説明

画像形成システム

【課題】 記録媒体の状態が不正な状態である場合に印刷に必要な時間を従来より短縮することができる画像形成システムを提供する。
【解決手段】 画像形成システム10は、MFP20と、MFP20に接続されてMFP20に記録媒体91を供給するサイドマルチトレイ50とを備えており、サイドマルチトレイ50は、記録媒体91の重送を検知する媒体状態センサー53と、記録媒体91が排出される排出トレイ54とを備えており、MFP20は、媒体状態センサー53によって重送が検知された場合に重送が検知された記録媒体91への印刷を中止して記録媒体91を排出トレイ54に排出させる印刷中止手段を備えており、媒体状態センサー53は、トナー画像が中間転写ベルト33に転写される前に、このトナー画像が定着させられる予定の記録媒体91の重送を検知する位置に配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体を供給する供給装置を備えている画像形成装置と、画像形成装置に接続されて画像形成装置に記録媒体を供給する補助供給装置とを備えている画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙の重送が発生した場合に、重送が発生した用紙の次に搬送される用紙に定着させられる予定のトナー画像が中間転写体に転写されることを禁止する画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、用紙を供給する給紙カセットを備えている印刷装置と、印刷装置に接続されて印刷装置に用紙を供給する大容量給紙デッキとを備えており、大容量給紙デッキは、用紙の重送を検知する重送検知センサと、重送検知センサによって重送が検知された場合に用紙が排出されるエスケープトレイとを備えている印刷システムが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−80862号公報
【特許文献2】特開2008−180900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された画像形成装置においては、重送が発生した用紙への印刷が実行されるので、重送が発生した用紙に起因する紙詰まりなどの不具合が発生する可能性がある。つまり、特許文献1に記載された画像形成装置においては、発生した不具合を利用者が解消するための時間が必要となる可能性がある。
【0006】
また、特許文献2に記載された印刷システムにおいては、用紙の重送が発生した場合であっても、重送が発生した用紙に定着させられる予定であったトナー画像が印刷装置の中間転写体に転写されて、中間転写体のクリーニング処理が必要となる可能性がある。つまり、特許文献2に記載された印刷システムにおいては、中間転写体のクリーニング処理のための時間が必要となる可能性がある。
【0007】
そこで、本発明は、記録媒体の状態が不正な状態である場合に印刷に必要な時間を従来より短縮することができる画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成システムは、トナーによって形成された画像であって最終的に記録媒体に定着させられる予定のトナー画像が一時的に転写される中間転写体と、前記記録媒体を供給する供給装置とを備えている画像形成装置と、前記画像形成装置に接続されて前記画像形成装置に前記記録媒体を供給する補助供給装置とを備えており、前記補助供給装置は、前記記録媒体の状態を検知する媒体状態センサーと、前記記録媒体が排出される媒体排出部とを備えており、前記画像形成装置は、前記媒体状態センサーによって前記記録媒体の状態が不正な状態であることが検知された場合に前記不正な状態であると検知された前記記録媒体への印刷を中止して前記記録媒体を前記媒体排出部に排出させる印刷中止手段を備えており、前記媒体状態センサーは、前記トナー画像が前記中間転写体に転写される前に、このトナー画像が定着させられる予定の前記記録媒体の状態を検知する位置に配置されていることを特徴とする。
【0009】
この構成により、本発明の画像形成システムは、媒体状態センサーによって記録媒体の状態が不正な状態であることが検知された場合に記録媒体が排出される媒体排出部を補助供給装置が備えているので、記録媒体の状態が不正な状態である場合に、不正な状態である記録媒体が補助供給装置から画像形成装置に入って不具合が発生することを防止することができる。したがって、本発明の画像形成システムは、記録媒体の状態が不正な状態である場合に、不正な状態である記録媒体が補助供給装置から画像形成装置に入って不具合が発生するような従来の構成と比較して、不具合の解消のための時間が不要となる。すなわち、本発明の画像形成システムは、記録媒体の状態が不正な状態である場合に印刷に必要な時間を従来より短縮することができる。また、本発明の画像形成システムは、トナー画像が中間転写体に転写される前に、このトナー画像が定着させられる予定の記録媒体の状態を検知する位置に媒体状態センサーが配置されているので、記録媒体の状態が不正な状態である場合に、不正な状態である記録媒体に定着させられる予定であったトナー画像が中間転写体に転写されることを防止することができる。したがって、本発明の画像形成システムは、記録媒体の状態が不正な状態である場合に、従来の構成のような中間転写体のクリーニング処理のための時間が不要となる。すなわち、本発明の画像形成システムは、記録媒体の状態が不正な状態である場合に印刷に必要な時間を従来より短縮することができる。
