説明

画像形成方法および画像形成装置

【課題】 本発明は、転写材の剥離性に優れると共に微細化された液体現像剤であっても、画像ズレがなく、転写効率の向上した画像形成方法および画像形成装置の提供を課題とする。
【解決手段】 本発明の画像形成方法は、潜像担持体に潜像を形成し、50℃以上のガラス転移点を有し、体積粒径が1μm以上で3μm以下の樹脂粒子とキャリア液とを含む液体現像剤で前記潜像を現像し、ベース層、弾性層および表層の少なくとも3層を有し、前記表層の側からのナノインデンターで測定した時の前記表層の側からの3μm押し込み硬度が0.1MPa以上2.0MPa以下である転写ベルトに前記潜像が現像された像を転写し、前記転写ベルトに転写された像を、該転写ベルトと転写材を介して転写ローラーとローラーとの圧接により形成される転写ニップ部により前記転写材に転写するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式において中間転写ベルトを使用した画像形成方法及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体現像剤を用いた電子写真方式では、転写ベルトに担持された像の転写材への転写に際して、転写後に転写ベルトから転写材が剥離しやすいこと、また、転写ベルトに担持された像の転写材への良好な転写性が求められている。
【0003】
剥離性に関しては、例えば特許文献1に記載されるように、押印ローラーの周面に凹部を設けると共に凹部にグリッパー76を設け、転写に際しては転写材を把持してトナー像を転写し、トナー像が完全に転写した後はグリッパー76を開いて転写材を開放させる方式が知られている。しかし、中間転写部材40をベルト状とする場合には、中間転写ベルトが押印ローラーの胴表面への当接と凹部での離間とを繰り返すために、中間転写ベルトの伸縮が繰り返される結果、転写ベルトの耐久性劣化による問題が生じる。
【0004】
また、例えば特許文献2に記載されるように、転写ローラーを中間転写ベルトに圧接した圧接ニップと、中間転写ベルトを転写ローラーに巻き掛けて圧接ニップよりはるかに長く形成された巻き掛けニップとを含む転写ロングニップを用い、転写ベルトの像に転写材を長く圧接し、また、転写バイアスの作用する時間を長くして転写効率を高めることが提案されている。しかし、転写材に転写された画像が引きずられて画像ズレが生じるという問題がある。一般に、転写ローラーの表層部はバックアップローラーの表層より柔らかく形成されているので、圧接ニップでは転写ローラーの表層側が凹み、像を担持する側の転写ベルトの表面がこの凹みに沿って伸長する方向に屈曲する。また、巻き掛けニップ側では、転写ベルトの表面が転写ローラーの外周面に沿って圧縮する方向に屈曲する。このように、転写ニップで転写ベルトの表面の屈曲方向が異なるために、圧接ニップと屈曲ニップとでは転写ベルト表面速度が変化し、画像ズレが生じやすくなる。
【0005】
また、使用される紙の種類は多様化しており、種々の紙で高画質な画像を転写できるシステムが求められている。例えば、非塗工紙が用いられる場合、ベース層、弾性層、表層の少なくとも3層からなる多層ベルトを中間転写ベルトとするに際して、その中間層である弾性層の硬度や厚み等を特定して転写効率の向上を図ることが知られている(特許文献3、4)が、液体トナーの粒径は1〜3μm程度と微細化の方向にあり、トナーが紙の繊維による凹凸の凹部に入り込むことが可能となっており、単に、弾性層の硬度や厚み等を特定しても、低い転写効率しか得られないという問題がある。そのため、多層ベルトを中間転写ベルトとするに際して、特に微細化されたトナーに対する転写効率に優れ、また、塗工紙のみならず、非塗工紙に対する転写効率の更なる向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2000−508280号
【特許文献2】特開2001−166611号
【特許文献3】特開2005−134840号
【特許文献4】特開2006−178232号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、転写材の剥離性に優れると共に微細化された液体現像剤であっても、画像ズレがなく、転写効率の向上した画像形成方法および画像形成装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成方法は、潜像担持体に潜像を形成し、
50℃以上のガラス転移点を有し、50%体積粒径Dv(50)〔μm〕が1μm以上で3μm以下の樹脂粒子とキャリア液とを含む液体現像剤で前記潜像を現像し、
ベース層、弾性層および表層の少なくとも3層を有し、前記表層の側からのナノインデンターで測定した時の前記表層の側からの3μm押し込み硬度が0.1MPa以上2.0MPa以下である転写ベルトに前記潜像が現像された像を転写し、
前記転写ベルトに転写された像を、該転写ベルトと転写材を介して転写ローラーとローラーとの圧接により形成される転写ニップ部により前記転写材に転写することを特徴とする。
【0009】
前記樹脂粒子の平均円形度が、0.98以上0.99以下であり、
前記転写ニップ部は、前記転写ローラーと前記ローラーとの圧接により形成される圧接ニップと、前記転写ベルトの移動方向に、前記ローラーに巻き掛けられた前記転写ベルトを前記転写ローラーに巻き掛けて、前記ローラーと接触していない領域で前記転写ベルトと前記転写ローラーと接触させて形成される接触ニップとを含むことを特徴とする。
【0010】
前記転写ベルトの前記表層は、厚さが5μm以上30μm以下で、IRHD硬度が60以上100以下であり、前記転写ベルトの前記表層の側から測定した時の前記転写ベルトのIRHD硬度は40以上90以下であることを特徴とする。
【0011】
前記キャリア液は、シリコーンオイルであることを特徴とする。
【0012】
前記樹脂粒子は、ポリエステル樹脂、またはエポキシ樹脂を含むことを特徴とする。
【0013】
本発明の画像形成装置は、潜像が形成される潜像担持体と、
前記潜像担持体に前記潜像を形成する潜像形成部と、
前記潜像形成部で形成された前記潜像を、50℃以上のガラス転移点を有し、50%体積粒径Dv(50)〔μm〕が1μm以上3μm以下の樹脂粒子とキャリア液とを含む液体現像剤で現像する現像部と、
ベース層、弾性層および表層の少なくとも3層を有し、前記表層の側からのナノインデンターで測定した時の、前記表層の側からの3μm押し込み硬度が0.1MPa以上2.0MPa以下であり、前記現像部で現像された像が転写される転写ベルトと、
前記転写ベルトを張架するローラーと、
前記転写ベルトを介して前記ローラーと当接して転写ニップ部を形成し、前記転写ニップ部で転写材に前記転写ベルトに転写された像を転写する転写ローラと、
前記像が転写された転写材を定着する定着部と
を備えることを特徴とする。
【0014】
転写ローラーは、周面の軸方向に凹部を有し、該凹部に前記転写材を把持する転写材把持部を備え、該転写材把持部に前記転写材を把持することを特徴とする。
【0015】
本発明の画像形成方法および画像形成装置は、液体現像剤が非塗工紙等の転写材に転写ニップ部で挟まれたとき、液体現像剤における樹脂粒子の粒径分だけ転写ベルトが沈み込むものと考えられ、紙の繊維の凹凸に左右されず、均一に転写され、十分な転写効率が得られ、また、画像ズレ等がなく細線再現性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の転写装置及び画像形成装置の第1例を模式的にかつ部分的に示す図である。
