説明

画像形成システム

【課題】予めパンチ穴が形成されたプレパンチ用紙のパンチ穴と、パンチ穴形成装置により用紙に形成されるパンチ穴位置とを整合可能な画像形成システムを提供する。
【解決手段】複写機1の上面に設けられたコンタクトガラス8a上に予めパンチ穴が形成されたプレパンチ用紙PPを載置し、画像読取部8でプレパンチ用紙PPの読み取りを行い、読み取られた画像情報から算出されたパンチ穴の位置情報を制御部50に送信する。制御部50は、送信されたパンチ穴の位置情報に基づいて、用紙搬送方向及び幅方向のパンチ穴形成位置を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置と、画像形成装置によって画像形成された用紙にパンチ穴形成処理や綴じ処理等の後処理を行う用紙後処理装置とを含む画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ等の画像形成装置によって画像が形成された用紙を複数枚スタックして、スタックされた用紙束をまとめてステープルで綴じる綴じ処理及びパンチ穴形成装置で穴を空けるパンチ穴形成処理等を実行可能な用紙後処理装置が知られており、比較的多量の用紙について綴じ処理等の後処理等を行う際には、上述のような用紙後処理装置が利用されている。
【0003】
このような用紙後処理装置では、画像形成された用紙に1枚ずつパンチ穴を形成するものが知られている。しかし、画像形成装置から搬入される用紙の幅方向の搬送ズレにより、用紙1枚毎に形成したパンチ穴の位置が不揃いとなり、複数枚の用紙をまとめてファイルする際に見栄えが悪くなるという問題点があった。
【0004】
そこで、用紙の幅方向の搬送ズレに係わらずパンチ穴を一定の位置に形成する方法が提案されており、例えば特許文献1には、用紙の幅方向の中心を検出する紙中心検出手段と、用紙の幅方向の中心とパンチ刃の幅方向中心とを略一致させる中心合わせ手段とを備えた画像形成装置が開示されている。また、特許文献2には、シートの側端を検知するシート側端検知手段と、シート側端検知手段を幅方向に移動する第1の移動手段と、検知されたシート側端の位置情報に基づいて穿孔手段を移動する第2の移動手段とを備え、シートの幅方向の搬送ズレ量を検知して穿孔位置を補正するシート穿孔装置、シート後処理装置及び画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−92299号公報
【特許文献2】特開平10−279170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の画像形成装置及び用紙後処理装置を含む画像形成システムにおいて、ファイルされた冊子を見栄え良くするための表紙及び裏紙、仕切紙、或いはタブ紙等の挿入紙を用紙後処理装置に給送するインサート装置が組み込まれる場合がある。また、インサート装置を有しない画像形成システムにおいても、画像形成装置の手差しトレイ等から挿入紙が給送される場合もある。このような挿入紙は、光沢紙や厚紙、色紙等の特殊紙であると共に予めパンチ穴が形成されたプレパンチ用紙も存在する。
【0007】
プレパンチ用紙を挿入する場合、プレパンチ用紙のパンチ穴と用紙後処理装置で新たに形成するパンチ穴との位置がずれるとパンチ穴の位置が不揃いとなり、ファイルする際に見栄えが悪くなる。そのため、新たに形成するパンチ穴の位置をプレパンチ用紙のパンチ穴に正確に合わせる必要があった。また、プレパンチ用紙を挿入しない場合であっても、例えばサイズの異なる用紙の上端或いは下端を揃えてファイルしたい場合、小サイズの用紙に形成するパンチ穴の位置をずらす必要があった。しかしながら、特許文献1及び2に記載の方法では、いずれもパンチ穴形成位置を任意に設定できないため、上述したような要求を満足することはできなかった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、パンチ穴形成位置を任意に設定可能な画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、画像形成装置と、該画像形成装置の下流側に連結され、搬入される用紙にパンチ穴を形成するパンチ穴形成装置と、該パンチ穴形成装置に搬送される用紙の搬送方向のパンチ穴形成位置を調整する第1位置調整機構と、用紙搬送方向と直交する方向のパンチ穴形成位置を調整する第2位置調整機構と、を有する用紙後処理装置と、該用紙後処理装置及び前記画像形成装置を制御する制御手段と、を備えた画像形成システムにおいて、前記パンチ穴形成装置によりパンチ穴が形成される用紙に重ね合わせて用紙束を形成する、予めパンチ穴が形成されたプレパンチ用紙のパンチ穴位置を検知するパンチ穴検知手段が設けられており、前記制御手段は、前記パンチ穴検知手段から送信されるパンチ穴の位置情報に基づいて前記第1位置調整機構及び第2位置調整機構の動作を制御してパンチ穴形成位置を調整することにより、前記プレパンチ用紙のパンチ穴位置と、前記パンチ穴形成装置により用紙に形成されるパンチ穴位置とを整合させることを特徴としている。
【0010】
