説明

画像処理装置及び画像処理プログラム

【課題】出力先に応じて適切に画像を加工できる画像処理装置及び画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】画像を表す画像データを取得する画像取得部11と、画像の出力先を特定する出力先特定部12と、出力先特定部12が特定した出力先に基づいて、画像取得部11が取得した画像データが表す画像の表示部への表示方法を特定する表示方法特定部14と、表示方法特定部14が特定する表示方法に基づいて画像データを加工し、加工した後の画像データである加工後データを出力先に出力する加工出力部15とを備えることを特徴としている。これによれば、出力先に応じて出力される画像データに施す加工を適切に変更できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を加工処理する画像処理装置及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術として、特許文献1には、画像データの画素をグループ化した後に、グループ化された画素を特徴付ける平均色に基づいて画素の色を加工して画風を変更する技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−31688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係る技術は、加工した画像の出力先に関わらず画像を変換するため、出力先で変換前後の差異を十分に表現できない場合であっても画像変換してしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、このような点に鑑み、その目的とするところは、出力先に応じて適切に画像を加工できる画像処理装置及び画像処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第一の観点に係る画像処理装置は、
画像を表す画像データを取得する画像取得手段と、
出力先を特定する出力先特定手段と、
前記出力先特定手段が特定した前記出力先に基づいて、前記画像取得手段が取得した前記画像データが表す前記画像の表示部への表示方法を特定する表示方法特定手段と、
前記表示方法特定手段が特定する前記表示方法に基づいて前記画像データを加工し、加工した後の画像データである加工後データを前記出力先に出力する加工出力手段と、を備えることを特徴としている。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第二の観点に係る画像処理プログラムは、
コンピュータを、
画像を表す画像データを取得する画像取得手段と、
出力先を特定する出力先特定手段と、
前記出力先特定手段が特定した前記出力先に基づいて、前記画像取得手段が取得した前記画像データが表す前記画像の表示部への表示方法を特定する表示方法特定手段と、
前記表示方法特定手段が特定する前記表示方法に基づいて前記画像データを加工し、加工した後の画像データである加工後データを前記出力先に出力する加工出力手段と、
して機能させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る画像処理装置及び画像処理プログラムによれば、出力先に応じて適切に画像を加工できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)は、本発明に係る画像処理装置を備えたシステムの一例を表すシステム構成図であり、(b)は、本発明に係る画像処理装置の一例を表す機能ブロック図である。
【図2】(a)は、解像度性能に基づいてアート変換手法を特定する第1変換手法特定処理の一例を表すフローチャートであり、(b)は、解像度性能に基づいてアート変換手法を特定する第2変換手法特定処理の一例を表すフローチャートである。
【図3】(a)は、コントラスト性能に基づいてアート変換手法を特定する第3変換手法特定処理の一例を表すフローチャートであり、(b)は、解像度性能に基づいてトランジション(切替効果)を特定する切替効果特定処理の一例を表すフローチャートである。
【図4】画像処理装置が実行する表示方法特定処理の一例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の最良の実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。
【0011】
