説明

画像処理装置及び画像処理装置の制御方法

【課題】ユーザの要求に応じて各種の拡張機能を付加できるように構成された従来の画像処理装置では、ソフトウェアの開発に多大な工数を必要としていた。
【解決手段】本発明の画像処理装置は、表示部8及び入力部9を有する操作パネル3と、第1の画像処理を制御すると共に当該第1の画像処理に関する画像データを生成する第1の制御装置5と、第1の画像処理とは異なる第2の画像処理を制御すると共に当該第2の画像処理に関する表示データを生成する第2の制御装置2と、切替要求信号を生成する生成手段と、生成手段が生成した切替要求信号に応じて、表示部8との接続相手を第1の制御装置5と第2の制御装置2との間で切り替える切替制御部4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、スキャナ、コピー等の機能を有する画像処理装置とその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、プリンタ、スキャナ、コピー等の機能を有する画像処理装置が広く知られているが、近年では、各々の単独機能又はそれらの複合機能に加えて、ネットワーク(インターネット、イントラネット等)上のサーバーと連携して、スキャンデータの送信、データベース上のドキュメントの検索や印刷などの付加機能を搭載した画像処理装置が提供されている。
【0003】
このように画像処理装置にネットワーク接続機能をもたせることにより、ネットワーク上の端末装置(パーソナルコンピュータ等)やサーバーと呼ばれるホストコンピュータ上のソフトウェアとの間で、より柔軟な連携が可能になる。また、新たな付加機能の追加や、複数台の画像処理装置、ホストコンピュータからなる情報処理システムの構築も可能となる。
【0004】
しかしながら、こうした画像処理装置の使われ方はユーザによって多種多様である。したがって、画像処理装置には、プリント機能、スキャン機能、コピー機能などの基本的な機能のほかに、多様なユーザのニーズに応じて、数多くの拡張機能を用意する必要がある。これらの拡張機能の例としては、ユーザ認証、スキャンデータの確認や情報付加、印刷情報の検索等の機能が挙げられる。このような多様な機能を、使い勝手良く実装するために、ユーザインタフェースはより柔軟にカスタマイズできることが求められている。また、ユーザの使用形態毎にこれらの機能を実装し、状況に応じて改善していく必要もある。したがって、これらの機能を実現するためのプログラムは、容易に開発、実装できることが望ましい。
【0005】
こうした種々の要求を満たすため、例えば、下記特許文献1,2には、画像処理装置本体に隣接してパーソナルコンピュータ(以下、「PC」と記す)等の外部コントローラを設置し、この外部コントローラで表示制御や各種付加機能を実現したものが記載されている。また、下記特許文献3,4には、表示制御にHTMLを表示できるブラウザソフトウェアを使用し、容易に表示内容をカスタマイズできるようにしたものが記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開平10−244736号公報
【特許文献2】特開平11−134131号公報
【特許文献3】特開2001−506036号公報
【特許文献4】特開2002−86847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、画像処理装置本体の近くに外部コントローラを設置し、この外部コントローラ側で表示の制御を行う場合は、画像処理装置本体の基本機能を実現するための表示内容を外部コントローラで表示させる必要がある。そのため、画像処理装置本体内のコントローラは、画像処理装置本体内部の情報を外部コントローラに送るとともに、外部コントローラからの動作指示を解析する必要がある。したがって、画像処理装置本体内のコントローラと外部コントローラとの間を連携するソフトウェアが必要になる。そのため、画像処理装置本体側のコントローラと外部コントローラのそれぞれに、専用の制御プログラムを開発する必要があり、これに加えて機種の変更やソフトウェアのバージョンアップの際に、各々のコントローラのソフトウェアを一緒に更新しなくてはならず、相当の開発工数、保守工数が必要となる。
【0008】
