説明

画像形成装置、制御方法およびプログラム

【課題】 無駄な処理をなくし、作像部や定着部等の寿命を延ばすことを可能にした画像形成装置を提供する。
【解決手段】 この画像形成装置は、印刷データを受信し、その印刷データに基づき描画処理するコントローラ120と、描画された画像の画像データを受け付け、画像データを用いて作像し、用紙に転写し定着させる作像プロセスを実行するエンジン130とを備える。この装置は、エンジン130がコントローラ120から画像データを一定時間経過しても受け付けていない場合に、コントローラ120に処理中の印刷データがあるか否かを問い合わせ、コントローラ120から回答を受け取る通信部を含み、エンジン130は、通信部から、処理中の印刷データがないとの回答を受け取った場合、作像プロセスの終了処理へ移行し、処理中の印刷データがあるとの回答を受け取った場合、終了処理へは移行せず、コントローラ120からの画像データの出力を待機する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無駄な終了処理時間を省略することが可能な画像形成装置、その制御方法およびその方法を実行するためのコンピュータ可読なプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ページ単位で印刷を行うことができるページプリンタは、電子写真式のプリンタで、レーザプリンタや露光装置にLEDを使用するLEDプリンタ等がある。このプリンタでは、給紙、帯電、露光、転写、定着、排紙といった一連の電子写真プロセスの処理を実行することにより印刷を行う。
【0003】
ページプリンタへは、PC等からページ記述言語(PDL)と呼ばれる言語で表現された印刷データを含む印刷要求が送られ、このページプリンタでは、印刷データをプリンタ内部に実装されるコントローラが解析を行い、描画処理を行い、描画されたページデータをエンジンに出力し、エンジンが上記の給紙、帯電、露光、転写、定着、排紙といった一連のプロセスの処理を実行する。
【0004】
描画処理は、PDLで記述された印刷データを展開することにより描画処理されるが、複数ページからなる印刷データの場合、各ページにつきそのデータサイズが異なることから、展開時間が異なる。このため、コントローラからエンジンに描画処理され生成されたページデータを出力するタイミングが、その展開時間により異なることとなる。
【0005】
エンジン側の制御は、コントローラからのページデータを受け付け、その印刷処理の開始から次のページデータを受け付けるまでの時間を管理し、一定時間経過してもページデータを受け付けなければ、最終ページと判断し、一連の電子写真プロセスの終了処理モードに移行する。
【0006】
このように、一旦プロセス終了処理に移行すると、その終了処理中に次のページデータを受け付けても、即座に次のページデータの印刷処理に入ることができない。このように、所定のプロセス終了処理シーケンスを実施してからでないと次の印刷処理を開始することができないため、データサイズが大きく、終了処理モードへ移行した後に次のページデータを受け付けるようなタイミングのデータが存在する場合、生産性が落ちるという問題があった。
【0007】
印刷ファイルが大きく大幅に印刷処理に時間をとってしまうなど、ジョブタイムアウトして欲しくないジョブに対して、ジョブデータが最終ジョブパケットかどうかを判断し、最終ジョブになるまでジョブデータの受信を待つようにする機能を備えた印刷装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
この印刷装置は、受信するジョブデータのパケットにジョブの最終かどうかのフラグが設定されているため、そのパケットにフラグが立っているかどうかの判断手段を有し、ジョブが最終でない状態の場合には、ジョブデータを継続して受信し続ける手段を有する構成とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記印刷装置へは、ホストのプリンタドライバがジョブデータを生成して送るが、そのプリンタドライバが最終ジョブデータかの状態フラグを設定し、印刷装置は、ジョブデータのパケットでジョブの最後かどうかのフラグを確認し、フラグが立っている場合は予定どおりタイムアウトを実行し、そうでない場合には強制的にホストからの受信を待ち続ける。このため、プリンタドライバが、最終ジョブデータかを判断し、状態フラグを設定するように構成される必要がある。
【0010】
印刷装置内では、コントローラが描画処理を行い、エンジンへページデータを出力するが、電子写真プロセスの終了処理に入るタイミングが来ると、終了処理へ移行してしまうため、次のページデータの印刷処理に入るか、印刷終了へ移行するかを判断することはできない。次のページデータが来ると、再度立ち上げ処理を行い、そのページデータの印刷処理に入るため、無駄な立ち上げ処理および終了処理が必要となる。
【0011】
このため、次のページデータの印刷処理に入るか、印刷終了へ移行するかを判断することができる装置の提供が望まれていた。
【0012】
定着を行う定着部は、数百ページから数千ページ間隔で印刷ジョブの終了時にクリーニングされる。このように定期的にクリーニングを行うことで、装置の寿命を延ばし、環境にやさしい製品を提供することができる。
【0013】
このクリーニング処理が行われている場合、このクリーニング処理を継続するか、次のページデータの印刷処理に入るかを判断することができることが望ましく、いずれを選択するかを判断することができる装置の提供も望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記課題に鑑み、印刷データを受信し、その印刷データに基づき描画処理する制御部(コントローラ)と、描画された画像の画像データを受け付け、その画像データを用いて作像し、用紙に転写し定着させる作像プロセスを実行するエンジン部(エンジン)とを備える画像形成装置であって、エンジン部が制御部から画像データを一定時間経過しても受け付けていない場合に、制御部に処理中の印刷データがあるか否かを問い合わせ、制御部から回答を受け取る通信部を含み、エンジン部が、その通信部から、処理中の印刷データがないとの回答を受け取った場合、作像プロセスの終了処理へ移行し、処理中の印刷データがあるとの回答を受け取った場合、終了処理へは移行せず、制御部からの画像データの出力を待機するように構成する。
