説明

画像処理装置

【課題】画像データに色変換プロファイルを関連付ける場合に、画像データの再現性の低下を抑制しつつ、色変換プロファイルのデータサイズを小さくする。
【解決手段】画像処理装置は、画像データに応じて、第1色空間内の複数個の格子点に対応する第2色空間内の複数組の値を有する基準色変換プロファイルを補正して、補正色変換プロファイルを生成する。補正色変換プロファイルを特定の方法で圧縮して圧縮済補正色変換プロファイルを生成する。画像データと第1圧縮済色変換プロファイルとを関連付けて格納部に格納する。画像データ内で使用されていない色に関する2個以上の格子点に対応する2組以上の値を、圧縮済補正色変換プロファイルのデータサイズが、基準色変換プロファイルを特定の方法で圧縮した場合に生成される圧縮済の基準色変換プロファイルのデータサイズよりも小さくなるように変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データと色変換プロファイルとを関連付ける処理に関する。
【背景技術】
【0002】
写真や文字などを表す画像データを他の装置(例えば、プリンタ、ディスプレイ)で適切に再現するために、画像データと、色変換プロファイル(例えば、ICCプロファイル)とを関連付ける技術が知られている(例えば、PDF/A)。この色変換プロファイルには、画像データを生成した装置(例えば、スキャナ、デジタルカメラなど)に依存する色空間(機器依存色空間)の表色値を、他の色空間(例えば、機器非依存色空間)の表色値に変換するために、機器依存色空間における表色値と、他の色空間における表色値との対応関係が記述される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−124242号公報
【特許文献2】特開2008−312117号公報
【特許文献3】特開2006−94162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画像データを、他の画像処理装置で精度良く再現しようとすると、画像データに関連付けられる色変換プロファイルのデータサイズが大きくなってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、画像データに色変換プロファイルを関連付ける場合に、画像データの再現性の低下を抑制しつつ、色変換プロファイルのデータサイズを小さくする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例]
画像データに応じて、第1色空間内の複数個の格子点に対応する第2色空間内の複数組の値を有する基準色変換プロファイルを補正して、補正色変換プロファイルを生成するプロファイル生成部と、
前記補正色変換プロファイルを特定の方法で圧縮して圧縮済補正色変換プロファイルを生成する圧縮部と、
前記画像データと前記第1圧縮済色変換プロファイルとを関連付けて格納部に格納する格納処理部と
を備え、
前記プロファイル生成部は、前記第1色空間内の前記複数個の格子点のうちの2個以上の格子点であって、前記画像データ内で使用されていない色に関する前記2個以上の格子点に対応する2組以上の値を、前記圧縮済補正色変換プロファイルのデータサイズが、前記基準色変換プロファイルを前記特定の方法で圧縮した場合に生成される圧縮済の基準色変換プロファイルのデータサイズよりも小さくなるように変更する、画像処理装置。
【0008】
上記構成によれば、補正色変換プロファイルを生成する場合において、第1色空間内の複数個の格子点のうち、画像データ内で使用されていない色に関する2個以上の格子点にそれぞれ対応する2組以上の値を、圧縮済補正色変換プロファイルのデータサイズが、圧縮済の基準色変換プロファイルのデータサイズよりも小さくなるように変更する。このようにすれば、画像データに関連付けられる色変換プロファイル(圧縮済補正色変換プロファイル)において、画像データの再現性の低下を抑制しつつ、この色変換プロファイルのデータサイズを小さくすることができる。
【0009】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、画像処理装置の他、例えば、画像データ生成装置や、画像処理システムなどの装置形態で実現することができる。また、画像処理方法など種々の方法形態で実現することができる。さらに、画像処理方法を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施例における画像処理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】ICCプロファイルについて説明する図である。
【図3】スキャナRGB色空間SCPにおいて規定される各格子点の順序を説明するための図である。
【図4】PDF/Aファイル生成処理およびプロファイル補正処理の処理ステップを示すフローチャートである。
【図5】原稿の一例を説明するための図である。
【図6】分類領域について説明する図である。
【図7】色変換テーブルIHTと使用判定フラグとの関係を説明するための図である。
【図8】計算機300が行う分割処理、編集処理、および、再保存処理を説明するための図である。
【図9】計算機300が行う処理の処理ステップを示すフローチャートである。
【図10】第2実施例における格子点REVxについて説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
A.第1実施例:
A−1.画像処理システムの構成:
図1は、本発明の第1実施例における画像処理システムの構成を示すブロック図である。画像処理システム1000は、複合機(周辺機器)200と、パーソナルコンピュータ(計算機とも呼ぶ)300と、サーバ350とを備えている。複合機200と計算機300とは、LAN(Local Area Network)500を介して通信可能に接続されている。複合機200とサーバ350とは、インターネット700を介して通信可能に接続されている。
【0012】
複合機200は、CPU210と、内部記憶装置(例えば、ROM、RAM)や外部記憶装置(例えば、ハードディスクドライブ)などの記憶装置240と、ネットワークに接続するためのインタフェースを含む通信部250と、操作パネルや各種のボタンを含む操作部260と、インクジェット式のプリンタ部270と、フラットベッド式のスキャナ部280と、を備えている。
【0013】
スキャナ部280は、原稿を載置するためのプラテンガラス20と、CIS(Contact Image Sensor)方式のイメージセンサ10とを備えている。イメージセンサ10は、CMOSなどの複数の光電変換素子11と、レンズ12と、赤緑青の各色の発光ダイオード(LED)を含む光源13とを備えている。複数の光電変換素子11は、主走査方向に一列に並んで配置されている。主走査方向は、副走査方向(図1)と垂直な方向であって、プラテンガラス20の原稿が載置される面と平行な方向(図1における手前から奥に向かう方向)である。
【0014】
イメージセンサ10は、図示しないステップモータの動力によって、副走査方向(図1)に沿った往復移動(副走査)を行うように構成されている。イメージセンサ10は、原稿の一端から他端に向かって副走査を行いつつ、光源13を点灯させ、原稿からの反射光の強度を、光電変換素子11を用いて電気信号として出力する。このとき、光源13では、赤色、緑色、青色のLEDが順次に点灯制御される。これら3色のLEDの1回ずつの点灯で、主走査方向に沿った1ライン分の画素のスキャナRGB値に相当する電気信号が出力される。スキャナ部280は、イメージセンサ10が出力する電気信号に基づいて、画素データがスキャナRGB値で表された画像データを生成する。生成される画像データをスキャンデータとも呼ぶ。ここで、スキャナRGB値は、光源13のLEDや光電変換素子11の特性などスキャナ部280固有の特性に依存するRGB色空間(以下では、スキャナRGB色空間とも呼ぶ)における表色値である。
【0015】
記憶装置240は、プロファイル格納部242と、PDF/Aファイル格納部244と、を備える。プロファイル格納部242には、ICCプロファイルが格納される。ICCプロファイルを以下では、単にプロファイルとも呼ぶ。プロファイル格納部242に格納されるICCプロファイルは、後述するプロファイル補正処理時に基準となるICCプロファイルであり、基準プロファイルとも呼ぶ。PDF/Aファイル格納部244には、PDF/Aファイルが格納される。また、記憶装置240は、各種のプログラムやデータを格納するプログラム格納部(図示せず)を備える。これらプログラムやデータは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で提供され得る。
