説明

画像形成装置、外部診断装置、診断システム、および診断プログラム

【課題】画像形成装置の動作不良に対する対策部品について、その情報伝達の漏れや遅れを改善する。
【解決手段】画像形成装置1は、記録媒体の取込から排出までの動作不良を検知する検知手段3と、検知手段3によって検知された動作不良を表す識別コード(Fault Code)を記憶する記憶手段4と、動作不良が発生したときに、記憶手段4が記憶するFault Codeに対応した対策部品が有る場合には、対策部品への交換を促すメッセージを表示する表示手段5と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、外部診断装置、診断システム、および診断プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
市場に投入された画像形成装置において、メカ、基板、電源、ハーネスおよびコネクタ等の搭載部品の異常によって動作不良が発生する場合がある。このような場合、現場のカスタマーエンジニア(CE)が原因を解析して処置することとなるが、その原因の解析は容易ではなく、画像形成装置のダウンタイムが長引くこともある。また、動作不良が頻繁に発生する場合には、対策部品の導入が検討されるが、この情報の見落としや伝達の遅れによって、対策が十分に浸透しないこともある。
【0003】
このような課題を解決する技術が、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1には、現機種のエラー情報である現機種履歴情報と、現機種の設置前に設置されていた前機種のエラー情報である前機種履歴情報とを使用して、特定のエラーに対する原因解析を行い、画像形成装置をメンテナンスするサービスマンに作業指示を提示する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004−29479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような背景を鑑み、画像形成装置の動作不良に対する対策部品について、その情報伝達の漏れや遅れを改善する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、記録媒体の取込から排出までの動作不良を検知する検知手段と、前記検知手段によって検知された動作不良を表す識別コードを記憶する記憶手段と、前記動作不良が発生したときに、前記記憶手段が記憶する識別コードに対応した対策部品が有る場合には、前記対策部品への交換を促すメッセージを表示する表示手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記対策部品への交換を促すメッセージは、前記対策部品の品名、部品番号、導入時期、および納品までのリードタイムを含むメッセージであることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記動作不良が発生したときに、前記識別コードを外部へ送信する送信手段と、前記識別コードに対応した対策部品が有る場合に、外部から前記対策部品への交換を促すメッセージを受信する受信手段と、をさらに備えることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記対策部品に交換した場合には、前記送信手段は、前記対策部品に交換済みである旨のデータを外部へ送信することを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、画像形成装置の動作不良を表す識別コードを受信する受信手段と、前記受信手段で受信した識別コードに対応した対策部品のデータを記憶する記憶手段と、前記識別コードに対応した対策部品が有るか否かを診断する診断手段と、前記診断手段による診断結果のメッセージを前記画像形成装置に送信する送信手段と、を備えることを特徴とする外部診断装置である。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記記憶手段は、対策部品の交換履歴のデータをさらに記憶することを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記識別コードに対応した対策部品が有る場合には、前記診断手段は、前記対策部品に交換済みか否かを診断することを特徴とする。
【0012】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記対策部品に交換していない場合には、前記診断手段は、前記対策部品への交換を促すメッセージを処理することを特徴とする。
【0013】
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記対策部品に交換済みの場合には、前記診断手段は、他の原因を推定することを特徴とする。
