説明

画像形成方法及び画像形成装置

【課題】トナーとキャリアとが均一に混合された一定濃度の現像剤を調製でき、現像剤にストレスを与えることなく、かつ効率よく適切な帯電量を付与することができ、一定量の現像剤を連続的に安定して効率よく現像部に移送することができる画像形成方法及び画像形成装置の提供。
【解決手段】帯電工程と、静電潜像形成工程と、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を、該トナーと該キャリアとを攪拌して流動性エネルギー量が30mJ〜70mJとなるように調製する二成分現像剤調製処理と、攪拌後の前記二成分現像剤を定期的に排出し、空気圧を利用して現像部に移送する移送処理と、を含み、移送された前記二成分現像剤を用いて前記静電潜像担持体上に形成された静電潜像を前記現像部で現像して可視像を形成する現像工程と、転写工程と、定着工程と、を含む画像形成方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成方法及び画像形成装置、特に二成分現像剤を用いたプリンタ、複写機等に応用できる画像形成方法及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式や静電記録方式等の画像形成方法では、光導電性物質等の静電潜像担持体上に静電潜像を形成し、この静電潜像に対して、帯電したトナーを付着させて可視像(トナー像)を形成して現像した後、可視像を記録媒体に転写し、これを定着して出力画像が形成される。また、現像工程で現像処理を終了し、トナーが消費された現像剤は、回収され、補給されるトナーと混合及び/又は攪拌され、再び現像工程に供される。
このような画像形成方法に用いられる現像剤は、安定したトナー画像を得るために、一定のトナー濃度及び帯電量を維持する必要がある。
【0003】
トナー濃度は、現像工程で消費したトナーに対して、補給されるトナーの量により調整される。また、帯電は、キャリアとトナーとの混合時の摩擦帯電により付与されるため、この摩擦により調整される。
そのため、現像工程でトナーとキャリアとからなる二成分現像剤の攪拌を充分に行い、トナー濃度分布を均一化するとともに、トナーに帯電性を付与することで、トナー画像の安定化が図られる。
【0004】
従来の画像形成方法では、図10に示すように現像部150において、補給されたトナーが現像スリーブに汲み上がるまでのわずかな時間の間に、2本のスクリュ163、164の回転による攪拌効果を利用してトナーの分散及びトナーへの帯電付与を行っていた。
しかし、トナーの収支が多い場合、補給されたトナーが十分に分散せずに現像スリーブに汲み上がり、地汚れ、トナー飛散といった品質課題が発生している点が問題である。
【0005】
この問題に対し、2本のスクリュの回転による攪拌を強くする方法が挙げられる。
しかし、攪拌を強くすると、現像剤に与えるストレスが強くなり、長期間の使用によりキャリアへのトナースペント、キャリア被膜(キャリアコート層)の削れが起こり、帯電付与能力が低下する点が問題である。
【0006】
現像剤に高いストレスを与えずに、トナーの収支が多い場合でも、一定のトナー濃度と帯電量を維持する方法としては、現像部の外部に別途撹拌部を設け、現像部と撹拌部とを現像剤循環手段によって接続し、撹拌部で現像剤の状態に応じた低ストレス撹拌を行い、トナー濃度、帯電量を適切に調整した現像剤を現像部に供給する現像装置が提案されている(特許文献1及び2参照)。この提案の方法では、撹拌部にて調製(適正化)された現像剤は、ロータリフィーダで排出量を規制しながら、空気圧で現像部へ移送(搬送)するようになっている。
【0007】
しかし、この方法では、管内の現像剤を、空気圧を利用して移送するため、現像剤の流動性が高いと現像剤間で空気洩れが多くなり、現像剤の移送量が十分確保できず、移送量にばらつきが発生するという問題がある。安定したトナー画像を得るためには、現像剤を現像部に、一定量を連続的に効率よく移送することが求められる。
【0008】
したがって、トナーとキャリアとが均一に混合された一定濃度の現像剤を調製でき、現像剤にストレスを与えることなく、かつ効率よく適切な帯電量を付与することができ、一定量の現像剤を連続的に安定して効率よく現像部に移送することができる画像形成方法及び画像形成装置の提供が強く求められているのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、トナーとキャリアとが均一に混合された一定濃度の現像剤を調製でき、現像剤にストレスを与えることなく、かつ効率よく適切な帯電量を付与することができ、一定量の現像剤を連続的に安定して効率よく現像部に移送することができる画像形成方法及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 静電潜像担持体を帯電させる帯電工程と、前記帯電された静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を、該トナーと該キャリアとを攪拌して流動性エネルギー量が30mJ〜70mJとなるように調製する二成分現像剤調製処理と、攪拌後の前記二成分現像剤を定期的に排出し、空気圧を利用して現像部に移送する移送処理と、を含み、移送された前記二成分現像剤を用いて前記静電潜像担持体上に形成された静電潜像を前記現像部で現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着部材により定着させる定着工程と、を含む画像形成方法であって、前記流動性エネルギー量が、通気手段及び回転翼を有するパウダーレオメーターにおいて、通気速度0.8mm/秒間で通気しながら、前記回転翼の先端部の周速100mm/秒間、前記回転翼の進入角度−10°で該回転翼を回転させながら、容器に充填された前記二成分現像剤に該回転翼の回転軸と平行な方向に進入させ、前記二成分現像剤中を50mm進入させた場合の、回転トルクと垂直荷重との総和から得られる総エネルギー量であることを特徴とする画像形成方法である。
<2> 静電潜像担持体を帯電させる帯電手段と、前記帯電された静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を、該トナーと該キャリアとを攪拌して流動性エネルギー量が30mJ〜70mJとなるように調製する二成分現像剤調製部と、攪拌後の前記二成分現像剤を定期的に排出し、空気圧を利用して現像部に移送する移送部と、を有し、移送された前記二成分現像剤を用いて前記静電潜像担持体上に形成された静電潜像を前記現像部で現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着部材により定着させる定着手段と、を有する画像形成装置であって、前記流動性エネルギー量が、通気手段及び回転翼を有するパウダーレオメーターにおいて、通気速度0.8mm/秒間で通気しながら、前記回転翼の先端部の周速100mm/秒間、前記回転翼の進入角度−10°で該回転翼を回転させながら、容器に充填された前記二成分現像剤に該回転翼の回転軸と平行な方向に進入させ、前記二成分現像剤中を50mm進入させた場合の、回転トルクと垂直荷重との総和から得られる総エネルギー量であることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、トナーとキャリアとが均一に混合された一定濃度の現像剤を調製でき、現像剤にストレスを与えることなく、かつ効率よく適切な帯電量を付与することができ、一定量の現像剤を連続的に安定して効率よく現像部に移送することができる画像形成方法及び画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置を示す概略断面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置における現像手段を示す斜視図である。
【図3A】図3Aは、本発明の一実施形態に係る画像形成装置における攪拌部を示す縦断面図である。
【図3B】図3Bは、図3AのC−C線における水平断面図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置における攪拌部の攪拌時の現像剤の流れを説明する断面図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置における現像部の概略断面図である。
【図6A】図6Aは、パウダーレオメーターで測定した垂直荷重と、進入距離との関係の一実施形態を示す概略説明図である。縦軸:垂直荷重、横軸:進入距離
【図6B】図6Bは、パウダーレオメーターで測定した回転トルクと、進入距離との関係の一実施形態を示す概略説明図である。縦軸:回転トルク、横軸:進入距離
【図7】図7は、パウダーレオメーターでの流動性エネルギー量の求め方の一実施形態を示す概略説明図である。縦軸:エネルギー勾配(mJ/mm)、横軸:進入距離
【図8】図8は、パウダーレオメーターの測定に用いる回転翼の一実施形態を示す概略断面図である。
【図9】図9は、体積固有抵抗値の測定に用いるセルの一実施形態を示す斜視図である。
【図10】図10は、従来の画像形成装置における現像部の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(画像形成方法、画像形成装置)
本発明の画像形成方法は、帯電工程と、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程と、を少なくとも含み、必要に応じて、更に除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程等のその他の工程を含む。前記現像工程は、二成分現像剤調製処理と、移送処理と、を含む。
【0014】
本発明の画像形成手段は、静電潜像担持体と、帯電手段と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段と、を少なくとも有し、必要に応じて、更に除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等その他の手段を有する。前記現像手段は、二成分現像剤調製部と、移送部と、現像部と、を有する。
【0015】
前記帯電工程は、前記帯電手段により、前記静電潜像形成工程は、前記静電潜像形成手段により、前記現像工程は、前記現像手段により、前記転写工程は、前記転写手段により、前記定着工程は、前記定着手段により、それぞれ好適に行われる。
【0016】
以下に、本発明の前記画像形成方法の説明と併せて、本発明の前記画像形成装置について詳細に説明する。
【0017】
<帯電工程、帯電手段>
前記帯電工程は、静電潜像担持体を帯電させる工程であり、前記帯電手段により好適に行われる。前記静電潜像担持体の帯電は、該静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
【0018】
前記帯電手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電性又は半導電性のローラ、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を有したそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器などが挙げられる。
【0019】
前記帯電手段の形状としては、ローラの他にも、磁気ブラシ、ファーブラシ等のどのような形態をとってもよく、前記画像形成装置の仕様や形態に合わせて選択することができる。
【0020】
前記帯電手段として前記磁気ブラシを用いる場合、該磁気ブラシとしては、例えば、Zn−Cuフェライト等の各種フェライト粒子を帯電手段として用い、これを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールによって形成される。
【0021】
前記帯電手段として前記ファーブラシを用いる場合、該ファーブラシの材質として、例えば、カーボン、硫化銅、金属又は金属酸化物により導電処理されたファーを用い、これを金属や他の導電処理された芯金に巻き付けたり張り付けたりすることで帯電手段とすることができる。
【0022】
前記帯電手段としては、前記接触式の帯電手段に限定されるものではないが、帯電手段から発生するオゾンが低減された画像形成装置が得られるので、接触式の帯電手段を用いることが好ましい。
【0023】
<静電潜像形成工程、静電潜像形成手段>
前記静電潜像形成工程は、前記帯電工程で帯電された静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程であり、前記静電潜像形成手段により好適に行われる。
【0024】
前記静電潜像担持体(以下、「感光体」、「像担持体」と称することがある。)の材質、形状、構造、大きさなどについては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、その形状としてはドラム状が好適に挙げられ、その材質としては、例えば、アモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体などが挙げられる。これらの中でも、長寿命性の点でアモルファスシリコンが好ましい。
【0025】
