ、パノラマサイズ等のプリントであり、プリントP2は、A4サイズのプリントであり、プリントP3は、名刺サイズのプリントである。
【0052】
フィルムスキャナ部9は、アナログカメラにより撮像された現像済みのネガフィルムN、リバーサルフィルム等の透過原稿に記録された駒画像を読み取り、駒画像のデジタル画像信号を取得する。反射原稿入力装置10は、フラットベットスキャナにより、プリントP(写真プリント、書画、各種の印刷物)上の画像を読み取り、デジタル画像信号を取得する。
【0053】
画像読込部14は、PCカード13aやフロッピー(登録商標)ディスク13bに記録された駒画像情報を読み出して制御部7に転送する。この画像読込部14は、画像転送手段30として、PCカード用アダプタ14a、フロッピー(登録商標)ディスク用アダプタ14b等を有する。画像読込部14は、PCカード用アダプタ14aに差し込まれたPCカード13aや、フロッピー(登録商標)ディスク用アダプタ14bに差し込まれたフロッピー(登録商標)ディスク13bに記録された駒画像情報を読み取り、制御部7に転送する。PCカード用アダプタ14aとしては、例えばPCカードリーダやPCカードスロット等が用いられる。
【0054】
通信手段(入力)32は、画像処理装置1が設置された施設内の別のコンピュータや、インターネット等を介した遠方のコンピュータから、撮像画像を表す画像信号やプリント命令信号を受信する。
【0055】
画像書込部15は、画像搬送部31として、フロッピー(登録商標)ディスク用アダプタ15a、MO用アダプタ15b、光ディスク用アダプタ15cを備えている。画像書込部15は、制御部7から入力される書込信号に従って、フロッピー(登録商標)ディスク用アダプタ15aに差し込まれたフロッピー(登録商標)ディスク16a、MO用アダプタ15bに差し込まれたMO16b、光ディスク用アダプタ15cに差し込まれた光ディスク16cに、本発明における画像処理方法によって生成された画像信号を書き込む。
【0056】
データ蓄積手段71は、画像情報とそれに対応する注文情報(どの駒の画像から何枚プリントを作成するかの情報、プリントサイズの情報等)とを記憶し、順次蓄積する。
【0057】
テンプレート記憶手段72は、サンプル識別情報D1、D2、D3に対応するサンプル画像データである背景画像、イラスト画像等と合成領域を設定する少なくとも1個のテンプレートのデータを記憶している。オペレータの操作によりセットしてテンプレート記憶手段72に予め記憶された複数のテンプレートから所定のテンプレートを選択し、駒画像情報は選択されたテンプレートにより合成し、指定されるサンプル識別情報D1、D2、D3に基づいて選択されたサンプル画像データと、注文に基づく画像データ及び/又は文字データとを合成し、指定によるサンプルに基づくプリントを作成する。このテンプレートによる合成は、周知のクロマキー法によって行なわれる。
【0058】
なお、プリントのサンプルを指定するサンプル識別情報D1、D2、D3は、操作部211から入力されるように構成されているが、これらのサンプル識別情報は、プリントのサンプル又は注文シートに記録されているため、OCR等の読み取り手段により読み取ることができる。或いは、オペレータのキーボード操作により入力することもできる。
【0059】
このようにプリントのサンプルを指定するサンプル識別情報D1に対応してサンプル画像データを記録しておき、プリントのサンプルを指定するサンプル識別情報D1を入力し、この入力されるサンプル識別情報D1に基づきサンプル画像データを選択し、この選択されたサンプル画像データと、注文に基づく画像データ及び/又は文字データとを合成し、指定によるサンプルに基づくプリントを作成するため、種々の実物大のサンプルをユーザが実際に手にしてプリントの注文ができ、幅広いユーザの多様な要求に応じることができる。
【0060】
また、第1のサンプルを指定する第1のサンプル識別情報D2と第1のサンプルの画像データを記憶し、また、第2のサンプルを指定する第2のサンプル識別情報D3と第2のサンプルの画像データを記憶し、指定される第1及び第2のサンプル識別情報D2、D3とに基づいて選択されたサンプル画像データと、注文に基づく画像データ及び/又は文字データとを合成し、指定によるサンプルに基づくプリントを作成するため、さらに多種多様の画像を合成することができ、より一層幅広いユーザの多様な要求に応じたプリントを作成することができる。
【0061】
操作部11は、情報入力手段12を有する。情報入力手段12は、例えば、タッチパネル等により構成されており、情報入力手段12の押下信号を入力信号として制御部7に出力する。なお、操作部11は、キーボードやマウス等を備えて構成するようにしてもよい。CRT8は、制御部7から入力された表示制御信号に従って、画像情報等を表示する。
【0062】
通信手段(出力)33は、本発明の画像処理を施した後の撮影画像を表す画像信号と、それに付帯するオーダー情報を、画像処理装置1が設置された施設内の他のコンピュータや、インターネット等を介した遠方のコンピュータに対して送信する。
【0063】
図2に示すように、画像処理装置1は、各種デジタルメディアの画像及び画像原稿を分割測光して得られた画像情報を取り込む画像入力手段と、画像処理手段と、処理済の画像を表示、プリント出力、画像記録メディアに書き込む画像出力手段と、通信回線を介して施設内の別のコンピュータやインターネット等を介した遠方のコンピュータに対して画像データと付帯するオーダー情報を送信する手段と、を備える。
【0064】
<画像処理部70の内部構成>
図3に、画像処理部70の内部構成を示す。画像処理部70は、図3に示すように、画像調整処理部701、フィルムスキャンデータ処理部702、反射原稿スキャンデータ処理部703、画像データ書式解読処理部704、テンプレート処理部705、CRT固有処理部706、プリンタ固有処理部707、プリンタ固有処理部708、画像データ書式作成処理部709により構成される。
【0065】
フィルムスキャンデータ処理部702は、フィルムスキャナ部9から入力された画像データに対し、フィルムスキャナ部9固有の校正操作、ネガポジ反転(ネガ原稿の場合)、ゴミキズ除去、コントラスト調整、粒状ノイズ除去、鮮鋭化強調等の処理を施し、処理済の画像データを画像調整処理部701に出力する。また、フィルムサイズ、ネガポジ種別、フィルムに光学的或いは磁気的に記録された主要被写体に関わる情報、撮影条件に関する情報(例えば、APSの記載情報内容)等も併せて画像調整処理部701に出力する。
【0066】
反射原稿スキャンデータ処理部703は、反射原稿入力装置10から入力された画像データに対し、反射原稿入力装置10固有の校正操作、ネガポジ反転(ネガ原稿の場合)、ゴミキズ除去、コントラスト調整、ノイズ除去、鮮鋭化強調等の処理を施し、処理済の画像データを画像調整処理部701に出力する。
【0067】
画像データ書式解読処理部704は、画像転送手段30及び/又は通信手段(入力)32から入力された画像データに対し、その画像データのデータ書式に従って、必要に応じて圧縮符号の復元、色データの表現方法の変換等の処理を施し、画像処理部70内の演算に適したデータ形式に変換し、画像調整処理部701に出力する。また、画像データ書式解読処理部704は、操作部11、通信手段(入力)32、画像転送手段30の何れかから出力画像の大きさが指定された場合、その指定された情報を検出し、画像調整処理部701に出力する。なお、画像転送手段30により指定される出力画像の大きさについての情報は、画像転送手段30が取得した画像データのヘッダ情報、タグ情報に埋め込まれている。
【0068】
画像調整処理部701は、操作部11又は制御部7の指令に基づいて、フィルムスキャナ部9、反射原稿入力装置10、画像転送手段30、通信手段(入力)32、テンプレート処理部705から受け取った画像データに対し、後述の第1の画像処理(図6参照)を施して、出力媒体上での鑑賞に最適化された画像形成用のデジタル画像データを生成し、CRT固有処理部706、プリンタ固有処理部707、プリンタ固有処理部708、画像データ書式作成処理部709、データ蓄積手段71に出力する。
【0069】
最適化処理においては、例えばsRGB規格に準拠したCRTディスプレイモニタに表示することを前提とした場合、sRGB規格の色域内で最適な色再現が得られるように処理される。銀塩印画紙への出力を前提とした場合、銀塩印画紙の色域内で最適な色再現が得られるように処理される。また前記色域の圧縮の以外にも、16bitから8bitへの階調圧縮、出力画素数の低減、及び出力デバイスの出力特性(LUT:LookUp Table)への対応処理等も含まれる。さらにノイズ抑制、鮮鋭化、グレーバランス調整、彩度調整、或いは覆い焼き処理等の階調圧縮処理が行われることは言うまでもない。
【0070】
図4に、画像調整処理部701の内部構成を示す。画像調整処理部701は、図4に示すように、シーン判別部710、階調補正条件決定部730、飽和画素数取得部740、飽和画素数比率算出部750、画像処理実行部760により構成される。また、階調補正条件決定部730は、階調補正方法決定部731、階調補正パラメータ算出部732、階調補正量決定部733により構成される。
【0071】
図5(a)に、シーン判別部710の内部構成を示す。シーン判別部710は、図5(a)に示すように、割合算出部712、指標算出部713、シーン判別実行部714により構成される。図5(b)に、割合算出部712の内部構成を示す。割合算出部712は、図5(b)に示すように、表色系変換部715、ヒストグラム作成部716、占有率演算部717により構成される。
【0072】
表色系変換部715は、撮影画像データのRGB(Red, Green, Blue)値をHSV表色系に変換する。HSV表色系とは、画像データを、色相(Hue)、彩度(Saturation)、明度(Value又はBrightness)の3つの要素で表すものであり、マンセルにより提案された表色体系を元にして考案されたものである。
【0073】
なお、本実施形態において、「明度」は特に注釈を設けない限り一般に用いられる「明るさ」の意味である。以下の記載において、HSV表色系のV(0〜255)を「明度」として用いるが、他の如何なる表色系の明るさを表す単位系を用いてもよい。その際、本実施形態で記載する各種係数等の数値を、改めて算出し直すことは言うまでもない。また、本実施の形態における撮影画像データは、人物を主要被写体とする画像データであるものとする。
【0074】
