画像処理装置及びその方法、並びに、コンピュータプログラムおよび記憶媒体
【課題】 下地除去を行う画像処理技術であって、コントーン画像のページメモリを必要とせず逐次的に処理を行い、かつ読み取り原稿の種類によって処理が破綻し出力画質が劣化することが起こりにくい処理を実現する。
【解決手段】 入力された画像データを明度成分に変換し、明度成分と閾値との差分量を求める。求めた差分量に基づきカウント変動量を決定し、カウンタを利用して閾値を追従変動させる。追従変動により求めた閾値を使用し、信号変換処理によって各画素における下地除去処理を行う。
【解決手段】 入力された画像データを明度成分に変換し、明度成分と閾値との差分量を求める。求めた差分量に基づきカウント変動量を決定し、カウンタを利用して閾値を追従変動させる。追従変動により求めた閾値を使用し、信号変換処理によって各画素における下地除去処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置およびその方法、並びに、コンピュータプログラムおよび記憶媒体に関し、例えば、画像の下地除去処理を行う画像処理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、デジタルカラー複写機のコピー処理では、スキャナで読み取った原稿を忠実に再現させるため様々な画像処理が行われている。通常、原稿の紙の色すなわち下地部は純粋な白ではなく、わずかに色がついている場合がほとんどである。よって、そのままコピー処理を実行すると下地部まで色材を用いて忠実に再現してしまう。これによって色材の浪費が進むなど、様々な弊害の原因となる。
【0003】
これに対して、原稿画像に含まれる下地色に応じた最適な画像処理として以下の処理が知られている。まず、スキャナで読み取った画像の輝度(または濃度)ヒストグラムを作成し、それを基に、原稿画像の下地(背景)の信号レベル(以下「下地レベル」と呼ぶ)を検出する。次に、画像信号から下地レベルを減算して、画像から下地を除去する処理を行う。
【0004】
一般に、下地除去処理は、処理が搭載されるシステム構成によって大きく二通りに分類することができる。
【0005】
図3は、一つめの下地除去処理を示すシステム構成の一例を示す図である。図3において、101はスキャナなどの画像読取部であり、原稿画像を読み取る。301はスキャナ画像処理部であり、画像読取部101で読み取った原稿画像に対して、図示しないシェーディング補正処理、フィルタ処理、および入力色補正処理などの画像処理を施す。103−31は記憶部であり、スキャナ画像処理後の原稿画像1ページ分のコントーン画像情報を記憶する。302はプリンタ画像処理部であり、下地除去処理や、図示しない出力色補正処理、および中間調処理などの画像処理を施す。103−32は記憶部であり、プリンタ画像処理後の原稿画像1ページ分のハーフトーン画像情報を記憶する。105はプリンタなどの画像出力部であり、記憶領域に記憶された画像情報を出力する。ここで、下地除去処理部303における下地除去処理は、読み取り原稿のコントーン画像情報を記憶領域103−31に一時的に記憶しておき、記憶された原稿全面の画像情報を基に実行する。
【0006】
本構成に係る従来の下地除去処理技術として、特許文献1、2などが挙げられる。特許文献1では、原稿を読み取った画像から下地レベルを検出し、同時に読み取った画像を記憶部に記憶し、検出した下地レベルに応じて最適なガンマ補正テーブルを作成し、ガンマ補正を行うことによって読み取った画像の下地を除去している。
【0007】
また、特許文献2では、原稿のヒストグラムを作成しその情報を利用して下地レベルを検出し、検出した下地レベルを用いて下地除去処理を行うことで、原稿種別に適した下地除去処理を行っている。
【0008】
図4は、二つ目の下地除去処理を示すシステム構成の一例を示す図である。図4において、101はスキャナなどの画像読取部であり、原稿画像を読み取る。301はスキャナ画像処理部であり、画像読取部101で読み取った原稿画像に対して、図示しないシェーディング補正処理、フィルタ処理、および入力色補正処理などの画像処理を施す。302はプリンタ画像処理部であり、下地除去処理や、図示しない出力色補正処理、および中間調処理などの画像処理を施す。103−41は記憶部であり、プリンタ画像処理後の原稿画像1ページ分のハーフトーン画像情報を記憶する。105はプリンタなどの画像出力部であり、記憶領域に記憶された画像情報を出力する。上述した図3に示す一つめのシステム構成に比べ、コントーン画像1ページ分の記憶領域を必要としないため、低コストで実現できる。すなわち、図4の構成では画像処理途中でコントーン画像情報を記憶しておく記憶手段を持たないため、読み取りを進めながら逐次的に下地処理を実行することができる。
【0009】
本構成に係る従来の下地除去処理技術として、特許文献3、4などが挙げられる。特許文献3では、読み取り原稿を読み取った画素から順に明度・色差情報へ分離し、明度成分に応じて白レベルを変化させ、色差成分については閾値を利用して色値の圧縮を試みている。これにより、背景色を無彩色に近づけている。
【0010】
また、特許文献4では、読み取り原稿から読み取った画素を明度成分と色差成分に分離して、明度成分と閾値の大小を判定し、判定された画素数をカウントすることにより閾値を追従変動させる。色差成分に対しても同様に閾値との大小を判定し、判定された画素数をカウントすることで閾値を追従変動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平6−253135号公報
【特許文献2】特開平8−307722号公報
【特許文献3】特開平6−197216号公報
【特許文献4】特開2008−060839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1や特許文献2では、下地の除去方法として原稿のヒストグラムを利用するため、図3に示す、原稿1ページ分のコントーン画像情報を記憶することが可能なシステム構成上でしか実現することが出来ないという問題がある。近年、原稿の読み込み解像度の拡大化に伴い、必要な記憶装置の容量も増大する傾向にある。低価格化の競争が激化しているプリンタ・複合機市場において、記憶装置の容量はコストに影響を及ぼす大きな要因の一であり、本システム構成を用いるとコストダウンを実現するための障害となってしまう。
【0013】
また、特許文献3では、色分解により明度成分と色差成分に分離し、明度成分の下地領域の色に応じた正規化、および閾値による色差成分の圧縮を行うことにより、下地領域と前景の分離を行わない限り、前景色も明度成分が高くなってしまう。そのため、全体的に画像が白濁する結果となってしまうと予想される。
【0014】
また、特許文献4では、色分解により明度成分と色差成分に分離し、それぞれの成分に対して閾値を追従変動させている。明度成分、色差成分共に入力値と各々の閾値との差を比較しているが、背景(下地領域)と前景の明度が閾値推定に与える影響が同じ強さとなってしまう。すなわち、特許文献4では差分値に応じてカウンタ変動量を変えていない。そのため背景領域が少なく前景領域のほうが多い読み取り原稿においては、原稿全体に占める前景の影響が大きくなり、原稿の前景領域まで濃度が除去されてしまうおそれがある。読み取り原稿の種類が多岐にわたる複写機での使用において、読み取り原稿の種類によっては、誤って原稿の前傾領域の濃度が除去されてしまうことは問題である。
【0015】
本発明は、下地レベルの推定に影響を与えるカウント変動量を、画像データの注目画素の明るさに基づいて画素毎に決定することにより、読み取り原稿の種類によらず安定した下地除去処理を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、入力された画像データを明るさの成分に変換する変換手段と、前記変換手段によって変換された明るさの成分と所定の閾値との差分量を算出する算出手段と、前記差分量に応じて前記画像データの画素毎にカウント変動量を決定する決定手段と、前記画像データにおいて前記カウント変動量を累積した結果に基づき、前記閾値を変動させる閾値変動手段と、前記閾値変動手段によって生成された新たな閾値を下地レベルとして、前記画像データの下地を除去する処理を行う処理手段とを有することを特徴とする画像処理装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、下地レベルの推定に影響を与えるカウント変動量を、画像データの注目画素の明るさに基づいて画素毎に決定することにより、読み取り原稿の種類によらず安定した下地除去処理を行うことが可能となる。また、閾値を追従変動させるためのカウンタ変動量を、画像データの明るさの成分と所定の閾値(下地レベル)との差分量によって決定する。これにより、注目画素が下地らしいかどうかを判断し、下地らしさに応じて閾値推定に与える影響度を段階的に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示すブロック図
【図2】本実施形態に係る画像形成装置の概観図
【図3】従来の画像形成装置の概略構成を示す詳細なブロック図
【図4】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す詳細なブロック図
【図5】本実施形態の下地除去処理のフロー図
【図6】カウント変動量を決定するために使用する領域分割例
【図7】カウント変動量を決定するために使用するテーブル例
【図8】閾値変動処理のフロー図
【図9】信号変換処理のフロー図
【図10】信号変換処理により得られる下地除去効果を示す図
【図11】カウント変動量を決定するために使用する他の領域分割例
【図12】カウント変動量を決定するために使用する他のテーブル例
【図13】実施形態3に係る平滑化処理のフロー図
【図14】平滑化フィルタを決定するために使用する領域分割例
【図15】平滑化フィルタを決定するために使用するテーブル例
【図16】実施形態4に係る平滑化処理のフロー図
【図17】平滑化フィルタを決定するために使用する他のテーブル例
【図18】実施形態5に係る平滑化処理のフロー図
【図19】平滑化フィルタを決定するために使用する他のテーブル例
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施形態1)
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置は、画像読取部101、画像処理部102、記憶部103、CPU104および画像出力部105を備える。本実施形態では、画像処理部102、記憶部103、CPU104を含む装置を画像処理装置とする。
【0021】
画像読取部101は、原稿の画像を読み取り、画像データを出力する。この画像読取部101は例えばスキャナである。
【0022】
画像処理部102は、画像読取部101や、PC等の外部から入力される画像データを含む印刷情報に対して、画像処理を行う。より詳細には、図4に示すように、スキャナ画像処理部301とプリンタ画像処理部302に分けられる。スキャナ画像処理部301では、読み取った原稿画像に対して、図示しないシェーディング補正処理、フィルタ処理、および入力色補正処理などの画像処理が行われる。プリンタ画像処理部302では、下地除去処理303、図示しない出力色補正処理、および中間調処理などの画像処理が行われる。
【0023】
シェーディング補正処理では、画像読取部101に取り付けられた白基準を絶対白レベルとして画素毎に正規化が行われる。しかし、読み取り原稿の下地の明度が白基準より低い場合は下地の明度が残ることになり、読み取り原稿の下地が残ってそれが印刷で再現されてしまい、出力画質劣化の一因となる。下地除去処理部303では、シェーディング補正処理で除去できなかった下地の信号値を飛ばすことで更なる画質向上を実現する。下地除去処理部303に関しては追って詳細を述べる。
【0024】
画像処理部102で処理された画像データは、記憶部103へ格納される。記憶部103は、ROM、RAM、ハードディスク(HD)などを含む。ROMは、CPU104が実行する各種の制御プログラムや図5に示す画像処理プログラムを格納する。RAMおよびHDは、CPU104がデータや各種情報を格納する参照領域や作業領域として用いられる。
【0025】
画像出力部105は、記録紙などの記録媒体にカラー画像を形成して出力する。この画像出力部105は後述のように例えば電子写真方式のプリンタである。
【0026】
図2は、本実施形態に係る画像形成装置の概観図である。
