説明

画像形成システム及び画像形成装置

【課題】同一内容の記憶データに基づく画像が形成された画像形成媒体が複数生成されることを抑制することが可能な画像形成システム及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成システムは、記憶データRDが記憶された記憶部7を有する記憶元画像形成媒体3から前記記憶データを読み取るデータ読取部25と、前記データ読取部により読み取られた記憶データに基づく画像を、画像形成媒体3に形成する形成部15と、前記データ読取部による読取処理後に、前記記憶元画像形成媒体3の記憶部7に記憶された前記記憶データRDに基づく画像の形成を制限する制限部25と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、記憶部付き画像形成媒体(ICチップ付き用紙など)を利用する画像読取システムがある。具体的には、この画像読取システムは、ICチップ付き原稿のICチップからデータを読み取って、そのデータに基づく画像を別のICチップ付き用紙上に形成するように構成されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−88584公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記従来の画像読取システムでは、ICチップ内のデータに基づく画像が形成された用紙が何ら制約なく増産されてしまい、不都合が生じることがあった。
【0004】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、同一内容の記憶データ(ICチップ内のデータを含む)に基づく画像が形成された画像形成媒体が複数生成されることを抑制することが可能な画像形成システム及び画像形成装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記の目的を達成するための手段として、本発明に係る画像形成システムは、記憶データが記憶された記憶部を有する記憶元画像形成媒体から前記記憶データを読み取るデータ読取部と、前記データ読取部により読み取られた記憶データに基づく画像を、画像形成媒体に形成する形成部と、前記データ読取部による読取処理後に、前記記憶元画像形成媒体の記憶部に記憶された前記記憶データに基づく画像の形成を制限する制限部と、を備える。
【0006】
この発明によれば、記憶データの読取処理後に、記憶元画像形成媒体の記憶部に記憶された記憶データに基づく画像の形成を制限する。これにより、同一内容の記憶データに基づく画像が形成された画像形成媒体が複数生成されることを抑制することができる。
【0007】
(2)本発明は、前記形成部が、前記記憶データに基づく画像を、前記記憶元画像形成媒体に形成し、前記制限部が、前記記憶データに基づく画像の形成を禁止する構成としてもよい。
【0008】
例えば、記憶データに基づく画像を無制限に形成できる従来の構成において、当該画像を、記憶元画像形成媒体に形成する場合、この記憶元画像形成媒体の記憶部から記憶データを読み取る度に、当該記憶元画像形成媒体に記憶データに基づく画像が重複して形成されてしまい、画像間のずれなどにより画像品質が低下してしまうなどといった問題が生じ得る。
これに対して、この発明によれば、記憶データの読取処理後に、記憶元画像形成媒体の記憶部に記憶された記憶データに基づく画像の形成を禁止するから、上記問題が生じることを抑制することができる。
【0009】
(3)本発明は、前記形成部が、前記記憶データに基づく画像を前記記憶元画像形成媒体に形成し、当該形成が正常終了しなかった場合に、前記記憶データに基づく画像を別の画像形成媒体に形成してもよい。
この発明によれば、記憶データに基づく画像を記憶元画像形成媒体に正常に形成できない事態が生じた場合であっても、当該画像を形成することが可能である。
【0010】
(4)本発明は、前記別の画像形成媒体が、画像形成が制限されていない非制限記憶データを記憶した記憶部を有するかどうかを判断する判断部を備え、前記形成部は、前記判断部による判断結果に基づき前記非制限記憶データを記憶した記憶部を有しない画像形成媒体に、前記記憶元画像形成媒体の記憶部から読み取った前記記憶データに基づく画像を形成してもよい。
【0011】
別の画像形成媒体が、画像形成が制限されていない非制限記憶データを記憶した記憶部を有する場合には、当該別の画像形成媒体自身に非制限記憶データに基づく画像を形成したいことがある。そこで、この発明によれば、別の画像形成媒体が、非制限記憶データを記憶した記憶部を有しない場合に、当該別の画像形成媒体自身に、原稿元画像形成媒体の記憶部から読み取った記憶データに基づく画像を形成するようにされている。