また、画像処理装置本体内のコントローラ側で表示の制御を行う場合は、外部コントローラの状態や、外部コントローラで実行しているアプリケーションの表示情報などを、外部コントローラから画像処理装置本体内のコントローラに送り、そこで表示画像を構築して表示させる必要がある。そのため、画像処理装置本体のコントローラは、外部コントローラ用の表示を行うソフトウェアを実装するとともに、当該ソフトウェアを、外部コントローラで実行するアプリケーションに合わせてカスタマイズする必要がある。したがって、画像処理装置本体のコントローラのソフトウェア規模か大きくなり、ソフトウェア開発に多くの工数が必要になる。さらに、外部コントローラに実装するアプリケーションの種類に対応したソフトウェアの更新に、より多くの保守工数が必要となる。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、ユーザの要求に応じて各種の拡張機能を付加することが可能な画像処理装置において、ソフトウェアの開発(更新、保守等を含む)にかかる工数を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る画像処理装置は、表示部と、第1の画像処理を制御すると共に当該第1の画像処理に関する表示データを生成する第1の制御手段とを備え、第1の画像処理とは異なる第2の画像処理を制御すると共に当該第2の画像処理に関する表示データを生成する第2の制御手段を接続可能な画像処理装置であって、表示部との接続相手を第1の制御手段と第2の制御手段との間で切り替える切替手段を備えるものである。
【0011】
本発明に係る画像処理装置においては、表示部との接続相手を切替手段により第1の制御手段と第2の制御手段との間で切り替えることにより、第1の制御手段によって実現される第1の画像処理機能と、第2の制御手段によって実現される第2の画像処理機能のいずれを使用する場合でも、それぞれの機能専用に表示部で画面の表示を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1の画像処理に係るソフトウェアの開発と、第2の画像処理に係るソフトウェアの開発を、それぞれ独立して行うことができる。そのため、ソフトウェア開発の生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明の実施形態に係る画像処理装置の構成例を示す概略図である。図示した画像処理装置は、主として、画像処理装置本体1と、当該画像処理装置本体1に接続された第2の制御装置2とによって構成されている。画像処理装置本体1には、操作パネル3と、切替制御部4と、第1の制御装置5と、スキャナ部6と、プリンタ部7とが設けられている。
【0015】
画像処理装置本体1は、例えば、画像データを取り扱う処理装置として、プリンタ装置、複写装置、ファクシミリ装置、又はそれらの機能を併せ持つ複合装置等の装置本体を構成するものである。
【0016】
操作パネル3は、画像処理装置本体1に標準で装備されるもので、画像処理装置を使用するユーザによって操作されるUI(User Interface)となる。操作パネル3は、例えば、タッチパネル式の表示ディスプレイからなる表示部8と、テンキーやボタン等からなる入力部9とを有する。
【0017】
切替制御部4には、操作パネル3、第1の制御装置5及び第2の制御装置2が個別に接続されている。切替制御部4は、後述する切替要求信号に応じて、操作パネル3との接続相手を第1の制御装置5と第2の制御装置2との間で切り替えるものである。切替制御部4による3者(操作パネル3、第1の制御装置5、第2の制御装置2)の接続形態としては、操作パネル3と第1の制御装置5とを接続した第1の接続形態と、操作パネル3と第2の制御装置2とを接続した第2の接続形態がある。
【0018】
第1の制御装置5は、画像処理装置本体1内のコントローラに相当するものである。第1の制御装置5は、画像処理装置本体1単体で実現される基本機能、例えば、プリント機能、スキャン機能、コピー機能等に基づく画像処理を制御すると共に、当該画像処理に関する表示データを生成する。第1の制御装置5で生成された表示データは、上記基本機能に基づく画像処理を行う際に、操作パネル3の表示部8に表示されるものである。ちなみに、基本機能としては、プリント機能のみ又はスキャン機能のみを有するものであってもよいし、ファクシミリ機能を有するものであってもよい。また、画像処理装置本体1の内部では、コストダウンや省スペース化を目的として、第1の制御装置5と切替制御部4を共通の回路基板に実装してもよい。
【0019】
スキャナ部6は、スキャン機能を実現するもの、さらに詳しくは、原稿の画像を光学的に読み取り、その読み取り結果に基づく画像データを出力するものである。プリンタ部7は、プリント機能を実現するもの、さらに詳しくは、電子化された画像データを、インクやトナーなどの印刷材料を使用して可視画像として用紙に印刷出力するものである。なお、コピー機能は、スキャナ部6とプリンタ部7の組み合わせによって実現されるものである。
