説明

画像処理装置、画像処理プログラムおよび画像処理方法

【課題】障害発生に対する対応処理を実行する場合であっても、様々な状況や環境等に適切かつ柔軟に対応することが可能にする。
【解決手段】画像処理ジョブを実行するジョブ処理手段11と、前記ジョブ処理手段11でのジョブ実行に対する障害発生および発生した障害種類を検知する障害検知手段12と、発生し得る障害の種類と当該障害についての対応処理との対応関係に関する情報を記憶管理する情報管理手段13と、前記障害検知手段12が障害発生および発生した障害種類を検知すると前記情報管理手段13が記憶管理する情報に基づいて当該障害検知手段12が検知した障害についての対応処理を実行する障害対応手段14と、前記情報管理手段13が記憶管理する情報を変更するための情報更新手段15とを備えて、画像処理装置1を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理ジョブを実行するとともに、ジョブ実行の障害発生に対する対応処理を行い得る画像処理装置、画像処理プログラムおよび画像処理方法に関する。なお、ここでいう「障害」とは、画像読み取りや画像印刷出力等といった画像処理ジョブの実行を妨げる事象のことであり、用紙ジャムや装置故障等といった内的なもの(画像処理装置側に起因して生じるもの)の他に、例えばプラテン上への原稿置き忘れといった外的なもの(装置ユーザ側に起因して生じるもの)も含む。また、「対応処理」には、障害を回復する「回復処理」に加えて、必ずしも障害の回復に直接至らない処理(例えば、障害回復のための「準備処理」)をも含むものとする。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像処理ジョブを実行する画像処理装置としては、その画像処理ジョブの実行を妨げる事象である障害が発生した場合、それが何らかの対応処理を要するときは、直ちに実行中のジョブを中断して、その対応処理を行うように構成されたものが多い。具体的には、例えば原稿複写ジョブを実行するディジタル複写機であれば、用紙ジャム(紙詰まり)等の障害が発生した場合に、UI(User Interface)パネルに障害回復のための手順(外装パネルの開閉等)について順次表示するという対応処理を行うものが広く利用されている。このようなジョブ実行の障害発生に対する対応処理を行うことで、ユーザは、予備知識がなくても障害発生を解消してジョブを再開させることが可能となる。また、例えば画像印刷ジョブを実行するネットワークプリンタ装置であれば、ジャムや紙無し等の障害が発生した場合に、その旨のエラー発生通知をジョブ発行元のユーザ等に対して行うという対応処理をするものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−327854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、障害発生に対する対応処理は、装置の利用状況や設置環境等に応じて、適するものが異なると考えられる。
しかしながら、上述した従来技術では、ジョブ実行の障害発生に対する対応処理を行うのにあたり、その対応処理の内容や実行タイミング等が固定的であることから、様々な状況や環境等に適切かつ柔軟に対応することが困難となるおそれがある。
例えば、利用状況によっては、障害回復処理の一部のみを行えば十分な場合であっても、対応処理が固定的であることから、その全部を行うことをユーザに要求するといったことが起こり得る。また、例えば、複数のジョブを組み合わせて一つの複合ジョブ(ジョブフロー)として実行する場合、原稿置き忘れ等の障害が生じたときの回復処理は、個々のジョブの実行を妨げなければ後回しでもよいと考えられるが、対応処理が固定的であると、個々のジョブ毎に障害についての対応処理を行うことになる可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、障害発生に対する対応処理を実行する場合であっても、様々な状況や環境等に適切かつ柔軟に対応することが可能となる画像処理装置、画像処理プログラムおよび画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために案出された画像処理装置で、画像処理ジョブを実行するジョブ処理手段と、前記ジョブ処理手段でのジョブ実行に対する障害発生および発生した障害種類を検知する障害検知手段と、発生し得る障害の種類と当該障害についての対応処理との対応関係に関する情報を記憶管理する情報管理手段と、前記障害検知手段が障害発生および発生した障害種類を検知すると前記情報管理手段が記憶管理する情報に基づいて当該障害検知手段が検知した障害についての対応処理を実行する障害対応手段と、前記情報管理手段が記憶管理する情報を変更するための情報更新手