画像処理装置、画像表示システム、画像処理装置の制御方法、プログラム及び記録媒体
【課題】複数の画像表示部で画像を形成する場合に色や明るさの相違による違和感を抑制することが可能な画像処理装置、画像表示システム、画像処理装置の制御方法、プログラム及び記録媒体を提供する。
【解決手段】第1及び第2のプロジェクター3a,3bの目標白色点Wt1,Wt2が定まると、目標設定部は、目標白色点Wt1,Wt2間の色差ΔEを導くとともに、目標白色点Wt1,Wt2の平均明度(L*wt1+L*wt2)/2を導く。その後、目標設定部は、目標白色点Wt1,Wt2をそれぞれ少しずつ変化させながら、色差ΔEと平均明度の導出を繰り返す。そして、色差ΔEが所定の閾値以下であって、平均明度が最大になる目標白色点Wt1,Wt2を最終的な目標白色点Wt1,Wt2として特定する。
【解決手段】第1及び第2のプロジェクター3a,3bの目標白色点Wt1,Wt2が定まると、目標設定部は、目標白色点Wt1,Wt2間の色差ΔEを導くとともに、目標白色点Wt1,Wt2の平均明度(L*wt1+L*wt2)/2を導く。その後、目標設定部は、目標白色点Wt1,Wt2をそれぞれ少しずつ変化させながら、色差ΔEと平均明度の導出を繰り返す。そして、色差ΔEが所定の閾値以下であって、平均明度が最大になる目標白色点Wt1,Wt2を最終的な目標白色点Wt1,Wt2として特定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像信号に色補正を施す画像処理装置、画像表示システム、画像処理装置の制御方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクター等の画像表示装置が表示する画像を鑑賞者に立体像として認識させるために、鑑賞者の右目及び左目に、それぞれ異なる画像(視差画像)を視認させるシステムが種々提案されている。このようなシステムの1つとして、2台のプロジェクターを配置して、一方から左眼用の画像を投写し、他方から右眼用の画像を投写する表示技術が知られている。左眼用の画像及び右眼用の画像は、偏光方向が異なる偏光光で投写され、鑑賞者は、これらの画像を、偏光メガネを通して鑑賞することにより、立体像を認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−54375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなシステムにおいて、2つのプロジェクターの色域(色再現域)がずれていると、画像内の同じ位置であっても右眼と左眼で異なる色を認識することになり、違和感を抱いたり、目が疲れたりする恐れがある。このため、双方のプロジェクターにおいて、各プロジェクターの色域が交わる領域(共通域)の色を用いて画像を形成するようにすれば、左眼用の画像と右眼用の画像の色を一致させることが可能になるが、利用可能な色域が小さくなるうえ、表示する画像の明るさが損なわれてしまうという問題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例に係る画像処理装置は、入力される画像信号に色補正を行って第1の画像表示部及び第2の画像表示部に出力する画像処理装置であって、前記第1の画像表示部の色域内に第1の目標白色点を設定するとともに、前記第2の画像表示部の色域内に、前記第1の目標白色点に対する色差が所定の閾値以下である第2の目標白色点を設定する目標設定部と、前記目標設定部で設定された前記第1の目標白色点及び前記第2の目標白色点に基づいて、前記画像信号を補正するための補正データを生成する補正データ生成部と、前記補正データ生成部で生成された前記補正データを用いて前記画像信号を補正して、前記第1の画像表示部及び前記第2の画像表示部に出力する補正処理部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この画像処理装置によれば、第1の画像表示部及び第2の画像表示部のそれぞれの色域内に、互いの色差が所定の閾値以下になるような第1の目標白色点及び第2の目標白色点を設定し、この第1及び第2の目標白色点に基づいて生成した補正データを用いて画像信号を補正する。この補正により、第1の画像表示部と第2の画像表示部の白色点が近づくとともに、これに伴って双方の色域も近づくため、色や明るさの相違による違和感を抑制することが可能となる。また、白色点や色域を完全に一致させる場合に比べて、色域の縮小や画像の明るさの低下を抑制することが可能となる。
【0008】
[適用例2]上記適用例に係る画像処理装置において、前記画像信号には、両眼視差を利用して立体像を認識させるための左眼用の画像信号及び右眼用の画像信号が含まれており、前記補正処理部は、前記左眼用の画像信号及び前記右眼用の画像信号のうち、一方の画像信号を前記第1の画像表示部に出力し、他方の画像信号を前記第2の画像表示部に出力することが望ましい。
【0009】
この画像処理装置によれば、左眼用の画像と右眼用の画像の色や明るさを近づけることができるため、2つの画像表示部で形成された立体像を観察する際の違和感を抑制することが可能となる。
【0010】
[適用例3]上記適用例に係る画像処理装置において、前記目標設定部は、前記第1の目標白色点の明度及び前記第2の目標白色点の明度の平均値が、前記第1の画像表示部の色域と前記第2の画像表示部の色域とが交わる共通域における白色点の明度よりも高くなるように前記第1の目標白色点及び前記第2の目標白色点を設定することが望ましい。
【0011】
この画像処理装置によれば、第1及び第2の目標白色点の平均明度が共通域の白色点の明度よりも高くなるように第1及び第2の目標白色点を設定するため、共通域を色域として画像を形成する場合よりも明るい画像を形成することが可能となる。
【0012】
[適用例4]上記適用例に係る画像処理装置において、前記目標設定部は、前記第1の目標白色点と前記第2の目標白色点の色差を、明度の差と、色度の差に分解するとともに、前記明度の差及び前記色度の差のそれぞれが、個別に定められた閾値以下になるように前記第1の目標白色点及び前記第2の目標白色点を設定するようにしてもよい。
【0013】
[適用例5]上記適用例に係る画像処理装置において、前記目標設定部は、前記第1の目標白色点と前記第2の目標白色点の色差を、前記色域の黒色点から前記白色点に至るグレー軸に沿う成分と、前記グレー軸に交差する成分とに分解するとともに、前記成分のそれぞれが、個別に定められた閾値以下になるように前記第1の目標白色点及び前記第2の目標白色点を設定するようにしてもよい。
【0014】
[適用例6]本適用例に係る画像表示システムは、上記適用例のいずれかに記載の画像処理装置と、前記第1の画像表示部と、前記第2の画像表示部とを備えたことを特徴とする。
【0015】
この画像表示システムによれば、上記適用例に係る画像処理装置と同様の効果を得ることができる。
【0016】
[適用例7]本適用例に係る画像処理装置の制御方法は、入力される画像信号に色補正を行って第1の画像表示部及び第2の画像表示部に出力する画像処理装置の制御方法であって、前記第1の画像表示部の色域内に第1の目標白色点を設定するとともに、前記第2の画像表示部の色域内に、前記第1の目標白色点に対する色差が所定の閾値以下である第2の目標白色点を設定する目標設定ステップと、前記目標設定ステップで設定された前記第1の目標白色点及び前記第2の目標白色点に基づいて、前記画像信号を補正するための補正データを生成する補正データ生成ステップと、前記補正データ生成ステップで生成された前記補正データを用いて前記画像信号を補正する補正処理ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0017】
この画像処理装置の制御方法によれば、第1の画像表示部及び第2の画像表示部のそれぞれの色域内に、互いの色差が所定の閾値以下になるような第1の目標白色点及び第2の目標白色点を設定し、この第1及び第2の目標白色点に基づいて生成した補正データを用いて画像信号を補正する。これにより、第1の画像表示部と第2の画像表示部の補正後の白色点が近づくとともに、これに伴って双方の補正後の色域も近づくため、色や明るさの相違による違和感を抑制することが可能となる。また、白色点や色域を完全に一致させるわけではないため、色域の縮小や画像の明るさの低下を抑制することが可能となる。
【0018】
[適用例8]本適用例に係るプログラムは、入力される画像信号に色補正を行って第1の画像表示部及び第2の画像表示部に出力するコンピューターに、前記第1の画像表示部の色域内に第1の目標白色点を設定するとともに、前記第2の画像表示部の色域内に、前記第1の目標白色点に対する色差が所定の閾値以下である第2の目標白色点を設定する目標設定ステップと、前記目標設定ステップで設定された前記第1の目標白色点及び前記第2の目標白色点に基づいて、前記画像信号を補正するための補正データを生成する補正データ生成ステップと、前記補正データ生成ステップで生成された前記補正データを用いて前記画像信号を補正する補正処理ステップと、を実行させることを特徴とする。
【0019】
このプログラムによれば、上記適用例に係る画像処理装置の制御方法と同様の効果を得ることができる。
【0020】
[適用例9]本適用例に係る記録媒体は、上記適用例に係るプログラムを記録したことを特徴とする。
【0021】
この記録媒体によれば、上記適用例に係るプログラムと同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】画像表示システムの概略構成を示す構成図。
【図2】プロジェクターの概略構成を示す構成図。
【図3】画像処理装置の機能を説明するための機能ブロック図。
【図4】画像処理装置の動作を説明するためのフローチャート。
【図5】L*u*v*色空間における第1及び第2のプロジェクターの色域を示す図。
【図6】u*v*平面における白色点を示す図。
【図7】L*u*v*色空間における白色点の近傍を示す拡大図。
