画像処理装置
【課題】ScanToEmailの実行時におけるファイル名の入力を簡便化する。
【解決手段】複合装置1は、スキャナ部10において、文書情報が含まれたデジタル情報を表す地紋が埋め込まれた文書を読み取って画像データを生成し、地紋解析部25において、画像データから地紋を抽出し、地紋が表すデジタル情報を解析して文書情報を取得する。ファイル名設定部22において、文書情報に基づいて、画像データのファイル名を生成して設定し、ファイル名設定部22で設定されたファイル名と画像データとを揮発性メモリ21に記憶する。揮発性メモリ21に記憶された画像データを、電子メールジョブ制御部23で指定された宛先に送信する。このため、利用者が操作パネル11からファイル名を入力する必要がなくなり、利便性が向上する。
【解決手段】複合装置1は、スキャナ部10において、文書情報が含まれたデジタル情報を表す地紋が埋め込まれた文書を読み取って画像データを生成し、地紋解析部25において、画像データから地紋を抽出し、地紋が表すデジタル情報を解析して文書情報を取得する。ファイル名設定部22において、文書情報に基づいて、画像データのファイル名を生成して設定し、ファイル名設定部22で設定されたファイル名と画像データとを揮発性メモリ21に記憶する。揮発性メモリ21に記憶された画像データを、電子メールジョブ制御部23で指定された宛先に送信する。このため、利用者が操作パネル11からファイル名を入力する必要がなくなり、利便性が向上する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを処理する画像処理装置に係り、特に、読み取った画像に画像名を付与して送信する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像処理装置は、例えば、電子写真方式による多機能プリンタ(以下「複合機」いう。)等であって、原稿をスキャナで読み取り、読み取った画像データを電子メールに添付して指定された宛先に送信する機能(以下、「ScanToEmail」という。)を有している。このScanToEmailを実行する際には、スキャナで原稿を読み取った後に、利用者により、宛先や読み取った画像データの画像名等を入力している。
【0003】
下記の特許文献1には、画像処理装置において、メールサーバに送信した電子メールが正常に受信したことを示す正常受信コマンドを受信し、その後、メールサーバに送信した電子メールを無効にする無効要求コマンドをメールサーバに送信する。メールサーバは、無効要求コマンドを受信すると、メールボックスに記憶されている電子メールを削除する。このため、メールサーバに対して送信した電子メールの削除にメールサーバの管理者を介在させないようにし、この電子メールの削除に要する手間と時間とを解消するようにした画像処理装置の技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−135896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の画像処理装置では、ScanToEmailの実行の都度、利用者が画像名を入力しなければならないため、操作が煩雑であるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像処理装置は、文書情報が含まれたデジタル情報を表す地紋が埋め込まれた文書を読み取って、画像データを生成する読み取り部と、前記画像データから前記地紋を抽出し、前記地紋が表す前記デジタル情報を解析して前記文書の文書情報を取得する地紋解析部と、前記文書情報に基づいて、前記画像データの画像名を生成して設定する画像名設定部と、前記画像名設定部で設定された前記画像名と前記画像データとを記憶する記憶部とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の画像処理装置によれば、文書に埋め込まれた地紋から、地紋解析部によって文書名を抽出し、画像名設定部により、画像データの画像名を生成して設定するので、利用者が画像名を入力する必要がなくなり、利便性が向上するという効果が得られる。更に、画像名は、利用者が設定した文書名に基づいて生成するので、利用者にとって、画像名と画像データとの対応付けが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は本発明の実施例1における図2中のメイン制御部の概略を示す構成図である。
【図2】図2は本発明の実施例1の画像処理システムの概略を示す構成図である。
【図3】図3は図2中のスキャナ部の概略を示す構成図である。
【図4】図4は図3中の操作パネルを示す外観図である。
【図5】図5は図1中の地紋解析部が生成する出所情報テーブルを示す構成図である。
【図6】図6は図4中の操作パネルに表示されるScanToEmail実行画面を示す図である。
【図7】図7は図4中の操作パネルに表示される文書名選択画面を示す図である。
【図8】図8は本発明の実施例1における複合機の動作を示すフローチャートである。
【図9】図9は本発明の実施例2の複合機におけるメイン制御部の概略を示す構成図である。
【図10】図10は図9中の不揮発性メモリに格納された文書名記録テーブルを示す構成図である。
【図11】図11は本発明の実施例2における複合機の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0010】
(実施例1の構成)
図2は、本発明の実施例1の画像処理システムの概略を示す構成図である。
【0011】
本実施例1の画像処理システムは、画像処理装置(例えば、複合機)1と、この複合機1と電子メール通信を行うクライアントパーソナルコンピュータ(以下「クライアントPC」という。)2と、複合機1及びクライアントPC2とを接続するネットワーク3とを有している。
【0012】
複合機1は、フラットベッドや自動読み取り装置(以下「ADF」という。)にセットされた原稿上の文書を読み取る読み取り部(例えば、スキャナ部)10と、コピー、印刷、ScanToEmail等の各機能の制御を行うメイン制御部20とを有している。
【0013】
図3は、図2中のスキャナ部10の概略を示す構成図である。
スキャナ部10は、ScanToEmail等の各機能の実行開始指示、ScanToEmailの実行の際の各種メニューの表示、及び複合機1に対する機器設定等の各種設定を行う操作パネル11と、フラットベッドやADFにセットされた原稿上の文書を読み取って、画像データに変換するスキャナ制御部12と、操作パネル11に表示する画面データを生成し、操作パネル11による利用者の入力を受け付けて制御する操作パネル制御部13と、メイン制御部20に対してコマンドの送受信を行うインタフェース部14とを有している。更に、操作パネル制御部13は、複数の文書名中の1つを利用者に選択させる選択部13aを有している。
