説明

画像処理方法

【課題】自動処理により、特に、出力画像における女性の見栄えを良くする。
【解決手段】入力された画像データに対して、画像処理を施し、出力用の画像データとする画像処理方法であって、入力画像データから、人物の顔に相当する領域を抽出するとともに、唇部分の領域を検出し、該唇部分の色味に基づいて、被写体人物の性別を推定し、該推定結果に基づいて、画像処理を行うことを特徴とする画像処理方法を提供することにより前記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、入力された画像データに対して画像処理を施して出力画像データとする画像処理方法に係り、特に原画像中の人物の顔領域を抽出し、その領域にふさわしい色調に仕上げる画像処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ネガフィルム、リバーサルフィルム等の写真フィルム(以下、フィルムとする。)に撮影された画像の感光材料(印画紙)への焼き付けは、フィルムの画像を感光材料に投影して感光材料を面露光する、いわゆる直接露光によって行われている。
【0003】これに対し、近年では、デジタル露光を利用する焼き付け装置、すなわち、フィルムに記録された画像を光電的に読み取って、読み取った画像をデジタル信号とした後、種々の画像処理を施して記録用の画像データとし、この画像データに応じて変調した記録光によって感光材料を走査露光して画像(潜像)を記録し、プリント(写真)とするデジタルフォトプリンタが実用化された。
【0004】デジタルフォトプリンタでは、画像をデジタルの画像データとして、画像データ処理によって焼き付け時の露光条件を決定することができるので、逆光やストロボ撮影等に起因する画像の飛びやツブレの補正、カラーフェリアや濃度フェリアの補正、アンダー露光やオーバー露光の補正、周辺光量不足の補正、シャープネス(鮮鋭化)処理、濃度ダイナミックレンジの圧縮/伸長処理(画像データ処理による覆い焼き効果の付与)等、従来の直接露光では不可能あるいは困難であった各種の画像処理を、高い自由度で行うことができ、直接露光に比して非常に高品位なプリントを得る事ができる。しかも、複数画像の合成や画像分割、さらには文字の合成等も画像データ処理によって行う事ができ、用途に応じて自由に編集/処理したプリントも出力可能である。
【0005】また、デジタルフォトプリンタによれば、画像をプリントとして出力するのみならず、画像データをコンピュータ等に供給したり、フロッピーディスク等の記録媒体に保存しておくこともできるので、画像データを、写真以外の様々な用途に利用することもできる。このように、デジタルフォトプリンタによれば、画像データ処理によって、より自由度の高い画像処理を施すことが可能であり、より商品価値の高いプリントを出力することができる。
【0006】ところで、人物写真においては、顔が最も注目される部位であり、出力画像において人物の顔が適正に再現される必要がある。そのためには、まず、画像中から、人物の顔に相当する領域を正確に抽出しなければならない。そして、例えば、印画紙等の感光材料に焼き付ける場合には、人物の顔の色が適正な色に焼き付けられるように露光量を決定しなければならない。
【0007】これに対し、本出願人は、既に特開平8−184925号公報において、画像データを取り込み、2値化やその他の手法により、画像を複数の領域に分割し、該複数の領域から、人物の顔に相当する領域である確度が最も高い領域を抽出し、該抽出した顔領域の顔濃度が適正となるよう露光量を決定し、画像処理を行うようにする方法を提案している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特開平8−184925号公報に開示されたものでは、顔領域の抽出が正確に行われても、その後の処理で、男女の差なく、一律に濃度制御を行うようにしているため、被写体の人物が女性であった場合には、女性の顔としての再現性において、必ずしも適正な画像が得られず、出力画像において女性の見栄えを良くするという一般的な要望を満足するという点で改良の余地がある、という問題があった。本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであり、自動処理により、特に、出力画像における特定の人物の見栄えをよくし、写真の娯楽性を増す画像処理方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するために、本発明の第一の態様は、入力された画像データに対して、画像処理を施し、出力用の画像データとする画像処理方法であって、入力画像データから、人物の顔に相当する領域を抽出するとともに、唇部分の領域を検出し、該唇部分の色味に基づいて、被写体人物の性別を推定し、該推定結果に基づいて、画像処理を行うことを特徴とする画像処理方法を提供する。