【0010】
また、本発明の画像形成システムの前記画像形成装置は、前記トナー画像が現像される感光体を備えており、前記媒体状態センサーは、前記トナー画像が前記感光体に現像される前に、このトナー画像が定着させられる予定の前記記録媒体の状態を検知する位置に配置されていても良い。
【0011】
この構成により、本発明の画像形成システムは、トナー画像が感光体に現像される前に、このトナー画像が定着させられる予定の記録媒体の状態を検知する位置に媒体状態センサーが配置されているので、記録媒体の状態が不正な状態である場合に、不正な状態である記録媒体に定着させられる予定であったトナー画像が感光体に現像されることを防止することができる。したがって、本発明の画像形成システムは、記録媒体の状態が不正な状態である場合に、感光体のクリーニング処理のための時間が不要となる。すなわち、本発明の画像形成システムは、記録媒体の状態が不正な状態である場合に印刷に必要な時間を短縮することができる。また、本発明の画像形成システムは、トナー画像が感光体に現像される前に、このトナー画像が定着させられる予定の記録媒体の状態を検知する位置に媒体状態センサーが配置されているので、記録媒体の状態が不正な状態である場合に、感光体に現像される予定であったトナー画像の分の不必要なトナーの消費を防止することができる。
【0012】
また、本発明の画像形成システムの前記補助供給装置は、前記記録媒体を収納する媒体収納部と、前記媒体収納部に収納されている前記記録媒体の前記画像形成装置側とは反対側の端を先端として前記記録媒体を前記画像形成装置に搬送する媒体搬送部とを備えていても良い。
【0013】
この構成により、本発明の画像形成システムは、補助供給装置の媒体収納部に収納されている記録媒体の画像形成装置側の端を先端として記録媒体を補助供給装置から画像形成装置に搬送する構成と比較して、補助供給装置の媒体収納部に収納されている記録媒体が画像形成装置に入るまでの距離が長いので、媒体状態センサーの配置の自由度を向上することができる。
【0014】
また、本発明の画像形成システムの前記不正な状態は、前記記録媒体の重送であっても良い。
【0015】
この構成により、本発明の画像形成システムは、記録媒体の重送が発生した場合に記録媒体が排出される媒体排出部を補助供給装置が備えているので、重送が発生した記録媒体の詰まりなどの不具合が画像形成装置内で発生することを防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の画像形成システムは、記録媒体の状態が不正な状態である場合に印刷に必要な時間を従来より短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態に係る画像形成システムの構成図である。
【図2】図1に示す画像形成システムのブロック図である。
【図3】記録媒体がサイドマルチトレイから供給される場合の図2に示す制御部の描画制御および搬送制御のタイミングを示す図である。
【図4】記録媒体がサイドマルチトレイから供給される場合の図2に示す制御部の動作のフローチャートである。
【図5】記録媒体がサイドマルチトレイから供給される場合の図2に示す制御部の描画制御および搬送制御のタイミングであって、図3に示すタイミングとは異なるタイミングを示す図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る画像形成システムの構成図であって、図1に示す構成とは異なる構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0019】
まず、本実施の形態に係る画像形成システムの構成について説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態に係る画像形成システム10の構成図である。
【0021】
図1に示すように、画像形成システム10は、MFP(Multifunction Peripheral)20と、MFP20に接続されてMFP20に用紙などの記録媒体91を供給する補助供給装置としてのサイドマルチトレイ(Side multi tray)50と、MFP20に接続されてMFP20によって印刷された記録媒体91の仕分け、ステープルなどの後処理を実行するフィニッシャー(Finisher)70とを備えている。本実施の形態において、本発明の画像形成装置は、MFP20およびフィニッシャー70によって構成されている。
【0022】
図2は、画像形成システム10のブロック図である。
【0023】
