説明

画像処理方法、画像処理装置及び画像処理プログラム

【課題】 複数の粒状体が撮像された画像から粒状体の像をサンプルとして精度良く抽出することができる画像処理方法、画像処理装置及び画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】 画像処理装置1は、複数の粒状体が撮像された元画像にエッジ検出フィルタ処理を施すことで取得したエッジ検出画像について、所定の明度範囲内の各明度を閾値として、粒状体であると判定された領域の領域数を閾値毎に算出し、領域数が最大となる明度を最適閾値として、そのときに粒状体であると判定された領域を粒状体のサンプルとして抽出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の粒状体が撮像された画像を処理する画像処理方法、画像処理装置及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
粒状体(顆粒、細胞集塊、TiO微細粒子、筋繊維、赤血球、炭素微細粒子、金属粉等)が撮像された画像を対象として粒状体に関する情報(円相当径、面積、周長等)を取得する画像処理方法は、従来、種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−338029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述したような従来の画像処理方法にあっては、例えば画像において複数の粒状体が重なり合っているような場合には、手作業が必要になるなど、画像から粒状体の像を適正なサンプルとして抽出することが困難であった。
【0004】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、複数の粒状体が撮像された画像から粒状体の像をサンプルとして精度良く抽出することができる画像処理方法、画像処理装置及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像処理方法は、複数の粒状体が撮像された画像を処理する画像処理方法であって、所定の明度範囲において互いに異なる複数の明度のそれぞれを閾値として、粒状体の平均明度値が画像の平均明度値よりも高いと判断される粒状体高明度画像の場合には、閾値以上の明度を有する画素を閾値毎に特定し、粒状体の平均明度値が画像の平均明度値よりも低いと判断される粒状体低明度画像の場合には、閾値以下の明度を有する画素を閾値毎に特定する特定工程と、特定工程において特定された画素によって形成される複数の領域のそれぞれが粒状体であるか否かを判定して、粒状体であると判定された領域の数を閾値毎に算出する算出工程と、算出工程において算出された領域の数が所定の数以上となる明度を最適閾値として、そのときに粒状体であると判定された領域を粒状体のサンプルとして抽出する抽出工程と、を含むことを特徴とする。
【0006】
この画像処理方法では、互いに異なる複数の明度のそれぞれを閾値として、粒状体であると判定された領域の数を閾値毎に算出し、算出された領域の数が所定の数以上となる明度を最適閾値として、そのときに粒状体であると判定された領域を粒状体のサンプルとして抽出する。これにより、例えば画像において複数の粒状体が重なり合っているような場合であっても、粒状体に該当しない領域を粒状体であると誤認するのを抑制することができ、複数の粒状体が撮像された画像から粒状体の像をサンプルとして精度良く抽出することが可能となる。
【0007】
本発明に係る画像処理方法は、画像に対してエッジ検出フィルタ処理を施して、特定工程、算出工程及び抽出工程における処理対象画像とするエッジ検出工程を含むことが好ましい。このように予め画像においてエッジを検出することで、複数の粒状体が撮像された画像から粒状体の像をサンプルとしてより一層精度良く抽出することが可能となる。
【0008】
本発明に係る画像処理方法においては、所定の明度範囲は、粒状体高明度画像の場合には、画像の最低明度値と平均明度値との中央明度値から画像の最頻明度値までの明度範囲であり、粒状体低明度画像の場合には、画像の最高明度値と平均明度値との中央明度値から画像の最頻明度値までの明度範囲であることが好ましい。この場合、サンプルとしての粒状体の抽出の高精度化を維持しつつ、処理の負荷を軽減して処理速度を向上させることができる。
【0009】
本発明に係る画像処理方法においては、算出工程では、粒状体の像が円形状である場合、領域の円相当径、及び領域に外接する矩形領域の平均辺長さに基づいて、領域のそれぞれが粒状体であるか否かを判定することが好ましい。この場合、各領域が粒状体であるか否かを簡便に且つ正確に判定することができる。
