画像処理装置、画像処理方法、プログラム
【課題】逆光状態で撮像された画像データについて多様な画像効果を付与する。
【解決手段】処理対象の複数の画像データが、逆光状態での撮像による画像データか否かを判断する(F102)。そしてこの処理対象の複数の画像データについてHDR合成等の合成処理を実行する(F107)。さらに逆光状態での撮像による画像データであったら、合成処理に係る画像データについて、非写実的な画像内容(例えば絵画調)となる画像効果処理を実行する(F108)。
【解決手段】処理対象の複数の画像データが、逆光状態での撮像による画像データか否かを判断する(F102)。そしてこの処理対象の複数の画像データについてHDR合成等の合成処理を実行する(F107)。さらに逆光状態での撮像による画像データであったら、合成処理に係る画像データについて、非写実的な画像内容(例えば絵画調)となる画像効果処理を実行する(F108)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置および画像処理方法、さらには画像処理方法を実現するプログラムに関し、特に、より多様な効果を画像に付与することができるようにした画像処理技術に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2008−104010号公報
【特許文献2】特開2008−104009号公報
【特許文献3】特開2000−92378号公報
【背景技術】
【0003】
従来、ダイナミックレンジの広い画像の階調の範囲を圧縮し、適正化するHDR(High Dynamic Range)圧縮処理が考えられている(例えば、特許文献1、2参照)。
例えば、露出の異なる複数の画像からダイナミックレンジの広い画像を作り、つぎに平滑化フィルタを使って画像を低周波成分と高周波成分(ディティール成分)に分解し、低周波成分の階調の範囲を圧縮する。そして、その圧縮量に対応する分だけディティール成分を強調して、最後に処理後の両成分を合成する。これによりディティール成分をできるだけ失わずに全体の階調レンジを圧縮して、画質の向上された通常レンジの画像を得る方法が記載されている。
また、ダイナミックレンジの広い画像の合成を経由せずに、複数の画像から通常レンジの画像を作る方法も記載されている。
【0004】
また特許文献3には、輝度差の大きな被写体が存在する場合に、自動的に逆光等を補正できるようにした撮影モードを有する撮像装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで近年、より多様な画像を楽しみたいというニーズがあり、単に階調の範囲の圧縮だけでなく他の画像効果も求められている。そこで本開示では、状況に応じて非写実的な画像データが得られる画像処理手法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の画像処理装置は、画像効果処理及び複数の画像データの合成処理を実行する合成処理部と、上記複数の画像データが、逆光状態での撮像による画像データか否かを判断し、逆光状態での撮像による画像データである場合に、上記合成処理部に、上記合成処理に係る画像データについて非写実的な画像内容となる画像効果処理を実行させる制御部とを備える。
【0007】
本開示の画像処理方法は、処理対象とする複数の画像データが、逆光状態での撮像による画像データか否かを判断するステップと、上記複数の画像データについて合成処理を行うステップと、上記複数の画像データが逆光状態での撮像による画像データである場合には、上記合成処理に係る画像データについて非写実的な画像内容となる画像効果処理を実行するステップとを備える。
【0008】
本開示のプログラムは、処理対象とする複数の画像データが、逆光状態での撮像による画像データか否かを判断するステップと、上記複数の画像データについて合成処理を実行させるステップと、上記複数の画像データが逆光状態での撮像による画像データである場合には、上記合成処理に係る画像データについて非写実的な画像内容となる画像効果処理を実行させるステップとを演算処理装置に実行させるプログラムである。
【0009】
このような本開示の技術では、画像処理として、複数の画像データの合成処理により、例えばHDR圧縮画像等の画像データを得るが、さらに、複数の画像データが、逆光状態での撮像による画像データであるときは、非写実的な画像、例えば絵画調の画像のような画像効果処理を実行する。これにより逆光状態での撮像を行うことで、特殊な画像を得ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、逆光状態での撮像画像から非写実的な画像効果処理を与えた画像を得ることができる。ユーザは、逆光状態で撮像したり、或いは逆光状態での撮像画像を用意するのみで、非写実的な画像を楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本開示の実施の形態の撮像装置のブロック図である。
【図2】実施の形態の絵画調の画像の説明図である。
【図3】実施の形態の合成処理部のブロック図である。
【図4】実施の形態のディティール生成部のブロック図である。
【図5】実施の形態の処理例Iのフローチャートである。
【図6】実施の形態の画像処理の流れのフローチャートである。
【図7】実施の形態の処理例IIのフローチャートである。
【図8】実施の形態の処理例IIIのフローチャートである。
【図9】実施の形態の処理例IVのフローチャートである。
【図10】実施の形態の合成処理部の他の構成例のブロック図である。
【図11】実施の形態のパーソナルコンピュータのブロック図である。
【図12】実施の形態のパーソナルコンピュータで適用する処理例Vのフローチャートである。
【図13】実施の形態のパーソナルコンピュータで適用する処理例VIのフローチャートである。
【図14】実施の形態のパーソナルコンピュータで適用する処理例VIIのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態を次の順序で説明する。
<1.撮像装置の構成>
<2.合成処理部の構成>
<3.処理例I>
<4.処理例II>
<5.処理例III>
<6.処理例IV>
<7.合成処理部の他の構成例>
<8.パーソナルコンピュータでの適用(処理例V、VI、VII)>
<9.プログラム>
<10.変形例>
【0013】
<1.撮像装置の構成>
まず、本開示の画像処理装置が、撮像装置に内蔵される実施の形態を説明する。なお、本開示に係る画像処理装置は、以降説明する合成処理部16及び制御部20によって実現される。
【0014】
図1は、撮像装置1の主な構成例を示すブロック図である。
図1に示される撮像装置1は、被写体を撮像し、その被写体の画像をデータ化して出力する装置である。この撮像装置1は、光学ブロック11、A/D変換部13、ISO(International Organization for Standardization)ゲイン調整部14、バッファメモリ15、合成処理部16、現像処理部17、記録部18、表示部19、制御部20、LPF(Low-Pass Filter)21、検波部22を備える。
【0015】
光学ブロック11は、被写体からの光を撮像素子12に集光するためのレンズ、レンズを移動させてフォーカス合わせやズーミングを行うための駆動機構(いずれも図示せず)、絞り11a、シャッタ11bなどを有している。
光学ブロック11内のこれらの駆動機構は、制御部20からの制御信号に応じて駆動される。
撮像素子12は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)型、CMOS(Complementary Metal OxideSemiconductor)型などの撮像素子であり、被写体からの入射光を電気信号に変換する。
【0016】
A/D変換部13は、撮像素子12から出力された画像信号をデジタルデータに変換する。
ISOゲイン調整部14は、制御部20からのゲイン制御値に応じて、A/D変換部13からの画像データのRGB(Red,Green,Blue)各成分に対して一様のゲインをかける。なお、ISOゲインの調整は、A/D変換部13に入力される前のアナログ画像信号の段階で行われるようにしてもよい。
【0017】
バッファメモリ15は、互いに異なる露出で撮像を連続的に複数回行うブラケット撮像により得られた複数枚の画像のデータを一時的に記憶する。
合成処理部16は、ブラケット撮像により得られた、バッファメモリ15内の複数枚の画像を1枚の画像に合成する。特に本例では、合成処理部16は、HDR圧縮処理としての合成処理を行う。また合成処理部16は、合成画像データに対するディティール処理による非写実的な画像(絵画調の画像)を得る画像効果処理を行う。
【0018】
現像処理部17は、主に、合成処理部16から出力されるRAW(生)画像データを、可視画像のデータに変換する、いわゆるRAW現像処理を実行するブロックである。この現像処理部17は、RAW画像データに対して、データ補間(デモザイク)処理、各種色調整・変換処理(ホワイトバランス調整処理、高輝度ニー圧縮処理、ガンマ補正処理、アパーチャ補正処理、クリッピング処理など)、所定の符号化方式(ここでは、JPEG(Joint Photographic Experts Group)方式を適用する)に従った画像圧縮符号化処理などを実行する。
【0019】
記録部18は、撮像により得られた画像データをデータファイルとして保存するための装置であり、例えば、可搬型のフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)などとして実現される。
なお、記録部18は、現像処理部17によって符号化されたJPEGデータ31の他に、合成処理部16から出力されるRAW画像データ32をデータファイルとして記録することができる。また、記録部18に記録されたRAW画像データを読み出して、現像処理部17で処理し、記録部18にJPEGデータファイルとして新たに記録することができるようにしてもよい。
【0020】
表示部19は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などからなるモニタを備えている。表示部19は、現像処理部17において処理された非圧縮状態の画像データを基に、モニタ表示用の画像信号を生成してモニタに供給する。
撮像画像の記録前のプレビュー状態では、撮像素子12からは連続的に撮像画像信号が出力され、デジタル変換された後、そのデジタル画像データがISOゲイン調整部14および合成処理部16を介して現像処理部17に供給されて、現像処理(ただし、符号化処理を除く)が施される。
表示部19は、このとき現像処理部17から順次出力される画像(プレビュー画像)をモニタに表示する。ユーザはこのプレビュー画像を視認して画角を確認することができる。
【0021】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)などを備えたマイクロコンピュータにより構成される。CPUがROMに記憶されたプログラムを実行することで、この撮像装置1全体を統括的に制御する。
例えば制御部20は、本実施の形態では、検波部22からの検波結果を基に露出補正値を計算し、その値に応じた制御信号を出力して絞り11aやシャッタ11bを制御することで、AE(自動露出)制御を実現する。また広ダイナミックレンジ撮像を行う際には、算出した露出補正値を合成処理部416に通知する。
さらに制御部20は、合成処理部16における絵画調画像としての画像効果処理の制御を行う。
【0022】
LPF21は、ISOゲイン調整部14から出力された画像データに対して、必要に応じてローパスフィルタ処理を施す。
検波部22は、ISOゲイン調整部14からLPF21を通じて供給された画像データを基に各種の検波を行うブロックであり、本実施の形態では、例えば、画像を所定の測光領域に分割し、測光領域ごとに輝度値を検出する。
制御部20は、検波部22での検出情報から、ISOゲイン調整部14から出力される画像データ、つまり撮像された画像データや、撮像前のプレビュー画像となる画像データについて、逆光状態であるか否かを判断できる。
【0023】
このような本実施の形態の撮像装置1では、合成処理部16による画像処理及び制御部20による制御によって、撮像された画像データの合成処理及び画像効果処理を実行する。合成処理は、例えばHDR圧縮処理による合成であり、画像効果処理は、撮像画像内容を例えば絵画調の画像とするような処理である。
図2Bは絵画調の画像の例を示している。図2Aは通常に撮像された画像の例であるが、これに比べて図2Bは、非写実的な画像となっている。
【0024】
本例の場合、特に制御部20は、処理対象の画像データについて逆光状態の判断を行って、それに応じて絵画調の画像を得る画像効果処理を実行させる。
このようにすることにより、状況に応じて自動的に絵画風の視覚的効果が付与された画像が得られる。そしてそのような画像データを、表示部19に表示したり、JPEGデータ31として記録部18に記録したりすることができる。
なお、記録部18が記録する画像データの符号化方式は任意である。記録部18が、JPEG以外の符号化方式で符号化された画像データを記憶するようにしてもよい。
【0025】
<2.合成処理部の構成>
上記構成の撮像装置1における合成処理部16の構成及び動作を説明する。上述のように合成処理部16は、制御部20による制御に従って、撮像された画像データの合成処理(HDR処理)及び画像効果処理を実行する。
【0026】
本例でのHDR処理としては、露出条件が互いに異なる複数の画像を、白飛びや黒つぶれ等の画質劣化が生じないように合成し、適切な階調レンジの画像を生成する。
