説明

画像形成システム

【課題】用紙の搬送速度を向上させた場合ではあっても、安定して給紙トレイから用紙を搬送させることが可能な、画像形成装置を提供する。
【解決手段】複数枚の用紙を収納する複数の給紙トレイと、
エア吸引手段を備え前記給紙トレイから、用紙を1枚ずつ送り出す給紙手段と、
前記給紙手段から送り出された用紙を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送された用紙に画像形成する画像形成手段と、
制御手段と、
を有する画像形成装置であって、
前記制御手段は、複数の前記給紙トレイから順番に1枚ずつ用紙を送り出し、連続して前記画像形成手段に用紙を搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の給紙トレイを有する画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成システムでは、用紙を収納する複数の給紙手段50を有しており、各給紙手段50に積載して収納された用紙を1枚ずつ分離して送り出し、画像形成システムの画像形成部に搬送し、画像を形成する。
【0003】
一般に、用紙を1枚ずつ分離搬送する方式として、ローラ搬送方式の給紙手段50を有する給紙装置が広く用いられている。ローラ搬送方式はその表面がゴム等の摩擦係数の高い弾性体で形成されており、用紙を用紙と接触するローラ表面との摩擦力により1枚ずつ分離して、搬送するものである。
【0004】
一方、近年では、電子写真方式の画像形成システムがPOD(プリントオンデマンド)等の軽印刷の分野で使用されるようになり、画像品質及び記録材に関する多様なニーズに対応できることが要求されている。特に記録材に関しては、グロスコート紙、上質紙、追い刷り紙、再生紙などが用いられる場合がある。
【0005】
グロスコート紙は表面の光沢度を向上させるため、樹脂等を表面に塗布している、そのため表面の平滑度が高い。そのようなグロスコート紙を用いた場合に、ローラ搬送方式の給紙装置では、用紙とローラ表面との間で必要な摩擦力が得ることができず、十分な給紙性能が確保できない。また追い刷り紙、再生紙を用いた場合には、前者では用紙に付着している離型材(打ち粉)が、後者では紙粉が、ローラ表面に転移して付着することにより摩擦力が低下するため長期的に安定して十分な給紙性能が確保できないという問題がある。
【0006】
このような問題に対応する方式として、エア吸引方式(以下、エア搬送方式ともいう)の給紙装置を有する給紙装置が提案されている(特許文献1参照)。給紙装置は、給紙手段50に積載して収納された用紙束の最上面の用紙を、1枚ずつ搬送ベルトで吸着させて搬送するものである。搬送ベルトへの用紙の吸着は、吸引ファンの回転駆動により生じるエアーフローの圧力差を利用することにより行っている。このような給紙装置では、その構成から多様な記録材に対応できるというメリットがある。
【特許文献1】特開平10−316262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
軽印刷の分野では、常に生産性(単位時間あたりの画像形成枚数)の向上が求められている。生産性を向上させるためには一般的には画像形成速度と用紙の搬送速度を早くすることにより行っている。
【0008】
用紙の搬送速度を向上させることにより用紙を収納させている給紙トレイからの、用紙送り出し間隔も短くなることにより、送り出し時の搬送不良が発生し易くなるという問題がある。
【0009】
エア搬送方式の給紙装置では、用紙を積載している給紙トレイの最上面の用紙をエア吸引力により搬送ベルトに吸着させていることから、用紙が積載位置から搬送ベルトに吸着される位置まで移動させる時間(以下、吸着安定時間という)が必要である。吸着安定時間が経過する前に、搬送ベルトを移動させて用紙の給紙を行おうとすると搬送ベルトと用紙との吸着力が不十分であるために、用紙の搬送不良によるノーフィードジャムが発生してしまうという問題がある。
【0010】
ローラ搬送方式の給紙装置においても、高速で用紙を送り出すためにはローラの回転速度を向上させると用紙とローラ間でスリップが発生し易くなり、その結果、送り出し不良のノーフィードジャムの発生し易くなる。また、当該スリップの発生を防止する目的で、用紙へのローラの付勢圧力を増加させ用紙との摩擦力を向上させることが考えられる。しかしこのような場合には、最上面の用紙とローラとの摩擦力は確保できるが、最上面の用紙とその下方の用紙との摩擦力も増加してしまうために、複数枚を同時に送り出してしまう、いわゆるダブルフィードジャムが発生し易くなるという問題がある。
