説明

画像出力システム、画像出力方法、その方法を実行させるためのプログラム、及び、そのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な情報記録媒体

【課題】 電子写真方式の画像出力装置から出力する画像の高濃度領域と接する近傍の中間調領域の濃度低下の発生を回避し、高品質な画像を出力することが可能な画像出力システム、画像出力方法、その方法を実行させるためのプログラム、及び、そのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な情報記録媒体を提供すること。
【解決手段】 画像データを受け付けて、画像データが示す濃度値に基づいて、中間調領域から当該中間調領域より濃度値が高い高濃度領域へ変化する境界をエッジとして抽出するエッジ抽出手段112と、画像データの中間調領域のうち抽出されたエッジの近傍の濃度値を、予め定めた補正値テーブル113の補正値に基づいて補正する補正手段114と、画像出力装置に対して、補正された画像データに基づいて画像記録媒体上に画像を出力するように制御する画像出力制御手段117とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像出力装置を用いて、印刷物の仕上がりを事前に確認するためのカラープルーフまたは最終完成物を作成するための画像出力システム、画像出力方法、その方法を実行させるためのプログラム、及び、そのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な情報記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、DTP(Desk Top Publishing)等の普及により、コンピュータを用いて画像編集、ページ面付けする作業が一般化し、フルデジタルでの編集も珍しくなくなってきている。
【0003】
このような工程では、さらなる効率化を目指して、フィルムにページ編集済みの画像データを直接出力するイメージセッター出力や、印刷版に直接画像記録を行うCTP(Computer to Plate)出力、さらには、印刷機のシリンダー上に巻かれた印刷版に直接画像記録を行うCTC(Computer to Cylinder)が行われる。
【0004】
また、印刷工程における校正のプロセスでは、(1)作業現場内部ミスの確認、すなわち内校、(2)発注主、デザイナーへの仕上がり確認用の提出される外校、(3)印刷機の機長に対して、最終印刷物の見本として提供される印刷見本、の主として3つの用途にプルーフが作成され、レイアウトに間違いないか、色間違いないか、文字の誤りがないか等を検査し、印刷物の仕上がりを事前に確認するようにしていた。
【0005】
この場合、校正確認の為だけに一端フィルム出力や印刷版出力を行い、印刷校正や、その他の校正材料による校正を行うことは、フィルム、印刷版のムダや余計な作業が多くなる問題がある。
【0006】
その為、特に、このようなコンピュータによるフルデジタルの画像作成、編集を行う工程では、DDCP(Direct Digital Color Proof)ないしはDCP(Digital Color Proof)と呼ばれる直接カラー画像出力を行うシステムが求められ、コンピュータ上で加工されたデジタル画像データからイメージセッターなどで製版用フィルム上に記録したり、CTPで直接印刷版を作成する最終的な印刷作業を行ったり、CTCで印刷機のシリンダー上に巻かれた印刷版に直接画像記録を行ったりなどする前に、コンピュータ上で加工されたデジタル画像が示す出力対象を再現するカラープルーフを作成し、その絵柄、色調、文章文字等の確認が行われていた。
【0007】
このようなカラープルーフを作成するものとして、各色分解網原稿の網点画像データに基づいて、銀塩カラー感光材料に、例えば、R、G、B等の波長の異なる複数の光の組み合わせからなる光点を露光して、3つの基本色Y、M、Cの各ドットを発色させることで網点画像を再現してカラープルーフを作成するカラープルーフ作成装置がある。
【0008】
一方、カラープルーフの様な画質が要求されるものではないが、全体の構図を示し、例えば広告主の承認を得るのに使用されるものとしてコンプリヘンシブ・レイアウト(略称カンプ。以下、カンプと称する。)があり、このカンプを作成するものとして電子写真方式を用いたカラーレーザプリンタが使用されていた。
【0009】
しかしながら、近年のカラーレーザプリンタの高画質化に伴い、安価かつ高速に高品位なカラー出力が可能になってきたことにより、カンプ用途だけではなく、DCCPの用途、つまりカラープルーフの作成にカラーレーザプリンタを使用したいという要求や、カラーレーザプリンタからの出力物を最終完成物として使用したいという要求が高まっている。
【0010】
ところが、一般に、電子写真方式レーザプリンタでは、感光体ドラムはその静電特性により電荷保持部分の周囲に低電界が発生し、これがそのまま現像器により現像されて顕像となることにより、低濃度又は白抜けになることがあり、例えば、出力される画像が副走査方向に中間調領域から背景部に変化する中間調領域の背景部と接する近傍の濃度低下を抑えるように画像データを補正することが提案されている(例えば、特許文献1、及び、特許文献2参照。)。
【0011】
【特許文献1】特開2000−125135号公報
【特許文献2】特開2004−54103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところが、上述した近年のカラーレーザプリンタの高画質化、とりわけ高濃度化に伴って、中間調領域と高濃度領域との濃度差が大きくなり、その中間調領域と高濃度領域とが接するエッジ近傍の中間調領域の濃度低下が目立つようになり、特に、カラープルーフや最終完成物とする場合には、画像品質上の問題となっている。
【0013】