前記アモルファスシリコン感光体としては、例えば、支持体を50℃〜400℃に加熱し、該支持体上に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD法等の成膜法によりa−Siからなる光導電層を有する感光体(以下、「a−Si系感光体」と称することがある。)を用いることができる。これらの中でも、プラズマCVD法、即ち、原料ガスを直流又は高周波あるいはマイクロ波グロー放電によって分解し、支持体上にa−Si堆積膜を形成する方法が好適である。
【0026】
前記静電潜像の形成は、例えば、前記帯電工程で帯電された感光体の表面を像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段により行うことができる。
前記静電潜像形成手段は、例えば、前記感光体の表面を像様に露光する露光手段などが挙げられる。
【0027】
前記露光手段としては、前記帯電手段により帯電された前記感光体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系等の各種露光手段などが挙げられる。
【0028】
前記露光手段に用いられる光源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)等の発光物全般などが挙げられる。
【0029】
また、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルター等の各種フィルターを用いることもできる。
なお、本発明においては、前記感光体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
【0030】
<現像工程、現像手段>
前記現像工程は、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を用いて前記静電潜像担持体上に形成された静電潜像を現像部で現像して可視像を形成する工程であり、前記現像手段により好適に行われる。前記現像工程は、二成分現像剤調製処理と、移送処理と、を少なくとも含み、必要に応じて、更にその他の処理を含む。
【0031】
前記現像手段としては、二成分現像剤調製部と、移送部と、現像部と、を少なくとも有し、必要に応じて、更にその他の部材を有する。
前記二成分現像剤調製処理は、前記二成分現像剤調製部により、前記移送処理は、前記移送部により好適に行われる。
【0032】
<<二成分現像剤調製処理、二成分現像剤調製部>>
前記二成分現像剤調製処理は、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤(以下、「現像剤」と称することがある。)を、該トナーと該キャリアとを攪拌して流動性エネルギー量が30mJ〜70mJとなるように調製する処理であり、前記二成分現像剤調製部により好適に行われる。
【0033】
本発明において、前記流動性エネルギー量とは、現像剤の流動性を示すエネルギー量であり、通気手段及び回転翼を有するパウダーレオメーターにおいて、通気速度0.8mm/秒間で通気しながら、前記回転翼の先端部の周速100mm/秒間、前記回転翼の進入角度−10°で該回転翼を回転させながら、容器に充填された前記二成分現像剤に該回転翼の回転軸と平行な方向に進入させ、前記二成分現像剤中を50mm進入させた場合の、回転トルクと垂直荷重との総和から得られる総エネルギー量を意味する。
【0034】
前記流動性エネルギー量は、30mJ〜70mJであるが、40mJ〜70mJが好ましい。前記流動性エネルギー量が70mJを超えると、現像剤の流動性が低いため、撹拌部内での現像剤の対流が悪くなることで現像剤同士の接触確率が下がり、十分な帯電性が得られないことや、攪拌ストレスに対するキャリアへの負荷が大きくなり、したがって、現像剤へのストレスも大きくなるため、静電潜像担持体へのスペントが発生することなどがある。また、前記流動性エネルギー量が30mJ未満であると、現像剤の流動性が高いため、現像剤間に空気漏れが発生し、移送処理で移送する際に移送量にバラツキが生じることや、静電潜像担持体とクリーニングブレードとの間における現像剤のすり抜けが発生し、異常画像が発生することなどがある。
一方、前記現像剤の前記流動性エネルギー量が30mJ〜70mJであると、後述する移送処理において、現像剤の排出量を安定化することができる点で好ましい。
【0035】
−流動性の測定方法−
前記現像剤の流動性エネルギー量は、パウダーレオメーターにより、以下の方法で測定される。本発明において、前記パウダーレオメーターは、FT4(freeman technology社製)を用いる。
【0036】
パウダーレオメーターは、充填した粒子中を回転翼が螺旋状に回転することによって得られる回転トルクと垂直荷重とを同時に測定して、流動性を直接的に求める粒子流動性測定装置である。回転トルクと垂直荷重の両方を測定することで、粉体自身の特性や外部環境の影響を含めた流動性について、高感度に検出することができる。また、粒子の充填の状態を一定とした上で測定を行うため、再現性の良好なデータを得ることができる。
【0037】
前記回転翼は、図8に示すようなプロペラ型のものを用いる。このような回転翼は、freeman technology社製より入手でき、回転軸Rを中心として2枚翼プロペラ型の直径23.5mm径ブレード4を有するものが好ましい。
【0038】
−−充填−−
まず、測定対象の現像剤をスプリット容器に充填する。前記スプリット容器は、内径25mm、高さ59mmの25mL容量の円筒状の第1の容器の上に、内径25mm、高さ22mmの円筒状の第2の容器を載せ、該第1の容器と該第2の容器とが分離可能なものを用いる。ここで、スプリット容器の高さとは、回転軸と平行な方向の長さを意味する。
【0039】
前記スプリット容器に現像剤を充填する際は、後述するコンディショニングにより該現像剤の嵩が小さくなるため、できる限り多量に充填することが重要である。
なお、測定時に外的環境要因によって誤差が生じないよう、温度22℃、相対湿度50%の状態で、1時間以上放置してから測定することが好ましい。
【0040】
−−コンディショニング−−
次に、測定対象の現像剤の流動状態を常に均一にする目的でコンディショニングを行うことが好ましい。測定値(流動性エネルギー量)のバラツキを少なく制御するためには、常に一定の体積の粉体を得ることが重要である。したがって、コンディショニングにより安定した測定値を得ることができる。
【0041】
コンディショニングでは、前記スプリット容器に充填した現像剤にストレスを与えないよう、該現像剤からの抵抗を受けない回転方向で回転翼を緩やかに攪拌して、過剰の空気や部分的ストレスのほとんどを除去し、現像剤を均一化な状態にする。
前記現像剤からの抵抗を受けない回転方向とは、測定時の回転方向とは逆の回転方向であり、スプリット容器を上(回転軸に対して垂直な方向)から見たとき、右回りの回転方向である。
【0042】
具体的なコンディショニング条件は、前記回転翼の先端部の周速40mm/秒間、前記回転翼の進入角度+5°で、スプリット容器内のプロペラ型の回転翼を回転させ、現像剤を攪拌する。前記回転翼は、回転すると同時に、回転軸と平行な方向に上下運動するため、該回転翼の先端部は、螺旋を描くことになる。
前記「進入角度」とは、前記プロペラ型の回転翼の先端が描く螺旋経路の角度を意味する。
前記コンディショニングの回数としては、4回とする。
【0043】
コンディショニングが終了した後、スプリット容器の第2の容器の上端部を静かに動かし、第1の容器の高さ59mmの位置で現像剤をすり切り、25mL容量を満たす現像剤を得る。これを、測定に用いる、内径25mm、高さ80mmの35mL容量の第3の容器に移す。
前記第3の容器内で、測定前に、前記同様の条件(回転翼の先端部の周速40mm/秒間、回転翼の進入角度+5°)で、少なくとも1回コンディショニングを行うことが好ましい。
【0044】
−−流動性エネルギー量の測定−−
前記第3の容器の底面に通気手段を装着し、通気速度0.8mm/秒間で空気を通気し、かつ、前記回転翼の先端部の周速100mm/秒間、前記回転翼の進入角度−10°で該回転翼を回転させながら、前記第3の容器に充填された現像剤に該回転翼の回転軸と平行な方向(第3の容器の高さ方向)に進入させ、該現像剤中を50mm進入(移動)させた場合(以下、「進入距離」と称することがある。)の、回転トルクと垂直荷重を測定する。
このとき、前記回転翼の回転方向は、前記コンディショニング時と逆方向、即ち、容器を上(回転軸に対して垂直な方向)から見たとき、左回りである。
【0045】
ここで、通気速度0.8mm/秒間、回転翼の進入角度−10°の条件で測定するのは、後述する移送処理で、二成分現像剤調製処理の終了後に排出された現像剤を、空気圧を利用して現像部に移送する現像剤の移送性と強い相関があるためである。
なお、前記通気手段としては、通気測定キット(商品名:Aeration Control Unit、freeman technology社製)を用いることができる。
【0046】
前記回転翼の進入距離(50mm)の起算位置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記第3の容器に充填された現像剤における、充填表面から容器の高さ方向(回転軸と平行な方向)への進入距離であってもよく、充填表面から一定距離進入した位置から容器の高さ方向(回転軸と平行な方向)への進入距離であってもよい。
【0047】
次に、前記進入距離と、垂直荷重又は回転トルクとの関係について、図面を用いて説明する。図6Aは、パウダーレオメーターで測定した垂直荷重と、進入距離との関係の一例を示す概略説明図であり、図6Bは、パウダーレオメーターで測定した回転トルクと、進入距離との関係の一例を示す概略説明図である。
【0048】
図6A及び図6Bにおいて、H1は、進入距離の起算位置を表し、H2は、進入距離(回転翼が進入後の到達点、即ち起算位置から50mmの位置(深さ))を表す。
【0049】
また、図7は、パウダーレオメーターでの流動性エネルギー量の求め方の一例を示す概略説明図であり、回転トルクと垂直荷重から、進入距離(深さ)Hに対してのエネルギー勾配(mJ/mm)を求めたものである。
【0050】
図7のエネルギー勾配を積分して得られた面積(図7の曲線下線部の面積(斜線部の総面積))が、流動性エネルギー量(mJ)となる。本発明では、第3の容器の底面からの高さ(回転軸方向の長さ)5mm〜55mmの区間を積分して流動性エネルギー量(総エネルギー量)を求める。
【0051】
なお、本発明では、前記流動性の測定方法において、誤差による影響を少なくするため、前記コンディショニング及び前記流動性エネルギー量の測定の操作のサイクルを5回行ったときの平均値を、本発明で定義する流動性エネルギー量(mJ)とする。
【0052】
このような流動性を有する現像剤は、現像部とは別に設けられた攪拌部でトナーとキャリアとが攪拌されることにより調製され、調製された現像剤は、後述する移送処理により前記攪拌部から定期的に排出され、現像部へ移送される。
【0053】
本発明の画像形成方法において、前記現像剤が前記流動性エネルギー量を有し、適度な流動性を有することにより、移送処理において現像剤の移送量にバラツキが生じることや、現像剤に摩擦等によるストレスを与えることなく十分な帯電性を付与することができる。
【0054】
前記攪拌部は、現像部とは別に設けられた部材である。攪拌部を現像部とは別に設けることで、トナーの収支が多い場合であっても、現像剤にストレスを与えることないため、長期間の使用によりキャリアへのトナースペント、キャリアコート層の削れが起こることや、帯電性が低下することがなく、更にトナーとキャリアとを十分に均一混合することができる点で有利である。
【0055】
前記攪拌部の外部には、上部にトナー及びキャリアを補給する補給口、下部に現像剤を排出する排出口を有することが好ましい。
また、前記攪拌部の内部には、現像剤を移送する移送スクリュ、現像剤を攪拌する撹拌部材、前記攪拌部及び前記移送スクリュを回転させるモータ、回転を制御するギヤなどを有することが好ましい。前記移送スクリュ及び前記攪拌部材は、回転可能な部材である。
【0056】
前記移送スクリュは、現像剤を上方に送るように、その巻き方向と前記モータの回転方向が設定されている。前記移送スクリュの数、配置等としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、攪拌部の中心部に1本設けられていることが好ましい。
【0057】
前記攪拌部材は、前記移送スクリュに接触しないように設けられた部材であり、例えば、ブレードなどが挙げられる。前記攪拌部の数、配置等としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、内部の壁に沿って回転するように、複数本配置されることが好ましい。
【0058】
前記攪拌部内において、前記移送スクリュが現像剤を該攪拌部の上下方向(攪拌部の回転方向に対して垂直な方向)に送り、また、前記攪拌部材が現像剤を該攪拌部の周方向に送り、これらによるずれ力と、更に現像剤が重力で下方に落ちるものとのずれ力とを利用することにより、現像剤の均一化、及び効果的な現像剤の帯電量の適正化、並びに、排出される前の現像剤の流動化を促進させることができる。
【0059】
<<移送処理、移送部>>
前記移送処理は、前記二成分現像剤調製処理後、攪拌後の前記二成分現像剤を定期的に排出し、空気圧を利用して現像部に移送する処理であり、前記移送部により好適に行われる。
前記移送部は、前記現像剤を現像部に移送することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、排出口、移送管、エアポンプなどが挙げられる。
