説明

画像処理装置、画像処理装置の制御方法、及び、プログラム

【課題】印刷物における印刷不良の有無を精度良く高速に検出し、顧客に納品する印刷物への不良品の混入を防止すること。
【解決手段】検品装置1000は、MFP900にて第1の画像データに基づいて印刷処理された印刷媒体を読み取り第2の画像データを生成し(S1106)、第1の画像データと第2の画像データとを部分的に比較して印刷不良の有無の判定を行う第1の比較判定処理を行い(S1107〜S1109)、これにより印刷不良の有無を判定できた場合(S1108でYes又はS1109でYes)、これを判定結果とし、一方、印刷不良の有無を判定できなかった場合(S1108でNo且つS1109でNo)、第1の比較判定処理で比較していない部分を比較して印刷不良の有無を判定する第2の比較判定処理を行う(S1110〜S1111)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の印刷媒体に画像データを印刷する画像処理装置の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商業的印刷業界では、種々の作業工程を介して印刷物の発行を行ってきた。具体的な作業工程としては、原稿の入稿、レイアウト編集、校正(レイアウト修正や色修正)、校正刷り(プルーフ印刷)、版下作成、印刷、後処理加工、検品、発送等が挙げられる。
【0003】
特に、商業的印刷業界の場合、印刷工程においてオフセット製版印刷機が用いられることが多いため、版下作成工程は不可欠な工程である。しかしながら、版下作成工程は、一度行うとその修正が容易ではなく、且つ修正を行った場合、コスト的にかなり不利になることから、版下作成にあたっては、入念な校正(即ち、入念なレイアウトのチェックや色の確認作業)が必須となってくる。このため、印刷物の発行が完了するまでには、ある程度の期間を要することが一般的である。
【0004】
このような状況のもとで、最近では、電子写真方式の画像形成装置やインクジェット方式の画像形成装置の高速化、高画質化が顕著になってきた。そして、商業的印刷業界に対抗する、いわゆるプリント・オン・ディマンド(Print On Demand:以下、PODと表記する。)と呼ばれる市場が出現しつつある。
【0005】
これは、比較的小ロットのジョブを、大掛かりな装置やシステムを用いずに、短納期で取り扱うことができるよう、上述のような大規模な印刷機、印刷手法に代わって出現してきたものである。
【0006】
POD市場では、例えば、デジタル複写機やデジタル複合機等のデジタル画像記録装置を最大限に活用することで、電子データを用いたデジタルプリントを実現し、プリントサービス等を行うことが可能となっている。
【0007】
しかしながら、上述のような商業的印刷業界やPOD市場において、顧客に納品する印刷物に印字ミスや汚れ等の不良がないかどうかの検品作業は作業員が手作業でチェックしているのが現状であり、自動化することが求められている。なぜならば、例えば、数百ページや数千ページに及ぶ印刷物の場合、作業員がページ毎に手動で詳細にチェックすることは膨大な時間と労力が必要となるためである。
【0008】
そこで、検品作業を自動化する技術として、従来、印刷物を検証するための検証用画像と、印刷物を撮像して取得した画像とを比較することで、印刷物を検品する技術が知られている(特許文献1)。
【0009】
このような、検品処理を自動的に行う場合、検品処理を高速に行うことが求められている。検品処理を高速化する技術として、印刷された媒体の一部が断裁されて不要となる場合、その不要となる部分についての検品の対象としない技術が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−39492号公報
【特許文献2】特開2007−50546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記の従来技術で検品処理が高速になるのは、印刷された媒体に対して断裁を行う場合に限られていた。そのため、印刷された印刷媒体を断裁しない場合には、検品処理を高速化することはできなかった。
【0012】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものである。本発明の目的は、印刷された画像データを段階的に行うことによって、印刷された印刷媒体の検品処理を高速化する仕組を適用することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、第1の画像データに基づいて印刷媒体に印刷処理を行う印刷手段と、前記印刷手段により印刷処理された印刷媒体を読み取り第2の画像データを生成する読取手段と、前記第1の画像データと前記第2の画像データとを部分的に比較して印刷不良の有無を判定する第1の比較判定処理を行う第1の比較判定手段と、前記第1の画像データと前記第2の画像データとを前記第1の比較判定処理で比較していない部分で比較して印刷不良の有無を判定する第2の比較判定処理を行う第2の比較判定手段と、前記第1の比較判定処理で前記印刷不良の有無を判定できた場合には前記第2の比較判定処理を実行せず、前記第1の比較判定処理を行って前記印刷不良の有無を判定できなかった場合には前記第2の比較判定処理を実行するように制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、印刷された画像データを段階的に行うことによって、印刷された印刷媒体の検品処理を高速化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態における画像処理装置の構成を示す図である。
【図2】MFP900の制御構成を示すブロック図である。
【図3】コントローラ制御部400の構成を示すブロック図である。
【図4】RIP部500の構成を示すブロック図である。
【図5】出力画像処理部600の構成を示すブロック図である。
【図6】操作部800の構成を表す図である。
【図7】検品装置1000の構成を示すブロック図である。
【図8】印刷ジョブの出力画像チェックを説明する図である。
【図9】印刷ジョブの出力画像チェックを説明する図である。
【図10】印刷ジョブの出力画像チェックを説明する図である。
【図11】印刷ジョブの出力画像チェックを説明する図である。
【図12】印刷ジョブの出力画像チェックを説明する図である。
【図13】プリンタドライバのプロパティ設定画面の一例を示す図である。
【図14】MFP900の動作を説明するフローチャートである。
【図15】検品装置1000の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
<MFPの構成>
図1は、本発明の一実施形態における画像処理装置の構成を示す図である。
図1において、900は本発明の画像処理装置としてのMFP(Multifunction Peripheral)で、イメージリーダ200及びプリンタ部300からなる。イメージリーダ200の上部には、原稿給送装置100が装着されている。
【0018】
