説明

画像処理方法、画像表示システム、およびコンピュータプログラム

【課題】2次元の動画像の奥行き感、距離感を高める。
【解決手段】フレーム画像の差分画像をもとに、移動体を表示する移動体表示領域と、背景表示領域とを抽出する。背景表示領域の画像には、平均化処理などのぼかし処理を行う。移動体表示領域の画像には、コントラスト強調など、画像をより鮮明にする処理を行う。つまり、人間の目のピント調節機能を画像処理で予め行うことで、動画像を見る者に、背景ではなく、動きのある部分にピントが合っている感覚を与えて、2次元の動画像の奥行き感、立体感を高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画像を画像処理する方法、動画像を表示する画像表示システム、および動画像の画像処理を行うためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
人間が立体として物体を視覚する生理的要因としては、両眼視差、調節、輻輳、運動視差などがあり、立体視の生理的要因のうち立体感に最も強く作用するのは、左右の目に見える水平方向の画像の違いから立体情報を得る両眼視差である。そのため、立体表示方式としては、両眼視差を利用した方式が最も多い。
【0003】
両眼視差を利用した立体表示方式では、1つの画面に左眼用画像と右眼用画像とを表示し、左眼と右眼とに対応する画像を視覚させることで、組み合わされた映像を立体的にさせるという方式である。このため、左眼、右眼に異なった映像を見せるために、画面を見る者が特殊な眼鏡を装着する必要がある。
【0004】
また、眼鏡を不必要にした立体映像用の表示装置が知られている。このような立体映像用の表示装置では、パララックスバリア(視差バリア)、レンティキュラーレンズ、マイクロレンズアレイ、フライアイレンズ等の光学部材を用いて、画面からの光の進行方向を制御することで、左右の目に異なる映像を視認させ、立体感覚を得るというものである(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−036145号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、ハイビジョン映像の鑑賞が可能な高解像度、大画面の液晶表示装置、プラズマ表示装置が普及し、映像のクオリティーに対する要求が高まっており、その1つに臨場感がある。立体感、奥行き感を高めることで、臨場感を高めることができる。
【0006】
しかしながら、両眼視差を利用して映像を立体的に表示するには、右眼用と左眼用の2つの映像を作製する必要がある。また、立体映像を鑑賞するためには、見る者に特殊な眼鏡の装着が必要になる。眼鏡を不要とする場合には、特許文献1のような立体視用の特殊な表示装置が必要になる。
【0007】
このような問題点に鑑み、本発明は、2次元映像表示用の表示装置に、立体感、奥行き感を高めた動画像表示を可能にする画像処理方法を提供することを目的の1つとする。
【0008】
また、本発明は、2次元映像表示用の表示装置に、立体感、奥行き感を高めた動画像表示を可能にする画像表示システムを提供することを目的の1つとする。
【0009】
また、本発明は、2次元映像表示用の表示装置に、立体感、奥行き感を高めた動画像表示を可能にする画像処理方法を実現するためのコンピュータプログラムを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つは、複数のフレーム画像で構成される動画像の画像処理方法であり、少なくとも1つのフレーム画像から、移動体を表示する移動体表示領域を抽出し、当該フレーム画像について、移動体表示領域に含まれる画素と、移動体表示領域に含まれない画素とに異なる画像処理を行って、補正フレーム画像を作成し、移動体表示領域に含まれない画素に行う画像処理は、ぼかし処理である。
【0011】
本発明の1つは、複数のフレーム画像で構成される動画像の画像処理方法であり、補正対象となるターゲットフレーム画像と、ターゲットフレーム画像よりもkフレーム前(kは1または2)のフレーム画像との差分画像をもとに2値化された第1差分2値画像を作成し、ターゲットフレーム画像とターゲットフレーム画像よりもkフレーム後のフレーム画像との差分画像をもとに2値化された第2差分2値画像を作成し、第1差分2値画像と第2差分2値画像との論理積から移動体表示領域を抽出して、移動体表示領域と背景表示領域とでなるマスク画像を形成し、ターゲットフレーム画像において、移動体表示領域に含まれる画素と同じ位置にある画素と、背景表示領域に含まれる画素と同じ位置にある画素とに異なる画像処理を行って、補正フレーム画像を作成し、背景表示領域に含まれる画素と同じ位置にある画素に行う画像処理は、ぼかし処理とするものである。
【0012】
本発明の1つは、複数のフレーム画像で構成される動画像を表示する画像表示部と、少なくとも1つのフレーム画像から、移動体を表示する移動体表示領域を抽出する移動体領域抽出部と、当該フレーム画像について、移動体表示領域に含まれる画素と、移動体表示領域に含まれない画素とに異なる画像処理を行って、補正フレーム画像を作成する補正フレーム画像作成部と、を有する画像表示システムである。本発明において、移動体表示領域に含まれない画素に行う画像処理は、ぼかし処理であり、画像表示部に補正フレーム画像を表示する。
【0013】
本発明の1つは、複数のフレーム画像で構成される動画像を表示する画像表示部と、補正対象となるターゲットフレーム画像とターゲットフレーム画像よりもkフレーム前(kは1または2)のフレーム画像との差分画像をもとに2値化された第1差分2値画像を作成し、かつ、ターゲットフレーム画像とターゲットフレーム画像よりもkフレーム後のフレーム画像との差分画像をもとに2値化された第2差分2値画像を作成する差分2値画像作成部と、第1差分2値画像と第2差分2値画像の論理積から移動体表示領域を抽出して、移動体表示領域と背景表示領域とでなるマスク画像を形成するマスク画像作成部と、ターゲットフレーム画像において、移動体表示領域に含まれる画素と同じ位置にある画素と、背景表示領域に含まれる画素と同じ位置にある画素とに異なる画像処理を行って、補正フレーム画像を作成する補正フレーム画像作成部と、を有する画像表示システムである。本発明において、背景表示領域に含まれる画素と同じ位置にある画素に行う画像処理は、ぼかし処理であり、画像表示部に補正フレーム画像を表示する。
【0014】
本発明の画像表示システムは、ターゲットフレーム画像において、移動体表示領域の割合が50%以上である場合、画像表示部にターゲットフレーム画像を表示するように構成することができる。また、移動体表示領域の割合が50%以上である場合、ターゲットフレーム画像全体に同じ画像処理を行い、画像表示部に当該画像処理を行ったターゲットフレーム画像を表示するように構成することができる。
【0015】
本発明の1つは、動画像の画像処理装置が実行するためのコンピュータプログラムであり、動画像を構成するフレーム画像から、移動体を表示する移動体表示領域を抽出する処理と、当該フレーム画像について、移動体表示領域に含まれる画素と、移動体表示領域に含まれない画素とに異なる画像処理を行って、補正フレーム画像を作成する処理と、を動画像の画像処理装置が実行するためのものであり、移動体表示領域に含まれない画素に行う画像処理は、ぼかし処理である。
【0016】