例えば、画角内の輝度レンジが広いシーンでは、自動露出処理(AE処理)の精度が悪化し、画角内の主な被写体が露出オーバーになって白飛びしたり、露出アンダーになってノイズに埋もれたり黒つぶれしたりする可能性が高くなる。そこで、このようなシーンにおいても適切な露出条件で撮像された画像を得るための撮像手法として、露出条件を変化させて複数回連続して露光し、それぞれの複数の画像信号を得る「ブラケット撮像」という手法が知られている。
【0027】
この、ブラケット撮像を応用して、撮像素子の出力よりも広いダイナミックレンジを持つ画像(広ダイナミックレンジ画像)を得ることを可能とした撮像手法が考えられている。広ダイナミックレンジ画像の撮像では、ブラケット撮像により露出量を大きくした撮像画像と、露出量を抑えた撮像画像とを取得し、それらを合成することで広ダイナミックレンジの画像を生成する。
すなわち、露出量を抑えて高輝度側の階調が得られた画像成分と、露出量を高めて低輝度側の階調が得られた画像成分とを合成することで、1回の露光では得ることができない広い輝度レンジの階調情報を、合成後の画像に取り入れることが可能となる。
【0028】
本例では、ブラケット撮像で撮像された、露出過多及び露出不足の少なくとも2つの画像データを用いてHDR処理を行う。
以下では、具体的な例として、ブラケット撮像で撮像された、露出条件が露出過多、適正露出、露出不足となる3つの画像データを用いる場合で説明する。
【0029】
図3は、合成処理部16の構成例を示すブロック図である。この合成処理部16は、階調レンジを圧縮するHDR処理を行うとともに、絵画調の視覚的効果を付与する絵画調処理を行う。
この合成処理部16には、互いに露出条件の異なる3つの画像(露出アンダー画像、適正露出画像、および露出オーバー画像)が入力される。即ち制御部20の制御によってブラケット撮像が実行され、バッファメモリ15に一時保存された3つの画像データである。
【0030】
合成処理部16は、輝度成分抽出部51、照明分離フィルタ52、HDR圧縮処理部53、ディティール生成部42、およびディティール強調部43を有する。
これらの構成の内、輝度成分抽出部51、照明分離フィルタ52、およびHDR圧縮処理部53が、互いに露出条件の異なる3つの画像を、白飛びや黒つぶれ等の画質劣化が生じないように合成し、適切な階調レンジの画像を生成するHDR処理を行うHDR処理部41を構成する。
また、ディティール生成部42、およびディティール強調部43が、画像に対して絵画調の視覚的効果を付与する。
【0031】
上述したように、合成処理部16には、適正値よりも意図的に露出を抑えて生成した露出アンダー画像、露出を適正値で生成した適正露出画像、適正値よりも意図的に露出を大きくして生成した露出オーバー画像が入力される。各画像は、HDR圧縮処理部53に供給される。
【0032】
また、適正露出画像は、輝度成分抽出部51にも供給される。
輝度成分抽出部51は、入力された適正露出画像から輝度成分を抽出し、それを照明分離フィルタ52およびディティール生成部42に供給する。
なお、この例では輝度成分抽出部51が適正露出画像から輝度成分を抽出する構成としているが、露出アンダー画像又は露出オーバー画像を輝度成分抽出部51に供給して、それらの画像から輝度成分を抽出する構成例も考えられる。
【0033】
照明分離フィルタ52は、エッジ保存平滑化フィルタ等によって、入力された輝度成分から照明成分(低周波成分)を抽出する。そして照明分離フィルタ52は、抽出した照明成分をHDR圧縮処理部53およびディティール生成部42に供給する。
なお、この照明成分の抽出のためには、エッジ成分が残存するように高域カット処理する非線形のローパスフィルタ(例えば特許文献1のフィルタやバイラテラルフィルタ)を用いることが望ましい。また、同様なローパスフィルタ処理としては、非線形ローパスフィルタの他に、統計的な手法(例えば最頻値フィルタや中央値フィルタ)を用いることもできる。
【0034】
HDR圧縮処理部53は、照明分離フィルタ52から供給される照明成分を、所定の変換テーブルを用いて合成係数に変換し、その合成係数を用いて、入力された露出アンダー画像、適正露出画像、および露出オーバー画像を合成する。より具体的には、HDR圧縮処理部53は、各画像を合成係数で重み付けして互いに加算する。これにより、露出アンダー画像、適正露出画像、および露出オーバー画像から、白飛びや黒つぶれ等の画質劣化が生じないように合成された、適切な階調レンジの画像データ(HDR圧縮画像データ)を生成する。
HDR圧縮処理部53は、生成したHDR圧縮画像データをディティール強調部43に供給する。
【0035】
この合成処理部16に対して、制御部20は、絵画調の視覚的効果を与えるためのHDR圧縮画像の反射率成分の強調量であるディティール強調量を設定する。つまり、このディティール強調量は、HDR圧縮画像のディティール成分を過度に強調するゲインである。制御部20は、そのディティール強調量をディティール生成部42に供給する。
【0036】
ディティール生成部42は、輝度成分抽出部51から供給される適正露出画像の輝度成分と、照明分離フィルタ52から供給される適正露出画像の輝度成分の照明成分とを用いて、適正露出画像の輝度成分の反射率成分(ディティール成分:高周波成分)を抽出する。例えばディティール生成部42は、輝度成分から照明成分を減算若しくは除算することにより反射率成分を抽出する。
さらに、ディティール生成部42は、抽出した反射率成分を、制御部20から供給されるディティール強調量で強調し、強調されたディティール成分を生成する。ディティール生成部42は、その強調されたディティール成分をディティール強調部43に供給する。
【0037】
図4に、ディティール生成部42の構成例を示す。ディティール生成部42は、除算部61、乗算部62、加算部63、減算部64を有する。
除算部61は、輝度成分抽出部51から供給される輝度成分を、照明分離フィルタ52から供給される照明成分で除算することにより、ディティール成分を抽出する。除算部61は、抽出したディティール成分を乗算部62に供給する。
減算部64は、標準となるディティールゲインが自動でかかる分を補正するために、制御部20から供給されるディティール強調量から値「1」を減算する。そして減算部64は、値「1」を減算したディティール強調量を乗算部62に供給する。
【0038】
乗算部62は、除算部61から供給されるディティール成分と、減算部64から供給されるディティール強調量とを乗算し、その乗算結果を加算部63に供給する。
加算部63は、乗算部62から供給される、ディティール成分と値「1」が減算されたディティール強調量との乗算結果に、制御部20から供給されるディティール強調量を加算する。そして加算部63は、その加算結果、例えば過度に強調されたディティール成分をディティール強調部43に供給する。
【0039】
図3に示すディティール強調部43は、ディティール生成部42から供給されたディティール成分を乗算することにより、HDR圧縮処理部53から供給されたHDR圧縮画像データのディティールを過度に強調し、絵画調の視覚的効果を付与する。これによりディティール強調部43は、処理後の画像データとしてディティールが強調されて絵画調とされたHDR圧縮画像を出力することができる。
また、この場合、ディティール強調部43で乗算するディティール成分によっては、逆光補正されたHDR圧縮画像とすることもできる。つまりディティール強調部43は、処理後の画像データとして逆光補正されたHDR圧縮画像を出力することもできる。
画像効果処理を、絵画調とする処理とするか、逆光補正処理とするかは、制御部20からのディティール強調量により制御可能である。
なおディティール強調部43から出力される絵画調のHDR画像データは、さらに、ビット数を圧縮する等して、より絵画的な効果を与えても良い。
【0040】
以上のように、ディティール強調部43が、ディティールの見えが実物よりも強調されて見える程、HDR圧縮画像の反射率成分のみを過度に増幅する(ディティールを過度に強調する)だけで、画像処理装置300は、容易に、露出条件が互いに異なる複数の画像を、白飛びや黒つぶれ等の画質劣化が生じないように合成し、適切な階調レンジの画像を生成するとともに、画像に対して、絵画風の視覚的効果を付与することができる。
ディティール強調量の値は任意であるが、例えば、2倍、4倍、8倍のように、一般的に、ディティール強調量を大きくするほど、ディティールがより強く強調され、画像に与える絵画風の視覚的効果を強くすることができる。
【0041】
制御部20は、画像に対してより強い絵画風の視覚的効果を与える場合、このディティール強調量を大きな値(例えば1より十分大きな値)に設定する。また、画像に対して絵画風の視覚的効果を強く与えたくない場合、特に本例の場合は逆光補正を行う場合は、ディティール強調量を小さな値(例えば1)に設定する。
つまり、制御部20は、このディティール強調量の大きさを制御することにより、HDR圧縮処理を、被写体に忠実に(逆光画像の場合は逆光補正された状態に)行うのか、それとも絵画調の視覚的効果を付与するように行うのかを制御することができる。
【0042】
なお、ディティール強調量は、輝度に応じた値としてもよい。つまり照明成分の輝度によって強調量を変えることにより、ディティール強調部43は、ディティールとして認識される必要な帯域のみを増幅することができる。これによりディティールでない低域な成分や、本来不要なノイズ成分を多く含む高域な成分の増幅を抑制することができ、画像の視覚的な劣化を抑制することができる。
さらに、画像の一部の領域のみ、ディティール成分が増幅されるようにしてもよいし、画像内の位置に応じたディティール強調量が設定されるようにしてもよい。
【0043】
<3.処理例I>
以上のような合成処理部16を備えた撮像装置1における制御部20の制御処理の具体例(処理例I)を説明する。図5は制御部20の制御処理を示している。
【0044】
撮像指示が発生すると、制御部20はステップF101からF102に進む。撮像指示は、撮像装置1のユーザのレリーズ操作により発生したり、或いは自動的な撮像を実行するプログラムによって、あるタイミングで発生される撮像のトリガによって発生する。
【0045】
撮像指示によってステップF102に進んだ場合、制御部20は、現在逆光状態で撮像が行われる状況か否かを確認する。これは現時点で撮像素子12で取り込んでいる画像(プレビュー画に用いている画像データ)についての検波部22で検出される輝度値に基づいて判定すればよい。
逆光状態でなければ、ステップF103に進んで、そのときの各種設定に応じた撮像及び撮像画像の記録部18での記録処理を実行させる。例えば撮像モード、露出設定、補正設定、特殊効果設定その他、ユーザの設定や自動撮像プログラムの設定に応じた撮像動作である。
【0046】
一方、逆光状態であったら、制御部20はステップF104以降の処理に進む。
制御部20は、ステップF104,F105,F106で、所定数(例えば3枚)の静止画データの撮像の実行を制御する。即ち、露出アンダー画像、適正露出画像、および露出オーバー画像の撮像である。
まずステップF104で露光制御を行い、露出状態を設定する。露光制御としては例えば絞り11aの設定、或いは撮像素子12でのシャッタースピード(露光時間)、或いはISOゲイン調整部14でのゲイン設定を行う。これによって、例えばまず露出オーバー状態とする。そしてステップF105で撮像(撮像画像データのバッファメモリ15への取り込み)を実行させる。
【0047】
これをステップF106で所定数(例えば3枚)の撮像が完了したと判断されるまで繰り返す。
例えば2枚目の撮像では、ステップF104で適正露出の状態に制御してステップF105で撮像を実行させる。
また3枚目の撮像では、ステップF104で露出アンダーの状態に制御してステップF105で撮像を実行させる。
【0048】
例えばこのように3枚の撮像を行った時点で、制御部20はステップF106からF107に進み、HDR合成処理を実行させる。
即ち制御部20は、バッファメモリ15に一時的に格納された3枚の画像データ(露出アンダー画像、適正露出画像、露出オーバー画像)の、合成処理部16への転送を指示し、合成処理部16でHDR処理を実行させる。
さらに、制御部20はステップF108で非写実化処理を合成処理部16に指示する。具体的には、合成処理部16のディティール生成部42に対して、例えば1より十分大きな値のディティール強調量を与える。これによって、絵画調の画像処理が実行される。
そしてステップF109で制御部20は、合成処理部16で絵画調の画像に処理された画像データを、記録部18に記録させる制御を行う。
【0049】
以上の処理を制御部20が行うことで、例えばユーザが逆光状態で撮像を行う場合、自動的に、絵画調の画像が撮像され、例えばJPEGデータ31又はRAWデータ32として記録されることとなる。
【0050】
なお、ステップF107のHDR処理の指示によって合成処理部16で行われる画像処理の流れは図6Aのようになる。
ステップF201において、輝度成分抽出部51は、適正露出画像から輝度成分を抽出する。
ステップF202において、照明分離フィルタ52は、ステップF201において抽出された輝度成分から照明成分を抽出する。
ステップF203において、HDR圧縮処理部53は、例えば変換テーブルを用いて、ステップF202において抽出された照明成分から合成係数を生成する。
ステップF204において、HDR圧縮処理部53は、ステップF203において生成された合成係数を用いて、露出アンダー画像、適正露出画像、および露出オーバー画像の各画像を重み付けして、白飛びや黒つぶれ等の画質劣化が生じないように合成し、適切な階調レンジのHDR圧縮画像を生成する。
【0051】
また、制御部20のステップF108の非写実化処理の指示によって合成処理部16で行われる画像処理の流れは図6Bのようになる。