【0015】
この構成により、次のページの画像データであるページデータの印刷処理に入るか、印刷終了へ移行するかを判断することができ、無駄な立ち上げ処理および終了処理を省略可能にして、装置寿命を延ばし、環境にやさしい製品を提供することが可能となる。
【0016】
なお、エンジン部は、画像データを用いて作像する作像部(帯電ユニット、光走査装置、現像ユニット等)と、作成された像を用紙に転写する転写部(転写ユニット)と、転写された像を用紙に定着させる定着部(定着ユニット)とを含んでいて、終了処理は、作像部、転写部および定着部への電圧の印加を停止する処理とされ、立ち上げ処理は、これらへの電圧の印加を開始する処理とされる。
【0017】
また、エンジン部は、通信部から、処理中の印刷データがあるとの回答を受け取ってから所定時間経過しても、描画後の画像データを受け付けていない場合、終了処理へ移行し、無駄な電力消費を抑制することができる。
【0018】
また、画像形成装置は、定着部を定期的にクリーニングする定着クリーニング処理の実行中、通信部が処理中の印刷データがあるとの回答を受け取った場合に、予め設定されている設定情報に基づき、定着クリーニング処理を継続するか停止するかを判断する判断部をさらに含む構成とされる。
【0019】
この判断部を含む構成とすることにより、クリーニング処理の実行中に、このクリーニング処理を継続するか、次のページデータの印刷処理に入るかを判断することができ、より無駄をなくし、装置寿命を延ばし、環境にやさしい製品を提供することが可能となる。
【0020】
この判断部が定着クリーニング処理を停止すると判断し、エンジン部が制御部から画像データを受け付け、作像プロセスを実行する場合、その作像プロセスの終了後に定着クリーニング処理を再開するように構成される。これにより、定着部を充分にクリーニングすることができる。
【0021】
画像形成装置は、定着クリーニング処理を開始してから停止するまでのクリーニング時間を測定し、測定値として記憶する時間測定部をさらに含むことができ、判断部が定着クリーニング処理を停止すると判断するたびに、時間測定部がクリーニング時間を測定し、記憶した測定値に加算して記憶するように構成することができる。予め設定されたクリーニング時間だけクリーニングを行うようにし、それ以上はクリーニングを行わないようにすることで、余分なクリーニング処理を排除することができる。
【0022】
この画像形成装置は、指示部をさらに含み、その指示部が、時間測定部が記憶する測定値が閾値を超えたか否かを判断し、超えた場合には次の作像プロセスの終了後に定着クリーニング処理を実行しないようにエンジン部に指示することができる。
【0023】
この指示部がエンジン部に指示したことを受けて、時間測定部は、記憶している測定値を消去(クリア)することができる。これにより、1つの測定値のみを記憶すればよく、データ管理が煩雑にならず、メモリ消費量も抑制することができる。
【0024】
本発明では、画像形成装置のほか、エンジン部が行う処理を制御する制御方法も提供することができ、また、その方法を実行するためのコンピュータ可読なプログラムおよびそのプログラムが記録された記録媒体も提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】レーザプリンタの構成例を示した図。
【図2】レーザプリンタの制御系の構成を例示した図。
【図3】プリンタ全体の制御フローを示した図。
【図4】プリンタが行う割り込み制御処理の手順を示すフローチャート図。
【図5】1枚印刷したときの作像シーケンス図。
【図6】作像プロセス終了処理に入る前に次のページデータを受け付けた場合の作像タイミングチャートを示した図。
【図7】作像プロセス終了処理に入った後に次のページデータを受け付けた場合の作像タイミングチャートを示した図。
【図8】描画処理中の次のデータが存在するとの情報を受けた場合の作像タイミングチャートを示した図。
【図9】定期的にクリーニングを実施するクリーニングモードの制御シーケンス図。
【図10】IH定着方式の定着ユニットの概略構成を示した図。
【図11】プリンタで行われる各処理をブロック化して示した図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本実施形態の画像形成装置としてレーザプリンタの構成例を示した図である。このレーザプリンタは、印刷データを受信し、その印刷データに基づき各ページにつき描画処理を行い、描画されたページのページデータを用いて書き込みを行い、現像し、転写し、定着するといった一連の書き込みと基本通紙を行う本体ユニット10と、両面印刷を行うため、用紙を反転させる両面ユニット20と、印刷後に排紙する排紙部を複数有するメイルボックスユニット30と、用紙をシフト排紙して仕分けやステープルする後処理用のフィニッシャーユニット40と、レジストまでの給紙搬送を管理する給紙ユニット50とから構成されている。
【0027】
本体ユニット10は、給紙ユニット50から給紙するための給紙ローラ11a、11bと、給紙ローラ11aにより給紙された用紙を検知するレジストセンサ12と、感光体13と、感光体13上にレーザ光を照射して潜像を形成する光走査装置14と、形成された潜像にトナーを付着させて現像する現像ユニット15と、感光体13上に形成されたトナー像を用紙に転写する転写ユニット16と、用紙上に転写されたトナー像を定着させる定着ユニット17と、転写後に感光体13上に残ったトナーを除去するクリーニングユニット18とを備えている。
【0028】
本体ユニット10、両面ユニット20、メイルボックスユニット30にはそれぞれ、ソレノイド19、21、31が設けられ、ソレノイド19、21、31は、設定に従って、用紙の搬送先を切り替える。例えば、ソレノイド19は、定着後の用紙を、両面ユニット20、メイルボックスユニット30、フィニッシャーユニット40のいずれかへ搬送するように切り替える。ソレノイド21は、両面での反転切り替えを行う。ソレノイド31は、メイルボックス排紙部32、33のいずれかに排紙するように切り替える。
【0029】
