説明

画像形成装置、並びに、画像形成装置の状態管理システム及び状態判別方法

【課題】互いに異なる複数種類の状態情報それぞれを、その種類に適した頻度で、画像形成装置から状態判別装置等の管理装置へ送信することを可能にする。
【解決手段】複写機101は、当該複写機の状態を示す状態情報を管理する管理装置104に対し、通信ネットワークを介して通信可能に接続されるものであり、各現像装置の状態情報を状態情報取得部111が取得すると、各現像装置の回転数がそれぞれの閾値を越えるという条件を満たすか否かを送信タイミング決定部114が判断し、閾値を越えたタイミングで、状態情報送信部113がその現像装置の状態情報を通信ネットワークを介して管理装置へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の状態を示す状態情報を管理し、必要に応じて当該状態情報に基づいて当該画像形成装置の状態が異常であるか否かを判別する管理装置に対して通信ネットワークを介して通信可能に接続される画像形成装置、並びに、その状態管理システム及び状態判別方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の状態管理システムとしては、例えば、画像形成装置から出力される各種状態情報を通信ネットワークを介して管理装置(状態判別装置)で受信するものが知られている。
例えば、特許文献1には、各画像形成装置の故障発生情報とその際の状態情報を、通信ネットワーク上のサーバ(管理装置)に集約し、サーバで統計処理にて特定の故障に共通する原因を発見するための状態管理システムが開示されている。
また、例えば、特許文献2には、画像形成装置上のセンサ情報(状態情報)をサーバ(管理装置)に一旦集約し、サーバの豊富な計算機資源を使うことで、故障原因の特定を行う状態管理システムが開示されている。
また、例えば、特許文献3には、複数の画像形成装置とホストマシン(管理装置)とをインターネットを介して相互に接続し、ホストマシンが画像形成装置から異常状態の通知を受けると、異常状態にある画像形成装置に対し、所定の日時に達するまで初期通信間隔βより短い通信間隔αで定期的な稼働情報(状態情報)の通知を行うよう指示し、異常状態にない複写機に対しては、所定の日時に達するまで初期通信間隔βより長い通信間隔γで定期的な稼働情報の通知を行うよう指示する状態管理システムが開示されている。
また、例えば、特許文献4には、複数の画像形成装置と管理装置(管理装置)とをネットワークを介して相互に接続し、画像形成装置ではセンサ手段の出力に基づいて自己の動作状態が適正状態であるか不適正状態であるかを判断し、適正状態では第1の期間毎に不適正状態では第1の期間より短い第2の期間毎に予め定められた送信時期に、各状態の内容をそれぞれ示す管理情報(状態情報)を管理装置へ送信する状態管理システムが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平5−164800号公報
【特許文献2】特開平11−65874号公報
【特許文献3】特開2005−242564号公報
【特許文献4】特開平3−27062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成装置の状態情報の中には、その内容が頻繁に変化する種類の状態情報と、あまり変化しない種類の状態情報とが混在する。例えば、電子写真方式のカラー画像形成装置における現像装置において、一般に、黒用の現像装置は出力画像がモノクロの場合でもカラーの場合でも駆動するが、他色の現像装置は出力画像がカラーの場合には駆動するがモノクロの場合には駆動しない。よって、モノクロ画像の出力頻度が高い使用状況下においては、黒用の現像装置の駆動に関する状態情報は頻繁に変化するが、他色の現像装置の駆動に関する状態情報はあまり変化しない。内容が頻繁に変化する種類の状態情報については、収集頻度を高めることにより、その状態情報を用いた各種処理の処理精度を高めたり、その処理が異常判別処理である場合には異常状態を見逃がすケースを少なくしたりすることが望まれる。これに対し、内容があまり変化しない種類の状態情報については、その収集頻度を高くしても、その状態情報を用いた各種処理の処理精度が高まったり異常状態を見逃がすケースを少なくなったりする効果があまり期待できない。よって、内容があまり変化しない種類の状態情報については、通信ネットワークや画像形成装置及び管理装置の負荷を考慮して、その収集頻度を低くする方が好ましい。
【0005】
また、管理装置で異常判別処理を行う場合、判別対象となり得る異常状態の種類は多種多様であり、各種異常状態の発生確率は、高いものから低いものまで様々である。発生確率が高い異常状態を判別する上では、異常状態を見逃がすケースを少なくするために、その異常状態を判別する種類の状態情報を高い頻度で収集するのが好ましい。一方、発生確率が低い異常状態の判別に関しては、異常状態を見逃がすケースがもともと少ないため、通信ネットワークや画像形成装置及び管理装置(状態判別装置)の負荷を考慮して、その異常状態を判別する種類の状態情報の収集頻度を低くする方が好ましい。
【0006】
ところが、従来の状態管理システムは、互いに種類の異なる複数の状態情報であっても、同じ頻度で画像形成装置から管理装置へ送信するものであった。そのため、従来の状態管理システムでは、変化度合いが互いに異なる状態情報の種類や故障発生確率が互いに異なる異常状態の種類に応じて、状態情報の収集頻度を変えるというようなことができない。
【0007】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、互いに異なる複数種類の状態情報それぞれを、その種類に適した頻度で、画像形成装置から状態判別装置等の管理装置へ送信することを可能にする画像形成装置並びにその状態管理システム及び状態判別方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、画像形成装置の状態を示す状態情報を管理する管理装置に対し、通信ネットワークを介して通信可能に接続される画像形成装置において、複数種類の状態情報を取得する状態情報取得手段と、所定の決定条件に従って、該状態情報取得手段が取得した複数種類の状態情報が互いに異なるタイミングで上記管理装置へ送信されるように、該複数種類の状態情報それぞれの送信タイミングを決定する送信タイミング決定手段と、該状態情報取得手段が取得した複数種類の状態情報を、それぞれ該送信タイミング決定手段が決定した各送信タイミングで、上記通信ネットワークを介して上記管理装置へ送信する状態情報送信手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、当該画像形成装置における複数の内部装置の駆動時間を把握するための駆動時間関連情報を取得する駆動時間関連情報取得手段を有し、上記状態情報取得手段は、該複数の内部装置についての状態情報を取得するものであり、上記送信タイミング決定手段は、該駆動時間関連情報取得手段が取得した駆動時間関連情報の各値が所定の閾値を越えて変化したタイミングに基づき、該閾値を越えて変化した駆動時間関連情報に対応する内部装置の状態情報の送信タイミングを決定することを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の画像形成装置において、上記複数の内部装置は、それぞれ、互いに独立して回転可能な複数の回転体を有するものであり、上記駆動時間関連情報取得手段は、該複数の回転体の回転駆動情報を、対応する内部装置における駆動時間関連情報として取得するものであることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記状態情報送信手段は、上記複数種類の状態情報の少なくとも1種類については、その状態情報を送信するときに、該複数種類の状態情報に含まれない上記管理装置へ送信すべき他の情報も一緒に送信することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、操作を受け付ける操作受付手段と、該操作受付手段が受け付けた条件変更操作の内容に従って、上記所定の決定条件を変更する条件変更手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、通信ネットワークを介して条件変更情報を受信する条件変更情報受信手段と、該条件変更情報受信手段が受信した条件変更情報に従って、上記所定の決定条件を変更する条件変更手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の画像形成装置において、当該画像形成装置の使用状況情報を取得するための使用状況情報取得手段と、当該画像形成装置の環境情報を取得するための環境情報取得手段と、該使用状況情報及び該環境情報を所定のタイミングで通信ネットワークを介して上記管理装置へ送信する情報送信手段とを有し、上記条件変更情報受信手段は、該情報送信手段が送信した使用状況情報及び環境情報から算出される複数種類の故障の発生確率に基づいて決定された上記複数種類の状態情報ごとの条件変更情報を、通信ネットワークを介して受信するものであることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、画像形成装置と管理装置とを通信ネットワークを介して互いに通信可能に接続した状態管理システムであって、上記画像形成装置は、当該画像形成装置の複数種類の状態をそれぞれ示す複数種類の状態情報を取得する状態情報取得手段と、所定の決定条件に従って、該状態情報取得手段が取得した複数種類の状態情報それぞれの送信タイミングを決定する送信タイミング決定手段と、該状態情報取得手段が取得した複数種類の状態情報を、それぞれ該送信タイミング決定手段が決定した各送信タイミングで、上記通信ネットワークを介して上記管理装置へ送信する状態情報送信手段とを有し、上記管理装置は、上記画像形成装置の状態情報送信手段が送信する複数種類の状態情報を通信ネットワークを介して受信する状態情報受信手段と、該状態情報受信手段が受信した複数種類の状態情報を記憶する状態情報記憶手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項8の状態管理システムにおいて、上記画像形成装置は、当該画像形成装置の使用状況情報を取得するための使用状況情報取得手段と、当該画像形成装置の環境情報を取得するための環境情報取得手段と、該使用状況情報及び該環境情報を所定のタイミングで通信ネットワークを介して上記管理装置へ送信する情報送信手段と、通信ネットワークを介して条件変更情報を受信する条件変更情報受信手段と、該条件変更情報受信手段が受信した条件変更情報に従って、上記所定の決定条件を変更する条件変更手段とを有し、上記管理装置は、上記画像形成装置の情報送信手段が送信した使用状況情報及び環境情報を通信ネットワークを介して受信する情報受信手段と、上記状態情報記憶手段に記憶された状態情報に基づいて、該画像形成装置の状態が異常であるか否かを判別する判別手段と、該判別手段が異常であると判別したときに、その異常状態に対応する種類の故障の発生確率を、該情報受信手段が受信した使用状況情報及び環境情報に基づいて算出する故障発生確率算出手段と、該故障発生確率算出手段が算出した種類の故障の発生確率に基づいて、該種類の故障に対応する種類の状態情報の送信タイミングを決定する決定手段と、該種類の状態情報の送信タイミングを該決定手段が決定した送信タイミングにするための条件変更情報を、通信ネットワークを介して上記画像形成装置へ送信する条件変更情報送信手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項9の状態管理システムにおいて、上記決定手段は、該故障発生確率算出手段が算出した種類の故障の発生確率が高いほど該種類の故障に対応する種類の状態情報の送信頻度が高まるように、該種類の状態情報の送信タイミングを決定することを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、画像形成装置の状態を判別するために用いる状態情報に基づいて該画像形成装置の状態が異常であるか否かを判別する状態判別装置に対し、通信ネットワークを介して通信可能に接続される画像形成装置の状態判別方法であって、上記画像形成装置における複数種類の状態情報を、通信ネットワークを介して上記状態判別装置へ送信する状態情報送信工程と、上記画像形成装置における使用状況情報及び環境情報を、所定のタイミングで通信ネットワークを介して上記状態判別装置へ送信する情報送信工程と、該状態情報送信工程で送信された複数種類の状態情報に基づいて、該画像形成装置の状態が異常であるか否かを上記状態判別装置で判別する判別工程と、該判別工程で異常であると判別された場合に、その異常状態に対応する種類の故障の発生確率を、上記情報送信工程で送信された使用状況情報及び環境情報に基づいて算出する故障発生確率算出工程と、該故障発生確率算出工程で算出された種類の故障の発生確率に基づいて、該種類の故障に対応する種類の状態情報の送信タイミングを決定する送信タイミング決定工程とを有し、上記状態情報送信工程では、上記複数種類の状態情報を、それぞれ該送信タイミング決定工程で決定された各送信タイミングで、通信ネットワークを介して上記状態判別装置へ送信することを特徴とするものである。
【0009】
本発明においては、状態情報取得手段で取得する複数種類の状態情報の送信タイミングを、所定の決定条件に従い、その状態情報の種類間で互いに異なるタイミングにすることができる。よって、所定の決定条件を適切に設定することで、各種類の状態情報を、その種類に適した頻度で、画像形成装置から状態判別装置等の管理装置へ送信することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、互いに異なる複数種類の状態情報それぞれを、その種類に適した頻度で、画像形成装置から状態判別装置等の管理装置へ送信することが可能となるので、上述した問題を解決することが可能となるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
〔実施形態1〕
以下、本発明を、画像形成装置としての電子写真方式の複写機と、その複写機の提供者(メーカー)により管理運営される管理装置及び端末装置とから構成される状態判別システムとしての故障予測システムに適用した一実施形態(以下、本実施形態を「実施形態1」という。)について説明する。
本実施形態の故障予測システムは、複数の複写機から定期的に送信される状態情報を管理装置の判別手段としての状態情報解析部で解析し、故障が予測された場合にサービスセンターの端末装置にメンテナンス情報を送信するシステムである。端末装置は、サービスマンが携帯する装置であっても、サービス拠点に設置される据え置き型の装置でもよい。
なお、本実施形態では、複写機の故障を予測する故障予測システムを例に挙げて説明するが、状態情報を解析するシステムであれば、故障診断システムなど、他のシステムであっても同様である。
【0012】
まず、本実施形態に係る故障予測システム全体の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る故障予測システム全体の概略構成図である。
複数の複写機101は、それぞれ、使用者の事務所等の使用場所に設置されたものであり、それぞれ、データ通信装置102及び通信回線103等で構成される通信ネットワークを介して管理センターに設置された管理装置104に接続されている。また、管理装置104は、通信回線105を介して、各サービスセンター(サービス拠点)に設けられている端末装置106にも接続されている。通信回線103,105としては、LAN、WAN、電話回線等の回線網で構成することができ、インターネットを利用することもできる。
【0013】
図2は、本実施形態における管理装置の概略構成を示す説明図である。