【0014】
スキャナ部10で読み取る文書には地紋が埋め込まれている。ここで地紋とは、デジタル情報を表す基本単位として約0.5mm角の範囲に600dpiの解像度で印刷した微細なドットパターンのことである。このドットパターンの集まりを文面に重ねて印刷することで、75バイトまでの任意のデジタル情報を紙文書に埋め込むことができる。この紙文書をスキャナで読み取った画像データに一定の処理を施すことで、埋め込んだデジタル情報を抽出することができる。こうすることで、紙文書を媒体としたデジタル情報の伝達を実現し、記載内容の改ざんの有無の検証等のセキュリティ機能や、人手で紙文書に追記したチェックマークの有無や記載有無の認識をする機能等を紙文書に導入することが可能になる。
【0015】
図1は、本発明の実施例1における図2中のメイン制御部20の概略を示す構成図である。
【0016】
メイン制御部20は、リードオンリメモリ(以下「RAM」という。)等の記憶部(例えば、揮発性メモリ)21と、画像データの画像名(例えば、ファイル名)を設定する画像名設定部(例えば、ファイル名設定部)22と、画像データをクライアントPC2に電子メールで送信する画像送信部(例えば、電子メールジョブ制御部)23と、画像データを揮発性メモリ21に保存するスキャンジョブ制御部24と、画像データから地紋を抽出し、地紋が表すデジタル情報を解析して文書の文書情報を取得する地紋解析部25と、スキャナ部10に対してコマンドの送受信を行うインタフェース部26とを有している。揮発性メモリ21は、地紋解析部25が生成する出所情報テーブル51を記憶している。
【0017】
図4は、図3中の操作パネル11を示す外観図である。
操作パネル11は、コピーを実行する際に表示する画面を呼び出すコピーキー31と、ファックス送信を実行する際に表示する画面を呼び出すファックスキー32と、ScanToEmailを実行する際に表示する画面を呼び出すスキャンキー33と、印刷状況を確認する際に表示する画面を呼び出すプリンタキー34とを有している。
【0018】
更に、操作パネル11は、タッチパネル付きの液晶表示部35を有している。液晶表示部35には、利用者に対する各種案内メッセージが表示されると共に、利用者が指等により操作することで各種入力ができるようになっている。
【0019】
操作パネル11は、メニュー等の設定を初期値に戻すリセットキー36と、数字入力用のテンキー37と、モノクロでスキャンする際に用いるモノクロスタートキー38と、カラーでスキャンする際に用いるカラースタートキー39と、ジョブをキャンセルする際に用いるストップキー40とを有している。
【0020】
図5は、図1中の地紋解析部25が生成する出所情報テーブル51を示す構成図である。
【0021】
本出所情報テーブル51は、地紋解析部25が画像データに埋め込まれた地紋を解析することで得ることができ、スキャナ部10で読み取った文書が印刷された印刷日時と、この文書を印刷した印刷者名と、この文書の文書名と、文書を印刷したときの印刷データを複合機1に送信した送信元のコンピュータ名とを有している。図5に示す例では、印刷日時が「2010/5/19 14:53:10」であり、印刷者名が「沖太郎」であり、文書名が「ファイルA.doc」であり、送信元のコンピュータ名が「pc1234」であることを示している。
【0022】
(実施例1の動作)
図6は、図4中の操作パネル11に表示されるScanToEmail実行画面52を示す図である。
【0023】
図4に示す操作パネル11のスキャンキー33を利用者が押下すると、図6に示すScanToEmail実行画面52が、操作パネル11の液晶表示部35に表示されるようになっている。
【0024】
ScanToEmail実行画面52の上部には、「メール送信宛先を指定してください」のメッセージが表示され、ScanToEmailの宛先入力を利用者に促している。画面の左サイドには、「応用機能」、「宛先指定」、「画質 文字/写真」、「濃度0」、「解像度200dpi」、及び「読み取りサイズ」の各ファンクションキーがグラフィック表示されている。画面の略中央は、画像データの送信先を入力する宛先指定部52aであり、2つの電子メールアドレス「foo@bar.com」と「aaa@bbb.com」とが表示されている。
【0025】
電子メールアドレスの入力は、次のように行われる。利用者が宛先指定部52aを指等でタッチすると、図示しないアルファニューメリックのキーボードが表示され、このキーボードを用いて、電子メールアドレスの入力が行われるように構成されている。
【0026】
図7は、図4中の操作パネル11に表示される文書名選択画面53を示す図である。
【0027】
文書名選択画面53の上部には、「文書名を選択 選択肢の中から一つを選択できます」のメッセージが表示され、利用者に文書名の選択を促している。画面の略中央は、文書名表示部53bであり、読み取った文書中から抽出した複数の文書名「ファイルA.doc」、「ファイルB.doc」、及び「ファイルC.doc」が表示されている。画面の右上付近には、決定ボタン53aがグラフィック表示されている。
【0028】
出所情報テーブル51に文書名が複数存在する場合に、操作パネル制御部13内の選択部13aは、操作パネル11の液晶表示部35に文書名選択画面53を表示するようになっている。利用者が画面上の選択肢の中から1つを選択して、決定ボタン53を押下することで、文書名が選択されるようになっている。
【0029】
図8は、本発明の実施例1における複合機1の動作を示すフローチャートである。
【0030】
図8は、実施例1の複合機1におけるScanToEmailの処理の動作を示している。
【0031】
ステップS1において、利用者がスキャナ部10のフラットベッド、或いはADFに地紋の印刷された原稿をセットする。続いて、図4に示すスキャンキー33を押下すると、スキャン機能を選択する図示しない画面が表示される。ここで複数のスキャン機能の中からEmailを選択すると、図6に示すScanToEmail実行画面52が表示される。
【0032】
利用者が画面左側の各メニューを選択すると、各メニューの設定画面が表示される。例えば、図6において、「宛先指定」押下して電子メールアドレスを入力する。その他、画像データ送信時の画質、濃度、解像度等を必要に応じて入力する。電子メールアドレスの設定は、例えば、図6の宛先指定部52aを指等でタッチすると、図示しないアルファニューメリックのキーボードが表示され、このキーボードを用いて、電子メールアドレスの入力が行われる。
【0033】