【0060】
前記二成分現像剤調製処理で調製された前記現像剤は、前記攪拌部の排出口から定期的に排出される。前記排出口には、排出量を規制でき、一定量を連続して排出できる部材を有することが好ましく、ロータリフィーダを有することが特に好ましい。
前記ロータリフィーダとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2008−299217号公報に記載のものなどが挙げられる。
【0061】
排出された現像剤は、攪拌部と現像部との間に連結された移送管を、エアポンプから排出される空気の空気圧によって現像部に移送される。
本発明の画像形成方法において、前記現像剤は、前記流動性エネルギー量が30mJ〜70mJであるため、一定量の現像剤を連続的に安定して効率よく現像部に移送することができる。
【0062】
<<現像部>>
前記現像部は、前記移送処理で移送された現像剤を用いて、静電潜像担持体上に形成された静電潜像を現像して可視像を形成する。前記現像部は、乾式現像方式のものである。
【0063】
前記現像部内には、前記現像剤を移送する移送スクリュ、磁力を有する現像ローラなどを有することが好ましい。前記移送スクリュによって現像器内を移送された現像剤は、現像ローラによって電気的な吸引力によって該感光体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該感光体の表面に該トナーによる可視像が形成される。前記現像剤は、静電潜像に接触させて付与されてもよく、非接触的に付与されてもよい。
【0064】
従来、現像部でトナーとキャリアとが混合され、帯電される場合、現像剤の均一化及び十分な帯電量を得るために強い攪拌が必要であったが、本発明の画像形成方法及び画像形成装置では、攪拌部と現像部とが別であるため、現像部で強い攪拌が不要であり、現像剤へストレスを与えることなく十分な帯電量を付与できる点で有利である。
【0065】
<<二成分現像剤>>
前記二成分現像剤は、キャリアとトナーとからなる、前記流動性エネルギー量が30mJ〜70mJの現像剤である。
【0066】
−キャリア−
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、磁性を有する芯材と、該芯材の表面にキャリアコート層を有するものが好ましい。
【0067】
−−芯材−−
前記芯材としては、磁性体であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、鉄、コバルト等の強磁性金属;マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄;各種合金や化合物;これらの磁性体を樹脂中に分散させた樹脂粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、環境面への配慮から、Mn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Mn−Mg−Srフェライトが好ましい。
【0068】
フェライト粒子の成分分析は、蛍光X線で元素分析し、その結果から酸化物のモル比を算出するなどで実施することができる。
【0069】
前記芯材の重量平均粒径(Dw)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20μm〜65μmが好ましい。前記重量平均粒径が、20μm未満であると、キャリア付着が起こり易くなることがあり、65μmを超えると、キャリア付着がより起こりにくくなるが、静電潜像に対してトナーが忠実に現像されなくなり、ドット径のバラツキが大きくなり、粒状性が低下することや、トナー濃度が高い場合は、地汚れし易くなることがある。
【0070】
ここで、前記キャリア付着とは、静電潜像の画像部又は地肌部にキャリアが付着する現象を意味する。それぞれの電界が強いほどキャリア付着し易い。画像部は、トナーが現像されることにより電界が弱められるため、地肌部に比べ、キャリア付着は起こり難い。
【0071】
前記重量平均粒径(Dw)は、個数基準で測定された粒子の粒径分布(個数頻度と粒径との関係)に基づいて算出されたものである。本発明において、重量平均粒径(Dw)は、下記式(1)で表わされる。
Dw={1/Σ(nD)}×{Σ(nD)} ・・・式(1)
前記式(1)中、Dは、各チャネルに存在する粒子の代表粒径(μm)を表し、nは、各チャネルに存在する粒子の総数を表す。
【0072】
なお、チャネルとは、粒径分布図における粒径範囲を測定幅単位に分割するための長さを示すもので、本発明の場合には、2μmの等分長さ(粒径分布幅)を採用した。各チャネルに存在する粒子の代表粒径としては、各チャネルに保存する粒子粒径の下限値を採用した。
【0073】
前記芯材の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、表面に凹凸がある粒子であることが、前記二成分現像剤の流動性エネルギー量の数値範囲を実現するために好ましく、形状係数SF−2が、130〜160がより好ましい。前記SF−2が、130未満であると、流動性エネルギー量が30mJ未満になることがあり、160を超えると、流動性エネルギー量が70mJを超えることがある。
【0074】
本発明において、前記形状係数SF−2とは、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)(例えば、S−800、株式会社日立製作所製)を用い300倍に拡大した粒子像のうち100個を無作為にサンプリングし、その画像情報を、インターフェースを介して、画像解析装置(例えば、Luzex AP、ニレコ社製)に導入して画像データを二値化し、下記式(2)より算出し得られた値を形状係数SF−2と定義する。
【0075】
前記形状係数SF−2は、粒子の凹凸の度合いを示しており、表面の凹凸の起伏が激しくなると、その値は大きくなり、真円(球)に近づくにつれて100に近い値となる。
SF−2=(P/A)×(1/4π)×100 ・・・式(2)
ただし、前記式(2)において、Pは、芯材を2次平面に投影してできる図形の周囲長を表し、Aは、芯材の投影面積を表す。
【0076】
−−キャリアコート層−−
前記キャリアコート層は、少なくともキャリアコート樹脂を含み、更にフィラーを含むことが好ましく、必要に応じて、更にその他の成分を含む。
【0077】
−−−キャリアコート樹脂−−−
前記キャリアコート樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル樹脂、アミノ樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、トナー成分からの汚染を防止するために、低表面エネルギー樹脂であるシリコーン樹脂が好ましい。
【0078】
前記シリコーン樹脂の入手方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、適宜合成したものであってもよく、市販品を用いてもよい。
前記シリコーン樹脂の市販品としては、例えば、商品名で、KR251、KR271、KR272、KR282、KR252、KR255、KR152、KR155、KR211、KR216、KR213(以上、信越化学工業株式会社製);AY42−170、SR2510、SR2400、SR2406、SR2410、SR2405、SR2411(東レ・ダウコーニング社製、東レ・シリコン社製)などが挙げられる。
【0079】
また、前記キャリアコート樹脂としては、低表面エネルギー、かつ可撓性を有する樹脂として、下記一般式(1)で表される共重合体が特に好ましい。
【化2】

ただし、前記一般式(1)において、Rは、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、Rは、炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、Rは、炭素数1〜8のアルキル基及び炭素数1〜4のアルコキシ基のいずれかを表し、Rは、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基及びアルキル基のいずれかを表し、mは、1〜8の整数を表し、X、Y、及びZは、モル比を表す。前記Xは、10モル%〜40モル%であり、前記Yは、10モル%〜40モル%であり、前記Zは、30モル%〜80モル%であり、前記Yと前記Zとの和(Y+Z)は、60モル%超え90モル%未満である。
【0080】
前記Xは、10モル%〜40モル%であるが、10モル%〜40モル%が好ましく、20モル%〜30モル%がより好ましい。
前記Yは、30モル%〜80モル%であるが、10モル%〜80モル%が好ましく、15モル%〜70モル%がより好ましい。
前記Zは、30モル%〜80モル%であるが、35モル%〜75モル%が好ましい。
【0081】
前記一般式(1)で表される共重合体は、下記一般式(1−1)、下記一般式(1−2)、及び下記一般式(1−3)のモノマーからなる共重合体であることが好ましい。
【化3】

ただし、前記一般式(1−1)において、Rは、水素原子及びメチル基のいずれかを表す。
は、炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基のいずれかが好ましい。
mは、1〜8の整数を表し、−(CH−は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などのアルキレン基が好ましい。
【0082】
前記一般式(1−1)で表されるモノマーは、例えば、側鎖にメチル基が多数存在する原子団・トリス(トリメチルシロキシ)シランを有しており、樹脂全体に対して前記一般式(1−1)で表されるモノマーのモル比が高くなると、表面エネルギーが小さくなり、トナーの樹脂成分、離型剤成分等の付着が少なくなる。
【0083】
前記一般式(1−1)で表されるモノマーが、10モル%未満であると、十分な効果を得ることができないことがあり、トナー成分の付着が急増することがある。また、前記一般式(1−1)で表されるモノマーが、40モル%を超えると、前記一般式(1−2)で表されるモノマーが少なくなり、強靭性が不足すると共に、前記芯材と前記キャリアコート層との接着性が低下し、キャリアコート層の耐久性が悪くなることがある。
【0084】
前記一般式(1−1)で表されるモノマーの具体例としては、下記トリス(トリアルキルシロキシ)シラン化合物などが挙げられる。ただし、下記トリス(トリアルキルシロキシ)シラン化合物において、Meは、メチル基を表し、Etは、エチル基を表し、Prは、プロピル基を表す。
【0085】
CH=CMe−COO−C−Si(OSiMe
CH=CH−COO−C−Si(OSiMe
CH=CMe−COO−C−Si(OSiMe
CH=CMe−COO−C−Si(OSiEt
CH=CH−COO−C−Si(OSiEt
CH=CMe−COO−C−Si(OSiEt
CH=CMe−COO−C−Si(OSiPr
CH=CH−COO−C−Si(OSiPr
CH=CMe−COO−C−Si(OSiPr
【0086】
【化4】

ただし、前記一般式(1−2)において、Rは、水素原子及びメチル基のいずれかを表す。
は、炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基のいずれかが好ましい。
は、炭素数1〜8のアルキル基及び炭素数1〜4のアルコキシ基のいずれかを表す。前記炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが好ましい。前記炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が好ましい。
mは、1〜8の整数を表し、−(CH−は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などのアルキレン基が好ましい。
【0087】
前記一般式(1−2)で表されるモノマーは、前記Rがアルキル基の場合、ラジカル重合性の2官能性のシラン化合物であり、前記Rがアルコキシ基の場合、3官能性のシラン化合物である。
【0088】
前記一般式(1−2)で表されるモノマーが、30モル%未満であると、十分な強靭さを得ることができないことがあり、80モル%を超えると、キャリアコート層が固くて脆くなり、膜削れが発生し易くなること、環境特性が悪化すること、加水分解した架橋成分がシラノール基として多数残り、環境特性(湿度依存性)を悪化させることなどがある。
【0089】
前記一般式(1−2)で表されるモノマーの具体例としては、例えば、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリトキシプロピルトリ(イソプロポキシ)シラン、3−アクリロキシプロピルトリ(イソプロピルオキシ)シランなどが挙げられる。
【0090】

ただし、前記一般式(1−3)において、Rは、水素原子及びメチル基のいずれかを表す。
は、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基及びアルキル基のいずれかを表し、アクリロイル基又はメタクリロイル基が好ましい。
【0091】
前記一般式(1−3)で表されるモノマーは、ラジカル重合性アクリル系化合物である。前記一般式(1−3)で表されるモノマーが、30モル%未満であると、十分な接着性が得られず、80モル%を超えると、前記X及び前記Yのいずれかが10以下となるため、キャリアコート樹脂層の撥水性、硬さ、及び可撓性(膜削れ)を両立させることが難しくなる。
