説明

画像形成装置、情報送信方法、プログラム

【課題】プラットフォームのソフトウェア構成の変更を抑制し、ユーザの操作性を低下させることなく状態通報の漏れをなくすことができる画像形成装置等を提供すること。
【解決手段】機器の状態を知らせる情報を外部に送信する画像形成装置100であって、機器の状態を検出する機器状態検出手段71と、機器の状態に応じて状態通報情報を生成する状態通報生成手段72と、状態通報情報を外部に送信する通信手段61,62と、前記通信手段の起動完了よりも早いタイミングで起動が完了し、前記通信手段の状態を管理する状態管理手段77と、前記状態管理手段の起動が完了してから前記通信手段が起動完了するまでの間、前記通信手段が一時停止状態であると推定し、前記状態通報情報を一時的に記憶する一次記憶手段74と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部に機器の状態を知らせる情報を送信する画像形成装置等に関し、特に、通信のソフトウェアをオプションパッケージとして扱う画像形成装置、情報送信方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(Multifunction Peripheral)をサービスセンタと接続し、サービスセンタがMFPの状態を検知することでMFPの状態を管理するMFP管理システムが知られている。MFPは、紙切れやトナー切れなどの状態をサービスセンタに送信し、また、サービスセンタからもMFPに状態を問い合わせることができるので、迅速かつ適切なサービスが可能となる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1には、遠隔通報データを各画像形成装置別に蓄積する蓄積手段と、蓄積された遠隔通報データを解析する解析手段と、該手段による解析結果に基づいて遠隔通報データ受信手段によって受信された遠隔通報データを送信した画像形成装置の異常内容を判断する異常内容判断手段と、該手段によって判断された異常内容に対応する処置を行なう異常処置手段と、該手段によって行なわれた処置方法を蓄積する処置方法蓄積手段と、上記解析結果に基づいて各画像形成装置毎の特性を照合して段階的に故障の予知を行なう故障予知手段と、該手段より得られた予知のレベルに対応する遠隔通報データあるいは上記処置方法の履歴レポートを作成する履歴レポート作成手段と、を有するサービスセンタが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のMFP管理システムでは、MFPの状態を通知する状態通報にいくつかの制約が生じていた。
【0005】
例えば、状態通報をサービスセンタに送信するソフトウェア(以下、通報クライアントという)はオプションパッケージとして扱われるが、通報クライアントと印刷等を制御するプラットフォームを実現するソフトウェアは別々に起動される。このため、プラットフォームが起動した後は状態を通知する状況が生じうるが、通報クライアントが起動完了していないと、通報漏れが発生するという問題がある。これを防ぐため、通報クライアントの起動が完了するまでプラットフォームの起動が完了しないように設計すると、印刷が可能になるまでの起動時間が長くなってしまい、ユーザの利便性を阻害する。
【0006】
ここで、プラットフォームが通報クライアントの状態を管理することで、先にプラットフォームが起動しても、通報クライアントの起動が完了するまで、状態通報をキャッシュすることが可能になる。
【0007】
しかし、オプションパッケージとして提供されるのは通報クライアントだけではないという事情がある。通報クライアントは、オプションパッケージとして提供される他のソフトウェアと異なり、ほぼ唯一、有効状態/無効状態/一時停止状態の3つの状態を取るという特殊性がある。例えば、通報クライアントが無効状態又は一時停止状態の場合、プラットフォームが状態通報を要求しても、通報クライアントは状態通報をサービスセンタに送信しない。
【0008】
このため、プラットフォームが通報クライアントの状態を管理して、有効状態であることが確認できた場合に、通報クライアントに状態通報を要求することになる。上記のように3つの状態を取るのは通報クライアントだけなので、通報クライアントの状態を確認する処理は、通報クライアントに対してのみ必要になる。しかし、オプションパッケージとして提供される複数のソフトウェアに共通の処理を施すプラットフォームに、通報クライアントに固有の処理を追加することは好ましくない。
【0009】
また、プラットフォームから通報クライアントに状態を問い合わせるためには、言語仕様の問題を解決する必要がある。プラットフォームや通報クライアントの記述にプログラミング言語としてJava(登録商標)言語を用いた場合、コンパイルが必要であるが、プラットフォームのコンパイル時に、コンパイル時に存在しない通報クライアントのライブラリへの参照が発生する。このため、プラットフォームのコンパイルが失敗してしまう。プラットフォームのコンパイル時に通報クライアントのライブラリを用意することも不可能ではないが、開発環境の再構築が必要になり容易ではない。このように、プラットフォームから通報クライアントへ状態を問い合わせる仕組みは、ソフトウェアの実装やプログラミング言語の制約上難しい。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑み、プラットフォームのソフトウェア構成の変更を抑制し、ユーザの操作性を低下させることなく状態通報の漏れをなくすことができる画像形成装置、情報送信方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題に鑑み、本発明は、機器の状態を知らせる情報を外部に送信する画像形成装置であって、機器の状態を検出する機器状態検出手段と、機器の状態に応じて状態通報情報を生成する状態通報生成手段と、前記状態通報情報を外部に送信する通信手段と、前記通信手段の起動完了よりも早いタイミングで起動が完了し、前記通信手段の状態を管理する状態管理手段と、前記状態管理手段の起動が完了してから前記通信手段が起動完了するまでの間、前記通信手段が一時停止状態であると推定し、前記状態通報情報を一時的に記憶する一次記憶手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
プラットフォームのソフトウェア構成の変更を抑制し、ユーザの操作性を低下させることなく状態通報の漏れをなくすことができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】MFPの特徴を説明するフローチャート図の一例である。
【図2】MFP管理システムのシステム構成図の一例である。
【図3】MFPのハードウェア構成図の一例である。