【0010】
本発明に係る画像処理方法においては、算出工程では、粒状体の像が円形状である場合、領域の重心位置と領域に外接する矩形領域の中心位置との距離、及び領域の円相当径に基づいて、領域のそれぞれが粒状体であるか否かを判定することが好ましい。この場合、複数の粒状体が重なり合って形成された領域を1つの粒状体であると誤認するのを抑制することができる。
【0011】
本発明に係る画像処理方法は、抽出工程において粒状体のサンプルとして抽出された領域を対象として、円相当径ヒストグラムを取得する取得工程を含むことが好ましい。これにより、粒状体に関する情報を精度良く取得することができる。
【0012】
また、本発明に係る画像処理装置は、複数の粒状体が撮像された画像を処理する画像処理装置であって、所定の明度範囲において互いに異なる複数の明度のそれぞれを閾値として、粒状体の平均明度値が画像の平均明度値よりも高いと判断される粒状体高明度画像の場合には、閾値以上の明度を有する画素を閾値毎に特定し、粒状体の平均明度値が画像の平均明度値よりも低いと判断される粒状体低明度画像の場合には、閾値以下の明度を有する画素を閾値毎に特定する特定手段と、特定手段によって特定された画素によって形成される複数の領域のそれぞれが粒状体であるか否かを判定して、粒状体であると判定された領域の数を閾値毎に算出する算出手段と、算出手段によって算出された領域の数が所定の数以上となる明度を最適閾値として、そのときに粒状体であると判定された領域を粒状体のサンプルとして抽出する抽出手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
更に、本発明に係る画像処理プログラムは、複数の粒状体が撮像された画像を処理する画像処理装置のコンピュータに対し、所定の明度範囲において互いに異なる複数の明度のそれぞれを閾値として、粒状体の平均明度値が画像の平均明度値よりも高いと判断される粒状体高明度画像の場合には、閾値以上の明度を有する画素を閾値毎に特定し、粒状体の平均明度値が画像の平均明度値よりも低いと判断される粒状体低明度画像の場合には、閾値以下の明度を有する画素を閾値毎に特定する特定処理と、特定処理によって特定された画素によって形成される複数の領域のそれぞれが粒状体であるか否かを判定して、粒状体であると判定された領域の数を閾値毎に算出する算出処理と、算出処理によって算出された領域の数が所定の数以上となる明度を最適閾値として、そのときに粒状体であると判定された領域を粒状体のサンプルとして抽出する抽出処理と、を実行させることを特徴とする。
【0014】
これらの画像処理装置及び画像処理プログラムによれば、上述した画像処理方法と同様に、複数の粒状体が撮像された画像から粒状体の像をサンプルとして精度良く抽出することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の粒状体が撮像された画像から粒状体の像をサンプルとして精度良く抽出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1は、本発明に係る画像処理装置の一実施形態の構成図である。図1に示されるように、画像処理装置1は、各種の演算を実行するコンピュータ等の演算部2と、演算部2による演算結果等を表示するディスプレイ等の表示部3と、を備えている。この画像処理装置1は、球形状の粒状体が多数撮像された画像(ここでは、粒状体の平均明度値が画像の平均明度値よりも高いと判断される粒状体高明度画像)を処理して、粒状体に関する情報を取得する装置である。なお、粒状体の平均明度値とは、画像において粒状体に対応する領域に含まれる全画素の明度の平均値であり、画像の平均明度値とは、画像を構成する全画素の明度の平均値である。また、画素の明度は、例えば256階調で示される。
【0018】
演算部2は、画像に対してエッジ検出フィルタ処理を施すエッジ検出部4と、エッジ検出部4によって処理されたエッジ検出画像を対象として、所定の明度範囲において互いに異なる複数の明度のそれぞれを閾値として、閾値以上の明度を有する画素を閾値毎に特定する画素特定部(特定手段)5と、画素特定部5によって特定された画素が形成する複数の領域のそれぞれが粒状体であるか否かを判定して、粒状体であると判定された領域の数(以下、「領域数」という)を閾値毎に算出する領域数算出部(算出手段)6と、を有している。更に、演算部2は、領域数算出部6によって算出された領域数が最大となる明度を最適閾値として、そのときに粒状体であると判定された領域を粒状体のサンプルとして抽出するサンプル抽出部(抽出手段)7と、サンプル抽出部7によって粒状体のサンプルとして抽出された領域を対象として、粒状体に関する情報を取得する情報取得部8と、演算部2に対して各種の処理を実行させる画像処理プログラムを格納する記録媒体9と、を有している。