図2において、画像読取部101では、原稿台ガラス203および原稿圧板202の間に、画像を読み取る原稿204が置かれる。原稿204がランプ205の光に照射されると、原稿204からの反射光は、ミラー206と207に導かれ、レンズ208によって3ラインセンサ210上に像が結ばれる。なお、レンズ208には赤外カットフィルタ231が設けられている。図示しないモータにより、ミラー206とランプ205を含むミラーユニットを速度Vで、ミラー207を含むミラーユニットを速度V/2で矢印の方向に移動する。つまり、3ラインセンサ210の電気的走査方向(主走査方向)に対して垂直方向(副走査方向)にミラーユニットが移動し、原稿204の全面を走査する。
【0027】
3ラインのCCDからなる3ラインセンサ210は、レッドRを受光するCCD210−1、グリーンGを受光するCCD210−2、およびブルーBを受光するCCD210−3を備えている。このような構成で、入力される光情報を色分解して、フルカラー情報レッドR、グリーンGおよびブルーBの各色成分を読み取る。なお、3ラインセンサ210を構成するCCD210−1〜210−3はそれぞれ、8000画素分の受光素子を有する。また、CCD210−1〜210−3はそれぞれ、原稿台ガラス203に載置可能な原稿の最大サイズであるA3サイズの原稿の短手方向(297mm)を600DPIの解像度で読み取ることができる。
【0028】
標準白色板211は、3ラインセンサ210の各CCD210−1〜210−3によって読み取ったデータを補正するためのものである。標準白板211は、可視光でほぼ均一の反射特性を示す白板である。
【0029】
画像処理部102は、3ラインセンサ210から入力される画像信号を電気的に処理して、マゼンタM、シアンC、イエローY、およびブラックKの各色成分信号を生成し、生成したMCYKの色成分信号を画像出力部105に送る。
【0030】
画像出力部105において、画像読取部101から送られてくるM、C、Y、および/またはKの画像信号はレーザドライバ212へ送られる。レーザドライバ212は、入力される画像信号に応じて半導体レーザ素子213を変調駆動する。半導体レーザ素子213から出力されるレーザビームは、ポリゴンミラー214、fθレンズ215、およびミラー216を介して感光ドラム217を走査し、感光ドラム217上に静電潜像を形成する。
【0031】
現像器は、マゼンタ現像器219、シアン現像器220、イエロー現像器221、およびブラック現像器222を備えている。4つの現像器が交互に感光ドラム217に接することで、感光ドラム217上に形成された静電潜像を対応する色のトナーで現像してトナー像を形成する。記録紙カセット225から供給される記録紙は、転写ドラム223に巻き付けられ、感光ドラム217上のトナー像が記録紙に転写される。
【0032】
このようにしてM、C、Y、およびKの4色のトナー像が順次転写された記録紙は、定着ユニット226を通過することで、トナー像が定着された後、装置外へ排出される。
【0033】
次に本実施形態に係る下地除去処理の詳細に関して説明する。なお、本処理への入力は画像読取部101や外部から入力される画像データであり、画像処理部102におけるプリンタ画像処理部302にある下地除去処理部303にて行われる。
【0034】
図5に本実施形態に係る下地除去処理のフロー図を示す。CPU104が、ROM103に格納されている図5のフローチャートを実行するためのプログラムを読み出して実行することで、図5に示す処理が行われる。
【0035】
なお、本処理は、画像読取部101より読み取られる原稿データが、読み取り順に1画素ずつ入力され、それに対応して1画素ずつ出力される逐次処理を想定している。以下、図5に示すフローチャートに沿って、各処理の詳細を説明する。
【0036】
まず、S501において、注目画素のRGB情報が入力されると、下地除去処理部303は、RGB情報を明るさの成分へ変換する。明るさの成分とは、例えば明度成分Lであり、以下の式により演算される。
【0037】
【数1】
【0038】
但しこの演算は一例であり、この演算に限定されるものではなく、他の演算を用いてもよい。
【0039】
また、明るさの成分は、CIE Lab空間のLでもよいし、YUV空間のYでもよいし、Luv空間のLでもよいし、YCbCr空間のYでもよい。
【0040】
次に、S502において、下地除去処理部303は、S501で変換された明るさの成分に対して注目画素を含む複数の周辺画素の値から平滑化を行う。注目画素における明るさ成分と注目画素の周辺画素における明るさ成分とを用いて、例えば、平均演算を行うなど平滑化効果の得られるフィルタリング処理を行う。
【0041】
なお、平滑化に用いるフィルタサイズおよび形状は、要求されるシステム構成に合わせて決定すればよい。例えば、複数ラインの遅延バッファが使用出来るのであれば注目画素を中心とするN×Nフィルタを用いたり、ラインバッファが使用出来ないのであれば、注目画素を先頭とするN×1フィルタを用いたりすればよい。但しこの方法は一例であり、このフィルタサイズおよび形状に限定されるものではない。
【0042】
明るさの成分に対して平滑化を行うことで、注目画素の成分値をそのまま使用するよりも後述するカウント変動量決定手段(S504)の精度が向上し、それによってより安定した下地レベルの推定が実現される。
【0043】
具体的には、注目画素の明るさの成分を平滑化することで、網点により面積階調表現された画像データやノイズが載っている画像データに対して、ノイズ成分などにより入力値が変動することを抑える効果がある。
【0044】
次に、S503において、下地除去処理部303は、S502で平滑化した所定の成分に対して閾値との差分量を算出する。ここで述べる閾値とは、画素ごとに決定される所定成分に対応した閾値のことであり、ひとつ前の画素処理の結果を受けて決定されている値である。ある画素にて決定された閾値は、その画素における下地レベルとなる。閾値、すなわち下地レベルは画素毎に変化していく。最初の画素の処理を始める時は、適当な値(初期値)を設定しておくこととする。
【0045】
差分量をDif、入力値をL_in、閾値をlevel_Lとすると、
【0046】
【数2】
【0047】
となる。差分量Difのとり得る範囲は、入力の最大値をMAXとすると、−MAXからMAXの間となる。入力値と閾値の差分量を用いることで、読み取り原稿の種類や特性が異なっていても、また処理が進み閾値が変動していっても、閾値からの距離として相対的に一貫した基準による演算を行うことになり、安定した処理を行うことが出来る。全体的に明るい読み取り原稿は閾値が大きくなり、反対に暗い読み取り原稿は閾値が小さくなる。入力値の絶対量を判定の基準にすると、例えば明るい読み取り原稿の前景と暗い読み取り原稿の下地領域を区別することが困難となり、読み取り原稿の特性を考慮出来ず、読み取り原稿によっては処理が破綻し求める効果を発揮出来ない場合がある。一方、変動する読み取り原稿の閾値は注目画素の一つ前の画素までに推定された下地レベルであり、注目画素における読み取り原稿の特性を表している。入力値と閾値の差分量を用いることは、読み取り原稿の特性を排除することであり、例えば明るい読み取り原稿の前景と暗い読み取り原稿の下地領域は異なる値となり区別することが可能となる。つまり、相対的に一貫した基準による安定した処理を行うことが出来る。
【0048】
次に、下地除去処理部303は、S503で算出した差分量をもとに、後述の閾値変動手段(S505)にて使用するためのカウント変動量を決定する(S504)。図6、および図7は、本実施形態におけるカウント変動量を決定する方法を説明するための図である。まず、差分量のとり得る範囲を任意の領域に分割し、注目画素における差分量Difがどの領域に属するか判定する。図6に例を示す。ここでは6つの領域に分割している。
【0049】
【数3】
【0050】
となる。図7は、図6により分割された各領域に対して与えるカウント変動量を示したテーブルの一例である。図7の例では、差分量が小さくなるほど注目画素は下地の可能性が高いと見なし、カウント変動量が大きくなるように設定している。
【0051】
また、差分量が大きくなるほど注目画素は下地ではない可能性が高いと見なし、カウント変動量が小さくなるように設定している。例えば、ある注目画素において、差分量が小さく図6に示すareaL1の領域内であるとき、図7のテーブルを参照すると、カウント変動量が4となっている。また、ある注目画素が、差分量が大きく図6に示すareaL3の領域内であるとき、図7のテーブルを参照すると、カウント変動量が1となっている。この例では、areaL1の領域内に属する画素は、areaL3の画素に比べ4倍下地らしいということになり、下地らしさの度合いが考慮された処理となっている。
【0052】
差分量が大きい画素(例えば黒画素)が連続した後に、差分量が小さい画素(例えば下地)が処理対象画素になった場合、カウント変動量が大きく累積され、すぐに閾値が変動する。これにより、差分量が大きい画素(例えば黒画素)が閾値変動に及ぼす影響を軽減して、下地領域の下地飛ばし処理を行うことができる。
【0053】
このように注目画素と注目画素近傍の画素の明るさが所定値よりも小さい場合(例えば黒画素が連続する場合)、注目画素と注目画素近傍の画素の明るさが所定値よりも大きい場合(例えば下地色の画素が連続する場合)よりも注目画素のカウント変動量を小さくする。
【0054】
従来技術である特許文献4のように、入力値と閾値の差分量によらず、入力値が閾値以上か以下かに応じてカウント変動量を決定した場合、黒画素が連続した領域において閾値がかなり小さくなる。そして、連続した黒画素領域の隣のグレー画素(例えば、輝度180付近)の輝度値が閾値よりも大きくなってしまい、誤って下地領域と判定され前記グレー画素に対して下地飛ばし処理が行なわれてしまう問題があった。
【0055】
この問題に対して、本願発明では、入力値と閾値の差分量に応じてカウント変動量を決定するため、入力値が小さい領域すなわち黒画素領域が連続した場合であっても、差分量が大きいためカウント変動量の増減が小さくなる。これにより、連続した黒画素領域においても閾値があまり変動せず、黒画素領域の隣のグレー画素領域の下地が誤って飛んでしまうことを防ぐことができる。
【0056】
なお、閾値に比べて入力値の輝度値がかなり小さい画素(黒画素)が連続し、その後下地レベルに近い画素が連続する場合、黒画素と下地レベルの画素との境界において閾値を初期値に設定しなおしてもよい。
【0057】
また、本実施形態では入力値と閾値の差分量に応じてカウント変動量を決定したが、差分量を使わずに入力値の値をもとにカウント変動量を決定してもよい。例えば、下地レベル(輝度200付近)に近い入力値はカウント変動量を大きくし、輝度が低い画素(黒画素)や輝度が高い画素(白画素)はカウント変動量を小さくしてもよい。
【0058】
なお、差分量の領域分割数やカウント変動量テーブルの各値はこれに限定されるものではない。設計対象となる画像読取部101の特性に応じて各設定値を調整することで、各装置に合った下地除去処理を実現することが出来る。Dif=0のときは、入力値と閾値が釣り合った状態であるためカウント変動量を設定しない。詳細は後述する。
【0059】
次に、下地除去処理部303は、S503にて算出した差分量、およびS504より決定したカウント変動量を使って、閾値を変動させる処理を行う(S505)。図8は、本実施形態における閾値変動処理のフローを示している。S504にて決定したカウント変動量をCNT、カウンタ変数をCount_L、カウンタ変数の上限をLIMITUP、下限をLIMITDWN、閾値の追従限界をBLACKとする。BLACKは、下地レベルの下限値である。LIMITUP、LIMITDWN、BLACKは予め設計者によって指定されている。また本実施形態においては、level_Lの初期値はMAXとし、Count_Lの初期値は0とする。
【0060】
まず、差分量Difの正負を判断する(S801)。その結果、差分量Difが0より大きければ(S801で>0)、カウンタ変数Count_Lにカウント変動量CNTを加え更新する(S802)。カウント変数Count_Lは、画素毎のカウント変動量が累積され、更新されていく。続いて、更新されたCount_Lとカウンタ変数の上限LIMITUPを比較する(S803)。その結果、Count_LがLIMITUP(所定のカウント値)より大きければ(S803でYES)、Count_Lをゼロクリアし(S804)、閾値level_Lをインクリメントする(S805)。一方、Count_LがLIMITUPより小さければ(S803でNO)、S804および、S805のステップを行わず次へ進む。
【0061】
一方、差分量Difが0より小さければ(S801で<0)、カウンタ変数Count_Lにカウント変動量CNTを加え更新する(S806)。続いて、更新されたCount_Lとカウンタ変数の下限LIMITDWNを比較する(S807)。その結果、Count_LがLIMITDWNより小さければ(S807でYES)、Count_Lをゼロクリアし(S808)、閾値level_Lをデクリメントする(S809)。一方、Count_LがLIMITDWNより大きければ(S807でNO)、S808および、S809のステップを行わず次へ進む。