また本発明は、上記構成の画像形成システムにおいて、前記パンチ穴検知手段は、前記プレパンチ用紙を読み取るとともに画像データに変換する画像読取装置であることを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記構成の画像形成システムにおいて、前記第1位置調整機構は、前記パンチ穴形成装置に用紙を搬送する搬送機構と、該搬送機構により搬送される用紙の先端または後端を検知する第1用紙検知センサとで構成され、前記パンチ穴検知手段により検知された前記プレパンチ用紙の用紙搬送方向のパンチ穴の位置情報に基づいて前記第1用紙検知センサによる用紙検知から用紙停止までの用紙の搬送量を可変することを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成の画像形成システムにおいて、前記第2位置調整機構は、前記パンチ穴形成装置の近傍に配置され用紙搬送方向と直交する方向の用紙端部を検知する側端検知機構と、前記パンチ穴形成装置内のパンチ刃ユニットを用紙搬送方向と直交する方向に移動する移動機構と、前記パンチ刃ユニットが基準位置にあるか否かを検知するホームポジション検知センサとで構成され、前記パンチ穴検知手段により検知された前記プレパンチ用紙の用紙搬送方向と直交する方向のパンチ穴の位置情報と前記側端検知機構の検知結果とに基づいて前記パンチ刃ユニットの基準位置からの移動量を可変することを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成の画像形成システムにおいて、前記側端検知機構は、用紙搬送方向と直交する方向の用紙の端部を検知する第2用紙検知センサと、該第2用紙検知センサを用紙搬送方向と直交する方向に往復移動するセンサ移動モータと、前記第2用紙検知センサが基準位置にあるか否かを検知するホームポジション検知センサとで構成されることを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成の画像形成システムにおいて、前記画像形成装置により画像が形成された用紙間に挿入紙を所定のタイミングで挿入する挿入モードを設定可能であり、前記制御手段は、前記挿入紙に予めパンチ穴が形成されているときは、前記パンチ穴形成装置による前記挿入紙へのパンチ穴形成を禁止することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の構成によれば、用紙後処理装置のパンチ穴形成装置で形成されるパンチ穴位置を、予めパンチ穴が形成されたプレパンチ用紙のパンチ穴位置に正確に合わせることができるため、用紙束の仕上がり具合が向上するとともにユーザの作業負担も軽減される。
【0016】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の画像形成システムにおいて、プレパンチ用紙を読み取るとともに画像データに変換する画像読取装置をパンチ穴検知手段とすることにより、予めパンチ穴の形成されたプレパンチ用紙のパンチ穴を容易に且つ正確に読み取ってパンチ穴位置の調整に反映させることができる。
【0017】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1又は第2の構成の画像形成システムにおいて、パンチ穴形成装置に用紙を搬送する搬送装置と、該搬送装置により搬送される用紙の先端または後端を検知する第1用紙検知センサとで第1位置調整機構を構成し、パンチ穴検知手段により検知されたプレパンチ用紙の用紙搬送方向のパンチ穴の位置情報に基づいて第1用紙検知センサによる用紙検知から用紙停止までの用紙の搬送量を可変することにより、パンチ穴の用紙搬送方向の位置調整を簡単に且つ正確に行うことができる。
【0018】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1乃至第3のいずれかの構成の画像形成システムにおいて、用紙搬送方向と直交する方向の用紙の端部を検知する側端検知機構と、パンチ刃ユニットを用紙搬送方向と直交する方向に移動する移動機構と、パンチ刃ユニットが基準位置にあるか否かを検知するホームポジション検知センサとで第2位置調整機構を構成し、パンチ穴検知手段により検知されたプレパンチ用紙の用紙搬送方向と直交する方向のパンチ穴の位置情報と側端検知機構の検知結果とに基づいてパンチ刃ユニットの基準位置からの移動量を可変することにより、用紙搬送方向と直交する方向のパンチ穴の位置調整を簡単に且つ正確に行うことができる。また、パンチ穴検知手段により検知されたパンチ穴の位置情報に用紙ズレ量を加味してパンチ刃ユニットの移動量が決定されるため、用紙幅方向への搬送ズレの有無に関係なく常に正確な位置にパンチ穴を形成することができる。
【0019】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第4の構成の画像形成システムにおいて、用紙搬送方向と直交する方向の用紙の端部を検知する第2用紙検知センサと、第2用紙検知センサを用紙搬送方向と直交する方向に往復移動するセンサ移動モータと、第2用紙検知センサが基準位置にあるか否かを検知するホームポジション検知センサとで側端検知機構を構成することにより、センサ移動モータにより第2用紙検知センサを用紙サイズ毎の待機位置に移動した後、用紙の端部方向に移動させて端部を検知するまでのセンサ移動モータの駆動パルスを測定することで、用紙搬送方向と直交する方向の用紙の端部を用紙サイズや搬送ズレの有無に関係なく常に正確に検知することができる。
【0020】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第1乃至第5のいずれかの構成の画像形成システムにおいて、挿入紙を所定のタイミングで挿入する挿入モードが設定されている場合、挿入紙に予めパンチ穴が形成されているときは、パンチ穴形成装置による挿入紙へのパンチ穴形成を禁止することにより、予めパンチ穴が形成されている挿入紙に重ねてパンチ穴が形成される不具合を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の画像形成システムを構成する用紙後処理装置及び画像形成装置の内部構成を示す概略図