本発明の1つは、動画像の画像処理装置が実行するためのコンピュータプログラムであり、動画像を構成する複数のターゲットフレーム画像のうち、補正対象となるターゲットフレーム画像と、ターゲットフレーム画像よりもkフレーム前(kは1または2)のフレーム画像の差分画像をもとに、2値化された第1差分2値画像を作成する処理と、ターゲットフレーム画像とターゲットフレーム画像よりもkフレーム後のフレーム画像の差分画像をもとに、2値化された第2差分2値画像を作成する処理と、第1差分2値画像と第2差分2値画像の論理積から、移動体表示領域を抽出し、移動体表示領域と背景表示領域とでなるマスク画像を形成する処理と、ターゲットフレーム画像において、移動体表示領域に含まれる画素と同じ位置にある画素と、背景表示領域に含まれる画素と同じ位置にある画素とに、異なる画像処理を行って、補正フレーム画像を作成する処理とを動画像の画像処理装置が実行するためのものであり、背景表示領域に含まれる画素に行う画像処理は、ぼかし処理である。
【0017】
本発明において、移動体表示領域に対応する画素に行う画像処理は、鮮鋭化処理、コントラスト強調処理、および輪郭強調処理のうちの少なくとも1つである。
【0018】
本発明において、移動体表示領域に含まれない画素に行うぼかし処理は、平均化処理、ノイズ除去処理、コントラストを弱めるコントラスト変換処理、およびモザイク処理のうちの少なくとも1つである。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、2次元画像表示用の表示装置に、立体感が高く、臨場感の高い動画像表示を可能にする。例えば、本発明により、テレビ受信機で受信したテレビジョン放送映像も、奥行き感の高い動画像に変換することができるため、付加価値の高いテレビ受像器を提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、図面を用いて、本発明を説明する。ただし、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなく、その形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0021】
(実施形態1)
本実施形態は、複数のフレーム画像で構成される動画像を表示する画像表示装置、および画像表示方法について説明する。
【0022】
まず、画像表示システムの構成を説明する。図1は、複数のフレーム画像で構成される動画像を表示する画像表示システムである。画像表示システム100は、画像処理装置101、画像出力装置102を有する。
【0023】
画像処理装置101は、読み込んだ複数のフレーム画像の少なくとも1つから、移動体を表示する移動体表示領域と、その他の領域である背景表示領域とを抽出する装置である。また、画像処理装置101は、移動体および背景抽出処理を行ったフレーム画像に対して、移動体表示領域に含まれる画素と、背景表示領域に含まれる画素に異なる画像処理を行い、補正フレーム画像を作成する装置である。
【0024】
画像出力装置102は、画像処理装置101から画像データが出力される装置である。本実施形態では、画像出力装置102は、2次元画像を表示する画像表示装置であり、複数のフレーム画像で構成される動画像を表示する装置である。
【0025】
図1に示すように、画像処理装置101は、演算処理部111、データ記憶部112、制御部113、入力側インターフェース部114、および出力側インターフェース部115等から構成される。
【0026】
演算処理部111は、画像データの演算処理等の各種の演算処理をする装置であり、CPU(Central Processing Unit)、画像処理用演算回路などを含む。
【0027】
データ記憶部112は、画像処理装置101で画像処理を実行するためのデータを記憶するための各種の記憶回路を有する。例えば、演算処理部111が画像処理を実行するコンピュータプログラム、画像処理用フィルタのデータ、ルックアップテーブル等を記憶するROM、演算処理部111が算出した演算結果を記憶するRAM、画像処理装置101に入力された画像データを記憶するメモリ回路等が、データ記憶部112に含まれる。すなわち、データ記憶部112には、画像処理を実行するためのコンピュータプログラムが格納されている。
【0028】
制御部113は、画像処理装置101に含まれる回路を制御するための回路を含む。例えば、データ記憶部112のデータの書き込みを制御する書き込み制御回路、またその読み出しを制御する読み出し制御回路等が、制御部113に含まれる。
【0029】
入力側インターフェース部114は、画像処理装置101に接続される外部機器から画像データを取り込むというような、外部機器との信号のやりとりをするための装置である。例えば、画像処理装置101で画像データを処理するためには、画像データはデジタルデータであることが必要である。そのため、画像データがアナログデータである場合は、A−D変換回路(アナログ−デジタル変換回路)を入力側インターフェース部114に設けるとよい。外部機器は画像データを出力する装置であり、例えば、カメラ等の撮影装置、ハードディスク、DVD等の記憶媒体に記憶されている画像データを再生する画像再生装置等がある。
【0030】
出力側インターフェース部115は、画像出力装置102へ画像データを出力する、画像出力装置102と信号のやりとりをする等を行うための装置である。画像出力装置102にアナログ画像信号を出力する場合は、D−A変換回路(デジタル−アナログ変換回路)を出力側インターフェース部115に設けるとよい。
【0031】
動画像の表示機能を有する画像出力装置102には、例えば、液晶表示装置、エレクトロルミネセンス表示装置、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display)、プラズマディスプレイなどがある。図1には、画像出力装置102の構成の一例を示す。図示するように、画像出力装置102は、複数の画素120を具備する表示部121、走査線駆動回路122、および信号線駆動回路123等で構成されている。表示部121にはM行N列(M、Nは自然数)に画素120が配置されている。各画素120には、走査線125および信号線126が電気的に接続されており、このことにより、画素120はそれぞれ走査線駆動回路122および信号線駆動回路123に電気的に接続されている。
【0032】
画像処理装置101から入力される画像データにより、表示部121の各画素120の階調値(濃度値ともいう)が決定される。走査線駆動回路122により表示を行う画素120の選択するための信号が走査線125に入力され、信号線駆動回路123により信号線126に画像データが入力される。選択された画素120は、画像データで決定される濃淡を表示する。
【0033】
なお、図1では、本実施形態のシステムを、動画像の表示装置を画像出力装置102とすることで、画像表示システムとしたが、本実施形態のシステムは画像表示システムに限定されるものではない。例えば、画像出力装置102を、ハードディスク等の動画像を記憶する記憶媒体を備えた動画像記憶装置とすることで、本実施形態のシステムを画像処理システムとすることもできる。
【0034】
次に、図2を参照して、画像処理装置101で実行される画像処理方法について説明する。図2は画像処理方法のフローチャートである。
【0035】
動画像を構成する複数のフレーム画像では、連続する2枚のフレーム画像において、画像に変化がある部分がある。本実施形態の画像処理方法では、フレーム画像が動きのある画像を含んでいるかを判定し、動きの変化がある閾値以上である画像と、その閾値未満の画像について異なる画像処理を行い、補正フレーム画像を作成する。本明細書では、フレーム画像において、動きの変化がある閾値以上である画像を「移動体」と呼び、その他の部分の画像を「背景」と呼ぶこととする。
【0036】
画像処理装置101では、入力されたフレーム画像データを補正し、補正されたフレーム画像(以下、補正フレーム画像という)を作成する。図2は画像処理装置101で補正フレーム画像を作成するフローチャートである。また、図2のフローチャートは、画像処理装置101が画像処理を実行するためのコンピュータプログラムのフローチャートということもできる。以下、補正フレーム画像を作成したいフレーム画像を他のフレーム画像と区別するため、ターゲットフレーム画像と呼ぶこととする。
