説明

画像形成装置、制御方法及び制御プログラム

【課題】複数の現像装置で高圧電源部を共用化し、印刷モードを切り替える場合でも、高圧電源部の出力を停止させることなく切り替える。
【解決手段】高圧電源部114に接続されて供給されたクラウドパルス信号CPによりトナーを浮遊させてフレア現像を行う複数の現像装置11K、11Y、11M、11Cを有し、像担持体上に作像を行うに際し、現像装置11Y、11M、11Cに対し、高圧電源部114に対する電気的な接続、切り離しの切り替えを機械的接点MCを介して行うとともに、切り替えのタイミングを作像シーケンスに同期させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置に用いられる現像方式の一つとして、トナーをクラウド化(ホッピングさせた状態。以下フレア現像)させる方式が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このフレア現像方式においては、フレア現像装置に逆相のパルスを交互に印加して、充放電を繰り返すことでトナーのクラウド化を実現している。
【0003】
また、電源の小型化/低コスト化を図るためにひとつの高圧電源部(高圧電源回路)の出力を複数の現像装置(フレア現像装置)へ分配給電し、高寿命化やトナー飛散を防ぐため画像形成モード(例えば、モノクロモード)によっては、使用しない現像装置(カラーのトナーに対応するフレア現像装置)への印加を回避するために、これらの負荷としての現像装置を電気的に切り離す機能を設けている画像形成装置も提案されている。
このように負荷としての現像装置を電気的に接続しあるいは切り離す画像形成装置においては、モノクロモードからフルカラーモードへの切り替え、あるいは、フルカラーモードからモノクロモードへの切り替えを行う際に、作像タイミングと高圧電源部の出力タイミングを合わせるために、高圧電源部の出力を一旦停止し、その後高圧電源部の出力を再開するという構成を採っていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術においては、高圧電源部の出力を一旦停止するため、作像タイミングに移行した段階で必ずしも高圧電源部の出力が安定しているとは限らず、画像形成品質が低下する恐れがあった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、複数の現像装置で高圧電源部を共用化し印刷モードを切り替える場合でも、高圧電源部の出力を停止させることなく切り替えることが可能な画像形成装置、制御方法及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、像担持体と、トナーをクラウド化するための高圧パルス信号を生成する高圧電源手段と、前記高圧電源手段に接続されてトナーに前記高圧パルス信号を供給して前記トナーを浮遊させてフレア現像を行う複数の現像ユニットを有し、前記像担持体上に作像を行う作像手段と、前記複数の現像ユニットのうち所定の一部の現像ユニットに対し、前記高圧電源手段に対する電気的な接続、切り離しの切り替えを機械的接点を介して行う接続切替手段と、前記接続切替手段における切り替えのタイミングを前記作像手段における作像シーケンスに同期させる制御手段と、を備える。
【0007】
また、本発明の制御方法は、像担持体と、トナーをクラウド化するための高圧パルス信号を生成する高圧電源部と、前記高圧パル信号が供給可能な複数の現像ユニットと、前記複数の現像ユニットのうち所定の一部の現像ユニットに対し、前記高圧電源部に対する電気的な接続、切り離しを切り替える機械的接点と、を備えた画像形成装置において実行される制御方法であって、所定の作像シーケンスに従って前記現像ユニットに前記高圧パルス信号を供給して前記トナーを浮遊させてフレア現像を行って前記像担持体上に作像を行う作像過程と、前記複数の現像ユニットのうち所定の一部の現像ユニットに対し、前記高圧電源手段に対する電気的な接続、切り離しの切り替えを機械的接点を介して行わせる過程と、前記機械的接点の切り替えタイミングを前記作像シーケンスに同期させる過程と、を備える。
【0008】