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上記目的を達成するために案出された画像処理プログラムで、コンピュータを、画像処理ジョブを実行するジョブ処理手段と、前記ジョブ処理手段でのジョブ実行に対する障害発生および発生した障害種類を検知する障害検知手段と、発生し得る障害の種類と当該障害についての対応処理との対応関係に関する情報を記憶管理する情報管理手段と、前記障害検知手段が障害発生および発生した障害種類を検知すると前記情報管理手段が記憶管理する情報に基づいて当該障害検知手段が検知した障害についての対応処理を実行する障害対応手段と、前記情報管理手段が記憶管理する情報を変更するための情報更新手段として機能させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記目的を達成するために案出された画像処理方法で、画像処理ジョブを実行するジョブ処理ステップと、前記ジョブ処理ステップでのジョブ実行に対する障害発生および発生した障害種類を検知する障害検知ステップと、発生し得る障害の種類と当該障害についての対応処理との対応関係に関する情報を記憶管理しておく情報管理ステップと、前記障害検知ステップで障害発生および発生した障害種類を検知すると前記情報管理ステップで記憶管理する情報に基づいて当該障害検知ステップで検知した障害についての対応処理を実行する障害対応ステップと、前記情報管理ステップが記憶管理する情報を変更するための情報更新ステップとを備えることを特徴とする。
【0009】
上記構成の画像処理装置および画像処理プログラム並びに上記手順の画像処理方法では、障害検知手段(ステップ)が障害発生および発生した障害種類を検知すると、情報管理手段(ステップ)が記憶管理する情報に基づいて、その障害検知手段(ステップ)が検知した障害についての対応処理を障害対応手段(ステップ)が実行する。ただし、情報管理手段(ステップ)が記憶管理する情報は、情報更新手段(ステップ)の存在によって変更することが可能である。したがって、装置の利用状況や設置環境等が変わっても、情報更新手段(ステップ)を通じて情報管理手段(ステップ)が記憶管理する情報を変更し得るので、変更後の状況や環境等に適した内容やタイミング等の情報を、情報管理手段(ステップ)に記憶管理させることが実現可能となる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、障害発生に対する対応処理を実行する場合であっても、情報更新手段(ステップ)を通じて情報管理手段(ステップ)での記憶管理情報を適宜変更することで、様々な状況や環境等に適切かつ柔軟に対応することが可能となる。したがって、障害発生に対する対応処理を実行する場合に、装置の利用状況や設置環境等についての汎用性を十分に確保することができ、結果としてユーザにとっての利便性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面に基づき本発明に係る画像処理装置、画像処理プログラムおよび画像処理方法について説明する。
【0012】
先ず、画像処理装置の機能構成および当該画像処理装置を用いて構成されたシステムの概略構成について説明する。図1は、本発明に係る印刷制御装置の概略構成例を示すブロック図である。
【0013】
ここで説明する画像処理装置1は、ディジタル複写機やネットワークプリンタ装置等からなるもので、原稿複写ジョブや画像印刷ジョブ等といった画像処理ジョブを実行し得るように構成されたものである。ただし、複数種類の画像処理ジョブに対応すべく、複写機能、印刷機能およびFAX機能等を統合したディジタル複合機からなるものであってもよい。
【0014】
また、画像処理装置1は、いわゆるスタンドアローンで用いられるものであってもよいが、図例のようなネットワーク環境下で用いられるものであってもよい。すなわち、ネットワーク回線2を介して外部装置(パーソナルコンピュータ等)と接続して用いられ、その外部装置から発行される画像処理ジョブの実行依頼を受け付け得るように構成することが考えられる。その場合、ネットワーク回線2上には、複数の画像処理装置1が存在していてもよい。また、ネットワーク回線2を介して接続する外部装置には、画像処理装置1を管理するための管理端末装置3が含まれているものとする。管理端末装置3は、システム管理者が操作するもので、他の外部装置と同様に、パーソナルコンピュータ等を用いて構成することが考えられる。
【0015】
さらに、画像処理装置1は、画像処理ジョブを実行し得るのみならず、その画像処理ジョブの実行を妨げる事象である障害が発生した場合、その障害についての対応処理を行うように構成されている。具体的には、画像処理ジョブの実行および障害についての対応処理を行うために、画像処理装置1は、ジョブ処理手段11、障害検知手段12、情報管理手段13、障害対応手段14および情報更新手段15としての機能を備えている。