【0014】
請求項10に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記対策部品に交換した場合には、前記記憶手段が記憶する対策部品の交換履歴のデータが更新されることを特徴とする。
【0015】
請求項11に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記記憶手段は、不揮発性記憶手段であることを特徴とする。
【0016】
請求項12に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記診断手段による診断結果のメッセージを表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする。
【0017】
請求項13に記載の発明は、記録媒体の取込から排出までの動作不良を検知する検知手段と、前記検知手段によって検知された動作不良を表す識別コードを記憶する記憶手段と、前記動作不良が発生したときに、前記記憶手段が記憶する識別コードを外部へ送信する送信手段と、前記識別コードに対応した対策部品が有る場合に、外部から前記対策部品への交換を促すメッセージを受信する受信手段と、前記受信手段で受信したメッセージを表示する表示手段とを備える画像形成装置と、前記画像形成装置の動作不良を表す識別コードを受信する受信手段と、前記受信手段で受信した識別コードに対応した対策部品のデータを記憶する記憶手段と、前記識別コードに対応した対策部品が有るか否かを診断する診断手段と、前記診断手段による診断結果のメッセージを前記画像形成装置に送信する送信手段とを備える外部診断装置と、から構成される画像形成装置の診断システムである。
【0018】
請求項14に記載の発明は、画像形成装置の動作不良を表す識別コードを受信する受信ステップと、前記受信ステップで受信した識別コードに対応した対策部品が有るか否かを診断する診断ステップと、前記診断ステップによる診断結果のメッセージを前記画像形成装置に送信する送信ステップと、を実行させるための診断プログラムである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の発明によれば、画像形成装置の動作不良に対する対策部品について、その情報伝達の漏れや遅れを改善することができる。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、現場のCEが、対策部品の導入時期および納品までのリードタイムを把握することができる。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、対策部品の情報を外部の一カ所に集約して、その管理を容易にすることができる。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、対策部品に交換したか否かを外部で診断することができる。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、対策部品の情報を外部の一カ所に集約して、その管理を容易にすることができると共に、対策部品の情報伝達の漏れや遅れを改善することができる。
【0024】
請求項6に記載の発明によれば、画像形成装置が対策部品に交換済みか否かを診断することができる。
【0025】
請求項7に記載の発明によれば、対策部品への交換が済んでいる場合には、他の原因を推定でき、対策部品への交換が済んでいない場合には、対策部品の交換を促すことができる。
【0026】
請求項8に記載の発明によれば、対策部品の情報伝達の漏れや遅れを改善することができる。
【0027】
請求項9に記載の発明によれば、現場のCEによる動作不良の原因解析に要する時間や画像形成装置のダウンタイムを削減することができる。
【0028】
請求項10に記載の発明によれば、画像形成装置が対策部品に交換済みか否かを診断することができる。
【0029】
請求項11に記載の発明によれば、外部診断装置の電源のONまたはOFFの前後において、対策部品のデータや対策部品の交換履歴データを維持することができる。
【0030】
請求項12に記載の発明によれば、遠隔地において、画像形成装置の動作不良の発生状況を把握し、事前に対策部品の手配を行うことができる。
【0031】
請求項13に記載の発明によれば、対策部品の情報を外部の一カ所に集約して、その管理を容易にすることができると共に、対策部品の情報伝達の漏れや遅れを改善することができる。
【0032】
請求項14に記載の発明によれば、画像形成装置の動作不良に対する対策部品について、その情報伝達の漏れや遅れを改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、最良の実施形態について図面を参照して説明する。
【0034】
(画像形成装置および外部診断装置の構成)
