説明

画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラム

【課題】2つの画像間の位置ずれの程度を確認する目視確認処理の効率を向上させるための画像処理を行うことのできる画像処理装置を提供する。
【解決手段】第1画像および第2画像の各画素に基づいて、第1画像および第2画像の対応点の位置ずれを示す位置ずれ表示画像を作成する位置ずれ表示画像作成部203と、位置ずれ表示画像の位置ずれの程度を示すずれ量を算出する位置ずれ判定部204と、ずれ量に基づいて、複数の位置ずれ表示画像を複数のグループに分類する位置ずれ判定部204と、位置ずれ表示画像に対し、当該位置ずれ表示画像が属するグループごとに異なる処理を割り当てる出力処理切替部208とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる印刷物における位置ずれに関する処理を行う画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ビジネス分野において帳票は欠かすことのできないツールである。帳票とは、帳簿や伝票類の総称であり、流通、経理など様々な場所で利用されている。このため、帳票のデータは膨大な数となり、その管理方法に関する技術が多く知られている。
【0003】
現在は、帳票もデジタル化が進み、デジタルデータとして保存されているが、帳票を印刷する機会も多い。印刷機器の交換により、帳票データの印刷物における位置ずれなどの誤りが発生する場合がある。そこで、管理者が膨大な帳票データを印刷し、交換前後の印刷物の違いを目視により検査し、誤り等がないことをチェックしている。
【0004】
例えば、特許文献1には、2つの印刷画像をデータ化し、位置ずれの補正を行った後に2つの印刷画像のデータの比較を行い、画素の一致する部分と一致しない部分を色分けした位置ずれ表示画像を作成する技術が開示されている。これにより、画素の差分を用に把握することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば一方の画像に存在する文字列が他方の文字が存在しない場合や、2つの画像に同一の文字列が存在するものの、これらの位置がわずかにずれている場合など、ずれの程度は画像毎に異なっている。明らかなずれがある場合はずれの調整を行う必要があるが、わずかにずれているだけの場合には調整は不要であるというように、ずれの程度の違いにより、その後の処理も異なることが考えられる。さらに、どの程度のずれが許容範囲かどうかの判断をするには、厳密な判断基準や必要である場合もあるし、ずれの程度の判断を、人による目視確認に委ねる場合には、判断を行う人の経験・教育などが必要となる場合もある。しかしながら、すべての目視確認処理を、経験等によりずれの程度の判断能力を有する人(以下、熟練者と称する)が行うこととすると熟練者の負担が増し効率も悪い。非熟練者でも判断可能な明らかな位置ずれが乗じているような画像につちえも熟練者が行うことになるからである。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、2つの画像間の位置ずれの程度を確認する目視確認処理の効率を向上させるための画像処理を行うことのできる画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、第1画像に対する第2画像の位置ずれを示す位置ずれ表示画像を作成する画像処理装置であって、前記第1画像および前記第2画像の各画素に基づいて、前記第1画像および前記第2画像の対応点の位置ずれを示す前記位置ずれ表示画像を作成する作成手段と、前記作成手段により作成された前記位置ずれ表示画像の位置ずれの程度を示すずれ量を算出するずれ量算出手段と、前記ずれ量算出手段により算出された前記ずれ量に基づいて、前記作成手段により作成された複数の前記位置ずれ表示画像を複数のグループに分類する分類手段と、前記位置ずれ表示画像に対し、当該位置ずれ表示画像が属するグループごとに異なる処理を割り当てる割当手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の他の形態は、第1画像に対する第2画像の位置ずれを示す位置ずれ表示画像を作成する画像処理方法であって、作成手段が、前記第1画像および前記第2画像の各画素に基づいて、前記第1画像および前記第2画像の対応点の位置ずれを示す前記位置ずれ表示画像を作成する作成ステップと、ずれ量算出手段が、前記作成ステップで作成された前記位置ずれ表示画像の位置ずれの程度を示すずれ量を算出するずれ量算出ステップと、分類手段が、前記ずれ量算出ステップにおいて算出された前記ずれ量に基づいて、前記作成ステップで作成された複数の前記位置ずれ表示画像を複数のグループに分類する分類ステップと、割当手段が、前記位置ずれ表示画像に対し、当該位置ずれ表示画像が属するグループごとに異なる処理を割り当てる割当ステップとを有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の他の形態は、第1画像に対する第2画像の位置ずれを示す位置ずれ表示画像を作成する画像処理をコンピュータに実行させるための画像処理プログラムであって、前記第1画像および前記第2画像の各画素に基づいて、前記第1画像および前記第2画像の対応点の位置ずれを示す前記位置ずれ表示画像を作成する作成ステップと、前記作成ステップで作成された前記位置ずれ表示画像の位置ずれの程度を示すずれ量を算出するずれ量算出ステップと、前記ずれ量算出ステップで算出された前記ずれ量に基づいて、前記作成ステップで作成された複数の前記位置ずれ表示画像を複数のグループに分類する分類ステップと、前記位置ずれ表示画像に対し、当該位置ずれ表示画像が属するグループごとに異なる処理を割り当てる割当ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、2つの画像間の位置ずれの程度に応じて位置ずれ表示画像を複数のグループに分類し、それぞれのグループに属する位置ずれ表示画像に対して異なる処理を割り当てるので、2つの画像間の位置ずれの程度を確認する目視確認処理の効率を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施の形態にかかる画像処理システム1の全体構成を示す図である。
【図2】図2は、画像処理装置101の機能構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、位置ずれ検出部202が有する画素値決定テーブルのデータ構成を示す図である。
【図4】図4は、表示色決定テーブルのデータ構成を示す図である。
【図5】図5は、位置ずれ表示画像を示す図である。
【図6−1】図6−1は、位置ずれ判定部204の処理を説明するための図である。
【図6−2】図6−2は、位置ずれ判定部204の処理を説明するための図である。
【図7】図7は、走査枠500を示す図である。
【図8】図8は、走査枠500に含まれる画素値を示す図である。
【図9】図9は、画像処理装置101による画像処理を示すフローチャートである。
【図10】図10は、位置ずれ判定処理(ステップS104)の詳細な処理を示すフローチャートである。
【図11】図11は、画像処理装置101のハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
図1は、実施の形態にかかる画像処理システム1の全体構成を示す図である。画像処理システム1は、スキャナ100と、画像処理装置101と、第1プリンタ102と、第2プリンタ103と、第3プリンタ104と備えている。スキャナ100は、位置ずれ検出の対象となる第1印刷物111と、第2印刷物112とを読み込み、これらをデータ化した第1印刷画像および第2印刷画像を得る。画像処理装置101は、スキャナ100から第1印刷画像および第2印刷画像を取得し、2つの印刷画像間の位置ずれを可視化した位置ずれ表示画像を作成する。さらに、第1印刷画像および第2印刷画像の間の位置ずれの程度を示すずれ量を算出し、ずれ量に応じて、位置ずれ表示画像に割り当てる処理を決定する。位置ずれ表示画像に対する処理としては、例えば第1プリンタ102、第2プリンタ103または第3プリンタ104への出力などがある。なお、第1〜3プリンタ102〜104はそれぞれ位置ずれ表示画像を印刷する。なお、位置ずれ表示画像に割り当てる処理については後述する。
【0014】
図2は、画像処理装置101の機能構成を示すブロック図である。画像処理装置101は、印刷画像取得部201と、位置ずれ検出部202と、位置ずれ表示画像作成部203と、位置ずれ判定部204と、出力処理切替部208と、出力処理部209とを備えている。位置ずれ判定部204は、走査条件決定部205と、走査部206と、評価部207とを有している。出力処理部209は、第1出力処理部210と、第2出力処理部211と、第3出力処理部212とを有している。
【0015】
印刷画像取得部201は、スキャナ100から印刷画像を取得する。具体的には、位置ずれ検出の対象となる第1印刷物111をデータ化した第1印刷画像と、第2印刷物112をデータ化した第2印刷画像を取得する。位置ずれ検出部202は、第1印刷画像および第2印刷画像をそれぞれ二値化する。具体的には、一定の明度を閾値とし、これより明るい画素を白、暗い画素を黒とする。そして、二値化後の第1印刷画像および第2印刷画像の対応する画素が一致するか否かを調べる。そして、各画素に一致の状態を示す画素値を割り当てる。一致の状態として、両者がともに白または黒で一致する状態、一方が黒で他方が白の状態、またはその逆の状態がある。
【0016】