また、上述のエッジ近傍の中間調領域の濃度低下は、カラーレーザプリンタの副走査方向で低濃度部の網点に付着したトナーが後方の高濃度領域の多量のトナーが付着した後の露呈された磁性粒子の電位によって引き戻されるため、副走査方向に中間調領域と高濃度領域とが接するエッジ近傍に現れやすい。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電子写真方式の画像出力装置から出力する画像の高濃度領域と接する近傍の中間調領域の濃度低下の発生を回避し、高品質な画像を出力することが可能な画像出力システム、画像出力方法、その方法を実行させるためのプログラム、及び、そのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な情報記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、画像記録媒体上に画像を出力する画像出力装置を含む画像出力システムであって、画像データを受け付けて、前記画像データが示す濃度値に基づいて、中間調領域から当該中間調領域より濃度値が高い高濃度領域へ変化する境界をエッジとして抽出する抽出手段と、前記画像データの前記中間調領域のうち前記抽出されたエッジの近傍の濃度値を、予め定めた補正値に基づいて補正する補正手段と、前記画像出力装置に対して、前記補正された画像データに基づいて前記画像記録媒体上に画像を出力するように制御する画像出力制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
また、請求項2記載の発明は、前記画像出力装置は、画像を形成するための感光体を副走査方向に移動させつつ、前記感光体に入射するレーザ光を、前記副走査方向と直交する主走査方向に沿って走査し、前記感光体の移動と前記レーザ光の走査を繰り返すことによって画像形成を行うものであって、前記抽出手段は、前記画像データ上の前記副走査方向に対応する方向で、中間調領域から当該中間調領域より濃度値が高い高濃度領域へ変化する境界をエッジとして抽出することを特徴とする。
【0017】
また、請求項3記載の発明は、画像記録媒体を備え、画像を形成するための感光体を副走査方向に移動させつつ、前記感光体に入射するレーザ光を、前記副走査方向と直交する主走査方向に沿って走査し、前記感光体の移動と前記レーザ光の走査を繰り返すことによって画像形成を行う際に、画像サイズと前記備えられた画像記録媒体サイズに応じて、前記画像記録媒体に対する画像を形成する方向を変化させることが可能な、前記画像記録媒体上に画像を出力する画像出力装置を含む画像出力システムであって、画像データを受け付けて、前記画像データに基づく画像の前記画像出力装置における前記画像を形成する方向を確認し、前記確認結果に基づいて前記画像データ上の前記副走査方向に対応する方向を判断する確認手段と、前記画像データが示す濃度値に基づいて、前記判断した方向で、中間調領域から当該中間調領域より濃度値が高い高濃度領域へ変化する境界をエッジとして抽出する抽出手段と、前記画像データの前記中間調領域のうち前記抽出されたエッジの近傍の濃度値を、予め定めた補正値に基づいて補正する補正手段と、前記画像出力装置に対して、前記補正された画像データに基づいて前記画像記録媒体上に画像を出力するように制御する画像出力制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0018】
また、請求項4記載の発明は、前記抽出手段は、中間調領域から当該中間調領域より所定の値以上濃度値が高い高濃度領域へ変化する境界をエッジとして抽出することを特徴とする。
【0019】
また、請求項5記載の発明は、前記抽出手段は、中間調領域からベタ領域へ変化する境界をエッジとして抽出することを特徴とする。
【0020】
また、請求項6記載の発明は、前記補正手段は、前記画像データの前記中間調領域のうち前記抽出されたエッジの近傍の当該エッジから所定の距離以上離れた濃度値を、予め定めた補正値に基づいて補正することを特徴とする。
【0021】
また、請求項7記載の発明は、前記所定の距離は、0.08mm以上0.4mm以下の範囲であることを特徴とする。
【0022】
また、請求項8記載の発明は、前記補正手段は、エッジからの距離が大きくなるにつれて、補正値を小さくして補正することを特徴とする。
【0023】
また、請求項9記載の発明は、前記補正値は、中間調領域の濃度値に対応して定められたもので、前記補正手段は、前記抽出されたエッジの近傍の濃度値を、当該エッジを構成する中間調領域の濃度値に対応する補正値に基づいて補正することを特徴とする。
【0024】
また、請求項10記載の発明は、前記補正値は、高濃度領域の濃度値に対応して定められたもので、前記補正手段は、前記抽出されたエッジの近傍の濃度値を、当該エッジを構成する高濃度領域の濃度値に対応する補正値に基づいて補正することを特徴とする。
【0025】
また、請求項11記載の発明は、前記補正値は、中間調領域の濃度値と高濃度領域の濃度値との組み合わせに対応して定められたもので、前記補正手段は、前記抽出されたエッジの近傍の濃度値を、当該エッジを構成する中間調領域の濃度値及び高濃度領域の濃度値に対応する補正値に基づいて補正することを特徴とする。
【0026】
また、請求項12記載の発明は、前記画像出力装置は、画像記録媒体上に複数の色の画像を重ねてカラー画像を出力するものであって、前記画像データは、前記複数の色のそれぞれについての濃度値を示し、前記抽出手段は、前記複数の色のそれぞれについて前記境界をエッジとして抽出し、前記補正手段は、前記複数の色のそれぞれについて前記補正を行い、前記画像出力装置は、前記複数の色のそれぞれについて補正された画像データに基づいて画像記録媒体上にカラー画像を出力することを特徴とする。
【0027】
また、請求項13記載の発明は、画像出力装置において画像記録媒体上に画像を出力するための画像出力方法であって、画像データを受け付ける段階と前記画像データが示す濃度値に基づいて、中間調領域から当該中間調領域より濃度値が高い高濃度領域へ変化する境界をエッジとして抽出する段階と、前記画像データの前記中間調領域のうち前記抽出されたエッジの近傍の濃度値を、予め定めた補正値に基づいて補正する段階と、前記画像出力装置に対して、前記補正された画像データに基づいて前記画像記録媒体上に画像を出力するように制御する段階と、を含むことを特徴とする。
【0028】
また、請求項14記載の発明は、画像記録媒体を備え、画像を形成するための感光体を副走査方向に移動させつつ、前記感光体に入射するレーザ光を、前記副走査方向と直交する主走査方向に沿って走査し、前記感光体の移動と前記レーザ光の走査を繰り返すことによって画像形成を行う際に、画像サイズと前記備えられた画像記録媒体サイズに応じて、前記画像記録媒体に対する画像を形成する方向を変化させることが可能な画像出力装置において前記画像記録媒体上に画像を出力するための画像出力方法であって、画像データを受け付ける段階と、前記画像データに基づく画像の前記画像出力装置における前記画像形成の方向を確認する段階と、前記確認結果に基づいて前記画像データ上の前記副走査方向に対応する方向を判断する段階と、前記画像データが示す濃度値に基づいて、前記判断した方向で、中間調領域から当該中間調領域より濃度値が高い高濃度領域へ変化する境界をエッジとして抽出する段階と、前記画像データの前記中間調領域のうち前記抽出されたエッジの近傍の濃度値を、予め定めた補正値に基づいて補正する段階と、前記画像出力装置に対して、前記補正された画像データに基づいて前記画像記録媒体上に画像を出力するように制御する段階と、を含むことを特徴とする。
