説明

画像処理装置およびその制御方法

【課題】 合成画像に対して最適な画像処理を施すことができ、最終プリント出力物も最適な画質を提供する。
【解決手段】 2種類の画像を合成する第一の合成手段を所持し、前記第一の合成手段により画像合成する際に、前記2種類の画像に付属する属性情報を合成する第二の合成手段と、前記第一の合成手段により生成された合成画像を使用する際に前記第二の合成手段により生成された合成属性情報を使用し、適切な箇所に適切な画像処理を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合機において画像合成機能を使用する際の属性情報の生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィスやコピーショップにおいて、複合機が設置されるケースが増加している。複合機とは、一台で複写機能(以下スキャン)、プリント機能(以下PDL)、送信機能(以下SEND)を持ち合わせた画像処理装置(以下、MFP)を示す。MFPは、機器内部での画像データを効率よく処理することが可能である。その中の一つの機能として画像合成機能がある。(特許文献1)画像合成機能とは、スキャンで読み込んだ画像データとPDLで複合機内の記憶装置内に蓄えた画像データを重ね合わせることが可能な機能で、全面重ね合わせることや片方を透かして重ねることなどが可能である。以下では、重ねる側をフォームと呼び、重ねられる側を原稿と呼ぶ。
【特許文献1】特開平10-145583号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、画像イメージを合成する方法は数多く提案されているが、原稿、フォームの各々の画像データに付加されている属性情報を合成する方法は、提案されていない。もし、合成画像データに最適な属性情報が付加されていなければ、最適にプリント出力することができない。例えば、原稿だけの属性情報を使用し、画像処理を施すと、フォーム側の黒文字部が4色(CMYK)で印字されてしまい、字が滲んでしまうケースがありうる。一般的に属性情報は、プリント出力時の色処理の決定や画像形成の決定には、不可欠なものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため解決手段の第一の要旨は、画像合成機能を使用時に、原稿、フォーム両者の画像データに付属する属性情報において、文字や線部の情報を抽出し、それ以外の部分には、原稿の属性情報を使用し、合成属性情報を生成することを特徴とするものである。
【0005】
また、本発明の第二の要旨は、前記合成属性情報を生成する際に属性情報から文字や線部の情報を抽出するだけに留まらず、ユーザが抽出したい属性を選択できるようなUI画面を表示し、選択された属性を抽出し、合成属性情報を生成することを特徴とするものである。
【0006】
さらに、本発明の第三の要旨は、選択した優先箇所をプレビューすることを可能とすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
以上に説明したように、本発明によれば、画像合成時に属性情報も合成により生成することにより、合成画像に対して最適な画像処理を施すことができ、最終プリント出力物も最適な画質を提供することが可能になる。
【0008】
また、フォーム画像のどのオブジェクトを優先するのかをユーザが選択できることにより、合成画像に対して、ユーザが希望する画質を提供することが可能になる。
【0009】
さらに、合成画像のプレビュー表示と同時にフォーム画像のどの部分を優先したのかを判別することが可能なプレビューも用意することにより、ユーザに対して分かりやすさを提供することが可能になる。
【0010】
そして、フォーム画像に限らず、原稿画像に対しても上記全ての項目が実行できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第一の実施例)
<画像合成機能を利用可能なシステム構成>
図1に画像合成機能の構成図を示す。
【0012】
ユーザは、ホストコンピュータA102から画像データ105をMFP101内部の記憶装置108にフォーム画像として登録する。ユーザがMFP101の操作パネルにおいて画像合成機能を使用する際には、MFP101の原稿台に原稿104を乗せスキャンする。フォーム画像には、先ほど記憶装置108に登録してある画像データ105を選択する。画像合成出力時に必要な設定を行われると、MFP101内で画像合成処理が行われ、合成画像107が生成され、プリント出力される。プリント出力以外にもネットワークを介してホストコンピュータA102やホストコンピュータB103にSENDすることも可能である。また、MFP101内部の記憶装置108内部に記憶させることも可能である。
【0013】
MFP101でのスキャン以外にホストコンピュータB103からの画像データ106とフォーム画像105との画像合成も可能である。