原稿給送装置(ADF)100は、原稿トレイ105上にセットされた原稿を先頭頁から順に1枚ずつ給紙し、湾曲したパスを介して原稿台ガラス205の上へと搬送する。原稿給送装置100を用いてイメージリーダ200にて片面原稿を読取る方法としては、原稿固定読取モードと原稿流し読取モードがある。原稿固定読取モードは、原稿給送装置100に載置された原稿の後端を原稿台ガラス205上の読取位置R1へ搬送、停止させ、スキャナユニット206を左から右へ移動させることにより、原稿の読取りを行うモードである。また、原稿流し読取モードは、スキャナユニット206を読取位置R1で固定した状態で、原稿給送装置100に載置された原稿をある読取り速度で読取位置R1へ搬送、通過させ、スキャナユニット206を固定したまま原稿の読取りを行うモードである。なお、原稿給送装置100は、いずれのモードの場合も、読取った原稿を排紙トレイ106に排出する。
【0019】
原稿給送装置100を用いてイメージリーダ200にて両面原稿を読取る方法としては、スキャナユニット206を用いて表面を読取り、原稿給送装置100内に配置した光学ユニット110を使用して裏面を読取る方法がある。詳細な説明は後述する。光学ユニット110内には図示しないイメージセンサおよび光源等が配置されている。
【0020】
なお、スキャナユニット206により露光された原稿からの反射光は、レンズ207を介してイメージセンサ208に集光され、原稿の画像が読取られ画像信号(画像データ)に変換される。イメージセンサ208により読取られた画像信号は、画像処理されて図示しないハードディスクに格納されるとともに、プリンタ制御部301(図2参照)を介して露光制御部305に送られ、露光制御部305に入力される。
【0021】
露光制御部305は、入力された画像信号に応じたレーザ光を出力する。このレーザ光が感光ドラム306に照射されると、感光ドラム306上には静電潜像が形成される。感光ドラム306上の静電潜像は現像器307により現像される。そして、感光ドラム306上の現像剤(トナー)はカセット308、309、手差し給紙部310および両面搬送パス311のいずれかから給送された紙等の印刷媒体(以下、シート)に転写部312で転写される。
【0022】
現像剤が転写されたシートは、定着部313に導かれると、現像剤の定着処理が施される。定着部313を通過したシートを、図示しないフラッパにより、一旦、パス315からパス314に導き、シートの後端がパス315を抜けた後、シートをスイッチバックさせてパス316から排出ローラ317に導く。これにより、現像剤が転写された面を下向きの状態(フェイスダウン)にして排出ローラ317によりプリンタ部300から排出することが可能である。これを反転排紙という。このように、フェイスダウンで排出することにより、原稿給送装置100を用いて複数枚の原稿を読取った画像をプリントする場合など、先頭頁から正しい頁順で画像形成を行うことが可能である。
【0023】
なお、手差し給紙部310からOHPシートなどの硬いシートに画像形成を行う場合、パス315に導くことなく、現像剤が転写された面を上向きの状態(フェイスアップ)のままで排出ローラ317から排出する。
【0024】
また、シートの両面に画像形成を行う場合、シートを定着部313からパス315、パス314に導き、シートの後端がパス315を抜けた直後にシートをスイッチバックさせ、図示しないフラッパにより両面搬送パス311に導く。両面搬送パス311に導かれたシートを、再度、転写部312に給紙して、転写部312で静電潜像が転写され、定着部313で定着処理が施される。
【0025】
このように、転写部312から両面搬送パス311を経由して再び転写部312に戻る一巡のパスの中に、A4、B5等のハーフサイズ用紙が5枚入った状態でも搬送可能なように、パス長、ローラ配置、駆動系の分割がなされている。なお、これらの処理による排出頁順は、奇数頁が下向きになるように排出されるので、両面コピー時の頁順を合わせることができる。
【0026】
排出ローラ317から排出された印刷出力物は検品装置1000に搬送される。検品装置1000では、搬送されてきた印刷物(印刷処理されたシート)をセンサ1005で検知し、リーダ部1004で印刷出力物の両面から画像データを読取り、印字ミスや汚れ等が有る不良画像の有無を検出する。なお、検品装置1000の詳細は、後述する図7に示す。
【0027】
図2は、MFP900の制御構成を示すブロック図である。
図2において、101は原稿給送装置制御部で、原稿給送装置100を制御する。201はイメージリーダ制御部で、イメージリーダ200を制御する。なお、イメージリーダ制御部201は、イメージリーダ200から入力された画像データの画像処理を行い、像域データの検出を行う。301はプリンタ制御部で、プリンタ部300を制御する。
【0028】
400はコントローラ制御部で、操作部800の設定や外部コンピュータ453の指示に基づいて、原稿給送装置制御部101やイメージリーダ制御部201と通信を行い入力原稿の画像データを取得する。また、コントローラ制御部400は、プリンタ制御部301と通信を行い、画像データをシートに印刷する。また、コントローラ制御部400は、外部コンピュータ453からPDLデータが入力された場合、RIP部500でRIP処理を実行させ、ビットマップ(ラスタイメージ)データ(以下、展開データ)を生成させる。
【0029】
RIP部500は、生成した展開データを、コントローラ制御部400と文書管理部454へ送信する。文書管理部454は、RIP部500から受信した展開データをページ毎に記憶しておく。なお、上記RIPは、Raster Image Processorを示す。
【0030】
また、コントローラ制御部400は、プリントする画像データに対して、必要に応じて出力画像処理部600でプリントのための画像処理を実行させる。
外部I/F451は、ネットワークやUSB等の外部バス452を介して外部コンピュータ453や検品装置1000と接続するインターフェースである。例えば、コントローラ制御部400は、外部I/F451を介して外部コンピュータ453からのプリントデータを取得したり、ハードディスク(HDD)407(図3)内の画像データを外部コンピュータ453に送信することを行う。また、コントローラ制御部400は、外部I/F451を介して文書管理部454内の展開データを検品装置1000に送信する。
【0031】
図3は、コントローラ制御部400の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、コントローラ制御部400は、CPU−A401及びCPU−B408の2つのCPUで構成される。CPU−A401及びCPU−B408は、それぞれオペレーティングシステム(以下、OS)で制御される。
【0032】
CPU−A401側には、バスブリッジ404が接続され、バスブリッジ404を介して、CPU−A401とCPU−B408間の通信を行う。また、バスブリッジ404には、ROM−A402、RAM−A403、外部I/F制御部405、操作部制御部406、及びHDD407等が接続されている。
【0033】
ROM−A402は、CPU−A401の初期起動プログラムを格納する。RAM−A403は、CPU−A401の制御データを一時的に保持し、制御に伴う演算の作業領域として用いられる。
【0034】