【0019】
図2は、図1の演算部の記録媒体に格納された画像処理プログラムの構成図である。図2に示されるように、画像処理プログラム10は、エッジ検出部4の機能を実現するエッジ検出モジュール11と、画素特定部5の機能を実現する画素特定モジュール12と、領域数算出部6の機能を実現する領域数算出モジュール13と、を含んでいる。更に、画像処理プログラム10は、サンプル抽出部7の機能を実現するサンプル抽出モジュール14と、情報取得部8の機能を実現する情報取得モジュール15と、プログラム全体の動作を制御するメインモジュール16と、を含んでいる。この画像処理プログラム10は、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD、USBメモリ等の記録媒体9に格納された態様で流通可能である。
【0020】
次に、本発明に係る画像処理方法の一実施形態として、上述した画像処理装置1による画像の処理手順について、図3のフローチャートを参照しつつ説明する。なお、以下の説明は、粒状体として球形状の金属粉が多数撮像された粒状体高明度画像を処理する場合であって、より具体的には、図4(a)に示される実施例1の元画像、及び図4(b)に示される実施例2の元画像を処理する場合である。
【0021】
まず、エッジ検出部4が元画像に対してエッジ検出フィルタ処理を施し(ステップS31)、更に明度反転処理を施して(ステップS32)、図5(a)に示される実施例1のエッジ検出画像、及び図5(b)に示される実施例2のエッジ検出画像を取得する。エッジ検出フィルタとしては、ノイズの発生を抑制する観点から、Laplacianフィルタ等の2次微分(差分)系のフィルタよりも、画像を異なる2方向(例えば水平方向及び垂直方向)に処理するSobelフィルタやPrewittフィルタ等の1次微分(差分)系のフィルタが好ましい。
【0022】
続いて、画素特定部5がエッジ検出画像の最低明度値と平均明度値との中央明度値Lmin(=(最低明度値+平均明度値)/2)及びエッジ検出画像の最頻明度値Lmaxを算出する(ステップS33)。実施例1の場合は、明度値Lminが116、明度値Lmaxが245であり、実施例2の場合は、明度値Lminが115、明度値Lmaxが249であった。なお、画像の最低明度値とは、画像を構成する全画素の明度の最低値であり、画像の平均明度値とは、画像を構成する全画素の明度の平均値である。また、画像の最頻明度値とは、画像を構成する全画素の明度の最頻値(明度ヒストグラムにおいてピークとなる明度)である。
【0023】
更に、画素特定部5が、明度値Lminから明度値Lmaxまでを所定の明度範囲として、その明度範囲内の各明度を閾値として設定し(ステップS34)、閾値以上の明度を有する画素が黒となり且つ閾値未満の明度を有する画素が白となるようにエッジ検出画像を2値化することで、閾値以上の明度を有する画素を特定する(ステップS35)。続いて、領域数算出部6が、画素特定部5によって特定された画素が形成する複数の領域(ここでは、水平方向及び垂直方向共に画像幅の1/100を超え、画像幅の1/10未満となる領域)のそれぞれが粒状体であるか否か、すなわち円形状であるか否かを判定する円形状判定を実施し(ステップS36)、領域数を算出する(ステップS37)。これらのステップS34〜S37の閾値の設定、画素の特定、円形状判定、及び領域数の算出は、明度値Lminから明度値Lmaxまでの所定の明度範囲内に含まれる全ての明度のそれぞれを閾値として閾値毎に実施される。
【0024】
続いて、サンプル抽出部7が、領域数算出部6によって算出された領域数が最大となる明度を最適閾値として、そのときに円形状であると判定された領域を粒状体のサンプルとして抽出する(ステップS38)。図6は、閾値と領域数との関係を示すグラフである。図6に示されるように、領域数が最大となる明度、すなわち最適閾値は、実施例1の場合が229であり、実施例2の場合が234であった。これにより、図7(a)に示される実施例1のサンプル抽出画像、及び図7(b)に示される実施例2のサンプル抽出画像をサンプル抽出部7が取得する。
【0025】