【図2】本発明の画像形成システムを構成するインサート装置の内部構成を示す拡大概略図
【図3】用紙後処理装置のパンチ穴形成装置周辺の部分断面図
【図4】パンチ穴形成装置周辺の平面図
【図5】本発明の画像形成システムの制御経路を示すブロック図
【図6】本発明の画像形成システムにおけるパンチ穴形成制御の一例を示すフローチャート
【図7】画像読取部でパンチ穴の読み取りを行う方法を示す斜視図
【図8】パンチ穴の位置情報を説明する平面図である。
【図9】挿入モードが設定された場合のパンチ穴形成制御の一例を示すフローチャート
【図10】本発明の画像形成システムの他の構成例を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。先ず、図1を参照して本発明に係る画像形成装置、インサート装置、及び用紙後処理装置から構成される画像形成システムについて説明する。図1は、本発明の用紙後処理装置及び画像形成装置の内部構成を示す概略図である。なお、本実施形態においては画像形成装置の一例として複写機を例示しているが、画像形成装置として複写機以外の、例えばレーザプリンタやインクジェットプリンタ、ファクシミリ装置等であっても適用できることはいうまでもない。
【0023】
図1に示すように、複写機1は、内部に後述する画像形成用の各種の機器が装着された装置本体2と、この装置本体2の上部に付設された原稿搬送装置3とを備えている。装置本体2内には、下部に配設された給紙部4と、この給紙部4の側方および上方に配設された用紙搬送部5と、給紙部4の上方に配設された画像形成部6と、この画像形成部6の用紙搬送方向下流側に配設された定着装置7と、これら画像形成部6及び定着装置7の上方に配設された画像読取部8とが備えられている。
【0024】
給紙部4には、用紙搬送方向下流側に給紙ローラ等の分離給送手段が設けられた複数の給紙カセット4aが備えられており、この給紙カセット4aに載置された用紙Pの束を、給紙ローラの回転動作によって、最上位の用紙Pから1枚ずつ用紙搬送部5に給紙するものであり、用紙搬送部5は、給紙部4から給紙された用紙Pを、各搬送ローラ対5aによって画像形成部6へと搬送する。
【0025】
画像形成部6及び定着装置7は、装置本体2の内部で用紙搬送方向と直交する幅方向(図1の紙面に直交する方向)に細長く配設され、装置本体2内の上部において図1における右側から画像形成部6、定着装置7の順に用紙Pの搬送方向(右から左方向)に沿って並設されている。
【0026】
画像形成部6は、電子写真プロセスによって、用紙P上に所定のトナー像を形成するものであり、回転可能に軸支された像担持体である感光体ドラム9と、この感光体ドラム9の周囲にその回転方向に沿って配設される帯電装置10、露光装置11、現像装置12、転写装置13、クリーニング装置14及び除電装置15を備えている。定着装置7は、画像形成部6においてトナー像が転写された用紙Pを、加熱ローラ16と加圧ローラ17とからなる一対の定着ローラに挟持させて加熱及び加圧して、未定着トナー像を用紙P上に定着させるものである。
【0027】
画像読取部8は、原稿の画像情報を読み取るものであり、1枚ずつの原稿を手置きで読み取らせる場合には、原稿搬送装置3を開いて装置本体2の上面に設けられたコンタクトガラス8a上に原稿を載置し、原稿束から1枚ずつを自動的に読み取らせる場合には、原稿束を、閉じた状態の原稿搬送装置3の給紙トレイ上に載置する。原稿束が給紙トレイ上に載置された場合は、当該原稿束から1枚ずつの原稿が自動的に順次コンタクトガラス8a上に送り込まれるようになっている。いずれの場合でもコンタクトガラス8a上に位置した原稿に、露光ランプから光が照射され、その反射光は画像光として反射鏡及び結像レンズ等の光学系を介して光電変換部(CCD)へ導かれる。
【0028】
以下、上記のように構成された複写機1の基本的な動作を説明する。先ず、図1で時計回りに回転する感光体ドラム9の表面が帯電装置10によって一様に帯電され、引き続き画像読取部8で読み取られた画像情報に基づいて露光装置11(レーザー装置等)からのレーザービームが感光体ドラム9の周面に照射され、これによって感光体ドラム9の表面に静電潜像が形成される。この静電潜像に現像装置12から現像剤としてのトナーが供給されることによりトナー像が形成される。
【0029】
次いで、給紙部4からの用紙Pは、用紙搬送部5を通ってトナー像が形成された感光体ドラム9に向けて搬送され、ここで転写ローラ等からなる転写装置13により感光体ドラム9の表面のトナー像が用紙Pに転写される。そして、トナー像が転写された用紙Pは感光体ドラム9から分離され、定着装置7に向けて搬送され、加熱ローラ16および加圧ローラ17間を通過することによる加熱処理でトナー像が定着される。定着装置7を通過した用紙Pは、搬送ローラ対18によって装置本体2外部へ排出される。
【0030】
そして、トナー像の用紙Pへの転写処理が完了した感光体ドラム9は、クリーニング装置14で周面に残留している残留トナーが取り除かれた後、除電装置15で残留電荷を除去する除電処理が施され、その後、帯電装置10により再び周面に帯電処理が施され、以下同様にして画像形成が行われることとなる。
【0031】
次に、用紙後処理装置の構成について説明する。用紙後処理装置20は、複写機1の用紙搬送方向下流側に配置され、複写機1で画像形成処理された用紙に対してパンチ穴形成処理や綴じ処理等の後処理を行うものである。
【0032】
図1に示すように、用紙後処理装置20内部には、搬入された用紙に対してパンチ処穴形成を行うパンチ穴形成装置21、及び搬入された用紙を複数枚スタックして、スタックされた用紙束をまとめてステープルで綴じる綴じ処理装置22が備えられており、用紙後処理装置20の側面には用紙の排出に適した位置に昇降可能なメイントレイ23及び用紙後処理装置20の上部に固定されたサブトレイ24が設けられ、それぞれのトレイへと用紙を排出する排出ローラ25、26が配設されている。