【0029】
また、請求項15記載の発明は、請求項13または請求項14に記載の画像出力方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであることを特徴とする。
【0030】
また、請求項16記載の発明は、請求項15に記載のプログラムを前記コンピュータで読み取り可能に記録した情報記録媒体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
請求項1に記載の画像出力システムによれば、中間調領域とその中間調領域より濃度値の高い高濃度領域の境界であるエッジ近傍の中間調領域の濃度値を補正することにより、エッジ近傍の中間調領域の濃度低下を抑えることができる。
【0032】
請求項2に記載の画像出力システムによれば、副走査方向の中間調領域とその中間調領域より濃度値の高い高濃度領域の境界であるエッジ近傍の中間調領域の濃度値を補正することにより、副走査方向に発生しやすいエッジ近傍の中間調領域の濃度低下を抑えることができる。
【0033】
請求項3に記載の画像出力システムによれば、画像出力装置が、画像サイズと備えられた画像記録媒体サイズに応じて、画像記録媒体に対する画像を形成する方向を変化させることが可能な場合に、画像出力装置における画像形成の方向を確認し、画像形成の際の副走査方向に対応する方向で中間調領域とその中間調領域より濃度値の高い高濃度領域の境界であるエッジを抽出し、そのエッジ近傍の中間調領域の濃度値を補正することにより、副走査方向に発生しやすいエッジ近傍の中間調領域の濃度低下を抑えることができる。
【0034】
請求項4に記載の画像出力システムによれば、エッジを抽出する際の高濃度領域を、中間調領域の濃度値との差が所定の値以上とすることにより、所定の値以上の場合にエッジ近傍の濃度低下を抑え、所定の値未満の場合にエッジのシャープさを保つことができる。
【0035】
請求項5に記載の画像出力システムによれば、副走査方向に発生しやすい高濃度領域がベタ領域の場合の濃度低下を抑えることができる。
【0036】
請求項6に記載の画像出力システムによれば、抽出されたエッジから所定の距離以上離れた濃度値を補正することにより、エッジ近傍の濃度低下を抑えつつエッジのシャープさを保つことができる。
【0037】
請求項7に記載の画像出力システムによれば、抽出されたエッジとの間に所定の距離を0.08mm以上0.4mm以下の範囲とすることにより、エッジ近傍の濃度低下を抑えつつエッジのシャープさを保つことを好適に行うことができる。
【0038】
請求項8に記載の画像出力システムによれば、エッジから遠い位置ではエッジに近い位置に比べて小さい補正値で補正するので、エッジ近傍の濃度低下を抑えつつ補正した部分と元の中間調領域と濃度の段差を抑えた画像を得ることができる。
【0039】
請求項9に記載の画像出力システムによれば、中間調領域の濃度に応じた補正値で補正を行うことができる。
【0040】
請求項10に記載の画像出力システムによれば、高濃度領域の濃度に応じた補正値で補正を行うことができる。
【0041】
請求項11に記載の画像出力システムによれば、中間調領域の濃度と高濃度領域の濃度との組み合わせに応じた補正値で補正を行うことができる。
【0042】
請求項12に記載の画像出力システムによれば、画像出力装置が複数の色の画像を重ねてカラー画像を出力する場合に、エッジ近傍の濃度低下を抑えることができる。
【0043】
請求項13に記載の画像出方法によれば、中間調領域とその中間調領域より濃度値の高い高濃度領域の境界であるエッジ近傍の中間調領域の濃度値を補正することにより、エッジ近傍の中間調領域の濃度低下を抑えることができる。
【0044】
請求項14に記載の画像出方法によれば、画像出力装置が、画像サイズと備えられた画像記録媒体サイズに応じて、画像記録媒体に対する画像を形成する方向を変化させることが可能な場合に、画像出力装置における画像形成の方向を確認し、画像形成の際の副走査方向に対応する方向で中間調領域とその中間調領域より濃度値の高い高濃度領域の境界であるエッジを抽出し、そのエッジ近傍の中間調領域の濃度値を補正することにより、副走査方向に発生しやすいエッジ近傍の中間調領域の濃度低下を抑えることができる。
【0045】
請求項15に記載の発明によれば、請求項13または請求項14に記載の画像出力方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供することができる。
【0046】
請求項16に記載の発明によれば、請求項15に記載のプログラムをコンピュータで読み取り可能に記録した情報記録媒体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
[第1の実施の形態]
以下、本発明に係る画像出力システムの第1の実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0048】
(システムの構成)
まず、本実施の形態における画像出力システムの全体構成について図1を参照して説明する。図1は、当該画像出力システム全体の構成を示す図である。
【0049】
図1に示すように、当該画像出力システムは、クライアント端末3やRIP(Raster・Image・Processor)4から送信された画像データを網点化して、網点化された画像データを出力指示信号とともに画像出力装置であるカラーレーザプリンタ2に送信する制御装置1と、この制御装置1からの出力指示信号及び網点化された画像データに基づく網点画像を出力するカラーレーザプリンタ2と、から構成されており、これらは、互いにネットワークNを介して接続されている。
【0050】
クライアント端末3は、いわゆるPC(Personal Computer)で、コンピュータ本体、キーボードおよびモニタ等に加えて、イメージスキャナ等の画像入力機器などを備え(図示せず)、コンピュータ本体にアプリケーションソフトを備え、アプリケーションソフトを実行させて画像データを作成し、画像データをネットワークNを介してRIP4、または、制御装置1に送信する。また、このようなクライアント端末は、通常、複数台が設けられている(図1では、3台設けられているが、もちろん1台のみの構成や所望の台数からなる構成としてよい)。また、クライアント端末3で作成・送信される画像データの種別には、いわゆるベクタグラフィックスと呼ばれ、画像として示される各オブジェクトを点の座標とそれを結ぶ線や面の方程式のパラメータ、及び、塗りつぶしの色や特殊効果、文字の形状を示す文字フォント情報やそのサイズなどの描画情報の集合で示すベクトルデータや、いわゆるビットマップグラフィックスと呼ばれ、各色の濃度値により示される画素を配列して示すラスターデータがある。また、濃度値とは、例えば白を0%、ベタを100%としその間の中間調を段階的に%で示す網%、例えば白を0、ベタを255としその間の中間調を段階的数値で示す階調値がある。
