説明

画像形成コントローラ、画像形成装置、及び画像形成装置の起動方法

【課題】画像形成装置における電源投入後のレディー状態への移行時間を短くするとともに、デバイスに対して故障診断を実行させる。
【解決手段】本画像形成装置では、電源が投入されるとCPUは、各デバイスの重要度に応じて決定された優先順位に従って複数のデバイスに対して動作確認を行なう。また、プリンタエンジンのウォーミングアップが終了した場合に、CPUは次の対象となるデバイスに対する動作確認を中止させて、画像形成装置をレディー状態に移行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源投入後に、記憶手段及び通信手段の動作確認を実行しつつ、プリンタエンジンのウォーミングアップ終了とともに機器を動作可能状態に移行させる画像形成コントローラ、上記画像形成コントローラを使用する画像形成装置、及び上記画像形成装置の起動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザープリンタ等の画像形成装置は、媒体に対して画像形成処理を実行するプリンタエンジンと、メモリ等の所定の機能を備えた記憶手段及び通信手段とを備えている。プリンタエンジンは、印刷を実行するための機構部を備えており、この機構部は電源が投入されてから暫くの間は、安定的に処理を実行できるようになるためにウォーミングアップを必要とする(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そのため、画像形成装置では電源投入後に、プリンタエンジンに対してウォーミングアップ処理を実行し、記憶手段及び通信手段に対して動作確認を実行し、両処理が完了したことを確認すると動作可能状態であるレディー状態に移行する。このとき、画像形成装置はレディー状態に移行するまでは、外部からの一切のコマンドを受け付けいれない。
【特許文献1】特開2006−95828号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成装置が備える記憶手段及び通信手段の数が多くなり又各手段の構成が複雑になれば、全ての記憶手段及び通信手段に対して動作確認を完了させるのに要する時間も長くなるため、電源投入後に画像形成装置をレディー状態に移行させるのに必要な時間も長くなる。しかし、記憶手段及び通信手段に対する動作確認は、故障を診断するという側面からは有益であるため、画像形成装置をレディー状態に移行させる時間を短くするために記憶手段及び通信手段の動作確認を省略してしまうと、故障時に故障原因が解らなくなる恐れがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、画像形成装置における電源投入後のレディー状態への移行時間を短くするとともに、記憶手段及び通信手段に対して故障診断を実行させることが可能な画像形成コントローラ、上記画像形成コントローラを使用した画像形成装置、及び上記画像形成装置の起動方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面として、本発明は、所定のデータを取得し、プリンタエンジンに画像形成処理を実行させる画像形成コントローラであって、取得したデータを記憶する記憶手段と、外部機器と前記データのやり取りを行なう通信手段と、電源投入時に、前記記憶手段及び前記通信手段の重要度に応じて決定された優先順位に従って該記憶手段及び該通信手段に対して動作確認を行なう確認手段と、機器を動作可能状態に移行させる設定制御手段とを具備し、前記設定制御手段は、電源投入後、前記プリンタエンジンのウォーミングアップが終了した場合に、次に対象となる前記記憶手段又は前記通信手段に対する動作確認を中止させて、機器を動作可能状態に移行させる。
【0007】
上記のように構成された発明では、電源が投入されると、確認手段は、記憶手段及び通信手段の重要度に応じて決定された優先度に従って複数の記憶手段及び通信手段に対して動作確認を行なう。また、プリンタエンジンのウォーミングアップが終了した場合、設定制御手段は確認手段により次に動作確認が行なわれる記憶手段及び通信手段に対する動作確認を中止させて、機器を動作可能状態に移行させる。
そのため、ウォーミングアップが終了した時点で全ての対象記憶手段及び通信手段に対して動作確認が終了していなくとも機器を動作可能状態に移行させるため、機器を速やかに動作可能状態に移行させることができる。また、重要度が高い記憶手段及び通信手段に対しては、動作確認を優先的に実行するため、ウォーミングアップの実行時間が短い場合であっても重要な記憶手段及び通信手段に対しては機器の故障を判断することができる。
【0008】
ここで、ウォーミングアップとは、プリンタエンジンの各部を印刷可能な状態にするための動作確認及び暖機運転を意味する。その一例として、各部をホームポジションに移動させる処理や、感光体を所定の位置に移動させる処理や、定着器の温度を所定の温度に加熱する処理や、露光ユニットが正常に動作するか動作確認する等の処理である。
