説明

画像圧縮装置、撮像装置、および画像圧縮方法

【課題】カラーフィルタアレイ(CFA)画像を可逆圧縮する際のデータ圧縮率を高めることを可能とする。
【解決手段】入力したCFA画像中の一つの画素が注目画素として設定される。第1の適性指標導出部106は、注目画素の近傍に存在する複数色の近傍画素のうち、注目画素と同じ色の画素である同色近傍画素の画素値を参照して注目画素の画素値を予測する第1予測方式に対する適性の指標である第1の適性指標を導出する。第2の適性指標導出部108は、複数色の近傍画素のうち、注目画素の色とは異なる、ある一色の画素である異色近傍画素の画素値、および同色近傍画素の画素値の双方を参照して注目画素の画素値を予測する第2予測方式に対する適性の指標である第2の適性指標を導出する。予測値算出部112は、第1の適性指標と前記第2の適性指標とに基づいて決定された第1予測方式または第2予測方式で注目画素の予測値を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子から得られた画像データを可逆圧縮する技術に関し、特にデモザイク前のカラーフィルタアレイ画像データを可逆圧縮する画像圧縮装置、撮像装置、および画像圧縮方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、撮像素子の高画素化が進み、画像1枚当たりのデータ量は非常に大きいものとなっている。しかし、記憶媒体の記憶容量は有限であるため、一般に、撮像された画像はデータ圧縮により、そのデータ量を減じてから記録される。例えば、デジタルスチルカメラに代表されるような電子撮像装置では、JPEG等の非可逆圧縮にて充分にデータ量を小さくしてから記録されることが多い。但し、用途によっては、画像劣化を伴う非可逆圧縮ではなく、可逆圧縮が好まれる場合もある。例えば、一連のデジタル画像処理を省略し、撮像素子からのデジタル出力そのものを記録するRAW画像データ記録機能を有するデジタルスチルカメラでは、その記録時に可逆圧縮を行うものが多い。
【0003】
可逆圧縮には幾つかの方式が存在しているが、そのうち多くの場合に使用されている方式の一つに予測符号化がある。予測符号化は、注目画素の値を予測するための複数の予測方法を予め定め、その予測方法を用いて求められる値(予測値)と実際の値との差分(予測差分)を求めて、予測方法を特定する情報とともに記録する方式である。元の画像データで各画素の値が様々な値にばらついていたとしても、適切な予測方法を設定することができれば、予測差分のばらつき幅を減じ、0に近い値に集中させることができる。このとき、予測方法の種類数を減じることが情報量を増加させないようにするために必要となる。つまり、限られた種類の予測方法を用いて、画像中のあらゆる画素パターンに対応して予測差分のばらつきが減じられるようにすることが圧縮率を高める上で有効となる。
【0004】
画像データでは、注目画素とその隣接画素の値は類似していることが多い。したがって、注目画素の予測値を求める際に、隣接画素の値をそのまま用いても、あるいは隣接画素から単純な計算にて求めても予測差分は比較的小さな値となり、その効果が大きいことから予測符号化の方式が多く使用されている。
【0005】
ばらつき幅の減じられた予測差分のデータは、エントロピー符号化等の手法を用い、出現頻度に応じた可変ビット長の符号を割り当てることにより、圧縮することができる。
【0006】
しかし、RAW画像データの圧縮においては、必ずしも高い圧縮比が得られない場合がある。この理由について説明する。現在、多くの撮像装置では、ベイヤー配列のオンチップカラーフィルタを備える単板撮像素子が用いられている。撮像素子から出力され、デモザイク処理される前の画像データ、すなわちCFA(Color Filter Array)画像データは、隣接画素の色成分が互いに異なるものとなっている。ここで、ある画素を注目画素と称し、注目画素に隣接して位置する画素を隣接画素と称する。デモザイク処理される前の画像データにおいては、注目画素と隣接画素とは異なる色成分となっている。したがってこれらの注目画素および隣接画素間で画素値の類似性は高くはなく、単純に隣接画素の画素値から予測値を求めたのでは、予測差分のばらつきは大きくなり、圧縮率を高めることは難しくなる。
【0007】
そこで、特許文献1では、注目画素と同色の近傍画素を用いて予測差分を求める方法が提案されている。つまり、CFA画像中、同色の画素は一つおきに配列されているので、注目画素から2画素分シフトした位置にある同色画素を近傍画素とする。この近傍画素及び隣接異色画素を用い、予測値を求めて予測差分を評価し、その結果から最適と考えられる予測方式を当該注目画素に適用するものである。また、特許文献2では、色成分間の相関性を利用する方法が提案されている。これはRAW画像データを色成分毎に分離し、基準色成分と基準色以外の色成分の差分を求める方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−244935号公報
【特許文献2】特開2005−286415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2に開示される方法では、基準色と基準色以外の色成分との相関性が低い場合に、予測差分のばらつきが大きくなってしまい、圧縮率が低下する。この点、特許文献1に開示される方法では、色成分毎の相関性が高い場合と低い場合で適応的に予測方式を選択し予測差分を算出できるが、注目画素そのものについての最適な予測方式を必ずしも選択できるわけではない。特に高周波数成分の多い領域においては、最適な予測方式を設定できず、予測差分が大きくなることが多い。そのため、圧縮率が低下する。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、デモザイク処理前のCFA画像を可逆圧縮する際のデータ圧縮率を高めることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のある態様によれば、受光面上に複数色の色分解用カラーフィルタが配列された撮像素子から出力されたカラーフィルタアレイ画像を圧縮する画像圧縮装置が、
前記カラーフィルタアレイ画像中の一つの画素を注目画素として設定し、当該注目画素の近傍に存在する複数色の近傍画素のうち、前記注目画素と同じ色の画素である同色近傍画素の画素値を参照して前記注目画素の画素値を予測する第1予測方式に対する適性の指標である第1の適性指標を導出する第1の適性指標導出部と、
前記複数色の近傍画素のうち、前記注目画素の色とは異なる、ある一色の画素である異色近傍画素の画素値、および前記同色近傍画素の画素値の双方を参照して前記注目画素の画素値を予測する第2予測方式に対する適性の指標である第2の適性指標を導出する第2の適性指標導出部と、
前記第1の適性指標と前記第2の適性指標とに基づき、前記第1予測方式および前記第2予測方式のうちのいずれかに決定し、該決定した予測方式で前記注目画素の予測値を算出する予測値算出部と、
前記注目画素の実際の値と前記予測値との差である予測誤差を算出する予測誤差算出部とを備える。
【0012】
本発明のある態様によれば、受光面上に複数色の色分解用カラーフィルタが配列されてカラーフィルタアレイ画像を出力可能な撮像素子を備える撮像装置が、前記画像圧縮装置を備える。
【0013】
本発明のある態様によれば、受光面上に複数色の色分解用カラーフィルタが配列された撮像素子によって得られたカラーフィルタアレイ画像を圧縮する画像圧縮方法が、
前記カラーフィルタアレイ画像中の一つの画素を注目画素として設定し、当該注目画素の近傍に存在する複数色の近傍画素のうち、前記注目画素と同じ色の画素である同色近傍画素の画素値を参照して前記注目画素の画素値を予測する第1予測方式に対する適性の指標である第1の適性指標を導出する第1の適性指標導出手順と、
前記複数色の近傍画素のうち、前記注目画素の色とは異なる、ある一色の画素である異色近傍画素の画素値、および前記同色近傍画素の画素値の双方を参照して前記注目画素の画素値を予測する第2の予測方式に対する適性の指標である第2の適性指標を導出する第2の適性指標導出手順と、
前記第1の適性指標と前記第2の適性指標とに基づき、前記第1予測方式および前記第2予測方式のうちのいずれかに決定し、該決定した予測方式で前記注目画素の予測値を算出する予測値算出手順と、
前記注目画素の実際の値と前記予測値との差である予測誤差を算出する予測誤差算出手順とを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、デモザイク処理前のCFA画像を可逆圧縮する際のデータ圧縮率を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】画像圧縮処理部の概略的構成を説明するブロック図である。
【図2】画像圧縮処理部が撮像装置に内蔵される例を説明するブロック図である。
【図3】コンピュータの概略的内部構成を説明するブロック図であり、画像圧縮処理プログラムをコンピュータが実行することにより画像圧縮処理部が実現される例を説明する図である。
【図4】カラーフィルタアレイ画像内における各色成分の画素の配列例を概念的に説明する図である。
【図5】画像圧縮処理手順を説明するフローチャートである。
【図6】注目画素および注目画素の近傍に位置する近傍画素を概念的に説明する図である。
【図7】同色予測処理適性指標導出用フィルタの例と、この同色予測処理適性指標導出用フィルタを用いて同色予測処理適性指標が導出される様子を説明する図である。
【図8】同色予測処理適性がある場合の画像パターン例を示し、(a)は縦方向および横方向の双方に相関がある例を、(b)は縦方向に相関がある例を、(c)は横方向に相関がある例を、それぞれ示す図である。