【0020】
第2の制御装置2は、画像処理装置本体1と別個(独立)に構成される外部コントローラに相当するもので、画像処理装置本体1に後付けで接続可能なものである。第2の制御装置2は、上記基本機能に付加される拡張機能、例えば、ユーザ認証機能、ファイル管理機能、OCR(Optical Character Reader)機能、ウェブブラウザ機能、チケット発行機能等に基づく画像処理を制御すると共に、当該画像処理に関する表示データを生成する。第2の制御装置2で生成された表示データは、上記拡張機能に基づく画像処理を行う際に、操作パネル3の表示部8に表示されるものである。また、第2の制御装置2は、画像処理装置本体1にオプションで装備されるものである。
【0021】
上記拡張機能のうち、ユーザ認証機能は、装置を正当に使用できるユーザかどうかを、パスワードや生体情報(例えば、指紋)などを用いて確認する機能である。ファイル管理機能は、例えば、地図データ、顧客データ、不動産データ、雛形データなどの画像データを入れた電子ファイルを管理し、必要に応じて電子ファイルから画像データを取り出して、画像処理装置本体1内のプリント機能を使ってプリントアウトするときに利用される機能である。OCR機能は、例えば、画像処理装置本体1内のスキャン機能を使って読み取った原稿の画像データやネットワーク経由で受信した画像データをOCR処理するときに利用される機能である。ウェブブラウザ機能は、例えば、インターネット上のウェブサーバーから取得した画像データを閲覧し、必要に応じて画像処理装置本体1内のプリント機能を使ってプリントアウトするときに利用される機能である。このウェブブラウザ機能を搭載した場合は、インターネットやイントラネット上のアプリケーションサーバーへのアクセスや連携により、アプリケーションに応じた様々な表示を容易に実現することが可能となる。チケット発行機能は、例えば、インターネットなどでチケットの予約を行ったユーザにユーザIDやチケット予約番号などの入力を促し、入力情報が正しければ、画像処理装置本体1内のプリント機能を使ってチケットを発行するときに利用される機能である。
【0022】
図2は本発明の実施形態に係る画像処理装置を含むネットワーク構成図である。図において、画像処理装置本体1と第2の制御装置2とは、通信ケーブル10を介して接続されている。また、画像処理装置本体1と第2の制御装置2は、それぞれLAN(Local Area Network)11を介して情報通信ネットワーク(インターネット又はイントラネット)12に接続され、さらにこの情報通信ネットワーク12には、データセンタ13に設置されたアプリケーションサーバー14が接続されている。
【0023】
図3は、第1の制御装置5の内部構成を示すブロック図である。図示のように第1の制御装置5は、入力インタフェース(入力I/F)15、表示制御部16、CPU(Central Processing Unit)17、RAM(Random Access Memory)18、ROM(Read-Only Memory)19、スキャナ制御部20、画像処理回路21、プリンタ制御部22、ネットワークインタフェース(ネットワークI/F)23等を備えて構成されている。
【0024】
入力インタフェース15は、操作パネル3の入力部9から入力される入力情報を取り込むためのインタフェースである。表示制御部16は、第1の制御装置5が上記基本機能に係る第1の画像処理(プリント処理、スキャン処理、コピー処理など)を制御するときに、操作パネル3の表示部8に表示すべき表示データを生成し、この表示データを表示部8に対して出力することにより、表示部8での画面表面を制御するものである。
【0025】
CPU17は、第1の制御装置5全体の処理動作を制御するもので、そのための制御プログラムがROM19に格納されている。RAM18は、ROM19に格納された制御プログラムにしたがってCPU17が処理が実行する際のワークエリアとして使用されるものである。
【0026】
スキャナ制御部20は、スキャナ部6の動作(スキャン動作)を制御するものである。画像処理回路21は、スキャナ部6で読み取った画像データやネットワークインタフェース23で受信した画像データに対して、所定の画像処理(例えば、色変換処理、拡大縮小処理、階調補正処理、画像回転処理など)を施すものである。
【0027】
プリンタ制御部22は、プリンタ部7の動作(プリント動作)を制御するものである。ネットワークインタフェース23は、LAN11を介して種々のデータ(画像データ、ファクシミリデータを含む)を送受信するためのインタフェースである。