【0014】
<画像合成機能の概略>
図2に画像合成機能の概略図、図3、図4に画像合成機能使用時のユーザインターフェース画面の一例を示す。
【0015】
ユーザがスキャンかPDLにより原稿画像204をフォーム画像データ201と合成し、出力する際には、図3のフォーム画像選択のユーザインターフェース画面がスキャン時には、MFP101の操作パネル上に、PDL時には、ホストコンピュータA102かホストコンピュータB103のモニタ上に表示される。その画面上でユーザは、フォーム画像を301のように選択し、ボタン302によりフォーム画像として使用することを決定する。次に202の透かし率設定部で設定する透かし率を、図4のようなユーザインターフェースで設定する。画面上に401のようなサブ画面が現れ、402のスライダーバーを利用し、透かし率を設定する。設定された透かし率に応じてフォーム画像201は、濃度もしくは輝度変換され、透かし後フォーム画像203が生成される。透かし後フォーム画像203と原稿画像204は画像合成部205により画像合成され、合成画像206が生成される。合成画像206は、画像圧縮207により圧縮され、記憶部A208に記憶される。
【0016】
<画像合成の種類>
画像合成部205では、様々な合成方法が実施できる。その一例として、掛け算合成や足し算合成が挙げられる。
【0017】
掛け算合成とは、以下の式で現され、透かし合成時に有効な合成方法である。
【0018】
Output=Input×Input÷255 (数式1)
足し算合成とは、フォーム画像の上から原稿画像を乗せてしまう合成方法である。
【0019】
<属性情報>
図5に属性情報の概略図を示す。
【0020】
属性情報501は、画像データのオブジェクトを示す。図5に示すように、文字部分502、線部分503、イメージ部分504を判別できる。この属性情報501を元に、画像処理を行うことにより最適な画質を得ることができる。例えば、画像形成処理部506においては、属性データ501は属性解析部505にて、各々の属性に分別され、文字部分502には、誤差拡散507を用いて、線部分503には、高線数スクリーン508を使用し、イメージ部分504には、低線数スクリーン509により処理することが可能になる。一例として画像形成部506を挙げたが、その限りではなく、画像処理全般に適応できる。
【0021】
<属性情報の合成方法>
図6に属性情報の合成に関する概略図を示す。
【0022】
フォーム画像601は透かし率設定モジュール603によって、ユーザの設定した透かし率に応じて、画像濃度が変換される。その結果、透かし後フォーム画像604が生成される。一方で、フォーム画像601に付属しているフォーム属性情報602は、文字/線部抽出モジュール605によって、文字/線部が抽出される。抽出された結果が反映されたフォーム抽出後属性情報606が生成される。
【0023】
上記のようにフォーム側の準備が整うと、まず、原稿画像607と透かし後フォーム画像604とが画像合成モジュール609で画像合成され、合成画像610が生成される。次に、属性情報合成モジュール611で、フォーム抽出後属性情報606と原稿画像の属性情報608を合成し、合成属性情報612を生成する。生成方法は、フォーム抽出後属性情報606において、抽出されている文字や線部は合成時に最優先され、フォーム抽出後属性情報606においてその他の文字や線部が抽出されていない部分に関しては、原稿属性情報608が優先され、合成属性情報612が生成される。
【0024】
(第二の実施例)
本発明は、第一の実施例に限った話ではない。
【0025】
第一や第二の実施例では、フォームや原稿の文字/線部を抽出するようになっているが、図7のようなユーザインターフェースによりユーザにどのオブジェクトを優先するかを選択させてもかまわない。
【0026】
図9には、本実施例の構成図を、図7には、オブジェクトを優先できるユーザインターフェース画面を示す。
【0027】
ユーザはMFPの操作画面で図7のようなUI画面を見ることができる。このUI画面を通じてユーザは、文字と線ボタン701か写真ボタン702を押下する。選択された情報は、UI情報解析部902により、どのオブジェクトを優先するのかを判別し、属性抽出モジュール903にそれらの情報をセットする。
【0028】
属性抽出モジュール903は、ユーザにより選択されたオブジェクトを抽出し、フォーム抽出後属性情報606が生成される。
【0029】
フォーム側の準備が整うと、まず、原稿画像608と透かし後フォーム画像604とが画像合成される。次に、属性情報合成モジュール611により、合成属性情報612を生成する。生成方法は、フォーム抽出後属性情報606において、抽出されているオブジェクトは合成時に最優先され、フォーム抽出後属性情報606においてその他、オブジェクトが抽出されていない部分に関しては、原稿属性情報608が優先され、合成属性情報612が生成される。