【0010】また、前記推定結果に基づいて、局所的に肌部を、所定の色味に修正する、または所定の階調に修正する、または所定の平滑化処理を適用することが好ましい。
【0011】また、同様に前記課題を解決するために、本発明の第二の態様は、入力された画像データに対して、画像処理を施し、出力用の画像データとする画像処理方法であって、入力画像データから、人物の顔に相当する領域を抽出するとともに、顔の各部位を検出し、前記抽出された顔領域、および前記検出された顔の各部位から推定される顔の造りに応じて、予め設定された複数のメイクパターンの中から選択されたメイクパターンに基づいて、画像処理を行うことを特徴とする画像処理方法を提供する。
【0012】また、同様に前記課題を解決するために、本発明の第三の態様は、入力された画像データに対して、画像処理を施し、出力用の画像データとする画像処理方法であって、入力画像データから、人物の顔に相当する領域を抽出するとともに、該顔領域の中から男女で差が出る部分の領域を検出し、該男女で差が出る部分の領域に基づいて、被写体人物の性別を推定し、該推定結果に基づいて、画像処理を行うことを特徴とする画像処理方法を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る画像処理方法について、添付の図面に示される好適実施形態を基に、詳細に説明する。
【0014】図1は、本発明に係る、特定の人物の見栄えを良くする、画像処理方法を実施する画像処理装置を含む、デジタルフォトプリンタの概略を示すブロック図である。図1に示すデジタルフォトプリンタ(以下、フォトプリンタという)10は、フィルムFに撮影された画像を光電的に読み取るスキャナ(画像読取装置)12と、このスキャナ12で読み取られた画像データの電子変倍処理や、画像データのエッジ検出やシャープネス強調(鮮鋭度強調)、平滑化処理(粒状抑制)などの画像処理やフォトプリンタ10全体の操作および制御等を行う画像処理装置14と、この画像処理装置14から出力された画像データに応じて変調した光ビームで感光材料(印画紙)を画像露光し、現像処理して(仕上がり)画像をプリントとして出力する画像記録装置16と、を有する。また、画像処理装置14には、様々な条件の入力、設定、処理の選択や指示、色/濃度補正などの指示等を入力するためのキーボード18aおよびマウス18bを有する操作系18と、スキャナ12で読み取られた画像、各種の操作指示、様々な条件の設定/登録画面等を表示するモニタ20が接続される。
【0015】スキャナ12は、フィルムF等に撮影された画像を1コマずつ光電的に読み取る装置で、光源22と、可変絞り24と、フィルムFに入射する読取光をフィルムFの面方向で均一にする拡散ボックス26と、フィルムFのキャリア28と、結像レンズユニット30と、R(赤)、G(緑)およびB(青)の各色画像濃度の読取に対応する3ラインCCDセンサを有するイメージセンサ32と、アンプ(増幅器)33と、A/D(アナログ/デジタル)変換器34とを有する。
【0016】フォトプリンタ10においては、スキャナ12の本体に装着自在な専用のキャリア28が、新写真システム(Advanced Photo System)や135サイズのネガ(あるいはリバーサル)フィルム等のフィルムFの種類やサイズ、ストリップスやスライド等のフィルムの形態等に応じて用意されており、キャリア28の交換によって、各種のフィルムや処理に対応することができる。フィルムに撮影され、プリント作成に供される画像(コマ)は、このキャリア28によって所定の読取位置に搬送される。また、周知のように、新写真システムのフィルムには、磁気記録媒体が形成され、カートリッジIDやフィルムサイズ、ISO感度等が記録されており、また、撮影時や現像時等に、撮影や現像日時、露出レベル、カメラや現像機の機種等の各種のデータが記録可能である。新写真システムのフィルム(カートリッジ)に対応するキャリア28には、この磁気情報の読取手段が配置されており、フィルムを読取位置に搬送する際に磁気情報を読み取り、これらの各種の情報が画像処理装置14に送られる。