このレーザプリンタで行われる処理について簡単に説明すると、給紙ユニット50から給紙ローラ11aにより給紙を開始し、レジストセンサ12で用紙を検知すると、そこで一旦用紙の搬送を停止する。
【0030】
図示しない帯電ユニットにより感光体13を帯電させた後、受け付けた画像データを基に、光走査装置14からレーザ光を感光体13に照射し、照射部分と非照射部分とに電位差を生じさせる。この電位差から現像ユニット15によってトナーが均等に付着した現像ローラ上のトナーを感光体13に載せ、そのトナーを付着させることにより現像を行う。この現像により、感光体13上には、トナー像が形成され、用紙への転写が可能となる。
【0031】
転写ユニット16は、そのトナー像を用紙に転写するタイミングをとって給紙ローラ11bを回転させ、停止した用紙の搬送を開始させ、用紙にトナー像を転写する。転写後、感光体13上に残ったトナーは、クリーニングユニット18により除去され、感光体13は、再びトナー像が形成されるのに備える。転写後の用紙は、定着ユニット17へ送られ、用紙に熱が加えられ、圧力が加えられることにより用紙にトナーが定着される。
【0032】
その後、所定のソレノイドおよびセンサのタイミングにより、いずれかの排紙部へ排紙される。ここでの排紙部とは、両面ユニット20、メイルボックスユニット30、フィニッシャーユニット40のいずれかである。
【0033】
図2は、レーザプリンタの制御ブロック図で、制御系の構成を例示した図である。このプリンタ100は、ホストマシン200とネットワークまたはケーブルで接続されており、ホストマシン200から画像データを受け付けることができるようにされている。
【0034】
プリンタ100は、ユーザによる入力を受け付け、現在の状態等を表示するオペレーションパネル110と、ホストマシン200とのインタフェース制御および印刷データの編集制御を行うコントローラ120と、機械制御、画像書き込み、給紙制御、状態監視等を行うエンジン130とから構成されている。
【0035】
ホストマシン200は、印刷するデータをPDLに変換してプリンタ100へ送信するために、プリンタドライバを備えるPCとされ、ユーザの各種操作に応じて、プリンタ100とデータの送受信を行う。
【0036】
コントローラ120は、ホストマシン200とのインタフェース制御を行うホストインタフェース121と、プログラムROM122と、フォントROM123と、オペレーションパネル110とのインタフェース制御を行うパネルインタフェース124と、コントローラCPU125と、RAM126と、オプションRAM127と、エンジン130とのインタフェース制御を行うエンジンインタフェース128とを備えている。これらは、バスを介して互いに接続され、さらに各種フォントを格納するフォントカートリッジ210と接続されている。
【0037】
プログラムROM122は、画像データの編集や、コントローラ120全体の制御を行うためのプログラムを格納し、フォントROM123は、印刷において用いる標準的なフォントを格納している。コントローラCPU125は、プログラムROM122に格納された各種プログラムを実行することにより、ホストマシン200とのデータの送受信を制御し、画像処理を制御することにより、コントローラ120全体の制御を行う。RAM126およびオプションRAM127は、処理や制御を行うプログラムや画像等のデータが展開されるメモリである。
【0038】
エンジン130は、エンジンCPU131と、割り込み回路132と、コントローラインタフェース133と、オプションインタフェース134と、フラッシュROM135と、入力ポート136と、出力ポート137と、EEPROM138と、エンジンROM139と、RAM140と、DIPSW141と、各センサ142と、各モータ143と、各クラッチ144と、各高圧プロセス145とを備えている。
【0039】
エンジンCPU131は、エンジン130全体を制御するプログラムに従って統括的に制御を行う。割り込み回路132は、割り込み状態を制御する回路である。コントローラインタフェース133は、コントローラ120が備えるエンジンインタフェース128とのインタフェース制御を行う。オプションインタフェース134は、オプション220に対するインタフェース処理を行う。
【0040】
フラッシュROM135は、各種プログラムや各種データを格納している。入力ポート136は、画像形成に関わる各設定条件や装置の状態等の入力処理を行う。出力ポート137は、画像形成プロセスを実現するための所定の出力処理を行う。EEPROM138は、メンテナンス情報等を格納する。エンジンROM139は、エンジン制御用のプログラム等を格納する。RAM140は、バッファレジスタの機能をもち、ワーキングメモリとして用いられる。
【0041】
DIPSW141は、制御モード等の切り替え設定を行う。各センサ142は、搬送タイミングや温度、トナー濃度等を検知する。各モータ143は、メインモータや搬送モータ等からなり、各クラッチ144は、給紙ローラ11a、11bやレジストローラ等を駆動または停止する。各高圧プロセス145は、帯電、転写、現像等の高圧印加を行う。また、このエンジン130には、EEPROM230を備える交換ユニット240が接続されている。
【0042】
図3に示すプリンタ全体の制御フローについて詳細に説明する。プリンタ100は、電源ボタンを有し、ユーザが電源ボタンを押下することにより電源がONにされる(ステップ300)。電源がONにされた後、プリンタ100は、まず、各状態の初期設定を行う(ステップ310)。この初期設定では、このプリンタ100に接続されているPC等のIPアドレスを取得し、このプリンタ100の構成情報や設定内容を取得する。
【0043】
次に、メンテナンスの発生要求やエラー発生等のエンジン130の内部状態を確認し(ステップ320)、コントローラ120とエンジン130との間でエンジンインタフェース128およびコントローラインタフェース133を介して、給紙要求、解像度設定要求、給紙口の切り替え要求、排紙口の切り替え要求等のデータやそれに対する応答等の送受信を行う(ステップ330)。これらは、例えば、オペレーションパネル110において、ユーザが入力したデータをコントローラ120が受け付け、それをエンジン130へ送信することにより行うことができる。
【0044】