位置ずれ検出部202は、一致の状態に基づいて、割り当てる画素値を決定するための画素値決定テーブルを有しており、画素値決定テーブルを参照して、各画素に割り当てる画素値を決定する。図3は、位置ずれ検出部202が有する画素値決定テーブルのデータ構成を示す図である。このように、画素値決定テーブルにおいては、処理対象となる第1印刷画像の画素および第2印刷画像の画素と、割り当てる画素値とが対応付けられている。位置ずれ検出部202は、第1印刷画像および第2印刷画像がともに黒である画素に対しては画素値「a」を割り当てる。第1印刷画像の画素が黒でありかつ第2印刷画像の画素が白である画素に対しては画素値「b」を割り当てる。第1印刷画像の画素が白でありかつ第2印刷画像の画素が黒である画素に対しては画素値「c」を割り当てる。また、第1印刷画像の画素および第2印刷画像の画素がともに白である画素に対しては画素値「d」を割り当てる。
【0017】
位置ずれ表示画像作成部203は、位置ずれ検出部202により割り当てられた画素値に基づいて、位置ずれ表示画像を作成する。位置ずれ表示画像作成部203は、表示色決定テーブルを有しており、表示色決定テーブルを参照して、位置ずれ検出部202により割り当てられた画素値から位置ずれ表示画像を作成する。図4は、表示色決定テーブルのデータ構成を示す図である。このように、表示色決定テーブルにおいては、位置ずれ検出部202により割り当てられた各画素値と表示色とが対応付けられている。
【0018】
位置ずれ表示画像作成部203は、表示色決定テーブルを参照し、例えば画素値「a」が割り当てられている画素を緑に表示する。このように、位置ずれ表示画像作成部203は、表示色決定テーブルを参照して、第1印刷画像と第2印刷画像の一致の状態に応じて定まる色で表現される位置ずれ表示画像を作成する。
【0019】
図5は、位置ずれ表示画像を示す図である。図5に示すように、第1印刷画像および第2印刷画像がともに黒である画素(a)、第1印刷画像が黒でありかつ第2印刷画像が白である画素(b)、第1印刷画像が白でありかつ第2印刷画像が黒である画素(c)および第1印刷画像および第2印刷画像がともに白である画素(d)に対し、それぞれ異なる色が割り当てられた画像が位置ずれ表示画像として作成される。
【0020】
位置ずれ判定部204は、位置ずれ表示画像作成部203により作成された位置ずれ表示画像に基づいて、位置ずれの程度を示すずれ量を算出する。そして、ずれ量に基づいて、位置ずれ表示画像を複数のグループに分類する。そして、位置ずれ表示画像に対して、当該位置ずれ表示画像が属するグループ毎に異なる処理を割り当てる。
【0021】
本実施の形態においては、位置ずれ判定部204は、位置ずれ表示画像を、「ずれなし」、「わずかなずれ」、「明らかなずれ」の3つのずれ量に相当する第1グループ、第2グループおよび第3グループに分類する。そして、第1グループに属する位置ずれ表示画像は、第1の出力処理を施すべく第1出力処理部210に出力される。第2グループに属する位置ずれ表示画像は、第2の出力処理を施すべく第2出力処理部211に出力される。第3グループに属する位置ずれ表示画像は、第3の出力処理を行うべく第3出力処理部212に出力される。
【0022】
図6−1および図6−2は、位置ずれ判定部204の処理を説明するための図である。例えば、図6−1に示すように、文字が重なっている場合にはわずかなずれと判断する。また、図6−2に示すように、文字が完全に離れている場合には明らかなずれと判断する。なお、文字が完全に一致する場合には、ずれなしと判断する。このような判定を行うために、位置ずれ判定部204は、位置ずれ表示画像に対し図7に示すような走査枠500を設定し、走査枠500を画像の端から任意の間隔おきに設置する。そして、図8に示すように走査枠500に含まれる画素値を参照し、ずれの程度を算出する。具体的には、画素値「b」と「c」が存在し、かつ「a」が存在する場合にわずかなずれと判断し、画素値「b」および「c」の少なくとも一方が存在し、かつ「a」が存在しない場合に明らかなずれと判断する。また、画素値「a」と「d」が存在し、かつ「b」と「c」が存在しない場合にずれなしと判断する。
【0023】
位置ずれ判定部204は、以上の処理を行う構成として、走査条件決定部205と、走査部206と、評価部207とを有している。走査条件決定部205は走査枠に関する条件である走査条件を決定する。走査条件とは、走査枠のサイズや走査枠を設置する走査間隔などの条件である。走査条件決定部205は、位置ずれ表示画像の所定の色の連結成分の外接矩形のサイズに基づいて、走査枠のサイズおよび走査間隔を決定する。具体的には、位置ずれ表示画像に含まれる文字列における最小フォントの文字の外接矩形のサイズを走査枠のサイズとして決定する。さらに、最小フォントの文字の外接矩形の縦横の長さの例えば10分の1の長さを縦横それぞれの走査間隔として決定する。なお、ノイズによる影響を無視するための閾値を設定し、閾値処理を行うことによりずれの判断基準を変更することも可能である。
【0024】