【0012】
(5)本発明は、前記制限部が、前記形成部による画像形成処理の終了前に、前記制限を実行してもよい。
この発明によれば、画像形成処理が実行されたにもかかわらず、制限処理が施されない状態で記憶元画像形成媒体が持ち去れることを抑制することができる。
【0013】
(6)本発明は、前記制限部が、前記記憶部に複数の前記記憶データがされている場合、当該複数の記憶データのうち画像形成対象とされた記憶データだけについて画像形成を制限してもよい。
この発明によれば、記憶先画像形成媒体の記憶部に複数の記憶データが記憶されている場合、各記憶データについて個別に制限処理を施すことができるため、利便性がよい。
【0014】
(7)本発明は、前記制限部による制限処理を実行するか否かを切り替えてもよい。
この発明によれば、制限処理を実行させたくない場合に対応することが可能である。
【0015】
(8)本発明は、前記切替部が、前記記憶部内の指示データに基づき前記制限処理を実行するか否かを切り替えてもよい。
この発明によれば、記憶部内に指示データを記憶させておくことで、制限処理を実行するか否かを自動で切り替えることが可能になる。
【0016】
(9)本発明は、前記制限部が、前記記憶データに基づく画像の形成を前記形成部に制限させる制限情報を前記記憶部に記憶してもよい。
この発明によれば、例えば記憶データを消去することによる制限処理に比べて、記憶データを容易に復元することが可能である。
【0017】
(10)本発明は、前記制限部が、前記記憶データを消去することにより当該記憶データに基づく画像の形成を制限してもよい。
この発明によれば、制限処理が解除されることを抑制することができる。
【0018】
(11)本発明に係る画像形成装置は、記憶データが記憶された記憶部を有する記憶元画像形成媒体から前記記憶データを読み取るデータ読取部と、前記データ読取部により読み取られた記憶データに基づく画像を、画像形成媒体に形成する形成部と、前記形成部による形成処理後に、前記記憶元画像形成媒体の記憶部に記憶された前記記憶データに基づく画像の形成を制限する制限部を、を備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、同一内容の記憶データに基づく画像が形成された画像形成媒体が複数生成されることを抑制することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の一実施形態について図を参照しつつ説明する。
(複合機の内部構成)
図1は、複合機1(本発明の「画像形成装置」の一例)の内部構成の概要図である。複合機1の底部には、被画像形成用のシート材3(例えば用紙など 本発明の「画像形成媒体、記憶元画像形成媒体」の一例)が収納されるトレイ5が設けられている。
【0021】
なお、上記シート材3には、RFIDタグ7(本発明の「記憶元画像形成媒体が有する記憶部」の一例)を有するものと、RFIDタグ7を有しないものとが含まれ得る。なお、RFIDタグ7を有するシート材3には、RFIDタグ7がシート材3に埋設されたものや、RFIDタグ7がシート材3の表面に付着されたものなどがある。
【0022】
トレイ5に収納されたシート材3は、ピックアップローラ9によって1枚ずつ取り出されてレジストレーションローラ11,11へと搬送される。搬送されてきたシート材3は、レジストレーションローラ11,11により姿勢が整えられつつ所定のタイミングで搬送ベルト13上に送り出される。レジストレーションローラ11,11の上流側または下流側(図1では下流側に設けたもののみを図示)には、レジストレーションローラ11,11に保持されたシート材3を検知するためのレジストセンサ12が設けられている。
【0023】
送り出されたシート材3は、搬送ベルト13によって搬送されつつ、画像形成部15により、例えば原稿読取ユニット27により原稿37から読み取られた画像データに基づく画像(以下、「原稿画像」という)や、上記RFIDタグ7に記憶されたRFIDデータRD(本発明の「記憶データ」の一例)に基づく画像(以下、「RFID画像」という)が形成される。なお、RFIDデータRDには、イメージ情報、テキスト情報など、様々な情報が含まれる。また、各RFIDタグを有するシート材3を識別するための固有情報、機密情報やユーザ識別情報など、安易な複製を禁止して唯一性を極力保持すべき情報が含まれる。
【0024】
画像が形成されたシート材3は、定着器17の加熱ローラ19及び押圧ローラ21の間に挟まれつつ熱定着され、排出トレイ23上へと排出される。定着器17付近には、定着器17に達するシート材3を検知する検知センサ18が設けられている。
【0025】