【0092】
これらの中でも、前記一般式(1−3)で表されるモノマーとしては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルが好ましく、具体的には、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、3−(ジメチルアミノ)プロピルメタクリレート、3−(ジメチルアミノ)プロピルアクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、アルキルメタクリレートがより好ましく、メチルメタクリレートが特に好ましい。
【0093】
前記一般式(1)で表される共重合体における、前記一般式(1−1)、前記一般式(1−2)、及び前記一般式(1−3)のモノマーの含有量としては、前記Yと前記Zとの和(Y+Z)が、60モル%超え90モル%未満が好ましく、70モル%超え85モル%未満がより好ましい。
【0094】
前記キャリアコート樹脂の分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、重量平均分子量で、5,000〜100,000が好ましく、10,000〜70,000がより好ましく、30,000〜40,000が特に好ましい。前記重量平均分子量が、5,000未満であると、キャリアコート樹脂層の強度が不足することがあり、100,000未満であると、粘度が高く、粒径の小さな基体に塗布する場合、粒子の凝集、樹脂層の不均一化などが生じ易く、キャリアコート層を製造することが難しくなることがある。
【0095】
前記重量平均分子量は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、例えば、以下の条件で求められる。
【0096】
装置(一例):東ソー社製HLC−8120
カラム(一例):TSKgelGMHXL(2本):TSK gel Multipore HXL−M(1本)
試料溶液:0.25質量%のTHF溶液
溶液注入量:100μL
流量:1mL/分間
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:東ソー社製標準ポリスチレン(TSK standard POLYSTYRENE)12点(分子量500、1,050、2,800、5,970、9,100、18,100、37,900、96,400、190,000、355,000、1,090,000、2,890,000)
【0097】
−−−フィラー−−−
前記キャリアコート層は、強度向上及びキャリアの抵抗値の調整のために、フィラーを含むことが好ましい。
前記フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ZnO、Al、Ba等の金属又は金属酸化物粉;シリカ、アルミナ、酸化チタン、種々の方法で調製されたSnO又は種々の元素をドープしたSnO;TiB、ZnB、MoB等のホウ化物;炭化ケイ素、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリ(パラ−フェニレンスルフィド)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子;ファーネスブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラックなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0098】
これらの中でも、前記フィラーは、アルミナを含む基体の表面に導電性被覆層を有する導電性微粒子が好ましい。前記導電性微粒子であると、キャリアの体積固有抵抗値を調節する機能が高く、表面エネルギーが小さいため樹脂との親和性も高く、長期間キャリア抵抗量が変化しないためである。
【0099】
また、トナーと摩擦帯電するキャリアは、帯電能力の点から電気陰性度が離れている基体が好ましい。トナーの添加剤であるシリカや酸化チタンは、電気陰性度が大きく負帯電性が大きいため、キャリア基体は、電気陰性度の小さいアルミナ基体を用いる方が、帯電能力が大きくなり、負帯電トナーを用いる場合には好ましい。
【0100】
前記フィラーの含有量としては、特に制限はなく、フィラーの粒径、比表面積などに応じて適宜選択することができるが、前記キャリアコート樹脂に対して、2質量%〜500質量%が好ましく、5質量%〜400質量%がより好ましい。前記フィラーの含有量が、2質量%未満であると、キャリアコート樹脂層の耐摩耗効果が発現しにくくなることがあり、500質量%を超えると、フィラーの脱離が生じやすくなることがある。
【0101】
前記フィラーの平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、数平均粒径で0.1μm〜0.5μmが、前記現像剤の流動性エネルギー量の数値範囲を実現するために好ましい。
前記フィラーの数平均粒径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(例えば、商品名:LA−950V2、株式会社堀場製作所製)により測定することができる。
【0102】
前記フィラーは、例えば、コーティングに使用する溶媒、あるいはキャリアコート樹脂層の形成に用いられる樹脂溶液にフィラーを投入後、ボールミル、ビーズミル等のメディアを使用した分散機、あるいは高速回転する羽根を備えた攪拌機を使用することによって均一に分散した分散液として用いることが好ましい。
また、前記キャリアコート層は、フィラーの分散性向上などのために、各種分散剤を含んでいてもよく、トナー帯電量調整などのために、シランカップリング剤を含んでいてもよい。
【0103】
前記シランカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、シリコーン樹脂に対しては、トナーの帯電量の調整のため、下記アミノシランカップリング剤を適宜含有させることが特に好ましい。
【0104】
N(CHSi(OCH(重量平均分子量:179.3)
N(CHSi(OC(重量平均分子量:221.4)
NCHCHCHSi(CH(OC)(重量平均分子量:161.3)
NCHCHCHSi(CH)(OC(重量平均分子量:191.3)
NCHCHNHCHSi(OCH(重量平均分子量:194.3)
NCHCHNHCHCHCHSi(CH)(OCH(重量平均分子量:206.4)
NCHCHNHCHCHCHSi(OCH(重量平均分子量:224.4)
(CHNCHCHCHSi(CH)(OC(重量平均分子量:219.4)
(CNCSi(OCH(重量平均分子量:291.6)
【0105】
前記アミノシランカップリング剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.001質量%〜30質量%が好ましい。
【0106】
前記キャリアコート樹脂層の膜厚としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、平均膜厚で、0.05μm〜4μmが好ましい。前記平均膜厚が、0.05μm未満であると、キャリアコート樹脂層が剥離しやすくなることがあり、4μmを超えると、キャリアコート樹脂層は磁性体でないため、画像にキャリア付着し易くなることがある。
前記キャリアコート樹脂層の平均膜厚は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、キャリアの断面を観察して測定することができる。
【0107】
前記キャリアの体積固有抵抗値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1×10Ω・cm〜1×1017Ω・cmが好ましい。前記体積固有抵抗値が、1×10Ω・cm未満であると、非画像部でキャリア付着が発生することがあり、1×1017Ω・cmを超えると、エッジ効果が許容できないレベルになることがある。前記キャリアの体積固有抵抗値を制御することによって、エッジ効果を抑えた、文字部等の細線の再現性が良い色汚れのない高精細な画像を得ることができる。前記キャリアの体積固有抵抗値は、芯材上のキャリアコート樹脂層の抵抗の調整、フィラーの添加、キャリアコート樹脂層の膜厚などによって制御することができる。
【0108】
前記体積固有抵抗値は、例えば、ブローオフ装置(TB−200、東芝ケミカル社製)で測定することができる。
【0109】
前記キャリアの磁化としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1kOe(10/4π[A/m])の磁場における磁化が、40Am/kg〜90Am/kgが好ましい。前記磁化が、40Am/kg未満であると、画像にキャリアが付着することがあり、90Am/kgを超えると、磁性穂が硬くなり、画像カスレが発生することがある。
【0110】
前記芯材に前記キャリアコート樹脂層を被覆する方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スプレードライ法、浸漬法、パウダーコーティング法などが挙げられる。
【0111】
また、前記キャリアコート樹脂層を前記芯材に被覆した後、熱処理を施すことが、縮合による架橋反応が促進される点で好ましい。
【0112】
前記熱処理の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、使用する芯材のキューリー点未満の温度が好ましく、100℃〜350℃がより好ましく、150℃〜250℃が特に好ましい。前記温度が、100℃未満であると、縮合による架橋反応が進まず、キャリアコート樹脂層の十分な強度が得られないことがあり、350℃を超えると、前記キャリアコート樹脂が炭化してくることがあり、キャリアコート樹脂層が削れ易くなることがある。
【0113】
−トナー−
前記トナーとしては、特に制限はなく、公知トナーの中から目的に応じて適宜選択することができるが、熱可塑性樹脂を主成分とするバインダー樹脂中に、着色剤を含有させたものが好ましく、微粒子、帯電制御剤、離型剤などを含有させたものが更に好ましい。
前記トナーの形状としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、不定形であってもよく、球形であってもよい。また、磁性トナーであってもよく、非磁性トナーであってもよい。
【0114】
−−バインダー樹脂−−
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン系バインダー樹脂として、ポリスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;アクリル系バインダーとして、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート;ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂肪族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0115】
これらの中でも、前記バインダー樹脂としては、ポリエステル樹脂が、トナーの保存時の安定性を確保しつつ、より溶融粘度を低下させることができる点で好ましい。また、ポリエステル樹脂は、スチレン系やアクリル系樹脂に比べて、トナーの保存時の安定性を確保しつつ、より溶融粘度を低下させることが可能である点でも好ましい。
【0116】
前記ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合反応によって得ることができる。
【0117】
前記アルコール成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等のジオール類;1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノーA等のエーテル化ビスフェノール類;これらを炭素数3〜22の飽和若しくは不飽和の炭化水素基で置換した2価のアルコール単位体;その他の2価のアルコール単位体;ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエスリトール、ジペンタエスリトール、トリペンタエスリトール、蔗糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の三価以上の高アルコール単量体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0118】
前記カルボン酸成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等のモノカルボン酸、マレイン酸、フマール酸、メサコン酸、シトラコン酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、これらを炭素数3〜22の飽和若しくは不飽和の炭化水素基で置換した2価の有機酸単量体、これらの酸の無水物、低級アルキルエステルと、リノレイン酸からの二量体酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸エンボール三量体酸、これら酸の無水物等の三価以上の多価カルボン酸単量体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0119】