図1(a)は、本発明に係る画像処理装置を備えた表示システムの一例を表すシステム構成図である。
図1(a)に示す表示システム1は、画像処理装置10、外部表示装置21、外部印刷装置22、及び外部投影装置23を備える。表示システム1は、画像処理装置10が加工処理を施した画像を表示する。
【0012】
画像処理装置10について説明する前に、外部表示装置21、外部印刷装置22、及び外部投影装置23について説明する。尚、外部表示装置21、外部印刷装置22、及び外部投影装置23をまとめて以下単に、外部装置という。
外部表示装置21は、例えば、高精細の外部モニタで構成される。外部印刷装置22は、例えば、プリンタで構成される。外部投影装置23は、プロジェクターで構成される。尚、外部表示装置21は、例えば、フルHD(High Definition)のテレビであってもよい。つまり、外部表示装置21は、解像度性能が高く、かつコントラスト性能が高い。一方で、外部投影装置23は、コントラスト性能が低い。尚、外部装置は、画像処理装置10に直接に接続されている必要はなく、例えば、ネットワーク越しに接続されたパーソナル・コンピュータ、又はネットワーク・ストレージである構成を採用できる。
【0013】
本実施例において、高精細及び解像度性能が高いとは、それぞれ精細度及び解像度が予め定められた閾値より高いことをいう。逆に、低精細及び解像度性能が低いとは、それぞれ精細度及び解像度が所定の閾値より低いことをいう。また、コントラスト性能についても同様である。尚、これらの閾値については後に詳細に説明する。
【0014】
画像処理装置10は、例えば、デジタルフォトフレームで構成される。しかしこれに限定される訳でなく、画像処理装置10は、例えば、パーソナル・コンピュータ、デジタルテレビ、携帯電話、携帯型ゲーム機、又は携帯型音楽プレーヤーで構成される実施例を採用できる。
画像処理装置10は、画像を表す画像データを入力されると、入力された画像データの表す画像を表示又は出力する(以下単に、表示等するという)。具体的には、画像処理装置10は、複数の画像データが表す画像を所定の周期に従って順番に表示等する。尚、画像処理装置10は、複数の画像をランダムな時間間隔でランダムな順番に表示等しても良い。
【0015】
また、画像処理装置10は、画像データが表す画像に加工を施した画像を表示等する。しかしこれに限定される訳ではなく、画像をそのまま表示等しても良い。画像処理装置10が画像データに施す加工は、画像の画風を変更する加工を含む。画像処理装置10が行う加工は、例えば、ポスター画風、ちぎり絵風、水彩画風、点描画風、色鉛筆風、刺繍画風、及び油絵風に画像を変換する処理を含む。尚、画像処理装置10が行う加工は、上記の加工に限定される訳ではなく、例えば、ぼかし加工を含んでも良い。
【0016】
また、画像処理装置10は、表示等する画像を切替前の画像(以下単に、第1画像という)から切替後の画像(以下単に、第2画像という)へ切り替える(以下、画像移行という)場合に、画像切替効果(以下、トランジションという)を奏するように画像データを加工する。具体的には、本実施例において、画像切替効果は、スライド、クロスフェード、ディゾルブ、及びモザイクを含む。尚、画像切替効果は、上記の切替効果に限定される訳ではなく、例えば、ユニバーサル・トランジションを含んでも良い。
【0017】
尚、スライドトランジションとは、第1画像を表示画面上で所定方向へ段階的にスライドさせることで第1画像の表示を終了すると共に、第1画像が表示されなくなった部分へ第2画像を表示し始める表示切替方法をいう。クロスフェードトランジションとは、第1画像のフェードアウトと、第2画像のフェードインとを同時に行う表示切替方法をいう。ディゾルブ・トランジションとは、第1画像を構成する画像片又は画素を、画像片又は画素に対応した位置にある第2画像の画像片又は画素へ段階的に切り替える表示切替方法をいう。尚、ディゾルブ・トランジションにおいて、一度に切り替えられる画像片又は画素は、互いに連続(つまり、隣接)していない画像片又は画素である構成を採用できる。モザイク・トランジションとは、第1画像を第1画像のモザイク画像へ切り替えてから、第1画像のモザイク画像を第2画像のモザイク画像へ切り替えた後に、第2画像のモザイク画像を第2画像へ切り替える表示切替方法をいう。尚、モザイク・トランジションにおいて、第1画像のモザイク画像はモザイクのサイズを段階的に拡大され、切替の対象となる第1画像のモザイク画像と第2画像のモザイク画像とは同じサイズのモザイクを有し、第2画像のモザイク画像はモザイクのサイズを段階的に縮小される構成を採用できる。