HDD407は、CPU−A401及びCPU−B408の2つのOSを含むメインプログラムや、取得した画像データを格納する。なお、HDD407は、CPU−A401及びCPU−B408からアクセスができるように構成されている。
【0035】
外部I/F制御部405は、外部I/F451を制御する。操作部制御部406は、操作部800を制御する。
CPU−B408には、バスブリッジ404、ROM−B409、RAM−B410、及びデバイス制御部411等が接続されている。ROM−B409は、CPU−B408の初期起動プログラムを格納する。RAM−B410は、CPU−B408の制御データを一時的に保持し、制御に伴う演算の作業領域として用いられる。デバイス制御部411は、原稿給送装置制御部101、イメージリーダ制御部201、プリンタ制御部301と接続され、これらの制御を司る。
【0036】
<RIP部500の構成>
図4は、RIP部500の構成を示すブロック図である。
RIPとは、各オブジェクト情報を同時にページ上に再現するために、各オブジェクト情報をメモリ上にビットマップ(ラスタイメージ)展開するプロセッサである。オブジェクト情報としては、PDL(Page Description Language)で記述された文字、線画、図形などのベクトル情報、或いは、色、パターン、写真などの画像走査線情報などが挙げられる。元来、ハードウェアとして出力装置側に搭載されていたが、現在では、CPUの高速化によりソフトウェアで実現されている。
【0037】
RIP部500は、一般に、図4に示すように、インタプリタ部501とレンダリング部502の2つの部分から成り立っている。インタプリタ部501は、PDLの翻訳を行うPDL解釈部5011と、解釈したPDLデータからディスプレイリストと呼ばれる中間ファイルを生成するDL(Display List)生成部5012とで構成されている。一方、レンダリング部502は、ディスプレイリストに対してカラーマッチングを行うCMM(Color Matching Module)部5021と、ディスプレイリストをビットマップ(ラスタイメージ)に展開するDL展開部5022とで構成されている。なお、レンダリング部502は、DL展開部により展開された展開データを、コントローラ制御部400と、文書管理部454へ送信する。
【0038】
PDL解釈部5011は、入力されてきた様々な種類のPDLデータを解析する部分である。入力フォーマットとしては、Adobe社のPostScript(登録商標)(PS)言語やHP(Hewlett−Packard)社のPCL(Printer Control Language)言語などが有名である。これらは、ページ単位の画像を作成するためのプリンタ制御コードで記載されており、単純な文字コードのほか、図形描画のコードや写真画像のコードなども含まれている。また、PDF(Portable Document Format)というAdobe社の開発した文書表示用ファイル形式も様々な業界で多用されており、ドライバを使用せず直接MFPに投げ込まれたこのフォーマットも対象としている。そのほか、PPML(Personalized Print Markup Language)と呼ばれるVDP(Variable Data Print)向けフォーマットにも対応している。さらに、JPEG(Joint Photographic Experts Group)やTIFF(Tagged Image File Format)と呼ばれるカラー画像の圧縮フォーマットなどにも対応している。
【0039】
また、CMM部5021では、グレースケール、RGB、CMYKなど様々な画像データの入力が可能である。その他の色空間の場合には、一度CRD(Color Rendering Dictionary)にてCMYK空間に変換された後、カラーマッチングが施される。CMM部において、ICCプロファイルによる色調整が行われる。
【0040】
ICCプロファイルは、ソースプロファイル(Source Profile)5023とプリンタプロファイル(Printer Profile)5024とがある。ソースプロファイル5023は、RGB(又はCMYK)データを一度規格化されたL*a*b*空間に変換してL*a*b*データを生成する際や、L*a*b*データをターゲットとなるプリンタに適したCMYK空間に変換する際に用いられる。なお、ソースプロファイル5023は、RGBプロファイルとCMYKプロファイルからなっており、入力画像がRGB系画像(Microsoft社のアプリケーションソフトやJPEG、TIFF画像等)の場合は、RGBプロファイルが選択される。一方、入力画像がCMYK系画像(Adobe社のPhotoshopやIllustratorの一部データなど)の場合にはCMYKプロファイルが選択される。
【0041】
プリンタプロファイル5024は、各プリンタの色特性に合わせて作られており、RGB系画像の場合は、Perceptual(色味優先)のプロファイルやSaturation(鮮やかさ優先)のプロファイルを選択するのが好ましい。また、CMYK系画像の場合は、Colorimetric(色差最小)のプロファイルを選んで最適画像を出力することが多い。
【0042】
また、ICCプロファイルは、一般にルックアップテーブル形式で作られており、ソースプロファイル5023では、RGB(又はCMYK)データが入力されると、一意にL*a*b*データに変換される。逆に、プリンタプロファイル5024では、L*a*b*データからプリンタにマッチしたCMYKデータに変換される。なお、カラーマッチングを必要としないRGBデータは、デフォルトの色変換によりCMYKデータに変換されて出力される。また、カラーマッチングを必要としないCMYKデータに対しては、そのまま出力される。このRIP部500で展開された画像データは、文書管理部454に保持される。また、コピージョブ時に、イメージリーダ200により読み取られた画像データも文書管理部454に保持するようにしてもよい。なお、文書管理部454に保持する際に、画像データを圧縮処理して保存してもよい。
【0043】
<出力画像処理部600の構成>
図5は、出力画像処理部600の構成を示すブロック図である。
出力画像処理部600(カラー系)に入力される画像データは、複写動作などイメージリーダ制御部201からの出力データを扱うRGB系データと、ネットワークプリント動作などRIP部500からの出力データを扱うCMYK系データとに大別できる。RGB系データは下地除去部601に入力され、CMYK系データは出力ガンマ補正部603に入力される。
【0044】
下地除去部601は、イメージリーダ200で読取ったRGB画像データに対して、プリンタ制御部301にて検出された像域データに基づいて、下地部を除去するための非線形変換を行う。次に、出力ダイレクトマッピング部602は、下地除去部601で下地除去されたRGB画像データをCMYK画像データに変換する。出力ダイレクトマッピング部602は、この変換において、RGBそれぞれの値をルックアップテーブルに入力し、その出力値の総和からC(Cyan)成分を作る。同様に、出力ダイレクトマッピング部602は、M(Magenta)、Y(Yellow)、K(blacK)それぞれの成分もルックアップテーブルとその加算演算で生成する。このとき、出力ダイレクトマッピング部602は、コントローラ制御部400にて検出された像域データに基づいて、3次元のルックアップテーブルを利用する。なお、出力ダイレクトマッピング部602は、文字領域と写真領域でそれぞれ異なる種類のルックアップテーブルを適用する。