【0011】
本願発明は、上記問題に鑑み用紙の搬送速度を向上させた場合ではあっても、安定して給紙トレイから用紙を搬送させることが可能な、画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
1.複数枚の用紙を収納する複数の給紙トレイと、
エア吸引手段を備え前記給紙トレイから、用紙を1枚ずつ送り出す給紙手段と、
前記給紙手段から送り出された用紙を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送された用紙に画像形成する画像形成手段と、
前記用紙の搬送を制御する制御手段と、
を有する画像形成装置であって、
前記制御手段は、複数の前記給紙トレイから順番に1枚ずつ用紙を送り出し、連続して前記画像形成手段に用紙を搬送することを特徴とする画像形成システム。
【0013】
2.複数枚の用紙を収納する複数の給紙トレイと、
捌きローラを備え前記給紙トレイから、用紙を1枚ずつ送り出す給紙手段と、
前記給紙手段から送り出された用紙を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送された用紙に画像形成する画像形成手段と、
前記用紙の搬送を制御する制御手段と、
を有する画像形成装置であって、
前記制御手段は、
一の給紙トレイから続けて用紙を搬送させることにより前記画像形成手段に連続して用紙を搬送する単一トレイ給紙モードと、
複数の前記給紙トレイから順番に1枚ずつ用紙を送り出し、前記画像形成手段に連続して用紙を搬送し、かつ、前記給紙手段の用紙搬送速度を前記単一トレイ給紙モード実行時の用紙搬送速度よりも遅くした複数トレイ給紙モードと、を実行可能であることを特徴とする画像形成システム。
【0014】
3.操作者の指示情報を取得する入力手段を有し、
前記制御手段は、前記入力手段からの指示情報により複数の前記給紙トレイのうちから使用する複数の給紙トレイの選択を行い、該選択した複数の給紙トレイから順番に1枚ずつ用紙を送り出し、連続して前記画像形成手段に用紙を搬送することを特徴とする前記1又は2に記載の画像形成システム。
【0015】
4.複数の前記給紙トレイの各々に収納されている用紙の、少なくとも用紙サイズ、用紙種類、用紙坪量を含む用紙情報の設定を記憶する記憶手段を有し、
印刷ジョブに基づいて用紙に連続して画像形成を行う際に、
前記制御手段は、印刷ジョブに設定されている用紙サイズ及び用紙種類、又は用紙サイズ及び用紙坪量の情報に基づいて、複数の前記給紙トレイのうちから使用する複数の給紙トレイの選択を行い、
該選択した複数の給紙トレイから順番に1枚ずつ用紙を送り出し、連続して前記画像形成手段に用紙を搬送することを特徴とする前記1又は2に記載の画像形成システム。
【発明の効果】
【0016】
本願発明によれば、用紙の搬送速度を向上させた場合ではあっても、複数の給紙トレイから順番に1枚ずつ用紙を搬送させることにより、安定して給紙トレイから用紙を搬送させることが可能な、画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を実施の形態に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限られない。
【0018】
図1は、画像形成装置A、後処理装置FS、大容量給紙装置PFUを備えた画像形成システムの全体構成図である。図示の画像形成装置Aは、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、画像形成部A1、スキャナー部1、操作表示部2、自動原稿送り装置Dを有する。
【0019】
画像形成部A1は電子写真方式により画像形成するものであり、画像書き込み部3、複数組の画像作成部4Y(イエロー)、4M(マゼンタ)、4C(シアン)、4K(ブラック)と、ベルト状の中間転写体42と給紙トレイ5a、給紙トレイ5b、給紙手段50、搬送手段60、定着装置7、排紙部8、自動両面コピー搬送部9を有する。
【0020】
搬送手段60は、複数の搬送ローラ対6a乃至6hからなり、不図示の駆動モータの駆動により回転して用紙Sの搬送を行う。
【0021】
なお本願明細書においては構成要素を総称する場合にはアルファベットの添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成要素を指す場合にはY、M、C、K、あるいは、a乃至jの添え字を付した参照符号で示す。
【0022】
