画像加熱装置
【課題】送風手段から送風される加熱回転体、加圧部材の少なくとも一方の非通紙領域において、記録紙の幅方向に均一な温度となるような冷却を可能とする画像加熱装置を提供する。
【解決手段】加熱回転体、加圧部材の少なくとも一方への送風を行う送風手段と、送風手段から加熱回転体、加圧部材の少なくとも一方へ送風される加熱回転体の回転軸方向における送風領域を非通紙領域に規制すると共に、送風手段から送風される加熱回転体、加圧部材の少なくとも一方の非通紙領域において、記録材の通紙領域から遠い側に到達する送風量を、通紙領域に近い側に到達する送風量より小さくする送風規制手段と、を有する。
【解決手段】加熱回転体、加圧部材の少なくとも一方への送風を行う送風手段と、送風手段から加熱回転体、加圧部材の少なくとも一方へ送風される加熱回転体の回転軸方向における送風領域を非通紙領域に規制すると共に、送風手段から送風される加熱回転体、加圧部材の少なくとも一方の非通紙領域において、記録材の通紙領域から遠い側に到達する送風量を、通紙領域に近い側に到達する送風量より小さくする送風規制手段と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式や静電記録方式等を採用した、プリンタ、複写機、ファクシミリ、或いはそれらの機能を複数備えた複合機等の画像形成装置に用いられ、記録材上の画像を加熱する画像加熱装置に関する。
【0002】
この画像加熱装置としては、例えば、記録材上の未定着画像を定着する定着装置や、記録材に定着された画像を加熱することにより画像の光沢を増大させる光沢増大化装置等を挙げることができる。
【背景技術】
【0003】
上記のような画像形成装置は、作像手段によりシート状の記録材(以下、紙とも記す)に未定着トナー像を形成した後、定着手段により、該トナー像を固着像として定着させている。複写機やプリンタに搭載される加熱定着装置として、薄いフィルム状のスリーブと、スリーブの内面に接触するセラミックヒータと、スリーブを挟んでセラミックヒータとニップ部を形成する加圧ローラと、を有する構成のものが実用化されている。この加熱定着装置は、ニップ部でトナー像を担持する記録材を搬送しつつトナー像を記録材に加熱定着する。
【0004】
この加熱定着装置(フィルム加熱方式と称している)は、非常に低熱容量であるため、定着可能温度までのウォームアップが早くプリント待ち時間が短く、プリント指令を待つ待機状態での消費電力が少ない等の利点がある。スリーブの材質はポリイミドやステンレスであり。セラミックヒータは、アルミナや窒化アルミ等の、耐熱性、熱伝導性、電気絶縁性、に優れた板状のセラミック製基板に、銀、パラジウムを主成分とした発熱抵抗体を印刷したものである。このセラミックヒータに接触するサーミスタの検知温度に基づき、発熱抵抗体への通電が制御され、ヒータの温度を管理している。
【0005】
一方、一台の複写機やプリンタで使用できる記録材(記録紙)のサイズは通常複数ある。特に小サイズの記録材に形成されたトナー像を加熱定着する場合、記録材が通過する領域ではセラミックヒータの熱が記録材に奪われるが、記録材が通過しない領域ではセラミックヒータの熱が記録材に奪われないために過昇温することがある。過度の昇温は加熱定着装置の耐久性を下げる原因になり、また、小サイズ紙の定着行程に続いて大サイズ紙の定着を行なう場合、トナー像がホットオフセットしてしまう等の画像不良の原因にもなるので好ましくない。
【0006】
そこで、記録材のサイズに応じてセラミックヒータの長手方向の発熱分布を変えられる加熱定着装置が、特許文献1に開示されている。この加熱定着装置に搭載されているセラミックヒータは、セラミック基板上に長手方向中央の抵抗値が両端より大きい第1の発熱抵抗体と、両端の抵抗値が中央より大きい第2の発熱抵抗体と、を有している。そして、この二本の発熱抵抗体への通電が個別に制御可能になっている。この場合、長手方向中央が全てのサイズの記録材が通過する記録材の搬送基準である。第1の発熱抵抗体と第2の発熱抵抗体への通電比率を種々設定することにより、セラミックヒータ全体としての発熱分布を種々設定することができる。
【0007】
例えば、小サイズ紙の場合、長手方向中央の抵抗値が両端より大きい第1の発熱抵抗体の発熱比率を大きく、両端の抵抗値が中央より大きい第2の発熱抵抗体の発熱比率を小さく設定する。これにより、セラミックヒータ全体としては、長手方向中央付近の発熱割合を大きく、長手方向両端部付近の発熱割合を小さく設定することが可能となる。
【0008】
しかしながら、上記のように。第1の発熱抵抗体と第2の発熱抵抗体への通電比率を種々設定することにより、セラミックヒータの非通紙領域の過昇温を抑制できたとしても、記録材の非通紙領域の発熱量をゼロとすることはできない。印刷速度が速い場合や、厚紙を通紙した場合などは、通紙領域の奪熱量が大きなることによって、ヒータ全体の発熱量が大きくなる。そのため、非通紙領域の発熱量も大きくなり、非通紙領域の過昇温が避けられなくなる。
【0009】
その場合、非通紙部昇温を防止するべく、定着装置に送風ファンを設けて、非通紙部の加熱回転体や加圧回転体に空冷することにより、その温度上昇を押さえる構成が、特許文献2、特許文献3に記載されている。特許文献2の定着装置は、冷却用ファンから回転加熱体の非通紙域側に冷却風を送風している。
【0010】
また、小サイズ紙の通紙時に、定着領域の温度を検出する素子を備え、その信号値により、送風ファンのON−OFF制御を行っている。特許文献3の定着装置は、冷却用ファンから非通紙域側に冷却風を送風する際に、使用する記録材の幅に応じて、送風口の幅方向の長さをシャッタによって調節することによって、異なった幅サイズの記録材に対しても、非通紙部昇温を防止している。
【0011】
また、図12に別の従来例として、定着スリーブ冷却用ファンとダクト、送風口の幅方向の長さを調節するシャッタを備えた非通紙部昇温防止用の冷却装置と、加圧ローラに送風するファン、ダクトを備えた定着装置を示す。図12において、40a,40bは、非通紙部の定着スリーブ22を冷却するための送風ファンであり、45a.45bは、送風ファン40a,40bの冷却風を定着スリーブまで導くための定着スリーブ冷却ダクトである。
【0012】
また、50a、50bは、冷却ファン40a.40bと定着スリーブ22の間で前記ダクト45a,45bの出口に配置されたシャッタである。このシャッタ50a、50bは、通紙する紙サイズに合わせて変位可能であり、定着スリーブ22の加熱通紙領域より外側の非通紙領域を均一に冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平10−177319号公報
【特許文献2】特開昭60−136779号公報
【特許文献3】特開2008−32903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
前述したように、近年低熱容量の省エネ型定着方式でかつ印字生産性の高い画像加熱装置(例えばA4用紙で毎分50枚以上)が実用に供されているが、非通紙部昇温抑制のためのヒータ構成、過昇温部の空冷機構により装置の機構は複雑化する傾向にある。ここで、上述したように過昇温した部分を空冷することは、省エネ性を劣化させることから、非通紙領域の過昇温を極力防止するとともに、非通紙領域の空冷を必要最小限とすることが求められる。
【0015】
特に小サイズ紙の場合、通紙領域と非通紙領域の境界付近は過昇温の度合いが大きく、通紙領域と非通紙領域の境界から離れた長手方向端部付近は過昇温の度合いが小さくなっている。このため、非通紙領域を均等に空冷してしまうと端部付近が過冷却となり、長手方向の温度ムラが大きくなってしまう。そして、長手方向の温度ムラは、加圧ローラの熱膨張量に差が生じて定着スリーブのねじれなどの原因となるため、非通紙領域において長手方向に均一な温度となるような冷却が必要となる。
【0016】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであり、非通紙領域において、長手方向(加熱回転体の回転軸方向)に均一な温度となるような冷却を可能とする画像加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像加熱装置は、加熱回転体と、前記加熱回転体に対向して設けられ、前記加熱回転体との間に形成されるニップ部に画像を担持した記録材を挟持搬送する加圧部材と、前記加熱回転体、前記加圧部材の少なくとも一方への送風を行う送風手段と、前記送風手段から前記加熱回転体、前記加圧部材の少なくとも一方へ送風される前記加熱回転体の回転軸方向における送風領域を非通紙領域に規制すると共に、前記非通紙領域において記録材の通紙領域から遠い側に到達する送風量を、通紙領域に近い側に到達する送風量より小さくする送風規制手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、非通紙領域において、長手方向(加熱回転体の回転軸方向)に均一な温度となるような冷却を可能とする画像加熱装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)は第1の実施形態に係る画像加熱装置としての定着装置の記録材搬送方向に眺めた斜視図、(b)は通紙される逆方向から眺めた斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係る定着装置を搭載した画像形成装置の横断面模式図である。
【図3】(a)、(b)、(c)は夫々紙幅の異なる記録紙を通紙する場合の、送風規制手段としてのシャッタの動作を示す平面図である。