【0016】
PDF/Aファイルは、国際標準化機構(ISO)におけるISO 190005に準拠するファイル形式であり、PDF形式で表される1つ以上のページデータに、プロファイルが添付されたファイルである。この場合、プロファイルは、例えば、ページデータのヘッダやフッダ部分に挿入される。
【0017】
CPU210は、プログラム格納部に格納されたプログラムを実行することにより、複合機200の全体を制御可能であり、ページデータ生成部M10と、取得部M20と、プロファイル生成部M30と、圧縮部M36と、格納処理部M40と、出力部M45として機能する。
【0018】
ページデータ生成部M10は、スキャナ部280で生成された画像データ(スキャンデータ)を含むPDF形式のページデータを生成する。取得部M20は、基準プロファイルをプロファイル格納部242から取得する。プロファイル生成部M30は、基準プロファイルを補正して新たなプロファイルを生成する。また、プロファイル生成部M30は、格子点決定部M31と、変更部M35とを含み、格子点決定部M31は、特定部M31Aを含む。格納処理部M40は、プロファイル生成部M30が生成したプロファイルを新たな基準プロファイルとしてプロファイル格納部242に格納する。出力部M45は、PDF/Aファイル格納部244に記憶されたPDF/Aファイルを外部装置(計算機300やサーバ350)に出力する。これらCPU210の機能部の詳細は、後述の画像データ生成処理で説明する。
【0019】
計算機300(図1)は、CPU310と、LAN500などのネットワークに接続するためのインタフェースを含む通信部330と、内部記憶装置や外部記憶装置などの記憶装置340と、を備えている。記憶装置340は、PDF/Aファイル格納部344と、コンピュータプログラムが格納されるプログラム格納部(図示せず)とを備えている。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で提供され得る。
【0020】
CPU310は、プログラム格納部に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより、計算機300全体を制御可能であり、取得部M50と、分割部M60と、プロファイル作成部M70と、圧縮部M76と、格納処理部M80と、出力部M85と、画像データ編集部M90とを備える。また、プロファイル作成部M70は、格子点決定部M71と、変更部M75として機能する。さらに、格子点決定部M71は、特定部M71Aを含む。これら各機能部が行う処理については後述する。
【0021】
図2は、ICCプロファイルについて説明する図である。プロファイルは、色変換テーブルIHTと、インプットテーブル(図示せず)と、アウトプットテーブル(図示せず)と、を備えている。色変換テーブルIHTは、スキャナRGB値をLab値に変換するためのテーブルである。Lab値は、機器独立色空間であるCIELAB色空間(L*a*b*色空間)における表色値である。インプットテーブルは、色変換テーブルIHTに入力されるスキャナRGB値を補正するためのテーブルである。アウトプットテーブルは、色変換テーブルIHTから出力されるLab値を補正するためのテーブルである。インプットテーブルおよびアウトプットテーブルは、通常、入力値と出力値とが同じ値となるように設定されているが、必要に応じて入力値に対する出力値が変更される。
【0022】
図2(a)は、色変換テーブルIHTを概念的に示している。図2(b)は、スキャナRGB色空間SCPを示している。色変換テーブルIHTは、番号1〜P(Pは整数)までのP個のスキャナRGB値のそれぞれに対応付けられるLab値であって、各スキャナRGB値が表す色をCIELAB色空間で表したLab値を示すテーブルである。図2(a)では、説明の便宜上、色変換テーブルIHTの各Lab値に対応するスキャナRGB値を、色変換テーブルIHTと並列して示しているが、実際には、色変換テーブルIHTには、スキャナRGB値は、記述されていない。本実施例では、スキャナRGB値における赤(R)、緑(G)、青(B)の各値は、8ビット(256階調)で表される。また、スキャナRGB色空間SCPにおいて、R(赤)軸、G(緑)軸、B(青)軸は、図2(b)に示すように規定される。
【0023】
スキャナRGB色空間SCPにおいて、0〜255のR、G、Bの値に、ほぼ等間隔で配置される所定数q(グリッド数qとも呼ぶ)の特定値が、設定される。色変換テーブルIHTの各Lab値が対応付けられるP個のスキャナRGB値は、グリッド数qの特定値のうちのいずれかの特定値に対応する。本実施例では、グリッド数qは17個である。この場合、17個の特定値は、16×r(rは0≦r≦15の整数)で表される16個の値と255である。従って、色変換テーブルIHT内のスキャナRGB値の総数Pは、4913個である。これらの4913個の点を、格子点REVとも呼ぶ。
【0024】
図2(b)において、格子点REVは、3次元直交座標系でスキャナRGB色空間SCPを表現した場合に、立方体で表される色域にほぼ等間隔格子状に配置される。以下では、17個の特定値に小さい順から付した特定値番号(0、1、2、...16)を用いて、個々の格子点REVを表すことがある。例えば、スキャナRGB色空間SCPにおける座標(0、0、0)に位置にする格子点REVは、R成分値(R軸方向の成分)、G成分値(G軸方向の成分)、B成分値(B軸方向の成分)に対応する特定値番号を用いて、格子点REV(0、0、0)と表示される。同様に、座標(255、0、0)に位置する格子点REVは、格子点REV(16、0、0)と表示され、座標(0、255、0)に位置する格子点REVは、格子点REV(0、16、0)と表示される。また、図2(b)において、K点(座標(0、0、0)の位置)は、スキャナRGB色空間SCPにおける黒色点である。W点(座標(255、255、255)の位置)は、スキャナRGB色空間SCPにおける白色点である。図2(b)に示すように、K点とW点とを結ぶ一点破線GLは、スキャナRGB色空間SCPにおける無彩色軸である。一点破線GLを無彩色軸GLとも呼ぶ。
【0025】
色変換テーブルIHTでは、図2(a)に示すように、複数の格子点REVの所定の順序に従って、対応するLab値が配列される。この結果、色変換テーブルIHTを利用するコンピュータ(例えば、複合機200のCPU210)は、色変換テーブルIHTに、格子点を表す情報(すなわち、スキャナRGB値)が含まれていなくても、色変換テーブルIHTに含まれる各Lab値に対応する格子点を特定することができる。以下に、複数の格子点REVの順序について説明する。
格子点REV(V、W、X)の順序を表すSQ(0≦SQ<格子点の総数)は、上述したグリッド数qを用いて、以下の式(1)で表される。
SQ={q×q×V+q×W+X}...(1)
【0026】
図3は、スキャナRGB色空間SCPにおいて規定される各格子点の順序を説明するための図である。図3(a)は、スキャナRGB色空間SCPを通る複数の平面を示す図である。ここで、各格子点の順序の説明のために、スキャナRGB色空間SCPにおいて、B軸およびG軸に平行な17個の平面hmを規定する。具体的には、格子点REV(V,0,0)(Vは、0〜16の整数)を通る平面hmを平面hmVとして規定する。例えば、格子点REV(0,0,0)を通る平面hmを平面hm0、格子点REV(1,0,0)を通る平面hmを平面hm1として、それぞれ規定する。17個の平面hmVのそれぞれに配置された格子点REVのうち、平面hm0に配置された格子点REVの順序が最も先であり、平面hm16に配置された格子点REVの順序が最も後である。同一の平面hmVに含まれる複数の格子点のそれぞれのR成分値は、同一の値である。
【0027】
図3(b)は、平面hm0をR軸方向から見た図である。各平面hmにおいて、17本の矢印ysW(Wは、0〜16の整数)を規定する。矢印ysWは、平面hmVを通りB軸に平行であり、G成分値に対応する特定値番号がWである格子点REV上に配置される。例えば、平面hm0上の矢印ys0は、格子点REV(0,0,0)、REV(0、0、1)、...、REV(0、0、16)を通る(図3(b))。同一の平面hmV上に配置された17本の矢印ysWのそれぞれに配置された格子点REVのうち、1本目の矢印ys0に配置された格子点REVの順序が最も先であり、17本目の矢印ys16に配置された格子点REVの順序が最も後である。ここで、1本の矢印ysWに配置される17個の格子点REVを格子点群kgWと呼ぶ。1つの格子点群kgWに含まれる17個の格子点REVは、R成分値が互いに同一であり、G成分値が互いに同一であり、かつ、B成分値が互いに異なる。