ステップF210において、ディティール生成部42の除算部61は、上記のステップF201において抽出された輝度成分を、ステップF202において抽出された照明成分で除算し、ディティール成分を抽出する。
ステップF211において、ディティール生成部42の減算部64は、制御部20から設定されたディティール強調量から値「1」を減算する。
ステップF212において、ディティール生成部42の乗算部62は、ステップF210において算出されたディティール成分に、ステップF211において算出された減算結果を乗算する。
ステップF213において、ディティール生成部42の加算部63は、ステップF212において算出された乗算結果に、制御部20によって設定されたディティール強調量を加算する。
ステップF214において、ディティール強調部42は、ステップF213において算出された加算結果を乗算することにより、ステップF204において生成されたHDR圧縮画像のディティールを強調する。
【0052】
以上の処理が行われることで、ディティールが強調されたHDR画像データ、即ち絵画調の画像データが生成される。
なお、説明上、図6A、図6Bと分けて示したが、これらは一連の処理として合成処理部16内で連続的に実行されればよい。
【0053】
以上の処理例Iによれば、ユーザの操作や自動撮像によって逆光状態で撮像が行われる場合、自動的に、露出条件が互いに異なる複数の画像を、白飛びや黒つぶれ等の画質劣化が生じないように合成し、適切な階調レンジの画像を生成するとともに、画像に対して、絵画風の視覚的効果を付与する動作が行われる。これによってユーザは、逆光状態での撮像を、絵画調のおもしろみのある画像として得ることができ、またそのために特別な設定操作(例えば絵画調を指示する操作等)は必要ない。
なお、上記処理で生成された絵画調の画像データは、記録部18に記録しても良いし、図1には示していないが外部インターフェースを介して外部機器に出力するようにしてもよい。
【0054】
<4.処理例II>
続いて制御部20による処理例IIを図7で説明する。
この図7において図5と同一の処理は同一のステップ番号を付し、説明を省略する。即ちステップF101〜F109は同一処理である。
この図7の処理では、ステップF109で絵画調の画像データを記録した後、さらにステップF110,F111を実行する。
【0055】
制御部20はステップF110で、合成処理部16に逆光補正処理を指示する。具体的には、合成処理部16のディティール生成部42に対して、小さな値のディティール強調量(例えば1)を与える。
これによって実行される処理は図6Bと同様であるが、ディティール強調量≒1であることで、ディティール強調部43の処理によっては絵画調の画像とはならず、HDR合成処理の画像、即ち逆光補正がされた状態の画像となる。
そしてステップF111で制御部20は、合成処理部16から出力される逆光補正された画像データを、記録部18に記録させる制御を行う。
なお、このような処理のため、HDR圧縮処理部53は、生成したHDR圧縮画像を一時保存し、ステップF108での処理の際と、ステップF110での処理の際に、それぞれディティール強調部43に供給する。
【0056】
この処理例IIによれば、ユーザ或いは自動撮像によって、逆光状態で撮像が行われる場合、自動的に、絵画調の画像と、適切な階調レンジとされた逆光補正画像の両方を得ることができる。
従ってユーザは、逆光状態での撮像が行われた場合でも、逆光補正された画像と絵画調のおもしろみのある画像の両方を得ることができ、またそのために特別な設定操作は必要ない。
【0057】
なお、上記処理で生成された絵画調の画像データ及び逆光補正された画像データは、記録部18に記録しても良いし、図1には示していないが外部インターフェースを介して外部機器に出力するようにしてもよい。
また、ステップF108,F109による絵画調の画像データの処理と、ステップF110,F111の逆光補正された画像データの処理の順序は逆でも良いし、並列的に行われても良い。
【0058】
<5.処理例III>
続いて制御部20による処理例IIIを図8で説明する。
この図8において図5と同一の処理は同一のステップ番号を付し、説明を省略する。即ちステップF101〜F109は同一処理である。
この図8の処理は、ステップF102で逆光状態ではないと判定された場合にもHDR処理を行う例である。
【0059】
逆光状態ではないと判定した場合、制御部20は、ステップF121,F122,F123で、所定数(例えば3枚)の静止画データの撮像の実行を制御する。この場合の制御処理はステップF104,F105,F106と同様であり、即ち、露出アンダー画像、適正露出画像、および露出オーバー画像の撮像を行う。
【0060】
ステップF123で所定数(例えば3枚)の撮像が完了したと判断されたら、制御部20はステップF124に進み、HDR合成処理を実行させる。
即ち制御部20は、バッファメモリ15に一時的に格納された3枚の画像データ(露出アンダー画像、適正露出画像、露出オーバー画像)の、合成処理部16への転送を指示し、合成処理部16でHDR処理を実行させる。HDR処理部41で実行される処理は、図6Aで説明したとおりとなる。
【0061】
さらに、制御部20はステップF125でディティール強調量≒1とする。つまりこれは、HDR合成処理に係る画像データについての非写実的な画像内容となる画像効果処理を実行しないように制御することとなる。結局、ディティール強調部43から出力される画像データは、特に絵画調とはされていない通常のHDR圧縮画像データである。
そしてステップF126で制御部20は、合成処理部16から出力された画像データを、記録部18に記録させる制御を行う。
【0062】
以上の処理を制御部20が行うことで、例えばユーザが逆光状態で撮像を行うと、自動的に、絵画調の画像が撮像され、例えばJPEGデータ31又はRAWデータ32として記録される(F104〜F109)。一方、非逆光状態で撮像を行う場合は、自動的に黒つぶれや白飛びが低減された高画質なHDR画像データが得られることとなる(F121〜F126)。
画像効果処理に関する制御部20の制御としては、逆光状態であるか否かによって、ディティール生成部42に与えるディティール強調量の設定を変えるのみで良い。これによりユーザに対して自動的に多様な画像を提供できることとなる。
【0063】
<6.処理例IV>
続いて制御部20による処理例IVを図9で説明する。
この図9において図7又は図8と同一の処理は同一のステップ番号を付し、説明を省略する。即ちステップF101〜F111は図7と同一処理である。またステップF121〜F126は図8と同一処理である。
【0064】
つまり、この図9の処理は、ステップF102で逆光状態と判定された場合には、ステップF104〜F111の処理が実行され、これによって絵画調の画像データと、逆光補正された画像データが記録される。
一方、ステップF102で逆光状態ではないと判定された場合には、ステップF121〜F126が実行され、これによりHDR画像データが記録される。
【0065】
従ってユーザは、逆光状態での撮像が行われた場合でも、逆光補正された画像と絵画調のおもしろみのある画像の両方を得ることができる一方、非逆光状態で撮像が行われた場合は高品質なHDR画像データを得ることができる。またこれらのために特別な設定操作は必要ない。
またこの場合も、画像効果処理に関する制御部20の制御としては、逆光状態であるか否かによって、ディティール生成部42に与えるディティール強調量の設定を変えるのみで良い。これによりユーザに対して自動的に多様な画像を提供できることとなる。
【0066】
<7.合成処理部の他の構成例>
合成処理部16の他の構成例を図10に示す。図10において、図3と同一部分は同一符号を付して説明を省略する。
図10において図3と異なるのは、ディティール成分の生成のための輝度成分、照明成分を、HDR圧縮画像から得るようにしている点である。このためHDR処理部41とは別に、輝度成分抽出部44、照明分離フィルタ45を設けている。
【0067】
図示のように、輝度成分抽出部44にはHDR圧縮画像が供給される。そして輝度成分抽出部44はHDR圧縮画像から輝度成分を抽出し、それを照明分離フィルタ45およびディティール生成部42に供給する。
照明分離フィルタ52は、エッジ保存平滑化フィルタ等によって、入力された輝度成分から照明成分を抽出する。そして照明分離フィルタ52は、抽出した照明成分をディティール生成部42に供給する。
ディティール生成部42、ディティール強調部43の処理は、上述した図3の構成の場合と同様である。また制御部20の処理として、上述した処理例I(図5)、II(図7)、III(図8)、IV(図9)が適用できる。
【0068】
このような構成でも、逆光状態で撮像された際に、絵画調の画像データや、或いは加えて逆光補正された画像データを生成し、記録することができる。
【0069】
<8.パーソナルコンピュータでの適用(処理例V、VI、VII)>
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。
この場合、例えば、図11に示されるようなパーソナルコンピュータにおいて、上記の撮像装置1の画像処理が実行されるようにすることもできる。
【0070】
図11において、パーソナルコンピュータ70のCPU71は、ROM72に記憶されているプログラム、または記憶部78からRAM73にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM73にはまた、CPU71が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
CPU71、ROM72、およびRAM73は、バス74を介して相互に接続されている。このバス74にはまた、入出力インターフェース75も接続されている。
【0071】
入出力インターフェース75には、キーボード、マウスなどよりなる入力部76、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)などよりなるディスプレイ、並びにスピーカなどよりなる出力部77、ハードディスクなどより構成される記憶部78、モデムなどより構成される通信部79が接続されている。通信部79は、インターネットを含むネットワークを介しての通信処理を行う。
【0072】
入出力インターフェース75にはまた、必要に応じてドライブ80が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア81が適宜装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部78にインストールされる。
【0073】
上述した一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0074】
この記録媒体は、例えば、図11に示されるように、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを配信するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc - Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc)を含む)、若しくは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア81により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに配信される、プログラムが記録されているROM72や、記憶部78に含まれるハードディスクなどで構成される。
【0075】
図12に、プログラムに従ってCPU71が実行する処理例Vを示す。この図12の処理例Vは、例えば、或る撮像装置において連続的に撮像された複数の画像、例えば上述の露出アンダー画像、適正露出画像、露出オーバー画像がパーソナルコンピュータ70の処理対処となった場合に実行できる処理である。
【0076】
例えば接続された撮像装置から画像データが転送されたり、リムーバブルメディア81により、画像データが読み込まれたりするなどにより、パーソナルコンピュータ70に、ブラケット撮像された複数の画像データが取り込まれることで、当該画像データに対する処理が実行可能となる。
取り込まれた画像データに対する処理が実行される場合、ステップF301でCPU71は、まず処理対象の複数の画像データについて解析を行う。ここでは、処理対象の画像データが逆光状態で撮像された画像データであるか否かを判別する。例えば画像データの各画素の輝度値、輝度平均値、重み付け輝度値、画像内の特定領域での輝度値などを用いて判定することができる。
【0077】
逆光状態でなければ、CPU71はステップF302からF303に進んで、そのときの画像処理のプログラムやユーザ設定に応じたが画像処理を実行する。
一方、逆光状態であったら、CPU71はステップF304でHDR合成処理を行う。具体的には図6Aの処理を実行すれば良い。
またCPU71はステップF305で、非写実化処理を実行する。例えば1より十分大きな値のディティール強調量を設定し、その上で図6Bの処理を実行する。これにより絵画調の画像処理が実行されることとなる。
そしてステップF306でCPU71は、絵画調の画像に処理された画像データを、記憶部78等に記憶させる。
【0078】
この図12のような処理をCPU71が実行することで、逆光状態で撮像された画像データが、絵画調の画像データとされて保存されることになる。これによってユーザは、逆光状態で撮像された画像データについて、非写実的な興味深い画像を自動的に得ることができる。
【0079】