ヒストグラム作成部716は、撮影画像データを、所定の色相と明度の組み合わせからなる領域に分割し、分割された領域毎に累積画素数を算出することによって2次元ヒストグラムを作成する。また、ヒストグラム作成部716は、撮影画像データを、当該撮影画像データの画面の外縁からの距離と明度との組み合わせからなる所定の領域に分割し、分割された領域毎に累積画素数を算出することによって2次元ヒストグラムを作成する。なお、撮影画像データを、撮影画像データの画面の外縁からの距離、明度及び色相の組み合わせからなる領域に分割し、分割された領域毎に累積画素数を算出することによって3次元ヒストグラムを作成するようにしてもよい。以下では、2次元ヒストグラムを作成する方式を説明する。
【0075】
図5(c)に、占有率演算部717の内部構成を示す。図5(c)に示すように、占有率演算部717は、第1占有率算出部718、第2占有率算出部719により構成される。第1占有率算出部718は、明度と色相との組み合わせによって分割された領域毎に、ヒストグラム作成部716において算出された累積画素数の全画素数(撮影画像データ全体)に占める割合を示す第1の占有率(後述の表1参照)を算出する。第2占有率算出部719は、撮影画像データの画面の外縁からの距離と明度との組み合わせによって分割された領域毎に、ヒストグラム作成部716において算出された累積画素数の全画素数(撮影画像データ全体)に占める割合を示す第2の占有率(後述の表2参照)を算出する。
【0076】
図5(d)に、指標算出部713の内部構成を示す。指標算出部713は、図5(d)に示すように、第1指標算出部720、第2指標算出部721、第3指標算出部722により構成される。
【0077】
第1指標算出部720は、第1占有率算出部718において領域毎に算出された第1の占有率に、撮影条件に応じて予め(例えば、判別分析によって)設定された第1の係数(後述の表3参照)を乗算して和をとることにより、撮影シーンを特定するための第1の指標a1を算出する。ここで、撮影シーンとは、順光、逆光、ストロボ等の、被写体を撮影する時の光源条件及び、アンダー撮影等の露出条件を示す。第1の指標a1は、屋内撮影度、近接撮影度、顔色高明度等のストロボ撮影時の特徴を示すもので、「ストロボ」と判別されるべき画像を他の撮影シーンから分離するためのものである。
【0078】
第1の指標a1の算出の際、第1指標算出部720は、所定の高明度の肌色色相領域と、当該高明度の肌色色相領域以外の色相領域とで、異なる符号の係数を用いる。ここで、所定の高明度の肌色色相領域には、HSV表色系の明度値で170〜224の領域が含まれる。また、所定の高明度の肌色色相領域以外の色相領域には、青色色相領域(色相値161〜250)、緑色色相領域(色相値40〜160)の少なくとも一方の高明度領域が含まれる。
【0079】
また、第1指標算出部720は、第1占有率算出部718において領域毎に算出された第1の占有率に、撮影条件に応じて予め(例えば、判別分析によって)設定された第2の係数(後述の表4参照)を乗算して和をとることにより、撮影シーンを特定するための第2の指標a2を算出する。第2の指標a2は、屋外撮影度、空色高明度、顔色低明度等の逆光撮影時の特徴を複合的に示すもので、「逆光」と判別されるべき画像を他の撮影シーンから分離するためのものである。
【0080】
第2の指標a2の算出の際、第1指標算出部720は、肌色色相領域(色相値0〜39、330〜359)の中間明度領域と、当該中間明度領域以外の明度領域とで、異なる符号の係数を用いる。この肌色色相領域の中間明度領域には、明度値85〜169の領域が含まれる。また、当該中間明度領域以外の明度領域には、例えば、シャドー領域(明度値26〜84)が含まれる。
【0081】
第2指標算出部721は、第2占有率算出部719において領域毎に算出された第2の占有率に、撮影条件に応じて予め(例えば、判別分析によって)設定された第3の係数(後述の表5参照)を乗算して和をとることにより、撮影シーンを特定するための第3の指標a3を算出する。第3の指標a3は、逆光とストロボとの間における、撮影画像データの画面の中心と外側との明暗関係の差異を示すものであり、逆光又はストロボと判別されるべき画像のみを定量的に示すものである。第3の指標a3の算出の際、指標算出部713は、撮影画像データの画面の外縁からの距離に応じて異なる値の係数を用いる。
【0082】
第3指標算出部722は、少なくとも、撮影画像データの画面中央部における肌色の平均輝度値に、撮影条件に応じて予め(例えば、判別分析によって)設定された第4の係数を乗算して和をとることにより、撮影シーンを特定するための第4の指標a4を算出する。より好ましくは、撮影画像データの画面中央部における肌色の平均輝度値だけでなく、画像の最大輝度値と平均輝度値との差分値(後述の式(8)参照)、輝度標準偏差、画面中央部における輝度平均値、画像の肌色最大輝度値及び肌色最小輝度値の差分値と肌色平均輝度値との比較値(後述の式(9)参照)に、予め設定された第4の係数を乗算して和をとることにより、撮影シーンを特定するための第4の指標a4を算出する。ここで、用いる変数によって第4の係数を変えることは言うまでもない。第4の指標a4は、ストロボ撮影シーンとアンダー撮影シーンにおける、撮影画像データの画面の中心と外側の明暗関係の差異を示すだけでなく、輝度ヒストグラムにおける分布情報を示すものであり、ストロボ撮影シーン又はアンダー撮影シーンと判別されるべき画像のみを定量的に示すものである。
【0083】
第4の指標a4を算出する際、第3指標算出部722では、撮影画像データの画面中央部における肌色の平均輝度値、画像の最大輝度値と平均輝度値との差分値、輝度標準偏差、画面中央部における輝度平均値、画像の肌色最大輝度値及び肌色最小輝度値の差分値と肌色平均輝度値との比較値を用いているが、ここでいう輝度値とは、明るさを表す指標であり、それ以外の明るさを表す指標(例えば、HSV表色系の明度値等)を用いてもよい。また、最大輝度値、肌色最大輝度値、肌色最小輝度値には、最大及び最小輝度値からの累積画素数が全画素に対して所定の割合に達した画素の輝度値を用いてもよい。
【0084】
第3指標算出部722は、第1の指標a1、第3の指標a3に、それぞれ、撮影条件に応じて予め(例えば、判別分析によって)設定された係数を乗算して和をとることにより第5の指標a5を算出する。より好ましくは、第1の指標a1、第3の指標a3及び第4’の指標a4’(画面中央部における肌色の平均輝度値)に、それぞれ、撮影条件に応じて予め(例えば、判別分析によって)設定された係数を乗算して和をとることにより第5の指標a5を算出してもよい。更に、第3指標算出部722は、第2の指標a2、第3の指標a3に、それぞれ、撮影条件に応じて予め(例えば、判別分析によって)設定された係数を乗算して合成することにより第6の指標a6を算出する。より好ましくは第2の指標a2、第3の指標a3、第4’の指標a4’に、それぞれ、撮影条件に応じて予め設定された係数を乗算して合成することにより第6の指標a6を算出してもよい。
【0085】
シーン判別実行部714は、指標算出部713において算出された第4の指標a4、第5の指標a5、第6の指標a6の値に基づいて、撮影画像データの撮影シーン(光源条件及び露出条件)を判別する。
【0086】
なお、指標算出部713における第1の指標a1〜第6の指標a6の具体的な算出方法、シーン判別実行部714における撮影シーン(光源条件及び露出条件)の判別方法は、後述の本実施の形態の動作説明において詳細に説明する。
【0087】
図4において、階調補正条件決定部730は、階調補正条件として、階調補正方法及びその階調補正量の決定を行う。階調補正方法決定部731は、シーン判別部710により判別された撮影画像データの撮影シーンに基づいて階調補正方法を決定する。例えば、撮影シーンが順光である場合は、後述の図19(a)に示すように、入力された撮影画像データの画素値を平行移動(オフセット)補正する方法(階調補正方法A)が適用される。撮影シーンが逆光である場合は、後述の図19(b)に示すように、入力された撮影画像データの画素値をガンマ補正する方法(階調補正方法B)が適用される。撮影シーンがストロボである場合、後述の図19(c)に示すように、入力された撮影画像データの画素値をガンマ補正及び平行移動(オフセット)補正する方法(階調補正方法C)が適用される。撮影シーンがアンダーである場合、図19(b)に示すように、入力された撮影画像データの画素値をガンマ補正する方法(階調補正方法B)が適用される。
【0088】
階調補正パラメータ算出部732は、シーン判別部710により算出された第4の指標a4、第5の指標a5、第6の指標a6の値に基づいて、階調補正に必要なパラメータ(キー補正値等)を算出する。
【0089】
階調補正量決定部733は、階調補正パラメータ算出部732により算出されたパラメータに基づいて、階調補正条件決定部730により決定された階調補正方法の階調補正量を仮決定し、また飽和画素数比率算出部750により算出された飽和画素数の比率に基づいて階調補正量を決定する。
【0090】
飽和画素数取得部740は、撮影画像データから飽和画素数をカウントして取得する。飽和画素とは、ここで飽和画素とは、階調が最大値になっている画素とし、例えば、一般的な8ビットのsRGB(IEC61966-2-1)で符号化された画像データにおいては、画素のR,G,B値のどれか1つでも255になっている画素のことを表す。飽和画素数比率算出部750は、撮影画像データの全画素数に対する飽和画素数の比率を算出する。
【0091】
画像処理実行部760は、階調補正条件決定部730により決定された階調補正方法及びその階調補正量に基づいて、撮影画像データに階調補正処理を施す階調補正部として機能し、さらにその他の画像処理を施す。
【0092】
図3において、テンプレート処理部705は、画像調整処理部701からの指令に基づいて、テンプレート記憶手段72から所定の画像データ(テンプレート)を読み出して、画像処理対象の画像データとテンプレートを合成するテンプレート処理を行い、テンプレート処理後の画像データを画像調整処理部701に出力する。
【0093】
CRT固有処理部706は、画像調整処理部701から入力された画像データに対して、必要に応じて画素数変更やカラーマッチング等の処理を施し、制御情報等表示が必要な情報と合成した表示用の画像データをCRT8に出力する。
【0094】
プリンタ固有処理部707は、必要に応じてプリンタ固有の校正処理、カラーマッチング、画素数変更等の処理を行い、処理済の画像データを露光処理部4に出力する。
【0095】
本発明の画像処理装置1に、大判インクジェットプリンタ等の外部プリンタ51が接続可能な場合には、接続するプリンタ装置毎にプリンタ固有処理部708が備えられている。このプリンタ固有処理部708は、プリンタ固有の校正処理、カラーマッチング、画素数変更等の処理を施し、処理済の画像データを外部プリンタ51に出力する。
【0096】