そして、給紙タイミングや、露光、転写、定着を行う高圧系のデバイスへの電源のオン/オフ等のシーケンス制御を行い(ステップ340)、印刷される用紙の情報を管理する処理(キュータスク)を実行し(ステップ350)、印刷処理を制御する(ステップ360)。それ以降、ステップ320〜360の処理を繰り返す。
【0045】
次に、上述したメインシーケンスとは独立に、各処理を行うための時間監視、制御のために割り込みモジュールをもち、エンジンCPUが設定した所定時間ごとにこのルーチンに入り、必要な処理を行う。この割り込みモジュールが行う割り込み制御処理の手順について説明する。図4は、プリンタ100が行う割り込み制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0046】
ユーザにより電源がONにされると(ステップ400)、エンジン130が備えるエンジンCPU131は、所定の確認時間ごとに、割り込み要求の有無を判断し(ステップ410)、割り込み要求があった場合には、その要求に従った割り込み処理を行う(ステップ420)。割り込み要求は、ホストマシン200やオペレーションパネル110からコントローラ120、コントローラインタフェース133、割り込み回路132を介してエンジン130へ供給され、また、オプション220からオプションインタフェース134および割り込み回路132を介してエンジン130へ供給される。
【0047】
プリンタ100は、上述したように、給紙、帯電、露光、転写、定着、排紙といった一連の電子写真プロセスの処理を実行するが、本実施形態では、エンジン130が備えるエンジンCPU131、割り込み回路132、コントローラインタフェース133、フラッシュROM135により構成される通信部が、プロセス終了処理に入るタイミングが来た時点で、コントローラ120に展開中の印刷データが存在するか否かを問い合わせる。コントローラ120は、エンジン130に対して次のページデータを出力していなくても、当該次のページデータに対応する処理中の印刷データがあるか否かを把握しているので、その印刷データの有無をエンジン130に対して回答する。
【0048】
エンジン130は、通信部が受け取ったコントローラ120からの回答がデータ有りを示すものである場合、いずれ次のデータ出力があると認識し、プロセス終了処理に入らず、現状の状態を保持する。ここで状態を保持することにより、次のデータが来れば、すぐに印刷処理を開始することができるため、前後のページデータの処理に割り込むプロセス終了処理を省略することができる。この終了処理の省略により、ダウンタイムを軽減し印刷パフォーマンスを落とさずに連続して印刷することが可能となる。これらの処理について、図5〜図8を参照してより詳細に説明する。
【0049】
まず、図5に示す1枚印刷したときの作像シーケンスを参照して、電子写真プロセスを詳細に説明する。ホストマシン200は、自己が備えるアプリケーションがユーザにより起動され、ユーザの入力により文書等を作成し、ユーザの指示により印刷の実行をプリンタ100に対して指示する。その指示の際、ホストマシン200は、プリンタドライバによりPDLへ変換した後、それを印刷データとしてプリンタ100へ送信する。印刷データには、描画命令や、ヘッダ情報、フッタ情報、フォント、色、行数、列数等の印刷設定情報が含まれる。
【0050】
プリンタ100は、コントローラ120においてその印刷データを受信し、印刷データに含まれる描画命令を1つずつ解釈し、それらの描画命令をRAM126やオプションRAM127に記憶する。そして、描画命令を1つずつ読み込み、描画処理を実施し、描画されたページは、RAM126やオプションRAM127にページデータとして記憶される。エンジン130は、ページデータを1つずつ読み出し、コントローラ120からエンジン130へ出力する。ページデータは、1ページ分の画像データである。このページデータにも、上述したヘッダやフッタ情報、フォント、色、行数や列数等の印刷設定情報が含まれる。
【0051】
エンジン130は、コントローラ120から1ページ分ずつ出力されるページデータを受け付けると、給紙を開始し、所定時間経過後、感光体13への帯電を開始する。なお、図5に示すシーケンス図は、LOレベルがオフ、HIレベルがオンを示す。
【0052】
この帯電は、各高圧プロセス145が帯電ユニットへ電圧を印加し、帯電ユニットがプラスまたはマイナスの電荷を感光体13に与えることにより行われ、その方式としては、接触方式と非接触方式とがあり、接触方式には、帯電ローラや帯電ブラシを用いるものがあり、非接触方式には、コロトロン型やスコロトロン型がある。
【0053】
帯電を開始してから所定時間経過後に現像ユニット15へ電圧を印加し、現像バイアスをONにし、それから所定時間経過後に転写ユニット16へ電圧を印加してONにし、それからさらに所定時間経過後に分離ユニットへ電圧を印加してONにする。ここで、ページデータを受け付けてから、この分離ユニットがONにされるまでの期間を、作像プロセス立ち上げ処理期間(期間A)と呼ぶ。これらの時間は、予め設定された時間で、エンジン130のエンジンROM139等の不揮発性メモリに設定値として記憶される。
【0054】
その後、露光により、電荷を持った感光体13表面に、ページデータに基づきレーザ光を照射して静電潜像を作像し、現像により、露光によって電荷が失われなかった部分へ反対の電荷を持ったトナーを付着させ、転写により、用紙の裏側からトナーと反対の電荷(バイアス)をかけ、感光体13へ用紙を吸着させて、感光体13上のトナー像を用紙へ転写し、分離により、転写と反対の電荷をかけて、感光体13に吸着した用紙を引きはがすことが行われる。
【0055】
そして、定着ユニット17において、用紙に転写されたトナー像を熱および圧力をかけて用紙に定着させ、トナー像が定着した用紙を排紙して印刷を完了する。
【0056】
そのページデータを用いて印刷処理を開始してから一定時間経過するまでの間に次のページデータを受け付けていなければ、終了処理へ移行する。この終了処理は、立ち上げ時にONにした順、すなわち帯電ユニット、現像ユニット15、転写ユニット16、分離ユニットの順に電圧の印加を停止してOFFにし、感光体13に残った残電流を除去するクリーニング処理を行う。一定時間も、上記所定時間と同様、予め設定された時間で、エンジン130のエンジンROM139等の不揮発性メモリに設定値として記憶される。
