説明

画像形成装置、印刷条件変更方法、印刷条件変更プログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体

【課題】外部記憶装置に格納されたデータに対して簡便に印刷条件設定を変更かつ永続化でき、外部記憶装置からのデータ印刷において高いユーザビリティを実現可能な画像形成装置、印刷条件変更方法、印刷条件変更プログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体を提供する。
【解決手段】画像形成装置100は、外部記憶装置104を接続するインタフェース12を有し、外部記憶装置104に格納されたデータDのファイル名に付加された所定の文字列から取得した印刷条件に従って、データDの印刷を行う装置であって、印刷時に設定された新規の印刷条件を取得する取得手段11と、データDのファイル名に付加された所定の文字列を抽出する抽出手段31と、前記新規の印刷条件と前記所定の文字列が示す既存の印刷条件とが一致しているか否かの判定結果に応じて、前記既存の印刷条件を前記新規の印刷条件に変更する変更手段32とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部記憶装置に格納されたデータを印刷する画像形成装置、印刷条件変更方法、印刷条件変更プログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体に関し、特に、データのファイル名に規則文字列として付加された印刷条件に従い印刷を行う技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来では、ユーザが所定のデータを画像形成装置にて印刷する場合には、PC(Personal Computer)を介して行っていたが、近年、データを格納する外部記憶装置の大容量化や優れた携帯性(小型化)を実現する技術向上に伴い、外部記憶装置を直接画像形成装置へ接続し、外部記憶装置に格納されたデータを印刷する機会が増えている。例えば、特許文献1に開示されている画像形成装置のように、画像データなどを格納したUSB(Universal Serial Bus)メモリを、所定の差込口に挿入し、USBホストI/Fを介して直接画像データを印刷可能な印刷装置などである。
【0003】
しかし、上記画像形成装置で問題となるのが、外部記憶装置から読み出した画像データを印刷するときに、「どのように印刷条件を指定するのか」と言う点である。その解決方法として、例えば、プリンタドライバのUI(User Interface)を介して行っていたような印刷条件設定を、画像形成装置が備える操作パネルを介して行うなどの方法が考えられるが、操作パネルのインタフェースは、画像形成装置の機種ごとに異なるため、全ての装置において、設定し易いインタフェースを備えているとは限らない。そのため、場合によっては、ユーザにとって印刷条件設定の作業が煩雑となってしまう装置もある。
【0004】
そこで、特許文献2には、印刷を所望するファイルのファイル名、またはそのファイルが格納されているフォルダ名に、規則文字列に相当する文字列を組み込むと言う容易な操作によって、その組み込まれた文字列に基づいて所望の印刷条件を設定し、その印刷条件の設定内容に応じた形式でファイルの印刷データを印刷することが可能な印刷制御装置が開示されている。
【0005】
このように、特許文献2に開示されている技術により、上記に挙げた印刷条件設定の煩雑性を軽減することができる。
【特許文献1】特開2006―079473号公報
【特許文献2】特開2006−285900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献2に開示されている従来の画像形成装置では、外部記憶装置を接続した状態で、画像形成装置側のUI(例えば「操作パネル」など)を介して簡便に印刷条件設定が行えると言う課題については解決できていない。例えば、ユーザは、外部記憶装置を画像形成装置へ接続し、印刷を行うときに、ファイル名に付加される規則文字列から取得した印刷条件を変更したい場合がある。
【0007】
本来、印刷条件は、ユーザが印刷を行うときに、所望する印刷物(印刷結果)に応じて、その場で設定されるべき情報である。そのため、ユーザが印刷を行うときに、印刷条件を変更することは十分に考えられ、従来の画像形成装置では、その際に十分なユーザビリティを提供しているとは言えない。
【0008】
更に、印刷時に行ったユーザによる印刷条件設定は、印刷対象であるデータに関連付けられた最新の印刷条件として永続化(一時的な印刷条件変更でなく、次回印刷時にも反映)されることが望ましい。なぜなら、次回印刷において、最新の印刷条件を反映させておくことで、印刷時の印刷条件の設定作業(変更作業)を、極力少なくする(設定の手間を省く)ことができるからである。
【0009】
本発明では、上記従来技術の問題点に鑑み、外部記憶装置に格納されたデータに対して簡便に印刷条件設定を変更かつ永続化でき、外部記憶装置からのデータ印刷において高いユーザビリティをユーザに提供可能な画像形成装置、印刷条件変更方法、印刷条件変更プログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、外部記憶装置と当該画像形成装置とを接続するためのインタフェースを有し、前記外部記憶装置に格納されたデータのファイル名に付加された所定の文字列から印刷条件を取得し、取得した前記印刷条件に従って、前記インタフェースを介して読み出した前記データの印刷を行う画像形成装置であって、印刷時に設定された新規の印刷条件を取得する取得手段と、前記データのファイル名に付加された所定の文字列を抽出する抽出手段と、前記取得手段により取得した前記新規の印刷条件と、前記抽出手段により抽出した前記所定の文字列が示す既存の印刷条件とが一致しているか否かを判定し、判定結果に応じて、前記既存の印刷条件を前記新規の印刷条件に変更する変更手段とを有することを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、前記変更手段において、前記データのファイル名に付加された前記既存の印刷条件を示す所定の文字列を、前記新規の印刷所条件を示す所定の文字列に置き換えることを特徴とする。
【0012】
また、上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、前記変更手段において、前記データの複製データを生成し、生成した前記複製データのファイル名に付加された前記既存の印刷条件を示す所定の文字列を、前記新規の印刷条件を示す所定の文字列に置き換えることを特徴とする。
【0013】
また、上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、前記印刷条件と、前記印刷条件の変更を許可するか否かを示す印刷条件許可情報とが関連付けられている管理情報を有し、前記変更手段が、前記既存の印刷条件を示す所定の文字列を変更するときに、前記新規の印刷条件に基づいて前記管理情報を参照し、前記新規の印刷条件に対応付けられた前記印刷条件許可情報が、印刷条件の変更を許可する設定となっている場合に、前記既存の印刷条件を、前記新規の印刷条件に変更することを特徴とする。