【図2】本発明の転写装置及び画像形成装置の第2例を模式的にかつ部分的に示す図である。
【図3】第2例の二次転写部における二次転写ニップの部分拡大図である。
【図4】転写ベルトの斜視図である。
【図5】転写ベルトの断面図である。
【図6】ナノインデンテーション法による多層ベルトの表層からの硬度測定方法を説明するための図である。
【図7】本発明の実施例10で得られる多層ベルトについて、ナノインデンテーション法で得られる荷重−変位曲線図である。
【図8】本発明の実施例10で得られる多層ベルトについて、ナノインデンテーション法で得られる硬度−変位曲線図であり、10mgf(100μN)荷重時のHM硬度(mgf/μm2 )を示す図である。
【図9】本発明の実施例10で得られる多層ベルトについて、ナノインデンテーション法で得られる硬度−変位曲線図であり、3μm押し込み時のHM硬度(mgf/μm2 )を示す図である。
【図10】(a)は実施例の転写効率、および画像ズレの評価に用いたパターンを示す図であり、(b)は画像ズレがない場合の説明図であり、(c)は画像ズレが生じる場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明の画像形成装置の第1例を、また、図2は、本発明の画像形成装置の第2例を模式的にかつ部分的に示す図である。図3は、第2例の二次転写部における二次転写ニップの部分拡大図である。なお、図1の画像形成装置と図2の画像形成装置とは、二次転写部11の構成のみ相違するものである。また、本明細書における「トナー」との記載は「樹脂粒子」の意である。
【0019】
画像形成装置1は、液体現像剤を用いて画像形成を行うもので、図1、図2に示すように、画像形成装置1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の各潜像を担持する潜像担持体である感光体2Y、2M、2C、2Kを備えている。各感光体2Y、2M、2C、2Kは、水平、またはほぼ水平にタンデムに配置されている。ここで、各感光体2Y、2M、2C、2Kにおいて2Yはイエローの感光体、2Mはマゼンタの感光体、2Cはシアンの感光体、2Kはブラックの感光体を表す。また、他の部材についても同じように、部材の畚にそれぞれ各色のY、M、C、Kを添えて各色の部材を表す。
【0020】
各感光体2Y、2M、2C、2Kの周囲には、それぞれ、帯電部3Y、3M、3C、3Kが設けられている。また、各帯電部3Y、3M、3C、3Kから、それぞれ、各感光体2Y、2M、2C、2Kの回転方向αに向かって、順に、像書き込み部である露光部4Y、4M、4C、4K、現像部5Y、5M、5C、5K、転写装置である一次転写部6Y、6M、6C、6K、および感光体クリーニング部7Y、7M、7C、7Kが配置されている。各露光部4Y、4M、4C、4Kは、それぞれ各感光体2Y、2M、2C、2Kに潜像を書き込む。また、各現像部5Y、5M、5C、5Kは、それぞれ各感光体2Y、2M、2C、2Kに担持された潜像を液体現像剤で現像してトナー像を形成する。
【0021】
また、画像形成装置1は、転写ベルトであると共に像担持体である無端状の中間転写ベルト(以下、転写ベルト)8を備えている。この転写ベルトは、各感光体2Y、2M、2C、2Kの上方に配置されている。そして、転写ベルト8は各一次転写部6Y、6M、6C、6Kで各感光体2Y、2M、2C、2Kに圧接されている。各一次転写部6Y、6M、6C、6Kは、各感光体2Y、2M、2C、2Kに担持した各色のトナー像をそれぞれ転写ベルト8に色重ねして転写する。これにより、フルカラーのトナー像が転写ベルト8に担持される。
【0022】
転写ベルト8の構成に関しては、後述するが、基材層、弾性層、表層の順次積層体であり、基材層が内周側に位置し、表層が外周側に位置する。転写ベルト8は図示しない転写ベルト駆動モーターの駆動力が伝達される転写ベルト駆動ローラー9および転写ベルトテンションローラー10に張架されている。そして、転写ベルト8はテンションを付与された状態で、回動(移動)方向βに回動するようにされている。なお、各色Y、M、C、Kに対応する感光体等の部材の配置順序は、図1、図2に示す例に限定されることなく、任意に設定することができる。転写ベルト8の転写ベルト駆動ローラー9側には転写装置である二次転写部11が設けられている。
【0023】
図1、図2に示すように、二次転写ローラー12は基材12aと、基材12aの外周面に配置された弾性部材からなる弾性層12bとを有しているが、弾性層12bは基材12aの全周には設けられていない。すなわち、弾性層12bの二次転写ローラー円周には、軸方向に凹部17を有する。その場合、弾性層12bの二次転写ローラー円周方向の長さは画像形成装置に使用される転写材15の転写材移動方向のサイズが最大サイズである転写材15の方向のサイズより長くなるように設定されている。二次転写ローラー12は導電性の基材の表面には、転写ベルトとの当接部である円弧状の外周面に巻きかけられたゴムシートを有している。このゴムシートにより二次転写ローラー12の円弧部の外周面に抵抗層が形成されている。ゴムシートは基材層、弾性層及び表層の三層構造を有する。基材層は厚さ薬80〜90μmであり、例えばポリイミド樹脂を用いて形成される。弾性層は、厚さ薬0.5〜5mmであり、例えばウレタンゴムを用いて形成される。また、表層は厚さ薬5〜25μmであり、例えば弗素ゴムを用いて形成されている。ゴムシートの体積抵抗率は1×106 〜1011Ω・cm程度である。
【0024】
凹部17内には、転写材把持部材であるグリッパー18、グリッパー18が着座する転写材把持部材受け部材であるグリッパー支持部19、及び転写材剥離部材である剥離爪20が配設されており、図示しないグリッパー制御カムおよび剥離爪制御カムによって転写材の把持およびリリースの運動が制御される。
【0025】
二次転写ローラー12は、図示しないスプリング等の付勢手段の付勢力により弾性層12bが転写ベルト8を介して転写ベルト駆動ローラー9に圧接されている。これにより、転写ベルト8と二次転写ローラー12の弾性層12bとの間に圧接ニップが形成される。この圧接ニップの状態は、図3(a)におけるW1 で示される圧接ニップ11aのみの状態に相当する。
【0026】
また、転写材15を二次転写ニップ11cの方へ給送するゲートローラー16を有する。このゲートローラー16は転写材15を二次転写ニップ11cの方向ζへ給送する。そして、画像形成動作時に、二次転写ローラー12は転写ベルト8の移動方向βの移動時に回転方向γに回転するとともに転写バイアスが印加されることより、二次転写ニップ11cで、転写ベルト8に転写されたトナー像を、ゲートローラー16から給送される転写材15に転写する。
【0027】
このように構成された二次転写部11における転写のメカニズムは、次のように想定される。すなわち、圧接ニップ11aでは圧接荷重により転写ベルト8の弾性層が変形することで、転写ベルト8の表面が転写材15の表面の凹凸に追従する。これにより、転写ベルト8に担持されたトナー像と転写材15との密着性が高くなる。そして、トナー像と転写材15との密着性が高くなった状態で、圧接ニップ11aにおいて二次転写バイアスにより電界が形成されることで、転写ベルト8に担持されたトナー像が凹凸を有する転写材15の表面に効果的に転写される。
【0028】
