説明

画像処理装置、画像読取装置、画像形成装置、画像処理方法、プログラムおよび記録媒体

【課題】筋の色に関係なく、画像データに含まれる筋の画像を確実に検知する。
【解決手段】無地原稿の画像データを検出する無地画像検知処理、および画像データの筋検出処理を行う無地画像検知部19と、画像データのカラーモノクロ判定処理、並びに画像データの筋検出処理を行うカラー判定部20と、無地画像検知部19とカラー判定部20との少なくとも一方により筋画像が検出された場合に、筋検知との判定結果を出力する筋検知部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばデジタルカラー複写機・複合機などの画像処理装置に関し、特に、画像データに含まれている筋のデータを検知する機能を有する画像処理装置、画像読取装置、画像形成装置、画像処理方法、プログラムおよび記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカラー複写機・複合機は、通常、原稿の画像を読み取るスキャナを備えている。このスキャナにて読み取られた画像データには、筋状の画像が現れることがある。これは、例えば塵埃或いは用紙の紙粉等の異物が原稿載置台であるガラス板の上面に付着したり、前記ガラス板にキズが生じたりすること等に起因する。このような筋状の画像は、視覚的に目立つため、原稿に忠実な画像データを得る画像形成装置においては、除去することが望まれる。
【0003】
このようなことから、デジタルカラー複写機・複合機には、スキャナ上にある埃やゴミによる画質劣化(原稿上にはない筋)を検知する機能を備えたものがある。その検知方法としては、例えば下記特許文献1に記載されているように、原稿が白紙か否かを判定する白紙検知機能を利用した筋検知処理方法が提案されている。
【0004】
具体的には、特許文献1の技術では、筋による白紙検知精度への影響を抑えるため、原稿読み取り面に原稿がない状態で読み取り動作を行い、これによって得られた画像データについて、閾値処理や濃度勾配情報に基づき筋の要因となる不正画素を検出する。この不正画素は、実際に原稿を読み取って白紙検知機能を動作させた際に、本来白紙と判定すべき原稿が白紙と判定されない状況を引き起こす可能性がある。そこで、実際に原稿の画像を読み取って白紙検知を行う際に、白紙か否かを判定する画素から上記不正画素を除外している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−289496号公報(2004年10月14日公開)
【特許文献2】特開2009−38537号公報(2008年2月19日公開)
【特許文献3】特開2009−94903号公報(2009年4月30日公開)
【特許文献4】特開平4−282968号公報(1992年10月8日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1の技術においては、カラー情報による筋の検知を行っていない。そのため、例えば文字を含む原稿に対してカラーの筋が発生した場合には、その筋を検知できない虞がある。
【0007】
したがって、本発明は、入力された画像データに、筋の画像を示す筋データが含まれている場合に、その筋の色に関係なく、筋の画像を確実に検知することができる画像処理装置、画像読取装置、画像形成装置、画像処理方法、プログラムおよび記録媒体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の画像処理装置は、入力された画像データが無地原稿のものであるか否かの無地画像検知処理を行うとともに、入力された画像データに筋を示す筋画像が含まれているか否かの筋検出処理を行う第1検知部と、入力された画像データがモノクロ原稿のものか否かを判定する判定処理、および入力された画像データがカラー原稿のものか否かを判定する判定処理を含むカラーモノクロ判定処理を行うとともに、入力された画像データに色の筋を示す筋画像が含まれているか否かの筋検出処理を行う第2検知部と、前記第1検知部と前記第2検知部との少なくとも一方により筋画像が検出された場合に、筋検知との判定結果を出力する第3検知部とを備えていることを特徴としている。
【0009】
また、本発明の画像処理方法は、入力された画像データが無地原稿のものであるか否かの無地画像検知処理を行うとともに、入力された画像データに筋を示す筋画像が含まれているか否かの筋検出処理を行う第1検知工程と、入力された画像データがモノクロ原稿のものか否かを判定する判定処理、および入力された画像データがカラー原稿のものか否かを判定する判定処理を含むカラーモノクロ判定処理を行うとともに、入力された画像データに色の筋を示す筋画像が含まれているか否かの筋検出処理を行う第2検知工程と、前記第1検知工程と前記第2検知工程との少なくとも一方により筋画像が検出された場合に、筋検知との判定結果を出力する第3検知工程とを備えていることを特徴としている。
【0010】
上記の構成によれば、第1検知部は(第1検知工程では)、入力された画像データが無地原稿のものであるか否かの無地画像検知処理を行う。また、入力された画像データに筋を示す筋画像が含まれているか否かの筋検出処理を行う。第2検知部は(第2検知工程では)、入力された画像データがモノクロ原稿のものか否かを判定する判定処理、および入力された画像データがカラー原稿のものか否かを判定する判定処理を含むカラーモノクロ判定処理を行う。また、入力された画像データに色の筋を示す筋画像が含まれているか否かの筋検出処理を行う。第3検知部は(第3検知工程では)、第1検知部(第1検知工程)と第2検知部(第2検知工程)との少なくとも一方により筋画像が検出された場合に、筋検知との判定結果を出力する。
【0011】
これにより、入力された画像データに、筋の画像を示す筋データが含まれている場合に、その筋の色に関係なく、筋データを確実に検知することができる。
【0012】
上記の画像処理装置において、前記第1検知部は、前記筋検出処理および前記無地画像検知処理において、入力された前記画像データのエッジを示すエッジ画素数を計数し、前記エッジ画素数が筋判定下限値以上かつ筋判定上限値以下の筋該当範囲内である場合に筋画像有りと判定し、前記エッジ画素数が前記筋該当範囲外である場合に筋画像無しと判定し、前記エッジ画素数が筋判定下限値未満である場合に、入力された前記画像データは無地原稿のものと判定する構成としてもよい。
【0013】
上記の構成によれば、第1検知部は、筋検出処理において、入力された画像データのエッジを示すエッジ画素数を計数する。そして、エッジ画素数が筋判定下限値以上かつ筋判定上限値以下の筋該当範囲内である場合に筋画像有りと判定し、エッジ画素数が筋該当範囲外である場合に筋画像無しと判定する。また、無地画像検知処理において、エッジ画素数が筋判定下限値未満である場合に、入力された画像データは無地原稿のものと判定する。
【0014】
これにより、入力された画像データに含まれるエッジ画素数に基づいて、筋検出処理における筋画像の検出、および無地画像検知処理を適切に行うことができる。
【0015】
上記の画像処理装置において、前記第2検知部は、前記筋検出処理および前記カラーモノクロ判定処理において、入力された前記画像データのカラー画素数を計数し、前記カラー画素数が筋判定下限値以上かつ筋判定上限値以下の筋該当範囲内である場合に筋画像有りと判定し、前記カラー画素数が前記筋該当範囲外である場合に筋画像無しと判定し、前記カラー画素数が筋判定下限値未満である場合に、入力された前記画像データはモノクロ原稿のものと判定し、前記カラー画素数が筋判定上限値を超える場合に、入力された前記画像データはカラー原稿のものと判定する構成としてもよい。
【0016】
上記の構成によれば、第2検知部は、筋検出処理において、入力された画像データのカラー画素数を計数する。そして、カラー画素数が筋判定下限値以上かつ筋判定上限値以下の筋該当範囲内である場合に筋画像有りと判定し、カラー画素数が筋該当範囲外である場合に筋画像無しと判定する。また、カラーモノクロ判定処理において、カラー画素数が筋判定下限値未満である場合に、入力された画像データはモノクロ原稿のものと判定し、カラー画素数が筋判定上限値を超える場合に、入力された画像データはカラー原稿のものと判定する。
【0017】
これにより、入力された画像データに含まれるカラー画素数に基づいて、筋検出処理における筋画像の検出、およびカラーモノクロ判定処理を適切に行うことができる。
【0018】
上記の画像処理装置において、入力された複数頁の各画像データに対して、前記第1検知部は前記筋検出処理および前記無地画像検知処理を行い、前記第2検知部は前記筋検出処理および前記カラーモノクロ判定処理を行い、前記第3検知部は、前記第1検知部と前記第2検知部との少なくとも一方により筋画像が検出された画像データの頁数である筋画像頁数を閾値と比較し、前記筋画像頁数が前記閾値よりも多いときに、筋検知との判定結果を出力する構成としてもよい。
【0019】
上記の構成によれば、第3検知部は、第1検知部と第2検知部との少なくとも一方により筋画像が検出された画像データの頁数である筋画像頁数を閾値と比較し、筋画像頁数が閾値よりも多いときに、筋検知との判定結果を出力する。
【0020】
ここで、例えば原稿搬送読取装置のスキャナ部に付着している塵埃などによって読取画像データに筋画像が発生する環境下では、筋画像は複数頁の画像データに渡って発生する場合が多い。したがって、画像データにおける筋検知との判定は、複数頁の画像データについての筋画像の有無の判定結果に基づいて行うことにより、高精度に行うことができる。
【0021】
上記の画像処理装置は、入力された前記画像データの原稿種別を判定する原稿種別判定部を備え、前記第1検知部は、前記原稿種別判定部により、入力された前記画像データの原稿種別が文字原稿、文字印刷写真原稿あるいは文字印画紙写真原稿のうちのいずれかと判定された場合に、入力された前記画像データの原稿種別が印刷写真原稿あるいは印画紙写真原稿のいずれかと判定された場合よりも、前記筋検出処理において、その画像データに対する前記筋該当範囲を前記筋判定上限値を大きくすることにより広くする構成としてもよい。
【0022】
上記の構成によれば、第1検知部は、原稿種別判定部により、入力された画像データの原稿種別が文字原稿、文字印刷写真原稿あるいは文字印画紙写真原稿のうちのいずれかと判定された場合に、入力された前記画像データの原稿種別が印刷写真原稿あるいは印画紙写真原稿のいずれかと判定された場合よりも、筋検出処理において、その画像データに対する筋該当範囲を筋判定上限値を大きくすることにより広くする。これにより、筋画像の検知精度を高めることができる。
【0023】
すなわち、原稿種別が文字原稿、文字印刷写真原稿あるいは文字印画紙写真原稿などの主に文字からなる原稿の画像データの場合は、筋が生じている場合において、筋と印刷写真や印画紙写真が重なる割合が少なくなり、画像全体として、筋画像より検出されるエッジ画素数が、原稿種別が印刷写真原稿および印画紙写真原稿の画像データの場合よりも大きくなる。したがって、この場合には、筋画像の検知において、筋判定上限値を大きくして、筋該当範囲を広くした方が、筋画像の検知精度を高めることができる。
