説明

画像処理装置及び画像処理プログラム

【課題】多様な倍率の画像データから低コストで特定マークを検出することができる画像処理装置を提供することである。
【解決手段】実施形態の画像処理装置は、プリントアウト用の入力画像データの入力倍率が基準倍率を超える場合、前記入力画像データを前記基準倍率の縮小画像データへ縮小する縮小手段と、前記入力倍率が基準倍率を超える場合、前記縮小画像データから特定マークを検出し、前記入力倍率が基準倍率を超えない場合、前記入力画像データから前記特定マークを検出する検出手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像処理装置及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、カラー複合機(Multi−Functional Peripheral(MFP))等の画像処理装置は、原稿を読み取り、原稿読取により得られた画像データから特定マーク(例えば複写禁止マーク)を検出した場合に、複写動作を中止する。
【0003】
MFP等に搭載されるスキャナは、例えば、ラインセンサをキャリッジで移動させて二次元的に原稿を読み取る。スキャンの倍率を変更する揚合には、キャリッジの移動スピードを変えて、画像の縦横比を変える。このため、スキャンの倍率変更時に特定マークを検出しようとすると、特定マークの検出パラメータの変更が必要となる。
【0004】
しかしながら、MFPのスキャン倍率は、一般的に1%刻みで数十%から数百%までと幅広く、それら全てに対応した検出パラメータを用意するのは難しい。また、倍率100%以上の拡大スキャン時は、画像の解像度が高くなるため、処理対象の画素数が増え、その結果、演算コストが高くなることが考えられる。
【0005】
そこで、ラインセンサで読み取った画像データの縦横比及びサイズが常に一定となるように、副走査方向(キャリッジが動く方向)の画像データを倍率に応じて間引き、画像を固定サイズに縮小してから特定マーク等の認識処理を行う方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−237379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ラインセンサで読み取った画像データの縦横比及びサイズが常に一定となるように、読み取った画像データを必ず副走査方向に間引くと、特定マークを検知するために必要な情報量が失われてしまうため、特定マークの検出精度が低下することがある。
【0008】
本発明の目的は、多様な倍率の画像データから低コストで特定マークを検出することができる画像処理装置及び画像処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の画像処理装置は、プリントアウト用の入力画像データの入力倍率が基準倍率を超える場合、前記入力画像データを前記基準倍率の縮小画像データへ縮小する縮小手段と、前記入力倍率が基準倍率を超える場合、前記縮小画像データから特定マークを検出し、前記入力倍率が基準倍率を超えない場合、前記入力画像データから前記特定マークを検出する検出手段とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係る画像認識装置(画像処理装置)の処理ブロックの構成の一例を示す図である。
【図2】画像補正部における変倍処理の一例を示すフローチャートである。
【図3】二値化処理部の概略構成の一例を示す図である。
【図4】画素計数部の画素係数処理の一例を示すフローチャートである。
【図5A】入力画像から求めた判定対象のパターン特徴量の一例を示す図である。
【図5B】パターンの照合において参照するための、予め登録されているパターン特徴量の一例を示す図である。
【図5C】図5Aの判定対象パターン特徴量と図5Bの参照用パターン特徴量との、要素毎の差分の絶対値の一例を示す図である。
【図5D】特徴量の差分値を入力とするメンバーシップ関数と呼ばれるルックアップテーブルを利用して変換した、要素毎の類似度に相当する値の一例を示す図である。
【図6】図5Cから図5Dへの変換に用いたメンバーシップ関数の一例を示す。
【図7】本実施形態の効果を説明するための図である。
【図8】図1に示す画像認識装置を搭載したデジタル複合機(MFP)の概略的なシステム構成の一例を示す図である。