走査部206は、走査条件決定部205により決定された走査条件に従い、位置ずれ表示画像に対し走査枠を走査させる。評価部207は、走査部206による走査により設定された各走査枠において、図8を参照しつつ説明した処理により位置ずれの程度を算出し、これらを総合して位置ずれ表示画像のずれ量を算出する。そして、評価部207は、ずれ量に基づいて、位置ずれ表示画像に割り当てる処理を決定する。具体的には、位置ずれ表示画像に処理を施す出力処理部を識別する出力処理番号を割り当てる。例えば、評価部207は、ずれ量と出力処理番号とを対応付けた出力先決定テーブルを有し、出力先決定テーブルを参照してずれ量に対応付けられている出力処理番号を特定する。
【0025】
本実施の形態においては、ずれ量「ずれなし」の場合には、第1出力処理部210を識別する出力処理番号が割り当てられる。ずれ量「わずかなずれ」の場合には、第2出力処理部211を識別する出力処理番号が割り当てられる。ずれ量「明らかなずれ」の場合には、第3出力処理部212を識別する出力処理番号が割り当てられる。
【0026】
出力処理切替部208は、位置ずれ表示画像作成部203から位置ずれ表示画像を取得し、位置ずれ判定部204から出力処理番号を取得する。出力処理切替部208は、出力処理番号により識別される出力処理部、すなわち第1出力処理部210、第2出力処理部211および第3出力処理部212のいずれかに対して位置ずれ表示画像を出力する。出力処理切替部208は、割当手段に相当する。
【0027】
出力処理部209の第1出力処理部210、第2出力処理部211および第3出力処理部212は、それぞれ異なる出力先に位置ずれ表示画像を出力する。第1出力処理部210は、第1プリンタ102に位置ずれ表示画像を出力する。第2出力処理部211は、第2プリンタ103に位置ずれ表示画像を出力する。第3出力処理部212は、第3プリンタ104に位置ずれ表示画像を出力する。第1出力処理部210、第2出力処理部211および第3出力処理部212はまた位置ずれ表示画像に対してそれぞれ異なる画像加工処理を施す。
【0028】
以上の構成により、ずれなしと判断された位置ずれ表示画像は、第1出力処理部210を介して第1プリンタ102により印刷される。わずかなずれと判断された位置ずれ表示画像は、第2出力処理部211を介して第2プリンタ103により印刷される。明らかなずれと判断された位置ずれ表示画像は、第3出力処理部212を介して第3プリンタ104により印刷される。このように、ずれ量に応じてそれぞれ異なる処理が施される。
【0029】
例えば、第3プリンタ104により印刷された、明らかなずれと判断された位置ずれ表示画像の印刷物を非熟練者に渡し、非熟練者による目視確認を行うこととする。ここで、非熟練者とは、目視確認処理の経験の浅く、目視確認に慣れていない者のことである。さらに、第2プリンタ103により印刷された、わずかなずれと判断された位置ずれ表示画像の印刷物は、熟練者に渡し、熟練者による目視確認を行うこととする。ここで、熟練者とは、目し確認処理の経験が長く、わずかなずれについても的確な判断を行うことのできる者である。このように、ずれ量に応じて異なるプリンタから出力されるので、熟練者は、判断の難しいわずかなずれと判断された位置ずれ表示画像のみを目視確認し、目視確認による判断が比較的容易な、明らかなずれと判断された位置ずれ表示画像については非熟練者に目視確認処理を行わせることができ、目視確認処理の効率化を図ることができる。
【0030】
図9は、画像処理装置101による画像処理を示すフローチャートである。まず第1出力処理部210がスキャナ100から第1印刷画像および第2印刷画像を取得する(ステップS101)。次に、位置ずれ検出部202は、印刷画像取得部201が取得した第1印刷画像と第2印刷画像の間の位置ずれを検出する(ステップS102)。次に、位置ずれ表示画像作成部203は、位置ずれ検出部202により検出された位置ずれの状態に基づいて、位置ずれ表示画像を作成する(ステップS103)。
【0031】
次に、位置ずれ判定部204は、位置ずれ表示画像に基づいて、位置ずれ表示画像のずれ量を判定する(ステップS104)。具体的には、位置ずれ表示画像作成部203はずれ量を算出し、ずれ量に応じた出力先としての出力処理部を識別する出力処理番号を特定する。次に、出力処理切替部208は、出力処理番号で識別される出力処理部を位置ずれ表示画像の出力先として決定し、この出力先としての出力処理部に対して位置ずれ表示画像を出力する(ステップS105)。出力処理部209の各出力処理部210〜212は、位置ずれ表示画像を対応するプリンタに渡し、各プリンタは、位置ずれ表示画像を出力する。
【0032】
図10は、位置ずれ判定処理(ステップS104)の詳細な処理を示すフローチャートである。位置ずれ判定処理(ステップS104)においては、まず走査条件決定部205は、位置ずれ表示画像中の最小文字のフォントに基づいて走査条件を決定する(ステップS201)。次に、走査部206は、走査条件決定部205により決定された走査条件に従って位置ずれ表示画像における走査枠の走査を行う(ステップS202)。次に、評価部207は、各走査枠におけるずれの程度を算出し、各走査枠のずれの程度から位置ずれ表示画像のずれ量を算出する(ステップS203)。そして、評価部207は、位置ずれ量に基づいて、出力処理番号を特定し、これを出力処理切替部208に出力する。以上で、位置ずれ判定処理が終了する。