【0014】
また、上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、前記変更手段において、前記新規の印刷条件に従って前記データの印刷を行う前に、前記既存の印刷条件を前記新規の印刷条件に変更することを特徴とする。
【0015】
また、上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、前記変更手段において、前記新規の印刷条件に従って前記データの印刷を行った後に、前記既存の印刷条件を、印刷結果に基づいて印刷動作可能であった前記新規の印刷条件に変更することを特徴とする。
【0016】
また、上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、前記変更手段において、前記判定結果が、不一致と判定された場合に、前記データのファイル名に付加された所定の文字列を、前記新規の印刷条件を示す文字列へ変更することを特徴とする。
【0017】
これによって、本発明の画像形成装置は、外部記憶装置に格納されたデータを印刷する際に、印刷対象であるデータに対して新規の印刷条件が設定されると、設定された新規の印刷条件を基に、データのファイル名、又はデータから複製した複製データのどちらかに付加されている印刷条件を示す規則文字列を変更する構成とし、外部記憶装置に格納されたデータに対して簡便に印刷条件設定を変更かつ永続化でき、外部記憶装置からのデータ印刷において高いユーザビリティをユーザに提供することができる。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明の印刷条件変更方法は、外部記憶装置と当該画像形成装置とを接続するためのインタフェースを有し、前記外部記憶装置に格納されたデータのファイル名に付加された所定の文字列から印刷条件を取得し、取得した前記印刷条件に従って、前記インタフェースを介して読み出した前記データの印刷を行う画像形成装置における印刷条件変更方法であって、印刷時に設定された新規の印刷条件を取得する取得手順と、前記データのファイル名に付加された所定の文字列を抽出する抽出手順と、前記取得手順により取得した前記新規の印刷条件と、前記抽出手順により抽出した前記所定の文字列が示す既存の印刷条件とが一致しているか否かを判定し、判定結果に応じて、前記既存の印刷条件を前記新規の印刷条件に変更する変更手順とを有することを特徴とする。
【0019】
これによって、本発明の印刷条件変更方法は、外部記憶装置に格納されたデータを印刷する際に、印刷対象であるデータに対して新規の印刷条件が設定されると、設定された新規の印刷条件を基に、データのファイル名、又はデータから複製した複製データのどちらかに付加されている印刷条件を示す規則文字列を変更することで、外部記憶装置に格納されたデータに対して簡便に印刷条件設定を変更かつ永続化でき、外部記憶装置からのデータ印刷において高いユーザビリティをユーザに提供することができる。
【0020】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置における印刷条件変更プログラムは、外部記憶装置と当該画像形成装置とを接続するためのインタフェースを有し、前記外部記憶装置に格納されたデータのファイル名に付加された所定の文字列から印刷条件を取得し、取得した前記印刷条件に従って、前記インタフェースを介して読み出した前記データの印刷を行う画像形成装置における印刷条件変更プログラムであって、コンピュータを、印刷時に設定された新規の印刷条件を取得する取得手段と、前記データのファイル名に付加された所定の文字列を抽出する抽出手段と、前記取得手段により取得した前記新規の印刷条件と、前記抽出手段により抽出した前記所定の文字列が示す既存の印刷条件とが一致しているか否かを判定し、判定結果に応じて、前記既存の印刷条件を前記新規の印刷条件に変更する変更手段として機能させる。
【0021】
これによって、本発明の画像形成装置における印刷条件変更プログラムは、コンピュータを、外部記憶装置に格納されたデータを印刷する際に、印刷対象であるデータに対して新規の印刷条件が設定されると、設定された新規の印刷条件を基に、データのファイル名、又はデータから複製した複製データのどちらかに付加されている印刷条件を示す規則文字列を変更するように機能させることができる。
【0022】
よって、本発明の印刷条件変更プログラムは、外部記憶装置に格納されたデータに対して簡便に印刷条件設定を変更かつ永続化でき、外部記憶装置からのデータ印刷において高いユーザビリティをユーザに提供することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、外部記憶装置に格納されたデータに対して簡便に印刷条件設定を変更かつ永続化でき、外部記憶装置からのデータ印刷において高いユーザビリティをユーザに提供可能な画像形成装置、印刷条件変更方法、印刷条件変更プログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下、「実施形態」という。)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0025】
[第1の実施形態]
<外部記憶装置に格納されたデータの印刷>
まず、本実施形態において以下に説明を行う、「外部記憶装置からのダイレクト印刷機能」について、図1を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る外部記憶装置104に格納されたデータDを印刷するときの動作例を示す図である。
【0026】
図1の動作例に示すように、本実施形態に係る画像形成装置100は、外部記憶装置104に格納されたデータDを印刷することができる。
【0027】
まず、ユーザは、印刷したいデータDが格納された外部記憶装置104を、画像形成装置100に接続する。ここで、本実施形態に係るデータDと外部記憶装置104について補足する。上記データDは、ユーザが所有するPC(Personal Computer)にインストールされた各種アプリケーションにより生成されたデータを意味し、例えば、Acrobat(登録商標)により生成されたPDF(Portable Document Format)データなどが該当する。また、上記外部記憶装置104は、データDの消去・書き込みを自由に行うことができ、電源を切っても内容が消えない半導体メモリであり、例えば、USBメモリなどが該当する。
【0028】
本実施形態に係る画像形成装置100は、外部記憶装置104が接続されたことを検知すると、外部記憶装置104に格納されているデータDの情報を取得し、当該画像形成装置100が有する操作パネルなどの表示画面に、取得したデータDの情報を表示する。ここで、本実施形態に係る画像形成装置100について補足する。上記画像形成装置100は、所定のアプリケーションデータをダイレクトに印刷可能な機能(ダイレクト印刷機能)を有する装置である。更に、本実施形態に係る画像形成装置100は、表示機能及びユーザインタフェース(UI)機能を有している。例えば、タッチパネルを備えた操作パネルなどが該当する。