図6の例では、宛先指定部52aに2つの電子メールアドレスが設定されており、この2箇所に画像データを送信することを意味している。続いて、図4に示すモノクロスタートキー38、或いは、カラースタートキー39が押下されて、ScanToEmailが開始される。
【0034】
ステップS2において、操作パネル制御部13は、ScanToEmailが実行されたことをスキャナ部10のスキャナ制御部12と、メイン制御部20のスキャンジョブ制御部24、及び電子メールジョブ制御部23とに通知する。このとき送信先の電子メールアドレスが、電子メールジョブ制御部に通知される。スキャナ部10のスキャナ制御部12は、スキャナ部10のフラットベッド、或いはADFにセットされた原稿をスキャンし、画像データを生成する。
【0035】
ステップS3において、スキャナ制御部12は、生成した画像データを、インタフェース部14を介してメイン制御部20のスキャンジョブ制御部24に渡す。スキャンジョブ制御部24は、渡された画像データを地紋解析部25に渡す。地紋解析部25は、渡された画像データの地紋を解析し、出所情報テーブル51を作成して揮発性メモリ21に格納し、スキャンジョブ制御部24に渡す。スキャンジョブ制御部24は、出所情報テーブル51をファイル名設定部22に渡す。
【0036】
ステップS4において、ファイル名設定部22は、揮発性メモリ21に格納されている出所情報テーブル51を参照し、文書名が存在しない場合は(NO)、ステップS6へ進み、ステップS6において、文書名以外の出所情報から文書名を作成する。例えば、図5の印刷日時である2010/5/19 14:53:10と、文書を印刷した印刷者名である沖太郎と、印刷データを送信した宛先のコンピュータ名であるpc1234とを使用し、「20100519_145310沖太郎_pc1234」を文書名にしてステップS9へ進む。ここで、文書名が出所情報テーブル51に存在しないケースとは、例えば、利用者が文書作成時に文書名を設定しなかったケースをいう。
【0037】
ステップS4において、文書名が存在する場合は(YES)、ステップS5へ進み、ステップS5において、ファイル名設定部22は、文書名が複数存在するかどうか調べる。文書名が複数存在するケースとは、複数の文書がスキャナ部10において一度に読み取られた場合である。ステップS5において、文書名が1つだけ存在する場合は(NO)、ステップS9へ進む。ステップS5において、文書名が複数存在した場合には(YES)、ステップS7へ進む。
【0038】
ステップS7において、ファイル名設定部22は、文書名が複数存在することをスキャンジョブ制御部24に通知し、スキャンジョブ制御部24は、文書名が複数存在することをスキャナ部10の操作パネル制御部13に通知する。パネル制御部13中の選択部13aは、図7に示す文書名選択画面53を表示する。
【0039】
ステップS8において、利用者が図7に示す画面上の選択肢の中から例えば、「ファイルA.doc」を選択し、決定ボタン53aを押下すると、選択部13aは、利用者が選択した文書名をスキャンジョブ制御部24に渡し、スキャンジョブ制御部24は、渡された文書名をファイル名設定部22に渡してステップS9へ進む。
【0040】
ステップS9において、ファイル名設定部22は、文書名から画像データのファイル名を設定する。例えば、出所情報テーブル51にある文書名が「ファイルA.doc」であり、画像データがPDF(Portable Document Format)形式であれば、ファイル名は、「ファイルA.doc.pdf」となる。文書名が「20100519_145310沖太郎_pc1234」であり、画像データがPDF形式であれば、ファイル名は、「20100519_145310沖太郎_pc1234.pdf」となる。
【0041】
ステップS10において、ファイル名設定部22は、作成したファイル名をスキャンジョブ制御部24に渡す。スキャンジョブ制御部24は、渡されたファイル名を画像データのファイル名として設定し、画像データを揮発性メモリ21に格納する。
【0042】
ステップS11において、スキャンジョブ制御部24は、Email送信することをEmailジョブ制御部23に命令する。Emailジョブ制御部23は、揮発性メモリ21に格納された画像データを指定された宛先に送信する。
【0043】
(実施例1の効果)
本実施例1の複合機1によれば、文書に埋め込まれた地紋から、地紋解析部25によって文書名を抽出し、ファイル名設定部22により、画像データのファイル名を生成して設定するので、利用者が操作パネル11からファイル名を入力する必要がなくなり、利便性が向上するという効果が得られる。更に、ファイル名は、利用者が設定した文書名に基づいて生成するので、利用者にとって、ファイル名と画像データとの対応付けが容易となる。
【実施例2】
【0044】
(実施例2の構成)
図9は、本発明の実施例2の複合機1におけるメイン制御部20Aの概略を示す構成図であり、実施例1を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0045】
本発明の実施例2におけるメイン制御部20Aの構成は、実施例1とほぼ同様である。本実施例2と実施例1との相違点は、実施例1の構成に加え、不揮発性メモリ26及び文書名記録部27が追加され、更に、実施例1のファイル名設定部22が機能の異なるファイル名設定部22Aに置き換わっている点である。
【0046】
図10は、図9中の不揮発性メモリ26に格納された文書名記録テーブル54を示す構成図である。
【0047】
本文書名記録テーブル54は、複合機1の起動時に文書名記録部27によって、不揮発性メモリ26から読み出され、揮発性メモリ21に格納され、複合機1の終了時に文書名記録部27によって、不揮発性メモリ26に格納されるようになっている。本文書名記録テーブル54には、画像データをクライアントPC2等の外部の装置に送信したきの送信済み文書名54aと、送信済み宛先54bとが関連付けられて記録されている。
【0048】
図10の例では、文書名54aがファイルA.docである画像データが宛先foo@bar.comに送信されたことを示している。同様に、文書名54aがファイルB.docである画像データが宛先aaa@bbb.comに、文書名がファイルC.docである画像データが宛先123@sample.comに送信されたことを示している。
【0049】
(実施例2の動作)
図11は、本発明の実施例2における複合機1の動作を示すフローチャートである。
【0050】
図11は、実施例2の複合機1におけるScanToEmailの処理の動作を示している。実施例2の複合機1の動作は、実施例1とほぼ同様である。実施例1との相違点は、新たに、ステップS21,S22,S23が追加された点である。
【0051】