なお、さらにCPU71が逆光補正された画像データも生成し、絵画調の画像データとともに逆光補正された画像データをも記憶部78等に記憶させるようにしても良い。
これを処理例VIとして図13に示す。図13においてステップF301〜F306は図12と同様である。
この処理例VIでは、ステップF306で絵画調の画像データを記録した後、さらにステップF307,F308を実行する。
【0080】
CPU71はステップF307で逆光補正処理を行う。具体的には、小さな値のディティール強調量(例えば1)を設定し、その上で図6Bの処理を実行する。ディティール強調量≒1であることで、絵画調の画像とはならず、HDR合成処理の画像、即ち逆光補正がされた状態の画像となる。
そしてステップF308でCPU71は、逆光補正された画像データを、記憶部78等に記憶させる。
【0081】
この図13のような処理をCPU71が実行することで、逆光状態で撮像された画像データが、絵画調の画像データ及び逆光補正された画像データとされて保存される。これによってユーザは、逆光状態で撮像された画像データについて、非写実的な興味深い画像、及び逆光補正された画像を自動的に得ることができる。
なお、ステップF305,F306による絵画調の画像データの処理と、ステップF307,F308の逆光補正された画像データの処理の順序は逆でも良いし、並列的に行われても良い。
【0082】
さらに処理例VIIを図14に示す。図14においてステップF301〜F306は図12と同様である。
この処理例VIIでは、ステップF302で処理対象の画像データが逆光状態ではないと判断された場合にもHDR処理を行う例である。
即ち逆光状態でなかったら、CPU71はステップF321でHDR合成処理を行う。具体的には図6Aの処理を実行する。
またCPU71はステップF322で、ディティール強調量≒1として図6Bの処理を実行する。これは、HDR合成処理に係る画像データについての非写実的な画像内容となる画像効果処理を実行しないということになる。
そしてステップF306でCPU71は、処理されたHDR画像データを、記憶部78等に記憶させる。
【0083】
この図14の処理をCPU71が行うことで、処理対象の画像データが逆光状態で撮像されたものであれば、自動的に、絵画調の画像に処理されて記憶される(F304〜F306)。一方、処理対象の画像データが非逆光状態で撮像されたものであれば、自動的に高画質なHDR画像データとされて保存されることとなる(F321〜F306)。
【0084】
なお、上述の図13の処理例VIのように、逆光状態の画像データに対して、絵画調とした画像データと逆光補正された画像データの両方を生成して保存する場合に、図13のステップF303に代えて、この図14のステップF321→F322→F306の処理を加えるようにすることも考えられる。
【0085】
<9.プログラム>
以上の実施の形態は、撮像装置1やパーソナルコンピュータ70において、本開示の画像処理装置に相当する構成を備えることで実行される処理について説明した。このような画像処理装置は、ハードウエアやソフトウエアで構成でき、本開示の画像処理装置、画像処理方法は、画像処理を行う各種機器に適用できる。例えば上述の撮像装置やパーソナルコンピュータ以外に、画像再生装置、画像記録装置、ゲーム機器、ビデオ編集機、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話機その他の通信装置などが想定される。
特にソフトウエアとして、本開示のプログラムに基づく演算処理を実行することで、各種機器において上述した処理を実現できる。
【0086】
即ち本開示の実施の形態のプログラムとは、処理対象とする複数の画像データが、逆光状態での撮像による画像データか否かを判断するステップと、その複数の画像データについてHDR合成処理を実行させるステップと、複数の画像データが逆光状態での撮像による画像データである場合には、HDR合成処理に係る画像データについて非写実的な画像内容となる画像効果処理を実行させるステップとを演算処理装置(CPUやDSP(Digital Signal Processor)等)に実行させるプログラムである。
例えば図5,図7,図8,図9,図12,図13,図14に示した各処理ブロックの動作を演算処理装置に実行させるプログラムを画像処理アプリケーションソフトウエアとして提供することで、各種機器において、本開示の画像処理を実現できる。
【0087】
なお、このようなプログラムは、パーソナルコンピュータ等の機器に内蔵されている記録媒体としてのHDDや、CPUを有するマイクロコンピュータ内のROMやフラッシュメモリ等に予め記録しておくことができる。
あるいはまた、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magnet optical)ディスク、DVD、ブルーレイディスク、磁気ディスク、半導体メモリ、メモリカードなどのリムーバブル記録媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することができる。
また、プログラムは、リムーバブル記録媒体からパーソナルコンピュータ等にインストールする他、ダウンロードサイトから、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワークを介してダウンロードすることもできる。
【0088】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、図5,図7,図8,図9,図12,図13,図14で説明した順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0089】
<10.変形例>
以上、実施の形態について説明してきたが、本開示の技術は多様な変形例が想定される。
図3,図8の例では、露出条件の異なる3つの画像、即ち露出アンダー画像、適正露出画像、および露出オーバー画像が合成処理部16に入力され、これらを用いてHDR処理を行う例としたが、少なくとも露出条件の異なる2つの画像を用いても良い。例えば時間的に連続して撮像された、露出条件の異なる少なくとも2つの画像データとして、露出アンダー画像と露出オーバー画像を合成処理部16に入力し、合成処理部16がこれらについてHDR処理を行う例も考えられる。
また、露出条件の異なる4以上の画像を用いてHDR処理を行っても良い。
【0090】
絵画調の画像データを生成するための手法は、上述のディティール強調によるものに限られない。
例えば表現する色の成分を減じたり、各種の表色系の値をまるめるたりするなどにより、画素の色情報を変更するような手法もある。
【0091】
また上述した各構成例、処理例では、HDR合成した画像データに対してディティール強調を行って画像効果を与えるものとしたが、合成前にディティール強調等により画像効果を与える構成例・処理例も考えられる。例えば露出アンダー画像、適正露出画像、露出オーバー画像の全部又は一部に対してディティール強調を行って、その後にHDR処理を行うようにするなどである。
【0092】
なお本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)画像効果処理及び複数の画像データの合成処理を実行する合成処理部と、
上記複数の画像データが、逆光状態での撮像による画像データか否かを判断し、逆光状態での撮像による画像データである場合に、上記合成処理部に、上記合成処理に係る画像データについて非写実的な画像内容となる画像効果処理を実行させる制御部と、
を備えた画像処理装置。
(2)上記制御部は、
上記複数の画像データが逆光状態での撮像による画像データである場合には、さらに、上記合成処理部に、上記合成処理に係る画像データについて逆光補正となる画像効果処理を実行させる上記(1)に記載の画像処理装置。
(3)上記合成処理部は、上記複数の画像データの1つ、もしくは合成処理後の画像データの輝度成分及び照明成分から、反射率成分を抽出し、該反射率成分を用いて合成処理後の画像データについての画像効果処理を実行するとともに、
上記制御部は、上記反射率成分の強調量の設定により、上記合成処理部に非写実的な画像内容となる画像効果処理を実行させる上記(1)又は(2)に記載の画像処理装置。
(4)上記合成処理部は、上記複数の画像データの1つ、もしくは合成処理後の画像データの輝度成分及び照明成分から、反射率成分を抽出し、該反射率成分を用いて合成処理後の画像データについての画像効果処理を実行するとともに、
上記制御部は、上記反射率成分の強調量の設定により、上記合成処理部に逆光補正となる画像効果処理を実行させる上記(2)又は(3)に記載の画像処理装置。
(5)上記制御部は、
上記複数の画像データが非逆光状態での撮像による画像データである場合には、上記合成処理部に対し、上記合成処理に係る画像データについての非写実的な画像内容となる画像効果処理を実行しないように制御する上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の画像処理装置。
(6)上記複数の画像データは、時間的に連続して撮像された、露出条件の異なる少なくとも2以上の画像データであり、
上記合成処理部は、上記合成処理として、上記複数の画像データの1つの照明成分を用いて上記2以上の画像データの合成を行う上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の画像処理装置。
(7)上記複数の画像データは、時間的に連続して撮像された、露出条件が露出過多、適正露出、露出不足となる少なくとも3以上の画像データであり、
上記合成処理部は、上記合成処理として、上記複数の画像データの1つの照明成分を用いて上記3以上の画像データの合成を行う上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の画像処理装置。
【符号の説明】
【0093】
1 撮像装置、16 合成処理部、20 制御部、41 HDR処理部、42 ディティール生成部、43 ディティール強調部、51 輝度成分抽出部、52 照明分離フィルタ、53 HDR圧縮処理部、61 除算部、62 乗算部、63 加算部、64 減算部
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置および画像処理方法、さらには画像処理方法を実現するプログラムに関し、特に、より多様な効果を画像に付与することができるようにした画像処理技術に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2008−104010号公報
【特許文献2】特開2008−104009号公報
【特許文献3】特開2000−92378号公報
【背景技術】
【0003】
従来、ダイナミックレンジの広い画像の階調の範囲を圧縮し、適正化するHDR(High Dynamic Range)圧縮処理が考えられている(例えば、特許文献1、2参照)。
例えば、露出の異なる複数の画像からダイナミックレンジの広い画像を作り、つぎに平滑化フィルタを使って画像を低周波成分と高周波成分(ディティール成分)に分解し、低周波成分の階調の範囲を圧縮する。そして、その圧縮量に対応する分だけディティール成分を強調して、最後に処理後の両成分を合成する。これによりディティール成分をできるだけ失わずに全体の階調レンジを圧縮して、画質の向上された通常レンジの画像を得る方法が記載されている。
また、ダイナミックレンジの広い画像の合成を経由せずに、複数の画像から通常レンジの画像を作る方法も記載されている。
【0004】
また特許文献3には、輝度差の大きな被写体が存在する場合に、自動的に逆光等を補正できるようにした撮影モードを有する撮像装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで近年、より多様な画像を楽しみたいというニーズがあり、単に階調の範囲の圧縮だけでなく他の画像効果も求められている。そこで本開示では、状況に応じて非写実的な画像データが得られる画像処理手法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の画像処理装置は、画像効果処理及び複数の画像データの合成処理を実行する合成処理部と、上記複数の画像データが、逆光状態での撮像による画像データか否かを判断し、逆光状態での撮像による画像データである場合に、上記合成処理部に、上記合成処理に係る画像データについて非写実的な画像内容となる画像効果処理を実行させる制御部とを備える。
【0007】
本開示の画像処理方法は、処理対象とする複数の画像データが、逆光状態での撮像による画像データか否かを判断するステップと、上記複数の画像データについて合成処理を行うステップと、上記複数の画像データが逆光状態での撮像による画像データである場合には、上記合成処理に係る画像データについて非写実的な画像内容となる画像効果処理を実行するステップとを備える。
【0008】
本開示のプログラムは、処理対象とする複数の画像データが、逆光状態での撮像による画像データか否かを判断するステップと、上記複数の画像データについて合成処理を実行させるステップと、上記複数の画像データが逆光状態での撮像による画像データである場合には、上記合成処理に係る画像データについて非写実的な画像内容となる画像効果処理を実行させるステップとを演算処理装置に実行させるプログラムである。
【0009】