【0045】
出力ガンマ補正部603は、出力ダイレクトマッピング部602又はコントローラ制御部400から出力されるCMYK系データに対して、プリンタ部300に対応した濃度補正を行う。出力ガンマ補正部603は、CMYKそれぞれ一次元のルックアップテーブルを利用して、画像形成ごと異なる出力される画像データのリニアリティを保つ役割を果たしており、一般的にカラーキャリブレーションの結果は、このルックアップテーブルに反映される。
【0046】
ハーフトーン処理部604は、出力ガンマ補正部603から出力された画像データに対し、MFP機能に応じて、異なる種類のスクリーニングを択一的に適用する。一般に、複写動作などでは、モアレの起きにくい誤差拡散系のスクリーニングを用い、プリント動作では、文字や細線の再現性を考えてディザマトリクスなどを利用した多値スクリーン系のスクリーニングを用いることが多い。
【0047】
前者は、注目画素とその周辺画素に対して誤差フィルタで重み付けし、階調数を保ちながら多値化の誤差を配分して補正していく方法であり、誤差拡散処理部605により実行される。一方、後者は、ディザマトリックスの閾値を多値に設定し、擬似的に中間調を表現する方法で、CMYK独立に変換し、入力画像データによって低線数と高線数とを切り替えて再現する方法であり、多値スクリーン部606により実行される。
【0048】
スムージング処理部607はハーフトーン処理部604から出力される画像データのCMYKそれぞれの成分に対し、エッジ部分をパターンマッチングにより検出し、より滑らかに再現されるパターンに変換することでジャギーを軽減するスムージング処理を行う。そして、スムージング処理部607は、スムージング処理後の画像データをコントローラ制御部400に出力する。
【0049】
図6は、操作部800の構成を表す図である。
LCD表示部805は、LCD上にタッチパネルシートが貼られており、システムの操作画面を表示するとともに、表示してあるキーが押されるとその位置情報をコントローラ制御部400に伝える。テンキー801は、コピー枚数など、数字の入力時に使用する。スタートキー802は、ユーザ所望の条件を設定した後、複写動作、原稿の読取り動作を開始する時などに用いる。ストップキー803は稼働中の動作を止めるときに使用する。リセットキー804はユーザが操作部でリセットを実行するのに使用する。
【0050】
<不良画像の有無を検出する検品装置の構成>
図7は、検品装置1000の構成を示すブロック図である。
図7に示すように、検品装置1000は、センサ1005、リーダ部1004、イメージリーダ制御部1001と、印字ミスや汚れ等がある不良画像の有無を判定する比較判定制御部1002と、外部I/F1003等から構成される。なお、図7では説明の便宜上、検品装置1000とMFP900は離れているが、これらは互いに接続されており、MFP900で印刷された印刷物を検品装置1000が受け取って検品処理を実行することができるようになっている。
【0051】
センサ1005は、MFP900から搬入されてきた印刷物(印刷処理されたシート)を検知し、比較判定制御部1002に通知する。
リーダ部1004は、MFP900から排紙搬送される印刷物を給紙し、該印刷物の画像データを読取る。イメージリーダ制御部1001は、リーダ部1004を制御する。
外部I/F1003は、外部コンピュータ453やMFP900を接続するインターフェースであり、MFP900の文書管理部454に保存された展開データを受信する。
比較判定制御部1002は、イメージリーダ制御部1001から得られる印刷物の画像データと、外部I/F1003から得られる展開データとを比較し、不良画像の有無を判定する。
【0052】
なお、比較判定制御部1002は、不図示のCPU、ROM、RAM等を有し、CPUがROMに記録されるプログラムを実行することで比較判定制御を実現する構成でも、論理回路等により比較判定制御を実現する構成でもよい。
【0053】
<印刷不良の有無の検出処理の概要>
図8、図9、図10、図11、図12を用いて、印刷ジョブの出力画像チェック(印刷不良の有無の検出)を行う場合の処理に関して説明する。
【0054】
図8〜図12は、印刷ジョブの出力画像チェック(印刷不良の有無の検出)を説明する図である。
図8に検品装置1000のリーダ部1004によって読取られた画像データを示す。この例では、MFP900から出力されたシート一面に画像データが印刷されている。
次に、印刷物の印刷不良の有無を検出する際の処理に関して説明する。
検品装置1000では、比較判定制御部1002において、イメージリーダ制御部1001から送られてきた画像データと、MFP900から転送された、MFP900内の文書管理部454に保持される展開データとの比較処理を行う。
【0055】
比較処理を行う際には、処理速度を重視するため部分的に(ここでは1画素おきに)画素値の比較判定を行う(第1の比較判定処理)。比較対象の画素を図9に1、3、5、7、・・・と奇数で明示している。このとき、比較対象の画素は、複数画素おきとしても構わない。
【0056】
次に、ページ内で所定サイズの判定領域901を設定する。
図10に判定領域を3×3画素の正方形と設定した場合を示す。
1画素おきに画素値の比較判定を行っているため、どの判定領域でも4画素、または5画素が比較判定される。ページ内の全ての判定領域で各々の不良印刷画素数をカウントする。このとき、任意の判定領域内で、不良印刷画素と判定された画素数が、ユーザが設定したある一定の閾値(OK閾値(1))以下であれば、その印刷物は印刷不良でないと判定される。
【0057】
また、ある判定領域内で、不良印刷画素と判定された画素数が、ユーザが設定したある一定の閾値(NG閾値(1))以上であれば、その印刷物は印刷不良であると判定される。また、ある判定領域内で、不良印刷画素と判定された画素数がOK閾値(1)より大きく、かつNG閾値(1)より小さければ、その判定領域に関して第2の比較判定を行う。
【0058】
第2の比較判定では、図11に示してあるように、第1の比較判定で用いなかった画素を比較判定する(第2の比較判定処理)。前述した判定領域内では、どの判定領域でも第1の比較判定結果と第2の比較判定結果から、合計9画素が比較判定されている。
【0059】
次に、第1の比較判定と同様に、図12に示してあるように、第2の比較判定を行った全ての判定領域内で各々の印刷不良の画素数をカウントする。このとき、任意の判定領域内で、不良印刷画素と判定された画素数が、ユーザが設定したある一定の閾値(NG閾値(2)とする)以下であれば、その印刷物は印刷不良でないと判定される。また、ある判定領域内で、不良印刷画素と判定された画素数がNG閾値(2)より大きければ、その印刷物は印刷不良であると判定される。
【0060】
以上の、印刷不良の有無の検出処理方法を、印刷物の不良画素数のパターン別に具体的に説明する。ここでは、前述した判定領域901を3×3画素とする。また、第1の比較判定は、1画素おきに行うものとする。
【0061】