【0018】
次に、図1(a)を参照したまま、画像処理装置10のハードウェア構成について説明する。
画像処理装置10は、CPU10a(Central Processing Unit)、メモリ10b、メディアカード・コントローラ10c、内部表示装置10d、入力装置10e、及び外部出力装置10fで構成される。
【0019】
CPU10aは、不図示の中央制御部を構成する。CPU10aは、メモリ10bに保存されたプログラムに従ったソフトウェア処理を行うことで、画像処理装置10の全体制御を行う。メモリ10bは、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)で構成される。メディアカード・コントローラ10cは、例えば、フラッシュメモリ・カードスロットを備える電子回路で構成される。メディアカード・コントローラ10cは、スロットに挿入されたフラッシュメモリカードから画像データを読み出したり、フラッシュメモリカードへ画像データを書き込んだりする。尚、メディアカード・コントローラ10cが読み書きする画像データは、静止画データであっても動画データであっても構わない。
【0020】
内部表示装置10dは、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成される。具体的には、内部表示装置10dは、WVGA(Wide Video Graphics Array)800x480ドットの解像度を有する。尚、内部表示装置10dの解像度を定める表示規格は、これに限定されるのではない。本実施例において、内部表示装置10dは、低精細であるとして説明する。また、内部表示装置10dは、LCDで構成されるためコントラスト性能が高い。内部表示装置10dは、外部出力装置10fに外部装置が接続されていない場合に画像を表示し、そうでない場合に画像を表示しない。
【0021】
入力装置10eは、例えば、キーボード又はマウスで構成され、ユーザーインタフェースを提供する。具体的には、入力装置10eは、ユーザーの操作に応じた操作信号を入力する。
外部出力装置10fは、例えば、外部装置との接続インタフェースを提供する電子回路で構成され、接続された外部装置を制御する。具体的には、外部出力装置10fは、外部装置に表示、印刷、又は投影させる画像を表す画像データを外部装置へ出力する。
【0022】
次に、図1(b)を参照して、画像処理装置10の有する機能について説明を行う。図1(b)は、画像処理装置10の一構成例を表す機能ブロック図である。
画像処理装置10は、画像取得部11、出力先特定部12、記憶部13、表示方法特定部14、加工出力部15、及び画像表示部16で構成される。
【0023】
画像取得部11は、例えば、メディアカード・コントローラ10cによって実現される。画像取得部11は、例えば、フラッシュメモリカードから画像を表す画像データを取得する。尚、画像取得部11は、例えば、フラッシュメモリカードから取得した動画データから更に静止画データを取得しても良い。
【0024】
出力先特定部12は、例えば、CPU10aがソフトウェア処理を実行することで実現される。出力先特定部12は、画像の出力先を特定する。尚、出力先とは、画像処理装置10の内部に設置された画像表示部16、並びに外部装置である外部表示装置21、外部印刷装置22、及び外部投影装置23のみならずメディアカードを含む。尚、以下単に、画像表示部16及び外部表示装置21を出力先である表示部という。
【0025】
具体例としては、出力先特定部12は、入力装置10eが入力した操作信号に基づいて画像の出力先を特定する。次に、出力先特定部12は、特定した出力先の情報を出力先から取得する。出力先の情報とは、例えば、出力先の表示性能を表す情報を含む。また、表示性能を表す情報とは、出力先の解像度性能及びコントラスト性能を表す情報を含む。
【0026】
より具体的には、出力先特定部12は、出力先が外部装置であると判断すると、出力先と通信することで通信相手の表示性能を特定する。尚、出力先特定部12は、出力先がメディアカードであると判断した場合には表示性能を特定しない。カードに保存された画像データの用途が不明であり、画像を表示等して用いる装置の性能が不明だからである。同様の理由から、出力先特定部12は、出力先がネットワークを介して接続するパーソナル・コンピュータ、又はネットワーク・ストレージであると判断した場合には表示性能を特定しない。また、出力先特定部12は、出力先が内部表示装置10dであると判断した場合には、予めメモリ10bに記憶された電子ファイルから表示性能を特定しても良いし、内部表示装置10dと通信して表示性能を特定しても良い。この構成によれば、出力先との通信により表示性能を特定するため、接続する出力先が変化しても新たに接続した出力先の表示性能を取得できる。