画像データ書式作成処理部709は、画像調整処理部701から入力された画像データに対して、必要に応じてJPEG、TIFF、Exif等に代表される各種の汎用画像フォーマットへの変換を施し、処理済の画像データを画像搬送部31や通信手段(出力)33に出力する。
【0097】
なお、図3に示したフィルムスキャンデータ処理部702、反射原稿スキャンデータ処理部703、画像データ書式解読処理部704、画像調整処理部701、CRT固有処理部706、プリンタ固有処理部707、プリンタ固有処理部708、画像データ書式作成処理部709、という区分は、画像処理部70の機能の理解を助けるために設けた区分であり、必ずしも物理的に独立したデバイスとして実現される必要はなく、例えば、単一のCPUによるソフトウエア処理の種類の区分として実現されてもよい。
【0098】
次に、本実施の形態における動作について説明する。本実施の形態において撮像画像データを画像処理する第1の画像処理は、操作部11からの第1の画像処理実行入力等をトリガとして、画像処理部70において、記憶部(図示略)から読み出されてRAM(図示略)に展開された第1の画像処理プログラムと、CPU(図示略)との協働で実行される。
【0099】
図6に、第1の画像処理の流れを示す。図6に示すように、先ず、画像調整処理部701において、フィルムスキャナ部9、反射原稿入力装置10、画像転送手段30、通信手段(入力)32から、フィルムスキャンデータ処理部702、反射原稿スキャンデータ処理部703、画像データ書式解読処理部を介して、撮影画像データが取得される(ステップS1)。本実施の形態の画像処理(階調補正処理)は、DSCで撮影された画像データに対して行うことが特に好ましい。そして、シーン判別部710により、シーン判別処理が実行される(ステップS2)。
【0100】
図7に、第1の画像処理中のシーン判別処理の流れを示す。図7に示すように、ステップS2のシーン判別処理では、第1占有率算出部718により、撮影画像データが所定の画像領域に分割され、各分割領域が撮影画像データ全体に占める割合を示す第1の占有率を算出する第1の占有率算出処理が実行される(ステップS21)。
【0101】
図8に、シーン判別処理中の第1の占有率算出処理の流れを示す。図8に示すように、ステップS21の第1の占有率算出処理では、まず、表色系変換部715により、撮影画像データのRGB値がHSV表色系に変換される(ステップS211)。図9は、RGBからHSV表色系に変換することにより色相値、彩度値、明度値を得る変換プログラム(HSV変換プログラム)の一例を、プログラムコード(C言語)により示したものである。図9に示すHSV変換プログラムでは、入力画像データであるデジタル画像データの値を、InR、InG、InBと定義し、算出された色相値をOutHとし、スケールを0〜360と定義し、彩度値をOutS、明度値をOutVとし、単位を0〜255と定義している。
【0102】
次いで、ヒストグラム作成部716により、撮影画像データが、所定の明度と色相との組み合わせからなる領域に分割され、分割領域毎に累積画素数を算出することにより2次元ヒストグラムが作成される(ステップS212)。以下、撮影画像データの領域分割について詳細に説明する。
【0103】
明度(V)は、明度値が0〜25(v1)、26〜50(v2)、51〜84(v3)、85〜169(v4)、170〜199(v5)、200〜224(v6)、225〜255(v7)の7つの領域に分割される。色相(H)は、色相値が0〜39、330〜359の肌色色相領域(H1及びH2)、色相値が40〜160の緑色色相領域(H3)、色相値が161〜250の青色色相領域(H4)、赤色色相領域(H5)の4つの領域に分割される。なお、赤色色相領域(H5)は、撮影シーンの判別への寄与が少ないとの知見から、以下の計算では用いていない。肌色色相領域は、更に、肌色領域(H1)と、それ以外の領域(H2)に分割される。以下、肌色色相領域(H=0〜39、330〜359)のうち、下記の式(2)を満たす色相’(H)を肌色領域(H1)とし、式(2)を満たさない領域を(H2)とする。
10<彩度(S)<175、
色相’(H)=色相(H)+60(0≦色相(H)<300のとき)、
色相’(H)=色相(H)−300(300≦色相(H)<360のとき)、
輝度Y=InR×0.30+InG×0.59×InB×0.11 …(1)
として、
色相’(H)/輝度(Y)<3.0×(彩度(S)/255)+0.7 …(2)
従って、撮影画像データの分割領域の数は4×7=28個となる。なお、式(1)、(2)において明度(V)を用いることも可能である。
【0104】
2次元ヒストグラムが作成されると、第1占有率算出部718により、分割領域毎に算出された累積画素数の全画素数(撮影画像全体)に占める割合を示す第1の占有率が算出され(ステップS213)、第1の占有率算出処理が終了する。明度領域vi、色相領域Hjの組み合わせからなる分割領域において算出された第1の占有率をRijとすると、各分割領域における第1の占有率は表1のように表される。
【表1】

【0105】
次いで、図7において、第2占有率算出部719により、第3の指標a3を算出するために用いる第2の占有率を算出する第2の占有率算出処理が実行される(ステップS22)。
【0106】
図10に、シーン判別処理中の第2の占有率算出処理の流れを示す。図10に示すように、ステップS22の第1の占有率算出処理では、まず、表色系変換部715により、撮影画像データのRGB値がHSV表色系に変換される(ステップS221)。ステップS221は、ステップS211と共通のステップにしてもよい。次いで、ヒストグラム作成部716により、撮影画像データが、撮影画像画面の外縁からの距離と明度との組み合わせからなる領域に分割され、分割領域毎に累積画素数を算出することにより2次元ヒストグラムが作成される(ステップS222)。以下、撮影画像データの領域分割について詳細に説明する。
【0107】
図11(a)〜(d)に、撮影画像データの画面の外縁からの距離に応じて分割された4つの領域n1〜n4を示す。図11(a)に示す領域n1が外枠であり、図11(b)に示す領域n2が、外枠の内側の領域であり、図11(c)に示す領域n3が、領域n2の更に内側の領域であり、図11(d)に示す領域n4が、撮影画像画面の中心部の領域である。また、明度は、上述のようにv1〜v7の7つの領域に分割するものとする。従って、撮影画像データを、撮影画像画面の外縁からの距離と明度との組み合わせからなる領域に分割した場合の分割領域の数は4×7=28個となる。
【0108】
2次元ヒストグラムが作成されると、第2占有率算出部719により、分割領域毎に算出された累積画素数の全画素数(撮影画像全体)に占める割合を示す第2の占有率が算出され(ステップS223)、第2の占有率算出処理が終了する。明度領域vi、画面領域njの組み合わせからなる分割領域において算出された第2の占有率をQijとすると、各分割領域における第2の占有率は表2のように表される。
【表2】

【0109】
次いで、図7において、第1指標算出部720により、割合算出部712において算出された第1の占有率に、撮影条件に応じて予め設定された第1、第2の係数がそれぞれ乗算され、撮影シーンを特定する(光源条件を定量的に表す)指標としての第1、第2の指標a1、a2が算出され、第2指標算出部721により、割合算出部712において算出された第2の占有率に、撮影条件に応じて予め設定された第3の係数が乗算され、撮影シーンを特定する指標としての第3の指標a3が算出される(ステップS23)。
【0110】
表3に、ストロボ撮影としての確度、即ち、ストロボ撮影時の顔領域の明度状態を定量的に示す第1の指標a1を算出するために必要な第1の係数を分割領域別に示す。表3に示された各分割領域の係数は、表1に示した各分割領域の第1の占有率Rijに乗算する重み係数である。
【表3】

【0111】
図12に、明度(V)−色相(H)平面を示す。表3によると、図12において高明度の肌色色相領域に分布する領域(r1)から算出される第1の占有率には、正(+)の係数が用いられ、それ以外の色相である青色色相領域(r2)から算出される第1の占有率には、負(−)の係数が用いられる。図13は、肌色領域(H1)における第1の係数と、その他の領域(緑色色相領域(H3))における第1の係数を、明度全体に渡って連続的に変化する曲線(係数曲線)として示したものである。表3及び図13によると、高明度(V=170〜224)の領域では、肌色領域(H1)における第1の係数の符号は正(+)であり、その他の領域(例えば、緑色色相領域(H3))における第1の係数の符号は負(−)であり、両者の符号が異なっていることがわかる。
【0112】
明度領域vi、色相領域Hjにおける第1の係数をCijとすると、第1の指標a1を算出するためのHk領域の和は、式(3)のように定義される。
【数1】

従って、H1〜H4領域の和は、下記の式(3−1)〜(3−4)のように表される。
H1領域の和=R11×(-44.0)+R21×(-16.0)+(中略)...+R71×(-11.3) …(3−1)
H2領域の和=R12×0.0+R22×8.6+(中略)...+R72×(-11.1) …(3−2)
H3領域の和=R13×0.0+R23×(-6.3)+(中略)...+R73×(-10.0) …(3−3)
H4領域の和=R14×0.0+R24×(-1.8)+(中略)...+R74×(-14.6) …(3−4)
【0113】
第1の指標a1は、式(3−1)〜(3−4)で示されたH1〜H4領域の和を用いて、式(4)のように定義される。
a1=H1領域の和+H2領域の和+H3領域の和+H4領域の和+4.424 …(4)
【0114】
表4に、逆光撮影としての確度、即ち、逆光撮影時の顔領域の明度状態を定量的に示す第2の指標a2を算出するために必要な第2の係数を分割領域別に示す。表4に示された各分割領域の係数は、表1に示した各分割領域の第1の占有率Rijに乗算する重み係数である。
【表4】

【0115】
図14に、明度(V)−色相(H)平面を示す。表4によると、図14において肌色色相領域の中間明度に分布する領域(r4)から算出される第1の占有率には負(−)の係数が用いられ、肌色色相領域の低明度(シャドー)領域(r3)から算出される第1の占有率には正(+)の係数が用いられる。図15は、肌色領域(H1)における第2の係数を、明度全体に渡って連続的に変化する曲線(係数曲線)として示したものである。表4及び図15によると、肌色色相領域の、明度値が85〜169(v4)の中間明度領域の第2の係数の符号は負(−)であり、明度値が26〜84(v2,v3)の低明度(シャドー)領域の第2の係数の符号は正(+)であり、両領域での係数の符号が異なっていることがわかる。