【0037】
画像処理装置101では、まず、ターゲットフレーム画像から移動体を抽出し、ターゲットフレーム画像において移動体が表示される領域(以下、「移動体表示領域」と呼ぶ。)を決定する(ステップS1)。この処理を「移動体表示領域抽出処理」と呼ぶ。この移動体表示領域抽出処理では、ターゲットフレーム画像から移動体を抽出することで、背景も抽出され、背景が表示される領域(以下、「背景表示領域」と呼ぶ。)も抽出される。
【0038】
次に、画像処理装置101では、ターゲットフレーム画像の各画素が、移動体表示領域の画素であるかを判定する(ステップS2)。そして、ターゲットフレーム画像の画素が移動体表示領域の画素である場合、移動体画像処理を行い(ステップS3)、該当しない場合、つまりターゲットフレーム画像の画素が背景表示領域である場合は、背景画像処理を行う(ステップS4)。移動体画像処理は、移動体として表示されることに適した階調値(輝度)になるように、画素の階調値を補正する処理である。背景画像処理は、背景として表示されることに適した階調値になるように、画素の階調値(輝度)を補正する処理である。
【0039】
次に、ターゲットフレーム画像の全ての画素について処理を行ったかどうかを判定することで(ステップS5)、ステップS2からステップS5が繰り返し行われる。そして、全画素について、移動体画像処理または背景画像処理のいずれか一方の処理を行うことで、補正フレーム画像が作成される(ステップS6)。
【0040】
移動体画像処理としては、コントラストを強調するコントラスト変換処理(コントラスト強調処理)、鮮鋭化処理、アンシャープマスキング処理、輪郭強調処理などがある。つまり、移動体画像処理とは、動きがある部分を鮮明にする、強調する等の効果を持つ画像処理である。ステップS3では、適切な複数の画像処理のうち、少なくとも1つの画像処理が実行される。
【0041】
他方、背景画像処理は、ぼかし処理である。背景をぼかすことで、画像を見る者に移動体に焦点があっている感覚を生じさせる効果を生む。ぼかし処理としては、平均化処理、コントラストを弱めるコントラスト変換処理、ノイズ除去処理、およびモザイク処理などがある。つまり、背景画像処理とは、静止している部分、および動きが少ない部分をぼかす、色を薄くする等のような、画像から得る情報量を抑える効果を持つ画像処理である。ステップS4では、適切な複数の画像処理のうち、少なくとも1つの画像処理が実行される。
【0042】
画像処理装置101では、動画像を構成する複数のフレーム画像について、順次、各ステップS1からステップS6までの処理を実行する。補正フレーム画像は、画像処理装置101から画像出力装置102に出力される。画像出力装置102において、複数の補正フレーム画像で構成される動画像が表示部121で表示される。
【0043】
図2の処理を実行する画像処理装置101は、ターゲットフレーム画像から、移動体を表示する移動体表示領域を抽出する移動体領域抽出部であり、かつ、ターゲットフレーム画像を画像処理して、補正フレーム画像を作成する補正フレーム画像作成部でもある。
【0044】
図2の画像処理では、ターゲットフレーム画像において、移動体画像処理をすべき画素と、背景画像処理をすべき画素を選別し、それぞれ適した画像処理を行うことで、補正フレーム画像が作成される。したがって、補正フレーム画像は、背景がぼかされ、移動体が強調されているため、移動体に焦点が合っているような感覚を画像を見る者に与える画像である。つまり、図2の画像処理は、人間の目のピント調節機能を画像処理で予め行っている。画像を見る者に、背景ではなく、動きのある部分にピントが合っている感覚を与えやすくすることで、2次元の動画像の奥行き感、距離感を高めることができる。したがって、表示部121を見る者は、奥行き感、距離感が向上された動画像を鑑賞することができる。つまり、本実施形態により、2次元の動画像の立体感、臨場感を高めることができる。
【0045】
なお、移動体表示領域抽出処理としては、各種の移動体抽出方法を用いることができる。演算処理が容易なことから、2枚のフレーム画像の差分から差分画像を作成する方法を用いることが好ましい。画像の差分をとるとは、同じ位置にある画素の階調値の差分の絶対値を算出することであり、差分画像とは、2枚の画像の階調値の差分の絶対値を各画素の階調値とする画像である。
【0046】
本実施形態では、ターゲットフレーム画像faを中央に、時間的に連続する3枚のフレーム画像fa−1、fa、fa+1から、2枚の差分画像を作成することで、ターゲットフレーム画像faの移動体表示領域を特定する。図3は移動体表示領域抽出処理のフローチャートである。
【0047】
画像処理装置101は、3枚のフレーム画像fa−1、fa、fa+1を読み込む(ステップS21)。読み込まれたフレーム画像fa−1、fa、fa+1のデータは、データ記憶部112に書き込まれる。フレーム画像faがターゲットフレーム画像である。なお、処理対象となる3枚のフレーム画像はターゲットフレーム画像faと連続するフレーム画像に限定されない。ターゲットフレーム画像faと、2つフレームが前後するフレーム画像fa−2およびfa+2でもよい。
【0048】
次に、差分画像作成処理を行う(ステップS22)。ステップS22では、フレーム画像fa−1とターゲットフレーム画像faの差分が計算されて、差分画像g(a−1、a)が作成され、且つ、フレーム画像fa+1とターゲットフレーム画像faとの差分をもとに、差分画像g(a、a+1)が作成される。差分画像g(a−1、a)、g(a、a+1)のデータは、データ記憶部112に書き込まれる。
【0049】
次に、差分画像g(a−1、a)、g(a、a+1)を2値化して、差分2値画像h(a−1、a)、h(a、a+1)を作成する差分2値画像作成処理を行う(ステップS23)。この処理では、演算処理部111において、差分画像の各画素の階調値が閾値以上であるか、閾値未満であるかを判断し、差分2値画像の対応する画素の階調値を黒表示の階調値(最小の階調値)、または白表示の階調値(最大の階調値)に設定する。差分2値画像h(a−1、a)、h(a、a+1)のデータは、データ記憶部112に書き込まれる。
【0050】
次に、差分2値画像h(a−1、a)と差分2値画像h(a、a+1)を元に、移動体表示領域または背景表示領域をマスクとするマスク画像Maを作成するマスク画像作成の処理を行う(ステップS24)。マスク画像作成処理は、演算処理部111において、差分2値画像h(a−1、a)と差分2値画像h(a、a+1)の論理積(AND)を計算することで、移動体表示領域と背景表示領域とでなる2値のマスク画像Maを作成する処理である。マスク画像Maのデータは、データ記憶部112に書き込まれる。
【0051】
図4は、差分画像作成処理のフローチャートである。図4では、フレーム画像fa−1とターゲットフレーム画像faから、差分画像g(a−1、a)を作成する方法を示す。差分画像g(a、a+1)の作成も同様である。まず、ターゲットフレーム画像faの画素(x、y)の階調値を演算処理部111に読み込み(ステップS31)、フレーム画像fa−1の画素(x、y)の階調値を演算処理部111に読み込む(ステップS32)。
【0052】
画素(x、y)のデータは、ある一色を特定するためのデータを含む。画像出力装置102の表示部121の構成が、R(赤)、G(緑)、B(青)の3つの色要素の画素120で1つの色を表現する構成の場合、画像データの最小単位である画素(x、y)のデータは、R、G、Bそれぞれの階調値を有する。なお、色要素は、RGB以外の色を用いてもよい。例えば、イエロー、シアン、マゼンタで構成されるものであってもよい。本明細書では、画素(x、y)のデータは、R、G、Bの3色の階調値で構成されているものとする。