【0029】
ユーザは、表示された情報を基に、操作パネルのUI機能を介して印刷したいデータDを選択する。
【0030】
画像形成装置100は、選択されたデータDのファイルを外部記憶装置104から取得し、データDのファイル名である所定の文字列も取得する。データDのファイル名には、ユーザによって予め設定された印刷条件を示す所定の規則文字列が付加されている。図1には、もともとのファイル名が"企画書"と言うPDFデータに対して、2部の両面印刷を行うと言う印刷条件を示す規則文字列"[2部][両面]"が付加されている例が示されている。
【0031】
画像形成装置100は、取得したファイル名から印刷条件を示す規則文字列を抽出し、抽出した規則文字列を解析した後に、再び操作パネルの表示画面へ、データDに設定された印刷条件を表示する。
【0032】
ユーザは、表示された印刷条件の内容を確認した後に、UI機能を介してデータDの印刷を指示する。
【0033】
その結果、画像形成装置100は、ユーザからの印刷要求を受け付け、抽出した規則文字列に対応する印刷条件に従ってデータDの印刷を行う。例えば、図1の場合には、データDのファイル名に"[2部][両面]"が付加されていることから、画像形成装置100で、企画書の両面印刷物Pを2部作成する(参照符号P1及びP2)。
【0034】
上記に説明したように、アプリケーションデータを、プリンタドライバなどを介さず、直接印刷を行うことを「ダイレクト印刷」と言い、ユーザが、複雑な印刷条件設定などを行わずとも、所望するデータを直感的かつ簡便に印刷することができる点に特徴がある。
【0035】
このように、本実施形態に係る画像形成装置100では、利便性の高い「外部記憶装置からのダイレクト印刷機能」をユーザに提供している。
【0036】
<ハードウェア構成>
では、本実施形態に係る画像形成装置100のハードウェア構成について、図2及び図3を用いて説明する。図2は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。また、図3は、画像形成装置100が有する操作パネル11の一例を示す図である。
【0037】
本実施形態に係る画像形成装置100は、操作パネル11と、外部記憶装置I/F12と、コントローラ13と、データ通信I/F14と、HDD(Hard Disk Drive)110と、スキャナ15と、プロッタ16とから構成され、それぞれバスで相互に接続されている。
【0038】
操作パネル11は、入力装置101と表示装置102とを有しており、入力装置101は、ハードウェアキーなどで構成され、画像形成装置100に各操作信号を入力するのに用いられる。また、表示装置102は、ディスプレイなどで構成され、例えば印刷条件などの画像形成動作に関する各種情報を表示する。
【0039】
操作パネル11は、上記構成により、図3に示すようなUI機能をユーザに提供している。例えば、UI機能には、印刷条件などの画像形成動作に関する各種情報を表示する表示画面21と、画像形成装置100が有するプリンタ、スキャナ、ファクス、コピーなどの動作機能を切り替える機能切り換えキー22と、画像形成装置100に設定値などを含む各種情報を入力するテンキー23と、各種機能の動作開始を指示するスタートキー24と、設定中の動作条件をクリア/動作中の機能を停止させるクリア/ストップキー25と、画像形成動作に関する設定値などを初期状態に戻す初期設定キー26と、装置の操作方法などに関する情報の表示を指示するHelpキー27と、一時的に設定されている各種機能動作に関する設定などをリセットするリセットキー28とから構成されている。ユーザは、このようなUI機能を介して、対話形式により画像形成装置100を操作する。例えば、外部記憶装置104からのデータDを印刷するときの印刷条件を変更したい場合には、上記UI機能を介して行う。
【0040】
データ通信I/F14は、ホストインタフェース装置109を有しており、画像処理装置100を、有線及び/又は無線回線により構築されたLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)などのネットワーク(データ通信網)などのデータ伝送路(非図示)に接続するインタフェースである。
【0041】
HDD110は、画像形成装置100で取り扱われる受信文書データや読み取り画像データなどの各種データを格納している。また、HDD110は、これらの各種データを、所定のファイルシステムやDB(Data Base)により管理している。
【0042】
外部記憶装置I/F12は、インタフェース装置103を有しており、例えばUSBメモリなどの外部記憶装置104を、画像形成装置100に接続するためのインタフェースである。画像形成装置100には、外部記憶装置I/F12に接続するための差込口(非図示)が設けられており、外部記憶装置104が備える接続端子が差込口に挿入されることにより、画像形成装置100と外部記憶装置104との間でデータのやり取りを行うことが可能となる。
【0043】
コントローラ13は、ROM(Read Only Memory)105、RAM(Random Access Memory)106、NV−RAM(Non Volatile RAM)107、及びCPU(Central Processing Unit)108とを有しており、ROM105は、画像形成装置100が起動されるときに実行されるプログラム(OS:Operating Systemの役割をするプログラム)や各種データ、また画像形成装置100が有する各種機能を実現するプログラム(アプリケーションプログラム)や各種データを格納している。また、RAM106は、ROM105やHDD110から読み出された各種プログラムやデータを一時保持する。NV−RAM107は、画像形成動作を制御するための初期設定値(印刷制御に関する初期設定値)などの画像形成装置100に関する設定データを格納している。更に、CPU108は、RAM106が一時保持しているプログラムを実行する。コントローラ13は、上記構成により、例えば、データ通信I/F14を介して印刷データを受信した場合に、ROM105からRAM106上に読み出されたPDL(Page Description Language)を解釈可能なプログラム(PDLパーサ)をCPU108により実行し、印刷データを解釈してビットマップイメージを生成する。
【0044】
スキャナ15は、画像読取装置111を有しており、読み取り面に配置された原稿を光学的に読み取り画像データを生成する。プロッタ16は、印刷装置112を有しており、例えば、電子写真プロセス方式によって、コントローラ13から転送されたビットマップイメージを記録紙(印刷用紙)に印刷する。ここでは、画像形成方式の一例として電子写真プロセス方式による例を示ししたが、この内容に本発明が限定されるものではない。例えば、インクジェットプロセス方式であってもよい。
【0045】