【0062】
一方、差分量Difが0であれば(S801で0)、入力値と閾値は釣り合った状態であると言える。そのため、カウント変動に対して影響を与える必要がなく、カウンタ変数および、閾値の値を変更することなく次へ進む。図6に示した、Dif=0のときにカウンタ変動量を設定しないのは、ここでカウンタ変動を行わないからである。
【0063】
次のステップでは、閾値level_LとMAXを比較する(S810)。閾値level_LがMAXよりも大きければ(S810でYES)、閾値をMAXの値にクリップする(S811)。また、閾値level_LがMAXより小さく(S810でNO)、かつBLACKより小さいならば(S812でYES)、閾値level_LをBLACKの値にクリップする(S813)。これにより、閾値がオーバーフローして結果が破綻しないようになり、また閾値の追従限界BLACKよりも下がらないようにすることで、画像が飛びすぎることを防止することが出来る。
【0064】
以上のステップを経て算出された閾値level_Lを、注目画素における下地レベルとして決定する(下地レベル決定)(S814)。
【0065】
なお、差分量が大きい画素(例えば黒画素)が所定画素(例えば100画素)以上連続した後は、閾値level_Lを初期値MAXに戻してもよい。
【0066】
次に、下地除去処理部303は、S505において決定した閾値をもとに、入力RGB情報信号を、下地除去処理が施された出力RGB情報信号へ変換する(S506)。閾値を使用して下地除去効果を得るための演算式はいくつも知られており、本発明においてはどの演算式を用いてもよい。本実施形態では、一例として次の演算式を使用する。なお、入力RGB情報信号をR_in、G_in、B_in、出力RGB情報信号をR_out、G_out、B_outとする。
【0067】
【数4】
【0068】
図9は、本実施形態に係る信号変換を行うフロー図を示している。RGBそれぞれの信号に対して処理を行うが、図9はR信号についてのフロー図である。G信号、およびB信号は図示しないが同等の処理を行う。ここでは、代表としてR信号の処理について説明する。入力信号R_in、およびS505にて決定した閾値level_Lより、前述の下地除去演算式を用いて出力信号R_outを演算する(S901)。
【0069】
次のステップでは、出力信号R_outとMAXを比較する(S902)。出力信号R_outがMAXよりも大きければ(S902でYES)、出力信号をMAXの値にクリップする(S903)。また、出力信号R_outがMAXより小さく(S902でNO)、かつ0より小さいならば(S906でYES)、出力信号R_outを0にクリップする(S906)。
【0070】
以上のステップを経て変換された出力信号R_outを、注目画素における出力R信号として決定する(S904)。
【0071】
図10は、信号変換(S506)によって得られる下地除去処理の効果を示す図である。入力輝度レベルに対する下地除去処理後の出力輝度は、閾値(下地レベル)のところで出力輝度レベルがMAXになるように傾きが変化している。
【0072】
最後に、S507において、処理の終了した注目画素が最終画素かどうかを判断し、最終画素でなければ(S507でNO)、注目画素を次の画素へ変更して(S508)最初へ戻る。処理の終了した注目画素が最終画素であれば(S507でYES)、全ての処理を終了する。
【0073】
なお、S507でNOの場合、S503の差分量算出手段に戻ってもよい。この場合、S501およびS502において、画像データの全ての画素に対して、成分変換および平滑化が行われる。
【0074】
本実施形態によれば、平滑化した入力成分と閾値の差分量によってカウンタの変動量を決定することで、注目画素が下地らしいかどうかを判断し閾値推定に与える影響度を段階的に切り替えることで、読み取り原稿の種類によらず安定した下地除去処理を実現する。
【0075】
(実施形態2)
実施形態1において、下地除去処理部303は、平滑化した明度成分と閾値の差分量を用いてカウンタ変動量を決定した(S504)が、差分量を使用して判断するのに加え彩度成分を使用することで、より精度の高い閾値の推定を行うことが出来る。
【0076】
以下、図5に示すフローチャートに沿って、各処理の詳細を説明する。
まず、S501において、下地除去処理部303は、実施形態1と同等の明度Lの算出と、さらに彩度成分Sの算出を行う。彩度成分Sは、例えば以下の式により演算される。
S=MAX(R,G,B)−MIN(R,G,B)
但しこの演算は一例であり、この演算に限定されるものではなく、色味成分を表すものであれば他の演算を用いてもよい。
【0077】
次に、S502の平滑化手段において、下地除去処理部303は、実施形態1と同様に明度成分に対して注目画素を含む複数の周辺画素の値から平滑化を行う。さらに彩度成分に対しても同様の手段で平滑化を行ってもよい。
【0078】
次に、S503の差分量算出手段において、下地除去処理部303は、実施形態1と同様に明度成分と閾値の差分量を算出する。
【0079】
次に、S504のカウント変動量決定手段において、下地除去処理部303は、明度成分差分量と彩度成分を用いる。図6、図11、および図12は、本実施形態におけるカウント変動量決定方法を説明するための図である。注目画素における差分量Difの領域判定は、図6に示す通りで、実施形態1と同等である。差分量Difに対する判定方法と同様に、彩度Sのとり得る範囲を任意の領域に分割し、注目画素における彩度Sがどの領域に属するか判定する。図11に例を示す。なお、彩度Sのとり得る範囲は、0からMAXの間である。すなわち、
【0080】
【数5】
【0081】
となる。図12は、差分量、および彩度がそれぞれ分割された各領域に対して与えるカウント変動量を示したテーブルの一例である。図12の例では、差分量が小さく、かつ彩度が小さくなるほど注目画素が下地である可能性が高いと見なし、カウント変動量が大きくなるように設定している。また、差分量が大きく、かつ彩度が大きくなるほど注目画素が下地である可能性が低いと見なし、カウント変動量が小さくなるように設定している。例えば、ある注目画素において、差分量が小さく図6に示すareaL1の領域内であり、かつ彩度が小さく図11に示すareaS1の領域内であるとき、図12のテーブルを参照すると、カウント変動量が10となっている。また、ある注目画素において、差分量が中程度で図6に示すareaL2の領域内であり、かつ彩度が中程度で図11に示すareaS2の領域内であるとき、図12のテーブルを参照すると、カウント変動量が3となっている。さらに、ある注目画素において、差分量が大きく図6に示すareaL3の領域内であり、かつ彩度が大きく図11に示すareaS3の領域内であるとき、図12のテーブルを参照すると、カウント変動量が0となっている。この例では、(areaL1,areaS1)に属する画素は、一番下地らしいとみなし、(areaL2,areaS2)の下地に比べ3倍程度下地らしいということになる。また、(areaL3,areaS3)に属する画素は、下地でない領域と見なしその画素はカウントしないようになっており、閾値変動に影響を与えないようになっている。なお、差分量の領域分割数やカウント変動量テーブルの各値はこれに限定されるものではない。設計対象となる画像読取部101の特性に応じて各設定値を調整することで、各画像処理装置に合った下地除去処理を実現することが出来る。
【0082】
S505以降の処理は、実施形態1と同等であるため、説明を省略する。
【0083】
本実施形態によれば、差分量、および彩度成分の両方を用いてカウント変動量を決定することで、より精度の高い閾値の推定を行うことが出来、その結果画像破綻の少ない安定した下地除去処理が可能となる。
【0084】
(実施形態3)
実施形態1および実施形態2において、下地除去処理部303は、S502の平滑化手段で、注目画素を含む複数の周辺画素の値から平滑化を行っている。平滑化手段を工夫することで、より精度の高いカウント変動量の決定を行うことが出来る。
【0085】
以下、本実施形態における各処理について図13〜図15を用いて詳細に説明する。
【0086】
図13は、本実施形態における平滑化手段のフローチャートを示している。本フローチャートへの入力は、S501において変換された注目画素の明るさ成分である。まず、下地除去処理部303は、S1301において、入力値に対して閾値との差分量を算出する。ここで述べる閾値とは、実施形態1で説明した閾値と同等であり、ひとつ前の画素処理の結果を受けて決定されている下地レベルである。
【0087】
差分量をDif、入力値をL_in、閾値をlevel_Lとすると、
【0088】
【数6】
【0089】
となる。差分量Difのとり得る範囲は、入力の最大値をMAXとすると、−MAXからMAXの間となる。
【0090】
次に、下地除去処理部303は、S1301で算出した差分量をもとに、平滑化のためのフィルタのサイズおよび形状を決定する(S1302)。図14、および図15は、本実施形態におけるフィルタを決定する方法を説明するための図である。まず、差分量のとり得る範囲を任意の領域に分割し、注目画素における差分量Difがどの領域に属するか判定する。図14に例を示す。ここでは5つの領域に分割している。
【0091】
【数7】
【0092】
となる。図15は、図14により分割された各領域に対して適用するフィルタのサイズを示したテーブルの一例である。図15の例では、差分量が小さければ注目画素は下地の可能性が高いと見なし、最大領域の7×7フィルタを適用する。また、差分量が大きくなるにつれ注目画素は下地の可能性が低くなってくると見なし、3×3、1×1フィルタと段々と適用させるフィルタサイズを小さく設定する。もちろんフィルタサイズだけでなく、フィルタの形状を設定してもよい。なお、差分量の領域分割数やフィルタサイズおよび形状の各値はこれに限定されるものではない。
【0093】
注目画素の値のみでなく周辺画素値を含んだ平滑化を行う目的は、読み取り原稿の特性やノイズなどに影響を受けにくくするために安定した入力値を得るためである。そのため一般的にフィルタサイズは広いほうがより安定度が増してよいとされる。しかし、全ての画素において広いフィルタサイズを適用してしまうと、例えば文字や写真など高周波成分の多い領域においては、平滑化してしまうことでかえって精度が悪くなってしまう場合が考えられる。そのため、S1301で算出した差分量に応じて注目画素の下地らしさを判定し、低周波成分が多い下地の可能性が高い画素にはフィルタサイズを大きく、また高周波成分が多い下地の可能性が低い画素にはフィルタサイズを小さくする。そうすることで、注目画素の下地らしさに応じた精度の良い平滑化が実現できる。
【0094】
次に、下地除去処理部303は、S1302において決定されたフィルタサイズおよび形状に基づき平滑化を行う(S1303)。平滑化の手段としては、例えば選択されたフィルタサイズ内全ての画素値より算出される明るさ成分の平均を求める方法などがある。また、フィルタの係数を設定し平滑化の強度を変更できるようにしてもよい。なお、平滑化の手段はこれに限定されるものではなく、平滑化効果が得られる方法であれば他の方法を用いてもよい。
【0095】
S503以降の処理は、実施形態1もしくは実施形態2と同等であるため、説明を省略する。
【0096】
本実施形態によれば、差分量によって平滑化手段にて適用するフィルタサイズおよび形状を切り替えることで、下地らしさに応じた精度の良い平滑化が実現でき、その結果、より安定した下地レベルの推定が可能となる。
【0097】
(実施形態4)
実施形態3において、下地除去処理部303は、S502の平滑化手段で、明度成分と閾値の差分量を用いて平滑化のためのフィルタサイズを決定したが、属性情報を利用することも可能である。ここで述べる属性情報とは、スキャナ画像処理部301において行われる図示しない処理のひとつで、読み取った原稿データの各画素について文字領域か網点領域かを判別する属性判別処理によってフラグ化される情報のことである。属性情報を利用することで、図示しない色変換処理やシャープネス調整処理など各領域に合わせた個別の画像処理を適用し、画質を向上させることができる。
【0098】
以下、本実施形態における各処理について図16および図17を用いて詳細に説明する。
【0099】
図16は、本実施形態における平滑化手段のフローチャートを示している。本フローチャートへの入力は、実施形態3と同等である。
【0100】