【0033】
パンチ穴形成装置21は、用紙後処理装置20の上部に配置されており、パンチ穴形成装置21の用紙搬送方向下流側には、用紙の搬送を行う中間ローラ対27が配設されている。更に、その下流側には中間ローラ対27によって搬送される用紙を一旦退避させる退避ドラム28が配設されており、この退避ドラム28の周囲には用紙の搬送方向をサブトレイ24側と綴じ処理装置22側とのいずれかに切り替える分岐ガイド29が設けられている。
【0034】
退避ドラム28は、綴じ処理を行う用紙束が2部以上ある場合に、綴じ処理後に排出される用紙束と、用紙後処理装置20へと新たに搬入されてくる用紙束の1枚目の用紙とが交錯しないように、次の用紙束の1枚目を退避ドラム28に巻き付けた状態にして一旦退避させておき、2枚目の用紙と共に綴じ処理装置22に導入することが可能な構成とされている。なお、退避ドラム28は、排出ローラ26から用紙を排出する際に排出ローラ26へ向けて用紙を搬送できるよう回転可能に構成されている。
【0035】
綴じ処理装置22は、ステープラ30及び処理トレイ40等から構成されている。処理トレイ40上には、所定サイズ(ここではA4サイズ)以下の用紙が搬入される第1搬入口31と、所定サイズよりも大サイズの用紙が搬入される第2搬入口32が設けられており、第1及び第2搬入口31、32の近傍には、搬入される用紙を処理トレイ40方向に叩いてトレイ面に沿わせるための叩き部材33、34が配設され、その下方には処理トレイ40上の用紙をトレイ面に沿って押さえる押さえローラ35、36が配設されている。また、処理トレイ40上には用紙束をトレイ面に沿って上下に移動させる用紙束搬送手段(図示せず)が設けられている。
【0036】
次に、用紙後処理装置20の動作について説明する。画像形成処理がされた用紙Pが搬入されると、パンチ穴形成が指示されている場合には、パンチ穴形成装置21によって搬送される用紙の所定位置にパンチ穴が形成され、パンチ穴形成が指示されていない場合はそのままパンチ穴形成装置21を通過し、中間ローラ対27によって退避ドラム28へと搬送される。そして、綴じ処理が指示されていない場合は、退避ドラム28によって搬送され分岐ガイド29によって排出ローラ26へと案内されて、サブトレイ24に排出される。
【0037】
一方、綴じ処理が指示されている場合は、用紙は分岐ガイド29によって綴じ処理装置22へと案内され、第1又は第2搬入口31、32より処理トレイ40上に搬入される。処理トレイ40へと用紙が搬入されると、所定のタイミングで叩き部材33、34及び押さえローラ35、36が駆動し、用紙が処理トレイ40に受け入れられる。
【0038】
そして、1束分の用紙の受け入れが終了すると、用紙束をステープラ30まで下降させた後、用紙束の先端をステープル部30aに挿入し、ステープル部30aで用紙束の綴じ処理が行われる。ステープル部30aで用紙束の綴じ処理を行った後、処理トレイ40に沿って用紙束を上方へと搬送し、用紙束は排出ローラ25によりメイントレイ23に排出される。
【0039】
なお、上記の実施形態においては、綴じ処理を行わない用紙はサブトレイ24に排出し、綴じ処理を行った用紙束をメイントレイ23上に排出する構成としたが、これは、例えば、ユーザの操作によって、綴じ処理を行っていない用紙をメイントレイ23に排出するよう構成することも可能である。
【0040】
更に、複写機1と用紙後処理装置20の間には、複写機1から搬入されてくる用紙P間に、製本時に用いられる表紙及び裏紙(カバー紙)や識別用の合紙(インサート紙)等の挿入紙Iを挿入することができるインサート装置80が接続されている。図2は、インサート装置の内部構成を示す拡大概略図である。
【0041】
図2に示すように、インサート装置80は、下部に複写機1から排出された用紙Pを用紙後処理装置20へと搬送する中継搬送路81が設けられ、中継搬送路81には中継搬送ローラ82が配設されている。また、上部には挿入紙Iを載置するインサータトレイ83が設けられており、このインサータトレイ83から取り込まれた挿入紙Iを中継搬送路81へと搬送する挿入搬送経路84が設けられている。そして、挿入搬送経路84に沿って上流側から順に、インサータトレイ83に載置された挿入紙Iを取り込む取込機構85、挿入紙Iを搬送する搬送ローラ対86、87が配設されている。
【0042】
また、挿入搬送経路84の搬送ローラ対86の下流側且つ搬送ローラ対87の上流側には挿入紙Iを反転させるための反転用経路88が連設されており、反転用経路88に沿って反転ローラ89が配設されている。なお、挿入搬送経路84と反転用経路88との分岐部には、挿入紙Iの搬送方向を切り替える分岐ガイド90が配設されている。更に、挿入搬送経路84には挿入紙Iの通過を検知するインサート検知センサ91が配設され、中継搬送路81には、用紙P及び挿入紙Iの通過を検知する搬入検知センサ92が配設されている。
【0043】
インサート検知センサ91及び搬入検知センサ92としては、用紙の通過の有無を検知可能な種々のセンサを用いることができ、例えば直接用紙を突き当てて検知を行うアーム型センサや、発光部より用紙に光を射出し、用紙表面からの反射光を受光部で検知する反射型センサ等が用いられる。
【0044】