【図4】サービスセンタのハードウェア構成図の一例を示す図である。
【図5】MFPの全体構成図の一例である。
【図6】オプションパッケージに含まれる通報クライアントを説明する図の一例である。
【図7】通報クライアントの3つの状態の状態遷移図の一例である。
【図8】各コンポーネントの機能ブロック図の一例である。
【図9】キャッシュ手段と破棄手段を使い分けを説明するフローチャート図の一例である。
【図10】MFP管理システムの動作手順を示すシーケンス図の一例である。
【図11】MFP管理システムの動作手順を示すシーケンス図の一例である。
【図12】MFP管理システムの動作手順を示すシーケンス図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。まず、本実施形態のMFP(Multifunction Peripheral)の特徴について説明する。
(1)プラットフォームは、通報クライアントからの状態の受信を通報の開始条件とし、通報クライアントの起動が完了するまで(有効状態になるまで)、必要な状態通報を内部でキャッシュする。これにより、状態通報を漏らさずにサービスセンタに送信することができる。
【0015】
また、通報クライアントよりも先にプラットフォームを起動させるので、MFPは早期に印刷可能状態になり、ユーザから見た機器の起動時間を短縮することができる。
【0016】
また、プラットフォームが通報クライアントから状態を受信することは、プラットフォームから通報クライアントのソフトウェア(オプションパッケージ)への依存を発生させないので、ソフトウェアの実装やプログラミング言語の制約を受けることがない。
(2)プラットフォームの起動後、一定時間内に通報クライアントが有効状態にならなかった場合、プラットフォームは状態通報が不可能であることを、通報クライアントを利用せずに簡易的にサービスセンタに通知する。
【0017】
こうすることで、プラットフォームが受動的に通報クライアントから状態の通知を受ける状況が生じても、サービスセンタに通報できない状態が継続することを防止できる。
(3)通報クライアントにいくつかの種類がある場合に、プラットフォーム(ここでは後述の機器管理アクティビティ)は、通報クライアントの種類によらず状態のみを受信する。これにより、機器管理アクティビティは、通報クライアントの種類を区別せずに、複数の異なる種類の通報クライアントに共通のプログラムを利用して状態通報をサービスセンタに送信することができる。
【0018】
図1は、本実施形態のMFPの特徴を説明するフローチャート図の一例である。図1の手順は、MFPの主電源がオンになるとスタートする。
【0019】
まず、プラットフォームが起動完了する(S1)。これにより、MFPは印刷可能になる。
【0020】
次に、プラットフォームの起動完了よりも必ず後に、通報クライアントの起動が完了する。このため、プラットフォームは、通報クライアントの起動完了を意味する有効通知を取得したか否かを判定することができる(S2)。
【0021】
有効通知を取得していない場合(S2のNo)、次に、プラットフォームは起動完了から所定時間が経過したか否かを判定する(S3)。
【0022】
起動完了から所定時間が経過していない場合(S3のNo)、プラットフォームが状態通報すべき状態を検出するとプラットフォームは状態通報をキャッシュする(S4)。これにより、状態通報を漏らさずにサービスセンタに送信することができる。
【0023】
有効通知を取得した場合(S2のYes)、プラットフォームはキャッシュしていた状態通報をサービスセンタに送信する(S5)。なお、キャッシュせずに状態通報をサービスセンタに送信することもある。
【0024】
また、有効通知を取得することなく(S2のNo)、起動完了から所定時間が経過した場合(S3のYes)、プラットフォームは簡易状態通報をサービスセンタに送信する(S6)。これにより、プラットフォームがサービスセンタに通報できない状態が継続することを防止できる。
【0025】
図2は、MFP管理システム500のシステム構成図の一例を示す。2台のMFP(区別する場合、MFP_A、MFP_Bという。)100及び仲介機器200がLANに接続されている。また、MFP_A及び仲介機器200は、インターネットを介してサービスセンタ300に接続されている。
【0026】
この図に示すように、MFP_Aは仲介機器200を介さずにサービスセンタ300に状態通報を送信することが可能であるが、MFP_Bは仲介機器200を介してサービスセンタ300に状態通報を送信する。この違いは、MFP100のサイズ、価格又は設置場所などに起因するものであり、本実施形態のMFP管理システム500の特徴に直接の影響は与えない。
【0027】
しかし、サービスセンタ300にインターネットを介して接続するMFP_Aと、仲介機器200に接続するMFP_Bとでは、実装する通報クライアントに違いが生じる。本実施例では、MFP_Aが実装する通報クライアントを外部通報仲介通報クライアントと、MFP_Bが実装する通報クライアントをWebService通報クライアントと、称する。区別しない場合は、これまで通り通報クライアントと称する。
【0028】
ところで、外部通報仲介通報クライアントとWebService通報クライアントはソフトウェアなので、両方を1つのMFP100に実装することもできる。この場合、MFP100が、MFP_AとMFP_Bのどちらの形態でインターネットに接続しても、MFP100がサービスセンタ300に状態通報を送信できるので、MFP100の設置場所などの制約が少なくなる。1つのMFP100に複数の通報クライアントを実装した場合の通報クライアントの切換については後述する。
【0029】
なお、図2ではMFP_Aと仲介機器200がLANとインターネットに別々に接続しているように図示したが、実際には、LANを介してインターネットに接続する形態を採用することが多い。
【0030】
図3は、MFP100のハードウェア構成図の一例を示す。MFP100は、コントローラ30と、オペレーションパネル25と、ファクシミリコントロールユニット(FCU)26と、撮像部27及び印刷部28が有する。
【0031】
コントローラ30は、CPU14と、ASIC16と、NB(ノースブリッジ)15と、SB(サウスブリッジ)17と、MEM−P(システムメモリ)11と、MEM−C(ローカルメモリ)12と、HDD(ハードディスクドライブ)13と、メモリカードスロット23と、NIC(ネットワークインタフェースコントローラ)18と、USBデバイス19と、IEEE1394デバイス21と、セントロニクスデバイス22とを有する。
【0032】