まず、下地除去処理部303は、S1601において、属性情報を取得し、取得した属性情報をもとに平滑化のためのフィルタのサイズおよび形状を決定する。図17は、属性情報に対して適用するフィルタのサイズを示したテーブルの一例である。図17の例では、文字領域は1×1フィルタ、写真領域は3×3フィルタ、下地領域および網点領域は7×7フィルタを適用する。属性情報によってフィルタサイズを切り替える理由は、実施形態3と同等である。文字や写真など高周波成分の多い領域においてはフィルタサイズを小さくし、下地など低周波成分の多い領域においてはフィルタサイズを大きくする。さらに、網点領域は、濃淡が面積階調によって表現されているため、フィルタサイズを大きく設定することで、平滑化後の結果が実際に表現したい原稿の明るさ成分に近くなるようになる。また、網点の短い周期で入力値がバタつくことを抑制する効果があり、その後の処理が安定する。もちろんフィルタサイズだけでなく、フィルタの形状を設定してもよい。なお、属性情報の区分や適用するフィルタサイズおよび形状の各値はこれに限定されるものではない。
【0101】
次に、下地除去処理部303は、S1601において決定されたフィルタサイズおよび形状に基づき平滑化を行う(S1602)。平滑化の手段は、実施形態3と同等である。
【0102】
S503以降の処理は、実施形態1もしくは実施形態2と同等であるため、説明を省略する。
【0103】
本実施形態によれば、平滑化手段に使用するフィルタサイズおよび形状を属性情報に応じて切り替えることで、各領域に応じた精度の良い平滑化が実現でき、その結果、より安定した下地レベルの推定が可能となる。
【0104】
(実施形態5)
実施形態4において、下地除去処理部303は、S502の平滑化手段で、属性情報を用いて平滑化のためのフィルタサイズを決定したが、原稿タイプを利用することも可能である。ここで述べる原稿タイプとは、例えばユーザによって画像処理装置のUIから設定されたり、画像処理により自動判定されたりして指定される原稿の種別のことである。原稿の種別として、例えば、文字、写真、印画紙写真などがあり、画素単位でなくジョブもしくはページ単位で指定される情報である。
【0105】
以下、本実施形態における各処理について図18および図19を用いて詳細に説明する。
【0106】
図18は、本実施形態における平滑化手段のフローチャートを示している。本フローチャートへの入力は、実施形態3と同等である。
【0107】
まず、下地除去処理部303は、S1801において、原稿タイプ情報を取得し、取得した原稿タイプ情報をもとに平滑化のためのフィルタのサイズおよび形状を決定する。図19は、原稿タイプ情報に対して適用するフィルタのサイズを示したテーブルの一例である。図19の例では、文字タイプには1×1フィルタ、印画紙写真タイプおよび写真タイプには3×3フィルタを適用する。原稿タイプの情報はページもしくはジョブに対して一意に設定されており画素単位で切替えることができないため、決定されるひとつのフィルタを用いて入力画像データの全画素に対して平滑化のためのフィルタリング処理を行うことになる。文字タイプの原稿は、高周波成分が多いのでフィルタサイズを小さくし、印画紙写真タイプおよび写真タイプは、文字タイプほど高周波成分が多くないと予想されるため中程度のフィルタサイズを設定する。もちろんフィルタサイズだけでなく、フィルタの形状を設定してもよい。なお、原稿タイプ情報の区分や適用するフィルタサイズおよび形状の各値はこれに限定されるものではない。
【0108】
次に、下地除去処理部303は、S1801において決定されたフィルタサイズおよび形状に基づき平滑化を行う(S1802)。平滑化の手段は、実施形態3と同等である。
【0109】
S503以降の処理は、実施形態1もしくは実施形態2と同等であるため、説明を省略する。
【0110】
本実施形態によれば、原稿タイプ情報によって平滑化手段にて適用するフィルタサイズおよび形状を切替えることで、特性の異なる原稿の種別に応じた精度の良い平滑化が実現でき、その結果、より安定した下地レベルの推定が可能となる。また、属性判別手段を持たない廉価なシステムにおいて、原稿タイプ情報のみから精度の良い平滑化を行うことで、低コストと高画質の両立を実現できる。
【0111】
(他の実施形態)
なお、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェース機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
【0112】
また、本発明の目的は、以下の処理を実行することによっても達成される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す処理である。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置およびその方法、並びに、コンピュータプログラムおよび記憶媒体に関し、例えば、画像の下地除去処理を行う画像処理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、デジタルカラー複写機のコピー処理では、スキャナで読み取った原稿を忠実に再現させるため様々な画像処理が行われている。通常、原稿の紙の色すなわち下地部は純粋な白ではなく、わずかに色がついている場合がほとんどである。よって、そのままコピー処理を実行すると下地部まで色材を用いて忠実に再現してしまう。これによって色材の浪費が進むなど、様々な弊害の原因となる。
【0003】
これに対して、原稿画像に含まれる下地色に応じた最適な画像処理として以下の処理が知られている。まず、スキャナで読み取った画像の輝度(または濃度)ヒストグラムを作成し、それを基に、原稿画像の下地(背景)の信号レベル(以下「下地レベル」と呼ぶ)を検出する。次に、画像信号から下地レベルを減算して、画像から下地を除去する処理を行う。
【0004】
一般に、下地除去処理は、処理が搭載されるシステム構成によって大きく二通りに分類することができる。
【0005】
図3は、一つめの下地除去処理を示すシステム構成の一例を示す図である。図3において、101はスキャナなどの画像読取部であり、原稿画像を読み取る。301はスキャナ画像処理部であり、画像読取部101で読み取った原稿画像に対して、図示しないシェーディング補正処理、フィルタ処理、および入力色補正処理などの画像処理を施す。103−31は記憶部であり、スキャナ画像処理後の原稿画像1ページ分のコントーン画像情報を記憶する。302はプリンタ画像処理部であり、下地除去処理や、図示しない出力色補正処理、および中間調処理などの画像処理を施す。103−32は記憶部であり、プリンタ画像処理後の原稿画像1ページ分のハーフトーン画像情報を記憶する。105はプリンタなどの画像出力部であり、記憶領域に記憶された画像情報を出力する。ここで、下地除去処理部303における下地除去処理は、読み取り原稿のコントーン画像情報を記憶領域103−31に一時的に記憶しておき、記憶された原稿全面の画像情報を基に実行する。
【0006】
本構成に係る従来の下地除去処理技術として、特許文献1、2などが挙げられる。特許文献1では、原稿を読み取った画像から下地レベルを検出し、同時に読み取った画像を記憶部に記憶し、検出した下地レベルに応じて最適なガンマ補正テーブルを作成し、ガンマ補正を行うことによって読み取った画像の下地を除去している。
【0007】
また、特許文献2では、原稿のヒストグラムを作成しその情報を利用して下地レベルを検出し、検出した下地レベルを用いて下地除去処理を行うことで、原稿種別に適した下地除去処理を行っている。
【0008】
図4は、二つ目の下地除去処理を示すシステム構成の一例を示す図である。図4において、101はスキャナなどの画像読取部であり、原稿画像を読み取る。301はスキャナ画像処理部であり、画像読取部101で読み取った原稿画像に対して、図示しないシェーディング補正処理、フィルタ処理、および入力色補正処理などの画像処理を施す。302はプリンタ画像処理部であり、下地除去処理や、図示しない出力色補正処理、および中間調処理などの画像処理を施す。103−41は記憶部であり、プリンタ画像処理後の原稿画像1ページ分のハーフトーン画像情報を記憶する。105はプリンタなどの画像出力部であり、記憶領域に記憶された画像情報を出力する。上述した図3に示す一つめのシステム構成に比べ、コントーン画像1ページ分の記憶領域を必要としないため、低コストで実現できる。すなわち、図4の構成では画像処理途中でコントーン画像情報を記憶しておく記憶手段を持たないため、読み取りを進めながら逐次的に下地処理を実行することができる。
【0009】
本構成に係る従来の下地除去処理技術として、特許文献3、4などが挙げられる。特許文献3では、読み取り原稿を読み取った画素から順に明度・色差情報へ分離し、明度成分に応じて白レベルを変化させ、色差成分については閾値を利用して色値の圧縮を試みている。これにより、背景色を無彩色に近づけている。
【0010】
また、特許文献4では、読み取り原稿から読み取った画素を明度成分と色差成分に分離して、明度成分と閾値の大小を判定し、判定された画素数をカウントすることにより閾値を追従変動させる。色差成分に対しても同様に閾値との大小を判定し、判定された画素数をカウントすることで閾値を追従変動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平6−253135号公報
【特許文献2】特開平8−307722号公報
【特許文献3】特開平6−197216号公報
【特許文献4】特開2008−060839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1や特許文献2では、下地の除去方法として原稿のヒストグラムを利用するため、図3に示す、原稿1ページ分のコントーン画像情報を記憶することが可能なシステム構成上でしか実現することが出来ないという問題がある。近年、原稿の読み込み解像度の拡大化に伴い、必要な記憶装置の容量も増大する傾向にある。低価格化の競争が激化しているプリンタ・複合機市場において、記憶装置の容量はコストに影響を及ぼす大きな要因の一であり、本システム構成を用いるとコストダウンを実現するための障害となってしまう。
【0013】
また、特許文献3では、色分解により明度成分と色差成分に分離し、明度成分の下地領域の色に応じた正規化、および閾値による色差成分の圧縮を行うことにより、下地領域と前景の分離を行わない限り、前景色も明度成分が高くなってしまう。そのため、全体的に画像が白濁する結果となってしまうと予想される。
【0014】
また、特許文献4では、色分解により明度成分と色差成分に分離し、それぞれの成分に対して閾値を追従変動させている。明度成分、色差成分共に入力値と各々の閾値との差を比較しているが、背景(下地領域)と前景の明度が閾値推定に与える影響が同じ強さとなってしまう。すなわち、特許文献4では差分値に応じてカウンタ変動量を変えていない。そのため背景領域が少なく前景領域のほうが多い読み取り原稿においては、原稿全体に占める前景の影響が大きくなり、原稿の前景領域まで濃度が除去されてしまうおそれがある。読み取り原稿の種類が多岐にわたる複写機での使用において、読み取り原稿の種類によっては、誤って原稿の前傾領域の濃度が除去されてしまうことは問題である。
【0015】
本発明は、下地レベルの推定に影響を与えるカウント変動量を、画像データの注目画素の明るさに基づいて画素毎に決定することにより、読み取り原稿の種類によらず安定した下地除去処理を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、入力された画像データを明るさの成分に変換する変換手段と、前記変換手段によって変換された明るさの成分と所定の閾値との差分量を算出する算出手段と、前記差分量に応じて前記画像データの画素毎にカウント変動量を決定する決定手段と、前記画像データにおいて前記カウント変動量を累積した結果に基づき、前記閾値を変動させる閾値変動手段と、前記閾値変動手段によって生成された新たな閾値を下地レベルとして、前記画像データの下地を除去する処理を行う処理手段とを有することを特徴とする画像処理装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、下地レベルの推定に影響を与えるカウント変動量を、画像データの注目画素の明るさに基づいて画素毎に決定することにより、読み取り原稿の種類によらず安定した下地除去処理を行うことが可能となる。また、閾値を追従変動させるためのカウンタ変動量を、画像データの明るさの成分と所定の閾値(下地レベル)との差分量によって決定する。これにより、注目画素が下地らしいかどうかを判断し、下地らしさに応じて閾値推定に与える影響度を段階的に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示すブロック図
【図2】本実施形態に係る画像形成装置の概観図
【図3】従来の画像形成装置の概略構成を示す詳細なブロック図