【0028】
以上から、異なる平面hmVの配置された2つの格子点群(それぞれが17個の格子点群kgWを含む。平面格子点群とも呼ぶ)を比較すると、格子点REVのR成分値が小さいほど、平面格子点群の順序が先であり、R成分値が大きいほど、平面格子点群の順序が後である。同一の平面hmV上に配置された2つの格子点群kgWを比較すると、格子点REVのG成分値が小さいほど、格子点群kgWの順序が先であり、G成分値が大きいほど、格子点群kgWの順序が後である。1つの格子点群kgWに含まれる17個の格子点REVを比較すると、B成分値が小さいほど、格子点REVの順序が先であり、B成分値が大きいほど、格子点REVの順序が後である。
【0029】
基準プロファイルに含まれる色変換テーブルIHTは、例えば、複合機200の製造者によって、周知の方法で作成されている。例えば、作成者は、プリンタ部270を用いて印刷されたカラーチャートを、スキャナ部280を用いて読み取ることで、スキャンデータを得る。また、一方で、カラーチャートを所定の測色機で測定して測色データを得る。この結果、作成者は、スキャンデータに含まれるスキャナRGB値と、測色データに含まれるLab値とを対応付けた対応データを取得する。作成者は、この対応データに基づいて、基準プロファイルに含まれる色変換テーブルIHTを作成する。なお、計算機は、色変換テーブルIHTに含まれるLab値の総数Pを用いて、グリッド数qを特定することができる(例えば、Lab値の総数Tが4913ならば、グリッド数qは17である)。
【0030】
A−2.PDF/Aファイル生成処理:
複合機200は、PDF/Aファイル生成処理を実行する。このPDF/Aファイル生成処理では、基準プロファイルを補正して、補正プロファイルを作成するプロファイル補正処理が実現される。
【0031】
図4は、PDF/Aファイル生成処理およびプロファイル補正処理の処理ステップを示すフローチャートである。具体的には、図4(a)に、PDF/Aファイル生成処理のフローチャートが示され、図4(b)に、プロファイル補正処理のフローチャートが示される。
【0032】
PDF/Aファイル生成処理において、図4(a)に示すように、ページデータ生成部M10は、スキャンデータを取得する(ステップS10)。このスキャンデータは、原稿をスキャナ部280によって読み込むことで生成される。この場合、スキャンデータは、1つの画像を表すデータであってもよいし、複数の画像を表すデータであってもよい。
【0033】
図5は、原稿の一例を説明するための図である。図5(a)は、本実施例においてスキャナ部280で読み取る原稿400を表し、図5(b)は、原稿400のページデータ(スキャンデータ)のスキャナRGB色空間SCPにおけるスキャナRGB値の分布を示す図である。
【0034】
原稿400は、大小の漢字で示される黒色文字オブジェクトBOを含んでいる。原稿400は、黒色の色材(インクやトナー)のみを用いて表現されている。
【0035】
ここで、原稿400が黒色材のみを用いて表現されていても、スキャンデータに含まれるスキャナRGB値は、必ずしもスキャナRGB色空間SCPにおける黒色値(0、0、0)とはならない。例えば、スキャナ部280による読み取りは、イメージセンサ10の副走査を行いつつ、赤色、緑色、青色のLEDを順次に点灯制御して行われる。このようなLEDの順次点灯による位置ずれなどに起因して、スキャナRGB値は、様々な明度や彩度を有する値となる。この結果、黒色材のみを用いて印刷されている原稿400に基づくスキャンデータに含まれるスキャナRGB値は、スキャナRGB色空間SCPにおいて、無彩色軸GLに沿った領域であって、ある程度の幅を有する領域に分布する(図5(b))。
【0036】
続いて、取得部M20は、プロファイル格納部242から基準プロファイルを取得する(ステップS20)。次に、プロファイル生成部M30は、プロファイル補正処理を行う(ステップS100)。
【0037】
このプロファイル補正処理では、後述する分類領域が設定され、スキャンデータの各画素が、いずれの分類領域に属するか特定され、この分類結果に基づいて、スキャンデータで使用されていない色に関する格子点(変更対象の格子点とも呼ぶ)が決定される。次に、基準プロファイルにおける、変更対象の格子点に対応するLab値が変更され、補正プロファイルが生成される。続いて、この補正プロファイルに基づいて、圧縮済プロファイルが生成される。以下に具体的に説明する。
【0038】
プロファイル補正処理(図4(b))では、まず、プロファイル生成部M30は、分類領域を設定する(ステップS105)。図6は、分類領域について説明する図である。プロファイル生成部M30は、4096個の分類領域CA(x、y、z)(xは、0≦x≦15の範囲の整数、yは、0≦y≦15の範囲の整数、zは、0≦z≦15の範囲の整数)を設定する。各分類領域CA(x、y、z)は、8つの格子点REVを頂点として構成される立方体形状を有する。分類領域CA(x、y、z)を構成する8つの格子点REVは、REV(x、y、z)、REV(x+1、y、z)、REV(z、y+1、z)、REV(x、y、z+1)、REV(x+1、y+1、z)、REV(x、y+1、z+1)、REV(x+1、y、z+1)、REV(x+1、y+1、z+1)で表される。図6には、便宜上、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1の範囲の8個の分類領域(x、y、z)のみを図示した。実際には、図2(b)に示すスキャナRGB色空間SCPにおける0≦R≦255、0≦G≦255、0≦B≦255の立方体の範囲に隙間無く4096個(16×16×16)の分類領域CA(x、y、z)が設定される。分類領域CA(x、y、z)は、単に、分類領域CAとも表す。
【0039】
本実施例では、スキャンデータの全画素が、分類対象とされる。格子点決定部M31は、スキャンデータの1つの画素を処理対象として選択する(図4(b):ステップS110)。
【0040】
特定部M31Aは、処理対象の画素の画素値(スキャナRGB値)が、上述した4096個の分類領域CAのいずれかに属するかを特定する(ステップS115)。さらに、特定部M31Aは、特定した分類領域CAを形成する8つの格子点REVを特定する(ステップS120)。本ステップにて特定された8つの格子点REVに対応付けられる8組のLab値は、スキャンデータの色変換を行う際に使用される可能性があると考えられる。
【0041】
図7は、色変換テーブルIHTと使用判定フラグとの関係を説明するための図である。色変換テーブルIHTには、使用判定フラグを表すフラグ値が対応付けられており、具体的には、色変換テーブルIHTにおける1つのLab値に1つの使用判定フラグのフラグ値が対応付けられている。格子点決定部M31は、ステップ120で特定した8つの格子点REVを、スキャンデータに含まれる色に関する格子点であるとして、変更対象でない格子点として決定する(ステップS125)。この場合、格子点決定部M31は、変更対象でないと決定した格子点に対応するLab値のフラグ値を、「1」として、使用判定フラグをオンとする。
【0042】
プロファイル生成部M30は、スキャンデータの全ての画素について、ステップS110〜S125の処理を実行していない場合には(ステップS130:No)、ステップS110の処理に戻る。格子点決定部M31は、プロファイル生成部M30がスキャンデータの全ての画素についてステップS110〜S125の処理を実行したと判断した場合には(ステップS130:Yes)、以下の処理を行う。すなわち、格子点決定部M31は、使用判定フラグがオフ(すなわち、フラグ値が0)である格子点REV(例えば、図7(a):No.7〜12の格子点)を、スキャンデータで使用されていない色に関する格子点であるとして、変更対象の格子点として決定する(ステップS135)。
【0043】