【0016】
ジョブ処理手段11は、画像処理ジョブを実行するための機能である。具体的には、スキャナやプリンタエンジン等を動作させて原稿複写ジョブを実行したり、外部インタフェースやプリンタエンジン等を動作させて画像印刷ジョブを実行したりするようになっている。また、ジョブ処理手段11では、複数の画像処理ジョブを組み合わせて一つの複合ジョブとして実行し得るようになっているものとする。例えば、一つの複合ジョブ(ジョブフロー)として、原稿からの画像読み取りジョブを実行した後、その読み取り結果についてのFAX送信ジョブを実行し、さらにその読み取り結果についての画像印刷ジョブを実行する、といった具合である。
【0017】
障害検知手段12は、ジョブ処理手段11が画像処理ジョブを実行するにあたり、その実行を妨げる事象である障害が発生した場合に、その障害発生の事実および発生した障害種類を検知するための機能である。具体的には、例えば、用紙ジャム(紙詰まり)、装置故障、原稿置き忘れ等について、その発生の事実および種類を検知するようになっている。なお、検知の手法は、例えば専用の検知センサを用いるといったように、公知技術を用いて行えばよいため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0018】
情報管理手段13は、画像処理装置1において発生し得る障害の種類と、その障害についての対応処理との対応関係に関する情報を、記憶管理するための機能である。障害についての対応処理としては、例えば用紙ジャムの障害についてであれば、画像処理装置1のUIパネルに障害回復のための手順(外装パネルの開閉等)について順次表示するという内容のものが挙げられる。なお、情報管理手段13では、障害種類とその対応処理との対応関係に関する情報を、テーブル形式で記憶管理するようになっている。以下、情報管理手段13が記憶管理するテーブルを「障害対応管理テーブル」という。
【0019】
ここで、障害対応管理テーブルについて、具体例を挙げて説明する。図2は、障害対応管理テーブルの一具体例を示す説明図である。図例のように、障害対応管理テーブル13aは、障害の種類を特定する「障害種類」、対応処理の内容を特定する「処理内容」および対応処理の実行タイミングを特定する「処理タイミング」の各項目を基本フィールドとして一つのレコードを構成し、そのレコードの集合によってテーブルが構成されている。また、各レコードには、「障害種類」、「処理内容」および「処理タイミング」に加え、対応処理の実行トリガーを特定する「処理開始契機」、画像処理ジョブが複合ジョブである場合における対応処理の実行タイミングを特定する「複合ジョブ中」の各項目が含まれている。さらに、各レコードには、同一の障害種類が複数レコードにわたって存在する場合、すなわち一つの障害種類に対して複数の対応処理に関する情報を記憶管理する場合に、それぞれの対応処理の間(各レコード間)の実行優先順を特定する「プライオリティ」の項目が含まれている。
【0020】
また、図1において、障害対応手段14は、障害についての対応処理を実行するための機能である。すなわち、障害対応手段14は、障害検知手段12が障害発生および発生した障害種類を検知すると、情報管理手段13が記憶管理する障害対応管理テーブル13aにおける登録情報に基づいて、障害検知手段12が検知した障害についての対応処理を実行するようになっている。具体的には、画像処理装置1のUIパネルに障害回復のための手順について順次表示させたり、あるいは故障発生した旨のエラー発生通知をネットワーク回線2上の外部装置に対して行ったりする。なお、対応処理の実行手法は、公知技術を用いて実現すればよいため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0021】
情報更新手段15は、情報管理手段13が記憶管理する障害対応管理テーブル13aにおける登録情報について、その情報の変更を行うための機能である。具体的には、画像処理装置1のUIパネルからの入力情報に従いつつ、障害対応管理テーブル13aにおける登録情報の変更(更新、追加、削除等)を行うようになっている。ただし、画像処理装置1のUIパネルからの入力情報ではなく、ネットワーク回線2上の外部装置からの送信情報に従いつつ登録情報の変更を行うものであってもよい。すなわち、情報更新手段15は、ネットワーク回線2上の外部装置からリモート制御されるものであってもよい。また、情報更新手段15は、障害対応管理テーブル13aにおける登録情報を変更する際に、予め設定されている複数の情報の中から選択されたものを、変更後の情報とするものであってもよい。その場合、公知のGUI(Graphical User Interface)技術を利用しつつ、例えばプルダウンメニューにて表示される複数の情報の中からいずれか一つをUIパネルまたは外部装置の操作者に選択させることが考えられる。