【図8】L*u*v*色空間における第1及び第2のプロジェクターの目標色域を示す図。
【図9】変形例に係る閾値を説明するための図であり、L*u*v*色空間における白色点の近傍を示す拡大図。
【図10】変形例に係る第1及び第2のプロジェクターの色域を示す図。
【図11】変形例に係る画像表示システムの概略構成を示す構成図。
【図12】変形例に係る画像表示システムの概略構成を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本実施形態の画像表示システムについて、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の画像表示システムの概略構成を示す構成図である。
図1に示すように、画像表示システム100は、両眼視差を利用して鑑賞者に立体像(3D画像)を認識させることが可能なシステムであり、画像供給装置1と、画像処理装置2と、2つのプロジェクター3(第1のプロジェクター3a及び第2のプロジェクター3b)と、色測定装置4と、操作部5とを備えて構成されている。
【0024】
画像供給装置1は、画像処理装置2に画像信号を供給するものであり、各種画像再生装置やパーソナルコンピューター等によって構成される。また、画像供給装置1は、3D画像用の画像信号として、例えば、左眼用の画像を表す左眼用の画像信号と右眼用の画像を表す右眼用の画像信号とを左右に並べて1フレーム内に収めたサイドバイサイド方式の画像信号を画像処理装置2に供給する。
【0025】
画像処理装置2は、画像供給装置1から供給される画像信号に色補正を施して、プロジェクター3に出力する。また、画像供給装置1から3D画像用の画像信号が入力された場合には、画像処理装置2は、3D画像用の画像信号から左眼用の画像信号と右眼用の画像信号とを分離するとともに、分離した画像信号のそれぞれに対して色補正を施す。そして、色補正を施した左眼用の画像信号を第1のプロジェクター3aに出力し、色補正を施した右眼用の画像信号を第2のプロジェクター3bに出力する。
【0026】
プロジェクター3は、画像処理装置2から入力される画像信号に基づく画像光をスクリーンSCに投写して、スクリーンSC上に画像を表示する。このため、画像供給装置1が3D画像用の画像信号を画像処理装置2に供給する場合には、第1のプロジェクター3aは、左眼用の画像信号に基づく左眼用の画像光を投写し、第2のプロジェクター3bは、右眼用の画像信号に基づく右眼用の画像光を投写する。
【0027】
第1のプロジェクター3a及び第2のプロジェクター3bの外部には、それぞれ1又は複数の光学素子からなる光学装置30a,30bが配置されており、各プロジェクター3a,3bから射出された画像光は、光学装置30a,30bを経由してスクリーンSCに投写される。光学装置30a,30bは、第1のプロジェクター3aが投写する画像光の偏光方向と、第2のプロジェクター3bが投写する画像光の偏光方向とを、互いに直交する方向に揃える機能を有している。例えば、本実施形態では、第1のプロジェクター3aから投写された画像光は、光学装置30aによってs偏光に揃えられ、第2のプロジェクター3bから投写された画像光は、光学装置30bによってp偏光に揃えられる。なお、光学装置30a,30bは、プロジェクター3a,3bの外部に配置される構成に限られず、プロジェクター3a,3bの内部に配置するようにしてもよい。
【0028】
スクリーンSCは、鏡面反射を行うシルバースクリーンであり、反射後も画像光の偏光状態が維持される。このため、s偏光を透過させるフィルターを左眼側に有し、p偏光を透過させるフィルターを右眼側に有する偏光メガネ(図示せず)を装着してスクリーンSCに投写される画像を見ると、両眼視差によって立体像が認識される。なお、本実施形態の画像表示システム100が投写する画像は、立体像に限定されず、一方のプロジェクター3のみから通常の平面画像(2D画像)を投写することもできるし、2つのプロジェクター3の協働によって1つの2D画像を投写することもできる。
【0029】
図2は、プロジェクター3の概略構成を示す構成図である。
図2に示すように、プロジェクター3(第1及び第2のプロジェクター3a,3b)は、画像を形成(表示)する画像表示部31と、投写光学系としての投写レンズ35とを備えており、画像表示部31は、光源としての光源装置32、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ33R,33G,33B、色合成光学系としてのクロスダイクロイックプリズム34等で構成されている。
【0030】
光源装置32は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源ランプを含んで構成されており、光源装置32から射出された光は、光の3原色である赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色光成分に分離された後、それぞれ液晶ライトバルブ33R,33G,33Bに入射する。
【0031】
液晶ライトバルブ33R,33G,33Bは、一対の透明基板間に液晶が封入された透過型の液晶パネル等によって構成される。液晶ライトバルブ33R,33G,33Bには、複数の画素(図示せず)がマトリクス状に配列されており、液晶に対して画素毎に駆動電圧を印加可能になっている。そして、画像処理装置2から入力される画像信号に応じた駆動電圧が各画素に印加されると、各画素は、画像信号に応じた光透過率に設定される。このため、光源装置32から射出された光は、この液晶ライトバルブ33R,33G,33Bを透過することによって変調され、画像信号に応じた画像光が色光毎に形成される。クロスダイクロイックプリズム34は、各色の画像光を画素毎に合成してカラーの画像光を形成する。そして、画像表示部31で形成された画像光は、投写レンズ35からスクリーンSCに拡大投写される。
【0032】
図1に戻って、色測定装置4は、画像処理装置2の指示に基づいて、第1及び第2のプロジェクター3a,3bが投写した光の色特性を測定する。色測定装置4としては、例えば、入射した光をプリズムで分光させ、リニアアレイセンサーで波長毎の光量を検出する装置を用いることができる。色測定装置4は、例えば、XYZ表色系における三刺激値(XYZ値)を測定し、測定結果を画像処理装置2に出力する。
【0033】
操作部5は、例えば、キーボードや操作パネル等で構成され、ユーザーの入力操作を受け付けて、操作内容に応じた操作信号を画像処理装置2に出力する。なお、操作部5は、画像処理装置2に含まれる構成であってもよい。
【0034】
図3は、画像処理装置2の機能を説明するための機能ブロック図である。
図3に示すように、画像処理装置2は、目標設定部21と、LUT生成部22と、LUT記憶部23と、LUT選択部24と、色補正処理部25とを備えている。なお、画像処理装置2は、そのハードウェア構成として、CPUと、RAMやROM等のメモリーとを含むコンピューターを備えており、画像処理装置2の各機能は、メモリーに記憶されている制御プログラムに従ってCPUが動作することによって実現される。また、ASIC等のロジック回路によって実現することもできる。
【0035】
目標設定部21は、色測定装置4から入力される測定結果に基づいて、2つのプロジェクター3のそれぞれについて、画像信号を色補正する際の目標値を設定する。
【0036】
LUT生成部22は、目標設定部21で設定された目標値に基づき、2つのプロジェクター3のそれぞれについて、色補正を行うための補正データである色補正LUT(ルックアップテーブル)を生成する。
【0037】
LUT記憶部23は、RAM等の記憶手段を備えており、LUT生成部22で生成された色補正LUTを記憶する。また、LUT記憶部23には、3D画像の表示に適した色補正LUTの他に、2D画像の表示に適した色補正LUT等、複数種の色補正LUTが記憶されている。
【0038】
LUT選択部24は、LUT記憶部23に記憶されている複数種の色補正LUTの中から、画像供給装置1から入力される画像信号の種別(3D/2D)や、操作部5が受け付けたユーザーの操作に応じた色補正LUTを選択する。なお、画像信号の種別に応じて色補正LUTを選択する場合において、画像信号の種別を表す情報が画像信号に含まれている場合には、この情報に基づいて色補正LUTを選択すればよいが、画像信号を解析して種別を判別するようにしてもよい。
【0039】
色補正処理部25は、LUT選択部24で選択された色補正LUTをLUT記憶部23から読み出す。そして、画像供給装置1から入力される画像信号に対して、読み出した色補正LUTに基づいた色補正をプロジェクター3別に行い、補正後の画像信号を対応するプロジェクター3に出力する。具体的には、入力された画像信号が3D画像用の画像信号の場合には、色補正処理部25は、第1のプロジェクター3a用の色補正LUTで左眼用の画像信号の色補正を行い、第2のプロジェクター3b用の色補正LUTで右眼用の画像信号の色補正を行う。そして、補正後の左眼用の画像信号を第1のプロジェクター3aに出力し、補正後の右眼用の画像信号を第2のプロジェクター3bに出力する。
【0040】
次に、3D画像の表示に適する色補正LUTを生成して色補正する際の画像処理装置2の動作について説明する。
図4は、画像処理装置2の動作を説明するためのフローチャートである。
図4に示すように、画像処理装置2は、色測定装置4に指示をして、各プロジェクター3の色特性を測定させる(ステップS1)。具体的には、画像処理装置2は、色特性測定用の画像信号を一方のプロジェクター3に出力し、R、G、Bの各色について、最も暗い階調と最も明るい階調を含む複数の階調にそれぞれ対応する複数のテスト画像を順次投写させる。そして、スクリーンSCに順次投写されるテスト画像の色特性を色測定装置4に測定させ、その後、他方のプロジェクター3についてもテスト画像の投写と色特性の測定とを行う。色測定装置4は、双方のプロジェクター3におけるすべてのテスト画像についての測定結果(XYZ値)を画像処理装置2に出力する。なお、画像処理装置2は、プロジェクター3の本来の色特性が測定できるよう、テスト画像を投写する際には、色補正処理部25で色補正を行う機能を停止させている。また、色特性測定用の画像信号を画像供給装置1が供給するようにしてもよい。