【0057】
ここで、一定時間経過するまでに次のページデータを受け付けていないので、次ページがないと判断し、帯電ユニットがOFFにされてから、クリーニング処理が終了するまでの期間を、作像プロセス終了処理期間(期間C)と呼ぶ。そして、作像プロセス立ち上げ処理が完了してから作像プロセス終了処理が開始されるまでの期間は、作像プロセスが行われ、印刷処理が実行されることから、作像プロセス印刷処理期間(期間B)と呼ぶ。
【0058】
図6に、作像プロセス終了処理に入る前に次のページデータを受け付けた場合の作像タイミングチャートを示す。期間Aは、同じであるが、期間Bにおいて次のページデータを受け付けているため、終了処理を開始するタイミングに達したとしても、終了処理には入らず、次のページデータを処理するため、帯電ユニット、現像ユニット15、転写ユニット16、分離ユニットといった高圧系のデバイスへの電圧の印加を停止せず、期間Bの状態が維持される。
【0059】
すなわち、エンジン130が作像プロセス終了処理に入るタイミングの前に、コントローラ120から次のページデータを受け付けた場合であり、エンジン130は、終了処理には入らず、帯電ユニット、現像ユニット15、転写ユニット16、分離ユニットをONにした状態のまま、次の印刷シーケンスに入る。
【0060】
図7に、作像プロセス終了処理に入った後に次のページデータを受け付けた場合の作像タイミングチャートを示す。この図7に示す作像タイミングチャートは、例示のために挙げた従来例である。終了処理に入ると、途中で停止し、すぐに再立ち上げ処理に入ることはできないため、終了処理を完了した後、立ち上げ処理が行われる。
【0061】
すなわち、エンジン130は、既に終了処理に入っていて、すぐに立ち上げ処理に移行することができないため、終了処理を最後まで継続して行う。終了処理が完了したところで、次のページデータの処理を開始するために、作像プロセス立ち上げ処理へ移行する。このように、一度終了処理へ移行すると、次のページデータを受け付けてもすぐに印刷動作に入ることができないため、終了処理が完了し、立ち上げ処理が完了するまでの時間がロスタイムとなる。
【0062】
このようなロスタイムをなくすため、本発明では、次の図8に示すような作像タイミングチャートに従って動作する。
【0063】
図8に、作像プロセス終了処理を開始するタイミングに達したとき、次のページデータを受け付けていないが、描画処理中の印刷データが存在するとの情報を受けた場合の作像タイミングチャートを示す。作像プロセス立ち上げ処理は、上記と同様である。
【0064】
一定期間を経過しても次ページのページデータを受け付けておらず、作像プロセス終了処理に入るタイミングに達したとき、エンジン130が、コントローラ120へ処理中の印刷データの有無を問い合わせる。問い合わせるタイミングは、終了処理に入るタイミングで、そのページデータの印刷処理を開始してから一定期間経過した時点である。
【0065】
処理中の印刷データがない場合は、エンジン130は、その旨の回答を受け取り、終了処理へ移行する。一方、処理中の印刷データがある場合は、エンジン130は、その旨の回答を受け取り、終了処理へは移行せず、帯電ユニット、現像ユニット、転写ユニット、分離ユニットへ電圧を印加したままのONにした状態で維持し、コントローラ120から次のページデータが出力されるのを待機する。
【0066】
ここで、処理中の印刷データがあるとの回答を受け取ったにもかかわらず、さらに一定時間が経過しても次のページデータを受け付けていない場合、エンジン130は、フェイルセーフとして終了処理へ移行する。このフェイルセーフへ移行する一定時間は、各機械の特性、使用条件等により異なる場合があることから、変更可能とされることが好ましい。その時間を設定するための設定データは、例えば、電源を供給しなくても記憶を保持することができるフラッシュROM135等の不揮発性メモリに記憶することが望ましい。
【0067】
これまで、終了処理に入るか、次のページデータの出力を待機するかを判断する処理について説明してきたが、プリンタ100では、定期的に行われる処理が存在し、その処理が入ることにより、その処理を行うのか、終了処理に入るのか、次のページデータの出力を待機するのかを判断する必要がある。以下、その場合の処理について詳細に説明する。
【0068】
図9に示すシーケンス図を参照して、定期的にクリーニングを実施するクリーニングモードの制御について説明する。このクリーニングは、1ページ印刷毎に行うのではなく、ある所定間隔、例えば数百ページから数千ページに1回という割合で、印刷中もしくは印刷前または印刷後に実施される。このクリーニングは、主に機械の状態、すなわち印字品質を維持し、機械の劣化を防止することを目的としている。クリーニングの一例として、図10に示す定着ユニットの定着のWAXクリーニングモードについて説明する。
【0069】
まず、図10を参照して、IH定着方式の定着ユニットの概略構成を説明する。トナー像が転写された用紙400は、定着ユニット17の定着ローラ300と加圧ローラ310の両方を通過し、トナー像が用紙400に定着される。定着は、定着ローラ300による熱と、加圧ローラ310による圧力によって行われ、定着ローラ300への熱は、IHユニット320によって与えられる。
【0070】
図10に示すように、印刷するたびにトナーに含まれるWAX剤410等がIHユニット320に揮発して堆積する。クリーニングは、このトナーに含まれるWAX剤410等を定着加熱動作により溶解流出させることにより行われる。
【0071】
図9を参照して、終了処理を開始するタイミングが、所定枚数に達したときとされ、WAXクリーニングモードに入る条件に達した場合とされている。
【0072】
WAXクリーニングモードに入る条件に達し、印刷処理が終了するタイミングに達したとき、WAXクリーニングを開始する。WAXクリーニング中、次のページデータを受け付けなければ、WAXクリーニングモードは、設定されたクリーニングモード終了時間まで継続し、完了する。
【0073】
一定時間経過するまでに次のページデータを受け付けていなければ、通信部が問い合わせを行い、次の印刷データが存在するか否かの回答を受け取るが、存在するとの回答を受け取った場合であっても、上記条件および印刷処理が終了するタイミングに達したとき、WAXクリーニングを開始する。これは、WAXクリーニングが作像プロセスとは独立に制御されるからである。