このような本開示の技術では、画像処理として、複数の画像データの合成処理により、例えばHDR圧縮画像等の画像データを得るが、さらに、複数の画像データが、逆光状態での撮像による画像データであるときは、非写実的な画像、例えば絵画調の画像のような画像効果処理を実行する。これにより逆光状態での撮像を行うことで、特殊な画像を得ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、逆光状態での撮像画像から非写実的な画像効果処理を与えた画像を得ることができる。ユーザは、逆光状態で撮像したり、或いは逆光状態での撮像画像を用意するのみで、非写実的な画像を楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本開示の実施の形態の撮像装置のブロック図である。
【図2】実施の形態の絵画調の画像の説明図である。
【図3】実施の形態の合成処理部のブロック図である。
【図4】実施の形態のディティール生成部のブロック図である。
【図5】実施の形態の処理例Iのフローチャートである。
【図6】実施の形態の画像処理の流れのフローチャートである。
【図7】実施の形態の処理例IIのフローチャートである。
【図8】実施の形態の処理例IIIのフローチャートである。
【図9】実施の形態の処理例IVのフローチャートである。
【図10】実施の形態の合成処理部の他の構成例のブロック図である。
【図11】実施の形態のパーソナルコンピュータのブロック図である。
【図12】実施の形態のパーソナルコンピュータで適用する処理例Vのフローチャートである。
【図13】実施の形態のパーソナルコンピュータで適用する処理例VIのフローチャートである。
【図14】実施の形態のパーソナルコンピュータで適用する処理例VIIのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態を次の順序で説明する。
<1.撮像装置の構成>
<2.合成処理部の構成>
<3.処理例I>
<4.処理例II>
<5.処理例III>
<6.処理例IV>
<7.合成処理部の他の構成例>
<8.パーソナルコンピュータでの適用(処理例V、VI、VII)>
<9.プログラム>
<10.変形例>
【0013】
<1.撮像装置の構成>
まず、本開示の画像処理装置が、撮像装置に内蔵される実施の形態を説明する。なお、本開示に係る画像処理装置は、以降説明する合成処理部16及び制御部20によって実現される。
【0014】
図1は、撮像装置1の主な構成例を示すブロック図である。
図1に示される撮像装置1は、被写体を撮像し、その被写体の画像をデータ化して出力する装置である。この撮像装置1は、光学ブロック11、A/D変換部13、ISO(International Organization for Standardization)ゲイン調整部14、バッファメモリ15、合成処理部16、現像処理部17、記録部18、表示部19、制御部20、LPF(Low-Pass Filter)21、検波部22を備える。
【0015】
光学ブロック11は、被写体からの光を撮像素子12に集光するためのレンズ、レンズを移動させてフォーカス合わせやズーミングを行うための駆動機構(いずれも図示せず)、絞り11a、シャッタ11bなどを有している。
光学ブロック11内のこれらの駆動機構は、制御部20からの制御信号に応じて駆動される。
撮像素子12は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)型、CMOS(Complementary Metal OxideSemiconductor)型などの撮像素子であり、被写体からの入射光を電気信号に変換する。
【0016】
A/D変換部13は、撮像素子12から出力された画像信号をデジタルデータに変換する。
ISOゲイン調整部14は、制御部20からのゲイン制御値に応じて、A/D変換部13からの画像データのRGB(Red,Green,Blue)各成分に対して一様のゲインをかける。なお、ISOゲインの調整は、A/D変換部13に入力される前のアナログ画像信号の段階で行われるようにしてもよい。
【0017】
バッファメモリ15は、互いに異なる露出で撮像を連続的に複数回行うブラケット撮像により得られた複数枚の画像のデータを一時的に記憶する。
合成処理部16は、ブラケット撮像により得られた、バッファメモリ15内の複数枚の画像を1枚の画像に合成する。特に本例では、合成処理部16は、HDR圧縮処理としての合成処理を行う。また合成処理部16は、合成画像データに対するディティール処理による非写実的な画像(絵画調の画像)を得る画像効果処理を行う。
【0018】
現像処理部17は、主に、合成処理部16から出力されるRAW(生)画像データを、可視画像のデータに変換する、いわゆるRAW現像処理を実行するブロックである。この現像処理部17は、RAW画像データに対して、データ補間(デモザイク)処理、各種色調整・変換処理(ホワイトバランス調整処理、高輝度ニー圧縮処理、ガンマ補正処理、アパーチャ補正処理、クリッピング処理など)、所定の符号化方式(ここでは、JPEG(Joint Photographic Experts Group)方式を適用する)に従った画像圧縮符号化処理などを実行する。
【0019】
記録部18は、撮像により得られた画像データをデータファイルとして保存するための装置であり、例えば、可搬型のフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)などとして実現される。
なお、記録部18は、現像処理部17によって符号化されたJPEGデータ31の他に、合成処理部16から出力されるRAW画像データ32をデータファイルとして記録することができる。また、記録部18に記録されたRAW画像データを読み出して、現像処理部17で処理し、記録部18にJPEGデータファイルとして新たに記録することができるようにしてもよい。
【0020】
表示部19は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などからなるモニタを備えている。表示部19は、現像処理部17において処理された非圧縮状態の画像データを基に、モニタ表示用の画像信号を生成してモニタに供給する。
撮像画像の記録前のプレビュー状態では、撮像素子12からは連続的に撮像画像信号が出力され、デジタル変換された後、そのデジタル画像データがISOゲイン調整部14および合成処理部16を介して現像処理部17に供給されて、現像処理(ただし、符号化処理を除く)が施される。
表示部19は、このとき現像処理部17から順次出力される画像(プレビュー画像)をモニタに表示する。ユーザはこのプレビュー画像を視認して画角を確認することができる。
【0021】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)などを備えたマイクロコンピュータにより構成される。CPUがROMに記憶されたプログラムを実行することで、この撮像装置1全体を統括的に制御する。
例えば制御部20は、本実施の形態では、検波部22からの検波結果を基に露出補正値を計算し、その値に応じた制御信号を出力して絞り11aやシャッタ11bを制御することで、AE(自動露出)制御を実現する。また広ダイナミックレンジ撮像を行う際には、算出した露出補正値を合成処理部416に通知する。
さらに制御部20は、合成処理部16における絵画調画像としての画像効果処理の制御を行う。
【0022】
LPF21は、ISOゲイン調整部14から出力された画像データに対して、必要に応じてローパスフィルタ処理を施す。
検波部22は、ISOゲイン調整部14からLPF21を通じて供給された画像データを基に各種の検波を行うブロックであり、本実施の形態では、例えば、画像を所定の測光領域に分割し、測光領域ごとに輝度値を検出する。
制御部20は、検波部22での検出情報から、ISOゲイン調整部14から出力される画像データ、つまり撮像された画像データや、撮像前のプレビュー画像となる画像データについて、逆光状態であるか否かを判断できる。
【0023】
このような本実施の形態の撮像装置1では、合成処理部16による画像処理及び制御部20による制御によって、撮像された画像データの合成処理及び画像効果処理を実行する。合成処理は、例えばHDR圧縮処理による合成であり、画像効果処理は、撮像画像内容を例えば絵画調の画像とするような処理である。
図2Bは絵画調の画像の例を示している。図2Aは通常に撮像された画像の例であるが、これに比べて図2Bは、非写実的な画像となっている。
【0024】
本例の場合、特に制御部20は、処理対象の画像データについて逆光状態の判断を行って、それに応じて絵画調の画像を得る画像効果処理を実行させる。
このようにすることにより、状況に応じて自動的に絵画風の視覚的効果が付与された画像が得られる。そしてそのような画像データを、表示部19に表示したり、JPEGデータ31として記録部18に記録したりすることができる。
なお、記録部18が記録する画像データの符号化方式は任意である。記録部18が、JPEG以外の符号化方式で符号化された画像データを記憶するようにしてもよい。
【0025】
<2.合成処理部の構成>
上記構成の撮像装置1における合成処理部16の構成及び動作を説明する。上述のように合成処理部16は、制御部20による制御に従って、撮像された画像データの合成処理(HDR処理)及び画像効果処理を実行する。
【0026】
本例でのHDR処理としては、露出条件が互いに異なる複数の画像を、白飛びや黒つぶれ等の画質劣化が生じないように合成し、適切な階調レンジの画像を生成する。
例えば、画角内の輝度レンジが広いシーンでは、自動露出処理(AE処理)の精度が悪化し、画角内の主な被写体が露出オーバーになって白飛びしたり、露出アンダーになってノイズに埋もれたり黒つぶれしたりする可能性が高くなる。そこで、このようなシーンにおいても適切な露出条件で撮像された画像を得るための撮像手法として、露出条件を変化させて複数回連続して露光し、それぞれの複数の画像信号を得る「ブラケット撮像」という手法が知られている。
【0027】
この、ブラケット撮像を応用して、撮像素子の出力よりも広いダイナミックレンジを持つ画像(広ダイナミックレンジ画像)を得ることを可能とした撮像手法が考えられている。広ダイナミックレンジ画像の撮像では、ブラケット撮像により露出量を大きくした撮像画像と、露出量を抑えた撮像画像とを取得し、それらを合成することで広ダイナミックレンジの画像を生成する。
すなわち、露出量を抑えて高輝度側の階調が得られた画像成分と、露出量を高めて低輝度側の階調が得られた画像成分とを合成することで、1回の露光では得ることができない広い輝度レンジの階調情報を、合成後の画像に取り入れることが可能となる。
【0028】
本例では、ブラケット撮像で撮像された、露出過多及び露出不足の少なくとも2つの画像データを用いてHDR処理を行う。
以下では、具体的な例として、ブラケット撮像で撮像された、露出条件が露出過多、適正露出、露出不足となる3つの画像データを用いる場合で説明する。
【0029】
図3は、合成処理部16の構成例を示すブロック図である。この合成処理部16は、階調レンジを圧縮するHDR処理を行うとともに、絵画調の視覚的効果を付与する絵画調処理を行う。
この合成処理部16には、互いに露出条件の異なる3つの画像(露出アンダー画像、適正露出画像、および露出オーバー画像)が入力される。即ち制御部20の制御によってブラケット撮像が実行され、バッファメモリ15に一時保存された3つの画像データである。
【0030】
合成処理部16は、輝度成分抽出部51、照明分離フィルタ52、HDR圧縮処理部53、ディティール生成部42、およびディティール強調部43を有する。
これらの構成の内、輝度成分抽出部51、照明分離フィルタ52、およびHDR圧縮処理部53が、互いに露出条件の異なる3つの画像を、白飛びや黒つぶれ等の画質劣化が生じないように合成し、適切な階調レンジの画像を生成するHDR処理を行うHDR処理部41を構成する。
また、ディティール生成部42、およびディティール強調部43が、画像に対して絵画調の視覚的効果を付与する。
【0031】
上述したように、合成処理部16には、適正値よりも意図的に露出を抑えて生成した露出アンダー画像、露出を適正値で生成した適正露出画像、適正値よりも意図的に露出を大きくして生成した露出オーバー画像が入力される。各画像は、HDR圧縮処理部53に供給される。
【0032】
また、適正露出画像は、輝度成分抽出部51にも供給される。
輝度成分抽出部51は、入力された適正露出画像から輝度成分を抽出し、それを照明分離フィルタ52およびディティール生成部42に供給する。
なお、この例では輝度成分抽出部51が適正露出画像から輝度成分を抽出する構成としているが、露出アンダー画像又は露出オーバー画像を輝度成分抽出部51に供給して、それらの画像から輝度成分を抽出する構成例も考えられる。
【0033】
照明分離フィルタ52は、エッジ保存平滑化フィルタ等によって、入力された輝度成分から照明成分(低周波成分)を抽出する。そして照明分離フィルタ52は、抽出した照明成分をHDR圧縮処理部53およびディティール生成部42に供給する。
なお、この照明成分の抽出のためには、エッジ成分が残存するように高域カット処理する非線形のローパスフィルタ(例えば特許文献1のフィルタやバイラテラルフィルタ)を用いることが望ましい。また、同様なローパスフィルタ処理としては、非線形ローパスフィルタの他に、統計的な手法(例えば最頻値フィルタや中央値フィルタ)を用いることもできる。
【0034】
HDR圧縮処理部53は、照明分離フィルタ52から供給される照明成分を、所定の変換テーブルを用いて合成係数に変換し、その合成係数を用いて、入力された露出アンダー画像、適正露出画像、および露出オーバー画像を合成する。より具体的には、HDR圧縮処理部53は、各画像を合成係数で重み付けして互いに加算する。これにより、露出アンダー画像、適正露出画像、および露出オーバー画像から、白飛びや黒つぶれ等の画質劣化が生じないように合成された、適切な階調レンジの画像データ(HDR圧縮画像データ)を生成する。
HDR圧縮処理部53は、生成したHDR圧縮画像データをディティール強調部43に供給する。