【0022】
これらの各手段11〜15は、画像処理装置1におけるコンピュータとしての機能に所定プログラムを実行させることによって実現すればよい。ただし、その場合に、各手段11〜15を実現するための所定プログラムは、予め画像処理装置1内にインストールされておらずに、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納されて提供されるものであっても、または有線若しくは無線による通信手段を介して配信されるものであってもよい。つまり、上述した構成の画像処理装置1は、コンピュータを当該画像処理装置1として機能させる画像処理プログラムによっても実現可能である。
【0023】
次に、以上のように構成された画像処理装置(画像処理プログラムによって実現される場合を含む)1における処理動作例、すなわち本発明に係る画像処理方法について説明する。
【0024】
ここでは、画像読み取りジョブ、FAX送信ジョブ、画像印刷ジョブ等を一連のジョブフローとして、すなわち一つの複合ジョブとして処理するときに、その複合ジョブの実行を妨げる障害としてスキャナのプラテンガラス上への原稿置き忘れが発生した場合を例に挙げて説明する。
【0025】
図3は、本発明に係る画像処理方法の手順の一例を示すフローチャートである。例えば、上述したようなジョブフローを実行する場合には、先ず、画像読み取りジョブを実行し、その後、所定順に従いつつ、FAX送信ジョブまたは画像印刷ジョブを実行するが、その画像読み取りジョブで読み取り対象となった原稿のスキャナのプラテンガラス上への置き忘れが発生していると、遅くとも当該画像読み取りジョブの終了までの時点で、障害検知手段12が原稿置き忘れの発生を検知する(ステップ101、以下ステップを「S」と略す)。
【0026】
障害検知手段12が原稿置き忘れの発生を検知すると、障害対応手段14は、情報管理手段13にアクセスして、その情報管理手段13が記憶管理する障害対応管理テーブル13aを参照する(S102)。そして、障害対応手段14は、障害対応管理テーブル13aにおける登録情報の中から、障害検知手段12が検知した障害の種類に対応する「障害種類」のレコードを検索し、そのレコードにおける情報内容、すなわち障害検知手段12が検知した「障害種類」に対応する「処理内容」や「処理タイミング」等を認識する。
【0027】
このとき、例えば、原稿置き忘れに対応する「処理内容」が該当ユーザへのメール通知であれば、障害対応手段14は、そのメール通知を行うために必要な処理を行う。メール通知を行うために必要な処理としては、例えば、メール送信先アドレスの特定や、送信メールの作成等が挙げられる。メール送信先アドレスの特定は、予め登録されているユーザ情報を利用して行ったり、あるいはジョブ開始前にユーザ認証処理を行っている場合には、そのユーザ認証処理の結果を利用して行うことが考えられる。また、送信メールの作成についても、予め登録されている定型文を利用するといったような公知技術を用いて行えばよい。
【0028】
ただし、送信メールの作成等を行っても、原稿置き忘れに対応する「処理タイミング」によって特定されるタイミングになっていなければ、作成したメール送信は行わずに、送信待ち状態とするための記憶領域に登録する(S103)。これにより、「処理タイミング」によって特定されるタイミングでのメール送信を行い得るようになる。また、「処理タイミング」によって特定されるタイミングになっても、複合ジョブの処理中である場合には、「複合ジョブ中」によって特定されるタイミングにならなければ、メール送信は行わない。つまり、複合ジョブの処理中であれば、「処理タイミング」によって特定されるタイミングで、かつ、「複合ジョブ中」によって特定されるタイミングとなった場合に、メール送信を行う。具体的には、例えば「処理タイミング」によって特定されるタイミングがジョブ終了後で、「複合ジョブ中」によって特定されるタイミングが全ジョブ終了後であれば、「処理タイミング」によって特定されるタイミングである画像読み取りジョブの終了後の時点ではメール送信を行わず、その画像読み取りジョブを含む複合ジョブが終了するまで、その複合ジョブを構成する他のジョブ(FAX送信ジョブまたは画像印刷ジョブ等)を実行する。
【0029】
そして、複合ジョブが終了すると(S104)、「処理タイミング」によって特定されるタイミングで、かつ、「複合ジョブ中」によって特定されるタイミングとなったので、障害対応手段14は、障害検知手段12が検知した障害についての対応処理として、送信待ち状態のメールの送信実行、すなわち該当ユーザへのメール通知を実行する(S105)。
【0030】