また、本発明の制御プログラムは、像担持体と、トナーをクラウド化するための高圧パルス信号を生成する高圧電源部と、前記高圧パル信号が供給可能な複数の現像ユニットと、前記複数の現像ユニットのうち所定の一部の現像ユニットに対し、前記高圧電源部に対する電気的な接続、切り離しを切り替える機械的接点と、を備えた画像形成装置をコンピュータにより制御するための制御プログラムであって、前記コンピュータを、所定の作像シーケンスに従って前記現像ユニットに前記高圧パルス信号を供給して前記トナーを浮遊させてフレア現像を行って前記像担持体上に作像を行う作像手段と、前記複数の現像ユニットのうち所定の一部の現像ユニットに対し、前記高圧電源手段に対する電気的な接続、切り離しの切り替えを機械的接点を介して行わせる手段と、前記機械的接点の切り替えタイミングを前記作像シーケンスに同期させる手段と、して機能させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の現像装置で高圧電源部を共用化し、印刷モードを切り替える場合でも、高圧電源部の出力を停止させることなく切り替えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施形態の画像形成装置を有するカラー画像形成システムの概要構成図である。
【図2】図2は、画像形成部を構成する作像部の一例の説明図である。
【図3】図3は、画像形成装置の電源系の概要説明図である。
【図4】図4は、現像装置を構成する現像装置と、クラウドパルス信号との関係の説明図である。
【図5】図5は、現像装置を駆動して機械的接点の接離を行うためのハードウェア構成の説明図である。
【図6】図6は、接点接離部の構成及び動作説明図である。
【図7】図7は、実施形態の動作タイミングチャートである。
【図8】図8は、画像形成の説明図である。
【図9】図9は、実施形態の画像形成装置の動作処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る電源装置、画像形成装置および電源制御方法の実施形態を詳細に説明する。
【0012】
本実施の形態にかかる画像形成装置は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する一般に複合機と称されるものであって、原稿を読み取り画像データに変換する画像読取部と、画像読取部で原稿を読み取って得られた画像データに対して画像処理を施す画像処理部と、画像処理された画像データに基づき紙面に画像を形成する画像形成部(作像部)と、を備え、筐体内部に画像処理部、画像形成部(作像部)が収納され、筐体の前面が外装カバーにより開閉可能となっている。
【0013】
図1は、実施形態の画像形成装置を有するカラー画像形成システムの概要構成図である。
カラー画像形成システム100は、大別すると、図示しないマイクロプロセッサ、ROM、RAM、外部記憶装置等を有するパーソナルコンピュータとして構成された情報端末装置101と、情報端末装置101により生成された印刷命令(印刷ジョブ)を通信ネットワーク102を介して受信し、プリンタなどとして構成されて、画像形成を行う画像形成装置103と、を備えている。
【0014】
画像形成装置103の第1制御基板部111は、通信インタフェースを有し、通信ネットワーク102を介して情報端末装置101から受信した印刷命令に基づいて画像形成装置103全体を制御する。より具体的には、第1制御基板部111は、通信ネットワーク102を介して受信した印刷命令に基づいて、記録紙サイズ、印刷モード(モノクロモード/フルカラーモード)等を設定する。ここで、第1制御基板部111は、図示しないMPU、ROM、RAMなどを有するマイクロコンピュータとして構成されており、ROMに格納された制御プログラムに従って、画像形成装置103を制御している。
第2制御基板部112は、第1制御基板部111の制御下で、設定された記録紙サイズ、印刷モード等に基づいて、第3制御基板部113を制御する実際の画像形成制御を行う。
【0015】
第3制御基板部113は、第2制御基板部112の制御下で、後述する高圧電源部114、図示しないモータ、ファンなどの駆動制御を行う。
高圧電源部114は、図示しないフルブリッジ回路を有し、トナーを浮遊状態(ホッピング状態)とするための高圧パルス信号を生成し出力する。
画像処理部115は、第1制御基板部111が設定し、出力した記録紙サイズ、印刷モード、印刷データ等を含む画像処理データに基づいて、図示しないレーザビームの駆動制御を行い、作像部を構成する感光体ドラム(像担持体)上に潜像を形成する。
作像部116は、感光体ドラム上に形成された潜像を、高圧パルス信号に基づいて現像を行い、記録紙に転写して、定着させて出力する。
【0016】
図2は、画像形成部を構成する作像部の一例の説明図である。