このインサート装置80の基本的な動作について説明すると、複写機1によって画像が形成された用紙Pは、中継搬送路81を経由して用紙後処理装置20へと搬送される。また、インサータトレイ83から取り込まれる挿入紙Iは、例えば表面を上にしてインサータトレイ83に載置され、取込機構85によって取り込まれた後、挿入搬送経路84を搬送され、分岐ガイド90によって反転用経路88へと案内される。そして、反転ローラ89によって反転された後、挿入搬送経路84を経由して表面を上にした状態で、中継搬送路81を経由して用紙後処理装置20に搬送される。
【0045】
上記のインサート装置80を用いて、複写機1から用紙後処理装置20へと搬送される画像が形成された複数枚の用紙P間の所定位置に挿入紙Iを挿入し、用紙後処理装置20でパンチ穴形成処理や綴じ処理等を行う。
【0046】
次に、本発明の画像形成システムにおけるパンチ穴形成装置周辺の構成について詳細に説明する。図3は、用紙後処理装置のパンチ穴形成装置周辺の部分断面図、図4は、パンチ穴形成装置周辺の平面図である。図1及び図2と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0047】
パンチ穴形成装置21の上流側かつ用紙搬送方向(図4の矢印A方向)と直交する方向の略中央部には、用紙Pの先端を検知するパンチ部上流側センサ41と、ローラ駆動モータ42により回転してパンチ穴形成装置21に用紙Pを搬送するパンチ部上流側ローラ43が配置されている。パンチ部上流側センサ41、ローラ駆動モータ42及びパンチ部上流側ローラ43は、パンチ穴形成装置21に搬送される用紙Pの搬送方向のパンチ穴形成位置を調整する第1位置調整機構を構成している。
【0048】
パンチ穴形成装置21は、2本の円筒状のパンチ刃44aが突設された上下方向に移動可能なパンチ刃ユニット44と、パンチ刃ユニット44を用紙搬送方向と直交する方向(図4の矢印B方向)に往復移動するユニット移動モータ45と、パンチ刃ユニット44が基準位置(ホームポジション)にあるか否かを検知するホームポジション検知センサ46aを有している。ここで、パンチ刃ユニット44のホームポジションとは、搬送されてくる用紙の幅方向中心線(各サイズ共通)から2本のパンチ刃44aまでの距離が等しくなる位置をいう。
【0049】
パンチ穴形成装置21の上流側近傍には、用紙Pの側端部を検知する側端検知センサ47と、側端検知センサ47を矢印B方向に往復移動するセンサ移動モータ48と、側端検知センサ47が基準位置(ホームポジション)にあるか否かを検知するホームポジション検知センサ46bから成る側端検知機構49が配置されている。ユニット移動モータ45、ホームポジション検知センサ46a及び側端検知機構49は、パンチ穴形成装置21に搬送される用紙Pの搬送方向と直交する方向のパンチ穴形成位置を調整する第2位置調整機構を構成している。ローラ駆動モータ42、ユニット駆動モータ45及びセンサ移動モータ48としては、駆動パルスによって回転方向及び回転量が容易に制御できるステッピングモータ等のパルスモータが用いられる。
【0050】
図5は、本発明の画像形成システムの制御経路を示すブロック図である。なお、画像形成システムを使用する上で装置各部の様々な制御がなされるため、制御部50自体は複雑なものとなる。そこで、図5では制御部50や用紙後処理装置20のうち、本発明の実施に必要となる部分について重点的に説明している。
【0051】
制御部50は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)51、読み出し専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)52、読み書き自在の記憶部であるRAM(Random Access Memory)53、一時的に画像データ等を記憶する一時記憶部54、カウンタ55、複数(ここでは2個)のI/F(インターフェイス)56を少なくとも備えており、I/F56を介して複写機1、用紙後処理装置20及びインサート装置80内の各装置に制御信号を送信し、操作部60からの入力信号を受信する。なお、ここでは複写機1の制御部50を用いて画像形成システム全体を制御することとしたが、用紙後処理装置20或いはインサート装置80内に制御部を設けることも可能である。
【0052】
ROM52には、システムの制御用プログラムや制御上の必要な数値等、変更されることがないようなデータ等が収められている。RAM53には、システムの制御途中で発生した必要なデータや、制御に一時的に必要となるデータ等が記憶される。また、ROM52(或いはRAM53)には、パンチ部上流側センサ41による用紙Pの先端の検知からパンチ部上流側ローラ43を停止するまでにローラ駆動モータ42に送信される基準搬送パルス値、及び側端検知センサ47がホームポジションから用紙サイズ毎の待機位置まで移動する際、及び待機位置から搬送ズレがない場合の用紙の側端位置まで移動する際にセンサ移動モータ48に送信される基準移動パルス値等も記憶されている。
【0053】
カウンタ55は、複写機1での印刷枚数をカウントする他、搬入検知センサ92の検知信号により複写機1及びインサート装置80から用紙後処理装置20に搬入される用紙の枚数をカウントする。なお、カウンタ55を別途設けなくても、例えばRAM53でその回数を記憶するようにしてもよい。
【0054】
また、制御部50は、複写機1、用紙後処理装置20及びインサート装置80を含むシステム内の各部分、装置に対し、CPU51からI/F56を通じて制御信号を送信する。また、各部分、装置からその状態を示す信号や、入力信号がI/F56を通じてCPU51に送信される。制御部50が制御する各部分、装置としては、例えば、複写機1の用紙搬送部5、画像形成部6、定着装置7(いずれも図1参照)、用紙後処理装置20のパンチ穴形成装置21、ステープラ30(図1参照)、側端検知機構49、ローラ駆動モータ42、インサート装置80の取込機構85や分岐ガイド90(図2参照)等が挙げられる。