【0053】
次に、演算処理部111において、ステップS31で読み込んだ画素(x、y)の階調値と、ステップS32で読み込んだ画素(x、y)の階調値の差分を算出する(ステップS33)。ステップS33では、階調値の差分の絶対値が計算される。具体的には、R、G、Bそれぞれの階調値について差分の絶対値が計算される。ステップS33で算出された差分の絶対値は、差分画像g(a−1、a)の画素(x、y)の階調値であり、この階調値はデータ記憶部112の差分画像g(a−1、a)用のメモリ回路に記憶される。
【0054】
次に、階調値の差分の算出を全ての画素について行ったかどうかを判定することで(ステップS34)、ステップS31からステップS34が繰り返し行なわれる。そして、全画素について、階調値の差分を算出することで、差分画像g(a−1、a)が作成される(ステップS35)。
【0055】
次に、差分2値画像作成処理について説明する。図5は、差分2値画像作成処理のフローチャートである。図5では、差分画像g(a−1、a)から、差分2値画像h(a−1、a)を作成する方法を示す。差分2値画像h(a、a+1)の作成も同様である。まず、差分画像g(a−1、a)の画素(x、y)の階調値を演算処理部111に読み込む(ステップS41)。
【0056】
次に、演算処理部111では、画素(x、y)の階調値が閾値以上であるか判定する(ステップS42)。ステップS42では、各色の階調値について閾値以上であるか判定し、多数決処理を施すことによって、画素(x、y)の階調値が閾値以上であるか、否かを決定する。閾値以上である場合、差分2値画像h(a−1、a)の画素(x、y)の階調値を黒表示の値とする(ステップS43)。閾値未満である場合は、その階調値を白表示の階調値とする(ステップS44)。ステップS43、ステップS44で決定された階調値は、データ記憶部112の差分2値画像h(a−1、a)用のメモリ回路に記憶される。なお、閾値はR、G、Bごとに設定してもよいし、同じ値でもよい。
【0057】
次に、差分画像g(a−1、a)の全ての画素について処理を行ったかどうかを判定することで(ステップS45)、ステップS41からステップS45を繰り返し行う。そして、全画素について、差分2値画像h(a−1、a)の画素(x、y)の値を算出することで、差分画像g(a−1、a)を2値化した差分2値画像h(a−1、a)が作成される(ステップS46)。
【0058】
図5のフローでは、差分2値画像h(a−1、a)において、フレーム画像fa−1とターゲットフレーム画像faの間で、階調値の変化がない、または変化量が少ない部分が白表示され、階調値の変化がある部分が黒表示される。
【0059】
次に、マスク画像作成処理について説明する。図6はマスク画像作成処理のフローチャートである。まず、差分2値画像h(a−1、a)の画素(x、y)の階調値を演算処理部111に読み込み(ステップS61)、差分2値画像h(a、a+1)の画素(x、y)の階調値を演算処理部111に読み込む(ステップS62)。
【0060】
次に、演算処理部111では、ステップS61とステップS62で取り込まれた2つの画素(x、y)の階調値が共に黒表示の階調値であるか否かを判定する(ステップS63)。これら2つの階調値が共に黒表示である場合、マスク画像Maの画素(x、y)の階調値を白表示の値とする(ステップS64)。それ以外の場合は、マスク画像Maの画素(x、y)の階調値を黒表示の値とする(ステップS65)。つまり、ステップS63〜S65で、差分2値画像h(a−1、a)と差分2値画像h(a、a+1)の論理積(AND)が計算される。ステップS64、ステップS65で決定された階調値は、データ記憶部112のマスク画像Ma用のメモリ回路に記憶される。
【0061】
次に、全ての画素について階調値の判定を行ったかどうかを判定することで(ステップS66)、ステップS61からステップS66が繰り返し実行される。全画素について、マスク画像Maの階調値を算出することで、マスク画像Maが作成される(ステップS67)。図6のフローでは、マスク画像Maの白表示された領域が移動体表示領域であり、黒表示された領域が背景表示領域である。
【0062】
次に、図6のフローで作成されたマスク画像Maを用いて、図2のステップS2を行う方法を説明する。本実施形態では、マスク画像Maを用いてステップS2からステップS6を実行する画像処理をマスク処理と呼ぶこととする。図7はマスク処理のフローチャートである。
【0063】
まず、ターゲットフレーム画像faの画素(x、y)の階調値を演算処理部111に読み込み(ステップS81)、マスク画像Maの画素(x、y)の階調値を演算処理部111に読み込む(ステップS82)。次に、マスク画像Maの画素(x、y)の階調値は白表示の階調値であるか否かを判定する(ステップS83)。白表示である場合は、移動体画像処理により、ターゲットフレーム画像faの画素(x、y)の階調値を補正し(ステップS84)、白表示でない場合(つまり、黒表示である場合)は、背景画像処理により、ターゲットフレーム画像faの画素(x、y)の階調値を補正する(ステップS85)。ステップS84、ステップS85で決定された階調値は、データ記憶部112の補正フレーム画像Fa用のメモリ回路に記憶される。
【0064】
次に、全ての画素について処理を行ったかどうかを判定することで(ステップS86)、ステップS81からステップS86が繰り返し実行される。全画素について、補正フレーム画像Faの階調値を算出することで、補正フレーム画像Faが作成される(ステップS87)。
【0065】
つまり、画像処理装置101では、図3〜図7のフローを実行して、補正フレーム画像Faを作成する装置であり、フレーム画像から差分画像を作成する差分画像作成部、差分画像をもとに2値画像を作成する差分2値画像作成部、マスク画像Maを作成するマスク画像作成部、および補正フレーム画像を作成する補正フレーム画像作成部を含む。
【0066】
次に、図3〜図7のフローを実行して、補正フレーム画像Faを作成する画像処理方法を、画像を用いて具体的に説明する。図8A−Hは、画像処理方法の内容を示す説明図である。
【0067】
図8A−Cでは、木立の前を人物が左から右に移動する動画像を想定している。図8Aがフレーム画像fa−1であり、図8Bはターゲットフレーム画像faであり、図8Cがフレーム画像fa+1である。差分画像作成処理および差分2値画像作成処理を行うことで、図8D、および図8Eに図示する差分2値画像h(a−1、a)、h(a、a+1)が作成される。図8D、図8Eから分かるように、差分2値画像h(a−1、a)、h(a、a+1)では、2つのフレーム画像において共通して動きがない部分は白く、2つのフレーム画像の少なくとも一方で動きがあった部分(つまり、移動体が重なった部分)が黒く表示されている。
【0068】
なお、差分2値画像作成処理において、階調値と閾値との差分を計算する画素を左から右、或いは右から左へと一方向にずらしながら指定すると、移動体が重なった部分(図8D、図8Eの黒い部分)に白い穴ができる場合がある。このことを避けるため、階調値を計算する画素の指定を、図8Hに示すように、左右両端から水平方向に差分画像を走査し、閾値よりも階調値が大きくなる画素を移動体の輪郭と見なし、中間の画素は移動体と強制的に見なす。このように処理することで、図8Dおよび図8Eのように、内部に穴(白い部分)を作らずに、移動体を1つの固まりとして取り出すことができる。なお、上下両端から垂直方向に差分画像を走査し、閾値よりも階調値が大きくなる画素を移動体の輪郭と見なし、中間の画素は移動体と強制的に見なしてもよい。
【0069】