【図9】同色予測処理適性が無い場合の画像パターン例を示し、(a)は縦方向にも横方向にも相関が無い例を、(b)は画素R1、R3を見ると縦方向に相関があるように見えるが画素R2とRとでは相関が無い例を、(c)は画素R1、R2を見ると横方向に相関があるように見えるが画素R3とRとでは相関が無い例を、それぞれ示す図である。
【図10】異色予測処理適性指標導出用フィルタ1の例と、この異色予測処理適性指標導出用フィルタ1を用いて異色予測処理適性指標1が導出される様子を説明する図である。
【図11】異色予測処理適性指標導出用フィルタ2の例と、この異色予測処理適性指標導出用フィルタ2を用いて異色予測処理適性指標2が導出される様子を説明する図である。
【図12】異色予測処理適性指標導出用フィルタ3の例と、この異色予測処理適性指標導出用フィルタ3を用いて異色予測処理適性指標3が導出される様子を説明する図である。
【図13】異色予測処理適性指標導出用フィルタ4の例と、この異色予測処理適性指標導出用フィルタ4を用いて異色予測処理適性指標4が導出される様子を説明する図である。
【図14】異色予測処理適性指標導出用フィルタの別例を示す図であり、(a)は異色予測処理適性指標導出用フィルタ1の、(b)は異色予測処理適性指標導出用フィルタ2の、(c)は異色予測処理適性指標導出用フィルタ3の、そして(d)は異色予測処理適性指標導出用フィルタ4の、それぞれ別例を示す図である。
【図15】注目画素を含んで縦方向、横方向に並ぶ近傍画素が異色予測処理適性を有する場合の画像パターン例を示す図であり、(a)は画素G1とG2との相関と、画素R2とRとの相関が類似する場合の一例を示し、(b)は画素G1とG2との相関と、画素R2とRとの相関が類似する場合の別例を示し、(c)は画素G3とG4との相関と、画素R3とRとの相関が類似する場合の一例を示し、(d)は画素G3とG4との相関と、画素R3とRとの相関が類似する場合の別例を示す図である。
【図16】注目画素を含んで縦方向、横方向に並ぶ近傍画素が異色予測処理適性を有していない場合の画像パターン例を示す図であり、(a)、(b)、(c)は画素G1とG2との相関が無い例を、(d)は画素G1、G2を見ると縦方向に相関があるように見えるが画素R2とRとでは相関が無い例を、(e)、(f)、(g)は画素G3とG4との相関が無い例を、(h)は画素G3、G4を見ると横方向に相関があるように見えるが画素R3とRとでは相関が無い例を、それぞれ示す図である。
【図17】本発明の実施の形態においてR成分画像に対して第1、第2の予測方式で注目画素の予測値が導出される様子を示す図であり、(a)はR色の画素を注目画素とする場合の近傍画素の配列を、(b)は注目画素の予測値を導出する際に参照される近傍画素の画素値を、それぞれ示す図である。
【図18】本発明の実施の形態においてG成分画像に対して第3の予測方式で注目画素の予測値が導出される様子を示す図であり、(a)はG色の画素を注目画素とする場合の近傍画素の配列を、(b)は注目画素の予測値を導出する際に参照される近傍画素の画素値を、それぞれ示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像圧縮処理部100の概略的構成を説明するブロック図である。画像圧縮処理部100は、CFA画像入力部102と、色分解処理部104と、第1の処理適性指標導出部106と、第2の処理適性指標導出部108と、予測値算出部112と、予測誤差算出部114と、エントロピー符号化処理部116とを備える。
【0017】
画像圧縮処理部100は、専用のハードウェアによって構成されていてもよいし、コンピュータにより読み取りが可能な記憶媒体に格納された画像圧縮処理プログラムをコンピュータが実行することにより実現されるものであってもよい。
【0018】
CFA画像入力部102は、デモザイク処理の行われていないCFA画像を入力する。なお、本明細書において、CFA画像はR、G、Bの原色オンチップカラーフィルタが受光面上にベイヤー配列された撮像素子から出力されたもの(本明細書ではこれはベイヤーCFA画像と称する)として以下の説明をするが、補色タイプ等、どのような画素配列形式、どのようなタイプのオンチップカラーを有する撮像素子から出力されたCFA画像であっても処理可能である。また、4色以上に色分解可能な撮像素子から出力されるCFA画像であっても本発明を適用可能である。
【0019】
色分解処理部104は、撮像素子の受光面上に備えられるオンチップカラーフィルタの色に対応したカラープレーンの画像にCFA画像を分解(色分解処理)する。ベイヤーCFA画像は縦2画素、横2画素の4画素を配列単位とし、その配列単位中にR画素およびB画素が一つずつ、G画素が二つ配列されたものとなっている。このベイヤーCFA画像を色分解処理する際には、B、G、R三つのカラープレーンの画像に分解することが可能である。あるいは、G色について、Gr、Gbの二つのカラープレーンの画像に分解し、計四つのカラープレーンに色分解することも可能である。以下ではB、G、Rの三つのカラープレーンの画像に分解するものとして説明する。これらB色、G色、R色の各カラープレーンの画像をB成分画像、G成分画像、R成分画像とそれぞれ称する。
【0020】
第1の処理適性指標導出部106は、B成分画像およびR成分画像のそれぞれを解析する。そして、B成分画像およびR成分画像内の画素ごとに第1の処理適性指標を導出する。なお、B成分画像、R成分画像に対する処理は、処理対象の画素がB色の画素であるかR色の画素であるかの違いがあるだけで、その他は基本的に同じであるので、以下ではR成分画像に対する処理を主体に説明する。第1の処理適性指標とは、CFA画像中のある一つの画素を注目画素として設定し、この注目画素の近傍に存在する複数色の画素のうち、注目画素と同じ色の画素(ここではR色画素)である同色近傍画素の画素値を参照して注目画素の画素値を予測する処理に対する適性を示す指標である。第1の処理適性指標およびこの指標を導出する処理の詳細については後で説明する。
【0021】
第2の処理適性指標導出部108は、B成分画像およびR成分画像のそれぞれを解析する。そして、B成分画像およびR成分画像内の画素ごとに第2の処理適性指標を導出する。第2の処理適性指標導出部での処理もまた、B成分画像、R成分画像に対する処理は、処理対象の画素がB色の画素であるかR色の画素であるかの違いがあるだけで、その他は基本的に同じである。第2の処理適性指標とは、CFA画像中のある一つの画素を注目画素として設定し、この注目画素の近傍に存在する複数色の画素のうち、注目画素の色とは異なる、ある一色の画素である異色近傍画素の画素値、および同色近傍画素の画素値の双方を参照して注目画素の画素値を予測する処理に対する適性を示す指標である。本実施の形態においては、注目画素の色がR色であってもB色であっても、G色の画素が異色近傍画素として設定される。第2の処理適性指標およびこの指標を導出する処理の詳細については後で説明する。
【0022】
予測方式決定部110は、第1の処理適性指標および第2の処理適性指標を参照し、注目画素の予測値を予測する際の予測方式を決定する。本発明の実施の形態においては、B成分画像およびR成分画像それぞれの全画素について、上述した第1および第2の処理適性指標の導出と予測方式を点順次に決定する。なお、上述のように決定された予測方式について、B成分画像およびR成分画像を構成する全ての画素それぞれに対応して記憶することも可能であるが、情報量が増えてしまう。そこで、画像を複数の領域に分割し、分割された領域ごとに予測方式を設定することにより、情報量の増加を抑制可能である。あるいは、画像の横方向または縦方向に沿う1ラインあるいは複数ラインに対応して共通の予測方式を設定することも可能である。さらにまた、上述した第1、第2の処理適性指標導出の処理と予測方式決定の処理とをいわゆるヒルベルトスキャンの方式で行い、記録することも可能である。その場合、処理を開始した画素から数えて、例えば1番目からN番目の画素までは予測方式Aで、N+1番目からM番目の画素までは予測方式Bで、…、というように予測方式を記録することが可能となり、情報量の増加を抑制可能となる。
【0023】
予測値算出部112は、色分解処理部104で生成された三色の成分の画像のうち、B成分画像およびR成分画像に対して、予測方式決定部110で決定された予測方式を用いて予測値算出の処理を行う。予測値算出部112はまた、G成分画像に対しては、予測方式決定部で決定される方式とは異なる方式で予測値算出の処理を行う。
【0024】
予測誤差算出部114は、予測値算出部112で算出されたB成分、G成分、R成分の画像中の各画素値に対応する予測値と実際値との差である予測誤差を算出する。上述した一連の処理により、比較的高い精度での予測値算出が行われるので、算出される予測値の分布は一定の値、例えばゼロ近くに集中する。つまり、B、G、Rの各成分について、元の画像データの画素値および予測誤差値の分散(統計学上の分散)を求めると、その値は予測誤差値の方が小さくなる。すなわち、予測誤差値のばらつきが減る。
【0025】
エントロピー符号化処理部116は、上述のようにして算出された予測誤差値に対してエントロピー符号化の処理を行う。つまり、出現頻度のより高い予測誤差値に対し、より短いビット長の符号を割り当てることにより、全体としての情報量を減じる処理を行う。
【0026】
図2は、画像圧縮処理部100を備える撮像装置200の概略的内部構成を説明するブロック図である。撮像装置200は、撮像光学系202と、撮像素子204と、アナログ・フロントエンド(以下、「AFE」と称する)206と、マイクロプロセッシングユニット(以下、「MPU」と称する)208と、画像圧縮処理部100と、画像処理部210と、表示処理部212と、表示部224と、記録処理部214と、メモリ216と、バス218とを備える。撮像装置200は、メモリカード等の記録媒体230を着脱可能に装着される。撮像装置200は、静止画を撮影するものであっても、動画を撮影するものであってもよい。無論、静止画、動画両方の撮影が可能に構成されていてもよい。撮像装置200はまた、独立した製品として形成されていても、パーソナルコンピュータや携帯情報端末等の情報処理装置や携帯電話等に内蔵されるものであってもよい。