まず、作像部116は、像担持体として機能する4つの感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kと、各感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上に形成した潜像を互いに異なる色のトナー像にそれぞれ現像する複数の現像装置(現像ローラ)11Y,11M,11C,11K(以下、これらを区別する必要がない場合には、単に現像装置11と表記する。)と、異なる色のトナー像がそれぞれ重ね合わせ状態に一次転写される矢印A方向に回転する像担持体としての中間転写ベルト16とを備えている。
【0017】
中間転写ベルト16は、無端状のベルトである。本実施形態では、中間転写ベルト16の上方に、中間転写ベルト16の回動方向Aに沿って、ブラック,シアン,マゼンタ,イエローの各色用の4個の上述した感光体ドラム10Y,10M,10C,10K(以下、それぞれを区別する必要が無い場合には、単に感光体ドラム10と記載する)を並列にそれぞれ配置している。感光体ドラム10の周囲には、帯電装置12と、前述した現像装置11と、一次転写装置を構成する一次転写ローラ14と、クリーニング装置13がそれぞれ配設されている。
【0018】
感光体ドラム10は、回転方向Bに回転駆動され、このとき帯電装置12によって感光体ドラム10の表面が所定の極性に帯電される。次いで、その帯電面に、露光装置15から出射されるレーザ光が照射され、これによって感光体ドラム10に静電潜像が形成され、その静電潜像が現像装置11によって各色のトナー像として可視像化される。
【0019】
各感光体ドラム10には、一次転写ローラ14がそれぞれ対向配置されていて、その各一次転写ローラ14と感光体ドラム10との間には中間転写ベルト16が挟まれた状態で回動するようになっている。
【0020】
このとき、中間転写ベルト16は、駆動ローラ17とテンションローラ19の2個のローラによって支持されている。中間転写ベルト16を3個以上のローラによって張架しても良いが、出来る限り小型化し、高さを抑制するため、本実施形態では中間転写ベルト16を2個のローラによって張架することで、高さを抑制している。
【0021】
次に、その中間転写ベルト16の表面に、各感光体ドラム10に可視像化されたトナー像が、一次転写ローラ14の作用によって転写される。このようにして、ブラック(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)のトナー像が、中間転写ベルト16に正確に順次重ね合わせた状態で転写されていき、フルカラーの合成カラー画像が形成される。
【0022】
一方、中間転写ベルト16を挟んで、駆動ローラ17(二次転写対向ローラ)に対向して二次転写ローラ18が配設され、給紙ユニット21から記録媒体である用紙Pが給紙される。これによりレジストローラ対22の回転によって、用紙Pが所定のタイミングで、駆動ローラ17と二次転写ローラ18の間に送り込まれる。すると、中間転写ベルト16に担持されている合成カラー画像が二次転写ローラ18の作用により用紙Pに一括して転写される。
【0023】
そして、その用紙P上のトナー像が、定着装置23により熱と圧力によって定着され、図示しない排紙トレイ上に排出される。トナー像二次転写後の中間転写ベルト16の表面に付着する転写残トナーは、クリーニング装置20によって除去される。
【0024】
なお、図2では、二次転写ローラを介して用紙に転写する方式の例を示したが用紙に直接転写する方式の画像形成部を用いてもよい。
【0025】
本実施形態では、この画像形成部としての現像装置11は、高容量のフレア現像装置にフレア現像用の高圧電源部により交流電圧を印加することで、トナーをホッピングさせた状態で現像するフレア現像を行っている。
【0026】
図3は、画像形成装置の電源系の概要説明図である。
画像形成装置103の電源系は、第3制御基板部113の制御下で高圧電源部114が負荷である現像装置11K、11Y、11M、11Cに高圧変換部(フルブリッジ回路)114Aにより生成したクラウドパルス信号CPを供給する構成となっている。この場合において、現像装置11Y、11M、11Cには、高圧変換部114Aが機械的接点MCを介して接続されており、各現像装置11Y、11M、11Cに対するクラウドパルス信号CPの供給/遮断を制御できる構成となっている。これは、印刷モードがモノクロモードである場合には、現像装置11Y、11M、11Cは使用する必要が無いため、消費電力の低減を図るためには、これらの現像装置11Y、11M、11Cを電気的に切り離して、クラウドパルス信号CPの供給を遮断するのが好ましいからである。
【0027】
図4は、現像装置を構成する現像装置と、クラウドパルス信号との関係の説明図である。