【0116】
明度領域vi、色相領域Hjにおける第2の係数をDijとすると、第2の指標a2を算出するためのHk領域の和は、式(5)のように定義される。
【数2】

従って、H1〜H4領域の和は、下記の式(5−1)〜(5−4)のように表される。
H1領域の和=R11×(-27.0)+R21×4.5+(中略)...+R71×(-24.0) …(5−1)
H2領域の和=R12×0.0+R22×4.7+(中略)...+R72×(-8.5) …(5−2)
H3領域の和=R13×0.0+R23×0.0+(中略)...+R73×0.0 …(5−3)
H4領域の和=R14×0.0+R24×(-5.1)+(中略)...+R74×7.2 …(5−4)
【0117】
第2の指標a2は、式(5−1)〜(5−4)で示されたH1〜H4領域の和を用いて、式(6)のように定義される。
a2=H1領域の和+H2領域の和+H3領域の和+H4領域の和+1.554 …(6)
第1及び第2の指標a1,a2は、撮影画像データの明度と色相との分布量に基づいて算出されるため、撮影画像データがカラー画像である場合の撮影シーンの判別に有効である。
【0118】
次いで、表5に、第3の指標a3を算出するために必要な第3の係数を分割領域別に示す。表5に示された各分割領域の係数は、表2に示した各分割領域の第2の占有率Qijに乗算する重み係数であり、撮影条件に応じて予め設定されている。
【表5】

図16は、画面領域n1〜n4における第3の係数を、明度全体に渡って連続的に変化する曲線(係数曲線)として示したものである。
【0119】
明度領域vi、画面領域njにおける第3の係数をEijとすると、第3の指標a3を算出するためのnk領域(画面領域nk)の和は、式(7)のように定義される。
【数3】

従って、n1〜n4領域の和は、下記の式(7−1)〜(7−4)のように表される。
n1領域の和=Q11×40.1+Q21×37.0+(中略)...+Q71×22.0 …(7−1)
n2領域の和=Q12×(-14.8)+Q22×(-10.5)+(中略)...+Q72×0.0 …(7−2)
n3領域の和=Q13×24.6+Q23×12.1+(中略)...+Q73×10.1 …(7−3)
n4領域の和=Q14×1.5+Q24×(-32.9)+(中略)...+Q74×(-52.2) …(7−4)
【0120】
第3の指標a3は、式(7−1)〜(7−4)で示されたn1〜n4領域の和を用いて、式(8)のように定義される。
a3=n1領域の和+n2領域の和+n3領域の和+n4領域の和−12.6201 …(8)
第3の指標a3は、撮影画像データの明度の分布位置による構図的な特徴(撮影画像データの画面の外縁からの距離)に基づいて算出されるため、カラー画像だけでなくモノクロ画像の撮影シーンを判別するのにも有効である。
【0121】
次いで、図7において、第3指標算出部722により、撮影シーンを特定する指標としての第4の指標a4を算出する第4の指標算出処理が実行される(ステップS24)。図17に、シーン判別処理中の第4の指標算出処理の流れを示す。第4の指標算出処理では、図17に示すように、先ず、第3指標算出部722により、撮影画像データのRGB値から、上記式(1)を用いて輝度Yが算出され、撮影画像データの画面中央部における肌色の平均輝度値x1が算出される(ステップS241)。そして、第3指標算出部722により、撮影画像データの画像の最大輝度値と平均輝度値との差分値x2が算出される(ステップS242)。最大輝度値と平均輝度値との差分値x2は、次式(9)のように表される。
x2=Ymax−Yave …(9)
【0122】
そして、第3指標算出部722により、撮影画像データの輝度標準偏差x3が算出される(ステップS243)。そして、第3指標算出部722により、撮影画像データの画面中央部における輝度平均値x4が算出される(ステップS244)。そして、第3指標算出部722により、撮影画像データの画像の肌色最大輝度値及び肌色最小輝度値の差分値と、肌色平均輝度値と、の比較値x5が算出される(ステップS245)。画像の肌色最大輝度値及び肌色最小輝度値の差分値と肌色平均輝度値との比較値x5は、次式(10)のように表される。
x5=(Yskin_max−Yskin_min)/2−Yskin_ave …(10)
【0123】
そして、第3指標算出部722により、画面中央部における肌色の平均輝度値x1、画像の最大輝度値と平均輝度値との差分値x2、輝度標準偏差x3、画面中央部における輝度平均値x4、画像の肌色最大輝度値及び肌色最小輝度値の差分値と肌色平均輝度値との比較値x5の各々に、撮影条件に応じて予め設定された第4の係数が乗算されて和がとられることにより第4の指標a4が算出され(ステップS246)、第4の指標算出処理が終了する。
【0124】
第4の指標a4は、ステップS241〜S245で算出された値に対し、判別分析によって求められた第4の係数を乗算した和を用いて、式(11)のように定義される。
a4=0.06×x1+1.13×x2+0.02×x3+(-0.01)×x4+0.03×x5−6.50 …(11)
第4の指標a4は、撮影画像データの画面の構図的な特徴だけでなく、輝度ヒストグラム分布情報を持ち合わせており、特にフラッシュ撮影シーン及びアンダー撮影シーンの判別に有効である。
【0125】
次いで、図7において、第3指標算出部722により、撮影シーンを特定する指標としての第5の指標a5及び第6の指標a6が算出される(ステップS25)。
【0126】
ここで、撮影画像データの画面中央部における肌色の平均輝度値を第4’の指標a4’とする。ここでの画面中央部とは、例えば、図13の領域n2、領域n3及び領域n4から構成される領域である。第5の指標a5は、第1の指標a1、第3の指標a3及び第4’の指標a4’を用いて式(12)のように定義され、第6の指標a6は、第2の指標a2、第3の指標a3、第4’の指標a4’を用いて式(13)のように定義される。
a5=0.46×a1+0.61×a3+0.01×a4’−0.79 …(12)
a6=0.58×a2+0.18×a3+(-0.03)×a4’+3.34 …(13)
ここで、式(12)、(13)において各指標に乗算される重み係数は、撮影条件に応じて予め設定されている。
【0127】
そして、図7において、シーン判別実行部714により、指標算出部713において算出された第4の指標a4、第5の指標a5、第6の指標a6の値に基づいて、撮影画像データの撮影シーン(光源条件及び露出条件)が判別され(ステップS26)、シーン判別処理が終了される。以下、撮影シーン(光源条件及び露出条件)の判別方法について説明する。
【0128】
図18(a)は、順光、逆光、ストロボの各光源条件で60枚ずつ撮影し、合計180枚のデジタル画像データについて、第5の指標a5、第6の指標a6を算出し、各光源条件での第5の指標a5、第6の指標a6の値をプロットしたものである。図18(a)によれば、第5の指標a5の値が0.5より大きい場合、ストロボ撮影シーンが多く、第5の指標a5の値が0.5以下で、第6の指標a6の値が−0.5より大きい場合、逆光撮影シーンが多いことがわかる。このように第5の指標a5、第6の指標a6の値により撮影シーン(光源条件及び露出条件)を定量的に判別することができる。
【0129】
さらに、順光、逆光、ストロボの各撮影シーンを判別できる第5の指標a5、第6の指標a6に、第4の指標a4を加えることで、3次元で撮影シーン(光源条件及び露出条件)を判別することができるようになり、より判別精度をあげることが可能となる。3次元的に撮影シーンが判別可能となり、撮影シーンの判別精度を一層向上させることが可能となる。第4の指標a4は特に、画像全体を暗くする階調補正が行われるストロボ撮影シーンと、画像全体を明るくする階調補正が行われるアンダー撮影シーンとを判別するのに有効である。
【0130】
図18(b)は、ストロボ撮影シーンとアンダー撮影シーンとの撮影画像データ各60枚のうち、第5の指標a5が0.5より大きい撮影画像データの第4の指標a4及び第5の指標a5を算出しプロットしたものである。図18(b)によれば、第4の指標a4の値が0より大きい場合、ストロボ撮影シーンが多く、第4の指標a4の値が0以下の場合、アンダー撮影シーンが多いことがわかる。表6に、第4の指標a4〜第6の指標a6の値による撮影シーンの判別内容を示す。
【表6】

【0131】
そして、図6において、階調補正方法決定部731により、ステップS2で判別された撮影シーンに応じて、撮影画像データに対する階調補正方法が決定され、階調補正パラメータ算出部732により、指標算出部713において算出された指標に基づいて、階調補正に必要なパラメータ(階調補正パラメータ)が算出され、階調補正量決定部733により、その算出された階調補正パラメータに基づいて階調補正量が仮決定される(ステップS3)。
【0132】
階調補正方法の決定は、図19に示すように、撮影シーンが順光である場合は階調補正方法A(図19(a))が選択され、逆光である場合は階調補正方法B(図19(b))が選択され、ストロボである場合は階調補正方法C(図19(c))が選択され、アンダーである場合は階調補正方法B(図19(b))が選択される。
【0133】
以下、ステップS3において算出される階調補正パラメータの算出方法について説明する。なお、以下では、8bitの撮影画像データは16bitへと事前に変換されているものとし、撮影画像データの値の単位は16bitであるものとする。
【0134】
階調補正に必要なパラメータ(階調補正パラメータ)として、下記のP1〜P9のパラメータが算出される。
P1:撮影画面全体の平均輝度
P2:ブロック分割平均輝度
P3:肌色領域(H1)の平均輝度
P4:第1の輝度補正値=P1−P2
P5:再現目標修正値=輝度再現目標値(30360)−P4
P6:第1のオフセット値=P5−P1
P7:第1のキー補正値
P7':第2のキー補正値
P8:第2の輝度補正値
P9:第2のオフセット値=P5−P8−P1
【0135】
ここで、図20及び図21を参照して、パラメータP2の算出方法について説明する。まず、撮影画像データを正規化するために、CDF(累積密度関数)を作成する。次いで、得られたCDFから最大値と最小値を決定する。この最大値と最小値は、RGB毎に求める。ここで、求められたRGB毎の最大値と最小値を、それぞれ、Rmax、Rmin、Gmax、Gmin、Bmax、Bminとする。
【0136】
次いで、撮影画像データの任意の画素(Rx,Gx,Bx)に対する正規化画像データを算出する。RプレーンにおけるRxの正規化データをRpoint、GプレーンにおけるGxの正規化データをGpoint、BプレーンにおけるBxの正規化データをBpointとすると、正規化データRpoint、Gpoint、Bpointは、それぞれ、式(14)〜(16)のように表される。