CPU14は、種々の情報処理を実行するためのICであり、アプリケーションプログラムやプラットフォーム、オプションパッケージをUNIX(登録商標)等のOSによりプロセス単位で並列的に実行する。ASIC16は、画像処理用のICである。NB15は、CPU14とASIC16を接続するためのブリッジである。SB17は、NB15と周辺機器等を接続するためのブリッジである。ASIC16とNB15は、AGP(Accelerated Graphics Port)を介して接続されている。
【0033】
MEM−P11は、NB15に接続されたメモリである。MEM−C12は、ASIC16に接続されたメモリである。HDD13は、ASIC16に接続されたストレージであり、画像データ蓄積・文書データ蓄積・プログラム蓄積・フォントデータ蓄積・フォームデータ蓄積等を行うために使用される。プログラムには、アプリケーションプログラム(図示略)、後述する各種のコンポーネントのコンポーネントプログラム31及びオプションプログラム(オプションパッケージに対応する)32等がある。
【0034】
メモリカードスロット23は、SB17に接続され、メモリカード24をセット(挿入)するために使用される。メモリカード24は、USBメモリ等のフラッシュメモリであり、コンポーネントプログラム31及びオプションプログラム32を配布するために使用される。また、コンポーネントプログラム31及びオプションプログラム32は所定のサーバからMFP100にダウンロードして配布することもできる。
【0035】
NIC18は、ネットワーク等を介してMACアドレス等を使用したデータ通信を行うためのコントローラである。USBデバイス19は、USB規格に準拠したシリアルポートを提供するためのデバイスである。IEEE1394デバイス21は、IEEE1394規格に準拠したシリアルポートを提供するためのデバイスである。セントロニクスデバイス22は、セントロニクス仕様に準拠したパラレルポートを提供するためのデバイスである。NIC18と、USBデバイス19と、IEEE1394デバイス21と、セントロニクスデバイス22と、PCI(Peripheral Component Interconect)バスを介してNB15とSB17に接続されている。
【0036】
オペレーションパネル25は、ユーザがMFP100に入力を行うためのハードウェア(操作部)であると共に、MFP100がオペレータに可視情報を提供するためのハードウェア(表示部)である。オペレーションパネル25は、ASIC16に接続されている。FCU26と、撮像部27と、印刷部28は、PCI(Peripheral Component Interconect)バスを介してASIC16に接続されている。
【0037】
図4は、サービスセンタ300のハードウェア構成図の一例を示す図である。サービスセンタ300は、コンピュータを実体とするサーバである。サービスセンタ300は、それぞれバスで相互に接続されているCPU101、RAM102、ROM103、記憶媒体装着部104、通信装置105、入力装置106、表示制御部107及び記憶装置108を有する。CPU101は、OS、サーバアプリケーション、通報処理プログラム110を記憶装置108から読み出して、RAM102を作業メモリにして実行する。
【0038】
通報処理プログラム110は、MFP100から状態通報を受信した場合、状態通報の内容に応じて、CE(カスタマーエンジニア)を派遣したり、消耗品を発送するなどの処理を行う。RAM102は必要なデータを一時保管する作業メモリ(主記憶メモリ)になり、ROM103にはBIOSや初期設定されたデータ、プログラムが記憶されている。
【0039】
記憶媒体装着部104はUSBケーブル等のケーブルや、可搬型の記憶媒体111を装着するインタフェースである。
【0040】
通信装置105は、LANカードやイーサネット(登録商標)カードと呼ばれ、CPU101からの指示によりMPF100にパケットデータを送信し、MFP100から状態通報を受信する。入力装置106は、キーボード、マウスなど、ユーザの様々な操作指示を受け付けるユーザインターフェイスである。タッチパネルや音声入力装置を入力装置とすることもできる。表示制御部107は、通報処理プログラム110が指示する画面情報に基づき所定の解像度や色数等でディスプレイ109の描画を制御する。ディスプレイ109は、液晶や有機ELなどのFPD(Flat Panel Display)である。
【0041】
記憶装置108は、HDDやフラッシュメモリなどの不揮発メモリを実体とし、OS、サーバアプリケーション、及び、通報処理プログラム110を記憶している。
【0042】
記憶媒体111は、例えば、SDカードやUSBメモリなど不揮発性のメモリである。サーバアプリケーションや通報処理プログラム110は、記憶媒体111に記録された状態又は不図示のサーバからダウンロードされる態様で配布される。
【0043】
なお、仲介機器200は、PC(PersonalComputer)等のコンピュータを実体とする。仲介機器200のハードウェア構成図はサービスセンタ300と同様なので省略する。
【0044】
図5は、MFP100の全体構成図の一例を示す。MFP100は、上層から、オペレーションパネル25、アプリケーション41及びエンジン42を有する。また、アプリケーション41はプラットフォーム43とオプションパッケージ44を有する。
【0045】
アプリケーション41について詳細は省略したが、コピー用のアプリケーション41であるコピーアプリと、プリンタ用のアプリケーション41であるプリンタアプリと、スキャナ用のアプリケーション41であるスキャナアプリと、ファクシミリ用のアプリケーション41であるファクシミリアプリと、ネットワークファイル用のアプリケーション41であるネットワークファイルアプリ等がある。アプリケーション41は、このように、MFP100の各機能に固有な情報処理を実行するためのソフトウェアである。
【0046】
プラットフォーム43は、各アプリケーション41から共通に利用されるソフトウェアである。本実施形態のMFP100は、「パイプ&フィルタアーキテクチャ」を採用しており、ジョブの処理手段である「フィルタ」と、フィルタ間を接続する「パイプ」とを組み合わせ、ジョブを実行する。フィルタには、「入力フィルタ」、「加工フィルタ」、及び、「出力フィルタ」があり、これらは数あるソフトウェア部品の1つである。
【0047】
このようなソフトウェア部品を本実施例では「コンポーネント」と称する。コンポーネントには、この他、プラグイン管理コンポーネント(以下、プラグイン管理CMPという)51、アクティビティコンポーネント、及び、機器状態外部通報コンポーネント(以下、機器状態外部通報CMPという)53等がある。
【0048】
プラグイン管理CMP51は、MFP100へのコンポーネント及びオプションパッケージ44のインストール/アンインストールを監視し、各コンポーネントと各オプションパッケージ44の状態を管理する。
【0049】