マスク画像作成処理により、差分2値画像h(a−1、a)と差分2値画像h(a、a+1)の論理積を取ることで、図8Fに示すマスク画像Maが作成される。マスク画像Maの白い部分が移動体表示領域である。そして、マスク処理を行うことで、ターゲットフレーム画像faについて、マスク画像Maの移動体表示領域(白い画像)と重なる画像に移動体画像処理が行われ、且つ、マスク画像Maの背景表示領域(黒い画像)と重なる画像に背景画像処理が行われ、図8Gに示す補正フレーム画像Faが作成される。
【0070】
補正フレーム画像Faは、背景がぼかされ、移動体が強調された画像であるため、移動体に焦点が合っているような感覚を画像を見る者に与える画像となっている。動画像を構成する複数のフレーム画像に対して、それぞれ、補正フレーム画像を作成し、各補正フレーム画像を画像出力装置102に出力することで、奥行き感、距離感が高められた2次元の動画像が表示部121に表示される。したがって、表示部121を見る者は、臨場感、立体感を感じることができる。
【0071】
ターゲットフレーム画像から、移動体表示領域をより正確に抽出にするため、画像処理装置101において、処理対象となるフレーム画像に画像処理を行ってから、差分画像を作成してもよい。このような画像処理には、平均化処理、水平方向の線形1次微分フィルタを用いたフィルタ処理、エッジ検出処理、およびメディアンフィルタ等を用いたノイズ除去処理などがある。
【0072】
また、連続する2つのフレーム画像において、画像が大きく異なる場合(例えば、フレーム画像fa−1とターゲットフレーム画像faとで背景が全く異なる場合等)、補正フレーム画像を表示部121で表示すると、動画像の表示品質を劣化させるおそれがある。そのため、ターゲットフレーム画像faにおいて、移動体表示領域の割合が、画像の50%以上もしくは70%以上を占める場合は、ターゲットフレーム画像について、図6のマスク処理を行わず、ターゲットフレーム画像faを画像出力装置102に出力し、ターゲットフレーム画像faを表示部121に表示することが好ましい。なお、この場合、図6のマスク処理をする代わりに、ターゲットフレーム画像fa全体に、ガンマ補正、輪郭強調、コントラスト変換処理等の画像処理を行って、画像処理されたターゲットフレーム画像faを画像出力装置102に出力してもよい。
【0073】
ターゲットフレーム画像faにおける移動体表示領域の割合は画像処理装置101の演算処理部111で算出される。この割合は、マスク画像Maの移動体表示領域(本実施形態では、白表示の領域)に含まれる画素数と、マスク画像Maを構成する全画素数とから算出することができる。
【0074】
(実施形態2)
移動体画像処理および背景表示処理を行って作成された補正フレーム画像全体に対して、さらに、画像処理装置101で同じ画像処理を行い、この画像処理後の補正フレーム画像を画像出力装置102で表示させることもできる。このような画像処理の一例として、ガンマ補正処理がある。本実施形態では、ガンマ補正処理の一例について説明する。
【0075】
ガンマ補正処理は、階調値(輝度値)を階調値の指数関数で変換することによって、画素の明るさ(輝度)を調節する処理である。画像データが8ビットのデータである場合を想定すると、ガンマ補正用の指数関数は式(1)で表される。
【0076】
【数1】

【0077】
なお、式(1)において、Yは補正前の階調値であり、0≦Y≦255である。Ycはガンマ補正後の階調値である。γはガンマ値であり、定数である。ガンマ値はR、G、Bごとに設定されており、ガンマ値が1.0よりも大きいと画像が明るくなり、1.0よりも小さいと画像は暗くなる。なお、nビットの階調値を補正する場合は、式(1)の255の値を2−1に変更した補正関数が用いられ、0≦Y≦2−1となる。
【0078】
補正フレーム画像に対して、式(1)の補正関数を用いたガンマ補正処理を行うこともできる。また、式(1)とは異なる補正関数を用いるガンマ補正処理を行うこともできる。その具体例として、以下、暗い画像と明るい画像を強調するように階調値を補正するガンマ処理について説明する。下記式(2)は、このようなガンマ補正処理を行うことができるガンマ補正関数の一例である。式(2)は、8ビットの階調値を補正するガンマ補正関数である。
【0079】
【数2】

【0080】
式(2)において、α、βはガンマ値である。つまり、式(2)は、式(1)のガンマ値γが1未満の関数と、ガンマ値γが1より大きい関数の和を分子とし、和を取った関数の数を分母とする関数である。R、G、Bごとにガンマ値α、βが設定される。
【0081】
式(2)は、8ビットの階調値を補正するガンマ補正関数であるが、nビットの階調値を補正する場合は、式(2)の255の値を2−1に変更した補正関数が用いられ、0≦Y≦2−1となる。
【0082】
式(2)の具体例を図9に示す。図9において、曲線300は、式(2)を具体化したグラフであり、下記式(3)で表される。式(3)は、式(2)にα=0.2、β=3、N=1、M=1を代入したガンマ補正関数である。つまり、式(3)は、式(1)にガンマ値γ=0.2を代入した指数関数と、ガンマ値γ=3を代入した指数関数との和を2で割った関数である。
【0083】
【数3】

【0084】
また、図9に示す直線301、および曲線302、303は、それぞれ、式(1)のガンマ値γに1、3、0.2に代入したグラフである。特に、直線301はY=Yで表される線形関数である。
【0085】
曲線300で示されるように、式(2)で示されるガンマ補正関数は、0<Y<255の範囲で、式(1)においてガンマ値γ=1である直線301(Y=Y)と1つ交点を持つ曲線であり、その交点を境界に、低階調値側では補正前よりも補正後の階調値の方が大きく、高階調値側では補正前よりも補正後の階調値の方が小さい。
【0086】
また、式(2)で示されるガンマ補正関数では、低階調および高階調共に、補正前の階調値の変化よりも、補正後の階調値の変化が大きくなっている。したがって、式(2)の補正関数を用いるガンマ補正処理を行うことで、明るい部分と暗い部分の多い画像ではコントラストを強調することができる。このことは、直線301と曲線300を対比することで理解される。
【0087】
また、式(2)の補正関数を用いたガンマ補正処理により、中間階調が多い画像では、コントラストが弱められる。したがって、この補正関数を用いたガンマ補正処理を背景画像処理として行うこともできる。
【0088】
なお、実施形態1で述べたように、補正フレーム画像を画像出力装置102に出力せず、ターゲットフレーム画像を画像出力装置102に出力する場合は、ターゲットフレーム画像に対して、式(1)又は式(2)等で示される補正関数を用いたガンマ補正処理を行ってもよい。
【0089】
(実施形態3)
本実施形態では、図1の画像出力装置102について説明する。図10は、画像出力装置102に用いられる液晶表示装置の構成例の説明図である。液晶表示装置は、トランジスタでなる回路が形成された基板と、この基板に対向する別の基板と、これら2枚の基板の間に挟持された液晶層とを有する。また、図10Aは、液晶表示装置の上面図である。図10Bは、図10Aの線C−Dによる断面図である。なお、本実施形態の液晶表示装置は、結晶性半導体膜を用いたトップゲート型のトランジスタで回路が形成され、また、その表示方式がMVA(Multi−domain Vertical Alignment)方式である。
【0090】
図10Aに示す液晶表示装置において、基板5100上に、画素部5101、第1の走査線駆動回路5105a、第2の走査線駆動回路5105b、及び信号線駆動回路5106が形成されている。画素部5101、第1の走査線駆動回路5105a、第2の走査線駆動回路5105b、及び信号線駆動回路5106は、シール材5516によって、基板5100と基板5515との間に封止されている。また、TAB方式によって、FPC5200、及びICチップ5530が基板5100上に配置されている。FPC5200から液晶表示装置に、画像処理装置101から出力された信号が入力される。
【0091】