【0027】
記憶部13は、例えば、メモリ10bで構成される。記憶部13は、出力先の情報と、出力される画像の表示方法とを対応付けた複数組の対応情報を記憶する。具体的には、記憶部13は、画像の表示方法を表す情報と、画像の表示方法を実行するために必要な出力先の表示性能を表す情報とを対応付けた複数組の情報を記憶する。具体例としては、ある表示方法を実行するために、出力先の表示性能がある予め定められた閾値よりも高い必要がある場合には、必要な出力先の表示性能を表す情報は、その予め定められた閾値で表される。尚、表示方法は、画像移行の表示を変化させる方法、及び特定の画風に加工して画像を表示する方法を含む。また、画像移行の表示を変化させる方法は、特定の画像切替効果(トランジション)を奏するように、表示する画像をある画像から別の画像へ移行させる方法を含む。
【0028】
表示方法特定部14は、例えば、CPU10aがソフトウェア処理を実行することで実現される。表示方法特定部14は、出力先特定部12が特定した出力先に基づいて、画像取得部11が取得した画像データで表される画像の出力先における表示方法を特定する。具体例としては、表示方法特定部14は、記憶部13が記憶する、出力先の情報と表示方法とを対応付けた複数組の対応情報を参照する。次に、表示方法特定部14は、参照した情報から、出力先特定部12が取得した出力先の情報に対応する表示方法を特定する。この構成によれば、出力先から取得した情報に基づいて表示方法を特定するため、出力先に応じた適切な表示方法を特定できる。
【0029】
具体的には、表示方法特定部14は、特定の画風に加工して画像を表示する方法を、出力先特定部12が特定した出力先の解像度性能又はコントラスト性能に基づいて選択する。この構成によれば、出力先の表示性能に基づいて表示方法を特定するため、出力先が十分に表現できる画像に加工できる。特に、画風を変換するとコントラストの変換又は画素単位の色変換がなされる。このためこの構成によれば、解像度性能又はコントラスト性能に基づいて出力先で十分に表現可能な差異を及ぼす画風の変換手法を選択できる。よって出力先のユーザーは、画像処理装置10による画像変換の効果を容易に視認できる。
【0030】
より具体的に説明すると、表示方法特定部14は、出力先特定部12が特定した出力先の解像度性能が予め定める第1基準を満たす場合に、画像取得部11が取得した画像の表示方法を、点描画風、色鉛筆風、刺繍画風、及び油絵風のいずれか1つ以上の画風に加工して画像を表示する方法に特定する。尚、予め定める第1基準は、例えば、点描画風、色鉛筆風、刺繍画風、及び油絵風に画風を変換する前と後とで画素色が変換された部分の色の差異を表現するために十分な解像度性能を有するという基準を含む。具体的には、予め定める第1基準は、解像度性能が予め定める第1閾値よりも高いという基準を含む。この構成によれば、出力先で十分に表現可能な差異を及ぼす画風の変換手法を選択できる。また、点描画風、色鉛筆風、刺繍画風、及び油絵風に画風を変換する場合には、画像細部の画素色を変換する必要がある。このためこの構成によれば、解像度性能に基づいて出力先が十分に表現可能な差異を及ぼす画風の表示方法を選択できる。
【0031】
ここで、図2を参照して表示方法特定部14が実行する処理について説明する。図2(a)は、解像度性能に基づいて出力先に適したアート変換手法を特定する第1変換手法特定処理の一例を表すフローチャートである。
図2(a)に示すように、表示方法特定部14は、出力先が第1基準を満たさない程に低精細であるか否か、及び第1基準を満たす程に高精細であるか否かを判断する(ステップS11及びS12)。
表示方法特定部14は、出力先が低精細であると判断した場合には(ステップS11;Yes)、低精細用アート変換手法を選択(特定)する(ステップS13)。また、表示方法特定部14は、出力先が高精細であると判断した場合には(ステップS12;Yes)、高精細用アート変換手法を選択する(ステップS14a)。更に、表示方法特定部14は、出力先が低精細でも高精細でもないと判断した場合には(ステップS12;No)、任意のアート変換手法を選択する(ステップS15)。尚、ステップS13からS15のいずれかを実行した後に、表示方法特定部14は、処理の実行を終了する。