変更部M35は、図7(b)に示すように、基準プロファイル(色変換テーブルIHT)における変更対象の格子点に対応するLab値を変更し、補正色変換テーブルIHTsを生成する(ステップS140)。補正色変換テーブルIHTsと、インプットテーブルと、アウトプットテーブルとの全体を補正プロファイルとも呼ぶ。具体的には、変更部M35は、色変換テーブルIHTの先頭から順番に、変更対象の格子点に対応するLab値(すなわち、使用判定フラグがオフであるLab値)を探索し、変更対象の格子点に対応するLab値が見つかると、そのLab値を、変更対象の格子点よりも一つ前の順序の変更対象でない格子点に対応するLab値と同じ値に変更する。続いて、変更部M35は、次の順序の格子点も、変更対象の格子点であれば、その変更対象の格子点に対応するLab値を、一つ前に変更したLab値の変更後の値と同じ値に変更する。このように、変更部M35は、変更対象の格子点が連続すれば、連続する各格子点に対応するLab値を、それより前の順序の直近の変更対象でない格子点に対応するLab値と同じ値に変更する。例えば、変更部M35は、図7(a)に示す色変換テーブルIHTの先頭から順番に、変更対象の格子点に対応するLab値(すなわち、使用判定フラグがオフであるLab値)を探索する。変更部M35は、No.7の格子点に対応するLab値が変更対象の格子点に対応するLab値であると判断すると、図7(b)に示すように、No.7の格子点に対応するLab値を、No.6の格子点に対応するLab値と同じ値に変更する。そして、変更部M35は、No.7の格子点に続くNo.8〜No.12の格子点に対応する使用判定フラグがオフとなっているので(図7(a))、No.8〜No.12の格子点に対応するLab値についても、変更対象の格子点に対応するLab値であると判断して、No.6の格子点に対応するLab値にそれぞれ変更する(図7(b))。
【0044】
圧縮部M36は、補正プロファイル(補正色変換テーブルIHTs)をDeflate圧縮して圧縮済補正プロファイルを生成する(ステップS145)。例えば、文字Aが6個連続した[AAAAAA]という文字列を含むtxt形式のデータ(元データ)があった場合に、この元データがDeflate圧縮されると、圧縮後のデータは、[A6]の様に文字Aとその連続数とで表現され、元データと比較して、データサイズが抑制される。このDeflate圧縮について、以下に具体的に説明する。
【0045】
圧縮部M36は、色変換テーブルIHTにおけるNo.1の格子点(順序が1番目)に対応するLab値(L*1,a*1,b*1)と次のNo.2の格子点に対応するLab値とが一致するか否かを判断する。圧縮部M36は、一致しない場合には、一致しないことを表す識別値[0]と、No.1の格子点に対応するLab値と用いて、[0](L*1,a*1,b*1)と記述する。圧縮部M36は、No.1の格子点に対応するLab値(L*1,a*1,b*1)と次のNo.2の格子点に対応するLab値とが一致する場合には、No.2よりも後の順序の格子点に対応する各Lab値を探索対象として、格子点の順序に従ってLab値がNo.1の格子点に対応するLab値と一致しなくなるまで、探索を続ける。圧縮部M36は、No.1の格子点に対応するLab値と一致するLab値が、連続してU個見つかった場合には、一致することを表す識別値[1]と、No.1の格子点に対応するLab値と、連続して一致する個数Uとを用いて、[1](L*1,a*1,b*1)<U>と記述する。識別値は、1ビットで表され、連続して一致する個数Uは、例えば、8ビットで表される。
【0046】
すなわち、圧縮部M36は、順序がs1の格子点に対応するLab値(L*s1,a*s1,b*s1)と、次の順序の格子点に対応するLab値とが一致しない場合には、[0](L*s1,a*s1,b*1)、と記述する。また、圧縮部M36は、順序がs1の格子点に対応するLab値(L*s1,a*s1,b*s1)と一致するLab値が、連続してU個見つかった場合には、[1](L*s1,a*s1,b*s1)<U>、と記述する。例えば、「(L*1,a*1,b*1),(L*2,a*2,b*2),(L*2,a*2,b*2),(L*2,a*2,b*2)」と表される4つのLab値は、Deflate圧縮されると、[0](L*1,a*1,b*1)[1](L*2,a*2,b*2)<3>と記述される。この場合、Lab値のL*値、a*値、b*値は、それぞれ8ビットで表されるので、圧縮前の4つのLab値のデータサイズは、12(L*値、a*値、b*値の総数)×8ビットで96ビットとなる。一方、圧縮後のデータサイズは、2(識別値数)×1ビット+6(L*値、a*値、b*値の総数)×8ビット+1(個数U)×8ビットで58ビットとなる。このように、Deflate圧縮後のデータサイズは、同じ値のLab値が連続するほど、圧縮前のデータサイズよりも小さくなる。
【0047】
上述のように、補正プロファイルの補正色変換テーブルIHTsは、変更部M35によって、Lab値が連続する同じ値に変更され得る。従って、補正プロファイルをDeflate圧縮して生成される圧縮済補正プロファイルは、基準プロファイルをDeflate圧縮して生成される圧縮済基準プロファイルと比較して、データサイズが小さくなる。言い換えれば、スキャナRGB色空間SCPの格子点REVのうち、スキャンデータで使用されていない色に関する格子点REVにそれぞれ対応するLab値を、圧縮済補正プロファイルのデータサイズが、圧縮済基準プロファイルのデータサイズよりも小さくなるように変更していると言える。
【0048】
続いて、ページデータ生成部M10と格納処理部M40は、PDF/Aファイルを生成する(ステップS200)。具体的には、ページデータ生成部M10は、ステップS10にて生成されたスキャンデータを所定の形式(例えば、JPEG形式)に圧縮し、圧縮されたスキャンデータを用いてPDF形式の1つ以上のページデータを生成する。格納処理部M40は、圧縮済補正プロファイルとページデータとを関連付けて、PDF/Aファイルを生成する。格納処理部M40は、作成したPDF/AファイルをPDF/Aファイル格納部244に格納する(ステップS205)。
【0049】
出力部M45は、クライアント(例えば、計算機300、サーバ350)からの出力要求がある場合(ステップS207:Yes)には、PDF/Aファイル格納部244に格納されたPDF/Aファイルを出力要求のあったクライアントに出力し(ステップS210)、PDF/Aファイル生成処理を終了する。出力部M45は、クライアントからの出力要求がない場合(ステップS207:No)には、PDF/Aファイル生成処理を終了する。なお、出力部M45は、出力要求がない場合(ステップS207:No)であっても、例えば、ユーザから複合機200に接続される記録媒体(例えば、USBメモリ)への保存要求がある場合には、PDF/Aファイル格納部244に格納されたPDF/Aファイルを記録媒体に出力し、保存させる。
【0050】
以上のように、PDF/Aファイル生成処理では、基準プロファイルをスキャンデータに基づいて補正して、補正プロファイルを生成し、さらに、補正プロファイルを圧縮して、圧縮済基準プロファイルよりもデータサイズが小さい圧縮済補正プロファイルを生成する。そして、スキャンデータから生成されるPDF形式のページデータと、圧縮済補正プロファイルとを関連付けてPDF/Aファイルを生成し、出力要求に応じて外部に出力する。
【0051】
A−3.計算機300の実行処理:
図8は、計算機300が行う分割処理、編集処理、および、再保存処理を説明するための図である。具体的には、図8(a)〜(c)は、それぞれ、分割処理、編集処理、再保存処理の概念図である。図9は、計算機300が行う処理の処理ステップを示すフローチャートである。図9(a)は、分割処理の処理ステップを示し、図9(b)は、編集処理の処理ステップを示す。
【0052】
A−3−1.分割処理:
この分割処理は、計算機300が複合機200から取得したPDF/Aファイルを、計算機300がユーザの指示により複数のPDF/Aファイルに分割する処理である。
【0053】
分割処理において、取得部M50は、複合機200から、PDF/AファイルGZAを取得する(図9(a):ステップS510)。取得部M50は、取得されたPDF/AファイルGZAを記憶装置340のPDF/Aファイル格納部344に格納する。このPDF/AファイルGZAは、図8(a)に示すように、複数ページ分のページデータGAと、圧縮済基準プロファイルZAとを含む。1つのページデータGAは、1ページ分の画像データ、例えば、原稿一枚分のスキャンデータを含む。。ここで、圧縮済基準プロファイルZAは、複合機200におけるプロファイル補正処理(図4(b))によってページデータGA用にデータサイズを小さくされた圧縮済補正プロファイルである。
【0054】