【0027】
撮像光学系202は、被写体像を撮像素子204の受光面上に形成する。撮像光学系202は、単焦点のものであっても可変焦点距離のものであってもよく、撮像装置200に固定されるものであっても、着脱可能に構成されるものであってもよい。
【0028】
撮像素子204は、複数色のオンチップカラーフィルタが受光面上に形成される。オンチップカラーフィルタの色数やカラーフィルタの配列方式については撮像装置200の仕様に応じて様々なものとすることができる。本実施の形態では、上述したとおり、ベイヤー配列されたB(青)、G(緑)、R(赤)3色の原色タイプのオンチップカラーフィルタを撮像素子204が備えるものとして説明をする。
【0029】
AFE206は、CDS(Correlated Double Sampling)処理部、AGC(Automatic Gain Control)処理部、A/Dコンバータ等を備え、撮像素子204から出力されるアナログ画像信号にノイズ低減、増幅、A/D変換等の処理を行う。本明細書において撮像素子204はCMOS撮像素子であるものとし、AFE206が撮像素子204に内蔵されるものとする。
【0030】
MPU208は、メモリ216にストアされるプログラムを読み出して実行し、撮像装置200で撮影動作や再生動作が行われる際に撮像装置200を統括的に制御する。
【0031】
画像圧縮処理部100は、図1を参照して説明した構成を備え、撮像素子204からAFE206を経由して出力されたデジタルのCFA画像を入力し、可逆圧縮処理を行う。
【0032】
画像処理部210は、撮像素子204からAFE206を経由して出力されたデジタルのCFA画像に対してデモザイキング、ノイズ低減、ホワイトバランス調整、階調変換等の処理をして同時化された画像を生成する。画像圧縮処理部100で圧縮されて保管された画像を撮像装置200内で解凍する場合、この解凍処理は画像処理部210で行われても、画像圧縮処理部100で行われてもよい。また、画像圧縮処理部100は、画像処理部210内に備えられるものであってもよい。画像圧縮処理部100はまた、同時化された画像に対して非可逆圧縮の処理をしてJPEG画像やMPEG画像等を生成することが可能に構成されていてもよい。
【0033】
表示処理部212は、画像処理部210で生成された、同時化された画像にリサイズ、色空間変換等の処理をして表示用画像データを生成し、表示部224に出力する。表示部224は、カラー液晶表示装置や、有機EL表示装置等、カラー画像や文字、アイコン等を表示可能に構成される。そして、表示処理部212から出力された表示用画像データに基づく画像を表示する。
【0034】
記録処理部214は、画像圧縮処理部100で生成された可逆圧縮データ、非可逆圧縮データに撮影日時、撮影条件、画像処理条件等の情報を含むメタデータを付加して画像ファイルを生成し、記録媒体230に保管する。
【0035】
メモリ216は、フラッシュメモリとSDRAMとを備える。上述したAFE206、MPU208、画像圧縮処理部100、画像処理部210、表示処理部212、記録処理部214およびメモリ216は、バス218を介して相互に接続されている。フラッシュメモリにはMPU208で実行するためのプログラム(ファームウェア)や撮像装置200の動作パラメータ等、電源の供給されない状態でも保持し続けることの必要な情報が保管される。SDRAMは比較的高速のアクセス速度を有し、MPU208、画像圧縮処理部100、画像処理部210、表示処理部212、記録処理部214で処理を行う際のワークエリアとして用いられる。
【0036】
撮像制御部220は、MPU208から出力される制御信号をもとに撮像素子204に対してタイミング制御信号等を出力し、撮像素子204での撮像動作を制御する。
【0037】
操作部222は、押しボタンスイッチ、スライドスイッチ、ダイヤルスイッチ等を備え、ユーザによる撮像装置200の操作を受け付ける。操作部222はまた、表示部224の表示面上に備えられるタッチパネル等を備えていてもよい。
【0038】
図3は、画像圧縮処理部100が、情報処理装置300のMPU302によって画像圧縮処理プログラムが実行されることにより実現される例を説明するブロック図である。情報処理装置300は、MPU302と、メモリ304と、補助記憶装置306と、システムバス308とを備える。情報処理装置300はまた、メモリカードインターフェース310と、光ディスクドライブ312と、ネットワークインターフェース314と、ビデオインターフェース316とを備える。
【0039】
メモリ304は、SDRAM等で構成されていて比較的高速のアクセス速度を有し、MPU302がプログラムを実行する際のワークエリアとして用いられる。補助記憶装置306は、ハードディスクドライブやSSD(Solid State Drive)等を備え、MPU302で実行されるプログラムや、画像ファイル等を記憶可能に構成される。
【0040】
メモリカードインターフェース310は、装着されたメモリカードMCからの情報の読み出しと、メモリカードMCへの情報の書き込みとを可能に構成される。メモリカードMCは、画像ファイルやプログラムファイル等を記憶可能な記憶媒体であり、撮像装置200に装着することも可能に構成される。撮像装置200で生成され、可逆圧縮されて生成されたカラーフィルタアレイ画像を含む画像ファイル、すなわちRAW画像ファイルはメモリカードMCに保管される。情報処理装置300は、メモリカードインターフェース310を介してメモリカードMCからこのRAW画像ファイル等を読み込むことができる。
【0041】
光ディスクドライブ312は、装着された光ディスクODから画像ファイルやプログラムファイル等を読み出し可能に構成される。光ディスクドライブ312はまた、画像ファイルや各種情報等を光ディスクODに書き込み可能に構成されていてもよい。
【0042】
ネットワークインターフェース314は、有線または無線の形態でネットワークNWに接続可能に構成される。そして、ネットワークNWに接続されるサーバ等へ情報の出力およびサーバ等からの情報の入力が可能に構成される。
【0043】
ビデオインターフェース316は、カラー液晶表示装置等のフラットパネルディスプレイやCRT等の表示装置を接続可能に構成される。接続されたこれらの表示装置には、文字等の情報や画像等が表示される。上述したメモリ304、補助記憶装置306、メモリカードインターフェース310、光ディスクドライブ312、ネットワークインターフェース314、ビデオインターフェース316は、システムバス308を介してMPU302と相互に接続される。
【0044】
画像圧縮処理部100は、補助記憶装置306、メモリカードMC、光ディスクOD等の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体から読み出されてメモリ304にロードされた画像圧縮処理プログラムをMPU302が実行することにより実現される。画像圧縮処理部100は、補助記憶装置306、メモリカードMC、光ディスクOD等からRAW画像データファイルを読み出して画像圧縮処理をすることができる。この場合、RAW画像データファイル中に収容されるカラーフィルタアレイ画像は既に何らかの可逆圧縮方式で圧縮されていることが多い。この画像を解凍して得たカラーフィルタアレイ画像に対して画像圧縮処理部100が可逆圧縮の処理をすることにより、補助記憶装置306等に再保存する際のファイルサイズを減少させることが可能となる。また、画像圧縮処理部100で圧縮した画像データを、ネットワークNWを介して他の情報処理装置に送信する際に、転送データ量を減じることが可能となる。さらに、画像圧縮処理部100で圧縮した画像データをメモリカードMCや光ディスクODに保存する場合、これらのメモリカードMCや光ディスクODに記憶可能な画像ファイルの数を増加させることが可能となる。
【0045】
図4は、画像圧縮処理部100で可逆圧縮処理される対象のCFA画像を概念的に示す図である。以下では特定の画素位置の画素を参照する際に、二次元配列された画素の左上隅の位置を(1,1)とし、横方向(行方向)に(1,2)、(1,3)、…、(1,j)、…、縦方向(列方向)に(2,1)、(3,1)、…、(i,1)、…の座標値を付与する。例えば、(1,1)の座標位置の画素を画素(1,1)と称する。図4の例では、画素(1,1)および画素(2,2)をG色画素、画素(1,2)をR色画素、画素(2,1)をB色画素として、四つの画素により一つの配列単位が形成されている。
【0046】
図5は、画像圧縮処理の手順を説明するフローチャートである。以下では、撮像装置200が静止画撮影モードで動作していてレリーズ操作が行われ、AFE206を介して撮像素子204からCFA画像データが読み出されたときに図5のフローチャートに示される処理が画像圧縮処理部100で実行されるものとして説明をする。
【0047】
S500において画像圧縮処理部100は、AFE206を介して撮像素子204からCFA画像を入力する。S502において画像圧縮処理部100は、色分解の処理を行い、B成分画像、G成分画像、R成分画像を生成する。B、G、R、各成分の画像のデータは、元の座標位置を維持するようにして、他の色成分の画素に相当する部分が空白となったデータとしてもよいし、空いた部分を詰めたデータとしてもよい。なお、詰めたデータとする場合には、各色成分のデータ間で画素位置の対応が後で取れるようにする必要がある。