【0051】
RIP4は、サーバ等で構成され、クライアント端末3から送信されるベクトルデータをネットワークNを通じて受信し、画像、文字フォントなどの情報を解析しラスターデータに変換を行うプロセッサとして機能する。
【0052】
制御装置1は、図2に示すように、コンピュータ本体100、モニタ等の表示部105、キーボード等の入力部106から構成され、コンピュータ本体100は、マイクロプロセッサからなる演算処理部101、メモリからなる第1記憶部102、ハードディスクからなる第2記憶部103、外部との通信のためのインターフェイス104、及び、各部を通信可能にする内部バス107からなる。また、第2記憶部103には画像出力処理のための所定のプログラムが組み込まれ、演算処理部101は、このプログラムを実行して後述の画像処理を行う。また、入力部106に、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROM、磁気記録テープ等の可搬性の情報記録媒体から情報を読取るための装置(図示せず)を含んでいる。
【0053】
ここで、制御装置1の制御構成について図3に示す制御装置1の機能ブロック図を用いて説明する。制御装置1は、図2示した構成により図3に示す各手段の機能を備える(各手段で行う処理の詳細については、画像出力方法において説明する。)。
【0054】
解析加工手段111は、クライアント端末3やRIP4から送信された画像データを受けて、当該画像データを解析して、当該画像データがベクトルデータである場合に、画像、文字フォントなどの情報を解析しラスターデータ化する。
【0055】
エッジ抽出手段112(抽出手段)は、ラスターデータの中間調領域と高濃度領域の境界であるエッジを抽出し、補正手段114は、ラスターデータの抽出されたエッジ近傍の中間調領域の画素の濃度値を、濃度値に対応する補正値を予め記憶した補正値テーブル113を参照し、該当の補正値で補正する。
【0056】
網点化手段116は、補正されたラスターデータを、網点基準データ記憶部115内の網点基準データに基づいて網点化し(以下、網点化された画像データを網点画像データと呼ぶ)、画像出力制御手段117は、通信手段118を介して網点画像データとともに出力指示信号をカラーレーザプリンタ2に対して送信する。ここで行う網点化とは、ラスターデータを、所定の領域の画素で網点を形成し、その網点の大小で濃淡を表現する画像データに変換することである。
【0057】
カラーレーザプリンタ2は、電子写真方式を用いたいわゆるタンデム型カラー複写機と称せられるもので、図4に示すように、原稿を複写する場合に原稿の画像を読取る画像読取部SC、イエロー、マゼンタ、シアン、黒色の各色の画像を形成するそれぞれの画像形成部10Y、10M、10C、10K及び露光手段3Y、3M、3C、3Kと、中間転写体ユニット7と、給紙手段21及び定着手段とを備えている。本実施の形態では、カラーレーザプリンタ2として複写機能を有するタンデム型カラー複写機を用いるが、本発明を実施には複写機能は係わらないため、カラーレーザプリンタ2は、例えばいわゆるタンデム型カラープリンタでよい。
【0058】
画像形成部10Y、10M、10C、10Kは垂直方向に縦列配置されており、感光体1Y、1M、1C、1Kの図示左側にはローラ71、72、73、74を巻回して回動可能に張架された半導電性エンドレスベルト状の中間転写体70が配置されている。
【0059】
そして、中間転写体70は中間転写体駆動ローラ71により中間転写体駆動ローラ71に接続された図示しない駆動装置により矢印方向に搬送されている。
【0060】
イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、感光体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、1次転写ローラ5Y、クリーニング手段6Yを有する。
【0061】
マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、感光体1Mの周囲に配置された帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、1次転写ローラ5M、クリーニング手段6Mを有する。
【0062】
シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、感光体1Cの周囲に配置された帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、1次転写ローラ5C、クリーニング手段6Cを有する。
【0063】
黒色の画像を形成する画像形成部10Kは、感光体1Kの周囲に配置された帯電手段2K、露光手段3K、現像手段4K、1次転写ローラ5K、クリーニング手段6Kを有する。
【0064】
制御装置1から、網点画像データが送信されると、帯電手段2Y、2M、2C、2Kは、それぞれ感光体1Y、1M、1C、1Kを矢印方向に回転させつつ、その表面を所定の極性・電位に一様に帯電させ、露光手段3Y、3M、3C、3Kは、それぞれに対応する色の網点画像データに基づいて図示しないレーザダイオードを変調し、それぞれの感光体1Y、1M、1C、1K上に入射するレーザ光を感光体1Y、1M、1C、1Kの回転方向に対し直角方向に走査し、その回転移動とレーザ光の走査を繰り返して静電潜像を形成する。このレーザ光の走査方向を主走査方向、感光体の回転方向を副走査方向といい、感光体の回転を感光体の副走査方向への移動という。例えば、帯電手段2Y、2M、2C、2Kは、図5に示すように、それぞれ感光体1Y、1M、1C、1Kの表面を負極性の表面電位Vhとなるように帯電処理し、レーザ光によって画像が露光されると、露光部の電位はViまで大きく減衰して、静電潜像が形成される。そして、現像手段4Y、4M、4C、4Kによりそれぞれの色のトナー画像が形成される。
【0065】
ここで、1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kは、選択的に作動するように制御されてそれぞれ対応する感光体1Y、1M、1C、1Kに中間転写体70を押圧する。