まず、前述の第1の比較判定でのOK閾値(1)、NG閾値(1)、第2の比較判定でのNG閾値(2)等の検品情報を設定し、印刷ジョブをMFP900に送信する。例えば、外部コンピュータ453から送信する印刷データを印刷する印刷ジョブの場合、図13に示すように、プリンタドライバのプロパティ設定画面から上記検品情報を設定する。なお、上記OK閾値(1)を第1の閾値、上記NG閾値(1)を第2の閾値、上記NG閾値(2)を第3の閾値ともいう。
【0062】
図13は、外部コンピュータ453のモニタに表示されるプリンタドライバのプロパティ設定画面の一例を示す図である。
1300は「検品の設定」欄である。「検品(印刷検査)」のラジオボタン1301の「する」にチェックすると検品を実施し(検品対象となり)、「しない」にチェックすると検品は実施されない(検品対象とならない)。そして検品「する」にチェックした場合、第1の比較判定での「OK閾値(1)」のプルダウンメニュー1302、「NG閾値(1)」のプルダウンメニューに1303、第2の比較判定での「NG閾値(2)」のプルダウンメニューに1304が設定可能となる。
【0063】
「OK」ボタン1305を押下することにより、これらの印刷属性を実際の印刷に反映させて、プロパティ設定を終了することができる。「キャンセル」ボタン1306を押下することにより、これらの印刷属性を実際の印刷に反映させることなく、プロパティ設定を終了することができる。「適用」ボタン1307を押下することにより、これらの印刷属性を実際の印刷に反映させて、プロパティ設定を継続することができる。
【0064】
そして、外部コンピュータ453から印刷が実行されると、図13に示したプリンタドライバのプロパティ設定画面で設定された印刷設定を含む印刷ジョブがプリンタドライバにより生成され、該印刷ジョブがMFP900に送信される。この印刷設定には、印刷する文書のページ数や用紙サイズ、片面/両面印刷、フィニッシングモード等の印刷情報が含まれる。また、当該印刷設定には、検品する/しない(検品実施モード/検品オフモード)や第1の比較判定でのOK閾値(1)、NG閾値(1)、第2の比較判定でのNG閾値(2)等の検品情報が含まれる。ここでは、第1の比較判定でのOK閾値(1)を1画素、第1の比較判定でのNG閾値(1)を3画素、第2の比較判定でのNG閾値(2)を4画素として説明する。
【0065】
印刷ジョブを受信したMFP900は、印刷を開始し、印刷物が検品装置1000に搬入される。検品装置1000では、搬入される印刷物をリーダ部1004で読取り、検品処理を行う。
【0066】
まず、検品装置1000では、上述の第1の比較判定を行い、全ての比較判定領域で各々の印刷不良の画素数をカウントする。
このとき、その印刷物の任意の判定領域内で、不良印刷画素と判定された画素数が1画素以下(例えば1画素)であれば、不良印刷画素と判定された画素数がOK閾値(1)である1画素以下であるため、その印刷物は印刷不良でないと判定される。
【0067】
また、或る判定領域内で、不良印刷画素と判定された画素数が3画素以上(例えば4画素)であれば、不良印刷画素と判定された画素数がNG閾値(1)である3画素以上であるため、その印刷物は印刷不良であると判定される。
【0068】
また、或る判定領域内で、不良印刷画素と判定された画素数が2画素であれば、OK閾値(1)である1画素より大きく、かつNG閾値(1)である3画素より小さいため、検品装置1000は、その判定領域に関して第2の比較判定を行う。
【0069】
第2の比較判定では、まず第1の比較判定で用いなかった画素を比較判定する。次に、第1の比較判定と同様に、その印刷物の全ての判定領域内で不良印刷画素をカウントする。
【0070】
このとき、任意の判定領域内で、不良印刷画素と判定された画素数が4画素以下(例えば3画素)であれば、不良印刷と判定された画素数がNG閾値(2)である4画素以下なので、その印刷物は印刷不良でないと判定される。
【0071】
また、ある判定領域内で、不良印刷画素と判定された画素数が5画素であれば、不良印刷画素と判定された画素数がNG閾値(2)である4画素より大きいので、その印刷物は印刷不良であると判定される。
【0072】
以下、図14、図15のフローチャートを用いて、検品処理時のMFP900及び検品装置1000の動作について説明する。
まず、図14のフローチャートを用いて、MFP900の動作を説明する。
図14は、MFP900の動作を説明するフローチャートである。なお、このフローチャートの処理は、MFP900のコントローラ制御部400のCPU−A401やCPU−B08がROM−A402やROM−B409等に記録されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0073】
コントローラ制御部400は、外部コンピュータ453から送信された印刷ジョブを外部I/F451を介して受信すると、該受信した印刷ジョブを不図示のRAMに格納する(S1001)。次に、コントローラ制御部400は、上記S1001で受信した印刷ジョブを解析する(S1002)。
【0074】
次に、コントローラ制御部400は、上記S1002での解析結果から上記S1001で受信した印刷ジョブが検品実施モード(検品する設定)かどうか判断する(S1003)。そして、検品オフモード(検品しない設定)と判断した場合(S1003でNo)、コントローラ制御部400は、検品オフモードであることを検品装置1000へ通知し(S1004)、本フローチャートの処理を終了し、通常の印刷ジョブの処理を実行する。
【0075】
一方、上記S1003にて検品実施モード(検品する設定)と判断した場合(S1003でYes)、コントローラ制御部400は、検品実施モードを検品装置1000に送信する。また、コントローラ制御部400は、第1の比較判定でのOK閾値(1)、NG閾値(1)、第2の比較判定でのNG閾値(2)等の検品情報を検品装置1000に送信する(S1005)。
【0076】
次に、コントローラ制御部400は、印刷する文書のページ数や用紙サイズ、片面/両面印刷、フィニッシングモード等の印刷情報を検品装置1000に送信する(S1006)。
【0077】
次に、コントローラ制御部400は、印刷ジョブ中のPDLデータをRIP部500にて展開し、展開データ(第1の画像データ)を生成し、文書管理部454に格納する(S1007)。
【0078】
次に、コントローラ制御部400は、上記S1007で生成した展開データを検品装置1000に送信する(S1008)。
次に、コントローラ制御部400は、上記S1007で生成し文書管理部454に格納されている展開データを、プリンタ制御部301を介してプリンタ部300に送信して印刷処理を開始する(S1009)。
【0079】
そして、コントローラ制御部400は、検品装置1000からの送信情報を待つ(S1010)。コントローラ制御部400は、検品装置1000からの情報を受信すると(S1010でYes)、S1011に処理を進める。
【0080】
S1011では、コントローラ制御部400は、検品装置1000からの受信情報の内容が「検品終了」を示す情報であるかどうかを判断する(S1011)。そして、「検品終了」を示す情報であったと判断した場合(S1011でYes)、コントローラ制御部400は、本フローチャートの処理を終了する。