このようなメール通知のように、「処理内容」で特定される対応処理は、障害対応管理テーブル13aにおける「処理開始契機」が例えば自動と規定されていれば、上述のタイミングとなった時点で自動的に(ユーザによる指示を待たずに)実行すればよい。ただし、「処理開始契機」がユーザ指示と規定されている場合には、UIパネルからのユーザ指示を待って処理実行を行うものとする。例えば、処理内容がジャム除去の場合、ジャム除去中は他ジョブの動作を禁止するように構成されていると、ジャム除去の終了を契機にするのではなく、その後のユーザ指示を待って他ジョブの動作を開始するほうが好ましいからである。
【0031】
また、原稿置き忘れという「障害種類」の障害発生が検知された場合、上述したような該当ユーザへのメール通知という対応処理とは別に、または該当ユーザへのメール通知という対応処理と併せて、管理端末装置3を操作するシステム管理者宛てのメール通知という対応処理を行うことも考えられる。システム管理者に障害が発生した旨の連絡が行くようにしておけば、原稿置き忘れが例えば機密文書であっても、その機密文書を確保する可能性が高くなり、第三者が持ち去るのを有効に防止し得るからである。
【0032】
その場合、障害対応管理テーブル13aは、一つの障害種類に対して、複数の対応処理に関する情報を記憶管理することになる。すなわち、障害対応管理テーブル13aでは、同一の障害種類が複数レコードにわたって存在している必要がある。ただし、同一の障害種類が複数レコードにわたって存在していると、障害対応管理テーブル13a内から実行すべき対応処理を検索する場合に、どのレコードを選択するか、あるいはどのレコードを選択しないかについて判断する必要が生じる。この判断は、障害対応手段14が、障害対応管理テーブル13aの各レコードにおける「プライオリティ」の項目に基づいて判断すればよい。具体的には、例えば、原稿置き忘れという「障害種類」の障害発生が検知された場合、ジョブ開始前にユーザ認証処理を行っていれば、そのユーザ認証処理の結果から得られる認証情報の一つとして該当ユーザの連絡先メールアドレスを抽出し、その該当ユーザへのメール通知という対応処理を行うが、ユーザ認証処理が行われていなければ、予め登録されているシステム管理者宛てのメール通知という対応処理を行う、といった具合である。勿論、複数レコードを同時に選択することも考えられる。
【0033】
このように、ジョブの実行を妨げる障害に対しては、障害対応管理テーブル13aにおける登録情報次第で、様々な「処理内容」の対応処理を実行することが可能となる。このことは、上述した原稿置き忘れという「障害種類」のみならず、他の「障害種類」についても全く同様のことが言える。例えば、用紙ジャムという「障害種類」については、対応処理の「処理内容」として、ジャム発生部位にユーザがアクセスできるようにUIパネルへの情報表示を行う、音声出力を行う、当該外装パネル付近に配されたLED(Light Emitting Diode)等を点滅させて視認容易にする、当該外装パネルを自動的に開く、当該外装パネルのインターロックを解除する等が挙げられる。
【0034】
ところで、障害発生に対する対応処理は、装置の利用状況や設置環境等に応じて、適切かつ柔軟に対応し得ることが望ましい。すなわち、障害対応管理テーブル13aにおける登録情報の内容、特に対応処理の「処理内容」や「実行タイミング」等が固定的ではなく、様々な状況や環境等に応じて変更し得ることが望ましい。
【0035】
このことから、画像処理装置1では、情報更新手段15を備えており、上述した一連の処理動作(図3参照)を行う前の段階で、情報管理手段13が記憶管理する障害対応管理テーブル13aにおける登録情報について、その情報の変更を行い得るようになっている。これにより、情報更新手段15からは、「処理内容」、「実行タイミング」、「プライオリティ」等といった障害対応管理テーブル13aにおける登録情報を、ユーザの装置利用状況や装置の設置環境等に合わせて適宜可変することが可能となる。また、登録情報のみならず、障害対応管理テーブル13aそのものについて可変とし、レコードを追加したり、あるいは削除したりできるようにすることも考えられる。さらには、各レコードについて可変とし、当該レコードを構成する項目(フィールド)を追加したり、あるいは削除したりできるようにすることも考えられる。
【0036】
以上のように、本実施形態における画像処理装置(画像処理プログラムによって実現される場合を含む)1および当該画像処理装置1が実行する画像処理方法によれば、障害検知手段12が障害発生および発生した障害種類を検知すると、情報管理手段13が記憶管理する障害対応管理テーブル13a内の登録情報に基づいて、その障害検知手段12が検知した障害についての対応処理を障害対応手段14が実行する。ただし、情報管理手段13が記憶管理する障害対応管理テーブル13a内の登録情報は、情報更新手段15の存在によって変更することが可能である。したがって、装置の利用状況や設置環境等が変わっても、情報更新手段15を通じて障害対応管理テーブル13a内の登録情報を変更し得るので、変更後の状況や環境等に適した内容やタイミング等の情報を、障害対応管理テーブル13aに記憶管理させることが実現可能となる。