【0066】
このようにして、画像形成部10Y、10M、10C、10Kにより感光体1Y、1M、1C、1Kに形成された各色のトナー画像は、1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kにより、回動する中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。
【0067】
また、給紙カセット20内に収容された画像記録媒体としての用紙Pは、終始手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22D、レジストローラ23を経て、2次転写ローラ5Aに搬送され、2次転写ローラ5Aにより中間転写体70上のカラー画像が用紙P上に一括転写される。
【0068】
ここで、2次転写ローラ5Aは、ここを用紙Pが通過して2次転写が行われるときにのみ、中間転写体70及び用紙Pを介しローラ72に圧接する。
【0069】
一方、2次転写ローラ5Aにより用紙Pにカラー画像を転写した後、用紙Pを曲率分離した中間転写体70は、クリーニング手段6Aにより残留トナーが除去される。
【0070】
画像が転写された用紙Pは、定着手段24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
【0071】
以上のような構成により、制御装置1は、画像データを網点画像データ化して、網点画像データに基づいてカラーレーザプリンタ2は、カラープルーフまたは最終完成物を作成することができる。
【0072】
(画像出力方法)
次に、当該画像出力システムにおいて行われる画像出力方法の手順について、図6のフローチャートを用いて説明する。図6は、制御装置1における処理の手順を示すフローチャートである。
【0073】
まず、制御装置1は画像データを受信すると(ステップS101、Y。以下「ステップS101」は「S101」のように省略して表す。他のステップも同様。)、RIP4でラスターデータ化されたものであれば(S102、Y)S104に遷移し、ベクトルデータの場合には(S102、N)、解析加工手段111でラスターデータ化して(S103)S104に遷移する。
【0074】
ここでラスターデータの構成について説明する。ラスターデータは、上述したように各色の濃度値により示される画素を配列して示すものであるが、詳細には、図7に示すように、横方向に所定の間隔(解像度)で配置された複数の画素で1ラインを構成し、さらにラインが縦方向に所定の間隔で並べられて構成され、画素は、濃度値としてYMCKの各色の網%で示されている。また、本例では、カラーレーザプリンタ2は、横方向つまりラインの方向をレーザ光の走査方向として画像を形成するようになされており、図6の横方向が主走査方向、縦方向が副走査方向となる。
【0075】
S104では、エッジ抽出手段112が、各色について、図8に示すようなラスターデータの中間調領域とその中間調領域より濃度値の高い高濃度領域の境界であるエッジを抽出する。
【0076】
このエッジの抽出は、例えば、副走査方向に中間調領域からその中間調領域の濃度値よりも高い高濃度領域への変化点をエッジとして抽出したり、また、例えば、主走査方向に中間調領域から高濃度領域への変化点をエッジとして抽出したりしてもよい。また、例えば、所定の濃度値以下の中間調領域について行うようにしたり、中間調領域と高濃度領域との濃度値の差が所定の値以上の場合にエッジとして抽出したり、また、変化点の前後に中間調領域及び高濃度領域が所定の画素数連続する場合にエッジとして抽出するようにしてもよい。また、高濃度領域がベタ部(網%:100%)の場合にエッジとして検出するようにすれば、特に、濃度低下の発生しやすい中間調領域のベタ部とのエッジ近傍について、濃度低下を抑えることができる。
【0077】
また、エッジ抽出手段112のエッジの抽出は、ラスターデータに限らず、ベクトルデータを用いて、各オブジェクトの描画情報から中間調領域と高濃度領域の境界であるエッジを抽出することも可能である。
【0078】
そして、S105において、補正手段114は、各色について、抽出されたエッジ近傍の中間調領域の画素の濃度値を、補正値テーブル113を参照して補正する。
【0079】
濃度値の補正の一例について、図9、図10及び図11を用いて説明する。例えば、図9(a)に示すようにエッジ近傍の幅Wについての濃度値を補正する。このような補正により、エッジ近傍の中間調領域の濃度低下を抑えた画像を得ることができる。また、幅Wは1mmから20mmの範囲にすることにより濃度低下に対して好適に作用する。濃度値の補正量は、例えば、中間調領域の濃度値と高濃度領域の濃度値とから求める。図10に一例を示すが、図10は、例えば、中間調領域の濃度値である網%が1%から60%で、高濃度領域の網%が60%から100%、且つ、高濃度領域と中間調領域との網%の差が30以上の場合に補正を行うように、中間調領域の濃度値と高濃度領域の濃度値との組み合わせに対応して定めた補正値テーブル113である。ただし、濃度低下は、高濃度領域と中間調領域との濃度値の差が大きい場合に出やすいので、高濃度領域と中間調領域との網%の差が60%以上の場合に補正を行うようにしてもよく、この場合には、高濃度領域と中間調領域との網%の差が小さい場合にエッジの見た目をシャープに保つことができる。また、この補正値テーブル113に記憶された補正値は、予め実験等を行い定めた数値である。図10の補正値テーブル113には、中間調領域の3つの網%と高濃度領域の3つの網%による組み合わせについてその補正値を定めたものであるが、その他の中間調領域の網%と高濃度領域の網%との組み合わせについては、補間して求めればよい。例えば、図11(a)に示すようにラスターデータの濃度値を補正される。図11(a)には、補正前の濃度値と補正後の濃度値を示す。また、補正値が中間調領域の濃度値に対応して定めたもので、中間調領域の濃度値に対応して補正を行い、または、高濃度領域の濃度値に対応して定めたもので、高濃度領域の濃度値に対応して補正を行うものでもよい。
【0080】
また、例えば、図9(b)に示すようにエッジ近傍の幅Wについての濃度値を、エッジ近傍の補正量を上述のように求め、幅Wの間に補正量が小さくなる(図では0)となるように傾斜状に補正する。このような補正により、補正した部分と元の中間調領域と濃度の段差を抑えた画像を得ることができる。例えば、図11(b)に示すようにラスターデータの濃度値を補正される。図11(b)には、補正前の濃度値と補正後の濃度値を示す。
【0081】