【図4】第1の実施形態に係る定着装置の部分断面模式図である。
【図5】第1の実施形態に係る定着装置の部分分解斜視図である。
【図6】加熱回転体に関連するメインヒータ、及びサブヒータの抵抗値分布を示す模式図である。
【図7】加熱回転体に関連するメインヒータ、及びサブヒータの給電制御系のブロック図である。
【図8】最大幅の記録材を通紙するときのヒータの発熱分布とシャッタの位置を示す模式図である。
【図9】中間幅の記録材を通紙するときのヒータの発熱分布とシャッタの位置を示す模式図である。
【図10】最小幅の記録材を通紙するときのヒータの発熱分布とシャッタの位置を示す模式図である。
【図11】(a)、(b)、(c)は夫々異なるシャッタ形状を示す平面図である。
【図12】従来例における送風装置を備えた定着装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
《第1の実施形態》
(画像形成装置)
図2は、本実施形態に係る画像加熱装置を搭載した画像形成装置の概略構成図である。画像形成装置は、像担持体としての感光ドラム10を備え、感光ドラム10は駆動手段である不図示の本体駆動モータによって、矢印の方向に所定のプロセススピードで回転駆動される。ここでは画像形成装置のプロセススピードは250mm/secである。感光ドラム10の周囲には、その回転方向に沿って順に、帯電装置としての帯電ローラ11、露光装置8、現像装置14、転写装置としての転写ローラ12等が配置されている。これらの装置と感光体ドラムとによって、記録材に画像を形成する画像形成手段を構成している。
【0021】
また、装置本体下部には、記録材(紙、印刷紙、用紙シート、OHTシート、光沢紙、光沢フィルム等)Pを収納した給送カセット1が配置されている。また、記録材Pの搬送経路に沿って順に、給送ローラ7、搬送ローラ5、感光ドラム10と転写ローラ12、搬送ガイド4、6、13、定着装置F、排出ローラ35、排出トレイ34が配置されている。
【0022】
次に、上述した構成の画像形成装置の動作を説明する。不図示の本体駆動モータによって矢印方向に回転駆動された感光ドラム10は、帯電ローラ11によって所定の極性、所定の電位に均一に帯電される。露光装置8はレーザスキャナであり、不図示のコンピュータ・画像読取装置等のホスト装置から入力される目的の画像情報の信号に対応したレーザ光を出力し、そのレーザ光で折り返しミラー9を介して感光ドラム10面を走査露光する。すると、感光ドラム10の露光部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。静電潜像は、現像装置14によって現像される。
【0023】
現像装置14は、現像ローラを有し、この現像ローラに現像バイアスを印加して感光ドラム10上の静電潜像にトナーを付着させトナー像として現像(顕像化)する。感光ドラム10上のトナー像は、転写ローラ12によって記録材Pに転写される。
【0024】
一方、記録材Pは、給送カセット1から給送ローラ7によって一枚ずつ給送され、搬送ローラ5によって感光ドラム10と転写ローラ12間の転写ニップ部に向けて搬送される。このとき記録材Pは、不図示のトップセンサによって先端が検知され、感光ドラム10上のトナー像と同期がとられる。転写ローラ12には、転写バイアスが印加され、これにより、感光ドラム10上のトナー像が記録材P上の所定の位置に転写される。転写によって表面に未定着トナー像を担持した記録材Pは、搬送ガイド13を沿って定着入口ガイド16に搬送され、像加熱装置としての定着装置Fに案内される。
【0025】
未定着トナー像はここで加熱、加圧されて記録材P上に定着される。トナー像が定着された記録材Pは、排出分離ガイド29に沿って分離ガイドローラ33へと搬送され、排出ローラ35から装置本体上面の排出トレイ34上に排出される。以上の動作を繰り返すことで、次々に画像形成を行うことができる。
【0026】
(画像加熱装置)
以下に説明する画像加熱装置としての定着装置又はこれを構成している部材について、「長手方向」とは記録材搬送路面内において記録材搬送方向に直交する方向であり、また後述する可撓性ベルト部材である定着ベルト、加圧ローラの回転軸方向である。定着装置に関して、「正面」とは、記録材導入側の面、「左右」とは装置を正面から見て左又は右である。記録材の「幅」とは記録材面において記録材搬送方向に直交する方向の記録材寸法である。図1(a),図1(b)は、定着装置Fの外観斜視図であり、図4は定着装置Fの横断面図である。図4に示すように、この定着装置Fは、大別して、ベルト加熱方式の定着ユニット部(定着器)F−aと、送風ユニット部F−bとからなる。
【0027】
1)定着ユニット部F−a
まず、図4、図5を参照して、定着ユニット部F−aの構成を説明する。なお、図5は定着ユニット部F−aの分解斜視図である。定着ユニット部F−aは、ベルト(フィルム)加熱方式・加圧回転体駆動方式(テンションレスタイプ)のオンデマンド定着装置である。
22は定着スリーブ、23は加圧回転体としての弾性加圧ローラである。この定着スリーブ22と加圧ローラ23の両者の圧接により、定着ニップ部Nが形成されている。
【0028】
21は、横断面略半円弧状樋型の耐熱性・剛性を有する定着ステー(ヒータ保持部材兼定着スリーブガイド部材)である。20は、加熱源(加熱体)としてのセラミックヒータ(以下、ヒータと略記する)であり、ベルトの内周面と摺擦してベルトを加熱すると共に、加圧ローラとニップ部を形成するように加圧するためのバックアップ部材としても機能する。ヒータ20は、定着ステー21の外面に、該定着ステーの長手に沿って設けた凹溝部21aに嵌め入れて固定して配設してある。定着スリーブ22は、ヒータ20を取り付けた定着ステー21に対してルーズに外嵌させてある。
【0029】
24a,24bは定着ステー21の左右両端部の外方突出腕部にそれぞれ嵌着したフランジである。定着スリーブ22は、耐熱性樹脂ベルトや金属ベルトをベース層にして、その外周面に、弾性層、離型層等を付加した複合層構造体であり、全体的に肉薄で、可撓性を有し、高熱伝導率・低熱容量の部材である。
【0030】
加圧ローラ23は、芯金23aに、シリコーンゴム等の弾性層23bを設けて硬度を下げたものである。表面性を向上させるために、さらに外周に、PTFE、PFA、FEP等のフッ素樹脂層を設けてもよい。加圧ローラ23は、芯金23aの左右両端部を装置フレーム38の左右の側板38L・38R間に軸受部材39を介して回転自由に軸受保持させて配設してある。
【0031】
ここで、加圧ローラ23に対して、定着スリーブ22をヒータ20側に対向させて並行に配列する。そして、左右のフランジ24を、加圧バネ61a・61b等で構成した左右の加圧機構により、所定の力Fで加圧ローラ23の軸線方向に附勢する。ヒータ20の面が、定着スリーブ22を介し、弾性層32bの弾性に抗して加圧ローラ23に圧接する。これにより、加熱定着に必要な、記録材搬送方向に関して所定幅の定着ニップ部Nが形成される。入り口ガイド16と出口ガイド29は装置フレーム38に組付けてある。
【0032】
25は、加圧ローラ23の芯金32aの左端部に固着した加圧ローラギアである。この加圧ローラギア25に定着モータM1の回転力が不図示の動力伝達機構を介して伝達されることで、加圧ローラ23が図4において矢印の反時計方向に回転駆動される。この加圧ローラ23の回転駆動により、加圧ローラ23と定着スリーブ22の外面との定着ニップ部Nにおける摩擦力で定着スリーブ22に回転力が作用する。これにより、定着スリーブ22が、その内面が定着ニップ部Nにおいてヒータ20に密着して摺動しながら矢印の時計方向に定着ステー21の外回りを回転する。
【0033】
定着スリーブ22は、加圧ローラ23の回転周速度にほぼ対応した周速度をもって回転する。左右のフランジ24は、回転する定着スリーブ22が定着ステー21の長手に沿って左方又は右方に寄り移動したとき、寄り側のベルト端部を受け止めて移動を規制する役目をする。定着スリーブ22の内面には、グリス(潤滑剤)を塗布して、ヒータ20・定着ステー21に対する定着スリーブ22の摺動性を確保している。
【0034】
図4で、入り口ガイド16に案内されて定着ニップ部Nに導入された記録材Pは、回転する加圧ローラ23と定着スリーブ22により挟持搬送される。本実施形態では、記録材Pの搬送は、記録材中心の、いわゆる中央通紙基準で行われる。すなわち、装置に通紙使用可能な大小いかなる幅の記録材も、記録材幅方向中央部が定着スリーブ22の長手方向中央部を通過することになる。
【0035】
図5において、THは温度検知手段(温度検出素子)としてのサーミスタである。サーミスタTHは、大小いかなる幅の記録材も通紙部となるヒータ部分の温度を検出するように、ヒータ20の長手方向のほぼ中央部位置においてヒータ裏面に対して接触させて配設してある。詳細は後述するが、ヒータ20は、電力供給部としてのヒータ駆動回路から、ヒータ基板面に具備させた通電発熱層に対して通電がなされることで、長手方向の有効発熱幅全域において急速に昇温する。そのヒータ温度がメインサーミスタTHにより検出され、制御回路部は、メインサーミスタTHの出力をもとに、定着ヒータ20の温調制御内容を決定し、ヒータ駆動回路から定着ヒータ20への通電を制御する。
【0036】
(印字動作説明)
制御回路部は、外部ホスト装置からのプリント信号あるいは他の制御信号に基づいて、定着モータ駆動回路を制御して定着モータM1を駆動する。これにより、加圧ローラ23が回転駆動され、定着スリーブ22も回転する。また、ヒータ駆動回路を制御して、ヒータ20の昇温を開始させる。定着スリーブ22の回転速度が定常化し、ヒータ20の温度が所定に立ち上がった状態において、画像形成部側から定着ニップ部Nに未定着トナー像Taを担持した記録材Pが入り口ガイド16に沿って案内されて導入される。記録材Pのトナー画像担持面側が定着スリーブ22に対面する。