図10Aの線C−Dにおける断面構造について、図10Bを参照して説明する。基板5100上に、画素部5101と、その周辺駆動回路部(第1の走査線駆動回路5105a及び第2の走査線駆動回路5105b、並びに信号線駆動回路5106)が形成されているが、図10Bには駆動回路領域5525(第2の走査線駆動回路5105b)の断面構造として、2つのトランジスタ5519、5520を図示し、画素領域5526(画素部5101)の断面構造として1つのトランジスタ5521を図示している。
【0092】
基板5100上に、下地膜として、絶縁膜5501が形成されている。絶縁膜5501としては、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜等の絶縁膜の単層、或いはこれらの膜の少なくとも2つの膜でなる積層を用いる。なお、半導体と接する部分では、酸化シリコン膜を用いる方がよい。その結果、下地膜での電子のトラップ準位密度が小さくなり、トランジスタ特性のヒステリシスを抑えることができる。また、下地膜として、窒素を多く含む膜を少なくとも1つ配置することが望ましい。それにより、ガラス基板に含まれる不純物による液晶表示装置の汚染を防止することができるため、基板5100にガラス基板を適用することができる。
【0093】
絶縁膜5501上に、フォトリソグラフィティ法、インクジェット法、又は印刷法などにより、トランジスタのチャネル形成領域、ソース領域およびドレイン領域を構成する半導体膜5502が形成されている。
【0094】
半導体膜5502上に、ゲート絶縁膜として、絶縁膜5503が形成されている。なお、絶縁膜5503としては、熱酸化膜、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜などでなる単層構造または積層構造の膜を用いることができる。いずれの構造の膜でも、絶縁膜5503において、半導体膜5502と接する層には酸化シリコン膜(シリコンの熱酸化膜を含む)を適用することが好ましい。それは、酸化シリコン膜は他の絶縁膜と比較して、半導体膜5502との界面のトラップ準位密度が少なくなるからである。また、ゲート電極をMo膜で形成するときは、絶縁膜5503において、ゲート電極と接する層は窒化シリコン膜が好ましい。それは、窒化シリコン膜はMo膜を酸化させないからである。ここでは絶縁膜5503として、プラズマCVD法により厚さ115nmの酸化窒化シリコン膜(組成比Si=32原子%、O=59原子%、N=7原子%、H=2原子%)を形成する。
【0095】
絶縁膜5503上に、所定の形状に加工された導電膜5504が形成されている。導電膜5504は、単層構造または多層構造の膜である。ここではMo膜で導電膜5504を形成する。Mo膜は、エッチングが容易で、熱に強いので、導電膜5504に好適である。なお、ここでは、トランジスタ5521をデュアルゲート構造にすることで、トランジスタ5521のオフ電流を小さくしている。デュアルゲート構造とは、1つのトランジスタが2つのゲート電極を有している構造である。ただし、トランジスタ5521の構造はデュアルゲート構造に限定されるものではなく、1つの半導体膜5502上に、3つ以上のゲート電極を有する構造でも、シングルゲート構造でもよい。
【0096】
絶縁膜5503上、及び絶縁膜5503上に形成された導電膜5504上に、層間膜として、絶縁膜5505が形成されている。絶縁膜5505は、有機材料、又は無機材料でなる単層構造の膜で形成することもできるし、若しくはそれらの材料でなる膜を複数積層して形成することができる。例えば、無機材料としては、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、ポリシラザン、窒素含有炭素(CN)、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)、アルミナなどがある。また、有機材料としては、感光性、非感光性どちらでもよく、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト、ベンゾシクロブテン、およびシロキサン樹脂などを用いることができる。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂に相当する。
【0097】
絶縁膜5503及び絶縁膜5505にはコンタクトホールが形成されている。例えば、コンタクトホールは、各トランジスタ5519〜5521の不純物領域に達するように形成されている。絶縁膜5505上に、ドレイン電極、ソース電極及び配線として、所定の形状に加工された導電膜5506が形成されている。導電膜5506は単層構造、又は多層構造の膜である。絶縁膜5503、及び絶縁膜5505のコンタクトホールが形成されている部分では、導電膜5506とトランジスタの半導体膜5502の不純物領域とが電気的に接続されている。
【0098】
絶縁膜5505上に、絶縁膜5507が形成されている。絶縁膜5507は、絶縁膜5505と同様に、有機材料、又は無機材料でなる単層構造、または積層構造の膜で形成することができる。絶縁膜5507を平坦化膜とする場合には、平坦性や被覆性がよいことが望ましいため、絶縁膜5507に少なくとも1層有機材料でなる層を含ませることが好ましい。
【0099】
次に、絶縁膜5507上に導電膜5508が形成されている。導電膜5508は画素電極であり、絶縁膜5507に形成されたコンタクトホールを介してトランジスタ5521に接続されている。導電膜5508上に、配向膜として、絶縁膜5509が形成されている。導電膜5508には開口部が形成されている。この開口部により、導電膜5509の上面に対して液晶分子を傾斜させて配向させることができるため、この開口部にMVA方式での突起物と同じ役割をさせることができる。
【0100】
画素電極を透光性の電極とする場合は、導電膜5508には光を透過する透光性導電膜が用いられる。例えば、酸化インジウムに酸化スズを混ぜたインジウムスズ酸化物膜、インジウムスズ酸化物に酸化シリコンを混ぜたインジウムスズシリコン酸化物膜、酸化インジウムに酸化亜鉛を混ぜたインジウム亜鉛酸化物膜、酸化亜鉛膜、または酸化スズ膜などを用いることができる。他方、画素電極を反射電極とする場合は、導電膜5508としては、例えば、Ti、Mo、Ta、Cr、W、Al等の金属膜や、それら金属の合金または化合物でなる膜等でなる単層構造の膜、または積層構造の膜を形成することができる。
【0101】
画素部5101の周辺部、若しくは画素部5101の周辺部とその駆動回路(5105a、5105b、5106)の周辺部に、インクジェット法などにより、シール材5516が形成されている。導電膜5512、絶縁膜5511、及び突起部5551などが形成された基板5515と、基板5100とがスペーサ5531を介して貼り合わされており、その隙間に、液晶層5510が配置されている。図10Bに図示するように、スペーサ5531は、絶縁膜5509上の所定の形状に加工された樹脂膜で形成されている。
【0102】
基板5515は、対向基板として機能する。導電膜5512は、対向電極として機能する膜である。導電膜5512としては、導電膜5508に用いられる透光性導電膜を形成することができる。絶縁膜5511は、配向膜として機能する膜である。
【0103】
画素部5101と、その駆動回路(5105a、5105b、5106)と電気的に接続されている導電膜5518上に、異方性導電体層5517を介して、FPC5200が配置されている。また、FPC5200上に、異方性導電体層5517を介して、ICチップ5530が配置されている。つまり、FPC5200、異方性導電体層5517、及びICチップ5530は、電気的に接続されている。
【0104】