【0032】
尚、アート変換とは、絵画等のアート風な画像に変換することをいう。具体的には、アート変換は、画風をアート風に加工する変換を含む。また、高精細用アート変換手法とは、変換された画像を高精細モニタで表示することで、ユーザーがアート変換前後における画像の差異を認識できる変換を画像に施す手法をいう。つまり、高精細用アート変換手法とは、高精細表示の場合に、ユーザーにとってアート変換効果がわかり易いアート変換手法をいう。
具体的には、高精細用アート変換手法は、第1基準を満足する程に高精細の表示装置でないとアート変換前後の差異が十分に表現されない画像へ変換するアート変換手法を含む。高精細の表示装置でないと高精細用アート変換手法によるアート変換前後の差異が十分に表現されない理由の一例としては、高精細用アート変換手法は、データの画素単位又は所定の大きさよりも小さい画像片単位等で画素値を変換することが挙げられる。つまり、所定の大きさよりも小さい画像片単位又は画素単位で画素値を変換された画像は、第1基準を満足する高精細の表示装置でなければ、表示装置のユーザーが画素又は画像片の変換結果を視認できる程に精密な表示をすることができないという理由である。尚、具体例としては、高精細用アート変換手法は、点描画風、色鉛筆画風、刺繍画風、及び油絵風のいずれか1つ以上を含む。
【0033】
逆に、低精細用アート変換手法とは、画像を小さく表示しても、ユーザーがアート変換前後における画像の差異を認識できる変換を画像に施す手法いう。つまり、低精細用アート変換手法とは、低精細表示の場合でもユーザーにとってアート変換効果がわかり易いアート変換手法をいう。
具体的には、低精細用アート変換手法は、第1基準を満足しない程に低精細の表示装置であっても、アート変換前後の差異が十分に表現される画像へ変換するアート変換手法を含む。低精細の表示装置であっても低精細用アート変換手法によるアート変換前後の差異が十分に表現される理由の一例としては、低精細用アート変換手法は、高精細用アート変換手法とは異なり、所定の大きさよりも大きい画像片単位等で画素値を変換することが挙げられる。つまり、所定の大きさよりも大きい画像片単位で画素値を変換された画像は、第1基準を満足しない低精細の表示装置であっても、表示装置のユーザーが画像片の変換結果を視認できるという理由である。尚、具体例としては、低精細用アート変換手法は、ポスター画風、ちぎり画風、及び水彩画風のいずれか1つ以上を含む。
【0034】
この構成によれば、出力先の解像度性能に基づいて適切なアート変換手法を選択できる。つまりこの構成によれば、出力先の解像度性能が第1基準を満たす場合に限って高精細用アート変換手法選択できる。またこの構成によれば、出力先の解像度性能が第1基準を満たさない程に低い場合に限って低精細用アート変換手法選択できる。
【0035】
尚、点描画風、色鉛筆画風、刺繍画風、及び油絵風、並びにポスター画風、ちぎり画風、及び水彩画風へ画像を変換する方法は、例えば、アドビシステム社のフォトショップ(登録商標)等が有する機能に用いられる方法で実現できる。ここで、点描画風への画像変換では、例えば、画像を構成する線又は塗り潰しが、連続していない点の集合に変換される。色鉛筆画風への画像変換では、例えば、画像を構成する塗り潰しが網目状に変換されると共に、網目部分が背景色に変換される。尚、背景色は、例えば、画用紙の色として一般的な色であると良い。刺繍画風への画像変換では、例えば、画像を構成する線又は塗り潰しが、連続していない線の集合に変換される。線の集合で刺繍糸が表されるためである。
【0036】
尚、表示方法特定部14は、図2(b)に一例を示す第2変換手法特定処理を実行しても良い。この第2変換手法特定処理において、表示方法特定部14は、出力先が高精細であると判断した場合には(ステップS12;Yes)、任意のアート変換手法を選択する(ステップS14b)。出力先が十分に高精細の場合には、低精細用アート変換手法を選択しても変換前後の差異を出力先が表現できるためである。
【0037】
ここで図1(b)に戻り、表示方法特定部14の機能について引き続き説明する。表示方法特定部14は、出力先特定部12が特定した出力先のコントラスト性能が予め定める第2基準を満たす場合に、画像取得部11が取得した画像の表示方法を、ちぎり絵風、水彩画風、点描画風、色鉛筆風、刺繍画風のいずれか1つ以上の画風に加工して画像を表示する方法に特定する。尚、予め定める第2基準は、例えば、ちぎり絵風、水彩画風、点描画風、色鉛筆風、刺繍画風に画風を変換するためにコントラストを変換した場合に、変更前後のコントラストの差異を十分に表現できるコントラスト性能を有するという基準を含む。具体的には、予め定める第2基準は、コントラスト性能が予め定める第2閾値よりも高いという基準を含む。この構成によれば、出力先で表現可能な差異を及ぼす画風の変換手法を選択できる。