アクティビティコンポーネントは、上記各フィルタコンポーネントとパイプとの連携を制御するコンポーネントである。アクティビティコンポーネントは、ジョブや内部的な処理に必要なコンポーネントを組み合わせて、MFP100の機能を提供する。このアクティビティコンポーネントの1つに機器管理アクティビティコンポーネント(以下、機器管理アクティビティという。)52があり、機器管理アクティビティ52は各コンポーネントを利用して、MFP100からサービスセンタ300に状態通報する。
【0050】
機器状態外部通報CMP53は、オプションパッケージ44の通報クライアントに状態通報を要求する。機器状態外部通報CMP53は、インストールされているオプションパッケージ44の種類、オプションパッケージ44に含まれる通報クライアントの状態を管理している。また、複数の通報クライアントがインストールされている場合、通報クライアントを使い分ける。
【0051】
プラットフォーム内のコンポーネントが標準的に全てのMFP100にインストールされているのに対し、オプションパッケージ44はMFP毎に選択的にインストールされる。選択的とすることで、状態通報をサービスセンタ300に送信する機器管理を望まないユーザにコスト負担を強いることを防止できる。有料か無償かは技術的要請ではなく販売形態に過ぎないため、オプションパッケージ44は無償で全て又は一部のMFP100にインストールされてもよい。
【0052】
オプションパッケージ44がインストールされた場合、プラグイン管理CMP51は、インストールされたオプションパッケージ44の識別情報を記憶し、以後、オプションパッケージ44の情報を管理する。オプションパッケージ44の情報とは、取り付け(インストール)、取り外し(アンインストール)、有効、無効等である。ここでオプションパッケージ44の「有効」は、利用可能であることを(通報クライアントを含むオプションパッケージ44の場合は、状態通報の送信が可能であることを)意味し、「無効」は利用できないことを(通報クライアントを含むオプションパッケージ44の場合は、状態通報の送信が禁止されていることを)意味する。「無効」状態を設けることで、ユーザが利用を希望した場合に、インストールすることなく、例えばCEやサービスセンタ300が有効状態に切り替えるだけでオプションパッケージ44を使用することが可能になる。
【0053】
本実施形態のオプションパッケージ44は、WebServiceパッケージ54又は外部通報仲介パッケージ55である。MFP100が仲介機器200を介して通信する形態の場合は外部通報仲介パッケージ55が、MFP100が仲介機器200を介さず通信する形態の場合はWebServiceパッケージ54が、MFP100にインストールされる。しかし、両方のオプションパッケージ44がインストールされることも少なくない。インストールするオプションパッケージ44の選別は、ユーザやCEが適宜行う。
【0054】
また、エンジン42としては、画像形成するプロッタエンジン(図3の印刷部28に相当)、原稿を読み取るスキャナエンジン(図3の撮像部27に相当)、及び、FAXエンジン(図3のFCU26に相当)等がある。
【0055】
図6は、オプションパッケージ44に含まれる通報クライアントを説明する図の一例である。図示するように、WebServiceパッケージ54はWebService通報クライアント61を、外部通報仲介パッケージ55は外部通報仲介通報クライアント62を、それぞれ有する。外部通報仲介通報クライアント62は、IPネットワークを超えてサービスセンタ300と通信するため、状態通報には必ずサービスセンタ300のIPアドレスを添付し、また、IPネットワークのプロトコルであるTCP/IPのプロトコルスタックを備える。これに対し、WebService通報クライアント61は、LAN内で仲介機器200と通信すればよいので状態通報にはサービスセンタ300のIPアドレスを添付する必要はなく仲介機器200のIPアドレスとMACアドレスを添付する。また、TCP/IPのプロトコルスタックを備える必要はない。このため、仲介機器200には少なくともサービスセンタ300のIPアドレスが登録されており、また、仲介機器200はTCP/IPのプロトコルスタックを有する。
【0056】
これら通報クライアントは、オプションパッケージ44の有効/無効とは独立に、「有効状態/無効状態/一時停止状態」の3つの状態を取ることができる。ただし、オプションパッケージ44が無効状態の場合、通報クライアントも無効状態である。
【0057】
図7は、通報クライアントの3つの状態の状態遷移図の一例である。オプションパッケージ44が有効状態の場合、通報クライアントは、有効状態から無効状態又は一時停止状態に遷移することができ、無効状態から有効状態又は一時停止状態に遷移することができ、一時停止状態から無効状態又は有効状態に遷移することができる。
【0058】
通報クライアントの3つの状態は、外的な操作により互いに遷移する。例えば、ユーザやCEがオペレーションパネル25を操作して通報クライアントを有効状態から無効状態又は一時停止状態に、無効状態から有効状態又は一時停止状態に、一時停止状態から無効状態又は有効状態に、それぞれ切り替えることができる。または、サービスセンタ300がMFP100と通信して(例えば、一時的に通報クライアントを有効にして)、3つの状態を切り替えることができるとしてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、外的な操作に拘わらず、通報クライアントの起動開始から起動完了までを一時停止状態として扱う。通報クライアントの起動が完了すると、通報クライアントは外的な操作なく、一時停止状態から有効状態又は無効状態に遷移する。有効状態又は無効状態のどちらに遷移するかは、通報クライアントの停止直前(MFP100の停止直前)の状態に依存する。
【0060】
通報クライアントの3つの状態の遷移は、このように、他のコンポーネントに依存することなく、オプションパッケージ44内の処理として完結する。オプションパッケージ44は、通報クライアント毎に、通報クライアントが3つの状態のうち現在いずれの状態かをフラグなどで管理している。
【0061】
オプションパッケージ44は、また、禁則情報を有する。禁則情報は、3つの状態の遷移の禁則を定める規則である。禁則情報により、例えば、有効状態から直接、無効状態に遷移することを禁止して、一時停止状態を経るように規定することができる。本実施形態では、2つ以上の通報クライアントがインストールされた場合の禁則情報が登録されている。
【0062】
2つ以上の通報クライアントがインストールされた場合、機器状態外部通報CMP53が、どの通報クライアントを通信に使用すべきか決定する必要が生じてしまう。そこで、オプションパッケージ44は、2つ以上の通報クライアントがインストールされた場合、いずれか1つの通報クライアントのみに有効状態を認める禁則情報を有する。他方の通報クライアントは無効状態となる。禁則情報は、ユーザやCE又はサービスセンタ300が設定することができる。