【0081】
一方、上記S1011にて、検品装置1000からの受信情報の内容が「検品終了」を示す情報でないと判断した場合(S1011でNo)、コントローラ制御部400は、S1012に処理を進める。
【0082】
S1012では、コントローラ制御部400は、検品装置1000からの受信情報が「エラー」情報かどうかを判断し、「印刷不良」情報であると判断した場合(S1012でYes)、コントローラ制御部400は、S1013に処理を進める。
【0083】
コントローラ制御部400は、印刷処理を中断し(S1013)、印刷不良が発生したことを操作部800のLCD表示部805に表示することで操作者に印刷不良が発生したことを通知する(S1014)。そして、S1015に処理を進める。なお、印刷ジョブの送信元の外部コンピュータ453に印刷不良が発生したことを示す情報を送信して、外部コンピュータ453のモニタに表示させる構成でもよい。なお、印刷処理を中断した段階で、MFP900及び検品装置1000のシート搬送路内に存在するシートの印刷及び検品は実行し、当該印刷及び検品が完了したところで、印刷処理を中断すればよい。
【0084】
次に、S1015では、コントローラ制御部400は、検品装置1000からの受信情報に含まれる印刷不良が発生したページ番号に対応する印刷物の再印刷処理を実行し、S1010に処理を戻す。なお、図14には示していないが、コントローラ制御部400は、上記S1015の再印刷処理を完了した後には、必要なページから中断した印刷処理を再開するものとする。例えば、検品装置1000が不図示の退避トレイ等を備え、再印刷した印刷物を本来の順序に割り込ませて排出できる構成の装置の場合、再印刷処理を完了した後には、S1013で中断したページから印刷処理を再開する。一方、検品装置1000が、退避トレイ等を備えず、再印刷した印刷物を本来の順序に割り込ませることができない構成の検品装置の場合、再印刷処理を完了した後には、再印刷したページの続きのページから印刷処理を再開する。なお、再印刷されたページも検品装置1000により再度、検品処理されるものとする。
【0085】
なお、上記S1012にて、コントローラ制御部400は、検品装置1000からの受信情報が「印刷不良」を示す情報でないと判断した場合(S1012でNo)、上記受信情報を解析し、その内容に応じた処理を実行する(S1016)。そして、本フローチャートの処理を終了する。
【0086】
次に、図15のフローチャートを用いて、検品装置1000の動作を説明する。
図15は、検品装置1000の動作を説明するフローチャートである。なお、このフローチャートの処理は、例えば、検品装置1000の比較判定制御部1002内の不図示のCPUが不図示のROM等に記録されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0087】
比較判定制御部1002は、MFP900から送信される検品実施モードや第1の比較判定でのOK閾値(1)、NG閾値(1)、第2の比較判定でのNG閾値(2)等の検品情報を外部I/F1003を介して受信する(S1101)。
【0088】
次に、比較判定制御部1002は、上記S1101で受信した検品情報を解析し、検品実施モードであるかどうかを判断する(S1102)。そして、比較判定制御部1002は、検品実施モードでない(検品オフモードである)と判断した場合(S1102でNo)、そのまま本フローチャートの処理を終了する。
【0089】
一方、上記S1102にて検品実施モードであると判断した場合(S1102でYes)、比較判定制御部1002は、S1103に処理を進める。
S1103では、比較判定制御部1002は、引き続きMFP900から送信される、印刷する文書のページ数や用紙サイズ、片面/両面印刷、フィニッシングモード等の印刷情報を受信する。
【0090】
さらに、比較判定制御部1002は、MFP900から送信される展開データを受信し、比較判定制御部1002内の不図示のRAM等に格納する(S1104)。
次に、比較判定制御部1002は、センサ1005にて印刷物の搬入が検出されるまで待機し、センサ1005にて印刷物の搬入が検出されたと判断した場合(S1105でYes)、S1106に処理を進める。
【0091】
S1106では、比較判定制御部1002は、イメージリーダ制御部1001を介してリーダ部1004を動作させて印刷物の両面の画像をスキャンしてスキャン画像データ(第2の画像データ)を生成し、該画像データを不図示のRAMに格納する。なお、両面印刷の場合は、表面及び裏面からそれぞれスキャン画像データ(第2の画像データ)を生成する。
【0092】
そして、比較判定制御部1002は、上記S1106で生成した表面又は裏面のスキャン画像データ(以下、現在のスキャン画像データ)から1つの判定領域に着目する。そして、比較判定制御部1002は、その判定領域(現在の判定領域)にて、現在のスキャン画像データと、RAMに格納されている対象の展開データを1画素おきに比較判定する(S1107)(第1の比較判定)。
【0093】
次に、比較判定制御部1002は、上記S1107の比較判定結果に基づいて現在の判定領域においてNG画素数がNG閾値(1)以上であるか否かを判断する(S1108)。
そして、現在の判定領域においてNG画素数がNG閾値(1)以上であると判断した場合(S1108でYes)、比較判定制御部1002は、印刷不良の通知、及び、印刷不良が発生したページ番号を含む情報をMFP900に通知する(S1116)。なお、印刷不良が発生したページ番号は、検品装置1000が、印刷の開始後、センサ1005を通過したシートの数を把握することによって特定することができる。
【0094】
一方、現在の判定領域においてNG画素数がNG閾値(1)以上でないと判断した場合(S1108でNo)、比較判定制御部1002は、現在の判定領域においてNG画素数がOK閾値(1)以下であるか否かを判断する(S1109)。
【0095】
そして、現在の判定領域においてNG画素数がOK閾値(1)以下であると判断した場合(S1109でYes)、比較判定制御部1002は、S1112に処理を進める。
一方、現在の判定領域においてNG画素数がOK閾値(1)以下でないと判断した場合(S1109でNo)、比較判定制御部1002は、S1110に処理を進める。
S1110では、比較判定制御部1002は、現在のスキャン画像データと、RAMに格納されている対象の展開データを、現在の判定領域内で上記S1007で比較していない画素について比較判定する(第2の比較判定)。
【0096】
次に比較判定制御部1002は、S1107及びS1110の比較判定結果に基づいて現在の判定領域においてNG画素数(第1の比較判定でのNG画素数と第2の比較判定でのNG画素数との合計)がNG閾値(2)以上であるか否かを判断する(S1111)。
【0097】
そして、現在の判定領域においてNG画素数がNG閾値(2)以上であると判断した場合(S1111でYes)、比較判定制御部1002は、印刷不良の通知、及び、印刷不良が発生したページ番号を含む情報をMFP900に通知する(S1116)。
【0098】
一方、現在の判定領域においてNG画素数がNG閾値(2)以上でないと判断した場合(S1111でNo)、比較判定制御部1002は、S1112に処理を進める。