【0074】
WAXクリーニングが完了する前に、次のページデータを受け付けた場合、その受け付けた時点でWAXクリーニングモードを中止する。途中でWAXクリーニングモードを中止した場合の状態は、フラグを0から1に設定することによって記憶し、次のページデータについての印刷ジョブが終了処理を開始するタイミングに入った場合、このフラグを確認し、1に設定されている場合は、再度WAXクリーニングモードを開始する。WAXクリーニングモードが最後まで完了したとき、フラグを0に変更することができる。
【0075】
WAXクリーニング中にページデータを受け付けた場合、WAXクリーニングモードを継続するか、停止するかの判断を切り替え可能とする判断部を備えることができる。判断部は、例えば、ディップスイッチや不揮発性メモリへの設定等により実現することができ、予め設定されている設定情報に基づき判断することができる。また、WAXクリーニング中にページデータを受け付けた回数をカウントし、所定の回数に達したとき、初めてクリーニングモードを途中で停止せずに最後まで完了するように構成することもできる。この判断部は、その回数を変更可能とし、ユーザの使用環境等に合った設定情報に基づき判断することができるように構成することができる。
【0076】
この判断部は、不揮発性メモリへの設定等により実現する場合、エンジン130が備えるエンジンCPU131、割り込み回路132、コントローラインタフェース133、フラッシュROM135、により構成することができ、ディップスイッチにより実現する場合、さらに、入力ポート136、DIPSW141を含んで構成することができる。判断部で行われる処理は、通信部で行われる処理と同様、プログラムとして構成し、そのプログラムを実行することにより実現することができる。
【0077】
図11は、プリンタ100で行われる各処理をブロック化して示した図である。各処理は、作像プロセス立ち上げ処理、作像プロセス印刷処理、作像プロセス終了処理、定期的な間隔で発生する特別な処理としてのクリーニング処理のいずれかとされる。
【0078】
図11(a)で示される処理は、1枚の印刷における流れを示している。この処理では、エンジン130が1枚分のページデータを受け付け、作像プロセス立ち上げ処理を行い、続いて、作像プロセス印刷処理を行い、作像プロセス終了処理を行うという流れとされている。
【0079】
図11(b)で示される処理は、2枚連続で印刷する場合における流れを示している。この処理では、エンジン130が1枚目のページデータを受け付け、作像プロセス立ち上げ処理を行い、続いて、作像プロセス印刷処理を行っている間に、2枚目のページデータを受け付け、このため、1枚目の作像プロセス印刷処理の終了後に終了処理を行うことなく、続けて2枚目の作像プロセス印刷処理を行い、その処理が終了した後に、作像プロセス終了処理を行うという流れとされている。
【0080】
図11(c)で示される処理は、3枚連続で印刷した後、クリーニング処理を行う流れとされている。この場合、図11(b)と同様に2枚目の作像プロセス印刷処理を行い、その間に、3枚目のページデータを受け付け、3枚目の作像プロセス印刷処理を行い、その処理が終了した後に、作像プロセス終了処理を行うとともに、それに並行してクリーニング処理を行うという流れとされている。
【0081】
これまで3つの例を説明してきたが、これらの例では、各ページでの印刷処理の最後のタイミングで処理中の印刷データがあるか否かの問い合わせを行う前に、既に次のページデータを受け付けているため、終了処理には移行せず、次の印刷処理に入り、最速の印刷処理を行っている。
【0082】
しかしながら、これは一例であり、問い合わせを行った結果、(1)作像プロセス終了処理にも、クリーニング処理にも入らない場合、(2)作像プロセス終了処理にも、クリーニング処理にも入るが、クリーニングモード中に次のページデータを受け付けてもクリーニング処理を最後まで継続する場合、(3)作像プロセス終了処理にも、クリーニング処理にも入るが、クリーニングモード中に次のページデータを受け付けると、クリーニング処理を中断して次の印刷処理に移行する場合とがありうるものである。
【0083】
図11(d)で示される処理は、図11(c)と同様、3枚連続で印刷した後、終了処理およびクリーニング処理を行い、その終了処理およびクリーニング処理の間に、4枚目のページデータを受け付けた場合の流れを示したものである。3枚目までのページデータは、問い合わせを行うまでに受け付けているが、4枚目は、問い合わせ後の終了処理中に受け付けている。
【0084】
通信部は、コントローラ120に対して、処理中の印刷データがあるか否かを問い合わせ、コントローラ120がそれに対する回答を返す。エンジン130は、この回答から、このままの印刷処理状態を維持するか、クリーニング処理も含めた終了処理に移行するかを判断する。ページデータを受信した回数等で判断することもでき、エンジン130側でディップスイッチの設定や不揮発性メモリに格納されている設定値に基づき判断することができる。
【0085】
ここでの判断結果は、上記(3)の場合であり、問い合わせをした時点で作像プロセス終了処理およびクリーニング処理を開始し、4枚目のページデータを受け付けた時点で、作像プロセス終了処理およびクリーニング処理を中断する。エンジン130は、クリーニング時間監視計測するためのタイマーを使用し、カウントして、この間のクリーニング時間T2をRAM140に記憶し、4枚目のページデータの処理が終了した後、処理中の印刷データがなければ、再び作像プロセス終了処理およびクリーニング処理を行う。このときのクリーニング時間T3は、設定されている通常のクリーニング時間T1から中断するまでに実施したクリーニング時間T2を差し引いた時間分のクリーニング時間とされる。
【0086】
上記のタイマーおよびRAM140は、時間測定部を構成し、クリーニング処理を開始してから停止するまでのクリーニング時間を測定し、その測定値を記憶することができる。
【0087】