また、図2に示される第2例においては、張架ローラー13は、転写ベルト駆動ローラー9より転写ベルト8の移動方向β側に配置される。そして、図3に示されるように、圧接ニップ11aを通過した転写ベルト8が張架ローラー13に巻き掛けられて二次転写ローラー12側にガイドされる。そして、圧接ニップ11aを通過した転写ベルト8が二次転写ローラー12の弾性層12bに接触し、巻き掛けられる。これにより、転写ベルト8と二次転写ローラー12の弾性層12bとの間に接触ニップ11bが形成される。この接触ニップ11bは圧接ニップ11aの終了端(転写ベルト移動方向βにおける後側の圧接ニップ11aの端)に連続して形成される。つまり、接触ニップ11bは、転写ベルト駆動ローラー9と接触していない領域の転写ベルト8と二次転写ローラー12との接触により接触ニップとして形成される。圧接ニップ11aと接触ニップ11bとにより、転写ベルト8に形成されたトナー像が転写紙等の転写材15に二次転写されるための転写ニップ部である二次転写ニップ11cが構成される。
【0029】
二次転写ニップ11cにおいて、圧接ニップ11aを通過する転写材15は、転写ベルト駆動ローラー9と二次転写ローラー12の弾性層12bとの間に転写ベルト8と共に挟圧される。また、接触ニップ11bを通過する転写材15は、転写ベルト駆動ローラー9から離間した転写ベルト8と二次転写ローラー12の弾性層12bとの間に挟圧される。接触ニップ11bを通過した転写材15は転写ベルト8から離間して二次転写ローラー12の弾性層12bに巻かれて移動し、最後に弾性層12bから離間する。
【0030】
この図2、図3に示す第2例の二次転写部11では、圧接ニップ11aに続いて接触ニップ11bが形成されることで、二次転写ニップ11cが転写ロングニップとされる。この接触ニップ11bでは、図1に示される転写装置に比して、転写効率がより良好になる。
【0031】
二次転写部11でトナー像が転写された転写材15は、図示しない公知の定着部に搬送される。そして、転写材15に転写されたトナー像が定着部により加熱加圧されて定着される。トナー像が定着された転写材15は図示しない排転写材トレイに収容される。
【0032】
次に、図1、図2に示される画像形成装置における転写ベルト8について説明する。
図4は、本発明の一実施形態の転写ベルト8を示す。転写ベルト8の全体形状は略円筒状のシームレスベルトであり、断面は、図5に示すように、ベース層23、弾性層25および表層27を順次積層した3層の積層体構造としている。
【0033】
表層27を構成する表層材料としては、(1)フッ素樹脂1質量部に対してフッ素ゴムを1質量部より多く5質量部以下の割合で含むゴムラテックスと硬化剤の組合せ、または(2)フッ素樹脂とシリコン成分とを含有する水系ウレタン樹脂と硬化剤との組合せが挙げられる。
【0034】
(1)について説明する。ゴムラテックスは、フッ素ゴムと加硫剤、および所望により通常の添加剤、例えば充填材、着色剤、受酸剤、加硫促進剤、共加硫剤または塗料添加剤などを含むフッ素ゴムラテックスに、フッ素樹脂が配合されているものである。
【0035】
フッ素樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン(TFE)およびこれと共重合可能な少なくとも1種の他のエチレン性不飽和単量体との共重合体が挙げられる。
【0036】
フッ素ゴムとしては特に限定されず、例えば、コモノマーとしてフッ化ビニリデンを含むものであるフッ化ビニリデン系共重合体、コモノマーとしてテトラフルオロエチレンを含むものであるテトラフルオロエチレン系共重合体、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ホスファーゼン系ゴム等が挙げられる。加硫剤としては通常使用されるフッ素ゴムの加硫剤を用いることができる。
【0037】
充填材としてはカーボンブラック、ホワイトカーボン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、珪酸カルシウムなどが挙げられる。着色剤としては、無機顔料、複合酸化物顔料などが挙げられる。受酸剤としては酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化亜鉛、炭酸鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイトなどの複塩が挙げられる。通常、受酸剤はその活性度に応じて適宜配合量を調節すればよいが、例えばフッ素ゴム100質量部に対し1〜40質量部配合できる。
【0038】
ゴムラテックスにおいては、フッ素樹脂1質量部に対してフッ素ゴムを1質量部より多く、かつ、5質量部以下、好ましくは1.1質量部〜4質量部の割合で含ませるとよく、これにより、表層における表面自由エネルギーを所望値に調整することができる。フッ素樹脂1質量部に対してフッ素ゴムの含有量が等量以下であると、フッ素樹脂の混合割合が多くなり、表面自由エネルギーが小さくなりすぎる傾向が見られ、また、フッ素樹脂1質量部に対してフッ素ゴムを5質量部より多く含有させると、フッ素樹脂を混合する効果が現れず、表層における表面自由エネルギーが大きくなりすぎる傾向が見られる。
【0039】
本発明においては、例えばダイキン工業(株)製「ダイエルラテックス」を使用して調製するとよい。例えば「ダイエルラテックス GLS−213F」は、上述のフッ素ゴム25質量%、フッ素樹脂25質量%からなり、着色剤を含有するフッ素ゴムラテックスである。また、「ダイエルラテックス GLS−213CR」は、上述のフッ素ゴム25質量%、フッ素樹脂25質量%からなる無着色のフッ素ゴムラテックスである。さらに、「ダイエルラテックス GL−252」は、上述のフッ素ゴム50質量%からなり、着色剤を含有するフッ素ゴムラテックスとして市販されている。本発明においては、各品番のものを適宜混合して、フッ素樹脂とフッ素ゴムとの含有割合を調節するとよい。
【0040】
次に、(2)について説明する。表層27を構成する表層材料として、フッ素樹脂とシリコン成分とを含有する水系ウレタン樹脂と硬化剤からなるものとしてもよく、例えば、日本アチソン(株)製ウレタン塗料「TW805」を使用して調製するとよい。
【0041】
本発明者は、転写効率の向上を図るべく鋭意検討したところ、ベース層、弾性層および表層の少なくとも3層が積層されている転写ベルトにおいて、下記の性状を有することが必要であることを知見した。
(1) 表層27は、乾燥後の厚さが5〜30μm、好ましくは10〜15μmである。表層の厚みが5μm未満であると、弾性層の上に均一に塗工することが難しく、塗布ムラが生じやすくなり、また、連続運転時に表層が磨耗し、膜割れ等の欠陥が生じ、耐久性が低下するので好ましいない。また、30μmを上回ると塗膜を安定した塗工することが困難となり、また、紙への追従性が悪化するため転写効率が悪化したり、また、粗さの大きい紙にたいして埋まりがが悪化するので好ましくない。
(2) 表層単体でのIRHD硬度が60以上、好ましくは70〜80である。表層単体でのIRHD硬度が60未満であると、表層の形状保持性が悪化する。また、タック(粘着性)が増加するため、転写効率が悪化する。また、IRHD硬度の上限値は100である。
(3) 転写ベルト状態で表層側からのナノインデンテーション法で測定した表面硬度であって、前記表層側からの3μm押し込み時硬度が0.1MPa〜2.0MPaである。ナノインデンテーション法による硬度の測定は、微小なダイヤモンド圧子を薄膜に押し込みながらその荷重と押し込み深さ(変位量)の関係を測定し、測定値から硬度を算出する方法であり、μNオーダーの荷重を加えながら、ナノメートルの精度で変位量を測定できるものである。多層ベルトに対する3μm押し込み時硬度は、その表面におけるトナー粒子に対する捕捉しやすさ、また、離れやすさの基準となると考えられる。また、紙などの転写材への埋まり性の基準となると考えられる。