【0037】
つまり、本実施形態で説明したように、障害についての対応処理を障害対応管理テーブル13a内の登録情報に基づいて実行するとともに、その障害対応管理テーブル13a内の登録情報を変更し得るようにすれば、障害発生に対する対応処理を実行する場合であっても、情報更新手段15を通じて障害対応管理テーブル13aによる記憶管理情報を適宜変更することで、様々な状況や環境等に適切かつ柔軟に対応することが可能となる。したがって、障害発生に対する対応処理を実行する場合に、ユーザ都合等に応じた処理動作を画像処理装置1に行わせることができるので、装置の利用状況や設置環境等についての汎用性を十分に確保することができ、結果としてユーザにとっての利便性を向上させることができる。
【0038】
また、本実施形態で説明したように、情報管理手段13が記憶管理する障害対応管理テーブル13aが、各レコード毎に「障害種類」と対応処理の「処理内容」との対応関係のみならず、これらと当該対応処理の処理タイミングとの対応関係、具体的には「処理タイミング」および「複合ジョブ中」の各項目について、登録情報を記憶管理していれば、ジョブ処理手段11が実行するジョブが複合ジョブである場合においても、その複合ジョブ中に発生する障害についての対応処理の実行の適切化が図れるようになる。すなわち、複数の画像処理ジョブを組み合わせて一つの複合ジョブ(ジョブフロー)として実行する場合、個々の画像処理ジョブに障害が生じたときの対応処理は、当該画像処理ジョブの(中止)直後ではなく、個々の画像処理ジョブの継続を妨げなければ後回しでもよいことがあるが、そのような障害の対応処理について、例えば、個々の画像処理ジョブではなく一つの複合ジョブの全てが終了してから実行するといったように、対応処理の実行の適切化が図れるのである。
【0039】
また、本実施形態で説明したように、情報管理手段13が記憶管理する障害対応管理テーブル13aにおける各レコードに「プライオリティ」の項目が含まれていれば、その「プライオリティ」に関する情報を障害対応管理テーブル13aが記憶管理することで、その障害対応管理テーブル13aは、同一の障害種類について複数レコードにわたって記憶管理し得るようになる。すなわち、一つの「障害種類」に対して複数の対応処理の「処理内容」を記憶管理することが可能となり、その場合であってもどのレコードを選択するか等について適切に判断し得るようになるので、障害についての対応処理を行う上での汎用性を十分に確保する上で非常に好適なものとなる。
【0040】
また、本実施形態で説明したように、情報更新手段15を通じて障害対応管理テーブル13a内の登録情報を変更するのにあたり、例えばGUI技術を利用したプルダウンメニュー等により、予め設定されている複数の情報の中から選択されたものを変更後の情報とすれば、当該登録情報の変更を行う際の操作の容易化が図れるので、ユーザにとっての利便性を向上させる上で好適なものとなる。さらには、不適切な情報が障害対応管理テーブル13a内に登録されてしまうのを未然に防ぎ得るようになるので、障害についての対応処理の実行の適切化を図る上でも好適なものとなる。
【0041】
また、本実施形態で説明したように、情報更新手段15がネットワーク回線2上の外部装置からリモート制御されるものであれば、例えばシステム管理者が操作する管理端末装置3からのみ障害対応管理テーブル13a内の登録情報の変更を可能にするといったことを実現し得るので、障害対応管理テーブル13a内の登録情報が不用意に変更されてしまったり、不適切な変更が行われたりするのを抑制することができる。さらには、例えばネットワーク回線2上に複数の画像処理装置1が存在する場合に、各画像処理装置1における障害対応管理テーブル13a内の登録情報の変更を一括して行い得るようにもなる。
【0042】
なお、本実施形態では、本発明の好適な実施具体例について説明したが、本発明はその
内容に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
例えば、障害種類、障害についての対応処理の内容、その実行タイミング等は、本実施形態で説明した内容に限定されるものではない。したがって、障害対応管理テーブル13aのレコードを構成する各項目についても、本実施形態で説明した内容に限定されるものではなく、例えば対応処理の内容に応じて課金したり、課金態様を可変させたりするための項目を含むことも考えられる。