【0037】
記録材Pは、定着ニップ部Nにおいて、定着スリーブ22を介してヒータ20に密着して定着ニップ部Nを定着スリーブ22と一緒に移動通過していく。その移動通過過程において、ヒータ20で加熱される定着スリーブ22により記録材Pに熱が付与され、また定着ニップ圧により、トナー画像Tcが記録材P面に熱圧定着される。定着ニップ部Nを通過した記録材Pは、定着スリーブ22の面から分離されて排出搬送される。
【0038】
(ヒータ)
以下に、加熱部材としてのヒータ20について、詳細に説明する。ヒータ20は、長手方向(加熱回転体の回転軸方向)の発熱比率を制御可能なように複数の発熱抵抗体を有する。図6は、ヒータ表面側の平面模型図と、メインヒータとサブヒータ夫々の発熱分布、及び両者の合成の発熱分布を示した図である。メインヒータとサブヒータ夫々への通電は個別に制御可能であるこ
図7はヒータ23に対する給電回路(AC回路)及び制御回路(DC回路)のブロック図である。20aはヒータ基板である。このヒータ基板20aはアルミナや窒化アルミ等の耐熱性・良熱伝導性・電気絶縁性のセラミック材であり、記録材搬送方向Dに交差(直交)する方向を長手とする横長の薄板部材である。
【0039】
20bと20cは、ヒータ基板20aの表面側に厚膜印刷によって、通電により発熱する発熱体として形成具備させた第1と第2の2本の発熱抵抗体(以下、メインヒータとサブヒータと記す)である。このメインヒータ20aとサブヒータ20bは、それぞれヒータ基板長手方向に沿って形成され、かつ記録材搬送方向に配列されている。そしてメインヒータ20bとサブヒータ20cは、それぞれその長手方向の発熱分布が互いに異なっている。
【0040】
具体的には、メインヒータ20b(第1の発熱抵抗体)は、基板の長手方向両端部に向かうに連れて単位長さ当りの抵抗値が小さくなっている。また、サブヒータ20c(第2の発熱抵抗体)の大部分の領域は、基板の長手方向両端部に向かうに連れて単位長さ当りの抵抗値が大きくなっている。そして、メインヒータ20bの発熱量(抵抗値)と、サブヒータ20cの発熱量(抵抗値)の合成発熱量(合成抵抗値)は、発熱抵抗体長手方向に沿って略均一である。20dはメインヒータ20bの長手方向の一端部に形成した給電用電極部(以下、メイン接点と記す)である。
【0041】
また、20eはサブヒータ20cの長手方向の一端部に形成した給電用電極部(以下、サブ接点と記す)、20fはメインヒータ20bとサブヒータ20cの長手方向の他端部に形成した両者に共通の給電用電極部(以下、共通接点と記す)である。上記のメイン接点20d、サブ接点20e、共通接点20fは、共にヒータ基板両端部側の表面に厚膜印刷によって導体パターンとして形成してある。20gは表面保護層であり、メインヒータ20bと、サブヒータ20cと、メイン接点20dの一部、サブ接点20e一部、共通接点20fの一部を覆わせてヒータ基板20aの表面に形成してある。
【0042】
この表面保護層20gは、厚膜印刷によってガラスコートパターンとして形成してある。この表面保護層20gの表面に、定着フィルム22の内面が密着して摺動する。THはサーミスタ等の温度検知手段(温度検知素子)である。本例ではサーミスタであり、ヒータ基板20aの裏面側において最小サイズ記録材の通紙領域幅内に対応する位置に接触させて配設してある。また、TSはサーモスイッチ等であり、前記サーミスタTH同様、ヒータ基板20aの裏面側において、最小サイズ記録材の通紙領域幅内に対応する位置に接触させて配設してある。
【0043】
図8において、Aは最大通紙領域幅である。メインヒータ20bとサブヒータ20cの長手方向の長さは、この最大通紙領域幅Aとほぼ対応している。Bは最小サイズ記録材の通紙領域幅である。C・Cは最小サイズ記録材通紙時の非通紙領域幅((A−B)/2)である。
【0044】
図7は、ヒータ20に対する給電回路(AC回路)及び制御回路(DC回路)のブロック図である。100は制御部(エンジンコントローラ、CPU)である。101はAC電源である。102と103は第1と第2のトライアックである。そして、以下のa)とb)の2系統の給電経路(ACライン)を構成させている。そして制御部100は、第1と第2のトライアック102と103をコントロールして、メインヒータ20bとサブヒータ20cに対する電力供給を制御する。
【0045】
a)AC電源101→サーモスイッチTS→第1のトライアック102→メイン接点20d→メインヒータ20b→共通接点20f→AC電源101
b)AC電源101→サーモスイッチTS→第2のトライアック103→サブ接点20e→サブヒータ20c→共通接点20f→AC電源101
また、制御部100には、サーミスタTHが検知するヒータ20の温度情報がサーミスタ接点38・39を介してデジタル信号としてフィードバックされる(DCライン)。制御部100は、サーミスタTHからフィードバックされるヒータ温度検知情報に基づいて、第1と第2のトライアック102と103をコントロールする。そして、ヒータ温度が所定の目標温度に維持されるように、メインヒータ20bとサブヒータ20cに対する電力供給を制御する。また、通紙される記録材Pのサイズ情報に応じて、第1と第2のトライアック102と103をコントロールしてメインヒータ20bとサブヒータ20cに対する電力供給比率を制御する。
【0046】
2)送風ユニットF−b
次に送風ユニットF−bについて説明する。送風ユニットF−bは、装置に通紙使用可能な最大幅の記録材よりも幅の狭い記録材(以下、小幅サイズ記録材と記す)を連続通紙した際に生じる非通紙部昇温を、定着ユニットF−aの非通紙域を送風により抑制する。そのために、定着スリーブ22に送風するダクトを備えた送風機構を備える。図1(a)は、送風冷却ユニットF−bの外観斜視図である。また、図1(b)は送風冷却ユニットF−bを別の方向から見た外観斜視図である。F−aは前述の定着器Fである。
【0047】
図1(a)、図1(b)において、40a,40bは非通紙部の送風ファン、45a.45bは送風ファン40a,40bから送風された冷却風を定着スリーブ22まで導くための送風ダクトである。本実施形態においては、送風ファン40a,40bには軸流ファンを用いているが他にも、シロッコファン等の遠心ファンなどを使用することも可能である。
【0048】
(送風規制手段としてのシャッタ部材)
41a、41bは、送風ファン40a、40bと定着スリーブ22の間に配置され、前記送風ダクト45a、45bの出口に配置された送風規制手段としてのシャッタである。送風規制手段としてのシャッタ41a、41bは、紙幅方向(加熱回転体の回転軸方向)における送風領域を非通紙領域に規制すると共に、非通紙領域において記録材の通紙領域から遠い側に到達する送風量を、通紙領域に近い側に到達する送風量より小さくする。
【0049】
1)スライド移動可能なシャッタ
シャッタ41a、41bは、通紙する紙の幅方向サイズに合わせ、定着スリーブ22の加熱通紙領域より外側を冷却するべく、通紙する紙の幅方向に変位可能に構成される。
【0050】
即ち、シャッター41a、41bは、フレーム部材47に左右方向にスライド移動可能に保持されている。そして、左右のシャッタ41a、41bは、左右のシャッター41a、41bを連動させて左右方向に移動させるための、左右のラック部43a,43bとピニオンギア44aを具備させてある。左右のシャッタとラックはそれぞれ一体に形成されており、ピニオンギア44aはその左右の両ラック部43a,43bに噛合している。ピニオンギア44aは、シャッターモータ(パルスモータ)44により正転駆動又は逆転駆動される。
【0051】
シャッターモータ44により、ピニオンギア44aが正転駆動又は逆転駆動されることで、左右のシャッター41a、42bが連動して、互いに近づく方向または離間する方向に同じ移動量をもって往復動する。また、シャッタ41a,41bには位置検知のためのフラグ部43cがあり、フォトセンサ等の検知部材48により、シャッタのホームポジションが検知される。シャッタ41a,41bは前記のホームポジション検知機構と、パルスモータに送付される信号のパルス数により、その通紙する紙幅に適した位置まで駆動、停止等の制御が行われる。
【0052】
2)シャッタの開口形状
通紙する紙の幅方向に変位可能なシャッタ41a、41bは、台形状の開口部49a、49bを備え、送風ダクト45a、45bの固定された矩形状の開口部との重なりあった開口部からエアが供給され、定着スリーブ22の非通紙部を冷却する。開口幅が紙幅方向に変化する例えば台形状の開口部49a、49bにより、非通紙領域において記録材の通紙領域から遠い側に到達する送風量を、通紙領域に近い側に到達する送風量より小さくできる。
【0053】
図3は、送風ユニットF−bのダクト部定着スリーブに対向している側から見た図である。図3(a)には、送風ダクト45a、45bの固定された矩形状の開口部に対して、
シャッタ41a、41bの開口部49a、49bの重なりあった部分が無い状態(送風口閉)を示す。また、図3(b)には、送風ダクト45a、45bの固定された矩形状の開口部に対して、シャッタ41a、41bの開口部49a、49bが半分ほど重なりあった状態(送風口半開)を示す。更に、図3(c)には、送風ダクト45a、45bの固定された矩形状の開口部に対して、シャッタ41a、41bの開口部49a、49bが十分に重なりあった状態(送風口全開)を示す。
【0054】