【0055】
操作部60には、液晶表示部61、各種の状態を示すLED62、テンキー63が設けられており、ユーザは操作部60を操作して指示を入力することで、複写機1、用紙後処理装置20及びインサート装置80の各種の設定を行い、画像形成機能や後処理機能等の各種機能を実行させる。液晶表示部61は、システムの状態を示したり、画像形成状況や印刷部数を表示したり、タッチパネルとして両面印刷や白黒反転等の機能や倍率設定、濃度設定など各種設定を行えるようになっている。テンキー63は、印刷部数の設定や、複写機1がFAX機能を有する場合に送信先のFAX番号を入力等するためのものである。
【0056】
その他、操作部60には、画像形成を開始するようにユーザが指示するスタートボタン、画像形成を中止する際等に使用するストップ/クリアボタン、システムの各種設定をデフォルト状態にする際に使用するリセットボタン等が設けられている。
【0057】
図6は、本発明の画像形成システムを用いたパンチ穴形成制御の一例を示すフローチャートである。図1〜図5を参照しながら、図6のステップに沿ってパンチ穴形成位置を調整する手順について説明する。
【0058】
先ず、制御部50において、予めパンチ穴形成位置が設定されているか否かが判断される(ステップS1)。パンチ穴形成位置の設定方法としては、例えば図7に示すように、複写機1の上面に設けられたコンタクトガラス8a上に予めパンチ穴が形成されたプレパンチ用紙PPを載置し、画像読取部8でプレパンチ用紙PPの読み取りを行い、読み取られた画像情報から算出されたパンチ穴の位置情報を制御部50に送信する方法が挙げられる。
【0059】
なお、プレパンチ用紙PPが白色または淡色である場合は、原稿搬送装置3を閉じた状態で読み取りを行うと、プレパンチ用紙PPからの反射光(画像光)と原稿搬送装置3の裏面に設けられた白色マット(図示せず)からの反射光の光量差が小さくなり、原稿領域と原稿外領域との境界が判別し難くなる。そのため、原稿搬送装置3を開いた状態で読み取りを行うことが好ましい。
【0060】
また、複写機1に代えて画像読取部8の搭載されていないプリンタを用いる場合は、イメージスキャナ等の画像読取装置を接続するか、或いは図8に示すように、パンチ穴Hの中心からプレパンチ用紙PPの側端及び先端までの距離a、bの数値を、操作部60のテンキー63やパソコン設定画面(操作端末)から直接入力する方法が挙げられる。
【0061】
ステップS1において所定のパンチ穴形成位置が設定されている場合は、用紙搬送方向及び用紙搬送方向と直交する方向(以下、用紙幅方向という)の位置情報を基準位置と比較し(ステップS2)、パルス調整値を設定する(ステップS3)。
【0062】
具体的には、用紙搬送方向についてはパンチ部上流側センサ41による用紙Pの先端または後端の検知からパンチ部上流側ローラ42を停止するまでの基準搬送パルス値を加減算する搬送方向パルス調整値を設定し、用紙幅方向についてはパンチ刃ユニット44の基準位置から所定量移動させるためにユニット駆動モータ45に送信する幅方向パルス調整値を設定する。なお、ステップS1においてパンチ穴形成位置が設定されていない場合は、パルス調整値の設定を行わずに次のステップへ進む。また、側端検知センサ47をホームポジションから用紙サイズ毎の待機位置まで移動させておく。
【0063】
ユーザにより操作部60から印刷指示が入力されると、複写機1において印刷が開始される(ステップS4)。そして、搬入検知センサ92により用紙Pの搬入が検知され、検知信号は複写機1の制御部50に送信されてカウンタ55で搬入枚数がカウントされる(ステップS5)。搬入された用紙Pは、パンチ部上流側センサ41により先端が検知された後、用紙サイズ毎の基準搬送パルス値にステップS3で設定された搬送方向パルス調整値を加減算して得られた駆動パルス値だけローラ駆動モータ42を回転させることで搬送方向のパンチ穴形成位置が調整され、その位置で停止する。
【0064】
次に、側端検知センサ47を待機位置から用紙Pの側端方向へ移動させて用紙側端を検知する(ステップS7)。制御部50は、側端検知センサ47の待機位置から用紙Pの側端を検知するまでの移動距離(パルス値)をRAM53内の基準移動パルス値と比較して用紙幅方向の搬送ズレ量を算出するとともに、ステップS3において幅方向パルス調整値が設定されている場合は幅方向パルス調整値に搬送ズレ量に相当するパルス値を加減算してユニット駆動モータ45の駆動パルス値(パンチ刃ユニット44の移動量)を決定する。幅方向パルス調整値が設定されていない場合は搬送ズレ量に相当するパルス値がユニット駆動モータ45の駆動パルス値となる。
【0065】
そして、ユニット駆動モータ45に駆動パルス値を送信してパンチ刃ユニット44をホームポジションから所定量移動させる(ステップS8)。これにより、搬送ズレ量を加味して用紙幅方向のパンチ穴形成位置が調整される。その後、パンチ刃ユニット44を下方向に移動させて用紙Pにパンチ穴を形成する(ステップS9)。パンチ穴が形成された用紙Pは中間ローラ対27、退避ドラム28、分岐ガイド29を経由して排出ローラ26へと案内されて、サブトレイ24に排出される(ステップS10)。その後、所定の印刷枚数が終了したか否かが判断され(ステップS11)、印刷が終了している場合はパンチ刃ユニット44及び側端検知センサ47をホームポジションに戻して(ステップS12)処理を終了する。印刷が継続している場合はステップS5に戻り、以下同様の処理を繰り返す(ステップS5〜S11)。
【0066】