また、トレイ5と搬送ベルト13との間における搬送経路付近には、シート材用のRFIDリーダ/ライタ25が設けられている。RFIDリーダ/ライタ25は、図示しないアンテナから電波を発することにより、搬送途中のシート材3のRFIDタグ7との間でデータの無線通信(データの読み取り、書き込み)が可能になっている。
【0026】
排出トレイ23の上方には、原稿読取ユニット27が設けられている。この原稿読取ユニット27には、原稿台29上に開閉可能に設けられた原稿カバー31が設けられ、この原稿カバー31には、原稿37がセットされる原稿トレイ33、及び、送り機構35が設けられている。原稿37には、RFIDタグ39(本発明の「記憶元画像形成媒体が有する記憶部」の一例)を有するもの(本発明の「記憶元画像形成媒体」の一例)と、RFIDタグ39を有しないものとが含まれ得る。
【0027】
原稿トレイ33とスキャナ部41の読取領域との間における搬送経路付近には原稿用のRFIDリーダ/ライタ45が設けられている。RFIDリーダ/ライタ45は、搬送中の原稿37がRFIDタグ39を有していれば、そのRFIDタグ39との間で無線通信によりデータのやり取りを行うことができる。また、原稿排出トレイ43付近には、原稿用のRFIDリーダ/ライタ47が設けられており、原稿排出トレイ43に排出された原稿37のRFIDタグ39との間でデータのやり取りを行うことができる。
【0028】
原稿37が原稿トレイ33にセットされた場合には、RFIDリーダ/ライタ45により当該原稿37が有するRFIDタグ39とデータのやり取りを行う。原稿37が原稿台29にセットされた場合には、RFIDリーダ/ライタ47により当該原稿37が有するRFIDタグ39とデータのやり取りを行う。
【0029】
(複合機の電気的構成)
図2は、複合機1の電気的構成を示すブロック図である。複合機1は、CPU51、ROM53、RAM55、NVRAM57(不揮発性メモリ)、操作部59、表示部61、画像形成部15、原稿読取ユニット27を備える。ROM53には、後述する通常の画像形成処理やRFID画像形成処理など、この複合機1の各種の動作を実行するためのプログラムが記憶されており、CPU51は、ROM53から読み出したプログラムに従って、その処理結果を内部メモリ(RAM55またはNVRAM57)に記憶させながら各部の制御を行う。操作部59は、複数のボタンを備え、ユーザにより各種の入力操作が可能である。表示部61は、液晶ディスプレイやランプ等を備え、各種の設定画面や装置の動作状態等を表示することが可能である。
【0030】
また、複合機1は、ネットワークインターフェイス67及びファクシミリインターフェース69を備える。ネットワークインターフェイス67は、ネットワーク回線を介して外部のコンピュータ(図示せず)等に接続され、これにより相互のデータ通信が可能となっている。ファクシミリインターフェース69は、公衆電話網71を介して、ファクシミリ機能を有する他の外部機器73に接続され、これにより相互のファクシミリ通信が可能となっている。
【0031】
更に、CPU51は、前述したシート材用のRFIDリーダ/ライタ25、原稿用のRFIDリーダ/ライタ45及びRFIDリーダ/ライタ47を制御する。
【0032】
(RFID画像形成処理)
図3から図5は、RFID画像形成処理の内容を示すフローチャートである。また、図6は、RFID画像形成過程を示した模式図である。なお、RFIDデータRDは、トレイ5にセットされたシート材3のRFIDタグ7から取得することも、原稿読取ユニット27にセットされた原稿37のRFIDタグ39から取得することも可能であるが、以下では、シート材3から取得する場合を例に挙げて説明する。
【0033】
ユーザは操作部59にてRFIDデータRDに基づくRFID画像形成処理と、画像データに基づく通常の画像形成処理とを指定することができる。そして、RFID画像形成処理が指示されると、CPU51は図3から図5に示すRFID画像形成処理を実行する。このRFID画像形成処理では、RFIDリーダ/ライタ25(本発明の「データ読取部」の一例)が、シート材3のRFIDタグ7からRFIDデータRDを読み取り、その後、RFIDリーダ/ライタ25(本発明の「制限部」の一例)が、RFIDタグ7に対するRFIDデータRDの読取処理を制限し、また、画像形成部15(本発明の「形成部」の一例)が、当該RFIDデータRDに基づくRFID画像をシート材3上に形成する。
【0034】
具体的には、CPU51は、S100でピックアップローラ9によりトレイ5から1枚のシート材3を送り出してレジストレーションローラ11,11側に搬送する。そして、シート材3の先端部分がレジストレーションローラ11,11に保持されたときに、当該レジストレーションローラ11,11の回転駆動を停止させる。なお、シート材3がレジストレーションローラ11,11に保持されたかどうかの判断は、上記レジストセンサ12の検出結果に基づき行う。