画像形成装置Aの上部には、自動原稿送り装置D(ADF)が搭載されている。画像形成装置Aの図示左側面の排紙部8側には、後処理装置FSが連結されている。
【0023】
自動原稿送り装置Dの原稿台上に載置された原稿は矢印方向に搬送されスキャナー部1の光学系により原稿の片面又は両面の画像が読み取られ、CCDイメージセンサ1Aに読み込まれる。
【0024】
CCDイメージセンサ1Aにより光電変換されたアナログ信号は、メモリ制御部において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、画像書き込み部3に信号を送る。
【0025】
画像書き込み部3においては、半導体レーザからの出力光が画像作成部4の感光体ドラム41に照射され、潜像を形成する。画像作成部4においては、帯電、露光、現像、転写、分離、クリーニング等の処理が行われる。
【0026】
給紙トレイ5から給紙手段50により搬送された用紙Sは搬送手段60の搬送ローラ対6により搬送される。画像形成部A1の上流側の搬送ローラ対6dは、レジストローラとして機能する。当該搬送ローラ対6dは、クラッチにより駆動モータの駆動伝達を解除することができ、用紙Sの搬送タイミングを制御することにより画像形成部A1による画像形成との同期を行っている。搬送手段60により搬送された用紙Sは、転写手段43によりトナー画像が転写され、その下流側でトナー画像は定着装置7により定着される。そして排紙部8から後処理装置Bに送り込まれる。
【0027】
用紙Sの両面に画像形成する場合には、搬送路切り替えゲートにより片面の画像形成を行った後に、定着装置7を通過した直後に下方に搬送されて自動両面コピー給紙部9に送り込まれ表裏反転された後に再び画像作成部4において両面画像処理後、排紙部8から排出され、後処理装置FSにおいて、後処理が行われる。
【0028】
操作表示部2は、「入力手段」として機能し、液晶(LCD)パネルに対してタッチスクリーンを重ねて配置したタッチパネルを備える。ユーザ(操作者)は、操作表示部2を通じて各種設定を入力あるいは選択することにより、印刷条件や、以下に説明する後処理装置での後処理の設定情報を入力することができる。
【0029】
[大容量給紙装置]
大容量給紙装置PFUは、複数の給紙トレイ5c、5d、5e、及びこれらの各給紙トレイ5に設けられ、給紙トレイ5内の用紙束の最上面の用紙を1枚ずつ送り出す給紙手段50を備えている。給紙トレイ5内の大量の用紙Sを連続して給紙して画像形成装置Aに送り込む。
【0030】
[後処理装置FS]
用紙の後処理装置FSには、図示の上段から、差込紙(表紙、裏表紙等に用いる)を収納した差込紙給紙手段40、スタック手段30、ステイプル手段20、が略垂直方向に縦列配置されている。
【0031】
用紙の後処理装置FSの図示右上方には入口搬送部70が配置されている。また、用紙の後処理装置FSの図示左側面には、プリントされた用紙を排出して積載する可動排紙皿81が配置されている。この可動排紙皿81には画像形成された用紙を最大約3000枚(A4判、B5判)まで収容することが可能である。
【0032】
給紙トレイ5a〜5eのそれぞれ設けられた給紙手段50はローラ搬送方式のものとエア搬送方式のものに相互に交換可能である。本実施形態においては、本体の給紙トレイ5a、5bはローラ搬送方式の給紙手段50を用いたものであり、大容量給紙装置PFUの給紙トレイ5c、5d、5eは、エア搬送方式の給紙手段50を用いたものである。
【0033】
以下、ローラ搬送方式と、エア搬送方式の給紙手段50について説明する。
【0034】
[給紙手段50]
図2は、捌きローラを備えたローラ搬送方式の給紙手段50の断面図である。同図に示す給紙手段50は、ピックアップ手段としての捌きローラ51、捌きローラ51により送り出された用紙Sを1枚ずつに分離するために搬送ローラ521と重送防止ローラ(リバースローラ)522からなる分離部52(第1ループ形成手段も兼ねている)及び分離部52により分離された用紙Sの先端を一旦停止させた後搬送を再開する第1突き当て手段であるレジスト手段としてのプレレジストローラ53を有する。
【0035】
昇降底板56上に積載された用紙Sは、図示しないモータにより昇降する昇降部材によって上昇し用紙Sの上面が捌きローラ51の外周面に当接する所定位置に到達すると、図示しないセンサにより用紙Sの上面が検知され、昇降底板56の上昇が停止される。
【0036】
給紙信号により捌きローラ51と搬送ローラ521が回転を開始する。所定圧力で用紙Sの上面に圧接させた捌きローラ51は、用紙Sを搬送ローラ521と重送防止ローラ522とのニップ位置に送り込んだ後、用紙面から離間する。
【0037】