図2に示すように、MFP20は、MFP20全体を制御する制御部21と、各種のデータを記憶しているEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの記憶デバイスである記憶部22と、利用者による種々の操作が入力されるボタンなどの入力デバイスである操作部23と、種々の情報を表示するLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである表示部24と、記録媒体91に印刷を実行する印刷デバイスであるプリンター25と、原稿から画像を読み取る読取デバイスであるスキャナー26と、図示していない外部のファクシミリ装置と公衆電話回線などの通信回線経由でファックス通信を行うファックスデバイスであるファックス通信部27と、LAN(Local Area Network)などのネットワーク経由で外部の装置と通信を行うネットワーク通信デバイスであるネットワーク通信部28とを備えている。
【0024】
制御部21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)とを備えている。CPUは、ROMまたは記憶部22に記憶されているプログラムを実行するようになっている。
【0025】
記憶部22は、MFP20用のプログラムである画像形成装置用プログラム22aを記憶している。
【0026】
なお、画像形成装置用プログラム22aは、MFP20の製造段階でMFP20にインストールされていても良いし、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)などの記憶媒体から、または、ネットワーク上からMFP20に追加でインストールされても良い。
【0027】
制御部21は、記憶部22に記憶されている画像形成装置用プログラム22aを実行することによって、後述の媒体状態センサー53によって不正な状態である重送が検知された場合に重送が検知された記録媒体91への印刷を中止して記録媒体91を後述の排出トレイ54に排出させる印刷中止手段21aとして機能する。
【0028】
図1に示すように、プリンター25は、記録媒体91を収納する複数のトレイ31aを備えていて記録媒体91を供給する供給装置31と、トナーによって形成された画像であって最終的に記録媒体91に定着させられる予定のトナー画像が現像される感光体としてのシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色の感光体ドラム32a〜32dと、感光体ドラム32a〜32dに現像されたトナー画像が一時的に転写される中間転写体としての中間転写ベルト33と、中間転写ベルト33に転写されたトナー画像を記録媒体91に転写する転写ローラー34と、記録媒体91に転写されたトナー画像を熱によって記録媒体91に定着させる定着ローラー35と、定着ローラー35に記録媒体91を押し付ける加圧ローラー36と、中間転写ベルト33に転写されたトナー画像に記録媒体91の搬送のタイミングを合わせるためのレジストローラー37と、印刷された記録媒体91が排出される排出トレイ38と、複数の搬送ローラー39aを備えていて記録媒体91を搬送する搬送部39とを備えている。
【0029】
サイドマルチトレイ50は、記録媒体91を収納する複数の媒体収納部としての複数のトレイ51aと、トレイ51aから記録媒体91が供給されたことを検知する媒体供給センサー52と、記録媒体91の状態を検知する媒体状態センサー53と、記録媒体91が排出される媒体排出部としての排出トレイ54と、複数の搬送ローラー55aを備えていて記録媒体91を搬送する媒体搬送部55とを備えている。
【0030】
媒体状態センサー53は、トナー画像が感光体ドラム32a〜32dに現像される前に、このトナー画像が定着させられる予定の記録媒体91の状態を検知する位置に配置されている。媒体状態センサー53は、記録媒体91の不正な状態として、記録媒体91の重送を検知する。媒体状態センサー53は、超音波の送信ユニットと、超音波の受信ユニットとを備えており、超音波が送信ユニットから送信されてから受信ユニットに受信されるまでに記録媒体91によって減衰された量によって、記録媒体91の重送を検知する。
【0031】
媒体搬送部55は、トレイ51aに収納されている記録媒体91のMFP20側とは反対側の端を先端として記録媒体91をMFP20に搬送するようになっている。
【0032】
フィニッシャー70は、MFP20によって印刷された記録媒体91が排出される排出トレイ71、72と、複数の搬送ローラー73aを備えていて記録媒体91を搬送する搬送部73とを備えている。
【0033】
次に、画像形成システム10の動作について説明する。
【0034】
画像形成システム10のMFP20の制御部21は、例えば、コピーのためにスキャナー26によって読み取られた画像データに基づいた印刷データ、ファックス通信部27を介して受信したファックスデータに基づいた印刷データ、ネットワーク通信部28を介して受信した印刷データなどの各種の印刷データに基づいてプリンター25によって印刷を実行する。ここで、制御部21は、印刷データ内の情報に従って、プリンター25による印刷のための記録媒体91をトレイ31aからではなく、サイドマルチトレイ50内のトレイ51aから搬送することができる。
【0035】