上述したような制御を行うことにより、予めパンチ穴が形成されたプレパンチ用紙と同一の位置にパンチ穴を形成できるため、用紙束の仕上がり具合が向上するとともにユーザの作業負担も軽減される。また、例えば用紙をファイルする際、サイズの異なる用紙を上端揃え、或いは下端揃えで綴じたい場合には、小サイズの用紙に形成するパンチ穴を上方向または下方向へ所定量ずらす必要があるが、操作部60やパソコン設定画面から位置情報を入力すれば、パンチ穴を所望の位置へ簡単に形成することができる。
【0067】
さらに、用紙幅方向のパンチ穴形成位置は、幅方向パルス調整値に用紙ズレ量を加味して決定されるため、用紙幅方向への搬送ズレの有無に関係なく常に正確な位置にパンチ穴を形成することができる。
【0068】
図9は、用紙及び挿入紙を搬入する際のパンチ穴の形成制御例を示すフローチャートである。パルス調整値の設定手順(図6のステップS1〜S3)は図6と同様であるためここでは記載を省略している。
【0069】
ユーザにより操作部60から印刷指示が入力されると、複写機1において印刷が開始される(ステップS4)。そして、制御部50はカウンタ55でカウントされた搬入枚数カウント値を読み出す(ステップS5)。例えば1枚目の印刷が開始される前は搬入枚数が0枚であるため、カウント値は0である。次に、制御部50は読み出されたカウント値から挿入紙の挿入タイミングであるか否かを判断する(ステップS6)。
【0070】
挿入タイミングでない場合は複写機1で画像が印刷された用紙Pが給送され(ステップS7)、挿入タイミングである場合はインサータトレイ83から挿入紙Iを給紙する(ステップS8)。給紙された用紙P或いは挿入紙Iは搬入検知センサ92により検知され、検知信号は制御部50に送信されてカウンタ55のカウント値に1が加算される。
【0071】
挿入紙Iが給送されたときは、予め挿入紙Iとしてプレパンチ用紙PPが設定されているか否かが判断される(ステップS9)。プレパンチ用紙PPが設定されていない場合はパンチ穴を形成する必要があるため、図6と同様に挿入紙Iを所定の位置で停止させて側端検知を行った後、パンチ刃ユニット44を所定量移動させてパンチ穴を形成する。その後、挿入紙Iをサブトレイ24に排出する(ステップS10〜S15)。
【0072】
ステップS9でプレパンチ用紙PPが設定されている場合は、パンチ穴の形成が禁止され(ステップS14)、挿入紙Iはパンチ穴形成装置21で停止することなく通過してサブトレイ24に排出される(ステップS15)。なお、用紙Pが給送される場合は挿入紙Iと同様の手順(ステップS10〜S15)でパンチ穴を形成する。そして、印刷が終了したか否かが判断され(ステップS16)、印刷が終了している場合はパンチ刃ユニット44及び側端検知センサ47をホームポジションに戻して(ステップS17)処理を終了する。印刷が継続している場合はステップS5に戻り、以下同様の処理を繰り返す(ステップS5〜S16)。
【0073】
上述したような制御を行うことにより、表紙付けモード、仕切紙挿入モード、タブ紙挿入モード等の特殊紙挿入モードにおいて、その特殊紙(挿入紙)がプレパンチ用紙である場合、予め操作部60やパソコン設定画面からプレパンチ用紙であることを設定しておけば、プレパンチ用紙に重ねてパンチ穴が形成される不具合を未然に防止することができる。また、画像が印刷された用紙にはプレパンチ用紙と同一の位置にパンチ穴を形成できるため、用紙束の仕上がり具合が向上するとともにユーザの作業負担も軽減される。
【0074】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態においては、用紙後処理装置20にはインサート機構は搭載されておらず、複写機1と用紙後処理装置20の間にインサート装置80を接続した構成を例に挙げて説明したが、図7に示すように、インサート装置80が搭載された用紙後処理装置20にも本発明を適用することができる。
【0075】
また、上記実施形態では、パンチ穴形成装置21の上流側に用紙Pの先端を検知するパンチ部上流側センサ41を設けているが、パンチ部上流側センサ41を設けずに搬入検知センサ92で用紙Pの先端を検知し、その検知タイミングに基づいて用紙Pの停止位置を決定しても良い。なお、搬入検知センサ92からパンチ穴形成装置21までの距離が長い場合は用紙Pの停止位置の誤差も大きくなるため、搬入検知センサ92を用いる場合は用紙Pの先端に代えて後端を検知するようにしても良い。
【0076】
また、上記実施形態では、挿入紙Iをインサート装置80から挿入する場合について説明したが、例えば複写機1の給紙部4のうち、用紙Pの給送に使用しない給紙カセット4aや手差しトレイ(図示せず)を用いて挿入紙Iを給送する構成としても良い。この場合、挿入紙Iに所望の画像を印刷することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、画像形成装置と、該画像形成装置から搬入される用紙にパンチ穴を形成するパンチ穴形成装置と、該パンチ穴形成装置に搬送される用紙の搬送方向のパンチ穴形成位置を調整する第1位置調整機構と、用紙搬送方向と直交する方向のパンチ穴形成位置を調整する第2位置調整機構と、を有する用紙後処理装置と、該用紙後処理装置及び画像形成装置を制御する制御手段と、を備えた画像形成システムにおいて、用紙搬送方向及び用紙搬送方向と直交する方向のパンチ穴形成位置を設定する位置設定手段が設けられており、制御手段は、位置設定手段から送信されるパンチ穴の位置情報に基づいて第1位置調整機構及び第2位置調整機構の動作を制御してパンチ穴形成位置を調整するものである。
【0078】
