説明

画像合成装置、及び画像合成方法、画像合成プログラム

【課題】任意の人物の顔を他の人物の顔に似た顔に加工した場合に、違和感のない自然な顔の画像を得ることができる。
【解決手段】画像合成モードが設けられたデジタルカメラにおいて、画像合成モードが設定されているとき、CPU6に、第1の画像と第2の画像との合成比率を使用者の要求に応じて設定する処理と、設定した合成比率で前記第1の画像と前記第2の画像とを合成して合成画像を生成する処理とを行わせ、生成した合成画像を表示部13に表示させる。第1の画像に第2の画像を合成して合成画像を生成する際、合成画像に第1の画像の特徴として使用者が意図する程度の特徴が確保される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば異なる2つの顔画像から新たな顔画像を生成する画像合成装置、及び画像合成方法、画像合成プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、2つの顔写真を掛け合わせて別の顔写真を作成し、利用者に提供するサービスがある(非特許文献1参照)。かかるサービスによれば、利用者は、自身の顔と著名人等の顔との合成画像を見て楽しむことができる。これは、映画等において使用されるモーフィング(morphing)と呼ばれるコンピュータグラフィックスの手法(以下、モーフィング合成処理という)を利用したもので、一方の顔画像から他方の顔画像へ変形する間の顔画像を補完する技術を用いて2つの顔の中間的な特徴を有する顔を生成するものである。係る技術を用いれば、自分の顔と、好みの有名人や芸能人の顔とを合成した顔を簡単に得ることができる。
【非特許文献1】Morph Thingホームページ、[online]、インターネット<URL:http://www.morphthing.com/>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の技術を用いれば任意の人物の顔を他の人物の顔に似た顔に加工した画像を容易に取得することができるが、上記の技術においては、例えば両者の顔の特徴が著しく異なっている場合には、新たに生成される合成画像が、例えばユーザの意図に反し元の顔の特徴が余り残っていない顔画像となってしまう場合も多い。係ることから、例えば任意の人物の顔を他の人物の顔に似た顔に加工したい場合には甚だ不便である等の問題があった。
【0004】
本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、任意の人物の顔を他の人物の顔に似た顔に加工した場合に、違和感のない自然な顔の画像を容易に得ることができる画像合成装置、及び画像合成方法、それらの実現に使用される画像合成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため請求項1記載の発明に係る画像合成装置にあっては、第1の画像と第2の画像との合成比率を使用者の要求に応じて設定する合成比率設定手段と、この合成比率設定手段により設定された合成比率で前記第1の画像と前記第2の画像とを合成して合成画像を生成する画像合成手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
また、請求項2記載の発明に係る画像合成装置にあっては、前記第1の画像は第1の顔画像であり、かつ前記第2の画像は第2の顔画像であって、前記画像合成手段は、合成画像として第3の顔画像を生成することを特徴とする。
【0007】
また、請求項3記載の発明に係る画像合成装置にあっては、前記第1の画像について前記第2の画像を合成する部位を使用者の要求に応じて設定する部位設定手段を備え、前記画像合成手段は、前記合成画像の生成に際し、前記第1の画像であって前記部位設定手段により設定された部位と、当該部位と対応する前記第2の画像の対応部位とを前記合成比率設定手段により設定された合成比率で合成することを特徴とする。
【0008】