【0033】
本実施の形態にかかる画像処理システム1の変更例としては、出力処理部は、プリンタだけでなく例えばHDDなどの記憶部に対して位置ずれ表示画像を出力してもよい。例えば、明らかなずれと判断された位置ずれ表示画像、すなわち第3グループに属する位置ずれ表示画像は目視確認の必要性が低いことから、第3出力処理部212を介して記憶部に「位置ずれあり」との情報とともに記憶しておいてもよい。そして、後でまとめて目視確認処理を行うこととしてもよい。
【0034】
また、第2の変更例としては、明らかなずれと判断された位置ずれ表示画像においては、目視確認が比較的容易であるため、位置ずれ表示画像が印刷される際に、画素値a、b、dの色が明確に異なっている必要性は低い。なお、bとcは同一色で表すものとする。そこで、通常は、位置ずれ表示画像においては、人による目視において明確に区別しやすい3色の組み合わせを使用するのが望ましいが、明らかなずれと判断された位置ずれ表示画像については、例えばマゼンダ、シアン、そしてこれら2色を合わせたブルーの3色の組み合わせを割り当ててもよい。これにより、プリンタでの印刷をマゼンダとシアンの2つのトナーのみを使用して行うことができる。このような処理を出力処理部に与えることで、トナーの種類を削減することができる。トナーを何色使用するかによって、プリンタの保守の料金が変わることも多いので、保守コストの削減にもなる。
【0035】
また、第3の変更例としては、画像処理装置101は、スキャナ100により印刷物より得られた印刷画像にかえて画像データを直接外部から取得してもよい。
【0036】
また、第4の変更例としては、各出力処理部210〜212は、単に異なるプリンタに位置ずれ表示画像を出力し、画像加工などの処理を行わなくてもよい。
【0037】
図11は、実施の形態にかかる画像処理装置101のハードウェア構成を示すブロック図である。なお、実施の形態にかかる画像処理装置101は、複数の機能を備えた複合機である。本図に示すように、この画像処理装置101は、コントローラ10とエンジン部(Engine)60とをPCI(Peripheral Component Interface)バスで接続した構成となる。コントローラ10は、画像処理装置101全体の制御と描画、通信、図示しない操作部からの入力を制御するコントローラである。エンジン部60は、PCIバスに接続可能なプリンタエンジンなどであり、たとえば白黒プロッタ、1ドラムカラープロッタ、4ドラムカラープロッタ、スキャナまたはファックスユニットなどである。なお、このエンジン部60には、プロッタなどのいわゆるエンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。
【0038】
コントローラ10は、CPU11と、ノースブリッジ(NB)13と、システムメモリ(MEM−P)12と、サウスブリッジ(SB)14と、ローカルメモリ(MEM−C)17と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)16と、ハードディスクドライブ(HDD)18とを有し、ノースブリッジ(NB)13とASIC16との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス15で接続した構成となる。また、MEM−P12は、ROM(Read Only Memory)12aと、RAM(Random Access Memory)12bと、をさらに有する。
【0039】
CPU11は、画像処理装置101の全体制御をおこなうものであり、NB13、MEM−P12およびSB14からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0040】
NB13は、CPU11とMEM−P12、SB14、AGP15とを接続するためのブリッジであり、MEM−P12に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0041】
MEM−P12は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM12aとRAM12bとからなる。ROM12aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM12bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
【0042】