【0017】このようなスキャナ12において、フィルムFに撮影された画像を読み取る際には、光源22から射出され、可変絞り24および拡散ボックス26によって光量調整された均一な読取光が、キャリア28によって所定の読取位置に位置されたフィルムFに入射して、透過することにより、フィルムFに撮影された画像を担持する投影光を得る。なお、カラー画像信号は、このようにフィルムを透過した光を読み取ることによって入力されるものには限定されず、反射原稿でもよいし、あるいはデジタルカメラによって撮影された画像を用いてもよい。すなわち、フィルムの画像を読み取るスキャナ12以外にも、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像手段、反射原稿の画像を読み取る画像読取装置、LAN(Local Aera Network)やコンピュータ通信ネットワーク等の通信手段、スマートメディアなどのメモリカードやMO(光磁気記録媒体)等のメディア(記録媒体)等の画像供給源Rから画像(デジタルの画像信号)を画像処理装置14に入力することもできる。
【0018】図示例のキャリア28は、24枚取りの135サイズのフィルムや新写真システムのカートリッジ等の、長尺なフィルムF(ストリップス)に対応するものである。フィルムFは、このキャリア28によって読取位置に位置されて、RGBの3ラインCCDセンサの延在方向である主走査方向と直交する副走査方向に搬送されつつ、読取光を入射される。これにより、結果的に、フィルムFが2次元的にスリット走査され、フィルムFに撮影された各コマの画像が読み取られる。
【0019】フィルムFの投影光は、結像レンズユニット30によってイメージセンサ32の受光面に結像される。イメージセンサ32から出力されたR、GおよびBの各出力信号は、アンプ33で増幅されて、A/D変換器34に送られ、A/D変換器34において、それぞれ、例えば12bitのRGBデジタル画像データに変換された後、画像処理装置14に出力される。
【0020】なお、スキャナ12においては、フィルムFに撮影された画像を読み取るに際し、低解像度で読み取るプレスキャン(第1回目の画像読取)と、出力画像の画像データを得るためのファインスキャン(第2回目の画像読取)との2回の画像読取を行う。ここで、プレスキャンは、スキャナ12が対象とするフィルムFの全ての画像を、イメージセンサ32が飽和することなく読み取れるように、予め設定されたプレスキャン読取条件で行われる。一方、ファインスキャンは、プレスキャンデータから、その画像(コマ)の最低濃度よりも若干低い濃度でイメージセンサ32が飽和するように、各コマ毎に設定されたファインスキャンの読取条件で行われる。なお、プレスキャンおよびファインスキャン出力画像信号は、解像度および出力画像信号レベルが異なる以外は、基本的に同様な画像データである。
【0021】なお、フォトプリンタ10に用いられるスキャナ12は、このようなスリット走査読取を行うものに限定されず、1コマのフィルム画像の全面を一度に読み取る面状読取を行うものであってもよい。この場合には、例えばエリアCCDセンサなどのエリアセンサを用い、光源22とフィルムFとの間にR、GおよびBの各色フィルタの挿入手段を設け、光源22からの射出光の光路に挿入して、色フィルタを透過した読取光をフィルムF全面に照射して、透過光をエリアCCDセンサに結像させてフィルム全画像を読み取ることを、R、GおよびBの各色フィルタを切り換えて順次行うことで、フィルムFに撮影された画像を3原色に分解して読み取る。
【0022】前述したように、スキャナ12から出力されるデジタル画像データ信号は、本発明に係る女性の見栄えを良くする画像処理方法を実施する画像処理装置14に出力される。スキャナ12から画像処理装置14に入力されたR、GおよびBの画像信号に対して、まずCCDセンサに起因するRGBデジタル画像データの画素毎の感度ばらつきや暗電流を補正するために、DCオフセット補正、暗時補正、欠陥画素補正、シェーディング補正等の読取画像データのデータ補正が行われる。その後画像データは、対数変換処理、階調変換されデジタル画像濃度データに変換される。
【0023】デジタル画像濃度データは、プレスキャン画像データ、ファインスキャン画像データそれぞれ別々に記憶(格納)される。プレスキャン画像データは、所定の画像処理を施されモニタ20に表示される。また、プレスキャン画像データから、濃度ヒストグラムの作成や、平均濃度、LATD(大面積透過濃度)、ハイライト(最低濃度)、シャドー(最高濃度)等の画像特徴量の算出が行われ、ファインスキャンの読取条件および画像処理条件が設定される。ファインスキャン画像データは、設定された画像処理条件により、通常の画像処理および本発明の女性の見栄えを良くする画像処理等を施され、カラープリントとして所望の濃度、階調および色調で、カラーペーパー上に、最適、高品質な画像として画像記録装置16より出力される。本発明に係る女性の見栄えを良くする画像処理方法を実施する画像処理装置を含むデジタルフォトプリンタは、基本的に以上のように構成される。