【0041】
次に、画像処理装置2の目標設定部21が、テスト画像の測定結果に基づいて、2つのプロジェクター3のそれぞれについて、画像信号を色補正する際の目標値を設定する(ステップS2)。具体的には、まず、目標設定部21は、各プロジェクター3について、所定の色空間における本来の(色補正を行わない状態での)白色点と色域とを特定する。そして、特定した本来の白色点及び色域に基づいて、補正後の白色点である目標白色点と、補正後の色域である目標色域を目標値として導出する。なお、本実施形態において、ある色域における白色点とは、当該色域内で最も明度が高い点を指すものとする。
【0042】
ここで、図5〜図8を用いて、目標白色点の導出について説明する。
まず、目標設定部21は、テスト画像の測定結果に基づいて、均等色空間であるL*u*v*色空間における第1及び第2のプロジェクター3a,3bの本来の色域を特定する。
【0043】
図5は、L*u*v*色空間における第1及び第2のプロジェクター3a,3bの色域を示す図である。
図5に示すように、本実施形態では、第1のプロジェクター3aの色域A1と、第2のプロジェクター3bの色域A2とは大きくずれており、第1のプロジェクター3aの白色点W1の明度L*w1は、第2のプロジェクター3bの白色点W2の明度L*w2よりも高い値になっている。また、黒色点B0と白色点W1,W2とを結ぶ曲線は、第1及び第2のプロジェクター3a,3bのグレー軸G1,G2である。グレー軸G1,G2は、RGBの階調がすべて等しい場合の色を表す線であり、明度が低い色域ではL*軸に一致し、明度が高くなるにつれて徐々にL*軸から離れていく。なお、本実施形態において、ある色域における黒色点とは、当該色域内で最も明度が低い点を指すものとする。
【0044】
このように、第1のプロジェクター3aの色域A1と、第2のプロジェクター3bの色域A2がずれている場合には、2つの色域A1,A2が交わる領域(共通域)を新たな色域A12として設定し、第1のプロジェクター3a及び第2のプロジェクター3bの双方がこの色域A12内の色のみを利用するように画像信号の色補正を行えば、双方の色を一致させることが可能になる。しかしながら、この色域A12は、色域A1と色域A2とのずれが大きいほど、当初の色域A1,A2に比べて狭くなってしまううえ、色域A12の白色点W12の明度L*w12は、当初の明度L*w1,L*w2よりも相当低いため、画像が暗くなってしまう。
【0045】
このため、本実施形態では、第1のプロジェクター3aと第2のプロジェクター3bの双方が共通の色域A12を用いるのではなく、第1のプロジェクター3aの色域A1(白色点W1)と第2のプロジェクター3bの色域A2(白色点W2)とを、明度L*を大きく損なわない程度に近づけることによって、両者の色や明るさの違いを低減させるようにしている。
【0046】
図6は、u*v*平面における白色点W1,W2を示す図である。
図6に示すように、まず、目標設定部21は、L*u*v*色空間のu*v*平面上において、第1のプロジェクター3aの白色点W1と第2のプロジェクター3bの白色点W2を直線(線分)で結び、この直線上に、第1のプロジェクター3aの新たな白色点(目標白色点Wt1)と、第2のプロジェクター3bの新たな白色点(目標白色点Wt2)とを設定する。つまり、目標白色点Wt1,Wt2は、本来の白色点W1,W2から互いに近づくように設定される。なお、目標白色点Wt1,Wt2のu*v*平面上における座標をそれぞれ、(u*wt1,v*wt1)、(u*wt2,v*wt2)とする。
【0047】
図7は、L*u*v*色空間における白色点W1,W2の近傍を示す拡大図である。
図7に示すように、目標設定部21は、L*u*v*色空間における第1のプロジェクター3aの目標白色点Wt1の座標を、上述したu*v*平面における目標白色点Wt1の座標(u*wt1,v*wt1)を用いて、暫定的に(L*w1,u*wt1,v*wt1)に設定する。つまり、明度L*に関しては、第1のプロジェクター3aの本来の白色点W1の明度L*w1を使用する。ただし、この目標白色点Wt1は、第1のプロジェクター3aの色域A1の外側の点になってしまうため、目標白色点Wt1が色域A1内になるように、明度L*を下げる必要がある。このとき、明度L*をできるだけ高く維持するためには、目標白色点Wt1が色域A1の外郭上に位置するように明度L*を定めることが望ましい。
【0048】
そこで、目標設定部21は、目標白色点Wt1の暫定の座標(L*w1,u*wt1,v*wt1)を、L*u*v*色空間の定義に従ってXYZ値(Xt1,Yt1,Zt1)に変換し、さらに、以下の式(1)を用いて、RGB値(R1,G1,B1)に変換する。
【0049】
【数1】
【0050】
式(1)において、XR1,YR1,ZR1は、第1のプロジェクター3aの白色点W1のR成分のXYZ値、XG1,YG1,ZG1は、白色点W1のG成分のXYZ値、XB1,YB1,ZB1は、白色点W1のB成分のXYZ値である。
【0051】
上述したように、目標白色点Wt1の暫定の座標(L*w1,u*wt1,v*wt1)は、色域A1の外側であるため、式(1)で算出したR1,G1,B1のいずれかは1を超える値になる。このため、目標設定部21は、以下の式(2)に示すように、Xt1,Yt1,Zt1のそれぞれに、1/R1,1/G1,1/B1の中の最小値を乗じることにより、Xt1,Yt1,Zt1を均等に小さくしたXYZ値(Xt1´,Yt1´,Zt1´)を導出する。
【0052】
【数2】
【0053】
その後、目標設定部21は、Xt1´,Yt1´,Zt1´をL*u*v*色空間の座標値に変換することによって色域A1内に収まる目標白色点Wt1の明度L*wt1を定める。これにより、目標白色点Wt1の座標(L*wt1,u*wt1,v*wt1)が定まる。
【0054】
次に、目標設定部21は、第2のプロジェクター3bの目標白色点Wt2の座標(L*wt2,u*wt2,v*wt2)についても上記と同様の手順で定める(図7参照)。
【0055】
そして、双方の目標白色点Wt1,Wt2が定まると、目標設定部21は、第1のプロジェクター3aの目標白色点Wt1と、第2のプロジェクター3bの目標白色点Wt2との距離、即ち目標白色点Wt1,Wt2間の色差ΔEを導くとともに、目標白色点Wt1,Wt2の平均明度(L*wt1+L*wt2)/2を導く。
【0056】
その後、目標設定部21は、目標白色点Wt1,Wt2をそれぞれ少しずつ変化させながら、色差ΔEと平均明度の導出を繰り返す。そして、色差ΔEが所定の閾値以下であって、平均明度が少なくとも色域A12の白色点W12の明度L*w12(図5参照)より高くなるような目標白色点Wt1,Wt2を最終的な目標白色点Wt1,Wt2として特定する。なお、本来の白色点W1,W2の色差ΔEが所定の閾値以下である場合には、目標白色点Wt1,Wt2を導出する必要はなく、それぞれ本来の色域A1,A2を用いて画像を形成すればよい。
【0057】
図8は、L*u*v*色空間における第1及び第2のプロジェクター3a,3bの目標色域を示す図である。
図8に示すように、目標設定部21は、最終的な目標白色点Wt1,Wt2を定めた後に、新たなグレー軸(目標グレー軸Gt1,Gt2)を定める。この目標グレー軸Gt1,Gt2を定める際には、明度が低い色域ではL*軸に一致し、明度が高くなるにつれて徐々にL*軸から離れていくような曲線にして、双方の色差が目立たなくなるようにすることが望ましい。そして、目標グレー軸Gt1,Gt2が定まると、必然的に新たな色域(目標色域At1,At2)が定まる。
【0058】
図4に戻って、目標設定部21によって目標色域At1,At2が定まると、LUT生成部22は、本来の色域A1,A2から目標色域At1,At2へ変換するための色補正LUTを生成する(ステップS3)。つまり、LUT生成部22は、第1のプロジェクター3aの本来の色域A1から目標色域At1へ変換するための第1のプロジェクター3a用の色補正LUTと、第2のプロジェクター3bの本来の色域A2から目標色域At2へ変換するための第2のプロジェクター3b用の色補正LUTとを生成する。そして、生成した色補正LUTをLUT記憶部23に記憶する(ステップS4)。
【0059】
LUT選択部24は、LUT記憶部23に記憶されている複数種の色補正LUTの中から、上記ステップで生成・記憶した第1のプロジェクター3a用及び第2のプロジェクター3b用の色補正LUTを選択する(ステップS5)。そして、色補正処理部25は、LUT選択部24で選択された色補正LUTをLUT記憶部23から読み出し(ステップS6)、画像供給装置1から入力される画像信号に対して、読み出した色補正LUTに基づいた色補正をプロジェクター3別に行う(ステップS7)。そして、色補正後の画像信号を第1のプロジェクター3a及び第2のプロジェクター3bに出力する。この結果、第1のプロジェクター3a及び第2のプロジェクター3bの色や明るさの違いが抑制された状態で画像が投写される。
【0060】
以上説明したように、本実施形態の画像処理装置2によれば、以下の効果を得ることができる。
【0061】
(1)本実施形態の画像処理装置2によれば、第1のプロジェクター3a及び第2のプロジェクター3bのそれぞれの色域A1,A2内に、色差が所定の閾値以下になるような目標白色点Wt1,Wt2を設定し、この目標白色点Wt1,Wt2に基づいて生成した色補正LUTを用いて画像信号を補正する。この補正により、第1のプロジェクター3aと第2のプロジェクター3bの白色点が近づくとともに、これに伴って双方の色域も近づくため、色や明るさの相違による違和感を抑制することが可能となる。また、白色点や色域を完全に一致させる場合に比べて、色域の縮小や画像の明るさの低下を抑制することが可能となる。