重送防止ローラ522は図示しないトルクリミッタを介して用紙Sの搬送方向と逆方向(図示CCW方向)に駆動されていて、図示しないバネによる所定圧力で搬送ローラ521に圧接されている。
【0038】
重送防止ローラ522は、ニップ位置に用紙Sが存在せず、搬送ローラ521に直接接触したとき、又は、1枚の用紙Sがニップ位置に送り込まれたとき、トルクリミッタがリミットトルクを超えて滑り、搬送ローラ521に従動回転(図示CW方向)して1枚の用紙Sを搬送する。
【0039】
一方、2枚以上の用紙Sが分離部52位置に送り込まれた場合、リミットトルクが用紙間の摩擦力に打ち勝って、重送防止ローラ522を逆回転(図示CCW方向)させ、下側の用紙Sを押し戻し、多数枚送り(ダブルフィードともいう)を防止して、用紙束の最上位の用紙Sを1枚ずつ送り出す。
【0040】
昇降底板56には、紙の有無を検知する用紙有無検知センサPS1(用紙有無検知手段)が配置されており、昇降底板56上の用紙切れを検知する。
【0041】
本実施形態においては、図2に示す捌きローラ51、搬送ローラ521、プレレジストローラ53等の給紙手段50の各ローラは、駆動モータの回転速度を変更することにより用紙搬送速度を変更可能であり、後述の「単一トレイ給紙モード」に比べて「複数トレイ給紙モード」では用紙Sの搬送速度を遅くしている。また「単一トレイ給紙モード」においては給紙手段50における用紙Sの搬送速度は、下流側の搬送手段60での搬送速度と略同一であるが、「複数トレイ給紙モード」においては、搬送手段60での搬送速度よりも相当遅い。そして給紙手段50の各ローラには、その駆動伝達路にワンウェイクラッチを配置している。当該ワンウェイクラッチを配置することにより下流側の搬送手段60の搬送ローラ対6により引っ張られても不具合が生じないような構成としている。
【0042】
図3は、エア吸引手段を備えたエア搬送方式の給紙手段50の断面図である。回転する搬送ベルト541には吸引ファンによるエアーフローで給紙トレイ5内の用紙束の最上面の用紙を吸着させることにより、用紙を1枚ずつ送り出している。なお図2と共通するものは同符号を付すことにより説明に代える。
【0043】
同図に示す給紙手段50は、ピックアップした用紙Sを1枚ずつに分離して搬送するエア搬送部54、エア搬送部54により送られた用紙Sを搬送する搬送ローラ55、プレレジストローラ53を有する。
【0044】
「エア吸引手段」として機能するエア搬送部54は、搬送ベルト541と当該搬送ベルトを支持して回転させる支持ローラ542a、542b、と吸引ファン545とダクトから構成される吸引部543からなる。搬送ベルト541には多数の穴が開口しており、吸引部543へのエアーフローにより用紙Sを1枚ずつ吸着させる。吸着した用紙は、搬送ベルトが図示CCW方向に回転することにより用紙Sを、搬送ローラ55に送られる。
【0045】
エア搬送方式の給紙手段50では、最上面の用紙Sが搬送された後に、次の用紙Sをエア搬送部54により吸着する際、用紙Sは載置位置から、吸着位置である搬送ベルト541までエア吸引力により移動させなくてはならない。
【0046】
図4は、最上面の用紙Sが搬送されてからの経過時間(以下、1枚毎の吸着時間という)における次の用紙Sの吸着力との関係を模式的に示したものである。横軸は1枚毎の吸着時間、縦軸は吸着力を示している。同図に示す例においては300ms以上の吸着時間があれば、吸着力が安定していることを示している。また300ms以下の短い時間では、時間が短ければ短い程、吸着力が小さくなることがわかる。吸着力は用紙Sの搬送性能に影響する。吸着時間が短い時点で吸着力が不足している状態において搬送ベルト541の回転を行うと、用紙Sの搬送が十分にできないために、搬送不良によるノンフィードジャムが発生し易くなる。
【0047】
[制御ブロック]
図5は、本実施形態に係る画像形成システムの制御系のブロック図である。画像形成装置Aは状態管理部C100、スキャナー部C120、ADF制御部C130、操作制御部C140及びプリンタ部C150を有する。
【0048】
状態管理部C100は画像形成装置A全体を制御するとともに、画像データの処理を行うものであり、読み取り処理部C101、DRAM制御IC C103、画像制御CPUC102、プログラムメモリC104、システムメモリC105、不揮発メモリC106、書き込み処理部C108、圧縮/伸長ICC109及び入出力インタフェースC110を有する。当該状態管理部C100が制御手段として機能する。
【0049】
読み取り処理部C101はスキャナー部C120からの画像データに対して変倍、階調処理等の各種の画像処理を行う。