【0048】
これら三つの色成分の画像に対しては、図5のフローチャートに示されるように、色ごとに異なる処理が行われる。但し、先にも説明したように、R成分画像、B成分画像に対する処理は、処理対象の画素がR色のものであるかB色のものであるかの違いがあるだけで、処理内容は基本的に同じである。G成分画像に関しては、R色成分画像、B色成分画像に比べて画素数が多く、また、被写体の輝度(明るさ)にほぼ対応する画素値が得られるため、基準色として設定する。G色が基準色として設定された場合、G色以外の色成分、本例ではR色成分、B色成分の画像に対して処理を行う際に、G成分画像の画素値が共通して参照される。
【0049】
なお、基準色は必ずしもG色である必要はなく、被写体の分光分布が大きく偏っている等の場合によっては他の色を基準色としてもよい。この場合、ユーザが任意の色成分の色を基準色に設定可能に構成されていても、画像を解析した結果等に基づいて基準色が自動的に選択されるものであってもよい。また、図4に例示される画素の配列中、R色画素の左隣に配列されるG色画素をGr色画素と称し、B色画素の右隣に配列されるG色画素をGb色画素と称すると、S502における色分解の処理で、Gr、Gb、B、Rの4色に色分解することができる。これら4色の色成分のうち、いずれかを基準色に設定することも可能である。
【0050】
以下ではG色が基準色として設定されるものとして説明する。最初に、R成分画像に対する処理であるS504からS518までの処理について説明をする。まず、S504、S506、S508の各処理がR成分画像中の全画素に対して行われる。そして、先にも説明したように画素毎、行毎、列毎、あるいは分割された領域毎に予測方式が決定される。その後、S510からS518の処理がR成分画像の全画素に対して行われ、予測値および予測誤差の算出が行われる。
【0051】
各ステップで行われる処理の説明に先立ち、図6を参照して注目画素、近傍画素、同色近傍画素、異色近傍画素について説明する。図6には、R色の画素(i,j)、すなわち図4に例示される画素の配列中、第i行、第j列の位置にあるR色の画素が注目画素PIとして設定される様子が示されている。この注目画素PIに対して、(i−2,j−2)から(i+1,j+1)までの4画素×4画素の矩形領域(注目画素PIを中心とした3画素×3画素領域の周囲に、1行画素と1列画素を追加した領域)が注目領域として設定される。この注目領域に存在する画素のうち、注目画素PI以外の画素を本明細書では近傍画素と称する。このうち、注目画素PIの色と同じ色の画素を同色近傍画素と称する。図6の例では、画素(i−2,j−2)、画素(i,j−2)、および画素(i−2,j)が同色近傍画素である。また、注目画素PIの色と異なる色(本例ではG色、B色)のうちの、ある一色の画素を異色近傍画素と称する。本例では、基準色として設定されたG色の近傍画素を異色近傍画素とする。図6の例では、画素(i−2,j−1)、画素(i−2,j+1)、画素(i−1,j−2)、画素(i−1,j)、画素(i,j−1)、画素(i,j+1)、画素(i+1,j−2)、および画素(i+1,j)が異色近傍画素である。
【0052】
S504において画像圧縮処理部100は、第1の処理適性指標、すなわち同色予測処理適性指標を導出する処理を行う。このS504では、同色予測処理適性指標導出用フィルタを注目画素PIおよび同色近傍画素に適用する処理が最初に行われる。図7に、同色予測処理適性指標導出用フィルタの例を示す。図7では、図6に例示される注目領域中の各画素との対応が容易に理解できるように、行方向および列方向にそれぞれ4要素の、16要素のフィルタとして示している。しかし、本例において同色近傍画素および注目画素の合計数は4であり、同色予測処理適性指標導出用フィルタはこれら四つの画素の画素値に適用するフィルタであるので、行方向および列方向にそれぞれ2要素の4要素のフィルタとしてもよい。つまり、図7において、fs(1,1)、fs(1,3)、fs(3,1)、fs(3,3)の符号が付された四つの要素のみを有するものを同色予測処理適性指標導出用フィルタとしてもよい。この同色予測処理適性指標導出用フィルタ中に設定される値は、図7に例示される1、−1に限られず、正、負、零の値を含む実数とすることが可能である。
【0053】
同色予測処理適性指標導出用フィルタ中の各要素を注目画素PIおよび同色近傍画素に適用する処理は、以下のようにして行われる。すなわち、以下の式(1)によって注目画素PI、つまり画素(i,j)に対するフィルタリング値Aijを求め、このフィルタリング値Aijと所定の閾値との比較結果に基づいて同色予測処理適性指標が導出される。

Aij=P(i−2,j−2)×fs(1,1)+P(i−2,j)×fs(1,3)
+P(i,j−2)×fs(3,1)+P(i,j)×fs(3,3) … 式(1)

上記の式(1)において、P(m,n)は図6における画素(m,n)の画素値を意味する。例えば、P(i−2,j−2)は、同色近傍画素の一つである画素(i−2,j−2)の画素値であり、P(i,j)は注目画素PI、すなわち画素(i,j)の画素値である。注目領域内の各画素の値と、同色予測処理適性指標導出用フィルタとをマトリクスに見立てて説明すると、これら二つのマトリクスの同じ行、同じ列位置の要素同士を乗じてそれらの結果の累計を求める積和の演算を行い、フィルタリング値Aijが求められることを式(1)は表している。
【0054】
式(1)で求められたフィルタリング値Aijの絶対値が閾値Athresの2倍以下のとき、同色予測処理適性指標は0に設定される。一方、フィルタリング値Aijの絶対値が閾値Athresの2倍を上回るとき、同色予測処理適性指標は1に設定される。ここで閾値Athresは任意に設定可能であり、最終的に得られる予測誤差として許容可能な値、適用する同色予測処理適性指標導出用フィルタの値等に応じて設定することができる。例えば、理解を容易にするためにCFA画像データのビット深度が8ビット、すなわち各画素の画素値として取り得る範囲が0から255までであるものとすると、閾値Athresは0〜pとして設定される。本例でこのpは255未満の値となる。結果、2×Athresは0〜510となる。なお、予測誤差は適宜オフセット値が与えられて正の値として扱われるものとする。
【0055】
同色予測処理適性指標が0に設定される場合、および1に設定される場合それぞれの例について図8、図9を参照して説明する。図8、図9は、注目画素PIおよび同色近傍画素を概念的に示しており、各画素の色の濃淡は画素値の大小を示している。図8、図9においては、色の濃い方の画素の画素値が相対的に小さいものとする。
【0056】
図8の(a)、(b)、(c)は、同色予測処理適性指標が0に設定される場合、すなわち同色近傍画素の画素値を参照して注目画素の画素値を予測する処理に対する適性がある例を示している。つまり、注目画素と同色近傍画素との相関性が高く、同色近傍画素の画素値を参照して注目画素の予測値を導出したときに、予測誤差が比較的小さくなることが期待できる例を示している。
【0057】
図8(a)は、同色近傍画素R1と同色近傍画素R2との相関性が高く、同色近傍画素R1と同色近傍画素R3との相関性も高く、さらに注目画素PIは同色近傍画素R2およびR3のいずれとも相関性が高い例を示している。つまり、縦方向(列方向)にも横方向(行方向)にも高い相関性が得られる例を示している。図8(b)は、同色近傍画素R1と同色近傍画素R3との相関性が高く、かつ同色近傍画素R2と注目画素PIとの相関性が高いものの、同色近傍画素R1と同色近傍画素R2との相関性および同色近傍画素R3と注目画素PIとの相関性については高くはない例を示している。つまり、横方向の相関性は高くはないものの、縦方向の相関性が高い例を示している。図8(c)は、同色近傍画素R1と同色近傍画素R2との相関性が高く、かつ同色近傍画素R3と注目画素PIとの相関性が高いものの、同色近傍画素R1と同色近傍画素R3との相関性および同色近傍画素R2と注目画素PIとの相関性については高くはない例を示している。つまり、縦方向の相関性は高くはないものの、横方向の相関性が高い例を示している。
【0058】
注目画素および同色近傍画素の画素値の関係が図8に例示したもののうちのいずれかであると、同色近傍画素の画素値を参照して注目画素の予測値を導出した場合、予測誤差が小さくなることが期待できる。このような場合に同色予測処理適性指標は0に設定される。
【0059】
図9の(a)、(b)、(c)は、同色予測処理適性指標が1に設定される場合、すなわち同色近傍画素の画素値を参照して注目画素の画素値を予測する処理に対する適性が無い例を示している。つまり、注目画素と同色近傍画素との相関性が低く、同色近傍画素の画素値を参照して注目画素の予測値を導出したときに、予測誤差が比較的小さくなることが期待できない例を示している。
【0060】
図9(a)は、同色近傍画素R1と同色近傍画素R2との相関性が低く、同色近傍画素R1と同色近傍画素R3との相関性も低く、さらに注目画素PIは同色近傍画素R2およびR3のいずれとも相関性が低い例を示している。つまり、縦方向にも横方向にも高い相関性を得にくい例を示している。図9(b)は、同色近傍画素R1と同色近傍画素R2との相関性は高くなく、同色近傍画素R1と同色近傍画素R3との相関性が高いものの、同色近傍画素R2と注目画素PIとの相関性は高くない例を示している。つまり、同色近傍画素R1と同色近傍画素R3との相関性が高いことから縦方向の相関が一見あるように見えるものの、実際には同色近傍画素R2と注目画素PIとの相関が無い例を示している。図9(c)は、同色近傍画素R1と同色近傍画素R2との相関性および同色近傍画素R1と同色近傍画素R3との相関性が高いものの、注目画素PIはいずれの同色近傍画素とも高い相関が得られない例を示している。つまり、同色近傍画素R1、R2、R3の相関性が高いことから縦、横いずれの方向にも相関が一見あるように見えるものの、実際には注目画素PIはいずれの同色近傍画素とも高い相関が得られない例を示している。