図2において、管理装置104は、コンピュータであるので、ディスプレイ104a、キーボード104b、プログラム読取装置(具体的にはFDDなど)104c、および演算処理装置104dなどで構成されている。演算処理装置104dは、種々のコマンドを実行可能なCPU104eと、情報記憶部(RAM104f、ROM104g)と、大容量記憶装置であるDISK(ここでは固定ディスクのことを意味する。)104hと、ネットワーク上の機器と通信を行うNIC(Network InterfaceCard)104iと、周辺機器と情報をやりとりするためのI/Oコントローラ(USB、SCSIポートなどを装備)104jと、を装備している。図中のDISK104hには、故障予測を行うための各プログラムが納められている。情報記憶部は、RAM104f、ROM104g以外に、ハードディスク、フラッシュメモリなどで構成されてもよい。ネットワーク経由で収集した各種状態情報に関しては、多数の複写機101について過去の履歴も含めて記録するのでデータ量が膨大になる。各プログラムから各複写機101の状態情報のデータへ共通してアクセスできるように構成する必要があるため、データに関しては、プログラムから独立したデータベースとして管理・構成するのがよい。なお、本実施形態では、データベースとプログラムを実行する部分とを単一の管理装置104で構成しているが、データベースを分離してデータベースサーバとして管理装置104とは別構成としてもよい。
【0014】
次に、複写機の構成例及びその動作について説明する。
図3は、本複写機の主要部を示すブロック図である。
本複写機は、複写機全体の制御を司る制御手段としての制御部1を備えており、制御部1は、演算手段たるCPU1aと、情報記憶部とを備えている。情報記憶部は、データを記憶するRAM、ROM、HDD(Hard Disk Drive )等で構成され、本実施形態では、例えば、システムOS、コピー、ファクシミリ、プリンタプロセスに必要な各種制御プログラム、プリンタのPDL(Page Description Language )処理系、システムの初期設定値等を納めたROM1bや、ワークメモリ用のRAM1c等で構成されている。操作表示部3は、文字情報等を表示する液晶ディスプレイ等から構成される表示部や、テンキー等などによって操作者から入力情報を受け付けて制御部1に送る操作受付手段としての操作部などから構成されている。操作部は、使用者等によって操作されるタッチパネル、ボタン、スイッチ類等で構成される。なお、図示していないが、本複写機がファクシミリ機能を持つ場合には、回線制御部(モジュラージャック、NCUすなわちNetwork Control Unit)を併せ持つ。
【0015】
図4は、本実施形態に係る電子写真方式を用いた画像形成装置である複写機の構成図である。
この複写機の画像形成手段としての画像形成システム6は、複写機本体であるプリンタ部100と、給紙部200と、スキャナ部300と、原稿搬送部400とを備えている。スキャナ部300はプリンタ部100上に取り付けられ、そのスキャナ部300の上に原稿自動搬送装置(ADF)からなる原稿搬送部400が取り付けられている。また、複写機内の各装置の動作を制御する上述した制御部1も備えている。
【0016】
スキャナ部300は、コンタクトガラス32上に載置された原稿の画像情報を読取センサ36で読み取り、読み取った画像情報を制御部に送る。制御部は、スキャナ部300から受け取った画像情報に基づき、プリンタ部100の露光装置21内に配設された図示しないレーザやLED等を制御して感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cに向けてレーザ書き込み光Lを照射させる。この照射により、感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cの表面には静電潜像が形成され、この潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。
【0017】
プリンタ部100は、露光装置21の他、一次転写装置62、二次転写装置22、定着装置25、排紙装置、図示しないトナー供給装置、トナー供給装置等も備えている。なお、上記現像プロセスについては後に詳述する。
【0018】
給紙部200は、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44、給紙カセットから記録媒体としての転写紙を繰り出す給紙ローラ42、繰り出した転写紙Pを分離して給紙路46に送り出す分離ローラ45、プリンタ部100の給紙路48に転写紙Pを搬送する搬送ローラ47等を備えている。本実施形態の装置においては、この給紙部以外に、手差し給紙も可能となっており、手差しのための手差しトレイ51、手差しトレイ上の転写紙Pを手差し給紙路53に向けて一枚ずつ分離する分離ローラ52も装置側面に備えている。レジストローラ49は、それぞれ給紙カセット44又は手差しトレイ51に載置されている転写紙Pを1枚だけ排出させ、中間転写体としての中間転写ベルト10と2次転写装置22との間に位置する二次転写ニップ部に送る。
【0019】
上記構成において、カラー画像のコピーをとるとき、原稿搬送部400の原稿台30上に原稿をセットするか、又は原稿搬送部400を開いてスキャナ部300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿搬送部400を閉じて原稿を押さえる。そして、図示しないスタートスイッチを押すと、原稿搬送部400に原稿をセットしたときは原稿をコンタクトガラス32上へと搬送して後、他方コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは直ちに、スキャナ部300を駆動し、第1走行体33及び第2走行体34を走行する。そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入れ、画像情報を読み取る。そして、スキャナ部から画像情報を受け取ると、上述のようなレーザ書き込みや、後述する現像プロセスを実施させて感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40C上にトナー像を形成させるとともに、画像情報に応じたサイズの転写紙Pを給紙させるべく、4つのレジストローラのうちの1つを作動させる。
また、これに伴なって、不図示の駆動モータで支持ローラ14、15、16の1つを回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転し、中間転写ベルト10を回転搬送する。同時に、個々の画像形成ユニット18でその感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cを回転して各感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40C上にそれぞれ、ブラック・イエロー・マゼンタ・シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写ベルト10の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写ベルト10上に合成カラー画像を形成する。
【0020】
一方、給紙部200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、給紙カセット44の1つから転写紙Pを繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47でプリンタ部100内の給紙路48に導き、この転写紙Pをレジストローラ49に突き当てて止める。又は、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上の転写紙Pを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。そして、中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写ベルトと二次転写ローラ23との当接部である二次転写ニップ部に転写紙Pを送り込み、ニップに形成されている転写用電界や当接圧力などの影響によってカラー画像を二次転写して転写紙P上にカラー画像を記録する。
【0021】
画像転写後の転写紙Pは、2次転写装置の搬送ベルト24で定着装置25へと送り込み、定着装置25で加圧ローラ27による加圧力と熱の付与によりトナー像を定着させた後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
【0022】
次に、本実施形態の複写機におけるプリンタ部100の詳細について説明する。
図5は、プリンタ部100の主要部拡大図である。このプリンタ部100は、中間転写ベルトとしての3つの支持ローラ14,15,16に指示された中間転写ベルト10と、中間転写ベルトに対向するよう併設され、表面にブラック、イエロー、マゼンタ、シアンのうちの1色のトナー像をそれぞれ担持する潜像担持体としての4つの感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cと、感光体ドラム表面にトナー像を形成するための現像手段としての現像ユニット61Bk、61Y、61M、61Cとを備えている。更に、感光体ドラム表面から一次転写後に残留しているトナーを除去する感光体クリーニング装置63Bk、63Y、63M、63Cも備えている。上記複数の感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40C、現像ユニット61Bk、61Y、61M、61C、そして、感光体クリーニング装置63Bk、63Y、63M、63Cからなる4つの画像形成ユニット18Bk、18Y、18M、18Cによってタンデム画像形成装置20が構成されている。また、支持ローラ15の向かって左に、トナー像を転写紙上に転写した後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去するベルトクリーニング装置17を備えている。
【0023】
クリーニング装置17には、クリーニング部材として2つのファーブラシ90、91を設けている。ファーブラシ90、91は、φ20mm、アクリルカーボン、6.25D/F、10万本/inch2、1×107Ωのものを使用し、中間転写ベルト10に対して接触してカウンタ方向に回転するように設ける。そして、それぞれのファーブラシ90、91には、図示しない電源から各々異なる極性のバイアスを印加する。そして、これらのファーブラシ90、91には、それぞれ金属ローラ92、93を接触させ、ファーブラシに対して順または逆方向に回転可能に設けている。
【0024】
本実施形態において、中間転写ベルト10の回転方向上流側の金属ローラ92に電源94から(−)電圧を印加し、下流側の金属ローラ93に電源95から(+)電圧を印加する。それらの金属ローラ92、93には、それぞれブレード96、97の先端を押し当てている。そして、中間転写ベルト10の矢印方向への回転とともに、はじめ上流側のファーブラシ90を用いて例えば(−)のバイアスを印加して中間転写ベルト10表面のクリーニングを行う。仮に、金属ローラ92に−700V印加すると、ファーブラシ90は−400Vとなり、中間転写ベルト10上の(+)トナーをファーブラシ90側に転移させることができる。ファーブラシ側に転移させたトナーをさらに電位差によりファーブラシ90から金属ローラ92に転移させ、ブレード96により掻き落とす。
このように、ファーブラシ90で中間転写ベルト10上のトナーを除去するが、中間転写ベルト10上にはまだ多くのトナーが残っている。それらのトナーは、ファーブラシ90に印加される(−)のバイアスにより、(−)に帯電される。これは、電荷注入または放電により帯電されるものと考えられる。次いで下流側のファーブラシ91を用いて今度は(+)のバイアスを印加してクリーニングを行うことにより、それらのトナーを除去することができる。除去したトナーは、電位差によりファーブラシ91から金属ローラ93に転移させ、ブレード97により掻き落とす。ブレード96、97で掻き落としたトナーは、不図示のタンクに回収される。これらのトナーは、後述のトナーリサイクル装置を用いて現像装置61に戻すようにしてもよい。
【0025】
ファーブラシ91でクリーニングされた後の中間転写ベルト10表面は、ほとんどのトナーが除去されているがまだ少しのトナーが残っている。これらの中間転写ベルト10上に残ったトナーは、上述したようにファーブラシ91に印加される(+)のバイアスにより、(+)に帯電される。(+)に帯電されたトナーは、1次転写位置で印加される転写電界により感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40C側に転写され、感光体クリーニング装置63で回収することができる。
【0026】
中間転写ベルト10を挟んでタンデム画像形成装置20と反対の側には、2次転写装置22を備える。この2次転写装置22は、本実施形態においては、2つのローラ23間に、2次転写ベルト24を掛け渡して構成し、中間転写ベルト10を介して第3の支持ローラ16に押し当てて配置し、二次転写ニップ部を形成して中間転写ベルト10上のカラートナー画像を転写紙上に二次転写する。二次転写後の中間転写ベルト10は、ベルトクリーニング装置17で、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーが除去され、タンデム画像形成装置20による再度の画像形成に備える。上述した2次転写装置22には、画像転写後の転写紙Pを定着装置25へと搬送する転写紙P搬送機能も備えてなる。もちろん、2次転写装置22として、転写ローラや非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、この転写紙P搬送機能を併せて備えることは難しくなる。
【0027】
レジストローラ49は一般的には接地されて使用されることが多いが、転写紙Pの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。例えば、導電性ゴムローラを用いバイアスを印加する。径φ18mmで、表面を1mm厚みの導電性NBRゴムとする。電気抵抗はゴム材の体積抵抗で10×109Ω・cm程度であり、印加電圧はトナーを転写する側(表側)には−800V程度の電圧が印加されている。又、紙裏面側は+200V程度の電圧が印加されている。
【0028】
一般的に中間転写方式は紙粉が感光体ドラムにまで移動しづらいため、紙粉転写を考慮する必要が少なくアースになっていても良い。また、印加電圧として、DCバイアスが印加されているが、これは転写紙Pをより均一帯電させるためDCオフセット成分を持ったAC電圧でも良い。このようにバイアスを印加したレジストローラ49を通過した後の紙表面は、若干マイナス側に帯電している。よって、中間転写ベルト10から転写紙Pへの転写では、レジストローラ49に電圧を印加しなかった場合に比べて転写条件が変わり転写条件を変更する場合がある。
【0029】
なお、本実施例においては、2次転写装置22および定着装置25の下に、上述したタンデム画像形成装置20と平行に、転写紙Pの両面に画像を記録すべく転写紙Pを反転する転写紙反転装置28(図4参照)を備えている。これによって、転写紙の片面に画像定着後に、切換爪で転写紙の進路を転写紙反転装置側に切り換え、そこで反転させて再び維持転写ニップでトナー像を転写させた後、排紙トレイ上に排紙させるようにしても良い。
【0030】
次に、上記タンデム画像形成装置20について説明する。