【0050】
画像制御CPUC102は、スキャナー制御部C122、ADF制御部C130、プリンタ制御部C152等の同期制御を行う。
【0051】
DRAM制御部C103は画像データの書き込み/読み出し制御を行う。
【0052】
プログラムメモリC104は画像形成装置A及び画像形成システムの制御プログラムが格納されたROM、システムメモリC105は、ワーク用のRAMである。
【0053】
不揮発メモリC106は各部の制御に用いられる各種のパラメータを格納している。
【0054】
C107は画像データを記憶する画像メモリであり、圧縮メモリC107Aを有する。
【0055】
C108はプリンタ部C150の露光光源であるLD(レーザダイオード)を制御する書き込み制御部である。
【0056】
C110はPC(パーソナルコンピュータ)等の外部機器と通信を行うインタフェースである。
【0057】
スキャナー部C120は画像を読み取って画像信号を出力するCCDC121及びスキャナー制御部C122を有する。
【0058】
操作制御部C140は、表示を行うLCDC141及びタッチパネルその他の操作釦C142を有する。
【0059】
プリンタ部C150は、LD(レーザダイオード)で画像の書き込みを行うLDC151、電子写真プロセスにより画像を形成する画像作成部4Yその他の各部を制御するプリンタ制御部C152及び搬送制御部C153を有する。
【0060】
搬送制御部C153では用紙の搬送に関係する、給紙手段50、搬送手段60の動作を実行したり、搬送経路の切り替えを行ったりする。
【0061】
後処理装置FSは後処理制御部c200を有し、後処理でのステイプル処理等を実行する。
【0062】
[制御フロー]
図6は、本実施形態における画像形成システムが行う制御フローの説明図である。ステップS11では、印刷ジョブの入力が行われる。印刷ジョブ設定の入力手順の例について、図7乃至図9に基づいて説明する。
【0063】
図7乃至図9は、操作表示部2における表示画面A4の詳細図である。なお以下に示す例においては画像形成システムに設けられた操作表示部2により設定を行う例であるが、これに限られず画像形成システムが外部のパソコン端末とネットワーク接続されている系においては当該パソコン端末から接続されるようにしてもよい。
【0064】
図7は各種の表示及び操作を行う操作表示部2の基本画面を示す。同図においてユーザが、用紙設定欄D0の内部の釦を操作することにより印刷に使用する給紙トレイの各種設定を行うことができる。なお同図に示す例においては用紙設定欄D0の内に表示されている給紙トレイ1乃至5は、図1における給紙トレイ5a乃至5eに対応している。
【0065】
用紙設定釦D1により給紙トレイの「自動選択」「手動選択」を切り替えることが可能である。ここでいう自動選択とは、出力用紙の「サイズ情報」あるいは「サイズ情報と用紙種類情報等」により制御手段として機能する状態管理部C100が、それぞれの給紙トレイ5に設定されている用紙設定の情報と突き合わせて、使用する給紙トレイ5を決定することである。
【0066】
「手動選択」の設定とした場合には、ユーザは用紙設定欄D0内の各給紙トレイ5に対応する設定釦を操作することにより一つ以上の給紙トレイ5を選択する。図7に示す例においては当該手動選択において、給紙トレイ3(5c)及び給紙トレイ4(5d)が選択されている状態を示している。
【0067】
給紙トレイの設定を行う場合には、用紙設定D1釦を押す。用紙設定D1釦が押されると、図8に示すように、複数の給紙トレイの条件を設定する表示画面A4が表示される。各種の設定変更は、図8に示すD11釦からD16釦とD40釦の各釦を押すことにより、機能設定の子画面がポップアップ(図示せず)するので、子画面で各種の釦を選択することにより行う。設定後にOK釦D3を押すことにより設定が完了する。
【0068】
ユーザは、図8の設定画面により各給紙トレイ5に収納されている用紙の用紙サイズ、用紙種類、用紙坪量等の「用紙情報」を設定することが可能であり、当該設定は「記憶手段」として機能する不揮発メモリC106に記憶される。
【0069】
自動選択の候補とする給紙トレイ5の選択は、自動選択釦D15の各釦を選択することにより選択の有無の切り替えを行うことができる。有りが選択された給紙トレイは自動選択の選択対象となる。更にその自動選択した給紙トレイ5間での優先順位を設定する場合には、優先順位D40釦を押すことにより、図9に示す表示画面がポップアップする。
【0070】