【0035】
この合成処理部16に対して、制御部20は、絵画調の視覚的効果を与えるためのHDR圧縮画像の反射率成分の強調量であるディティール強調量を設定する。つまり、このディティール強調量は、HDR圧縮画像のディティール成分を過度に強調するゲインである。制御部20は、そのディティール強調量をディティール生成部42に供給する。
【0036】
ディティール生成部42は、輝度成分抽出部51から供給される適正露出画像の輝度成分と、照明分離フィルタ52から供給される適正露出画像の輝度成分の照明成分とを用いて、適正露出画像の輝度成分の反射率成分(ディティール成分:高周波成分)を抽出する。例えばディティール生成部42は、輝度成分から照明成分を減算若しくは除算することにより反射率成分を抽出する。
さらに、ディティール生成部42は、抽出した反射率成分を、制御部20から供給されるディティール強調量で強調し、強調されたディティール成分を生成する。ディティール生成部42は、その強調されたディティール成分をディティール強調部43に供給する。
【0037】
図4に、ディティール生成部42の構成例を示す。ディティール生成部42は、除算部61、乗算部62、加算部63、減算部64を有する。
除算部61は、輝度成分抽出部51から供給される輝度成分を、照明分離フィルタ52から供給される照明成分で除算することにより、ディティール成分を抽出する。除算部61は、抽出したディティール成分を乗算部62に供給する。
減算部64は、標準となるディティールゲインが自動でかかる分を補正するために、制御部20から供給されるディティール強調量から値「1」を減算する。そして減算部64は、値「1」を減算したディティール強調量を乗算部62に供給する。
【0038】
乗算部62は、除算部61から供給されるディティール成分と、減算部64から供給されるディティール強調量とを乗算し、その乗算結果を加算部63に供給する。
加算部63は、乗算部62から供給される、ディティール成分と値「1」が減算されたディティール強調量との乗算結果に、制御部20から供給されるディティール強調量を加算する。そして加算部63は、その加算結果、例えば過度に強調されたディティール成分をディティール強調部43に供給する。
【0039】
図3に示すディティール強調部43は、ディティール生成部42から供給されたディティール成分を乗算することにより、HDR圧縮処理部53から供給されたHDR圧縮画像データのディティールを過度に強調し、絵画調の視覚的効果を付与する。これによりディティール強調部43は、処理後の画像データとしてディティールが強調されて絵画調とされたHDR圧縮画像を出力することができる。
また、この場合、ディティール強調部43で乗算するディティール成分によっては、逆光補正されたHDR圧縮画像とすることもできる。つまりディティール強調部43は、処理後の画像データとして逆光補正されたHDR圧縮画像を出力することもできる。
画像効果処理を、絵画調とする処理とするか、逆光補正処理とするかは、制御部20からのディティール強調量により制御可能である。
なおディティール強調部43から出力される絵画調のHDR画像データは、さらに、ビット数を圧縮する等して、より絵画的な効果を与えても良い。
【0040】
以上のように、ディティール強調部43が、ディティールの見えが実物よりも強調されて見える程、HDR圧縮画像の反射率成分のみを過度に増幅する(ディティールを過度に強調する)だけで、画像処理装置300は、容易に、露出条件が互いに異なる複数の画像を、白飛びや黒つぶれ等の画質劣化が生じないように合成し、適切な階調レンジの画像を生成するとともに、画像に対して、絵画風の視覚的効果を付与することができる。
ディティール強調量の値は任意であるが、例えば、2倍、4倍、8倍のように、一般的に、ディティール強調量を大きくするほど、ディティールがより強く強調され、画像に与える絵画風の視覚的効果を強くすることができる。
【0041】
制御部20は、画像に対してより強い絵画風の視覚的効果を与える場合、このディティール強調量を大きな値(例えば1より十分大きな値)に設定する。また、画像に対して絵画風の視覚的効果を強く与えたくない場合、特に本例の場合は逆光補正を行う場合は、ディティール強調量を小さな値(例えば1)に設定する。
つまり、制御部20は、このディティール強調量の大きさを制御することにより、HDR圧縮処理を、被写体に忠実に(逆光画像の場合は逆光補正された状態に)行うのか、それとも絵画調の視覚的効果を付与するように行うのかを制御することができる。
【0042】
なお、ディティール強調量は、輝度に応じた値としてもよい。つまり照明成分の輝度によって強調量を変えることにより、ディティール強調部43は、ディティールとして認識される必要な帯域のみを増幅することができる。これによりディティールでない低域な成分や、本来不要なノイズ成分を多く含む高域な成分の増幅を抑制することができ、画像の視覚的な劣化を抑制することができる。
さらに、画像の一部の領域のみ、ディティール成分が増幅されるようにしてもよいし、画像内の位置に応じたディティール強調量が設定されるようにしてもよい。
【0043】
<3.処理例I>
以上のような合成処理部16を備えた撮像装置1における制御部20の制御処理の具体例(処理例I)を説明する。図5は制御部20の制御処理を示している。
【0044】
撮像指示が発生すると、制御部20はステップF101からF102に進む。撮像指示は、撮像装置1のユーザのレリーズ操作により発生したり、或いは自動的な撮像を実行するプログラムによって、あるタイミングで発生される撮像のトリガによって発生する。
【0045】
撮像指示によってステップF102に進んだ場合、制御部20は、現在逆光状態で撮像が行われる状況か否かを確認する。これは現時点で撮像素子12で取り込んでいる画像(プレビュー画に用いている画像データ)についての検波部22で検出される輝度値に基づいて判定すればよい。
逆光状態でなければ、ステップF103に進んで、そのときの各種設定に応じた撮像及び撮像画像の記録部18での記録処理を実行させる。例えば撮像モード、露出設定、補正設定、特殊効果設定その他、ユーザの設定や自動撮像プログラムの設定に応じた撮像動作である。
【0046】
一方、逆光状態であったら、制御部20はステップF104以降の処理に進む。
制御部20は、ステップF104,F105,F106で、所定数(例えば3枚)の静止画データの撮像の実行を制御する。即ち、露出アンダー画像、適正露出画像、および露出オーバー画像の撮像である。
まずステップF104で露光制御を行い、露出状態を設定する。露光制御としては例えば絞り11aの設定、或いは撮像素子12でのシャッタースピード(露光時間)、或いはISOゲイン調整部14でのゲイン設定を行う。これによって、例えばまず露出オーバー状態とする。そしてステップF105で撮像(撮像画像データのバッファメモリ15への取り込み)を実行させる。
【0047】
これをステップF106で所定数(例えば3枚)の撮像が完了したと判断されるまで繰り返す。
例えば2枚目の撮像では、ステップF104で適正露出の状態に制御してステップF105で撮像を実行させる。
また3枚目の撮像では、ステップF104で露出アンダーの状態に制御してステップF105で撮像を実行させる。
【0048】
例えばこのように3枚の撮像を行った時点で、制御部20はステップF106からF107に進み、HDR合成処理を実行させる。
即ち制御部20は、バッファメモリ15に一時的に格納された3枚の画像データ(露出アンダー画像、適正露出画像、露出オーバー画像)の、合成処理部16への転送を指示し、合成処理部16でHDR処理を実行させる。
さらに、制御部20はステップF108で非写実化処理を合成処理部16に指示する。具体的には、合成処理部16のディティール生成部42に対して、例えば1より十分大きな値のディティール強調量を与える。これによって、絵画調の画像処理が実行される。
そしてステップF109で制御部20は、合成処理部16で絵画調の画像に処理された画像データを、記録部18に記録させる制御を行う。
【0049】
以上の処理を制御部20が行うことで、例えばユーザが逆光状態で撮像を行う場合、自動的に、絵画調の画像が撮像され、例えばJPEGデータ31又はRAWデータ32として記録されることとなる。
【0050】
なお、ステップF107のHDR処理の指示によって合成処理部16で行われる画像処理の流れは図6Aのようになる。
ステップF201において、輝度成分抽出部51は、適正露出画像から輝度成分を抽出する。
ステップF202において、照明分離フィルタ52は、ステップF201において抽出された輝度成分から照明成分を抽出する。
ステップF203において、HDR圧縮処理部53は、例えば変換テーブルを用いて、ステップF202において抽出された照明成分から合成係数を生成する。
ステップF204において、HDR圧縮処理部53は、ステップF203において生成された合成係数を用いて、露出アンダー画像、適正露出画像、および露出オーバー画像の各画像を重み付けして、白飛びや黒つぶれ等の画質劣化が生じないように合成し、適切な階調レンジのHDR圧縮画像を生成する。
【0051】
また、制御部20のステップF108の非写実化処理の指示によって合成処理部16で行われる画像処理の流れは図6Bのようになる。
ステップF210において、ディティール生成部42の除算部61は、上記のステップF201において抽出された輝度成分を、ステップF202において抽出された照明成分で除算し、ディティール成分を抽出する。
ステップF211において、ディティール生成部42の減算部64は、制御部20から設定されたディティール強調量から値「1」を減算する。
ステップF212において、ディティール生成部42の乗算部62は、ステップF210において算出されたディティール成分に、ステップF211において算出された減算結果を乗算する。
ステップF213において、ディティール生成部42の加算部63は、ステップF212において算出された乗算結果に、制御部20によって設定されたディティール強調量を加算する。
ステップF214において、ディティール強調部42は、ステップF213において算出された加算結果を乗算することにより、ステップF204において生成されたHDR圧縮画像のディティールを強調する。
【0052】
以上の処理が行われることで、ディティールが強調されたHDR画像データ、即ち絵画調の画像データが生成される。
なお、説明上、図6A、図6Bと分けて示したが、これらは一連の処理として合成処理部16内で連続的に実行されればよい。
【0053】
以上の処理例Iによれば、ユーザの操作や自動撮像によって逆光状態で撮像が行われる場合、自動的に、露出条件が互いに異なる複数の画像を、白飛びや黒つぶれ等の画質劣化が生じないように合成し、適切な階調レンジの画像を生成するとともに、画像に対して、絵画風の視覚的効果を付与する動作が行われる。これによってユーザは、逆光状態での撮像を、絵画調のおもしろみのある画像として得ることができ、またそのために特別な設定操作(例えば絵画調を指示する操作等)は必要ない。
なお、上記処理で生成された絵画調の画像データは、記録部18に記録しても良いし、図1には示していないが外部インターフェースを介して外部機器に出力するようにしてもよい。
【0054】
<4.処理例II>
続いて制御部20による処理例IIを図7で説明する。
この図7において図5と同一の処理は同一のステップ番号を付し、説明を省略する。即ちステップF101〜F109は同一処理である。
この図7の処理では、ステップF109で絵画調の画像データを記録した後、さらにステップF110,F111を実行する。
【0055】
制御部20はステップF110で、合成処理部16に逆光補正処理を指示する。具体的には、合成処理部16のディティール生成部42に対して、小さな値のディティール強調量(例えば1)を与える。
これによって実行される処理は図6Bと同様であるが、ディティール強調量≒1であることで、ディティール強調部43の処理によっては絵画調の画像とはならず、HDR合成処理の画像、即ち逆光補正がされた状態の画像となる。
そしてステップF111で制御部20は、合成処理部16から出力される逆光補正された画像データを、記録部18に記録させる制御を行う。
なお、このような処理のため、HDR圧縮処理部53は、生成したHDR圧縮画像を一時保存し、ステップF108での処理の際と、ステップF110での処理の際に、それぞれディティール強調部43に供給する。
【0056】
この処理例IIによれば、ユーザ或いは自動撮像によって、逆光状態で撮像が行われる場合、自動的に、絵画調の画像と、適切な階調レンジとされた逆光補正画像の両方を得ることができる。
従ってユーザは、逆光状態での撮像が行われた場合でも、逆光補正された画像と絵画調のおもしろみのある画像の両方を得ることができ、またそのために特別な設定操作は必要ない。
【0057】
なお、上記処理で生成された絵画調の画像データ及び逆光補正された画像データは、記録部18に記録しても良いし、図1には示していないが外部インターフェースを介して外部機器に出力するようにしてもよい。
また、ステップF108,F109による絵画調の画像データの処理と、ステップF110,F111の逆光補正された画像データの処理の順序は逆でも良いし、並列的に行われても良い。
【0058】
<5.処理例III>
続いて制御部20による処理例IIIを図8で説明する。
この図8において図5と同一の処理は同一のステップ番号を付し、説明を省略する。即ちステップF101〜F109は同一処理である。
この図8の処理は、ステップF102で逆光状態ではないと判定された場合にもHDR処理を行う例である。
【0059】
逆光状態ではないと判定した場合、制御部20は、ステップF121,F122,F123で、所定数(例えば3枚)の静止画データの撮像の実行を制御する。この場合の制御処理はステップF104,F105,F106と同様であり、即ち、露出アンダー画像、適正露出画像、および露出オーバー画像の撮像を行う。