また、動作可能状態とは、画像形成装置は外部からのコマンド等を受け入れて、所定の処理を実行することができる状態を言う。
【0009】
好ましくは、前記設定制御手段は、動作可能状態の移行後に前記プリンタエンジンが画像形成処理を実行しない場合は、前記確認手段に中止した記憶手段及び通信手段の動作確認を再開させる。
上記のように構成された発明では、機器が動作可能状態に移行した後にプリンタエンジンが画像形成処理を実行しない場合は、記憶手段及び通信手段の動作確認を再開させるので、プリンタエンジンのウォーミングアップ時間が短い場合であっても複数の記憶手段及び通信手段に対して動作確認を行なうことができる。
【0010】
好ましくは、前記プリンタエンジンはトナーを印刷媒体に対して定着させる機能を備える定着器を有する構成とされ、前記設定制御手段は、前記プリンタエンジンのウォーミングアップが完了したことを前記定着器の温度に基づいて判断する。
上記のように構成された発明では、プリンタエンジンのウォーミングアップ終了を定着器の温度に基づいて判断するため、機器が設置された環境の温度が変化した場合でも、設定制御手段は、プリンタエンジンのウォーミングアップが終了したことを正確に判断することができる。
【0011】
好ましくは、前記確認手段は、前記記憶手段が記憶容量の多いメモリである場合は、所定記憶容量ごとに区切って動作確認を実行し、前記設定制御手段は、前記所定記憶容量毎の動作確認ごとに前記プリンタエンジンがウォーミングアップを終了しているか否かを判断する。
上記のように構成された発明では、記憶容量の多いメモリに対しては全ての記憶領域に対して動作確認を行なうことは時間が掛かり、たとえ、動作確認の途中でプリンタエンジンのウォーミングアップが終了した場合でも、速やかに機器を動作可能状態に移行させることはできない。そのため、記憶容量の多いメモリに対しては所定記憶容量ごとに動作確認を終了させて、各動作確認ごとに、プリンタエンジンのウォーミングアップ終了を判断することで、記憶容量の多いメモリを動作確認する場合でも、機器を駆動開始状態に移行させるのに要する時間を短くすることができる。
【0012】
好ましくは、前記確認手段は、前記通信手段が外部機器と接続するためのインタフェースである場合は、前回使用したインタフェースにのみ動作確認を行なう。
上記のように構成された発明では、ユーザは前回使用したインタフェースを再度使用することが統計上多いので、ユーザが使用するインタフェースのみを動作確認すれば時間の短縮に繋がる。そのため、前回使用したインタフェースのみ動作確認を行なうことで動作確認に掛かる時間を短くし、プリンタエンジンのウォーミングアップに要する時間が短い場合でも多くの記憶手段及び通信手段に対して動作確認を行なうことができる。
【0013】
また、本発明の他の局面として、本発明の画像形成コントローラを使用した画像形成装置に対しても有効である。また、本発明の思想を用いた画像形成装置の起動方法に対しても有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、下記の順位に従い、図を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、図中同じ符号及び同等の符号を付した箇所は同一の箇所を意味し、その説明は繰返さない。
1.第一の実施の形態:
2.その他の実施の形態:
【0015】
1.第一の実施の形態
1.1.画像形成装置の構成:
図1は、印刷装置としての画像形成装置100の構成を説明するブロック図である。同図より、画像形成装置100は、画像形成装置100の駆動を制御するための機能を備えるCPU10と、各種機能を備えるデバイス(記憶手段及び通信手段)20と、画像形成装置100が取得した画像データに対して所定の信号処理を実行する機能を備える画像処理部30と、受け付けた操作入力に基づく命令をCPU10に送信する機能を備える操作パネル40と、印刷媒体に対して画像形成処理を実行する機能を備えるプリンタエンジン50とを備えている。なお、上記各部の間にはバス60が備えられ、各部はバス60を介して相互に通信を行なうことができる。なお、印刷装置としての画像形成装置100は一例であり、画像形成装置100は複写機能を備えた複合機であってもよい。
【0016】
画像形成装置100は操作パネル40の操作に基づいて電源が投入されると、プリンタエンジン50をウォーミングアップさせるとともに、各デバイス20の動作確認を行なう。また、画像形成装置100は、プリンタエンジン50のウォーミングアップが終了した時点でレディー状態(動作可能状態)に移行し、外部から入力されたコマンドに基づいて各種処理を実行する。
【0017】
1.2.デバイスの構成