実施例1と同様のステップS1〜S8が実行され、これから送信しようとする画像データの送信予定文書名、例えば、「20100519_145310沖太郎_pc1234」がステップS6で作成され、又は「ファイルA.doc」がステップS8で選択される。
【0052】
新たに追加されたステップS21において、ファイル名設定部22Aは、これから送信しようとする送信予定文書名が、指定された宛先に対して過去に送信されたことがあるか否かを文書名記録部27に依頼して判定する。依頼を受けた文書名記録部27は、文書名記録テーブル54をサーチして、送信予定文書名が、文書名記録部27で記録された複数の送信済み文書名54aの1つと一致し、且つ、指定された宛先が、当該送信済み文書名54aと関連付けて記録された送信済み宛先54bと一致するか否かを確認して、結果をファイル名設定部22Aに通知する。
【0053】
送信予定文書名が、文書名記録部27で記録された複数の送信済み文書名54aの1つと一致し、且つ、指定された宛先が、当該送信済み文書名54aと関連付けて記録された送信済み宛先54bと一致したときには、新たに追加されたステップS22へ進む。一致しないときには、実施例1と同様のステップS9へ進む。
【0054】
新たに追加されたステップS22において、ファイル名記録部27は、送信予定文書名にスキャン時刻を付加する。例えば、送信予定文書名が「ファイルA.doc」の場合、スキャン時刻が2010年5月24 日11時10分15秒だとすると、送信予定文書名である「ファイルA.doc」に「20100524_111015」を付加して、「ファイルA.doc.20100524_111015」を新たな文書名にして、ステップS9へ進む。
【0055】
実施例1と同様のステップS9〜S11において、送信予定文書名から画像データのファイル名、例えば、「ファイルA.doc.pdf」又は「ファイルA.doc.20100524_111015.pdf」が生成され、揮発性メモリ21に設定される。Emailジョブ制御部23は、スキャンジョブ制御部24から画像データを電子メールによって送信するよう命令される。Emailジョブ制御部23によって、指定された宛先に画像データが送信される。
【0056】
新たに追加されたステップS23において、送信済みの画像データの送信済み文書名54aと送信済み宛先54bとが文書名記録部27によって、文書名記録テーブル54に記録され、不揮発性メモリ26に保存される。
【0057】
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、実施例1の効果に加え、同じ宛先に対して同じ文書名で送信した場合には、先に送信した文書が後で送信した文書によって書き換えられてしまうが、文書名にスキャン時刻を付加してファイル名を設定するので、同一の宛先についてファイル名が重複することなく送信することができるという効果がある。
【0058】
(変形例)
本発明は、上記実施例に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)〜(d)のようなものがある。
【0059】
(a) 実施例1、2では、画像処理装置として複合機1を例に説明したが、コピー機、プリンタ、ファクシミリ装置等にも適用可能である。
【0060】
(b) 実施例1、2では、スキャン機能としてScanToEmailを例に説明したが、スキャンした画像データをUSB(Universal Serial Bus)メモリに送信するScanToUSBMemory、スキャンした画像データを指定したネットワーク上のPCに送信するScanToNetworkPC等の機能にも適用可能である。
【0061】
(c) 実施例1、2では、画像データの保存形式にPDFを適用して説明したが、TIFF(Tagged Image File Format)、JPEG(Joint Photographic expert Group)等の形式にも適用可能である。
【0062】
(d) 実施例2では、ファイル名の付加情報としてスキャナで原稿をスキャンした時刻を例に説明したが、画像データを送信した時刻、順序付けした番号等を付加情報に用いてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 複合装置
10 スキャナ部
11 操作パネル
13 操作パネル制御部
13a 選択部
20 メイン制御部
21 揮発性メモリ
22 ファイル設定部
23 電子メールジョブ制御部
24 スキャンジョブ制御部
25 地紋解析部
51 出所情報テーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを処理する画像処理装置に係り、特に、読み取った画像に画像名を付与して送信する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像処理装置は、例えば、電子写真方式による多機能プリンタ(以下「複合機」いう。)等であって、原稿をスキャナで読み取り、読み取った画像データを電子メールに添付して指定された宛先に送信する機能(以下、「ScanToEmail」という。)を有している。このScanToEmailを実行する際には、スキャナで原稿を読み取った後に、利用者により、宛先や読み取った画像データの画像名等を入力している。
【0003】
下記の特許文献1には、画像処理装置において、メールサーバに送信した電子メールが正常に受信したことを示す正常受信コマンドを受信し、その後、メールサーバに送信した電子メールを無効にする無効要求コマンドをメールサーバに送信する。メールサーバは、無効要求コマンドを受信すると、メールボックスに記憶されている電子メールを削除する。このため、メールサーバに対して送信した電子メールの削除にメールサーバの管理者を介在させないようにし、この電子メールの削除に要する手間と時間とを解消するようにした画像処理装置の技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−135896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の画像処理装置では、ScanToEmailの実行の都度、利用者が画像名を入力しなければならないため、操作が煩雑であるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像処理装置は、文書情報が含まれたデジタル情報を表す地紋が埋め込まれた文書を読み取って、画像データを生成する読み取り部と、前記画像データから前記地紋を抽出し、前記地紋が表す前記デジタル情報を解析して前記文書の文書情報を取得する地紋解析部と、前記文書情報に基づいて、前記画像データの画像名を生成して設定する画像名設定部と、前記画像名設定部で設定された前記画像名と前記画像データとを記憶する記憶部とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の画像処理装置によれば、文書に埋め込まれた地紋から、地紋解析部によって文書名を抽出し、画像名設定部により、画像データの画像名を生成して設定するので、利用者が画像名を入力する必要がなくなり、利便性が向上するという効果が得られる。更に、画像名は、利用者が設定した文書名に基づいて生成するので、利用者にとって、画像名と画像データとの対応付けが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は本発明の実施例1における図2中のメイン制御部の概略を示す構成図である。