【0028】
なお、第2の制御装置2の内部構成は、一般的なPC(パーソナルコンピュータ)本体の構成と同様であるため、ここでは詳しい説明を省略する。PC本体とは、PCの基本的な構成要素から、CRT、LCD等の表示機能とキーボード、マウス等の入力機能を除いたものをいう。第2の制御装置2が提供する拡張機能は、当該第2の制御装置2に組み込まれたアプリケーションプログラムをCPUが実行することによって実現されるものである。
【0029】
図4は切替制御部4の内部構成を示すブロック図である。図において、切替制御部4は、切替シーケンサ回路24と、パルス生成部25と、複数(図例では3つ)の切替スイッチ26,27,28とを備えて構成されている。
【0030】
切替シーケンサ回路24は、予め設定された手順にしたがって切替制御処理(後述)を行うものである。パルス生成部25は、操作パネル3の入力部9に設けられた切替ボタン9Aが押下されたときにパルス信号を生成し、このパルス信号を切替シーケンサ回路24に出力するものである。この場合、切替シーケンサ回路24に入力されるパルス信号は、表示や入力の切替を要求する信号(切替要求信号)となる。
【0031】
切替スイッチ26は、入力検知部29を介して入力部9に接続されている。入力検知部29は、入力部9からの入力を検知するものである。切替スイッチ26と入力検知部29との間は、RS232C等のシリアル信号線によって接続される。切替スイッチ27は、タッチパネル検知部30を介してタッチパネル81に接続されている。タッチパネル検知部30は、タッチパネル81からの入力(座標)を検知するものである。切替スイッチ27とタッチパネル検知部30との間は、RS232C等のシリアル信号線によって接続される。切替スイッチ28は、ドライバ回路31を介して表示ディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ)82に接続されている。ドライバ回路31は、表示ディスプレイ82に画面を表示するために表示ディスプレイ82を駆動するものである。切替スイッチ28とドライバ回路31との間には、表示ディスプレイ82に操作用の画面を表示するための表示データとして、RGBアナログビデオ信号や画像描画コマンドが適用される。なお、タッチパネル81と表示ディスプレイ82は、操作パネル3の表示部8を構成するものであるが、タッチパネル81は、入力デバイスとしての機能を果たすため、入力部9に属する扱いとしてもよい。また、表示ディスプレイ82での表示に適用される表示データは、アナログビデオ信号以外にも、バス接続されたデジタルインタフェースとすることも可能である。
【0032】
上記3つの切替スイッチ26,27,28は、それぞれ3つの端子T1,T2,T3を備えている。第1端子T1は、切替スイッチ(26,27,28)のスイッチング動作状態に応じて、第2端子T2又は第3端子T3に接続されるものである。切替スイッチ26が備える3つの端子T1,T2,T3のうち、第1端子T1には入力検知部29を介して入力部9が接続され、第2端子T2には第2の制御装置2が接続され、第3端子T3には第1の制御装置5が接続されている。切替スイッチ27が備える3つの端子T1,T2,T3のうち、第1端子T1にはタッチパネル検知部30を介してタッチパネル81が接続され、第2端子T2には第2の制御装置2が接続され、第3端子T3には第1の制御装置5が接続されている。切替スイッチ28が備える3つの端子T1,T2,T3のうち、第1端子T1にはドライバ回路31を介して表示ディスプレイ82が接続され、第2端子T2には第2の制御装置2が接続され、第3端子T3には第1の制御装置5が接続されている。
【0033】
上記3つの切替スイッチ26,27,28は、切替シーケンサ回路24から出力される切替信号に応じてスイッチング動作するとともに、全てのスイッチが互いに連動してスイッチング動作するものとなっている。切替シーケンサ回路24から出力される切替信号には、第1の切替信号と第2の切替信号がある。第1の切替信号は、第1端子T1と第3端子T3とを接続(換言すると、操作パネル3と第1の制御装置5とを接続)するように各々の切替スイッチ26,27,28をスイッチング動作させる信号である。第2の切替信号は、第1端子T1と第2端子T2とを接続(換言すると、操作パネル3と第2の制御装置2とを接続)するように各々の切替スイッチ26,27,28をスイッチング動作させる信号である。以降の説明では、第1の切替信号にしたがって各々の切替スイッチ26,27,28がスイッチング動作した状態を「第1のスイッチング動作状態」といい、第2の切替信号にしたがって各々の切替スイッチ26,27,28がスイッチング動作した状態を「第2のスイッチング動作状態」という。第1のスイッチング動作状態では、操作パネル3と第1の制御装置5とが接続された状態(第1の接続形態)となり、第2のスイッチング動作状態では、操作パネル3と第2の制御装置2とが接続された状態(第2の接続形態)となる。