S1112では、比較判定制御部1002は、全ての判定領域での不良画像の有無の判定を終了したか否かを判断する。
そして、上記S1112にて、まだ不良画像の判定を行っていない判定領域があると判断した場合(S1112でNo)、比較判定制御部1002は、S1107に処理を戻して、次の判定領域での不良画像の判定を行う。
【0099】
一方、上記S1112にて、全ての判定領域での不良画像の有無の判定を終了したと判断した場合(S1112でYes)、比較判定制御部1002は、S113に処理を進める。
【0100】
S1113では、比較判定制御部1002は、表面/裏面の両面の検品が終了したかどうかを判断し、両面が終了していないと判断した場合(S1113でNo)、S1107に処理を戻し、もう一方の面のスキャン画像データを処理する。なお、両面印刷が指定されている場合にのみS1113の判定を行い、片面印刷が指定されている場合には、S1113の判定を省いてもよい。
【0101】
一方、両面終了したと判断した場合(S1113でYes)、比較判定制御部1002は、上記S1103で受信した印刷情報内のページ数と検品済みページ数を比較することで全ページの印刷が終了したかを判断する(S1114)。なお、再印刷がなされた場合は、再印刷も含めて終了を判断する。
【0102】
そして、まだ全ページの印刷が終了していないと判断した場合(S1114でNo)、比較判定制御部1002は、S1105に処理を戻す。
一方、全ページの印刷が終了したと判断した場合(S1114でYes)、比較判定制御部1002は、「検品終了」をMFP900に通知して(S1115)、本フローチャートの処理を終了する。
【0103】
なお、上記S1116の印刷不良の通知により、MFP900では、再印刷処理が実行される。この際、検品装置1000が不図示の退避トレイを備える場合、印刷不良となった印刷物のみMFP900で再印刷される。検品装置1000では、印刷不良となった印刷物のみ不図示のNGトレイに廃棄し、その時点で印刷済みの後続ページの印刷物を退避トレイに退避させておき、再印刷物の搬入を待機する。そして、再印刷物が搬入され印刷不良がないと判断すると、該再印刷物を本来の順序に割り込ませて排出する。一方、検品装置1000が退避トレイを備えていない場合、印刷不良となった印刷物とその時点で印刷済みの後続ページの印刷物が印刷装置で再印刷される。検品装置1000では、印刷不良となった印刷物とその時点で印刷済みの後続ページの印刷物をNGトレイに廃棄し、再印刷物の搬入を待機することとなる。
【0104】
以上述べたように、本実施形態にかかるMFPでは、全ての印刷物を対象に、印刷時に印刷不良の有無を精度よく高速に検出することができる。これにより、顧客に納品する印刷物の生産性を維持し、顧客に納品する印刷物への不良品の混入を効率よく防止することができる。
【0105】
なお、上記S1014にてユーザに印字不良が発生したことを通知した後、上記S1015で自動的に再印刷を実行する構成を示した。しかし、上記S1014にてユーザに印字不良が発生したことを通知するとともに、再印刷の実行の有無をユーザに問い合わせ(ユーザによる選択操作を受付)、ユーザから再印刷の実行が指示された場合に、上記S1015で再印刷を実行する構成でもよい。なお、ユーザから再印刷の実行が指示されなかった場合には、上記S1015で印刷処理自体を中止する構成でもよい。
【0106】
また、上記S1014にて印刷不良が発生した箇所(印刷不良箇所)をユーザに通知する構成でもよい。この場合、上記S1116にて比較判定制御部1002が、現在のスキャン画像データの現在の印刷範囲(即ち、印刷不良と判定された印刷範囲)を特定可能にマーキングした画像データを生成してMFP900に送信する。又は、印刷不良が発生したページ番号と印刷不良と判定された印刷範囲を示す情報をMFP900に通知する。そして、上記S1014にてコントローラ制御部400が、印刷不良が発生した箇所を特定可能な画像を、操作部800のLCD表示部805に表示する。又は、印刷不良が発生した箇所を特定可能な画像を送信して、外部コンピュータ453のモニタに表示させる構成でもよい。
【0107】
なお、第1の比較判定を行う際に1画素おきの画素)に対して第1の比較判定処理を行う構成を示した。しかし、1画素おきでなくとも、一定の規則(又は一定の間隔)で抽出した画素に対して第1の比較判定処理を行う構成であればどのような構成でもよい。例えば、N画素おきに抽出してもよい(Nは自然数)。また、複数画素抽出した後に1画素とばして抽出する方法でもよいし、N0画素抽出した後にN1画素とばし、N2画素抽出した後にN3画素とばすといった抽出を繰り返す構成でもよい(N0〜N3は自然数)。
【実施例2】
【0108】
上記実施例1では、第1の比較判定を行う際に、処理速度を重視するため一定の規則で抽出した画素(1画素おきの画素)に対して第1の比較判定処理を行う構成であった。実施例2では、同一ページ画像を複数部印刷する場合には、ランダムな位置の画素を対象に第1の比較判定を行うように構成する。
【0109】
この構成により、同一ページ画像を複数部印刷する場合、第1の比較判定で判定対象とならない画素において繰り返し同様の不良画像が発生するようなケースの印刷不良を、複数部の比較判定を行う過程で検出することが可能となる。即ち、1部目の第1の比較判定では検出できなかった不良画像でも、2部目以降(例えば、3部目)の第1の比較判定で検出可能であり、顧客に納品する印刷物への不良品の混入を効率よく防止することができる。
【0110】
(他の実施例)
上記実施例1では、検品情報(検品する/しない、OK閾値(1)、NG閾値(1)、NG閾値(2)等)の設定を外部コンピュータ上のプリンタドライバの設定画面で設定し、この設定をMFP900に送信する構成を説明した。しかし、検品情報の設定をMFP900の操作部800で行うように構成してもよい。
【0111】
なお、MFP900のイメージリーダ200で読み取った画像データをプリンタ部300で印刷する印刷ジョブ(コピージョブ)についても、検品処理を実行可能にしてもよい。
【0112】
また、MFP900に文書管理部454やHDD407等の記憶装置に記憶された画像データに基づく印刷ジョブ(ボックス印刷ジョブ)についても、検品処理を実行可能にしてもよい。なお、上記コピージョブやボックス印刷ジョブの場合、検品情報の設定をMFP900の操作部800で行うものとする。
【0113】
また、上記実施例1では、OK閾値(1)、NG閾値(1)、NG閾値(2)を操作者が、任意に設定可能としたが、固定値を検品装置1000内の不図示のROM等に記憶させておく構成でもよい。
【0114】
また、上記実施例1では、MFP900にて展開データを生成した。しかし、外部コンピュータ453にて展開データを生成し、これをMFP900に送信し、さらにMFP900から検品装置1000に送信する構成でもよい。また、外部コンピュータ453から直接、検品装置1000に展開データを送信する構成でもよい。
【0115】
また、上記実施例1では、検品装置1000にて、比較判定を行う構成を説明した。しかし、スキャン画像データを検品装置1000からMFP900に送信し、MFP900側で比較判定等を行う構成でもよい。
【0116】