図3は、記録媒体91がサイドマルチトレイ50から供給される場合の制御部21の描画制御および搬送制御のタイミングを示す図である。
【0036】
図3に示すように、制御部21は、印刷データに基づいて時間tにおいて印刷を開始すると、サイドマルチトレイ50の媒体搬送部55に記録媒体91の搬送を時間tにおいて開始させる。ここで、媒体搬送部55は、複数のトレイ51aのうち、印刷データにおいて指示されているトレイ51aから記録媒体91を搬送する。
【0037】
媒体搬送部55によってトレイ51aから記録媒体91が搬送されると、制御部21は、媒体搬送部55によって搬送されている記録媒体91を媒体供給センサー52によって検知する。この時を、時間tとする。
【0038】
媒体搬送部55によって更に記録媒体91が搬送されると、制御部21は、媒体搬送部55によって搬送されている記録媒体91を媒体状態センサー53によって検知する。この時を、時間tとする。したがって、制御部21は、媒体搬送部55によって搬送された記録媒体91に重送が発生しているか否かの判断を媒体状態センサー53の検知結果に基づいて時間tにおいて開始する。この判断は、時間tまで継続される。
【0039】
制御部21は、感光体ドラム32a〜32dへのトナー画像の現像を、時間tの所定の時間後である時間tにおいて開始する。そして、感光体ドラム32a〜32dに現像されたトナー画像は、時間tにおいて中間転写ベルト33に転写が開始される。中間転写ベルト33への転写は、時間tにおいて終了する。
【0040】
そして、制御部21は、図示していないレジストセンサーの検知結果に基づいて記録媒体91をレジストローラー37の位置で時間tにおいて一旦停止させる。
【0041】
その後、制御部21は、中間転写ベルト33に転写されたトナー画像にタイミングを合わせて記録媒体91をレジストローラー37によって搬送する。
【0042】
記録媒体91がサイドマルチトレイ50から供給される場合に制御部21が図3に示すタイミングで描画制御および搬送制御を実行するので、制御部21は、図4に示すように動作することができる。
【0043】
図4は、記録媒体91がサイドマルチトレイ50から供給される場合の制御部21の動作のフローチャートである。
【0044】
図4に示すように、制御部21は、サイドマルチトレイ50の媒体搬送部55に記録媒体91の搬送を開始させる(S101)。
【0045】
次いで、制御部21は、媒体搬送部55によって搬送された記録媒体91に重送が発生しているか否かを媒体状態センサー53の検知結果に基づいて判断する(S102)。
【0046】
制御部21の印刷中止手段21aは、重送が発生しているとS102において判断すると、重送が発生していると判断した記録媒体91への印刷を中止して(S103)、この記録媒体91を媒体搬送部55によってサイドマルチトレイ50の排出トレイ54に排出させる(S104)。したがって、画像形成システム10は、MFP20内で記録媒体91が詰まるという不具合、記録媒体91にトナー画像が適切に転写されないという不具合など、重送が発生した記録媒体91がサイドマルチトレイ50からMFP20に入って発生する不具合を防止することができる。
【0047】
制御部21は、S104の処理の後、図4に示す処理を終了する。そして、制御部21は、印刷を中止した印刷データに基づいて再び図4に示す処理を開始する。
【0048】
制御部21は、重送が発生していないとS102において判断すると、感光体ドラム32a〜32dへのトナー画像の現像を開始する(S105)。そして、感光体ドラム32a〜32dに現像されたトナー画像は、中間転写ベルト33に一時的に転写された後、転写ローラー34によって記録媒体91に転写される。次いで、記録媒体91に転写されたトナー画像は、定着ローラー35および加圧ローラー36によって記録媒体91に定着させられる。
【0049】
制御部21は、S105の処理の後、トナー画像が定着させられた記録媒体91を排出トレイ38、71または72に排出し(S106)、図4に示す処理を終了する。なお、記録媒体91が排出トレイ38、71および72の何れに排出されるかは、印刷データにおいて指定されている。
【0050】
以上に説明したように、画像形成システム10は、媒体状態センサー53によって記録媒体91の重送が検知された場合に記録媒体91が排出される排出トレイ54をサイドマルチトレイ50が備えているので、記録媒体91の重送が発生した場合に、重送が発生した記録媒体91がサイドマルチトレイ50からMFP20に入って不具合が発生することを防止することができる。したがって、画像形成システム10は、記録媒体91の重送が発生した場合に、重送が発生した記録媒体91がサイドマルチトレイ50からMFP20に入って不具合が発生するような従来の構成と比較して、不具合の解消のための時間が不要となる。すなわち、画像形成システム10は、記録媒体91の重送が発生した場合に印刷に必要な時間を従来より短縮することができる。
【0051】