現像装置11K、11Y、11M、11Cは、トナーをクラウド化するとともに、回転することでトナーの搬送を行っている。
【0028】
現像装置11は、図4(a)に示すように、一方の電極として構成される円柱状の芯金51と、芯金51に対して絶縁層52を介して積層され、他方の電極が形成された電極層53と、電極層53に形成された電極を保護するために電極層53を覆う表層54と、を備えている。
このように現像装置11は、一対の電極(芯金51および電極層53)との間に絶縁層52が設けられているため、容量性負荷を形成することとなっている。
【0029】
また、電極層53を構成している電極53Aは、現像装置11の回転方向とは直交する方向に延在するとともに、所定の間隔を配して、複数設けられている。
ここで、芯金51は、回転可能、かつ、図4中、左右方向に摺動可能にリング状の一対の支持部材55に支持されている。そしてさらに芯金51は、トナーのクラウド化を行う場合に、芯金51を所定動作位置に保持するために、弾性部材(スプリング、板ばね等)56により図4中、左方向に付勢されている。
そして、高圧電源部114を構成する高圧変換部114Aにより、図4(b)の上部に示すように、最低値Vmin、波高値Vppを有するA相のクラウドパルス信号CPが電極層53の電極53Aに印加され、図4(b)の下部に示すようなA相とは逆相のB相のクラウドパルス信号CPが芯金51に印加されて、トナーのクラウド状態を形成するようになっている。
【0030】
図5は、現像装置を駆動して機械的接点の接離を行うためのハードウェア構成の説明図である。
本実施形態においては、印刷モードがモノクロモードである場合に、モノクロモードでは使用しない現像装置である、現像装置11Y、11M、11Cを電気的に高圧電源部114から一時的に切り離すことにより、高圧電源部114の共用化を図っている。
【0031】
このため図5に示すように、色(BK、C、M、Y)毎に画像形成期間中に“H”レベルとなり、画像非形成期間中に“L”レベルとなる画像形成信号GF1〜GF4及びモノクロモード時に“H”レベルとなり、フルカラーモード時に“L”レベルとなる色情報信号COLが入力され、画像形成信号GF1〜GF4及び色情報信号COLが全て“H”レベルとなった場合に、接点接離制御信号SCを“H”レベルとして出力するAND回路61と、接点接離制御信号SCが“H”レベルとなった場合に、高電位側電源VPからの電力供給を行う電力供給回路62と、電力供給回路62からの電力供給を受けて、後述する接点の接離を行うソレノイドを有する接点接離部63と、を備えている。
【0032】
電力供給回路62は、ベース端子BがAND回路61の出力端子に接続され、エミッタ端子Eがグランド(GND)に接続されバイポーラトランジスタで構成された第1トランジスタTR1と、第1トランジスタTR1のコレクタ端子Cにベース端子Bが接続され、エミッタ端子Eに電流制限抵抗Rを介して高電位側電源VPが接続され、コレクタ端子Cが接点接離部63に接続されバイポーラトランジスタで構成された第2トランジスタTR2と、を備えている。
【0033】
図6は、接点接離部の構成及び動作説明図である。
接点接離部63は、電力供給回路62からの電力供給を受けて、図6(b)に示すように右方向に駆動されるとともに、電力供給が遮断されると、図6(a)に示すように待機位置に駆動されるソレノイド64を備えている。
【0034】
初期状態において、芯金51の周面は、導電性のフレームFRに物理的に接触しており、フレームFRおよび接点114Cを介して、高圧電源部114に電気的に接続されており、高圧電源部114の高圧変換部114Aからクラウドパルス信号CPの供給が可能な状態となっている。
そして、接点接離部63が上記初期状態において、電力供給回路62からの電力供給を受けると、接点接離部63のソレノイド64が、図6(b)に示すように右方向に駆動される。
この結果、現像装置11の芯金51の一端(図6中、左端)に当接して、弾性部材56の付勢力に抗して、芯金51の回転軸に沿って現像装置11を右方向に移動させる。これにより芯金51は、図6中、移動距離DLだけ移動されて、芯金51の周面は、導電性のフレームFRから物理的な接触を断たれることとなる。
【0035】
このように、芯金51が接点114C及びフレームFRから物理的に遮断されて、高圧電源部114の接点114Cから電気的に遮断されると、高圧電源部114から供給されていたクラウドパルス信号CPは、現像装置11に供給されなくなり、当該現像装置11は、非駆動状態となり、電力を消費しなくなるのである。
上述した手順により、モノクロモードにおいては、現像装置11Y、11M、11Cが高圧電源部114から電気的に遮断されている期間中は、非駆動状態となり、消費電力の低減化を図ることとなる。