また、請求項4記載の発明に係る画像合成装置にあっては、前記部位設定手段は、使用者の要求に応じ、前記第1の画像について前記第2の画像を合成する部位を複数設定し、前記合成比率設定手段は、使用者の要求に応じ、前記第1の画像と前記第2の画像との合成比率を前記部位設定手段により設定された部位毎に設定する前記画像合成手段は、前記合成画像の生成に際し、前記第1の画像であって前記部位設定手段により設定された複数の部位と、当該複数の部位と対応する前記第2の画像の複数の対応部位とを、前記合成比率設定手段により部位毎に設定された合成比率で合成することを特徴とする。
【0009】
また、請求項5記載の発明に係る画像合成装置にあっては、複数の所定の画像を記憶した画像記憶手段と、この画像記憶手段に記憶されている複数の画像の中で、前記第1の画像に類似する類似画像を前記第2の画像として抽出する類似画像抽出手段とをさらに備え、前記画像合成手段は、前記合成比率設定手段により設定された合成比率で、前記第1の画像と前記類似画像抽出手段により前記第2の画像として抽出された類似画像とを合成して合成画像を生成することを特徴とする。
【0010】
また、請求項6記載の発明に係る画像合成装置にあっては、被写体を撮像する撮像手段と、この撮像手段により撮像された被写体の画像を記録する記憶手段とを備え、前記画像合成手段は、前記記憶手段に記録された画像に基づく前記第1の画像と前記第2の画像とを合成して合成画像を生成することを特徴とする。
【0011】
また、請求項7記載の発明に係る画像合成方法にあっては、第1の画像と第2の画像とを合成し合成画像を生成する画像合成方法であって、第1の画像と第2の画像との合成比率を使用者の要求に応じて設定する工程と、設定した合成比率で前記第1の画像と前記第2の画像とを合成して合成画像を生成する工程とを含むことを特徴とする。
【0012】
また、請求項8記載の発明に係る画像合成プログラムにあっては、第1の画像と第2の画像とを合成し合成画像を生成する画像合成装置が有するコンピュータに、第1の画像と第2の画像との合成比率を使用者の要求に応じて設定する手順と、設定した合成比率で前記第1の画像と前記第2の画像とを合成して合成画像を生成する手順とを実行されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、任意の人物の顔を他の人物の顔に似た顔に加工した場合に、違和感のない自然な顔の画像を容易に得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態を図にしたがって説明する。図1は、本発明の画像合成装置としての機能を備えたデジタルカメラの電子回路構成の概略を示すブロック図である。
【0015】
図1は、デジタルカメラは、撮影した被写体の画像データを取り込むためカメラモジュール1を有している。カメラモジュール1は、結像光学系ブロック2と、イメージセンサ3、ISP(lmage Signa1 Processor)4、光学系駆動制御部5から構成される。前記結像光学系ブロック2は、図示しない撮像レンズを構成するレンズ群を駆動するズームモータ及び合焦モータと、絞り、メカニカルシャッタを含み、それらがCPU6の命令に従い光学系駆動制御部5により駆動を制御される。
【0016】
イメージセンサ3はCCDやCMOSセンサ等であり、前記撮像レンズにより結像された被写体の光学像を光電変換するとともにA/D変換し、デジタルデータとしてISP4に出力する。イメージセンサ3の出力は、その受光面におけるカラーフィルタ配列(本実施形態ではベイヤー配列)に従った出力である。ISP4は、入力したデジタルデータに対し、色の調整、データフォーマット変換(ベイヤーデータからY,Cb,Crデータへの変換)を行う。
【0017】
カメラモジュール1(ISP4)からの出力信号(Y,Cr,Cbの各データ)は、DMA7によってDRAM等で構成されるワークメモリ8へ転送される。ワークメモリ8へ転送されたデータは、画像処理部9によってRGB形式の画像データに変換された後、表示制御部12を介してVRAM11に転送される。
【0018】