【0061】
注目画素および同色近傍画素の画素値の関係が図9に例示したもののうちのいずれかであると、同色近傍画素の画素値を参照して注目画素の予測値を導出した場合、予測誤差が小さくなることが期待できない。このような場合に同色予測処理適性指標は1に設定される。
【0062】
以上がS504で行われる、第1の処理適性指標を導出する処理である。続いて、S506で行われる、第2の処理適性指標(異色予測処理適性指標)を導出する処理について説明する。第2の処理適性指標は、同色近傍画素および異色近傍画素の双方を参照して注目画素の画素値を予測する処理に対する適性の指標を導出する処理である。S506での処理においては、注目画素、同色近傍画素、異色近傍画素の各画素値に対して後述するフィルタが適用される。第2の処理適性指標の導出に際しては、R成分画像およびG成分画像の画像データが参照される。図5中、S506、S532、S514、S540の処理ステップに向かう破線の矢印が示されるが、これらはS502の色分解処理で得られたG色成分画像の画像データが上記各処理ステップで参照されることを意味している。先にも説明したように、異色近傍画素としてはG色以外の色成分のものとすることも可能である。
【0063】
図10から図13に、異色予測処理適性導出用フィルタの例を示す。これらのフィルタは一例であり、別のフィルタを用いることも可能である。まず、これらのフィルタの概略について説明すると、図10および図11に例示されるフィルタが、注目画素PIを含んで縦方向に存在する同色近傍画素および異色近傍画素、すなわち図6に例示される画素(i−2,j)、画素(i−1,j)、画素(i,j)、画素(i+1,j)の各画素値に適用されるフィルタである。図12および図13に例示されるフィルタが注目画素PIを含んで横方向に存在する同色近傍画素および異色近傍画素、すなわち図6に例示される画素(i,j−2)、画素(i,j−1)、画素(i,j)、画素(i,j+1)の各画素値に適用されるフィルタである。
【0064】
図10および図11に例示されるフィルタを適用することにより、注目画素PIを含んで縦方向に配列される同色近傍画素および異色近傍画素を参照し、注目画素PIの予測値を導出することに対する適性の有無を判定することが可能となる。このとき、図10、図11に例示される二つのフィルタを適用することにより、一方のフィルタだけでは捕らえきれない画素値のパターンを網羅することが可能となる。また、図12および図13に例示されるフィルタを適用することにより、注目画素PIを含んで横方向に配列される同色近傍画素および異色近傍画素を参照し、注目画素PIの予測値を導出することに対する適性の有無を判定することが可能となる。このとき、図12、図13に例示される二つのフィルタを適用することにより、一方のフィルタだけでは捕らえきれない画素値のパターンを網羅することが可能となる。
【0065】
図10から図13に例示される異色予測処理適性導出用フィルタは、図6に例示される注目領域中の各画素との対応が容易に理解できるようにするため、行方向および列方向にそれぞれ4要素の、16要素のフィルタとして示している。しかし、本例において縦方向(列方向)または横方向(行方向)に並ぶ同色近傍画素、異色近傍画素、および注目画素の合計数は4であり、異色予測処理適性指標導出用フィルタはこれら四つの画素の画素値に適用するフィルタであるので、4要素のフィルタとしてもよい。つまり、図10から図13において、参照符号、例えば図10でfd1(1,3)、fd1(2,3)、fd1(3,3)、fd1(4,3)が付された四つの要素のみを有するものを異色予測処理適性指標導出用フィルタとしてもよい。この異色予測処理適性指標導出用フィルタ中に設定される値は、図10から図13に例示される1、−1に限られず、正、負、零の値を含む実数とすることが可能である。例えば、ホワイトバランスが崩れているような画像に対しては、図10から図13に例示されるフィルタに代えて図14の(a)から(d)に例示されるフィルタを用いることが可能である。図14において、WはR成分の値とG成分の値とのバランスをとるための補正値である。R成分画像中に含まれる全画素の画素値の平均をrとし、G成分画像中に含まれる全画素の画素値の平均をgとしたときに、

W=r/g … 式(2)

で求めることができる。Wの値は実数とすることが可能である。
【0066】
異色予測処理適性指標導出の処理では、まず図10に例示される異色予測処理適性指標導出用フィルタ1が適用されてフィルタリング値B1ijが得られる。すなわち、以下の式(3)によって注目画素PI、つまり画素(i,j)に対するフィルタリング値B1ijが得られる。
B1ij=P(i−2,j)×fd1(1,3)
+P(i−1,j)×fd1(2,3)+P(i,j)×fd1(3,3)
+P(i+1,j)×fd1(4,3) … 式(3)

式(3)で導出されるフィルタリング値B1ijと所定の閾値との比較結果に基づいて異色予測処理適性指標が導出される。
【0067】
上記の式(3)において、P(m,n)は図6における画素(m,n)の画素値を意味する。注目領域内の各画素の値と、異色予測処理適性指標導出用フィルタ1とをマトリクスに見立てて説明すると、これら二つのマトリクスの同じ行、同じ列位置の要素同士を乗じてそれらの結果の累計を求める積和の演算を行い、フィルタリング値B1ijが求められることを式(3)は表している。
【0068】
式(3)で求められたフィルタリング値B1ijの絶対値が閾値B1thresの2倍以下のとき、異色予測処理適性指標1は0に設定される。一方、フィルタリング値B1ijの絶対値が閾値B1thresの2倍を上回るとき、異色予測処理適性指標1は1に設定される。閾値B1thresは先に説明したAthresと同様、任意に設定可能であり、最終的に得られる予測誤差として許容可能な値、適用する異色予測処理適性指標導出用フィルタの値に応じて設定することができる。
【0069】
図11から図13に例示される異色予測処理適性指標導出用フィルタ2、3、4についても異色予測処理適性指標導出用フィルタ1と同様である。異色予測処理適性指標導出用フィルタ2、3、4を適用して注目画素PIJすなわち画素(i,j)に対するフィルタリング値B2ij、B3ij、B4ijを得る際の式はそれぞれ、以下の式(4)、(5)、(6)となる。
【0070】
画素(i,j)に異色予測処理適性導出用フィルタ2を適用する場合、
B2ij=P(i−2,j)×fd2(1,3)
+P(i−1,j)×fd2(2,3)+P(i,j)×fd2(3,3)
+P(i+1,j)×fd2(4,3) … 式(4)
画素(i,j)に異色予測処理適性導出用フィルタ3を適用する場合、
B3ij=P(i,j−2)×fd3(3,1)
+P(i,j−1)×fd3(3,2)+P(i,j)×fd3(3,3)
+P(i,j+1)×fd3(3,4) … 式(5)
画素(i,j)に異色予測処理適性導出用フィルタ4を適用する場合、
B4ij=P(i,j−2)×fd4(3,1)
+P(i,j−1)×fd4(3,2)+P(i,j)×fd4(3,3)
+P(i,j+1)×fd4(3,4) … 式(6)
以上の式(4)、(5)、(6)によって得られたフィルタリング値B2ij、B3ij、B4ijはそれぞれ、閾値B2thres、B3thres、B4thresを2倍した値と比較され、その比較結果に基づいて異色予測処理適性指標2、3、4が設定される。その様子が図11、図12、図13に示される。
【0071】
以上に説明した異色予測処理適性指標1、2、3、4の組み合わせに応じて異色予測処理適性指標が設定される。具体的には、異色予測処理適性指標1と異色予測処理適性指標2との論理和(OR)がとられた結果と、異色予測処理適性指標3と異色予測処理適性指標4との論理和(OR)がとられた結果との論理積(AND)をとった結果が最終的な異色予測処理適性指標、つまり第2の処理適性指標となる。本実施の形態において、異色予測処理適性がある場合に異色予測処理適性指標は0に設定される。つまり、異色予測処理適性指標1および異色予測処理適性指標2が共に0の場合、異色予測処理適性指標3および異色予測処理適性指標4が共に0の場合、そして異色予測処理的積指標1〜4がすべて0の場合のうちのいずれかであるとき、異色予測処理適性があると判定され、第2の処理適性指標が0に設定される。
【0072】
異色予測処理適性指標1と異色予測処理適性指標2との論理和がとられることから明かであるように、異色予測処理適性指標1が1となった場合には異色予測処理適性指標2の導出処理は省略可能である。同様に、異色予測処理適性指標3と異色予測処理適性指標4との論理和がとられるので、異色予測処理適性指標3が1となった場合には異色予測処理適性指標4の導出処理は省略可能である。同様に、異色予測処理適性指標1と異色予測処理適性指標2との論理和が0であった場合、異色予測処理適性指標3および異色予測処理適性指標4の導出処理は省略可能である。理由は、異色予測処理適性指標3と異色予測処理適性指標4との論理和が1であるか0であるかに関わらず、上記論理積の結果は0となるからである。
【0073】
異色予測処理適性指標1、2、3、4が0となる場合、1となる場合の例について図15および図16を参照して説明する。図15、図16は、注目画素PI、同色近傍画素、および異色近傍画素を概念的に示しており、各画素の色の濃淡は画素値の大小を示している。図15、図16において、色の濃い方の画素の画素値が相対的に小さいものとする。
【0074】