【図9】図1に示す画像認識装置を搭載したデジタル複合機(MFP)の概略構成の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、実施形態に係る画像認識装置(画像処理装置)の処理ブロックの構成の一例を示す図である。図1に示す画像認識装置は、例えば図8及び図9に示すデジタル複合機(MFP)に適用することができる。図8及び図9のMFPについては後に詳しく説明する。
【0013】
図1に示すように画像認識装置は、倍率参照部101、倍率補正部102、二値化部103、画素係数部104、特徴量抽出部105、参照用特徴量記憶部106、パターン照合部107等を備える。
【0014】
倍率参照部101は、MFPのコントロールパネル等でユーザが指定した画像読取倍率(入力倍率)のデータを所定のメモリから読み出す処理部である。
【0015】
倍率補正部102は、前記倍率参照部101で読み出した画像読取倍率が所定の値(本実施形態では100%(基準倍率))より大きい場合に、入力画像に対して画像サイズが所定の倍率(基準倍率)相当になるように変倍処理(縮小処理)を施した画像データを出力する処理部である。ただし、画像読取倍率が所定の値以下の場合は、読み取った画像をそのまま出力する。つまり、画像読取倍率が所定の値以下の場合は、読み取った画像を拡大処理せずにそのまま出力する。従って、本実施形態では、変倍処理の内容は必ず縮小処理となり、倍率比に応じた画素の間引きや平均化を行う。
【0016】
図2は、画像補正部102における変倍処理の一例を示すフローチャートである。
【0017】
画像補正部102は、画像の読取倍率Mが100%以上であるか否かを判定し、Mが100%を超える場合は(ACT201、YES)、画像サイズを{(100/M)×100}%に縮小する処理を施し(ACT202)、Mが100%以下の場合は(ACT201、NO)、何も処理を施さずに、画像データを後段の処理に出力する(ACT203)。なお、本実施形態は、本発明に係る画像認識装置をMFPに搭載する場合を想定しているため、入力画像の変倍は副走査方向(ラインセンサの速度制御による読取倍率変更)となる。
【0018】
図3は、二値化処理部103の概略構成の一例を示す図である。
【0019】
二値化部103は、倍率補正部102から出力される画像データの各画素について、所定の色味や階調値を有するかどうかによって二値化を行う処理部である。具体的には、読取画像がR(Red)、G(Green)、B(Blue)という3つの成分からなるカラー画像である場合、図3に示すような処理ブロックによって二値化を行うことができる。すなわち、比較器301〜306にて各色成分値(R、G、B)をそれぞれ上限値及び下限値と比較して真偽の判定を行い、それらの判定結果の論理積を論理積器307で算出することにより、RGB色空間における所定の部分色空間に属する画素のみを抽出することができる。
【0020】
画素計数部104は、画像領域を重複無く空間分割した各部分領域内において、二値化結果を加算する処理部である。また、この部分領域は画像読取倍率に応じてサイズが可変であり、二値化結果を加算した結果を画像読取倍率が100%の時の部分領域サイズで正規化する。具体的には、二値化結果を加算する際に、加算を行った画素数をカウントしておき、加算結果をカウント画素数で割って画像読取倍率100%時の画素数を掛け合わせる。
【0021】
図4は、画素計数部104の画素計数処理の一例を示すフローチャートである。
【0022】
画素計数部104は、100を画像読取補正倍率M’(%)で割ることで倍率比Rを算出するとともに、第1ラインカウンタC1と副走査座標値yを0にリセットする(ACT401)。ここで、画像読取補正倍率M’は、画像読取倍率Mが100以上の時はM’=100、Mが100未満の時はM’=Mである。
【0023】
画素計数部104は、累積ラインメモリL(x)を主走査方向において全て0にリセットし、第2ラインカウンタC2も0にリセットする(ACT402)。
【0024】
画素計数部104は、二値化した画像データを累積ラインメモリL(x)に加算するとともに、第1ラインカウンタに倍率比Rを加算し、第2ラインカウンタと副走査座標値にそれぞれ1を加算する(ACT403)。
【0025】
画素計数部104は、第1ラインカウンタC1が予め定められた整数値N以上となるか否か、及び副走査座標値yが最大値を超えているか否かをそれぞれ判定し、それらのいずれかが真の時は(ACT404、YES)、累積ラインメモリL(x)の値に(N/C2)を掛け合わせることで補正したデータを出力し、第1ラインカウンタC1の値から整数Nを差し引いてリフレッシュを行い(ACT405)、副走査座標値yが最大値を超えているか否かを判定し、判定結果が真の時は処理を終了する(ACT406)。