【0024】
上記の画像処理装置は、入力された前記画像データの原稿種別を判定する原稿種別判定部を備え、前記第2検知部は、前記原稿種別判定部により、入力された前記画像データの原稿種別が印刷写真原稿あるいは印画紙写真原稿のいずれかと判定された場合に、入力された前記画像データの原稿種別が文字原稿、文字印刷写真原稿あるいは文字印画紙写真原稿のうちのいずれかと判定された場合よりも、前記筋検出処理において、その画像データに対する前記筋該当範囲を前記筋判定上限値を小さくすることにより狭くする構成としてもよい。
【0025】
上記の構成によれば、第2検知部は、原稿種別判定部により、入力された画像データの原稿種別が印刷写真原稿あるいは印画紙写真原稿のいずれかと判定された場合に、入力された画像データの原稿種別が文字原稿、文字印刷写真原稿あるいは文字印画紙写真原稿のうちのいずれかと判定された場合よりも、筋検出処理において、その画像データに対する筋該当範囲を筋判定上限値を小さくすることにより狭くする。これにより、筋画像の検知精度を高めることができる。
【0026】
すなわち、原稿種別が印刷写真原稿あるいは印画紙写真原稿のいずれかの画像データの場合は、筋が生じている場合において、筋の領域よりも大幅に大きい写真領域が存在する。したがって、この場合には、筋画像の検知において、筋判定上限値を小さくして、筋該当範囲を狭くした方が、筋画像の検知精度を高めることができる。
【0027】
本発明の画像読取装置は、原稿を搬送しながら読み取って画像データを取得する原稿搬送読取装置と、前記原稿搬送読取装置が取得した画像データに基づいて前記筋検知のための処理を行う上記のいずれかの画像処理装置とを備えていることを特徴としている。
【0028】
上記の構成によれば、原稿搬送読取装置にて原稿を搬送しながら取得された原稿の画像データに基づいて、画像処理装置は筋検知動作を適切に行うことができる。
【0029】
上記の画像読取装置において、前記原稿搬送読取装置は、原稿の片面の読取画像データを出力する設定であっても、原稿の表面および裏面を読み取ってそれぞれの画像データを取得し、前記画像処理装置は、少なくとも前記裏面の画像データに基づいて前記筋検知のための処理を行う構成としてもよい。
【0030】
上記の構成によれば、原稿搬送読取装置は、原稿の片面の読取画像データを出力する設定であっても、原稿の表面および裏面の読み取りを行ってそれぞれの画像データを取得する。
【0031】
ここで、原稿搬送読取装置は、単一の読取光学系を備えている構成である場合、原稿の片面を読み取った後、原稿の上下面を反転させて、原稿の反対面を読み取る。この場合、塵埃などによって読取画像データに筋画像が発生する環境下では、原稿の両面の読取画像データに筋画像が発生する。したがって、画像処理装置は、少なくとも原稿の裏面(片面)の画像データに基づいて筋検知のための処理を行うことにより、筋検知との判定結果を得ることができる。なお、この場合に、両面の画像データに基づいて筋検知のための処理を行えば、さらに判定精度を向上することができる。
【0032】
一方、原稿搬送読取装置は、原稿の表面用と裏面用との読取光学系を備えている構成である場合、原稿を反転させることなく、原稿の両面を読み取る。この場合、塵埃などによって読取画像データに筋画像が発生する環境下では、原稿の裏面の読取画像データ、すなわち原稿における原稿搬送読取装置の原稿台と対向する側の面の読取画像データに筋画像が発生する。したがって、画像処理装置は、原稿の裏面の画像データに基づいて筋検知のための処理を行うことにより、筋検知との判定結果を得ることができる。
【0033】
このようなことから、原稿の表面用と裏面用との読取光学系を備えている原稿搬送読取装置においては、原稿の片面の読取画像データを出力する設定であっても、原稿の表面および裏面を読み取ってそれぞれの画像データを取得する構成としておけば、原稿搬送読取装置において筋画像が発生する状態であるかどうかを把握することができる。これにより、画像処理装置は、原稿の片面の読取画像データを出力する設定時の処理に基づいて、原稿の両面の読取画像データを出力する設定時における、裏面の画像データでの筋画像の発生を予測することができる。したがって、その事態を例えば操作パネルの表示部や音声等によってユーザに通知し、筋発生を未然に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、入力された画像データに、筋の画像を示す筋データが含まれている場合に、その筋の色に関係なく、筋データを確実に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態における画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した原稿自動判別部の構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示した無地画像検知部の構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示した筋検知部における筋有無の判定動作を示す説明図である。
【図5】図2に示した無地画像検知部の動作を示すフローチャートである。
【図6】図2に示したカラー判定部の動作を示すフローチャートである。
【図7】図7(a)は、図2に示した無地画像検知部の画像データに対する筋画像の有無についての判定動作の概要を示す説明図、図7(b)は、図2に示したカラー判定部の画像データに対する筋画像の有無についての判定動作の概要を示す説明図である。
【図8】図2に示した無地画像検知部、カラー判定部および図1に示した筋検知部による筋検知のための動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の他の実施の形態の画像処理装置における原稿自動判別部の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明のさらに他の実施の形態における、複数頁の画像データを対象として筋検知を行う画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】図10に示した、複数頁の画像データを対象として筋検知を行う画像処理装置の動作における他の例を示すフローチャートである。
【図12】図1に示した画像入力装置としての、原稿を反転させて両面読取を行う両面原稿搬送読取装置の構造を示す概略の縦断面図である。
【図13】図12に示した両面原稿搬送読取装置の他の例を示すものであって、二つの読取光学系を備え、原稿を反転することなく原稿の両面読取を行う両面原稿搬送読取装置の構造を示す概略の縦断面図である。
【図14】本発明の他の実施の形態における画像読取装置の筋検知動作の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の形態を図面に基づいて以下に説明する。
図1は、本発明の実施の形態のデジタルカラー画像形成装置(以下、単に画像形成装置と称する)1の構成を示すブロック図である。画像形成装置1は、コピー機能、プリンタ機能、ファクシミリ送受信機能およびscan to e-mail機能(読み取った画像データを電子メールで外部装置に送信する機能)等を備えた、例えば電子写真方式のデジタルカラー複合機である。
【0037】
図1に示すように、画像形成装置1は、画像入力装置2、画像処理装置3、画像出力装置(印刷装置)4、記憶部5、送受信部6および制御部7を備えている。
【0038】
画像入力装置2は、例えばCCD(Charge Coupled Device)ラインセンサを備えたスキャナ部(図示せず)を有する。この画像入力装置2は、原稿画像が記録された紙などの原稿に光を照射し、前記原稿から反射された光像をスキャナ部により読み取る。スキャナ部は、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色のアナログ信号からなる画像データを生成し、その画像データを画像処理装置3に出力する。
【0039】
画像処理装置3は、A/D(アナログ/デジタル)変換部8、シェーディング補正部9、入力処理部10、原稿自動判別部11、筋検知部(第3検知部)12、領域分離部13、色補正部14、黒生成/下色除去部15、空間フィルタ部16、出力階調補正部17および中間調生成部18を備えている。
【0040】
画像処理装置3において、画像入力装置2によって読み取られた画像データは、A/D変換部8、シェーディング補正部9、入力処理部10、原稿自動判別部11、筋検知部12、領域分離部13、色補正部14、黒生成/下色除去部15、空間フィルタ部16、出力階調補正部17および中間調生成部18の順に送られる。
【0041】
その後、中間調生成部18からCMYK(C:シアン、M:マゼンタ、Y:イエロー、K:ブラック)のデジタルカラー信号として表される画像データとして、画像出力装置4へ出力される。
【0042】
A/D変換部8は、R,G,Bのアナログ信号をデジタル信号にそれぞれ変換する。シェーディング補正部9は、A/D変換部8から送られてきたR,G,Bのデジタル信号(以下、RGB信号という)からなる画像データに対して、画像入力装置2の照明系、結像系、撮像系で生じる各種の歪みを取り除く処理を施す。また、シェーディング補正部9は、カラーバランスの調整も行う。
【0043】
入力処理部10は、RGB信号のそれぞれに対してγ補正処理などの処理を施す。入力処理部10は、前記処理が完了するとその画像データを記憶部5に出力する。記憶部5は、入力処理部10からの出力データをファイリングデータとして管理する。
【0044】
なお、記憶部5に格納される前記画像データは、例えば、JPEG圧縮部(図示せず)によりJPEG圧縮アルゴリズムに基づいてJPEGコードに圧縮されて格納される。そして、画像形成装置1に対してコピー出力動作やプリント出力動作が指示された場合、記憶部5からJPEGコードが読み出され、このJPEGコードがJPEG伸張部(図示せず)によって復号化処理され、RGB信号に変換される。
【0045】
原稿自動判別部11は、入力処理部10から入力されるRGB信号に基づき、原稿種別判定処理、無地画像検知処理および自動カラー判定処理を行う。また、原稿種別判定処理の結果である原稿種別判定信号を生成する。
【0046】
原稿自動判別部11にて生成された原稿種別判定信号は、筋検知部12、色補正部14、黒生成/下色除去部15、空間フィルタ部16および中間調生成部18に出力される。
【0047】
筋検知部12は、原稿自動判別部11の判別結果に基づいて、スキャナ部に付着している塵埃、或いは原稿載置面となるガラス板に生じている傷などによって、元の原稿にはなく、スキャナ部から出力された画像データに発生する筋画像の有無を検知する。
【0048】