【0062】
(2)本実施形態の画像処理装置2によれば、左眼用の画像と右眼用の画像の色や明るさを近づけることができるため、2つのプロジェクター3で形成された立体像を観察する際の違和感を抑制することが可能となる。
【0063】
(3)本実施形態の画像処理装置2によれば、2つの目標白色点Wt1,Wt2の平均明度が共通の色域A12の白色点W12の明度L*w12よりも高くなるように目標白色点Wt1,Wt2を設定するため、双方のプロジェクター3が共通の色域A12を用いて画像を形成する場合よりも明るい画像を形成することが可能となる。
【0064】
なお、本実施形態において、第1のプロジェクター3aの画像表示部31が第1の画像表示部に相当し、第2のプロジェクター3bの画像表示部31が第2の画像表示部に相当する。
【0065】
(変形例)
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0066】
上記実施形態では、色差ΔEが所定の閾値以下になるように目標白色点Wt1,Wt2を設定し、目標白色点Wt1,Wt2に基づいて目標色域At1,At2を決定しているが、赤色、緑色、青色に関しても、2つのプロジェクター3a,3bの色差がそれぞれ所定の閾値以下となるように目標値を定め、目標白色点Wt1,Wt2とともにこれらの目標値に基づいて目標色域At1,At2を決定するようにしてもよい。
【0067】
上記実施形態では、第1のプロジェクター3aの目標白色点Wt1と、第2のプロジェクター3bの目標白色点Wt2とを互いに近づけるようにしているが、この態様に限られず、一方の白色点は固定して、他方の白色点のみを動かすようにしてもよい。
【0068】
上記実施形態において、色差ΔEの閾値は、予め画像処理装置2内に記憶しておくようにすればよい。また、閾値は固定である必要はなく、種々の条件に応じて変化するようにしてもよい。例えば、周囲が明るい場合には、人間の順応輝度が高くなるため、プロジェクター3の色域が相対的に小さくなり、2つのプロジェクター3a,3bの色差が小さくなる。このため、周囲が明るい場合ほど閾値を小さくするようにしてもよい。或いは、順応輝度の変化を考慮して色域A1,A2を定めることにより、常に固定の閾値を用いるようにしてもよい。
【0069】
上記実施形態では、目標白色点Wt1,Wt2の色差ΔEが所定の閾値以下になるようにしているが、図9に示すように、色差ΔEを明度の差ΔL*と色度の差ΔEu*v*に分解するとともに、それぞれの閾値を個別に定め、その双方が閾値以下になるように目標白色点Wt1,Wt2を定めるようにしてもよい。また、明度が高い色域ではグレー軸G1,G2が傾いているため、グレー軸G1,G2のいずれか一方に沿う成分ΔL*´と、交差する成分ΔEu*v*´とに分解して、それぞれの閾値を個別に定めるようにしてもよい。
【0070】
上記実施形態において、第1のプロジェクター3aの色域A1と、第2のプロジェクター3bの色域A2のずれは、図5に示した態様に限定されない。例えば、図10に示すように、第2のプロジェクター3bの白色点W2が、第1のプロジェクター3aの色域A1内に含まれるような態様であっても、上記実施形態と同様の手順で目標白色点Wt1,Wt2や目標色域At1,At2を定めることが可能である。
【0071】
上記実施形態では、画像表示システム100の構成として、画像処理装置2がプロジェクター3とは分離している構成を示したが、画像表示システム100の構成は上記に限定されない。例えば、図11に示すように、一方のプロジェクター3(図11では、第1のプロジェクター3a)が、画像処理装置2と同等の機能を有する画像処理部36と、操作パネル等からなる操作部37とを備えるようにしてもよい。また、図12に示すように、1つのプロジェクター3が、画像処理部36及び操作部37とともに、2つの画像表示部31a,31bを備えるようにして、画像処理部36から画像表示部31a,31bに左眼用及び右眼用の画像信号をそれぞれ出力するようにしてもよい。そして、図示した例では、画像表示部31a,31bで形成された画像光は、それぞれ光学装置38a,38bによって偏光方向が互いに直交する偏光光に揃えられた後、偏光合成プリズム39で合成されて投写レンズ35から投写される。
【0072】
上記実施形態では、スクリーンSCに投写される左眼用及び右眼用の画像は、偏光方向が互いに直交する直線偏光によって形成されているが、回転方向が異なる円偏光によって左右の画像を形成するようにしてもよい。
【0073】
上記実施形態では、画像供給装置1から画像処理装置2にサイドバイサイド方式の画像信号が入力されているが、入力される画像信号は、サイドバイサイド方式に限定されず、例えば、トップアンドボトム方式であってもよい。また、左眼用の画像信号と右眼用の画像信号とをフレーム単位で交互に出力する態様であってもよい。
【0074】
上記実施形態のプロジェクター3では、光変調装置として、透過型の液晶ライトバルブ33R,33G,33Bを用いているが、反射型の液晶ライトバルブ等、反射型の光変調装置を用いることも可能である。また、入射した光の射出方向を、画素としてのマイクロミラー毎に制御することにより、光源から射出した光を変調する微小ミラーアレイデバイス等を用いることもできる。
【符号の説明】
【0075】
1…画像供給装置、2…画像処理装置、3…プロジェクター、3a…第1のプロジェクター、3b…第2のプロジェクター、4…色測定装置、5…操作部、21…目標設定部、22…LUT生成部(補正データ生成部)、23…LUT記憶部、24…LUT選択部、25…色補正処理部(補正処理部)、30a,30b…光学装置、31,31a,31b…画像表示部、32…光源装置、33R,33G,33B…液晶ライトバルブ、34…クロスダイクロイックプリズム、35…投写レンズ、36…画像処理部、37…操作部、38a,38b…光学装置、39…偏光合成プリズム、100…画像表示システム、A1,A2,A12…色域、At1,At2…目標色域、W1,W2,W12…白色点、Wt1,Wt2…目標白色点、B0…黒色点、G1,G2…グレー軸、Gt1,Gt2…目標グレー軸、SC…スクリーン。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像信号に色補正を施す画像処理装置、画像表示システム、画像処理装置の制御方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクター等の画像表示装置が表示する画像を鑑賞者に立体像として認識させるために、鑑賞者の右目及び左目に、それぞれ異なる画像(視差画像)を視認させるシステムが種々提案されている。このようなシステムの1つとして、2台のプロジェクターを配置して、一方から左眼用の画像を投写し、他方から右眼用の画像を投写する表示技術が知られている。左眼用の画像及び右眼用の画像は、偏光方向が異なる偏光光で投写され、鑑賞者は、これらの画像を、偏光メガネを通して鑑賞することにより、立体像を認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−54375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなシステムにおいて、2つのプロジェクターの色域(色再現域)がずれていると、画像内の同じ位置であっても右眼と左眼で異なる色を認識することになり、違和感を抱いたり、目が疲れたりする恐れがある。このため、双方のプロジェクターにおいて、各プロジェクターの色域が交わる領域(共通域)の色を用いて画像を形成するようにすれば、左眼用の画像と右眼用の画像の色を一致させることが可能になるが、利用可能な色域が小さくなるうえ、表示する画像の明るさが損なわれてしまうという問題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例に係る画像処理装置は、入力される画像信号に色補正を行って第1の画像表示部及び第2の画像表示部に出力する画像処理装置であって、前記第1の画像表示部の色域内に第1の目標白色点を設定するとともに、前記第2の画像表示部の色域内に、前記第1の目標白色点に対する色差が所定の閾値以下である第2の目標白色点を設定する目標設定部と、前記目標設定部で設定された前記第1の目標白色点及び前記第2の目標白色点に基づいて、前記画像信号を補正するための補正データを生成する補正データ生成部と、前記補正データ生成部で生成された前記補正データを用いて前記画像信号を補正して、前記第1の画像表示部及び前記第2の画像表示部に出力する補正処理部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この画像処理装置によれば、第1の画像表示部及び第2の画像表示部のそれぞれの色域内に、互いの色差が所定の閾値以下になるような第1の目標白色点及び第2の目標白色点を設定し、この第1及び第2の目標白色点に基づいて生成した補正データを用いて画像信号を補正する。この補正により、第1の画像表示部と第2の画像表示部の白色点が近づくとともに、これに伴って双方の色域も近づくため、色や明るさの相違による違和感を抑制することが可能となる。また、白色点や色域を完全に一致させる場合に比べて、色域の縮小や画像の明るさの低下を抑制することが可能となる。
【0008】
[適用例2]上記適用例に係る画像処理装置において、前記画像信号には、両眼視差を利用して立体像を認識させるための左眼用の画像信号及び右眼用の画像信号が含まれており、前記補正処理部は、前記左眼用の画像信号及び前記右眼用の画像信号のうち、一方の画像信号を前記第1の画像表示部に出力し、他方の画像信号を前記第2の画像表示部に出力することが望ましい。
【0009】
この画像処理装置によれば、左眼用の画像と右眼用の画像の色や明るさを近づけることができるため、2つの画像表示部で形成された立体像を観察する際の違和感を抑制することが可能となる。
【0010】