図6は、タンデム画像形成装置20の部分拡大図である。4つ画像形成ユニット18Bk、18Y、18M、18Cにおいては、同一の構成からなっているので、4つのカラー記号Bk、Y、M、Cを省略し1つのユニットの構成の詳細を説明する。図13に示すように、この画像形成ユニットは、感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cのまわりに、帯電手段としての帯電装置60、現像装置61、一次転写手段としての一次転写装置62、感光体クリーニング装置63、除電装置64等を備えている。上記感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cは、図示例では、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材を塗布し、感光層を形成したドラム状であるが、無端ベルト状であってもよい。
【0031】
また、図示を省略するが、少なくとも感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cを設け、画像形成ユニット18を構成する部分の全部または一部でプロセスカートリッジを形成し、プリンタ部100に対して一括して着脱自在としてメンテナンス性を向上するようにしてもよい。また、画像形成ユニット18を構成する部分のうち、帯電装置60は、図示例ではローラ状につくり、感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cに接触して電圧を印加することによりその感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cの帯電を行う。勿論、非接触のスコロトロンチャージャで帯電を行うことも出来る。
【0032】
現像装置61は、一成分現像剤を使用してもよいが、図示例では、磁性キャリアと非磁性トナーとよりなる二成分現像剤を使用している。そして、その二成分現像剤を攪拌しながら搬送して現像スリーブ65に二成分現像剤を供給付着させる攪拌部66と、その現像スリーブ65に付着した二成分現像剤のうちのトナーを感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cに転移する現像部67とを設け、その現像部67より攪拌部66を低い位置としている。
攪拌部66には、平行な2本のスクリュ68を設けており、2本のスクリュ68の間は、両端部を除いて仕切り板69で仕切っている。また、現像ケース70にトナー濃度センサ71を設けている。
現像部67には、現像ケース70の開口を通して感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cと対向して現像スリーブ65を設けるとともに、その現像スリーブ65内にマグネット72を固定して設ける。また、その現像スリーブ65に先端を接近してドクタブレード73を設けている。図示例では、ドクタブレード73と現像スリーブ65間の最接近部における間隔は500μmに設定している。
【0033】
現像スリーブ65は、非磁性の回転可能なスリーブ状の形状を持ち、内部には複数のマグネット72を配設している。マグネット72は、固定されているために現像剤が所定の場所を通過するときに磁力を作用させられるようになっている。図示例では、現像スリーブ65の直径をφ18mmとし、表面はサンドブラストまたは1〜数mmの深さを有する複数の溝を形成する処理を行い、表面粗さ(Rz)が10〜30μmの範囲に入るように形成されている。
【0034】
マグネット72は、例えば、ドクタブレード73の箇所から現像スリーブ65の回転方向にN1、S1、N2、S2、S3の5磁極を有する。現像剤は、マグネット72により磁気ブラシを形成され、現像スリーブ65上に担持される。現像スリーブ65は、現像剤の磁気ブラシを形成したマグネット72のS1側の領域に、感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cに対向して配設されている。
【0035】
以上の構成によって、2成分現像剤を2本のスクリュ68で攪拌しながら搬送循環し、現像スリーブ65に供給する。現像スリーブ65に供給された現像剤は、マグネット72により汲み上げて保持され、現像スリーブ65上に磁気ブラシを形成する。磁気ブラシは、現像スリーブ65の回転とともに、ドクタブレード73によって適正な量に穂切りされる。切り落とされた現像剤は、攪拌部66に戻される。
現像スリーブ65上に担持された現像剤のうちトナーは、現像スリーブ65に印加する現像バイアス電圧により感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cに転移して、その感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40C上の静電潜像を可視像化する。可視像化後、現像スリーブ65上に残った現像剤は、マグネット72の磁力がないところで現像スリーブ65から離れて攪拌部66に戻る。この繰り返しにより、攪拌部66内のトナー濃度が薄くなると、それをトナー濃度センサ71で検知して攪拌部66にトナーが補給される。
【0036】
なお、本実施形態の装置において、各部の設定は感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cの線速を200mm/s、現像スリーブ65の線速を240mm/sとし、感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cの直径を50mm、現像スリーブ65の直径を18mmとして現像工程を行っている。現像スリーブ65上のトナーの帯電量は、−10〜−30μC/gの範囲が好適である。感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cと現像スリーブ65の間隙である現像ギャップGPは、従来と同様に0.8mmから0.4mmの範囲で設定でき、値を小さくすることで現像効率の向上を図ることが可能である。更に、感光体40の厚みを30μmとし、光学系のビームスポット径を50×60μm、光量を0.47mWとしている。また、感光体ドラム40の帯電(露光前)電位VOを−700V、露光後電位VLを−120Vとして現像バイアス電圧を−470Vすなわち現像ポテンシャル350Vとして現像工程が行われるようにしている。
【0037】
一次転写装置62は、ローラ状の一次転写ローラ62によって構成し、中間転写ベルト10を挟んで感光体ドラム40に押し当てて設けている。なお、各一次転写ローラ62間には、中間転写ベルト10の基層11側に接触して導電性ローラ74を設けている。この導電性ローラ74は、転写時に各一次転写ローラ62により印加するバイアスが、中抵抗の基層11を介して隣接する各画像形成ユニット18に流れ込むことを阻止するものである。
【0038】
感光体クリーニング装置63は、例えばポリウレタンゴム製のクリーニングブレード75を用い、その先端を感光体ドラム40に押し当てている。更に、クリーニング性を高めるため、本実施形態においては、外周が感光体ドラム40に接触する接触導電性のファーブラシ76を矢印方向に回転自在に備えている。また、ファーブラシ76にバイアスを印加する金属製電界ローラ77を矢示方向に回転自在に備え、その電界ローラ77にスクレーパ78の先端を押し当てている。さらに、除去したトナーを回収する回収スクリュ79も設けている。
上記構成の感光体クリーニング装置63によって、感光体ドラム40に対してカウンタ方向に回転するファーブラシ76で、感光体ドラム40上の残留トナーを除去する。ファーブラシ76に付着したトナーは、ファーブラシ76に対してカウンタ方向に接触して回転するバイアスを印加された電界ローラ77に取り除かれる。電界ローラ77に付着したトナーは、スクレーパ78でクリーニングされる。感光体クリーニング装置63で回収したトナーは、回収スクリュ79で感光体クリーニング装置63の片側に寄せ、トナーリサイクル装置80で現像装置61へと戻して再利用する。
除電装置64は、除電ランプを用いており、光を照射して感光体ドラム40の表面電位を初期化する。
【0039】
上記構成のタンデム画像形成装置20における画像形成プロセスは次のように行われる。感光体ドラム40の回転とともに、まず帯電装置60で感光体ドラム40の表面を一様に帯電し、書込み光Lを照射して感光体ドラム40上に静電潜像を形成する。その後、現像装置61により静電潜像にトナーを付着させる現像を行いトナー像化し、そのトナー像を一次転写ローラ62で中間転写ベルト10上に一次転写する。画像転写後の感光体ドラム40の表面は、感光体クリーニング装置63で残留トナーを除去し、除電装置64で除電して再度の画像形成に備える。一方、感光体ドラム表面から除去した残留トナーは、後述するトナーリサイクル装置によって、再び現像に使用される。ここで、画像を形成する色の順番は、上記のものに限定されるものではなく、画像形成装置の持つ狙いや特性に応じて異なるものである。
【0040】
次に、上記構成のカラー複写機において異常発生を予測するために取得すべき情報の種類と取得方法を具体的に説明する。
本複写機の情報取得手段によって取得される各種の状態情報は、例えば、以下のようなものに大別することができる。
(a)センシング情報
(b)制御パラメータ情報
(c)入力情報
(d)画像読取データ
【0041】
(a)センシング情報について
このセンシング情報としては、駆動関係、記録媒体の各種特性、現像剤特性、感光体特性、電子写真の各種プロセス状態、環境条件、記録物の各種特性などが取得する対象として考えられる。これらのセンシング情報の概要を説明すると、以下のようになる。
【0042】
(a-1)駆動の情報
・感光体ドラムの回転速度をエンコーダで検出したり、駆動モータの電流値を読み取ったり、駆動モータの温度を読み取る。
・同様にして、定着ローラ、紙搬送ローラ、駆動ローラなどの円筒状またはベルト状の回転する部品の駆動状態を検出する。
・駆動により発生する音を装置内部または外部に設置されたマイクロフォンで検出する。
【0043】
(a-2)紙搬送の状態
・透過型または反射型の光センサ、あるいは接触タイプのセンサにより、搬送された紙の先端・後端の位置を読み取り、紙詰まりが発生したことを検出したり、紙の先端・後端の通過タイミングのずれや、送り方向と垂直な方向の変動を読み取る。
・同様に、複数のセンサ間の検出タイミングにより、紙の移動速度を求める。
・給紙時の給紙ローラと紙とのスリップを、ローラの回転数計測値と紙の移動量との比較で求める。
【0044】
(a-3)紙などの記録媒体の各種特性
この情報は、画質やシート搬送の安定性に大きく影響する。この紙種の情報取得には以下のような方法がある。
・紙の厚みは、紙を二つのローラで挟み、ローラの相対的な位置変位を光学センサ等で検知したり、紙が進入してくることによって押し上げられる部材の移動量と同等の変位量を検知することによって求める。
・紙の表面粗さは、転写前の紙の表面にガイド等を接触させ、その接触によって生じる振動や摺動音等を検知する。
・紙の光沢は、規定された入射角で規定の開き角の光束を入射し、鏡面反射方向に反射する規定の開き角の光束をセンサで測定する。
・紙の剛性は、押圧された紙の変形量(湾曲量)を検知することにより求める。
・再生紙か否かの判断は、紙に紫外線を照射してその透過率を検出して行なう。
・裏紙か否かの判断は、LEDアレイ等の線状光源から光を照射し、転写面から反射した光をCCD等の固体撮像素子で検出して行なう。
・OHP用のシートか否かは、用紙に光を照射し、透過光と角度の異なる正反射光を検出して判断する。
・紙に含まれている水分量は、赤外線またはμ波の光の九州を測定することにより求める。
・カール量は光センサ、接触センサなどで検出する。
・紙の電気抵抗は、一対の電極(給紙ローラなど)を記録紙と接触させて直接測定したり、紙転写後の感光体や中間転写体の表面電位を測定して、その値から記録紙の抵抗値を推定する。
【0045】
(a-4)現像剤特性
現像剤(トナー・キャリア)の装置内での特性は、電子写真プロセスの機能の根幹に影響するものである。そのため、システムの動作や出力にとって重要な因子となる。現像剤の情報を得ることは極めて重要である。この現像剤特性としては、例えば次のような項目が挙げられる。
・トナーについては、帯電量およびその分布、流動性・凝集度・嵩密度、電気抵抗、外添剤量、消費量または残量、流動性、トナー濃度(トナーとキャリアの混合比)を挙げることができる。
・キャリアについては、磁気特性、コート膜厚、スペント量などを挙げることができる。
【0046】
以上のような項目を画像形成装置の中で単独で検出することは通常困難である。そこで、現像剤の総合的な特性として検出する。この現像剤の総合的な特性は、例えば次のように測定することができる。
・感光体上にテスト用潜像を形成し、予め決められた現像条件で現像して、形成されたトナー像の反射濃度(光反射率)を測定する。
・現像装置中に一対の電極を設け、印加電圧と電流の関係を測定する(抵抗、誘電率など)。
・現像装置中にコイルを設け、電圧電流特性を測定する(インダクタンス)。
・現像装置中にレベルセンサを設けて、現像剤容量を検出する。レベルセンサは光学式、静電容量式などがある。
【0047】
(a-5)感光体特性
感光体特性も現像剤特性と同じく、電子写真プロセスの機能と密接に関わる。この感光体特性の情報としては、感光体の膜厚、表面特性(摩擦係数、凹凸)、表面電位(各プロセス前後)、表面エネルギー、散乱光、温度、色、表面位置(フレ)、線速度、電位減衰速度、抵抗・静電容量、表面水分量などが挙げられる。このうち、画像形成装置の中では、次のような情報を検出できる。
・膜厚変化に伴う静電容量の変化を、帯電部材から感光体に流れる電流を検知し、同時に帯電部材への印加電圧と予め設定された感光体の誘電厚みに対する電圧電流特性と照合することにより、膜厚を求める。
・表面電位、温度は従来周知のセンサーで求めることができる。
・線速度は感光体回転軸に取りつけられたエンコーダーなどで検出される。
・感光体表面からの散乱光は光センサーで検出される。
【0048】
(a-6)電子写真プロセス状態
電子写真方式によるトナー像形成は、周知のように、感光体の均一帯電、レーザー光などによる潜像形成(像露光)、電荷を持ったトナー(着色粒子)による現像、転写材へのトナー像の転写(カラーの場合は中間転写体または最終転写材である記録媒体での重ね合わせ、または現像時に感光体への重ね現像を行なう)、記録媒体へのトナー像の定着という順序で行なわれる。これらの各段階での様々な情報は、画像その他のシステムの出力に大きく影響を与える。これらを取得することがシステムの安定を評価する上で重要となる。この電子写真プロセス状態の情報取得の具体例としては、次のようなものが挙げられる。
・帯電電位、露光部電位は従来公知の表面電位センサにより検出される。
・非接触帯電における帯電部材と感光体とのギャップは、ギャップを通過させた光の量を測定することにより検知する。
・帯電による電磁波は広帯域アンテナにより捉える。
・帯電による発生音
・露光強度
・露光光波長
【0049】
また、トナー像の様々な状態を取得すること方法として、以下のようなものがあげられる。
・パイルハイト(トナー像の高さ)を、変位センサで縦方向から奥行きを、平行光のリニアセンサで横方向から遮光長を計測して求める。
・トナー帯電量を、ベタ部の静電潜像の電位、その潜像が現像された状態での電位を測定する電位センサにより測定し、同じ箇所の反射濃度センサから換算した付着量との比により求める。
・ドット揺らぎまたはチリを、ドットパターン画像を感光体上においては赤外光のエリアセンサ、中間転写体上においては各色に応じた波長のエリアセンサで検知し、適当な処理をすることにより求める。
・オフセット量(定着後)を、記録紙上と定着ローラ上の対応する場所をそれぞれ光学センサで読み取って、両者比較することにより求める。
・転写工程後(PD上,ベルト上)に光学センサを設置し,特定パターンの転写後の転写残パターンからの反射光量で転写残量を判断する。
・重ね合わせ時の色ムラを定着後の記録紙上を検知するフルカラーセンサで検知する。
【0050】
(a-7)形成されたトナー像の特性