エポキシ樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールAとエポクロルヒドリンとの重縮合物などが挙げられる。
前記エポキシ樹脂は、市販品を用いることができ、その具体例としては、商品名で、エポミックR362、エポミックR364、エポミックR365、エポミックR366、エポミックR367、エポミックR369(以上、三井石油化学工業社製)、エポトートYD−011、エポトートYD−012、エポトートYD−014、エポトートYD−904、エポトートYD−017、(以上、東都化成株式会社製)エポコート1002、エポコート1004、エポコート1007(以上、シェル化学株式会社製)などが挙げられる。
【0120】
−−着色剤−−
前記着色剤としては、特に制限はなく、の中から目的に応じて適宜選択することができ、公知染料及び/又は顔料を全て使用することができる。
前記着色剤としては、例えば、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、ハンザイエローG、ローダミン6Gレーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系、染顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0121】
ブラックトナーには、磁性体を含有させて磁性トナーとすることも可能である。磁性体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、鉄、コバルトなどの強磁性体、マグネタイト、ヘマタイト、Li系フェライト、Mn−Zn系フェライト、Cu−Zn系フェライト、Ni−Znフェライト、Baフェライト等の微粉末などが挙げられる。
【0122】
−−帯電制御剤−−
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知の帯電制御剤の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、モノアゾ染料の金属錯塩、ニトロフミン酸乃至その塩、サリチル酸、ナフトエ塩、ジカルボン酸のCo、Cr、Fe等の金属錯体アミノ化合物、第4級アンモニウム化合物、有機染料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、ブラック以外のカラートナーにおいては、白色のサリチル酸誘導体の金属塩などが好ましい。
前記トナーが帯電制御剤を含有すると、摩擦帯電性を充分に制御することができる点で好ましい。
【0123】
−−離型剤−−
前記離型剤としては、特に制限はなく、公知の離型剤の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、カルナウバワックス、マイクロクリスタリンワックス、ホホバワックス、ライスワックス、モンタン酸ワックスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0124】
−−その他の成分−−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、流動性向上剤等の添加剤などが挙げられる。
良好な画像を得るためには、トナーに充分な流動性を付与することが重要である。これには、一般に流動性向上剤として疎水化された金属酸化物の微粒子や、滑剤等の微粒子を外添することが有効であり、金属酸化物、有機樹脂微粒子、金属石鹸などを添加剤として用いることが可能である。
【0125】
これら添加物の具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ステアリン酸亜鉛等の滑剤、酸化セリウム、炭化ケイ素等の研磨剤、表面を疎水化したSiO、TiO等の無機酸化物等の流動性付与剤、ケーキング防止剤として知られるもの、及びそれらの表面処理物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、トナーの流動性を向上させるためには、疎水性シリカが特に好ましい。
【0126】
前記トナーの重量平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3.0μm〜9.0μmが好ましく、3.0μm〜6.0μmがより好ましい。
前記トナーの重量平均粒径は、例えば、コールターマルチサイザーII(コールターカウンター社製)を用いて測定することができる。
【0127】
前記トナーの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、懸濁重合法、乳化重合分散重合法、乳化凝集法、乳化会合法等の重合法、ポリマー溶解懸濁法、造粒法、粉砕法などが挙げられる。
【0128】
<転写工程、転写手段>
前記転写工程は、前記現像工程で形成された可視像を記録媒体に転写する工程であり、前記転写手段により好適に行われる。
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましい。
【0129】
前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する二次転写手段とを有する態様が好ましい。
【0130】
ここで、前記記録媒体上に二次転写される画像が複数色のトナーからなるカラー画像である場合に、前記転写手段により、前記中間転写体上に各色のトナーを順次重ね合わせて当該中間転写体上に画像を形成し、前記中間転写手段により、当該中間転写体上の画像を前記記録媒体上に一括で二次転写する構成とすることができる。
【0131】
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルトなどが好適に挙げられる。
【0132】
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記感光体上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。前記転写手段としては、例えば、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器などが挙げられる。
【0133】
なお、記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
【0134】
<定着工程、定着手段>
前記定着工程は、前記転写工程で前記記録媒体に転写された転写像を定着部材により定着させる工程であり、前記定着手段により好適に行われる。
前記定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧部材が好ましい。前記加熱加圧部材としては、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組み合わせなどが挙げられる。
前記加熱加圧部材における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。
【0135】
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
【0136】
<除電工程及び除電手段>
前記除電工程は、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記感光体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプなどが好適に挙げられる。
【0137】
<クリーニング工程及びクリーニング手段>
前記クリーニング工程は、前記感光体上に残留する前記トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。なお、クリーニング手段を用いることなく、摺擦部材で残留トナーの電荷を揃え、現像ローラで回収する方法を採用することもできる。
【0138】
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記感光体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナなどが好適に挙げられる。
【0139】
<リサイクル工程及びリサイクル手段>
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の移送手段等が挙げられる。
【0140】
<制御工程及び制御手段>
前記制御工程は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器などが挙げられる。
【0141】
前記画像形成装置は、前記静電潜像担持体と少なくとも前記現像手段とを一体に支持し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジを備える画像形成装置であることが好ましい。
【0142】
以下に、図面を用いて、本発明の前記画像形成方法及び本発明の前記画像形成装置について詳細に説明するが、本発明は、これに限られるものではない。
【0143】
図1は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略断面図である。
中間転写ユニット10における未定着像担持体としての中間転写ベルト8の下面に対向して、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y、6M、6C、6Bkが並設されている。作像部6Y、6M、6C、6Bkは、各色に対応した、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bk、及び、現像手段5Y、5M、5C、5Bkを有する。
【0144】
これらの作像部6Y、6M、6C、6Bk、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bk、及び現像手段5Y、5M、5C、5Bkは、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なること以外は、同一の構造である。以下、作像部6Y、6M、6C、及び6Bkを総称して「作像部6」と称することがある。また、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkを総称して「感光体ドラム1」と称することがある。また、現像手段5Y、5M、5C、5Bkを総称して「現像手段5」と称することがある。
【0145】
作像部6は、潜像担持体としての感光体ドラム1と、感光体ドラム1の周囲に配設された図示しない帯電手段、現像手段5、図示しないクリーニング手段等で構成されている。
【0146】
感光体ドラム1上で、作像プロセス(帯電工程、静電潜像形成工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程、除電工程)が行われ、感光体ドラム1上に所望のトナー像が形成される。即ち、感光体ドラム1は、不図示の駆動部によって図中、時計回り方向に回転駆動され、帯電手段の位置で表面が一様に帯電される(帯電工程)。
【0147】
その後、感光体ドラム1の表面は、不図示の露光部から発せられたレーザ光の照射位置に達して、この位置での露光走査によって静電潜像が形成される(静電潜像形成工程)。
【0148】
その後、感光体ドラム1の表面は、現像手段5との対向位置に達し、この位置で静電潜像が現像されて、所望のトナー像が形成される(現像工程)。
【0149】
その後、感光体ドラム1の表面は、中間転写ベルト8及び1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Bkとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト8上に転写される(1次転写工程)。
【0150】
その後、感光体1の表面は、クリーニング手段との対向位置に達し、この位置で感光体ドラム1上に残存した未転写トナーが回収される(クリーニング工程)。
【0151】
クリーニング後、感光体ドラム1の表面は、図示しない除電ローラにより電位を初期化される(除電工程)。こうして、感光体ドラム1上で行われる一連の作像プロセスが終了する。
【0152】
上述した作像プロセスは、図1に示すように、4つの作像部6Y、6M、6C、6Bkで、それぞれ行われる。即ち、作像部6の下方に配設された不図示の露光部(光書き込み装置)から、画像情報に基づいたレーザ光が、各作像部6Y、6M、6C、6Bkの感光体ドラム上に向けて照射される。その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0153】
4つの1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Bkは、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Bkにはトナーの極性とは逆極性の転写バイアスが印加される。中間転写ベルト8は、矢印方向に走行して、各1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Bkの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bk上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される。
【0154】