このように、本実施形態に係る画像形成装置100では、コントローラ13のRAM106に読み出されたPDLを解釈可能なプログラムがCPU108で実行され、外部記憶装置104から外部記憶装置I/F12を介して取得したアプリケーションデータからビットマップイメージを生成し、生成したビットマップデータがプロッタ16へ転送され、外部記憶装置104からのデータ印刷を行っている。
【0046】
<印刷条件変更機能>
ここからは、外部記憶装置104からのデータ印刷を行うときに、本実施形態に係る画像形成装置100が行う印刷条件変更について、図4から図9を用いて説明を行う。では、本実施形態に係る画像形成装置100が有する「印刷条件変更機能」の構成について、図4を用いて説明する。
【0047】
<<機能構成の概要>>
図4は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置100が有する機能構成の一例を示す図である。
【0048】
本実施形態に係る画像形成装置100は、外部記憶装置104からのデータ印刷を行うときの上記「印刷条件変更機能」を実現するため、外部記憶装置104から取得したデータDのファイル名から印刷条件を示す規則文字列を抽出する規則文字列抽出部31と、操作パネル11を介して受け取った印刷条件を基に既存の印刷条件を変更する印刷条件変更部32とを有している。
【0049】
以下に、上記各機能部について説明する。
規則文字列抽出部31は、まず、画像形成装置100が、外部記憶装置I/F12を介して外部記憶装置104から取得したデータDのファイル名を取得する。次いで、取得したファイル名から印刷条件を示す規則文字列(請求項記載の「所定の文字列」に対応する)を抽出する(請求項記載の「抽出手段」に対応する)。
【0050】
印刷条件変更部32は、データDを印刷する前に、ユーザによって操作パネル11のUI機能を介して設定された印刷条件と、規則文字列抽出部31により抽出した規則文字列が示す印刷条件とを比較し、比較結果が異なる場合に、操作パネル11から改めて設定された印刷条件を基に、データDの印刷条件を変更する。更に、データDのファイル名に付加されている所定の規則文字列を最新の印刷条件へ更新する(請求項記載の「変更手段」に対応する)。
【0051】
以降に、上記各機能により実現される「印刷条件変更機能」について、より詳しく説明する。
【0052】
<<データ構成>>
本実施形態に係る「印刷条件変更機能」において用いられる印刷条件変更に関するデータについて、図5を用いて説明する。図5は、本発明の第1の実施形態に係る印刷条件管理データ41の構成例を示す図である。
【0053】
本実施形態に係る画像形成装置100は、図5に示す印刷条件管理データ41を、不揮発性の記憶装置であるHDD110又はNV−RAM107などの所定の記憶領域に格納している。
【0054】
印刷条件管理データ41は、ファイル名に付加される所定の規則文字列と、規則文字列が示す印刷条件情報とを関連付ける構成となっている(請求項記載の「管理情報」に対応する)。例えば、図5に示す印刷条件管理データ41では、規則文字列"[*部]"に、「*部印刷する」と言う印刷条件情報が対応付けられている。また、規則文字列"[両面]"に、「両面で印刷する」と言う印刷条件情報が対応付けられている。画像形成装置100は、外部記憶装置104から取得したデータDを印刷するときに、規則文字列抽出部31により抽出した文字列を基に、上記印刷条件管理データ41を参照し、対応する印刷条件に従って印刷を行う。
【0055】
更に、印刷条件管理データ41には、ユーザによって操作パネル11を介して新たな印刷条件が設定された場合に、データDのファイル名に付加されている既存の規則文字列を、最新の印刷条件に更新することを許可するか否かを示す印刷条件変更許可情報が、規則文字列と印刷条件情報とに関連付けられている。この情報項目は、印刷条件変更部32によって、ユーザから操作パネル11を介して変更指示された場合に参照される。例えば、図5に示す印刷条件管理データ41では、「*部印刷する」と言う印刷条件情報が対応付けられた規則文字列"[*部]"に対して、印刷条件変更許可情報「ON」が対応付けられている。また、「奇数ページのみ印刷する」と言う印刷条件情報が対応付けられた規則文字列"[奇数]"に対して、印刷条件変更許可情報「OFF」が対応付けられている。
【0056】
印刷条件変更部32は、操作パネル11のUI機能を介して受け付けた新規の印刷条件を基に印刷条件管理データ41を参照し、変更しようとしている印刷条件に該当する印刷条件変更許可情報を特定する。その結果、対応する印刷条件変更許可情報に「ON」が設定されていると、印刷条件を最新に変更してもよいと判断し、ファイル名に付加された規則文字列を更新する(既存の印刷条件を新規の印刷条件に更新する)。また、対応する印刷条件変更許可情報に「OFF」が設定されていると、印刷条件の変更を許可しないと判断し、ファイル名に付加された規則文字列(既存の印刷条件を示す規則文字列)の変更は行わない。上記変更許可判定の処理については、後述する「(手順3)印刷条件の変更」にて詳しく説明する。
【0057】
ここで、図5では、テーブル形式の印刷条件管理データ41のデータ構成例が示されているが、本発明はこのデータ形式に限定されるものではない。印刷条件許可情報と、規則文字列と、印刷条件情報とが一意に対応するデータ形式であればよい。
【0058】
<<機能動作の概要>>
上記で説明を行った各機能部によって、本実施形態に係る画像形成装置100が有する「印刷条件変更機能」が、どのように動作し実現されているのかについて、図6から図10を用いて説明する。以下の説明では、機能動作について分かり易く説明するために、ユーザが予めファイル名に印刷条件「2部両面印刷」を設定したデータDを外部記憶装置104に格納し、格納されたデータDを印刷する際に、印刷条件の部数を「5部」へ変更した場合の動作例に従って行う。
【0059】
(手順1)規則文字列の抽出
まず、規則文字列抽出部31は、接続された外部記憶装置104の所定の記憶領域から取得したデータDのファイル名を操作パネル11へ渡す。操作パネル11は、受け取ったファイル名を表示画面21に表示し、ユーザへ印刷するデータDを、UI機能を介して選択させる。
【0060】
規則文字列抽出部31は、操作パネル11のUI機能を介して選択された結果を受けて、印刷指示された(選択された)データDのファイル名から規則文字列を抽出する。例えば、図4に示すように、拡張子(pdf)を除くファイル名が"[2部][両面]企画書"の場合には、所定の抽出規則に従って規則文字列"[2部]"や"[両面]"を抽出する。所定の抽出規則とは、ファイル名に付加された印刷条件を示す規則文字列を抽出するために、予め決めておいた文字列操作の規則である。図4の場合には、所定の抽出規則として、ファイル名に付加された文字列の中で'['と']'とを先頭と終端に含む文字列を、印刷条件を示す規則文字列として抽出する。ここでは、上記所定の抽出規則に従った規則文字列の抽出例を示したが、本発明が上記抽出方法に限定されるものではない。ファイル名に対して文字列操作を行い、印刷条件を示す文字列が抽出可能であれば、どのような方法であってもよい。
【0061】
上記方法にて抽出した規則文字列は、操作パネル11に渡され、操作パネル11によって、図6に示すような「ユーザに現在設定されている印刷条件の確認を促す」表示画面21が表示される。図6は、本発明の第1の実施形態に係る印刷条件確認を行う確認画面の一例を示す図である。