【0063】
オプションパッケージ44は、後述するように、各通報クライアントの状態を機器状態外部通報CMP53に通知する。これにより、プラットフォーム43の各コンポーネントは、各通報クライアントの状態を共有することが可能になり、次のように動作することが可能になる。
通報クライアントが有効状態:機器管理アクティビティ52は状態通報の送信を通報クライアントに要求する。
通報クライアントが無効状態:機器管理アクティビティ52は状態通報を破棄する。
通報クライアントが一時停止状態:機器管理アクティビティ52は状態通報をHDD13等にキャッシュしておき、通報クライアントが有効状態になると、状態通報の送信を通報クライアントに要求する。
【0064】
通報クライアントが一時停止状態の場合に、機器管理アクティビティ52が状態通報をキャッシュすることにより、MFP100は状態通報を漏らさずにサービスセンタ300に送信することができる。また、機器管理アクティビティ52は通報クライアントに状態を問い合わせることがないので、ソフトウェアの実装やプログラミング言語の制約を受けることがない。
【0065】
図8は、各コンポーネントの機能ブロック図の一例である。プラグイン管理CMP51は、状態検出手段71と状態通報生成手段72を有し、機器管理アクティビティ52は状態保持制御手段73、キャッシュ手段74、破棄手段75及び簡易通報手段76を有し、機器状態外部通報CMP53は、状態管理手段77と振り分け手段79を有する。
【0066】
まず、状態検出手段71は、MFP100の各部位に備えられたセンサが検出する信号を監視して、MFP100の状態を検出する。この状態には、例えば、用紙切れ、トナー切れ、用紙ジャム、ADF(Auto Document Feeder)のオープン、ドアのオープン等、種々の状態が含まれる。状態通報生成手段72は、状態検出手段71が検出した状態に基づき、サービスセンタ300に通報すべきとして定められた状態を通報する状態通報を生成する。
【0067】
状態通報は、例えば、状態を示すコード、日時情報、MFP100のシリアル番号、ユーザ名、MFP100の各部位の状態、トナー残量、用紙残量等が含まれる。状態通報生成手段72は、状態通報の送信を機器管理アクティビティ52に要求する。状態通報の一部は、通報クライアントがMFP100の各コンポーネントに問い合わせて生成するが、本実施例では、状態通報生成手段72が生成するとした。
【0068】
機器管理アクティビティ52の状態保持制御手段73は、通報クライアントの状態を保持し、機器管理アクティビティ52の動作を制御する。状態保持制御手段73は、状態管理手段77が管理する状態の通知を取得し単に状態を保持すればよい。状態保持制御手段73は、通報クライアントの種類を意識しないので、有効状態の通報クライアントがあれば状態通報の送信を機器状態外部通報CMP53に要求する。
【0069】
状態保持制御手段73は、通報クライアントの状態に基づき、キャッシュ手段74と破棄手段75を使い分ける。また、状況によっては、状態保持制御手段73は、簡易通報手段76に簡易通報を要求する。
【0070】
図9は、キャッシュ手段74、破棄手段75及び簡易通報状態76を使い分けを説明するフローチャート図の一例である。図9の手順は、機器管理アクティビティ52が状態通報を取得するとスタートする。
【0071】
まず、状態保持制御手段73は、機器状態外部通報CMP53から有効状態の通知を取得したか否かを判定する(S10)。有効な通報クライアントがある場合、それは1つしかないので、有効な通報クライアントがある場合(S10のYes)、状態保持制御手段73は状態通報を送信すると判定する(S20)。
【0072】
有効な通報クライアントがない場合(S10のNo)、一時停止状態の通報クライアントか無効状態の通報クライアントが存在する可能性があるので、状態保持制御手段73は機器状態外部通報CMP53から一時停止状態の通知を取得したか否かを判定する(S30)。この場合、複数の通報クライアントが一時停止状態の場合があるが、有効状態になるのは1つだけなので、複数あるか否かは考慮しなくてよい。
【0073】
一時停止状態の通報クライアントがある場合(S30のYes)、通報クライアントが有効状態になったら通報クライアントに送信を要求できるので、状態保持制御手段73はキャッシュ手段74に状態通報のキャッシュを要求すると判定する(S40)。よって、キャッシュ手段74は、HDD13等に状態通報をキャシュする(記憶する)。
【0074】
一時停止状態の通報クライアントがない場合(S30のNo)、状態保持制御手段73は機器状態外部通報CMP53から無効状態の通知を取得したか否かを判定する(S50)。
【0075】
無効状態の通報クライアントがある場合(S50のYes)、その通報クライアントが仮に有効状態になっても状態通報を送信する必要はないので、状態保持制御手段73は破棄手段75に状態通報の破棄を要求すると判定する(S60)。よって、破棄手段75は、状態通報を破棄する(HDD13等から消去する)。
【0076】
無効状態の通報クライアントがない場合(S30のNo)、機器状態外部通報CMP53からなんら通知がないことになるので、状態保持制御手段73はプラットフォーム43の起動完了から所定時間が経過したか否かを判定する(S70)。所定時間が経過するまでは(S70のNo)、状態通報を破棄できないので、所定時間の経過までステップS10、S30、S50の判定を繰り返す。なお、プラットフォーム43の起動完了は、機器管理アクティビティ52又は機器状態外部通報CMP53の少なくとも一方の記号が完了したことをいう。
【0077】
所定時間が経過した場合(S70のYes)、状態保持制御手段73は簡易通報手段76に簡易状態通報を送信するよう要求する(S80)。よって、簡易通報手段76は、簡易状態通報を生成してサービスセンタ300に送信する。
【0078】
簡易状態通報は、状態通報と比べて情報量が少ない。通報クライアントは、プラグイン管理CMP51の状態通報生成手段72が生成した状態通報に、MFP100の各コンポーネントに問い合わせた結果を含め各種の情報を追加できるが、通報クライアントが有効状態でないので、簡易状態通報は、最小限の情報のみを含む。例えば、状態通報が「状態を示すコード、日時情報、MFP100のシリアル番号、ユーザ名、各部位の状態、トナー残量、用紙残量」であれば、簡易状態通報は「状態を示すコード、日時情報、MFP100のシリアル番号、ユーザ名」だけである。
【0079】
図8に戻り、機器状態外部通報CMP53の状態管理手段77は、オプションパッケージ44から通知される通報クライアントの状態を管理する。状態管理手段77は、通報クライアント毎に、有効状態/無効状態/一時停止状態の区別を状態テーブル78に登録しておく。必ずしも通報クライアント毎である必要はない。