本画像形成装置100におけるデバイス20は、所定のデータを記憶する機能を備えるメモリ装置(記憶手段)と、所定の規格に基づいて外部機器とデータの受け渡しを行なう機能を備える接続部(通信手段)とに大別される。本画像形成装置100では、メモリ装置は、記憶領域としての機能を備える、ROM(Read-Only Memory)21、RAM(Random Access Memory)22、オプションRAM23、HDD(Hard Disk Drive)24、更にはSRAM(Static Random Access Memory)25により構成されている。また、接続部は、USB(Universal Serial Bus)26及び外部ネットワークと接続する機能を備えるネットワークI/F27により構成されている。なお、上記構成はその一例であり、デバイス20の構成はこれに限定されるものではない。
【0018】
図2は、一例としてのROM21に記憶されるプログラムを説明する図である。ROM21には、CPU10が各種処理を実行するためのデータ等が記憶されている。具体的にはROM21には、画像形成装置100に電源が投入された際、CPU10に各デバイスに対する動作確認の実行形態を制御させる機能を付与する実行プログラム200、CPU10に各デバイス20の動作確認を実行させる機能を付与する動作確認プログラム300、更には、CPU10がデバイス20の動作確認の優先順位を判断するためのルックアップテーブル400が記憶されている。なお、ROM21には、上記したデータの他、オペレーティング・ソフト等の基本ソフトウェアや、その他各処理を実行する際にCPU10がロードするプログラム等が記憶されている。
【0019】
図3は、本画像形成装置100がデバイスに対して行なう動作確認を説明する図である。CPU10が実行プログラム200に基づいて実行する処理では、各デバイス間で動作確認の順序に優先順位を設けており、電源投入後、この優先順位に従ってデバイスを動作確認する。なお、各デバイスに対する優先順位は、デバイスの重要度に応じて予め設定されたものであるが、これに限定されるものではない。
【0020】
動作確認プログラム300に基づいてCPU10が各デバイスに対して実行する動作確認とその優先順位は以下のとおりである。
優先順位1:所定のデータが記憶されたROM21に対しては、CPU10は、記憶されたデータに対してチェックサム等の誤り検出を実行する。
優先順位2:不揮発性のRAM等に関しては、RAMチェックを実行して、記憶領域の故障を検出する。具合的には、CPU10は、RAM領域に所定のデータを記憶させた後(ライト)、記憶したデータを読み出し(リード)、予め用意されたデータと比較する(コンペア)処理を実行し、記憶領域の故障を診断する。
優先順位3:インタフェースに対してはFIFO(First In First Out)動作確認、又は内部ループバックテストを実行する。
優先順位4:HDDに対しては、不良セクタの動作確認及び不要データの削除を実行する。
【0021】
1.3.プリンタエンジンの構成
以下に本発明のプリンタエンジン50の構成を説明する。プリンタエンジン50は、プリンタエンジン50の駆動を制御する機能を備えるメカコントローラ51と、画像形成処理における各種機能を実行する機能を備える機構部52と、機構部52がウォーミングアップを終了したことを検出する機能を備える検出部53とを備えている。なお、各部の間にはバス54が設けられ、このバス54を用いて互いに通信を行なうことができる。
【0022】
メカコントローラ51は、CPU10からバス60を介して送信された命令に基づいて機構部52の駆動を制御して所定の処理を実行させる機能を備えている。また、メカコントローラ51は、電源投入時に機構部52に対してウォーミングアップを実行させる機能の他、上記検出部53の機能の一部を備えている。
【0023】
機構部52は、メカコントローラ51の制御に基づいて、画像形成処理を実行するとともに、電源投入時にはウォーミングアップを実行する。本画像形成装置100では、機構部52は、現像ユニット52a、露光ユニット52b、定着ユニット52c、及び感光体ユニット52dを備えている。なお、機構部52の構成は一例であり、これに限定されるものではない。
【0024】
本実施の形態での画像形成装置100のウォーミングアップとは、プリンタエンジン50の各部を印刷可能な状態にするための動作確認であり、以下に記載する処理である。メカコントローラ51が機構部52を構成する各部をホームポジションに移動させる処理。メカコントローラ51が感光体ユニット52dを所定の位置に移動させる処理。メカコントローラ51が、定着ユニット52cの温度を所定の温度に加熱する処理。メカコントローラ51が、露光ユニット52bが正常に動作するか動作確認する処理、更には、各部のセルフ動作確認機能の実行等である。
【0025】
検出部53は、機構部52のウォーミングアップ状態の終了を検出する機能を備える。本画像形成装置100では、検出部53は定着ユニット52cの温度を検出する温度センサ53aと、この温度センサ53aから入力される温度情報に基づいて機構部52のウォーミングアップが終了したことを判断する判断部53bとで構成される。この判断部53bは、例えば、メカコントローラ51内部に実装されており、温度センサ53aからの温度情報を受け付けると所定のプログラム等に基づいてウォーミングアップ終了を判断するIC等である。