領域分離部13は、RGB信号からなる画像データの各画素がどのような種類の領域に属する画素であるのか、例えば、下地領域、写真(印画紙写真)領域、文字領域および網点領域のいずれの領域に属する画素であるのかを判定する。文字領域は、文字および記号を含むキャラクタを表す。下地領域は、原稿の地肌部分(背景)を表す。領域分離部13は、画像データの各画素に対する領域の判定結果に基づき、各画素がどの領域に属しているかを示す領域分離データを、黒生成/下色除去部15、空間フィルタ部16および中間調生成部18に出力する。
【0049】
色補正部14は、領域分離部13から出力される領域分離データに応じて、領域分離部13から出力されるRGB信号を、その補色であるCMY(C:シアン・M:マゼンタ・Y:イエロー)にそれぞれ対応する画像データ(以下、CMY信号という)に変換する。また、色補正部14では、色再現の忠実化(色再現性の向上)を実現するための処理を行う。また、色補正部14は、原稿自動判別部11から出力される原稿種別判定信号に基づいて、色変換を行う。
【0050】
黒生成/下色除去部15は、色補正部14による色補正後のCMYに対応するCMY信号を、CMYKの4色の信号(以下、CMYK信号という)に変換する。すなわち、黒生成/下色除去部15は、CMY信号から黒(K)に対応する黒信号を生成する黒生成処理と、元のCMY信号から黒生成処理で得られたK信号を差し引いて新たなCMY信号を生成する下色除去処理とを行う。
【0051】
空間フィルタ部16は、領域分離部13から出力される領域分離データに応じて、黒生成/下色除去部15から出力されるCMYK信号に、領域ごとに予め設定されているデジタルフィルタによって空間フィルタ処理を行い、空間周波数特性を補正する。これにより、出力画像のぼやけ、および粒状性劣化を防ぐための強調処理および平滑化処理を行う。
【0052】
出力階調補正部17は、空間フィルタ部16から出力される画像データを画像出力装置4の特性値である網点面積率に変換する出力階調補正処理を行う。その後、中間調生成部18で、最終的に画像を画素に分離してそれぞれの階調を再現できるように処理する階調再現処理(中間調生成)を行う。なお、領域分離部13によって写真に分離された領域に関しては、階調再現性を重視したスクリーンでの二値化または多値化処理を行う。
【0053】
中間調生成部18は、空間フィルタ部16と同様に、領域分離部13から出力される領域分離データに応じて、出力階調補正部17から出力されるCMYK信号に予め定める処理を施す。
【0054】
例えば、領域分離部13によって文字領域に分離された領域に関しては、特に黒文字あるいは色文字の再現性を高めるために、空間フィルタ部16において、空間フィルタ処理における鮮鋭強調処理にて高周波数の強調量が大きくされる。中間調生成部18においては、高域周波数の再現に適した高解像度のスクリーンでの二値化または多値化処理が行われる。また、領域分離部13によって網点領域に分離された領域に関しては、空間フィルタ部16において、入力網点成分を除去するためのローパスフィルタ処理が施される。
【0055】
中間調生成部18から出力されたCMYK信号は画像出力装置4に出力される。その際、本実施形態においては、中間調生成部18から出力される画像データ、すなわち前述した各処理が施された画像データは、一旦記憶部5に記憶され、所定のタイミングで読み出されて画像出力装置4に入力される。
【0056】
なお、画像形成装置1がscan to e-mail機能を実行する場合、色補正部14では、一般に普及している表示部(図示せず)の表示特性に適合したR’G’B’の画像データ(例えば、sRGBデータ)に変換され、出力階調補正部17では、前記表示部の特性に則した補正が行われる。黒生成/下色除去部15および中間調生成部18は、入力される画像データに対して処理を行わない。
【0057】
画像出力装置4は、本実施の形態においてプリンタであり、画像データを紙などシートに可視画像として出力する。この場合、画像出力装置4は、2色以上の現像剤を用いてシートに画像を形成可能とされている。なお、本実施形態では、C,M,Y,Kそれぞれの色の現像剤を用いて、シートに画像を形成する。なお、画像出力装置4は、本実施の形態では電子写真方式のプリンタとしているが、インクジェット方式のプリンタであってもよい。
【0058】
送受信部6は、他の外部通信装置(画像形成装置やパーソナルコンピュータなど)との間で画像データをはじめとする各種データの送受信を行う。
【0059】
制御部7は、例えばCPU(Central Processing Unit)と、CPUで実行処理される制御プログラムが記憶されている内部記憶部(図示せず)とを備え、画像入力装置2、画像処理装置3および画像出力装置4の動作を制御する。
【0060】
また、画像形成装置1は操作パネル131を有する。操作パネル131は、例えば液晶ディスプレイなどの前記表示部と、テンキーをはじめとする操作キーとを含んでいる。
【0061】
図2は、原稿自動判別部11の構成を示すブロック図である。図2に示すように、原稿自動判別部11は、原稿種別判定部30、無地画像検知部(第1検知部)19およびカラー判定部(第2検知部)20を備えている。
【0062】
原稿種別判定部30は、原稿の種別が印画紙写真原稿、文字印画紙原稿、文字原稿、印刷写真原稿、または文字印刷写真原稿のいずれであるかの判定を行い、その判定結果を示す原稿種別判定信号を出力する。例えば、複数の画素からなるブロックのRGB毎の平均値の最大値、RGB毎の最大値と最小値との差である最大差のヒストグラムの解析結果、注目画素がエッジ画素であるか否かの判定結果、およびエッジ画素のカウント数に基づき、上記判定を行う。
【0063】
なお、原稿種別判定部30による具体的な原稿種別判定方法としては、例えば本願出願人が先に出願している特開2009−38537号公報に記載の方法を採用可能であり、ここでは、原稿種別判定処理方法の具体的な説明は省略する。
【0064】
無地画像検知部19は、基本的な処理として、入力された画像データ(RGB信号)が無地原稿(白紙原稿、無地画像原稿あるいはブランク原稿に相当)のものであるか否かを検知する無地画像検知処理を行う。無地画像検知部19の無地画像検知処理については、例えば特開2009−94903号公報に記載の方法によって行うことができる。
【0065】
無地画像検知部19は、さらに、入力された画像データ(RGB信号)における筋画像(黒筋または色筋)の有無を検知する。このために、無地画像検知部19は、図3に示す構成を備えている。図3は、無地画像検知部19の構成を示すブロック図である。
【0066】
図3に示すように、無地画像検知部19は、平均値算出部21、画素判定部22、演算部23、ヒストグラム生成部24、エッジ画素カウント部25、判定部26およびエッジ判定閾値設定部27を備えている。これら各部の動作については、図5のフローチャートに基づいて後述する。
【0067】
無地画像検知部19は、上記構成により、入力された画像データについて、画像データは筋有りとの判定結果を示す判定信号、画像データは筋無しかつ無地原稿(白紙原稿、無地画像)のものとの判定結果を示す判定信号、あるいは画像データは筋無しかつ無地原稿(白紙原稿、無地画像)のものではないとの判定結果を示す判定信号を出力する。
【0068】
カラー判定部20は、基本動作として、入力された画像データがカラー原稿のものかモノクロ(白黒)原稿のものかを判定する自動カラー判定処理(ACS(Auto Color Selection))を行う。さらに、入力された画像データ(RGB信号)における筋画像(色筋)の有無を検知する。カラー判定部20は、これら動作の結果を示すカラーモノクロ判定信号として、入力された画像データについて、画像データは筋有り(色筋有り)との判定結果を示す信号、画像データは筋無しかつカラー原稿(カラー画像)のものとの判定結果を示す信号、あるいは画像データはモノクロ原稿(モノクロ画像)のものとの判定結果を示す信号を出力する。
【0069】
筋検知部12は、無地画像検知部19の検知結果およびカラー判定部20の判別結果に基づいて、原稿画像に含まれていない筋画像が前記画像データに含まれているか否かを検知する。この場合、筋検知部12は、図4に示すように、無地画像検知部19とカラー判定部20との少なくとも一方において筋画像(黒筋もしくは色筋)有りと判定された場合に、筋検知との判定結果を出力する。また、無地画像検知部19とカラー判定部20との両者において筋画像(黒筋もしくは色筋)無しと判定された場合に、筋無しとの判定結果を出力する。
【0070】
制御部7は、筋検知部12から筋検知との判定結果が出力された場合に、操作パネル131の表示部132において、その旨を表示させる。また、制御部7は、筋検知部12から筋検知との判定結果が出力された場合に、筋検知の対象となる画像データについての画像形成装置1でのそれ以後の処理を、停止させるようにしてもよい。
【0071】
上記の構成において、原稿自動判別部11の無地画像検知部19およびカラー判定部20、並びに筋検知部12の筋検知動作について説明する。
【0072】
まず、無地画像検知部19の動作について説明する。図5は、図2に示した無地画像検知部19の動作を示すフローチャートである。
【0073】
図5に示すように、平均値算出部21は平均値算出処理を行う(S1)。この平均値算出処理では、RGBのプレーン毎(色成分毎)に、注目画素を含む複数の画素からなるブロック(例えば7×7画素)の濃度値の平均値を算出し、注目画素の画素値とする。
【0074】
画素判定部22は、RGBのプレーン毎(色成分毎)に、注目画素を含む複数の画素からなるブロック(例えば7×7画素)内における最大濃度差を算出する(S2)。
【0075】
次に、画素判定部22は、ブロック内における複数の色成分のうち何れかの最大濃度差が、エッジ判定閾値設定部27に設定されているエッジ判定閾値(例えば、「30」)よりも大きいか否かを判定する(S3)。すなわち、前記ブロックに属する注目画素がエッジ画素であるか否かを判定する。
【0076】
S3の判定において、複数の色成分のうち何れかの最大濃度差がエッジ判定閾値よりも大きい場合には、注目画素はエッジ画素との判定となる。この場合、エッジ画素カウント部25は、エッジ画素についてのカウント値を1だけカウントアップする(S4)。
【0077】
なお、エッジを判定する方法は、このような最大濃度差によるものの他、分散値を求め、分散値が閾値以上のときにエッジ画素であると判定するものであってもよい。
【0078】
S1〜S4の処理は、入力された画像データの全ての画素に対する処理が終了するまで繰り返され、全ての画素に対する処理が終了すれば(S5)、S6の処理に進む。
【0079】
次に、判定部26は、エッジ画素カウント部25にてカウントされたエッジ画素数が、筋判定下限値(例えば、5000)以上かつ筋判定上限値(例えば、7000)以下であるか否かを判定する(S6)。この判定の結果、エッジ画素数が筋判定下限値以上かつ筋判定上限値以下であれば、判定部26は、画像データは筋有りとの判定結果を示す判定信号を出力する(S7)。なお、筋判定下限値は、例えば、通常の無地画像検知処理において、その値未満であれば無地原稿(白紙原稿、無地画像)と判定される値である。
【0080】