シャッタ41a、41bの開口部の形状は、台形状に限らず、定着器長手方向中央寄りの幅が広く、端部に行くに従って狭くなるものであれば良い。即ち、非通紙領域において、送風口から供給されて到達するエアの送風量を通紙領域に近い側で多くし、通紙領域から遠い側で少なくするものであれば良い。例えば、図11(a)乃至(c)にあるような形状(台形を構成する一つの辺を凸や凹、あるいは階段状)としても同様の効果がある。なお、シャッタの開口部形状を記録紙の幅に応じて可変とすることもできる。
【0055】
(非通紙領域における発熱量分布と送風量分布)
最大サイズ紙の場合に対して小サイズ紙の場合、ヒータの調整で非通紙領域における発熱量分布を変更すると共に、シャッタの変位により小サイズ紙に対応した非通紙領域における送風量分布に変更する。
【0056】
各紙サイズに合わせたヒータの発熱制御をする際に、定着装置F−aの非通紙領域において、蓄積される熱量が非通紙部の通紙領域に近い側が多めに、非通紙部の通紙領域から遠い側が少なめとなるように調整される。これに伴って、蓄熱量の大きい部分は冷却風の送風量を多めに、また蓄熱量の小さい部分は冷却風の送風量を少なめにして、定着装置F−aの定着スリーブ22、加圧ローラ23の長手方向の温度ムラをより小さくする。例として、図8、図9、図10にA3サイズ紙(幅297mm)、Exectiveサイズ紙(幅266.7mm),A4サイズ紙(縦送り、幅210mm)をプリントする場合のヒータの制御とシャタ制御を説明する。
【0057】
各図において、最上部はシャッタ41a,41bの開口量を示す模式図、中央部が、ヒータ発熱体の模式図、最下部がヒータ20の長手方向の発熱量分布を示す。また、このグラフ中にヒータ20からの発熱量がどこに伝熱するか主な伝熱先を示した。示したのは紙による奪熱分、定着スリーブ23や加圧ローラ22等定着器構成部品の非通紙領域に蓄熱される熱量、それから定着機外に放熱される熱量である。
【0058】
図8では、A4サイズを横送り(最大幅サイズ記録材297mm)した場合を示す。A4サイズを横送りした場合は、ヒータ装置が印字できる最大幅Aの用紙であり、メインヒータ20bとサブヒータ20cの通電比率を均等(100対100)にする。このとき、ヒータ20の発熱体幅と用紙を幅がほぼ等しいため、非通紙部の温度上昇はほとんどない。ヒータから発熱する熱量のほとんどは、紙の奪熱分と定着機外に放熱される分に使用される。そのため、送風口は閉じていて、定着装置F−aの冷却を行う必要はない。
【0059】
図9では、Exectiveサイズ紙(幅266.7mm)を通紙した場合を示す。この場合、用紙幅が最大幅サイズ記録材よりも小さいため、メインヒータ20bとサブヒータ20cの通電比率を100対50とし、通紙領域に対し非通紙領域の発熱量が小さくなるように構成する。この構成により、通紙領域においても非通紙領域においても、中央部側から端部側へ向けて発熱量が小さくなる。小サイズ紙に対し、通紙領域において均一な発熱量としない理由は、通紙領域と非通紙領域の境界位置を含む非通紙領域で発熱量を小さくする必要があるためである。そして、小サイズ紙になればなる程、通紙領域に対し非通紙領域の発熱量がより小さくなるように構成される。
【0060】
図9において、送風口は半開として、Exectiveサイズ紙の幅266.7mmよりも外側の非通紙部に送風することにより、定着装置F−aの定着スリーブ、加圧ローラの非通紙部を冷却する。ことのときシャッタ41a、41bの開口部49a、49bの形状は長手方向中央部が大きめで、端部付近の開口が小さめとすることにより、ヒータの発熱分布に応じた冷却を行うことが可能となる。よって、ヒータの発熱量、冷却風の送風量共に抑えつつ、定着装置F−aの定着スリーブ、加圧ローラの長手方向の温度をほぼ均一にすることが可能となる。
【0061】
図10では、A4サイズ紙(縦送り、幅210mm)を通紙した場合を示す。このサイズの用紙は、本装置で印字可能な最小幅サイズの記録材である。メインヒータ20bとサブヒータ20cの通電比率を100対0とし、メインヒータ20bのみ発熱させ、非通紙領域の端部に近い側の発熱量をグラフにあるようにさらに小さくしてある。
【0062】
また、送風口は全開として、A4サイズ紙(縦送り、幅210mm)の幅より、外側の非通紙部に送風することにより、定着装置F−aの定着スリーブ、加圧ローラの非通紙部を冷却している。このとき、シャッタ41a、41bの開口部49a、49bの形状は長手方向中央部が大きめで、端部付近の開口が小さめとすることにより、ヒータの発熱分布に応じた冷却を行うことが可能となる。よって、この場合もヒータの発熱量、冷却風の送風量共に抑えつつ、定着装置F−aの定着スリーブ22、加圧ローラ23の長手方向の温度をほぼ均一にすることが可能となる。
【0063】
以上説明したように、本実施形態によれば、必要最小限の送風量にて非通紙部の過昇温を抑制し、定着スリーブ温度を均一化してスリーブねじれ等を防止するとともに、小サイズ紙通紙時の消費電力も低減させることができる。また、冷却ファンの必要送風量を最小化させることにより、装置の小型化、低コスト化を図ることができる。
【0064】
本実施形態のように、定着スリーブ22、加圧ローラ23の長手方向の温度分布を均一にすることにより、加圧ローラの熱膨張によるローラ長手形状変化を抑制し、紙シワや光沢ムラを防止する事が出来る。また、加熱定着装置の耐久性低下を抑えることも出来、次に大サイズ紙を定着する場合にトナー像がホットオフセットしてしまうのを抑えることも出来る。
【0065】
なお、本発明の範囲内で、上述した技術事項の種々の組合せも可能であり、以下に述べる種々の変形例も本発明の範囲内である。
【0066】
(変形例1)
非通紙領域への送風に関し、加熱回転体(ベルト)側への送風について述べたが、本発明はこれに限らず、加圧ローラ側への送風、あるいは加熱回転体(ベルト)側、加圧ローラ側の双方への送風を行うものであっても良い。そして、加圧部材として回転可能な加圧ローラの替わりに、固定の加圧パッドを用いても良い。また、非通紙領域への送風に関し、記録材の通紙を中央通紙基準でなく片側通紙基準で行っても良い。
【0067】
(変形例2)
上述した実施形態では、シャッタの開口部形状を台形状などとしたが、シャッタの開口部形状を矩形状とし、非通紙領域に到達する同様の送風量の分布を得るようにすることもできる。例えば、非通紙領域における記録材搬送方向の送風用微小開口の個数を、記録材の通紙領域から遠い側で少なめに、通紙領域に近い側で多めに形成するようにすれば良い。
【0068】
(変形例3)
上述した実施形態では、小サイズ紙の場合に通紙領域で均一でない発熱量分布を形成した上で、非通紙領域において均一でない送風量分布を与えた。しかし、本発明はこれに限らず、小サイズ紙の場合にも通紙領域で均一な発熱量分布を形成した上で、非通紙領域において均一でない送風量分布を与えるようにする場合も含む。
【0069】
(変形例4)
画像加熱装置としての定着装置30は、上記実施形態のベルト加熱方式・加圧回転体駆動方式に限らず、熱ローラ方式、電磁誘導加熱方式等、その他の方式の物にすることもできる。
【符号の説明】
【0070】
20・・加熱体、22・・定着スリーブ、23・・加圧ローラ、40a,40b・・送風ファン、41a,41b・・シャッタ、43a、43b・・シャッタのラック部、45a、45b・・送風ダクト、49a、49b・・送風口、N・・ニップ部、P・・記録材
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式や静電記録方式等を採用した、プリンタ、複写機、ファクシミリ、或いはそれらの機能を複数備えた複合機等の画像形成装置に用いられ、記録材上の画像を加熱する画像加熱装置に関する。
【0002】
この画像加熱装置としては、例えば、記録材上の未定着画像を定着する定着装置や、記録材に定着された画像を加熱することにより画像の光沢を増大させる光沢増大化装置等を挙げることができる。
【背景技術】
【0003】
上記のような画像形成装置は、作像手段によりシート状の記録材(以下、紙とも記す)に未定着トナー像を形成した後、定着手段により、該トナー像を固着像として定着させている。複写機やプリンタに搭載される加熱定着装置として、薄いフィルム状のスリーブと、スリーブの内面に接触するセラミックヒータと、スリーブを挟んでセラミックヒータとニップ部を形成する加圧ローラと、を有する構成のものが実用化されている。この加熱定着装置は、ニップ部でトナー像を担持する記録材を搬送しつつトナー像を記録材に加熱定着する。
【0004】
この加熱定着装置(フィルム加熱方式と称している)は、非常に低熱容量であるため、定着可能温度までのウォームアップが早くプリント待ち時間が短く、プリント指令を待つ待機状態での消費電力が少ない等の利点がある。スリーブの材質はポリイミドやステンレスであり。セラミックヒータは、アルミナや窒化アルミ等の、耐熱性、熱伝導性、電気絶縁性、に優れた板状のセラミック製基板に、銀、パラジウムを主成分とした発熱抵抗体を印刷したものである。このセラミックヒータに接触するサーミスタの検知温度に基づき、発熱抵抗体への通電が制御され、ヒータの温度を管理している。
【0005】
一方、一台の複写機やプリンタで使用できる記録材(記録紙)のサイズは通常複数ある。特に小サイズの記録材に形成されたトナー像を加熱定着する場合、記録材が通過する領域ではセラミックヒータの熱が記録材に奪われるが、記録材が通過しない領域ではセラミックヒータの熱が記録材に奪われないために過昇温することがある。過度の昇温は加熱定着装置の耐久性を下げる原因になり、また、小サイズ紙の定着行程に続いて大サイズ紙の定着を行なう場合、トナー像がホットオフセットしてしまう等の画像不良の原因にもなるので好ましくない。