なお、異方性導電体層5517は、FPC5200から入力される信号、及び電位を、画素部5101や駆動回路(5105a、5105b、5106)に伝達する機能を有している。異方性導電体層5517としては、導電膜5506と同様なものを用いてもよいし、導電膜5504と同様なものを用いてもよいし、半導体膜5502の不純物領域と同様なものを用いてもよいし、これらを少なくとも2層以上組み合わせたものを用いてもよい。
【0105】
ICチップ5530は必ずしも設ける必要はないが、ICチップ5530に機能回路(メモリやバッファ)を含めることで、基板面積を有効利用することができる。
【0106】
なお、図10Bの液晶表示装置は、表示方式がMVA方式であるが、本発明に適用される液晶表示装置は、MVA方式の液晶表示装置に限定されるものではない、例えばPVA(Patterned Vertical Alignment)方式でもよい。PVA方式の場合は、基板5515上の導電膜5512に対し、スリットを設ける構成とすることで液晶分子を傾斜配向させればよい。またスリットが設けられた導電膜5512上に突起部5551と同様な突起部(配向制御用突起ともいう)を設けて、液晶分子を傾斜配向させてもよい。また、液晶の駆動方式は、MVA方式、PVA方式に限定されるものではなく、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro−cell)モード、OCB(Optical Compensated Bend)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)等を適用することができる。
【0107】
(実施形態4)
本実施形態では、画像表示システムの構成例について説明する。
【0108】
図11は表示装置1101と、回路基板1111とを組み合わせた画像表示システムの構成の一例を示している。表示装置1101には、例えば、実施形態3の液晶表示装置が用いられる。回路基板1111に、画像処理装置101が設けられ、表示装置1101が画像出力装置102に対応する。表示装置1101は画素部1102、走査線駆動回路1103及び信号線駆動回路1104を有している。回路基板1111には、例えば、コントロール回路1112及び演算回路1113などが形成されている。表示装置1101と回路基板1111とは接続配線1114によって接続されている。接続配線1114にはFPC等を用いることができる。
【0109】
画素部1102と一部の周辺駆動回路(例えば、複数の駆動回路のうち動作周波数の低い駆動回路)を基板上にトランジスタを用いて一体形成し、一部の周辺駆動回路(例えば、複数の駆動回路のうち動作周波数の高い駆動回路)をICチップに形成し、そのICチップをCOG(Chip On Glass)などで表示装置1101に実装してもよい。こうすることで、回路基板1111の面積を削減でき、小型の表示装置1101を得ることができる。あるいは、そのICチップをTAB(Tape Auto Bonding)又はプリント基板を用いて表示装置1101に実装してもよい。こうすることで、額縁(画面として機能しない基板の周囲の領域)サイズの小さい表示装置1101を得ることができる。
【0110】
例えば、消費電力の低減を図るため、ガラス基板上にトランジスタを用いて画素部を形成し、全ての周辺駆動回路をICチップに形成し、そのICチップをCOG又はTABで表示装置1101に実装してもよい。
【0111】
また、図11に示した画像表示システムを用いてテレビ受像機を完成させることができる。本発明の画像表示システムをテレビ受像器に適用することで、テレビジョン放送を奥行き感の高い画像として、視聴者が鑑賞することが可能になる。
【0112】
本発明の画像表示システムは、様々な電子機器に適用することができる。このような電子機器として、例えば、ビデオカメラおよびデジタルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機又は電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体に記憶された画像データおよび音声データを再生する装置)などが挙げられる。以下、図12A−図12Cを参照して、電子機器の一例を説明する。図12A−図12Cは、電気機器の外観図である。
【0113】
図12Aはモニタの外観図である。モニタは、筐体1211、支持台1212、表示部1213を含む。図12Aに示すモニタは、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能を有する。なお、図12Aに示すモニタの機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
【0114】
図12Bはカメラの外観図である。カメラは本体1231、表示部1232、受像部1233、操作キー1234、外部接続ポート1235、シャッターボタン1236を含む。図12Bに示すカメラは、静止画および動画を撮影する機能を有する。カメラには、撮影した動画像および静止画像を補正する画像処理装置が設けられており、カメラにおいて動画像を補正し、補正された動画像を各種の記憶媒体に書き込むことができる。なお、図12Bに示すカメラの機能はこれらに限定されず、様々な機能を有することができる。
【0115】
図12Cはコンピュータの外観図である。コンピュータは、本体1251、筐体1252、表示部1253、キーボード1254、外部接続ポート1255、ポインティングデバイス1256を含む。また、コンピュータは本発明の画像処理装置を含む。図12Cに示すコンピュータは、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能を有する。例えば、キーボート1254、ポイティングデバイス1256の入力に基づいて、動画像の画像処理を実施する。なお、図12Cに示すコンピュータの機能はこれらに限定されず、様々な機能を有することができる。
【0116】
本実施形態は他の実施形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】画像表示システムの構成例を示すブロック図。
【図2】画像処理のフローチャート。
【図3】移動体表示領域抽出処理のフローチャート。
【図4】差分画像作成処理のフローチャート。
【図5】差分2値画像作成処理のフローチャート。
【図6】マスク画像作成処理のフローチャート。
【図7】マスク処理のフローチャート。
【図8】A−H:画像処理方法の内容を示す説明図。
【図9】ガンマ補正関数のグラフ。
【図10】画像出力装置の構成例の説明図。A:上面図。B:断面図。
【図11】画像表示システムの構成例の説明図。
【図12】A−C:画像表示システムが適用される電子機器の構成例を示す外観図。A:モニタ。B:カメラ。C:コンピュータ。
【符号の説明】
【0118】
100 画像表示システム
101 画像処理装置
102 画像出力装置
111 演算処理部
112 データ記憶部
113 制御部
114 入力側インターフェース部
115 出力側インターフェース部
120 画素
121 表示部
122 走査線駆動回路
123 信号線駆動回路
125 走査線
126 信号線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフレーム画像で構成される動画像を処理する画像処理方法であり、
少なくとも1つのフレーム画像から、移動体を表示する移動体表示領域を抽出し、
当該フレーム画像について、前記移動体表示領域に含まれる画素と、前記移動体表示領域に含まれない画素とに異なる画像処理を行って、補正フレーム画像を作成し、
前記移動体表示領域に含まれない画素に行う画像処理は、ぼかし処理であることを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
複数のフレーム画像で構成される動画像を処理する画像処理方法であり、