画像形成システム10は、トナー画像が感光体ドラム32a〜32dに現像される前に、このトナー画像が定着させられる予定の記録媒体91の重送を検知する位置に媒体状態センサー53が配置されているので、記録媒体91の重送が発生した場合に、重送が発生した記録媒体91に定着させられる予定であったトナー画像が感光体ドラム32a〜32dに現像されることを防止することができる。したがって、画像形成システム10は、記録媒体91の重送が発生した場合に、図示していないクリーニング機構による感光体ドラム32a〜32dのクリーニング処理のための時間が不要となる。すなわち、画像形成システム10は、記録媒体91の重送が発生した場合に印刷に必要な時間を従来より短縮することができる。
【0052】
画像形成システム10は、トナー画像が感光体ドラム32a〜32dに現像される前に、このトナー画像が定着させられる予定の記録媒体91の重送を検知する位置に媒体状態センサー53が配置されているので、記録媒体91の重送が発生した場合に、感光体ドラム32a〜32dに現像される予定であったトナー画像の分の不必要なトナーの消費を防止することができる。
【0053】
なお、画像形成システム10は、トナー画像が中間転写ベルト33に転写される前に、このトナー画像が定着させられる予定の記録媒体91の重送を検知する位置に媒体状態センサー53が配置されていれば、図5に示すように、トナー画像が感光体ドラム32a〜32dに現像され始めた後に、このトナー画像が定着させられる予定の記録媒体91の重送を検知する位置に媒体状態センサー53が配置されていても良い。
【0054】
画像形成システム10は、トナー画像が中間転写ベルト33に転写される前に、このトナー画像が定着させられる予定の記録媒体91の重送を検知する位置に媒体状態センサー53が配置されている場合、記録媒体91の重送が発生したときに、重送が発生した記録媒体91に定着させられる予定であったトナー画像が中間転写ベルト33に転写されることを防止することができる。したがって、画像形成システム10は、記録媒体91の重送が発生した場合に、図示していないクリーニング機構による中間転写ベルト33のクリーニング処理のための時間が不要となる。すなわち、画像形成システム10は、記録媒体91の重送が発生した場合に印刷に必要な時間を従来より短縮することができる。なお、画像形成システム10は、記録媒体91の重送が発生した場合に、既にトナー画像が感光体ドラム32a〜32dに現像されているとき、図示していないクリーニング機構による感光体ドラム32a〜32dのクリーニング処理のみを実行すれば良い。
【0055】
画像形成システム10は、図1に示すようにサイドマルチトレイ50のトレイ51aに収納されている記録媒体91のMFP20側とは反対側の端を先端として記録媒体91をMFP20に搬送するようになっているので、図6に示すようにサイドマルチトレイ50のトレイ51aに収納されている記録媒体91のMFP20側の端を先端として記録媒体91をサイドマルチトレイ50からMFP20に搬送する構成と比較して、サイドマルチトレイ50のトレイ51aに収納されている記録媒体91がMFP20に入るまでの距離が長い。したがって、画像形成システム10は、媒体状態センサー53の配置の自由度を向上することができる。
【0056】
なお、画像形成システム10は、図6に示すようにサイドマルチトレイ50のトレイ51aに収納されている記録媒体91のMFP20側の端を先端として記録媒体91をサイドマルチトレイ50からMFP20に搬送するようになっていても良い。
【0057】
画像形成システム10は、記録媒体91の重送が発生した場合に記録媒体91が排出される排出トレイ54をサイドマルチトレイ50が備えているので、重送が発生した記録媒体91の詰まりなどの不具合がMFP20内で発生することを防止することができる。
【0058】
なお、重送の検知方法としては、本実施の形態において超音波による方法が採用されているが、超音波による方法以外の公知の任意の方法が採用されることができる。
【0059】
媒体状態センサー53は、本実施の形態において記録媒体91の不正な状態として記録媒体91の重送を検知するようになっているが、重送以外の不正な状態を検知するようになっていても良い。
【0060】
例えば、媒体状態センサー53は、記録媒体91を斜めに搬送していることを記録媒体91の不正な状態として検知するようになっていても良い。記録媒体91を斜めに搬送していることを記録媒体91の不正な状態として媒体状態センサー53が検知する場合、画像形成システム10は、斜めに搬送されている記録媒体91の詰まりなどの不具合がMFP20内で発生することを防止することができるので、記録媒体91の重送を記録媒体91の不正な状態として検知する場合と同様に、印刷に必要な時間を短縮することができる。なお、記録媒体91を斜めに搬送していることを検知する方法としては、例えば、記録媒体91の搬送路上において記録媒体91の搬送方向に直交する方向に離れて配置された2つの光センサーによって記録媒体91の傾きを検知する方法など、公知の任意の方法が採用されることができる。
【0061】