ところで、サンプル抽出部7は、領域数が最大となる明度が複数存在する場合には、その中で最も低い明度を最適閾値として設定する。これは、次の理由による。すなわち、粒状体の像が円形状である場合、元画像では明度(エッジ検出画像では明度変化率)が同心円状に変化していることが多い。そのため、より高い明度を最適閾値として設定すると、粒状体のより内側の領域を抽出することになり、粒状体の大きさを過小評価してしまうからである。
【0026】
続いて、情報取得部8が、サンプル抽出部7によって粒状体のサンプルとして抽出された領域を対象として、粒状体に関する情報を取得する(ステップS39)。ここでは、図8(a)に示される実施例1の円相当径ヒストグラム(円相当径の度数分布)、及び図8(b)に示される実施例2の円相当径ヒストグラムを情報取得部8が取得する。なお、円相当径とは、領域の面積(画素数)を円の面積と仮定したときの円の直径である。そして、平均円相当径は、実施例1の場合が0.187μmであり、実施例2の場合が0.192μmであった。
【0027】
ここで、領域算出部6によるステップS36の円形状判定について、図9のフローチャートを参照しつつより詳細に説明する。なお、以下の説明は、図10に示される領域Aが円形状であるか否かを判定する場合である。
【0028】
まず、領域Aに外接する矩形領域Rの平均辺長さMD、及び領域Aの円相当径WDが算出される(ステップS91)。図10に示されるように、矩形領域Rの水平方向辺長さ(画素数)が13であり、矩形領域Rの垂直方向辺長さ(画素数)が14であるから、矩形領域Rの平均辺長さMDは13.5(=(13+14)/2)である。また、領域Aの面積(画素数)が131であるから、円相当径WDは12.91(=2×(131/π)1/2)である。
【0029】
続いて、0.9<WD/MD≦1を満たすか否かが判断される(ステップS92)。その結果、0.9<WD/MD≦1を満たす場合には、矩形領域Rの中心位置P1及び領域Aの重心位置P2が算出され(ステップS93)、0.9<WD/MD≦1を満たさない場合には、領域Aが円形状ではないと判定される(ステップS94)。領域Aは、WD/MDが0.96(=12.91/13.5)であるから、0.9<WD/MD≦1を満たす。
【0030】
続いて、2×|P1−P2|/MD<0.1を満たすか否かが判断される(ステップS95)。その結果、2×|P1−P2|/MD<0.1を満たす場合には、領域Aが円形状であると判断され(ステップS96)、2×|P1−P2|/MD<0.1を満たさない場合には、領域Aが円形状ではないと判定される(ステップS94)。領域Aは、2×|P1−P2|/MDが0.05(=2×0.37/13.5)であるから、2×|P1−P2|/MD<0.1を満たし、円形状と判定される。なお、中心位置P1と重心位置P2との距離|P1−P2|は、矩形領域Rの中心位置P1の座標が(8,7.5)であり、領域Aの重心位置P2の座標が(8.29,7.73)であるから、0.37(=((8.29−8)+(7.73−7.5)1/2)である。
【0031】
以上説明したように、画像処理装置1は、複数の粒状体が撮像された元画像にエッジ検出フィルタ処理を施すことで取得したエッジ検出画像について、所定の明度範囲内の各明度を閾値として、粒状体であると判定された領域(すなわち円形状であると判定された領域)の領域数を閾値毎に算出し、領域数が最大となる明度を最適閾値として、そのときに粒状体であると判定された領域を粒状体のサンプルとして抽出する。これにより、例えば元画像において複数の粒状体が重なり合っているような場合であっても、粒状体に該当しない領域を粒状体であると誤認するのを抑制して、元画像から粒状体の像をサンプルとして極めて精度良く抽出することができ、延いては円相当径ヒストグラム等の粒状体に関する情報を極めて精度良く取得することが可能となる。
【0032】
また、画像処理装置1は、エッジ検出画像の最低明度値と平均明度値との中央明度値Lminからエッジ検出画像の最頻明度値Lmaxまでを所定の明度範囲として、その明度範囲内の各明度を閾値として設定する。これにより、サンプルとしての粒状体の抽出の高精度化を維持しつつ、処理の負荷を軽減して処理速度を向上させることができる。
【0033】
また、画像処理装置1は、領域Aに外接する矩形領域Rの平均辺長さMD、及び領域Aの円相当径WDに基づいて、領域Aが円形状であるか否かを判定するため、領域Aが粒状体であるか否かの判定を簡便且つ正確に実現することができる。更に、画像処理装置1は、領域Aに外接する矩形領域Rの中心位置P1と領域Aの重心位置P2との距離|P1−P2|、及び領域Aの円相当径WDに基づいて、領域Aが円形状であるか否かを判定するため、複数の粒状体が重なり合って形成された領域を1つの粒状体であると誤認するのを抑制することができる。