図15の(a)、(b)は、異色予測処理適性指標1および2がともに0となる場合、すなわち同色近傍画素および異色近傍画素の双方の画素値を参照して注目画素の画素値を予測する処理に対する適性がある例を示している。図15の(a)は、異色近傍画素、本例では二つのG色画素G1およびG2が相関を有し(二つの画素値が類似性を有し)、注目画素Rと同色近傍画素R2も同様の相関を有している。つまり、二つのG色画素G1、G2の相関(類似性)を参照して、画素Rと画素R2との相関を、より高い精度で予測することができる例を示している。別の表現をすると、二つのG色画素G1、G2の相関を参照した結果に基づき、画素R2の画素値をもとに画素Rの画素値を予測したときに、予測誤差を小さくすることが期待できる例を示している。
【0075】
図15の(b)も同様である。すなわち、二つのG色画素G1、G2が相関を有しているのと同様、二つの画素R、R2が相関を有している。したがって、二つのG色画素G1、G2の相関を参照して、画素2Rの画素値をもとに画素Rの画素値を予測したときに、予測誤差を小さくすることが期待できる。
【0076】
図15の(c)、(d)は、異色予測処理適性指標3および4がともに0となる場合、すなわち同色近傍画素および異色近傍画素の双方の画素値を参照して注目画素の画素値を予測する処理に対する適性がある例を示している。図15の(c)は、異色近傍画素、本例では二つのG色画素G3およびG4が相関を有し(二つの画素値が類似性を有し)、注目画素Rと同色近傍画素R3も同様の相関を有している。つまり、二つのG色画素G3、G4の相関を参照して、画素R3の画素値をもとに画素Rの画素値を予測したときに、予測誤差が小さくなることが期待できる。図15の(d)も、二つのG色画素G3、G4が相関を有しているのと同様、二つの画素R、R3が相関を有している。したがって、二つのG色画素G3、G4の相関を参照して、画素R3の画素値をもとに画素Rの画素値を予測したときに、予測誤差が小さくなることが期待できる。
【0077】
一方、図16の(a)、(b)、(c)、(d)は、異色予測処理適性指標1、2の論理和が1となる例(異色予測処理適性指標1、2のいずれかまたは両方が1となる例)を示している。図16の(a)、(b)、(c)では、異色近傍画素であるところの二つのG色画素G1、G2が相関を有していない(二つの画素値が類似性を有していない)ので、二つのG色画素G1、G2の相関を参照して画素Rと画素R2との相関を予測することができない(二つのG色画素G1、G2の相関を参照して、画素R2の画素値をもとに画素Rの画素値を予測したときに、予測誤差が小さくなることが期待できない)。図16の(d)では、二つのG色画素G1、G2が相関(類似性)を有しているように見えるものの、画素Rと画素R2とは相関を有していない。したがって、二つのG色画素G1、G2の相関を参照して、画素R2の画素値をもとに画素Rの画素値を予測したときに、予測誤差が小さくなることが期待できない。
【0078】
図16の(e)、(f)、(g)、(h)は、異色予測処理適性指標3、4の論理和が1となる例(異色予測処理適性指標3、4のいずれかが1となる例)を示している。図16の(e)、(f)、(g)では、異色近傍画素であるところの二つのG色画素G3、G4が相関を有していない(二つの画素値が類似性を有していない)ので、二つのG色画素G3、G4の相関を参照して画素Rと画素R3との相関を予測することができない(画素R3の画素値をもとに画素Rの画素値を予測したときに、予測誤差が小さくなることが期待できない)。図16の(h)では、二つのG色画素G3、G4が相関(類似性)を有しているように見えるものの、画素Rと画素R3とが相関を有していない。したがって、二つのG色画素G3、G4の相関を参照して、画素R3の画素値をもとに画素Rの画素値を予測したときに、予測誤差が小さくなることが期待できない。
【0079】
以上をまとめると、異色予測処理適性指標1、2の論理和が0である、ということは、注目画素PIを含んで縦方向(列方向)に配列される同色近傍画素および異色近傍画素を参照して注目画素PIの画素値を予測したときに、予測誤差が小さくなることが期待できる、ということになる。つまり、縦方向に並ぶ異色近傍画素の相関(類似性)を参照し、同色近傍画素の画素値から注目画素PIの画素値を予測したときに、予測誤差が小さくなることが期待できる、ということになる。
【0080】
異色予測処理適性指標3、4の論理和が0である、ということは、注目画素PIを含んで横方向(行方向)に配列される同色近傍画素および異色近傍画素を参照して注目画素PIの画素値を予測したときに、予測誤差が小さくなることが期待できる、ということになる。つまり、横方向に並ぶ異色近傍画素の相関(類似性)を参照し、同色近傍画素の画素値から注目画素PIの画素値を予測したときに、予測誤差が小さくなることが期待できる、ということになる。
【0081】
異色予測処理適性指標1、2の論理和、および異色予測処理適性指標3、4の論理和のうち、いずれかまたは両方が0であるとき、両者の論理積は0となり、第2の処理適性指標は0となる。つまり、注目画素PIを含んで、縦方向および横方向の少なくともいずれかに配列される異色近傍画素の相関(類似性)を参照し、同色近傍画素の画素値から注目画素PIの画素値を予測したときに、予測誤差が小さくなることが期待できるとき、第2の処理適性指標は0となる。
【0082】
以上、図10から図16を参照して説明した、S506における第2の処理適性指標(異色予測処理適性指標)の導出処理に続き、S508で予測方式決定の処理が行われる。予測方式決定の処理は、S504で導出された第1の処理適性指標(同色予測処理適性指標)とS506で導出された第2の処理適性指標(異色予測処理適性指標)とを参照し、注目画素PIの予測値を算出する際の予測方式を決定する処理である。例えば、第1の処理適性指標(0または1)と第2の処理適性指標(0または1)との差を求め、その差が1、0、−1のいずれか(正、0、負のいずれか)であるかによって上記予測方式を決定することができる。
【0083】
上記の差が−1(負)となる場合は、第1の処理適性指標が0かつ第2の処理適性指標が1の場合に相当する。この場合、決定される予測方式は第1の予測方式、すなわち同色近傍画素の画素値を参照して注目画素PIの画素値を予測する方式となる。
【0084】
上記の差が1(正)となる場合は、第1の処理適性指標が1かつ第2の処理適性指標が0の場合に相当する。この場合、決定される予測方式は第2の予測方式、すなわち異色近傍画素の画素値および同色近傍画素の画素値の双方を参照して注目画素PIの画素値を予測する方式となる。
【0085】
上記の差が0となる場合は、第1の処理適性指標および第2の処理適性指標が共に0の場合または共に1の場合に相当する。この場合、決定される予測方式としては第1の予測方式、第2の予測方式のうち、どちらであってもよい。この場合、デフォルト設定されている第1または第2の予測方式に決定することが可能である。
【0086】
ところで、S508では第1の処理適性指標と第2の処理適性指標との差をとり、予測方式を決定する例について説明したが、他の方式によって予測方式を決定することも可能である。また、以上では第1、第2の処理適性指標として0、1が設定される例について説明したが、0、1以外の値が設定されてもよいし、負の値が設定されてもよい。また、数値のみならず、文字や正負の符号等が設定されてもよい。さらに、S508で予測方式を決定するのに代えて、第1、第2の処理適性指標を比較した結果そのものを導出して記録することも可能である。
【0087】
S508での処理が、ある色成分の画像中の全画素に対して行われると、それぞれの画素に対応して予測方式が決まる。各画素に対応してこの予測方式を記憶して後の処理を行うと、予測誤差を最小化することが可能となる。その一方で、予測方式を画素ごとに設定して記憶しようとすると情報量が増えてしまうので、図1を参照しての予測方式決定部110の説明において触れたように、予測方式は領域ごとに設定されるようにすることが望ましい。例えば、上記のように第1、第2の処理適性指標の差をとる場合を例に説明すると、ラスタスキャンの方式で、ある行(列)について第1、第2の処理適性指標の差を求める。その行(列)の中で、1、0、−1のうち、最も出現頻度の高い値に対応する予測方式を当該の行(列)に設定することができる。これは、複数に分割された二次元の領域それぞれで予測方式を設定する場合も、ヒルベルトスキャンの方式で予測方式を設定する場合も同様である。
【0088】
続いて、以下に説明するS510からS518までの処理がR成分画像内の全画素に対して行われて予測値および予測誤差の算出が行われる。S510において画像圧縮処理部100は、注目画素PIに対して設定されている予測方式が第1、第2の予測方式のうち、いずれかであるかを判定する。ここで、第1の予測方式は、同色近傍画素を参照して注目画素PIの画素値を予測する方式である。第2の予測方式は、異色近傍画素(本例ではG色の近傍画素)および同色近傍画素を参照して注目画素PIの画素値を予測する方式である。
【0089】
S510において判定された予測方式が第1の予測方式である場合、処理はS512に進む。一方、S510において判定された予測方式が第2の予測方式である場合、処理はS514に進む。
【0090】
S512において画像圧縮処理部100は、第1の予測方式による予測処理である同色予測値算出処理を行う。また、S514において画像圧縮処理部100は、第2の予測方式による予測処理である同色予測値算出処理を行う。以下、図17を参照し、同色予測値算出処理および異色予測値算出処理の具体例について説明する。図17(a)は、注目画素PIおよびその近傍に存在する近傍画素の配列例を示している。図17(b)は、図17(a)に例示される配列の画素中、一部の画素の画素値を符号で示したものである。図17(b)中、注目画素PIの画素値はx、注目画素PIを囲う四つの異色近傍画素(G色画素)の画素値はそれぞれa、b、c、d、三つの同色近傍画素(R色画素)の画素値はそれぞれ、e、f、gとなっている。