【0035】
次にS200では、レジストレーションローラ11,11によって保持されたシート材3がRFIDタグ7を有しているかどうかを判断する。具体的には、RFIDリーダ/ライタ25により無線通信を試行し、無線通信が成功したかどうかに基づき、シート材3がRFIDタグ7を有しているかどうかを判断する。
【0036】
無線通信が成功しシート材3がRFIDタグ7を有していると判断すれば(S200:YES)、次に、S400で当該RFIDタグ7に、制限処理がされておらず、且つ、有効に画像形成を行うことが可能なRFIDデータRD(以下、「有効RFIDデータRD'」という)が記憶されているかどうかを判断する。
【0037】
無線通信が成功せずシート材3がRFIDタグ7を有していないと判断した場合(S200:NO)、或いは、RFIDタグ7を有しているが有効RFIDデータRD'が記憶されていないと判断した場合(S200:YES、且つ、S400:NO)、S300で未対応処理を行う。未対応処理では、停止していたレジストレーションローラ11,11の回転駆動を再開するが、シート材3に画像形成部15による画像形成を行わずにそのまま排出トレイ23上に排出し、RFID画像形成処理を終了する。
【0038】
S400で、RFIDタグ7に有効RFIDデータRD'が記憶されていると判断した場合(S400:YES)には、S500に進み、図4に示す対応処理を実行する。このとき、図6の<S400:YES>に示すように、シート材3は、そのRFIDタグ7に有効RFIDデータRD'が記憶され、且つ、表面には未だ画像が形成されていない状態である。
【0039】
(1)対応処理
CPU51は、S501で、RFIDリーダ/ライタ25によりRFIDタグ7から有効RFIDデータRD'を読み取る。なお、有効RFIDデータRD'が複数記憶されている場合には、それらを全て読み取ってもよいが、本実施形態では、そのうちの1つだけ(例えば記憶アドレス番号が最も若いもの)を読み取る。
【0040】
次に、S503では、RFIDタグ7に制限指示データが記憶されているかどうかを判断する。この制限指示データは、有効RFIDデータRD'を読み取った後に、RFIDタグ7に対する読取処理を制限するかどうかを指示するデータある。また、制限指示データには、読み取った有効RFIDデータRD'のみについて読取処理を制限(以下、「部分制限」という)することを指示するものと、RFIDタグ7に記憶されている全ての有効RFIDデータRD'について読取処理を制限(以下、「全体制限」という)することを指示するものがある。例えば、各有効RFIDデータRD'を個別に取り扱いたい場合には部分制限を指定し、全ての有効RFIDデータRD'を一括で取り扱いたい場合には全体制限を指定することができるため、利便性がよい。
【0041】
この制限指示データが記憶されていないと判断した場合には(S503:NO)、S511でユーザによる制限指示がされているかどうかを判断する。ユーザは、例えば操作部59にて上記RFID画像形成の指示とともに、制限指示の有無、及び、部分制限か全体制限かを決定することができる。
【0042】
制限指示データが記憶されておらず、且つ、ユーザによる制限指示もされていない場合には(S503:NO、且つ、S511:NO)、S515で、何ら制限処理を行うことなく、停止していたレジストレーションローラ11,11の回転駆動を再開してシート材3を送り出し、画像形成部15により当該シート材3上に有効RFIDデータRD'に基づくRFID画像を形成し、対応処理及びRFID画像形成処理を終了する。このとき、CPU51は本発明の「切替部」として機能する。
【0043】
制限指示データが記憶されている場合(S503:YES)、または、ユーザによる制限指示がされている場合(S511:YES)、S505で制限処理を実行する。この制限処理では、RFIDリーダ/ライタ25により上記部分制限または全体制限を行う。
【0044】
この制限方法としては、本実施形態では、読取処理の禁止を示す禁止情報(本発明の「制限情報」の一例)を、各有効RFIDデータRD'ごと、或いは、RFIDタグ7自身に対応付けて当該RFIDタグ7に書き込む。これにより、制限対象となった有効RFIDデータRD'については読取処理が禁止され、当該有効RFIDデータRD'に基づく画像形成処理を制限することができる(図6の<S505>参照 同図の「×」は制限処理がされていることを示す)。
【0045】