・画像濃度、色は光学的に検知する(反射光、透過光のいずれでもよい。色によって投光波長を選択する)。濃度及び単色情報を得るには感光体上または中間転写体上でよいが、色ムラなど,色のコンビネーションを測るには紙上の必要がある。
・階調性は、階調レベルごとに感光体上に形成されたトナー像または転写体に転写されたトナー像の反射濃度を光学センサにより検出する。
・鮮鋭性は、スポット径の小さい単眼センサ、若しくは高解像度のラインセンサを用いて、ライン繰り返しパターンを現像または転写した画像を読み取ることにより求める。
・粒状性(ざらつき感)は、鮮鋭性の検出と同じ方法により、ハーフトーン画像を読み取り、ノイズ成分を算出することにより求める。
・レジストスキューは、レジスト後の主走査方向両端に光学センサを設け、レジストローラONタイミングと両センサの検知タイミングとの差異から求める。
・色ずれは、中間転写体または記録紙上の重ね合わせ画像のエッジ部を、単眼の小径スポットセンサ若しくは高解像度ラインセンサで検知する。
・バンディング(送り方向の濃度むら)は、記録紙上で小径スポットセンサ若しくは高解像度ラインセンサにより副走査方向の濃度ムラを測定し、特定周波数の信号量を計測する。
・光沢度(むら)は、均一画像が形成された記録紙を正反射式光学センサで検知するように設ける。
・かぶりは、感光体上、中間転写体上、または記録紙上において、比較的広範囲の領域を検知する光学センサで画像背景部を読み取る方法、または高解像度のエリアセンサで背景部のエリアごと画像情報を取得し、その画像に含まれるトナー粒子数を数えるという方法がある。
【0051】
(a-8)画像形成装置のプリント物の物理的な特性
・像流れ・かすれなどは、感光体上、中間転写体、あるいは記録紙上でトナー像をエリアセンサにより検知し、取得した画像情報を画像処理して判定する。
・チリは記録紙上の画像を高解像度ラインセンサまたはエリアセンサで取り込み、パターン部の周辺に散っているトナー量を算定することにより求める。
・後端白抜け、ベタクロス白抜けは、感光体上、中間転写体、あるいは記録紙上で高解像度ラインセンサにより検知する。
・カール・波打ち・折れは、変位センサで検出する。折れの検出のためには記録紙の両端部分に近い所にセンサを設置することが有効である。
・コバ面の汚れやキズは、排紙トレイに縦に設けたエリアセンサにより,ある程度排紙が溜まった時のコバ面をエリアセンサで撮影,解析する。
【0052】
(a-9)環境状態
・温度検出には、異種金属どうし或いは金属と半導体どうしを接合した接点に発生する熱起電力を信号として取り出す熱電対方式、金属或いは半導体の抵抗率が温度によって変化することを利用した抵抗率変化素子、また、或る種の結晶では温度が上昇したことにより結晶内の電荷の配置に偏りが生じ表面に電位発生する焦電型素子、更には、温度による磁気特性の変化を検出する熱磁気効果素子などが採用できる。
・湿度検出には、H2O或いはOH基の光吸収を測定する光学的測定法、水蒸気の吸着による材料の電気抵抗値変化を測定する湿度センサ等がある
・各種ガスは、基本的にはガスの吸着に伴う、酸化物半導体の電気抵抗の変化を測定することにより検出する。
・気流(方向、流速、ガス種)の検出には、光学的測定法等があるが、システムへの搭載を考慮するとより小型にできるエアブリッジ型フローセンサが特に有用である。
・気圧・圧力の検出には、感圧材料を使用する、メンブレンの機械的変位を測定する等の方法がある。振動の検出にも同様に方法が用いられる。
【0053】
(b)制御パラメータ情報について
画像形成装置の動作は制御部によって決定されるため、制御部の入出力パラメータを直接利用することが有効である。
【0054】
(b-1)画像形成パラメータ
画像形成のために制御部が演算処理により出力する直接的なパラメータで、以下のような例がある。
・制御部によるプロセス条件の設定値で、例えば帯電電位、現像バイアス値、定着温度設定値など
・同じく、中間調処理やカラー補正などの各種画像処理パラメータの設定値
・制御部が装置の動作のために設定する各種のパラメータで、例えば紙搬送のタイミング、画像形成前の準備モードの実行時間など
【0055】
(b-2)使用者操作履歴
・色数、枚数、画質指示など、使用者により選択された各種操作の頻度
・使用者が選択した用紙サイズの頻度
【0056】
(b-3)消費電力
・全期間または特定期間単位(1日、1週間、1ヶ月など)の総合消費電力あるいはその分布、変化量(微分)、累積値(積分)
【0057】
(b-4)消耗品消費情報
・全期間または特定期間単位(1日、1週間、1ヶ月など)のトナー、感光体、紙の使用量あるいはその分布、変化量(微分)、累積値(積分)
【0058】
(b-5)故障発生情報
・全期間または特定期間単位(1日、1週間、1ヶ月など)の故障発生(種類別)の頻度あるいはその分布、変化量(微分)、累積値(積分)
【0059】
(c)入力画像情報
ホストコンピュータから直接データとして送られる画像情報、あるいは原稿画像からスキャナーで読み取って画像処理をした後に得られる画像情報から、以下のような情報を取得することができる。
・着色画素累積数はGRB信号別の画像データを画素ごとにカウントすることにより求められる。
・例えば特許第2621879号の公報に記載されているような方法でオリジナル画像を文字・網点・写真・背景に分離し、文字部、ハーフトーン部などの比率を求めることができる。同様にして色文字の比率も求めることができる。
・着色画素の累積値を主走査方向で区切った領域別にカウントすることにより、主走査方向のトナー消費分布が求められる。
・画像サイズは制御部が発生する画像サイズ信号または画像データでの着色画素の分布により求められる。
・文字の種類(大きさ、フォント)は文字の属性データから求められる。
【0060】
次に、本複写機における各状態情報の具体的な取得方法について説明する。
(1)温度データ
本複写機は、温度の情報を取得する温度センサとして、原理及び構造が簡単でしかも超小型にできる抵抗変化素子を用いるものを備えている。
(2)湿度データ
小型にできる湿度センサが有用である。基本原理は感湿性セラミックスに水蒸気が吸着すると、吸着水によりイオン伝導が増加しセラミックスの電気抵抗が低下することによる。感湿性セラミックスの材料は多孔質材料であり、一般的にはアルミナ系、アパタイト系、ZrO−MgO系などが使用される。
(3)振動データ
振動センサは、基本的には気圧及び圧力を測定するセンサと同じであり、システムへの搭載を考慮すると超小型にできるシリコン利用のセンサが特に有用である。薄いシリコンのダイアフラム上に作製した振動子の運動を、振動子と対向して設けられた対向電極間との容量変化を計測する、或いはSiダイアフラム自体のピエゾ抵抗効果を利用して計測することができる。
(4)トナー濃度(4色分)データ
各色ごとにトナー濃度を検出してデータ化する。トナー濃度センサとしては従来より公知の方式のものを用いることができる。例えば、特開平6−289717号公報に記載されているような現像装置中の現像剤の透磁率の変化を測定するセンシングシステムにより、トナー濃度を検出することができる。
(5)感光体一様帯電電位(4色分)データ
各色用の感光体40K,40Y,40M,40Cについて、それぞれ一様帯電電位を検出する。物体の表面電位を検知する公知の表面電位センサを用いることができる。
(6)感光体露光後電位(4色分)データ
光書込後の感光体40K,40Y,40M,40Cの表面電位を、上記(5)と同様にして検出する。
(7)着色面積率(4色分)データ
入力画像情報から、着色しようとする画素の累計値と全画素の累計値の比から着色面積率を色ごとに求め、これを利用する。
(8)現像トナー量(4色分)データ
感光体40K,40Y,40M,40C上で現像された各色トナー像における単位面積あたりのトナー付着量を、反射型フォトセンサによる光反射率に基づいて求める。反射型フォトセンサは対象物にLED光を照射し、反射光を受光素子で検出するものである。トナー付着量と光反射率とには相関関係が成立するため、光反射率に基づいてトナー付着量を求めることができる。
(9)紙先端位置の傾き
給紙部200の給紙ローラから2次転写ニップに至る給紙経路のどこかに、転写紙をその搬送方向に直交する方向の両端で検知する光センサ対を設置し、搬送されてくる転写紙の先端付近の両端を検出する。両光センサについて、給紙ローラの駆動信号の発信時を基準として、通過までの時間を計測し、時間のズレに基づいて送り方向に対する転写紙の傾きを求める。
(10)排紙タイミングデータ
排出ローラ対56を通過後の転写紙を光センサで検出する。この場合も給紙ローラの駆動信号の発信時を基準として計測する。
(11)感光体総電流(4色分)データ
感光体40K,40Y,40M,40Cからアースに流れ出る電流を検出する。感光体の基板と接地端子との間に、電流測定手段を設けることで、かかる電流を検出することができる。
(12)感光体駆動電力(4色分)
感光体の駆動源(モータ)が駆動中に費やす駆動電力(電流×電圧)を電流計や電圧計などによって検出する。
【0061】
次に、管理装置104の状態情報解析部について説明する。
状態情報解析部は二つのプロセスに分かれている。一つは特徴量抽出プロセス、もう一つは判別プロセスである。
特徴量抽出プロセスの目的は、状態情報から得られる情報を最大限活用するために、状態情報から時間的な特徴量を抽出することである。状態情報の特徴量としては、例えば、画像データの全体的な濃度のむらや濃度シフト、欠陥の形状、大きさ、濃度、輪郭の状態、向き、位置、周期性、発生領域などが挙げられる。故障の直前には状態情報が急激に増減したり、非連続的な動きをすることが多い。それらの情報を得るためにはある一時点の状態情報だけではなく、過去数回分の状態情報から、時間的な変化を抽出する必要がある。例えば時間的な特徴量としては、概略微分値や回帰曲線からの乖離量などがあげられる。概略微分値とは最新の値とひとつ前の時点の値の差分を動作時間やプリント動作回数で割ることによって求めるものである。回帰曲線からの乖離量とは回帰曲線から予想される値と実際の値との差、あるいはその二乗平方根を用いればよい。このように、時間的な特徴量を状態情報に付加して、次の判別プロセスに入力することで、判別制度が向上する。
【0062】
判別プロセスとは、特徴量抽出プロセスで得られた特徴量が正常状態のものか異常状態のものかを判別するプロセスである。判別プロセスには、機械学習により作成された判別器を用いることができる。ここで、機械学習とは、あらかじめ正常と異常に分別された状態情報および特徴量(これを「学習データ」と呼ぶ。)をもとに、正常と異常の違いを機械的にルール化するアルゴリズムのことであり、具体的には、Boosting、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシンなどがある。これらのアルゴリズムから生成された「ルール」のことを「判別器」と呼ぶ。任意の状態情報を、この判別器に入力すると、そのルールに基づき、入力された状態情報が正常状態か異常状態かの判別結果が出力される。機械学習の多くは二値の判別器を作成するので、そのような判別器を故障予測に利用する場合は、状態情報を「異常状態」と「正常状態」の二値に判別する判別器を作成すればよい。そのためには、故障状態および故障直前で信号に異常がでている状態の状態情報を「異常状態」とし、正常に稼働している状態での状態情報を「正常状態」とした学習データを用意し、上記のアルゴリズムに入力すればよい。
【0063】
図7は、本故障予測システムの機能ブロック図である。
各複写機101は、複数種類の状態情報を取得する状態情報取得手段としての状態情報取得部111と、各種状態情報を蓄積する状態情報記憶手段としての状態情報記憶部112と、状態情報記憶部112内の状態情報及び通信情報(自己の複写機ID、メンテナンス情報の送信先IPアドレス等)を、データ通信装置102及び通信回線103を通じて管理装置104へ送信するための状態情報送信手段としての状態情報送信部113と、所定の決定条件に従って、状態情報送信部113から送信する複数種類の状態情報それぞれの送信タイミングを決定する送信タイミング決定手段としての送信タイミング決定部114と、送信タイミングを決定するための上記決定条件を変更するための条件変更操作を受け付ける操作受付手段ととしての操作受付部115とを備えている。
【0064】
管理装置104は、各複写機101から送信される状態情報及び通信情報を受信する受信手段としての状態情報受信部141と、対応する複写機IDごとに受信した状態情報を逐次記憶する受信情報記憶手段としての受信情報記憶部142と、判別手段としての状態情報解析部143と、報知処理手段としての判別結果送信部144とを備えている。状態情報受信部141は、前処理として、受信した各種状態情報(状態情報セット)のなかに欠損値がないかをチェックし、欠損値が見つかった場合にはその状態情報セットを削除する。あるいは欠損値があった項目の過去データから計算した回帰曲線から欠損時の値を求め、かわりに使ってもよい。状態情報解析部143は、状態情報受信部141で状態情報を受信するたびに、受信情報記憶部142に記憶されている当該複写機の記憶情報を含めて、上述したように状態情報の解析を行う。解析の結果、故障の発生が近いと判断された場合には、複写機ID、予測される故障の内容など、メンテナンスに必要なメンテナンス情報(判別結果情報を含む。)を、判別結果送信部144から送信する。このとき、判別結果送信部144は、複写機IDとともに通信情報に含まれていたIPアドレスに向けてメンテナンス情報を送信する。通常、この送信先は、当該複写機を管理するサービスセンターの端末装置106である。
【0065】
端末装置106は、ミニコンピュータあるいはパーソナルコンピュータで構成されている。端末装置106は、管理装置104から送信される判別結果情報を含んだメンテナンス情報を受信する判別結果受信手段としての判別結果受信部161と、受信したメンテナンス情報を記憶する判別結果情報記憶手段としての受信情報記憶部162と、サービスマンに訪問先を通報したり対象の複写機101の状態等を報知したりするための報知手段としての表示手段である表示部163とを備えている。
【0066】
なお、本実施形態では、判別結果の報知をサービスセンターの端末装置106で行う場合について説明するが、他の装置、例えば対象の複写機101で報知するようにしてもよい。この場合、通信情報のIPアドレスは対象の複写機のものにあらかじめ設定しておけばよい。また、判別結果を管理装置104の表示装置等で報知し、オペレータが電話等の他の連絡手段によりサービスマン等に連絡するようにしてもよい。
【0067】
次に、管理装置104の状態情報解析部143における処理内容について、具体的に説明する。
本実施形態においては、正常状態におけるデータ群(正常組データ群)と、各複写機101から送信されてくる各種状態情報とに基づいて、多変量解析の手法を採用したMTS法によるマハラノビスの距離を求め、その複写機101内に異常が発生しているか否かを判定するようになっている。マハラノビスの距離を求めるためには、正常な状態の複写機101から取得した複数種類の組データの集まりである正常組データ群を構築する必要がある。この構築については、本複写機と同一仕様の標準機(正常な状態)から取得した各種状態情報によって構築してもよいし、完成直後あるいは初期運転時における複写機101から取得した各種状態情報によって構築してもよい。
【0068】