Rpoint={(Rx−Rmin)/(Rmax−Rmin)}×65535 …(14)
Gpoint={(Gx−Gmin)/(Gmax−Gmin)}×65535 …(15)
Bpoint={(Bx−Bmin)/(Bmax−Bmin)}×65535 …(16)
次いで、式(17)により画素(Rx,Gx,Bx)の輝度Npointを算出する。
Npoint=(Bpoint+Gpoint+Rpoint)/3 …(17)
【0137】
図20(a)は、正規化する前のRGB画素の輝度の度数分布(ヒストグラム)である。図20(a)において、横軸は輝度、縦軸は画素の頻度である。このヒストグラムは、RGB毎に作成する。輝度のヒストグラムが作成されると、式(14)〜(16)により、撮影画像データに対し、プレーン毎に正規化を行う。図20(b)は、式(17)により算出された輝度のヒストグラムを示す。撮影画像データが65535で正規化されている
ため、各画素は、最大値が65535で最小値が0の間で任意の値をとる。
【0138】
図20(b)に示す輝度ヒストグラムを所定の範囲で区切ってブロックに分割すると、図20(c)に示すような度数分布が得られる。図20(c)において、横軸はブロック番号(輝度)、縦軸は頻度である。
【0139】
次いで、図20(c)に示された輝度ヒストグラムから、ハイライト、シャドー領域を削除する処理を行う。これは、白壁や雪上シーンでは、平均輝度が非常に高くなり、暗闇のシーンでは平均輝度は非常に低くなっているため、ハイライト、シャドー領域は、平均輝度制御に悪影響を与えてしまうことによる。そこで、図20(c)に示した輝度ヒストグラムのハイライト領域、シャドー領域を制限することによって、両領域の影響を減少させる。図21(a)(又は図20(c))に示す輝度ヒストグラムにおいて、高輝度領域(ハイライト領域)及び低輝度領域(シャドー領域)を削除すると、図21(b)のようになる。
【0140】
次いで、図21(c)に示すように、輝度ヒストグラムにおいて、頻度が所定の閾値より大きい領域を削除する。これは、頻度が極端に多い部分が存在すると、この部分のデータが、撮影画像全体の平均輝度に強く影響を与えてしまうため、誤補正が生じやすいことによる。そこで、図21(c)に示すように、輝度ヒストグラムにおいて、閾値以上の画素数を制限する。図21(d)は、画素数の制限処理を行った後の輝度ヒストグラムである。
【0141】
正規化された輝度ヒストグラムから、高輝度領域及び低輝度領域を削除し、更に、累積画素数を制限することによって得られた輝度ヒストグラム(図21(d))の各ブロック番号と、それぞれの頻度に基づいて、輝度の平均値を算出したものがパラメータP2である。
【0142】
パラメータP1は、撮影画像データ全体の輝度の平均値であり、パラメータP3は、撮影画像データのうち肌色領域(H1)の輝度の平均値である。パラメータP7の第1のキー補正値、パラメータP7'の第2のキー補正値、パラメータP8の第2の輝度補正値は、それぞれ、式(18)〜(20)のように定義される。
P7(第1のキー補正値)={P3−((a6/6)×18000+22000)}/24.78 …(18)
P7’(第2のキー補正値)={P3−((a4/6)×10000+30000)}/24.78 …(19)
P8(第2の輝度補正値)=(a5/6)×17500 …(20)
【0143】
算出された階調補正パラメータに基づく、撮影画像データに対する階調補正量の仮決定では、具体的には、決定された階調補正方法に対応して予め設定された複数の階調補正曲線の中から、算出された階調補正パラメータに対応する階調補正曲線が選択(決定)される。なお、算出された階調補正パラメータに基づいて、階調補正曲線(階調補正量)を算出するようにしてもよい。
【0144】
以下、各撮影シーン(光源条件及び露出条件)の階調補正曲線の決定方法について説明する。
<順光の場合>
撮影シーンが順光である場合、パラメータP1をP5と一致させるオフセット補正(8bit値の平行シフト)を次式(21)により行う。
出力画像のRGB値=入力画像のRGB値+P6 …(21)
従って、撮影シーンが順光の場合、図19(a)に示す複数の階調補正曲線の中から、式(19)に対応する階調補正曲線が選択される。又は、式(21)に基づいて階調補正曲線を算出(決定)してもよい。
【0145】
<逆光の場合>
撮影シーンが逆光である場合、図19(b)に示す複数の階調補正曲線の中から、式(18)に示すパラメータP7(第1のキー補正値)に対応する階調補正曲線を選択する。図19(b)の階調補正曲線の具体例を図22に示す。パラメータP7の値と、選択される階調補正曲線の対応関係を以下に示す。
−0.5<P7<+0.5の場合→L3
+0.5≦P7<+1.5の場合→L4
+1.5≦P7<+2.5の場合→L5
−1.5<P7≦−0.5の場合→L2
−2.5<P7≦−1.5の場合→L1
なお、撮影シーンが逆光の場合、この階調補正処理とともに、覆い焼き処理を併せて行うことが好ましい。この場合、逆光度を示す第5の指標a5に応じて覆い焼き処理の程度も調整されることが望ましい。
【0146】
<アンダーの場合>
撮影シーンがアンダーである場合、図19(b)に示す複数の階調補正曲線の中から、式(19)に示すパラメータP7'(第2のキー補正値)に対応する階調補正曲線が選択される。具体的には、撮影シーンが逆光の場合の階調補正曲線の選択方法と同様に、図22に示す階調補正曲線の中から、パラメータP7'の値に対応した階調補正曲線が選択される。なお、撮影シーンがアンダーである場合は、逆光の場合に示したような覆い焼き処理は行わない。
【0147】
<ストロボの場合>
撮影シーンがストロボである場合、オフセット補正(8bit値の平行シフト)を次式(22)により行う。
出力画像のRGB値=入力画像のRGB値+P9 …(22)
従って、撮影シーンがストロボの場合、図19(c)に示す複数の階調補正曲線の中から、式(22)に対応する階調補正曲線が選択される。又は、式(22)に基づいて階調補正曲線を算出(決定)してもよい。なお、式(22)のパラメータP9の値が、予め設定された所定値αを上回った場合、図22に示す曲線L1〜L5の中から、第2のキー補正値=P9−αに対応する曲線を選択する。
【0148】
本実施の形態では、実際に撮影画像データに対して階調補正処理を施す場合、上述の各画像処理条件を16bitから8bitへ変更するものとする。
【0149】
なお、順光、逆光、ストロボ間で階調補正方法が大きく異なる場合、撮影シーンの誤判別時の画質への影響が懸念されるため、順光、逆光、ストロボ間に、階調補正方法が緩やかに移行する中間領域を設定することが望ましい。
【0150】
以上のように、ステップS2,S3によれば、撮影画像データの撮影シーンを定量的に示す指標を算出し、その算出された指標に基づいて撮影シーンを判別し、判別結果に応じて撮影画像データに対する階調補正方法を決定し、撮影画像データの階調補正量を仮決定して、被写体の明度を適切に補正する階調補正方法の決定と、階調補正量の仮決定とを行うことが可能となる。
【0151】
特に、ストロボ撮影としての確度を定量的に示す第1の指標a1と、逆光撮影としての確度を定量的に示す第2の指標a2に加えて、撮影画像データの構図的な要素から導出される第3の指標a3を用いて撮影シーンを判別することにより、撮影シーンの判別精度を向上させることができる。
また、構図的な要素とヒストグラムの分布情報から算出される第4の指標a4を用いることで、画像全体を暗くする階調補正を行うストロボシーンと画像全体を明るく階調補正するアンダー撮影シーンとを判別でき、撮影シーンの判別精度を向上させることができる。
【0152】
そして、図6において、飽和画素数取得部740により、撮影画像データから飽和画素数がカウントして取得され、飽和画素数比率算出部750により、撮影画像データの全画素数に対する飽和画素数の比率(飽和画素数比率)が算出される(ステップS4)。そして、階調補正量決定部733により、算出された飽和画素数比率が、予め設定された閾値以上であるか否かが判別される(ステップS5)。閾値は、例えば1%とするが、この値に限定されるものではない。
【0153】
飽和画素数比率が閾値以上である場合(ステップS5;YES)、階調補正量決定部733により、飽和画素数比率に基づいて、ステップS3で仮決定された階調補正量が修正され、その修正後の階調補正量が正式なものとして決定される(ステップS6)。具体的には、階調補正の階調補正量を減少させる。例えば、飽和画素数比率が5%の場合に、階調補正量を半減させる。また、飽和画素数比率が大きくなるにつれて、階調補正量の減少量を増加させてもよく、また飽和画素数比率が15%を超えた場合には、階調補正を行わないようにすることが好ましい。飽和画素数比率は撮影された画像の種類にもよるが、概ねこの程度の値とすることが好ましい。
【0154】
そして、画像処理実行部760により、決定された階調補正方法及びその階調補正量に基づいて、撮影画像データに階調補正処理が施される(ステップS7)。飽和画素数比率が閾値未満である場合(ステップS5;NO)、ステップS3で仮決定された階調補正量が正式なものとして決定され、ステップS7に移行される。そして、画像処理実行部760により、階調補正後の画像データに、階調補正以外の画像処理が施され(ステップS8)、第1の画像処理が終了する。
【0155】
画像処理が施された画像データは、CRT固有処理部706、プリント固有処理部707,708、画像データ書式作成処理部709を介して、CRT8、露光処理部4、外部プリンタ51、画像搬送部31、通信手段(出力)33に出力される。
【0156】
以上、本実施の形態によれば、ハイコントラストシーン等において、撮影画像データに飛び(飽和)が有る場合であっても、その飽和画素数の比率を算出し、シーン判別の結果と合わせて階調補正条件として階調補正方法および階調補正量を決定して階調補正するので、DSC等の画像データの適切な自動階調補正を行うことができる。
【0157】
また、画像データの撮影シーンを定量的に示す第1、第2、第3及び第4の指標を算出し、それらの指標に基づいて撮影画像データの撮影シーンを決定するので、撮影画像データの撮影シーンを正確に特定することができる。
【0158】
また、シーン判別の結果により、決定した階調補正方法の階調補正量を仮決定し、飽和画素数比率により階調補正量を正式に決定するので、撮影画像データのさらに適切な自動階調補正を行うことができる。
【0159】
(第2の実施の形態)
本発明に係る第2の実施の形態を説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態と似ているので、説明の重複を避けるため、第1の実施の形態と異なる部分を主として説明する。