【図2】図2は本発明の実施例1の画像処理システムの概略を示す構成図である。
【図3】図3は図2中のスキャナ部の概略を示す構成図である。
【図4】図4は図3中の操作パネルを示す外観図である。
【図5】図5は図1中の地紋解析部が生成する出所情報テーブルを示す構成図である。
【図6】図6は図4中の操作パネルに表示されるScanToEmail実行画面を示す図である。
【図7】図7は図4中の操作パネルに表示される文書名選択画面を示す図である。
【図8】図8は本発明の実施例1における複合機の動作を示すフローチャートである。
【図9】図9は本発明の実施例2の複合機におけるメイン制御部の概略を示す構成図である。
【図10】図10は図9中の不揮発性メモリに格納された文書名記録テーブルを示す構成図である。
【図11】図11は本発明の実施例2における複合機の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0010】
(実施例1の構成)
図2は、本発明の実施例1の画像処理システムの概略を示す構成図である。
【0011】
本実施例1の画像処理システムは、画像処理装置(例えば、複合機)1と、この複合機1と電子メール通信を行うクライアントパーソナルコンピュータ(以下「クライアントPC」という。)2と、複合機1及びクライアントPC2とを接続するネットワーク3とを有している。
【0012】
複合機1は、フラットベッドや自動読み取り装置(以下「ADF」という。)にセットされた原稿上の文書を読み取る読み取り部(例えば、スキャナ部)10と、コピー、印刷、ScanToEmail等の各機能の制御を行うメイン制御部20とを有している。
【0013】
図3は、図2中のスキャナ部10の概略を示す構成図である。
スキャナ部10は、ScanToEmail等の各機能の実行開始指示、ScanToEmailの実行の際の各種メニューの表示、及び複合機1に対する機器設定等の各種設定を行う操作パネル11と、フラットベッドやADFにセットされた原稿上の文書を読み取って、画像データに変換するスキャナ制御部12と、操作パネル11に表示する画面データを生成し、操作パネル11による利用者の入力を受け付けて制御する操作パネル制御部13と、メイン制御部20に対してコマンドの送受信を行うインタフェース部14とを有している。更に、操作パネル制御部13は、複数の文書名中の1つを利用者に選択させる選択部13aを有している。
【0014】
スキャナ部10で読み取る文書には地紋が埋め込まれている。ここで地紋とは、デジタル情報を表す基本単位として約0.5mm角の範囲に600dpiの解像度で印刷した微細なドットパターンのことである。このドットパターンの集まりを文面に重ねて印刷することで、75バイトまでの任意のデジタル情報を紙文書に埋め込むことができる。この紙文書をスキャナで読み取った画像データに一定の処理を施すことで、埋め込んだデジタル情報を抽出することができる。こうすることで、紙文書を媒体としたデジタル情報の伝達を実現し、記載内容の改ざんの有無の検証等のセキュリティ機能や、人手で紙文書に追記したチェックマークの有無や記載有無の認識をする機能等を紙文書に導入することが可能になる。
【0015】
図1は、本発明の実施例1における図2中のメイン制御部20の概略を示す構成図である。
【0016】
メイン制御部20は、リードオンリメモリ(以下「RAM」という。)等の記憶部(例えば、揮発性メモリ)21と、画像データの画像名(例えば、ファイル名)を設定する画像名設定部(例えば、ファイル名設定部)22と、画像データをクライアントPC2に電子メールで送信する画像送信部(例えば、電子メールジョブ制御部)23と、画像データを揮発性メモリ21に保存するスキャンジョブ制御部24と、画像データから地紋を抽出し、地紋が表すデジタル情報を解析して文書の文書情報を取得する地紋解析部25と、スキャナ部10に対してコマンドの送受信を行うインタフェース部26とを有している。揮発性メモリ21は、地紋解析部25が生成する出所情報テーブル51を記憶している。
【0017】
図4は、図3中の操作パネル11を示す外観図である。
操作パネル11は、コピーを実行する際に表示する画面を呼び出すコピーキー31と、ファックス送信を実行する際に表示する画面を呼び出すファックスキー32と、ScanToEmailを実行する際に表示する画面を呼び出すスキャンキー33と、印刷状況を確認する際に表示する画面を呼び出すプリンタキー34とを有している。
【0018】
更に、操作パネル11は、タッチパネル付きの液晶表示部35を有している。液晶表示部35には、利用者に対する各種案内メッセージが表示されると共に、利用者が指等により操作することで各種入力ができるようになっている。
【0019】
操作パネル11は、メニュー等の設定を初期値に戻すリセットキー36と、数字入力用のテンキー37と、モノクロでスキャンする際に用いるモノクロスタートキー38と、カラーでスキャンする際に用いるカラースタートキー39と、ジョブをキャンセルする際に用いるストップキー40とを有している。
【0020】
図5は、図1中の地紋解析部25が生成する出所情報テーブル51を示す構成図である。
【0021】
本出所情報テーブル51は、地紋解析部25が画像データに埋め込まれた地紋を解析することで得ることができ、スキャナ部10で読み取った文書が印刷された印刷日時と、この文書を印刷した印刷者名と、この文書の文書名と、文書を印刷したときの印刷データを複合機1に送信した送信元のコンピュータ名とを有している。図5に示す例では、印刷日時が「2010/5/19 14:53:10」であり、印刷者名が「沖太郎」であり、文書名が「ファイルA.doc」であり、送信元のコンピュータ名が「pc1234」であることを示している。
【0022】
(実施例1の動作)
図6は、図4中の操作パネル11に表示されるScanToEmail実行画面52を示す図である。
【0023】