図9に示す表示画面A4においも、ユーザが、各給紙トレイ5に対応した自動選択D16釦を押すことにより、自動選択して使用する給紙トレイの有無を交互に切り替えることができる。同図に示す例では給紙トレイ1、3、4、5が自動選択する給紙トレイとして選択されている。
【0071】
優先して使用する給紙ユニット間で優先順位の設定を行う場合には、ユーザがD20で、給紙トレイを選択した上で、上矢印釦D21あるいは下矢印釦D22を押すことで、選択した当該給紙トレイの優先順位を上下させることができる。図に示す例では、給紙トレイ4(PFU)が最上位の優先順位であり、以下、給紙トレイ3(PFU)、給紙トレイ5(PFU)と続き、最下位は給紙トレイ1(本体)となっている。なお、給紙トレイ2は自動選択の設定が「無し」となっているので優先順位の設定対象から除外されている。
【0072】
以上の設定画面により設定した設定情報は、不揮発メモリC106に記憶される。これらの設定を行った後に、自動原稿送り装置Dに原稿をセットした上で本体のコピー釦を押すことにより、これらの設定に基づく印刷ジョブが入力されたことになる。当該印刷ジョブに基づいて印刷が開始される。
【0073】
図6に戻って、フローの説明を続ける。ステップS11で図7乃至図9に示す設定画面等により印刷ジョブが入力される。続くステップS12では、当該印刷ジョブの設定情報から、制御手段として機能する状態管理部C102が給紙トレイの設定が手動選択か自動選択かを判断する。手動選択の設定であれば当該設定、例えば図7に示す例においては給紙トレイ3と給紙トレイ4を使用する旨の設定、に基づいてステップS21以降のフローを実行する。
【0074】
一方、給紙トレイの選択が自動選択の設定であれば、ステップS13に移行する。ステップS13では、入力された印刷ジョブの設定情報に、用紙サイズ情報に加えて紙種又は、用紙坪量の指定があるか否かを判断する。ここでいう紙種の例としては、普通紙、塗工紙、上質紙、書籍用紙、ラフ紙等がある。
【0075】
紙種の指定、あるいは用紙坪量の指定があれば(ステップS13:Yes)、ステップS14では、当該指定条件により「複数トレイ給紙モード」における給紙トレイの選択数nを決定する。当該選択数nの決定手順については後述する。続くステップS15では当該指定条件に一致する紙種あるいは用紙坪量の設定となっている給紙トレイ5の中からn個を選択する。
【0076】
一方、紙種の指定及び用紙坪量の指定が共になければ(ステップS13:No)、ステップS16では、紙サイズの設定が印刷ジョブの設定と同一の給紙トレイのうちで優先順位の最も高い給紙トレイを第1の給紙トレイとして選択する。ここでいう優先順位は図9の設定画面等で予め設定されているものである。
【0077】
ステップS17では、ステップS14と同様に、ステップS16で選択された第1の給紙トレイの紙種及び用紙坪量の条件により選択数nを決定する。ステップS18では、ステップS16で選択された第1の給紙トレイと、紙種及び用紙坪量が同一の給紙トレイの中からn個を選択する。
【0078】
ステップS21では、手動選択あるいは、ステップS13以降の自動選択により選択された複数の給紙トレイから、順番に1枚ずつ用紙Sを送り出す。例えば、給紙トレイ5cと給紙トレイ5dの二つの給紙トレイを用いた場合であれば、1枚目は給紙トレイ5cから、2枚目は給紙トレイ5dから搬送され以降は二つの給紙トレイから交互に用紙Sが送り出される。そして、各給紙トレイから搬送された用紙Sは、下流側の経路で合流して、レジストローラとして機能する搬送ローラ対6dにより所定の間隔で連続して画像形成部A1に搬送される。
【0079】
ステップS22では、搬送された用紙Sに画像形成して終了する。
【0080】
[選択数n]
【0081】
【表1】

【0082】
表1は、紙種と用紙坪量g/mにおける選択数nとの対応表の例を示したものである。エア搬送方式における対応表の例である。選択数nは、用紙坪量の大きい重い紙あるいは表面の平滑度が低く粗い紙では、吸着するまで時間がかかるので吸着安定時間を長く取る必要がある。表1の対応表は必要な吸着安定時間に対応して選択数nの設定値を決定している。
【0083】
前述の図6ステップS14(あるいはステップS17)では使用する給紙トレイ5の紙種と用紙坪量の条件により当該対応表を参照して選択数nを決定する。なお表1においては紙種と用紙坪量との組み合わせに応じて選択数nを決定するものであるが、何れか一方により決定する対応表を別途設けても良い。
【0084】
[複数トレイ給紙モード]
次に、「エア搬送方式」の給紙手段50及び「ローラ搬送方式」の給紙手段50を用いた複数の給紙トレイ5において、当該給紙トレイ5から順番あるいは交互に用紙を搬送させた場合における効果について説明する。