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8は、2次転写手段としての2次転写ローラ19との対向位置に達する。中間転写ベルト8上に形成されたカラートナー像は、2次転写ニップの位置に移送された記録媒体としての転写紙P上に転写される。こうして、中間転写ベルト8上で行われる、一連の転写プロセスが終了する。
【0155】
装置本体100の下部に配設された給紙部26には、転写紙Pが複数枚重ねて収納されており、給紙コロ27により1枚ずつ分離されて給紙される。給紙された転写紙Pは、レジストローラ対28で一旦停止され、斜めずれを修正された後レジストローラ対28により所定のタイミングで2次転写ニップに向けて移送される。そして、上記のように、2次転写ニップにおいて転写紙P上に、所望のカラー画像が転写される。
【0156】
2次転写ニップの位置でカラー画像を転写された転写紙Pは、定着部20へ移送され、ここで、定着ローラ及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像を定着される。定着を終えた転写紙Pは、排紙ローラ対29により、装置本体上面に形成された排紙部30へ出力画像として排出され、スタックされる。こうして、画像形成装置における一連の画像形成プロセスが完了する。図1において、符号32は、読み取り部を示している。
【0157】
次に、二成分現像剤調製処理及び移送処理について詳細に説明する。図2は、本発明の画像形成装置における現像手段の一例を示す斜視図である。
【0158】
図2に示すように、現像手段5は、感光体ドラム1上の静電潜像を現像する現像部50と、現像部50から離れた位置で現像剤の状態に応じた撹拌を行う撹拌部51と、撹拌部51にトナーを補給するためのトナーカートリッジ52と、撹拌部51の下方に設けられたロータリフィーダ53と、現像剤を空気圧で移送する現像剤循環駆動源としてのエアポンプ54などを有している。なお、図1における現像手段5は、現像部50のみ示している。
【0159】
現像部50と撹拌部51との間は、循環路55で接続され、ロータリフィーダ53と現像部50との間は、循環路56で接続されている。トナーカートリッジ52と撹拌部51は、トナー補給路57で接続され、エアポンプ54とロータリフィーダ53は、管路58で接続されている。図2において、符号59は、トナー補給駆動源としてのモータを、符号60は、攪拌駆動源としてのモータを、符号61は、ロータリフィーダ53の駆動源としてのモータをそれぞれ示している。
【0160】
図5は、本発明の画像形成装置における現像部の断面図である。現像部50は、図5に示すように、現像部を構成するケーシング62と、ケーシング62内に回転可能に支持され、螺旋状のフィンを有する移送スクリュ63、64と、現像ローラ65を有している。ケーシング62内には、攪拌部から移送された二成分現像剤が入っている。移送スクリュ63、64により、現像剤は、ケーシング62内で循環移送される。移送スクリュ63によって、現像剤が図中手前から奥側に移送され、この一部が、現像ローラ65によって磁力で吸い上げ、吸着され、ドクターブレード66で均一な厚さに均されてから、感光体ドラム1に接することで感光体ドラム1上の静電潜像をトナーで現像してトナー像が形成される。
【0161】
現像後の現像剤は、移送スクリュ64の端部に設けられた排出口67(図2参照)から、循環路55を通って撹拌部51に移送される。移送スクリュ64の最下流に図示しないトナー濃度検知手段が設置されており、その信号を基にトナーカートリッジ52からトナー補給が行われる。
【0162】
トナー補給は、モータ59によってトナー補給路57内の図示しないスクリュを回転させることで行われる。トナー補給は、循環経路内で撹拌部51の入り口直前の部位で行われる。
【0163】
撹拌部51では、現像後の現像剤と、補給されたトナーとが混合され適切なトナー濃度と帯電量を持つ現像剤となる。この現像剤は、撹拌部51の下部に形成された排出口70を通り、ロータリフィーダ53に入る。ロータリフィーダ53内のロータ75(図3A)の回転により、現像剤は下方に定量的に排出され、循環路56を通り、受取口68を介して再び現像部50に供給される。
【0164】
図3Aは、本発明の画像形成装置における攪拌部の一例を示す縦(回転軸と平行な方向)断面図であり、図3Bは、図3AのC−C線における水平断面図である。撹拌部51の上面には、補給口69が、下面には排出口70が設けられており、攪拌部本体51aは、排出口70に向かうほど径が細くなる逆円錐型の形状を有している。
【0165】
攪拌部本体51a内の中心には、下から上に現像剤を移送する移送スクリュ71が、その外側には回転可能な2本の攪拌部材72が設けられており、これらの撹拌部材の回転動作によって現像剤が攪拌及び混合される。外側の撹拌部材72と移送スクリュ71は、モータ60によって回転する。移送スクリュ71は、モータ60と直結されており、外側の撹拌部材72は、減速ギヤ列73a〜73dを介して回転する。
【0166】
撹拌部材72は、図3Aに示すように、減速ギヤ列に直結された支持部74に対して斜めに固定されている。撹拌部51での補給口69から、排出口70までの移送は重力を利用している。撹拌部51には、バッファとして常に現像剤が存在するため、未混合の現像剤がそのまま排出されることはない。
【0167】
ロータリフィーダ53は、モータ61によって回転され、放射状に延びる複数の羽根75aを有するロータ75と、ロータ75を覆うステータ76を有している。ロータリフィーダ53と、循環路56及び管路58は継手管路77で接続されている。
【0168】
図4は、撹拌部51における攪拌時の現像剤の流れを表す断面図である。移送スクリュ71の回転によって矢印Aの向きに下から上に持ち上げられた現像剤は、外側を回転する撹拌部材72の回転に伴い矢印Bの向きに移動し、再び移送スクリュ71の周囲に寄せ集められる。このように撹拌部51では、絶えず現像剤が対流している。この対流により、容器内(攪拌部本体51a内)全体が均一に混合される仕組みである。
【0169】
トナーの帯電は、トナーとキャリアの摩擦によって付与されるため、帯電量をすばやく得るためにはトナーとキャリアの接触確率を上げることが重要である。本発明者らの検討によって、撹拌部51内で現像剤が対流することにより接触確率が上がり、かつ、現像剤へのダメージも少ないことがわかった。
【0170】
<用途>
本発明の画像形成方法及び画像形成装置は、トナーとキャリアとが均一に混合された一定濃度の現像剤を調製でき、現像剤にストレスを与えることなく、かつ効率よく適切な帯電量を付与することができ、一定量の現像剤を連続的に安定して効率よく現像部に移送することができるため、各種分野で使用することができ、特に、プリンタ、複写機等の電子写真法による画像形成に好適に使用することができる。
【実施例】
【0171】
以下に本発明の実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、特に明記しない限り、「部」は、「質量部」を表し、「%」は、「質量%」を表す。
【0172】
(製造例A−1:キャリア芯材1の製造)
下記表1に示す成分比となるように、MnCO、Mg(OH)、及びFe粉をそれぞれ秤量し、混合して混合粉を得た。この混合粉を、加熱炉により900℃にて3時間、大気雰囲気下で仮焼し、得られた仮焼物を室温(約25℃)まで冷却後、解砕機で粉砕して、重量平均粒径7μmの粉体を得た(1段目)。
【0173】
この粉体と、該粉体の質量に対して1%の分散剤と、水とを共に加えてスラリーとし、このスラリーをスプレードライヤに供給して造粒し、重量平均粒径約40μmの造粒物を得た(2段目)。
【0174】
この造粒物を焼成炉に装填し、窒素雰囲気下で、1,250℃にて5時間焼成し、得られた焼成物を室温(約25℃)まで冷却後、解砕機で解砕し、篩い分けにより粒度調整を行った(3段目)。これにより、重量平均粒径約35μmの球形フェライト粒子のキャリア芯材1を得た。
このときのSF−2を以下の方法で測定した結果を下記表1に示す。
【0175】
<SF−2の測定>
形状係数SF−2は、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)(S−800、株式会社日立製作所製)を用い、300倍に拡大した粒子像のうち100個を無作為にサンプリングし、その画像情報を、インターフェースを介して、画像解析装置(Luzex AP、ニレコ社製)に導入して画像データを二値化した。この解析結果を用い、下記式(2)より算出し得られた値を形状係数SF−2と定義した。なお、SF−2の値が100に近いほど、真円(球)であることを意味する。
【0176】
SF−2=(P/A)×(1/4π)×100 ・・・式(2)
ただし、前記式(2)において、Pは、芯材を2次平面に投影してできる図形の周囲長を表し、Aは、芯材の投影面積を表す。
【0177】
(製造例A−2:キャリア芯材2の製造)
製造例A−1において、1段目で、重量平均粒径約7μmとなるように粉砕したことに変えて、重量平均粒径約1μmとなるように粉砕したこと以外は、製造例A−1と同様の方法で、重量平均粒径約35μmの球形フェライト粒子のキャリア芯材2を得た。
このときのSF−2を製造例A−1と同様の方法で測定した結果を下記表1に示す。
【0178】
(製造例A−3:キャリア芯材3の製造)
下記表1に示す成分比となるように、MnCO、Mg(OH)、Fe、及びSrCO粉をそれぞれ秤量し、混合して混合粉を得た。この混合粉を、加熱炉により850℃にて1時間、大気雰囲気下で仮焼し、得られた仮焼物を室温(約25℃)まで冷却後、解砕機で粉砕して、重量平均粒径約3μm以下の粉体を得た(1段目)。
【0179】
この粉体と、該粉体の質量に対して1%の分散剤と、水と共に加えてスラリーとし、このスラリーをスプレードライヤに供給して造粒し、重量平均粒径約40μmの造粒物を得た(2段目)。
【0180】
この造粒物を焼成炉に装填し、窒素雰囲気下で、1,120℃にて4時間焼成し、得られた焼成物を室温(約25℃)まで冷却後、解砕機で解砕し、篩い分けにより粒度調整を行った(3段目)。これにより、重量平均粒径約35μmの球形フェライト粒子のキャリア芯材3を得た。
このときのSF−2を製造例A−1と同様の方法で測定した結果を下記表1に示す。
【0181】
(製造例A−4:キャリア芯材4の製造)
製造例A−3において、3段目で、造粒物の焼成温度を、1,120℃に変えて、1,180℃としたこと以外は、製造例A−3と同様の方法で、重量平均粒径約35μmの球形フェライト粒子のキャリア芯材4を得た。
このときのSF−2を製造例A−1と同様の方法で測定した結果を下記表1に示す。
【0182】
(製造例A−5:キャリア芯材5の製造)
製造例A−3において、3段目で、造粒物の焼成温度を、1,120℃に変えて、1,080℃としたこと以外は、製造例A−3と同様の方法で、重量平均粒径約35μmの球形フェライト粒子のキャリア芯材5を得た。このときのSF−2を製造例A−1と同様の方法で測定した結果を下記表1に示す。
【0183】
【表1】

【0184】
(製造例B−1:キャリアコート樹脂1の製造)
撹拌機付きフラスコにトルエン300gを投入して、窒素ガス気流下で90℃まで昇温した。次いで、これに、CH=CMe−COO−C−Si(OSiMe(式中、Meはメチル基である。)で示される3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン84.4g(200mmol:サイラプレーン TM−0701T/チッソ株式会社製)、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン 39g(150mmol)、メタクリル酸メチル65.0g(650mmol)、及び2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.58g(3mmol)の混合物を1時間かけて滴下した。
【0185】
滴下終了後、更に2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.06g(0.3mmol)をトルエン15gに溶解した溶液を加え(2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリルの合計量0.64g=3.3mmol)、90℃〜100℃にて3時間混合し、ラジカル共重合させ、下記構造式(1)で表されるメタクリル系共重合体を得た。これをキャリアコート樹脂1とした。
【0186】
得られたキャリアコート樹脂1の重量平均分子量は、33,000であった。次いで、このキャリアコート樹脂1溶液の不揮発分が25%になるようにトルエンで希釈した。このようにして得られたキャリアコート樹脂1の粘度は、8.8mm/sであり、比重は、0.91であった。
なお、重量平均分子量、不揮発分、粘度、及び比重は、以下の方法で測定した。
【化5】

ただし、前記構造式(1)において、Rは、メチル基を表し、Rは、メチル基を表し、Rは、メチル基を表し、Rは、メチル基を表し、mは、3を表し、X、Y、及びZは、モル比を表す。前記Xは、20モル%であり、前記Yは、15モル%であり、前記Zは、65モル%であり、(Y+Z)=80である。
【0187】
<不揮発分の測定方法>
不揮発分は、1gのキャリアコート樹脂をアルミ皿に秤取り、150℃で1時間加熱した後の質量を測定して、下記式(3)に従って算出した。
不揮発分(%)=(加熱前の質量−加熱後の質量)×100/加熱前の質量 ・・・式(3)
【0188】
<重量平均分子量の測定方法>