【0080】
なお、状態管理手段77は、MFP100の主電源がオフされる直前の通報クライアントの状態が「有効状態」又は「一時停止状態」の場合、MFP100の主電源オン(例えば機器状態外部通報CMP53の起動が完了してから)から、通報クライアントから状態(こちらも有効状態か一時停止状態のどちらかである)を通知されるまでの間、状態テーブル78に「一時停止状態」を登録する。そして、状態管理手段77は、オプションからの有効状態/無効状態/一時停止状態の通知の有無に関係なく、起動直後から機器管理アクティビティ52に一時停止状態を通知できる。こうすることで、通報クライアントから状態を通知されるまでの間の状態通報を、機器管理アクティビティ52がキャッシュすることができる。
【0081】
振り分け手段79は、機器管理アクティビティ52から状態通報を取得した際に、状態テーブル78を参照して、状態通報を要求する通報クライアントを選択する。こうすることで、複数の通報クライアントがインストールされていても、有効な通報クライアントを選択して通報クライアント選択できる。
【0082】
有効なWebService通報クライアント61、又は、有効な外部通報仲介通報クライアント62は、必要であればMFP100の各コンポーネントに問い合わせて各種の情報を集め、NIC18を介して状態通報をサービスセンタ(又は、仲介機器200を介して)300に送信する。
【0083】
図10は、MFP管理システム500の動作手順を示すシーケンス図の一例である。以下のシーケンス図では、「有効状態の通知」を「有効通知」、「無効状態の通知」を「無効通知」、「一時停止状態の通知」を「一時停止通知」と記述した。また、図では通報クライアントが通報クライアントの状態を通知するが、実際にはオプションパッケージ44が通知する。また、図10では通報クライアントを「WebService通報クライアント」としたが、外部通報仲介通報クライアント62でも手順は同じである。
【0084】
まず、ユーザがMFP100の主電源をオンにする(S100)。主電源がオンになるとCPU14は、コンポーネントプログラム31及びオプションプログラム32をHDDから読み出す。まず、プラグイン管理CMP51が起動を完了し、プラットフォーム43の全体が起動を完了する。これにより、MFP100は印刷可能状態となる。
【0085】
プラグイン管理CMP51は起動完了を機器管理アクティビティ52に通知する(S110)。プラグイン管理CMP51が起動完了すると、状態検出手段71が状態を検出し、状態通報生成手段72が状態通報を生成可能になる。図10では、プラグイン管理CMP51の起動完了後、WebService通報クライアント61が有効状態を通知する前に、状態通報生成手段72が状態通報を機器管理アクティビティ52に通知する(S120)。
【0086】
機器状態外部通報CMP53は、起動後、早期に(例えば、プラグイン管理CMP51の起動直後)、機器管理アクティビティ52に一次停止状態を通知する(S130)。これは、通報クライアントが「有効状態」又は「一時停止状態」になる可能性があることを知らせておくためである。
【0087】
これにより、機器管理アクティビティ52の状態保持制御手段73はWebService通報クライアント61が、一時停止状態であると推定することができる。
【0088】
ステップS120で機器管理アクティビティ52に状態通報が通知されると、状態保持制御手段73は、WebService通報クライアント61が一時停止状態であるため、キャッシュ手段74に状態通報のキャッシュを要求する。これにより、キャッシュ手段74は状態通報をキャッシュする(S140)。
【0089】
次に、WebService通報クライアント61が起動を完了し、状態を通知する(S150)。図10では、MFP100が主電源をオフするまでの状態が有効状態であったため、WebService通報クライアント61は有効状態を機器状態外部通報CMP53に通知する。
【0090】
機器状態外部通報CMP53の状態管理手段77は状態テーブル78にWebService通報クライアント61の状態を登録し、機器管理アクティビティ52にWebService通報クライアント61が有効状態であることを通知する(S160)。これにより、機器管理アクティビティ52の状態保持制御手段73は、WebService通報クライアント61が一時停止状態と推定していた状態から有効状態に遷移したものと実際に検出できる。
【0091】
よって、機器管理アクティビティ52は、キャッシュしてある状態通報を送信するよう機器状態外部通報CMP53に要求する(S170)。
【0092】
機器状態外部通報CMP53は、状態通報をWebService通報クライアント61に送信するよう要求する(S180)。
【0093】
WebService通報クライアント61は、仲介機器200に状態通報を送信する(S190)。仲介機器200は、状態通報を受信し、通信などの処理を施して、サービスセンタ300に送信する(S200)。これにより、サービスセンタ300は、MFP100の状態を検知して、遠隔操作したり、必要であればCEを派遣することなどが可能になる。
【0094】
一方、例えば、ユーザやCEが通報クライアントをアップデートする場合、通報クライアントを一時停止状態にする(S210)。通報クライアントは一時停止状であることを機器状態外部通報CMP53に通知する(S220)。
【0095】
機器状態外部通報CMP53の状態管理手段77は状態テーブル78にWebService通報クライアント61が一時停止状態であることを登録し、機器管理アクティビティ52に一時停止状態を通知する(S230)。これにより、機器管理アクティビティ52の状態保持制御手段73は、WebService通報クライアント61が有効状態から一時停止状態に遷移したものと判定できる。
【0096】
この後、状態通報生成手段72が状態通報を機器管理アクティビティ52に通知した場合(S240)、キャッシュ手段74は状態通報をキャッシュすることができる(S250)。なお、WebService通報クライアント61は、一時停止状態に遷移した後、アップデートされる(S260)。
【0097】
以上のように、状態通報をキャッシュすることで、MFP100は、起動時間を延ばすことなく、状態通報を漏らさずにサービスセンタ300に送信することができる。また、機器管理アクティビティ52が通報クライアントから状態を受信することで、ソフトウェアの実装やプログラミング言語の制約を受けることがない。
【0098】
図11は、MFP管理システム500の動作手順を示すシーケンス図の一例である。図11のシーケンス図は、簡易状態通報の手順を説明するシーケンス図である。なお、図11では通報クライアントを「外部通報仲介通報クライアント」としたが、WebService通報クライアント61でも手順は同じである。