[適用例3]上記適用例に係る画像処理装置において、前記目標設定部は、前記第1の目標白色点の明度及び前記第2の目標白色点の明度の平均値が、前記第1の画像表示部の色域と前記第2の画像表示部の色域とが交わる共通域における白色点の明度よりも高くなるように前記第1の目標白色点及び前記第2の目標白色点を設定することが望ましい。
【0011】
この画像処理装置によれば、第1及び第2の目標白色点の平均明度が共通域の白色点の明度よりも高くなるように第1及び第2の目標白色点を設定するため、共通域を色域として画像を形成する場合よりも明るい画像を形成することが可能となる。
【0012】
[適用例4]上記適用例に係る画像処理装置において、前記目標設定部は、前記第1の目標白色点と前記第2の目標白色点の色差を、明度の差と、色度の差に分解するとともに、前記明度の差及び前記色度の差のそれぞれが、個別に定められた閾値以下になるように前記第1の目標白色点及び前記第2の目標白色点を設定するようにしてもよい。
【0013】
[適用例5]上記適用例に係る画像処理装置において、前記目標設定部は、前記第1の目標白色点と前記第2の目標白色点の色差を、前記色域の黒色点から前記白色点に至るグレー軸に沿う成分と、前記グレー軸に交差する成分とに分解するとともに、前記成分のそれぞれが、個別に定められた閾値以下になるように前記第1の目標白色点及び前記第2の目標白色点を設定するようにしてもよい。
【0014】
[適用例6]本適用例に係る画像表示システムは、上記適用例のいずれかに記載の画像処理装置と、前記第1の画像表示部と、前記第2の画像表示部とを備えたことを特徴とする。
【0015】
この画像表示システムによれば、上記適用例に係る画像処理装置と同様の効果を得ることができる。
【0016】
[適用例7]本適用例に係る画像処理装置の制御方法は、入力される画像信号に色補正を行って第1の画像表示部及び第2の画像表示部に出力する画像処理装置の制御方法であって、前記第1の画像表示部の色域内に第1の目標白色点を設定するとともに、前記第2の画像表示部の色域内に、前記第1の目標白色点に対する色差が所定の閾値以下である第2の目標白色点を設定する目標設定ステップと、前記目標設定ステップで設定された前記第1の目標白色点及び前記第2の目標白色点に基づいて、前記画像信号を補正するための補正データを生成する補正データ生成ステップと、前記補正データ生成ステップで生成された前記補正データを用いて前記画像信号を補正する補正処理ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0017】
この画像処理装置の制御方法によれば、第1の画像表示部及び第2の画像表示部のそれぞれの色域内に、互いの色差が所定の閾値以下になるような第1の目標白色点及び第2の目標白色点を設定し、この第1及び第2の目標白色点に基づいて生成した補正データを用いて画像信号を補正する。これにより、第1の画像表示部と第2の画像表示部の補正後の白色点が近づくとともに、これに伴って双方の補正後の色域も近づくため、色や明るさの相違による違和感を抑制することが可能となる。また、白色点や色域を完全に一致させるわけではないため、色域の縮小や画像の明るさの低下を抑制することが可能となる。
【0018】
[適用例8]本適用例に係るプログラムは、入力される画像信号に色補正を行って第1の画像表示部及び第2の画像表示部に出力するコンピューターに、前記第1の画像表示部の色域内に第1の目標白色点を設定するとともに、前記第2の画像表示部の色域内に、前記第1の目標白色点に対する色差が所定の閾値以下である第2の目標白色点を設定する目標設定ステップと、前記目標設定ステップで設定された前記第1の目標白色点及び前記第2の目標白色点に基づいて、前記画像信号を補正するための補正データを生成する補正データ生成ステップと、前記補正データ生成ステップで生成された前記補正データを用いて前記画像信号を補正する補正処理ステップと、を実行させることを特徴とする。
【0019】
このプログラムによれば、上記適用例に係る画像処理装置の制御方法と同様の効果を得ることができる。
【0020】
[適用例9]本適用例に係る記録媒体は、上記適用例に係るプログラムを記録したことを特徴とする。
【0021】
この記録媒体によれば、上記適用例に係るプログラムと同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】画像表示システムの概略構成を示す構成図。
【図2】プロジェクターの概略構成を示す構成図。
【図3】画像処理装置の機能を説明するための機能ブロック図。
【図4】画像処理装置の動作を説明するためのフローチャート。
【図5】L*u*v*色空間における第1及び第2のプロジェクターの色域を示す図。
【図6】u*v*平面における白色点を示す図。
【図7】L*u*v*色空間における白色点の近傍を示す拡大図。
【図8】L*u*v*色空間における第1及び第2のプロジェクターの目標色域を示す図。
【図9】変形例に係る閾値を説明するための図であり、L*u*v*色空間における白色点の近傍を示す拡大図。
【図10】変形例に係る第1及び第2のプロジェクターの色域を示す図。
【図11】変形例に係る画像表示システムの概略構成を示す構成図。
【図12】変形例に係る画像表示システムの概略構成を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本実施形態の画像表示システムについて、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の画像表示システムの概略構成を示す構成図である。
図1に示すように、画像表示システム100は、両眼視差を利用して鑑賞者に立体像(3D画像)を認識させることが可能なシステムであり、画像供給装置1と、画像処理装置2と、2つのプロジェクター3(第1のプロジェクター3a及び第2のプロジェクター3b)と、色測定装置4と、操作部5とを備えて構成されている。
【0024】
画像供給装置1は、画像処理装置2に画像信号を供給するものであり、各種画像再生装置やパーソナルコンピューター等によって構成される。また、画像供給装置1は、3D画像用の画像信号として、例えば、左眼用の画像を表す左眼用の画像信号と右眼用の画像を表す右眼用の画像信号とを左右に並べて1フレーム内に収めたサイドバイサイド方式の画像信号を画像処理装置2に供給する。
【0025】
画像処理装置2は、画像供給装置1から供給される画像信号に色補正を施して、プロジェクター3に出力する。また、画像供給装置1から3D画像用の画像信号が入力された場合には、画像処理装置2は、3D画像用の画像信号から左眼用の画像信号と右眼用の画像信号とを分離するとともに、分離した画像信号のそれぞれに対して色補正を施す。そして、色補正を施した左眼用の画像信号を第1のプロジェクター3aに出力し、色補正を施した右眼用の画像信号を第2のプロジェクター3bに出力する。
【0026】
プロジェクター3は、画像処理装置2から入力される画像信号に基づく画像光をスクリーンSCに投写して、スクリーンSC上に画像を表示する。このため、画像供給装置1が3D画像用の画像信号を画像処理装置2に供給する場合には、第1のプロジェクター3aは、左眼用の画像信号に基づく左眼用の画像光を投写し、第2のプロジェクター3bは、右眼用の画像信号に基づく右眼用の画像光を投写する。
【0027】
第1のプロジェクター3a及び第2のプロジェクター3bの外部には、それぞれ1又は複数の光学素子からなる光学装置30a,30bが配置されており、各プロジェクター3a,3bから射出された画像光は、光学装置30a,30bを経由してスクリーンSCに投写される。光学装置30a,30bは、第1のプロジェクター3aが投写する画像光の偏光方向と、第2のプロジェクター3bが投写する画像光の偏光方向とを、互いに直交する方向に揃える機能を有している。例えば、本実施形態では、第1のプロジェクター3aから投写された画像光は、光学装置30aによってs偏光に揃えられ、第2のプロジェクター3bから投写された画像光は、光学装置30bによってp偏光に揃えられる。なお、光学装置30a,30bは、プロジェクター3a,3bの外部に配置される構成に限られず、プロジェクター3a,3bの内部に配置するようにしてもよい。
【0028】
スクリーンSCは、鏡面反射を行うシルバースクリーンであり、反射後も画像光の偏光状態が維持される。このため、s偏光を透過させるフィルターを左眼側に有し、p偏光を透過させるフィルターを右眼側に有する偏光メガネ(図示せず)を装着してスクリーンSCに投写される画像を見ると、両眼視差によって立体像が認識される。なお、本実施形態の画像表示システム100が投写する画像は、立体像に限定されず、一方のプロジェクター3のみから通常の平面画像(2D画像)を投写することもできるし、2つのプロジェクター3の協働によって1つの2D画像を投写することもできる。
【0029】
図2は、プロジェクター3の概略構成を示す構成図である。
図2に示すように、プロジェクター3(第1及び第2のプロジェクター3a,3b)は、画像を形成(表示)する画像表示部31と、投写光学系としての投写レンズ35とを備えており、画像表示部31は、光源としての光源装置32、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ33R,33G,33B、色合成光学系としてのクロスダイクロイックプリズム34等で構成されている。
【0030】
光源装置32は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源ランプを含んで構成されており、光源装置32から射出された光は、光の3原色である赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色光成分に分離された後、それぞれ液晶ライトバルブ33R,33G,33Bに入射する。
【0031】