一方、S6での判定において、エッジ画素数が筋判定下限値以上かつ筋判定上限値以下でなければ、判定部26は、エッジ画素数が筋判定下限値よりも小さいか否かを判定する(S8)。
【0081】
S8での判定の結果、エッジ画素数が筋判定下限値よりも大きければ、その画像データに文字領域もしくは網点領域が存在することになる。したがって、判定部26は、画像データは筋無しかつ無地原稿(白紙原稿、無地画像)のものではないとの判定結果を示す判定信号を出力する(S18)。
【0082】
また、S8での判定の結果、エッジ画素数が筋判定下限値よりも小さければ、画像データは、白紙原稿の可能性がある。そこで、判定部26は演算部23に対して所定の演算動作を行うことを指示する。判定部26から所定の演算動作の指示を受けると、演算部23は、S1において平均値算出部21により算出された、注目画素のプレーン毎(色成分毎)の平均値の比較を行い、注目画素毎に色成分毎の平均値の最大値と最大差とを算出する(S9,S10)。
【0083】
次に、ヒストグラム生成部24は、演算部23にて算出された、最大値および最大差それぞれのヒストグラムを生成する(S11,S12)。この場合の濃度区分数は例えば16区分とする。
【0084】
S9〜S12の処理は、入力された画像データの全ての画素に対する処理が終了するまで繰り返され、全ての画素に対する処理が終了すれば(S13)、S14の処理に進む。
【0085】
次に、判定部26は、色成分毎の平均値の最大値と最大差のそれぞれのヒストグラムの度数値を第1判定閾値(例えば、500)と比較し、第1判定閾値よりも大きい区分数の合計値を算出し、それぞれを最大値ヒストグラム原稿濃度幅と最大差ヒストグラム原稿濃度幅とする(S14,S15)。
【0086】
次に、S14,S15において算出した最大値ヒストグラム原稿濃度幅と最大差ヒストグラム原稿濃度幅のそれぞれを無地原稿判定閾値(例えば、3)と比較し、両者が無地原稿判定閾値よりも小さいか否かを判定する(S16)。
【0087】
S16での判定の結果、上記両者が無地原稿判定閾値よりも小さければ、判定部26は、画像データは筋無しかつ無地原稿(白紙原稿、無地画像)のものとの判定結果を示す判定信号を出力する(S17)。一方、S16での判定の結果、上記両者が無地原稿判定閾値以上であれば、判定部26は、画像データは筋無しかつ無地原稿(白紙原稿、無地画像)のものではない判定結果を示す判定信号を出力する(S18)。
【0088】
図5に示した無地画像検知部19における画像データに対する筋画像(黒筋または色筋)の有無の判定動作を整理すると図7(a)に示すものとなる。図7(a)は、無地画像検知部19の画像データに対する筋画像の有無についての判定動作の概要を示す説明図である。
【0089】
なお、無地画像検知部19では、エッジ画素の画素数に基づいて、画像の中に筋が形成されている可能性があるか否か等を判定するようにしている。しかしながら、黒画素や白画素の画素数を計数し、これらの画素数に基づいて画像の中に筋が形成されている可能性があるか否か等を判定するようにしてもよい。
【0090】
また、図5に示した無地画像検知処では、エッジ画素の判定を行っている。しかしながら、エッジ画素の判定を行わずに、色成分毎のブロックの平均値を用いて、色成分毎の平均値の最大値と最大差を算出し、最大値と最大差のそれぞれのヒストグラムを生成して、無地原稿(ブランク原稿)であるか否かの判定を行うようにしてもよい。この場合、最大値ヒストグラム原稿濃度幅と最大差ヒストグラム原稿濃度幅の判定以外に、最大差ヒストグラム原稿濃度幅の数を検知し、最大値ヒストグラム原稿濃度幅と最大差ヒストグラム原稿濃度幅のそれぞれが、無地原稿判定閾値(例えば、3)よりも小さく、最大差ヒストグラム原稿濃度幅の数が1の場合、無地原稿(ブランク原稿)であると判定すればよい。
【0091】
次に、カラー判定部20の動作について説明する。図6は、図2に示したカラー判定部20による自動カラー判定処理の一例を示すフローチャートである。
【0092】
図6に示すように、カラー判定部20は、入力された画像データについて、注目画素におけるRGBの各信号のうちから最大値と最小値を抽出する(S31)。次に、抽出した最大値と最小値との差分を演算する(S32)。
【0093】
次に、カラー判定部20は、S32での演算値が所定の閾値(例えば、20)よりも大きいか否かを判定する(S33)。すなわち、カラー判定部20は、当該画素がカラー画素(有彩画素)であるかモノクロ画素(無彩画素)であるかを判定する。
【0094】
S33での判定の結果、上記演算値が所定の閾値よりも大きい場合には、当該注目画素はカラー画素であると判定し、カラー画素についてのカウント値を1だけカウントアップする(S34)。
【0095】
カラー判定部20は、S31〜S34の処理を画像データにおける全ての画素の処理が終了するまで繰り返し、全ての画素の処理が終了すればS36に進む(S35)。
【0096】
次に、カラー判定部20は、S34にてカウントされたカラー画素数が、筋判定下限値(例えば、5000)以上かつ筋判定上限値(例えば、8000)以下であるか否かを判定する(S36)。この判定の結果、カラー画素数が筋判定下限値以上かつ筋判定上限値以下であれば、カラー判定部20は、画像データは筋有り(色筋有り)との判定結果を示す信号を出力する(S37)。なお、筋判定上限値は、例えば、通常の自動カラー判定処理において、その値を越えていればカラー原稿(カラー画像)と判定される値である。
【0097】
一方、S36での判定において、カラー画素数が筋判定下限値以上かつ筋判定上限値以下でなければ、カラー画素数が筋判定上限値よりも大きいか否かを判定する(S38)。S38での判定の結果、カラー画素数が筋判定上限値よりも大きければ、カラー判定部20は、画像データは筋無しかつカラー原稿(カラー画像)のものとの判定結果を示す信号を出力する(S39)。
【0098】
また、S38での判定の結果、カラー画素数が筋判定上限値よりも大きくなければ、すなわち、カラー画素数が筋判定下限値よりも小さければ、カラー判定部20は、画像データはモノクロ原稿(モノクロ画像)のものとの判定結果を示す信号を出力する(S40)。
【0099】
図6に示したカラー判定部20における画像データに対する筋画像(色筋)の有無の判定動作を整理すると図7(b)に示すものとなる。図7(b)は、カラー判定部20の画像データに対する筋画像の有無についての判定動作の概要を示す説明図である。
【0100】
なお、カラー画像およびモノクロ画像の判定方法としては、RGB信号の各色成分の差分の絶対値を求め、その値を所定の閾値とを比較する方法など、他の公知の方法を用いてもよい。
【0101】
また、注目画素がカラー画素であるか否かを判別する場合には、S31〜S34の処理に代えて、例えば次のような処理を行ってもよい。
【0102】
すなわち、当該注目画素のRGBの各成分における画素値K(R),K(G),K(B)について、差分値の絶対値|K(R)−K(G)|,|K(G)−K(B)|,|K(B)−K(R)|を算出する。なお、これらの差分値については、それぞれ閾値が予め設定されている。
【0103】
カラー判定部20は、算出した差分値が対応する閾値より大きいか否かを判定し、3つの差分値のうちの1つでも閾値よりも大きい場合に、当該注目画素がカラー画素であると判定する。
【0104】
また、カラー判定部20の構成については、例えば特開平4−282968号公報に記載されている構成を適用することができる。その構成において、自動カラー判定処理は、次のような手順にて行われる。
【0105】
まず、入力された画像データ(原稿画像)の画素毎にカラー画素であるかモノクロ画素であるかを判別する。次に、与えられる画素順にて所定数以上の連続するカラー画素の存在を検知すると、その連続カラー画素をカラーブロックと認識する。
【0106】
次に、1ライン中に所定数以上のカラーブロックが存在していれば、そのラインをカラーラインとして計数する。次に、画像データ中にカラーラインが所定数存在していれば、カラー画像と判断し、そうでない場合はモノクロ画像と判断する。
【0107】
この方法では、画像データ(原稿画像)中にどの程度の数のカラー画素が含まれていればカラー画像(カラー原稿)と判定するのかに応じて、カラーブロックであるか否かを判定するカラー画素数の基準、カラーラインであるか否かを判定するカラーブロック数の基準、およびカラー画像(カラー原稿)であるか否かのカラーライン数の基準を設定すればよい。
【0108】
また、上記のように、画像データがカラー原稿のものであるか否かの判定を、原稿全体に対するカラー画素の割合ではなく、カラー画素の画素数(絶対数)で行っているのは、原稿のサイズに比してカラーの領域が非常に少ない原稿をカラー原稿と判定できるようにするためである。
【0109】
すなわち、本実施形態に係る画像形成装置1で読み取られ得る原稿の一例として、例えば、全体的に黒色の文字が表記され且つ一部分に朱色の印鑑が押されている原稿が想定される。この場合、カラーである印鑑部分の領域が原稿全体に占める割合は少ないため、全画素に対するカラー画素の割合に基づいてカラー原稿の判定を行うと、カラー原稿であると判定されるべき処、モノクロ原稿と判定される虞がある。このような事態を回避するため、カラー判定部20は、カラー画素の割合ではなくカラー画素の絶対数に基づいて、カラー原稿の判定を行うようにしている。
【0110】
次に、筋検知部12の動作について説明する。筋検知部12は、図4に示したように、無地画像検知部19での画像データは筋(黒筋または色筋)有りとの判定と、カラー判定部20での画像データは筋(色筋)有りとの判定との、少なくとも一方の判定が行われた場合に、筋検知と判定する。一方、無地画像検知部19またはカラー判定部20のいずれにおいても筋有りとの判定が行われなかった場合に、筋無しと判定する。
【0111】
筋検知部12での検知結果は制御部7に送られ、制御部7は、筋検知部12から筋検知との判定結果が出力された場合に、操作パネル131の表示部132において、その旨を表示させる。
【0112】
上記の無地画像検知部19、カラー判定部20および筋検知部12による筋検知のための動作を示すと図8のようになる。図8は、無地画像検知部19、カラー判定部20および筋検知部12による筋検知のための動作を示すフローチャートである。
【0113】
図8において、無地画像検知部19は、画像データのエッジ画素数が筋判定用の下限値以上かつ筋判定用の上限値以下である場合、すなわち画像データのエッジ画素数が筋有りとの判定範囲(筋該当範囲)内にあるとき(S51)、画像データは筋有りとの判定結果を筋検知部12に出力する。また、カラー判定部20は、画像データのカラー(有彩)画素数が色筋判定用の下限値以上かつ色筋判定用の上限値以下である場合、すなわち画像データのカラー(有彩)画素数が色筋有りとの判定範囲(色筋該当範囲)内にあるとき(S52)、画像データは色筋有りとの判定結果を筋検知部12に出力する。
【0114】