【0042】
本発明者等は、表層側からの3μm押し込み時硬度を検討する中で、0.1MPa〜2.0MPa、好ましくは0.3MPa〜0.5MPaのものとすることにより、紙への埋り率の向上を図ることができることを見いだしたもので、3μm押し込み時硬度が、0.1MPaより低いと、トナーを捕捉する力が大きくなるために、ベルト表面から離れにくくなり、転写効率や埋まりが低下するという問題が生じ、また、2.0MPaより高くなると転写効率と紙への埋り率の両方を同時に向上させることができない。
(4) 転写ベルト状態で表層側からのIRHD硬度が40〜90であること
転写ベルト状態で表層側からのIRHD硬度が40未満であると、ベース層と表層の変形が大きくなり、画像を正確に保持することが難しく、画像ずれが発生しやすくなる。また、90を超えると必要な転写ニップ幅の確保が難しくなったり、転写効率や埋まりが悪化しやすくなる。
【0043】
また、転写装置における二次転写部11が図3に示すごとき巻き掛け構成をとする場合、転写ベルト8におけるベース層の引張弾性率を1000MPa〜8000MPaとすることにより、転写材へのトナー転写性を高めることができると共に、巻き掛けによる逆屈曲でもベース層の伸縮を或る程度許容することで、転写ベルトにおける膜割れを防止することができる。本発明の転写ベルトを用いた場合、90%以上の転写効率が得られると共に、表層の耐久性に優れるものとでき、また、画像ズレのないものとできる。
【0044】
次に、本発明の画像形成方法で使用される液体現像剤について説明する。
【0045】
液体現像剤における樹脂粒子は、少なくともポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の結着樹脂、着色剤等を含むものであり、転相乳化法によって得られるものである。本発明における樹脂粒子は、(1)少なくともポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂と有機溶剤とを含有する混合物を水性媒体中に塩基性化合物の存在下で乳化させ微粒子を形成させる第1工程、次いで、(2)分散安定剤を添加し、更に電解質を順次添加することで微粒子を合一させ、微粒子の凝集体を製造する第2工程、(3)凝集体中に含有される有機溶剤を脱溶剤した後、水性媒体から微粒子の凝集体を分離・洗浄し、乾燥させる第3工程を経て製造される。
【0046】
このようにして得られる樹脂粒子は、キャリアとしてシリコーンオイル中に分散させることにより、液体現像剤とされる。シリコーンオイルとしては、主としてジメチルポリシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサン、ポリメチルハイドロジェンシロキサン、ポリジメチルシクロシロキサン等であり、シクロ構造、すなわち環状構造でない直鎖構造のシロキサンとしては、片末端、両末端、側鎖、または末端と側鎖の両方を官能基で修飾したものが例示でき、官能基としては、モノアミン、ジアミン、エポキシ、脂環式エポキシ、カルビノール、カルボキシル、アルキル、アラルキル、メタクリル、ビニル、ヒドロキシルが例示され、例えば片末端型モノアミン変性ジメチルシロキサン等が例示される。また、メチルだけのポリシロキサンが経時安定性があり好ましいが、帯電付与、分散性付与の観点から少量のポリフェニルメチルシロキサン、ポリメチルハイドロジェンシロキサンとの混合型としてもよい。
【0047】
液体現像剤としては、樹脂粒子の濃度が10質量%〜40質量%となるようにシリコーンオイル中に、樹脂粒子の50%体積粒径Dv(50)〔μm〕が1μm〜3μmとなるように分散されるとよい。体積平均粒径が小さくなると解像性や階調性が向上するだけでなく、印刷画像を形成するトナー層の厚みが薄くなり、ページあたりのトナー消費量が減少するという効果も発現され、好ましい。また、粘度としては25℃での粘度がせん断速度10〔1/s〕のときの粘度が50〜500mPa・sのものとされるとよい。粘度は、東機産業(株)製「Tv−22形」で測定されるものである。
【0048】
また、樹脂粒子の形状は、平均円形度が0.98〜0.99の球形状とすることで、本発明において、中間転写ベルトが樹脂粒子を包み込みやすくなり、画像ズレを防止することができる。
【0049】
本発明の画像形成方法および画像形成装置は、粒径が1μm〜3μmの小粒径の液体現像剤の使用に適するものであるが、以下に液体現像剤の製造例、および転写ベルトの製造例を実施例として示す。なお、温度が記載されていない工程については、室温(25℃)で行った。
【実施例】
【0050】
(実施例1)
〔分散液調整工程〕
(着色剤マスターの調製)
ネオペンチルグリコール:36モル部、エチレングリコール:36モル部、1,4−シクロヘキサンジオール:48モル部、テレフタル酸ジメチル:100モル部、無水フタル酸:20モル部の混合物1000gを、還流冷却器、蒸留塔、水分離装置、窒素ガス導入管、温度計、攪拌装置を設置した2リットル4つ口フラスコに入れると共に、エステル化縮合触媒(チタンテトラブトキシド(TTB)):1gを加えて加熱した。
【0051】
180℃において、生成する水、メタノールを蒸留塔より流出させながら、エステル化反応を進行させた。蒸留塔から水、メタノールが流出しなくなった時点で、2リットル4つ口フラスコから蒸留塔を取り外すと共に、真空ポンプに接続した。系内の圧力を2.0kPa以下に減圧した状態で、温度を200℃とし、攪拌機回転数:150rpmで攪拌することにより、縮合反応で発生した遊離ジオールを系外に排出し、その結果得られた反応物をポリエステル(R1)とした。ポリエステル(R1)の軟化点Tfは、108℃、ガラス転移点Tgは、52℃、重量平均分子量Mwは7,000、酸価は10.0KOHmg/gであった。
【0052】
ポリエステル樹脂(R1)と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製「ピグメントブルー15:3)との混合物(質量比、R1:シアン系顔料=50:50)を用意した。これら各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。次に、この原料(混合物)を2軸混練押出機を用いて混練し、押出口から押し出された混練物を冷却し、次いでハンマーミルを用いて粗粉砕し、平均粒径:1.0mmの粉末とし、着色剤マスターを得た。
【0053】
(樹脂液調製処理)
得られた着色剤マスター:165質量部にメチルエチルケトン:142.5質量部、ポリエステル樹脂(R1):192.5質量部および乳化剤としてネオゲンSC−F(第一工業製薬社製):1.1質量部を加えて、高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)で混合し、樹脂液(固形分含有量55%)を作製した。なお、この溶液中で顔料は均一に微分散していた。
【0054】
(分散質形成処理)
次いで、容器内の樹脂液に1規定アンモニア水:26.6質量部を加えて、高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)により、攪拌翼の翼先端速度を7.5m/sとして十分に攪拌し、フラスコ内の溶液の温度を25℃に調整し、その後攪拌翼の翼先端速度を14.7m/sとして攪拌を行いつつ、180質量部の脱イオン水を滴下して転相乳化を起こした。攪拌を継続しながら、上記樹脂液に対して、さらに脱イオン水:70質量部を加えた。これにより、樹脂材料を含む分散質が分散した水系分散液を得た。