【0026】
温度センサ53aは、ウォーミングアップに時間が係る定着ユニット52cの温度を測定することで、結果としてプリンタエンジン50のウォーミングアップが終了状態にあるかを温度情報として検出し判断部53bに出力する。また、判断部53bは、温度センサ53aから温度情報が入力されると、入力された温度情報をウォーミングアップ完了時の温度に相当する温度情報を表すしきい値と比較する。温度情報が検出部から入力された温度情報より高い場合は、判断部53bは内部レジスタにフラグを書き込み、ウォーミングアップ終了を判断する。
【0027】
なお、プリンタエンジン50のウォーミングアップ終了の判断材料は、温度に限定されるものではないが、検出対象を温度とすれば、画像形成装置100の周囲の環境変化等に対応して適切なウォーミングアップの状況を検出することができる。つまり、画像形成装置100の周辺温度が低ければ、それだけウォーミングアップに要する時間も長くなるため、プリンタエンジン50のウォーミングアップが終了したことを適切に検出することができる。また、検出部53が温度情報と比較する値は、実際の機構部52のウォーミングアップ完了時の温度よりも若干低いことが望ましい。
【0028】
1.4.画像形成装置の作用・効果:
以下に、電源投入後の画像形成装置100内部での処理を説明する。図4は、電源投入時に、画像形成装置100内で実行される各処理を説明するシーケンス図である。ユーザが操作パネル40を操作して画像形成装置100に電源を投入すると(S1)、CPU10は各デバイス20の動作確認を行なう(S2)。同様に、プリンタエンジン50は、各機構部52のウォーミングアップを実行する(S3)。
【0029】
その後、プリンタエンジン50のウォーミングアップが終了すると、メカコントローラ51は内部のフラグを書き換え、ウォーミングアップが終了したことを表示する(ステップS4)。CPU10は、メカコントローラ51のフラグの変更を検出すると、各デバイス20に対して実行していた動作確認の次に実行する所定のデバイスに対する動作確認を中止し、画像形成装置100をレディー状態に移行させる。その後、画像形成装置100が外部機器等からコマンド等を受け付けると(S5)、CPU10はプリンタエンジン50に対して画像形成処理を実行させる命令を出力する(S6)。プリンタエンジン50は命令を受信して画像形成処理を実行する。
【0030】
図5は、電源投入後にCPU10が実行する処理を説明するための流れ図である。この流れ図は、図4のS2のシーケンスにて、CPU10が実行プログラム200に基づいて実行するものである。
【0031】
まずCPU10は、プリンタエンジン50がウォーミングアップを終了させたか否かを判断する(ステップS210)。具体的には、メカコントローラ51はウォーミングアップの移行状態をフラグの値により記憶しており、CPU10は上記フラグを参照してプリンタエンジン50のウォーミングアップの状態を判断する。
【0032】
CPU10は、ステップS210でプリンタエンジン50のウォーミングアップが終了していないと判断した場合は、各デバイス20の動作確認を開始する(ステップS220)。具体的には、CPU10は、ROM21に記憶された動作確認プログラム300をロードし、この動作確認プログラム300に基づいて、各デバイス20の動作確認を行なう。
【0033】
図6は、CPU10が実行するデバイスの動作確認を説明する流れ図である。まず、CPU10は、ROM21に記憶されたルックアップテーブル400を読み出す(ステップS310)。前述したようにルックアップテーブル400には動作確認を行なうデバイスの優先順位と、各デバイスに行なう動作確認の内容が記憶されており、CPU10はこのテーブルに基づいて対象デバイスの動作確認を行なう。
【0034】
まずCPU10は、優先順位が一番高いデバイス20に対して動作確認を行なう(ステップS320)。具体的には、CPU10はルックアップテーブル400を参照して、最も優先順位が高いROM21の動作確認を行なう。このとき、CPU10はROM21に記憶された各種データに対してチェックサム等の誤り検出を行なう。なお、前提として、ROM21に記憶されるデータは誤り検出が行なえるよう検出データが付与されているものとする。
【0035】
CPU10は対象デバイス20に対して動作確認を行なうと、対象デバイスの動作確認が終了したことを記憶する(ステップS330)。具体的には、CPU10は、内部レジスタ等に記憶された各デバイスに対応したフラグを書き換える。なお、フラグによる動作確認の記憶は一例であり、これに限定されるものではない。なお、ステップS310〜S330によりCPU10は確認手段の機能を実現する。
【0036】