【0024】以下、本発明の第一実施形態の作用を説明する。画像処理装置14において、前述したように、プレスキャン画像データに基づいて設定された読取条件によって読み込まれたファインスキャン画像データに対して、画像データの濃度、色および階調の変換、彩度の変換、電子変倍等の処理とともに、まず特定の人物の見栄えを良くする画像処理の前提である、主要被写体抽出に基づいて被写体の性別の確認を行う。
【0025】以下、図2のフローチャートを参照し、特定の人物の見栄えを良くする画像処理について説明する。ステップ100において、人物の顔領域の抽出を行う。まず、画像データを所定の閾値で2値化する。これにより、原画像は、閾値より高い濃度の領域(黒領域)と、閾値以下の濃度の領域(白領域)とに分割される。この黒領域の中から、人物の頭髪部に相当する黒領域を抽出する。それには、まず複数の黒領域の中から1つを取り出し、その領域の輪郭をトレースし、輪郭の曲率を演算する。そして、その演算された曲率に基づいて、人物の頭部の輪郭を表す形状パターンとして、輪郭に人物の頭部と顔の境界に相当すると推定される凹部、および人物の頭頂部に相当すると推定される凸部を備えた黒領域を抽出する。次に、この凹部および凸部の所定の特徴量を計算する。そして、この特徴量を用いて、その黒領域が人物の頭部と判断できるか、すなわち人物の頭部である確度が高いか否か判定する。この判定は、黒領域の輪郭から各々所定範囲内の前記特徴量をもつ凹部および凸部が各々抽出され、黒領域の輪郭の周囲長に対する凹部および凸部の長さの比率が各々所定範囲内にあり、さらに、位置および方向より人物の頭部として整合性評価が高い場合に肯定される。
【0026】上記判定が肯定された場合には、人物の頭髪部と顔との境界部分では、頭髪部が凹の形状となっている人物がほとんどであることから、黒領域の輪郭の凹部の大きさ、およびその中心位置を基準とし、凹部に内接する楕円形状の領域を顔候補領域として設定する。また、前記2値化によって得られた各領域の輪郭を分割してラインを得、このラインの中から人物の顔の輪郭を表す形状パターンとして、人物の顔の側部に対応すると推定されるラインの対を抽出する。このライン対が人物の顔の両側部に対応するラインであると判定された場合に、このライン対によって挟まれた領域に所定の大きさの楕円形状の顔候補領域を設定する。
【0027】いま設定した顔候補領域に対し符号が正の重み係数を付与する。次に、顔の内部構造により、顔領域の設定を行う。これは例えば顔の眼部対に対応すると推定される黒領域の対を抽出することにより、顔領域としての確度をより高めるものである。また、さらに顔領域であることを確実にするために、胴体の輪郭を表す形状パターンとして、人物の首から肩、肩から腕部分または胴体下部にかけて連続する輪郭に相当すると推定されるラインの対を抽出する。このような眼部対やライン対が抽出されるごとに顔候補領域に符号が正の重み係数を付与し、最終的にこの重み係数により、人物の顔領域である確度が最も高い領域として判定された領域を顔領域として抽出する。
【0028】次に、ステップ110において、口の検出を行う。これは、上記のようにして顔領域を抽出する際に、顔領域である確度を高めるために、顔の内部構造である目や口等の顔の各部位の抽出をも同時に行うようにしてもよい。例えば、目は、上述したように顔領域内における黒領域の対として抽出され、また、眉毛は、目にそった黒い線として抽出される。そして、口は、顔領域内の位置関係、および唇に対する所定の色味探索により検出される。この唇の色味探索は、性別や人種等様々な違いを考慮して、多少広めに行う。
【0029】引き続きステップ120では、唇の色味チェックを行い被写体人物の性別を判定する。すなわち、本来の唇の色味である標準色より彩度が大であれば、口紅を使用していると判断し、被写体の人物は女性であると判定する。ここで、標準色としては、多数の人について、口紅を使用しない本来の唇の色を測定して、その平均の色味として、予め求めておいたものを用いる。なお、女性であることの判定は、このように唇の色味だけに限定されるものではなく、男女で差が出るものであれば、判定基準あるいは唇の色味に対する補助的な基準として利用可能である。例えば、目のまわりの色を検出して、アイシャドーを使用しているか否か、やイヤリング等のアクセサリを着けているか否か等により判定することが考えられる。あるいは、顔(肌)の色味を用いて化粧の有無を判定し、これを性別判定の資料に加えてもよい。このように、顔領域の中から、男女で差が出る部分の領域を検出し、該領域に基づいて性別を判定するようにしてもよい。