また、上記実施例1では、MFP900と検品装置1000とが別ユニットとなる構成を説明した。しかし、この構成に限定されるものではなく、検品装置1000がMFP900内に組み込まれた構成でもよい。
【0117】
(他の実施例2)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【0118】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施例の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。即ち、上述した各実施例及びその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【0119】
以上示したように、印刷物における印刷不良の有無を精度よく高速に検出することにより、顧客に納品する印刷物への不良品の混入を効率よく防止することができる。
【符号の説明】
【0120】
900 MFP
1000 検品装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像データに基づいて印刷媒体に印刷処理を行う印刷手段と、
前記印刷手段により印刷処理された印刷媒体を読み取り第2の画像データを生成する読取手段と、
前記第1の画像データと前記第2の画像データとを部分的に比較して印刷不良の有無を判定する第1の比較判定処理を行う第1の比較判定手段と、
前記第1の画像データと前記第2の画像データとを前記第1の比較判定処理で比較していない部分で比較して印刷不良の有無を判定する第2の比較判定処理を行う第2の比較判定手段と、
前記第1の比較判定処理で前記印刷不良の有無を判定できた場合には前記第2の比較判定処理を実行せず、前記第1の比較判定処理を行って前記印刷不良の有無を判定できなかった場合には前記第2の比較判定処理を実行するように制御する制御手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記第1の比較判定処理で印刷不良の有無を判定できた場合とは、前記第1の比較判定処理での比較で印字不良でないことを示す条件を満たした場合、又は、前記第1の比較判定処理での比較で印字不良であることを示す条件を満たした場合であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第1の比較判定処理では、前記第1の画像データと前記第2の画像データの各画素のうち一定の規則で抽出した画素を比較することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記一定の規則で抽出した画素は、一定の間隔で抽出した画素であることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1の比較判定処理では、前記第1の画像データと前記第2の画像データの各画素のうちランダムに抽出した画素を比較することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第1の比較判定処理及び前記第2の比較判定処理では、前記第1の画像データと前記第2の画像データを所定サイズの判定領域に分けて各判定領域に対して比較判定を行うものであり、
前記第1の比較判定処理では、任意の判定領域で前記第1の画像データと前記第2の画像データとで画素値が異なる画素の数が第1の閾値を超えない場合に印刷不良が無いと判定し、或る判定領域で前記第1の画像データと前記第2の画像データとで画素値が異なる画素の数が第2の閾値を超える場合に印刷不良が有ると判定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第2の比較判定処理では、任意の判定領域で前記第1の画像データと前記第2の画像データとで画素値が異なる画素の数が第3の閾値を超えない場合には印刷不良が無いと判定し、一方、或る判定領域で前記第1の画像データと前記第2の画像データとで画素値が異なる画素の数が前記第3の閾値を超える場合には印刷不良が有ると判定することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記第1の閾値、前記第2の閾値、及び、前記第3の閾値を設定する設定手段を有することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記第1の比較判定処理又は前記第2の比較判定処理により、前記印刷不良が有ると判定された場合、前記第1の画像データを前記印刷手段により再印刷処理させることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記第1の比較判定処理又は前記第2の比較判定処理により、前記印刷不良が有ると判定された場合、印刷不良が発生した旨を操作者に通知する通知手段を有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記通知手段は、前記第1の比較判定処理又は前記第2の比較判定処理により、前記印刷不良が有ると判定された場合、前記第1の画像データの再印刷処理を行うか、前記印刷処理を中止するかの選択操作を受け付ける選択手段を有し、
前記制御手段は、前記選択手段で受け付けた選択操作に応じて、前記再印刷処理を実行する、又は、前記印刷処理を中止することを特徴とする請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記通知手段は、印刷不良箇所を操作者に通知することを特徴とする請求項10又は11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
画像処理装置の制御方法であって、
印刷手段が、第1の画像データに基づいて印刷媒体に印刷処理を行う印刷ステップと、
読取手段が、前記印刷ステップで印刷処理された印刷媒体を読み取り第2の画像データを生成する読取ステップと、
第1の比較判定手段が、前記第1の画像データと前記第2の画像データとを部分的に比較して印刷不良の有無を判定する第1の比較判定ステップと、
第2の比較判定手段が、前記第1の画像データと前記第2の画像データとを前記第1の比較判定ステップで比較していない部分で比較して印刷不良の有無を判定する第2の比較判定ステップと、
制御手段が、前記第1の比較判定ステップで前記印刷不良の有無を判定できた場合には前記第2の比較判定ステップを実行せず、前記第1の比較判定ステップで前記印刷不良の有無を判定できなかった場合には前記第2の比較判定ステップを実行するように制御する制御ステップと、
を有することを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項14】
請求項13に記載された画像処理装置の制御方法を、コンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−137736(P2011−137736A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298116(P2009−298116)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】