初期運転時に取得する各種状態情報に基づいて正常組データ群を構築させる場合には、複写機101が工場から出荷された後、使用者の使用場所で初めに当該複写機101の主電源を投入したときに、次の処理を行う。すなわち、まず、複写機101の制御部1におけるCPU1aは、所定の正常組データ群構築処理プログラムを実行することにより、その時点を期間計測開始タイミングとしてRAM1bに記憶する。このRAM1bには、かかる期間計測開始タイミングから、ある一定の期間が経過したことを判断するために必要となる期間経過判断パラメータが、工場出荷に先立って格納されている。かかる期間経過判断パラメータとしては、経過時間閾値、経過日数閾値、経過月数閾値、プリント枚数閾値、運転時間閾値などが挙げられる。上述の期間計測開始タイミングから、これらの期間経過判断パラメータに基づいて決定されるある一定の期間(規定期間)が経過するまでの間は、正常組データ群構築処理が実行される。この規定期間内に、正常状態における各種状態情報が蓄積される。かかる規定期間に実施される正常組データ群構築処理では、状態情報取得部111によって取得可能な各種状態情報の組み合わせである組データがプリントジョブ中に取得され、正常組データ群の一部としてRAM1bに記憶される。上述の期間計測開始タイミングから規定期間が経過すると、正常組データ群構築処理を終了する。その後、蓄積した正常組データ群は、自己の複写機IDとともに通信回線を介して管理装置104へ送信する。
【0069】
なお、本実施形態では、管理装置104側で各複写機101の異常判別処理を行うが、個々の複写機101において個別に異常判別処理を行う場合には、蓄積した正常組データ群を管理装置104へ送信する必要はない。
【0070】
図8は、管理装置104の状態情報解析部143で用いる指標値の算出方法(算出式)を決める手順を示すフローチャートである。
まず、複写機101の状態と関連があると考えられるk個の情報(状態情報)を、複写機101を動作させながらn組取得する(S1)。情報の取得については前述のとおりである。
下記の表1は、取得した情報のデータ構成を示している。最初の条件(例えば1日目あるいは1台目など)でk個のデータが得られる。それらをy11,y12,・・・,y1kとする。同様に次の条件(2日目あるいは2台目など)で得られるデータをy21,y22,・・・,y2k、などとし、n組のデータが得られる。
【表1】

【0071】
正常組データ群構築処理では、まず、1組目の組データを構成するk種類の情報(y11,y12,・・・,y1k)がそれぞれ状態情報取得部111によって取得される。そして、データテーブル内の1行目のデータとして、管理装置104のRAM等に記憶される。次いで、2組目の組を構成するk種類の情報(y21,y22,・・・,y2k)がそれぞれ状態情報取得部111によって取得され、データテーブル内の2行目のデータとして、管理装置104のRAM等内に記憶される。以降、3組目以降の組データがプリントジョブに伴って順次取得されていき、データテーブル内のデータとして記憶されていく。そして、上述の規定期間が経過する直前にn組目の組データが取得されて、データテーブル内のn行目のデータまで管理装置104のRAM等内に記憶される。
【0072】
規定期間が経過すると、各組データを構成するk種類の状態情報(例えばyij)について、それぞれ平均値(yj)と標準偏差(σj)とが求められて(S2)、それぞれn+1、n+2行目のデータとして、管理装置104のRAM等内に記憶される。
上述の規定期間が経過してこのような取得データテーブル構築工程が終わると、その直後に、逆行列構築処理が行われる。この逆行列構築処理では、以下に説明する情報正規化工程(S2)と、相関係数算出工程(S3)と、逆行列変換工程(S4)とが実施される。
【0073】
逆行列構築処理における情報正規化工程(S2)では、上記表1に示した取得データテーブルに基づいて、下記の表2に示すような正規化データテーブルが構築される。
【表2】

【0074】
データの正規化とは、各種状態情報について、その絶対値情報を変量情報に変換するための処理であり、下記の数1に示す関係式に基づいて、各種情報の正規化データが算出される。なお、下記の数1に示す関係式におけるiは、n組の組データのうちのいずれか1つであることを示す符号である。また、jは、k種類の情報のうちのいずれか1つであることを示す符号である。
【数1】

【0075】
上記情報正規化工程が終わると、次に、相関係数算出工程が行われる(S3)。この相関係数算出工程では、n組の正規化データ群において、それぞれk種類の正規化データのうち、互いに異なる2種類が成立し得るすべての組合せについて、下記数2に示す式に基づいて相関係数rpq(=rqp)が算出される。
【数2】

【0076】
すべての組合せについての相関係数rpq(=rqp)が算出されると、次に、対角要素を1、その他のp行q列の要素を相関係数rpqとした、k×k個の相関係数行列Rが構築される。なお、この相関係数行列Rの内容は、下記の数3に示すとおりである。
【数3】

【0077】
このような相関係数算出工程が終わると、次に、行列変換工程が実施される。この行列変換工程により、上記数3で示した相関係数行列Rが、下記の数4で示される逆行列A(R-1)に変換される(S4)。
【数4】

【0078】
本複写機は、上記表1に示した正常組データ群たる取得データテーブルを構築する正常組データ群構築処理を行った後、異常判定処理を実施するのに先立って、以上のような情報正規化工程、相関係数算出工程、行列変換工程という一連のプロセスによって正常組データ群としての逆行列Aを構築する。そして、この逆行列Aを管理装置104のRAM等内に記憶する。
【0079】
図9は、管理装置104の状態情報解析部143で行う異常判別処理の流れを示すフローチャートである。
上記のようにして逆行列Aを構築したら、その後、管理装置104の状態情報解析部143は、当該複写機101から送信されてくる各種状態情報に基づき、所定のタイミングで、異常判別処理を行う。この異常判定処理では、プリントジョブ毎に複写機101の状態情報取得部111によって取得されるk種類(例えば約40種類)の状態情報の全部又は一部の組合せからなる組データについて、逆行列Aによる多次元空間内におけるマハラノビスの距離(以下「マハラノビス距離」という。)Dを算出する。具体的には、まず、k種類のデータx1,x2,・・・,xkを取得する(S11)。データの種類はy11,y12,・・・,y1kなどに対応する。次に、下記の数5に示す式を用いて、取得した情報のデータを規格化する(S12)。ここで、規格化したデータをX1,X2,・・・,Xkとする。次に、すでに求めている逆行列Aの要素akkを用いて決めた下記数6に示す算出式により、指標値D2を算出する。なお、下記数6で示す式中の「Σ」は、添字pおよびqに関する総和を表している。
【数5】

【数6】

【0080】
管理装置104の状態情報解析部143は、このようにして求めたマハラノビス距離Dを、予め設定した異常閾値と比較する。そして、マハラノビス距離Dが異常閾値よりも大きい場合には、取得された組データについて正常分布から大きくずれている異常データであると判定し、メンテナンスに必要なメンテナンス情報を判別結果送信部144から送信する。
【0081】
なお、本実施形態では、管理装置104のRAM等に正常組データ群として機能する逆行列Aを記憶させておく例について説明したが、逆行列Aの代わりに、次のような正常組データ群を記憶させておいてもよい。すなわち、正常組データ群構築処理で構築した上記取得データテーブルや、逆行列構築工程の途中で得られる上記正規化データテーブル、上記相関係数行列Rなどである。逆行列Aの代わりにこれら正常組データ群のいずれかを記憶させた場合には、異常の判定に先立って、そのデータに基づいて逆行列Aを構築させればよい。
また、初期運転時に正常組データ群を構築する例について説明したが、本複写機と同一仕様の標準機から取得したデータに基づいて構築した正常組データ群を、管理装置104のRAM等に予め記憶させておいてもよい。
【0082】
ところで、MTS法によれば、各種状態情報の全部又は一部の組合せからなる組データの取得結果についての異常をMTS法によって判定することで、様々な種類の異常を広範囲に渡って発見することができる。しかも、個々の異常について、その原因の有無をそれぞれ監視する必要がないため、かかる監視による制御の煩雑化を回避することができる。ところが、このような異常の判定を行う場合には、異常を検出した際に、その異常についてどのような種類のものであるかを特定することが困難である。
そこで、本実施形態では、異常の種類をいくつかのカテゴリに分類し、そのカテゴリ毎に、カテゴリ内の個々の異常の判定に必要な組データを取得する。そして、その取得結果と、これに対応する正常組データ群である逆行列Aとに基づいて、それぞれマハラノビス距離Dを求めるようになっている。
【0083】
次に示す表3は、複写機101における異常の種類のカテゴリと、そのカテゴリ内における異常の判定に必要な組情報との関係の一例を示すテーブルを示したものである。
【表3】

【0084】
上記表3においては、上述した(1)温度から(12)感光体駆動電力までの12項目33種類(5項目+7項目×4色分)の取得データに基づいて、3つのカテゴリの異常をそれぞれ判定する例を示している。
上記表3に示すように、紙詰まり系の異常については、次の7項目13種類の情報からなる組データに基づいて判定することができる。すなわち、(1)温度、(2)湿度、(3)振動、(7)着色面積率×4色分、(8)現像トナー量×4色分、(9)紙先端位置の傾き、及び(10)排紙タイミングである。以下、この組データを紙詰まり系組データという。
また、感光体劣化系の異常については、次の7項目22種類の情報からなる組データに基づいて判定することができる。すなわち、(1)温度、(2)湿度、(5)感光体一様帯電電位×4色分、(6)感光体露光後電位×4色分、(7)着色面積率×4色分、(11)感光体総電流×4色分、及び(12)感光体駆動電力×4色分である。以下、この組データを感光体系組データという。
また、画像濃度変動系の異常は、次の7項目22種類の組データに基づいて判定することができる。すなわち、(1)温度、(2)湿度、(4)トナー濃度×4色分、(5)感光体一様帯電電位×4色分、(6)感光体露光後電位×4色分、(7)着色面積率×4色分、及び(8)現像トナー量×4色分である。以下、この組データを濃度系組データという。
【0085】
上記表3から明らかなように、紙詰まり系、感光体系、濃度系組データは、状態情報の種類の組合せが互いに異なっている。これは、カテゴリが異なれば、そのカテゴリ内における個々の異常の判定に有用な状態情報の組合せも異なってくるからである。よって、互いに種類の組合せの異なる少なくとも2以上の組データを構築し、それぞれについてマハラノビス距離Dを求めれば、発生した異常の種類をカテゴリの単位まで絞り込んで特定することができる。上記表3の例では、紙詰まり系、感光体系、濃度系組データのそれぞれについてマハラノビス距離Dを求めることで、異常の種類を3つのカテゴリのいずれに該当するのかまで絞り込むことができる。
【0086】
マハラノビス距離Dを求めるためには、被検対象の複写機から定期的に取得した組データの他に、これと同じ組合せの逆行列Aが必要になる。例えば上記表3の例であれば、紙詰まり系、感光体系、濃度系組データのそれぞれについて、12項目33種類(5項目+7項目×4色分)の情報からなる逆行列Aを共通に用いてしまうと、異常を正確に判定することができなくなる。紙詰まり系組データであれば、それと同じ7項目13種類の情報からなる逆行列Aを用いて、マハラノビス距離Dを求める必要がある。よって、判定に先立って、カテゴリ毎に、マハラノビス距離Dを求めるための逆行列Aを準備する必要がある。
【0087】
それぞれの系統(紙詰まり系、感光体系、濃度系)のための逆行列Aを準備する方法は、大別して2通りある。第1の方法は、各系統についてそれぞれ専用の逆行列A(又はこれに代わる正常組データ群)を管理装置104のRAM等に記憶させておく方法である。第2の方法は、少なくとも各系統の組データに含まれる全種類の情報からなる全種組データについての逆行列Aだけを記憶させておく方法である。この方法の場合には、それぞれの系統のための個別の逆行列Aを、全種組データの集合からなる逆行列Aの中から選択した任意の正常値の組合せに基づいてそれぞれ構築する。例えば、上記表3の例であれば、全種組データ(12項目33種類)の集合からなる逆行列Aだけを記憶させておく。そして、紙詰まり系組データの集合からなる逆行列Aについては、全種組データの中から7項目13種類の情報を選択して構築するのである。かかる方法では、第1の方法に比べて、データ記憶手段に記憶させて置く情報量を少なくすることができる。そこで、本実施形態においては、第2の方法で各系統についてそれぞれ専用の逆行列Aを構築するようになっている。
【0088】
このようにして各系統用の逆行列Aをそれぞれ構築する場合には、各系統についてのマハラノビス距離Dの他に、全系統を包括したマハラノビス距離Dも求めることができる。そして、後者のマハラノビス距離Dを求めることで、各系統の異常の他に、その他の系統の異常も判定することができる。例えば、上記表3の例では、全種組データについてのマハラノビス距離Dを求めることで、紙詰まり系、感光体劣化系、画像濃度変動系に加えて、その他のカテゴリの異常も判定することができる。
【0089】
次に示す表4は、各カテゴリと、マハラノビス距離Dとの関係の一例を示している。なお、この表において、D0は、上記表3における全種組データ(12項目33種類)についてのマハラノビス距離を示している。また、D1は、紙詰まり系組データ(7項目13種類)についてのマハラノビス距離を示している。また、D2は、は、感光体系組データ(7項目22種類)についてのマハラノビス距離Dを示している。また、D3は、濃度系組データ(7項目22種類)についてのマハラノビス距離を示している。
【表4】

【0090】
上記表4に示すように、各カテゴリに対応するマハラノビス距離D1,D2,D3がいずれも異常閾値(10)未満であったからといって、その複写機101に異常が全くないとは限らない。それらが異常閾値未満であっても、全組情報についてのマハラノビス距離D0が異常閾値以上になることもある。このような場合には、紙詰まり系、感光体劣化系、画像濃度変動系のいずれにも該当しない他のカテゴリの異常が発生していると考えられる。また、逆に、マハラノビス距離D1,D2,D3のいずれかが異常閾値(10)未満になったからといって、全種組データについてのマハラノビス距離D0も異常閾値以上になるとは限らない。複写機全体としては異常と言えないまでも、各カテゴリだけにそれぞれ着目すれば、軽微な異常と言えるものが発生している場合がある。このような場合には、各カテゴリについてのいずれかのマハラノビス距離D1,D2,D3が異常閾値以上になる一方で、全種組データについてのマハラノビス距離D0は異常閾値未満になると考えられる。このように、各カテゴリについてのマハラノビス距離D1,D2,D3に加えて、全種組データのマハラノビス距離D0も求めることで、各カテゴリの異常の度合(軽微であるか否か)も判定することが可能になる。そこで、各組データにそれぞれ個別に対応する複数のマハラノビス距離D1,D2,D3と、全種組データについてのマハラノビス距離D0とに基づいて異常を判定してもよい。
【0091】
なお、それぞれのマハラノビス距離の二乗の異常閾値をいずれも10に設定した例について説明したが、実際の異常に合わせて、異常閾値をそれぞれ異ならせる方が望ましい。また、全体異常のマハラノビス距離D0を求める際には、上記数5に示した関係式のkに33(33種類)が代入される。また、紙詰まり系の異常のマハラノビス距離を求める際には、kに13(13種類)が代入される。また、感光体劣化系や画像濃度変動系の異常のマハラノビス距離を求める際には、kに22(22種類)が代入される。
【0092】