【0034】
なお、切替手段は機械的な切替スイッチに限定されるものではなく、電子回路を用いた演算による切り替えとすることもできる。また、切替スイッチ26で操作パネル3の入力部9に設けられた全ての切替ボタンを切り替える必要はなく、切替ボタンの機能によっては第1の制御装置又は第2の制御装置に固定的に接続されていてもよい。
【0035】
図5は切替シーケンサ回路24による切替制御処理の手順を示すフローチャートである。まず、画像処理装置本体1の主電源がオン(投入)されると、第1の切替信号を出力する(ステップS1)。次に、入力部9の切替ボタン9Aが押下されたかどうかを判定する(ステップS2)。この判定は、パルス生成部25からパルス信号が入力されたかどうかに応じて行う。すなわち、パルス生成部25からパルス信号が入力された場合は「Yes(押下あり)」と判定し、パルス信号が入力されない場合は「No(押下なし)」と判定する。そして、切替ボタン9Aが押下されたと判定した場合はステップS3に進み、押下されていないと判定した場合はステップS4に移行する。
【0036】
ステップS3においては、第2の切替信号を出力する。また、ステップS4においては、第2の制御装置2から切替要求信号が入力されたかどうかを判定する。この切替要求信号は、例えば、第2の制御装置2に対してLAN等のネットワーク経由でジョブの実行命令が入力された場合に、第2の制御装置2から切替シーケンサ回路24に出力される信号である。第2の制御装置2から切替要求信号が入力された場合は、ステップS3に進み、入力されない場合は上記ステップS2に戻る。ステップS3の後は、再び入力部9の切替ボタン9Aが押下されたかどうかを判定する(ステップS5)。そして、切替ボタン9Aが押下されたと判定した場合は、上記ステップS1に戻って第1の切替信号を出力する。
【0037】
以上のような切替制御処理を行うことにより、画像処理装置本体1の主電源をオンしたときは、各々の切替スイッチ26,27,28が第1の切替信号にしたがって第1のスイッチング動作状態となる。第1のスイッチング動作状態では、各々の切替スイッチ26,27,28において、第1端子T1と第3端子T3が接続された状態、つまり操作パネル3と第1の制御装置5とが接続された状態となる。したがって、表示部8の表示ディスプレイ82には、第1の制御装置5で生成された画像データが表示される。また、入力部9で入力された情報やタッチパネル81で入力された情報は、第1の制御装置5に取り込まれる。よって、ユーザは、第1の制御装置5が制御する第1の画像処理(プリント処理、スキャン処理、コピー処理など)を、操作パネル3を使って操作することが可能となる。
【0038】
また、第1のスイッチング動作状態のもとで、切替ボタン9Aの押下によりパルス生成部25からパルス信号(切替要求信号)が入力されるか、第2の制御装置2から切替要求信号が入力されると、各々の切替スイッチ26,27,28が第2の切替信号にしたがって第2のスイッチング動作状態となる。第2のスイッチング動作状態では、各々の切替スイッチ26,27,28において、第1端子T1と第2端子T2が接続された状態、つまり操作パネル3と第2の制御装置2とが接続された状態となる。したがって、表示部8の表示ディスプレイ82には、第2の制御装置2で生成された画像データが表示される。また、入力部9で入力された情報やタッチパネル81で入力された情報は、第2の制御装置2に取り込まれる。よって、ユーザは、第2の制御装置2が制御する第2の画像処理(ユーザ認証処理、ファイル管理処理、OCR処理、ウェブブラウザ処理、チケット発行処理など)を、操作パネル3を使って操作することが可能となる。
【0039】
また、第2のスイッチング動作状態のもとで、切替ボタン9Aの押下によりパルス生成部25からパルス信号が入力されると、各々の切替スイッチ26,27,28は再び第1の切替信号にしたがって第1のスイッチング動作状態に戻る。
【0040】