【0055】
〔合一工程〕
次に、水系分散液をマックスブレンド翼を有した攪拌容器に移し、攪拌翼の翼先端速度を1.0m/sとし攪拌を行いながら、水系分散液を温度を25℃とした。
【0056】
次に、同様の温度、攪拌条件を保ちつつ、1.5%の硫酸ナトリウム水溶液:100質量部を滴下し、分散質の合一を行い、合一粒子の形成を行った。滴下後、合一粒子のトナー粒子についての50%体積粒径Dv(50)〔μm〕が2.0μmに成長するまで攪拌を続けた。合一粒子のDv(50)が2.0μmになったら、脱イオン水:200質量部を添加し、合一を終了した。なお、得られた粒子の50%体積粒径Dv(50)〔μm〕は、マイクロトラック3000粒子解析装置(日機装社製)にて測定をおこなった。
【0057】
〔脱溶剤工程〕
得られた合一粒子分散液に対して、減圧下で固形分含有量が23質量%となるまで有機溶剤の留去を行い、樹脂微粒子のスラリーを得た。
【0058】
〔洗浄工程〕
次に、スラリーに対し、固液分離を行い、さらに水中への再分散(リスラリー)、固液分離を繰り返し行うことにより洗浄処理を施した。その後、吸引ろ過法により、着色樹脂微粒子のウェットケーキ(樹脂微粒子ケーキ)を得た。なお、ウェットケーキの含水率は35質量%であった。
【0059】
〔乾燥工程〕
その後、真空乾燥機を用いて、得られたウェットケーキを乾燥することにより、トナー粒子を得た。また、トナー粒子についての50%体積粒径Dv(50)〔μm〕は、1.9μmであった。なお、得られた粒子の50%体積粒径Dv(50)〔μm〕、50%個数粒径Dn(50)〔μm〕は、それぞれ、上述したように、マイクロトラック3000粒子解析装置(日機装社製)にて測定した。
【0060】
〔分散工程〕
上記の方法で得られたトナー粒子:40質量部、キャリアとして信越化学社製「シリコーンオイル KF−96(50cs)」160質量部をセラミック製ポット(内容積600ml)に入れ、さらにジルコニアボール(ボール直径:3mm)を体積充填率30%になるように入れて、卓上ポットミルにて回転速度220rpmで8時間分散させ、液体現像剤を得た。得られた液体現像剤中におけるトナー粒子のDv(50)は、1.8μm、また、平均円形度は0.983であった。
【0061】
(実施例2)
ポリエステル(R1)を用いて、実施例1における合一工程において、1.5%硫酸ナトリウムの添加量を、110質量部に変更してDv(50)が2.8μmまで合一させ、また、同様にして液体現像剤としたところ、液体現像剤中における樹脂粒子は、最終的にDv(50)が2.6μmであり、また、平均円形度は0.981であった。
【0062】
(比較例1)
ポリエステル(R1)を用いて、実施例1における合一工程において、3.0%硫酸ナトリウムとし、その添加量を140質量部に変更してDv(50)が4.7μmまで合一させ、また、同様にして液体現像剤としたところ、液体現像剤中における樹脂粒子は、最終的にDv(50)が4.2μmであり、また、平均円形度は0.983であった。
【0063】
(比較例2)
ポリエステル(R1)を用いて、実施例1における合一工程において、1.5%硫酸ナトリウムとし、その添加量を50質量部に変更してDv(50)が1.0μmまで合一させ、また、同様にして液体現像剤としたところ、液体現像剤中における樹脂粒子は、最終的にDv(50)が0.8μmであり、また、平均円形度は0.985であった。
【0064】
(実施例3)
(着色剤マスターの調製)
まず、エポキシ樹脂(商品名:エピコート1004、分子量Mn:1480、ガラス転移点Tg:53℃)と、着色剤としてシアン系顔料(大日精化社製「ピグメントブルー15:3)との混合物(質量比、R1:シアン系顔料=85:15)を用意した。これら各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。次に、この原料(混合物)を2軸混練押出機を用いて混練し、押出口から押し出された混練物を冷却し、次いでハンマーミルを用いて粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の粉末とし、着色剤マスターを得た。
【0065】
〔分散工程〕
上記の方法で得られたトナー粒子:40質量部、キャリアとして信越化学社製「シリコーンオイル KF−96(50cs)」155質量部、分散剤ソルスパース13940を5質量部とをセラミック製ポット(内容積600ml)に入れ、さらにジルコニアボール(ボール直径:10mm)を体積充填率30%になるように入れて、卓上ポットミルにて回転速度220rpmで96時間分散させ、液体現像剤を得た。得られた液体現像剤中におけるトナー粒子のDv(50)は、2.2μm、また、平均円形度は0.971であった。
【0066】
(実施例4)
実施例3における分散時間を168時間とした以外は同様にして、液体現像剤を得た。得られた液体現像剤中におけるトナー粒子のDv(50)は、1.4μm、また、平均円形度は0.973であった。
【0067】
なお、上述のトナー特性の評価方法について記載しておく。
【0068】
1. トナー軟化点の測定方法
定負荷力押出型細管式レオメータ(島津製作所製「フローテスタCFD−500D)を使用して、測定試料:1gを圧縮成型し、ダイ孔径:1mm、ダイ長さ:1mm、押出圧力:1.96MPaによって、試料の1/2の量が流出した時点の温度を求める1/2法によって測定。
【0069】
2. ガラス転移点(Tg)の測定方法
示差走査熱量測定装置(セイコーインスツルメンツ社製 EXSTAR6000DSC−220C)を使用して、ガラス転移点を測定
測定試料の調製:試料10mgをアルミニウム製試料容器に封入して測定試料を調製。
測定条件:測定開始温度20℃、測定終了温度200℃、昇温速度10℃/minで昇温した後、降温速度:10℃/minで20℃まで降温した。その後、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、この際のガラス転移点に相当する吸熱が生じた位置、すなわち吸熱カーブのショルダー位置の温度とする。
【0070】
3. 分子量分布の測定
結着樹脂5mgを5gのテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、THF不溶分および夾雑物質を除去するため、ポアサイズ0.2μmのメンブレフィルターを通して、GPC用試料調製した。こうして調製した試料(THF可溶分)を、高速液体クロマトグラフィーによって、GPCカラムを用いて、下記条件にて測定した。
カラム: GPCカラム(昭和電工製Shodex(GPC KF806M、KF802.5)
カラム温度: 30℃
溶媒: テトラヒドロフラン
流速: 1.0ml/min
検出器: UV検出器(検出波長254nm)
標準試料:単分散ポリスチレン標準試料(重量平均分子量580から390万)。
【0071】
4.トナーの平均円形度の測定
フロー式粒子像分析装置(シスメックス社製 FPIA−2100)を用いて、水分散系で行い、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長に対する測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長の比を円形度として表した。
【0072】
5.トナーの酸価の測定