【0006】
そこで、記録材のサイズに応じてセラミックヒータの長手方向の発熱分布を変えられる加熱定着装置が、特許文献1に開示されている。この加熱定着装置に搭載されているセラミックヒータは、セラミック基板上に長手方向中央の抵抗値が両端より大きい第1の発熱抵抗体と、両端の抵抗値が中央より大きい第2の発熱抵抗体と、を有している。そして、この二本の発熱抵抗体への通電が個別に制御可能になっている。この場合、長手方向中央が全てのサイズの記録材が通過する記録材の搬送基準である。第1の発熱抵抗体と第2の発熱抵抗体への通電比率を種々設定することにより、セラミックヒータ全体としての発熱分布を種々設定することができる。
【0007】
例えば、小サイズ紙の場合、長手方向中央の抵抗値が両端より大きい第1の発熱抵抗体の発熱比率を大きく、両端の抵抗値が中央より大きい第2の発熱抵抗体の発熱比率を小さく設定する。これにより、セラミックヒータ全体としては、長手方向中央付近の発熱割合を大きく、長手方向両端部付近の発熱割合を小さく設定することが可能となる。
【0008】
しかしながら、上記のように。第1の発熱抵抗体と第2の発熱抵抗体への通電比率を種々設定することにより、セラミックヒータの非通紙領域の過昇温を抑制できたとしても、記録材の非通紙領域の発熱量をゼロとすることはできない。印刷速度が速い場合や、厚紙を通紙した場合などは、通紙領域の奪熱量が大きなることによって、ヒータ全体の発熱量が大きくなる。そのため、非通紙領域の発熱量も大きくなり、非通紙領域の過昇温が避けられなくなる。
【0009】
その場合、非通紙部昇温を防止するべく、定着装置に送風ファンを設けて、非通紙部の加熱回転体や加圧回転体に空冷することにより、その温度上昇を押さえる構成が、特許文献2、特許文献3に記載されている。特許文献2の定着装置は、冷却用ファンから回転加熱体の非通紙域側に冷却風を送風している。
【0010】
また、小サイズ紙の通紙時に、定着領域の温度を検出する素子を備え、その信号値により、送風ファンのON−OFF制御を行っている。特許文献3の定着装置は、冷却用ファンから非通紙域側に冷却風を送風する際に、使用する記録材の幅に応じて、送風口の幅方向の長さをシャッタによって調節することによって、異なった幅サイズの記録材に対しても、非通紙部昇温を防止している。
【0011】
また、図12に別の従来例として、定着スリーブ冷却用ファンとダクト、送風口の幅方向の長さを調節するシャッタを備えた非通紙部昇温防止用の冷却装置と、加圧ローラに送風するファン、ダクトを備えた定着装置を示す。図12において、40a,40bは、非通紙部の定着スリーブ22を冷却するための送風ファンであり、45a.45bは、送風ファン40a,40bの冷却風を定着スリーブまで導くための定着スリーブ冷却ダクトである。
【0012】
また、50a、50bは、冷却ファン40a.40bと定着スリーブ22の間で前記ダクト45a,45bの出口に配置されたシャッタである。このシャッタ50a、50bは、通紙する紙サイズに合わせて変位可能であり、定着スリーブ22の加熱通紙領域より外側の非通紙領域を均一に冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平10−177319号公報
【特許文献2】特開昭60−136779号公報
【特許文献3】特開2008−32903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
前述したように、近年低熱容量の省エネ型定着方式でかつ印字生産性の高い画像加熱装置(例えばA4用紙で毎分50枚以上)が実用に供されているが、非通紙部昇温抑制のためのヒータ構成、過昇温部の空冷機構により装置の機構は複雑化する傾向にある。ここで、上述したように過昇温した部分を空冷することは、省エネ性を劣化させることから、非通紙領域の過昇温を極力防止するとともに、非通紙領域の空冷を必要最小限とすることが求められる。
【0015】
特に小サイズ紙の場合、通紙領域と非通紙領域の境界付近は過昇温の度合いが大きく、通紙領域と非通紙領域の境界から離れた長手方向端部付近は過昇温の度合いが小さくなっている。このため、非通紙領域を均等に空冷してしまうと端部付近が過冷却となり、長手方向の温度ムラが大きくなってしまう。そして、長手方向の温度ムラは、加圧ローラの熱膨張量に差が生じて定着スリーブのねじれなどの原因となるため、非通紙領域において長手方向に均一な温度となるような冷却が必要となる。
【0016】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであり、非通紙領域において、長手方向(加熱回転体の回転軸方向)に均一な温度となるような冷却を可能とする画像加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像加熱装置は、加熱回転体と、前記加熱回転体に対向して設けられ、前記加熱回転体との間に形成されるニップ部に画像を担持した記録材を挟持搬送する加圧部材と、前記加熱回転体、前記加圧部材の少なくとも一方への送風を行う送風手段と、前記送風手段から前記加熱回転体、前記加圧部材の少なくとも一方へ送風される前記加熱回転体の回転軸方向における送風領域を非通紙領域に規制すると共に、前記非通紙領域において記録材の通紙領域から遠い側に到達する送風量を、通紙領域に近い側に到達する送風量より小さくする送風規制手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、非通紙領域において、長手方向(加熱回転体の回転軸方向)に均一な温度となるような冷却を可能とする画像加熱装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)は第1の実施形態に係る画像加熱装置としての定着装置の記録材搬送方向に眺めた斜視図、(b)は通紙される逆方向から眺めた斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係る定着装置を搭載した画像形成装置の横断面模式図である。
【図3】(a)、(b)、(c)は夫々紙幅の異なる記録紙を通紙する場合の、送風規制手段としてのシャッタの動作を示す平面図である。
【図4】第1の実施形態に係る定着装置の部分断面模式図である。
【図5】第1の実施形態に係る定着装置の部分分解斜視図である。
【図6】加熱回転体に関連するメインヒータ、及びサブヒータの抵抗値分布を示す模式図である。
【図7】加熱回転体に関連するメインヒータ、及びサブヒータの給電制御系のブロック図である。
【図8】最大幅の記録材を通紙するときのヒータの発熱分布とシャッタの位置を示す模式図である。
【図9】中間幅の記録材を通紙するときのヒータの発熱分布とシャッタの位置を示す模式図である。
【図10】最小幅の記録材を通紙するときのヒータの発熱分布とシャッタの位置を示す模式図である。
【図11】(a)、(b)、(c)は夫々異なるシャッタ形状を示す平面図である。
【図12】従来例における送風装置を備えた定着装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
《第1の実施形態》
(画像形成装置)
図2は、本実施形態に係る画像加熱装置を搭載した画像形成装置の概略構成図である。画像形成装置は、像担持体としての感光ドラム10を備え、感光ドラム10は駆動手段である不図示の本体駆動モータによって、矢印の方向に所定のプロセススピードで回転駆動される。ここでは画像形成装置のプロセススピードは250mm/secである。感光ドラム10の周囲には、その回転方向に沿って順に、帯電装置としての帯電ローラ11、露光装置8、現像装置14、転写装置としての転写ローラ12等が配置されている。これらの装置と感光体ドラムとによって、記録材に画像を形成する画像形成手段を構成している。
【0021】
また、装置本体下部には、記録材(紙、印刷紙、用紙シート、OHTシート、光沢紙、光沢フィルム等)Pを収納した給送カセット1が配置されている。また、記録材Pの搬送経路に沿って順に、給送ローラ7、搬送ローラ5、感光ドラム10と転写ローラ12、搬送ガイド4、6、13、定着装置F、排出ローラ35、排出トレイ34が配置されている。
【0022】
次に、上述した構成の画像形成装置の動作を説明する。不図示の本体駆動モータによって矢印方向に回転駆動された感光ドラム10は、帯電ローラ11によって所定の極性、所定の電位に均一に帯電される。露光装置8はレーザスキャナであり、不図示のコンピュータ・画像読取装置等のホスト装置から入力される目的の画像情報の信号に対応したレーザ光を出力し、そのレーザ光で折り返しミラー9を介して感光ドラム10面を走査露光する。すると、感光ドラム10の露光部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。静電潜像は、現像装置14によって現像される。
【0023】
現像装置14は、現像ローラを有し、この現像ローラに現像バイアスを印加して感光ドラム10上の静電潜像にトナーを付着させトナー像として現像(顕像化)する。感光ドラム10上のトナー像は、転写ローラ12によって記録材Pに転写される。
【0024】
一方、記録材Pは、給送カセット1から給送ローラ7によって一枚ずつ給送され、搬送ローラ5によって感光ドラム10と転写ローラ12間の転写ニップ部に向けて搬送される。このとき記録材Pは、不図示のトップセンサによって先端が検知され、感光ドラム10上のトナー像と同期がとられる。転写ローラ12には、転写バイアスが印加され、これにより、感光ドラム10上のトナー像が記録材P上の所定の位置に転写される。転写によって表面に未定着トナー像を担持した記録材Pは、搬送ガイド13を沿って定着入口ガイド16に搬送され、像加熱装置としての定着装置Fに案内される。