また、画像処理部9は、CPU6の命令に従って、ワークメモリ8内のY,Cr,Cbの各データを圧縮しJPEG等の所定のファイルフォーマットの画像データに変換する。変換後の画像データはフラッシュメモリ10に保存される一方、必要に応じて読み出されて画像処理部9によって伸張され、ワークメモリ8内に展開される。
【0019】
表示制御部12は、VRAM11に格納された画像データに基づく表示データを生成し液晶モニタ等からなる表示部13に出力し、表示部13において画像を表示させる。例えば撮影待機状態において所定のフレームレートでカメラモジュール1により逐次取り込まれた画像をスルー画像として表示部13に表示させる。また、フラッシュメモリ10から読み出され伸張された後の画像データに基づく記録画像を表示部13に表示させる。さらに、前記画像データに、必要に応じて撮影条件情報や、デジタルカメラの種々の動作設定に用いられるメニュー画面等の種々のOSD(On Screen Display)データを合成したり、メニュー画面のみからなる表示データを生成し表示部13に出力したりする。
【0020】
キー入力部14は、図示しない電源ボタン、モード設定キー、シャッターボタン、メニューキー、カーソルキー及びSETキーからなるコントロールキー等を含み各キーの操作状態を示す状態信号をCPU6へ出力する。上記モード設定キーは、デジタルカメラの基本の動作モードを撮影モード、又は記録画像の表示用の再生モードに設定するためのキーである。また、コントロールキーは、デジタルカメラにおいて一般的な上下左右の方向指示操作や確定操作が可能な構造を有するキーであり、デジタルカメラにおける種々の動作内容を設定するためのメニュー画面や設定画面での項目選択や、選択した項目の設定値の選択、設定内容の決定等に使用される。
【0021】
USB制御部15は、USBケーブルを介してUSB接続端子部16に接続されたパーソナルコンピュータ等とデジタルカメラの間における画像データの通信を制御する。
【0022】
図2は、前記フラッシュメモリ10のメモリ空間を示す概念図である。フラッシュメモリ10には、図示したようにプログラムデータ格納領域10a、設定データ格納領域10b、顔画像データ格納領域10c、撮影画像データ格納領域10dが確保されている。
【0023】
プログラムデータ格納領域10aには、CPU6の動作プログラム、及び動作プログラムに付随する各種のデータ(AE制御用のプログラムAEデータ等)が記憶されている。設定データ格納領域10bには、前述したOSDデータや、デジタルカメラの動作内容に関する各種の設定データであって、ユーザにより設定されたデータや自動的に設定されたデータといった適宜書き替えられるデータが記憶されている。撮影画像データ格納領域10dには、画像処理部9により圧縮され所定のファイルフォーマットの画像データに変換された撮影画像のデータが記憶されている。
【0024】
また、顔画像データ格納領域10cにはユーザによって予め登録された人物の顔画像データが記憶されており、本実施形態においては前記フラッシュメモリ10により本発明の画像記憶手段が実現されている。
【0025】
そして、CPU6は、前記キー入力部14からの状態信号と、前記動作プログラムに従いデジタルカメラの各部の動作を制御する。例えば、シャッターボタンを押したときの撮影動作、画像データの記録、記録した画像の再生・表示、メニューキーやカーソルキー、SETキーの操作に応じた各種の機能設定画面の表示制御や、設定内容の変更等を行う。
【0026】
また、CPU6は、ユーザによって再生モードの下位モードである顔登録モードが設定されたときには、前記フラッシュメモリ10(撮影画像データ格納領域10d)に記録されている記録画像から、ユーザに所望の画像であって人物を写した画像を選択させ、選択された画像から任意の人物の顔領域を二値化や輪郭抽出、パターンマッチング等の画像認識技術を用いて、例えば一定の配置関係にある目や鼻や口が存在する部分を認識する等の公知の顔検出技術を用いて検出するとともに、検出した顔領域を切り出し、その画像データを前記フラッシュメモリ10(顔画像データ格納領域10c)に記憶させる。さらに、顔登録モードでは、ユーザの要求に応じ、USBケーブルを介してしてパーソナルコンピュータ等から送られた顔部分の画像データも前記フラッシュメモリ10(顔画像データ格納領域10c)に記憶させる。