【0085】
(1)「エア搬送方式」の給紙手段50を用いた二つの給紙トレイにおける効果を、図10に基づいて説明する。図10(a)は、単一トレイ給紙モード時の用紙搬送を説明する図であり、図10(b)は、複数トレイ給紙モード時の用紙搬送を説明する図である。「単一トレイ給紙モード」においては、一の給紙トレイ5から用紙を続けて搬送させることにより画像形成部A1に連続して用紙を搬送し、「複数トレイ給紙モード」においては、複数の給紙トレイ5から順番に1枚ずつ用紙を送り出して搬送させて、下流側の搬送路で合流させてから、画像形成部A1に連続して用紙を搬送する。
【0086】
図10に示す例においては、1分間にA4判サイズで120ページをプリント可能(120ppm)な画像形成システムの例である。画像形成部A1における用紙搬送速度は540mm/sで、送り長さ210mmの用紙を270mmの周期(用紙間隔60mm)で搬送している。
【0087】
図10(a)に示す「単一トレイ給紙モード」においては、給紙手段50における用紙送り周期は500ms(=270/540)で前の用紙を送りだしてから次の用紙を送り出すまでの用紙間隔は111ms(=60/540)である。この場合には、吸着時間は最大でも当該用紙間隔111msしか確保することできず、111msでは図4に示したとおり十分な吸着時間が確保できず、吸着力不足により用紙の送り出しが不安定となる。
【0088】
図10(b)に示す「複数トレイ給紙モード」の例では、給紙トレイ5cではp1、p3、p5と奇数番目の用紙の給紙を行い、給紙トレイ5dでは、p2、p4と偶数番目の用紙の給紙を行っている。そして二つの給紙トレイ5から交互(順番)に1枚ずつ送り出して搬送された用紙は、搬送手段60で所定の間隔となるようなタイミングで搬送されているので、画像形成部A1には連続して用紙を搬送させることができる。
【0089】
そして図10(b)の例では、二つの給紙トレイ5を用いているので給紙トレイ5c、給紙トレイ5dそれぞれの給紙手段50における用紙送り周期は図10(a)に比べて2倍の1000msとなり、用紙間隔は1枚分の周期分だけ長くすることができるので611ms(=111+500)となる。
【0090】
本実施形態においては、複数の給紙トレイから順番に1枚ずつ用紙を送り出し、連続して画像形成部に用紙を搬送することができるので、エア搬送方式の給紙手段における用紙間隔を長くすることができるので、吸着時間を長くすることができ、ひいては安定して給紙トレイから用紙を搬送させることが可能となる。
【0091】
(2)「ローラ搬送方式」の給紙手段50を用いた二つの給紙トレイにおける効果を説明する。ローラ搬送方式の給紙手段50においては安定して用紙を送り出すためには、用紙送り速度を遅くすることが有効である。
【0092】
ローラ搬送方式の「単一トレイ給紙モード」においても図10(a)に示す説明図を用いることができるので当該説明図を用いて説明する。図10(a)においてはローラ搬送方式の給紙手段50における用紙送り速度V1及び搬送手段60における搬送速度v2はともに画像形成部A1における用紙の搬送速度540mm/sと同一の、540mm/sである。
【0093】
一方で、「複数トレイ給紙モード」においては、用紙送り速度V1を例えば270mm/s程度と大幅に遅くすることができる。以下説明する。
【0094】
例えば図1に示す給紙トレイ5a及び給紙トレイ5bの二つを用いて、二つの給紙トレイから交互(順番)に用紙を送り出す場合においては、給紙トレイ5a、5bの双方の給紙手段50のプレレジストローラ53等の各ローラは駆動モータの回転速度を変更することにより搬送速度を270mm/sと遅くしている。
【0095】
それよりも下流側の搬送ローラ対6a、6bを含む搬送手段60の搬送速度v2は画像形成部A1の用紙搬送速度と同一の540mm/sであるので、給紙トレイ5aから送り出された用紙はその先端が搬送ローラ対6aに噛まれてからは、用紙は搬送速度540mm/sで搬送されることになる。その際、用紙の上流側の後端は、給紙手段50の各ローラにも噛んだ状態であるが、前述のとおり当該各ローラの駆動伝達路にはワンウェイクラッチを配置しているので搬送手段60の搬送にともなう用紙搬送速度の変化に対して追随することができる。
【0096】
給紙トレイ5bから送り出し速度270mm/sで送り出された用紙も同様に、搬送ローラ対6bに噛まれてからは、用紙は搬送速度540mm/sで搬送されることになる。
【0097】