【0025】
未定着トナー像はここで加熱、加圧されて記録材P上に定着される。トナー像が定着された記録材Pは、排出分離ガイド29に沿って分離ガイドローラ33へと搬送され、排出ローラ35から装置本体上面の排出トレイ34上に排出される。以上の動作を繰り返すことで、次々に画像形成を行うことができる。
【0026】
(画像加熱装置)
以下に説明する画像加熱装置としての定着装置又はこれを構成している部材について、「長手方向」とは記録材搬送路面内において記録材搬送方向に直交する方向であり、また後述する可撓性ベルト部材である定着ベルト、加圧ローラの回転軸方向である。定着装置に関して、「正面」とは、記録材導入側の面、「左右」とは装置を正面から見て左又は右である。記録材の「幅」とは記録材面において記録材搬送方向に直交する方向の記録材寸法である。図1(a),図1(b)は、定着装置Fの外観斜視図であり、図4は定着装置Fの横断面図である。図4に示すように、この定着装置Fは、大別して、ベルト加熱方式の定着ユニット部(定着器)F−aと、送風ユニット部F−bとからなる。
【0027】
1)定着ユニット部F−a
まず、図4、図5を参照して、定着ユニット部F−aの構成を説明する。なお、図5は定着ユニット部F−aの分解斜視図である。定着ユニット部F−aは、ベルト(フィルム)加熱方式・加圧回転体駆動方式(テンションレスタイプ)のオンデマンド定着装置である。
22は定着スリーブ、23は加圧回転体としての弾性加圧ローラである。この定着スリーブ22と加圧ローラ23の両者の圧接により、定着ニップ部Nが形成されている。
【0028】
21は、横断面略半円弧状樋型の耐熱性・剛性を有する定着ステー(ヒータ保持部材兼定着スリーブガイド部材)である。20は、加熱源(加熱体)としてのセラミックヒータ(以下、ヒータと略記する)であり、ベルトの内周面と摺擦してベルトを加熱すると共に、加圧ローラとニップ部を形成するように加圧するためのバックアップ部材としても機能する。ヒータ20は、定着ステー21の外面に、該定着ステーの長手に沿って設けた凹溝部21aに嵌め入れて固定して配設してある。定着スリーブ22は、ヒータ20を取り付けた定着ステー21に対してルーズに外嵌させてある。
【0029】
24a,24bは定着ステー21の左右両端部の外方突出腕部にそれぞれ嵌着したフランジである。定着スリーブ22は、耐熱性樹脂ベルトや金属ベルトをベース層にして、その外周面に、弾性層、離型層等を付加した複合層構造体であり、全体的に肉薄で、可撓性を有し、高熱伝導率・低熱容量の部材である。
【0030】
加圧ローラ23は、芯金23aに、シリコーンゴム等の弾性層23bを設けて硬度を下げたものである。表面性を向上させるために、さらに外周に、PTFE、PFA、FEP等のフッ素樹脂層を設けてもよい。加圧ローラ23は、芯金23aの左右両端部を装置フレーム38の左右の側板38L・38R間に軸受部材39を介して回転自由に軸受保持させて配設してある。
【0031】
ここで、加圧ローラ23に対して、定着スリーブ22をヒータ20側に対向させて並行に配列する。そして、左右のフランジ24を、加圧バネ61a・61b等で構成した左右の加圧機構により、所定の力Fで加圧ローラ23の軸線方向に附勢する。ヒータ20の面が、定着スリーブ22を介し、弾性層32bの弾性に抗して加圧ローラ23に圧接する。これにより、加熱定着に必要な、記録材搬送方向に関して所定幅の定着ニップ部Nが形成される。入り口ガイド16と出口ガイド29は装置フレーム38に組付けてある。
【0032】
25は、加圧ローラ23の芯金32aの左端部に固着した加圧ローラギアである。この加圧ローラギア25に定着モータM1の回転力が不図示の動力伝達機構を介して伝達されることで、加圧ローラ23が図4において矢印の反時計方向に回転駆動される。この加圧ローラ23の回転駆動により、加圧ローラ23と定着スリーブ22の外面との定着ニップ部Nにおける摩擦力で定着スリーブ22に回転力が作用する。これにより、定着スリーブ22が、その内面が定着ニップ部Nにおいてヒータ20に密着して摺動しながら矢印の時計方向に定着ステー21の外回りを回転する。
【0033】
定着スリーブ22は、加圧ローラ23の回転周速度にほぼ対応した周速度をもって回転する。左右のフランジ24は、回転する定着スリーブ22が定着ステー21の長手に沿って左方又は右方に寄り移動したとき、寄り側のベルト端部を受け止めて移動を規制する役目をする。定着スリーブ22の内面には、グリス(潤滑剤)を塗布して、ヒータ20・定着ステー21に対する定着スリーブ22の摺動性を確保している。
【0034】
図4で、入り口ガイド16に案内されて定着ニップ部Nに導入された記録材Pは、回転する加圧ローラ23と定着スリーブ22により挟持搬送される。本実施形態では、記録材Pの搬送は、記録材中心の、いわゆる中央通紙基準で行われる。すなわち、装置に通紙使用可能な大小いかなる幅の記録材も、記録材幅方向中央部が定着スリーブ22の長手方向中央部を通過することになる。
【0035】
図5において、THは温度検知手段(温度検出素子)としてのサーミスタである。サーミスタTHは、大小いかなる幅の記録材も通紙部となるヒータ部分の温度を検出するように、ヒータ20の長手方向のほぼ中央部位置においてヒータ裏面に対して接触させて配設してある。詳細は後述するが、ヒータ20は、電力供給部としてのヒータ駆動回路から、ヒータ基板面に具備させた通電発熱層に対して通電がなされることで、長手方向の有効発熱幅全域において急速に昇温する。そのヒータ温度がメインサーミスタTHにより検出され、制御回路部は、メインサーミスタTHの出力をもとに、定着ヒータ20の温調制御内容を決定し、ヒータ駆動回路から定着ヒータ20への通電を制御する。
【0036】
(印字動作説明)
制御回路部は、外部ホスト装置からのプリント信号あるいは他の制御信号に基づいて、定着モータ駆動回路を制御して定着モータM1を駆動する。これにより、加圧ローラ23が回転駆動され、定着スリーブ22も回転する。また、ヒータ駆動回路を制御して、ヒータ20の昇温を開始させる。定着スリーブ22の回転速度が定常化し、ヒータ20の温度が所定に立ち上がった状態において、画像形成部側から定着ニップ部Nに未定着トナー像Taを担持した記録材Pが入り口ガイド16に沿って案内されて導入される。記録材Pのトナー画像担持面側が定着スリーブ22に対面する。
【0037】
記録材Pは、定着ニップ部Nにおいて、定着スリーブ22を介してヒータ20に密着して定着ニップ部Nを定着スリーブ22と一緒に移動通過していく。その移動通過過程において、ヒータ20で加熱される定着スリーブ22により記録材Pに熱が付与され、また定着ニップ圧により、トナー画像Tcが記録材P面に熱圧定着される。定着ニップ部Nを通過した記録材Pは、定着スリーブ22の面から分離されて排出搬送される。
【0038】
(ヒータ)
以下に、加熱部材としてのヒータ20について、詳細に説明する。ヒータ20は、長手方向(加熱回転体の回転軸方向)の発熱比率を制御可能なように複数の発熱抵抗体を有する。図6は、ヒータ表面側の平面模型図と、メインヒータとサブヒータ夫々の発熱分布、及び両者の合成の発熱分布を示した図である。メインヒータとサブヒータ夫々への通電は個別に制御可能であるこ
図7はヒータ23に対する給電回路(AC回路)及び制御回路(DC回路)のブロック図である。20aはヒータ基板である。このヒータ基板20aはアルミナや窒化アルミ等の耐熱性・良熱伝導性・電気絶縁性のセラミック材であり、記録材搬送方向Dに交差(直交)する方向を長手とする横長の薄板部材である。
【0039】
20bと20cは、ヒータ基板20aの表面側に厚膜印刷によって、通電により発熱する発熱体として形成具備させた第1と第2の2本の発熱抵抗体(以下、メインヒータとサブヒータと記す)である。このメインヒータ20aとサブヒータ20bは、それぞれヒータ基板長手方向に沿って形成され、かつ記録材搬送方向に配列されている。そしてメインヒータ20bとサブヒータ20cは、それぞれその長手方向の発熱分布が互いに異なっている。
【0040】
具体的には、メインヒータ20b(第1の発熱抵抗体)は、基板の長手方向両端部に向かうに連れて単位長さ当りの抵抗値が小さくなっている。また、サブヒータ20c(第2の発熱抵抗体)の大部分の領域は、基板の長手方向両端部に向かうに連れて単位長さ当りの抵抗値が大きくなっている。そして、メインヒータ20bの発熱量(抵抗値)と、サブヒータ20cの発熱量(抵抗値)の合成発熱量(合成抵抗値)は、発熱抵抗体長手方向に沿って略均一である。20dはメインヒータ20bの長手方向の一端部に形成した給電用電極部(以下、メイン接点と記す)である。
【0041】
また、20eはサブヒータ20cの長手方向の一端部に形成した給電用電極部(以下、サブ接点と記す)、20fはメインヒータ20bとサブヒータ20cの長手方向の他端部に形成した両者に共通の給電用電極部(以下、共通接点と記す)である。上記のメイン接点20d、サブ接点20e、共通接点20fは、共にヒータ基板両端部側の表面に厚膜印刷によって導体パターンとして形成してある。20gは表面保護層であり、メインヒータ20bと、サブヒータ20cと、メイン接点20dの一部、サブ接点20e一部、共通接点20fの一部を覆わせてヒータ基板20aの表面に形成してある。
【0042】