筋検知部12は、無地画像検知部19とカラー判定部20との少なくとも一方から、画像データは筋有りとの判定結果を受け取ると、筋検知との検定結果を出力する。この判定結果に基づき、制御部7の制御により、例えば操作パネル131の表示部132において、筋検知との通知が行われる(S53)。一方、筋検知部12は、無地画像検知部19とカラー判定部20とのいすれかから、画像データは筋有りとの判定結果を受け取らなければ、筋無しとの検定結果を出力する。この場合、操作パネル131の表示部132において、筋検知との通知は行われない(S54)。なお、筋検知の通知は、音声によって行われてもよい。
【0115】
また、図8においては、無地画像検知部19による筋検知の後に、カラー判定部20による色筋検知が行われるようになっているが、この順序は逆であってもよい。また、無地画像検知部19による筋検知とカラー判定部20による色筋検知とが同時に行われる構成であってもよい。
【0116】
以上のように、本実施の形態の画像処理装置3では、原稿自動判別部11の無地画像検知部19による無地画像検知機能(白紙検知機能)を利用して筋検知を行い、またカラー判定部20の自動カラー判定機能を利用して色筋検知を行っている。
【0117】
すなわち、黒または色筋は、通常原稿よりも圧倒的に少ない面積を有していること、かつ無地原稿(白紙原稿、無地画像)と判定されない程度の面積を有していることに着目し、無地画像検知部19において、画像データのエッジ画素数に対する筋判定用の下限値および筋判定用の上限値、すなわち画像データのエッジ画素数についての筋有りとの判定範囲を設定し、筋検知を行っている。
【0118】
また、色筋は、通常原稿よりも圧倒的に少ない面積を有していること、かつモノクロ原稿と判定されない程度の面積を有していることに着目し、カラー判定部20において、画像データのカラー(有彩)画素数に対する色筋判定用の下限値および色筋判定用の上限値、すなわち画像データのカラー(有彩)画素数についての色筋有りとの判定範囲を設定し、色筋検知を行っている。
【0119】
これにより、画像データにおける筋画像の発生を確実に検知することができる。
【0120】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態を図面に基づいて以下に説明する。
本実施の形態の画像処理装置3では、原稿自動判別部11の原稿種別判定部30における原稿種別の判定結果に応じて、無地画像検知部19での筋判定用の判定範囲(筋該当範囲)、すなわち画像データのエッジ画素数に基づく筋有りとの判定範囲(エッジ画素数の筋該当範囲)が設定される。同様に、上記原稿種別の判定結果に応じて、カラー判定部20での色筋判定用の判定範囲(色筋該当範囲)、すなわち画像データのカラー(有彩)画素数に基づく色筋有りとの判定範囲(カラー画素数の色筋該当範囲)が設定される。
【0121】
例えば、印刷写真原稿や印画紙写真原稿などの写真原稿についての画像データの場合は、筋が生じている場合において、通常、筋の領域よりも大幅に大きい写真領域が存在する。したがって、黒筋および色筋の検知において、判定用の上限値を小さくして、筋有りとの判定範囲(筋該当範囲)を狭くしても、十分に筋画像の検知は可能である。また、このように、判定範囲(筋該当範囲)を狭くすれば、筋検知の精度を高めることができる。
【0122】
一方、文字原稿、文字印刷写真原稿、文字印画紙写真原稿などの主に文字からなる原稿の画像データの場合は、筋が生じている場合において、通常、筋と写真領域との重複が少なくなり筋画像より検出されるエッジ画素数が、上記の写真原稿についての画像データの場合よりも大きくなる。したがって、黒筋および色筋の検知において、判定用の上限値を大きくして、筋有りとの判定範囲(筋該当範囲)を広くした方が、筋検知の精度を高めることができる。
【0123】
図9は、本発明の他の実施の形態の画像処理装置3における原稿自動判別部11の構成を示すブロック図である。図9に示すように、無地画像検知部19およびカラー判定部20には、原稿種別判定部30からの原稿種別判定信号が入力されている。
【0124】
無地画像検知部19およびカラー判定部20は、原稿種別判定信号に応じて、筋有りとの判定範囲を変更する。このために、筋判定用の閾値として原稿種別判定信号に応じた筋判定用の上限値を保持している。
【0125】
本実施の形態において、無地画像検知部19およびカラー判定部20は、原稿種別判定信号によって示される原稿の種別が印刷写真原稿あるいは印画紙写真原稿である場合には、第1原稿種別用の筋判定用の閾値(筋判定用の上限値)を使用する。また、原稿種別が文字原稿、文字印画紙原稿あるいは文字印刷写真原稿である場合には、第2原稿種別用の筋判定用の閾値(筋判定用の上限値)を使用する。
【0126】
これら、第1原稿種別用の筋判定用の閾値(筋判定用の上限値)、および第2原稿種別用の筋判定用の閾値(筋判定用の上限値)は、例えばテーブルとして無地画像検知部19およびカラー判定部20が保持している。
【0127】
本実施の形態において、無地画像検知部19での第1原稿種別用の筋判定用の閾値(筋判定用の上限値)は、エッジ画素数として5000以上かつ7000以下の任意の値、例えば6000に設定される。したがって、図5に示した無地画像検知部19の動作において、S6における筋有りとの判定範囲(エッジ画素数の筋該当範囲)は、先の実施の形態では5000以上かつ7000以下であったところ、5000以上かつ6000以下となる。
【0128】
また、カラー判定部20での第1原稿種別用の筋判定用の閾値(筋判定用の上限値)は、カラー画素数として5000以上かつ8000以下の任意の値、例えば7000に設定される。したがって、図6に示したカラー判定部20の動作において、S36における色筋有りとの判定範囲(カラー画素数の色筋該当範囲)は、先の実施の形態では5000以上かつ8000以下であったところ、5000以上かつ7000以下となる。
【0129】
一方、無地画像検知部19での第2原稿種別用の筋判定用の閾値(筋判定用の上限値)は、エッジ画素数として7000以上かつ10000以下の任意の値、例えば8000に設定される。したがって、図5に示した無地画像検知部19の動作において、S6における筋有りとの判定範囲(エッジ画素数の筋該当範囲)は、先の実施の形態では5000以上かつ7000以下であったところ、5000以上かつ8000以下となる。
【0130】
また、カラー判定部20での第2原稿種別用の筋判定用の閾値(筋判定用の上限値)は、カラー画素数として8000以上かつ11000以下の任意の値、例えば9000に設定される。したがって、図6に示したカラー判定部20の動作において、S36における色筋有りとの判定範囲(カラー画素数の色筋該当範囲)は、先の実施の形態では5000以上かつ8000以下であったところ、5000以上かつ9000以下となる。
【0131】
以上のように、本実施の形態の画像処理置3では、原稿自動判別部11の原稿種別判定部30にて判定された原稿種別に応じて、無地画像検知部19およびカラー判定部20での筋画像有りとの判定となる判定範囲(筋該当範囲)を設定している。これにより、原稿自動判別部11および筋検知部12による筋検知の精度を高めることができる。
【0132】
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施の形態を図面に基づいて以下に説明する。
以上の実施の形態では、筋検知部12は、単一の頁の画像データについての筋有無の判定結果に基づいて、筋画像の発生の有無を判定するようになっている。
【0133】
一方、画像入力装置2としての原稿搬送読取装置のスキャナ部に付着している塵埃などによって読取画像データに筋画像が発生する環境下では、筋画像は複数頁(例えば連続する複数頁)の画像データに渡って発生する場合が多い。したがって、画像データにおける筋画像の発生の有無の判定は、単一の頁の画像データについての判定結果によるものよりも、複数頁の画像データについての判定結果によるものの方が、高精度に行うことができる。そこで、本実施の形態の画像処理装置3では、筋検知部12からの画像データにおける筋画像の発生の有無についての判定結果の出力を、複数頁の画像データについての筋画像の有無の各判定結果に基づいて、行うようになっている。
【0134】
ここで、上記の複数頁の画像データは、例えば、画像入力装置2としての原稿搬送読取装置での1枚または複数枚の原稿の読取ジョブによって、原稿搬送読取装置から随時入力される画像データの複数ページ分である。あるいは、原稿搬送読取装置での複数枚の原稿を一部とする原稿の読取ジョブによって、原稿搬送読取装置から入力された一連の画像データである。あるいは、画像入力装置2としての、原稿を反転させて両面読取を行う両面原稿搬送読取装置にて読み取られた1枚の原稿の両面についての画像データである。あるいは、画像入力装置2としての、原稿を反転させて両面読取を行う両面原稿搬送読取装置にて読み取られた複数枚の原稿の両面についての一連の画像データである。
【0135】
画像入力装置2として、両面原稿搬送読取装置を備えた画像処理装置3、または両面原稿搬送読取装置が接続された画像処理装置3は、両面原稿搬送読取装置での両面原稿の読み取りが設定された場合に、原稿の両面から読み取られた各画像データを含む複数の画像データを、筋画像の発生の有無についての判定対象の画像データとして処理する。
【0136】
上記の構成において、本実施の形態の画像処理装置3の動作を図10に基づいて説明する。図10は、複数頁の画像データを対象として筋検知を行う画像処理装置3の動作を示すフローチャートである。
【0137】
図10に示すように、画像処理装置3では、S71において1頁分の画像データについての筋検知動作を行う。なお、S71の動作は、図2に示した原稿自動判別部11の無地画像検知部(第1検知部)19による図5に示した筋検知動作、または原稿自動判別部11のカラー判定部(第2検知部)20による図6に示した筋検知動作である。また、以下に示すS72〜S77の動作は、例えば筋検知部12により行われるものである。
【0138】
S71での筋検知動作において、画像データに筋有りとの判定が行われると(S72)、カウンタにて計数される筋有りの頁数nをn+1として(S73)、S74へ進む。一方、S71での筋検知動作において、画像データに筋無しとの判定が行われると(S72)、筋有りの頁数nを変更せずにS74へ進む。
【0139】
S74では、複数枚の原稿を一部とする原稿の読み取りによって画像入力装置2(原稿搬送読取装置)から複数頁の画像データが入力される場合、それら複数頁(全頁)の画像データについての処理が完了したか否かを判定する。あるいは、1枚または複数枚の原稿の読取ジョブによって、画像入力装置2(原稿搬送読取装置)から随時画像データが入力される場合、所定の複数頁(全頁)の画像データについての処理が完了したか否かを判定する。
【0140】
次に、S74での判定の結果、全頁の処理が完了していれば、筋有りの頁数nが閾値Nよりも多いか否かを判定する(S75)。S75での判定の結果、筋有りの頁数nが閾値Nよりも多ければ、筋検知との判定結果を制御部7に出力する(S76)。一方、S75での判定の結果、筋有りの頁数nが閾値N以下であれば、筋無しとの判定結果を制御部7に出力する(S77)。制御部7は、筋検知部12から筋検知との判定結果が出力された場合に、操作パネル131の表示部132において、その旨を表示させる。