【0060】
ステップF123で所定数(例えば3枚)の撮像が完了したと判断されたら、制御部20はステップF124に進み、HDR合成処理を実行させる。
即ち制御部20は、バッファメモリ15に一時的に格納された3枚の画像データ(露出アンダー画像、適正露出画像、露出オーバー画像)の、合成処理部16への転送を指示し、合成処理部16でHDR処理を実行させる。HDR処理部41で実行される処理は、図6Aで説明したとおりとなる。
【0061】
さらに、制御部20はステップF125でディティール強調量≒1とする。つまりこれは、HDR合成処理に係る画像データについての非写実的な画像内容となる画像効果処理を実行しないように制御することとなる。結局、ディティール強調部43から出力される画像データは、特に絵画調とはされていない通常のHDR圧縮画像データである。
そしてステップF126で制御部20は、合成処理部16から出力された画像データを、記録部18に記録させる制御を行う。
【0062】
以上の処理を制御部20が行うことで、例えばユーザが逆光状態で撮像を行うと、自動的に、絵画調の画像が撮像され、例えばJPEGデータ31又はRAWデータ32として記録される(F104〜F109)。一方、非逆光状態で撮像を行う場合は、自動的に黒つぶれや白飛びが低減された高画質なHDR画像データが得られることとなる(F121〜F126)。
画像効果処理に関する制御部20の制御としては、逆光状態であるか否かによって、ディティール生成部42に与えるディティール強調量の設定を変えるのみで良い。これによりユーザに対して自動的に多様な画像を提供できることとなる。
【0063】
<6.処理例IV>
続いて制御部20による処理例IVを図9で説明する。
この図9において図7又は図8と同一の処理は同一のステップ番号を付し、説明を省略する。即ちステップF101〜F111は図7と同一処理である。またステップF121〜F126は図8と同一処理である。
【0064】
つまり、この図9の処理は、ステップF102で逆光状態と判定された場合には、ステップF104〜F111の処理が実行され、これによって絵画調の画像データと、逆光補正された画像データが記録される。
一方、ステップF102で逆光状態ではないと判定された場合には、ステップF121〜F126が実行され、これによりHDR画像データが記録される。
【0065】
従ってユーザは、逆光状態での撮像が行われた場合でも、逆光補正された画像と絵画調のおもしろみのある画像の両方を得ることができる一方、非逆光状態で撮像が行われた場合は高品質なHDR画像データを得ることができる。またこれらのために特別な設定操作は必要ない。
またこの場合も、画像効果処理に関する制御部20の制御としては、逆光状態であるか否かによって、ディティール生成部42に与えるディティール強調量の設定を変えるのみで良い。これによりユーザに対して自動的に多様な画像を提供できることとなる。
【0066】
<7.合成処理部の他の構成例>
合成処理部16の他の構成例を図10に示す。図10において、図3と同一部分は同一符号を付して説明を省略する。
図10において図3と異なるのは、ディティール成分の生成のための輝度成分、照明成分を、HDR圧縮画像から得るようにしている点である。このためHDR処理部41とは別に、輝度成分抽出部44、照明分離フィルタ45を設けている。
【0067】
図示のように、輝度成分抽出部44にはHDR圧縮画像が供給される。そして輝度成分抽出部44はHDR圧縮画像から輝度成分を抽出し、それを照明分離フィルタ45およびディティール生成部42に供給する。
照明分離フィルタ52は、エッジ保存平滑化フィルタ等によって、入力された輝度成分から照明成分を抽出する。そして照明分離フィルタ52は、抽出した照明成分をディティール生成部42に供給する。
ディティール生成部42、ディティール強調部43の処理は、上述した図3の構成の場合と同様である。また制御部20の処理として、上述した処理例I(図5)、II(図7)、III(図8)、IV(図9)が適用できる。
【0068】
このような構成でも、逆光状態で撮像された際に、絵画調の画像データや、或いは加えて逆光補正された画像データを生成し、記録することができる。
【0069】
<8.パーソナルコンピュータでの適用(処理例V、VI、VII)>
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。
この場合、例えば、図11に示されるようなパーソナルコンピュータにおいて、上記の撮像装置1の画像処理が実行されるようにすることもできる。
【0070】
図11において、パーソナルコンピュータ70のCPU71は、ROM72に記憶されているプログラム、または記憶部78からRAM73にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM73にはまた、CPU71が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
CPU71、ROM72、およびRAM73は、バス74を介して相互に接続されている。このバス74にはまた、入出力インターフェース75も接続されている。
【0071】
入出力インターフェース75には、キーボード、マウスなどよりなる入力部76、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)などよりなるディスプレイ、並びにスピーカなどよりなる出力部77、ハードディスクなどより構成される記憶部78、モデムなどより構成される通信部79が接続されている。通信部79は、インターネットを含むネットワークを介しての通信処理を行う。
【0072】
入出力インターフェース75にはまた、必要に応じてドライブ80が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア81が適宜装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部78にインストールされる。
【0073】
上述した一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0074】
この記録媒体は、例えば、図11に示されるように、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを配信するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc - Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc)を含む)、若しくは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア81により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに配信される、プログラムが記録されているROM72や、記憶部78に含まれるハードディスクなどで構成される。
【0075】
図12に、プログラムに従ってCPU71が実行する処理例Vを示す。この図12の処理例Vは、例えば、或る撮像装置において連続的に撮像された複数の画像、例えば上述の露出アンダー画像、適正露出画像、露出オーバー画像がパーソナルコンピュータ70の処理対処となった場合に実行できる処理である。
【0076】
例えば接続された撮像装置から画像データが転送されたり、リムーバブルメディア81により、画像データが読み込まれたりするなどにより、パーソナルコンピュータ70に、ブラケット撮像された複数の画像データが取り込まれることで、当該画像データに対する処理が実行可能となる。
取り込まれた画像データに対する処理が実行される場合、ステップF301でCPU71は、まず処理対象の複数の画像データについて解析を行う。ここでは、処理対象の画像データが逆光状態で撮像された画像データであるか否かを判別する。例えば画像データの各画素の輝度値、輝度平均値、重み付け輝度値、画像内の特定領域での輝度値などを用いて判定することができる。
【0077】
逆光状態でなければ、CPU71はステップF302からF303に進んで、そのときの画像処理のプログラムやユーザ設定に応じたが画像処理を実行する。
一方、逆光状態であったら、CPU71はステップF304でHDR合成処理を行う。具体的には図6Aの処理を実行すれば良い。
またCPU71はステップF305で、非写実化処理を実行する。例えば1より十分大きな値のディティール強調量を設定し、その上で図6Bの処理を実行する。これにより絵画調の画像処理が実行されることとなる。
そしてステップF306でCPU71は、絵画調の画像に処理された画像データを、記憶部78等に記憶させる。
【0078】
この図12のような処理をCPU71が実行することで、逆光状態で撮像された画像データが、絵画調の画像データとされて保存されることになる。これによってユーザは、逆光状態で撮像された画像データについて、非写実的な興味深い画像を自動的に得ることができる。
【0079】
なお、さらにCPU71が逆光補正された画像データも生成し、絵画調の画像データとともに逆光補正された画像データをも記憶部78等に記憶させるようにしても良い。
これを処理例VIとして図13に示す。図13においてステップF301〜F306は図12と同様である。
この処理例VIでは、ステップF306で絵画調の画像データを記録した後、さらにステップF307,F308を実行する。
【0080】
CPU71はステップF307で逆光補正処理を行う。具体的には、小さな値のディティール強調量(例えば1)を設定し、その上で図6Bの処理を実行する。ディティール強調量≒1であることで、絵画調の画像とはならず、HDR合成処理の画像、即ち逆光補正がされた状態の画像となる。
そしてステップF308でCPU71は、逆光補正された画像データを、記憶部78等に記憶させる。
【0081】
この図13のような処理をCPU71が実行することで、逆光状態で撮像された画像データが、絵画調の画像データ及び逆光補正された画像データとされて保存される。これによってユーザは、逆光状態で撮像された画像データについて、非写実的な興味深い画像、及び逆光補正された画像を自動的に得ることができる。
なお、ステップF305,F306による絵画調の画像データの処理と、ステップF307,F308の逆光補正された画像データの処理の順序は逆でも良いし、並列的に行われても良い。
【0082】
さらに処理例VIIを図14に示す。図14においてステップF301〜F306は図12と同様である。
この処理例VIIでは、ステップF302で処理対象の画像データが逆光状態ではないと判断された場合にもHDR処理を行う例である。
即ち逆光状態でなかったら、CPU71はステップF321でHDR合成処理を行う。具体的には図6Aの処理を実行する。
またCPU71はステップF322で、ディティール強調量≒1として図6Bの処理を実行する。これは、HDR合成処理に係る画像データについての非写実的な画像内容となる画像効果処理を実行しないということになる。
そしてステップF306でCPU71は、処理されたHDR画像データを、記憶部78等に記憶させる。
【0083】
この図14の処理をCPU71が行うことで、処理対象の画像データが逆光状態で撮像されたものであれば、自動的に、絵画調の画像に処理されて記憶される(F304〜F306)。一方、処理対象の画像データが非逆光状態で撮像されたものであれば、自動的に高画質なHDR画像データとされて保存されることとなる(F321〜F306)。
【0084】
なお、上述の図13の処理例VIのように、逆光状態の画像データに対して、絵画調とした画像データと逆光補正された画像データの両方を生成して保存する場合に、図13のステップF303に代えて、この図14のステップF321→F322→F306の処理を加えるようにすることも考えられる。
【0085】
<9.プログラム>
以上の実施の形態は、撮像装置1やパーソナルコンピュータ70において、本開示の画像処理装置に相当する構成を備えることで実行される処理について説明した。このような画像処理装置は、ハードウエアやソフトウエアで構成でき、本開示の画像処理装置、画像処理方法は、画像処理を行う各種機器に適用できる。例えば上述の撮像装置やパーソナルコンピュータ以外に、画像再生装置、画像記録装置、ゲーム機器、ビデオ編集機、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話機その他の通信装置などが想定される。
特にソフトウエアとして、本開示のプログラムに基づく演算処理を実行することで、各種機器において上述した処理を実現できる。
【0086】
即ち本開示の実施の形態のプログラムとは、処理対象とする複数の画像データが、逆光状態での撮像による画像データか否かを判断するステップと、その複数の画像データについてHDR合成処理を実行させるステップと、複数の画像データが逆光状態での撮像による画像データである場合には、HDR合成処理に係る画像データについて非写実的な画像内容となる画像効果処理を実行させるステップとを演算処理装置(CPUやDSP(Digital Signal Processor)等)に実行させるプログラムである。
例えば図5,図7,図8,図9,図12,図13,図14に示した各処理ブロックの動作を演算処理装置に実行させるプログラムを画像処理アプリケーションソフトウエアとして提供することで、各種機器において、本開示の画像処理を実現できる。
【0087】
なお、このようなプログラムは、パーソナルコンピュータ等の機器に内蔵されている記録媒体としてのHDDや、CPUを有するマイクロコンピュータ内のROMやフラッシュメモリ等に予め記録しておくことができる。