【0030】ステップ120の判定で、被写体が女性でないとされた場合には、ステップ140に進み、通常の画像処理を行う。また、被写体が女性であると判定された場合には、ステップ130において、特に人物の見栄えを良くする処理を行う。
【0031】特定の人物(例えば女性)の見栄えを良くする処理も、特に限定されるものではなく、例えば、肌をみずみずしく見せたり、皺を消したりする等の処理が考えられる。肌をみずみずしく見せるためには、例えば、図3に示す女性の画像50において、額52や頬53のハイライト部を強調して「てかり」感を出したり、あるいは、頬53を多少ピンク色に染める等の処理が考えられる。また、特に女性が気にする目尻の皺58については、平滑化処理により、皺58を目立たないようにする。また、顔の輪郭54や胴体の輪郭56は、鮮鋭化を強調し、エッジを強調して、輪郭をくっきりさせる。また、このとき、切り出したエッジの形状に応じてエッジ強調あるいは平滑化強調の強度を変更するようにしてもよい。例えば、顔の輪郭54のように楕円部に対しては、胴体の輪郭56のような直線部よりもエッジ強調の度合いを強くすると、顔がよりくっきりする。また、さらに、全体を細身仕上げとするとより一層美しく見える。このような見栄えを良くする処理により、皺のない、肌がきめ細かく滑らかな、しかも輪郭のくっきりした美しい写真画像を得ることができる。なお、性別推定の確度を点数化(例えば連続量として)し、その確度の大きさに応じて上記各処理を施すようにして、各処理の程度を中間的な設定とするようにしてもよい。
【0032】なお、上に述べた第一実施形態は、全ての処理を自動で行っていたが、顧客の要望を受けて、指定されたコマに対してのみ上記処理を行うようにしてもよい。この場合でも、顔抽出以下の処理は自動で行われるが、オペレータが手動で行ってもかまわない。また、次コマ以降の処理において、前に抽出した口紅の色を手がかりにして、顔領域を探索する範囲を絞り込むようにしてもよい。
【0033】次に、本発明に係る画像処理方法の第二実施形態について説明する。本第二実施形態は、被写体が特定の人物、例えば女性の場合には、その顔にメイクを施そうというものである。以下、図4のフローチャートに沿って本実施形態の処理を説明する。まず、ステップ200において、顔領域の抽出、ステップ210において、目、口等の検出を行う。これらは、前述した第一実施形態における顔領域抽出処理と同様である。フローチャートでは、第一実施形態と同様に、2つのステップに分けているが、実際の処理においては、前述したように、顔領域の抽出精度を高めるために、顔の中の部位として、目、口、頬の輪郭線等の検出も、顔領域の抽出と同時に行うようにすると効率が良い。
【0034】次に、ステップ220において、被写体の性別を判定する。この判定方法は特に限定されるものではなく、例えば、第一実施形態における判定と同様に、唇の色味によって行えばよい。判定の結果、女性ではないとされた場合には、ステップ240において、通常の画像処理を行う。また、判定の結果、女性であると判定された場合には、ステップ230において、メイクアップ処理を行う。また、被写体人物を男性と判断した場合には、男性らしさを強調する処理、例えば、より日焼けした肌の色味にする等の処理を適用するようにしてもよい。なお、被写体人物の性別に応じた処理において、その人物の国や地域性に応じて、処理内容の設定を変更できるようにすると、さらに好ましい。
【0035】メイクアップ処理を行うためには、予め、複数のメイクパターンをデータベース等に保持しておき、顔の輪郭や目の大きさあるいは唇の形等の顔の造りに基づいて、自動的に上記複数のメイクパターンの中からメイクパターンを選択する。あるいは、顧客自身が、メイクパターンを選択するようにしてもよい。メイクパターンを選択する際の基準となる、顔の造りとしては、上記のような各顔の部位単独の特徴、例えば、大きさ、縦横比、色味等が挙げられるが、この他、両目間の距離、両目中央と口との距離、顎から額までの距離、および頬の輪郭のカーブ特性等の組み合わせに基づいてメイクパターンを選択するようにしてもよい。
【0036】メイクパターンとしては、例えば、アイシャドー、睫毛、眉毛等の目の設定に関するもの、口紅の色、光沢等の口紅の設定に関するもの、その他、頬紅、ファンデーション、髪形等について、それぞれ各種の設定ができるものとする。また、これらのパターンをいくつか組み合わせた、加重平均としても良い。なお、特殊なケースとして、有名な某美容師によるメイクパターンのようなモードも設定可能としてもよい。