【0062】
ユーザは、操作パネル11の表示画面21に表示された印刷条件の内容(2部両面印刷)を確認し、この内容で印刷したい場合には、同画面に表示された[YES]ボタンを押下する。これにより、画像形成装置100では、現在設定されている印刷条件がRAM106上へ読み出され、読み出された印刷条件に従ったデータDの印刷指示を受け付ける。また、印刷条件を変更したい場合には、同画面に表示された[NO]ボタンを押下する。その結果、画像形成装置100は、印刷条件変更の指示を受け付け、図7に示すような「現在の印刷条件を基に新たな設定を促す」表示画面21を表示する。
【0063】
画像形成装置100は、同画面に表示された[NO]ボタンが押下された場合に、規則文字列抽出部31により、抽出された規則文字列が、既存の印刷条件情報として印刷条件変更部32へ渡される。
【0064】
(手順2)印刷条件設定の取得
図7は、本発明の第1の実施形態に係る印刷条件設定を行う設定画面の一例を示す図である。図7には、ユーザが、操作パネル11のUI機能を介して、現在設定されている印刷条件のうち、部数設定が「2部」から「5部」へ変更された例が示されている。このように、ユーザは、操作パネル11の表示画面21に表示された設定画面を介して、変更したい設定項目を操作し、所望する設定値を選択する。その結果、操作パネル11がUI機能を介して印刷条件設定を受け付ける(請求項記載の「取得手段」に対応する)。その結果、操作パネル11は、受け付けた印刷条件設定を新規の印刷条件情報として印刷条件変更部32へ渡す。
【0065】
(手順3)印刷条件の変更
印刷条件変更部32は、操作パネル11から新規の印刷条件情報を受け付けると、印刷条件変更が指示されたとして、受け付けた新規の印刷条件情報と規則文字列抽出部31から受け付けた既存の印刷条件情報とが一致するか否かを判定する。
【0066】
印刷条件変更部32は、新規の印刷条件と既存の印刷条件とが一致する場合には、既存の印刷条件がRAM106上へ読み出され、印刷条件として有効となる。
【0067】
また、印刷条件変更部32は、新規の印刷条件と既存の印刷条件とが一致しない場合には、新規の印刷条件がRAM106上に読み出され、印刷条件として有効となる。
【0068】
このとき、操作パネル11では、図7に示す設定画面から印刷条件設定を受け付けると、図8に示すような「印刷条件設定の確定と変更指示を促す」表示画面21を表示する。図8は、本発明の第1の実施形態に係る印刷条件変更を指示する操作画面の一例を示す図である。図8(a)には、新たに設定した印刷条件を現在ファイル名に付加されている規則文字列に反映し設定を永続化するか、一時的な設定変更とするかを選択指示可能な設定画面例が示されており、また図8(b)には、永続化する方法(以下、「変更方式」と言う。)として、元データDのファイル名を上書きする方法(以下、「上書き方式」と言う。)か、元データDを複製する方法(以下、「複製方式」と言う。)のどちらか一方の方法を選択指示可能な設定画面例が示されている。
【0069】
操作パネル11は、図8(a)に示す設定画面を介して受け付けた[残さない]ボタンが押下されたことによる一時的な印刷条件の変更指示を印刷条件変更部32へ渡す。
【0070】
また、操作パネル11は、図8(a)に示す設定画面を介して[残す]ボタンが押下されたことを受け付けると、図8(b)に示す設定画面を表示し、設定された印刷条件を永続化する変更方式をユーザに選択させる。
【0071】
(印刷条件の変更方式について)
本実施形態では、図8(b)に示すように、印刷条件の変更方式として、「上書き方式」と、「複製方式」とが選択可能となっている。では、上記2つの方式について、図9を用いて説明する。
【0072】
図9は、本発明の第1の実施形態に係る変更された印刷条件を反映する動作例を示す図である。図9(a)には、「上書き方式」の例が示されており、図9(b)には、「複製方式」が示されている。
【0073】
・「上書き方式」
図9(a)に示すように、印刷条件変更部32は、例えば、操作パネル11のUI機能を介して新規の部数設定「5部」と、変更方式「上書き方式」とを受け付けた場合に、受け付けた部数設定と変更方式とを基に、規則文字列抽出部31から受け取った規則文字列を新規の印刷条件を反映し更新する。例えば、元データDから抽出した規則文字列が"[2部][両面]"の場合には、変更方式「上書き方式」に従って、部数設定「5部」を基に変更した規則文字列の"[5部][両面]"を基に、元データDのファイル名"[2部][両面]企画書"を"[5部][両面]企画書"へ書き換える。
【0074】
・「複製方式」
「複製方式」は、上記「上書き方式」に対して、元データDのファイル名を書き換えず、元データDから複製した複製データCPのファイル名へ反映させる。すなわち、印刷条件変更部32は、図9(b)に示すように、変更方式「複写方式」に従って、元データDから複製データCPを生成し、生成した複製データCPのファイル名"[2部][両面]企画書"を"[5部][両面]企画書"へ書き換える。
【0075】
本実施形態では、印刷条件の変更を外部記憶装置104のデータDへ反映させる場合に、2つの方式をユーザによって選択指示可能としたことにより、上記「上書き方式」では、外部記憶装置104の記憶領域を印刷条件変更の度に消費してしまうと言う「複製方式」特有の問題がない。また、上記「複写方式」では、データDを印刷する画像形成装置100のハードウェア仕様や機能搭載状態などを考慮した印刷条件のバリエーション(1つのデータに対して複数の印刷条件の組み合わせ設定)をもたせることができないと言う「上書き方式」の問題がない。このように、本実施形態では、ユーザが、外部記憶装置104の記憶領域の空き状況や、格納されたデータに対し所望する印刷対応などに応じて適切に変更することができる。
【0076】
(「上書き方式」における印刷条件許可判定)
また、印刷条件変更部32は、上記「上書き方式」に従って印刷条件を変更する場合に、図10に示すような判定動作を行う。図10は、本発明の第1の実施形態に係る印刷条件変更時の許可を判定する動作例を示す図である。
【0077】
印刷条件変更部32は、操作パネル11のUI機能を介して受け取った新規の印刷条件が、変更を許可されている印刷条件か否かを判定する。具体的には、印刷条件変更部32は、受け付けた新規の印刷条件を基に、HDD110などの不揮発性の記憶装置に格納されている図5に示すような印刷制御管理データ41を参照し、印刷条件に該当する印刷条件変更許可情報から、変更しようとしている印刷条件が変更許可された条件か否かを判定する。
【0078】