分割部M60は、ユーザからPDF/Aファイルの分割指示があると、ステップS510でPDF/Aファイル格納部344に格納したPDF/AファイルGZAを読み出す。そして、分割部M60は、PDF/AファイルGZAに含まれるページデータGAを、複数のページデータに分割する(ステップS520)。例えば、分割部M60は、5ページ分のページデータGAを、5ページのうちの3ページ分の第1ページデータGA1と、5ページのうちの残りの3ページ分の第2ページデータGA2とに分割する(図8(a))。
【0055】
プロファイル生成部M70は、分割後の複数のページデータごとに、圧縮済補正プロファイルを生成する(ステップS530)。例えば、プロファイル生成部M70は、圧縮済基準プロファイルZAを補正するプロファイル補正処理を実行し、第1ページデータGA1に対応する第1圧縮済補正プロファイルZA1と、第2ページデータGA2に対応する第2圧縮済補正プロファイルZA2とを生成する(図8(a))。このプロファイル補正処理は、上述した複合機200が行うプロファイル補正処理(図4(b))と同内容の処理であり、分割後のページデータのそれぞれに基づいて実行される。このプロファイル補正処理において、計算機300のプロファイル生成部M70、格子点決定部M71、特定部M71A、および、変更部M75は、それぞれ、複合機200のプロファイル生成部M30、格子点決定部M31、特定部M31A、および、変更部M35と同様に機能する。
【0056】
格納処理部M80は、分割後の複数のページデータごとにPDF/Aファイルを生成する(ステップS540)。例えば、格納処理部M80は、ページデータGA1と第1圧縮済補正プロファイルZA1とを関連付けて、第1PDF/AファイルGZA1を生成し、第2ページデータGA2と第2圧縮済補正プロファイルZA2とを関連付けて、第2PDF/AファイルGZA2を生成する(図8(a))そして、格納処理部M80は、生成した複数のPDF/AファイルをPDF/Aファイル格納部344に格納する(ステップS543)。
【0057】
出力部M85は、クライアント(例えば、サーバ350、他の計算機)からの出力要求がある場合(ステップS545:Yes)には、PDF/Aファイル格納部344に格納されたPDF/Aファイルを出力要求のあったクライアントに出力し(ステップS550)、分割処理を終了する。出力部M85は、クライアントからの出力要求がない場合(ステップS545:No)には、分割処理を終了する。
【0058】
なお、この分割処理では、PDF/AファイルGZAを、2分割する例を説明したが、これに限られることなく、PDF/AファイルGZAを、3分割以上して、複数のPDF/Aファイルを生成してもよい。
【0059】
分割後の第1および第2ページデータGA1、GA2にそれぞれ関連付けられる第1および第2圧縮済補正プロファイルZA1、ZA2のデータサイズは、分割前のページデータGAに関連付けられる圧縮済基準プロファイルZAのデータサイズより小さくなり得る。例えば、分割前のページデータGAが、カラー画像を表すページ(例えば、カラー写真を表すデータを含むページ)と、モノクロ画像を表すページ(例えば、モノクロ写真、テキストを表すページ)とを含み、分割後の第1ページデータGA1がモノクロ画像を表すページのみを含む場合がある。この場合には、分割前のページデータGAで使用される色の種類の数より、分割後の第1ページデータGA1で使用される色の種類の数より少なくなるので、第1圧縮済補正プロファイルZA1のデータサイズは、圧縮済基準プロファイルZAのデータサイズより小さくなる。
【0060】
A−3−2.編集処理:
この編集処理は、計算機300が複合機200から取得したPDF/Aファイルを、計算機300がユーザの指示により編集して新たなPDF/Aファイルを生成する処理である。
【0061】
編集処理において、取得部M50は、複合機200から、PDF/AファイルGZBを取得する(図9(b):ステップS610)。このPDF/AファイルGZBは、上述したPDF/AファイルGZA(図8(a))と同様に、ページデータGBと、圧縮済基準プロファイルZBとを含む(図8(b))。ここで、圧縮済基準プロファイルZBは、例えば、複合機200におけるプロファイル補正処理(図4(b))によってページデータGB用にデータサイズを小さくされた圧縮済補正プロファイルである。
【0062】
画像データ編集部M90は、ユーザからPDF/Aファイルの編集指示があると、PDF/AファイルGZBに含まれるページデータGBを編集する(ステップS620)。例えば、ページデータGBの編集には、例えば、ページデータGBに含まれるカラー画像をモノクロ画像に変更する処理や、ページデータGBにテキストや、線画を追加する処理などが含まれる。
【0063】
プロファイル生成部M70は、編集後のページデータGC(図8(b))に基づき、圧縮済基準プロファイルZBを補正するプロファイル補正処理を実行し、圧縮済補正プロファイルZCを生成する(ステップS630)。このプロファイル補正処理は、上述した複合機200が行うプロファイル補正処理(図4(b))と同内容の処理である。この場合、計算機300のプロファイル生成部M70、格子点決定部M71、特定部M71A、および、変更部M75は、それぞれ、複合機200のプロファイル生成部M30、格子点決定部M31、特定部M31A、および、変更部M35と同様に機能する。
【0064】
格納処理部M80は、プロファイル生成部M70が生成した圧縮済補正色変換プロファイルZCと、編集後のページデータGCとを関連付けて、PDF/AファイルGZCを生成する(ステップS640)。そして、格納処理部M80は、生成したPDF/AファイルGZCをPDF/Aファイル格納部344に格納する(ステップS643)。
【0065】
出力部M85は、クライアント(例えば、サーバ350、他の計算機)からの出力要求がある場合(ステップS645:Yes)には、PDF/Aファイル格納部344に格納されたPDF/AファイルGZCを出力要求のあったクライアントに出力し(ステップS650)、編集処理を終了する。出力部M85は、クライアントからの出力要求がない場合(ステップS645:No)には、編集処理を終了する。
【0066】
編集後のページデータGCに関連付けられる圧縮済補正プロファイルZCのデータサイズは、編集前のページデータGBに関連付けられる圧縮済基準プロファイルZBのデータサイズより小さくなり得る。例えば、編集前のページデータGBがカラー画像を表すページデータであり、編集後のページデータGCがモノクロ画像を表すページデータである場合ある。この場合には、編集前のページデータGBで使用される色の種類の数より、編集後のページデータGCで使用される色の種類の数より少なくなるので、圧縮済補正プロファイルZCのデータサイズは、圧縮済基準プロファイルZCのデータサイズより小さくなる。
【0067】
ここで、図8(a)、(b)において、圧縮済基準プロファイルZA、ZBは、ページデータGA、GB用にデータサイズを小さくされた圧縮済補正プロファイルであるが、これに代えて、複合機200のプロファイル格納部242に格納されている基準プロファイルがDeflate圧縮されたプロファイルであっても良い。この場合には、計算機300において、基準プロファイルが初めて補正されて、分割後または編集後のページデータGA1、GA2、GCに適した圧縮済補正プロファイルZA1、ZA2、ZCが生成される。
【0068】
A−3−3.再保存処理:
この再保存処理は、計算機300が、PDF/Aファイルを複合機200から取得した際に、実行する処理である。この処理は、自動的に実行されてもよいし、ユーザからの指示に基づいて実行されてもよい。
【0069】
再保存処理において、取得部M50は、複合機200から、PDF/AファイルGZDを取得する。このPDF/AファイルGZDは、上述したPDF/AファイルGZB(図8(b))と同様に、ページデータGDと、圧縮済基準プロファイルZDとを含む(図8(c))。圧縮済基準プロファイルZDは、複合機200のプロファイル格納部242に格納されている基準プロファイルがDeflate圧縮されたプロファイルである。
【0070】
プロファイル生成部M70は、PDF/AファイルGZDに含まれるページデータGDに基づき、圧縮済基準プロファイルZDを補正するプロファイル補正処理を実行し、圧縮済補正プロファイルZEを生成する。このプロファイル補正処理は、上述した複合機200が行うプロファイル補正処理(図4(b))と同内容の処理である。この場合、計算機300のプロファイル生成部M70、格子点決定部M71、特定部M71A、および、変更部M75は、それぞれ、複合機200のプロファイル生成部M30、格子点決定部M31、特定部M31A、および、変更部M35と同様に機能する。