被検対象の機器である複写機101では、以上のようにして各系統の異常を判定するのに先立ち、上述した各色の画像形成ユニット18Bk,18Y,18M,18Cや定着装置25について、保守が必要であるか否かを判定する。具体的には、上述した制御部1は、各色の画像形成ユニット18Bk,18Y,18M,18Cについて、それぞれ転写紙1枚分に相当する動作量を1回とする動作回数をカウントする。また、定着装置25についても、転写紙1枚分に相当する動作量を1回とする動作回数をカウントする。すなわち、制御部1は、複写機に搭載された装置である各色の画像形成ユニット18Bk,18Y,18M,18Cや定着装置25からそれぞれ動作回数情報(状態情報)を取得する状態情報取得手段として機能している。そして、各色の画像形成ユニット18Bk,18Y,18M,18Cと定着装置25とのそれぞれについて、例えば2万回などといった予め定められた保守閾値たる保守サイクル閾値と、動作回数情報たる動作回数カウント値とを比較する。このとき、動作回数カウント値が保守サイクル閾値を上回っている場合には、その画像形成ユニット18Bk,18Y,18M,18Cや定着装置25について保守点検が必要になったと判定する(保守要求判定工程)。そして、保守要求判定手段たる制御部1は、保守必要有りと判定した装置についてその旨を示す保守要求メッセージを、図示しない液晶ディスプレイやランプなどの報知手段によって使用者に報知させる。
【0093】
本複写機では、動作回数が保守サイクル閾値を超えた装置については、寿命が到達したものとみなして新たなものと交換する仕様になっている。保守サイクル閾値とは、標準的な動作回数を示すデータである。これは例えば次のようにして定められる。すなわち、ある装置について、図10に示すような故障発生率の特性曲線が得られるとする。具体的には、部品にはその製品毎に品質差が生ずるが、使用開始時点(0時点)から累積動作回数がC2に達して時点で、すべての製品に故障が発生する。図中のC1は、このC2よりも早いタイミングで到来する時点であり、この時点で、すべての製品のうち、10%の製品に故障が発生する。例えば、このように故障発生率が10%になる動作回数C1を保守サイクル閾値として定めるのである。
【0094】
保守必要有りと判定された装置については、交換が必要になる。この交換は、基本的にサービスマンによって行われるため、上述の保守要求メッセージを確認した使用者は、保守点検サービス機関に連絡して装置の交換依頼を行う。但し、制御部1は、上述した保守要求判定工程で各色の画像形成ユニット18Bk,18Y,18M,18Cや定着装置25について保守要求有りと判定した場合には、直ちに、管理装置104へその旨を通知する。これにより、管理装置104の状態情報解析部143は、MTS法によって複数種類の異常のそれぞれについて有無を判定する。そして、この異常判定工程において、いずれかの異常が発生した場合には、その発生と異常の種類とを示すメンテナンス情報が端末装置106に送られ、異常発生メッセージ等がサービスマン等に報知させる。
【0095】
本実施形態においては、寿命が到達した装置の交換が必要になったことだけでなく、そのときにどこかの箇所で異常が発生していれば、その異常が発生していることもサービスマン等に報知することになる。このような報知が行われたサービスマン等は、ある装置の寿命が到達したことに加えて、ある種の異常が発生していることも把握できる。これにより、サービスマンは、保守必要有りと判定した装置(寿命が到達した装置)の交換に加えて、その装置とは別の異常箇所の保守点検を同時に行い、メンテナンス作業の効率化を図ることができる。
【0096】
なお、保守必要有りという判定結果や、異常有りという判定結果を使用者に報知するようにしてもよい。
また、本実施形態では、異常判定処理を管理装置104で行う場合について説明したが、画像形成装置内部やこれに直結した装置で行っても良い。この場合には、データ更新のための通信費用を不要にしてランニングコストを抑えることができる。特に、MTS法に用いる各種のデータは、データ容量が大きくなって通信時間を長くしてしまう傾向にあるので、管理装置104で異常判定処理を行うとランニングコストの低減に有効である。
また、画像形成装置内部やこれに直結した装置と、管理装置104との両方で異常判定処理を行うようにしてもよい。また、保守の必要性の判定をいずれか一方で行わせ、異常の有無の判定をもう一方で行わせるようにしてもよい。この場合、後者の判定を保守点検サービス機関の異常判定装置で行わせれば、異常の有無の判定精度を高めることができるし、使用者の異常判定装置で行わせれば、通信コストを抑えることができる。
【0097】
本実施形態において、各複写機101は、転写紙1枚に対する画像形成動作を行う毎に、センシングデータなどといったMST法に必要な各種状態情報をサンプリングして状態情報記憶部112に記憶する。そして、後述するように、送信タイミング決定部114で決定される各種類に適した送信タイミングで、それぞれの種類の状態情報が管理装置104へ送信される。また、複写機101は、定着ヒータ故障、電源回路故障などといった特定の箇所の故障を常に監視しており、その故障を検知すると、複写機全体の動作を緊急停止するとともに、EM(エマージェンシーメンテナンス)信号を、通信回線を通じて管理装置104に送信するようになっている。故障の監視の方法としては、故障発生に関連する情報を取得し得るセンサの出力値を監視し、その出力に基づいて検出させるようにすればよい。例えば、定着装置25の場合には、ヒーターに電源を供給するヒーター電源から、ヒーターへの電流値をセンサたる電流計によって検知させる。そして、ヒーター電源がヒーターへの電流供給接点をオンしているにもかかわらず、電流計が電流を検知しない場合にヒーターやヒーター電源の故障と判定させればよい。また、加熱ベルトの表面温度を周知の表面温度センサによって検知させ、ヒーターへの電源をオンにしてから所定時間経過しても表面温度が所定の温度まで上昇しない場合に、ヒーターの故障と判定させればよい。また、感光体を一様帯電せしめる帯電装置の場合には、帯電装置に電源を供給する帯電電源による電源供給をオンしているにもかかわらず、感光体の一様帯電電位が所定の値に達しない場合に帯電装置の故障と判定させればよい。また、各種駆動伝達系の場合には、ギヤ等の回転体の回転をエンコーダーによって検知させ、モーター等の駆動源への電源供給がオンになっているにもかかわらず、エンコーダーによって回転体の回転が検出されない場合に故障と判定させればよい。また、駆動源に対して過電流が流れた場合に駆動伝達系の故障と判定させてもよい。また、各種の電気回路基板の場合には、外部からテスト用の信号を入力し、その信号の入力に基づく応答信号について、電気回路基板から正常に返ってくるか否かをみればよい。
【0098】
管理装置104では、各複写機101から通信回線を通じて送られてくる各種状態情報を、状態情報受信部141で受信し、ハードディスクなどで構成される受信情報記憶部142に記憶する。そして、管理装置104の状態情報解析部143は、2時間毎などといった定期的なタイミングで、複数種類の異常(複数系統の異常)についてそれぞれ有無を判定する。このとき、受信情報記憶部142に記憶している多量の組データ(各種の取得データからなる1組のデータ)のうち、まだMTS法による処理を行っていないものだけを選び出し、それぞれについてマハラノビス距離を求める。複写機からEM要求信号が送られてこない限りは、このように異常の有無を定期的に判定するだけである。
【0099】
但し、複写機から送られてきたEM要求信号を受信すると、通常とは異なる処理によって異常の有無を判定する。具体的には、管理装置104は、各種の異常にそれぞれ個別に対応する複数の逆行列Aを記憶しているのは既に述べた通りであるが、それぞれの逆行列Aとして、異常判定用と、異常直前判定用との2種類を記憶している。そして、複写機からEM要求信号が送られてこない限りは、各種の異常について、それぞれ異常判定用の逆行列を用いて有無を判定する。これに対し、複写機から送られてきたEM要求信号を受信すると、各種の異常について、それぞれ異常直前判定用の逆行列を用いて有無を判定する。
【0100】
異常判定用の逆行列は、次のようにして構築されたものである。
すなわち、被検対象の複写機101と同一仕様であり、且つ正常な状態であることが判明している標準機から取得した各種状態情報に基づいて構築されている。より詳しくは、標準機の試運転開始から、初めの故障が発生するまで、逆行列の構築に用いる各種データをサンプリングし続ける。そして、故障が発生した時点で、その時点から所定の第1期間よりも大きく遡った時期にサンプリングしたデータだけを抽出し、それらに基づいて異常判定用の逆行列を構築する。例えば、故障が発生した時点から30日(第1期間)よりも大きく遡った時期(31日以上遡った時期)にサンプリングした状態情報だけに基づいて異常判定用の逆行列を構築する。故障が発生した時点の標準機は正常ではないが、それよりも所定の第1期間よりも大きく遡った時期の標準機は、それほど異常が進行していないため、正常とみなして差し支えないからである。かかる時期にサンプリングした状態情報に基づいて構築した異常判定用の逆行列を後述する一般判定処理で用いるのである。なお、当然ながら、異常判定用の逆行列は、各系統毎にそれぞれ専用のものが構築される。また、故障とは、目に見えるあるいは比較的容易に認識することができ、且つ復旧させるまで装置の停止を余儀なくされる程度まで進行した異常のことを示す。
【0101】
異常直前判定用の逆行列は、次のようにして構築されたものである。
すなわち、故障が発生した時点で、その時点から所定の第2期間(第1期間<第2期間)よりも大きく遡った時期に標準機からサンプリングされたデータだけを抽出し、それらに基づいて異常直前判定用の逆行列を構築する。例えば、故障が発生した時点から40日(第2期間)よりも大きく遡った時期(41日以上遡った時期)にサンプリングしたデータだけに基づいて異常直前判定用の逆行列を構築する。第2期間は第1期間よりも長いので、このようにして構築した異常直前判定用の逆行列は、異常判定用の逆行列よりも異常が進行していない状態の標準機からサンプリングされたものである。よって、正常さ加減が異常判定用の逆行列よりも大きくなる。かかる異常直前判定用の逆行列を用いて行う後述の基準引き上げ判定処理は、異常判定用の逆行列を用いて行う一般判定処理よりも判定基準を厳しくしていることになる。なお、当然ながら、異常直前判定用の逆行列も、各系統毎にそれぞれ専用のものが構築される。
【0102】
図11は、本実施形態における異常判定工程の制御フローを示すフローチャートである。
この異常判定工程では、まず、異常判定用の逆行列を用いた一般判定処理が行われる(S21)。そして、この一般判定処理で何らかの異常が検出された場合には(S22のYes)、その異常の系統についての異常解消対策情報が受信情報記憶部142の各種状態情報から特定されて、管理装置104の表示部に表示される(S23)。これにより、管理装置104の運営者は、どの部品を交換して異常を解消したらよいのかや、どの部品を清掃して異常を解消したらよいのかを教えて、異常発生時に適切に対処してもらうことができる。また、異常解消対策情報は、メンテナンス情報として、判別結果送信部144から端末装置106へ送信される。この異常解消対策情報とは、例えば、「この複写機は部品Aの交換が必要です。」といった情報や、「感光体劣化系の異常が発生しました。」といった情報などである。本実施形態では、各系統に対応した異常解消対策情報を予め管理装置104のRAM等に記憶しており、異常を検出した場合に、それらの中からその異常の系統に対応するものを特定して表示部に表示するとともに、メンテナンス情報として判別結果送信部144から端末装置106へ送信する。
【0103】
その後、すべての異常について一般判定処理を終了したか否かが判断され(S24)、終了していない場合には(S24のNo)、上述のS21に制御がループせしめられる。このようなS21〜S24のフローにより、すべての系統の異常についてその有無が判定され、異常が検出された場合には、その都度、それに対応する異常解消対策情報が表示部に表示される。なお、異常解消対策情報を表示するのではなく、プリントアウトするようにしてもよい。
【0104】
上述のS24ですべての系統について異常の有無を判定したと判断されると(S24のYes)、次に、EM要求信号を受信したか否かが判断される(S25)。受信したと判断されるのは、被検対象の複写機101に故障が発生した場合である。この場合(S25のYes)、すべての種類の異常のうち、一般判定処理で検出されなかった異常について、基準引き上げ判定処理が行われる(S26)。この基準引き上げ判定処理においては、上述のように、判定基準をより厳しくしているため、通常の判定基準において現時点では有りと判定されないものの、近い将来には有りと判定される異常について、現時点で有りと判定することになる。かかる基準引き上げ判定処理においていずれかの異常が有りと判定されると(S27のYes)、その異常についての異常解消対策情報が特定されて操作表示部に表示された後(S28)、すべての未検出異常について基準引き上げ判定処理が行われたか否かが判断される(S29)。そして、すべて終了したと判断された場合には(S29のYes)、一連の制御フローが終了する。
【0105】
本実施形態においては、被検対象となる複写機101に故障が発生した場合に、その故障箇所とは異なる箇所について、現時点では異常無しと判定されるものの、近い将来には異常有りと判定される場合には、現時点で異常有りと判定できるようにする。これにより、サービスマンに対し、故障箇所の修理を行う際に、同時に、近い将来に異常が発生する箇所の保守点検を行わせて、メンテナンス作業の効率化を図ることが可能になる。なお、異常の判定基準をより厳しくする方法として、マハラノビス距離Dの算出に用いる逆行列を切り替える方法について説明したが、次のようにしてもよい。すなわち、マハラノビス距離Dの二乗と比較する閾値を、第1閾値からそれよりも小さな第2閾値に切り替えるのである。
【0106】
次に、本発明の特徴部分である、各複写機101から管理装置104へ状態情報を送信するタイミングを、その状態情報の種類ごとに決定する処理について説明する。
本実施形態において、黒用の現像装置61Bkは出力画像がモノクロの場合でもカラーの場合でも駆動するが、他色の現像装置61Y,61M,61Cは出力画像がカラーの場合には駆動するがモノクロの場合には駆動しない。したがって、例えば、使用者がカラー画像に対してモノクロ画像の方を極端に多くプリントするような使い方をしている場合、黒用の現像装置61Bkの駆動に関する状態情報(現像スリーブ65の駆動時間情報など)は頻繁に変化するが、他色の現像装置61Y,61M,61Cの駆動に関する状態情報はあまり変化しない。
【0107】
そこで、本実施形態では、各現像装置61Bk,61Y,61M,61Cの状態情報については、それぞれの現像装置における回転体としての現像スリーブの回転数のカウント値が予め決められた閾値を越えるたびに、そのタイミングで、管理装置104へ送信するように設定されている。これにより、他色の現像装置61Y,61M,61Cに比べて駆動時間又は駆動回数が多い黒用の現像装置61Bkの状態情報は、他色の現像装置61Y,61M,61Cの状態情報に比べて高い頻度で送信され、管理装置104にて収集・解析されることになる。
【0108】
本実施形態によれば、内容が頻繁に変化する黒用の現像装置61Bkの状態情報については収集頻度が高まるので、その黒用の現像装置61Bkの故障予測精度を高めたり、異常状態を見逃がすケースを少なくしたりすることができる。一方、内容があまり変化しない他色の現像装置61Y,61M,61Cの状態情報については、その収集頻度を高くしても、故障予測精度が高まったり異常状態を見逃がすケースを少なくしたりするなどの効果があまり期待できない。状態情報の送信頻度が高いと、通信ネットワークの通信負荷(トラフィック等)や複写機101及び管理装置104の処理負荷を増大させる結果を招くので、このような状態情報を必要以上の頻度で収集することは避ける方がよい。
また、駆動時間又は駆動回数が多い黒用の現像装置61Bkは、他色の現像装置61Y,61M,61Cに比べて故障の発生確率が高い。本実施形態では、このように故障の発生確率が高い黒用の現像装置61Bkの状態情報についてだけ、その収集頻度を高めることができるので、通信ネットワークの通信負荷等の増大を抑えつつも、効果的に故障予測精度が高まる等の有益な効果を得ることができる。
【0109】