印刷条件変更部32は、既存のデータDのファイル名に規則文字列"[2部]"が含まれている場合に、ユーザから「5部印刷する」と言う新規の印刷条件が設定されると、印刷条件管理データ41の印刷条件情報「*部印刷する」の項目に対応する印刷条件変更許可情報を参照する。その結果、対応する印刷条件変更許可情報に「ON」が設定されていることから、印刷条件を最新に変更してもよいと判断し、ファイル名に付加された規則文字列を更新する(既存の印刷条件を新規の印刷条件に更新する)。また、図10に示すように、ユーザから「奇数ページのみ印刷する」と言う新規の印刷条件が設定されると、印刷条件管理データ41の印刷条件情報「奇数ページのみ印刷する」の項目に対応する印刷条件変更許可情報を参照する。その結果、対応する印刷条件変更許可情報に「OFF」が設定されていることから、印刷条件の変更を許可しないと判断し、ファイル名に付加された規則文字列の変更は行わない(既存の印刷条件を変更しない)。このとき、印刷条件変更部32は、新規の印刷条件が、印刷条件許可情報に基づいて、ファイル名に付加された規則文字列の変更ができなかった場合に、その旨を知らせる表示画面21を表示するように操作パネル11に指示する。ここで、上記印刷条件許可情報の例として、「許可する/許可しない」の設定を「ON/OFF」により示したが、本発明はこの情報形態に限定されるものではない。例えば、「許可する/許可しない」の設定を「1/0」で表すなど、印刷条件の許可が判断できれば、どのような情報形態であってもよい。
【0079】
このように、本実施形態に係る画像形成装置100は、上記に説明を行った各機能部による構成により、外部記憶装置104に格納されたデータDを印刷する際に、印刷対象であるデータDに対して新規の印刷条件が設定されると、設定された新規の印刷条件を基に、データDのファイル名、又はデータDから複製した複製データCPのどちらかに付加されている印刷条件を示す規則文字列を変更することで、外部記憶装置104に格納されたデータDに対して簡便に印刷条件設定を変更かつ永続化でき、外部記憶装置104からのデータ印刷において高いユーザビリティをユーザに提供することができる「印刷条件変更機能」を実現している。
【0080】
<処理手順>
上記に説明を行った本実施形態に係る「印刷条件変更機能」の具体的な処理手順について、図11を用いて説明する。以下に説明する処理手順は、主に、コントローラ13のCPU108で実行される印刷条件変更プログラムによって行われる手順である。
【0081】
図11は、本発明の第1の実施形態に係る印刷条件変更に関する処理手順の一例(その1)を示すフローチャートである。
【0082】
本実施形態に係る画像形成装置100は、規則文字列抽出部31により、外部記憶装置104に格納されている印刷対象として選択指示されたデータDのファイル名から、予め設定されている印刷条件を示す規則文字列を抽出する(ステップS101)。
【0083】
規則文字列抽出部31は、抽出した規則文字列を操作パネル11へ渡し、操作パネル11により印刷条件の内容を表示画面21に表示する。画像形成装置100は、操作パネル11のUI機能を介して、既存の印刷条件で印刷を行うか否かの指示([OK]ボタン/[NO]ボタン押下)を受け付ける。
【0084】
画像形成装置100は、操作パネル11のUI機能により、既存の印刷条件に従った印刷指示([OK]ボタンが押下されたこと)を受け付けると(ステップS102がYESの場合)、既存の印刷条件をRAM106上に読み出し(印刷対象となるデータDの印刷条件を有効にする)(ステップS105)、RAM106上に読み出された印刷条件に従って所定の印刷処理を行い(ステップS106)、処理を終了する。
【0085】
また、画像形成装置100は、操作パネル11のUI機能により、既存の印刷条件を変更し新規の印刷条件に従った印刷指示([NO]ボタンが押下されたこと)を受け付けると(ステップS102がNOの場合)、操作パネル11のUI機能を介して、新規の印刷条件を受け取り、印刷条件変更部32へ渡す(ステップS103)。また、このとき、規則文字列抽出部31も、抽出した規則文字列を印刷条件変更部32へ渡す。
【0086】
印刷条件変更部32は、操作パネル11のUI機能を介して受け取った新規の印刷条件と、規則文字列抽出部31により受け取った規則文字列が示す既存の印刷条件とが一致するか否かを判定する(ステップS104)。
【0087】
印刷条件変更部32は、新規の印刷条件と既存の印刷条件とが一致する場合に(ステップS104がYESの場合)、ステップS105へ移行し、既存の印刷条件に従って印刷処理を行う。
【0088】
また、印刷条件変更部32は、新規の印刷条件と既存の印刷条件とが一致しない場合に(ステップS104がNOの場合)、新規の印刷条件をRAM106上に読み出す(ステップS107)。
【0089】
このとき、画像形成装置100は、操作パネル11のUI機能を介して、既存の印刷条件を新規の印刷条件へ変更する方式として「複製方式」の指示([複製]ボタンが押下されたことを)を受け付けると(ステップS108が「複製が選択」の場合)、受け付けた「複製方式」の変更方式を印刷条件変更部32へ渡す。
【0090】
印刷条件変更部32は、受け取った「複製方式」に従って、データDから複製した複製データCPを生成し、生成した複製データCPのファイル名に付加された規則文字列(既存の印刷条件を示す規則文字列)を、新規の印刷条件を示す規則文字列に上書きし、印刷条件を変更する(ステップS111)。その後、画像形成装置100は、新規の印刷条件に従って所定の印刷処理を行い、処理を終了する。
【0091】
また、画像形成装置100は、操作パネル11のUI機能を介して、既存の印刷条件を新規の印刷条件へ変更する方式として「上書き方式」の指示([上書き]ボタンが押下されたこと)を受け付けると(ステップS108が「上書きが選択」の場合)、受け付けた「上書き方式」の変更方式を印刷条件変更部32へ渡す。
【0092】
印刷条件変更部32は、新規の印刷条件を基に、HDD110又はNV−RAM107などの不揮発性の記憶装置に格納されている印刷制御管理データ41を参照し、該当する印刷条件変更許可情報が、変更許可の設定となっているか否かを判定する(ステップS109)。
【0093】
印刷条件変更部32は、新規の印刷条件が変更許可されている印刷条件であると判定した場合に(ステップS109がYESの場合)、「上書き方式」に従って、データDのファイル名に付加された規則文字列(既存の印刷条件を示す規則文字列)を、新規の印刷条件を示す規則文字列に上書きし、印刷条件を変更する(ステップS110)。
【0094】
また、印刷条件変更部32は、新規の印刷条件が変更許可されていない印刷条件であると判定した場合に(ステップS109がNOの場合)、データDのファイル名へ新規の印刷条件を反映せず、ステップS106へ移行し、新規の印刷条件に従って所定の印刷処理を行い、処理を終了する。
【0095】
このように、本実施形態に係る画像形成装置100は、上記処理手順をコントローラ13で実行することで、外部記憶装置104に格納されている所定のデータを印刷する際に、印刷対象であるデータの印刷条件を変更可能な「印刷条件変更機能」を提供することができる。
【0096】
(印刷条件変更のタイミングについて)
上記図11を用いて説明を行った印刷条件変更に関する処理では、印刷処理を行う前に印刷条件の変更を行っていた。
【0097】