補正対象となるターゲットフレーム画像と、前記ターゲットフレーム画像よりもkフレーム前(kは1または2)のフレーム画像との差分画像をもとに、2値化された第1差分2値画像を作成し、
前記ターゲットフレーム画像と前記ターゲットフレーム画像よりもkフレーム後のフレーム画像との差分画像をもとに、2値化された第2差分2値画像を作成し、
前記第1差分2値画像と前記第2差分2値画像との論理積から、移動体表示領域を抽出して、前記移動体表示領域と背景表示領域とでなるマスク画像を形成し、
前記ターゲットフレーム画像において、前記移動体表示領域に含まれる画素と同じ位置にある画素と、前記背景表示領域に含まれる画素と同じ位置にある画素とに、異なる画像処理を行って、補正フレーム画像を作成し、
前記背景表示領域に含まれる画素と同じ位置にある画素に行う画像処理は、ぼかし処理であることを特徴とする画像処理方法。
【請求項3】
請求項1において、
前記移動体表示領域に含まれる画素に対して、鮮鋭化処理、コントラスト強調処理、および輪郭強調処理のうちの少なくとも1つの画像処理を行うことを特徴とする画像処理方法。
【請求項4】
請求項2において、
前記移動体表示領域に含まれる画素と同じ位置にある画素に対して、鮮鋭化処理、コントラスト強調処理、および輪郭強調処理のうちの少なくとも1つの画像処理を行うことを特徴とする画像処理方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、
前記ぼかし処理として、平均化処理、コントラストを弱めるコントラスト変換処理、ノイズ除去処理、およびモザイク処理の少なくとも1つの画像処理を行うことを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
複数のフレーム画像で構成される動画像を表示する画像表示部と、
少なくとも1つのフレーム画像から、移動体を表示する移動体表示領域を抽出する移動体領域抽出部と、
当該フレーム画像について、前記移動体表示領域に含まれる画素と、前記移動体表示領域に含まれない画素とに異なる画像処理を行って、補正フレーム画像を作成する補正フレーム画像作成部と、
を有し、
前記移動体表示領域に含まれない画素に行う画像処理は、ぼかし処理であり、
前記画像表示部に、前記補正フレーム画像を表示することを特徴とする画像表示システム。
【請求項7】
複数のフレーム画像で構成される動画像を表示する画像表示部と、
補正対象となるターゲットフレーム画像と、前記ターゲットフレーム画像よりもkフレーム前(kは1または2)のフレーム画像との差分画像をもとに2値化された第1差分2値画像を作成し、かつ、前記ターゲットフレーム画像と前記ターゲットフレーム画像よりもkフレーム後のフレーム画像との差分画像をもとに2値化された第2差分2値画像を作成する差分2値画像作成部と、
前記第1差分2値画像と前記第2差分2値画像との論理積から、移動体表示領域を抽出し、前記移動体表示領域と背景表示領域とでなるマスク画像を形成するマスク画像作成部と、
前記ターゲットフレーム画像において、前記移動体表示領域に含まれる画素と同じ位置にある画素と、前記背景表示領域に含まれる画素と同じ位置にある画素とに、異なる画像処理を行って、補正フレーム画像を作成する補正フレーム画像作成部と、
を有し、
前記背景表示領域に含まれる画素と同じ位置にある画素に行う画像処理は、ぼかし処理であり、
前記画像表示部に、前記補正フレーム画像を表示することを特徴とする画像表示システム。
【請求項8】
請求項6において、
前記移動体表示領域に含まれる画素に対して、鮮鋭化処理、コントラスト強調処理、および輪郭強調処理のうちの少なくとも1つの画像処理を行うことを特徴とする画像表示システム。
【請求項9】
請求項7において、
前記移動体表示領域に含まれる画素と同じ位置にある画素に対して、鮮鋭化処理、コントラスト強調処理、および輪郭強調処理のうちの少なくとも1つの画像処理を行うことを特徴とする画像表示システム。
【請求項10】
請求項6乃至9のいずれか1項において、
前記ぼかし処理として、平均化処理、コントラストを弱めるコントラスト変換処理、ノイズ除去処理、およびモザイク処理の少なくとも1つの画像処理を行うことを特徴とする画像表示システム。
【請求項11】
請求項6乃至10のいずれか1項において、
前記ターゲットフレーム画像において、移動体表示領域の割合が50%以上である場合、前記画像表示部に前記ターゲットフレーム画像を表示することを特徴とする画像表示システム。
【請求項12】
請求項6乃至10のいずれか1項において、
前記ターゲットフレーム画像において、移動体表示領域の割合が50%以上である場合、前記ターゲットフレーム画像全体に同じ画像処理を行い、
前記画像表示部に、当該画像処理を行ったターゲットフレーム画像を表示することを特徴とする画像表示システム。
【請求項13】
動画像を構成するフレーム画像から、移動体を表示する移動体表示領域を抽出する処理と、
当該フレーム画像について、前記移動体表示領域に含まれる画素と、前記移動体表示領域に含まれない画素とに異なる画像処理を行って、補正フレーム画像を作成する処理と、
を動画像の画像処理装置が実行するためのコンピュータプログラムであり、
前記移動体表示領域に含まれない画素に行う画像処理は、ぼかし処理であることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項14】
動画像を構成する複数のターゲットフレーム画像のうち、補正対象となるターゲットフレーム画像と、前記ターゲットフレーム画像よりもkフレーム前(kは1または2)のフレーム画像との差分画像をもとに、2値化された第1差分2値画像を作成する処理と、
前記ターゲットフレーム画像と前記ターゲットフレーム画像よりもkフレーム後のフレーム画像との差分画像をもとに、2値化された第2差分2値画像を作成する処理と、
前記第1差分2値画像と前記第2差分2値画像との論理積から、移動体表示領域を抽出し、前記移動体表示領域と背景表示領域とでなるマスク画像を形成する処理と、
前記ターゲットフレーム画像において、前記移動体表示領域に含まれる画素と同じ位置にある画素と、前記背景表示領域に含まれる画素と同じ位置にある画素とに、異なる画像処理を行って、補正フレーム画像を作成する処理と、
を動画像の画像処理装置が実行するためのコンピュータプログラムであり、
前記背景表示領域に含まれる画素に行う画像処理は、ぼかし処理であることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項13において、
前記移動体表示領域に含まれる画素に対して、鮮鋭化処理、コントラスト強調処理、および輪郭強調処理のうちの少なくとも1つの画像処理を行うことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項16】
請求項14において、
前記移動体表示領域に含まれる画素と同じ位置にある画素に対して、鮮鋭化処理、コントラスト強調処理、および輪郭強調処理のうちの少なくとも1つの画像処理を行うことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項17】
請求項13乃至16のいずれか1項において、
前記ぼかし処理として、平均化処理、コントラストを弱めるコントラスト変換処理、ノイズ除去処理、およびモザイク処理の少なくとも1つの画像処理を行うことを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−147922(P2009−147922A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294165(P2008−294165)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】