【図4】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す詳細なブロック図
【図5】本実施形態の下地除去処理のフロー図
【図6】カウント変動量を決定するために使用する領域分割例
【図7】カウント変動量を決定するために使用するテーブル例
【図8】閾値変動処理のフロー図
【図9】信号変換処理のフロー図
【図10】信号変換処理により得られる下地除去効果を示す図
【図11】カウント変動量を決定するために使用する他の領域分割例
【図12】カウント変動量を決定するために使用する他のテーブル例
【図13】実施形態3に係る平滑化処理のフロー図
【図14】平滑化フィルタを決定するために使用する領域分割例
【図15】平滑化フィルタを決定するために使用するテーブル例
【図16】実施形態4に係る平滑化処理のフロー図
【図17】平滑化フィルタを決定するために使用する他のテーブル例
【図18】実施形態5に係る平滑化処理のフロー図
【図19】平滑化フィルタを決定するために使用する他のテーブル例
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施形態1)
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置は、画像読取部101、画像処理部102、記憶部103、CPU104および画像出力部105を備える。本実施形態では、画像処理部102、記憶部103、CPU104を含む装置を画像処理装置とする。
【0021】
画像読取部101は、原稿の画像を読み取り、画像データを出力する。この画像読取部101は例えばスキャナである。
【0022】
画像処理部102は、画像読取部101や、PC等の外部から入力される画像データを含む印刷情報に対して、画像処理を行う。より詳細には、図4に示すように、スキャナ画像処理部301とプリンタ画像処理部302に分けられる。スキャナ画像処理部301では、読み取った原稿画像に対して、図示しないシェーディング補正処理、フィルタ処理、および入力色補正処理などの画像処理が行われる。プリンタ画像処理部302では、下地除去処理303、図示しない出力色補正処理、および中間調処理などの画像処理が行われる。
【0023】
シェーディング補正処理では、画像読取部101に取り付けられた白基準を絶対白レベルとして画素毎に正規化が行われる。しかし、読み取り原稿の下地の明度が白基準より低い場合は下地の明度が残ることになり、読み取り原稿の下地が残ってそれが印刷で再現されてしまい、出力画質劣化の一因となる。下地除去処理部303では、シェーディング補正処理で除去できなかった下地の信号値を飛ばすことで更なる画質向上を実現する。下地除去処理部303に関しては追って詳細を述べる。
【0024】
画像処理部102で処理された画像データは、記憶部103へ格納される。記憶部103は、ROM、RAM、ハードディスク(HD)などを含む。ROMは、CPU104が実行する各種の制御プログラムや図5に示す画像処理プログラムを格納する。RAMおよびHDは、CPU104がデータや各種情報を格納する参照領域や作業領域として用いられる。
【0025】
画像出力部105は、記録紙などの記録媒体にカラー画像を形成して出力する。この画像出力部105は後述のように例えば電子写真方式のプリンタである。
【0026】
図2は、本実施形態に係る画像形成装置の概観図である。
図2において、画像読取部101では、原稿台ガラス203および原稿圧板202の間に、画像を読み取る原稿204が置かれる。原稿204がランプ205の光に照射されると、原稿204からの反射光は、ミラー206と207に導かれ、レンズ208によって3ラインセンサ210上に像が結ばれる。なお、レンズ208には赤外カットフィルタ231が設けられている。図示しないモータにより、ミラー206とランプ205を含むミラーユニットを速度Vで、ミラー207を含むミラーユニットを速度V/2で矢印の方向に移動する。つまり、3ラインセンサ210の電気的走査方向(主走査方向)に対して垂直方向(副走査方向)にミラーユニットが移動し、原稿204の全面を走査する。
【0027】
3ラインのCCDからなる3ラインセンサ210は、レッドRを受光するCCD210−1、グリーンGを受光するCCD210−2、およびブルーBを受光するCCD210−3を備えている。このような構成で、入力される光情報を色分解して、フルカラー情報レッドR、グリーンGおよびブルーBの各色成分を読み取る。なお、3ラインセンサ210を構成するCCD210−1〜210−3はそれぞれ、8000画素分の受光素子を有する。また、CCD210−1〜210−3はそれぞれ、原稿台ガラス203に載置可能な原稿の最大サイズであるA3サイズの原稿の短手方向(297mm)を600DPIの解像度で読み取ることができる。
【0028】
標準白色板211は、3ラインセンサ210の各CCD210−1〜210−3によって読み取ったデータを補正するためのものである。標準白板211は、可視光でほぼ均一の反射特性を示す白板である。
【0029】
画像処理部102は、3ラインセンサ210から入力される画像信号を電気的に処理して、マゼンタM、シアンC、イエローY、およびブラックKの各色成分信号を生成し、生成したMCYKの色成分信号を画像出力部105に送る。
【0030】
画像出力部105において、画像読取部101から送られてくるM、C、Y、および/またはKの画像信号はレーザドライバ212へ送られる。レーザドライバ212は、入力される画像信号に応じて半導体レーザ素子213を変調駆動する。半導体レーザ素子213から出力されるレーザビームは、ポリゴンミラー214、fθレンズ215、およびミラー216を介して感光ドラム217を走査し、感光ドラム217上に静電潜像を形成する。
【0031】
現像器は、マゼンタ現像器219、シアン現像器220、イエロー現像器221、およびブラック現像器222を備えている。4つの現像器が交互に感光ドラム217に接することで、感光ドラム217上に形成された静電潜像を対応する色のトナーで現像してトナー像を形成する。記録紙カセット225から供給される記録紙は、転写ドラム223に巻き付けられ、感光ドラム217上のトナー像が記録紙に転写される。
【0032】
このようにしてM、C、Y、およびKの4色のトナー像が順次転写された記録紙は、定着ユニット226を通過することで、トナー像が定着された後、装置外へ排出される。
【0033】
次に本実施形態に係る下地除去処理の詳細に関して説明する。なお、本処理への入力は画像読取部101や外部から入力される画像データであり、画像処理部102におけるプリンタ画像処理部302にある下地除去処理部303にて行われる。
【0034】
図5に本実施形態に係る下地除去処理のフロー図を示す。CPU104が、ROM103に格納されている図5のフローチャートを実行するためのプログラムを読み出して実行することで、図5に示す処理が行われる。
【0035】
なお、本処理は、画像読取部101より読み取られる原稿データが、読み取り順に1画素ずつ入力され、それに対応して1画素ずつ出力される逐次処理を想定している。以下、図5に示すフローチャートに沿って、各処理の詳細を説明する。
【0036】
まず、S501において、注目画素のRGB情報が入力されると、下地除去処理部303は、RGB情報を明るさの成分へ変換する。明るさの成分とは、例えば明度成分Lであり、以下の式により演算される。
【0037】
【数1】
【0038】
但しこの演算は一例であり、この演算に限定されるものではなく、他の演算を用いてもよい。
【0039】
また、明るさの成分は、CIE Lab空間のLでもよいし、YUV空間のYでもよいし、Luv空間のLでもよいし、YCbCr空間のYでもよい。
【0040】
次に、S502において、下地除去処理部303は、S501で変換された明るさの成分に対して注目画素を含む複数の周辺画素の値から平滑化を行う。注目画素における明るさ成分と注目画素の周辺画素における明るさ成分とを用いて、例えば、平均演算を行うなど平滑化効果の得られるフィルタリング処理を行う。
【0041】
なお、平滑化に用いるフィルタサイズおよび形状は、要求されるシステム構成に合わせて決定すればよい。例えば、複数ラインの遅延バッファが使用出来るのであれば注目画素を中心とするN×Nフィルタを用いたり、ラインバッファが使用出来ないのであれば、注目画素を先頭とするN×1フィルタを用いたりすればよい。但しこの方法は一例であり、このフィルタサイズおよび形状に限定されるものではない。
【0042】
明るさの成分に対して平滑化を行うことで、注目画素の成分値をそのまま使用するよりも後述するカウント変動量決定手段(S504)の精度が向上し、それによってより安定した下地レベルの推定が実現される。
【0043】
具体的には、注目画素の明るさの成分を平滑化することで、網点により面積階調表現された画像データやノイズが載っている画像データに対して、ノイズ成分などにより入力値が変動することを抑える効果がある。
【0044】
次に、S503において、下地除去処理部303は、S502で平滑化した所定の成分に対して閾値との差分量を算出する。ここで述べる閾値とは、画素ごとに決定される所定成分に対応した閾値のことであり、ひとつ前の画素処理の結果を受けて決定されている値である。ある画素にて決定された閾値は、その画素における下地レベルとなる。閾値、すなわち下地レベルは画素毎に変化していく。最初の画素の処理を始める時は、適当な値(初期値)を設定しておくこととする。
【0045】
差分量をDif、入力値をL_in、閾値をlevel_Lとすると、
【0046】
【数2】
【0047】
となる。差分量Difのとり得る範囲は、入力の最大値をMAXとすると、−MAXからMAXの間となる。入力値と閾値の差分量を用いることで、読み取り原稿の種類や特性が異なっていても、また処理が進み閾値が変動していっても、閾値からの距離として相対的に一貫した基準による演算を行うことになり、安定した処理を行うことが出来る。全体的に明るい読み取り原稿は閾値が大きくなり、反対に暗い読み取り原稿は閾値が小さくなる。入力値の絶対量を判定の基準にすると、例えば明るい読み取り原稿の前景と暗い読み取り原稿の下地領域を区別することが困難となり、読み取り原稿の特性を考慮出来ず、読み取り原稿によっては処理が破綻し求める効果を発揮出来ない場合がある。一方、変動する読み取り原稿の閾値は注目画素の一つ前の画素までに推定された下地レベルであり、注目画素における読み取り原稿の特性を表している。入力値と閾値の差分量を用いることは、読み取り原稿の特性を排除することであり、例えば明るい読み取り原稿の前景と暗い読み取り原稿の下地領域は異なる値となり区別することが可能となる。つまり、相対的に一貫した基準による安定した処理を行うことが出来る。
【0048】
次に、下地除去処理部303は、S503で算出した差分量をもとに、後述の閾値変動手段(S505)にて使用するためのカウント変動量を決定する(S504)。図6、および図7は、本実施形態におけるカウント変動量を決定する方法を説明するための図である。まず、差分量のとり得る範囲を任意の領域に分割し、注目画素における差分量Difがどの領域に属するか判定する。図6に例を示す。ここでは6つの領域に分割している。
【0049】
【数3】
【0050】
となる。図7は、図6により分割された各領域に対して与えるカウント変動量を示したテーブルの一例である。図7の例では、差分量が小さくなるほど注目画素は下地の可能性が高いと見なし、カウント変動量が大きくなるように設定している。
【0051】
また、差分量が大きくなるほど注目画素は下地ではない可能性が高いと見なし、カウント変動量が小さくなるように設定している。例えば、ある注目画素において、差分量が小さく図6に示すareaL1の領域内であるとき、図7のテーブルを参照すると、カウント変動量が4となっている。また、ある注目画素が、差分量が大きく図6に示すareaL3の領域内であるとき、図7のテーブルを参照すると、カウント変動量が1となっている。この例では、areaL1の領域内に属する画素は、areaL3の画素に比べ4倍下地らしいということになり、下地らしさの度合いが考慮された処理となっている。
【0052】
差分量が大きい画素(例えば黒画素)が連続した後に、差分量が小さい画素(例えば下地)が処理対象画素になった場合、カウント変動量が大きく累積され、すぐに閾値が変動する。これにより、差分量が大きい画素(例えば黒画素)が閾値変動に及ぼす影響を軽減して、下地領域の下地飛ばし処理を行うことができる。
【0053】
このように注目画素と注目画素近傍の画素の明るさが所定値よりも小さい場合(例えば黒画素が連続する場合)、注目画素と注目画素近傍の画素の明るさが所定値よりも大きい場合(例えば下地色の画素が連続する場合)よりも注目画素のカウント変動量を小さくする。