液晶ライトバルブ33R,33G,33Bは、一対の透明基板間に液晶が封入された透過型の液晶パネル等によって構成される。液晶ライトバルブ33R,33G,33Bには、複数の画素(図示せず)がマトリクス状に配列されており、液晶に対して画素毎に駆動電圧を印加可能になっている。そして、画像処理装置2から入力される画像信号に応じた駆動電圧が各画素に印加されると、各画素は、画像信号に応じた光透過率に設定される。このため、光源装置32から射出された光は、この液晶ライトバルブ33R,33G,33Bを透過することによって変調され、画像信号に応じた画像光が色光毎に形成される。クロスダイクロイックプリズム34は、各色の画像光を画素毎に合成してカラーの画像光を形成する。そして、画像表示部31で形成された画像光は、投写レンズ35からスクリーンSCに拡大投写される。
【0032】
図1に戻って、色測定装置4は、画像処理装置2の指示に基づいて、第1及び第2のプロジェクター3a,3bが投写した光の色特性を測定する。色測定装置4としては、例えば、入射した光をプリズムで分光させ、リニアアレイセンサーで波長毎の光量を検出する装置を用いることができる。色測定装置4は、例えば、XYZ表色系における三刺激値(XYZ値)を測定し、測定結果を画像処理装置2に出力する。
【0033】
操作部5は、例えば、キーボードや操作パネル等で構成され、ユーザーの入力操作を受け付けて、操作内容に応じた操作信号を画像処理装置2に出力する。なお、操作部5は、画像処理装置2に含まれる構成であってもよい。
【0034】
図3は、画像処理装置2の機能を説明するための機能ブロック図である。
図3に示すように、画像処理装置2は、目標設定部21と、LUT生成部22と、LUT記憶部23と、LUT選択部24と、色補正処理部25とを備えている。なお、画像処理装置2は、そのハードウェア構成として、CPUと、RAMやROM等のメモリーとを含むコンピューターを備えており、画像処理装置2の各機能は、メモリーに記憶されている制御プログラムに従ってCPUが動作することによって実現される。また、ASIC等のロジック回路によって実現することもできる。
【0035】
目標設定部21は、色測定装置4から入力される測定結果に基づいて、2つのプロジェクター3のそれぞれについて、画像信号を色補正する際の目標値を設定する。
【0036】
LUT生成部22は、目標設定部21で設定された目標値に基づき、2つのプロジェクター3のそれぞれについて、色補正を行うための補正データである色補正LUT(ルックアップテーブル)を生成する。
【0037】
LUT記憶部23は、RAM等の記憶手段を備えており、LUT生成部22で生成された色補正LUTを記憶する。また、LUT記憶部23には、3D画像の表示に適した色補正LUTの他に、2D画像の表示に適した色補正LUT等、複数種の色補正LUTが記憶されている。
【0038】
LUT選択部24は、LUT記憶部23に記憶されている複数種の色補正LUTの中から、画像供給装置1から入力される画像信号の種別(3D/2D)や、操作部5が受け付けたユーザーの操作に応じた色補正LUTを選択する。なお、画像信号の種別に応じて色補正LUTを選択する場合において、画像信号の種別を表す情報が画像信号に含まれている場合には、この情報に基づいて色補正LUTを選択すればよいが、画像信号を解析して種別を判別するようにしてもよい。
【0039】
色補正処理部25は、LUT選択部24で選択された色補正LUTをLUT記憶部23から読み出す。そして、画像供給装置1から入力される画像信号に対して、読み出した色補正LUTに基づいた色補正をプロジェクター3別に行い、補正後の画像信号を対応するプロジェクター3に出力する。具体的には、入力された画像信号が3D画像用の画像信号の場合には、色補正処理部25は、第1のプロジェクター3a用の色補正LUTで左眼用の画像信号の色補正を行い、第2のプロジェクター3b用の色補正LUTで右眼用の画像信号の色補正を行う。そして、補正後の左眼用の画像信号を第1のプロジェクター3aに出力し、補正後の右眼用の画像信号を第2のプロジェクター3bに出力する。
【0040】
次に、3D画像の表示に適する色補正LUTを生成して色補正する際の画像処理装置2の動作について説明する。
図4は、画像処理装置2の動作を説明するためのフローチャートである。
図4に示すように、画像処理装置2は、色測定装置4に指示をして、各プロジェクター3の色特性を測定させる(ステップS1)。具体的には、画像処理装置2は、色特性測定用の画像信号を一方のプロジェクター3に出力し、R、G、Bの各色について、最も暗い階調と最も明るい階調を含む複数の階調にそれぞれ対応する複数のテスト画像を順次投写させる。そして、スクリーンSCに順次投写されるテスト画像の色特性を色測定装置4に測定させ、その後、他方のプロジェクター3についてもテスト画像の投写と色特性の測定とを行う。色測定装置4は、双方のプロジェクター3におけるすべてのテスト画像についての測定結果(XYZ値)を画像処理装置2に出力する。なお、画像処理装置2は、プロジェクター3の本来の色特性が測定できるよう、テスト画像を投写する際には、色補正処理部25で色補正を行う機能を停止させている。また、色特性測定用の画像信号を画像供給装置1が供給するようにしてもよい。
【0041】
次に、画像処理装置2の目標設定部21が、テスト画像の測定結果に基づいて、2つのプロジェクター3のそれぞれについて、画像信号を色補正する際の目標値を設定する(ステップS2)。具体的には、まず、目標設定部21は、各プロジェクター3について、所定の色空間における本来の(色補正を行わない状態での)白色点と色域とを特定する。そして、特定した本来の白色点及び色域に基づいて、補正後の白色点である目標白色点と、補正後の色域である目標色域を目標値として導出する。なお、本実施形態において、ある色域における白色点とは、当該色域内で最も明度が高い点を指すものとする。
【0042】
ここで、図5〜図8を用いて、目標白色点の導出について説明する。
まず、目標設定部21は、テスト画像の測定結果に基づいて、均等色空間であるL*u*v*色空間における第1及び第2のプロジェクター3a,3bの本来の色域を特定する。
【0043】
図5は、L*u*v*色空間における第1及び第2のプロジェクター3a,3bの色域を示す図である。
図5に示すように、本実施形態では、第1のプロジェクター3aの色域A1と、第2のプロジェクター3bの色域A2とは大きくずれており、第1のプロジェクター3aの白色点W1の明度L*w1は、第2のプロジェクター3bの白色点W2の明度L*w2よりも高い値になっている。また、黒色点B0と白色点W1,W2とを結ぶ曲線は、第1及び第2のプロジェクター3a,3bのグレー軸G1,G2である。グレー軸G1,G2は、RGBの階調がすべて等しい場合の色を表す線であり、明度が低い色域ではL*軸に一致し、明度が高くなるにつれて徐々にL*軸から離れていく。なお、本実施形態において、ある色域における黒色点とは、当該色域内で最も明度が低い点を指すものとする。
【0044】
このように、第1のプロジェクター3aの色域A1と、第2のプロジェクター3bの色域A2がずれている場合には、2つの色域A1,A2が交わる領域(共通域)を新たな色域A12として設定し、第1のプロジェクター3a及び第2のプロジェクター3bの双方がこの色域A12内の色のみを利用するように画像信号の色補正を行えば、双方の色を一致させることが可能になる。しかしながら、この色域A12は、色域A1と色域A2とのずれが大きいほど、当初の色域A1,A2に比べて狭くなってしまううえ、色域A12の白色点W12の明度L*w12は、当初の明度L*w1,L*w2よりも相当低いため、画像が暗くなってしまう。
【0045】
このため、本実施形態では、第1のプロジェクター3aと第2のプロジェクター3bの双方が共通の色域A12を用いるのではなく、第1のプロジェクター3aの色域A1(白色点W1)と第2のプロジェクター3bの色域A2(白色点W2)とを、明度L*を大きく損なわない程度に近づけることによって、両者の色や明るさの違いを低減させるようにしている。
【0046】
図6は、u*v*平面における白色点W1,W2を示す図である。
図6に示すように、まず、目標設定部21は、L*u*v*色空間のu*v*平面上において、第1のプロジェクター3aの白色点W1と第2のプロジェクター3bの白色点W2を直線(線分)で結び、この直線上に、第1のプロジェクター3aの新たな白色点(目標白色点Wt1)と、第2のプロジェクター3bの新たな白色点(目標白色点Wt2)とを設定する。つまり、目標白色点Wt1,Wt2は、本来の白色点W1,W2から互いに近づくように設定される。なお、目標白色点Wt1,Wt2のu*v*平面上における座標をそれぞれ、(u*wt1,v*wt1)、(u*wt2,v*wt2)とする。
【0047】
図7は、L*u*v*色空間における白色点W1,W2の近傍を示す拡大図である。
図7に示すように、目標設定部21は、L*u*v*色空間における第1のプロジェクター3aの目標白色点Wt1の座標を、上述したu*v*平面における目標白色点Wt1の座標(u*wt1,v*wt1)を用いて、暫定的に(L*w1,u*wt1,v*wt1)に設定する。つまり、明度L*に関しては、第1のプロジェクター3aの本来の白色点W1の明度L*w1を使用する。ただし、この目標白色点Wt1は、第1のプロジェクター3aの色域A1の外側の点になってしまうため、目標白色点Wt1が色域A1内になるように、明度L*を下げる必要がある。このとき、明度L*をできるだけ高く維持するためには、目標白色点Wt1が色域A1の外郭上に位置するように明度L*を定めることが望ましい。
【0048】
そこで、目標設定部21は、目標白色点Wt1の暫定の座標(L*w1,u*wt1,v*wt1)を、L*u*v*色空間の定義に従ってXYZ値(Xt1,Yt1,Zt1)に変換し、さらに、以下の式(1)を用いて、RGB値(R1,G1,B1)に変換する。
【0049】
【数1】
【0050】
式(1)において、XR1,YR1,ZR1は、第1のプロジェクター3aの白色点W1のR成分のXYZ値、XG1,YG1,ZG1は、白色点W1のG成分のXYZ値、XB1,YB1,ZB1は、白色点W1のB成分のXYZ値である。