【0030】
(第三の実施例)
本発明は、第一、第二の実施例に限った話ではない。
【0031】
合成機能により生成された合成画像のプレビューと同時に、フォーム画像の優先事項をプレビューにより確認できる。
【0032】
図8には、MFPの操作画面上に表示される画面の一例を示す。
【0033】
ユーザは、この画面上で、合成画像結果801をプレビューできると同時に、どの部分がフォームで優先された箇所かを802のプレビューによって判別することができる。
【0034】
(第四の実施例)
本発明は、第一、第二、第三の実施例に限った話ではない。
【0035】
第一の実施例では、フォーム側の属性情報に対して、文字/線部抽出モジュールにより文字/線部を抽出していたが、原稿側の文字/線部を抽出し、原稿抽出後属性情報を生成し、原稿側の抽出されている文字や線部が合成時に最優先されその他の文字や線部が抽出されていない部分に関しては、フォーム属性情報が優先され、合成属性情報が生成される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】画像合成機能の構成図
【図2】画像合成機能の概略図
【図3】フォーム登録時のユーザインターフェース画面を示す一例
【図4】透かし率設定時のユーザインターフェース画面を示す一例
【図5】属性情報に関連する概略図
【図6】本発明の概略図
【図7】本発明の第二の実施例に関連するユーザインターフェース画面を示す一例
【図8】本発明の第三の実施例に関連する画面を示す一例
【図9】本発明の第二の実施例を示す概略図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種類の画像を合成する第一の合成手段を所持し、前記第一の合成手段により画像合成する際に、前記2種類の画像に付属する属性情報を合成する第二の合成手段と、前記第一の合成手段により生成された合成画像を使用する際に前記第二の合成手段により生成された合成属性情報を使用し、適切な箇所に適切な画像処理を行うことができることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記第二の合成手段において、2種類の属性情報のうち片方の属性情報から文字部や線部を抽出する抽出手段と、属性情報の合成時に前記抽出手段により抽出された箇所以外は、もう片方の画像の属性情報を選択する選択手段とを具備することを特徴とする請求項1に記載された画像処理装置。
【請求項3】
前記抽出手段において抽出するオブジェクト属性をユーザが変更できる変更手段と、前記変更手段により変更された抽出情報を前記抽出手段に反映させる反映手段とを具備することを特徴とする請求項1、請求項2に記載された画像処理装置。
【請求項4】
前記第一の合成手段により生成された合成画像のプレビューを表示する第一の表示手段と、前記抽出手段により抽出したオブジェクトがユーザに理解できるように抽出箇所を明示する第二の表示手段とを具備することを特徴とする請求項1、請求項2に記載された画像処理装置。
【請求項5】
2種類の画像を合成する第一の合成手段を所持し、前記第一の合成手段により画像合成する際に、前記2種類の画像に付属する属性情報を合成する第二の合成手段と、前記第一の合成手段により生成された合成画像を使用する際に前記第二の合成手段により生成された合成属性情報を使用し、適切な箇所に適切な画像処理を行うことができることを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
前記第二の合成手段において、2種類の属性情報のうち片方の属性情報から文字部や線部を抽出する抽出手段と、属性情報の合成時に前記抽出手段により抽出された箇所以外は、もう片方の画像の属性情報を選択する選択手段とを具備することを特徴とする請求項5に記載された画像処理方法。
【請求項7】
前記抽出手段において抽出するオブジェクト属性をユーザが変更できる変更手段と、前記変更手段により変更された抽出情報を前記抽出手段に反映させる反映手段とを具備することを特徴とする請求項5、請求項6に記載された画像処理方法。
【請求項8】
前記第一の合成手段により生成された合成画像のプレビューを表示する第一の表示手段と、前記抽出手段により抽出したオブジェクトがユーザに理解できるように抽出箇所を明示する第二の表示手段とを具備することを特徴とする請求項5、請求項6に記載された画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−303679(P2006−303679A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−119598(P2005−119598)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】