【0091】
S512で行われる同色予測値算出処理では、例えば以下の式(7)、(8)、(9)を用いて注目画素PIの予測値が算出される。
【数1】

式(7)、(8)、(9)において、x’は注目画素PIの予測値である。e、f、gは、図17(b)に示される同色近傍画素の画素値である。Cthresは予め定められた閾値である。
【0092】
式(7)は、同色近傍画素の画素値eと画素値gとの差の絶対値が閾値Ctres以下であり、かつ、同色近傍画素の画素値eとfとの差の絶対値が閾値Cthresを上回るとき、注目画素PIの予測値x’を同色近傍画素の画素値fとする例を示している。つまり、画素値eと画素値gとが比較的近い値で、画素値eと画素値fとが比較的離れた値であることから、縦方向(列方向)の相関があることが予測される。そこで、注目画素PIの予測値x’を、注目画素PIの上側に位置する同色近傍画素の画素値fとする。
【0093】
式(8)は、同色近傍画素の画素値eと画素値gとの差の絶対値が閾値Ctresを上回り、かつ、同色近傍画素の画素値eとfとの差の絶対値が閾値Cthres以下であるとき、注目画素PIの予測値x’を同色近傍画素の画素値gとする例を示している。つまり、画素値eと画素値gとが比較的離れた値であり、画素値eと画素値fとが比較的近い値であることから、横方向(行方向)の相関があることが予測される。そこで、注目画素PIの予測値x’を、注目画素PIの横に位置する同色近傍画素の画素値gとする。
【0094】
式(9)は、式(7)、式(8)中の条件式にあてはまらない場合に注目画素PIの予測値x’を三つの同色近傍画素の値の平均をとった値とする例を示している。式(9)が適用されるのは、三つの同色近傍画素の画素値で縦方向および横方向のいずれにも相関が見られない場合、あるいはこれら三つの同色近傍画素の画素値が比較的近い場合である。
【0095】
S514で行われる異色予測値算出処理では、例えば以下の式(10)、(11)、(12)を用いて注目画素PIの予測値が算出される。
【数2】

式(10)、(11)、(12)において、x’は注目画素PIの予測値である。e、f、gは、図17(b)に示される同色近傍画素の画素値である。a、b、c、dは図17(b)に示される異色近傍画素(G色画素)の画素値である。Dthresは予め定められた閾値である。
【0096】
式(10)は、異色近傍画素の画素値aと画素値bとの差の絶対値が閾値Dtres以下であり、かつ、異色近傍画素の画素値cとdとの差の絶対値が閾値Dthresを上回るとき、注目画素PIの予測値x’を同色近傍画素の画素値fとする例を示している。つまり、注目画素PIを含んで縦方向に並ぶ異色近傍画素の画素値aと画素値bとが比較的近い値で、同じく横方向に並ぶ異色近傍画素の画素値cと画素値dとが比較的離れた値であることから、縦方向(列方向)の相関があることが予測される。そこで、注目画素PIの予測値x’を、注目画素PIの上側に位置する同色近傍画素の画素値fとする。
【0097】
式(11)は、異色近傍画素の画素値aと画素値bとの差の絶対値が閾値Ctresを上回り、かつ、異色近傍画素の画素値cとdとの差の絶対値が閾値Dthres以下であるとき、注目画素PIの予測値x’を同色近傍画素の画素値gとする例を示している。つまり、画素値aと画素値bとが比較的離れた値であり、画素値cと画素値dとが比較的近い値であることから、横方向(行方向)の相関があることが予測される。そこで、注目画素PIの予測値x’を、注目画素PIの横に位置する同色近傍画素の画素値gとする。
【0098】
式(12)は、式(10)、式(11)中の条件式にあてはまらない場合に注目画素PIの予測値x’を三つの同色近傍画素の値の平均をとった値とする例を示している。式(12)が適用されるのは、四つの異色近傍画素の画素値で縦方向および横方向のいずれにも相関が見られない場合、あるいはこれら四つの同色近傍画素の画素値が比較的近い場合である。
【0099】
上記のS512における同色予測値算出処理、またはS514における異色予測値算出処理の後、S516では予測誤差Δxを算出する処理が行われる。予測誤差Δxは、以下の式(13)を用いて算出することが可能である。

Δx=x−x’ … 式(13)

この予測誤差Δxは、正および負の値を取り得るが、適宜オフセット値を加えることにより正の値として後続する処理をすることが望ましい。
【0100】
S518において画像圧縮処理部100は、全R画素について予測値x’および予測誤差Δxを算出する処理を完了したか否かの判定をし、S518の判定が否定される間、S510からS516までの処理を繰り返し行う。S518での判定が肯定されると処理はS560に進む。
【0101】
以上で説明した式(7)から式(12)中の条件判断および予測値x’の算出式は一例を示したにすぎず、様々な変更を加えることが可能である。
【0102】
以上、S504からS518までの一連の処理によりR成分画像データを処理する例について説明した。B成分画像データについては、S530からS544までの処理が行われ、全B画素について予測値x’および予測誤差Δxが算出される。B成分画像データに対する処理は、以上に説明したR成分画像データに対する処理において注目画素PIおよび同色近傍画素をB色画素とする以外、同様であるので説明を省略する。
【0103】
続いて、G成分画像データに対して行われるS550、S552、S554の処理について説明する。先にも説明したように、本実施の形態において扱われるCFA画像はベイヤーCFA画像であり、G色の画素数が他のR色、B色の画素数の2倍となっているので、R成分画像、B成分画像に対する処理とは異なる処理が行われる。
【0104】
R成分画像、B成分画像に対しては、第1、第2の処理適性指標を導出する処理で得られた第1、第2の処理適性指標に基づき、第1または第2の予測方式で注目画素PIの予測値x’が算出される。これに対し、G成分画像に対しては、第1、第2の予測方式と異なる、第3の予測方式を用いて注目画素の予測値x’が算出される。
【0105】
図18を参照し、第3の予測方式による予測値算出処理の具体例について説明する。図18(a)は、注目画素PIおよびその近傍に存在する近傍画素の配列例を示している。図18(a)において、注目画素PIはG色の画素である。図18(b)は、図18(a)に例示される配列の画素中、注目画素PIの横または上方に位置する同色近傍画素(G色画素)の画素値を符号で示したものである。図18(b)中、注目画素PIの画素値はx、上記同色近傍画素の画素値はそれぞれa、b、c、d、eとなっている。
【0106】
S550で行われる予測値算出処理では、例えば以下の式(14)、(15)、(16)、(17)、(18)を用いて注目画素PIの予測値が算出される。
【数3】

式(14)から式(18)において、x’は注目画素PIの予測値である。a、b、c、d、eは、図18(b)に示されるG色の同色近傍画素の画素値である。Ethresは予め定められた閾値である。
【0107】
式(14)は、同色近傍画素の画素値aと画素値eとの差の絶対値が閾値Etres以下であり、かつ、同色近傍画素の画素値aとbとの差の絶対値が閾値Ethresを上回るとき、注目画素PIの予測値x’を同色近傍画素の画素値bとする例を示している。つまり、縦方向に並ぶ同色近傍画素の画素値aと画素値eとが比較的近い値で、横方向に並ぶ同色近傍画素の画素値aと画素値bとが比較的離れた値であることから、縦方向(列方向)の相関があることが予測される。そこで、注目画素PIの予測値x’を、注目画素PIの上側に位置する同色近傍画素の画素値bとする。
【0108】
式(15)は、同色近傍画素の画素値aと画素値bとの差の絶対値が閾値Etres以下であり、かつ、同色近傍画素の画素値aとeとの差の絶対値が閾値Ethresを上回るとき、注目画素PIの予測値x’を同色近傍画素の画素値eとする例を示している。つまり、横方向に並ぶ同色近傍画素の画素値aと画素値bとが比較的近い値で、縦方向に並ぶ同色近傍画素の画素値aと画素値eとが比較的離れた値であることから、横方向(行方向)の相関があることが予測される。そこで、注目画素PIの予測値x’を、注目画素PIの横に位置する同色近傍画素の画素値eとする。
【0109】
式(16)は、同色近傍画素の画素値aと画素値cとの差の絶対値が閾値Etres以下であり、かつ、同色近傍画素の画素値cとeとの差の絶対値が閾値Ethresを上回るとき、注目画素PIの予測値x’を同色近傍画素の画素値cとする例を示している。つまり、左上から右下に向かう対角方向に並ぶ同色近傍画素の画素値aと画素値cとが比較的近い値で、左下から右上に向かう対角方向に並ぶ同色近傍画素の画素値eと画素値cとが比較的離れた値であることから、左上から右下に向かう対角方向に相関があることが予測される。そこで、注目画素PIの予測値x’を、注目画素PIの左上側に位置する同色近傍画素の画素値cとする。
【0110】
式(17)は、同色近傍画素の画素値bと画素値cとの差の絶対値が閾値Etres以下であり、かつ、同色近傍画素の画素値bとdとの差の絶対値が閾値Ethresを上回るとき、注目画素PIの予測値x’を同色近傍画素の画素値dとする例を示している。つまり、右上から左下に向かう対角方向に並ぶ同色近傍画素の画素値bと画素値cとが比較的近い値で、左上から右下に向かう対角方向に並ぶ同色近傍画素の画素値bと画素値dとが比較的離れた値であることから、右上から左下に向かう対角方向に相関があることが予測される。そこで、注目画素PIの予測値x’を、注目画素PIの右上側に位置する同色近傍画素の画素値dとする。
【0111】