続いて、S507で、停止していたレジストレーションローラ11,11の回転駆動を再開してシート材3を送り出し、画像形成部15により当該シート材3上に有効RFIDデータRD'に基づくRFID画像の形成を開始し、S509で、その画像形成が正常終了するかどうかを判断する。この判断は、例えばシート材3が定着器17に達したかどうかに基づき行う。つまり、定着器17に達するシート材3を上記検知センサ18によって検知した場合には正常終了するとみなし、検知しなかった場合には、例えばシート材3が詰まったり、画像形成部15の着色剤が不足したりするなどのエラー発生により正常終了しないと判断する。
【0046】
画像形成が正常終了すると判断した場合には(S509:YES)、対応処理及びRFID画像形成処理を終了する。これにより、図6の<S509:YES>に示すように、シート材3はその表面にRFID画像が形成される。但し、そのRFIDタグ7に対するRFIDデータRDの読取処理が制限されているから、当該RFIDデータRDに基づく画像形成が、シート材3以外のシート材に新たに複製されることを防止することができる。
【0047】
(2)検索処理
画像形成が正常終了しないと判断した場合には(S509:NO)、S513に進み、図5に示す検索処理を行う。この検索処理では、上記エラーの解消後に、上記有効RFIDデータRD'に基づくRFID画像を形成すべき新たなシート材3' (本発明の「別の画像形成媒体」の一例)を検索する。
【0048】
CPU51は、S601でピックアップローラ9によりトレイ5から新たに1枚のシート材3'を送り出し、レジストレーションローラ11,11に保持されたときに、当該レジストレーションローラ11,11の回転駆動を停止させる。そして、S603で、上記S200と同様、この新たなシート材3'がRFIDタグ7を有しているかどうかを判断する。
【0049】
RFIDタグ7を有していると判断した場合には(S603:YES)、RFIDリーダ/ライタ25により、このRFIDタグ7に有効RFIDデータRD"(シート材3のRFIDタグ7に記憶された上記有効RFIDデータRD'とは異なる 本発明の「非制限記憶データ」の一例)が記憶されているかどうかを判断する。このときCPU51は本発明の「判断部」として機能する。有効RFIDデータRD"が記憶されていると判断した場合には(S605:YES)、S607に進み、上記300と同様、この新たなシート材3'には何らの画像形成を行うことなく排出トレイ23上に排出する。
【0050】
RFIDタグ7を有していないと判断した場合には(S603:NO)、または、RFIDタグ7を有しているが有効RFIDデータRD"が記憶されていないと判断した場合には(S603:YES、且つ、S605:NO)、この新たなシート材3'を、RFID画像を形成すべきものとして図4のS507に進む。これにより、図6の<S509:NO>に示すように、新たなシート材3'は、その表面にRFID画像が形成されることになる。一方、最初のシート材3は、エラー発生によりRFID画像が正常に形成されず、且つ、そのRFIDタグ7に対するRFIDデータRDの読取処理が制限されている。このため、当該RFIDデータRDに基づく画像形成が、シート材3及びシート材3'以外のシート材に新たに複製されることを防止することができる。
【0051】
(本実施形態の効果)
(1)本実施形態によれば、RFIDデータRDの読取処理後に、シート材3のRFIDタグ7または原稿37のRFIDタグ39に記憶されたRFIDデータRDに基づく画像の形成を制限する。これにより、同一内容のRFIDデータRDに基づく画像が形成されたシート材が複数生成されることを抑制することができる(図6の<S509:YES><S509:NO>参照)。
【0052】
例えば、あるクイズが記載されたキャンペーン用チラシのRFIDタグにクイズの答えをRFIDデータとして記憶し、そのチラシを配布する。そして、ユーザが配布されたチラシを上記複合機1のトレイ5或いは原稿読取ユニット27にセットし、RFID画像形成処理を指示すれば、チラシ上にクイズの答えが印刷(画像形成)することができる。しかも、一度印刷すれば、それ以降、RFIDタグ内のRFIDデータに基づく印刷が制限されるため、クイズの答えが他のシート材に無制限に印刷されてしまうことを防止することができる。このように、RFIDデータが複製を制限したい情報である場合に特に有効である。
【0053】
(2)例えば、RFIDデータRDに基づく画像を無制限に形成できる構成において、当該画像を、そのRFIDデータが記憶されたRFIDタグ7を有するシート材3自身に形成する場合を考える。この場合、このシート材3のRFIDタグ7からRFIDデータRDを読み取る度に、当該シート材3上にRFID画像が重複して形成されてしまい、画像間のずれなどにより画像品質が低下してしまうなどといった問題が生じ得る。