例えば、データDに対して両面印刷が印刷条件として指示されている場合に、印刷を行う画像形成装置100に両面印刷を行うための装置(例えば「両面ユニット」)が装着されていない場合があり、このような場合では、印刷条件を変更しても条件にあった印刷動作は行われない。すなわち、印刷条件の設定が無意味なものになってしまう。そこで、本実施形態に係る印刷条件変更に関する処理として、指示した印刷条件に従った動作結果を踏まえて、印刷条件を変更可能とするように、印刷処理後に印刷条件変更を行う処理手順について、図12を用いて説明する。
【0098】
図12は、本発明の第1の実施形態に係る印刷条件変更に関する処理手順の一例(その2)を示すフローチャートである。
【0099】
図12に示す処理手順において、図11に示す処理手順との違いは、印刷処理後に、印刷条件の変更を行っている点である。よって、図12に示すステップS201からS204の処理手順については、同じ処理内容であるため、ここでの説明を省略する。
【0100】
本実施形態に係る画像形成装置100は、既存の印刷条件と新規の印刷条件とが一致しなかった場合に(ステップS203がNOの場合)、印刷条件変更部32により、操作パネル11から受け取った新規の印刷条件をRAM106上へ読み出す(ステップS205)。
【0101】
画像形成装置100は、RAM106上に読み出された新規の印刷条件に従って所定の印刷処理を行う(ステップS206)。
【0102】
画像形成装置100は、ステップS206において有効だった印刷条件が、新規の印刷条件か否かを判定する(ステップS207)。ステップS207で行う判定処理は、例えば、ステップS203において印刷条件が一致したか否かによっても可能である。
【0103】
画像形成装置100は、既存の印刷条件が有効だったと判定した場合に(ステップS207がNOの場合)、処理を終了する。
【0104】
また、画像形成装置100は、新規の印刷条件が有効だったと判定した場合に(ステップS207がYESの場合)、操作パネル11のUI機能を介して、既存の印刷条件を新規の印刷条件へ変更する方式として「複製方式」の指示([複製]ボタンが押下されたことを)を受け付けると(ステップS208が「複製が選択」の場合)、受け付けた「複製方式」の変更方式を印刷条件変更部32へ渡す。
【0105】
印刷条件変更部32は、受け取った「複製方式」に従って、データDから複製した複製データCPを生成し、生成した複製データCPのファイル名に付加された規則文字列(既存の印刷条件を示す規則文字列)を、画像形成装置100において動作可能であった新規の印刷条件を示す規則文字列に上書きし、印刷条件を変更する(ステップS211)。その後、処理を終了する。
【0106】
また、画像形成装置100は、操作パネル11のUI機能を介して、既存の印刷条件を新規の印刷条件へ変更する方式として「上書き方式」の指示([上書き]ボタンが押下されたこと)を受け付けると(ステップS208が「上書きが選択」の場合)、受け付けた「上書き方式」の変更方式を印刷条件変更部32へ渡す。
【0107】
印刷条件変更部32は、新規の印刷条件を基に、HDD110又はNV―RAM107などの不揮発性の記憶装置に格納されている印刷制御管理データ41を参照し、該当する印刷条件変更許可情報が、変更許可の設定となっているか否かを判定する(ステップS209)。
【0108】
印刷条件変更部32は、新規の印刷条件が変更許可されている印刷条件であると判定した場合に(ステップS209がYESの場合)、「上書き方式」に従って、データDのファイル名に付加された規則文字列(既存の印刷条件を示す規則文字列)を、画像形成装置100において動作可能であった新規の印刷条件を示す規則文字列に上書きし、印刷条件を変更する(ステップS210)。
【0109】
また、印刷条件変更部32は、新規の印刷条件が変更許可されていない印刷条件であると判定した場合に(ステップS209がNOの場合)、データDのファイル名へ新規の印刷条件を反映せず、処理を終了する。
【0110】
このように、本実施形態に係る画像形成装置100は、上記処理手順をコントローラ13で実行することで、外部記憶装置104に格納されている所定のデータを印刷する際に、印刷対象であるデータの印刷条件を、画像形成装置100において動作可能であった印刷条件のみ変更可能な「印刷条件変更機能」を提供することができる。
【0111】
<まとめ>
以上のように、本発明の第1の実施形態によれば、
本実施形態に係る画像形成装置100は、外部記憶装置104に格納されたデータDを印刷する際に、印刷対象であるデータDに対して新規の印刷条件が設定されると、設定された新規の印刷条件を基に、データDのファイル名、又はデータDから複製した複製データCPのどちらかに付加されている印刷条件を示す規則文字列を変更する。
【0112】
これによって、本実施形態に係る画像形成装置100は、外部記憶装置104に格納されたデータDに対して簡便に印刷条件設定を変更かつ永続化でき、外部記憶装置104からのデータ印刷において高いユーザビリティをユーザに提供することができる「印刷条件変更機能」を実現することができる。
【0113】
ここまで、上記実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置100が有する「印刷条件変更機能」は、図11及び図12に示した各処理手順を、上記実施形態に係る画像形成装置100の動作環境(プラットフォーム)にあったプログラミング言語でコード化したプログラムとしてコンピュータで実行することで実現することができる。よって、本発明の実施形態に係る画像形成装置100が有する印刷条件変更プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体(非図示)に格納することができる。
【0114】
よって、上記実施形態に係る印刷条件変更プログラムは、フロッピー(登録商標)ディスク、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)などの記録媒体に記憶させることによって、これらの記憶媒体を読み取り可能なドライブ装置(非図示)に接続された記録媒体から、画像形成装置100にインストールすることができる。また、画像形成装置100は、ネットワークなどのデータ伝送路(非図示)に接続可能なデータ通信I/F14を有していることから、インターネットなどの電気通信回線を用いて印刷条件変更プログラムをダウンロードし、インストールすることもできる。
【0115】