CPU10は動作確認が終了したデバイス20を記憶すると、ステップS210に戻り、再度プリンタエンジン50のウォーミングアップの状況を判断する。ここで、ウォーミングアップが終了していなければ、CPU10は、ルックアップテーブル400に記憶された次の優先順位のデバイス20に対して動作確認を行なう。
【0037】
また、プリンタエンジンのウォーミングアップ終了を示すフラグが書き換えられ、ウォーミングアップが終了している場合は、次の動作確認対象であるデバイス20に対しての動作確認を中止し、画像形成装置100のモードをレディー状態に移行させる(ステップS230)。レディー状態に移行することで、CPU10は外部からのコマンドを受信することが可能となる。なお、ステップS230によりCPU10は設定制御手段の機能を実現する。
【0038】
画像形成装置100のモードがレディー状態に移行した後、CPU10が外部からの画像形成処理等のコマンドを受け付けた場合は(ステップS240)、CPU10は入力されたコマンドに基づいて所定の処理を実行する(ステップS250)。
【0039】
またステップS240で、CPU10に所定のコマンドが所定時間入力されない場合は、CPU10はデバイス動作確認を実行しなかったデバイスに対して動作確認を再開させることで、プリンタエンジンのウォーミングアップ時間が短い場合であっても複数のデバイスに対して動作確認を行なうことができる。具体的には、CPU10は各デバイス20ごとに記憶したフラグを参照して、動作確認が実行されていないデバイスを判断する(ステップS260)。次に、CPU10は、動作確認が実行されていないデバイス20に対してルックアップテーブル400に記憶された優先順位に従って動作確認を再開する(ステップS270)。
【0040】
その後、CPU10に対して所定のコマンドが入力されるか、CPU10が全ての対象デバイスの動作確認を終了させるまでステップS250〜260における一連の流れは繰返される。
【0041】
以上説明したように、本画像形成装置100では、電源が投入されるとCPU10は、各デバイス20の重要度に応じて決定された優先順位に従って複数のデバイス20に対して動作確認を行なう。また、プリンタエンジン50のウォーミングアップが終了した場合に、CPU10は次の対象となるデバイス20に対する動作確認を中止させて、画像形成装置100をレディー状態に移行させる。そのため、本画像形成装置100では、電源投入後、速やかにレディー状態に移行することができるとともに、短い時間であっても重要なデバイスに対しては故障等を判断することができる。
【0042】
2.その他の実施の形態:
CPU10が所定のデバイスを動作確認する際、個々のデバイスに対して動作確認を全て終了するのではなく、デバイスの動作確認途中でも、プリンタエンジン50のウォーミングアップが終了しているかを判断してもよい。具体的には、記憶容量の多いHDDにおいては、動作確認途中でプリンタエンジン50のウォーミングアップが終了した場合でも、HDDの全てのセクタに対して動作確認を終了した後でなければ、画像形成装置100をレディー状態に移行させることはできない。
そのため、動作確認を行なうHDDの記憶容量を所定セクタごとに区切り、各セクタに対する動作確認の終了ごとに、ウォーミングアップが終了しているかを判断する構成とすることで、画像形成装置100を駆動状態に移行させる時間を短くすることができる。
【0043】
また、第一の実記の形態では、CPU10が動作確認を行なう優先順位をROM21を一番目とし、RAM22を二番目としたが、RAM22の優先順位を一番目としてもよい。例えば、ROM21に記憶されたデータを全てRAM22にロードして、所定の処理を実行する画像形成装置においては、RAM22にデータが記憶された後は、RAMチェック等の実行が難しくなってしまう。そのため、このようなロード形態を採用する画像形成装置においては、RAM22の動作確認を第一に実行することで、RAM領域の動作確認を行なうことが可能となる。
【0044】
そして、第一の実施の形態では、定着器の温度を検出した温度センサ53aからの温度情報をプリンタエンジン50のメカコントローラ51で判断する構成であったが、温度センサから出力される温度情報を判断する部位は、これに限定されない。例えば、温度センサ53aとCPU10とを直接接続して、判断部53bをROM21に記憶されたプログラム等により構成するものであってもよい。
【0045】
また、本発明は、上述した実施例や変形例に限られず、上述した実施例及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施例及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】印刷装置としての画像形成装置100の構成を説明するブロック図である。
【図2】一例としてのROM21に記憶されるプログラムを説明する図である。
【図3】本画像形成装置100がデバイスに対して行なう動作確認を説明する図である。
【図4】電源投入後にCPU10が実行する処理を説明するための流れ図である。