【0099】
ステップS140までの処理は図10とほぼ同様である。ユーザがMFP100の主電源をオンにする(S100)。主電源がオンになるとCPU14は、コンポーネントプログラム31及びオプションプログラム32をHDDから読み出す。まず、プラグイン管理CMP51が起動を完了し、プラットフォーム43の全体が起動を完了する。これにより、MFP100は印刷可能状態となる。
【0100】
プラグイン管理CMP51は起動完了を機器管理アクティビティ52に通知する(S110)。機器状態外部通報CMP53は、起動後、早期に(例えば、プラグイン管理CMP51の起動直後)、機器管理アクティビティ52に一次停止状態を通知する(S130)。このとき、状態保持制御手段73は起動してから経過した時間のカウントを開始する。よって、時間のカウントが開始するのはプラットフォーム43が起動完了した後になる。
【0101】
プラグイン管理CMP51が起動完了すると、状態検出手段71が状態を検出し、状態通報生成手段72が状態通報を生成可能になる。図11では外部通報仲介通報クライアント62は有効にならない。
【0102】
このため、状態通報生成手段72が状態通報を機器管理アクティビティ52に通知すると(S120)、状態保持制御手段73は、キャッシュ手段74に状態通報のキャッシュを要求する。これにより、キャッシュ手段74は状態通報をキャッシュする(S140)。
【0103】
状態保持制御手段73は、起動してから経過した時間のカウントを継続しており、所定時間の経過を検出する(S310)。
【0104】
このため、状態保持制御手段73は簡易通報手段76に簡易状態通報を送信するよう要求する。簡易通報手段76は、簡易状態通報を生成してサービスセンタ300に送信する(S320)。
【0105】
サービスセンタ300は簡易状態通報を受信することができ、MFP100の状態を監視する最小限の情報を取得することができる。なお、サービスセンタ300は、簡易状態通報と状態通報を両者に共通のヘッダ情報に含まれるフラグや情報量から判断することができる。よって、サービスセンタ300は、簡易状態通報を受信した場合、これを「通報不可能の通報」とみなし、MFP100の通報クライアントの不具合を検出して、遠隔操作したりCEを派遣するなど適切な処理を実行できる。
【0106】
以上のように、機器管理アクティビティ52が受動的に通報クライアントから状態の通知を受ける状況が生じても、一定時間内に通報クライアントが有効状態にならなかったことを検出することで、通報クライアントを利用しなくても簡易的にサービスセンタ300に通知することができる。
【0107】
図12は、MFP管理システム500の動作手順を示すシーケンス図の一例である。図12のシーケンス図は、複数の通報クライアントがインストールされている場合の、通報クライアントの切り替えを説明するシーケンス図である。
【0108】
図12では、通報クライアントとして、「外部通報仲介通報クライアント」と「WebService通報クライアント」がインストールされている。複数の「外部通報仲介通報クライアント」、又は、複数の「WebService通報クライアント」がインストールされることはないとしてよいが、仮にその状況が生じても禁則情報により有効状態になるのは1つの通報クライアントだけである。
【0109】
図12では、外部通報仲介通報クライアント62が起動完了した時点から説明する。ほぼ同時期にWebService通報クライアント61も起動完了するか、オプションパッケージ44は、禁則情報基づき、外部通報仲介通報クライアント62が有効状態であることを機器状態外部通報CMP53に通知する(S410)。
【0110】
機器状態外部通報CMP53の状態管理手段77は状態テーブル78に外部通報仲介通報クライアントの状態を登録し、機器管理アクティビティ52に有効状態を通知する(S420)。これにより、機器管理アクティビティ52の状態保持制御手段73は、外部通報仲介通報クライアントが一時停止状態から有効状態に遷移したものと判定できる。
【0111】
プラグイン管理CMP51が機器管理アクティビティ52に状態通報を通知すると(S430)、機器管理アクティビティ52は、状態通報を送信するよう機器状態外部通報CMP53に要求する(S440)。
【0112】
機器状態外部通報CMP53の振り分け手段79は状態テーブル78を参照し、外部通報仲介通報クライアント62が有効状態であることを検出する。これにより、振り分け手段79は、状態通報の送信を外部通報仲介通報クライアントに要求すればよいと判定し、状態通報の送信を外部通報仲介通報クライアント62に要求する(S450)。
【0113】
外部通報仲介通報クライアント62は、サービスセンタ300に状態通報を送信する(S460)。これにより、サービスセンタ300は、MFP100の状態を検知して、遠隔操作したり、必要であればCEを派遣することなどが可能になる。
【0114】
一方、外部通報仲介通報クライアント62は、ユーザの判断などを理由に無効にされる場合がある。この場合、外部通報仲介通報クライアント62は取り外される(アンインストールされる)場合が多い。
【0115】
ユーザやCEがオペレーションパネル25を操作して、外部通報仲介通報クライアント62を無効化すると、外部通報仲介通報クライアント(オプションパッケージ44)62が無効状態を機器状態外部通報CMP53に通知する(S470)。
【0116】
機器状態外部通報CMP53の状態管理手段77は状態テーブル78に外部通報仲介通報クライアントが無効状態であると登録し、機器管理アクティビティ52に無効状態であることを通知する(S480)。これにより、機器管理アクティビティ52の状態保持制御手段73は、外部通報仲介通報クライアントが有効状態から無効状態に遷移したものと判定できる。この時点では、状態保持制御手段73は、全ての通報クライアントが無効状態であると判定する。全ての通報クライアントが無効状態となることは禁則情報により禁止されていない。
【0117】
次に、ユーザやCEがオペレーションパネル25を操作して、WebService通報クライアント61を有効化する(S490)。WebServiceパッケージ54は有効状態であることを機器状態外部通報CMP53に通知する(S500)。
【0118】
機器状態外部通報CMP53の状態管理手段77は状態テーブル78にWebService通報クライアント61の状態を登録し、機器管理アクティビティ52に有効状態を通知する(S510)。これにより、機器管理アクティビティ52の状態保持制御手段73は、WebService通報クライアント61が無効状態から有効状態に遷移したものと判定できる。
【0119】
プラグイン管理CMP51が機器管理アクティビティ52に状態通報を通知すると(S520)、機器管理アクティビティ52は、状態通報を送信するよう機器状態外部通報CMP53に要求する(S530)。