図11(e)で示される処理は、4枚分のページデータのうち、4枚目のデータ処理が重く、3枚目と4枚目の間が最速の連続印刷とならずに問い合わせの時点での判断結果が、上記(3)の場合とされる。3枚目の印刷処理後、作像プロセス終了処理およびクリーニング処理が行われ、その間に次のページデータがあった場合、クリーニング処理を中断し、それまでに行われたクリーニング時間T2を計測し、その値を記憶する。
【0088】
4枚目のページデータに対する印刷処理が終了し、作像プロセス終了処理およびクリーニング処理を実施するときの、クリーニング時間T3は、中断がない場合のクリーニング時間T1から前回中断されるまでに実施されたクリーニング時間T2を差し引いた時間分として設定され、その時間だけクリーニング処理が行われる。
【0089】
4枚目と5枚目のデータ処理が重く、4、5枚目の間が最速の連続印刷とならない場合、問い合わせ時点での判断結果が、上記(3)の場合とされる。すると、作像プロセス終了処理およびクリーニング処理に移行することになるが、どちらの場合もクリーニング処理の途中でページデータを受け付けることとなる。クリーニングが、3枚目と4枚目の終了途中で実施したクリーニング時間をT4、T5とし、この値を記憶する。そして、最終の5枚目を印刷終了後、作像プロセス終了処理およびクリーニング処理を実施することになるが、このときのクリーニング時間T6は、全体のクリーニング時間T1から、T4、T5を差し引いた時間となる。なお、T4とT5を合わせた時間が、T1より大きい場合は、5枚目の印刷終了後のクリーニング処理を実施しないようにすることができる。
【0090】
このようなシーケンス制御により、余分なクリーニング時間を減らすことにより、機械の寿命を延ばすことが可能となる。
【0091】
このような処理は、判断部がクリーニング処理を停止すると判断するたびに、その時間測定部がクリーニング時間を測定し、記憶した測定値に加算して記憶することができる。すなわち、T5という時間を測定した場合、それまでに記憶したT4にT5を加算して記憶する。
【0092】
プリンタ100は、指示部を備えることができ、指示部は、その時間測定部が記憶する測定値が閾値を超えたか否かを判断し、超えた場合には次の作像プロセスの終了後にクリーニング処理を実行しないようにエンジン130に対して指示することができる。そして、指示部がエンジン130に指示したことを受けて、時間測定部は、記憶している測定値を消去することができる。
【0093】
すなわち、T4とT5を加算した値が、T1を超えるか否かを判断し、超える場合は、クリーニング処理は完了したものとみなし、次の作像プロセスの終了後にはクリーニング処理を実行せず、それまでに記憶された上記加算した値は消去(クリア)される。
【0094】
本発明の画像形成装置は、ページデータを受け付けた後、終了処理に入るタイミングが来たとき、作像プロセス終了処理に入るか否かをコントローラに通知し、コントローラから処理中の印刷データがあるか否かの回答を受け取り、印刷データがあるとの回答を受け取った場合、プロセス終了処理に入らず、印刷動作の状態を保持することにより、無駄な終了処理時間を省略することができ、また、クリーニングモードが途中に入る場合においても、この処理を実施するか次の印刷処理を実施するか判断を有することにより、プロセスや定着回りの寿命を延ばすことができる。
【0095】
また、判断基準を増加させることで細かい制御を実現することができ、リカバリ後の停止時間を監視する制御を実現することができる。
【0096】
さらに、クリーニング時間を監視し、中断するたびにそれまでに実施したクリーニング時間を記憶しておくことで、制御をさらに細かな制御とすることができ、無駄のない終了処理を実現することができる。
【0097】
すなわち、通常のクリーニング時間から記憶したクリーニング時間を差し引くという適切な演算式を適用して残り時間を計算し、その時間だけ実施するように、また、残り時間がない場合には実施しないようにすることで、細かな制御を実現することができる。
【0098】
これまで本発明を上述した実施の形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、他の実施の形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0099】
10…本体ユニット、11a、11b…給紙ローラ、12…レジストセンサ、13…感光体、14…光走査装置、15…現像ユニット、16…転写ユニット、17…定着ユニット、18…クリーニングユニット、19…ソレノイド、20…両面ユニット、21…ソレノイド、30…メイルボックスユニット、31…ソレノイド、32、33…メイルボックス排紙部、40…フィニッシャーユニット、50…給紙ユニット、100…プリンタ、110…オペレーションパネル、120…コントローラ、121…ホストインタフェース、122…プログラムROM、123…フォントROM、124…パネルインタフェース、125…コントローラCPU、126…RAM、127…オプションRAM、128…エンジンインタフェース、130…エンジン、131…エンジンCPU、132…割り込み回路、133…コントローラインタフェース、134…オプションインタフェース、135…フラッシュROM、136…入力ポート、137…出力ポート、138…EEPROM、139…エンジンROM、140…RAM、141…DIPSW、142…各センサ、143…各モータ、144…各クラッチ、145…各高圧プロセス、200…ホストマシン、210…フォントカートリッジ、220…オプション、230…EEPROM、240…交換ユニット、300…定着ローラ、310…加圧ローラ、320…IHユニット、400…用紙、410…WAX剤
【先行技術文献】
【特許文献】
【0100】
【特許文献1】特開2006−205509号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データを受信し、前記印刷データに基づき描画処理する制御部と、描画された画像の画像データを受け付け、前記画像データを用いて作像し、用紙に転写し定着させる作像プロセスを実行するエンジン部とを備える画像形成装置であって、
前記エンジン部が前記制御部から前記画像データを一定時間経過しても受け付けていない場合に、前記制御部に処理中の印刷データがあるか否かを問い合わせ、前記制御部から回答を受け取る通信部を含み、