このように本実施形態においては、切替ボタン9Aの押下によってパルス生成部25から出力されるパルス信号(切替要求信号)、又は第2の制御装置2から出力される切替要求信号に応じて、切替制御部4が、操作パネル3との接続相手を第1の制御装置5と第2の制御装置2との間で切り替えることにより、第1の制御装置5によって実現される第1の処理機能(基本機能)と、第2の制御装置2によって実現される第2の画像処理機能(拡張機能)のいずれを使用する場合でも、それぞれの処理機能専用に操作部3で画面の表示と入力の受け付けを行うことができる。そのため、第1の画像処理(基本機能)に係るソフトウェアの開発と、第2の画像処理(拡張機能)に係るソフトウェアの開発を、それぞれ独立して行うことができる。したがって、ソフトウェア開発の生産性を向上させることができる。
【0041】
なお、上記実施形態においては、切替制御部4で表示と入力を切り替えるようにしたが、これ以外にも、例えば、表示や入力に加えて音声を切り替えるように構成することも可能である。具体的には、図6に示すような構成を採用することができる。すなわち、操作パネル3にスピーカー32を設けるとともに、切替制御部4に音声切替用の切替スイッチ33を設ける。この切替スイッチ33も、他の切替スイッチ26,27,28と連動してスイッチング動作するものである。切替スイッチ33の第1端子T1には音声増幅回路34を介してスピーカー32が接続されている。スピーカー32は、音声増幅回路34から供給される音声信号にしたがって音声(音)を出力するものである。音声増幅回路34は、第1の制御装置5又は第2の制御装置2から画像データとともに生成される音声信号を増幅してスピーカー33に供給するものである。また、切替スイッチ33の第2端子T2には第2の制御装置2が接続され、同第3端子T3には第1の制御装置5が接続されている。
【0042】
かかる構成においては、切替シーケンサ回路24から出力される切替信号(第1の切替信号、第2の切替信号)に応じて、各々の切替スイッチ26,27,28,33が連動してスイッチング動作することにより、切替制御部4では表示や入力の切り替えに同期して音声の切り替えも行われるようになる。したがって、第1の制御装置1及び第2の制御装置2のどちらで画像処理を制御する場合でも、表示ディスプレイ82に表示される画像や動画に合わせて、ユーザへの音声による情報提供を実現することが可能となる。
【0043】
また、本発明の応用例としては、図7に示すような構成を採用することも可能である。図7においては、上記実施形態に係る画像処理装置に電源制御部35を追加した構成となっている。電源制御部35は、第1の制御装置5に対して電源制御信号を出力することにより、当該第1の制御装置5の電源を制御(オン/オフ)するものである。なお、ここでは電源制御部35を独立した構成要素としているが、これ以外にも、例えば、第2の制御装置2に電源制御部35と同様の電源制御機能を持たせることも可能である。
【0044】
図8は電源制御部35による電源制御処理の手順を示すフローチャートである。まず、操作パネル3との接続相手が第2の制御装置2に切り替えられると、スキャナ部6及びプリンタ部7が未使用状態であるかどうかを確認し(ステップS11)、未使用状態であれば、タイマによる時間計測をスタートさせる(ステップS12)。タイマは電源制御部35自身が備えるものでもよいし、電源制御部35とは別個に設けたものでもよい。未使用状態とは、画像処理装置本体1の内部でスキャナ部6とプリンタ部7が動作していない状態をいう。
【0045】
次いで、タイマの計測値をモニタすることにより、スキャナ部6及びプリンタ部7が未使用状態になってから所定時間が経過したか否かを判断し(ステップS13)、未使用状態のままで所定時間が経過したら電源オフ信号を出力する(ステップS14)。これにより、第1の制御装置5の電源が、電源制御部35から出力された電源オフ信号にしたがってオフされる。
【0046】
その後、スキャン処理又はプリント処理のジョブ要求があるかどうかを確認し(ステップS15)、ジョブ要求があれば電源オン信号を出力する(ステップS16)。ジョブ要求は、拡張機能を利用した第2の画像処理中にスキャン処理又はプリント処理を行う必要が生じた場合に出される。このジョブ要求を受けて電源オン信号が出力されると、第1の制御装置5の電源がオンされる。ステップS16で電源オン信号を出力した後は、上記ステップS11に戻る。また、上記ステップS13で所定時間が経過したと判断する前に、スキャナ部6又はプリンタ部7が使用状態になった場合(ステップS17でYesの場合)も上記ステップS11に戻る。また、かかる電源制御処理中に操作パネル3との接続相手が第1の制御装置5に切り替えられた場合は、その時点で直ちに第1の制御装置5の電源をオンして、当該電源制御処理を終了する。
【0047】