この表面保護層20gは、厚膜印刷によってガラスコートパターンとして形成してある。この表面保護層20gの表面に、定着フィルム22の内面が密着して摺動する。THはサーミスタ等の温度検知手段(温度検知素子)である。本例ではサーミスタであり、ヒータ基板20aの裏面側において最小サイズ記録材の通紙領域幅内に対応する位置に接触させて配設してある。また、TSはサーモスイッチ等であり、前記サーミスタTH同様、ヒータ基板20aの裏面側において、最小サイズ記録材の通紙領域幅内に対応する位置に接触させて配設してある。
【0043】
図8において、Aは最大通紙領域幅である。メインヒータ20bとサブヒータ20cの長手方向の長さは、この最大通紙領域幅Aとほぼ対応している。Bは最小サイズ記録材の通紙領域幅である。C・Cは最小サイズ記録材通紙時の非通紙領域幅((A−B)/2)である。
【0044】
図7は、ヒータ20に対する給電回路(AC回路)及び制御回路(DC回路)のブロック図である。100は制御部(エンジンコントローラ、CPU)である。101はAC電源である。102と103は第1と第2のトライアックである。そして、以下のa)とb)の2系統の給電経路(ACライン)を構成させている。そして制御部100は、第1と第2のトライアック102と103をコントロールして、メインヒータ20bとサブヒータ20cに対する電力供給を制御する。
【0045】
a)AC電源101→サーモスイッチTS→第1のトライアック102→メイン接点20d→メインヒータ20b→共通接点20f→AC電源101
b)AC電源101→サーモスイッチTS→第2のトライアック103→サブ接点20e→サブヒータ20c→共通接点20f→AC電源101
また、制御部100には、サーミスタTHが検知するヒータ20の温度情報がサーミスタ接点38・39を介してデジタル信号としてフィードバックされる(DCライン)。制御部100は、サーミスタTHからフィードバックされるヒータ温度検知情報に基づいて、第1と第2のトライアック102と103をコントロールする。そして、ヒータ温度が所定の目標温度に維持されるように、メインヒータ20bとサブヒータ20cに対する電力供給を制御する。また、通紙される記録材Pのサイズ情報に応じて、第1と第2のトライアック102と103をコントロールしてメインヒータ20bとサブヒータ20cに対する電力供給比率を制御する。
【0046】
2)送風ユニットF−b
次に送風ユニットF−bについて説明する。送風ユニットF−bは、装置に通紙使用可能な最大幅の記録材よりも幅の狭い記録材(以下、小幅サイズ記録材と記す)を連続通紙した際に生じる非通紙部昇温を、定着ユニットF−aの非通紙域を送風により抑制する。そのために、定着スリーブ22に送風するダクトを備えた送風機構を備える。図1(a)は、送風冷却ユニットF−bの外観斜視図である。また、図1(b)は送風冷却ユニットF−bを別の方向から見た外観斜視図である。F−aは前述の定着器Fである。
【0047】
図1(a)、図1(b)において、40a,40bは非通紙部の送風ファン、45a.45bは送風ファン40a,40bから送風された冷却風を定着スリーブ22まで導くための送風ダクトである。本実施形態においては、送風ファン40a,40bには軸流ファンを用いているが他にも、シロッコファン等の遠心ファンなどを使用することも可能である。
【0048】
(送風規制手段としてのシャッタ部材)
41a、41bは、送風ファン40a、40bと定着スリーブ22の間に配置され、前記送風ダクト45a、45bの出口に配置された送風規制手段としてのシャッタである。送風規制手段としてのシャッタ41a、41bは、紙幅方向(加熱回転体の回転軸方向)における送風領域を非通紙領域に規制すると共に、非通紙領域において記録材の通紙領域から遠い側に到達する送風量を、通紙領域に近い側に到達する送風量より小さくする。
【0049】
1)スライド移動可能なシャッタ
シャッタ41a、41bは、通紙する紙の幅方向サイズに合わせ、定着スリーブ22の加熱通紙領域より外側を冷却するべく、通紙する紙の幅方向に変位可能に構成される。
【0050】
即ち、シャッター41a、41bは、フレーム部材47に左右方向にスライド移動可能に保持されている。そして、左右のシャッタ41a、41bは、左右のシャッター41a、41bを連動させて左右方向に移動させるための、左右のラック部43a,43bとピニオンギア44aを具備させてある。左右のシャッタとラックはそれぞれ一体に形成されており、ピニオンギア44aはその左右の両ラック部43a,43bに噛合している。ピニオンギア44aは、シャッターモータ(パルスモータ)44により正転駆動又は逆転駆動される。
【0051】
シャッターモータ44により、ピニオンギア44aが正転駆動又は逆転駆動されることで、左右のシャッター41a、42bが連動して、互いに近づく方向または離間する方向に同じ移動量をもって往復動する。また、シャッタ41a,41bには位置検知のためのフラグ部43cがあり、フォトセンサ等の検知部材48により、シャッタのホームポジションが検知される。シャッタ41a,41bは前記のホームポジション検知機構と、パルスモータに送付される信号のパルス数により、その通紙する紙幅に適した位置まで駆動、停止等の制御が行われる。
【0052】
2)シャッタの開口形状
通紙する紙の幅方向に変位可能なシャッタ41a、41bは、台形状の開口部49a、49bを備え、送風ダクト45a、45bの固定された矩形状の開口部との重なりあった開口部からエアが供給され、定着スリーブ22の非通紙部を冷却する。開口幅が紙幅方向に変化する例えば台形状の開口部49a、49bにより、非通紙領域において記録材の通紙領域から遠い側に到達する送風量を、通紙領域に近い側に到達する送風量より小さくできる。
【0053】
図3は、送風ユニットF−bのダクト部定着スリーブに対向している側から見た図である。図3(a)には、送風ダクト45a、45bの固定された矩形状の開口部に対して、
シャッタ41a、41bの開口部49a、49bの重なりあった部分が無い状態(送風口閉)を示す。また、図3(b)には、送風ダクト45a、45bの固定された矩形状の開口部に対して、シャッタ41a、41bの開口部49a、49bが半分ほど重なりあった状態(送風口半開)を示す。更に、図3(c)には、送風ダクト45a、45bの固定された矩形状の開口部に対して、シャッタ41a、41bの開口部49a、49bが十分に重なりあった状態(送風口全開)を示す。
【0054】
シャッタ41a、41bの開口部の形状は、台形状に限らず、定着器長手方向中央寄りの幅が広く、端部に行くに従って狭くなるものであれば良い。即ち、非通紙領域において、送風口から供給されて到達するエアの送風量を通紙領域に近い側で多くし、通紙領域から遠い側で少なくするものであれば良い。例えば、図11(a)乃至(c)にあるような形状(台形を構成する一つの辺を凸や凹、あるいは階段状)としても同様の効果がある。なお、シャッタの開口部形状を記録紙の幅に応じて可変とすることもできる。
【0055】
(非通紙領域における発熱量分布と送風量分布)
最大サイズ紙の場合に対して小サイズ紙の場合、ヒータの調整で非通紙領域における発熱量分布を変更すると共に、シャッタの変位により小サイズ紙に対応した非通紙領域における送風量分布に変更する。
【0056】
各紙サイズに合わせたヒータの発熱制御をする際に、定着装置F−aの非通紙領域において、蓄積される熱量が非通紙部の通紙領域に近い側が多めに、非通紙部の通紙領域から遠い側が少なめとなるように調整される。これに伴って、蓄熱量の大きい部分は冷却風の送風量を多めに、また蓄熱量の小さい部分は冷却風の送風量を少なめにして、定着装置F−aの定着スリーブ22、加圧ローラ23の長手方向の温度ムラをより小さくする。例として、図8、図9、図10にA3サイズ紙(幅297mm)、Exectiveサイズ紙(幅266.7mm),A4サイズ紙(縦送り、幅210mm)をプリントする場合のヒータの制御とシャタ制御を説明する。
【0057】
各図において、最上部はシャッタ41a,41bの開口量を示す模式図、中央部が、ヒータ発熱体の模式図、最下部がヒータ20の長手方向の発熱量分布を示す。また、このグラフ中にヒータ20からの発熱量がどこに伝熱するか主な伝熱先を示した。示したのは紙による奪熱分、定着スリーブ23や加圧ローラ22等定着器構成部品の非通紙領域に蓄熱される熱量、それから定着機外に放熱される熱量である。
【0058】
図8では、A4サイズを横送り(最大幅サイズ記録材297mm)した場合を示す。A4サイズを横送りした場合は、ヒータ装置が印字できる最大幅Aの用紙であり、メインヒータ20bとサブヒータ20cの通電比率を均等(100対100)にする。このとき、ヒータ20の発熱体幅と用紙を幅がほぼ等しいため、非通紙部の温度上昇はほとんどない。ヒータから発熱する熱量のほとんどは、紙の奪熱分と定着機外に放熱される分に使用される。そのため、送風口は閉じていて、定着装置F−aの冷却を行う必要はない。
【0059】
図9では、Exectiveサイズ紙(幅266.7mm)を通紙した場合を示す。この場合、用紙幅が最大幅サイズ記録材よりも小さいため、メインヒータ20bとサブヒータ20cの通電比率を100対50とし、通紙領域に対し非通紙領域の発熱量が小さくなるように構成する。この構成により、通紙領域においても非通紙領域においても、中央部側から端部側へ向けて発熱量が小さくなる。小サイズ紙に対し、通紙領域において均一な発熱量としない理由は、通紙領域と非通紙領域の境界位置を含む非通紙領域で発熱量を小さくする必要があるためである。そして、小サイズ紙になればなる程、通紙領域に対し非通紙領域の発熱量がより小さくなるように構成される。
【0060】