【0027】
また、CPU6は、再生モードの下位モードとして設けられている画像合成モードがユーザによって設定されたときには、後述する処理を実行することにより本発明の合成比率設定手段、画像合成手段、部位設定手段、類似画像抽出手段として機能する。なお、上記画像合成モードは、任意の人物の顔を他の人物の顔に似た顔に加工することを主たる目的として予め設けられているものであり、より具体的には、異なる2つの顔画像を所定の方法で合成して合成画像(本発明における第3の顔画像)を生成するためのモードである。
【0028】
次に、以上の構成からなるデジタルカメラにおいて上記画像合成モードが設定されたときのCPU6の処理を図3のフローチャートに従い説明する。
【0029】
画像合成モードが設定されるとCPU6は、まず、顔画像を合成する際の単位(合成単位)をユーザに設定させる(ステップS1)。なお、本実施形態では合成単位として「顔単位」と「部位単位」の2種類が設定可能であり、係る処理では、所定の選択画面を表示するとともにユーザにいずれか一方の合成単位を選択させる。さらに、表示部13にフラッシュメモリ10に記録されている撮影画像のサムネイルを一覧表示するなどして、ユーザに所望する画像を選択させる(ステップS2)。但し、このときユーザには、任意の人物の顔を正面から写した画像を選択させる。係る画像が本発明における第1の画像であり、以下の説明ではここで選択された画像を元画像という。
【0030】
次に、CPU6は、前記フラッシュメモリ10(顔画像データ格納領域10c)に記憶されている顔画像データの中から、元画像における人物の顔と最も類似する顔画像(以下、類似モデル画像という)のデータ、つまり本発明の第2の画像を3つ抽出する(ステップS3)。なお、係る処理では、まず元画像から先に述べた顔画像の登録時と同様に公知の顔検出技術を用いて顔領域(顔部分)を検出した後、例えば当該顔領域の顔の複数の特徴項目(顔の輪郭や、目と鼻と口の位置関係等)毎に、記憶されている全ての顔画像データについてマッチングを行い、各々の類似度を検査し、上記複数の特徴項目毎の類似度に基づく所定の順位付け基準に従い、記憶されている全ての顔画像データを類似度合が高い順に順位付けを行い、順位が1番目から3番目までの顔画像を類似モデル画像として抽出する。
【0031】
引き続き、CPU6は、当初ユーザに選択させた合成単位を判別した後(ステップS4)、その判別結果に応じて、後述する以下の処理を行う。
【0032】
まず、ユーザにより合成単位として「顔単位」が選択されていた場合の処理について説明する。「顔単位」が選択されていた場合においてCPU6は、対象とする類似モデル画像を順に変えて、元画像に、各類似モデル画像を3段階の合成比率で個別に合成し、類似モデル画像、合成比率ごとに合成画像を生成し、生成した合成画像のデータをワークメモリ8に一時記憶する(ステップS5)。上記3段階の合成比率は、それぞれが元画像に対して類似モデル画像を合成する比率であるとともに、互いに4%ずつ異なり、動作開始当初は4%、8%、12%である。また、上記の元画像と類似モデル画像との合成は、既説したモーフィング合成処理に基づくものである。
【0033】
ここで、元画像と類似モデル画像とを対象とした基本的な合成方法の概略を図5に示す。まず、元画像fに顔の輪郭や目、鼻、口等の要部Aの領域を特定するための特徴点(図で黒丸)を設定し、係る特徴点に基づいてメッシュMsを生成し、同様に合成対象となる類似モデル画像gに、各々が元画像fの各特徴点と対応するとともに顔の輪郭や目、鼻、口等の要部Bを特定する特徴点(図で黒丸)を設定し、係る特徴点に基づいてメッシュMtを生成する。
【0034】
次に、メッシュMsとメッシュMtとの間に、線形補間(linearly interpolate)により中間メッシュMiを生成する。次に、メッシュMsと中間メッシュMiとを用いて、元画像f内の各メッシュの画像Lsの各点をワープ(変形変換)して第1のメッシュ画像(image1)を生成するとともに、メッシュMtと中間メッシュMiとを用いて、類似モデル画像g内の各メッシュの画像Lgの各点をワープ(変形変換)して第2の画像(image2)を生成する。しかる後、第1のメッシュ画像(image1)と第2の画像(image2)との画素値(輝度、色差)をクロス・ディゾルブ混合(cross-dissolve)するか、または、まばらな中間点の画素を線形補間(linearly interpolate)して、モーフィング合成画像(image3)を生成する。