本実施形態においては、各現像装置61Bk,61Y,61M,61Cの現像スリーブ回転数のカウント値が予め決められた閾値を越えるという条件を満たすたびに、その現像装置の状態情報が送信される。本実施形態では、この閾値を使用者の意志で適宜変更できる構成になっている。具体的には、使用者が操作パネルに対して閾値変更指示操作を行うと、これが操作受付部115に受け付けられ、これにより送信タイミング決定部114で用いる各閾値がその閾値変更指示操作の内容に従って変更される。よって、例えば、黒用の現像装置61Bkに対応する閾値を他色の現像装置61Y,61M,61Cの状態情報よりも小さい値に設定すれば、黒用の現像装置61Bkについての状態情報を、他色の現像装置61Y,61M,61Cよりも細かく収集・解析することができる。よって、例えば過去の経験等から黒色の現像装置61Bkが故障しやすいことを使用者が把握している場合、使用者は黒色の現像装置61Bkに対応する閾値を小さくすることで、黒色の現像装置61Bkについての故障予測精度を高めることができる。
【0110】
なお、本実施形態では、閾値の変更を使用者の操作内容に基づいて変更する場合について説明したが、管理装置104側から通信ネットワークを介して条件変更情報を複写機101へ送信し、これを受信した複写機101でその条件変更情報に基づき閾値を変更するようにしてもよい。
【0111】
〔変形例1〕
次に、上記実施形態1の一変形例(以下、本変形例を「変形例1」という。)について説明する。
本変形例1は、複数の使用者がそれぞれ所有する様々な地域におかれた複数の複写機を被検対象の機器とするものであるが、それら複写機の基本的な構成は上記実施形態1に係る複写機と同様であるので説明を省略する。また、上記実施形態1と重複した説明についても同様に省略する。
【0112】
図12は、本変形例1に係る故障予測システム全体の概略構成図である。
本変形例1において、管理装置104は通信回線を介して被検対象となる複写機A〜複写機Pという16台の複写機と接続されている。これにより、保守点検サービス機関に設置された管理装置104は、遠隔地にある16台の複写機A〜Pと、それぞれ通信回線を介して接続されている。
また、図中に示した地域1〜地域5は、それぞれ例えば3km圏内などといった地理的に狭いエリアを示している。16台の複写機A〜Pのうち、複写機A、複写機B及び複写機Cの3台は、地域1というエリア内に設置されており、地理的な観点から互いに近距離の位置関係にある。また、複写機D及び複写機Eの2台は、地域2というエリア内に設置されており、互いに近距離の位置関係にある。また、複写機F、複写機G及び複写機Hの3台は、地域3というエリア内に設置されており、互いに近距離の位置関係にある。また、複写機I及び複写機Jの2台は、地域4というエリア内に設置されており、互いに近距離の位置関係にある。また、複写機K、複写機L、複写機M、複写機N、複写機O及び複写機Pは、地域5というエリア内に設置されており、互いに近距離の位置関係にある。
【0113】
16台の複写機A〜Pは、それぞれプリント動作を1回行う毎に各種のセンシングデータなどを監視して、それを電子データとしてハードディスク等のデータ記憶手段に記憶する。そして、後述するように、送信タイミング決定部114で決定される各種類に適した送信タイミングで、それぞれの種類の状態情報が管理装置104へ送信される。このとき、それぞれ、複写機を1台毎に区別するためにそれぞれの複写機に付された複写機IDのデータも、各種状態情報とともに送信される。
また、16台の複写機A〜Pは、それぞれ、定着ヒータ故障、電源回路故障などといった特定の箇所の故障を常に監視しており、その故障を検知すると、複写機全体の動作を緊急停止するとともに、EM要求信号を通信回線を通じて管理装置104に送信するようになっている。
【0114】
管理装置104は、16台の複写機A〜Pのいずれかによって送られた各種状態情報を受信したら、上述の複写機IDに基づいて、どの複写機から送られてきたものなのかを特定するだけでなく、どの地域から送られてきたものなのかを特定する。具体的には、管理装置104のRAM等には、各複写機それぞれの複写機IDと地域情報とを互いに関連付けるためのデータテーブルが記憶されており、このデータテーブルに基づいてどの地域から送られてきたものなのかを特定する。受信した情報は、受信情報記憶部142内の各複写機IDに関連づけて記憶される。
管理装置104では、このようにして各複写機からそれぞれ送信されてくる各種状態情報である組データを記憶していき、例えば2時間経過毎などといった所定のタイミングが到来する毎に、状態情報解析部143において異常判定処理を行う。
【0115】
図13は、本変形例1における異常判定工程の制御フローを示すフローチャートである。
本変形例1の異常判定工程でも、まず、16台の複写機A〜Pのそれぞれについて、上述した異常判定用の逆行列を用いた一般判定処理が行われる(S31)。そして、いずれかの複写機A〜Pで異常が検出された場合には(S32のYes)、その複写機に異常が検出されたことを示す異常検出メッセージが管理装置104の表示部に表示された後(S33)、その複写機と同じ地域に設置されている他の複写機が特定される(S34)。これにより、例えば、複写機Kで異常が検出された場合には、それと同じ地域5に設置されている複写機L、複写機M、複写機N、複写機O、複写機Pの5台が特定される。そして、特定された複写機のぞれぞれについて、上述した異常直前判定用の逆行列を用いた、すなわち、判定基準をより厳しくした基準引き上げ判定処理が行われる(S35)。これにより、通常の判定基準で異常が検出されなかった複写機のうち、一般判定処理で異常が検出された複写機と同じ地域に設置されているものについて、次のような確認が行われる。すなわち、現時点では異常無しと判定されるものの、近い将来に異常有りと判定されるか否かの確認である。そして、この基準引き上げ判定処理において、先にS34で特定した複写機のうちのいずれかで異常が検出された場合には(S36のYes)、異常直前検出メッセージが管理装置104の表示部に表示される(S37)。また、異常直前検出メッセージは、メンテナンス情報として、判別結果送信部144から端末装置106へ送信される。
【0116】
このような異常判定工程により、すべての複写機A〜Pについて通常異常の有無が前判定され、通常異常が検出された場合にはその都度、通常異常が検出された複写機と同じ地域に設置された他の複写機について異常直前の有無が後判定される。なお、検出メッセージについては、表示するのではなく、プリントアウトするようにしてもよい。
【0117】
本変形例1においては、サービスマンに対し、故障が検出された複写機の保守点検を行わせるついでに、その複写機と同じ地域に設置された他の複写機であって且つ近い将来に異常が検出される複写機の保守点検を行わせることが可能となり、メンテナンス作業の効率化を図ることが可能になる。
【0118】
〔変形例2〕
次に、上記実施形態1の他の変形例(以下、本変形例を「変形例2」という。)について説明する。
なお、上記実施形態1や上記変形例1と重複した説明についても同様に省略する。
【0119】
本変形例2では、上述した実施形態1や上記変形例1と同様にMTS法によって複数種類の異常についてそれぞれ有無を判定する。それぞれの異常については、異常判定用の逆行列を用いた一般判定処理を行う場合と、異常直前判定用の逆行列を用いた基準引き上げ判定処理を行う場合とがある。また、本変形例2では、上述した実施形態1や上記変形例1と同様に、各色の画像形成ユニット18Bk,18Y,18M,18Cや定着装置25について、それぞれ動作回数に基づいた保守要求判定を行うようになっている。また、本変形例2では、いずれかの種類の異常を一般判定処理で検出するか、あるいはいずれかの装置についての保守要求を検出するまでは、異常の判定については一般判定処理だけで行う。そして、異常あるいは保守要求を検出すると、異常の判定のやり方を一般判定処理から基準引き上げ判定処理に切り替える。
【0120】
このような構成を採用することで、一般判定処理でいずれかの異常を検出した時点、あるいは保守要求判定でいずれかの装置の保守要求を検出した時点で、無しと判定されているものの、近い将来に有りと判定される異常を、その時点で有りと判定できるようにする。これにより、サービスマンに対し、一般判定処理で有りと判定された異常に対応する箇所の保守点検を行わせるか、あるいは、保守必要有りと判定された装置の保守点検を行わせるかする際に、同時に、近い将来に有りと判定される異常に対応する箇所の保守点検を行わせることが可能となる。よって、サービスマンのメンテナンス作業の効率化を図ることが可能になる。
【0121】
なお、異常あるいは保守要求が検出された時点で、異常の有無の判定を一般判定処理から基準引き上げ判定処理に切り替えるようにした例について説明したが、保守要求判定を一般判定処理から基準引き上げ判定処理に切り替えるようにしてもよい。この場合には、一般判定処理において保守サイクル閾値として上記実施形態1の場合と同程度の値のものを使用させる一方で、基準引き上げ判定処理において、保守サイクル閾値として、より値の小さくものを使用させる。また、一般判定処理で異常が検出されたときにだけ、異常の有無の判定を基準引き上げ判定処理に切り替えさせてもよいし、保守要求が検出されたときにだけ異常の有無の判定を基準引き上げ判定処理に切り替えさせてもよい。
また、保守サイクル閾値として通常のものを使用した保守要求の有無の判定において保守要求が検出されたときにだけ、保守サイクル閾値をより厳しくしてもよい。更には、一般判定処理で異常が検出されたときにだけ、保守サイクル閾値をより厳しくしてもよい。
また、異常の判定基準をより厳しくする方法として、マハラノビス距離Dの二乗と比較する閾値を、第1閾値からそれよりも小さな第2閾値に切り替える方法を採用してもよい。
【0122】
〔変形例3〕
次に、上記実施形態1の更に他の変形例(以下、本変形例を「変形例3」という。)について説明する。
なお、上記実施形態1や上記変形例1及び2と重複した説明についても同様に省略する。
【0123】
本変形例3においては、各複写機から所定のタイミングで各種状態情報である組データのほか、動作回数カウント値なども管理装置104へ送られる。管理装置104は、基本的には、各複写機から通信回線を通じてそれぞれ送られている動作回数カウント値に基づいて、各複写機についてそれぞれ、各色の画像形成ユニット18Bk,18Y,18M,18Cや定着装置25の保守要求判定処理だけを行う。但し、いずれかの複写機におけるいずれかの装置(画像形成ユニット18Bk,18Y,18M,18Cや定着装置25)で保守要求が検出された場合には、その複写機と同じ地域に設置されている他の複写機のすべてを上記変形例1の場合と同様に特定する。そして、特定した複写機のすべてについて、異常判定処理を行う。
【0124】
このような構成を採用することにより、いずれかの複写機のいずれかの装置(画像形成ユニット18Bk,18Y,18M,18Cや定着装置25)で保守要求を検出した場合に、保守要求を検出したかった複写機であって且つ保守要求を検出した複写機と同じ地域に設置されているものについて、異常が検出されるか否かを判定する。これにより、サービスマンに対し、保守要求が検出された装置を搭載する複写機の保守点検を行わせるついでに、その複写機の近所におかれた複写機であって且つ異常が検出されたものの保守点検も行わせることで、メンテナンス作業の効率化を図ることが可能になる。
【0125】
〔実施形態2〕
次に、本発明を、上記実施形態1の場合と同様に故障予測システムに適用した他の実施形態(以下、本実施形態を「実施形態2」という。)について説明する。
本実施形態は、複写機101から管理装置104へ状態情報を送信するタイミングを管理装置側から設定する場合の一例を示すものである。本実施形態においては、本故障予測システムを構成する各複写機及び管理装置について、上記実施形態1と重複した説明の部分は省略する。なお、上記実施形態1についての各変形例1〜3の内容は、本実施形態にも適用可能であるが、その説明も省略する。
【0126】
図14は、本実施形態における故障予測システムの機能ブロック図である。
図15は、本実施形態における、使用者の使用状況(以下「ユーザ使用状況」という。)と複写機101の環境情報とから、各複写機101からの状態情報送信間隔を設定するまでのデータフロー図である。
図15に示すように、使用者が複写機101に対して何らかのインプットを行う毎に、ユーザ使用状況に関する情報がその複写機の制御部1における情報記憶部(ROM1b、RAM1c)に蓄積されていく。また、複写機の環境情報は、定期的に情報記憶部に蓄積されていく。環境情報は一日の中でも変化するので、2〜4時間間隔で、蓄積するのが好ましい。こうして、収集されたユーザ使用状況情報と環境情報は、予め設定された時刻に管理装置104に送信され、管理装置104のデータベースに蓄積される。管理装置104では、十分な量の情報が蓄積されたら、それらの情報から、複写機に備わった各種装置、部品、ユニット等(以下、単に「ユニット」という。)のうち、故障しやすいユニットを予測する処理を行う。この予測処理は、統計的パターン認識により作成された判別関数を用いればよい。すなわち、故障を発生させた使用者の使用状況情報と環境情報を事前に教師データとして判別ルールを作成し、それに対して、収集されたユーザ使用状況情報及び環境情報が似ているかどうかを判別するのである。このようなアルゴリズムは多数提案されているが、本実施形態では、例えば、決定木のアルゴリズムを用いればよい。決定木のアルゴリズムによって作成された判別関数は、例えば、「カラー画像に比べてモノクロ画像の出力が5倍以上あり、一日の出力数が500枚以上あり、湿度が30%以下のときは、ブラックのクリーニング不良が発生する」というように、各情報の場合分けから発生しやすい故障を判別することができる。
【0127】
このような判別結果から、各複写機101における各ユニットの状態信号送信間隔を決定する。具体的には、使用状況情報および環境情報が特定の故障を引き起すパターンになっていると判別された場合、その故障に対応するユニットと状態情報送信間隔の設定値(現在の設定値よりも短い送信間隔)を、対象の複写機101に対して管理装置104から送信する。ここで設定される設定値は、本実施形態では初期値の1/2としている。このように設定することで、故障しやすいと判別されたユニットの状態情報は、そうでないユニットの状態情報に比べて2倍の頻度で収集・解析されることになる。これにより、故障しやすいと判別されたユニットについては、状態情報の変化を見逃がす可能性が減る上に、より早く状態情報の変化を捉えることができる。
【0128】
故障に対応するユニットと状態情報送信間隔の設定値の情報(以下「送信タイミング決定情報」という。)を管理装置104から受け取った複写機101は、送信タイミング決定部114により、その送信タイミング決定情報に基づき、対応するユニットの状態情報送信間隔の設定値を決定し、決定した設定値に変更する。なお、送信間隔の指標としては、例えばユニットの稼働時間あるいはそれに相当するものを採用する。回転数をカウントするためのカウンタを備えたユニットについては、その回転数を指標として用いてもよい。
【0129】
本実施形態によれば、故障が発生しやすいユニットの状態情報の収集頻度が、そうでないユニットの状態情報に比べて2倍になるので、故障しやすいと判別されたユニットについてだけ故障予測精度が高まる等の有益な効果を得つつ、故障が発生しやすいと判定されなかったユニットの状態情報の収集頻度は小さくして、通信ネットワークの通信負荷等の増大を抑えることができる。
【0130】
なお、複写機101が使用者へ納入され稼動が始まってから間もない初期期間は、使用者の使用状況情報や環境情報が十分に収集されていないので、各ユニットの状態情報の送信間隔は、それぞれについて予め決められている初期値の送信間隔で送信される。もし、管理装置104のデータベースにその使用者についての以前の使用状況情報と環境情報が蓄積されている場合、初期期間はその情報に基づいて決定される状態情報送信間隔に設定するようにしてもよい。