200mlの栓付き三角フラスコに樹脂2gを秤量し、メチルエチルケトン30mlで溶解させる。この溶液に、滴定指示薬として1質量%フェノールフタレン溶液を加え、1/50規定水酸化カリウム−イスプーピルアルコール溶液からなるアルカリ標準液で滴定し、アルカリ標準液の消費量から下記の式(1)によって酸価を求めた。
酸価=N×F×(A−B)×M/C ・・・・(1)
N:アルカリ標準液の規定度
F:アルカリ標準液の力価
A:試験に要したアルカリ標準液(ml)
B:空試験に要したアルカリ標準液(ml)
M:水酸化カリウムの分子量(=56.1)
C:試料質量(g)
以上で作製した液体現像剤を使用する画像形成方法として、図1に示す画像形成装置を使用する場合について説明する。
【0073】
(図1の画像形成装置への適用例)
(本発明における転写ベルトの作製例)
(1) ベース層の作製
・ トリメリット酸とジフエニルメタンジイソシアネートから公知の方法で合成したポリアミドイミドワニス ・・・ 100質量部
・ カーボンブラック(ファーネスブラック) ・・・ 7.0質量部
・ 分散剤 ・・・ 0.1質量部
をビーズミルにて均一に混合し、ベース層材料を作成した。
【0074】
金型として外径200mmφのアルミニウム製円柱の外面にセラミックスをコーティングしたものを使用し、この円柱状金型を回転させながら、ノズルを金型外面に接触させた。この状態でノズルから上記ベース層材料を定量供給しながら、ノズルを金型の回転軸方向に一定速度で移動させて前記材料の塗布を行った。このとき、ローター回転数6rpm、(V/R)=1.17(mm/回転)(式中、Vはノズルの移動速度(mm/秒)、Rは金型の回転数(回転/秒)を示す。)の条件で塗布した。ノズルには、内径2mm、外径4mmのPTFE製チューブを使用した。ノズル31の先端は45度に切り落とし、切り落とした面の中央部が金型33の外面に接しながら金型の軸方向に移動するようにノズル位置を設定した。次いで、金型を回転させながら300℃まで段階的に加熱し、冷却することにより材料を硬化させ、厚さ90μmのベース層を形成した。その引張弾性率は2300MPaであった。
【0075】
(2) 弾性層の作製
下記の表1に弾性層材料を示す。表1に示した硬化剤に含まれる成分を表1の割合でまず混合し、得られた硬化剤と主剤を表1に記載の割合で混合して、弾性層材料を作成した。かかる材料をベース層作製時と同じ装置を用いてベース層上に塗工し、弾性層を形成した。ついで、ベース層上に弾性層材料を塗工したベルトを150℃で1時間加熱し、弾性層を硬化させた。弾性層の厚さは250μm、JIS A硬度 30であった。
【0076】
【表1】

【0077】
・ 主剤;ポリプロピレングリコールとトリレンジイソシアネートから得られるNCO含有量6.9%の末端プレポリマー(住化バイエルウレタン株式会社製)
・ Acclaim4220;ポリプロピレングリコール(住化バイエルウレタン株式会社製)
・ エタキュアー300;ジメチルチオトルエンジアミン(アルベマール社製)
・ 制電剤;三光化学工業株式会社製「サンコノールPEO−20R」(リチウムービス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドをポリオールに溶解した水溶液)
・ 消泡剤;共栄社化学株式会社製「フローレンAC326F」。
【0078】
(3) 表層の作製
次に、上記で得たベース層上の弾性層上に、下記の組成の表層を形成した。
【0079】
・ ダイキン工業(株)製「ダイエルラテックス GLS−213CR」(フッ素ゴム25質量%、フッ素樹脂25質量%からなる無着色のフッ素ゴムラテックス)
・・・ 60質量%
・ ダイキン工業(株)製「ダイエルラテックス GL−252CR」(フッ素ゴム50質量%からなる無着色のフッ素ゴムラテックス)・・・ 40質量%
・ 硬化剤(ダイキン工業(株)製「ダイエルラテックス GL−200」)
・・・ 1.5質量%(外掛け)
を混合し、フッ素樹脂1質量部に対してフッ素ゴムを2.33質量部の割合で含有する表層材料を得た。得られた表層材料を静電塗装ガンにて上記で得た弾性層上に塗装した。乾燥後に150℃のオーブン内で60分間硬化させ、膜厚14.2μmの表層を形成し、転写ベルトを作製した。なお、表層の膜厚はダイヤルゲージを用いて測定した。また、表層単独の硬度(IRHD)は78であった。
【0080】
また、上述したナノインデンテーション法により、転写ベルトの表層側からの3μm押し込み時硬度は0.68MPa、また、マイクロ硬度(IRHD)は61であった。
【0081】
また、転写ベルトの表層側の表面抵抗率(logΩ/□、以下同じ)は、10.0であり、ベース層側の表面抵抗率(logΩ/□、以下同じ)は、10.0であり、また、体積抵抗率(logΩ・cm、以下同じ)は、8.5であった。
【0082】
(比較用である転写ベルトの作製例)
ダイキン工業(株)製「ダイエルラテックス GLS−213F」(フッ素ゴム25質量%、フッ素樹脂25質量%からなり、着色剤を含有するフッ素ゴムラテックス)を表層材料とし、静電塗装ガンにて上記で得た弾性層上に塗装した。乾燥後に150℃のオーブン内で60分間硬化させ、膜厚10.0μmの表層を形成し、比較用の転写ベルトを作製した。なお、表層の膜厚はダイヤルゲージを用いて測定した。また、表層単独の硬度(IRHD)は98であった。
【0083】
また、ナノインデンテーション法により、転写ベルトの表層側からの3μm押し込み時硬度は2.6MPa、また、マイクロ硬度(IRHD)は64であった。また、転写ベルトの表層側の表面抵抗率は10.0であり、ベース層側の表面抵抗率は10.0であり、また、体積抵抗率は8.5であった。
【0084】
実施例および比較例で作製した多層ベルトの各物性は以下のように測定したものである。
【0085】
(1) 転写ベルトの表面硬度: 微小硬さ測定装置(ナノインデンター)を使用して測定するもので、この装置は、図6に示すように、トランデューサーaと先端形状が正三角形のダイヤモンド Berkovich圧子bを有し、多層ベルト表面にmgfオーダーの荷重を加えることにより、nmの精度で変位量(押し込み深さ)を測定するものである。市販のものとしては、エリオニクス社製「ENT−2100」(三角錐圧子、稜間度115度)を使用できる。この装置は、測定面からの反力(mgf/μm2 )を測定するもので、本発明においては、3μm押し込み時硬度HM(マルテンス硬度)、10mgf荷重時の硬度HM(マルテンス硬度)を測定する。後述する各例においては5点測定の平均値である。また、このときの標準偏差は測定結果に対して1桁以上小さい値であり、測定の有意性を示すものである。なお、1mgf/μm2 =10MPa、1mgf=10μNである。
【0086】
(2) 引張弾性率;JISK7113に従って測定。表層、ベース層の引張弾性率は、実施例および比較例それぞれの材料をシリコンゴム製の型上に流し込み、室温乾燥後、実施例および比較例それぞれの硬化条件と同一の条件で硬化させて作製したシートを用いて測定した。10mm幅のチャック間50mm応力曲線の線形部分から測定。
【0087】
(3) 表面抵抗率;株式会社ダイヤインスツルメンツ製「ハイレスタUPMCP−HT450型」を用い、URSプローブにて印加電圧250V、測定時間10秒の条件で測定した。測定環境は温度23℃、相対湿度55%である。
【0088】
(4) 体積抵抗率;株式会社ダイヤインスツルメンツ製「ハイレスタUPMCP−HT450型」を用い、URSプローブにて、印加電圧250V、測定時間10秒の条件で測定した。測定環境は温度23℃、相対湿度55%である。
【0089】
(5) 弾性層のJIS A硬度;JIS K6253(1993)に従って測定し、タイプAを用いた。