また、例えば、図9(c)に示すようにエッジからCの距離を開けてエッジ近傍の幅Wについての濃度値を補正する。このように距離Cを設けることにより、エッジの見た目をシャープに保つことができる。この距離Cは、例えば、0.1mm程度、カラーレーザプリンタの解像度が600dpi(dot per inch)の場合には、2ドット分、約0.085mm程度以上設ければよい。ただし、0.4mmを超えるとエッジ近傍の中間調領域の濃度低下が目立ちはじめる。したがって、距離Cは、0.08mm以上0.4mm以下でよく、さらに好ましくは、0.2mm以上0.3mm以下とすることによりエッジの見た目のシャープさ及びエッジ近傍の中間調領域の濃度低下に対し好適である。例えば、図11(c)に示すようにラスターデータの濃度値を補正される。図11(c)には、補正前の濃度値と補正後の濃度値を示す。
【0082】
また、例えば、図9(d)に示すようにエッジからCの距離を設けてエッジ近傍の幅Wの間に補正量が小さくなるように傾斜状に補正してもよい。例えば、図11(d)に示すようにラスターデータの濃度値を補正される。図11(d)には、補正前の濃度値と補正後の濃度値を示す。
【0083】
さらに、S106で、各色の補正されたラスターデータを、網点基準データ記憶部115内の網点基準データに基づいて、網点画像データに変換する。例えば、網点化の一例として、図12(a)に示すようにラスターデータを5画素×5画素の領域ごとに分けて、各領域で1つの網点を2値で示される画素で形成する場合を説明する。例えば、ラスターデータの濃度値の大小に応じてその領域内の網点の大きさが大小に変化するように、図12(c)に示すような所定の規則にしたがって配置された閾値群からなる網点基準データを網点基準データ記憶部115内に記憶しておく。図12(b)に、図12(a)に示したラスターデータのある5画素×5画素の領域の各画素の濃度値を網%で示したが、この各画素の網%を網点基準データの対応する位置の閾値と比較し、網%が閾値と同じ若しくは大きい場合に「1」とし小さい場合に「0」とすることにより、図12(b)に示したラスターデータは、図12(d)に示すように変換される。図12(d)は、図12(e)に示す網点画像データの図12(b)に示した領域の図12(a)に示すラスターデータ上の位置に相当する。また、図12(d)に示すような5画素×5画素の領域の「1」の画素により、網点を形成する。ここでは、網点を2値で示される画素で形成する例を示したが、網点を多値で示される画素で形成するように、所定の規則にしたがって配置された閾値群からなる複数の網点基準データを用いて網点化してもよい。
【0084】
そして、S107で、画像出力制御手段117は、通信手段118を介して、各色の網点画像データとともに出力指示信号をカラーレーザプリンタ2に対して送信する。
【0085】
カラーレーザプリンタ2は、各色の網点画像データの各画素に示された2値データに基づいてカラー画像を形成して、カラープルーフまたは最終完成物として出力する。言うまでも無いが、網点画像データの各画素が多値で示される場合には、多値データに基づいてカラー画像を形成して、カラープルーフまたは最終完成物として出力する。
【0086】
また、上述の説明では、制御装置1は、補正したラスターデータを網点化し、網点画像データをカラーレーザプリンタ2に送信し、カラーレーザプリンタ2は網点画像データに基づいて網点画像を形成し出力するように説明したが、制御装置1が、補正したラスターデータのままカラーレーザプリンタ2に送信し、カラーレーザプリンタ2は各画素をラスターデータが示す濃度値に基づいて形成し画像を出力するものであってもよく、その場合にも、中間調領域とその中間調領域より濃度値の高い高濃度領域の境界であるエッジ近傍の中間調領域の濃度値を補正することにより、エッジ近傍の濃度低下に対して好適に作用する。
【0087】
[第2の実施の形態]
次に、本発明に係る第2の実施の形態について説明する。なお、以下には第1の実施の形態と実質的に同様の構成については、詳細な説明を省略し、主に異なる点について述べる。
【0088】
本実施の形態は、カラーレーザプリンタ2が、制御装置1から送信された網点画像データの縦方向及び横方向サイズと、給紙カセット20内に収容された用紙Pの縦方向及び横方向のサイズとを比較して、網点画像データが一枚の用紙Pに収まるように、用紙Pに対する画像の形成方向を自動的に90度回転させることが可能な場合に、図13の機能ブロック図に示すように、制御装置1は、当該網点画像データに変換されるラスターデータについて中間調領域とその中間調領域より濃度値の高い高濃度領域の境界であるエッジを抽出する前に、カラーレーザプリンタ2が、当該画像データを変換して得られる網点画像データに基づく画像を用紙Pに対して回転して画像形成を行うか回転を行わずに画像形成を行うかを確認し、ラスターデータ上の副走査方向に対応する方向を判断する画像形成方向確認手段119(確認手段)を備え、エッジ抽出手段112は、その判断した方向で中間調領域からその中間調領域の濃度値よりも高い高濃度領域への変化点をエッジとして抽出し、補正手段114は、抽出されたエッジ近傍の中間調領域の画素の濃度値を補正するものである。
【0089】
画像形成方向確認手段119は、例えば、網点画像データに変換されるラスターデータから算出して得られる画像の縦方向及び横方向のサイズからカラーレーザプリンタ2に対して回転して画像形成を行うか回転を行わずに画像形成を行うかを確認するもの、または、例えば、給紙カセット20内に収容された用紙Pの縦方向及び横方向のサイズ情報と、網点画像データを回転させる方向情報とをカラーレーザプリンタ2から取得し、用紙Pの縦方向及び横方向のサイズ情報と網点画像データに変換されるラスターデータから算出して得られる画像の縦方向及び横方向のサイズとを比較して、カラーレーザプリンタ2が回転して画像形成を行うか回転を行わずに画像形成を行うかを判定して画像形成方向を確認するものであればよい。
【0090】
(画像出力方法)
次に、第2の実施の形態の画像出力システムにおいて行われる画像出力方法の手順について、図14のフローチャートを用いて説明する。図14は、制御装置1における処理の手順を示すフローチャートである。
【0091】
まず、制御装置1は画像データを受信すると(S201)、RIP4でラスターデータ化されたものであれば(S202、Y)S104に遷移し、ベクトルデータの場合には(S202、N)、解析加工手段111でラスターデータ化して(S203)S204に遷移する。
【0092】