【0131】
以上、上述した本実施形態1及び2に係る画像形成装置としての複写機101は、当該複写機の状態を示す状態情報を管理する管理装置104に対し、通信ネットワーク102,103を介して通信可能に接続されるものであり、複数種類の状態情報を取得する状態情報取得手段としての状態情報取得部111と、所定の決定条件に従って状態情報取得部111が取得した複数種類の状態情報それぞれの送信タイミングを決定する送信タイミング決定手段としての送信タイミング決定部114と、状態情報取得部111が取得した複数種類の状態情報を、それぞれ送信タイミング決定部114が決定した各送信タイミングで通信ネットワーク102,103を介して管理装置104へ送信する状態情報送信手段としての状態情報送信部113とを有している。これにより、状態情報取得部111で取得する複数種類の状態情報の送信タイミングを、所定の決定条件に従い、その状態情報の種類間で互いに異なるタイミングにすることができる。よって、所定の決定条件を適切に設定することで、各種類の状態情報を、その種類に適した頻度で、複写機101から管理装置104へ送信することができる。
特に、上述した本実施形態1においては、複写機101における内部装置である各色の現像装置61Bk,61Y,61M,61Cの駆動時間を把握するための駆動時間関連情報である現像スリーブ回転数情報を取得する駆動時間関連情報取得手段を有し、上記状態情報取得部111は、各色の現像装置61Bk,61Y,61M,61Cについての状態情報を取得するものであり、送信タイミング決定部114は、これらの現像スリーブ回転数情報の各値が所定の閾値を越えて変化したタイミングに基づき、閾値を越えて変化した現像スリーブ回転数情報に対応する現像装置の状態情報の送信タイミングを決定する。これにより、各現像装置61Bk,61Y,61M,61Cについて、偏りのない(駆動時間に関して等間隔である)データを収集することができる。また、管理装置104には所定の駆動時間が経過した状態情報が蓄積される結果、同じ駆動時間がほとんど替わらない同じようなデータが溜まってしまうような事態も生じない。
特に、上記実施形態1では、黒色の現像装置61Bkと他色の現像装置61Y,61M,61Cとは、それぞれ、互いに独立して回転可能な複数の回転体としての現像スリーブ65を有し、上記駆動時間関連情報取得手段は、これらの現像スリーブ65の回転数情報(回転駆動情報)を、対応する現像装置における駆動時間関連情報として取得する。これにより、黒色の現像装置61Bkと他色の現像装置61Y,61M,61Cとの各駆動時間を簡単かつ容易に把握することができる。
なお、上述した実施形態1及び2において、状態情報送信部113は、状態情報を送信するときに、管理装置104へ送信すべき他の情報も一緒に送信するようにしてもよい。この場合、これらの情報をバラバラに送信する場合に比べて、管理装置104側の処理負荷を軽減できる。
また、上記実施形態1においては、操作を受け付ける操作受付手段としての操作受付部115と、操作受付部115が受け付けた条件変更操作の内容に従って上記閾値を変更する条件変更手段とを有している。これにより、使用状況を最もよく把握している使用者の手によって送信タイミングを決定するための各閾値を変更できるので、使用状況に応じた最適な閾値を得るのが容易となる。
また、上記実施形態2において、複写機101は、通信ネットワークを介して条件変更情報としての送信タイミング決定情報を受信する条件変更情報受信手段と、受信した送信タイミング決定情報に従って状態情報送信間隔の設定値を変更する条件変更手段とを有している。これにより、管理装置104を管理運営する側から最適な送信間隔を設定できる。
特に、上記実施形態2においては、複写機101は、自己の使用状況情報を取得するための使用状況情報取得手段と、自己の環境情報(温度や湿度などの情報)を取得するための環境情報取得手段と、使用状況情報及び環境情報を所定のタイミングで通信ネットワークを介して管理装置104へ送信する情報送信手段とを有しており、管理装置104は、複写機101から送信された使用状況情報及び環境情報を通信ネットワークを介して受信する情報受信手段と、状態情報記憶手段としての受信情報記憶部142に記憶された状態情報に基づいて複写機101の状態が異常であるか否かを判別する判別手段としての状態情報解析部143と、状態情報解析部143が異常であると判別したときに、その異常状態に対応するユニットの故障発生確率を、受信した使用状況情報及び環境情報に基づいて算出する故障発生確率算出手段と、算出したユニットの故障発生確率に基づいてそのユニットの状態情報の送信タイミングを決定する決定手段と、そのユニットの状態情報の送信タイミングを当該決定した送信タイミングにするための送信タイミング決定情報を、通信ネットワークを介して複写機101へ送信する条件変更情報送信手段とを有する。よって、使用状況や環境情報から故障発生確率が高いことが把握される現像装置等のユニットに関しては高い頻度で状態情報を送信し、そうではないユニットに関しては低い頻度で状態情報を送信することができる。
【0132】
なお、上述した実施形態1及び2においては、対象機器が電子写真方式の画像形成装置である場合について説明したが、これに限るものではなく、インクジェット方式、熱転写方式、ドットインパクト方式などあらゆる画像形成装置に適用可能である。
また、本実施形態1及び2では 複写機101の異常判別処理を行うのは、複写機101に対して通信ネットワークを介して接続された管理装置104である場合について説明したが、個々の複写機101において行うようにしてもよい。この場合、複写機101において異常と判定された場合、通信ネットワークを介して管理装置104にその旨を知らせたり、メンテナンス業者へその旨が通信されたりする。なお、異常判定処理の処理中は複写機101の制御部1のリソースがうばわれるので、異常判定処理を行うのは複写機101の利用が少ない深夜や早朝に設定するのが好ましい。ただし、状態情報の収集と蓄積は画像出力動作のあいまに定期的に行う。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】実施形態1に係る故障予測システム全体の概略構成図である。
【図2】同システムを構成する管理装置の概略構成を示す説明図である。
【図3】同故障予測システムを構成する複写機の主要部を示すブロック図である。
【図4】同複写機全体の概略構成図である。
【図5】同複写機のプリンタ部の主要部拡大図である。
【図6】同プリンタ部のタンデム画像形成装置の部分拡大図である。
【図7】同故障予測システムの機能ブロック図である。
【図8】同管理装置の状態情報解析部で用いる指標値の算出方法(算出式)を決める手順を示すフローチャートである。
【図9】同管理装置の状態情報解析部で行う異常判別処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】故障発生率の特性曲線を示すグラフである。
【図11】実施形態1における異常判定工程の制御フローを示すフローチャートである。
【図12】変形例1に係る故障予測システム全体の概略構成図である。
【図13】変形例1における異常判定工程の制御フローを示すフローチャートである。
【図14】実施形態2における故障予測システムの機能ブロック図である。
【図15】実施形態2における、使用者の使用状況(以下「ユーザ使用状況」という。)と複写機の環境情報とから、各複写機からの状態情報送信間隔を設定するまでのデータフロー図である。
【符号の説明】
【0134】
1 制御部
61Bk,61Y,61M,61C 現像装置
100 プリンタ部
101 複写機
102 データ通信装置
103,105 通信回線
104 管理装置
106 端末装置
111 状態情報取得部
112 状態情報記憶部
113 状態情報送信部
114 送信タイミング決定部
115 操作受付部
141 状態情報受信部
142 受信情報記憶部
143 状態情報解析部
144 判別結果送信部
200 給紙部
300 スキャナ部
400 原稿搬送部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の状態を示す状態情報を管理する管理装置に対し、通信ネットワークを介して通信可能に接続される画像形成装置において、
複数種類の状態情報を取得する状態情報取得手段と、
所定の決定条件に従って、該状態情報取得手段が取得した複数種類の状態情報が互いに異なるタイミングで上記管理装置へ送信されるように、該複数種類の状態情報それぞれの送信タイミングを決定する送信タイミング決定手段と、
該状態情報取得手段が取得した複数種類の状態情報を、それぞれ該送信タイミング決定手段が決定した各送信タイミングで、上記通信ネットワークを介して上記管理装置へ送信する状態情報送信手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
当該画像形成装置における複数の内部装置の駆動時間を把握するための駆動時間関連情報を取得する駆動時間関連情報取得手段を有し、
上記状態情報取得手段は、該複数の内部装置についての状態情報を取得するものであり、
上記送信タイミング決定手段は、該駆動時間関連情報取得手段が取得した駆動時間関連情報の各値が所定の閾値を越えて変化したタイミングに基づき、該閾値を越えて変化した駆動時間関連情報に対応する内部装置の状態情報の送信タイミングを決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2の画像形成装置において、
上記複数の内部装置は、それぞれ、互いに独立して回転可能な複数の回転体を有するものであり、
上記駆動時間関連情報取得手段は、該複数の回転体の回転駆動情報を、対応する内部装置における駆動時間関連情報として取得するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記状態情報送信手段は、上記複数種類の状態情報の少なくとも1種類については、その状態情報を送信するときに、該複数種類の状態情報に含まれない上記管理装置へ送信すべき他の情報も一緒に送信することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
操作を受け付ける操作受付手段と、
該操作受付手段が受け付けた条件変更操作の内容に従って、上記所定の決定条件を変更する条件変更手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
通信ネットワークを介して条件変更情報を受信する条件変更情報受信手段と、
該条件変更情報受信手段が受信した条件変更情報に従って、上記所定の決定条件を変更する条件変更手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6の画像形成装置において、
当該画像形成装置の使用状況情報を取得するための使用状況情報取得手段と、
当該画像形成装置の環境情報を取得するための環境情報取得手段と、
該使用状況情報及び該環境情報を所定のタイミングで通信ネットワークを介して上記管理装置へ送信する情報送信手段とを有し、
上記条件変更情報受信手段は、該情報送信手段が送信した使用状況情報及び環境情報から算出される複数種類の故障の発生確率に基づいて決定された上記複数種類の状態情報ごとの条件変更情報を、通信ネットワークを介して受信するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
画像形成装置と管理装置とを通信ネットワークを介して互いに通信可能に接続した状態管理システムであって、
上記画像形成装置は、
当該画像形成装置の複数種類の状態をそれぞれ示す複数種類の状態情報を取得する状態情報取得手段と、
所定の決定条件に従って、該状態情報取得手段が取得した複数種類の状態情報が互いに異なるタイミングで上記管理装置へ送信されるように、該複数種類の状態情報それぞれの送信タイミングを決定する送信タイミング決定手段と、
該状態情報取得手段が取得した複数種類の状態情報を、それぞれ該送信タイミング決定手段が決定した各送信タイミングで、上記通信ネットワークを介して上記管理装置へ送信する状態情報送信手段とを有し、
上記管理装置は、
上記画像形成装置の状態情報送信手段が送信する複数種類の状態情報を通信ネットワークを介して受信する状態情報受信手段と、
該状態情報受信手段が受信した複数種類の状態情報を記憶する状態情報記憶手段とを有することを特徴とする状態管理システム。
【請求項9】
請求項8の状態管理システムにおいて、
上記画像形成装置は、
当該画像形成装置の使用状況情報を取得するための使用状況情報取得手段と、
当該画像形成装置の環境情報を取得するための環境情報取得手段と、
該使用状況情報及び該環境情報を所定のタイミングで通信ネットワークを介して上記管理装置へ送信する情報送信手段と、
通信ネットワークを介して条件変更情報を受信する条件変更情報受信手段と、
該条件変更情報受信手段が受信した条件変更情報に従って、上記所定の決定条件を変更する条件変更手段とを有し、
上記管理装置は、
上記画像形成装置の情報送信手段が送信した使用状況情報及び環境情報を通信ネットワークを介して受信する情報受信手段と、
上記状態情報記憶手段に記憶された状態情報に基づいて、該画像形成装置の状態が異常であるか否かを判別する判別手段と、
該判別手段が異常であると判別したときに、その異常状態に対応する種類の故障の発生確率を、該情報受信手段が受信した使用状況情報及び環境情報に基づいて算出する故障発生確率算出手段と、
該故障発生確率算出手段が算出した種類の故障の発生確率に基づいて、該種類の故障に対応する種類の状態情報の送信タイミングを決定する決定手段と、
該種類の状態情報の送信タイミングを該決定手段が決定した送信タイミングにするための条件変更情報を、通信ネットワークを介して上記画像形成装置へ送信する条件変更情報送信手段とを有することを特徴とする状態管理システム。
【請求項10】
請求項9の状態管理システムにおいて、
上記決定手段は、該故障発生確率算出手段が算出した種類の故障の発生確率が高いほど該種類の故障に対応する種類の状態情報の送信頻度が高まるように、該種類の状態情報の送信タイミングを決定することを特徴とする状態管理システム。
【請求項11】
画像形成装置の状態を判別するために用いる状態情報に基づいて該画像形成装置の状態が異常であるか否かを判別する状態判別装置に対し、通信ネットワークを介して通信可能に接続される画像形成装置の状態判別方法であって、
上記画像形成装置における複数種類の状態情報を、通信ネットワークを介して上記状態判別装置へ送信する状態情報送信工程と、
上記画像形成装置における使用状況情報及び環境情報を、所定のタイミングで通信ネットワークを介して上記状態判別装置へ送信する情報送信工程と、
該状態情報送信工程で送信された複数種類の状態情報に基づいて、該画像形成装置の状態が異常であるか否かを上記状態判別装置で判別する判別工程と、
該判別工程で異常であると判別された場合に、その異常状態に対応する種類の故障の発生確率を、上記情報送信工程で送信された使用状況情報及び環境情報に基づいて算出する故障発生確率算出工程と、
該故障発生確率算出工程で算出された種類の故障の発生確率に基づいて、該種類の故障に対応する種類の状態情報の送信タイミングを決定する送信タイミング決定工程とを有し、
上記状態情報送信工程では、上記複数種類の状態情報を、それぞれ該送信タイミング決定工程で決定された各送信タイミングで、通信ネットワークを介して上記状態判別装置へ送信することを特徴とする状態判別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−10825(P2010−10825A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164957(P2008−164957)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】