【0036】
次に実施形態の動作について説明する。
図7は、実施形態の動作タイミングチャートである。
図8は、画像形成の説明図である。
図7(a)〜図7(d)は、各現像装置11K、11C、11M、11Yに高圧電源部114からクラウドパルス信号CPを出力させて、画像形成を行わせるために、クラウドパルス信号CPに対応するPWM信号を出力させる場合に“H”レベルとなるPWM制御信号PWM1〜PWM4である。
したがって、PWM制御信号PWM1〜PWM4が“H”レベルの期間中は、画像形成が可能な期間である。
【0037】
図7(e)〜図7(h)は、画像形成時に“H”レベルとなる画像形成信号GF1〜GF4である。
したがって、時刻t1から時刻t2に至る期間中は、画像形成が可能な状態であることを表している。
より具体的には、図8に示すように、画像形成対象の用紙Pのうち、実際に画像(ここで、画像には文字情報なども含む)を形成するのは、画像形成方向を矢印GFD方向とすると、用紙Pの先端位置PSから用紙Pの終端位置PEの間で、画像形成可能開始位置STから画像形成可能終了位置EDまでである。なお、図8中、符号P1及びP2は、印刷データとしてビットマップデータ等の文字データを含まない画像形成領域を表している。
【0038】
そして、図7において、用紙Pにおける画像形成可能開始位置STは、時刻t1に相当し、画像形成可能終了位置EDは、時刻t2に相当している。
なお、画像形成可能開始位置ST及び画像形成可能終了位置EDは、あくまで画像が形成可能な位置を表しているに過ぎず、実際に画像が形成されるかは、入力される印刷ジョブ(JOB)に含まれる印刷データに依存している。
【0039】
また、図7(i)は、印刷モードを表す色情報信号COLである。色情報信号COLは、印刷モードがモノクロモードにおいては、“H”レベル、フルカラーモードにおいては、“L”レベルとなる。なお、印刷モードは、用紙P毎あるいは印刷ジョブに設定されるものではなく、一の用紙Pであっても、モノクロモードとフルカラーモードが混在することがある。すなわち、一の用紙Pの印刷処理において、モノクロ印刷だけを行う領域(例えば、黒色の文字のみ、モノクロ画像のみあるいはこれらが混在する領域)では、モノクロモードとされ、モノクロモードとされる領域以外の領域においては、フルカラーモードとされる。
【0040】
ところで、現像装置11Kは、印刷モードがモノクロモード及びフルカラーモードのいずれにおいても使用されるが、現像装置11C、11M、11Yは、モノクロモードでは使用されない。
【0041】
そこで、本実施形態においては、印刷モードがモノクロモードであって、画像形成可能開始位置STから画像形成可能終了位置EDに至るまでの期間、例えば、時刻t1〜時刻t2の期間においては、図6(b)に示したように、ソレノイド64を駆動して、芯金51を導電性のフレームFRから物理的に接触を断ち、接点114C及びフレームFRから芯金51を電気的に遮断して、現像装置11C、11M、11Yへのクラウドパルス信号CPの供給を行わないようにして電力消費を低減している。
そして、画像形成可能終了位置EDに至ると、ソレノイド64の駆動を停止し、図6(a)に示すように、芯金51を導電性のフレームFRから物理的に接触させ、接点114C及びフレームFRから芯金51を電気的に接続して、現像装置11C、11M、11Yへのクラウドパルス信号CPの供給を再開して、次回の画像形成に備えることとなる。
【0042】
図9は、実施形態の画像形成装置の動作処理フローチャートである。
画像形成装置103の第1制御基板部111は、情報端末装置101から印刷ジョブを受け取ると、印刷ジョブの実行を開始する(ステップS11)。
続いて、第1制御基板部111は、印刷ジョブに色情報が含まれているか否か、すなわち、印刷モードがモノクロモードであるかフルカラーモードであるかを判別する(ステップS12)。
【0043】
ステップS12の判別において、印刷ジョブに色情報が含まれている場合、すなわち、印刷モードがフルカラーモードである場合には(ステップS12;Yes)、ソレノイド64は、非駆動状態(ソレノイドオフ状態)であるので、現像装置11Kへのクラウドパルス信号CPの供給に加えて現像装置11C、11M、11Yへのクラウドパルス信号CPの供給が行われて、画像形成がなされる(ステップS13)。
続いて、第1制御基板部111は、印刷ジョブが終了したか否かを判別する(ステップS14)。
ステップS14の判別において、印刷ジョブが未だ終了していない場合には(ステップS14;No)、第1制御基板部111は、待機状態となる。