【0051】
上述したように、目標白色点Wt1の暫定の座標(L*w1,u*wt1,v*wt1)は、色域A1の外側であるため、式(1)で算出したR1,G1,B1のいずれかは1を超える値になる。このため、目標設定部21は、以下の式(2)に示すように、Xt1,Yt1,Zt1のそれぞれに、1/R1,1/G1,1/B1の中の最小値を乗じることにより、Xt1,Yt1,Zt1を均等に小さくしたXYZ値(Xt1´,Yt1´,Zt1´)を導出する。
【0052】
【数2】
【0053】
その後、目標設定部21は、Xt1´,Yt1´,Zt1´をL*u*v*色空間の座標値に変換することによって色域A1内に収まる目標白色点Wt1の明度L*wt1を定める。これにより、目標白色点Wt1の座標(L*wt1,u*wt1,v*wt1)が定まる。
【0054】
次に、目標設定部21は、第2のプロジェクター3bの目標白色点Wt2の座標(L*wt2,u*wt2,v*wt2)についても上記と同様の手順で定める(図7参照)。
【0055】
そして、双方の目標白色点Wt1,Wt2が定まると、目標設定部21は、第1のプロジェクター3aの目標白色点Wt1と、第2のプロジェクター3bの目標白色点Wt2との距離、即ち目標白色点Wt1,Wt2間の色差ΔEを導くとともに、目標白色点Wt1,Wt2の平均明度(L*wt1+L*wt2)/2を導く。
【0056】
その後、目標設定部21は、目標白色点Wt1,Wt2をそれぞれ少しずつ変化させながら、色差ΔEと平均明度の導出を繰り返す。そして、色差ΔEが所定の閾値以下であって、平均明度が少なくとも色域A12の白色点W12の明度L*w12(図5参照)より高くなるような目標白色点Wt1,Wt2を最終的な目標白色点Wt1,Wt2として特定する。なお、本来の白色点W1,W2の色差ΔEが所定の閾値以下である場合には、目標白色点Wt1,Wt2を導出する必要はなく、それぞれ本来の色域A1,A2を用いて画像を形成すればよい。
【0057】
図8は、L*u*v*色空間における第1及び第2のプロジェクター3a,3bの目標色域を示す図である。
図8に示すように、目標設定部21は、最終的な目標白色点Wt1,Wt2を定めた後に、新たなグレー軸(目標グレー軸Gt1,Gt2)を定める。この目標グレー軸Gt1,Gt2を定める際には、明度が低い色域ではL*軸に一致し、明度が高くなるにつれて徐々にL*軸から離れていくような曲線にして、双方の色差が目立たなくなるようにすることが望ましい。そして、目標グレー軸Gt1,Gt2が定まると、必然的に新たな色域(目標色域At1,At2)が定まる。
【0058】
図4に戻って、目標設定部21によって目標色域At1,At2が定まると、LUT生成部22は、本来の色域A1,A2から目標色域At1,At2へ変換するための色補正LUTを生成する(ステップS3)。つまり、LUT生成部22は、第1のプロジェクター3aの本来の色域A1から目標色域At1へ変換するための第1のプロジェクター3a用の色補正LUTと、第2のプロジェクター3bの本来の色域A2から目標色域At2へ変換するための第2のプロジェクター3b用の色補正LUTとを生成する。そして、生成した色補正LUTをLUT記憶部23に記憶する(ステップS4)。
【0059】
LUT選択部24は、LUT記憶部23に記憶されている複数種の色補正LUTの中から、上記ステップで生成・記憶した第1のプロジェクター3a用及び第2のプロジェクター3b用の色補正LUTを選択する(ステップS5)。そして、色補正処理部25は、LUT選択部24で選択された色補正LUTをLUT記憶部23から読み出し(ステップS6)、画像供給装置1から入力される画像信号に対して、読み出した色補正LUTに基づいた色補正をプロジェクター3別に行う(ステップS7)。そして、色補正後の画像信号を第1のプロジェクター3a及び第2のプロジェクター3bに出力する。この結果、第1のプロジェクター3a及び第2のプロジェクター3bの色や明るさの違いが抑制された状態で画像が投写される。
【0060】
以上説明したように、本実施形態の画像処理装置2によれば、以下の効果を得ることができる。
【0061】
(1)本実施形態の画像処理装置2によれば、第1のプロジェクター3a及び第2のプロジェクター3bのそれぞれの色域A1,A2内に、色差が所定の閾値以下になるような目標白色点Wt1,Wt2を設定し、この目標白色点Wt1,Wt2に基づいて生成した色補正LUTを用いて画像信号を補正する。この補正により、第1のプロジェクター3aと第2のプロジェクター3bの白色点が近づくとともに、これに伴って双方の色域も近づくため、色や明るさの相違による違和感を抑制することが可能となる。また、白色点や色域を完全に一致させる場合に比べて、色域の縮小や画像の明るさの低下を抑制することが可能となる。
【0062】
(2)本実施形態の画像処理装置2によれば、左眼用の画像と右眼用の画像の色や明るさを近づけることができるため、2つのプロジェクター3で形成された立体像を観察する際の違和感を抑制することが可能となる。
【0063】
(3)本実施形態の画像処理装置2によれば、2つの目標白色点Wt1,Wt2の平均明度が共通の色域A12の白色点W12の明度L*w12よりも高くなるように目標白色点Wt1,Wt2を設定するため、双方のプロジェクター3が共通の色域A12を用いて画像を形成する場合よりも明るい画像を形成することが可能となる。
【0064】
なお、本実施形態において、第1のプロジェクター3aの画像表示部31が第1の画像表示部に相当し、第2のプロジェクター3bの画像表示部31が第2の画像表示部に相当する。
【0065】
(変形例)
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0066】
上記実施形態では、色差ΔEが所定の閾値以下になるように目標白色点Wt1,Wt2を設定し、目標白色点Wt1,Wt2に基づいて目標色域At1,At2を決定しているが、赤色、緑色、青色に関しても、2つのプロジェクター3a,3bの色差がそれぞれ所定の閾値以下となるように目標値を定め、目標白色点Wt1,Wt2とともにこれらの目標値に基づいて目標色域At1,At2を決定するようにしてもよい。
【0067】
上記実施形態では、第1のプロジェクター3aの目標白色点Wt1と、第2のプロジェクター3bの目標白色点Wt2とを互いに近づけるようにしているが、この態様に限られず、一方の白色点は固定して、他方の白色点のみを動かすようにしてもよい。
【0068】
上記実施形態において、色差ΔEの閾値は、予め画像処理装置2内に記憶しておくようにすればよい。また、閾値は固定である必要はなく、種々の条件に応じて変化するようにしてもよい。例えば、周囲が明るい場合には、人間の順応輝度が高くなるため、プロジェクター3の色域が相対的に小さくなり、2つのプロジェクター3a,3bの色差が小さくなる。このため、周囲が明るい場合ほど閾値を小さくするようにしてもよい。或いは、順応輝度の変化を考慮して色域A1,A2を定めることにより、常に固定の閾値を用いるようにしてもよい。
【0069】
上記実施形態では、目標白色点Wt1,Wt2の色差ΔEが所定の閾値以下になるようにしているが、図9に示すように、色差ΔEを明度の差ΔL*と色度の差ΔEu*v*に分解するとともに、それぞれの閾値を個別に定め、その双方が閾値以下になるように目標白色点Wt1,Wt2を定めるようにしてもよい。また、明度が高い色域ではグレー軸G1,G2が傾いているため、グレー軸G1,G2のいずれか一方に沿う成分ΔL*´と、交差する成分ΔEu*v*´とに分解して、それぞれの閾値を個別に定めるようにしてもよい。
【0070】
上記実施形態において、第1のプロジェクター3aの色域A1と、第2のプロジェクター3bの色域A2のずれは、図5に示した態様に限定されない。例えば、図10に示すように、第2のプロジェクター3bの白色点W2が、第1のプロジェクター3aの色域A1内に含まれるような態様であっても、上記実施形態と同様の手順で目標白色点Wt1,Wt2や目標色域At1,At2を定めることが可能である。
【0071】
上記実施形態では、画像表示システム100の構成として、画像処理装置2がプロジェクター3とは分離している構成を示したが、画像表示システム100の構成は上記に限定されない。例えば、図11に示すように、一方のプロジェクター3(図11では、第1のプロジェクター3a)が、画像処理装置2と同等の機能を有する画像処理部36と、操作パネル等からなる操作部37とを備えるようにしてもよい。また、図12に示すように、1つのプロジェクター3が、画像処理部36及び操作部37とともに、2つの画像表示部31a,31bを備えるようにして、画像処理部36から画像表示部31a,31bに左眼用及び右眼用の画像信号をそれぞれ出力するようにしてもよい。そして、図示した例では、画像表示部31a,31bで形成された画像光は、それぞれ光学装置38a,38bによって偏光方向が互いに直交する偏光光に揃えられた後、偏光合成プリズム39で合成されて投写レンズ35から投写される。
【0072】
上記実施形態では、スクリーンSCに投写される左眼用及び右眼用の画像は、偏光方向が互いに直交する直線偏光によって形成されているが、回転方向が異なる円偏光によって左右の画像を形成するようにしてもよい。
【0073】
上記実施形態では、画像供給装置1から画像処理装置2にサイドバイサイド方式の画像信号が入力されているが、入力される画像信号は、サイドバイサイド方式に限定されず、例えば、トップアンドボトム方式であってもよい。また、左眼用の画像信号と右眼用の画像信号とをフレーム単位で交互に出力する態様であってもよい。
【0074】
上記実施形態のプロジェクター3では、光変調装置として、透過型の液晶ライトバルブ33R,33G,33Bを用いているが、反射型の液晶ライトバルブ等、反射型の光変調装置を用いることも可能である。また、入射した光の射出方向を、画素としてのマイクロミラー毎に制御することにより、光源から射出した光を変調する微小ミラーアレイデバイス等を用いることもできる。