【0035】
そして、ステップS5では、上述した中間メッシュMiの生成に際し、その配置を前述した合成比率に応じて決定する。例えば合成比率が90%、すなわち「元画像:類似モデル画像」=1:9であれば、メッシュMsとメッシュMtとの間を1:9に内分する中間メッシュMiを生成することにより、所定の合成比率を有する合成画像(モーフィング合成画像)をそれぞれ生成する。
【0036】
しかる後、CPU6は、上述したように各々の類似モデル画像ごとに3段階の合成比率の合成画像を生成した後には、それらを元画像及び類似モデル画像と共に表示部13に表示させる(ステップS6)。
【0037】
図6は、その場合における表示部13の表示画面G1の一例を便宜的に示した図である。ステップS6においてCPU6は、表示画面G1の左上に元画像201を表示させ、かつ表示画面G1の右側に寄せて3種類の類似モデル画像202a〜202cを縦並びで表示させる。そして、元画像201と、画面右上の1番目の類似モデル画像202aとの間には、双方の画像に基づき生成した合成画像であって、合成時における1番目の類似モデル画像202aの合成比率が異なる3種類の合成画像203a〜203cを横並びで表示させ、同様にその下に、2番目の類似モデル画像202bに対応する3種類の合成画像203a〜203cを、さらにその下に、3番目の類似モデル画像202cに対応する3段階の合成画像203a〜203cを横並びで表示させる。
【0038】
また、各々の合成画像203a〜203cに重ねて、それらが対応する類似モデル画像202a〜202cの元画像201に対する合成比率(n%)を表示させる。さらに、表示画面G1の下辺には、各々の合成画像203a〜203cをスクロールさせるためのスクロールバー301を表示させる。
【0039】
その後、CPU6はユーザによるスクロール指示、記録候補の選択指示、合成画像の記録指示の有無を逐次検出する。ここで、上記スクロール指示は、例えばコントロールキーの操作によりスクロールバー301を選択して状態での、スクロールバー301によって右方向又は左方向の方向指示であり、記録候補の選択指示は、コントロールキーによる方向指示操作及び決定操作である。
【0040】
そして、以上の表示画面G1の表示中においてユーザによるスクロール指示を検出したときには(ステップS7でYES)、前述した3段階の合成比率を増加、若しくは減少させるように1段階ずつ変更した後(ステップS8)、ステップS5へ戻り、元画像201に対する各々の類似モデル画像202a〜202cの合成比率を変更後の合成比率に変えて、新たな合成画像203a〜203cを生成し(ステップS6)、それを表示画面G1に表示させる。
【0041】
例えばスクロール指示があったとき、各々の類似モデル画像202a〜202cに対応する合成画像203a〜203cとして合成比率が8%、12%、16%の合成画像を表示させていた場合には、それらを合成比率が12%、16%、20%の3種類の合成画像、若しくは合成比率が4%、8%、12%の3種類の合成画像に変更する。
【0042】
また、スクロール指示が検出できないときには(ステップS7でNO)、引き続きユーザの指示に応じて記録候補の合成画像を設定する(ステップS9)。すなわち所定のキー操作に応じて選択状態を示すマーク(図の例では丸印)を、各々の類似モデル画像202a〜202cに対応する合成画像203a〜203cのいずれかに重ねて表示するとともに、それをコントロールキーによる方向指示操作に応じて移動させるとともに、決定操作に応じて上記マークを固定表示とする。
【0043】
そして、上述したステップS5以降の処理を繰り返す間に、いずれかの時点でユーザによる記録指示を検出したら(ステップS10でYES)、その時点で選択されている(記録候補として設定してある)1又は複数の合成画像をフラッシュメモリ10の撮影画像データ格納領域10dに記録する(ステップS11)。