【0071】
格納処理部M80は、圧縮済補正色変換プロファイルZEと、ページデータGDとを関連付けて、PDF/AファイルGZEを生成する(図8(c))。そして、格納処理部M80は、生成したPDF/AファイルGZEをPDF/Aファイル格納部344に格納する。出力部M85は、クライアント(例えば、サーバ350、他の計算機)からの出力要求がある場合には、PDF/Aファイル格納部344に格納されたPDF/AファイルGZEを出力要求のあったクライアントに出力し、再保存処理を終了する。出力部M85は、クライアントからの出力要求がない場合には、再保存処理を終了する。
【0072】
上述した再保存処理によれば、例えば、計算機300は、他の機器において生成されたPDF/Aファイルに関連付けられた圧縮済基準プロファイルであって、該他の機器においてプロファイル補正処理が行われていない圧縮済基準プロファイルのデータサイズを小さくすることができる。
【0073】
なお、本実施例において、上述の分割処理、編集処理、および、再保存処理は、計算機300によって、実行されている。これに限らず、複合機200が、自身が生成したPDF/Aファイルを用いて、上述の分割処理、編集処理、および、再保存処理を、実行しても良いし、サーバ350が、複合機200から取得したPDF/Aファイルを用いて、これらの処理を行うようにしていても良い。
【0074】
以上説明した上記実施例では、プロファイル補正処理(図4(b))において、スキャナRGB色空間SCPの格子点のうち、スキャンデータで使用されていない色に関する格子点にそれぞれ対応するLab値を、圧縮済補正プロファイルのデータサイズが、圧縮済基準プロファイルのデータサイズよりも小さくなるように変更する。このようにすれば、スキャンデータを含むページデータに圧縮済補正プロファイルを関連付ける場合に、ページデータ(スキャンデータ)の再現性の低下を抑制しつつ、この圧縮済補正プロファイルのデータサイズを小さくすることができる。
【0075】
本実施例では、プロファイル補正処理(図4(b))において、変更部M35は、変更対象の格子点REVが見つかると、その変更対象の格子点REVに対応するLab値を、変更対象の格子点REVよりも一つ前の順序の変更対象でない格子点REVに対応するLab値と同じ値に変更する。続いて、変更部M35は、次の順序の格子点REVが、さらに変更対象の格子点REVであれば、その変更対象の格子点REVに対応するLab値を、一つ前に変更したLab値の変更後の値と同じ値に変更する。このようにすれば、変更部M35は、決定された2つ以上の格子点REVに対応づけられた各Lab値を容易に変更することができる。
【0076】
本実施例では、色変換テーブルIHTは、格子点群kg(W−1)(例えば、格子点群kg0、図3参照)に対応する複数のLab値と、格子点群kgW(例えば、格子点群kg1)に対応する複数のLab値とが、この順で連続して配列される。そして、プロファイル補正処理(図4(b))において、変更対象でない格子点REVと変更対象である格子点が存在する場合であって、これら2つの格子点REV間に変更対象でない格子点REVが存在しない場合に、一方の変更対象でない格子点REVが、格子点群kg(W−1)に含まれ、他方の変更対象である格子点REVが、格子点群kgWに含まれ得る。この結果、プロファイル補正処理において、スキャナRGB色空間SCP内で全く異なる色となり得る2つの格子点に対応する2組のLab値が同じ値となるように、変更される。例えば、平面hm0の格子点群kg16のREV(0,16,16)(図3(a))が変更対象でない格子点REVであり、平面hm1の格子点群kg0の4つの格子点REV(1,0,0)〜(1,0,3)(図3(a))が変更対象である格子点REVとなり得る。この場合、平面が異なることによって全く異なる色となり得る2つの格子点REV(格子点REV(0,16,16)と格子点REV(1,0,3))に対応する2組のLab値が同じ値となるように、変更される。また、平面hm0の格子点群kg15のREV(0,15,15)(図3(b))が変更対象でない格子点REVであり、平面hm0の格子点群kg15のREV(0,15,16)(図3(b))、および、平面hm0の格子点群kg16の4つの格子点REV(0,16,0)〜(0,16,3)(図3(b))が変更対象である格子点REVとなり得る。この場合、格子点群が異なることによって全く異なる色となり得る2つの格子点REV(格子点REV(0,15,15)と格子点REV(0,16,3))に対応する2組のLab値が同じ値となるように、変更される。
【0077】
本実施例では、プロファイル補正処理において、特定部M31Aは、スキャンデータを表す画素のそれぞれが、分類領域CAのうちのいずれの分類領域に属するかを特定する。そして、格子点決定部M31は、この特定の結果に基づいて変更対象でない格子点REVを決定することによって、変更対象の2個以上の格子点REVを決定し得る(図7(b)参照)。このようにすれば、変更対象の2個以上の格子点REVを適切に決定することができる。
【0078】
本実施例では、プロファイル生成部M30は、スキャナ部280で生成されるスキャンデータに応じて補正プロファイルを生成する。このようにすれば、生成されるスキャンデータに関連付けられる圧縮済補正プロファイルのデータサイズの増大を適切に抑制することができる。また、出力部M45は、生成されるスキャンデータと圧縮済補正プロファイルとを関連付けて出力する。このようにすれば、生成されるスキャンデータを出力先の装置で適切に再現することができる。
【0079】
本実施例では、再保存処理で、取得部M50は、複合機200からPDF/Aファイル(ページデータと、圧縮済基準プロファイル)とを取得する。そして、プロファイル生成部M70は、取得したページデータに応じて、取得した圧縮済基準プロファイルを補正して、補正プロファイルを生成する。このようにすれば、取得部M50によって取得されたページデータに関連付けられる圧縮済補正プロファイルのデータサイズを小さくすることができる。
【0080】
本実施例では、分割処理(図9(a))において、分割部M60によって分割された分割後のページデータのそれぞれに応じて、それぞれプロファイル補正処理を実行する。このようにすれば、分割後のページデータのそれぞれに、異なるプロファイル(第1圧縮済基準プロファイルZAおよび第2圧縮済基準プロファイルZB)が生成され得る。この結果、分割後の複数のページデータごとに生成される複数のPDF/Aファイルのデータサイズを小さくすることができる。
【0081】
本実施例では、プロファイル補正処理において、画素が属する分類領域CAを特定し、その分類領域CAを形成する格子点REVを変更対象でない格子点REVとして決定し、変更対象でない格子点REVを除くその他の格子点REVを変更対象である格子点REVとして決定する。すなわち、自身が含まれる分類領域CAのいずれにも画素が属さない格子点REVについては、変更対象である格子点として決定される。ところで、無彩色画像を用いたスキャンデータでは、スキャナRGB色空間SCPにおいて無彩色軸GL周辺に画素データが集合する(図5(b)参照)。従って、本実施例のように、無彩色画像を用いたスキャンデータに基づいて、プロファイル補正処理を実行すると、スキャナRGB色空間SCPにおける無彩色軸GLから遠い領域では、変更対象である格子点が連続して存在し得る。これにより、プロファイル補正処理において生成される補正プロファイルでは、Lab値の変更が連続して行われ、その結果、圧縮済補正プロファイルのデータサイズを特に小さくすることができる。
【0082】
本実施例において、圧縮済プロファイルは、特許請求の範囲における圧縮済色変換プロファイルの例である。図7に示すNo.6の格子点REVは、第1格子点の例であり、図7に示すNo.7〜12の各格子点REVは、第2格子点の例である。スキャナ部280は、画像データ生成部の例である。圧縮済補正プロファイルZA1、ZA2は、それぞれ、第1の圧縮済補正色変換プロファイル、第2の圧縮済補正色変換プロファイルの例である。ページデータGAは、基準画像データの例である。第1ページデータGA1、第2ページデータGA2は、それぞれ、第1画像データ、第2画像データの例である。
【0083】
B.第2実施例:
第1実施例では、プロファイル補正処理(図4(b))において、スキャンデータを解析し、解析結果に基づいて、変更対象でない格子点が決定されていた(ステップS125〜S135参照)。この第2実施例では、スキャナRGB色空間SCPにおいて、スキャンデータの解析結果に拘わらず、変更対象とならない(変更対象でない)格子点REVxが存在する。
【0084】
図10は、第2実施例における格子点REVxについて説明する図である。図10(a)は、スキャナRGB色空間SCPにおける格子点REVxを示す図である。図10(b)は、プロファイル補正処理において、スキャナRGB色空間SCPに格子点REVxが存在する場合に生成された補正色変換テーブルIHTs1を示す図である。
【0085】
図10(a)に示すように、本実施例では、格子点REVxは、スキャナRGB色空間SCPにおいて、予め定められる所定の格子点であって、プロファイル補正処理において、スキャンデータの解析結果に拘わらずに変更対象とならない格子点である。格子点REVxは、スキャナRGB色空間SCPにおいて、ほぼ等間隔格子状に配置される。図10(a)に示す例では、格子点REVxは、上述した4913個の格子点REVのうち、3つの軸(R軸、G軸、B軸)に沿って、REVx(0,0,0)の格子点を基準に4個毎に配置された格子点である。
【0086】
本実施例では、格子点REVは、17×17×17の格子点であり、格子点REVxは、5×5×5の格子点である。
【0087】
本実施例では、プロファイル補正処理において、格子点決定部M31は、格子点REVxに対応するLab値の使用判定フラグを、スキャンデータの画素を分類する処理(図4(b):ステップS110〜S130)の結果とは無関係に、「1」とする。この結果、変更部M35は、常に、格子点REVxに対応するLab値を変更しない(図10(b)の補正色変換テーブルIHTs1:ハッチング部分参照)。変更部M35は、格子点REVxの次の順序の格子点REVが、変更対象の格子点であれば、その変更対象の格子点REVに対応するLab値を、一つ前の格子点REVxに対応するLab値に変更する。変更部M35は、次の順序の格子点REVが、さらに変更対象の格子点REVであれば、その変更対象の格子点REVに対応するLab値を、一つ前に変更したLab値に変更する。このように、変更部M35は、格子点REVxよりも後の順序の格子点REVが、連続して変更対象の格子点であれば、連続する各格子点REVに対応するLab値を、それより前の順序の直近の格子点REVxに対応するLab値に変更する。図10(b)では、変更対象としてのNo.10〜12の格子点に対応するLab値が、直近の格子点REVxに対応するLab値に変更されている。
【0088】
本実施例によれば、スキャナRGB色空間SCPにおける格子点REVのうち、格子点REVxを、スキャンデータの解析結果に拘わらず、変更対象でない格子点に決定する。この結果、スキャンデータがどのようなデータであっても、格子点REVxに対応するLab値を基準プロファイル(色変換テーブル)において対応付けられているLab値に固定することができる。すなわち、プロファイル補正処理において、基準プロファイルの色変換テーブルにおけるLab値が大幅に変更されて補正色変換テーブルが生成されたとしても、補正色変換テーブルにおいて、格子点REVxに対応するLab値は、基準プロファイルにおいて対応付けられているLab値に固定される。したがって、この補正色変換テーブルに関連付けられたスキャンデータにおいて使用される色が増加した場合であっても、当該増加した色の再現性が著しく低下することを抑制することができる。
【0089】
ここで、使用される色が増加する具体例としては、スキャンデータを表すページデータを含むPDF/Aファイルが編集されることによって、当該ページデータに、注釈などのテキストデータや、矢印などの単色の図形データが、追加される場合が考えられる。このような場合であっても、圧縮済補正プロファイルにおける格子点REVxに対応するLab値が、基準プロファイル(色変換テーブル)において対応付けられているLab値に固定されているので、編集後のページデータに含まれるテキストや図形は、第1実施例と比較して、外部装置などの特定の機器で適切に再現される。
【0090】
なお、格子点REVxは、5×5×5(125個)の格子点に限らず、格子点REVが、N×N×N個の格子点であり、格子点REVxがM×M×M個の格子点である場合に、NおよびMは、(N−1)/(M−1)=kを満足する値であればよい。ここで、M、N、Kは、N>M≧2,k≧2を満たす整数である。また、格子点REVxは、例えば、各成分値が256階調で表される一般的なRGB色空間において規定されたいわゆるWEBセーフカラー(216種類のRGB値)と同程度の数(種類)が配置されることが好ましい。
【0091】
C.変形例:
この発明は上記実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0092】
(1)上記実施例では、プロファイル補正処理(図4(b))で用いられる画像データとして、無彩色画像をスキャンしたスキャンデータが用いられているが、これに限られず、プロファイル補正処理で用いられる画像データとして、有彩色画像をスキャンしたスキャンデータを用いるようにしてもよい。この場合でも、有彩色画像にて使用されていない色に関する格子点がある場合には、プロファイル補正処理によって当該格子点に対応するLab値を上述したように変更するので、圧縮済補正プロファイルのデータサイズを、圧縮済基準プロファイルのデータサイズよりも小さくすることができる。
【0093】
(2)上記実施例では、ページデータと、このページデータを用いて生成される圧縮済補正プロファイルとを関連付けて、1つのPDF/Aファイルとしている。これに代えて、ページデータと、このページデータを用いて生成される圧縮済補正プロファイルと、をそれぞれ別ファイルで記憶装置240に格納し、ファイル名等でページデータと圧縮済補正プロファイルとを関連付けても良い。なお、ページデータと圧縮済補正プロファイルとを含むファイルは、PDF/Aファイルに限らず、他のファイル形式(例えば、PDFファイル)であっても良い。
【0094】
(3)上記実施例では、スキャナRGB色空間の表色値をCIELAB色空間(L*a*b*色空間)の表色値に変換するためのプロファイルを作成しているが、これに限られるものではない。例えば、プリンタの機器依存RGB色空間の表色値をプリンタCMYK色空間の表色値に変換するためのプロファイルの作成に本発明を適用しても良い。一般的に言えば、第1色空間における複数個の格子点に、第2色空間における複数組の値をそれぞれ対応付けたプロファイルの作成に本発明を適用することができる。
【0095】
(4)上記各実施例のプロファイル補正処理において、変更部M35は、変更対象の格子点REVに対応するLab値を、変更対象の格子点REVよりも順序が前であって変更対象でない格子点REVに対応するLab値と同じ値に変更している。これに代えて、変更部M35は、変更対象でない格子点REVに対応するLab値とは無関係に、複数の変更対象の格子点REVに対応するLab値を、互いに同じ値に変更しても良い。例えば、変更部M35は、複数の変更対象の格子点REVに対応するLab値(L*、a*、b*)を全て(0、0、0)に変更しても良い。また、順序が連続する複数の変更対象の格子点REVに対応するLab値(L*、a*、b*)を全て同じにする必要はなく、例えば、2つずつ同じ値にしても良い。
【0096】
また、上記実施例では、プロファイルの圧縮にDeflate圧縮を用いているが、他の圧縮方式を用いても良い。この場合には、上記実施例のプロファイル補正処理において、変更部M35は、採用された圧縮方式を用いて圧縮を行った場合に、圧縮済補正プロファイルのデータサイズが小さくなるように、変更対象の格子点REVに対応するLab値を変更すれば良い。規則的に連続する異なる複数の値を圧縮可能な方式、例えば、「1、2、3、4、5」のように連続する値を、「1−5」のように圧縮可能な方式を採用する場合には、変更部M35は、順序が連続する複数の変更対象の格子点REVに対応するLab値を、規則的に連続する異なる複数の値に変更しても良い。
【0097】
以上を一般的に言えば、変更部M35は、変更対象の2個以上の格子点に対応する2組以上のLab値を、補正プロファイルを特定の圧縮方法で圧縮した場合に生成される圧縮済補正プロファイルのデータサイズが、基準プロファイルを特定の圧縮方法で圧縮した場合に生成される圧縮済基準プロファイルのデータサイズよりも小さくなるように変更することが好ましい。
【0098】