【0026】
画素計数部104は、ACT404の条件を満たさない場合は(ACT404、NO)、ACT403の処理を繰り返す。また、画像計数部104は、ACT406の条件を満たさない場合は(ACT406、NO)、ACT402〜ACT405の処理を繰り返す。
【0027】
特徴量抽出部105は、画素計数部104の出力データをバッファメモリに保持し、所定の部分領域毎にさらにデータを逐次計数(すなわち部分領域内で積分)することによって、各注目領域におけるパターン特徴量を算出する処理部である。
【0028】
参照用特徴量記憶部106は、検知対象の特定マークについて予め算出した1セット以上のパターン特徴量(特定マークに対応するテンプレート)を格納するためのメモリであり、パターン照合部107からの要求に応じてパターン特徴量を1セットずつ出力する。
【0029】
パターン照合部107は、特徴量抽出部105で算出したパターン特徴量と参照用特徴量記憶部106から読み出したパターン特徴量との間の一致度(または不一致度)を算出し、算出された一致度が所定の閾値より大きい(または不一致度が所定の閾値より小さい)場合に、特定マークの検出信号を出力する処理部である。
【0030】
パターン照合部107において求める一致度(または不一致度)の計算方法としては、ファジィ推論による類似度(一致度)やユークリッド距離(不一致度)など様々な方法がある。
【0031】
図5A〜図5Dは、ファジィ推論による類似度算出方法の一例を説明するための図である。図5Aは、入力画像から求めた判定対象のパターン特徴量の一例を示す図である。ここで、横軸の「要素番号」とは、パターン領域を区分化した各領域に付与した順番であり、本実施形態では説明を簡単にするために、要素の数を4、各要素の最大値を5としている。
【0032】
図5Bは、パターンの照合において参照するための、予め登録されているパターン特徴量の一例を示す図である。図5Cは、図5Aの判定対象パターン特徴量と図5Bの参照用パターン特徴量との、要素毎の差分の絶対値の一例を示す図である。図5Dは、特徴量の差分値を入力とするメンバーシップ関数と呼ばれるルックアップテーブルを利用して変換した、要素毎の類似度に相当する値の一例を示す図である。図6は、図5Cから図5Dへの変換に用いたメンバーシップ関数の一例を示す。
【0033】
図7は、本実施形態の効果を説明するための図である。ここでは、例として原稿の読取倍率が100%、200%、50%の3通りの場合を比較している。パターンの特徴量算出を行う部分領域のサイズは、読取倍率に比例させる必要があるため、読取倍率が200%の時には読取倍率100%の時と比較して部分領域の面積が2倍となるため、上述したような積分に基づく特徴量演算に必要なメモリの容量も2倍となる。従って、読取倍率200%の入力画像に対して読取倍率100%相当の画像への倍率補正を行うことにより、演算に要するメモリのコストを小さく抑えることができる。
【0034】
一方、読取倍率50%の時は、特徴量算出を行う部分領域のサイズが読取倍率100%の時の半分となり、特徴量演算に要するメモリ容量が小さくて済む(ただし、特徴量の情報量自体も少なくなるため、検知精度も低下する)ため、入力画像に対する倍率補正を行う必要が無い。
【0035】
例えば、パターン照合部107は、読取倍率Mが100%を超える場合(例えば読取倍率Mが200%の場合)、100%相当に縮小補正された画像データを構成する基準サイズの各領域(例えば4×4画素を1画素と見なし)から特徴量を算出し、特徴量算出結果に基づき前記特定マークを検出する。また、パターン照合部107は、読取倍率Mが100%を超えない場合(例えば読取倍率Mが50%の場合)、読取倍率Mと100%との差に基づき前記基準サイズより小さい縮小サイズを設定し、入力画像データを構成する縮小サイズの各領域(例えば4×2画素を1画素と見なし)から特徴量を算出し、特徴量算出結果に基づき前記特定マークを検出する。
【0036】
図8は、図1に示す画像認識装置を搭載したデジタル複合機(MFP)の概略的なシステム構成の一例を示す図である。
【0037】
画像読取装置801は、原稿を光学的に読み取った電気信号をA/D変換によってデジタル画像データを生成する。
【0038】