図4に示す操作パネル11のスキャンキー33を利用者が押下すると、図6に示すScanToEmail実行画面52が、操作パネル11の液晶表示部35に表示されるようになっている。
【0024】
ScanToEmail実行画面52の上部には、「メール送信宛先を指定してください」のメッセージが表示され、ScanToEmailの宛先入力を利用者に促している。画面の左サイドには、「応用機能」、「宛先指定」、「画質 文字/写真」、「濃度0」、「解像度200dpi」、及び「読み取りサイズ」の各ファンクションキーがグラフィック表示されている。画面の略中央は、画像データの送信先を入力する宛先指定部52aであり、2つの電子メールアドレス「foo@bar.com」と「aaa@bbb.com」とが表示されている。
【0025】
電子メールアドレスの入力は、次のように行われる。利用者が宛先指定部52aを指等でタッチすると、図示しないアルファニューメリックのキーボードが表示され、このキーボードを用いて、電子メールアドレスの入力が行われるように構成されている。
【0026】
図7は、図4中の操作パネル11に表示される文書名選択画面53を示す図である。
【0027】
文書名選択画面53の上部には、「文書名を選択 選択肢の中から一つを選択できます」のメッセージが表示され、利用者に文書名の選択を促している。画面の略中央は、文書名表示部53bであり、読み取った文書中から抽出した複数の文書名「ファイルA.doc」、「ファイルB.doc」、及び「ファイルC.doc」が表示されている。画面の右上付近には、決定ボタン53aがグラフィック表示されている。
【0028】
出所情報テーブル51に文書名が複数存在する場合に、操作パネル制御部13内の選択部13aは、操作パネル11の液晶表示部35に文書名選択画面53を表示するようになっている。利用者が画面上の選択肢の中から1つを選択して、決定ボタン53を押下することで、文書名が選択されるようになっている。
【0029】
図8は、本発明の実施例1における複合機1の動作を示すフローチャートである。
【0030】
図8は、実施例1の複合機1におけるScanToEmailの処理の動作を示している。
【0031】
ステップS1において、利用者がスキャナ部10のフラットベッド、或いはADFに地紋の印刷された原稿をセットする。続いて、図4に示すスキャンキー33を押下すると、スキャン機能を選択する図示しない画面が表示される。ここで複数のスキャン機能の中からEmailを選択すると、図6に示すScanToEmail実行画面52が表示される。
【0032】
利用者が画面左側の各メニューを選択すると、各メニューの設定画面が表示される。例えば、図6において、「宛先指定」押下して電子メールアドレスを入力する。その他、画像データ送信時の画質、濃度、解像度等を必要に応じて入力する。電子メールアドレスの設定は、例えば、図6の宛先指定部52aを指等でタッチすると、図示しないアルファニューメリックのキーボードが表示され、このキーボードを用いて、電子メールアドレスの入力が行われる。
【0033】
図6の例では、宛先指定部52aに2つの電子メールアドレスが設定されており、この2箇所に画像データを送信することを意味している。続いて、図4に示すモノクロスタートキー38、或いは、カラースタートキー39が押下されて、ScanToEmailが開始される。
【0034】
ステップS2において、操作パネル制御部13は、ScanToEmailが実行されたことをスキャナ部10のスキャナ制御部12と、メイン制御部20のスキャンジョブ制御部24、及び電子メールジョブ制御部23とに通知する。このとき送信先の電子メールアドレスが、電子メールジョブ制御部に通知される。スキャナ部10のスキャナ制御部12は、スキャナ部10のフラットベッド、或いはADFにセットされた原稿をスキャンし、画像データを生成する。
【0035】
ステップS3において、スキャナ制御部12は、生成した画像データを、インタフェース部14を介してメイン制御部20のスキャンジョブ制御部24に渡す。スキャンジョブ制御部24は、渡された画像データを地紋解析部25に渡す。地紋解析部25は、渡された画像データの地紋を解析し、出所情報テーブル51を作成して揮発性メモリ21に格納し、スキャンジョブ制御部24に渡す。スキャンジョブ制御部24は、出所情報テーブル51をファイル名設定部22に渡す。
【0036】
ステップS4において、ファイル名設定部22は、揮発性メモリ21に格納されている出所情報テーブル51を参照し、文書名が存在しない場合は(NO)、ステップS6へ進み、ステップS6において、文書名以外の出所情報から文書名を作成する。例えば、図5の印刷日時である2010/5/19 14:53:10と、文書を印刷した印刷者名である沖太郎と、印刷データを送信した宛先のコンピュータ名であるpc1234とを使用し、「20100519_145310沖太郎_pc1234」を文書名にしてステップS9へ進む。ここで、文書名が出所情報テーブル51に存在しないケースとは、例えば、利用者が文書作成時に文書名を設定しなかったケースをいう。
【0037】
ステップS4において、文書名が存在する場合は(YES)、ステップS5へ進み、ステップS5において、ファイル名設定部22は、文書名が複数存在するかどうか調べる。文書名が複数存在するケースとは、複数の文書がスキャナ部10において一度に読み取られた場合である。ステップS5において、文書名が1つだけ存在する場合は(NO)、ステップS9へ進む。ステップS5において、文書名が複数存在した場合には(YES)、ステップS7へ進む。
【0038】
ステップS7において、ファイル名設定部22は、文書名が複数存在することをスキャンジョブ制御部24に通知し、スキャンジョブ制御部24は、文書名が複数存在することをスキャナ部10の操作パネル制御部13に通知する。パネル制御部13中の選択部13aは、図7に示す文書名選択画面53を表示する。
【0039】
ステップS8において、利用者が図7に示す画面上の選択肢の中から例えば、「ファイルA.doc」を選択し、決定ボタン53aを押下すると、選択部13aは、利用者が選択した文書名をスキャンジョブ制御部24に渡し、スキャンジョブ制御部24は、渡された文書名をファイル名設定部22に渡してステップS9へ進む。
【0040】
ステップS9において、ファイル名設定部22は、文書名から画像データのファイル名を設定する。例えば、出所情報テーブル51にある文書名が「ファイルA.doc」であり、画像データがPDF(Portable Document Format)形式であれば、ファイル名は、「ファイルA.doc.pdf」となる。文書名が「20100519_145310沖太郎_pc1234」であり、画像データがPDF形式であれば、ファイル名は、「20100519_145310沖太郎_pc1234.pdf」となる。
【0041】