図1は、画像形成装置および外部診断装置のブロック図である。画像形成装置1の動作不良の原因を診断する診断システムは、画像形成装置1および外部診断装置2で構成される。画像形成装置1は、インターネット等の有線または無線によるネットワークを経由して、遠隔地に設置された外部診断装置2に接続する。画像形成装置1は、メカ構成、基板、電源、ハーネスおよびコネクタ等の搭載部品の異常によって紙詰まり等の動作不良が発生すると、動作不良を表す識別コード(Fault Code)を外部診断装置2に送信する。
【0035】
画像形成装置1は、動作不良を検知するセンサ等の検知手段3と、Fault Codeのデータを記憶する不揮発性記憶手段4と、動作不良が発生したときにFault Codeに対する診断結果のメッセージを表示する表示手段5と、Fault Codeを外部診断装置2に送信すると共に、診断結果を外部診断装置2から受信する送受信制御手段6と、画像形成装置1の制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)7と、制御プログラムの作業領域および各種データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)8と、制御プログラムに従って各手段を制御する制御手段9とを備えている。
【0036】
外部診断装置2は、汎用のコンピュータ等で構成する。外部診断装置2は、画像形成装置1からFault Codeを受信すると共に、Fault Codeに対応した原因の診断結果を画像形成装置1に送信する送受信制御手段10と、Fault Codeに基づいて動作不良の原因を診断する診断プログラムを格納するROM11と、診断プログラムを実行すると共に、各手段を制御する制御手段12と、診断プログラムの作業領域および各種データを一時的に格納するRAM13と、各種データを記憶する不揮発性記憶手段14と、診断結果を表示する表示手段15とを備えている。
【0037】
ROM11に記憶されている診断プログラムは、画像形成装置1とデータの送受信をやり取りする際に必要な送受信コマンドを解析するコマンド解析手段16と、受信した6桁のFault CodeがどのFaultに該当するのか否かを解析するFault Code解析手段17と、Fault Codeに基づいて動作不良の原因を診断する診断手段18と、診断手段18の診断結果を画像形成装置1に通知する診断結果通知手段19とを備えている。
【0038】
また、不揮発性記憶手段14は、Fault Codeに対応した対策パーツのデータと、画像形成装置1や他の画像形成装置における対策パーツの交換履歴データを記憶している。外部診断装置2の電源ONまたはOFFの前後において、当該対策パーツのデータや当該交換履歴データが消去されないように、不揮発性記憶手段14には、ハードディスク等の不揮発性の記憶手段が用いられる。
【0039】
図2は、画像形成装置の構成を説明する断面図である。画像形成装置1は、給紙トレイ20〜23、ナジャーロール24〜27、フィードロール28〜31、リタードロール32〜35、テイクアウェイロール36〜39、レジストクラッチ40、レジストロール41、感光体ドラム42〜45、1次転写ロール46〜49、転写ベルト50、2次転写ロール51、定着器52、排出ロール53等を備えている。
【0040】
給紙トレイ20〜23に積載された用紙等の記録媒体は、ナジャーロール24〜27によって把持され、フィードロール28〜31およびリタードロール32〜35によって1枚に分離されて、搬送路へ搬送される。テイクアウェイロール36〜39は、記録媒体をレジストロール41まで搬送し、レジストロール41は、記録媒体を一時的に停止させる。レジストクラッチ40は、記録媒体へトナー像を転写するタイミングを計って、レジストロール41を駆動する。
【0041】
一方、感光体ドラム42〜45の表面は、図示省略した帯電器によって、一様に帯電しており、画像データを光信号に変換したROS(Raser Output Scanner)によって露光される。これにより、その表面に静電潜像が形成される。静電潜像が形成された感光体ドラム42〜45の表面には、図示省略した現像器による現像バイアス電圧によって、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローのトナー像が形成される。
【0042】
感光体ドラム42〜45の表面に形成されたトナー像は、1次転写ロール46〜49によって転写ベルト50に転写される。転写ベルト50に転写されたトナー像は、2次転写ロール51によって記録媒体に転写される。記録媒体は、画像形成装置1の上方へ進み、記録媒体に転写されたトナー像は、定着器52で加熱加圧されて記録媒体に定着する。記録媒体は、排出ロール53によって画像形成装置1の外部に排出される。
【0043】