【0141】
なお、S75での閾値Nについては、S74の判定において設定する画像データの全頁の数に応じて、予め2以上の所定の値が設定されていてもよい。あるいは、画像データの全頁数の例えば50%など、各筋検知動作において変化する画像データの全頁数に応じた値が設定されるようにしてもよい。
【0142】
また、図10に示した例では、個々の画像データについての筋有無の判定(S71)は、S71→S72→S73→S74の処理手順により、画像データの全頁に対して行っている。しかしながら、図11に示すように、筋有りの頁数nが閾値Nよりも多くなった時点において、上記の一連の画像データにおける残りの画像データについての筋検知動作を行わず、筋検知部12から筋検知との判定結果を出力するようにしてもよい。
【0143】
図11は、図10に示した、複数頁の画像データを対象として筋検知を行う画像処理装置3の動作における他の例を示すフローチャートである。図11の例では、S74での全頁の処理が完了したか否かの判定は、S75の処理の前では行わず、S75において筋有りの頁数nが閾値N以下である場合に、行うようになっている。すなわち、個々の画像データについての筋有無の判定(S71)は、画像データの全頁に対する筋有無の判定(S71)が完了する前に、筋有りの頁数nが閾値Nよりも多くなれば、その時点において中止される。
【0144】
また、図10および図11の動作では、筋有りの頁数nは積算された頁数となっており、その積算された筋有りの頁数nを閾値Nと比較して、筋検知との判定結果を出力するようになっている。しかしながら、これに代えて、筋有りの頁数nとしては、連続する筋有りの頁数n(例えば、3頁、4頁あるいは5頁など)、を計算し、その連続する筋有りの頁数nを閾値Nと比較して、筋検知との判定結果を出力するようにしてもよい。
【0145】
ここで、原稿を反転させて両面読取を行う両面原稿搬送読取装置について説明する。図12は、原稿を反転させて両面読取を行う画像入力装置2としての両面原稿搬送読取装置の構造を示す概略の縦断面図である。
【0146】
図12に示すように、両面原稿搬送読取装置100は、スキャナ部(読取光学系)101、このスキャナ部101上に配置された原稿自動給紙部102、前記スキャナ部101および前記原稿自動給紙部102の動作を制御する駆動制御部(図示せず)を備えている。
【0147】
スキャナ部101は、原稿の画像を読み取って画像データを作成する。原稿は、原稿自動給紙部102の底部に配置された透明なガラス等の原稿台120上にユーザにより載置される。あるいは、原稿自動給紙部102により1枚ずつスキャナ部101での読取位置に給紙される。原稿画像の読み取りのために、スキャナ部101は、光源ランプ111、複数の反射ミラー112,113,114、結像レンズ115、光電変換素子(CCD:Charge Coupled Device)116を備えている。
【0148】
光源ランプ111は、原稿台120上に載置された原稿や、原稿自動給紙部102により搬送される原稿に対して、光を照射する。反射ミラー112〜114は、図12に破線にて光路Lを示すように、原稿からの反射光を一旦図中左方向に反射させた後、下方に反射させ、その後、結像レンズ15に向かうように図中右方向に反射させるようになっている。
【0149】
スキャナ部101では、原稿画像の読取動作において、原稿台120上に載置された現行を読み取る場合(シート固定方式として使用する場合)に、光源ランプ111および反射ミラー112が原稿台120に沿って水平方向に走査して、原稿全体の画像を読み取る。一方、原稿自動給紙部102により搬送される原稿を読み取る場合(シート移動方式として使用する場合)に、光源ランプ111および反射ミラー112が図12示す位置に固定され、原稿読取部122を原稿が通過する際に原稿画像を読み取る。なお、原稿読取部122は、読取ガラス122aおよび読取ガイド122b、ならびに前記光源ランプ111、反射ミラー112〜114、結像レンズ115およびCCD116により構成されている。
【0150】
原稿画像の読取動作において、光源ランプ111から照射された光の原稿からの反射光は、各反射ミラー112〜114で反射され、結像レンズ115を通過する。この光はCCD116に導かれ、CCD116において電気信号(原稿画像データ)に変換される。
【0151】
原稿自動給紙部102は、シート移動式としての機能を有するために、原稿載置部としての原稿トレイ123、原稿排出部としての排紙トレイ124、および原稿トレイ123と排紙トレイ124との間で原稿を搬送する原稿搬送系125を備えている。
【0152】
原稿搬送系125は、第1搬送路125aおよび第2搬送路125bを備えている。第1搬送路125aは、原稿トレイ123に載置された原稿104を、原稿読取部122を経て反転ローラ対127gまで搬送する。第2搬送路125bは、反転ローラ対127gによる反転後の原稿を第1搬送路125aに供給する。
【0153】
原稿トレイ123は、原稿有無検知センサ123aおよび複数の原稿サイズセンサ123bを備えている。原稿有無検知センサ123aは、原稿トレイ123に原稿104が載置されているか否かを検知する。原稿サイズセンサ123bは、原稿トレイ123に載置された原稿104のサイズを検知する。原稿サイズセンサ123bの数は、図12の例では2個となっている。しかしながら、原稿サイズセンサ123bの数は、処理可能とする原稿の種類数に合わせて変更可能である。なお、原稿の種類数とは、搬送方向に対して平行な方向における寸法の違いによって区別した場合の種類数である。
【0154】
原稿自動給紙部102において、第1搬送路125aの上流側の端部にはピックアップローラ127aおよび捌きローラ127bが配設されている。捌きローラ127bの下側には分離パッド127cが配設されている。これにより、ピックアップローラ127aの回転に伴って原稿トレイ123上の原稿104が、1枚ずつ捌きローラ127bと分離パッド127cとの間を通過して、第1搬送路125aに給紙されるようになっている。
【0155】
第1搬送路125aと第2搬送路125bとの合流部分Aには、原稿104の通過を検知するための搬送センサ127dが配設されている。さらに、この搬送センサ127dの配設位置よりも下流側には、2つのローラから構成されたレジストローラ対127eが配設されている。
【0156】
レジストローラ対127eは、一方のローラが時計回りに、他方のローラが反時計回りに回転することによって、2つのローラ間に供給された原稿104を下流側へ搬送する。さらに、原稿104の先端の位置とスキャナ部101の画像読取タイミングとを調整しながら原稿104を原稿読取部122に供給する。すなわち、レジストローラ対127eは、原稿104が供給された状態でその原稿104の搬送を一旦停止し、画像読取タイミングを調整して原稿104を原稿読取部122に供給するようになっている。
【0157】
原稿読取部122は、読取ガラス122aおよび読取ガイド122bを備えている。原稿読取部122では、レジストローラ対127eから供給された原稿104が読取ガラス122aと読取ガイド122bとの間を通過する際に、光源ランプ111からの光が読取ガラス122aを通過して原稿104に照射されるようになっている。この際に、スキャナ部101による原稿画像データの取得が行われる。
【0158】
両面原稿搬送読取装置100では、原稿104の両面読み取りの場合に、表面の読み取りが終わった原稿104の後端部が切換えゲート121を通過すると、反転ローラ対127gが停止して、原稿104の搬送が一旦停止する。このとき、切換えゲート121は排紙状態から通常状態に戻り、自重により先端が反時計方向に回転する。したがって、第1搬送路125aの搬出口は切換えゲート121で塞がれた状態になると同時に、第2搬送路125bの搬入口は開放状態になる。このような状態になると、反転ローラ対127gは反転して原稿104を第2搬送路125bに供給する。したがって、原稿104は、第2搬送路125bを経て、合流部分Aを通過した後に、再度第1搬送路125aへ供給される。その後、原稿104は、読取ガラス122aに向けて搬送され、裏面の読み取りが行われた後、排紙トレイ124に排紙される。
【0159】
次に、両面原稿搬送読取装置の他の例について説明する。図13は、図12に示した両面原稿搬送読取装置の他の例を示すものであって、二つの読取光学系を備え、原稿を反転することなく原稿の両面読取を行う両面原稿搬送読取装置の構造を示す概略の縦断面図である。
【0160】
図13に示すように、両面原稿搬送読取装置200は、下部筐体201、上部筐体202および排紙トレイ203を備えている。両面原稿搬送読取装置200では、原稿を静止させて画像を読み取る静止読取モード、原稿を搬送しながら画像を読み取る走行読取モード、および原稿を搬送しながら原稿における両面の画像を読み取る両面読取モードにて原稿の画像読み取りを行えるようになっている。
【0161】
読取モードの選択は、画像処理装置3が備える、ユーザが各種設定や指示入力を行うための操作部において行われ、選択された読取モードは、読取モード信号として伝達として伝達される。なお、原稿トレイ222に原稿がセットされた状態(原稿有無検知センサで原稿が検知された状態)で、コピーボタンが押された時は、走行読取モードによって原稿画像を読み取るように設定されている。また、両面読取モードで読み取る際は、操作部より両面読取モードの設定が行われる。
【0162】
両面原稿搬送読取装置200では、原稿台211に原稿が置かれると、下部筐体201内あるいは原稿台211の近傍に配置された原稿サイズセンサ(図示せず)によって原稿サイズが検知され、コピーボタンが押されると、静止読取モードにて原稿の読み取りを行う。
【0163】
両面原稿搬送読取装置200は、原稿画像の読み取りを、静止読取モードでは下部筐体201内の第1読取部(裏面用の読取光学系)210によって行う一方、走行読取モードでは上部筐体202内の第2読取部(表面用の読取光学系)223によって行うようになっている。また、両面読取モードでは、これら第1読取部210および第2読取部223の双方を同時に用いるようになっている。
【0164】
下部筐体201は、第1読取部210および原稿台211を備え、第1読取部210は、第1走査ユニット212、第2走査ユニット213、結像レンズ214、CCD215および読取ガラス216を備えている。
【0165】
原稿台211は、静止読取モードで読み取る原稿を載置するための原稿台である。第1走査ユニット212は、原稿台211に沿って左から右に一定速度Vで移動しながら原稿を露光する。このために、第1走査ユニット212は、光源ランプ250、および原稿の反射光を第2走査ユニット213に導く第1の反射ミラー251を有している。
【0166】
第2走査ユニット213は、第1走査ユニット212に追従してV/2の速度で移動するようになっており、第1反射ミラー251からの光を結像レンズ214およびCCD215に導く第2反射ミラー252および第3反射ミラー253を備えている。