ステップS10において、ファイル名設定部22は、作成したファイル名をスキャンジョブ制御部24に渡す。スキャンジョブ制御部24は、渡されたファイル名を画像データのファイル名として設定し、画像データを揮発性メモリ21に格納する。
【0042】
ステップS11において、スキャンジョブ制御部24は、Email送信することをEmailジョブ制御部23に命令する。Emailジョブ制御部23は、揮発性メモリ21に格納された画像データを指定された宛先に送信する。
【0043】
(実施例1の効果)
本実施例1の複合機1によれば、文書に埋め込まれた地紋から、地紋解析部25によって文書名を抽出し、ファイル名設定部22により、画像データのファイル名を生成して設定するので、利用者が操作パネル11からファイル名を入力する必要がなくなり、利便性が向上するという効果が得られる。更に、ファイル名は、利用者が設定した文書名に基づいて生成するので、利用者にとって、ファイル名と画像データとの対応付けが容易となる。
【実施例2】
【0044】
(実施例2の構成)
図9は、本発明の実施例2の複合機1におけるメイン制御部20Aの概略を示す構成図であり、実施例1を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0045】
本発明の実施例2におけるメイン制御部20Aの構成は、実施例1とほぼ同様である。本実施例2と実施例1との相違点は、実施例1の構成に加え、不揮発性メモリ26及び文書名記録部27が追加され、更に、実施例1のファイル名設定部22が機能の異なるファイル名設定部22Aに置き換わっている点である。
【0046】
図10は、図9中の不揮発性メモリ26に格納された文書名記録テーブル54を示す構成図である。
【0047】
本文書名記録テーブル54は、複合機1の起動時に文書名記録部27によって、不揮発性メモリ26から読み出され、揮発性メモリ21に格納され、複合機1の終了時に文書名記録部27によって、不揮発性メモリ26に格納されるようになっている。本文書名記録テーブル54には、画像データをクライアントPC2等の外部の装置に送信したきの送信済み文書名54aと、送信済み宛先54bとが関連付けられて記録されている。
【0048】
図10の例では、文書名54aがファイルA.docである画像データが宛先foo@bar.comに送信されたことを示している。同様に、文書名54aがファイルB.docである画像データが宛先aaa@bbb.comに、文書名がファイルC.docである画像データが宛先123@sample.comに送信されたことを示している。
【0049】
(実施例2の動作)
図11は、本発明の実施例2における複合機1の動作を示すフローチャートである。
【0050】
図11は、実施例2の複合機1におけるScanToEmailの処理の動作を示している。実施例2の複合機1の動作は、実施例1とほぼ同様である。実施例1との相違点は、新たに、ステップS21,S22,S23が追加された点である。
【0051】
実施例1と同様のステップS1〜S8が実行され、これから送信しようとする画像データの送信予定文書名、例えば、「20100519_145310沖太郎_pc1234」がステップS6で作成され、又は「ファイルA.doc」がステップS8で選択される。
【0052】
新たに追加されたステップS21において、ファイル名設定部22Aは、これから送信しようとする送信予定文書名が、指定された宛先に対して過去に送信されたことがあるか否かを文書名記録部27に依頼して判定する。依頼を受けた文書名記録部27は、文書名記録テーブル54をサーチして、送信予定文書名が、文書名記録部27で記録された複数の送信済み文書名54aの1つと一致し、且つ、指定された宛先が、当該送信済み文書名54aと関連付けて記録された送信済み宛先54bと一致するか否かを確認して、結果をファイル名設定部22Aに通知する。
【0053】
送信予定文書名が、文書名記録部27で記録された複数の送信済み文書名54aの1つと一致し、且つ、指定された宛先が、当該送信済み文書名54aと関連付けて記録された送信済み宛先54bと一致したときには、新たに追加されたステップS22へ進む。一致しないときには、実施例1と同様のステップS9へ進む。
【0054】
新たに追加されたステップS22において、ファイル名記録部27は、送信予定文書名にスキャン時刻を付加する。例えば、送信予定文書名が「ファイルA.doc」の場合、スキャン時刻が2010年5月24 日11時10分15秒だとすると、送信予定文書名である「ファイルA.doc」に「20100524_111015」を付加して、「ファイルA.doc.20100524_111015」を新たな文書名にして、ステップS9へ進む。
【0055】
実施例1と同様のステップS9〜S11において、送信予定文書名から画像データのファイル名、例えば、「ファイルA.doc.pdf」又は「ファイルA.doc.20100524_111015.pdf」が生成され、揮発性メモリ21に設定される。Emailジョブ制御部23は、スキャンジョブ制御部24から画像データを電子メールによって送信するよう命令される。Emailジョブ制御部23によって、指定された宛先に画像データが送信される。
【0056】
新たに追加されたステップS23において、送信済みの画像データの送信済み文書名54aと送信済み宛先54bとが文書名記録部27によって、文書名記録テーブル54に記録され、不揮発性メモリ26に保存される。
【0057】
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、実施例1の効果に加え、同じ宛先に対して同じ文書名で送信した場合には、先に送信した文書が後で送信した文書によって書き換えられてしまうが、文書名にスキャン時刻を付加してファイル名を設定するので、同一の宛先についてファイル名が重複することなく送信することができるという効果がある。
【0058】
(変形例)
本発明は、上記実施例に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)〜(d)のようなものがある。
【0059】
(a) 実施例1、2では、画像処理装置として複合機1を例に説明したが、コピー機、プリンタ、ファクシミリ装置等にも適用可能である。
【0060】
(b) 実施例1、2では、スキャン機能としてScanToEmailを例に説明したが、スキャンした画像データをUSB(Universal Serial Bus)メモリに送信するScanToUSBMemory、スキャンした画像データを指定したネットワーク上のPCに送信するScanToNetworkPC等の機能にも適用可能である。
【0061】