(5)上記実施例におけるプロファイル補正処理において、各分類領域CAは、8つの格子点REVを頂点として構成される立方体形状に設定されているが、これに限られない。例えば、各分類領域CAは、実施例と同じ大きさの立法体形状を有し、1つの格子点REVを中心とする領域であっても良い。一般的には、各分類領域CAは、少なくとも1つ以上の格子点に基づいて定められることが好ましい。
【0099】
(6)上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0100】
200...複合機、210...CPU、240...記憶装置、242...プロファイル格納部、244...PDF/Aファイル格納部、250...通信部、260...操作部、280...スキャナ部、300...計算機、340...記憶装置、344...PDF/Aファイル格納部、350...サーバ、1000...画像処理システム、M10...ページデータ生成部、M20...取得部、M30...プロファイル生成部、M31...格子点決定部、M31A...特定部、M35...変更部、M40...格納処理部、M45...出力部、M50...取得部、M60...分割部、M70...プロファイル生成部、M80...格納処理部、M71...格子点決定部、M71A...特定部、M75...変更部、M85...出力部、M90...画像データ編集部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置であって、
画像データに応じて、第1色空間内の複数個の格子点に対応する第2色空間内の複数組の値を有する基準色変換プロファイルを補正して、補正色変換プロファイルを生成するプロファイル生成部と、
前記補正色変換プロファイルを特定の方法で圧縮して圧縮済補正色変換プロファイルを生成する圧縮部と、
前記画像データと前記第1圧縮済色変換プロファイルとを関連付けて格納部に格納する格納処理部と
を備え、
前記プロファイル生成部は、前記第1色空間内の前記複数個の格子点のうちの2個以上の格子点であって、前記画像データ内で使用されていない色に関する前記2個以上の格子点に対応する2組以上の値を、前記圧縮済補正色変換プロファイルのデータサイズが、前記基準色変換プロファイルを前記特定の方法で圧縮した場合に生成される圧縮済の基準色変換プロファイルのデータサイズよりも小さくなるように変更する、画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記プロファイル生成部は、
前記画像データを解析して、前記第1色空間内の2個以上の格子点を変更対象として決定する格子点決定部と、
決定された前記変更対象の2個以上の格子点に対応する前記第2色空間内の2組以上の値を変更する変更部と、
を備える、画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、
前記基準色変換プロファイルは、前記第2色空間内の前記複数組の値が、前記第1色空間内の前記複数個の格子点の位置に基づく所定の順序に従って配列されたデータを含み、
前記変更部は、
前記格子点決定部によって、前記複数個の格子点のうちの、第1格子点が変更対象でない格子点として決定され、前記第1格子点の順序よりも後の第2格子点が前記変更対象の格子点として決定された場合であって、前記第2格子点と前記第1格子点との間には変更対象でない他の格子点は存在しない場合において、
前記変更対象の前記第2格子点に対応する第2組の値を、前記変更対象でない前記第1格子点に対応する第1組の値と同じ値となるように、変更する、画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置であって、
前記第1色空間内の前記複数個の格子点は、
前記第1色空間内の第1格子点群であって、前記第1格子点群に属する各格子点の第1成分値が互いに同一であり、第2成分値が互いに同一であり、第3成分値が互いに異なると共に、各格子点の前記第1成分値が第1値である、前記第1格子点群と、
前記第1色空間内の第2格子点群であって、前記第2格子点群に属する各格子点の第1成分値が互いに同一であり、第2成分値が互いに同一であり、第3成分値が互いに異なると共に、各格子点の前記第1成分値が前記第1値とは異なる第2値である前記第2格子点群と、
を含み、
前記基準色変換プロファイルは、前記第2色空間内の前記複数組の値のうちの前記第1格子点群に属する各格子点に対応する各組の値と、前記第2色空間内の前記複数組の値のうちの前記第2格子点群に属する各格子点に対応する各組の値とを、この順序で連続して含んでおり、
前記変更対象でない前記第1格子点は、前記第1格子点群に含まれており、前記変更対象である前記第2格子点は、前記第2格子点群に含まれている、画像処理装置。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記格子点決定部は、
前記画像データに含まれる複数の画素データのそれぞれが、前記第1色空間内に定められる複数個の領域のうちのいずれの領域に属するかを特定する特定部であって、前記複数個の領域のそれぞれは、少なくとも1つ以上の格子点に基づいて定められる、前記特定部を備え、
前記格子点決定部は、前記特定の結果に基づいて前記変更対象でない格子点を決定することによって、前記変更対象の2個以上の格子点を決定する、画像処理装置。
【請求項6】
請求項2ないし5のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記格子点決定部は、さらに、前記第1色空間内の前記複数個の格子点のうち、2個以上の特定の格子点を、前記画像データの解析結果に拘わらず、前記変更対象でない格子点に決定する、画像処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像処理装置であって、
前記複数個の格子点は、N×N×N個の格子点であり、
前記2個以上の特定の格子点は、M×M×M個の格子点であり、
前記NおよびMは、(N−1)/(M−1)=kを満たす値であり、
前記N、M、および、kは、N>M≧2,k≧2(M,N,kは整数)を満たす値である、画像処理装置。
【請求項8】
請求項1ないし7に記載の画像処理装置であって、さらに、
前記画像データを生成する画像データ生成部を備え、
前記プロファイル生成部は、生成される前記画像データに応じて前記補正色変換プロファイルを生成し、
前記画像処理装置は、さらに、
前記画像データと前記圧縮済補正色変換プロファイルとを関連付けて出力する出力部を備える、画像処理装置。
【請求項9】
請求項1ないし8に記載の画像処理装置であって、さらに、
前記画像処理装置の外部から前記画像データと、前記画像データに関連付けられる前記基準色変換プロファイルとを取得する取得部を備え、
前記プロファイル生成部は、取得された前記画像データに応じて、取得された前記基準色変換プロファイルを補正して、前記補正色変換プロファイルを生成する、画像処理装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記基準色変換プロファイルは、基準画像データに関連付けられており、
前記画像処理装置は、
前記基準画像データを、少なくとも第1画像データと第2画像データとに分割する分割部を備え、
前記プロファイル生成部は、前記第1画像データに応じて前記基準色変換プロファイルを補正して、第1の前記補正色変換プロファイルを生成し、さらに、前記第2画像データに応じて前記基準色変換プロファイルを補正して、第2の前記補正色変換プロファイルを生成し、
前記圧縮部は、前記第1の補正色変換プロファイルと前記第2の補正色変換プロファイルとを前記特定の方法でそれぞれ圧縮して、第1の前記圧縮済補正色変換プロファイルと第2の前記圧縮済補正色変換プロファイルとを生成し、
前記格納処理部は、前記第1画像データと前記第1の圧縮済補正色変換プロファイルとを関連付けて前記格納部に格納すると共に、前記第2画像データと前記第2の圧縮済補正色変換プロファイルとを関連付けて前記格納部に格納する、画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−38725(P2013−38725A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175466(P2011−175466)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】