また、ネットワーク回線2上に複数の画像処理装置1が存在している場合には、障害対応管理テーブル13aの記憶管理場所を各画像処理装置1別とはせずに、いずれか一つの画像処理装置1内、または管理端末装置3に代表される外部装置内とし、各画像処理装置1で障害対応管理テーブル13aを共有することも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る印刷制御装置の概略構成例を示すブロック図である。
【図2】障害対応管理テーブルの一具体例を示す説明図である。
【図3】本発明に係る画像処理方法の手順の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0044】
1…画像処理装置、2…ネットワーク回線、3…管理端末装置、11…画像処理装置、12…ジョブ処理手段、13…障害検知手段、13a…障害対応管理テーブル、14…情報管理手段、15…障害対応手段、16…情報更新手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理ジョブを実行するジョブ処理手段と、
前記ジョブ処理手段でのジョブ実行に対する障害発生および発生した障害種類を検知する障害検知手段と、
発生し得る障害の種類と当該障害についての対応処理との対応関係に関する情報を記憶管理する情報管理手段と、
前記障害検知手段が障害発生および発生した障害種類を検知すると前記情報管理手段が記憶管理する情報に基づいて当該障害検知手段が検知した障害についての対応処理を実行する障害対応手段と、
前記情報管理手段が記憶管理する情報を変更するための情報更新手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記ジョブ処理手段は、複数の画像処理ジョブを組み合わせて一つの複合ジョブとして実行するものであり、
前記情報管理手段は、前記ジョブ処理手段で発生し得る障害の種類と当該障害についての対応処理との対応関係に関する情報に加え、これらと当該対応処理の処理タイミングとの対応関係に関する情報を記憶管理するものである
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記情報管理手段は、一つの障害種類に対して複数の対応処理に関する情報を記憶管理するとともに、前記複数の対応処理についてのプライオリティ情報を記憶管理する
ことを特徴とする請求項1または2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記情報更新手段は、前記情報管理手段が記憶管理する情報を変更する際に、予め設定されている複数の情報の中から選択されたものを、変更後の情報とする
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記情報更新手段は、ネットワーク回線を介して接続する外部装置からリモート制御される
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の画像処理装置。
【請求項6】
コンピュータを、
画像処理ジョブを実行するジョブ処理手段と、
前記ジョブ処理手段でのジョブ実行に対する障害発生および発生した障害種類を検知する障害検知手段と、
発生し得る障害の種類と当該障害についての対応処理との対応関係に関する情報を記憶管理する情報管理手段と、
前記障害検知手段が障害発生および発生した障害種類を検知すると前記情報管理手段が記憶管理する情報に基づいて当該障害検知手段が検知した障害についての対応処理を実行する障害対応手段と、
前記情報管理手段が記憶管理する情報を変更するための情報更新手段
として機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項7】
画像処理ジョブを実行するジョブ処理ステップと、
前記ジョブ処理ステップでのジョブ実行に対する障害発生および発生した障害種類を検知する障害検知ステップと、
発生し得る障害の種類と当該障害についての対応処理との対応関係に関する情報を記憶管理しておく情報管理ステップと、
前記障害検知ステップで障害発生および発生した障害種類を検知すると前記情報管理ステップで記憶管理する情報に基づいて当該障害検知ステップで検知した障害についての対応処理を実行する障害対応ステップと、
前記情報管理ステップが記憶管理する情報を変更するための情報更新ステップと
を備えることを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−42358(P2008−42358A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−211607(P2006−211607)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】