S204は、画像形成方向確認手段119が、上述したように画像形成方向を確認する。カラーレーザプリンタ2において形成する画像の回転方向を、一例として時計方向に90度として以下の説明をすると、回転して画像形成を行う場合には(S205、Y)、画像形成方向確認手段119は、図7のラスターデータに示す横方向を副走査方向と判断し、エッジ抽出手段112は、その横方向に中間調領域からその中間調領域の濃度値よりも高い高濃度領域への変化点をエッジとして抽出し(S207)、回転せずに画像形成を行う場合には(S205、N)、画像形成方向確認手段119は、図7のラスターデータに示す縦方向を副走査方向と判断し、エッジ抽出手段112は、その縦方向に中間調領域からその中間調領域の濃度値よりも高い高濃度領域への変化点をエッジとして抽出する(S206)。
【0093】
そして、S208において、補正手段114は、各色について、抽出されたエッジ近傍の中間調領域の画素の濃度値を、第1の実施の形態と同様に補正する。
【0094】
さらに、S209で、各色の補正されたラスターデータを、網点基準データ記憶部115内の網点基準データに基づいて、網点画像データに変換し、S107で、画像出力制御手段117は、通信手段118を介して、各色の網点画像データとともに出力指示信号をカラーレーザプリンタ2に対して送信する。
【0095】
このように、カラーレーザプリンタにおける画像形成方向を確認して、画像を形成する際の副走査方向のエッジ近傍の画像データの濃度値を補正することにより、カラーレーザプリンタが画像データの縦方向及び横方向のサイズに応じて自動的に画像データを回転して画像形成する場合であっても、副走査方向に発生しやすい中間調領域の濃度低下を抑えることができる。
【0096】
[プログラム及びこれを記録する情報記録媒体]
尚、当該画像出力システムを構成する制御装置1において行われる処理、具体的には、図6または図14を参照しながら説明した画像出力方法の処理手順を当該制御装置1のコンピュータにおいて実行させるためのプログラムは、制御装置1のコンピュータ本体に内蔵、若しくは、接続される情報記録媒体に記録されており、同じくコンピュータ本体に内蔵される演算手段としての演算処理部101によって、これが読み出されて実行されるものとする。
【0097】
尚、上述した情報記録媒体の具体例としては、例えばROM、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、HDD、並びに、集積回路等のメモリ装置、光ディスク、光磁気ディスク(CD−ROM/DVD−RAM/DVD−ROM/MO等)、磁気記録媒体<磁気ディスク>(ハードディスク/フロッピー(登録商標)ディスク/ZIP等)等を挙げることができる。
【0098】
尚、本実施形態における画像出力システム、画像出力方法、その方法を実行させるためのプログラム、及び、そのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な情報記録媒体は、本発明の好適な一実施形態を例示したものであり、その他の実施形態を除外するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明に係る画像出力システムの第1の実施の形態におけるシステム構成を表す構成図である。
【図2】図1に示す画像出力システムの制御装置の構成を表すブロック図である。
【図3】図1に示す画像出力システムにおける制御装置の制御構成を表す機能ブロック図である。
【図4】図1に示す画像出力システムのカラーレーザプリンタの概略機械構成を示す断面図である。
【図5】カラーレーザプリンタの感光体の表面上の電位の状態を説明するための図である。
【図6】第1の実施の形態における画像出力方法の手順を示すフローチャートである。
【図7】ラスターデータについて説明するための説明図である。
【図8】中間調領域と高濃度領域の境界であるエッジについて説明するための説明図である。
【図9】(a)乃至(d)は、それぞれ抽出されたエッジ近傍の中間調領域の画素の濃度値の補正の一例について説明するための説明図である。
【図10】エッジ近傍の中間調領域の画素の濃度値の補正に用いる補正値テーブルの一例を示す図である。
【図11】(a)乃至(d)は、それぞれ抽出されたエッジ近傍の中間調領域の画素の濃度値の補正の一例について説明するための説明図である。
【図12】網点基準データを用いて行うラスターデータの網点画像データへの変換を説明するための説明図である。
【図13】第2の実施の形態の画像出力システムにおける制御装置の制御構成を表す機能ブロック図である。
【図14】第2の実施の形態における画像出力方法の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0100】
1 制御装置
100 コンピュータ本体
101 演算処理部
102 第1記憶部
103 第2記憶部
104 インターフェイス
105 表示部
106 入力部
107 内部バス
111 解析加工手段
112 エッジ抽出手段
113 補正値テーブル
114 補正手段
115 網点基準データ記憶部
116 網点化手段
117 画像出力制御手段
118 通信手段
119 画像形成方向確認手段
2 カラーレーザプリンタ
3 クライアント端末
4 RIP
N ネットワーク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像記録媒体上に画像を出力する画像出力装置を含む画像出力システムであって、
画像データを受け付けて、前記画像データが示す濃度値に基づいて、中間調領域から当該中間調領域より濃度値が高い高濃度領域へ変化する境界をエッジとして抽出する抽出手段と、
前記画像データの前記中間調領域のうち前記抽出されたエッジの近傍の濃度値を、予め定めた補正値に基づいて補正する補正手段と、
前記画像出力装置に対して、前記補正された画像データに基づいて前記画像記録媒体上に画像を出力するように制御する画像出力制御手段と、を備えることを特徴とする画像出力システム。
【請求項2】
前記画像出力装置は、画像を形成するための感光体を副走査方向に移動させつつ、前記感光体に入射するレーザ光を、前記副走査方向と直交する主走査方向に沿って走査し、前記感光体の移動と前記レーザ光の走査を繰り返すことによって画像形成を行うものであって、
前記抽出手段は、前記画像データ上の前記副走査方向に対応する方向で、中間調領域から当該中間調領域より濃度値が高い高濃度領域へ変化する境界をエッジとして抽出する請求項1に記載の画像出力システム。
【請求項3】
画像記録媒体を備え、画像を形成するための感光体を副走査方向に移動させつつ、前記感光体に入射するレーザ光を、前記副走査方向と直交する主走査方向に沿って走査し、前記感光体の移動と前記レーザ光の走査を繰り返すことによって画像形成を行う際に、画像サイズと前記備えられた画像記録媒体サイズに応じて、前記画像記録媒体に対する画像を形成する方向を変化させることが可能な、前記画像記録媒体上に画像を出力する画像出力装置を含む画像出力システムであって、