SB14は、NB13とPCIバス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB14は、PCIバスを介してNB13と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインターフェース(I/F)部なども接続される。
【0043】
ASIC16は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGP15、PCIバス、HDD18およびMEM−C17をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC16は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC16の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C17を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などをおこなう複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部60との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとからなる。このASIC16には、PCIバスを介してFCU(Facsimile Control Unit)30、USB(Universal Serial Bus)40、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インターフェース50が接続される。操作表示部20はASIC16に直接接続されている。
【0044】
MEM−C17は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD(Hard Disk Drive)18は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0045】
AGP15は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM−P12に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。
【0046】
なお、本実施の形態の画像処理装置で実行される画像処理プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。本実施の形態の画像処理装置で実行される画像処理プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0047】
さらに、本実施の形態の画像処理装置で実行される画像処理プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の画像処理装置で実行される画像処理プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0048】
本実施の形態の画像処理装置で実行される画像処理プログラムは、上述した各部を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMから画像処理プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、各部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【符号の説明】
【0049】
1 画像処理システム
100 スキャナ
101 画像処理装置
102 第1プリンタ
103 第2プリンタ
104 第3プリンタ
201 印刷画像取得部
202 位置ずれ検出部
203 位置ずれ表示画像作成部
204 位置ずれ判定部
205 走査条件決定部
206 走査部
207 評価部
208 出力処理切替部
209 出力処理部
210 第1出力処理部
211 第2出力処理部
212 第3出力処理部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【特許文献1】特開2007−293809号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画像に対する第2画像の位置ずれを示す位置ずれ表示画像を作成する画像処理装置であって、
前記第1画像および前記第2画像の各画素に基づいて、前記第1画像および前記第2画像の対応点の位置ずれを示す前記位置ずれ表示画像を作成する作成手段と、
前記作成手段により作成された前記位置ずれ表示画像の位置ずれの程度を示すずれ量を算出するずれ量算出手段と、
前記ずれ量算出手段により算出された前記ずれ量に基づいて、前記作成手段により作成された複数の前記位置ずれ表示画像を複数のグループに分類する分類手段と、
前記位置ずれ表示画像に対し、当該位置ずれ表示画像が属するグループごとに異なる処理を割り当てる割当手段と