【0044】
一方、前述したステップS4でユーザにより合成単位として「部位単位」が選択されていた場合、CPU6は図4に示した処理へ移行する。この場合には、まず、ユーザに予定のキー操作によって、予め決められている複数の部位の中から合成対象とする1又は複数の顔の部位を選択させ、かつ部位毎の合成比率(0%〜100%)を設定させる(ステップS12)。なお、本実施形態において選択可能な部位は、輪郭、目、眉毛、鼻、唇の5つの部位である(図7参照)。
【0045】
次に、選択された1又は複数の部位毎の合成比率を設定された合成比率として元画像と各々の類似モデル画像とを既説したモーフィング合成処理に基づいて合成する。具体的には、選択された部位に対応する中間メッシュMi(図5参照)の生成に際して、当該部位について設定された合成比率が90%、すなわち「元画像:類似モデル画像」=1:9であれば、元画像fのメッシュMsと類似モデル画像gのメッシュMtとの間を1:9に内分する中間メッシュMiを生成する一方、選択されていない部位に対応する中間メッシュMiを元画像fのメッシュMsとする処理を行い、類似モデル画像と同数の合成画像を生成する。また生成した合成画像のデータをワークメモリ8に一時記憶する(ステップS13)。
【0046】
しかる後、CPU6は、各々の類似モデル画像を対象として生成した合成画像を元画像及び類似モデル画像と共に表示部13に表示させる(ステップS14)。図7は、その場合における表示部13の表示画面G2の一例を便宜的に示した図であり、ステップS14においてCPU6は、表示画面G2の上部中央に、元画像201を表示させ、かつ表示画面G2の右側に寄せて3種類の類似モデル画像202a〜202cを縦並びで表示させる。そして、元画像201と、画面右上の1番目の類似モデル画像202aとの間には、双方の画像に基づき生成した合成画像であって、1又は複数の特定の部位が特定の比率で合成された合成画像203を表示させ、同様にその下に、2番目の類似モデル画像202bとの間で合成した合成画像203を、さらにその下に、3番目の類似モデル画像202cとの間で合成した合成画像203をそれぞれ表示させる。
【0047】
また、図示したように表示画面G2の左側には、選択可能な顔の部位(輪郭、目、眉毛、鼻、唇)、及びその時点で選択されている部位と、部位毎に設定されている合成比率を表示する。本実施形態では、各部位の選択の有無は所謂ラジオボタン401で示し、かつ合成比率はスライダ402の位置で表示する。
【0048】
その後、CPU6はユーザによる合成部位の変更、又は合成比率の変更の有無、記録候補の選択指示、合成画像の記録指示を逐次検出する。ここで、合成部位の変更は、例えばコントロールキーの操作により、任意の部位を選択した状態でラジオボタン401のオンオフ状態の変更指示であり、合成比率の変更は、任意の部位を選択した状態での右方向又は左方向の方向指示であり、また、記録候補の選択指示は、コントロールキーによる方向指示操作及び決定操作である。
【0049】
そして、前記表示画面G2の表示中において合成部位の変更、又は合成比率の変更を検出したときには(ステップS15でYES)、前述したステップS13へ戻り、変更後の設定内容に従い新たな合成画像を生成し、生成した合成画像のデータをワークメモリ8に一時記憶するとともに、それを表示画面G2内に表示させる。
【0050】
また、合成部位の変更、又は合成比率の変更が検出できないときには(ステップS15でNO)、引き続きユーザの指示に応じて記録候補の合成画像を設定する(ステップS16)。すなわち所定のキー操作に応じて選択状態を示すマーク(図の例では丸印)を、各々の類似モデル画像202a〜202cの各々のに対応する合成画像203のいずれかに重ねて表示するとともに、それをコントロールキーによる方向指示操作に応じて移動させるとともに、決定操作に応じて上記マークを固定表示とする。
【0051】