【符号の説明】
【0075】
1…画像供給装置、2…画像処理装置、3…プロジェクター、3a…第1のプロジェクター、3b…第2のプロジェクター、4…色測定装置、5…操作部、21…目標設定部、22…LUT生成部(補正データ生成部)、23…LUT記憶部、24…LUT選択部、25…色補正処理部(補正処理部)、30a,30b…光学装置、31,31a,31b…画像表示部、32…光源装置、33R,33G,33B…液晶ライトバルブ、34…クロスダイクロイックプリズム、35…投写レンズ、36…画像処理部、37…操作部、38a,38b…光学装置、39…偏光合成プリズム、100…画像表示システム、A1,A2,A12…色域、At1,At2…目標色域、W1,W2,W12…白色点、Wt1,Wt2…目標白色点、B0…黒色点、G1,G2…グレー軸、Gt1,Gt2…目標グレー軸、SC…スクリーン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される画像信号に色補正を行って第1の画像表示部及び第2の画像表示部に出力する画像処理装置であって、
前記第1の画像表示部の色域内に第1の目標白色点を設定するとともに、前記第2の画像表示部の色域内に、前記第1の目標白色点に対する色差が所定の閾値以下である第2の目標白色点を設定する目標設定部と、
前記目標設定部で設定された前記第1の目標白色点及び前記第2の目標白色点に基づいて、前記画像信号を補正するための補正データを生成する補正データ生成部と、
前記補正データ生成部で生成された前記補正データを用いて前記画像信号を補正して、前記第1の画像表示部及び前記第2の画像表示部に出力する補正処理部と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記画像信号には、両眼視差を利用して立体像を認識させるための左眼用の画像信号及び右眼用の画像信号が含まれており、
前記補正処理部は、前記左眼用の画像信号及び前記右眼用の画像信号のうち、一方の画像信号を前記第1の画像表示部に出力し、他方の画像信号を前記第2の画像表示部に出力することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像処理装置であって、
前記目標設定部は、前記第1の目標白色点の明度及び前記第2の目標白色点の明度の平均値が、前記第1の画像表示部の色域と前記第2の画像表示部の色域とが交わる共通域における白色点の明度よりも高くなるように前記第1の目標白色点及び前記第2の目標白色点を設定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記目標設定部は、前記第1の目標白色点と前記第2の目標白色点の色差を、明度の差と、色度の差に分解するとともに、前記明度の差及び前記色度の差のそれぞれが、個別に定められた閾値以下になるように前記第1の目標白色点及び前記第2の目標白色点を設定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記目標設定部は、前記第1の目標白色点と前記第2の目標白色点の色差を、前記色域の黒色点から前記白色点に至るグレー軸に沿う成分と、前記グレー軸に交差する成分とに分解するとともに、前記成分のそれぞれが、個別に定められた閾値以下になるように前記第1の目標白色点及び前記第2の目標白色点を設定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像処理装置と、前記第1の画像表示部と、前記第2の画像表示部とを備えたことを特徴とする画像表示システム。
【請求項7】
入力される画像信号に色補正を行って第1の画像表示部及び第2の画像表示部に出力する画像処理装置の制御方法であって、
前記第1の画像表示部の色域内に第1の目標白色点を設定するとともに、前記第2の画像表示部の色域内に、前記第1の目標白色点に対する色差が所定の閾値以下である第2の目標白色点を設定する目標設定ステップと、
前記目標設定ステップで設定された前記第1の目標白色点及び前記第2の目標白色点に基づいて、前記画像信号を補正するための補正データを生成する補正データ生成ステップと、
前記補正データ生成ステップで生成された前記補正データを用いて前記画像信号を補正する補正処理ステップと、
を備えたことを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項8】
入力される画像信号に色補正を行って第1の画像表示部及び第2の画像表示部に出力するコンピューターに、
前記第1の画像表示部の色域内に第1の目標白色点を設定するとともに、前記第2の画像表示部の色域内に、前記第1の目標白色点に対する色差が所定の閾値以下である第2の目標白色点を設定する目標設定ステップと、
前記目標設定ステップで設定された前記第1の目標白色点及び前記第2の目標白色点に基づいて、前記画像信号を補正するための補正データを生成する補正データ生成ステップと、
前記補正データ生成ステップで生成された前記補正データを用いて前記画像信号を補正する補正処理ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムを記録したコンピューター読取可能な記録媒体。
【請求項1】
入力される画像信号に色補正を行って第1の画像表示部及び第2の画像表示部に出力する画像処理装置であって、
前記第1の画像表示部の色域内に第1の目標白色点を設定するとともに、前記第2の画像表示部の色域内に、前記第1の目標白色点に対する色差が所定の閾値以下である第2の目標白色点を設定する目標設定部と、
前記目標設定部で設定された前記第1の目標白色点及び前記第2の目標白色点に基づいて、前記画像信号を補正するための補正データを生成する補正データ生成部と、
前記補正データ生成部で生成された前記補正データを用いて前記画像信号を補正して、前記第1の画像表示部及び前記第2の画像表示部に出力する補正処理部と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記画像信号には、両眼視差を利用して立体像を認識させるための左眼用の画像信号及び右眼用の画像信号が含まれており、
前記補正処理部は、前記左眼用の画像信号及び前記右眼用の画像信号のうち、一方の画像信号を前記第1の画像表示部に出力し、他方の画像信号を前記第2の画像表示部に出力することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像処理装置であって、
前記目標設定部は、前記第1の目標白色点の明度及び前記第2の目標白色点の明度の平均値が、前記第1の画像表示部の色域と前記第2の画像表示部の色域とが交わる共通域における白色点の明度よりも高くなるように前記第1の目標白色点及び前記第2の目標白色点を設定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記目標設定部は、前記第1の目標白色点と前記第2の目標白色点の色差を、明度の差と、色度の差に分解するとともに、前記明度の差及び前記色度の差のそれぞれが、個別に定められた閾値以下になるように前記第1の目標白色点及び前記第2の目標白色点を設定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記目標設定部は、前記第1の目標白色点と前記第2の目標白色点の色差を、前記色域の黒色点から前記白色点に至るグレー軸に沿う成分と、前記グレー軸に交差する成分とに分解するとともに、前記成分のそれぞれが、個別に定められた閾値以下になるように前記第1の目標白色点及び前記第2の目標白色点を設定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像処理装置と、前記第1の画像表示部と、前記第2の画像表示部とを備えたことを特徴とする画像表示システム。
【請求項7】
入力される画像信号に色補正を行って第1の画像表示部及び第2の画像表示部に出力する画像処理装置の制御方法であって、
前記第1の画像表示部の色域内に第1の目標白色点を設定するとともに、前記第2の画像表示部の色域内に、前記第1の目標白色点に対する色差が所定の閾値以下である第2の目標白色点を設定する目標設定ステップと、
前記目標設定ステップで設定された前記第1の目標白色点及び前記第2の目標白色点に基づいて、前記画像信号を補正するための補正データを生成する補正データ生成ステップと、
前記補正データ生成ステップで生成された前記補正データを用いて前記画像信号を補正する補正処理ステップと、
を備えたことを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項8】
入力される画像信号に色補正を行って第1の画像表示部及び第2の画像表示部に出力するコンピューターに、
前記第1の画像表示部の色域内に第1の目標白色点を設定するとともに、前記第2の画像表示部の色域内に、前記第1の目標白色点に対する色差が所定の閾値以下である第2の目標白色点を設定する目標設定ステップと、
前記目標設定ステップで設定された前記第1の目標白色点及び前記第2の目標白色点に基づいて、前記画像信号を補正するための補正データを生成する補正データ生成ステップと、
前記補正データ生成ステップで生成された前記補正データを用いて前記画像信号を補正する補正処理ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムを記録したコンピューター読取可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−253595(P2012−253595A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125108(P2011−125108)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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