あるいはまた、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magnet optical)ディスク、DVD、ブルーレイディスク、磁気ディスク、半導体メモリ、メモリカードなどのリムーバブル記録媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することができる。
また、プログラムは、リムーバブル記録媒体からパーソナルコンピュータ等にインストールする他、ダウンロードサイトから、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワークを介してダウンロードすることもできる。
【0088】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、図5,図7,図8,図9,図12,図13,図14で説明した順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0089】
<10.変形例>
以上、実施の形態について説明してきたが、本開示の技術は多様な変形例が想定される。
図3,図8の例では、露出条件の異なる3つの画像、即ち露出アンダー画像、適正露出画像、および露出オーバー画像が合成処理部16に入力され、これらを用いてHDR処理を行う例としたが、少なくとも露出条件の異なる2つの画像を用いても良い。例えば時間的に連続して撮像された、露出条件の異なる少なくとも2つの画像データとして、露出アンダー画像と露出オーバー画像を合成処理部16に入力し、合成処理部16がこれらについてHDR処理を行う例も考えられる。
また、露出条件の異なる4以上の画像を用いてHDR処理を行っても良い。
【0090】
絵画調の画像データを生成するための手法は、上述のディティール強調によるものに限られない。
例えば表現する色の成分を減じたり、各種の表色系の値をまるめるたりするなどにより、画素の色情報を変更するような手法もある。
【0091】
また上述した各構成例、処理例では、HDR合成した画像データに対してディティール強調を行って画像効果を与えるものとしたが、合成前にディティール強調等により画像効果を与える構成例・処理例も考えられる。例えば露出アンダー画像、適正露出画像、露出オーバー画像の全部又は一部に対してディティール強調を行って、その後にHDR処理を行うようにするなどである。
【0092】
なお本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)画像効果処理及び複数の画像データの合成処理を実行する合成処理部と、
上記複数の画像データが、逆光状態での撮像による画像データか否かを判断し、逆光状態での撮像による画像データである場合に、上記合成処理部に、上記合成処理に係る画像データについて非写実的な画像内容となる画像効果処理を実行させる制御部と、
を備えた画像処理装置。
(2)上記制御部は、
上記複数の画像データが逆光状態での撮像による画像データである場合には、さらに、上記合成処理部に、上記合成処理に係る画像データについて逆光補正となる画像効果処理を実行させる上記(1)に記載の画像処理装置。
(3)上記合成処理部は、上記複数の画像データの1つ、もしくは合成処理後の画像データの輝度成分及び照明成分から、反射率成分を抽出し、該反射率成分を用いて合成処理後の画像データについての画像効果処理を実行するとともに、
上記制御部は、上記反射率成分の強調量の設定により、上記合成処理部に非写実的な画像内容となる画像効果処理を実行させる上記(1)又は(2)に記載の画像処理装置。
(4)上記合成処理部は、上記複数の画像データの1つ、もしくは合成処理後の画像データの輝度成分及び照明成分から、反射率成分を抽出し、該反射率成分を用いて合成処理後の画像データについての画像効果処理を実行するとともに、
上記制御部は、上記反射率成分の強調量の設定により、上記合成処理部に逆光補正となる画像効果処理を実行させる上記(2)又は(3)に記載の画像処理装置。
(5)上記制御部は、
上記複数の画像データが非逆光状態での撮像による画像データである場合には、上記合成処理部に対し、上記合成処理に係る画像データについての非写実的な画像内容となる画像効果処理を実行しないように制御する上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の画像処理装置。
(6)上記複数の画像データは、時間的に連続して撮像された、露出条件の異なる少なくとも2以上の画像データであり、
上記合成処理部は、上記合成処理として、上記複数の画像データの1つの照明成分を用いて上記2以上の画像データの合成を行う上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の画像処理装置。
(7)上記複数の画像データは、時間的に連続して撮像された、露出条件が露出過多、適正露出、露出不足となる少なくとも3以上の画像データであり、
上記合成処理部は、上記合成処理として、上記複数の画像データの1つの照明成分を用いて上記3以上の画像データの合成を行う上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の画像処理装置。
【符号の説明】
【0093】
1 撮像装置、16 合成処理部、20 制御部、41 HDR処理部、42 ディティール生成部、43 ディティール強調部、51 輝度成分抽出部、52 照明分離フィルタ、53 HDR圧縮処理部、61 除算部、62 乗算部、63 加算部、64 減算部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像効果処理及び複数の画像データの合成処理を実行する合成処理部と、
上記複数の画像データが、逆光状態での撮像による画像データか否かを判断し、逆光状態での撮像による画像データである場合に、上記合成処理部に、上記合成処理に係る画像データについて非写実的な画像内容となる画像効果処理を実行させる制御部と、
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
上記制御部は、
上記複数の画像データが逆光状態での撮像による画像データである場合には、さらに、上記合成処理部に、上記合成処理に係る画像データについて逆光補正となる画像効果処理を実行させる請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
上記合成処理部は、上記複数の画像データの1つ、もしくは合成処理後の画像データの輝度成分及び照明成分から、反射率成分を抽出し、該反射率成分を用いて合成処理後の画像データについての画像効果処理を実行するとともに、
上記制御部は、上記反射率成分の強調量の設定により、上記合成処理部に非写実的な画像内容となる画像効果処理を実行させる請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
上記合成処理部は、上記複数の画像データの1つ、もしくは合成処理後の画像データの輝度成分及び照明成分から、反射率成分を抽出し、該反射率成分を用いて合成処理後の画像データについての画像効果処理を実行するとともに、
上記制御部は、上記反射率成分の強調量の設定により、上記合成処理部に逆光補正となる画像効果処理を実行させる請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
上記制御部は、
上記複数の画像データが非逆光状態での撮像による画像データである場合には、上記合成処理部に対し、上記合成処理に係る画像データについての非写実的な画像内容となる画像効果処理を実行しないように制御する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
上記複数の画像データは、時間的に連続して撮像された、露出条件の異なる少なくとも2以上の画像データであり、
上記合成処理部は、上記合成処理として、上記複数の画像データの1つの照明成分を用いて上記2以上の画像データの合成を行う請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
上記複数の画像データは、時間的に連続して撮像された、露出条件が露出過多、適正露出、露出不足となる少なくとも3以上の画像データであり、
上記合成処理部は、上記合成処理として、上記複数の画像データの1つの照明成分を用いて上記3以上の画像データの合成を行う請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
処理対象とする複数の画像データが、逆光状態での撮像による画像データか否かを判断するステップと、
上記複数の画像データについて合成処理を行うステップと、
上記複数の画像データが逆光状態での撮像による画像データである場合には、上記合成処理に係る画像データについて非写実的な画像内容となる画像効果処理を実行するステップと、
を備えた画像処理方法。
【請求項9】
処理対象とする複数の画像データが、逆光状態での撮像による画像データか否かを判断するステップと、
上記複数の画像データについて合成処理を実行させるステップと、
上記複数の画像データが逆光状態での撮像による画像データである場合には、上記合成処理に係る画像データについて非写実的な画像内容となる画像効果処理を実行させるステップと、
を演算処理装置に実行させるプログラム。
【請求項1】
画像効果処理及び複数の画像データの合成処理を実行する合成処理部と、
上記複数の画像データが、逆光状態での撮像による画像データか否かを判断し、逆光状態での撮像による画像データである場合に、上記合成処理部に、上記合成処理に係る画像データについて非写実的な画像内容となる画像効果処理を実行させる制御部と、
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
上記制御部は、
上記複数の画像データが逆光状態での撮像による画像データである場合には、さらに、上記合成処理部に、上記合成処理に係る画像データについて逆光補正となる画像効果処理を実行させる請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
上記合成処理部は、上記複数の画像データの1つ、もしくは合成処理後の画像データの輝度成分及び照明成分から、反射率成分を抽出し、該反射率成分を用いて合成処理後の画像データについての画像効果処理を実行するとともに、
上記制御部は、上記反射率成分の強調量の設定により、上記合成処理部に非写実的な画像内容となる画像効果処理を実行させる請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
上記合成処理部は、上記複数の画像データの1つ、もしくは合成処理後の画像データの輝度成分及び照明成分から、反射率成分を抽出し、該反射率成分を用いて合成処理後の画像データについての画像効果処理を実行するとともに、
上記制御部は、上記反射率成分の強調量の設定により、上記合成処理部に逆光補正となる画像効果処理を実行させる請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
上記制御部は、
上記複数の画像データが非逆光状態での撮像による画像データである場合には、上記合成処理部に対し、上記合成処理に係る画像データについての非写実的な画像内容となる画像効果処理を実行しないように制御する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
上記複数の画像データは、時間的に連続して撮像された、露出条件の異なる少なくとも2以上の画像データであり、
上記合成処理部は、上記合成処理として、上記複数の画像データの1つの照明成分を用いて上記2以上の画像データの合成を行う請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
上記複数の画像データは、時間的に連続して撮像された、露出条件が露出過多、適正露出、露出不足となる少なくとも3以上の画像データであり、
上記合成処理部は、上記合成処理として、上記複数の画像データの1つの照明成分を用いて上記3以上の画像データの合成を行う請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
処理対象とする複数の画像データが、逆光状態での撮像による画像データか否かを判断するステップと、
上記複数の画像データについて合成処理を行うステップと、
上記複数の画像データが逆光状態での撮像による画像データである場合には、上記合成処理に係る画像データについて非写実的な画像内容となる画像効果処理を実行するステップと、
を備えた画像処理方法。
【請求項9】
処理対象とする複数の画像データが、逆光状態での撮像による画像データか否かを判断するステップと、
上記複数の画像データについて合成処理を実行させるステップと、
上記複数の画像データが逆光状態での撮像による画像データである場合には、上記合成処理に係る画像データについて非写実的な画像内容となる画像効果処理を実行させるステップと、
を演算処理装置に実行させるプログラム。
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【公開番号】特開2012−249256(P2012−249256A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121843(P2011−121843)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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