【0054】
従来技術である特許文献4のように、入力値と閾値の差分量によらず、入力値が閾値以上か以下かに応じてカウント変動量を決定した場合、黒画素が連続した領域において閾値がかなり小さくなる。そして、連続した黒画素領域の隣のグレー画素(例えば、輝度180付近)の輝度値が閾値よりも大きくなってしまい、誤って下地領域と判定され前記グレー画素に対して下地飛ばし処理が行なわれてしまう問題があった。
【0055】
この問題に対して、本願発明では、入力値と閾値の差分量に応じてカウント変動量を決定するため、入力値が小さい領域すなわち黒画素領域が連続した場合であっても、差分量が大きいためカウント変動量の増減が小さくなる。これにより、連続した黒画素領域においても閾値があまり変動せず、黒画素領域の隣のグレー画素領域の下地が誤って飛んでしまうことを防ぐことができる。
【0056】
なお、閾値に比べて入力値の輝度値がかなり小さい画素(黒画素)が連続し、その後下地レベルに近い画素が連続する場合、黒画素と下地レベルの画素との境界において閾値を初期値に設定しなおしてもよい。
【0057】
また、本実施形態では入力値と閾値の差分量に応じてカウント変動量を決定したが、差分量を使わずに入力値の値をもとにカウント変動量を決定してもよい。例えば、下地レベル(輝度200付近)に近い入力値はカウント変動量を大きくし、輝度が低い画素(黒画素)や輝度が高い画素(白画素)はカウント変動量を小さくしてもよい。
【0058】
なお、差分量の領域分割数やカウント変動量テーブルの各値はこれに限定されるものではない。設計対象となる画像読取部101の特性に応じて各設定値を調整することで、各装置に合った下地除去処理を実現することが出来る。Dif=0のときは、入力値と閾値が釣り合った状態であるためカウント変動量を設定しない。詳細は後述する。
【0059】
次に、下地除去処理部303は、S503にて算出した差分量、およびS504より決定したカウント変動量を使って、閾値を変動させる処理を行う(S505)。図8は、本実施形態における閾値変動処理のフローを示している。S504にて決定したカウント変動量をCNT、カウンタ変数をCount_L、カウンタ変数の上限をLIMITUP、下限をLIMITDWN、閾値の追従限界をBLACKとする。BLACKは、下地レベルの下限値である。LIMITUP、LIMITDWN、BLACKは予め設計者によって指定されている。また本実施形態においては、level_Lの初期値はMAXとし、Count_Lの初期値は0とする。
【0060】
まず、差分量Difの正負を判断する(S801)。その結果、差分量Difが0より大きければ(S801で>0)、カウンタ変数Count_Lにカウント変動量CNTを加え更新する(S802)。カウント変数Count_Lは、画素毎のカウント変動量が累積され、更新されていく。続いて、更新されたCount_Lとカウンタ変数の上限LIMITUPを比較する(S803)。その結果、Count_LがLIMITUP(所定のカウント値)より大きければ(S803でYES)、Count_Lをゼロクリアし(S804)、閾値level_Lをインクリメントする(S805)。一方、Count_LがLIMITUPより小さければ(S803でNO)、S804および、S805のステップを行わず次へ進む。
【0061】
一方、差分量Difが0より小さければ(S801で<0)、カウンタ変数Count_Lにカウント変動量CNTを加え更新する(S806)。続いて、更新されたCount_Lとカウンタ変数の下限LIMITDWNを比較する(S807)。その結果、Count_LがLIMITDWNより小さければ(S807でYES)、Count_Lをゼロクリアし(S808)、閾値level_Lをデクリメントする(S809)。一方、Count_LがLIMITDWNより大きければ(S807でNO)、S808および、S809のステップを行わず次へ進む。
【0062】
一方、差分量Difが0であれば(S801で0)、入力値と閾値は釣り合った状態であると言える。そのため、カウント変動に対して影響を与える必要がなく、カウンタ変数および、閾値の値を変更することなく次へ進む。図6に示した、Dif=0のときにカウンタ変動量を設定しないのは、ここでカウンタ変動を行わないからである。
【0063】
次のステップでは、閾値level_LとMAXを比較する(S810)。閾値level_LがMAXよりも大きければ(S810でYES)、閾値をMAXの値にクリップする(S811)。また、閾値level_LがMAXより小さく(S810でNO)、かつBLACKより小さいならば(S812でYES)、閾値level_LをBLACKの値にクリップする(S813)。これにより、閾値がオーバーフローして結果が破綻しないようになり、また閾値の追従限界BLACKよりも下がらないようにすることで、画像が飛びすぎることを防止することが出来る。
【0064】
以上のステップを経て算出された閾値level_Lを、注目画素における下地レベルとして決定する(下地レベル決定)(S814)。
【0065】
なお、差分量が大きい画素(例えば黒画素)が所定画素(例えば100画素)以上連続した後は、閾値level_Lを初期値MAXに戻してもよい。
【0066】
次に、下地除去処理部303は、S505において決定した閾値をもとに、入力RGB情報信号を、下地除去処理が施された出力RGB情報信号へ変換する(S506)。閾値を使用して下地除去効果を得るための演算式はいくつも知られており、本発明においてはどの演算式を用いてもよい。本実施形態では、一例として次の演算式を使用する。なお、入力RGB情報信号をR_in、G_in、B_in、出力RGB情報信号をR_out、G_out、B_outとする。
【0067】
【数4】
【0068】
図9は、本実施形態に係る信号変換を行うフロー図を示している。RGBそれぞれの信号に対して処理を行うが、図9はR信号についてのフロー図である。G信号、およびB信号は図示しないが同等の処理を行う。ここでは、代表としてR信号の処理について説明する。入力信号R_in、およびS505にて決定した閾値level_Lより、前述の下地除去演算式を用いて出力信号R_outを演算する(S901)。
【0069】
次のステップでは、出力信号R_outとMAXを比較する(S902)。出力信号R_outがMAXよりも大きければ(S902でYES)、出力信号をMAXの値にクリップする(S903)。また、出力信号R_outがMAXより小さく(S902でNO)、かつ0より小さいならば(S906でYES)、出力信号R_outを0にクリップする(S906)。
【0070】
以上のステップを経て変換された出力信号R_outを、注目画素における出力R信号として決定する(S904)。
【0071】
図10は、信号変換(S506)によって得られる下地除去処理の効果を示す図である。入力輝度レベルに対する下地除去処理後の出力輝度は、閾値(下地レベル)のところで出力輝度レベルがMAXになるように傾きが変化している。
【0072】
最後に、S507において、処理の終了した注目画素が最終画素かどうかを判断し、最終画素でなければ(S507でNO)、注目画素を次の画素へ変更して(S508)最初へ戻る。処理の終了した注目画素が最終画素であれば(S507でYES)、全ての処理を終了する。
【0073】
なお、S507でNOの場合、S503の差分量算出手段に戻ってもよい。この場合、S501およびS502において、画像データの全ての画素に対して、成分変換および平滑化が行われる。
【0074】
本実施形態によれば、平滑化した入力成分と閾値の差分量によってカウンタの変動量を決定することで、注目画素が下地らしいかどうかを判断し閾値推定に与える影響度を段階的に切り替えることで、読み取り原稿の種類によらず安定した下地除去処理を実現する。
【0075】
(実施形態2)
実施形態1において、下地除去処理部303は、平滑化した明度成分と閾値の差分量を用いてカウンタ変動量を決定した(S504)が、差分量を使用して判断するのに加え彩度成分を使用することで、より精度の高い閾値の推定を行うことが出来る。
【0076】
以下、図5に示すフローチャートに沿って、各処理の詳細を説明する。
まず、S501において、下地除去処理部303は、実施形態1と同等の明度Lの算出と、さらに彩度成分Sの算出を行う。彩度成分Sは、例えば以下の式により演算される。
S=MAX(R,G,B)−MIN(R,G,B)
但しこの演算は一例であり、この演算に限定されるものではなく、色味成分を表すものであれば他の演算を用いてもよい。
【0077】
次に、S502の平滑化手段において、下地除去処理部303は、実施形態1と同様に明度成分に対して注目画素を含む複数の周辺画素の値から平滑化を行う。さらに彩度成分に対しても同様の手段で平滑化を行ってもよい。
【0078】
次に、S503の差分量算出手段において、下地除去処理部303は、実施形態1と同様に明度成分と閾値の差分量を算出する。
【0079】
次に、S504のカウント変動量決定手段において、下地除去処理部303は、明度成分差分量と彩度成分を用いる。図6、図11、および図12は、本実施形態におけるカウント変動量決定方法を説明するための図である。注目画素における差分量Difの領域判定は、図6に示す通りで、実施形態1と同等である。差分量Difに対する判定方法と同様に、彩度Sのとり得る範囲を任意の領域に分割し、注目画素における彩度Sがどの領域に属するか判定する。図11に例を示す。なお、彩度Sのとり得る範囲は、0からMAXの間である。すなわち、
【0080】
【数5】
【0081】
となる。図12は、差分量、および彩度がそれぞれ分割された各領域に対して与えるカウント変動量を示したテーブルの一例である。図12の例では、差分量が小さく、かつ彩度が小さくなるほど注目画素が下地である可能性が高いと見なし、カウント変動量が大きくなるように設定している。また、差分量が大きく、かつ彩度が大きくなるほど注目画素が下地である可能性が低いと見なし、カウント変動量が小さくなるように設定している。例えば、ある注目画素において、差分量が小さく図6に示すareaL1の領域内であり、かつ彩度が小さく図11に示すareaS1の領域内であるとき、図12のテーブルを参照すると、カウント変動量が10となっている。また、ある注目画素において、差分量が中程度で図6に示すareaL2の領域内であり、かつ彩度が中程度で図11に示すareaS2の領域内であるとき、図12のテーブルを参照すると、カウント変動量が3となっている。さらに、ある注目画素において、差分量が大きく図6に示すareaL3の領域内であり、かつ彩度が大きく図11に示すareaS3の領域内であるとき、図12のテーブルを参照すると、カウント変動量が0となっている。この例では、(areaL1,areaS1)に属する画素は、一番下地らしいとみなし、(areaL2,areaS2)の下地に比べ3倍程度下地らしいということになる。また、(areaL3,areaS3)に属する画素は、下地でない領域と見なしその画素はカウントしないようになっており、閾値変動に影響を与えないようになっている。なお、差分量の領域分割数やカウント変動量テーブルの各値はこれに限定されるものではない。設計対象となる画像読取部101の特性に応じて各設定値を調整することで、各画像処理装置に合った下地除去処理を実現することが出来る。
【0082】
S505以降の処理は、実施形態1と同等であるため、説明を省略する。
【0083】
本実施形態によれば、差分量、および彩度成分の両方を用いてカウント変動量を決定することで、より精度の高い閾値の推定を行うことが出来、その結果画像破綻の少ない安定した下地除去処理が可能となる。
【0084】
(実施形態3)
実施形態1および実施形態2において、下地除去処理部303は、S502の平滑化手段で、注目画素を含む複数の周辺画素の値から平滑化を行っている。平滑化手段を工夫することで、より精度の高いカウント変動量の決定を行うことが出来る。
【0085】
以下、本実施形態における各処理について図13〜図15を用いて詳細に説明する。
【0086】
図13は、本実施形態における平滑化手段のフローチャートを示している。本フローチャートへの入力は、S501において変換された注目画素の明るさ成分である。まず、下地除去処理部303は、S1301において、入力値に対して閾値との差分量を算出する。ここで述べる閾値とは、実施形態1で説明した閾値と同等であり、ひとつ前の画素処理の結果を受けて決定されている下地レベルである。
【0087】
差分量をDif、入力値をL_in、閾値をlevel_Lとすると、
【0088】
【数6】
【0089】
となる。差分量Difのとり得る範囲は、入力の最大値をMAXとすると、−MAXからMAXの間となる。
【0090】