【0090】
(6) 転写ベルト、また表層のIRHD硬度: Wallace硬度計{針形状は球状(φ0.395mm)}で押し込み深さを硬度に変換表を使用して変換するもので、得られる硬度は無次元、押し圧は15.6gfであり、例えば硬度50は160μmの押し込み深さに相当する。
【0091】
(7) 引張強度;引張弾性率の測定(JISK7113)によって得られた応力の最大値である。
【0092】
(8) 延び;引張弾性率の測定(JISK7113)によって破断が発生する延びである。
【0093】
また、下記で得られる転写ベルトを例として、ナノインデンテーション法による表面硬度の測定例を示す。
【0094】
(表面硬度の測定方法を説明するための転写ベルトの作製例)
(弾性層の形成)
上記の本発明における転写ベルトと同様のベース層上に、前記の表1に示した硬化剤に含まれる成分を表1の割合でまず混合し、得られた硬化剤と主剤を表1に記載の割合で混合して、弾性層材料を作成し、ベース層作製時と同じ装置を用いて同様に塗工し、弾性層を形成した。ついで、ベース層上に弾性層材料を塗工したベルトを150℃で1時間加熱し、弾性層を硬化させた。弾性層の厚さは200μm、JIS A硬度30であった。
【0095】
(表層の形成)
ウレタン樹脂をバインダーとする水系ウレタン塗料であり、フッ素樹脂粉末(PTFE)を1質量%以下、シリコン樹脂を5〜20質量%の割合でそれぞれ含有する塗料(日本アチソン株式会社製ウレタン塗料「TW805」)を主剤とし、これに硬化剤(日本アチソン株式会社製「WHI」)を主剤:硬化剤=95:5(質量比)の割合で混合し、表層材料を得た。得られた表層材料を静電塗装ガンにて上述の弾性層上に塗装した。乾燥後に120℃のオーブン内で10分間硬化させ、膜厚10.9μmの表層を形成し、転写ベルトを作製した。なお、表層の膜厚はダイヤルゲージを用いて測定した。なお、また、表層単独の硬度(IRHD)は62であった。
【0096】
得られた転写ベルトを、図6に示すナノインデンター(エリオニクス社製「ENT−2100」)に転写ベルトを設定し、荷重変化が一定となるように荷重速度:15mgf/secとした試験荷重:150mgfとして、分割数:500step、ステップインターバル:20msecで、また、温度32℃で測定した。
【0097】
図7に、得られた変位vs荷重の関係を示す。図7は、(転写ベルト表面に圧子を押圧する荷重時)→(圧子を除荷する除荷時)での荷重(mgf)と変位(μm)との関係を示すものである。この図から、荷重が10mgf時での変位Aは、2μmであることがわかる。
【0098】
また、硬度(mgf/μm2 、HM、マルテンス硬さ)は、
HM=P/A
(Pは圧子に加えられた(最大)荷重であり、Aはそのときの圧子と試料間の接触射影面積である。)
で求められるものであるが、この装置を使用して、図8に示すごとき、変位(μm)vs硬度(mgf/μm2 )曲線を得ることができる。図8から、変位A(2μm)に相当する硬度(B)が得られ、10mgf(100μN)荷重時のHM硬度は、0.48MPaであることがわかる。また、図9に、図8における変位(3μm)に相当する硬度(A)を示す。3μm押し込み時硬度は、0.46MPaであることがわかる。
【0099】
また、マイクロ硬度(IRHD)は60であった。また、転写ベルトの表層側の表面抵抗率は10.0であり、ベース層側の表面抵抗率は10.0であり、また、体積抵抗率は8.5であった。
【0100】
(図1の画像形成装置への適用例)
上記で得た本発明における転写ベルトについて、図1の画像形成装置であって、実施例1〜実施例4、比較例1〜比較例3で得た各トナーを装填した画像形成装置について、二次転写部11での巻き掛けなしとして使用した。
【0101】
なお、図1における画像形成装置において、二次転写ローラー12を転写ベルト8を介して転写ベルト駆動ローラー9に60kgfで当接し、圧接ニップ11aとして所望のニップ幅5mmとした。また、転写ベルト駆動ローラー9は直径65mmであり、また、二次転写ローラー12は直径190mmとして、実験用のタンデム型の画像形成装置を組立て、下記の点について評価した。その結果を下記表に示す。
【0102】
(転写効率測定)
転写効率は、転写前の転写ベルト上の画像濃度をOD1、転写後のベルト上に残留したトナーの濃度をOD2とした場合、{(OD1−OD2)/OD1}×100(%)として計算した。そして、転写バイアスを変更しながら効率を測定し、効率が最大となる時の転写バイアスでの結果を採用した。また、転写材としては塗工紙(王子製紙(株)製「ウルトラサテン金藤127.9g)および非塗工紙(富士ゼロックス(株)製J紙)の2種類を用いた。2種類の転写材について評価したのは、両者の表面粗さおよび塗工層の有無の違いにより転写の挙動が相違するためである。転写効率はいずれも90%以上であることが必要である。
【0103】
(画像ずれの判定方法)
図10(a)に示す画像ズレ評価パターンを使用して評価した。画像ズレは、図10(a)に示すように転写材の移動方向(図にあっては左右方向)と直交方向に伸びる2ドットの横線画像について判定する。その場合、1ドットは1200DPI≒21μm×21μmである。そして、この横線画像を非塗工紙に転写した。(b)のごとく、擦ったような擦り痕がない場合は画像ズレがないとし、(c)のごとく、擦ったような擦り痕で、画像後端側に尾を引くズレが確認される場合、画像ズレがあると判定した。
【0104】
【表2】

【0105】
【表3】

【0106】
本発明における実施例1〜実施例4の液体現像剤を装填した図1に示す画像形成装置において、中間転写ベルトとして、本発明の範囲である転写ベルトの表層側からの3μm押し込み時硬度は0.68MPaのものを使用すると、非塗工紙にあっても90%以上の転写効率が得られることがわかる。また、比較例1〜比較例3の液体現像剤を装填した画像形成装置において、中間転写ベルトとして、本発明の範囲である転写ベルトの表層側からの3μm押し込み時硬度は0.68MPaのものを使用しても、転写効率が90%に満たないものとなることがわかる。
【0107】
次に、上記で得た比較用の転写ベルトを、図1の画像形成装置であって、実施例1〜実施例4、比較例1〜比較例3で得た各トナーを装填した画像形成装置に使用して、二次転写部11での巻き掛けなしとして同様に使用した。
同様に評価した結果を下記表に示す。
【0108】
【表4】

【0109】
【表5】

【0110】
本発明における実施例1〜実施例4の液体現像剤を装填した画像形成装置において、中間転写ベルトとして、本発明の範囲外である転写ベルトの表層側からの3μm押し込み時硬度が2.6MPaのものを使用すると、液体現像剤として本発明の範囲のものであっても、転写効率が90に満たないものとなることがわかる。
【0111】
(図2の画像形成装置への適用例)
次に、図2に示す画像形成装置を使用する場合について、上記の実施例1〜実施例4、比較例1〜比較例3で得た各液体現像剤を使用する画像形成装置において、下記で作製する転写ベルト、および上述の比較用の転写ベルトをそれぞれ使用する場合について説明する。
【0112】
なお、図2の画像形成装置においては、二次転写ローラー12を転写ベルト8を介して転写ベルト駆動ローラー9に60kgfで当接させ、電界ニップ幅W1 =4mm、巻き掛けップ幅W2 =1.9mm(巻き掛けニップ幅<電界ニップ幅×0.5)とした。また、転写ベルト駆動ローラー9は直径65mmであり、また、二次転写ローラー12は直径190mmとして、実験用のタンデム型の画像形成装置を組立て、下記の点について評価した。