【0160】
図23に、画像調整処理部701aの内部構成を示す。本実施の形態の装置構成は、第1の実施の形態の画像処理装置1における画像調整処理部701を、図23に示す画像調整処理部701aに代えたものである。画像調整処理部701aは、画像調整処理部701の飽和画素数取得部740と、飽和画素数比率算出部750とを、それぞれ、飽和画素領域抽出部770と、近傍画素判別部780とに代えたものである。
【0161】
飽和画素領域抽出部770は、撮影画像データから特定比率以上の飽和画素領域を全て抽出する。飽和画素領域は、飽和画素からなる領域であり、4連結や8連結で隣接する場合を同一の領域とする。特定比率とは、予め設定された、飽和画素領域を特定するための、撮影画像データの全画素数に対する1つの飽和画素領域の画素数の比率であり、0.3%程度とすることが好ましいものとするが、この値に限定されるものではない。
【0162】
近傍画素判別部780は、飽和画素領域が肌色に対応するか否かを判別するために、その飽和画素領域の近傍画素が肌色色相であるか否かを判別する。ここで肌色色相とは、HSV表色系でH=0〜39°,330〜360°とすることが好ましい。
【0163】
次に、本実施の形態における動作について説明する。図24に、第2の画像処理の流れを示す。第2の画像処理は、操作部11からの第2の画像処理実行入力等をトリガとして、画像処理部70において、記憶部(図示略)から読み出されてRAM(図示略)に展開された第2の画像処理プログラムと、CPU(図示略)との協働で実行される。
【0164】
まず、ステップS101〜S103が実行される。ステップS101〜S103は、それぞれ図6のS1〜S3と同様である。そして、飽和画素領域抽出部770により、撮影画像データから特定比率以上の飽和画素領域が全て抽出される(ステップS104)。そして、近傍画素判別部780により、抽出された全ての飽和画素領域のうち、未選択の飽和画素領域があるか否かが判別される(ステップS105)。未選択の飽和画素領域がある場合(ステップS105;YES)、全ての未選択の飽和画素領域のうちから1つの飽和画素領域が選択され、近傍画素判別部780により、選択された飽和画素領域の近傍画素が抽出される(ステップS106)。
【0165】
そして、近傍画素判別部780により、抽出された飽和画素領域の近傍画素が肌色色相であるか否かが判別される(ステップS107)。例えば、近傍画素の半数が肌色色相の画素であった場合には、肌色色相であると判別する。近傍画素が肌色色相でない場合(ステップS107;YES)、ステップS105に移行される。近傍画素が肌色色相である場合(ステップS107;YES)、近傍画素判別部780により、選択した飽和画素領域の画素数(面積)が、近傍画素が肌色色相である飽和画素領域の合計画素数(肌色合計画素数(面積))に加算され(ステップS108)、ステップS105に移行される。
【0166】
未選択の飽和画素領域がない場合(ステップS105;NO)、階調補正量決定部733により、撮影画像データの全ての画素数に対する合計画素数の比率(合計肌色画素数比率)が算出され、合計肌色画素数比率から、ステップS103で仮決定された階調補正量が修正される(ステップS109)。そして、ステップS110,S111が実行される。ステップS110,S111は、それぞれ図6のS7,S8と同様である。
【0167】
以上、本実施の形態によれば、撮影画像データ中の特定比率以上の飽和領域の近傍色相を判別することにより、ハイコントラストシーン等において、人物の顔が飛び(飽和)になっているかどうかが判別でき、顔部分が飽和しているかどうかの判別結果と、シーン判別の結果とを合わせて階調補正方法及び階調補正量を決定して階調補正するので、DSC等の画像データの適切な自動階調補正を行うことができる。
【0168】
また、シーン判別の結果により、決定した階調補正方法の階調補正量を仮決定し、飽和画素領域の近傍画素が肌色色相であるか否かの判別結果により階調補正量を正式に決定するので、撮影画像データのさらに適切な自動階調補正を行うことができる。
【0169】
(変形例)
上記第1及び第2の実施の形態の変形例を説明する。先ず、図25を参照して、第1の実施の形態の変形例を説明する。
【0170】
図25に、画像調整処理部701Aの内部構成を示す。本変形例の装置構成は、第1の実施の形態の画像処理装置1における画像調整処理部701を、図25に示す画像調整処理部701Aに代えたものである。画像調整処理部701Aは、画像縮小部790、シーン判別部710A、階調補正条件決定部730A、飽和画素数取得部740A、飽和画素数比率算出部750A、画像処理実行部760Aにより構成される。また、階調補正条件決定部730Aは、階調補正方法決定部731A、階調補正パラメータ算出部732A、階調補正量決定部733Aにより構成される。
【0171】
画像縮小部790は、第1の画像データ(元画像データ)としての撮影画像データを縮小して第2の画像データとしての縮小画像データに変換する。画像サイズを縮小する方法としては、公知の方法を用いることができる。公知の方法としては、例えば、バイリニア法、バイキュービック法、ニアレストネーバー法等がある。縮小率としては特に限定はないが、処理速度の観点とシーン判別工程の精度の観点で、1/2〜1/10程度が好ましい。
【0172】
シーン判別部710A、階調補正条件決定部730A、飽和画素数取得部740A、飽和画素数比率算出部750Aは、第1の実施の形態のシーン判別部710、階調補正条件決定部730、飽和画素数取得部740、飽和画素数比率算出部750と同様であるが、撮影画像データでなく、画像縮小部790により出力された縮小画像データについて各種処理を行う。また、画像処理実行部760Aは、縮小画像データに対応する階調補正条件に基づいて、撮影画像データに階調補正を施し、さらにその他の画像処理を施す。本変形例では、図6の第1の画像処理において、ステップS1の次に、画像縮小部790により撮影画像データが縮小されて縮小画像データにされ、ステップS3〜S6において、縮小画像データに対して各種処理がなされる。
【0173】
次に、図26を参照して、第2の実施の形態の変形例を説明する。図26に、画像調整処理部701Bの内部構成を示す。本変形例の装置構成は、第2の実施の形態の画像処理装置1における画像調整処理部701aを、図26に示す画像調整処理部701Bに代えたものである。画像調整処理部701Bは、画像縮小部790、シーン判別部710B、階調補正条件決定部730B、飽和画素領域抽出部770B、近傍画素判別部780B、画像処理実行部760Bにより構成される。また、階調補正条件決定部730Bは、階調補正方法決定部731B、階調補正パラメータ算出部732B、階調補正量決定部733Bにより構成される。
【0174】
シーン判別部710B、階調補正条件決定部730B、飽和画素領域抽出部770B、近傍画素判別部780Bは、第2の実施の形態のシーン判別部710、階調補正条件決定部730、飽和画素領域抽出部770、近傍画素判別部780と同様であるが、撮影画像データでなく、画像縮小部790により出力された縮小画像データについて各種処理を行う。また、画像処理実行部760Bは、縮小画像データに対応する階調補正条件に基づいて、撮影画像データに階調補正し、さらにその他の画像処理を行う。本変形例では、図23の第2の画像処理において、ステップS101の次に、画像縮小部790により撮影画像データが縮小されて縮小画像データにされ、ステップS3〜S6において、縮小画像データに各種処理がなされる。
【0175】
以上、本変形例によれば、第1又は第2の実施の形態の効果とともに、縮小画像データを用いて、飽和画素数比率算出、又は飽和画素領域抽出及び近傍画素判別等の処理を行うことにより計算量及び計算時間を低減できる。
【0176】
なお、本実施の形態における記述は、本発明に係る画像処理方法、画像処理装置及び画像処理プログラムの一例を示すものであるが、これに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0177】
例えば、図19(a),(b)、図22では、階調補正曲線の始点、終点(収束点)を、それぞれ、画像データ値のmin値、max値に設定したような階調補正曲線を用いて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図27に示すように、階調補正曲線の始点、終点を、それぞれ、画像データ値のmin値、max値の外側に設定したような階調補正曲線を用いる構成としてもよい。この構成では、階調補正によりmin値、max値付近の画素が多くなることを防ぐことができる。
【0178】
また、上記各実施の形態におけるシーン判別処理において、少なくとも撮影画像データの画面中央部における肌色の平均輝度に、第3の係数を乗算することにより第3の指標a3を算出する構成としてもよい。また、同様にシーン判別処理において、第1〜第3の指標a1〜a3に基づいて、撮影シーンを判別するための新たな指標を算出し、その新たな指標に基づいてシーン判別する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0179】
【図1】本発明の実施形態における画像処理装置1の外観構成を示す斜視図である。
【図2】画像処理装置1の内部構成を示すブロック図である。
【図3】画像処理装置1の画像処理部70の主要部構成を示すブロック図である。
【図4】画像調整処理部701の内部構成を示すブロック図である。
【図5】シーン判別部710の内部構成(a)と、割合算出部712の内部構成(b)と、占有率演算部717の内部構成(c)と、指標算出部713の内部構成(d)と、を示すブロック図である。
【図6】画像調整処理部701において実行される第1の画像処理を示すフローチャートである。
【図7】第1の画像処理中のシーン判別処理を示すフローチャートである。
【図8】シーン判別処理中の第1の占有率算出処理を示すフローチャートである。
【図9】RGBからHSV表色系に変換するプログラムの一例を示す図である。
【図10】シーン判別処理中の第2の占有率算出処理を示すフローチャートである。
【図11】撮影画像データの画面の外縁からの距離に応じて決定される領域n1〜n4を示す図である。
【図12】明度(V)−色相(H)平面と、V−H平面上の領域r1及び領域r2を示す図である。
【図13】第1の指標a1を算出するための、第1の占有率に乗算する第1の係数を表す曲線を示す図である。
【図14】明度(V)−色相(H)平面と、V−H平面上の領域r3及び領域r4を示す図である。
【図15】第2の指標a2を算出するための、第1の占有率に乗算する第2の係数を表す曲線を示す図である。