画像認識装置802は、図1に示す画像認識装置に相当し、画像読取装置801で生成された画像データ中に特定画像が存在するか否かを判定し、特定画像が存在する揚合には検知信号を生成する。
【0039】
画像処理装置803は、画像読取装置801で生成された画像データに対し、フィルタ処理やスクリーニング処理を行うことにより、写真画像の階調を滑らかにしたり文字画像のコントラストを強調して視認性を高めたりする。
【0040】
画像出力装置804は、画像処理装置803で所定の処理を施された画像データを紙媒体等に出力する。つまり、画像出力装置804は、画像データに基づく画像を紙媒体上にプリントアウトする。
【0041】
システム制御装置805は、上記4つの装置の統括制御、及び各装置の動作状態の集中管理等を行う。例えば、画像読取装置801から画像読取倍率のデータを取得して画像認識装置802に動作条件として設定したり、画像認識装置802から検知信号が出力された際に画像処理装置803の動作を停止したり、画像出力装置804によるプリントアウト(コピー)を禁止したり、画像出力装置804にて紙詰まり等のトラブルが発生した場合に画像読取装置801の動作も停止する。
【0042】
例えば、システム制御装置805は、特定マークを検出したことを示す検知信号に基づき、画像データの出力を制限する。より具体的には、システム制御装置805は、特定マークを検出したことを示す検知信号に基づき、画像データのプリントアウトを禁止する。
【0043】
図9は、図1に示す画像認識装置を搭載したデジタル複合機(MFP)の概略構成の一例を示す断面図である。
【0044】
図9に示すMFP100は、画像情報を、例えばハードコピーあるいはプリントアウトと称され、例えば普通紙あるいは透明な樹脂シートであるOHPシート等にトナーが定着する状態の画像出力として出力する画像形成部1(画像出力装置804に相当)、画像形成部1に対して画像出力に用いられる任意サイズのシートを供給する用紙供給部3、画像形成部1において画像形成される対象である画像情報を、画像情報を保持した読み取り対象物(以下原稿と称する)から画像データとして取り込む画像読取部5(画像読取装置801に相当)を含む。
【0045】
画像読取部5は、原稿を支持する原稿テーブル(原稿ガラス)5aと画像情報を画像データに変換する画像センサ、例えばCCDセンサを含む。画像読取部5は、照明装置からの照明光を原稿テーブル5aにセットされた原稿に照射して得られる反射光を、CCDセンサで画像信号に変換する。
【0046】
さらに、画像読取部5は、原稿がシートであるとき、読み取った原稿を排出部から排出するとともに、次の原稿を画像形成または画像の取り込み(以下、読み取り、とする)に続いて読み取り位置に案内する自動原稿搬送装置(ADF)7を、一体に有する。ADF7に代えて、原稿カバーが用いられてもよい。
【0047】
また、画像読取部5のCCDセンサは、ADF7により原稿が移動する原稿テーブル5aの原稿の移動パスに位置してもよい。画像読取部5のCCDセンサは、ADF7により原稿が移動する原稿テーブル5aの原稿の移動パスに位置することで、原稿を原稿テーブル5aに位置することなく、原稿が含む画像情報を読み取ることができる。
【0048】
画像読取部5による原稿の画像情報の読み取りの開始と画像形成部1への画像形成の開始の指示を与える操作入力部である操作パネル(操作部)9は、画像読取部5の左側または右側などのコーナーにおいて、(画像形成部1に固定されている)支柱9aとスイングアーム9bに位置する。
【0049】
画像形成部1は、潜像を保持する第1〜第4の感光体ドラム11a〜11d、感光体ドラム11a〜11dが保持する潜像に現像剤、すなわちトナーを供給して現像する現像装置13a〜13d、感光体ドラム11a〜11dが保持するトナーの像を順に保持する転写ベルト15、感光体ドラム11a〜11dに残るトナーを個々の感光体ドラム11a〜11dから取り除く第1〜第4のクリーナー17a〜17d、転写ベルト15が保持するトナー像を普通紙あるいはOHPシートのような透明な樹脂シートであるシートに転写する転写装置19、転写装置19がシートに転写したトナー像をシートに定着する定着装置21、及び感光体ドラム11a〜11dに潜像を形成する露光装置23、等を含む。
【0050】
第1〜第4の現像装置13a〜13dは、減法混色によりカラー画像を得るために用いるY(イエロー、黄)、M(マゼンタ)、C(シアン)及びBk(ブラック、黒)の任意の色のトナーを収容し、感光体ドラム11a〜11dのそれぞれが保持する潜像を、Y、M、C及びBkのいずれかの色で可視化する。各色の順は、画像形成プロセスや、とトナーの特性に応じて、所定の順に決定する。