【0167】
結像レンズ214は、第3反射ミラー253からの反射光を、CCD215上で結像させる。CCD215は、結像レンズ214からの光をアナログの電気信号に変換する。なお、この電気信号は、画像処理装置3によってデジタルの画像データに変換される。
【0168】
第1読取部210は、原稿台211上に載置された原稿画像の読み取り、および上部筐体202の部材によって搬送される原稿画像の読み取りを行う。
【0169】
第1走査ユニット212は、原稿台211上の原稿を読み取る際には、図13に示すPos1の位置からPos2の位置の方向に、原稿サイズ検出手段(図示せず)にて検出された原稿サイズに応じて、所定距離だけ移動する。一方、搬送されている原稿を読み取る際には、Pos3の位置に停止している。また、使用されていない待機中には、Pos1の位置とPos3の位置との中間のPos0(図示せず)の位置であるホームポジションに、停止している。
【0170】
第2読取部223は、原稿トレイ222に載置された原稿の画像を読み取るものであり、原稿搬送部231、イメージセンサ部232、原稿搬送路233および原稿排出部234を備えている。
【0171】
原稿搬送部231は、原稿トレイ222に載置された原稿を取り込み、原稿搬送路233上を搬送させるものである。イメージセンサ部232は、搬送されている原稿の画像を読み取るものである。原稿排出部234は、イメージセンサ部232によって画像を読み取られた後の原稿を、排紙トレイ203に排出するものである。
【0172】
原稿搬送部231は、給送補助ローラ261、原稿有無検知センサ262、原稿抑え板263、摩擦パッド264、給送タイミングセンサ265、給送ローラ266および整合ローラ対267を備えている。
【0173】
給送補助ローラ261および原稿抑え板263は、原稿有無検知センサ262に検知された原稿を、第2読取部223内部に引き入れるものである。摩擦パッド264、給送ローラ266および整合ローラ対267は、給送タイミングセンサ265の検知結果に基づいて、引き込まれた原稿を1枚毎にイメージセンサ部232に導くものである。
【0174】
なお、整合ローラ対267は、その駆動軸に電磁クラッチ(図示せず)を備え、駆動モータ(図示せず)からの駆動力の伝達を制御できるようになっており、原稿のない状態では停止している。そして、原稿の先端が給送タイミングセンサ265に接触し、このセンサから所定の信号が伝達されたときに、原稿を下流側に搬送する方向に回動するように設定されている。
【0175】
整合ローラ対267は、停止した状態で、摩擦パッド264および給送ローラ266により上流側より搬送されてきた原稿の先端が、整合ローラ対267のニップ部に付き当たり、原稿に所定の撓みを形成した後に、下流側に原稿を搬送するように回動する。この際に、整合ローラ対267のニップ部により、原稿の先端が搬送方向に直角となるように整合される。さらに、整合ローラ対267は、読取ガラス216との間で、原稿搬送路33の一部を形成している。
【0176】
原稿排出部234は、原稿排出ローラ対269および原稿排出センサ259を備えている。原稿排出ローラ対269の上側ローラは、駆動側のローラであり、上部筐体202の左側部に一体的に設けられて、上部筐体202中の駆動機構により駆動される。原稿排出ローラ対269の上側ローラは、下部筐体201側に回転自在に設けられた原稿排出ローラ対269の下側ローラ(従動ローラ)とで、原稿搬送路233を通った原稿を挟持搬送して、排紙トレイ203上に排出する。
【0177】
また、原稿排出センサ259は、原稿排出ローラ対269の下流側に配置されており、原稿の排出を、後述する読取制御部に伝達するものである。
【0178】
イメージセンサ部(CIS:Contact Image Sensor)232は、上部筐体202に設けられており、原稿搬送路233を走行する原稿における上側の画像を読み取る。なお、開放扉224は、イメージセンサ部232の上方の空間を開放可能となっている。
【0179】
次に、上記構成の両面原稿搬送読取装置200の動作について説明する。
両面原稿搬送読取装置200は、静止読取モードでは、片面モードだけが選択可能となり、第1読取部210だけが原稿の読み取りに用いられる。このとき、第1読取部210の第1走査ユニット212は、まずホームポジション(図13中のPos3とPos1との間にあるPos0(図示せず))に配置される。そして、読取制御部の指示に応じて、Pos1の位置から原稿台211上に載置された原稿を走査しながら、第2走査ユニット213とともにPos2側に移動する。これにより、CCD215に、原稿画像に応じた反射光を受光させることが可能となる。このように、第1読取部210は、静止した原稿の下側の面(表面)に形成されている画像を読み取ることとなる。
【0180】
走行読取モードでは、ユーザにより片面読取モードと両面読取モードの両方が選択可能となる。走行読取モードの片面読取モードでは、原稿の片面のみから読取画像を得る場合、第1読取部210だけを原稿の読み取りに用いればよい。この場合、第1読取部210の第1走査ユニット12は、ホームポジションPos0の位置からPos3の位置に移動して停止し、そのまま停止状態を保持して、走行する原稿の読み取りを行う。そして、読取制御部の指示に応じて、CCD215が、読取ガラス216を介して、原稿搬送路233を搬送される原稿の画像を下側から読み取る。すなわち、第1読取部210は、原稿の下側の面(表面)に形成されている画像を読み取ることとなる。
【0181】
走行読取モードの両面読取モードでは、第1読取部210およびイメージセンサ部232の双方が原稿の読み取りに用いられる。このとき、第1読取部210の第1走査ユニット212は、走行読取モードの片面読取モード時と同様に、Pos3の位置に停止される。
【0182】
そして、読取制御部の指示に応じて、第1読取部210が、読取ガラス216を介して、原稿搬送路233を搬送される原稿の画像を下側から読み取る。また、同様に、イメージセンサ部232が、搬送される原稿の上側の面(裏面)に形成されている画像を上側から読み取る。
【0183】
このように、両面原稿搬送読取装置200における両面読取モードでは、第1読取部210および第2読取部223が、搬送原稿の表裏両面の画像を、上下方向から一度に読み取ることとなる。
【0184】
なお、原稿搬送読取装置として図13に示した両面原稿搬送読取装置200を使用する場合には、片面原稿(裏面が白紙の原稿)について原稿の読み取りを行う場合にも(原稿の片面の読取画像データを出力する設定であっても)、原稿の両面読み取りを行うようにすればよい。この場合、画像処理装置3は、画像入力装置2としての両面原稿搬送読取装置200および画像処理装置3を備えた画像読取装置として構成される。
【0185】
このような構成とすれば、原稿の読取ガラス216と接する側の面(原稿をフェイスダウンでセットした場合の表面)の画像データを第1読取部210から得ることができる。第1読取部210から得られる画像データは、塵埃が読取ガラス216上に存在し易いことから、筋画像が発生し易い面の画像データである。したがって、第1読取部210から得た画像データに基づいて、読取画像データにおける筋画像の発生の有無につていの検知動作を適切に行うことができる。
【0186】
また、裏面の画像データから、両面原稿搬送読取装置200において筋画像が発生する状態であるかどうかを把握することができる。これにより、画像処理装置3は、原稿の片面の読取画像データを出力する設定時の処理に基づいて、原稿の両面の読取画像データを出力する設定時における、裏面の画像データでの筋画像の発生を予測することができる。したがって、その事態を例えば操作パネル131の表示部132や音声等によってユーザに通知し、筋発生を未然に防ぐことができる。
【0187】
また、両面原稿搬送読取装置200を使用し、片面原稿(裏面が白紙の原稿)について原稿の読み取りを行う場合にも(原稿の片面の読取画像データを出力する設定であっても)、原稿の両面読み取りを行う構成とした場合には、図11に示したように、筋検知動作において筋無しと判定された場合に、その段階で両面読み取りを中止し、片面読み取りに変更して、原稿の読み取り処理を継続する構成とすることが好ましい。
【0188】
〔実施の形態4〕
本発明のさらに他の実施の形態を図面に基づいて以下に説明する。
本実施の形態の画像読取装置は、図1に示した画像入力装置2および画像処理装置3を備えた構成となっている。この画像読取装置は、画像入力装置2として、例えば図12に示した両面原稿搬送読取装置100あるいは図13に示した両面原稿搬送読取装置200を備えている。なお、以下の説明では、画像入力装置2として両面原稿搬送読取装置100を備えているものとしている。
【0189】
画像読取装置は、読取画像データでの筋画像の発生の有無を検知する筋検知モードの設定が可能となっている。筋検知モードの設定は、操作パネル131において、ユーザからの入力操作により行われる。筋検知モードにおける筋検知動作は、例えば図10または図11に示すものである。
【0190】
筋検知モードが設定されている場合、画像読取装置の両面原稿搬送読取装置100では、走行読取モードによる画像読取モードとして、ユーザにより片面読取モードが設定された場合と両面読取モードが設定された場合とに関わらず、両面読取モードでの読み取り動作が行われる。
【0191】
上記の構成において、画像読取装置の動作を図14に基づいて以下に説明する。図14は、筋検知動作における画像読取装置の動作を示すフローチャートである。
【0192】
画像読取装置にて原稿の読み取りを行う場合、図12に示した両面原稿搬送読取装置100において、原稿トレイ123にユーザにより原稿がセットされる。次に、ユーザにより、操作パネル131において、読み取り動作の開始を指示するスタートキーが操作される。
【0193】
上記のスタートキーが操作されると、画像読取装置の制御部7(図1参照)は、原稿有無検知センサ123aの検出結果により、原稿トレイ123上における原稿の有無を判定する(S101)。
【0194】
S101での判定の結果、原稿トレイ123上に原稿がなければ(原稿台120上に原稿があれば)(S102)、原稿台120上の原稿の片面を読み取る。この場合には、筋検知動作を行わない。
【0195】
一方、S101での判定の結果、原稿トレイ123上に原稿があれば、両面原稿搬送読取装置100による画像読取モードとして、ユーザにより、片面読取モードが設定されているか、両面読取モードが設定されているかに関わらず、両面読取モードでの読み取り動作を行う(S103)。
【0196】
次に、S103の原稿読み取り動作により得られた複数の画像データに対して、筋検知動作を行う(S104)。ここで、行う筋検知動作は、図10に示した筋検知動作、あるいは図11に示した筋検知動作である。したがって、筋有りの頁数nが閾値Nよりも多ければ、筋検知との判定結果となり、筋有りの頁数nが閾値N以下であれば、筋無しとの判定結果となる。この判定結果は、操作パネル131の表示部132に表示される。