排出ロール53から排出された記録媒体は、後処理装置54に入る。後処理装置54は、記録媒体の束を針止めするステイプラーである。後処理装置54は、エントランスロール55、イクジットロール56、フロントタンパー57、リアタンパー58、コンパイルトレイ59、メインパドル60、ステイプラー61、イジェクトベルト62、サブパドル63、スタッカートレイ64、偏心カム65を備えている。
【0044】
後処理装置54に入った記録媒体は、エントランスロール55およびイクジットロール56によって搬送されて、コンパイルトレイ59に積載される。コンパイルトレイ59に積載された記録媒体は、メインパドル60およびサブパドル63によって下方へ運ばれ、記録媒体の搬送方向は、コンパイルトレイ59の下端部の支持壁によって揃えられる。また、記録媒体の幅方向は、フロントタンパー57およびリアタンパー58によって揃えられる。
【0045】
記録媒体が揃えられると、ステイプラー61によって針止めされる。針止めされた記録媒体は、イジェクトベルト62の回転によって、スタッカートレイ64に排出される。スタッカートレイ64の高さは、偏心カム65によって調整される。
【0046】
以上のような構成を備えた画像形成装置1は、動作不良を検知する検知手段3として、記録媒体の位置を検出するフィードアウトセンサ66〜69、レジセンサ70、ペーパーオンベルトセンサ71、イクジットセンサ72、エントランスセンサ73、およびコンパイルイクジットセンサ74等の多くの位置検出センサを備えている。
【0047】
また、イジェクトベルト62のホーム位置を検知するイジェクトホームセンサ75、後処理装置54のフロントカバーの開閉を検出するフロントカバーインターロックスイッチ76、後処理装置54のトップカバーの開閉を検出するトップカバーインターロックスイッチ77、フロントタンパー57のホーム位置を検出するフロントタンパーホームセンサ78、リアタンパー58のホーム位置を検出するリアタンパーホームセンサ79等も、動作不良を検知する手段として用いられる。
【0048】
以上のような検知手段3に基づいて画像形成装置1の動作不良が検知された場合、動作不良を表すFault Codeが外部記憶装置2に送信される。以下の表1に、Fault Codeの一例を示す。
【0049】
【表1】

【0050】
例えば、表1の151000のFault Codeは、コンパイルイクジットセンサ74がONになった後、規定時間内にコンパイルイクジットセンサ74がOFFにならない場合の動作不良を表す識別コードである。この動作不良の原因は、紙詰まりや、コンパイルイクジットセンサ74の異常や、ハーネスの短絡および断線が原因として考えられる。したがって、現場のCEは、詰まった紙の除去や、コンパイルイクジットセンサ74の交換、ハーネスの短絡および断線の確認、もしくは原因が不明の場合には、後処理装置54(Finisher)の交換といった処置を行う。
【0051】
しかしながら、151000のFault Codeに対して、対策パーツが供給されている場合がある。Fault Codeを受信した外部診断装置2は、不揮発性記憶手段14に記憶されている対策パーツのデータに基づき、対策パーツが供給されているか否かを診断する。以下の表2に対策パーツのデータの一例を示す。対策パーツは、画像形成装置1の動作不良が顕著に現れた場合に導入される。この際、表2に示すデータに対策パーツの情報が登録される。対策パーツの情報には、品名、部番、導入時期、納品までのリードタイム、および対策パーツの交換率が含まれる。
【0052】
【表2】

【0053】
外部診断装置2は、Fault Codeに対応した対策パーツが有ると、診断した場合には、不揮発性記憶手段14が記憶する対策パーツの交換履歴データに基づき、画像形成装置1が当該対策パーツに交換済みか否かを診断する(診断1次解析)。以下の表3に、対策パーツの交換履歴データの一例を示す。交換履歴データには、画像形成装置1や他の画像形成装置を識別するコード、機種名、交換済み対策パーツの品名、交換日等が含まれる。
【0054】
【表3】

【0055】
対策パーツに交換済みでない場合には、外部診断装置2は、対策パーツへの交換を指示する診断結果のメッセージを画像形成装置1に送信する。診断結果には、対策パーツの情報(品名、部品番号、導入時期、リードタイム、交換率等)が含まれる。また、Fault Codeに対応した対策パーツが複数ある場合には、診断結果には、未交換の対策パーツの情報が全て含まれる。この場合、未交換の対策パーツの情報は、交換率が高い順、導入時期順、リードタイム順などで整列される。
【0056】
一方、対策パーツに交換済みである場合には、外部診断装置2は、Fault Codeに対応した他の原因を推定する(診断2次解析)。診断2次解析は、FTA(Fault Tree Analysys)に基づいて行われる。FTAは、動作不良に対する原因を階層状(ツリー状)に網羅したものである。そして、動作不良が発生したときの画像形成装置1の状況(どのようなモードで印刷したか、環境温度や湿度など)に基づき、可能性の高い順に原因を推定する。