本実施形態においては、複数の給紙トレイから順番に1枚ずつ用紙を送り出し、搬送させることにより連続して画像形成部に用紙を搬送することができるので、ローラ搬送方式の給紙手段における用紙搬送速度を、下流側の搬送速度に比べて遅くすることができるので安定して給紙トレイから用紙を搬送させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】画像形成装置A、後処理装置FS、大容量給紙装置PFUを備えた画像形成システムの全体構成図である。
【図2】ローラ搬送方式の給紙手段50の断面図である。
【図3】エア搬送方式の給紙手段50の断面図である。
【図4】最上面の用紙Sが搬送されてからの経過時間における次の用紙Sの吸着力との関係を模式的に示したものである。
【図5】本実施形態に係る画像形成システムの制御系のブロック図である。
【図6】本実施形態における画像形成システムが行う制御フローの説明図である。
【図7】操作表示部2における表示画面A4の詳細図である。
【図8】操作表示部2における表示画面A4の詳細図である。
【図9】操作表示部2における表示画面A4の詳細図である。
【図10】図10(a)は、単一トレイ給紙モード時の用紙搬送を説明する図であり、図10(b)は、複数トレイ給紙モード時の用紙搬送を説明する図である。
【符号の説明】
【0099】
A 画像形成装置
A1 画像形成部
2 操作表示部
PFU 大容量給紙装置
5a、5b、5c、5d、5e 給紙トレイ
50 給紙手段
51 捌きローラ
54 エア搬送部
541 搬送ベルト
543 吸引部
545 吸引ファン
60 搬送手段
C100 状態管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の用紙を収納する複数の給紙トレイと、
エア吸引手段を備え前記給紙トレイから、用紙を1枚ずつ送り出す給紙手段と、
前記給紙手段から送り出された用紙を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送された用紙に画像形成する画像形成手段と、
前記用紙の搬送を制御する制御手段と、
を有する画像形成装置であって、
前記制御手段は、複数の前記給紙トレイから順番に1枚ずつ用紙を送り出し、連続して前記画像形成手段に用紙を搬送することを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
複数枚の用紙を収納する複数の給紙トレイと、
捌きローラを備え前記給紙トレイから、用紙を1枚ずつ送り出す給紙手段と、
前記給紙手段から送り出された用紙を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送された用紙に画像形成する画像形成手段と、
前記用紙の搬送を制御する制御手段と、
を有する画像形成装置であって、
前記制御手段は、
一の給紙トレイから続けて用紙を搬送させることにより前記画像形成手段に連続して用紙を搬送する単一トレイ給紙モードと、
複数の前記給紙トレイから順番に1枚ずつ用紙を送り出し、前記画像形成手段に連続して用紙を搬送し、かつ、前記給紙手段の用紙搬送速度を前記単一トレイ給紙モード実行時の用紙搬送速度よりも遅くした複数トレイ給紙モードと、を実行可能であることを特徴とする画像形成システム。
【請求項3】
操作者の指示情報を取得する入力手段を有し、
前記制御手段は、前記入力手段からの指示情報により複数の前記給紙トレイのうちから使用する複数の給紙トレイの選択を行い、該選択した複数の給紙トレイから順番に1枚ずつ用紙を送り出し、連続して前記画像形成手段に用紙を搬送することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
複数の前記給紙トレイの各々に収納されている用紙の、少なくとも用紙サイズ、用紙種類、用紙坪量を含む用紙情報の設定を記憶する記憶手段を有し、
印刷ジョブに基づいて用紙に連続して画像形成を行う際に、
前記制御手段は、印刷ジョブに設定されている用紙サイズ及び用紙種類、又は用紙サイズ及び用紙坪量の情報に基づいて、複数の前記給紙トレイのうちから使用する複数の給紙トレイの選択を行い、
該選択した複数の給紙トレイから順番に1枚ずつ用紙を送り出し、連続して前記画像形成手段に用紙を搬送することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−76871(P2010−76871A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245495(P2008−245495)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】