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて標準ポリスチレン換算で求めた。
【0189】
<粘度の測定方法>
粘度は、25℃にてJIS−K2283に準じて測定した。
【0190】
<比重の測定方法>
比重は、25℃にてJIS−K0061に準じて測定した。
【0191】
(製造例C−1:導電性粒子1の製造)
数平均粒径0.02μmの酸化スズ微粉末をエタノールに浸漬した後、窒素雰囲気下で加熱し、250℃の温度下で1時間保持することによって表面改質処理を行い、導電性粒子1を得た。
得られた導電性粒子1の体積固有抵抗値及び数平均粒径を以下の方法で測定した結果を下記表2に示す。
【0192】
<体積固有抵抗値の測定方法>
体積固有抵抗値(電気抵抗値)は、図9に示すセルを用いて測定した。具体的には、表面積2.5cm×4cmの電極1a及び電極1bを、0.2cmの距離を隔てて収容したフッ素樹脂製容器2からなるセルに、粉体3を充填し、落下高さ1cm、タッピングスピード30回/分間で、10回のタッピングを行った。次に、電極1a及び1bの間に1,000Vの直流電圧を印加して30秒間後の抵抗値r[Ω]を、ハイレジスタンスメーター4329A(日本ヒューレット・パッカード株式会社製)を用いて測定し、下記式(4)より算出した。
体積固有抵抗値(Ωcm)=r×(2.5×4)/0.2 ・・・式(4)
【0193】
<数平均粒径の測定方法>
導電性微粒子の一次粒子径測定法は、以下手順に従い行った。
100mL容器にトルエンを10mL入れ、測定する試料(分散液)を1mL加え、超音波洗浄機で2分間攪拌した。次いで、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(商品名:LA−950V2、株式会社堀場製作所製))にて下記測定条件で粒子径を測定した。
[測定条件]
透過率(青色バー):85±5%
屈折率:測定粉体(2.000)、溶媒(1.496)
測定方法:バッチ式セル測定
【0194】
(製造例C−2:導電性粒子2の製造)
製造例C−1において、数平均粒径0.02μmの酸化スズ微粉末に代えて、数平均粒径0.3μmの酸化スズ微粉末を用いたこと以外は、製造例C−2と同様の方法で導電性粒子2を得た。得られた導電性粒子2の体積固有抵抗値及び数平均粒径を製造例C−1と同様の方法で測定した結果を下記表2に示す。
【0195】
(製造例C−3:導電性粒子3の製造)
数平均粒径0.3μmの酸化アルミニウム微粉末100gを水1Lに分散させ懸濁液とし、この懸濁液とを70℃に加温した。加温した懸濁液に、塩化第二錫100g及び五酸化リン3gを2N塩酸1Lに溶かした溶液と、12%アンモニア水とを、懸濁液のpHが7〜8になるように2時間かけて滴下した。滴下後、懸濁液を濾過して洗浄し、得られたケーキを110℃で乾燥した。次にこの乾燥粉末を窒素気流中で500℃にて1時間処理し、導電性粒子3を得た。得られた導電性粒子3の体積固有抵抗値及び数平均粒径を製造例C−1と同様の方法で測定した結果を下記表2に示す。
【0196】
(製造例C−4:導電性粒子4の製造)
数平均粒径0.3μmの酸化アルミニウム微粉末100gを水1Lに分散させ懸濁液とし、この懸濁液を70℃に加温した。加温した懸濁液に、塩化第二錫11.6gを2N塩酸1Lに溶かした溶液と、12%アンモニア水とを、懸濁液のpHが7〜8になるように40分間かけて滴下した。続いて、塩化インジウム36.7g及び塩化第二スズ5.4gを2N塩酸450mLに溶かした溶液と、12%アンモニア水とを、懸濁液のpHが7〜8になるように1時間かけて滴下した。滴下後、懸濁液を濾過して洗浄し、得られたケーキを110℃で乾燥した。次にこの乾燥粉末を窒素気流中で500℃にて1時間処理し、導電性粒子4を得た。得られた導電性粒子4の体積固有抵抗値及び数平均粒径を製造例C−1と同様の方法で測定した結果を下記表2に示す。
【0197】
【表2】

【0198】
(製造例D−1:キャリア1の製造)
キャリアコート樹脂2としてのシリコーン樹脂溶液(SR2411、東レダウコーニング社製 固形分20重量%)100部、導電性粒子1 30部、触媒としてチタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)(TC−750、マツモトファインケミカル株式会社製)4部、及びアミノシラン(SH6020、東レダウコーニング製)0.20部を混合した後トルエンで希釈し、固形分10%の樹脂溶液を得た。
【0199】
これをキャリア芯材1の表面に、キャリアコート層の平均膜厚が0.30μmとなるように、流動床型コーティング装置を使用して、流動槽内の温度を70℃に制御して塗布し、乾燥した。次いで、電気炉中で、180℃にて2時間焼成し、室温(約25℃)まで冷却後、目開き63μmの篩を用いて解砕し、キャリアコート層を有するキャリア1を得た。このキャリア1の体積固有抵抗値を、前記キャリア芯材の体積固有抵抗値の測定方法と同様の方法で測定した結果を下記表3に示す。なお、キャリアコート層の膜厚は、以下に示す方法で測定した。
【0200】
<膜厚の測定方法>
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、キャリアの断面を観察して、キャリアコート層の平均膜厚を測定した。
【0201】
(製造例D−2:キャリア2の製造)
製造例D−1において、キャリア芯材1に代えて、キャリア芯材4を用いたこと以外は、製造例D−1と同様の方法でキャリア2を得た。キャリア2の体積固有抵抗値を製造例D−1と同様の方法で測定した結果を下記表3に示す。
【0202】
(製造例D−3:キャリア3の製造)
製造例D−1において、キャリア芯材1に代えて、キャリア芯材4を用い、導電性粒子1に代えて、導電性粒子2を用いたこと以外は、製造例D−1と同様の方法でキャリア3を得た。キャリア3の体積固有抵抗値を製造例D−1と同様の方法で測定した結果を下記表3に示す。
【0203】
(製造例D−4:キャリア4の製造)
製造例D−1において、キャリア芯材1に代えて、キャリア芯材3を用いたこと以外は、製造例D−1と同様の方法でキャリア4を得た。キャリア4の体積固有抵抗値を製造例D−1と同様の方法で測定した結果を下記表3に示す。
【0204】
(製造例D−5:キャリア5の製造)
製造例D−4において、導電性粒子1に代えて、導電性粒子2を用いたこと以外は、製造例D−4と同様の方法でキャリア5を得た。キャリア5の体積固有抵抗値を製造例D−1と同様の方法で測定した結果を下記表3に示す。
【0205】
(製造例D−6:キャリア6の製造)
製造例D−4において、導電性粒子1に代えて、導電性粒子3を用いたこと以外は、製造例D−4と同様の方法でキャリア6を得た。キャリア6の体積固有抵抗値を製造例D−1と同様の方法で測定した結果を下記表3に示す。
【0206】
(製造例D−7:キャリア7の製造)
製造例D−4において、導電性粒子1に代えて、導電性粒子4を用いたこと以外は、製造例D−4と同様の方法でキャリア7を得た。キャリア7の体積固有抵抗値を製造例D−1と同様の方法で測定した結果を下記表3に示す。
【0207】
(製造例D−8:キャリア8の製造)
製造例B−1で得られたキャリアコート樹脂1 100部、導電性粒子4 37部、触媒としてチタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)(TC−750、マツモトファインケミカル株式会社製)5部、及びアミノシラン(SH6020、東レダウコーニング製)0.25部を混合した後トルエンで希釈し、固形分10%の樹脂溶液を得た。
【0208】
これをキャリア芯材3の表面に、キャリアコート層の平均膜厚が0.30μmとなるように、流動床型コーティング装置を使用して、流動槽内の温度を70℃に制御して塗布し、乾燥した。次いで、電気炉中で、180℃にて2時間焼成し、室温(約25℃)まで冷却後、目開き63μmの篩を用いて解砕し、キャリアコート層を有するキャリア8を得た。キャリア8の体積固有抵抗値を製造例D−1と同様の方法で測定した結果を下記表3に示す。
なお、キャリアコート層の平均膜厚は、製造例D−1と同様の方法で測定した。
【0209】
(製造例D−9:キャリア9の製造)
製造例B−1で得られたキャリアコート樹脂1 10部、キャリアコート樹脂2としてのシリコーン樹脂溶液(SR2411、東レダウコーニング社製 固形分20重量%)90部、導電性粒子4 32部、触媒としてチタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)(TC−750、マツモトファインケミカル株式会社製)4部、及びアミノシラン(SH6020、東レダウコーニング製)0.21部を混合した後トルエンで希釈し、固形分10%の樹脂溶液を得た。
【0210】
これをキャリア芯材3の表面に、キャリアコート層の平均膜厚が0.30μmとなるように、流動床型コーティング装置を使用して、流動槽内の温度を70℃に制御して塗布し、乾燥した。次いで、電気炉中で、180℃にて2時間焼成し、室温(約25℃)まで冷却後、目開き63μmの篩を用いて解砕し、キャリアコート層を有するキャリア9を得た。キャリア9の体積固有抵抗値を製造例D−1と同様の方法で測定した結果を下記表3に示す。
なお、キャリアコート層の平均膜厚は、製造例D−1と同様の方法で測定した。
【0211】
(製造例D−10:キャリア10の製造)
製造例D−1において、キャリア芯材1に代えて、キャリア芯材2を用いたこと以外は、製造例D−1と同様の方法でキャリア10を得た。キャリア10の体積固有抵抗値を製造例D−1と同様の方法で測定した結果を下記表3に示す。
【0212】
(製造例D−11:キャリア11の製造)
製造例D−3において、キャリア芯材4に代えて、キャリア芯材2を用いたこと以外は、製造例D−3と同様の方法でキャリア11を得た。キャリア11の体積固有抵抗値を製造例D−1と同様の方法で測定した結果を下記表3に示す。
【0213】
(製造例D−12:キャリア12の製造)
製造例D−1において、キャリア芯材1に代えて、キャリア芯材5を用いたこと以外は、製造例D−1と同様の方法でキャリア12を得た。キャリア12の体積固有抵抗値を製造例D−1と同様の方法で測定した結果を下記表3に示す。
【0214】
【表3】

【0215】
(製造例E−1:トナー1の製造)
下記組成のトナー材料を、ヘンシェルミキサーにより十分混合した後、2軸式押出し機にて溶融混練し、混練物を圧延冷却した。放冷後、カッターミルで粗粉砕し、次いでジェット気流式微粉砕機で微粉砕し、更に風力分級機を用いて分級し、重量平均粒径7.4μmのトナー母体粒子を得た。
更に、このトナー母体粒子100部に対して、疎水性シリカ微粒子(R972、日本アエロジル株式会社製)1.0部を加え、ヘンシェルミキサーで混合して、トナー1を得た。
【0216】
[トナー材料の組成]
・ポリエステル樹脂 100部
[重量平均分子量(Mw)18,000、数平均分子量(Mn)4,000、ガラス転移点(Tg)59℃、軟化点120℃、花王株式会社製]
・離型剤(カルナウバワックス、東亜化成株式会社製) 5部
・カーボンブラック(#44、三菱化学株式会社製) 10部
・含フッ素4級アンモニウム塩 4部
【0217】
(実施例1)
図3A及び図3Bに示す攪拌部と、図5に示す現像部とを有する図2に示す現像手段を設けた図1に示す画像形成装置を用いて画像形成を行った。
即ち、製造例D−1で得られたキャリア1 93部に対し、製造例E−1で得られたトナー1 7部を攪拌部51に添加し、20分間攪拌して現像剤1を作製した(二成分現像剤調製処理)。
【0218】
次に、攪拌部51で攪拌した現像剤1を、ロータリフィーダ53で排出し、エアポンプ54からの空気圧で排出された現像剤1を循環路56内を移送させ(移送処理)、現像部50により、画像面積20%のチャートにて10万枚のランニング(現像)を以下の条件で行った。なお、ランニング中は、現像剤1を循環させ、撹拌部51で初期の帯電量Q1、初期の体積固有抵抗値R1、及び初期の流動性エネルギー量を維持した。
【0219】
[現像条件]
・現像ギャップ(感光体−現像スリーブ):0.3mm
・ドクターギャップ(現像スリーブ−ドクター):0.65mm
・感光体線速度:200mm/秒間
・(現像スリーブ線速度)/(感光体線速度):1.80
・書込み密度:600dpi
・帯電電位(Vd):−600V
・画像部(ベタ原稿)にあたる部分の感光後の電位:−100V
・現像バイアス:DC −500V/交流バイアス成分:2KHz、−100V〜−900V、50%duty
【0220】
二成分現像剤調製処理後、移送処理前の現像剤1の一部を攪拌部51から採取し、下記に示す方法で初期の帯電量の測定、初期の体積固有抵抗値、及び初期の流動性エネルギー量の測定を行った。
また、ランニング(現像)中の現像剤の移送性、並びに、ランニング終了後の現像剤の耐久性として、帯電量変化及び抵抗変化を以下の評価方法で評価した。結果を併せて下記表4に示す。
【0221】
<初期の帯電量、初期の体積固有抵抗値、及び初期の流動性エネルギー量の測定>
−現像剤の初期の帯電量の測定方法−
現像剤の初期の帯電量は、ブローオフ装置(TB−200、東芝ケミカル社製)を用いて測定し、これを現像剤の初期の帯電量Q1とした。
【0222】
−現像剤の初期の体積固有抵抗値の測定方法−
現像剤の初期の体積固有抵抗値は、前記キャリア芯材の体積固有抵抗値測定方法に記載した方法と同様の方法で体積固有抵抗値を測定した。キャリアの初期の体積固有抵抗値をR1とした。
【0223】
−現像剤の初期の流動性エネルギー量の測定方法−