そして、上述したステップS13〜ステップS16の処理を繰り返す間に、いずれかの時点でユーザによる記録指示を検出したら(ステップS17でYES)、その時点で、図3のステップS11へ進み、選択されている(記録候補として設定してある)1又は複数の合成画像をフラッシュメモリ10の撮影画像データ格納領域10dに記録する。これにより画像合成モードによる1回の処理を終了する。
【0052】
以上のように本実施形態のデジタルカメラにおいては、画像合成モードを用いることにより、任意の人物の顔を、他の人物の顔に似た顔に加工した画像を簡単に得ることができる。しかも、その際には、ユーザが合成単位として「顔単位」を選択すれば、元画像と類似モデル画像との合成比率を所望の比率に調整することができるため、合成後(加工後)の顔画像にユーザが意図する程度で元の人物の顔の特徴を確保することができる。その結果、任意の人物の顔を他の人物の顔に似た顔に加工した場合には、違和感のない自然な顔の画像を得ることができる。
【0053】
さらに、本実施形態においては、ユーザが最初に元画像を指定すると、フラッシュメモリ10に記憶されている顔画像の中からその元画像における人物の顔と最も類似する顔の画像である類似モデル画像が自動的に抽出されるため、任意の人物の顔を他の人物の顔に似た顔に加工した場合には、違和感のない自然な顔の画像を容易に得ることができる。
【0054】
また、ユーザが合成単位として「部位単位」を選択すれば、顔の各部位を単位として、しかも必要な部位についてのみ元画像と類似モデル画像とを合成させることができる。したがって、合成後(加工後)の顔画像として、ユーザの細かな意図を反映した顔画像を生成することができる。さらに、その際には部位毎に合成比率を指定することができることから、ユーザにおけるより一層細かな意図を反映した顔画像を生成することができる。
【0055】
なお、本実施形態においては、前述した画像合成モードが、任意の人物の顔を他の人物の顔に似た顔に加工することを主たる目的として予め設けられているものであって、画像合成モードにおいては、元画像を指定すると、元画像と合成する画像として類似モデル画像を自動的に抽出し、係る元画像と類似モデル画像とを合成して新たな画像を生成する構成について説明したが、画像合成モードを幅広い使用目的に対応するものにする場合には、元画像と合成する画像を、登録された人物の顔画像や、記録されている他の撮影画像(人物の顔部分の撮影画像)の中からユーザに手動で選択させるようにしても構わない。
【0056】
また、元画像と合成する画像は、必ずしも自機で撮影されたものである必要はなく、フラッシュメモリ10に記憶されている画像であれば任意の画像を使用することができる。例えば、好みの有名人や芸能人の顔の画像を予め記憶しておけば、自分の顔の全部、又は一部を有名人等に似せて美容整形した場合の顔を確認することもできる。また、同一人物について第1の年齢のときに撮影された第1の顔画像と、第2の年齢のときに撮影された第2の顔画像とを記憶しておけば、第1の年齢から第2の年齢までの間の任意の年齢のときの顔を擬似的に確認することができる。さらに、例えば顔画像として多数の顔画像を登録(記憶)しておき、合成単位として「部位単位」を選択して特定部位のみの合成を行った後、合成後の画像を元画像として再び特定部位のみの合成を行う作業を繰り返し行えば、違和感のない自然な顔のモンタージュ画像を得ることができる。
【0057】
さらに、本実施形態においては合成する2つの画像が人物の顔画像である場合について説明したが、これに限らず、本発明は人物の顔画像以外の画像を対象として合成する場合にも適用することができる。例えば一方、又は双方の画像をペット等の動物の顔であっても構わないし、また、それ以外の任意の画像同士を対象として新たな画像を合成する場合にも適用することができる。
【0058】
また、ここでは本発明をデジタルカメラに適用した場合について説明したが、本発明は、異なる2つの画像を合成する機能を有する機器であれば、パーソナルコンピュータ等の任意の画像合成装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係るデジタルカメラのブロック図である。