【0057】
例えば、上述した151000のFault Codeにおいて、対策パーツが交換済みである場合には、画像形成装置1の状況に基づき、ハーネスの短絡および断線が動作不良の原因として推定される。したがって、診断結果には、ハーネスの短絡および断線の可能性がある旨と、ハーネスの位置を指示するメッセージが含まれる。当該診断結果は、画像形成装置1に送信される。
【0058】
(画像形成装置および外部診断装置の動作)
図3は、対策パーツの交換通知処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートを実行する診断プログラムは、ROM11に記憶されており、制御手段12によって実行される。なお、この診断プログラムは、CDROM等の記録媒体に格納して提供することができる。
【0059】
まず、画像形成装置1で動作不良が発生すると、画像形成装置1は、動作不良を表すFault Codeを外部診断装置2に送信する(ステップS1)。外部診断装置2は、Fault Codeを受信すると(ステップS2)、Fault Codeの解析を行う(ステップS3)。そして、上記表2に示す対策パーツのデータを検索して、受信したFault Codeに対応した対策パーツが有るか否かを判定する(診断1次解析)(ステップS4)。
【0060】
次に、対策パーツの交換履歴データを検索して、画像形成装置1が当該対策パーツに交換済みか否かを判定する(ステップS5)。この際、当該対策パーツが複数ある場合には、全ての対策パーツについて交換済みか否かを判定する。
【0061】
対策パーツに交換済みでない場合には(ステップS5でNo)、対策パーツへの交換を指示するため(ステップS7)、診断結果のメッセージを処理する(ステップS8)。診断結果には、交換する対策パーツの情報(品名、部品番号、導入時期、リードタイム、交換率)が含まれる。また、交換済みでない対策パーツが複数ある場合には、診断結果には、未交換の対策パーツが全て含まれる。未交換の対策パーツは、交換率が高い順、導入時期順、リードタイム順などで整列される。
【0062】
一方、対策パーツに交換済みである場合には(ステップS5でYes)、Fault Codeに対応した他の原因を推定する(診断2次解析)(ステップS6)。上述したように、診断2次解析は、FTAに基づいて行われる。そして、動作不良が発生したときの画像形成装置1の状況(どのようなモードで印刷したか、環境温度や湿度など)に基づき、可能性の高い順に原因を推定する。
【0063】
外部診断装置2は、診断結果のメッセージを処理した後(ステップS8)、診断結果のメッセージを画像形成装置1に送信する(ステップS9)。画像形成装置1は、診断結果のメッセージを受信し(ステップS10)、表示手段5に診断結果のメッセージを表示する(ステップS11)。現場のCEは、診断結果のメッセージに基づき、対策パーツの交換指示があった場合には、対策パーツに交換する(ステップS12)。
【0064】
CEが対策パーツに交換すると、画像形成装置1は、対策パーツが交換済みである旨のデータを外部診断装置2に送信する(ステップS13)。外部診断装置2は、対策パーツが交換済みである旨のデータを受信し(ステップS14)、対策パーツの交換履歴データを更新する(ステップS15)。これにより、画像形成装置1が対策パーツに交換済みか否かを判定することができる。
【0065】
(本実施形態の優位性)
本実施形態によれば、画像形成装置1の動作不良に対する対策パーツの情報が、ネットワークを経由して、外部診断装置2から画像形成装置1に自動的に伝達されるため、対策パーツの情報伝達の漏れや遅れが解消される。
【0066】
また、外部診断装置2が設置される保守センターにおいて、画像形成装置1の動作不良の発生状況を随時把握できるため、事前に対策パーツの手配を行うことが可能である。
【0067】
この結果、CEによる動作不良の原因解析に要する時間や画像形成装置1のダウンタイムの削減が可能となる。さらに、CEの作業精度の向上および効率化が促進され、顧客満足度の向上につながる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、およびこれらの複合機等の画像形成装置と、画像形成装置の動作不良の原因を診断する外部診断装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】画像形成装置および外部診断装置のブロック図である。
【図2】画像形成装置の構成を説明する断面図である。
【図3】対策パーツの交換通知処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