【0120】
機器状態外部通報CMP53の振り分け手段79は状態テーブル78を参照し、WebService通報クライアント61が有効状態であることを検出する。これにより、振り分け手段79は、状態通報の送信をWebService通報クライアント61に要求すればよいと判定し、状態通報の送信をWebService通報クライアント61に要求する(S540)。
【0121】
WebService通報クライアント61は、仲介機器200に状態通報を送信する(S550)。仲介機器200は状態通報をサービスセンタ300に送信する(S560)。サービスセンタ300は、MFP100の状態を検知して、遠隔操作したり、必要であればCEを派遣することなどが可能になる。
【0122】
以上のように、通報クライアントにいくつかの種類がある場合でも、機器管理アクティビティ52は、通報クライアントの種類によらず状態のみを受信することで、機器管理アクティビティ52は、通報クライアントの種類を区別せずに状態通報をサービスセンタ300に送信することができる。
【符号の説明】
【0123】
13 HDD
14 CPU
15 NB
16 ASIC
25 オペレーションパネル
41 アプリケーション
43 プラットフォーム
44 オプションパッケージ
51 プラグイン管理コンポーネント
52 機器管理アクティビティ
53 機器状態外部通報コンポーネント
54 WebServiceパッケージ
55 外部通報仲介通報パッケージ
61 WebService通報クライアント
62 外部通報仲介通報クライアント
100 MFP(画像形成装置)
200 仲介機器
300 サービスセンタ
500 MFP管理システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0124】
【特許文献1】特開平11−202699号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器の状態を知らせる情報を外部に送信する画像形成装置であって、
機器の状態を検出する機器状態検出手段と、
機器の状態に応じて状態通報情報を生成する状態通報生成手段と、
前記状態通報情報を外部に送信する通信手段と、
前記通信手段の起動完了よりも早いタイミングで起動が完了し、前記通信手段の状態を管理する状態管理手段と、
前記状態管理手段の起動が完了してから前記通信手段が起動完了するまでの間、前記通信手段が一時停止状態であると推定し、前記状態通報情報を一時的に記憶する一次記憶手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記状態管理手段が前記通信手段から有効状態であることを示す有効通知を取得した場合、一時的に記憶した前記状態通報情報を、前記通信手段に送信するよう要求する制御手段と、
前記状態管理手段が起動完了してから所定時間内に前記有効通知を取得しない場合、前記通信手段を介することなく、外部に前記状態通報情報を送信する簡易通報手段と、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記状態管理手段は前記通信手段に状態を問い合わせることなく、前記通信手段が前記状態管理手段に該通信手段の状態を通知する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記通信手段は、有効状態、無効状態又は一時停止状態の3つの状態を有し、
前記制御手段は、前記状態管理手段が管理する前記通信手段の3つの状態に基づき、有効状態の場合は、前記状態通報情報を前記通信手段に送信するよう要求し、無効状態の場合は破棄し、一時停止状態の場合は前記一次記憶手段に前記状態通報情報を一時的に記憶するよう要求する、
ことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
複数の前記通信手段がインストールされている場合、
前記状態管理手段が管理する各通信手段の状態に基づき、前記状態通報情報の送信を要求する前記通信手段を切り替える切換手段を有する、
ことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項6】
二つの前記通信手段のうちの1つは、LAN内の仲介機器を介して外部に前記状態通報情報を送信し、他の1つは、前記仲介機器を介することなく外部に前記状態通報情報を送信する、
ことを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記通信手段の識別情報を取得することなく、状態の情報のみを前記状態管理手段から取得する、
ことを特徴とする請求項5又は6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記簡易通報手段が前記通信手段を介することなく外部に送信する前記状態通報情報は、前記通信手段が送信する前記状態通報情報よりも情報量が少ない簡易的な前記状態通報情報である、
ことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項9】
通信手段を用いて画像形成装置が機器の状態を知らせる情報を外部に送信する情報送信方法であって、
機器状態検出手段が、機器の状態を検出するステップと、
状態通報生成手段が、機器の状態に応じて状態通報情報を生成するステップと、
状態管理手段が、前記通信手段の起動完了よりも早いタイミングで起動を完了させ、前記通信手段の状態を管理するステップと、
一次記憶手段が、前記状態管理手段の起動が完了してから前記通信手段が起動完了するまでの間、前記通信手段が一時停止状態であると推定し、前記状態通報情報を一時的に記憶するステップと、
を有することを特徴とする情報送信方法。
【請求項10】
機器の状態を知らせる情報を外部に送信する画像形成装置のCPUを、
外部に情報を送信する通信手段に通信を要求する手段と、
機器の状態を検出する機器状態検出手段と、
機器の状態に応じて状態通報情報を生成する状態通報生成手段と、
前記通信手段の起動完了よりも早いタイミングで起動が完了し、前記通信手段の状態を管理する状態管理手段と、
前記状態管理手段の起動が完了してから前記通信手段が起動完了するまでの間、前記通信手段が一時停止状態であると推定し、前記状態通報情報を一時的に記憶する一次記憶手段と、
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−250176(P2011−250176A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121745(P2010−121745)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】