【0197】
なお、筋検知動作以外の本来の画像データを取得することを目的とした処理においては、ユーザによる片面読取モードもしくは両面読取モードの設定に応じて、取得された画像データについての処理が行われる。
【0198】
上記の構成によれば、ユーザにより画像読取モードとして片面読取モードが設定された場合であっても、両面原稿搬送読取装置100から原稿の表裏両面についての画像データが得られるので、原稿から読み取った複数の画像データに基づいて筋検知動作を行う場合に、少ない原稿枚数によっても効率よく筋検知動作を行うことができる。
【0199】
また、ユーザにより片面読取モードが設定された場合において、原稿の両面読み取りを行う場合には、図11に示したように、筋検知動作において筋無しと判定された場合に、その段階で両面読み取りを中止し、片面読み取りに変更して、原稿の読み取り処理を継続するようにしてもよい。このような構成とすれば、片面原稿について両面読み取りを行うことにより、片面読み取りを行う場合よりも読み取り速度が遅くなる場合において、読み取り速度の低下を抑制することができる。このような構成は、原稿を反転させて原稿の両面読み取りを行う、両面原稿搬送読取装置100を使用する場合に、読み取り速度の低下を抑制する上において、特に有効である。
【0200】
なお、原稿搬送読取装置として図13に示した両面原稿搬送読取装置200を使用する場合にも、同様に、ユーザにより片面読取モードが設定された場合であっても、原稿の両面読み取りを行うようにすればよい。このような構成とすれば、前述したように、第1読取部210から得た画像データに基づいて、読取画像データにおける筋画像の発生の有無につていの検知動作を適切に行うことができる。
【0201】
〔実施の形態5〕
本発明のさらに他の実施の形態を以下に説明する。
本実施の形態の画像処理装置3は、以上の各実施の形態の構成に加えて、次の構成を備えている。すなわち、入力された読取画像データがモノクロ原稿の画像データである場合、および出力する画像データをモノクロの画像データとして出力する場合に、図10あるいは図11に示したS71の動作として、カラー判定部20により色筋の有無を検知するようになっている。カラー判定部20による色筋有無の検知動作は、図6および図7(b)に基づいて前述したとおりである。また、画像処理装置3における他の動作は前述のとおりである。
【0202】
入力された画像データがモノクロ原稿のものであるかフルカラー原稿のものであるかは、操作パネル131において、ユーザがフルカラー選択ボタン、モノクロ選択ボタンまたは自動選択ボタンが操作されることにより、画像処理装置3に入力される。自動選択ボタンが操作された場合、画像データがモノクロ原稿のものであるかフルカラー原稿のものであるかは、カラー判定部20にて判定される。
【0203】
また、画像データをモノクロの画像データとして出力するかフルカラーの画像データとして出力するかは、操作パネルに設けられているカラースタートキーあるいはモノクロスタートキーがユーザにて操作されることにより、画像処理装置3に入力される。
【0204】
最後に、画像処理装置3の各ブロック、特に原稿自動判別部11および筋検知部12は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0205】
すなわち、画像処理装置3は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである画像処理装置3の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記画像処理装置3に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0206】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0207】
また、画像処理装置3を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【符号の説明】
【0208】
1 画像形成装置
2 画像入力装置
3 画像処理装置
4 画像出力装置(印刷装置)
7 制御部
11 原稿自動判別部
12 筋検知部(第3検知部)
19 無地画像検知部(第1検知部)
20 カラー判定部(第2検知部)
30 原稿種別判定部
100 両面原稿搬送読取装置
101 スキャナ部(読取光学系)
102 原稿自動給紙部
104 原稿
120 原稿台
122a 読取ガラス
131 操作パネル
132 表示部
200 両面原稿搬送読取装置
201 下部筐体
202 上部筐体
210 第1読取部
211 原稿台
216 読取ガラス
223 第2読取部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像データが無地原稿のものであるか否かの無地画像検知処理を行うとともに、入力された画像データに筋を示す筋画像が含まれているか否かの筋検出処理を行う第1検知部と、
入力された画像データがモノクロ原稿のものか否かを判定する判定処理、および入力された画像データがカラー原稿のものか否かを判定する判定処理を含むカラーモノクロ判定処理を行うとともに、入力された画像データに色の筋を示す筋画像が含まれているか否かの筋検出処理を行う第2検知部と、
前記第1検知部と前記第2検知部との少なくとも一方により筋画像が検出された場合に、筋検知との判定結果を出力する第3検知部とを備えていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記第1検知部は、前記筋検出処理および前記無地画像検知処理において、入力された前記画像データのエッジを示すエッジ画素数を計数し、前記エッジ画素数が筋判定下限値以上かつ筋判定上限値以下の筋該当範囲内である場合に筋画像有りと判定し、前記エッジ画素数が前記筋該当範囲外である場合に筋画像無しと判定し、前記エッジ画素数が筋判定下限値未満である場合に、入力された前記画像データは無地原稿のものと判定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第2検知部は、前記筋検出処理および前記カラーモノクロ判定処理において、入力された前記画像データのカラー画素数を計数し、前記カラー画素数が筋判定下限値以上かつ筋判定上限値以下の筋該当範囲内である場合に筋画像有りと判定し、前記カラー画素数が前記筋該当範囲外である場合に筋画像無しと判定し、前記カラー画素数が筋判定下限値未満である場合に、入力された前記画像データはモノクロ原稿のものと判定し、前記カラー画素数が筋判定上限値を超える場合に、入力された前記画像データはカラー原稿のものと判定することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
入力された複数頁の各画像データに対して、前記第1検知部は前記筋検出処理および前記無地画像検知処理を行い、前記第2検知部は前記筋検出処理および前記カラーモノクロ判定処理を行い、
前記第3検知部は、前記第1検知部と前記第2検知部との少なくとも一方により筋画像が検出された画像データの頁数である筋画像頁数を閾値と比較し、前記筋画像頁数が前記閾値よりも多いときに、筋検知との判定結果を出力することを特徴とする請求項1から3項の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
入力された前記画像データの原稿種別を判定する原稿種別判定部を備え、
前記第1検知部は、前記原稿種別判定部により、入力された前記画像データの原稿種別が文字原稿、文字印刷写真原稿あるいは文字印画紙写真原稿のうちのいずれかと判定された場合に、入力された前記画像データの原稿種別が印刷写真原稿あるいは印画紙写真原稿のいずれかと判定された場合よりも、前記筋検出処理において、その画像データに対する前記筋該当範囲を前記筋判定上限値を大きくすることにより広くすることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
入力された前記画像データの原稿種別を判定する原稿種別判定部を備え、
前記第2検知部は、前記原稿種別判定部により、入力された前記画像データの原稿種別が印刷写真原稿あるいは印画紙写真原稿のいずれかと判定された場合に、入力された前記画像データの原稿種別が文字原稿、文字印刷写真原稿あるいは文字印画紙写真原稿のうちのいずれかと判定された場合よりも、前記筋検出処理において、その画像データに対する前記筋該当範囲を前記筋判定上限値を小さくすることにより狭くすることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項7】
原稿を搬送しながら読み取って画像データを取得する原稿搬送読取装置と、前記原稿搬送読取装置が取得した画像データに基づいて前記筋検知のための処理を行う請求項1から6の何れか1項に記載の画像処理装置とを備えていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
前記原稿搬送読取装置は、原稿の片面の読取画像データを出力する設定であっても、原稿の表面および裏面を読み取ってそれぞれの画像データを取得し、
前記画像処理装置は、少なくとも前記裏面の画像データに基づいて前記筋検知のための処理を行うことを特徴とする請求項7に記載の画像読取装置。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか1項に記載の画像処理装置と、入力された画像データに基づいてシートに画像を印刷する印刷装置とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
入力された画像データが無地原稿のものであるか否かの無地画像検知処理を行うとともに、入力された画像データに筋を示す筋画像が含まれているか否かの筋検出処理を行う第1検知工程と、
入力された画像データがモノクロ原稿のものか否かを判定する判定処理、および入力された画像データがカラー原稿のものか否かを判定する判定処理を含むカラーモノクロ判定処理を行うとともに、入力された画像データに色の筋を示す筋画像が含まれているか否かの筋検出処理を行う第2検知工程と、
前記第1検知工程と前記第2検知工程との少なくとも一方により筋画像が検出された場合に、筋検知との判定結果を出力する第3検知工程とを備えていることを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
請求項1から6のいずれか1項に記載の画像処理装置の前記の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−9287(P2013−9287A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196544(P2011−196544)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】