【0051】
転写ベルト15は、第1〜第4の感光体ドラム11a〜11d及び対応する現像装置13a〜13dが形成した各色のトナー像を、トナー像の形成の順に保持する。
【0052】
転写ベルト15は、画像形成部1の感光体ドラム11a〜11dと転写ベルト15との間の圧力を設定するベルト対向部材51、転写ベルト15の表面を清掃するベルトクリーナー53が及ぼす圧力を設定するベルトクリーナー対向部材55及びシートが、転写装置19からの圧力により転写ベルト15と接する際の転写ベルト15側の圧力を設定するサポートローラ57のそれぞれから、外側に向う張力である所定の圧力を受ける。
【0053】
用紙供給部3は、トナー像が移動するためのシートを、所定のタイミングで、転写装置19に供給する。
【0054】
複数のカセットスロット31に位置する詳述しないカセットは、任意のサイズのシートを収容し、画像形成動作に応じ、ピックアップローラ33が対応するカセットからシートを取り出す。シートのサイズは、画像形成に際して要求のある倍率及び画像形成部1が形成するトナー像の大きさに対応する。
【0055】
分離機構35は、ピックアップローラ33がカセットから取り出すシートが2枚以上になることを阻止する。
【0056】
複数の搬送ローラ37は、分離機構35が1枚に分離したシートをアライニングローラ39に向けて送る。
【0057】
アライニングローラ39は、転写装置19が転写ベルト15からトナー像を転写するタイミングに合わせて、シートを転写装置19と転写ベルト15が接する転写位置に送る。
【0058】
定着装置21は、画像情報に対応するトナー像をシートに定着し、画像出力(ハードコピーまたはプリントアウト)として、画像読取部5と画像形成部本体1との間の空間に位置するストック部47に送る。
【0059】
転写装置19は、定着装置21によりトナー像が定着された出力画像(ハードコピー/プリントアウト)であるシートの両面を置き換える自動多重ユニット(ADU、automatic duplex unit)41に位置している。バイパストレイがADU41に付属する。
【0060】
ADU41は、画像形成部1において、(最終の)搬送ローラ37とアライニングローラ39との間、あるいはアライニングローラ39と定着装置21あるいは転写装置19と定着装置21との間に、シートが詰まった場合(ジャムしたとき)、側方(右側)へ移動する。ADU41は、転写装置19をクリーニングするクリーナー43を一体に有する。
【0061】
搬送ローラ37とアライニングローラ39との間に位置するメディアセンサ45が、アライニングローラ39に搬送されるシートの厚さを検出する。メディアセンサ45には、2008年8月25日に出願された米国特許出願12/197880号や、2008年8月27日に出願された米国特許出願12/199424号に示された光学センサ、及びまたは、2008年4月10日に米国に仮出願された61/043801号に示された厚さ検出ローラのシフトを用いるタイプを用いることができる。
【0062】
以下、本実施形態の構成についてまとめる。
【0063】
(1)本実施形態の画像認識装置は、入力された多値画像データから特定のマークを検知する画像認識装置であって、画像データの入力倍率を参照する入力倍率参照手段と、入力倍率が所定の倍率を超えた場合に入力画像データを所定の倍率相当に縮小補正する倍率補正手段と、倍率補正された画像データを画素値に基づいて二値化する二値化手段と、二値化画像データの画素数を入力倍率に応じたサイズの領域内で計数する画素計数手段と、画素計数結果に基づいて特徴量を算出する特徴量抽出手段と、特定のマークについて予め算出した特徴量を記憶する参照用特徴量記憶手段と、前記特徴量抽出手段で算出した特徴量と前記参照用特徴量記憶手段から読み出した特徴量との比較に基づいて入力画像データに特定マークが存在するか否かを判定するパターン照合手段と、を備える。
【0064】
(2)さらに、上記(1)に加えて、本実施形態の画像認識装置は、ユーザが入力倍率を設定する倍率設定手段と、設定された倍率に応じた大きさで原稿を読み取る読取手段と、を備え、画像認識装置が入力画像データから特定マークを検知した場合には入力画像データの忠実な出力を行わない。
【0065】
本実施形態の画像認識装置は、上記した構成により、検知対象の最小読取倍率を小さくしても通常の画像読取倍率での特定マークの検知精度を低下させず、かつ、読取倍率が大きい場合でもメモリの増大を防ぐことができる。