次に、下地除去処理部303は、S1301で算出した差分量をもとに、平滑化のためのフィルタのサイズおよび形状を決定する(S1302)。図14、および図15は、本実施形態におけるフィルタを決定する方法を説明するための図である。まず、差分量のとり得る範囲を任意の領域に分割し、注目画素における差分量Difがどの領域に属するか判定する。図14に例を示す。ここでは5つの領域に分割している。
【0091】
【数7】
【0092】
となる。図15は、図14により分割された各領域に対して適用するフィルタのサイズを示したテーブルの一例である。図15の例では、差分量が小さければ注目画素は下地の可能性が高いと見なし、最大領域の7×7フィルタを適用する。また、差分量が大きくなるにつれ注目画素は下地の可能性が低くなってくると見なし、3×3、1×1フィルタと段々と適用させるフィルタサイズを小さく設定する。もちろんフィルタサイズだけでなく、フィルタの形状を設定してもよい。なお、差分量の領域分割数やフィルタサイズおよび形状の各値はこれに限定されるものではない。
【0093】
注目画素の値のみでなく周辺画素値を含んだ平滑化を行う目的は、読み取り原稿の特性やノイズなどに影響を受けにくくするために安定した入力値を得るためである。そのため一般的にフィルタサイズは広いほうがより安定度が増してよいとされる。しかし、全ての画素において広いフィルタサイズを適用してしまうと、例えば文字や写真など高周波成分の多い領域においては、平滑化してしまうことでかえって精度が悪くなってしまう場合が考えられる。そのため、S1301で算出した差分量に応じて注目画素の下地らしさを判定し、低周波成分が多い下地の可能性が高い画素にはフィルタサイズを大きく、また高周波成分が多い下地の可能性が低い画素にはフィルタサイズを小さくする。そうすることで、注目画素の下地らしさに応じた精度の良い平滑化が実現できる。
【0094】
次に、下地除去処理部303は、S1302において決定されたフィルタサイズおよび形状に基づき平滑化を行う(S1303)。平滑化の手段としては、例えば選択されたフィルタサイズ内全ての画素値より算出される明るさ成分の平均を求める方法などがある。また、フィルタの係数を設定し平滑化の強度を変更できるようにしてもよい。なお、平滑化の手段はこれに限定されるものではなく、平滑化効果が得られる方法であれば他の方法を用いてもよい。
【0095】
S503以降の処理は、実施形態1もしくは実施形態2と同等であるため、説明を省略する。
【0096】
本実施形態によれば、差分量によって平滑化手段にて適用するフィルタサイズおよび形状を切り替えることで、下地らしさに応じた精度の良い平滑化が実現でき、その結果、より安定した下地レベルの推定が可能となる。
【0097】
(実施形態4)
実施形態3において、下地除去処理部303は、S502の平滑化手段で、明度成分と閾値の差分量を用いて平滑化のためのフィルタサイズを決定したが、属性情報を利用することも可能である。ここで述べる属性情報とは、スキャナ画像処理部301において行われる図示しない処理のひとつで、読み取った原稿データの各画素について文字領域か網点領域かを判別する属性判別処理によってフラグ化される情報のことである。属性情報を利用することで、図示しない色変換処理やシャープネス調整処理など各領域に合わせた個別の画像処理を適用し、画質を向上させることができる。
【0098】
以下、本実施形態における各処理について図16および図17を用いて詳細に説明する。
【0099】
図16は、本実施形態における平滑化手段のフローチャートを示している。本フローチャートへの入力は、実施形態3と同等である。
【0100】
まず、下地除去処理部303は、S1601において、属性情報を取得し、取得した属性情報をもとに平滑化のためのフィルタのサイズおよび形状を決定する。図17は、属性情報に対して適用するフィルタのサイズを示したテーブルの一例である。図17の例では、文字領域は1×1フィルタ、写真領域は3×3フィルタ、下地領域および網点領域は7×7フィルタを適用する。属性情報によってフィルタサイズを切り替える理由は、実施形態3と同等である。文字や写真など高周波成分の多い領域においてはフィルタサイズを小さくし、下地など低周波成分の多い領域においてはフィルタサイズを大きくする。さらに、網点領域は、濃淡が面積階調によって表現されているため、フィルタサイズを大きく設定することで、平滑化後の結果が実際に表現したい原稿の明るさ成分に近くなるようになる。また、網点の短い周期で入力値がバタつくことを抑制する効果があり、その後の処理が安定する。もちろんフィルタサイズだけでなく、フィルタの形状を設定してもよい。なお、属性情報の区分や適用するフィルタサイズおよび形状の各値はこれに限定されるものではない。
【0101】
次に、下地除去処理部303は、S1601において決定されたフィルタサイズおよび形状に基づき平滑化を行う(S1602)。平滑化の手段は、実施形態3と同等である。
【0102】
S503以降の処理は、実施形態1もしくは実施形態2と同等であるため、説明を省略する。
【0103】
本実施形態によれば、平滑化手段に使用するフィルタサイズおよび形状を属性情報に応じて切り替えることで、各領域に応じた精度の良い平滑化が実現でき、その結果、より安定した下地レベルの推定が可能となる。
【0104】
(実施形態5)
実施形態4において、下地除去処理部303は、S502の平滑化手段で、属性情報を用いて平滑化のためのフィルタサイズを決定したが、原稿タイプを利用することも可能である。ここで述べる原稿タイプとは、例えばユーザによって画像処理装置のUIから設定されたり、画像処理により自動判定されたりして指定される原稿の種別のことである。原稿の種別として、例えば、文字、写真、印画紙写真などがあり、画素単位でなくジョブもしくはページ単位で指定される情報である。
【0105】
以下、本実施形態における各処理について図18および図19を用いて詳細に説明する。
【0106】
図18は、本実施形態における平滑化手段のフローチャートを示している。本フローチャートへの入力は、実施形態3と同等である。
【0107】
まず、下地除去処理部303は、S1801において、原稿タイプ情報を取得し、取得した原稿タイプ情報をもとに平滑化のためのフィルタのサイズおよび形状を決定する。図19は、原稿タイプ情報に対して適用するフィルタのサイズを示したテーブルの一例である。図19の例では、文字タイプには1×1フィルタ、印画紙写真タイプおよび写真タイプには3×3フィルタを適用する。原稿タイプの情報はページもしくはジョブに対して一意に設定されており画素単位で切替えることができないため、決定されるひとつのフィルタを用いて入力画像データの全画素に対して平滑化のためのフィルタリング処理を行うことになる。文字タイプの原稿は、高周波成分が多いのでフィルタサイズを小さくし、印画紙写真タイプおよび写真タイプは、文字タイプほど高周波成分が多くないと予想されるため中程度のフィルタサイズを設定する。もちろんフィルタサイズだけでなく、フィルタの形状を設定してもよい。なお、原稿タイプ情報の区分や適用するフィルタサイズおよび形状の各値はこれに限定されるものではない。
【0108】
次に、下地除去処理部303は、S1801において決定されたフィルタサイズおよび形状に基づき平滑化を行う(S1802)。平滑化の手段は、実施形態3と同等である。
【0109】
S503以降の処理は、実施形態1もしくは実施形態2と同等であるため、説明を省略する。
【0110】
本実施形態によれば、原稿タイプ情報によって平滑化手段にて適用するフィルタサイズおよび形状を切替えることで、特性の異なる原稿の種別に応じた精度の良い平滑化が実現でき、その結果、より安定した下地レベルの推定が可能となる。また、属性判別手段を持たない廉価なシステムにおいて、原稿タイプ情報のみから精度の良い平滑化を行うことで、低コストと高画質の両立を実現できる。
【0111】
(他の実施形態)
なお、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェース機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
【0112】
また、本発明の目的は、以下の処理を実行することによっても達成される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す処理である。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像データを明るさの成分に変換する変換手段と、
前記変換手段によって変換された明るさの成分と所定の閾値との差分量を算出する算出手段と、
前記差分量に応じて前記画像データの画素毎にカウント変動量を決定する決定手段と、
前記画像データにおいて前記カウント変動量を累積した結果に基づき、前記閾値を変動させる閾値変動手段と、
前記閾値変動手段によって生成された新たな閾値を下地レベルとして、前記画像データの下地を除去する処理を行う処理手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記決定手段において、前記差分量が小さい場合は前記差分量が大きい場合よりも前記カウント変動量を大きくし、前記差分量が大きい場合は前記差分量が小さい場合よりも前記カウント変動量を小さくすることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記閾値変動手段は、前記画像データにおいて前記カウント変動量を累積した結果が、所定のカウント値を超えた場合、前記閾値を変動させることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか一方に記載の画像処理装置。
【請求項4】
さらに、前記変換手段によって変換された明るさの成分を平滑化する平滑化手段を有し、
前記算出手段は、前記平滑化手段によって平滑化された明るさの成分と前記所定の閾値との差分量を算出し、前記決定手段は、前記差分量に応じて前記画像データの画素毎にカウント変動量を決定することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記平滑化手段は、前記画像データの注目画素と前記注目画素の周辺画素とを含む領域におけるフィルタリング処理であることを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記決定手段は、前記差分量および前記画像データの彩度成分に応じて決定されることを特徴とする請求項1乃至5記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記決定手段は、前記差分量が小さくかつ前記彩度成分が小さい場合は、前記差分量が大きくかつ前記彩度成分が大きい場合よりも前記カウント変動量を大きくし、前記差分量が大きくかつ前記彩度成分が大きい場合は、前記差分量が小さくかつ前記彩度成分が小さい場合よりも前記カウント変動量を小さくすることを特徴とする請求項6記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記平滑化手段において、前記変換手段によって変換された明るさの成分と前記所定の閾値との差分量に応じて、前記フィルタリング処理に用いるフィルタサイズを決定することを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記平滑化手段において、前記入力された画像データの画素毎に判別された属性情報に応じて、前記フィルタリング処理に用いるフィルタサイズを決定することを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記平滑化手段において、前記入力された画像データの原稿タイプ情報に応じて、前記フィルタリング処理に用いるフィルタサイズを決定することを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。
【請求項11】
入力された画像データを明るさの成分に変換する変換ステップと、
前記変換ステップによって変換された明るさの成分と所定の閾値との差分量を算出する算出ステップと、
前記差分量に応じて前記画像データの画素毎にカウント変動量を決定する決定ステップと、
前記画像データにおいて前記カウント変動量を累積した結果に基づき、前記閾値を変動させる閾値変動ステップと、
前記閾値変動ステップによって生成された新たな閾値を下地レベルとして、前記画像データの下地を除去する処理を行う処理ステップと、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項12】
前記決定ステップにおいて、前記差分量が小さい場合は前記差分量が大きい場合よりも前記カウント変動量を大きくし、前記差分量が大きい場合は前記差分量が小さい場合よりも前記カウント変動量を小さくすることを特徴とする請求項11記載の画像処理方法。
【請求項13】