前記エンジン部は、前記通信部から、前記処理中の印刷データがないとの回答を受け取った場合、前記作像プロセスの終了処理へ移行し、前記処理中の印刷データがあるとの回答を受け取った場合、前記終了処理へは移行せず、前記制御部からの画像データの出力を待機する、画像形成装置。
【請求項2】
前記エンジン部は、前記画像データを用いて作像する作像部と、作成された像を用紙に転写する転写部と、転写された像を前記用紙に定着させる定着部とを含み、前記終了処理は、前記作像部、前記転写部および前記定着部への電圧の印加を停止する処理を行う、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記エンジン部は、前記通信部から、前記処理中の印刷データがあるとの回答を受け取ってから所定時間経過しても前記画像データを受け付けていない場合、前記終了処理へ移行する、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記定着部を定期的にクリーニングする定着クリーニング処理の実行中、前記通信部が前記処理中の印刷データがあるとの回答を受け取った場合に、予め設定されている設定情報に基づき、前記定着クリーニング処理を継続するか停止するかを判断する判断部をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記判断部が前記定着クリーニング処理を停止すると判断し、前記エンジン部が前記制御部から前記画像データを受け付け、前記作像プロセスを実行する場合、当該作像プロセスの終了後に前記定着クリーニング処理を再開する、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記定着クリーニング処理を開始してから停止するまでのクリーニング時間を測定し、測定値として記憶する時間測定部をさらに含む、請求項4または5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記判断部が前記定着クリーニング処理を停止すると判断するたびに、前記時間測定部が前記クリーニング時間を測定し、記憶した前記測定値に加算して記憶し、
前記画像形成装置は、前記時間測定部が記憶する前記測定値が閾値を超えたか否かを判断し、超えた場合には次の作像プロセスの終了後に前記定着クリーニング処理を実行しないように前記エンジン部に指示する指示部をさらに含む、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記指示部が前記エンジン部に指示したことを受けて、前記時間測定部は、記憶している前記測定値を消去する、請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
印刷データを受信し、前記印刷データに基づき描画処理する制御部と、描画された画像の画像データを受け付け、前記画像データを用いて作像し、用紙に転写し定着させる作像プロセスを実行するエンジン部とを備える画像形成装置において、前記エンジン部が行う処理を制御する制御方法であって、
前記エンジン部が前記制御部から前記画像データを一定時間経過しても受け付けていない場合に、前記制御部に処理中の印刷データがあるか否かを問い合わせ、前記制御部から回答を受け取るステップと、
前記処理中の印刷データがないとの回答を受け取った場合、前記作像プロセスの終了処理へ移行させ、前記処理中の印刷データがあるとの回答を受け取った場合、前記終了処理へは移行させず、前記制御部からの画像データの出力を待機させるステップとを含む、制御方法。
【請求項10】
前記エンジン部は、前記画像データを用いて作像する作像部と、作成された像を用紙に転写する転写部と、転写された像を前記用紙に定着させる定着部とを含み、前記終了処理は、前記作像部、前記転写部および前記定着部への電圧の印加を停止する処理を行う、請求項9に記載の制御方法。
【請求項11】
前記処理中の印刷データがあるとの回答を受け取ってから所定時間経過しても前記画像データを受け付けていない場合、前記終了処理へ移行させるステップをさらに含む、請求項9または10に記載の制御方法。
【請求項12】
前記定着部を定期的にクリーニングする定着クリーニング処理の実行中、前記処理中の印刷データがあるとの回答を受け取った場合に、予め設定されている設定情報に基づき、前記定着クリーニング処理を継続するか停止するかを判断するステップをさらに含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項13】
前記判断するステップで前記定着クリーニング処理を停止すると判断した場合、前記エンジン部が前記制御部から前記画像データを受け付け、前記作像プロセスを実行させるステップと、前記作像プロセスの終了後に前記定着クリーニング処理を再開させるステップとを含む、請求項12に記載の制御方法。
【請求項14】
前記定着クリーニング処理を開始してから停止するまでのクリーニング時間を測定し、測定値として記憶するステップをさらに含む、請求項12または13に記載の制御方法。
【請求項15】
前記判断するステップで前記定着クリーニング処理を停止すると判断するたびに、前記記憶するステップで前記クリーニング時間を測定し、記憶した前記測定値に加算して記憶し、
前記制御方法は、記憶する前記測定値が閾値を超えたか否かを判断し、超えた場合には次の作像プロセスの終了後に前記定着クリーニング処理を実行しないように前記エンジン部に指示するステップをさらに含む、請求項14に記載の制御方法。
【請求項16】
前記指示するステップで前記エンジン部に指示したことを受けて、記憶している前記測定値を消去するステップをさらに含む、請求項15に記載の制御方法。
【請求項17】
請求項9〜16のいずれか1項に記載の制御方法を実行するためのコンピュータ可読なプログラム。
【請求項18】
請求項17に記載のプログラムが記録された記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−276770(P2010−276770A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−127660(P2009−127660)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】