【図5】電源投入時に、画像形成装置100内で実行される各処理を説明するシーケンス図である。
【図6】CPU10が実行するデバイスの動作確認を説明する流れ図である。
【符号の説明】
【0047】
10…CPU、20…デバイス、21…ROM、22…RAM、24…HDD、25…SRAM、26…USB、27…ネットワークI/F、30…画像処理部、40…操作パネル、50…プリンタエンジン、51…メカコントローラ、52…機構部、52a…現像ユニット、52b…露光ユニット、52c…定着ユニット、52d…感光体ユニット、53…検出部、53a…温度センサ、53b…判断部、60…バス、100…画像形成装置、200…実行プログラム、300…動作確認プログラム、400…ルックアップテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のデータを取得し、プリンタエンジンに画像形成処理を実行させる画像形成コントローラであって、
取得したデータを記憶する記憶手段と、
外部機器と前記データのやり取りを行なう通信手段と、
電源投入時に、前記記憶手段及び前記通信手段の重要度に応じて決定された優先順位に従って該記憶手段及び該通信手段に対して動作確認を行なう確認手段と、
機器を動作可能状態に移行させる設定制御手段とを具備し、
前記設定制御手段は、電源投入後、前記プリンタエンジンのウォーミングアップが終了した場合に、次に対象となる前記記憶手段又は前記通信手段に対する動作確認を中止させて、機器を動作可能状態に移行させることを特徴とする画像形成コントローラ。
【請求項2】
前記設定制御手段は、前記動作可能状態の移行後に前記プリンタエンジンが画像形成処理を実行しない場合は、前記確認手段に中止した記憶手段及び通信手段の動作確認を再開させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成コントローラ。
【請求項3】
前記プリンタエンジンはトナーを印刷媒体に対して定着させる機能を備える定着器を有する構成とされ、
前記設定制御手段は、前記プリンタエンジンのウォーミングアップが完了したことを前記定着器の温度に基づいて判断することを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の画像形成コントローラ。
【請求項4】
前記確認手段は、前記記憶手段が記憶容量の多いメモリである場合は、所定記憶容量ごとに区切って動作確認を実行し、
前記設定制御手段は、前記所定記憶容量毎の動作確認ごとに前記プリンタエンジンがウォーミングアップを終了しているか否かを判断することを特徴とする請求項3に記載の画像形成コントローラ。
【請求項5】
前記確認手段は、前記通信手段が外部機器と接続するためのインタフェースである場合は、前回使用したインタフェースにのみ動作確認を行なうことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の画像形成コントローラ。
【請求項6】
画像形成処理を実行するプリンタエンジンと、所定データを取得し、前記プリンタエンジンに画像形成処理を実行させる画像形成コントローラとを有する画像形成装置であって、
前記画像形成コントローラは、
取得したデータを記憶する記憶手段と、
外部機器と前記データのやり取りを行なう通信手段と、
電源投入時に、前記記憶手段及び前記通信手段の重要度に応じて決定された優先順位に従って該記憶手段及び該通信手段に対して動作確認を行なう確認手段と、
機器を動作可能状態に移行させる設定制御手段とを具備し、
前記設定制御手段は、電源投入後、前記プリンタエンジンのウォーミングアップが終了した場合に、次に対象となる前記記憶手段又は前記通信手段に対する動作確認を中止させて、機器を動作可能状態に移行させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
画像形成処理を実行するプリンタエンジンと、所定データを取得し、前記プリンタエンジンに画像形成処理を実行させる画像形成コントローラとを有する画像形成装置の起動方法であって、
電源投入時に、取得したデータを記憶する記憶手段と、外部機器と前記データのやり取りを行なう通信手段との重要度に応じて決定された優先順位に従って該記憶手段及び該通信手段に対して動作確認を行なう第一の工程と、
前記プリンタエンジンのウォーミングアップが終了した場合に、次に対象となる前記記憶手段又は前記通信手段に対する動作確認を中止させて、機器を動作可能状態に移行させる第二の工程とを具備することを特徴とする画像形成装置の起動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−196213(P2009−196213A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40392(P2008−40392)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】