【0037】さらに、特殊なケースとして、歌舞伎の隈取り、あるいはプロレスのペイントレスラーの顔のような遊びの要素を取り入れた設定も可能である。また、さらに、眼鏡を掛けたり、ピアスやイアリング等のアクセサリを着ける等の業務用に用いることも可能である。また、本発明の方法をいわゆるプリクラの画像に応用することも可能である。
【0038】以上、詳しく説明したように、本実施形態によれば、人物写真において、被写体人物の性別に応じた処理を行うことにより、その人物に応じた美しさをより引き立たせることができるとともに、好みに応じたメイクを画像上で自由に行うことができ、写真の娯楽性を大いに増すことができる。
【0039】以上、本発明の画像処理方法について詳細に説明したが、本発明は、以上の実施形態には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのはもちろんである。
【0040】
【発明の効果】以上、説明した通り、本発明によれば、人物写真において、被写体人物の性別に応じた処理を行うことにより、その人物に応じた美しさをより引き立たせることができるとともに、好みに応じたメイクを画像上で自由に行うことができ、写真の娯楽性を大いに増すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る画像処理方法を実施する画像処理装置を含むデジタルフォトプリンタの概略を示すブロック図である。
【図2】 本発明の第一実施形態の処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】 同じく第一実施形態の画像処理を受ける画像の例を示す説明図である。
【図4】 本発明の第二実施形態の処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 デジタルフォトプリンタ
12 スキャナ
14 (画像)処理装置
16 画像記録装置
18 操作系
18a キーボード
18b マウス
20 モニタ
22 光源
24 可変絞り
26 拡散ボックス
28 キャリア
30 結像レンズユニット
32 イメージセンサ
34 A/D変換器
50 人物の画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】入力された画像データに対して、画像処理を施し、出力用の画像データとする画像処理方法であって、入力画像データから、人物の顔に相当する領域を抽出するとともに、唇部分の領域を検出し、該唇部分の色味に基づいて、被写体人物の性別を推定し、該推定結果に基づいて、画像処理を行うことを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】前記推定結果に基づいて、局所的に肌部を、所定の色味に修正する、または所定の階調に修正する、または所定の平滑化処理を適用する請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項3】入力された画像データに対して、画像処理を施し、出力用の画像データとする画像処理方法であって、入力画像データから、人物の顔に相当する領域を抽出するとともに、顔の各部位を検出し、前記抽出された顔領域、および前記検出された顔の各部位から推定される顔の造りに応じて、予め設定された複数のメイクパターンの中から選択されたメイクパターンに基づいて、画像処理を行うことを特徴とする画像処理方法。
【請求項4】入力された画像データに対して、画像処理を施し、出力用の画像データとする画像処理方法であって、入力画像データから、人物の顔に相当する領域を抽出するとともに、該顔領域の中から男女で差が出る部分の領域を検出し、該男女で差が出る部分の領域に基づいて、被写体人物の性別を推定し、該推定結果に基づいて、画像処理を行うことを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2001−218020(P2001−218020A)
【公開日】平成13年8月10日(2001.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−27614(P2000−27614)
【出願日】平成12年2月4日(2000.2.4)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】