【0034】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0035】
例えば、画像処理装置1による形状判定の対象となる領域は、円形状に限定されない。図11(a)に示されるように、領域Aが45度傾いている正方形状である場合、領域Aに外接する矩形領域Rの平均辺長さMDは2rであり、領域Aの円相当径WDは2r×(2/π)1/2であるから、WD/MDは0.80(=(2/π)1/2)である。また、図11(b)に示されるように、領域Aが傾いていない正方形状である場合、領域Aに外接する矩形領域Rの平均辺長さMDは2rであり、領域Aの円相当径WDは4r×(1/π)1/2であるから、WD/MDは1.13(=2×(1/π)1/2)である。従って、上述した画像処理装置1によるステップS92の処理において、0.80<WD/MD≦1.13を満たすか否かを判断すれば、正方形状の粒状体の像をサンプルとして抽出することが可能となる。
【0036】
また、画像処理装置1は、粒状体に関する情報として、円相当径ヒストグラムだけでなく、粒状体の面積や周長等を取得することも可能である。
【0037】
また、粒状体の平均明度値が画像の平均明度値よりも低いと判断される粒状体低明度画像を画像処理装置1が処理する場合には、画像の最高明度値と平均明度値との中央明度値(=(最高明度値+平均明度値)/2)から画像の最頻明度値までの所定の明度範囲において互いに異なる複数の明度のそれぞれを閾値として、閾値以下の明度を有する画素を閾値毎に特定すればよい。そして、領域数が最大となる明度が複数存在する場合には、その中で最も高い明度を最適閾値として設定すればよい。なお、画像の最高明度値とは、画像を構成する全画素の明度の最高値である。
【0038】
また、画像処理装置1は、所定の明度範囲内の各明度を閾値として設定したが、これに限定されない。一例として、8階調置きの明度を閾値として設定して、その中で領域数が最大となった明度の前後の明度範囲で4階調置きの明度を閾値として設定し、更に、その中で領域数が最大となった明度の前後の明度範囲で1階調置きの明度を閾値として設定して、その中で領域数が最大となった明度を最適閾値として設定するというように、閾値の設定を徐々に密にしていってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る画像処理装置の一実施形態の構成図である。
【図2】図1の演算部の記録媒体に格納された画像処理プログラムの構成図である。
【図3】図1の画像処理装置による画像の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】図1の画像処理装置の処理対象となる元画像の一例を示す図である。
【図5】図4の元画像に対するエッジ検出画像を示す図である。
【図6】閾値と領域数との関係を示すグラフである。
【図7】図4の元画像に対するサンプル抽出画像を示す図である。
【図8】図4の元画像に対する円相当径ヒストグラムを示す図である。
【図9】図1の画像処理装置による円形状判定の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】図1の画像処理装置による円形状判定の対象となる領域を示す図である。
【図11】図1の画像処理装置による別形状判定の対象となる領域を説明するための図である。
【符号の説明】
【0040】
1…画像処理装置、5…画素特定部(特定手段)、6…領域数算出部(算出手段)、7…サンプル抽出部(抽出手段)、10…画像処理プログラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の粒状体が撮像された画像を処理する画像処理方法であって、
所定の明度範囲において互いに異なる複数の明度のそれぞれを閾値として、前記粒状体の平均明度値が前記画像の平均明度値よりも高いと判断される粒状体高明度画像の場合には、前記閾値以上の明度を有する画素を前記閾値毎に特定し、前記粒状体の平均明度値が前記画像の平均明度値よりも低いと判断される粒状体低明度画像の場合には、前記閾値以下の明度を有する画素を前記閾値毎に特定する特定工程と、
前記特定工程において特定された前記画素によって形成される複数の領域のそれぞれが前記粒状体であるか否かを判定して、前記粒状体であると判定された前記領域の数を前記閾値毎に算出する算出工程と、
前記算出工程において算出された前記領域の数が所定の数以上となる明度を最適閾値として、そのときに前記粒状体であると判定された前記領域を前記粒状体のサンプルとして抽出する抽出工程と、を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