これに対して、本実施形態によれば、RFIDデータRDの読取処理後に、シート材3のRFIDタグ7に記憶されたRFIDデータRDに基づく画像の形成を禁止するから、上記問題が生じることを抑制することができる。
【0054】
(3)また、シート材3へのRFID画像形成が正常終了しなかった場合でも、検索処理(図5)を実行することにより、新たなシート材3'にRFID画像を形成することができる(図6の<S509:NO>参照)。しかも、このRFID画像の形成対象から、有効RFIDデータRD"が記憶されたRFIDタグ7を有するシート材が除外される。これにより、当該シート材についてはその表面に、自己が有する有効RFIDデータRD"に基づく画像形成を形成することが可能になる。
【0055】
(4)仮に、RFID画像形成(S507)後、シート材3が排出トレイ23に排出された後に制限処理を行う構成とすると、制限処理が完了する前にシート材3をユーザが持ち去ってしまうおそれがある。そこで、本実施形態では、RFID画像形成(S507)の前に制限処理(S505)を行うようにした。
【0056】
(5)ユーザによる指定により制限処理の実行の有無を切り替えることができる。また、制限指示データをRFIDタグ7,39に記憶しておくことで、制限処理の実行の有無を自動で切り替えることができる。
【0057】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も本発明の技術的範囲に含まれる。特に、各実施形態の構成要素のうち、最上位の発明の構成要素以外の構成要素は、付加的な要素なので適宜省略可能である。
【0058】
(1)上記実施形態では、RFIDデータRDを読み取ったシート材3自身にRFID画像を形成する例を説明したが、本発明はこれに限られない。例えば原稿37からRFIDデータRDを読み取る場合には、別のシート材3にRFID画像を形成してもよい。
【0059】
(2)上記実施形態では、RFID画像を形成する場合には原稿画像は形成しないようにしたが、本発明はこれに限られない。例えば、ユーザが原稿37を原稿読取ユニット27にセットして読取処理を指示すると、シート材3にRFID画像(例えば会社のロゴマーク、複製禁止文言など)と原稿画像との合成画像を形成するようにしてもよい。
【0060】
(3)上記実施液体では、制限処理として、読取処理を禁止する禁止情報をRFIDタグ7に書き込んだが、本発明はこれに限られない。例えば有効RFIDデータRD'をRFIDタグ7から消去したり、別のデータを上書きしたりしてもよい。また、有効RFIDデータRD'の一部読取だけを許可したり、画質(解像度)を低下させることを指示する情報を付加しておいて低画質でのみ画像形成を許可したりしてもよい。但し、上記実施形態の構成であれば、消去する場合に比べて、制限を解除することが容易である。一方、消去すればより確実にRFID画像形成を制限することができる。
【0061】
(4)また、上記実施形態では、RFID画像形成を1回行った場合に制限処理を行ったが、本発明はこれに限られない。RFID画像形成を所定回数(2回以上)行った後に制限処理を行うようにしてもよい。
【0062】
(5)上記実施形態によれば、RFID画像形成(S507)の前に、制限処理(S505)を行ったが、本発明はこれに限られない。例えば、RFIDリーダ/ライタを、定着器17と排出トレイ23との間の搬送経路付近に設けて、画像形成部15によるRFID画像形成の終了前までに制限処理を行うようにしてもよい。そうすれば、制限処理前にシート材3がユーザにより持ち去られることを抑制することができる。
【0063】
(6)上記実施形態では、1つのRFIDタグ7,39に複数のRFIDデータRDが記憶されている例を説明したが、本発明はこれに限られない。例えば1枚の原稿37やシート材3が複数のRFIDタグを有し、各RFIDタグに1つ以上のRFIDデータRDが記憶されていてもよい。
【0064】
(7)上記実施形態では、本発明を複合機1単体で実現した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、原稿読取ユニット27と、原稿読取ユニット27を除いた画像形成装置本体とが別体とされ、両者がデータ通信可能に接続された画像形成システムであってもよい。更に、ファクシミリ機能を有する複数の画像形成装置(ファクシミリ装置)を有する画像形成システムであってもよい。つまり、一のファクシミリ装置(例えば図2の複合機1)でRFIDデータを読み取って、他のファクシミリ装置(例えば図2の他の外部機器73であって複合機1と同様の機能を有するもの)が上記RFIDデータに基づき画像形成を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施形態に係る複合機の内部構成の概要図