前記閾値変動ステップは、前記画像データにおいて前記カウント変動量を累積した結果が、所定のカウント値を超えた場合、前記閾値を変動させることを特徴とする請求項11または請求項12のいずれか一方に記載の画像処理方法。
【請求項14】
さらに、前記変換ステップによって変換された明るさの成分を平滑化する平滑化ステップを有し、
前記算出ステップは、前記平滑化ステップによって平滑化された明るさの成分と前記所定の閾値との差分量を算出し、前記決定ステップは、前記差分量に応じて前記画像データの画素毎にカウント変動量を決定することを特徴とする請求項11記載の画像処理方法。
【請求項15】
前記平滑化ステップは、前記画像データの注目画素と前記注目画素の周辺画素とを含む領域におけるフィルタリング処理であることを特徴とする請求項14記載の画像処理方法。
【請求項16】
前記決定ステップは、前記差分量および前記画像データの彩度成分に応じて決定されることを特徴とする請求項11乃至15記載の画像処理方法。
【請求項17】
前記決定ステップは、前記差分量が小さくかつ前記彩度成分が小さい場合は、前記差分量が大きくかつ前記彩度成分が大きい場合よりも前記カウント変動量を大きくし、前記差分量が大きくかつ前記彩度成分が大きい場合は、前記差分量が小さくかつ前記彩度成分が小さい場合よりも前記カウント変動量を小さくすることを特徴とする請求項16記載の画像処理方法。
【請求項18】
前記平滑化ステップにおいて、前記変換ステップによって変換された明るさの成分と前記所定の閾値との差分量に応じて、前記フィルタリング処理に用いるフィルタサイズを決定することを特徴とする請求項15記載の画像処理方法。
【請求項19】
前記平滑化ステップにおいて、前記入力された画像データの画素毎に判別された属性情報に応じて、前記フィルタリング処理に用いるフィルタサイズを決定することを特徴とする請求項15記載の画像処理方法。
【請求項20】
前記平滑化ステップにおいて、前記入力された画像データの原稿タイプ情報に応じて、前記フィルタリング処理に用いるフィルタサイズを決定することを特徴とする請求項15記載の画像処理方法。
【請求項21】
入力された画像データの画素毎に下地レベルが変動し、前記変動された下地レベルに基づき下地飛ばし処理を行う画像処理方法において、
前記画像データの注目画素と当該注目画素近傍の画素の明るさ成分に応じて、当該注目画素近傍の画素の下地レベルに対する当該注目画素の下地レベルの変動量を決定する変動量決定ステップと、
前記決定された変動量に基づき、前記注目画素の下地レベルを決定する下地レベル決定ステップとを有し、
前記変動量決定ステップは、前記注目画素と当該注目画素近傍の画素の明るさ成分が所定値よりも小さい場合、前記注目画素と当該注目画素近傍の画素の明るさ成分が所定値よりも大きい場合よりも当該注目画素の下地レベルの変動量を小さくすることを特徴とする画像処理方法。
【請求項22】
入力された画像データの画素毎に下地レベルが変動し、前記変動された下地レベルに基づき下地飛ばし処理を行う画像処理装置において、
前記画像データの注目画素と当該注目画素近傍の画素の明るさ成分に応じて、当該注目画素近傍の画素の下地レベルに対する当該注目画素の下地レベルの変動量を決定する変動量決定手段と、
前記決定された変動量に基づき、前記注目画素の下地レベルを決定する下地レベル決定手段とを有し、
前記変動量決定手段は、前記注目画素と当該注目画素近傍の画素の明るさ成分が所定値よりも小さい場合、前記注目画素と当該注目画素近傍の画素の明るさ成分が所定値よりも大きい場合よりも当該注目画素の下地レベルの変動量を小さくすることを特徴とする画像処理装置。
【請求項23】
請求項11乃至21に記載の画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項24】
請求項23に記載のプログラムを記憶したコンピュータで読み取り可能な記憶媒体。
【請求項1】
入力された画像データを明るさの成分に変換する変換手段と、
前記変換手段によって変換された明るさの成分と所定の閾値との差分量を算出する算出手段と、
前記差分量に応じて前記画像データの画素毎にカウント変動量を決定する決定手段と、
前記画像データにおいて前記カウント変動量を累積した結果に基づき、前記閾値を変動させる閾値変動手段と、
前記閾値変動手段によって生成された新たな閾値を下地レベルとして、前記画像データの下地を除去する処理を行う処理手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記決定手段において、前記差分量が小さい場合は前記差分量が大きい場合よりも前記カウント変動量を大きくし、前記差分量が大きい場合は前記差分量が小さい場合よりも前記カウント変動量を小さくすることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記閾値変動手段は、前記画像データにおいて前記カウント変動量を累積した結果が、所定のカウント値を超えた場合、前記閾値を変動させることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか一方に記載の画像処理装置。
【請求項4】
さらに、前記変換手段によって変換された明るさの成分を平滑化する平滑化手段を有し、
前記算出手段は、前記平滑化手段によって平滑化された明るさの成分と前記所定の閾値との差分量を算出し、前記決定手段は、前記差分量に応じて前記画像データの画素毎にカウント変動量を決定することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記平滑化手段は、前記画像データの注目画素と前記注目画素の周辺画素とを含む領域におけるフィルタリング処理であることを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記決定手段は、前記差分量および前記画像データの彩度成分に応じて決定されることを特徴とする請求項1乃至5記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記決定手段は、前記差分量が小さくかつ前記彩度成分が小さい場合は、前記差分量が大きくかつ前記彩度成分が大きい場合よりも前記カウント変動量を大きくし、前記差分量が大きくかつ前記彩度成分が大きい場合は、前記差分量が小さくかつ前記彩度成分が小さい場合よりも前記カウント変動量を小さくすることを特徴とする請求項6記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記平滑化手段において、前記変換手段によって変換された明るさの成分と前記所定の閾値との差分量に応じて、前記フィルタリング処理に用いるフィルタサイズを決定することを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記平滑化手段において、前記入力された画像データの画素毎に判別された属性情報に応じて、前記フィルタリング処理に用いるフィルタサイズを決定することを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記平滑化手段において、前記入力された画像データの原稿タイプ情報に応じて、前記フィルタリング処理に用いるフィルタサイズを決定することを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。
【請求項11】
入力された画像データを明るさの成分に変換する変換ステップと、
前記変換ステップによって変換された明るさの成分と所定の閾値との差分量を算出する算出ステップと、
前記差分量に応じて前記画像データの画素毎にカウント変動量を決定する決定ステップと、
前記画像データにおいて前記カウント変動量を累積した結果に基づき、前記閾値を変動させる閾値変動ステップと、
前記閾値変動ステップによって生成された新たな閾値を下地レベルとして、前記画像データの下地を除去する処理を行う処理ステップと、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項12】
前記決定ステップにおいて、前記差分量が小さい場合は前記差分量が大きい場合よりも前記カウント変動量を大きくし、前記差分量が大きい場合は前記差分量が小さい場合よりも前記カウント変動量を小さくすることを特徴とする請求項11記載の画像処理方法。
【請求項13】
前記閾値変動ステップは、前記画像データにおいて前記カウント変動量を累積した結果が、所定のカウント値を超えた場合、前記閾値を変動させることを特徴とする請求項11または請求項12のいずれか一方に記載の画像処理方法。
【請求項14】
さらに、前記変換ステップによって変換された明るさの成分を平滑化する平滑化ステップを有し、
前記算出ステップは、前記平滑化ステップによって平滑化された明るさの成分と前記所定の閾値との差分量を算出し、前記決定ステップは、前記差分量に応じて前記画像データの画素毎にカウント変動量を決定することを特徴とする請求項11記載の画像処理方法。
【請求項15】
前記平滑化ステップは、前記画像データの注目画素と前記注目画素の周辺画素とを含む領域におけるフィルタリング処理であることを特徴とする請求項14記載の画像処理方法。
【請求項16】
前記決定ステップは、前記差分量および前記画像データの彩度成分に応じて決定されることを特徴とする請求項11乃至15記載の画像処理方法。
【請求項17】
前記決定ステップは、前記差分量が小さくかつ前記彩度成分が小さい場合は、前記差分量が大きくかつ前記彩度成分が大きい場合よりも前記カウント変動量を大きくし、前記差分量が大きくかつ前記彩度成分が大きい場合は、前記差分量が小さくかつ前記彩度成分が小さい場合よりも前記カウント変動量を小さくすることを特徴とする請求項16記載の画像処理方法。
【請求項18】
前記平滑化ステップにおいて、前記変換ステップによって変換された明るさの成分と前記所定の閾値との差分量に応じて、前記フィルタリング処理に用いるフィルタサイズを決定することを特徴とする請求項15記載の画像処理方法。
【請求項19】
前記平滑化ステップにおいて、前記入力された画像データの画素毎に判別された属性情報に応じて、前記フィルタリング処理に用いるフィルタサイズを決定することを特徴とする請求項15記載の画像処理方法。
【請求項20】
前記平滑化ステップにおいて、前記入力された画像データの原稿タイプ情報に応じて、前記フィルタリング処理に用いるフィルタサイズを決定することを特徴とする請求項15記載の画像処理方法。
【請求項21】
入力された画像データの画素毎に下地レベルが変動し、前記変動された下地レベルに基づき下地飛ばし処理を行う画像処理方法において、
前記画像データの注目画素と当該注目画素近傍の画素の明るさ成分に応じて、当該注目画素近傍の画素の下地レベルに対する当該注目画素の下地レベルの変動量を決定する変動量決定ステップと、
前記決定された変動量に基づき、前記注目画素の下地レベルを決定する下地レベル決定ステップとを有し、
前記変動量決定ステップは、前記注目画素と当該注目画素近傍の画素の明るさ成分が所定値よりも小さい場合、前記注目画素と当該注目画素近傍の画素の明るさ成分が所定値よりも大きい場合よりも当該注目画素の下地レベルの変動量を小さくすることを特徴とする画像処理方法。
【請求項22】
入力された画像データの画素毎に下地レベルが変動し、前記変動された下地レベルに基づき下地飛ばし処理を行う画像処理装置において、
前記画像データの注目画素と当該注目画素近傍の画素の明るさ成分に応じて、当該注目画素近傍の画素の下地レベルに対する当該注目画素の下地レベルの変動量を決定する変動量決定手段と、
前記決定された変動量に基づき、前記注目画素の下地レベルを決定する下地レベル決定手段とを有し、
前記変動量決定手段は、前記注目画素と当該注目画素近傍の画素の明るさ成分が所定値よりも小さい場合、前記注目画素と当該注目画素近傍の画素の明るさ成分が所定値よりも大きい場合よりも当該注目画素の下地レベルの変動量を小さくすることを特徴とする画像処理装置。
【請求項23】
請求項11乃至21に記載の画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項24】
請求項23に記載のプログラムを記憶したコンピュータで読み取り可能な記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−161755(P2010−161755A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144619(P2009−144619)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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