画像データを受け付けて、前記画像データに基づく画像の前記画像出力装置における前記画像を形成する方向を確認し、前記確認結果に基づいて前記画像データ上の前記副走査方向に対応する方向を判断する確認手段と、
前記画像データが示す濃度値に基づいて、前記判断した方向で、中間調領域から当該中間調領域より濃度値が高い高濃度領域へ変化する境界をエッジとして抽出する抽出手段と、
前記画像データの前記中間調領域のうち前記抽出されたエッジの近傍の濃度値を、予め定めた補正値に基づいて補正する補正手段と、
前記画像出力装置に対して、前記補正された画像データに基づいて前記画像記録媒体上に画像を出力するように制御する画像出力制御手段と、を備えることを特徴とする画像出力システム。
【請求項4】
前記抽出手段は、中間調領域から当該中間調領域より所定の値以上濃度値が高い高濃度領域へ変化する境界をエッジとして抽出する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像出力システム。
【請求項5】
前記抽出手段は、中間調領域からベタ領域へ変化する境界をエッジとして抽出する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像出力システム。
【請求項6】
前記補正手段は、前記画像データの前記中間調領域のうち前記抽出されたエッジの近傍の当該エッジから所定の距離以上離れた濃度値を、予め定めた補正値に基づいて補正する請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の画像出力システム。
【請求項7】
前記所定の距離は、0.08mm以上0.4mm以下の範囲である請求項6に記載の画像出力システム。
【請求項8】
前記補正手段は、エッジからの距離が大きくなるにつれて、補正値を小さくして補正する請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の画像出力システム。
【請求項9】
前記補正値は、中間調領域の濃度値に対応して定められたもので、
前記補正手段は、前記抽出されたエッジの近傍の濃度値を、当該エッジを構成する中間調領域の濃度値に対応する補正値に基づいて補正する請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の画像出力システム。
【請求項10】
前記補正値は、高濃度領域の濃度値に対応して定められたもので、
前記補正手段は、前記抽出されたエッジの近傍の濃度値を、当該エッジを構成する高濃度領域の濃度値に対応する補正値に基づいて補正する請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の画像出力システム。
【請求項11】
前記補正値は、中間調領域の濃度値と高濃度領域の濃度値との組み合わせに対応して定められたもので、
前記補正手段は、前記抽出されたエッジの近傍の濃度値を、当該エッジを構成する中間調領域の濃度値及び高濃度領域の濃度値に対応する補正値に基づいて補正する請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の画像出力システム。
【請求項12】
前記画像出力装置は、画像記録媒体上に複数の色の画像を重ねてカラー画像を出力するものであって、
前記画像データは、前記複数の色のそれぞれについての濃度値を示し、
前記抽出手段は、前記複数の色のそれぞれについて前記境界をエッジとして抽出し、
前記補正手段は、前記複数の色のそれぞれについて前記補正を行い、
前記画像出力装置は、前記複数の色のそれぞれについて補正された画像データに基づいて画像記録媒体上にカラー画像を出力する請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の画像出力システム。
【請求項13】
画像出力装置において画像記録媒体上に画像を出力するための画像出力方法であって、
画像データを受け付ける段階と
前記画像データが示す濃度値に基づいて、中間調領域から当該中間調領域より濃度値が高い高濃度領域へ変化する境界をエッジとして抽出する段階と、
前記画像データの前記中間調領域のうち前記抽出されたエッジの近傍の濃度値を、予め定めた補正値に基づいて補正する段階と、
前記画像出力装置に対して、前記補正された画像データに基づいて前記画像記録媒体上に画像を出力するように制御する段階と、を含むことを特徴とする画像出力方法。
【請求項14】
画像記録媒体を備え、画像を形成するための感光体を副走査方向に移動させつつ、前記感光体に入射するレーザ光を、前記副走査方向と直交する主走査方向に沿って走査し、前記感光体の移動と前記レーザ光の走査を繰り返すことによって画像形成を行う際に、画像サイズと前記備えられた画像記録媒体サイズに応じて、前記画像記録媒体に対する画像を形成する方向を変化させることが可能な画像出力装置において前記画像記録媒体上に画像を出力するための画像出力方法であって、
画像データを受け付ける段階と、
前記画像データに基づく画像の前記画像出力装置における前記画像形成の方向を確認する段階と、
前記確認結果に基づいて前記画像データ上の前記副走査方向に対応する方向を判断する段階と、
前記画像データが示す濃度値に基づいて、前記判断した方向で、中間調領域から当該中間調領域より濃度値が高い高濃度領域へ変化する境界をエッジとして抽出する段階と、
前記画像データの前記中間調領域のうち前記抽出されたエッジの近傍の濃度値を、予め定めた補正値に基づいて補正する段階と、
前記画像出力装置に対して、前記補正された画像データに基づいて前記画像記録媒体上に画像を出力するように制御する段階と、を含むことを特徴とする画像出力方法。
【請求項15】
請求項13または請求項14に記載の画像出力方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項16】
請求項15に記載のプログラムを前記コンピュータで読み取り可能に記録した情報記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−13769(P2006−13769A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−186331(P2004−186331)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】