【0044】
一方、ステップS14の判別において、印刷ジョブが終了した場合には(ステップS14;Yes)、処理を終了し、次回の印刷ジョブの受け取りを待つこととなる。
また、ステップS12の判別において、印刷ジョブに色情報が含まれていない場合、すなわち、印刷モードがモノクロモードである場合には(ステップS12;No)、第1制御基板部111は、画像処理部115を介して、作像部116を制御し、作像シーケンスに同期して、ソレノイド64を駆動状態(ソレノイドオン状態)とし、現像装置11Kへのクラウドパルス信号CPの供給を継続しつつ、芯金51を導電性のフレームFRから物理的に接触を断ち、接点114C及びフレームFRから芯金51を電気的に遮断して、現像装置11C、11M、11Yへのクラウドパルス信号CPの供給を行わないようにして、画像形成がなされる(ステップS15)。
【0045】
続いて第1制御基板部111は、印刷ジョブが終了したか否かを判別する(ステップS16)。
ステップS16の判別において、印刷ジョブが未だ終了していない場合には(ステップS16;No)、フルカラーモードの場合とは異なり、再び処理をステップS12に移行し、第1制御基板部111は、印刷ジョブに色情報が含まれているか否か、すなわち、印刷モードがモノクロモードであるかフルカラーモードであるかを判別する(ステップS12)。
【0046】
これは、図8に示すように、印刷対象領域ARのうち、例えば、写真領域P1及び写真領域P2のみがフルカラー印刷が必要であり、印刷ジョブの途中で色情報が含まれ、その他が文字ばかりでモノクロ印刷を行うような場合に対応させるためである。
一方、ステップS16の判別において、印刷ジョブが終了した場合には(ステップS16;Yes)、第1制御基板部111は、処理を終了し、次回の印刷ジョブの受け取りを待つこととなる。
【0047】
以上の説明のように、本実施形態によれば、作像シーケンスに同期して、フルカラーモードでのみ使用される現像装置11C、11M、11Yには、モノクロモードにおいて、高圧電源部114を電気的に遮断するので、高圧電源部114を停止することなく、印刷モードを切り替えることが可能となっている。
【0048】
すなわち、モノクロモードに移行した場合には、モノクロモードの印刷では、画像形成を行わないフルカラーモードにのみ用いられる現像装置11C、11M、11Yには、高圧電源部114を停止させることなく、高圧電源部114からの出力を遮断することができるため、無用な電力消費を低減できる。すなわち、フルカラーモードの消費電力を100%とした場合に、モノクロモードの消費電力をおよそ25%とすることができ、消費電力をおよそ75%低減することができる。
また、印刷モードの切替時に高圧電源部114の停止に要する時間が不要となり、印刷のスループットの向上が図れる。
さらに、印刷モードの切替時にも高圧電源部114を停止させないため、高圧電源部の再起動時に供給電圧が不安定になることに起因する画像形成品質の低下も抑制できる。
また、現像装置11C、11M、11Yに対して、高圧電源部114からの出力を遮断する際には、機械的接点MCを用いているため、簡易な構成で出力を遮断できるとともに、確実に高圧電源部114からの出力を遮断して、確実に消費電力の低減が図れる。
さらにまた、高圧電源系統は1系統だけであるので、各現像装置11K、11C、11M、11Yに対してそれぞれ高圧電源部を設ける場合(高圧電源系統は4系統)と比較して、画像形成装置の軽量化を図ることができる。
【0049】
また、上記実施形態では、本発明の画像形成装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明したが、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【0050】
また、本発明は、当該発明を実施するための形態で述べた実施の形態に限定されるものではない。本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
10、10K、10Y、10C、10M 感光体ドラム(像担持体)
11、11K、11Y、11C、11M 現像装置(現像ユニット)
51 芯金
52 絶縁層
53 電極層
53A 電極
54 表層
55 支持部材
56 弾性部材
61 AND回路
62 電力供給回路
63 接点接離部
64 ソレノイド
100 カラー画像形成システム
101 情報端末装置
102 通信ネットワーク
103 画像形成装置
111 第1制御基板部
112 第2制御基板部
113 第3制御基板部