現像剤の流動性エネルギー量は、パウダーレオメーター(FT4、freeman technology社製)を用いて以下の方法で測定した。
まず、内径25mm、高さ59mmの25mL容量の円筒状の第1の容器の上に、内径25mm、高さ22mmの円筒状の第2の容器を載せ、該第1の容器と該第2の容器とが分離可能なスプリット容器に、現像剤を充填した。
【0224】
次に、スプリット容器に回転翼(直径23.5mm径ブレード、freeman technology社製)をセットしたものをパウダーレオメーターにセットし、回転翼の先端部の周速40mm/秒間、回転翼の進入角度−5°で、スプリット容器を上(回転軸に対して垂直な方向)から見たとき、右回りの回転方向で回転させ、かつ、回転軸と平行な方向に上下運動させながらコンディショニングを行った。この操作は、合計4回実施した。
【0225】
コンディショニングが終了後、スプリット容器の第2の容器の上端部を静かに動かし、第1の容器の高さ59mmの位置で現像剤をすり切り、25mL容量を満たす現像剤を得た。これを、測定に用いる、内径25mm、高さ80mmの35mL容量の第3の容器に移した。前記第3の容器内で、前記同様の条件(回転翼の先端部の周速40mm/秒間、回転翼の進入角度−5°)で、1回コンディショニングを行った。
【0226】
次に、前記第3の容器の底面に通気測定キット(freeman technology社製)を装着し、通気速度0.8mm/秒間で空気を通気しながら、回転翼の先端部の周速100mm/秒間、回転翼の進入角度−10°で、前記コンディショニング時と逆方向(回転軸に対して垂直な方向から見たとき、左回りの回転方向)で回転させながら、回転翼を前記第3の容器に充填された現像剤に該回転翼の回転軸と平行な方向(第3の容器の高さ方向)に、進入距離50mmで進入させ、そのときの回転トルクと垂直荷重を測定し、進入距離に対しするエネルギー勾配(mJ/mm)を求め、該エネルギー勾配を積分して得られた面積を流動性エネルギー量として求めた。
なお、コンディショニング及びエネルギー測定の操作のサイクルは、5回行い、5回の平均値の結果を下記表4に示す。
【0227】
<現像剤の移送性、帯電低下量、及び抵抗変化量の評価>
−現像剤の移送性の評価−
現像剤の移送性は、10万枚のランニング中の現像部の現像剤不足による異常発生回数を確認し、下記評価基準に基づき評価した。
[評価基準]
◎:異常発生回数が0回(異常の発生なし)
○:異常発生回数が1回〜10回
×:異常発生回数が11回以上
なお、◎及び○を合格とした。
【0228】
−帯電低下量の評価−
ランニング後の現像剤からトナーを除去することにより得られたキャリア 93部に、製造例E−1で得られたトナー1 7部を加え、図3A及び図3Bに示す攪拌部51に添加して20分間攪拌し現像剤を摩擦帯電させ、この帯電した現像剤を、ブローオフ装置(TB−200、東芝ケミカル社製)を用いて測定した。
現像剤の初期の帯電量をQ1とし、ランニング後の現像剤の帯電量をQ2としたとき、これらの差(Q1−Q2)を用いて下記評価基準に基づき評価した。
[評価基準]
◎:差(Q1−Q2)が5未満
○:差(Q1−Q2)が5以上10以下
×:差(Q1−Q2)が10を超えた
なお、◎及び○を合格とした。
【0229】
−抵抗変化量の評価−
ブローオフ装置(TB−200、東芝ケミカル社製)を用いてランニング後の現像剤からトナーを除去することにより得られたキャリアについて、前記キャリア芯材の体積固有抵抗値測定方法に記載した方法と同様の方法で体積固有抵抗値を測定した。
キャリアの初期の体積固有抵抗値をR1とし、ランニング後のキャリアの体積固有抵抗値をR2としたとき、これらの常用対数の差の絶対値(|LogR1−LogR2|)を用いて下記評価基準に基づき評価した。
[評価基準]
◎:絶対値(|LogR1−LogR2|)が2未満
○:絶対値(|LogR1−LogR2|)が2以上3以下
×:絶対値(|LogR1−LogR2|)が3を超えた
なお、◎及び○を合格とした。
【0230】
(実施例2〜9、比較例1〜3)
実施例1の二成分現像剤調製処理において、製造例D−1で得られたキャリア1に代えて、下記表4に示す製造例D−2〜D−11で得られたキャリア2〜11をそれぞれ用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で実施例2〜9及び比較例1〜3の現像剤2〜12を作製し、実施例1と同様の方法でそれぞれランニング(現像)を行った。
【0231】
現像剤2〜12について、それぞれ実施例1と同様の方法で現像剤の初期の帯電量の測定、現像剤の初期の体積固有抵抗値の測定、及び現像剤の流動性エネルギー量の測定を行った。
また、実施例2〜9及び比較例1〜3のランニング(現像)中の現像剤の移送性、並びに、ランニング終了後の現像剤の耐久性として、帯電量変化及び抵抗変化を、それぞれ実施例1と同様の方法で評価した。結果を併せて下記表4に示す。
【0232】
【表4】

【0233】
表4の結果より、比較例1及び2では、現像剤のパウダーレオメーターの流動性エネルギー量が30mJよりも低く、流動性が高いために現像剤間に空気漏れが発生し、移送処理において、管内を移送する際に現像剤の移送量にバラツキが生じるため、現像剤の移送性が安定しなかった。一方、実施例1〜9は、パウダーレオメーターの流動性エネルギー量を30mJ〜70mJにすることで、現像剤の移送性が安定化した。
【0234】
また、比較例3は、パウダーレオメーターの流動性エネルギー量が70mJを超えていたため、帯電量が低下し、更に現像剤へのストレスが大きくなり抵抗変化量が大きかった。一方、実施例1〜9は、現像剤へのストレスを減らすことによりトナースペントを減らすことができ、帯電量の低下を抑制することができた。
【0235】
抵抗が変化する原因は、キャリアの被覆膜の磨耗、キャリアへのトナーのスペント、キャリアの被覆膜からの粒子の脱離等であるため、トナースペントを減らすことで、抵抗の変化も抑制することができた。
【0236】
本発明の画像形成方法及び画像形成装置は、トナーとキャリアとが均一に混合された一定濃度の現像剤を調製でき、現像剤にストレスを与えることなく、かつ効率よく適切な帯電量を付与することができ、一定量の現像剤を連続的に安定して効率よく現像部に移送することができるため、各種分野で使用することができ、特に、プリンタ、複写機等の電子写真法による画像形成に好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0237】
1 感光体ドラム
1a 電極
1b 電極
1Y 感光体ドラム(イエロー)
1M 感光体ドラム(マゼンタ)
1C 感光体ドラム(シアン)
1Bk 感光体ドラム(ブラック)
2 フッ素樹脂製容器
3 粉体
4 ブレード
5 現像手段
5Y 現像手段(イエロー)
5M 現像手段(マゼンタ)
5C 現像手段(シアン)
5Bk 現像手段(ブラック)
6 作像部
6Y 作像部(イエロー)
6M 作像部(マゼンタ)
6C 作像部(シアン)
6Bk 作像部(ブラック)
8 中間転写ベルト
9Y 1次転写バイアスローラ(イエロー)
9M 1次転写バイアスローラ(マゼンタ)
9C 1次転写バイアスローラ(シアン)
9Bk 1次転写バイアスローラ(ブラック)
10 中間転写ユニット
19 2次転写ローラ
20 定着部
26 給紙部
27 給紙コロ
28 レジストローラ対
29 排紙ローラ対
30 排紙部
32 読み取り部
50 現像部
51 攪拌部
51a 攪拌部本体
52 トナーカートリッジ
53 ロータリフィーダ
54 エアポンプ
55 循環路
56 循環路
57 トナー補給路
58 管路
59 トナー補給駆動源としてのモータ
60 攪拌駆動源としてのモータ
61 ロータリフィーダ53の駆動源としてのモータ
62 ケーシング
63 移送スクリュ
64 移送スクリュ
65 現像ローラ
66 ドクターブレード
67 排出口
68 受取口
69 補給口
70 排出口
71 移送スクリュ
72 攪拌部材
73a 減速ギヤ列
73b 減速ギヤ列
73c 減速ギヤ列
73d 減速ギヤ列
74 支持部
75 ロータ
75a 羽根
76 ステータ
77 継手管路
100 本体装置
150 現像部
163 スクリュ
164 スクリュ
P 転写紙
R 回転軸
【先行技術文献】
【特許文献】
【0238】
【特許文献1】特許第3734096号公報
【特許文献2】特開2008−299217号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像担持体を帯電させる帯電工程と、
前記帯電された静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を、該トナーと該キャリアとを攪拌して流動性エネルギー量が30mJ〜70mJとなるように調製する二成分現像剤調製処理と、攪拌後の前記二成分現像剤を定期的に排出し、空気圧を利用して現像部に移送する移送処理と、を含み、移送された前記二成分現像剤を用いて前記静電潜像担持体上に形成された静電潜像を前記現像部で現像して可視像を形成する現像工程と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、
前記記録媒体に転写された転写像を定着部材により定着させる定着工程と、
を含む画像形成方法であって、
前記流動性エネルギー量が、通気手段及び回転翼を有するパウダーレオメーターにおいて、通気速度0.8mm/秒間で通気しながら、前記回転翼の先端部の周速100mm/秒間、前記回転翼の進入角度−10°で該回転翼を回転させながら、容器に充填された前記二成分現像剤に該回転翼の回転軸と平行な方向に進入させ、前記二成分現像剤中を50mm進入させた場合の、回転トルクと垂直荷重との総和から得られる総エネルギー量であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
二成分現像剤の流動性エネルギー量が、40mJ〜70mJである請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
キャリアの芯材の形状係数SF−2が130〜160である請求項1から2のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項4】
キャリアが、表面にキャリアコート樹脂を含むキャリアコート層を有し、該キャリアコート層が、平均粒径0.1μm〜0.5μmのフィラーを含有する請求項1から3のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項5】
フィラーが、アルミナを含む基体の表面に導電性被覆層を有する導電性微粒子である請求項4に記載の画像形成方法。
【請求項6】
キャリアコート樹脂が、シリコーン樹脂である請求項4から5のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項7】
キャリアコート樹脂が、下記一般式(1)で表される共重合体を含む請求項4から6のいずれかに記載の画像形成方法。
【化1】

ただし、前記一般式(1)において、Rは、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、Rは、炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、Rは、炭素数1〜8のアルキル基及び炭素数1〜4のアルコキシ基のいずれかを表し、Rは、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基及びアルキル基のいずれかを表し、mは、1〜8の整数を表し、X、Y、及びZは、モル比を表す。前記Xは、10モル%〜40モル%であり、前記Yは、10モル%〜40モル%であり、前記Zは、30モル%〜80モル%であり、前記Yと前記Zとの和(Y+Z)は、60モル%超え90モル%未満である。
【請求項8】
静電潜像担持体を帯電させる帯電手段と、
前記帯電された静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を、該トナーと該キャリアとを攪拌して流動性エネルギー量が30mJ〜70mJとなるように調製する二成分現像剤調製部と、攪拌後の前記二成分現像剤を定期的に排出し、空気圧を利用して現像部に移送する移送部と、を有し、移送された前記二成分現像剤を用いて前記静電潜像担持体上に形成された静電潜像を前記現像部で現像して可視像を形成する現像手段と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に転写された転写像を定着部材により定着させる定着手段と、
を有する画像形成装置であって、
前記流動性エネルギー量が、通気手段及び回転翼を有するパウダーレオメーターにおいて、通気速度0.8mm/秒間で通気しながら、前記回転翼の先端部の周速100mm/秒間、前記回転翼の進入角度−10°で該回転翼を回転させながら、容器に充填された前記二成分現像剤に該回転翼の回転軸と平行な方向に進入させ、前記二成分現像剤中を50mm進入させた場合の、回転トルクと垂直荷重との総和から得られる総エネルギー量であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−24919(P2013−24919A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156768(P2011−156768)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】