【0038】
次に、図3(a)を参照してコントラスト性能に基づいてアート変換手法を特定する第3変換手法特定処理の一例について説明する。
図3(a)に示すように、表示方法特定部14は、出力先のコントラスト性能が第2基準を満たす程に高いか否かを判断する(ステップS31)。表示方法特定部14は、コントラスト性能が高いと判断した場合には(ステップS31;Yes)、任意のアート変換手法を選択する(ステップS32)。コントラスト性能が十分高い出力先は、コントラストを任意に変更されても加工前後のコントラストの差異を十分に表現できるためである。
また、表示方法特定部14は、コントラスト性能が低いと判断した場合には(ステップS31;No)、加工前後のコントラスト比が高いアート変換手法を選択する(ステップS33)。出力先のコントラスト性能が低くとも、加工前後のコントラスト比が十分に高ければ加工前後のコントラストの差異を十分に表現できるためである。
尚、ステップS32及びS33のいずれかを実行した後に、表示方法特定部14は、処理の実行を終了する。
【0039】
ここで図1(b)に戻り、表示方法特定部14の機能について引き続き説明する。表示方法特定部14は、出力先特定部12が特定した出力先の解像度性能に基づいて、特定の表示に画像移行時の表示を変化させる方法を選択する。この構成によれば、出力先が画素単位で第1画像を第2画像へ移行させる場合であっても、解像度性能に基づいて出力先が十分に表現可能な画像の移行方法を特定できる。
【0040】
より具体的に説明すると、表示方法特定部14は、出力先特定部12が特定した出力先の解像度性能が予め定める第3基準を満たす場合に、画像移行時の表示がモザイク・トランジション又はディゾルブ・トランジションとなるように加工された画像データの表す画像を表示する方法を選択する。尚、予め定める第3基準は、例えば、モザイク・トランジション又はディゾルブ・トランジションにおいて第1画像を部分的に第2画像へ移行させる単位となる画像片を表現するために十分な解像度性能を有するという基準を含む。具体的には、予め定める第3基準は、解像度性能が予め定める第3閾値よりも高いという基準を含む。このためこの構成によれば、画素単位又は極小片単位での切り替えを出力先が表現可能な場合に限って、データの画素単位又は極小片単位で画像を切り替えるモザイク・トランジション及びディゾルブ・トランジションを選択できる。
【0041】
また、表示方法特定部14は、出力先特定部12が特定した出力先の解像度性能に基づいて、第1画像を部分的に第2画像へ移行させる単位となる画像片の大きさを特定する構成を採用できる。この構成によれば、出力先が表現可能な大きさの画素単位又は極小片単位で画像を切り替えるトランジションを特定するため、出力先が表現可能な画像切替方法を選択できる。
【0042】
次に、図3(b)を参照してトランジションを特定する切替効果特定処理の一例について説明する。
図3(b)に示すように、表示方法特定部14は、出力先の解像度性能が第3基準を満たす程に高いか否か(つまり、高精細であるか否か)を判断する(ステップS41)。表示方法特定部14は、解像度性能が高いと判断した場合には(ステップS41;Yes)、任意のトランジション手法を選択する(ステップS42)。解像度性能が十分高い出力先は、任意のトランジションを十分に表現できるためである。
また、表示方法特定部14は、解像度性能が低いと判断した場合には(ステップS41;No)、低精細でもユーザーが知覚可能なトランジション手法を選択する(ステップS43)。尚、ステップS42及びS43のいずれかを実行した後に、表示方法特定部14は、処理の実行を終了する。
【0043】
ここで、低精細でもユーザーが知覚可能なトランジションは、スライドトランジション又はクロスフェードトランジションを含む。これらのトランジションは、画素単位又は極小片単位で画像を切り替える表示方法でないためである。また、低精細でもユーザーが知覚可能なトランジションは、第3基準で定まる解像度の閾値よりも大きな画像片単位で画像を切り替えるディゾルブ・トランジション又はモザイク・トランジションであっても良い。第3基準を満足しない出力先でも表現可能なトランジションだからである。
【0044】