図9において、送風口は半開として、Exectiveサイズ紙の幅266.7mmよりも外側の非通紙部に送風することにより、定着装置F−aの定着スリーブ、加圧ローラの非通紙部を冷却する。ことのときシャッタ41a、41bの開口部49a、49bの形状は長手方向中央部が大きめで、端部付近の開口が小さめとすることにより、ヒータの発熱分布に応じた冷却を行うことが可能となる。よって、ヒータの発熱量、冷却風の送風量共に抑えつつ、定着装置F−aの定着スリーブ、加圧ローラの長手方向の温度をほぼ均一にすることが可能となる。
【0061】
図10では、A4サイズ紙(縦送り、幅210mm)を通紙した場合を示す。このサイズの用紙は、本装置で印字可能な最小幅サイズの記録材である。メインヒータ20bとサブヒータ20cの通電比率を100対0とし、メインヒータ20bのみ発熱させ、非通紙領域の端部に近い側の発熱量をグラフにあるようにさらに小さくしてある。
【0062】
また、送風口は全開として、A4サイズ紙(縦送り、幅210mm)の幅より、外側の非通紙部に送風することにより、定着装置F−aの定着スリーブ、加圧ローラの非通紙部を冷却している。このとき、シャッタ41a、41bの開口部49a、49bの形状は長手方向中央部が大きめで、端部付近の開口が小さめとすることにより、ヒータの発熱分布に応じた冷却を行うことが可能となる。よって、この場合もヒータの発熱量、冷却風の送風量共に抑えつつ、定着装置F−aの定着スリーブ22、加圧ローラ23の長手方向の温度をほぼ均一にすることが可能となる。
【0063】
以上説明したように、本実施形態によれば、必要最小限の送風量にて非通紙部の過昇温を抑制し、定着スリーブ温度を均一化してスリーブねじれ等を防止するとともに、小サイズ紙通紙時の消費電力も低減させることができる。また、冷却ファンの必要送風量を最小化させることにより、装置の小型化、低コスト化を図ることができる。
【0064】
本実施形態のように、定着スリーブ22、加圧ローラ23の長手方向の温度分布を均一にすることにより、加圧ローラの熱膨張によるローラ長手形状変化を抑制し、紙シワや光沢ムラを防止する事が出来る。また、加熱定着装置の耐久性低下を抑えることも出来、次に大サイズ紙を定着する場合にトナー像がホットオフセットしてしまうのを抑えることも出来る。
【0065】
なお、本発明の範囲内で、上述した技術事項の種々の組合せも可能であり、以下に述べる種々の変形例も本発明の範囲内である。
【0066】
(変形例1)
非通紙領域への送風に関し、加熱回転体(ベルト)側への送風について述べたが、本発明はこれに限らず、加圧ローラ側への送風、あるいは加熱回転体(ベルト)側、加圧ローラ側の双方への送風を行うものであっても良い。そして、加圧部材として回転可能な加圧ローラの替わりに、固定の加圧パッドを用いても良い。また、非通紙領域への送風に関し、記録材の通紙を中央通紙基準でなく片側通紙基準で行っても良い。
【0067】
(変形例2)
上述した実施形態では、シャッタの開口部形状を台形状などとしたが、シャッタの開口部形状を矩形状とし、非通紙領域に到達する同様の送風量の分布を得るようにすることもできる。例えば、非通紙領域における記録材搬送方向の送風用微小開口の個数を、記録材の通紙領域から遠い側で少なめに、通紙領域に近い側で多めに形成するようにすれば良い。
【0068】
(変形例3)
上述した実施形態では、小サイズ紙の場合に通紙領域で均一でない発熱量分布を形成した上で、非通紙領域において均一でない送風量分布を与えた。しかし、本発明はこれに限らず、小サイズ紙の場合にも通紙領域で均一な発熱量分布を形成した上で、非通紙領域において均一でない送風量分布を与えるようにする場合も含む。
【0069】
(変形例4)
画像加熱装置としての定着装置30は、上記実施形態のベルト加熱方式・加圧回転体駆動方式に限らず、熱ローラ方式、電磁誘導加熱方式等、その他の方式の物にすることもできる。
【符号の説明】
【0070】
20・・加熱体、22・・定着スリーブ、23・・加圧ローラ、40a,40b・・送風ファン、41a,41b・・シャッタ、43a、43b・・シャッタのラック部、45a、45b・・送風ダクト、49a、49b・・送風口、N・・ニップ部、P・・記録材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱回転体と、
前記加熱回転体に対向して設けられ、前記加熱回転体との間に形成されるニップ部に画像を担持した記録材を挟持搬送する加圧部材と、
前記加熱回転体、前記加圧部材の少なくとも一方への送風を行う送風手段と、
前記送風手段から前記加熱回転体、前記加圧部材の少なくとも一方へ送風される前記加熱回転体の回転軸方向における送風領域を非通紙領域に規制すると共に、
前記送風手段から送風される前記加熱回転体、前記加圧部材の少なくとも一方の前記非通紙領域において、記録材の通紙領域から遠い側に到達する送風量を、通紙領域に近い側に到達する送風量より小さくする送風規制手段と、
を有することを特徴とする画像加熱装置。
【請求項2】
前記非通紙領域において、記録材の通紙領域から遠い側の発熱量を、通紙領域に近い側の発熱量より小さくすることを特徴とする請求項1に記載の画像加熱装置。
【請求項3】
前記加熱回転体は、回転可能な可撓性ベルト部材と、
前記可撓性ベルト部材の内周面と接触し前記可撓性ベルト部材を加熱するヒータと、
を有し、前記加圧部材は、前記可撓性ベルト部材を介して前記ヒータと共に前記ニップ部を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の画像加熱装置。
【請求項4】
前記ヒータは、前記加熱回転体の回転軸方向の発熱比率を制御可能なように複数の発熱抵抗体を有することを特徴とする請求項3に記載の画像加熱装置。
【請求項5】
前記ヒータが2つの発熱抵抗体を有し、第1の発熱抵抗体は前記加熱回転体の回転軸方向の端部に向かうに連れて単位長さ当たりの抵抗値が小さくなり、第2の発熱抵抗体は前記加熱回転体の回転軸方向の端部に向かうに連れて単位長さ当たりの抵抗値が大きくなっており、前記発熱抵抗体への通電は個別に制御可能であることを特徴とする請求項4に記載の画像加熱装置。
【請求項6】
前記送風規制手段は、記録材の幅方向に変位可能なシャッタ部材であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
【請求項7】
前記シャッタ部材は、前記非通紙領域における記録材搬送方向の開口幅を、記録材の通紙領域から遠い側で通紙領域に近い側より小さく形成することを特徴とする請求項6に記載の画像加熱装置。
【請求項8】
前記シャッタ部材は、前記非通紙領域における記録材搬送方向の小開口の数を、記録材の通紙領域から遠い側で通紙領域に近い側より少なく形成することを特徴とする請求項6に記載の画像加熱装置。
【請求項1】
加熱回転体と、
前記加熱回転体に対向して設けられ、前記加熱回転体との間に形成されるニップ部に画像を担持した記録材を挟持搬送する加圧部材と、
前記加熱回転体、前記加圧部材の少なくとも一方への送風を行う送風手段と、
前記送風手段から前記加熱回転体、前記加圧部材の少なくとも一方へ送風される前記加熱回転体の回転軸方向における送風領域を非通紙領域に規制すると共に、
前記送風手段から送風される前記加熱回転体、前記加圧部材の少なくとも一方の前記非通紙領域において、記録材の通紙領域から遠い側に到達する送風量を、通紙領域に近い側に到達する送風量より小さくする送風規制手段と、
を有することを特徴とする画像加熱装置。
【請求項2】
前記非通紙領域において、記録材の通紙領域から遠い側の発熱量を、通紙領域に近い側の発熱量より小さくすることを特徴とする請求項1に記載の画像加熱装置。
【請求項3】
前記加熱回転体は、回転可能な可撓性ベルト部材と、
前記可撓性ベルト部材の内周面と接触し前記可撓性ベルト部材を加熱するヒータと、
を有し、前記加圧部材は、前記可撓性ベルト部材を介して前記ヒータと共に前記ニップ部を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の画像加熱装置。
【請求項4】
前記ヒータは、前記加熱回転体の回転軸方向の発熱比率を制御可能なように複数の発熱抵抗体を有することを特徴とする請求項3に記載の画像加熱装置。
【請求項5】
前記ヒータが2つの発熱抵抗体を有し、第1の発熱抵抗体は前記加熱回転体の回転軸方向の端部に向かうに連れて単位長さ当たりの抵抗値が小さくなり、第2の発熱抵抗体は前記加熱回転体の回転軸方向の端部に向かうに連れて単位長さ当たりの抵抗値が大きくなっており、前記発熱抵抗体への通電は個別に制御可能であることを特徴とする請求項4に記載の画像加熱装置。
【請求項6】
前記送風規制手段は、記録材の幅方向に変位可能なシャッタ部材であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
【請求項7】
前記シャッタ部材は、前記非通紙領域における記録材搬送方向の開口幅を、記録材の通紙領域から遠い側で通紙領域に近い側より小さく形成することを特徴とする請求項6に記載の画像加熱装置。
【請求項8】
前記シャッタ部材は、前記非通紙領域における記録材搬送方向の小開口の数を、記録材の通紙領域から遠い側で通紙領域に近い側より少なく形成することを特徴とする請求項6に記載の画像加熱装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−68773(P2013−68773A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207013(P2011−207013)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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