これにより、プレパンチ用紙のパンチ穴に合わせたり、異なるサイズの用紙の上端或いは下端を揃えてファイルしたりするために、簡単な操作でパンチ穴形成位置を任意に調整可能な画像形成システムを提供することができる。パンチ穴の位置設定手段としては、プレパンチ用紙のパンチ穴位置を画像読取装置で読み取る方法や、パンチ穴の位置情報を操作部或いは操作端末から直接入力する方法が挙げられる。
【0079】
また、第2位置調整機構による用紙搬送方向と直交する方向の位置調整を、用紙搬送方向と直交する方向の用紙端部の検知結果に基づいて行うこととしたので、位置設定手段により入力された位置情報に搬送時の用紙ズレ量を加味してパンチ穴形成位置を決定することができる。従って、用紙幅方向への搬送ズレの有無に関係なく常に正確な位置にパンチ穴を形成することができる。
【0080】
また、挿入モードが設定されており、挿入紙に予めパンチ穴が形成されている場合は挿入紙へのパンチ穴形成を禁止することにより、プレパンチ用紙に重ねてパンチ穴が形成される不具合を未然に防止することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 複写機(画像形成装置)
8 画像読取部(画像読取装置)
20 用紙後処理装置
21 パンチ穴形成装置
22 綴じ処理装置
23 メイントレイ
24 サブトレイ
30 ステープラ
41 パンチ部上流側センサ(第1用紙検知センサ)
42 ローラ駆動モータ(搬送機構)
43 パンチ部上流側ローラ(搬送機構)
44 パンチ刃ユニット
45 ユニット移動モータ(移動機構)
46a、46b ホームポジション検知センサ
47 側端検知センサ(第2用紙検知センサ)
48 センサ移動モータ
49 側端検知機構
50 制御部(制御手段)
60 操作部
80 インサート装置
83 インサータトレイ
92 搬入検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置と、
該画像形成装置の下流側に連結され、搬入される用紙にパンチ穴を形成するパンチ穴形成装置と、該パンチ穴形成装置に搬送される用紙の搬送方向のパンチ穴形成位置を調整する第1位置調整機構と、用紙搬送方向と直交する方向のパンチ穴形成位置を調整する第2位置調整機構と、を有する用紙後処理装置と、
該用紙後処理装置及び前記画像形成装置を制御する制御手段と、
を備えた画像形成システムにおいて、
前記パンチ穴形成装置によりパンチ穴が形成される用紙に重ね合わせて用紙束を形成する、予めパンチ穴が形成されたプレパンチ用紙のパンチ穴位置を検知するパンチ穴検知手段が設けられており、
前記制御手段は、前記パンチ穴検知手段から送信されるパンチ穴の位置情報に基づいて前記第1位置調整機構及び第2位置調整機構の動作を制御してパンチ穴形成位置を調整することにより、前記プレパンチ用紙のパンチ穴位置と、前記パンチ穴形成装置により用紙に形成されるパンチ穴位置とを整合させることを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記パンチ穴検知手段は、前記プレパンチ用紙を読み取るとともに画像データに変換する画像読取装置であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記第1位置調整機構は、前記パンチ穴形成装置に用紙を搬送する搬送機構と、該搬送機構により搬送される用紙の先端または後端を検知する第1用紙検知センサとで構成され、前記パンチ穴検知手段により検知された前記プレパンチ用紙の用紙搬送方向のパンチ穴の位置情報に基づいて前記第1用紙検知センサによる用紙検知から用紙停止までの用紙の搬送量を可変することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記第2位置調整機構は、前記パンチ穴形成装置の近傍に配置され用紙搬送方向と直交する方向の用紙端部を検知する側端検知機構と、前記パンチ穴形成装置内のパンチ刃ユニットを用紙搬送方向と直交する方向に移動する移動機構と、前記パンチ刃ユニットが基準位置にあるか否かを検知するホームポジション検知センサとで構成され、前記パンチ穴検知手段により検知された前記プレパンチ用紙の用紙搬送方向と直交する方向のパンチ穴の位置情報と前記側端検知機構の検知結果とに基づいて前記パンチ刃ユニットの基準位置からの移動量を可変することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記側端検知機構は、用紙搬送方向と直交する方向の用紙の端部を検知する第2用紙検知センサと、該第2用紙検知センサを用紙搬送方向と直交する方向に往復移動するセンサ移動モータと、前記第2用紙検知センサが基準位置にあるか否かを検知するホームポジション検知センサとで構成されることを特徴とする請求項4に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記画像形成装置により画像が形成された用紙間に挿入紙を所定のタイミングで挿入する挿入モードを設定可能であり、前記制御手段は、前記挿入紙に予めパンチ穴が形成されているときは、前記パンチ穴形成装置による前記挿入紙へのパンチ穴形成を禁止することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−246147(P2012−246147A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−195680(P2012−195680)
【出願日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【分割の表示】特願2008−894(P2008−894)の分割
【原出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】