ここで図1(b)に戻り、画像処理装置10の構成について引き続き説明する。加工出力部15は、例えば、CPU10aがソフトウェア処理を実行することで実現される。加工出力部15は、表示方法特定部14が特定する表示方法に基づいて、画像取得部11が取得した画像データを加工する。具体的には、加工出力部15は、特定部14が特定したアート変換手法を用いて画像データを変換する。また、加工出力部15は、特定部14が特定した画像切替効果を奏するように画像データを加工する。次に、加工出力部15は、加工した後の画像データである加工後データを出力先に出力する。
画像表示部16は、例えば、内部表示装置10dで構成される。画像表示部16は、加工出力部15が出力した加工後データが表す画像を表示する。
【0045】
最後に、図4を参照して、画像の表現方法を特定するために画像処理装置10が実行する表示方法特定処理について具体的に説明する。図4は、表示方法特定処理の具体例を表すフローチャートである。
先ず、画像処理装置10は、出力先がフラッシュメモリであるか否かを判断する(ステップS51)。
画像処理装置10は、出力先がフラッシュメモリであると判断した場合には(ステップS51;Yes)、フラッシュメモリに保存した画像の用途が不明であると判断する。よって、画像処理装置10は、任意のアート変換手法を選択する(ステップS52)。その後、画像処理装置10は、処理の実行を終了する。尚、画像処理装置10は、低精細用アート変換手法を選択しても良い。フラッシュメモリに保存した画像を表示する装置が高精細であっても低精細であっても、アート変換前後の差異が十分に表示されるからである。
【0046】
画像処理装置10は、出力先がフラッシュメモリでないと判断した場合には(ステップS51;No)、出力先が内蔵LCDで構成される内部表示装置10dであるか否かを判断する(ステップS53)。
画像処理装置10は、出力先が内蔵LCDであると判断した場合には(ステップS53;Yes)、低精細用アート変換手法を選択する(ステップS54)。その後、画像処理装置10は、処理の実行を終了する。本実施例において、内蔵LCDは低精細であるとして説明したからである。尚、内蔵LCDが第1基準を満足する程に高精細である実施例においては、画像処理装置10は、高精細用アート変換手法を選択しても良い。
【0047】
画像処理装置10は、出力先が内蔵LCDでないと判断した場合には(ステップS53;No)、出力先が外部モニタで構成される外部表示装置21であるか否かを判断する(ステップS55)。
画像処理装置10は、外部モニタであると判断した場合には(ステップS55;Yes)、高精細用アート変換手法を選択する(ステップS56)。その後、画像処理装置10は、処理の実行を終了する。尚、本実施例において、外部モニタが高精細である場合について説明したがこれに限定される訳ではない。
【0048】
画像処理装置10は、外部モニタでないと判断した場合には(ステップS55;No)、任意のアート変換手法を選択する(ステップS57)。出力先の表示性能が不明だからである。その後、画像処理装置10は、処理の実行を終了する。
【0049】
尚、本発明に係る機能を実現するための構成を予め備えた画像処理装置として提供できることはもとより、プログラムの適用により、既存の画像処理装置を本発明に係る画像処理装置として機能させることもできる。すなわち、上記実施形態で例示した画像処理装置10による各機能構成を実現させるための画像処理プログラムを、既存の画像処理装置を制御するコンピュータ(CPUなど)が実行できる様に適用することで、本発明に係る画像処理装置10として機能させることができる。
【0050】
この様なプログラムの配布方法は任意であり、例えば、メモリカード、CD−ROM、又はDVD−ROMなどの記録媒体に格納して配布できる他、インターネットなどの通信媒体を介して配布することもできる。
【0051】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0052】
1・・・表示システム、10・・・画像処理装置、10a・・・CPU、10b・・・メモリ、10c・・・メディアカード・コントローラ、10d・・・内部表示装置、10e・・・入力装置、10f・・・外部出力装置、11・・・画像取得部、12・・・出力先特定部、13・・・記憶部、14・・・表示方法特定部、15・・・加工出力部、16・・・画像表示部、21・・・外部表示装置、22・・・外部印刷装置、23・・・外部投影装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表す画像データを取得する画像取得手段と、