【0066】
本実施形態の画像処理装置は、装置内部に本実施形態を実施するための機能(プログラム)が予め設定されている場合について説明したが、これに限らず同様の機能(プログラム)をネットワークから装置にダウンロードしても良いし、同様の機能(プログラム)を記録媒体に記憶させたものを装置にインストールしてもよい。記録媒体としては、光ディスク、USBメモリ等のプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能な記録媒体であれば、その形態は何れの形態であっても良い。またこのように予めインストールやダウンロードにより得る機能は装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と共働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0068】
101…倍率参照部、102…倍率補正部、103…二値化部、104…画素係数部、105…特徴量抽出部、106…参照用特徴量記憶部、107…パターン照合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリントアウト用の入力画像データの入力倍率が基準倍率を超える場合、前記入力画像データを前記基準倍率の縮小画像データへ縮小する縮小手段と、
前記入力倍率が基準倍率を超える場合、前記縮小画像データから特定マークを検出し、前記入力倍率が基準倍率を超えない場合、前記入力画像データから前記特定マークを検出する検出手段と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記入力倍率が基準倍率を超える場合、前記縮小画像データを構成する前記基準サイズの各領域から特徴量を算出し、特徴量算出結果に基づき前記特定マークを検出し、前記入力倍率が基準倍率を超えない場合、前記基準倍率と前記入力倍率との差に基づき前記基準サイズより小さい縮小サイズを検出し、前記入力画像データを構成する前記縮小サイズの各領域から特徴量を算出し、特徴量算出結果に基づき前記特定マークを検出する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記入力倍率が基準倍率を超える場合及び前記入力倍率が基準倍率を超えない場合の何れの場合も、前記特定マークに対応する所定のテンプレートに基づき前記特定マークを検出する請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記特定マークが検出された場合、前記入力画像データの出力を制限する制限手段を備える請求項1乃至3の何れか1つに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記制限手段は、前記特定マークが検出された場合、前記入力画像データのプリントアウトを禁止する請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記入力倍率で原稿画像を読み取り前記入力画像データを出力する画像読取手段を備える請求項1乃至5の何れか1つに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記入力画像データをプリントアウトする画像出力手段を備える請求項1乃至6の何れか1つに記載の画像処理装置。
【請求項8】
プリントアウト用の入力画像データの入力倍率が基準倍率を超える場合、前記入力画像データを前記基準倍率の縮小画像データへ縮小する手順と、
前記入力倍率が基準倍率を超える場合、前記縮小画像データから特定マークを検出し、前記入力倍率が基準倍率を超えない場合、前記入力画像データから前記特定マークを検出する手順と、
をコンピュータに実行させるための画像処理プログラム。
【請求項9】
前記特定マークが検出された場合、前記入力画像データの出力を制限する手順をコンピュータに実行させるための請求項8記載の画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−222822(P2012−222822A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−86716(P2012−86716)
【出願日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】