114 高圧電源部
114A 高圧変換部
114C 接点
115 画像処理部
116 作像部
COL 色情報信号
CP クラウドパルス信号
DL 移動距離
GF1〜GF4 画像形成信号
MC 機械的接点
P 用紙
SC 接点接離制御信号
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】
【特許文献1】特開2010−044167号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
トナーをクラウド化するための高圧パルス信号を生成する高圧電源手段と、
前記高圧電源手段に接続されてトナーに前記高圧パルス信号を供給して前記トナーを浮遊させてフレア現像を行う複数の現像ユニットを有し、前記像担持体上に作像を行う作像手段と、
前記複数の現像ユニットのうち所定の一部の現像ユニットに対し、前記高圧電源手段に対する電気的な接続、切り離しの切り替えを機械的接点を介して行う接続切替手段と、
前記接続切替手段における切り替えのタイミングを前記作像手段における作像シーケンスに同期させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像ユニットは、円柱状の芯金が一方の電極を構成する現像装置を有し、
前記高圧電源手段は、前記芯金の周面に電気的に接続、切り離し可能に配置された接点を有し、
前記制御手段は、前記接続切替手段に前記芯金をその回転軸に沿って物理的に移動させることにより、前記高圧電源手段に対する電気的な接続、切り離しの切り替えを行わせる、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記作像手段は、動作モードとして、モノクロモードとフルカラーモードとを有するとともに、画像形成可能期間に画像形成信号が入力されるものであり、
前記制御手段は、前記作像手段に画像形成信号が入力されており、前記動作モードがモノクロモードである場合に前記接続切替手段に前記芯金をその回転軸に沿って物理的に移動させる、
ことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記フルカラーモードから前記モノクロモードへの移行タイミングに前記接続切替手段における切り替えを行わせる、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
像担持体と、トナーをクラウド化するための高圧パルス信号を生成する高圧電源部と、前記高圧パル信号が供給可能な複数の現像ユニットと、前記複数の現像ユニットのうち所定の一部の現像ユニットに対し、前記高圧電源部に対する電気的な接続、切り離しを切り替える機械的接点と、を備えた画像形成装置において実行される制御方法であって、
所定の作像シーケンスに従って前記現像ユニットに前記高圧パルス信号を供給して前記トナーを浮遊させてフレア現像を行って前記像担持体上に作像を行う作像過程と、
前記複数の現像ユニットのうち所定の一部の現像ユニットに対し、前記高圧電源手段に対する電気的な接続、切り離しの切り替えを機械的接点を介して行わせる過程と、
前記機械的接点の切り替えタイミングを前記作像シーケンスに同期させる過程と、
を備えたことを特徴とする制御方法。
【請求項6】
像担持体と、トナーをクラウド化するための高圧パルス信号を生成する高圧電源部と、前記高圧パル信号が供給可能な複数の現像ユニットと、前記複数の現像ユニットのうち所定の一部の現像ユニットに対し、前記高圧電源部に対する電気的な接続、切り離しを切り替える機械的接点と、を備えた画像形成装置をコンピュータにより制御するための制御プログラムであって、
前記コンピュータを、
所定の作像シーケンスに従って前記現像ユニットに前記高圧パルス信号を供給して前記トナーを浮遊させてフレア現像を行って前記像担持体上に作像を行う作像手段と、
前記複数の現像ユニットのうち所定の一部の現像ユニットに対し、前記高圧電源手段に対する電気的な接続、切り離しの切り替えを機械的接点を介して行わせる手段と、
前記機械的接点の切り替えタイミングを前記作像シーケンスに同期させる手段と、
して機能させることを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−185373(P2012−185373A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49137(P2011−49137)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】