【図2】フラッシュメモリのメモリ空間を示す概念図である。
【図3】画像合成モードが設定されたときのCPUの処理内容を示したフローチャートである。
【図4】図3に続くフローチャートである。
【図5】元画像と類似モデル画像との合成方法を示す模式説明図である。
【図6】合成単位として「顔単位」が選択されていた場合の合成画像を含む表示画面の一例を示した図である。
【図7】合成単位として「部位単位」が選択されていた場合の合成画像を含む表示画面の一例を示した図である。
【符号の説明】
【0060】
1 カメラモジュール
3 イメージセンサ
6 CPU
7 DMA
8 ワークメモリ
9 画像処理部
10 フラッシュメモリ
14 キー入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像と第2の画像との合成比率を使用者の要求に応じて設定する合成比率設定手段と、
この合成比率設定手段により設定された合成比率で前記第1の画像と前記第2の画像とを合成して合成画像を生成する画像合成手段と
を備えたことを特徴とする画像合成装置。
【請求項2】
前記第1の画像は第1の顔画像であり、かつ前記第2の画像は第2の顔画像であって、
前記画像合成手段は、合成画像として第3の顔画像を生成する
ことを特徴とする請求項1記載の画像合成装置。
【請求項3】
前記第1の画像について前記第2の画像を合成する部位を使用者の要求に応じて設定する部位設定手段を備え、
前記画像合成手段は、前記合成画像の生成に際し、前記第1の画像であって前記部位設定手段により設定された部位と、当該部位と対応する前記第2の画像の対応部位とを前記合成比率設定手段により設定された合成比率で合成する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の画像合成装置。
【請求項4】
前記部位設定手段は、使用者の要求に応じ、前記第1の画像について前記第2の画像を合成する部位を複数設定し、
前記合成比率設定手段は、使用者の要求に応じ、前記第1の画像と前記第2の画像との合成比率を前記部位設定手段により設定された部位毎に設定する
前記画像合成手段は、前記合成画像の生成に際し、前記第1の画像であって前記部位設定手段により設定された複数の部位と、当該複数の部位と対応する前記第2の画像の複数の対応部位とを、前記合成比率設定手段により部位毎に設定された合成比率で合成する
ことを特徴とする請求項3記載の画像合成装置。
【請求項5】
複数の所定の画像を記憶した画像記憶手段と、
この画像記憶手段に記憶されている複数の画像の中で、前記第1の画像に類似する類似画像を前記第2の画像として抽出する類似画像抽出手段と
をさらに備え、
前記画像合成手段は、前記合成比率設定手段により設定された合成比率で、前記第1の画像と前記類似画像抽出手段により前記第2の画像として抽出された類似画像とを合成して合成画像を生成する
ことを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の画像合成装置。
【請求項6】
第1の画像と第2の画像とを合成し合成画像を生成する画像合成方法であって、
第1の画像と第2の画像との合成比率を使用者の要求に応じて設定する工程と、
設定した合成比率で前記第1の画像と前記第2の画像とを合成して合成画像を生成する工程と
を含むことを特徴とする画像合成方法。
【請求項7】
第1の画像と第2の画像とを合成し合成画像を生成する画像合成装置が有するコンピュータに、
第1の画像と第2の画像との合成比率を使用者の要求に応じて設定する手順と、
設定した合成比率で前記第1の画像と前記第2の画像とを合成して合成画像を生成する手順と
を実行されることを特徴とする画像合成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−97449(P2010−97449A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−268131(P2008−268131)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】