式(18)は、式(14)から式(17)中の条件式にあてはまらない場合に注目画素PIの予測値x’を三つの同色近傍画素の値の平均をとった値とする例を示している。式(18)が適用されるのは、五つの同色近傍画素の画素値で縦方向、対角方向、および横方向のいずれにも相関が見られない場合、あるいはこれら五つの同色近傍画素の画素値が比較的近い場合である。
【0112】
以上に説明した式(14)から式(18)による条件判断および予測値x’の算出式は一例であり、他の様々な条件判断および予測値x’の計算式を設定することが可能である。
【0113】
上記のS550における、上述した第3の予測方式による予測値算出処理の後、S552で予測誤差Δxを算出する処理が行われる。予測誤差Δxは、先に説明した式(13)を用いて算出することが可能である。この予測誤差Δxは、正となる場合も負となる場合もあり、適宜オフセット値を加えることにより正の値として後続する処理をすることが望ましいのはS516での処理に関して説明したのと同様である。
【0114】
S554において画像圧縮処理部100は、全G画素について予測値x’および予測誤差Δxを算出する処理を完了したか否かの判定をし、S554の判定が否定される間、S550およびS552処理を繰り返し行う。S554での判定が肯定されると処理はS560に進む。
【0115】
S560において画像圧縮処理部100は、以上に説明した処理で計算されたR成分画像、B成分画像、およびG成分画像のそれぞれの予測誤差をエントロピー符号化によって圧縮する処理を行う。エントロピー符号化の方法については任意の方法を利用可能であり、例えば、算術符号、ハフマン符号、ゴロム符号のうちのいずれかを用いることができる。
【0116】
以上の処理によって得られたそれぞれの色成分画像の符号化データを収容したファイルを生成して圧縮処理を完了する。
【0117】
ところで、図5のフローチャートを参照しての以上の説明では、S502で色成分分離の処理を行い、分離されたB、G、R各色成分の画像中で注目画素および注目領域を設定して同色予測処理適性指標導出用フィルタ、異色予測処理適性指標導出用フィルタを適用して同色予測処理適性指標、異色予測処理適性指標を導出する例について説明した。しかし、本発明はこの例に限られるものではなく、色分解処理を行う前のCFA画像に上述した同色予測処理適性指標導出用フィルタ、異色予測処理適性指標導出用フィルタを適用して同色予測処理適性指標、異色予測処理適性指標を導出することも可能である。その一例について図6、図7を参照して説明する。
【0118】
例えば、図7に例示される同色予測処理適性指標導出用フィルタを、CFA画像中の図6に例示されるような注目画素PIを含む4画素×4画素の注目領域に適用する場合について説明する。この場合、同色予測処理適性指標導出用フィルタの要素数を4×4とする。そして、R成分画像中の注目画素に対する同色予測処理適性指標を導出する場合、注目領域中でR色画素が存在する位置に対応する位置の要素にフィルタリング用の値を設定し、残りの要素には0を設定すればよい。つまり、図7に例示されるように、fs(1,1)、fs(1,3)、fs(3,1)、fs(3,3)の要素にフィルタリング用の値を設定し、残りの要素に0を設定すればよい。このようにすることにより、色分解していないCFA画像にフィルタリング処理をしても、特定の色(本例ではR色)の画像に対するフィルタリング値Aijを求めることができる。
【0119】
図5のフローチャートにおいて、G成分、R成分、B成分それぞれの画像に対する処理が並列して行われるように表示されているが、図示のとおり並列して処理されてもよいし、各色成分の画像ごとに順次処理が行われてもよい。その場合、処理をする色の順番は、任意に設定することが可能である。
【0120】
本発明は、デジタルスチルカメラ、デジタルムービーカメラ、あるいはこれらの撮像装置から出力される画像信号を入力して処理する画像処理装置や情報処理装置等に適用することが可能である。さらに、動画や静止画を圧縮処理する画像処理プログラムに本発明を適用することも可能である。
【0121】
以上、いくつかの実施形態に基づいて本発明について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0122】
また、上記実施形態からは種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られるのであればこの構成要件が削除された構成もまた発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0123】
100 … 画像圧縮処理部
102 … CFA画像入力部
104 … 色分解処理部
106 … 第1の処理適性指標導出部
108 … 第2の処理適性指標導出部
110 … 予測方式決定部
112 … 予測値算出部
114 … 予測誤差算出部
116 … エントロピー符号化処理部
200 … 撮像装置
204 … 撮像素子
206 … AFE
208、302 … MPU
216、304 … メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光面上に複数色の色分解用カラーフィルタが配列された撮像素子から出力されたカラーフィルタアレイ画像を圧縮する画像圧縮装置であって、
前記カラーフィルタアレイ画像中の一つの画素を注目画素として設定し、当該注目画素の近傍に存在する複数色の近傍画素のうち、前記注目画素と同じ色の画素である同色近傍画素の画素値を参照して前記注目画素の画素値を予測する第1予測方式に対する適性の指標である第1の適性指標を導出する第1の適性指標導出部と、
前記複数色の近傍画素のうち、前記注目画素の色とは異なる、ある一色の画素である異色近傍画素の画素値、および前記同色近傍画素の画素値の双方を参照して前記注目画素の画素値を予測する第2予測方式に対する適性の指標である第2の適性指標を導出する第2の適性指標導出部と、
前記第1の適性指標と前記第2の適性指標とに基づき、前記第1予測方式および前記第2予測方式のうちのいずれかに決定し、該決定した予測方式で前記注目画素の予測値を算出する予測値算出部と、
前記注目画素の実際の値と前記予測値との差である予測誤差を算出する予測誤差算出部と
を備えることを特徴とする画像圧縮装置。
【請求項2】
前記第1の適性指標導出部、前記第2の適性指標導出部、前記予測値算出部、および前記予測誤差算出部の処理は、前記フィルタアレイ画像を構成する各画素に対して点順次に行われることを特徴とする請求項1に記載の画像圧縮装置。
【請求項3】
前記異色近傍画素は、前記注目画素として設定される画素の色によらず、常に同じ色の画素が設定されることを特徴とする請求項1または2に記載の画像圧縮装置。
【請求項4】
前記異色近傍画素は、前記撮像素子中に配設される画素数の最も多い色の画素が設定されることを特徴とする請求項3に記載の画像圧縮装置。
【請求項5】
前記異色近傍画素は、前記複数色の中で、緑系の色に対する分光感度特性を有する画素が設定されることを特徴とする請求項3または4に記載の画像圧縮装置。
【請求項6】
前記色分解用カラーフィルタはベイヤー配列のRGB原色カラーフィルタであり、
赤色または青色の画素が前記注目画素である場合に対応して前記第1および第2の適性指標の導出が行われ、
緑色の画素が前記注目画素である場合には、前記第1および第2の適性指標導出部での処理は行わずに、前記第1および第2の予測方式とは異なる第3の予測方式で前記注目画素の予測値が算出される
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の画像圧縮装置。
【請求項7】
前記カラーフィルタアレイ画像をそれぞれの色の成分の画像に色分解する色分解処理部をさらに備え、
前記第1および第2の適性指標の導出および前記予測方式の決定は、前記それぞれの色成分の画像ごとに行われることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の画像圧縮装置。
【請求項8】
受光面上に複数色の色分解用カラーフィルタが配列されて前記カラーフィルタアレイ画像を出力可能な撮像素子を備える撮像装置であって、
請求項1から7のいずれか一つに記載の画像圧縮装置を備える撮像装置。
【請求項9】
受光面上に複数色の色分解用カラーフィルタが配列された撮像素子によって得られたカラーフィルタアレイ画像を圧縮する画像圧縮方法であって、
前記カラーフィルタアレイ画像中の一つの画素を注目画素として設定し、当該注目画素の近傍に存在する複数色の近傍画素のうち、前記注目画素と同じ色の画素である同色近傍画素の画素値を参照して前記注目画素の画素値を予測する第1予測方式に対する適性の指標である第1の適性指標を導出する第1の適性指標導出手順と、
前記複数色の近傍画素のうち、前記注目画素の色とは異なる、ある一色の画素である異色近傍画素の画素値、および前記同色近傍画素の画素値の双方を参照して前記注目画素の画素値を予測する第2予測方式に対する適性の指標である第2の適性指標を導出する第2の適性指標導出手順と、
前記第1の適性指標と前記第2の適性指標とに基づき、前記第1予測方式および前記第2予測方式のうちのいずれかに決定し、該決定した予測方式で前記注目画素の予測値を算出する予測値算出手順と、
前記注目画素の実際の値と前記予測値との差である予測誤差を算出する予測誤差算出手順と
を備えることを特徴とする画像圧縮方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−93745(P2013−93745A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234622(P2011−234622)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】