また、媒体状態センサー53は、搬送されている記録媒体91のサイズが利用者によって指定されているサイズと異なることを記録媒体91の不正な状態として検知するようになっていても良い。搬送されている記録媒体91のサイズが利用者によって指定されているサイズと異なることを記録媒体91の不正な状態として媒体状態センサー53が検知する場合、画像形成システム10は、利用者によって指定されているサイズと異なるサイズである記録媒体91の詰まりなどの不具合がMFP20内で発生することを防止することができるので、記録媒体91の重送を記録媒体91の不正な状態として検知する場合と同様に、印刷に必要な時間を短縮することができる。また、搬送されている記録媒体91のサイズが利用者によって指定されているサイズと異なることを記録媒体91の不正な状態として媒体状態センサー53が検知する場合、画像形成システム10は、利用者によって指定されているサイズより小さいサイズの記録媒体91への印刷によってMFP20内がトナーによって汚染されることを防止することができる。なお、搬送されている記録媒体91のサイズを検知する方法としては、例えば、記録媒体91の搬送路上において記録媒体91の搬送方向に直交する方向に配置された複数の光センサーによって記録媒体91の横幅を検知する方法、記録媒体91の搬送路上に配置された光センサーによって光センサー上を通過する記録媒体91の通過時間を検知することによって記録媒体91の縦幅を検知する方法など、公知の任意の方法が採用されることができる。
【0062】
また、媒体状態センサー53は、記録媒体91の搬送が遅れていることを記録媒体91の不正な状態として検知するようになっていても良い。記録媒体91の搬送が遅れていることを記録媒体91の不正な状態として媒体状態センサー53が検知する場合、画像形成システム10は、記録媒体91の重送を記録媒体91の不正な状態として検知する場合と同様に、中間転写ベルト33のクリーニング処理のための時間が不要となるので、印刷に必要な時間を短縮することができる。なお、記録媒体91の搬送が遅れていることを検知する方法としては、例えば、記録媒体91の搬送路上に配置された光センサーによって記録媒体91が光センサー上に到達したタイミングを検知する方法など、公知の任意の方法が採用されることができる。
【0063】
本発明の画像形成装置は、本実施の形態においてMFPだけでなく、フィニッシャーも含んでいるが、MFPだけであっても良い。
【0064】
本発明の画像形成装置は、本実施の形態においてMFPであるが、プリンター専用機など、MFP以外の画像形成装置であっても良い。
【符号の説明】
【0065】
10 画像形成システム
20 MFP(画像形成装置)
21a 印刷中止手段
31 供給装置
32a〜32d 感光体ドラム(感光体)
33 中間転写ベルト(中間転写体)
50 サイドマルチトレイ(補助供給装置)
51a トレイ(媒体収納部)
53 媒体状態センサー
54 排出トレイ(媒体排出部)
55 媒体搬送部
70 フィニッシャー(画像形成装置)
91 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーによって形成された画像であって最終的に記録媒体に定着させられる予定のトナー画像が一時的に転写される中間転写体と、前記記録媒体を供給する供給装置とを備えている画像形成装置と、前記画像形成装置に接続されて前記画像形成装置に前記記録媒体を供給する補助供給装置とを備えており、
前記補助供給装置は、前記記録媒体の状態を検知する媒体状態センサーと、前記記録媒体が排出される媒体排出部とを備えており、
前記画像形成装置は、前記媒体状態センサーによって前記記録媒体の状態が不正な状態であることが検知された場合に前記不正な状態であると検知された前記記録媒体への印刷を中止して前記記録媒体を前記媒体排出部に排出させる印刷中止手段を備えており、
前記媒体状態センサーは、前記トナー画像が前記中間転写体に転写される前に、このトナー画像が定着させられる予定の前記記録媒体の状態を検知する位置に配置されていることを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記画像形成装置は、前記トナー画像が現像される感光体を備えており、
前記媒体状態センサーは、前記トナー画像が前記感光体に現像される前に、このトナー画像が定着させられる予定の前記記録媒体の状態を検知する位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記補助供給装置は、前記記録媒体を収納する媒体収納部と、前記媒体収納部に収納されている前記記録媒体の前記画像形成装置側とは反対側の端を先端として前記記録媒体を前記画像形成装置に搬送する媒体搬送部とを備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記不正な状態は、前記記録媒体の重送であることを特徴とする請求項1から請求項3までの何れかに記載の画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−29734(P2013−29734A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166792(P2011−166792)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】