以上の電源制御処理によれば、第2の制御装置2で第2の画像処理を制御している状況で、第1の制御装置5により制御されるスキャナ部6やプリンタ部7の処理が所定時間以上行われないときは、電源制御部35によって第1の制御装置5の電源がオフされるため、無用な電力消費を抑えることができる。さらに、第1の制御装置5の電源と合わせてスキャナ部6及びプリンタ部7の電源をオフすることにより、より一層の省電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態に係る画像処理装置の構成例を示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像処理装置を含むネットワーク構成図である。
【図3】第1の制御装置の内部構成を示すブロック図である。
【図4】切替制御部の内部構成を示すブロック図である。
【図5】切替制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の他の実施形態に係る画像処理装置の構成を示す図である。
【図7】本発明の応用例に係る装置構成を示す図である。
【図8】電源制御処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0049】
1…画像処理装置本体、2…第2の制御装置、3…操作パネル、4…切替制御部、5…第1の制御装置、6…スキャナ部、7…プリンタ部、8…表示部、9…入力部、24…切替シーケンサ回路、26,27,28,33…切替スイッチ、32…スピーカー、35…電源制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、第1の画像処理を制御すると共に当該第1の画像処理に関する表示データを生成する第1の制御手段とを備え、前記第1の画像処理とは異なる第2の画像処理を制御すると共に当該第2の画像処理に関する表示データを生成する第2の制御手段を接続可能な画像処理装置であって、
前記表示部との接続相手を前記第1の制御手段と前記第2の制御手段との間で切り替える切替手段を備える
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
切替ボタンを有する入力部を備え、
前記生成手段は、前記切替ボタンが押下されたときに前記切替要求信号を生成する
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第2の制御手段は、ネットワーク接続機能を有するとともに、ネットワークを介してジョブの実行命令が入力されたときに前記切替要求信号を生成する生成手段を含む
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記切替手段は、前記表示部との接続相手の切り替えに連動して、前記入力部との接続相手を前記第1の制御手段と前記第2の制御手段との間で切り替える
ことを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項5】
音声を出力する音声出力手段を具備し、
前記第1の制御手段及び前記第2の制御手段は、それぞれ前記音声出力手段で出力すべき音声信号を生成し、
前記切替手段は、前記表示部との接続相手の切り替えに連動して、前記音声出力手段との接続相手を前記第1の制御手段と前記第2の制御手段との間で切り替える
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記表示部との接続相手が前記第2の制御手段に切り替えられた状態で、前記第1の画像処理に含まれるプリント処理及びスキャン処理が所定時間以上行われなかったときに、前記第1の制御手段の電源をオフする電源制御手段を具備する
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項7】
表示部と、第1の画像処理を制御すると共に当該第1の画像処理に関する表示データを生成する第1の制御手段とを備え、前記第1の画像処理とは異なる第2の画像処理を制御すると共に当該第2の画像処理に関する表示データを生成する第2の制御手段を接続可能な画像処理装置の制御方法であって、
前記表示部との接続相手を切替手段を用いて前記第1の制御手段と前記第2の制御手段との間で切り替える
ことを特徴とする画像処理装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−85528(P2006−85528A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−271004(P2004−271004)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】