1…画像形成装置、2…外部診断装置、3…検知手段、4…不揮発性記憶手段、5…表示手段、6…送受信制御手段、7…ROM、8…RAM、9…制御手段、10…送受信制御手段、11…ROM、12…制御手段、13…RAM、14…不揮発性記憶手段、15…表示手段、16…コマンド解析手段、17…Fault Code解析手段、18…診断手段、19…診断結果通知手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の取込から排出までの動作不良を検知する検知手段と、
前記検知手段によって検知された動作不良を表す識別コードを記憶する記憶手段と、
前記動作不良が発生したときに、前記記憶手段が記憶する識別コードに対応した対策部品が有る場合には、前記対策部品への交換を促すメッセージを表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記対策部品への交換を促すメッセージは、前記対策部品の品名、部品番号、導入時期、および納品までのリードタイムを含むメッセージであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記動作不良が発生したときに、前記識別コードを外部へ送信する送信手段と、
前記識別コードに対応した対策部品が有る場合に、外部から前記対策部品への交換を促すメッセージを受信する受信手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記対策部品に交換した場合には、前記送信手段は、前記対策部品に交換済みである旨のデータを外部へ送信することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成装置の動作不良を表す識別コードを受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した識別コードに対応した対策部品のデータを記憶する記憶手段と、
前記識別コードに対応した対策部品が有るか否かを診断する診断手段と、
前記診断手段による診断結果のメッセージを前記画像形成装置に送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする外部診断装置。
【請求項6】
前記記憶手段は、対策部品の交換履歴のデータをさらに記憶することを特徴とする請求項5に記載の外部診断装置。
【請求項7】
前記識別コードに対応した対策部品が有る場合には、前記診断手段は、前記対策部品に交換済みか否かを診断することを特徴とする請求項6に記載の外部診断装置。
【請求項8】
前記対策部品に交換していない場合には、前記診断手段は、前記対策部品への交換を促すメッセージを処理することを特徴とする請求項7に記載の外部診断装置。
【請求項9】
前記対策部品に交換済みの場合には、前記診断手段は、他の原因を推定することを特徴とする請求項7に記載の外部診断装置。
【請求項10】
前記対策部品に交換した場合には、前記記憶手段が記憶する対策部品の交換履歴のデータが更新されることを特徴とする請求項6に記載の外部診断装置。
【請求項11】
前記記憶手段は、不揮発性記憶手段であることを特徴とする請求項5に記載の外部診断装置。
【請求項12】
前記診断手段による診断結果のメッセージを表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の外部診断装置。
【請求項13】
記録媒体の取込から排出までの動作不良を検知する検知手段と、
前記検知手段によって検知された動作不良を表す識別コードを記憶する記憶手段と、
前記動作不良が発生したときに、前記記憶手段が記憶する識別コードを外部へ送信する送信手段と、
前記識別コードに対応した対策部品が有る場合に、外部から前記対策部品への交換を促すメッセージを受信する受信手段と、前記受信手段で受信したメッセージを表示する表示手段とを備える画像形成装置と、
前記画像形成装置の動作不良を表す識別コードを受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した識別コードに対応した対策部品のデータを記憶する記憶手段と、
前記識別コードに対応した対策部品が有るか否かを診断する診断手段と、
前記診断手段による診断結果のメッセージを前記画像形成装置に送信する送信手段とを備える外部診断装置と、から構成される画像形成装置の診断システム。
【請求項14】
画像形成装置の動作不良を表す識別コードを受信する受信ステップと、
前記受信ステップで受信した識別コードに対応した対策部品が有るか否かを診断する診断ステップと、
前記診断ステップによる診断結果のメッセージを前記画像形成装置に送信する送信ステップと、を実行させるための診断プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−152250(P2010−152250A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332791(P2008−332791)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】