前記画像に対してエッジ検出フィルタ処理を施して、前記特定工程、前記算出工程及び前記抽出工程における処理対象画像とするエッジ検出工程を含むことを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
【請求項3】
前記所定の明度範囲は、前記粒状体高明度画像の場合には、前記画像の最低明度値と平均明度値との中央明度値から前記画像の最頻明度値までの明度範囲であり、前記粒状体低明度画像の場合には、前記画像の最高明度値と平均明度値との中央明度値から前記画像の最頻明度値までの明度範囲であることを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理方法。
【請求項4】
前記算出工程では、前記粒状体の像が円形状である場合、前記領域の円相当径、及び前記領域に外接する矩形領域の平均辺長さに基づいて、前記領域のそれぞれが前記粒状体であるか否かを判定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の画像処理方法。
【請求項5】
前記算出工程では、前記粒状体の像が円形状である場合、前記領域の重心位置と前記領域に外接する矩形領域の中心位置との距離、及び前記領域の円相当径に基づいて、前記領域のそれぞれが前記粒状体であるか否かを判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の画像処理方法。
【請求項6】
前記抽出工程において前記粒状体のサンプルとして抽出された前記領域を対象として、円相当径ヒストグラムを取得する取得工程を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の画像処理方法。
【請求項7】
複数の粒状体が撮像された画像を処理する画像処理装置であって、
所定の明度範囲において互いに異なる複数の明度のそれぞれを閾値として、前記粒状体の平均明度値が前記画像の平均明度値よりも高いと判断される粒状体高明度画像の場合には、前記閾値以上の明度を有する画素を前記閾値毎に特定し、前記粒状体の平均明度値が前記画像の平均明度値よりも低いと判断される粒状体低明度画像の場合には、前記閾値以下の明度を有する画素を前記閾値毎に特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定された前記画素によって形成される複数の領域のそれぞれが前記粒状体であるか否かを判定して、前記粒状体であると判定された前記領域の数を前記閾値毎に算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された前記領域の数が所定の数以上となる明度を最適閾値として、そのときに前記粒状体であると判定された前記領域を前記粒状体のサンプルとして抽出する抽出手段と、を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
複数の粒状体が撮像された画像を処理する画像処理装置のコンピュータに対し、
所定の明度範囲において互いに異なる複数の明度のそれぞれを閾値として、前記粒状体の平均明度値が前記画像の平均明度値よりも高いと判断される粒状体高明度画像の場合には、前記閾値以上の明度を有する画素を前記閾値毎に特定し、前記粒状体の平均明度値が前記画像の平均明度値よりも低いと判断される粒状体低明度画像の場合には、前記閾値以下の明度を有する画素を前記閾値毎に特定する特定処理と、
前記特定処理によって特定された前記画素によって形成される複数の領域のそれぞれが前記粒状体であるか否かを判定して、前記粒状体であると判定された前記領域の数を前記閾値毎に算出する算出処理と、
前記算出処理によって算出された前記領域の数が所定の数以上となる明度を最適閾値として、そのときに前記粒状体であると判定された前記領域を前記粒状体のサンプルとして抽出する抽出処理と、を実行させることを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図6】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−222420(P2009−222420A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−64504(P2008−64504)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】