【図16】第3の指標a3を算出するための、第2の占有率に乗算する第3の係数を表す曲線を領域別(n1〜n4)に示す図である。
【図17】シーン判別処理中の第4の指標算出処理を示すフローチャートである。
【図18】各光源条件での第5の指標a5、第6の指標a6の値のプロット(a)と、第5の指標a5が0.5より大きい画像の第4の指標a4、第5の指標a5のプロット(b)とを示す図である。
【図19】各階調補正方法に対応する階調補正曲線を示す図である。
【図20】輝度の度数分布(ヒストグラム)(a)、正規化されたヒストグラム(b)及びブロック分割されたヒストグラム(c)を示す図である。
【図21】輝度のヒストグラムからの低輝度領域及び高輝度領域の削除を説明する図((a)及び(b))と、輝度の頻度の制限を説明する図((c)及び(d))である。
【図22】撮影シーンが逆光である場合の画像処理条件(階調補正条件)を表す階調補正曲線を示す図である。
【図23】画像調整処理部701aの内部構成を示すブロック図である。
【図24】画像調整処理部701aにおいて実行される第2の画像処理を示すフローチャートである。
【図25】画像調整処理部701Aの内部構成を示すブロック図である。
【図26】画像調整処理部701Bの内部構成を示すブロック図である。
【図27】階調補正曲線の始点、終点を、それぞれ、画像データ値のmin値、max値の外側に設定したような階調補正曲線を示す図である。
【符号の説明】
【0180】
1 画像処理装置
2 筐体
3 マガジン装填部
4 露光処理部
5 プリント作成部
6 トレー
7 制御部
70 画像処理部
701,701a,701A,701B 画像調整処理部
710,710A,710B シーン判別部
712 割合算出部
713 指標算出部
720 第1指標算出部
721 第2指標算出部
722 第3指標算出部
714 シーン判別実行部
715 表色系変換部
716 ヒストグラム作成部
717 占有率演算部
718 第1占有率演算部
719 第2占有率演算部
730,730A,730B 階調補正条件決定部
731,731A,732B 階調補正方法決定部
732,732A,732B 階調補正パラメータ算出部
733,733A,733B 階調補正量決定部
740,740A 飽和画素数取得部
750,750A 飽和画素数比率算出部
760,760A,760B 画像処理実行部
770,770B 飽和画素領域抽出部
780,780B 近傍画素判別部
790 画像縮小部
702 フィルムスキャンデータ処理部
703 反射原稿スキャンデータ処理部
704 画像データ書式解読処理部
705 画像調整処理部
706 CRT固有処理部
707,708 プリント固有処理部
709 画像データ書式作成処理部
71 データ蓄積手段
8 CRT
9 フィルムスキャナ部
10 反射原稿入力装置
11 操作部
12 情報入力手段
13a カード
13b FD
14 画像読込部
14a PCカード用アダプタ
14b FD用アダプタ
15 画像書込部
15a FD用アダプタ
15b MO用アダプタ
15c 光ディスク用アダプタ
16a FD
16b MO
16c 光ディスク
30 画像転送手段
31 画像搬送部
32 通信手段(入力)
33 通信手段(出力)
34 外部プリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数画素の信号からなる画像データから画像の撮影シーンを判別するシーン判別工程と、
前記画像データから飽和画素数を取得する工程と、
前記画像データの画素数に対する前記飽和画素数の比率を算出する工程と、
前記シーン判別の結果及び前記飽和画素数の比率に基づいて、階調補正条件を決定する階調補正条件決定工程と、
前記決定された階調補正条件を用いて、前記画像データに階調補正処理を施す階調補正工程と、を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
複数画素の信号からなる画像データから画像の撮影シーンを判別するシーン判別工程と、
前記画像データから、当該画像データの画素数に対して特定比率以上の飽和画素領域を抽出する工程と、
特定比率以上の飽和画素領域が抽出された場合には、全ての飽和画素領域に対して、近傍画素の色相が肌色色相であるか否かを判別する近傍画素判別工程と、
前記シーン判別の結果及び前記近傍画素判別の結果に基づいて、階調補正条件を決定する階調補正条件決定工程と、
前記決定された階調補正条件を用いて、前記画像データに階調補正処理を施す階調補正工程と、を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項3】
前記シーン判別工程は、
前記画像データを所定の明度と色相との組み合わせからなる領域に分割し、当該分割された領域毎に、前記画像データ全体に占める割合を示す第1の占有率を算出する第1占有率算出工程と、
前記第1の占有率に、予め設定された異なる第1及び第2の係数をそれぞれ乗算することにより、第1及び第2の指標を算出する第1指標算出工程と、
前記画像データの画面の外縁からの距離と明度との組み合わせからなる所定の領域に分割し、当該分割された領域毎に、前記画像データ全体に占める割合を示す第2の占有率を算出する第2占有率算出工程と、
前記第2の占有率に、予め設定された第3の係数を乗算することにより、第3の指標を算出する第2指標算出工程と、
少なくとも前記画像データの画面中央部における肌色の平均輝度に、予め設定された第4の係数を乗算することにより、第4の指標を算出する第3指標算出工程と、
前記算出された第1、第2、第3及び第4の指標に基づいて、前記画像データの撮影シーンを判別する工程と、を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理方法。
【請求項4】
前記階調補正条件決定工程は、階調補正条件として階調補正方法及びその階調補正量を決定し、
前記階調補正工程は、前記決定された階調補正方法及びその階調補正量を用いて、前記画像データに階調補正処理を施すことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理方法。
【請求項5】
複数画素の信号からなる第1の画像データから、画像サイズを縮小した第2の画像データを取得する工程と、
前記第2の画像データから画像の撮影シーンを判別するシーン判別工程と、
前記第2の画像データから飽和画素数を算出する工程と、
前記第2の画像データの画素数に対する前記飽和画素数の比率を算出する工程と、
前記シーン判別の結果及び前記飽和画素数の比率に基づいて、階調補正条件を変更する階調補正条件変更工程と、
前記決定された階調補正条件を用いて、前記第1の画像データに階調補正処理を施す階調補正工程と、を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
複数画素の信号からなる第1の画像データから、画像サイズを縮小した第2の画像データを取得する工程と、
前記第2の画像データから画像の撮影シーンを判別するシーン判別工程と、
前記第2の画像データから、当該第2の画像データの画素数に対して特定比率以上の飽和画素領域を抽出する工程と、
特定比率以上の飽和画素領域が抽出された場合には、全ての飽和画素領域に対して、近傍画素の色相が肌色色相であるか否かを判別する近傍画素判別工程と、
前記シーン判別の結果及び前記近傍画素判別の結果に基づいて、階調補正条件を決定する階調補正条件決定工程と、
前記決定された階調補正条件を用いて、前記第1の画像データに階調補正処理を施す階調補正工程と、を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
前記シーン判別工程は、
前記第2の画像データを所定の明度と色相との組み合わせからなる領域に分割し、当該分割された領域毎に、前記第2の画像データ全体に占める割合を示す第1の占有率を算出する第1占有率算出工程と、
前記第1占有率に、予め設定された異なる第1及び第2の係数をそれぞれ乗算することにより、第1及び第2の指標を算出する第1指標算出工程と、
前記第2の画像データの画面の外縁からの距離と明度との組み合わせからなる所定の領域に分割し、当該分割された領域毎に、前記第2の画像データ全体に占める割合を示す第2の占有率を算出する第2占有率算出工程と、
前記第2の占有率に、予め設定された第3の係数を乗算することにより、第3の指標を算出する第2指標算出工程と、
少なくとも前記第2の画像データの画面中央部における肌色の平均輝度に、予め設定された第4の係数を乗算することにより、第4の指標を算出する第3指標算出工程と、
前記算出された第1、第2、第3及び第4の指標に基づいて、前記第2の画像データの撮影シーンを判別する工程と、を含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の画像処理方法。
【請求項8】
前記階調補正条件決定工程は、階調補正条件として階調補正方法及びその階調補正量を決定し、
前記階調補正工程は、前記決定された階調補正方法及びその階調補正量を用いて、前記第1の画像データに階調補正処理を施すことを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載の画像処理方法。
【請求項9】
複数画素の信号からなる画像データから画像の撮影シーンを判別するシーン判別部と、
前記画像データから飽和画素数を取得する飽和画素数取得部と、
前記画像データの画素数に対する前記飽和画素数の比率を算出する飽和画素数比率算出部と、
前記シーン判別の結果及び前記飽和画素数の比率に基づいて、階調補正条件を決定する階調補正条件決定部と、
前記決定された階調補正条件を用いて、前記画像データに階調補正処理を施す階調補正部と、を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
複数画素の信号からなる画像データから画像の撮影シーンを判別するシーン判別部と、
前記画像データから、当該画像データの画素数に対して特定比率以上の飽和画素領域を抽出する飽和画素領域抽出部と、
特定比率以上の飽和画素領域が抽出された場合には、全ての飽和画素領域に対して、近傍画素の色相が肌色色相であるか否かを判別する近傍画素判別部と、
前記シーン判別の結果及び前記近傍画素判別の結果に基づいて、階調補正条件を決定する階調補正条件決定部と、
前記決定された階調補正条件を用いて、前記画像データに階調補正処理を施す階調補正部と、を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
前記シーン判別部は、