【図2】複合機の電気的構成を示すブロック図
【図3】RFID画像形成処理を示すフローチャート
【図4】対応処理を示すフローチャート
【図5】検索処理を示すフローチャート
【図6】RFID画像形成過程を示した模式図
【符号の説明】
【0066】
1...複合機(画像形成装置)
3...シート材(画像形成媒体、記憶元画像形成媒体)
7,39...RFIDタグ(記憶元画像形成媒体が有する記憶部)
15...画像形成部(形成部)
25,45,47...RFIDリーダ/ライタ(データ読取部、制限部)
37...原稿(記憶元画像形成媒体)
41...スキャナ部(画像読取部)
51...CPU(切替部、判断部)
RD...RFIDデータ(記憶データ)
RD"...有効RFIDデータ(非制限記憶データ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶データが記憶された記憶部を有する記憶元画像形成媒体から前記記憶データを読み取るデータ読取部と、
前記データ読取部により読み取られた記憶データに基づく画像を、画像形成媒体に形成する形成部と、
前記データ読取部による読取処理後に、前記記憶元画像形成媒体の記憶部に記憶された前記記憶データに基づく画像の形成を制限する制限部と、を備える画像形成システム。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成システムであって、
前記形成部は、前記記憶データに基づく画像を、前記記憶元画像形成媒体に形成し、
前記制限部は、前記記憶データに基づく画像の形成を禁止する構成である。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成システムであって、
前記形成部は、前記記憶データに基づく画像を前記記憶元画像形成媒体に形成し、当該形成が正常終了しなかった場合に、前記記憶データに基づく画像を別の画像形成媒体に形成する。
【請求項4】
請求項3記載の画像形成システムであって、
前記別の画像形成媒体が、画像形成が制限されていない非制限記憶データを記憶した記憶部を有するかどうかを判断する判断部を備え、
前記形成部は、前記判断部による判断結果に基づき前記非制限記憶データを記憶した記憶部を有しない画像形成媒体に、前記記憶元画像形成媒体の記憶部から読み取った前記記憶データに基づく画像を形成する。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の画像形成システムであって、
前記制限部は、前記形成部による画像形成処理の終了前に、前記制限を実行する。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の画像形成システムであって、
前記制限部は、前記記憶部に複数の前記記憶データが記憶されている場合、当該複数の記憶データのうち画像形成対象とされた記憶データだけについて画像形成を制限する。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の画像形成システムであって、
前記制限部による制限処理を実行するか否かを切り替える切替部を備える。
【請求項8】
請求項7に記載の画像形成システムであって、
前記切替部は、前記記憶部内の指示データに基づき前記制限処理を実行するか否かを切り替える。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の画像形成システムであって、
前記制限部は、前記記憶データに基づく画像の形成を前記形成部に制限させる制限情報を前記記憶部に記憶する。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載の画像形成システムであって、
前記制限部は、前記記憶データを消去することにより当該記憶データに基づく画像の形成を制限する。
【請求項11】
記憶データが記憶された記憶部を有する記憶元画像形成媒体から前記記憶データを読み取るデータ読取部と、
前記データ読取部により読み取られた記憶データに基づく画像を、画像形成媒体に形成する形成部と、
前記形成部による形成処理後に、前記記憶元画像形成媒体の記憶部に記憶された前記記憶データに基づく画像の形成を制限する制限部を、を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−130346(P2010−130346A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302825(P2008−302825)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】