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記位置ずれ表示画像の所定の色の連結成分の外接矩形のサイズに基づいて、前記位置ずれの程度を決定する際に利用する走査枠のサイズを決定する走査枠決定手段をさらに備え、
前記ずれ量算出手段は、前記位置ずれ表示画像に対し、前記走査枠決定手段により決定された前記走査枠を走査させ、各走査枠内の前記位置ずれ表示画像が示す位置ずれの程度に基づいて、前記ずれ量を算出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記割当手段は、各グループに対し異なる出力先への出力処理を割り当てることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記割当手段は、所定のグループに属する前記位置ずれ表示画像に対し画像の加工を行う加工処理を割り当てることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
第1画像に対する第2画像の位置ずれを示す位置ずれ表示画像を作成する画像処理方法であって、
作成手段が、前記第1画像および前記第2画像の各画素に基づいて、前記第1画像および前記第2画像の対応点の位置ずれを示す前記位置ずれ表示画像を作成する作成ステップと、
ずれ量算出手段が、前記作成ステップで作成された前記位置ずれ表示画像の位置ずれの程度を示すずれ量を算出するずれ量算出ステップと、
分類手段が、前記ずれ量算出ステップにおいて算出された前記ずれ量に基づいて、前記作成ステップで作成された複数の前記位置ずれ表示画像を複数のグループに分類する分類ステップと、
割当手段が、前記位置ずれ表示画像に対し、当該位置ずれ表示画像が属するグループごとに異なる処理を割り当てる割当ステップと
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
走査枠決定手段が、前記位置ずれ表示画像の所定の色の連結成分の外接矩形のサイズに基づいて、前記位置ずれの程度を決定する際に利用する走査枠のサイズを決定する走査枠決定ステップをさらに有し、
前記ずれ量算出ステップでは、前記位置ずれ表示画像に対し、前記走査枠決定ステップで決定された前記走査枠を走査させ、各走査枠内の前記位置ずれ表示画像が示す位置ずれの程度に基づいて、前記ずれ量を算出することを特徴とする請求項5に記載の画像処理方法。
【請求項7】
前記割当ステップでは、各グループに対し異なる出力先への出力処理を割り当てることを特徴とする請求項5に記載の画像処理方法。
【請求項8】
前記割当ステップでは、所定のグループに属する前記位置ずれ表示画像に対し画像の加工を行う加工処理を割り当てることを特徴とする請求項5に記載の画像処理方法。
【請求項9】
第1画像に対する第2画像の位置ずれを示す位置ずれ表示画像を作成する画像処理をコンピュータに実行させるための画像処理プログラムであって、
前記第1画像および前記第2画像の各画素に基づいて、前記第1画像および前記第2画像の対応点の位置ずれを示す前記位置ずれ表示画像を作成する作成ステップと、
前記作成ステップで作成された前記位置ずれ表示画像の位置ずれの程度を示すずれ量を算出するずれ量算出ステップと、
前記ずれ量算出ステップで算出された前記ずれ量に基づいて、前記作成ステップで作成された複数の前記位置ずれ表示画像を複数のグループに分類する分類ステップと、
前記位置ずれ表示画像に対し、当該位置ずれ表示画像が属するグループごとに異なる処理を割り当てる割当ステップと
を有することを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項10】
前記位置ずれ表示画像の所定の色の連結成分の外接矩形のサイズに基づいて、前記位置ずれの程度を決定する際に利用する走査枠のサイズを決定する走査枠決定ステップをさらに有し、
前記ずれ量算出ステップでは、前記位置ずれ表示画像に対し、前記走査枠決定ステップで決定された前記走査枠を走査させ、各走査枠内の前記位置ずれ表示画像が示す位置ずれの程度に基づいて、前記ずれ量を算出することを特徴とする請求項9に記載の画像処理プログラム。
【請求項11】
前記割当ステップでは、各グループに対し異なる出力先への出力処理を割り当てることを特徴とする請求項9に記載の画像処理プログラム。
【請求項12】
前記割当ステップでは、所定のグループに属する前記位置ずれ表示画像に対し画像の加工を行う加工処理を割り当てることを特徴とする請求項9に記載の画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−218395(P2010−218395A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66430(P2009−66430)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】