前記画像データを所定の明度と色相との組み合わせからなる領域に分割し、当該分割された領域毎に、前記画像データ全体に占める割合を示す第1の占有率を算出する第1占有率算出部と、
前記第1の占有率に、予め設定された異なる第1及び第2の係数をそれぞれ乗算することにより、第1及び第2の指標を算出する第1指標算出部と、
前記画像データの画面の外縁からの距離と明度との組み合わせからなる所定の領域に分割し、当該分割された領域毎に、前記画像データ全体に占める割合を示す第2の占有率を算出する第2占有率算出部と、
前記第2の占有率に、予め設定された第3の係数を乗算することにより、第3の指標を算出する第2指標算出部と、
少なくとも前記画像データの画面中央部における肌色の平均輝度に、予め設定された第4の係数を乗算することにより、第4の指標を算出する第3指標算出部と、
前記算出された第1、第2、第3及び第4の指標に基づいて、前記画像データの撮影シーンを判別するシーン判別実行部と、を備えることを特徴とする請求項9又は10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記階調補正条件決定部は、階調補正条件として階調補正方法及びその階調補正量を決定し、
前記階調補正部は、前記決定された階調補正方法及びその階調補正量を用いて、前記画像データに階調補正処理を施すことを特徴とする請求項9から11のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項13】
複数画素の信号からなる第1の画像データから、画像サイズを縮小した第2の画像データを取得する画像縮小部と、
前記第2の画像データから画像の撮影シーンを判別するシーン判別部と、
前記第2の画像データから飽和画素数を算出する飽和画素数取得部と、
前記第2の画像データの画素数に対する前記飽和画素数の比率を算出する飽和画素数比率算出部と、
前記シーン判別の結果及び前記飽和画素数の比率に基づいて、階調補正条件を変更する階調補正条件変更部と、
前記決定された階調補正条件を用いて、前記第1の画像データに階調補正処理を施す階調補正部と、を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項14】
複数画素の信号からなる第1の画像データから、画像サイズを縮小した第2の画像データを取得する画像縮小部と、
前記第2の画像データから画像の撮影シーンを判別するシーン判別部と、
前記第2の画像データから、当該第2の画像データの画素数に対して特定比率以上の飽和画素領域を抽出する飽和画素領域抽出部と、
特定比率以上の飽和画素領域が抽出された場合には、全ての飽和画素領域に対して、近傍画素の色相が肌色色相であるか否かを判別する近傍画素判別部と、
前記シーン判別の結果及び前記近傍画素判別の結果に基づいて、階調補正条件を決定する階調補正条件決定部と、
前記決定された階調補正条件を用いて、前記第1の画像データに階調補正処理を施す階調補正部と、を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項15】
前記シーン判別部は、
前記第2の画像データを所定の明度と色相との組み合わせからなる領域に分割し、当該分割された領域毎に、前記第2の画像データ全体に占める割合を示す第1の占有率を算出する第1占有率算出部と、
前記第1占有率に、予め設定された異なる第1及び第2の係数をそれぞれ乗算することにより、第1及び第2の指標を算出する第1指標算出部と、
前記第2の画像データの画面の外縁からの距離と明度との組み合わせからなる所定の領域に分割し、当該分割された領域毎に、前記第2の画像データ全体に占める割合を示す第2の占有率を算出する第2占有率算出部と、
前記第2の占有率に、予め設定された第3の係数を乗算することにより、第3の指標を算出する第2指標算出部と、
少なくとも前記第2の画像データの画面中央部における肌色の平均輝度に、予め設定された第4の係数を乗算することにより、第4の指標を算出する第3指標算出部と、
前記算出された第1、第2、第3及び第4の指標に基づいて、前記第2の画像データの撮影シーンを判別するシーン判別実行部と、を備えることを特徴とする請求項13又は14に記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記階調補正条件決定部は、階調補正条件として階調補正方法及びその階調補正量を決定し、
前記階調補正部は、前記決定された階調補正方法及びその階調補正量を用いて、前記第1の画像データに階調補正処理を施すことを特徴とする請求項13から15のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項17】
コンピュータに、
複数画素の信号からなる画像データから画像の撮影シーンを判別するシーン判別機能と、
前記画像データから飽和画素数を取得する機能と、
前記画像データの画素数に対する前記飽和画素数の比率を算出する機能と、
前記シーン判別の結果及び前記飽和画素数の比率に基づいて、階調補正条件を決定する階調補正条件決定機能と、
前記決定された階調補正条件を用いて、前記画像データに階調補正処理を施す階調補正機能と、
を実現させるための画像処理プログラム。
【請求項18】
コンピュータに、
複数画素の信号からなる画像データから画像の撮影シーンを判別するシーン判別機能と、
前記画像データから、当該画像データの画素数に対して特定比率以上の飽和画素領域を抽出する機能と、
特定比率以上の飽和画素領域が抽出された場合には、全ての飽和画素領域に対して、近傍画素の色相が肌色色相であるか否かを判別する近傍画素判別機能と、
前記シーン判別の結果及び前記近傍画素判別の結果に基づいて、階調補正条件を決定する階調補正条件決定機能と、
前記決定された階調補正条件を用いて、前記画像データに階調補正処理を施す階調補正機能と、
を実現させるための画像処理プログラム。
【請求項19】
前記シーン判別機能は、
前記画像データを所定の明度と色相との組み合わせからなる領域に分割し、当該分割された領域毎に、前記画像データ全体に占める割合を示す第1の占有率を算出する第1占有率算出機能と、
前記第1の占有率に、予め設定された異なる第1及び第2の係数をそれぞれ乗算することにより、第1及び第2の指標を算出する第1指標算出機能と、
前記画像データの画面の外縁からの距離と明度との組み合わせからなる所定の領域に分割し、当該分割された領域毎に、前記画像データ全体に占める割合を示す第2の占有率を算出する第2占有率算出機能と、
前記第2の占有率に、予め設定された第3の係数を乗算することにより、第3の指標を算出する第2指標算出機能と、
少なくとも前記画像データの画面中央部における肌色の平均輝度に、予め設定された第4の係数を乗算することにより、第4の指標を算出する第3指標算出機能と、
前記算出された第1、第2、第3及び第4の指標に基づいて、前記画像データの撮影シーンを判別する機能と、を有することを特徴とする請求項17又は18に記載の画像処理プログラム。
【請求項20】
前記階調補正条件決定機能は、階調補正条件として階調補正方法及びその階調補正量を決定し、
前記階調補正機能は、前記決定された階調補正方法及びその階調補正量を用いて、前記画像データに階調補正処理を施すことを特徴とする請求項17から19のいずれか一項に記載の画像処理プログラム。
【請求項21】
コンピュータに、
複数画素の信号からなる第1の画像データから、画像サイズを縮小した第2の画像データを取得する機能と、
前記第2の画像データから画像の撮影シーンを判別するシーン判別機能と、
前記第2の画像データから飽和画素数を算出する機能と、
前記第2の画像データの画素数に対する前記飽和画素数の比率を算出する機能と、
前記シーン判別の結果及び前記飽和画素数の比率に基づいて、階調補正条件を変更する階調補正条件変更機能と、
前記決定された階調補正条件を用いて、前記第1の画像データに階調補正処理を施す階調補正機能と、
を実現させるための画像処理プログラム。
【請求項22】
コンピュータに、
複数画素の信号からなる第1の画像データから、画像サイズを縮小した第2の画像データを取得する機能と、
前記第2の画像データから画像の撮影シーンを判別するシーン判別機能と、
前記第2の画像データから、当該第2の画像データの画素数に対して特定比率以上の飽和画素領域を抽出する機能と、
特定比率以上の飽和画素領域が抽出された場合には、全ての飽和画素領域に対して、近傍画素の色相が肌色色相であるか否かを判別する近傍画素判別機能と、
前記シーン判別の結果及び前記近傍画素判別の結果に基づいて、階調補正条件を決定する階調補正条件決定機能と、
前記決定された階調補正条件を用いて、前記第1の画像データに階調補正処理を施す階調補正機能と、
を実現させるための画像処理プログラム。
【請求項23】
前記シーン判別機能は、
前記第2の画像データを所定の明度と色相との組み合わせからなる領域に分割し、当該分割された領域毎に、前記第2の画像データ全体に占める割合を示す第1の占有率を算出する第1占有率算出機能と、
前記第1占有率に、予め設定された異なる第1及び第2の係数をそれぞれ乗算することにより、第1及び第2の指標を算出する第1指標算出機能と、
前記第2の画像データの画面の外縁からの距離と明度との組み合わせからなる所定の領域に分割し、当該分割された領域毎に、前記第2の画像データ全体に占める割合を示す第2の占有率を算出する第2占有率算出機能と、
前記第2の占有率に、予め設定された第3の係数を乗算することにより、第3の指標を算出する第2指標算出機能と、
少なくとも前記第2の画像データの画面中央部における肌色の平均輝度に、予め設定された第4の係数を乗算することにより、第4の指標を算出する第3指標算出機能と、
前記算出された第1、第2、第3及び第4の指標に基づいて、前記第2の画像データの撮影シーンを判別する機能と、を有することを特徴とする請求項21又は22に記載の画像処理プログラム。
【請求項24】
前記階調補正条件決定機能は、階調補正条件として階調補正方法及びその階調補正量を決定し、
前記階調補正機能は、前記決定された階調補正方法及びその階調補正量を用いて、前記第1の画像データに階調補正処理を施すことを特徴とする請求項21から23のいずれか一項に記載の画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2006−92168(P2006−92168A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−275624(P2004−275624)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(303050159)コニカミノルタフォトイメージング株式会社 (1,066)
【Fターム(参考)】