出力先を特定する出力先特定手段と、
前記出力先特定手段が特定した前記出力先に基づいて、前記画像取得手段が取得した前記画像データが表す前記画像の表示部への表示方法を特定する表示方法特定手段と、
前記表示方法特定手段が特定する前記表示方法に基づいて前記画像データを加工し、加工した後の画像データである加工後データを前記出力先に出力する加工出力手段と、を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記出力先特定手段は、前記出力先の情報を前記出力先から取得し、
前記表示方法特定手段は、記憶部が記憶する、出力先の情報と表示方法とを対応付けた複数組の対応情報を参照し、前記出力先特定手段が取得した前記出力先の情報に対応する前記表示方法を特定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記出力先の情報は、前記出力先である前記表示部の表示性能を表す情報であることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記表示性能は、解像度性能又はコントラスト性能を含み、
前記表示方法は、画風を変更して画像を表示する方法であることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記出力先の情報は、前記出力先である前記表示部の表示性能を表す情報であり、
前記表示性能は、解像度性能を含み、
前記表示方法は、点描画風、色鉛筆風、刺繍画風、及び油絵風のいずれか1つ以上へ画風を変換して画像を表示する方法であり、
前記表示方法特定手段は、前記解像度性能が予め定める第1基準を満たす場合に、前記表示手法を選択することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記出力先の情報は、前記出力先である前記表示部の表示性能を表す情報であり、
前記表示性能は、コントラスト性能を含み、
前記表示方法は、ちぎり絵風、水彩画風、点描画風、色鉛筆風、刺繍画風のいずれか1つ以上へ画風を変換して画像を表示する方法であり、
前記表示方法特定手段は、前記コントラスト性能が予め定める第2基準を満たす場合に、前記表示方法を選択することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記出力先の情報は、前記出力先である前記表示部の表示性能を表す情報であり、
前記表示性能は、解像度性能を含み、
前記表示方法は、第1画像から第2画像へ画像を移行させる画像移行の表示を変化させる方法であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記表示方法は、
前記第1画像を前記第1画像のモザイク画像へ切り替えてから、前記第1画像のモザイク画像を前記第2画像のモザイク画像へ切り替えた後に、前記第2画像のモザイク画像を前記第2画像へ切り替えるモザイク・トランジション、又は、
前記第1画像を構成する画像片又は画素を、前記画像片又は前記画素に対応した位置にある前記第2画像を構成する画像片又は画素へ段階的に切り替えるディゾルブ・トランジションであり、
前記表示方法特定手段は、前記解像度性能が予め定める第3基準を満たす場合に、前記モザイク・トランジション又は前記ディゾルブ・トランジションとなるように加工された画像データによって表される画像を表示する表示方法を選択することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
コンピュータを、
画像を表す画像データを取得する画像取得手段と、
出力先を特定する出力先特定手段と、
前記出力先特定手段が特定した前記出力先に基づいて、前記画像取得手段が取得した前記画像データが表す前記画像の表示部への表示方法を特定する表示方法特定手段と、
前記表示方法特定手段が特定する前記表示方法に基づいて前記画像データを加工し、加工した後の画像データである加工後データを前記出力先に出力する加工出力手段として機能させることを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−135424(P2011−135424A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−294152(P2009−294152)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】