最後に、上記実施形態に挙げた形状に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した要件に、本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る外部記憶装置に格納されたデータを印刷するときの動作例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る操作パネルの一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置が有する機能構成の一例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る印刷条件管理データの構成例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る印刷条件確認を行う確認画面の一例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る印刷条件設定を行う設定画面の一例を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る印刷条件変更を指示する操作画面の一例を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る変更された印刷条件を反映する動作例を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る印刷条件変更時の許可を判定する動作例を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る印刷条件変更に関する処理手順の一例(その1)を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第1の実施形態に係る印刷条件変更に関する処理手順の一例(その2)を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0117】
11 操作パネル
12 外部記憶装置I/F
13 コントローラ
14 データ通信I/F
15 スキャナ
16 プロッタ
21 表示画面
22 機能切り換えキー
23 テンキー
24 スタートキー
25 クリア/ストップキー
26 初期設定キー
27 Helpキー
28 リセットキー
31 規則文字列抽出部
32 印刷条件変更部
41 印刷条件管理データ
100 画像形成装置
101 入力装置
102 表示装置
103 インタフェース装置
104 外部記憶装置(フラッシュメモリ)
105 ROM
106 RAM
107 NV−RAM
108 CPU
109 ホストインタフェース装置
110 HDD
111 画像読取装置
112 印刷装置
D アプリケーションデータ(例えばPDFデータなど)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部記憶装置と当該画像形成装置とを接続するためのインタフェースを有し、前記外部記憶装置に格納されたデータのファイル名に付加された所定の文字列から印刷条件を取得し、取得した前記印刷条件に従って、前記インタフェースを介して読み出した前記データの印刷を行う画像形成装置であって、
印刷時に設定された新規の印刷条件を取得する取得手段と、
前記データのファイル名に付加された所定の文字列を抽出する抽出手段と、
前記取得手段により取得した前記新規の印刷条件と、前記抽出手段により抽出した前記所定の文字列が示す既存の印刷条件とが一致しているか否かを判定し、判定結果に応じて、前記既存の印刷条件を前記新規の印刷条件に変更する変更手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記変更手段は、
前記データのファイル名に付加された前記既存の印刷条件を示す所定の文字列を、前記新規の印刷所条件を示す所定の文字列に置き換えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記変更手段は、
前記データの複製データを生成し、生成した前記複製データのファイル名に付加された前記既存の印刷条件を示す所定の文字列を、前記新規の印刷条件を示す所定の文字列に置き換えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷条件と、前記印刷条件の変更を許可するか否かを示す印刷条件許可情報とが関連付けられている管理情報を有し、
前記変更手段は、
前記既存の印刷条件を示す所定の文字列を変更するときに、
前記新規の印刷条件に基づいて前記管理情報を参照し、前記新規の印刷条件に対応付けられた前記印刷条件許可情報が、印刷条件の変更を許可する設定となっている場合に、
前記既存の印刷条件を、前記新規の印刷条件に変更することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記変更手段は、
前記新規の印刷条件に従って前記データの印刷を行う前に、
前記既存の印刷条件を前記新規の印刷条件に変更することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記変更手段は、
前記新規の印刷条件に従って前記データの印刷を行った後に、
前記既存の印刷条件を、印刷結果に基づいて印刷動作可能であった前記新規の印刷条件に変更することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記変更手段は、
前記判定結果が不一致の場合に、
前記データのファイル名に付加された所定の文字列を、前記新規の印刷条件を示す文字列へ変更することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
外部記憶装置と当該画像形成装置とを接続するためのインタフェースを有し、前記外部記憶装置に格納されたデータのファイル名に付加された所定の文字列から印刷条件を取得し、取得した前記印刷条件に従って、前記インタフェースを介して読み出した前記データの印刷を行う画像形成装置における印刷条件変更方法であって、
印刷時に設定された新規の印刷条件を取得する取得手順と、
前記データのファイル名に付加された所定の文字列を抽出する抽出手順と、
前記取得手順により取得した前記新規の印刷条件と、前記抽出手順により抽出した前記所定の文字列が示す既存の印刷条件とが一致しているか否かを判定し、判定結果に応じて、前記既存の印刷条件を前記新規の印刷条件に変更する変更手順とを有することを特徴とする印刷条件変更方法。
【請求項9】
外部記憶装置と当該画像形成装置とを接続するためのインタフェースを有し、前記外部記憶装置に格納されたデータのファイル名に付加された所定の文字列から印刷条件を取得し、取得した前記印刷条件に従って、前記インタフェースを介して読み出した前記データの印刷を行う画像形成装置における印刷条件変更プログラムであって、
コンピュータを、
印刷時に設定された新規の印刷条件を取得する取得手段と、
前記データのファイル名に付加された所定の文字列を抽出する抽出手段と、
前記取得手段により取得した前記新規の印刷条件と、前記抽出手段により抽出した前記所定の文字列が示す既存の印刷条件とが一致しているか否かを判定し、判定結果に応じて、前記既存の印刷条件を前記新規の印刷条件に変更する変更手段として機能させる印刷条件変更プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の印刷条件変更プログラムを記録した、コンピュータが読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−160820(P2009−160820A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−565(P2008−565)
【出願日】平成20年1月7日(2008.1.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】