(c) 実施例1、2では、画像データの保存形式にPDFを適用して説明したが、TIFF(Tagged Image File Format)、JPEG(Joint Photographic expert Group)等の形式にも適用可能である。
【0062】
(d) 実施例2では、ファイル名の付加情報としてスキャナで原稿をスキャンした時刻を例に説明したが、画像データを送信した時刻、順序付けした番号等を付加情報に用いてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 複合装置
10 スキャナ部
11 操作パネル
13 操作パネル制御部
13a 選択部
20 メイン制御部
21 揮発性メモリ
22 ファイル設定部
23 電子メールジョブ制御部
24 スキャンジョブ制御部
25 地紋解析部
51 出所情報テーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書情報が含まれたデジタル情報を表す地紋が埋め込まれた文書を読み取って、画像データを生成する読み取り部と、
前記画像データから前記地紋を抽出し、前記地紋が表す前記デジタル情報を解析して前記文書の文書情報を取得する地紋解析部と、
前記文書情報に基づいて、前記画像データの画像名を生成して設定する画像名設定部と、
前記画像名設定部で設定された前記画像名と前記画像データとを記憶する記憶部と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像処理装置は、更に、
前記記憶部に記憶された前記画像データを指定された宛先に送信する画像送信部を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
前記画像名設定部は、
前記文書情報に含まれる文書名から前記画像名を生成して設定することを特徴とする実施例1又は2記載の画像処理装置。
【請求項4】
請求項1又は2記載の画像処理装置は、更に、
前記地紋解析部が前記文書情報に含まれる文書名を複数取得したときには、取得した前記文書名中の1つを利用者に選択させる選択部を備え、
前記画像名設定部は、
前記選択部により選択された前記文書名から前記画像名を生成して設定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
前記画像名設定部は、
前記文書情報に文書名が含まれていないときには、前記文書情報に含まれている他の情報から前記画像データの前記文書名を作成し、前記文書名から前記画像名を生成して設定することを特徴とする実施例1又は2記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像処理装置は、更に、
前記画像送信部で送信した1つ又は複数の送信済みの前記画像データにおける送信済み文書名と送信済み宛先とを関連付けて記録する文書名記録部を備え、
前記画像名設定部は、
前記文書情報に基づいて、送信予定の前記画像データの送信予定文書名を生成し、前記送信予定文書名が、前記文書名記録部で記録された前記送信済み文書名と一致し、且つ、前記指定された宛先が、前記送信済み文書名と関連付けて記録された前記送信済み宛先と一致したときには、生成した前記送信予定文書名に所定の付加情報を付加して新たな前記文書名とし、前記文書名から前記画像名を生成して設定することを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記読み取り部は、
光学的に原稿を読み取るスキャナ部であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項1】
文書情報が含まれたデジタル情報を表す地紋が埋め込まれた文書を読み取って、画像データを生成する読み取り部と、
前記画像データから前記地紋を抽出し、前記地紋が表す前記デジタル情報を解析して前記文書の文書情報を取得する地紋解析部と、
前記文書情報に基づいて、前記画像データの画像名を生成して設定する画像名設定部と、
前記画像名設定部で設定された前記画像名と前記画像データとを記憶する記憶部と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像処理装置は、更に、
前記記憶部に記憶された前記画像データを指定された宛先に送信する画像送信部を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
前記画像名設定部は、
前記文書情報に含まれる文書名から前記画像名を生成して設定することを特徴とする実施例1又は2記載の画像処理装置。
【請求項4】
請求項1又は2記載の画像処理装置は、更に、
前記地紋解析部が前記文書情報に含まれる文書名を複数取得したときには、取得した前記文書名中の1つを利用者に選択させる選択部を備え、
前記画像名設定部は、
前記選択部により選択された前記文書名から前記画像名を生成して設定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
前記画像名設定部は、
前記文書情報に文書名が含まれていないときには、前記文書情報に含まれている他の情報から前記画像データの前記文書名を作成し、前記文書名から前記画像名を生成して設定することを特徴とする実施例1又は2記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像処理装置は、更に、
前記画像送信部で送信した1つ又は複数の送信済みの前記画像データにおける送信済み文書名と送信済み宛先とを関連付けて記録する文書名記録部を備え、
前記画像名設定部は、
前記文書情報に基づいて、送信予定の前記画像データの送信予定文書名を生成し、前記送信予定文書名が、前記文書名記録部で記録された前記送信済み文書名と一致し、且つ、前記指定された宛先が、前記送信済み文書名と関連付けて記録された前記送信済み宛先と一致したときには、生成した前記送信予定文書名に所定の付加情報を付加して新たな前記文書名とし、前記文書名から前記画像名を生成して設定することを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記読み取り部は、
光学的に原稿を読み取るスキャナ部であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−213021(P2012−213021A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77395(P2011−77395)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
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