(本発明における転写ベルトの作製例)
図1に示す画像形成装置で使用した転写ベルトの作製例と同様にベース層、弾性層を作製した後、表層として、
・ ダイキン工業(株)製「ダイエルラテックス GLS−213CR」(フッ素ゴム25質量%、フッ素樹脂25質量%からなる無着色のフッ素ゴムラテックス)
・・・ 60質量%
・ ダイキン工業(株)製「ダイエルラテックス GL−252CR」(フッ素ゴム50質量%からなる無着色のフッ素ゴムラテックス)・・・ 40質量%
・ 硬化剤(ダイキン工業(株)製「ダイエルラテックス GL−200」)
・・・ 5質量%(外掛け)
を混合し、フッ素樹脂1質量部に対してフッ素ゴムを2.33質量部の割合で含有する表層材料を得た。得られた表層材料を静電塗装ガンにて上記で得た弾性層上に塗装した。乾燥後に150℃のオーブン内で60分間硬化させ、膜厚14.4μmの表層を形成し、転写ベルトを作製した。なお、表層の膜厚はダイヤルゲージを用いて測定した。また、表層単独の硬度(IRHD)は86であった。
【0113】
また、上述したナノインデンテーション法により、転写ベルトの表層側からの3μm押し込み時硬度は0.88MPa、また、マイクロ硬度(IRHD)は64であった。また、転写ベルトの表層側の表面抵抗率は10.0であり、ベース層側の表面抵抗率は10.0であり、また、体積抵抗率は8.5であった。
【0114】
同様に、転写効率、画像ズレについて評価した。結果を下記に示す。
【0115】
【表6】

【0116】
【表7】

【0117】
本発明における実施例1〜実施例4の液体現像剤を装填した図2に示す画像形成装置において、中間転写ベルトとして、本発明の範囲である転写ベルトの表層側からの3μm押し込み時硬度は0.88MPaのものを使用すると、非塗工紙にあっても90%以上の転写効率が得られることがわかる。また、比較例1〜比較例3の液体現像剤を装填した画像形成装置において、中間転写ベルトとして、本発明の範囲である転写ベルトの表層側からの3μm押し込み時硬度は0.68MPaのものを使用しても、転写効率が90%に満たないものとなることがわかる。
【0118】
次に、上記の比較用の転写ベルトについて、図2の画像形成装置であって、実施例1〜実施例4、比較例1〜比較例3で得た各液体現像剤を装填した画像形成装置において、二次転写部11での巻き掛けありとして使用した。
【0119】
なお、図2における画像形成装置を、同様に実験用のタンデム型の画像形成装置として組立て、同様に評価した。その結果を下記表に示す。
【0120】
【表8】

【0121】
【表9】

【0122】
本発明における実施例1〜実施例4の液体現像剤を装填した図2における画像形成装置において、中間転写ベルトとして、本発明の範囲外である転写ベルトの表層側からの3μm押し込み時硬度が2.6MPaのものを使用すると、液体現像剤として本発明の範囲のものであっても、転写効率が90%を超えても画像ズレが生じるか、また、転写効率が90%に満たないものとなることがわかる。
【符号の説明】
【0123】
1…画像形成装置、2Y、2M、2C、2K…感光体、5Y、5M、5C、5K…現像部、6Y、6M、6C、6K…一次転写部、8…中間転写ベルト、9…中間転写ベルト駆動ローラー、9a…中間転写ベルト駆動ローラーの中心、11…二次転写部(転写装置)、11a…圧接ニップ、11b…接触ニップ、11c…二次転写ニップ、12…二次転写ローラー、12a…基材、12b…弾性層、12c…二次転写ローラーの中心、13…張架ローラー、15…転写材、17…凹部、18…グリッパー、W1 …圧接ニップ幅、W2 …接触ニップ幅、R1 …二次転写ローラーの半径、R2 …中間転写ベルト駆動ローラー(バックアップローラー)の半径、23…ベース層、25…弾性層、27…表層、29…外周面、30…内周面、a…トランデューサー、b… Berkovich圧子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体に潜像を形成し、
50℃以上のガラス転移点を有し、50%体積粒径Dv(50)〔μm〕が1μm以上で3μm以下の樹脂粒子とキャリア液とを含む液体現像剤で前記潜像を現像し、
ベース層、弾性層および表層の少なくとも3層を有し、前記表層の側からのナノインデンターで測定した時の前記表層の側からの3μm押し込み硬度が0.1MPa以上2.0MPa以下である転写ベルトに前記潜像が現像された像を転写し、
前記転写ベルトに転写された像を、該転写ベルトと転写材を介して転写ローラーとローラーとの圧接により形成される転写ニップ部により前記転写材に転写することを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
前記樹脂粒子の平均円形度が、0.98以上0.99以下であり、
前記転写ニップ部は、前記転写ローラーと前記ローラーとの圧接により形成される圧接ニップと、前記転写ベルトの移動方向に、前記ローラーに巻き掛けられた前記転写ベルトを前記転写ローラーに巻き掛けて、前記ローラーと接触していない領域で前記転写ベルトと前記転写ローラーと接触させて形成される接触ニップとを含む請求項1記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記転写ベルトの前記表層は、厚さが5μm以上30μm以下で、IRHD硬度が60以上100以下であり、前記転写ベルトの前記表層の側から測定した時の前記転写ベルトのIRHD硬度は40以上90以下である請求項1記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記キャリア液は、シリコーンオイルである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項5】
前記樹脂粒子は、ポリエステル樹脂、またはエポキシ樹脂を含む請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項6】
潜像が形成される潜像担持体と、
前記潜像担持体に前記潜像を形成する潜像形成部と、
前記潜像形成部で形成された前記潜像を、50℃以上のガラス転移点を有し、50%体積粒径Dv(50)〔μm〕が1μm以上3μm以下の樹脂粒子とキャリア液とを含む液体現像剤で現像する現像部と、
ベース層、弾性層および表層の少なくとも3層を有し、前記表層の側からのナノインデンターで測定した時の、前記表層の側からの3μm押し込み硬度が0.1MPa以上2.0MPa以下であり、前記現像部で現像された像が転写される転写ベルトと、
前記転写ベルトを張架するローラーと、
前記転写ベルトを介して前記ローラーと当接して転写ニップ部を形成し、前記転写ニップ部で転写材に前記転写ベルトに転写された像を転写する転写ローラと、
前記像が転写された転写材を定着する定着部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
転写ローラーは、周面の軸方向に凹部を有し、該凹部に前記転写材を把持する転写材把持部を備え、該転写材把持部に前記転写材を把持する請求項6記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−59478(P2011−59478A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210300(P2009−210300)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】